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  • 特許-燃焼器バーナ及び燃焼器 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】燃焼器バーナ及び燃焼器
(51)【国際特許分類】
   F23C 1/00 20060101AFI20221129BHJP
   F23R 3/22 20060101ALI20221129BHJP
   F23R 3/10 20060101ALI20221129BHJP
   F23R 3/28 20060101ALI20221129BHJP
   F23R 3/36 20060101ALI20221129BHJP
   F23J 7/00 20060101ALI20221129BHJP
【FI】
F23C1/00 301
F23R3/22
F23R3/10
F23R3/28 F
F23R3/36
F23C99/00 317
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019036391
(22)【出願日】2019-02-28
(65)【公開番号】P2020139700
(43)【公開日】2020-09-03
【審査請求日】2021-10-07
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成30年度、国立研究開発法人科学技術振興機構、SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)「エネルギーキャリア」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100175802
【弁理士】
【氏名又は名称】寺本 光生
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167553
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 久典
(72)【発明者】
【氏名】大西 正悟
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 慎太朗
(72)【発明者】
【氏名】内田 正宏
(72)【発明者】
【氏名】水谷 琢
(72)【発明者】
【氏名】藤森 俊郎
【審査官】小川 悟史
(56)【参考文献】
【文献】実開昭58-165406(JP,U)
【文献】特開平08-075111(JP,A)
【文献】特開2018-162724(JP,A)
【文献】実開昭57-065273(JP,U)
【文献】特開2010-019195(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23C 1/00
F23R 3/22
F23R 3/10
F23R 3/28
F23R 3/36
F23J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体状態の天然ガスを供給する天然ガスバーナと、気体状態のアンモニアを供給するアンモニアバーナとを備える燃焼器バーナであって、
燃焼用空気を燃焼室へと案内する燃焼用空気流路と、
前記アンモニアバーナに供給されるアンモニアの流量を増加させることにより、前記燃焼用空気流路を流れる空気の流量を減少させる流量可変部と
を備えることを特徴とする燃焼器バーナ。
【請求項2】
前記流量可変部は、
前記アンモニアバーナに供給される前記アンモニアの流れを受けて移動可能とされると共に、前記燃焼用空気流路の流路径を変更可能とする可動部材と、
前記可動部材を付勢する付勢部材と
を備えることを特徴とする請求項1記載の燃焼器バーナ。
【請求項3】
前記流量可変部は、前記燃焼室に供給される前記燃焼用空気の全量を変更することを特徴とする請求項1または2記載の燃焼器バーナ。
【請求項4】
前記流量可変部は、前記燃焼室に供給される前記燃焼用空気の流量配分を変更することを特徴とする請求項1または2記載の燃焼器バーナ。
【請求項5】
請求項1~4のいずれ一項に記載の燃焼器バーナと、
燃焼室が形成される燃焼器ライナと
を備えることを特徴とする燃焼器。
【請求項6】
前記天然ガスバーナ及び前記アンモニアバーナが環状に配置されることを特徴とする請求項5記載の燃焼器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼器バーナ及び燃焼器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1においては、低NOxを目的とする燃焼器が開示されている。このような特許文献1においては、燃焼時の高温火炎により空気中の窒素が酸化することで発生するサーマルNOxを抑制することで、低NOxを実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-28352号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、現在、燃料としてCO2の排出がないアンモニアを、天然ガスと混焼させることが提案されている。これに対して、天然ガスは、周囲に酸素の多い状態、すなわち当量比が高い状態で燃焼させると、サーマルNOxを多く発生する。このため、アンモニア混焼時においても、天然ガスは当量比が低い状態で燃焼することが好適とされる。しかしながら、アンモニアにおいては、周囲に酸素の少ない状態、すなわち当量比が低い状態で燃焼させると、アンモニア由来のフューエルNOxを多く発生する。したがって、酸素の供給量を制御してアンモニアと天然ガスとの双方の燃焼においてNOxの発生を抑制させることが難しい。
【0005】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、天然ガスとアンモニアとを混焼させる燃焼器においてアンモニアの燃焼によるNOxを低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するための燃焼器バーナに係る第1の手段として、気体状態の天然ガスを供給する天然ガスバーナと、気体状態のアンモニアを供給するアンモニアバーナとを備える燃焼器バーナであって、燃焼用空気を燃焼室へと案内する燃焼用空気流路と、前記アンモニアバーナに供給されるアンモニアにより、前記燃焼用空気流路を流れる空気の流量を変更する流量可変部とを備える、という構成を採用する。
【0007】
燃焼器バーナに係る第2の手段として、上記第1の手段において、前記流量可変部は、前記アンモニアバーナに供給される前記アンモニアの流れを受けて移動可能とされると共に、前記燃焼用空気流路の流路径を変更可能とする可動部材と、前記可動部材を付勢する付勢部材とを備える、という構成を採用する。
【0008】
燃焼器バーナに係る第3の手段として、上記第1または第2の手段において、前記流量可変部は、前記燃焼室に供給される前記燃焼用空気の全量を変更する、という構成を採用する。
【0009】
燃焼器バーナに係る第4の手段として、上記第1または第2の手段において、前記流量可変部は、前記燃焼室に供給される前記燃焼用空気の流量配分を変更する、という構成を採用する。
【0010】
燃焼器に係る第1の手段として、請求項1~3のいずれ一項に記載の燃焼器バーナと、燃焼室が形成される燃焼器ライナとを備える、という構成を採用する。
【0011】
燃焼器に係る第2の手段として、上記第1の手段において、前記天然ガスバーナ及び前記アンモニアバーナが環状に配置される、という構成を採用する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、アンモニアの混焼時には、アンモニアの流量により流量可変部が燃焼用空気流量を変化させる。これにより、アンモニアの混焼時に燃焼用空気の流量を減少させ、アンモニアの燃焼に好適な当量比が高い状態とすることが可能である。したがって、天然ガスとアンモニアとを混焼させる燃焼器においてアンモニアの燃焼によるNOxを低減することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係る燃焼器バーナの斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係る燃焼器バーナ及び燃焼器ライナの一部を示す模式断面図である。
図3】本発明の一実施形態に係る燃焼器バーナ及び燃焼器ライナの一部を示す模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明に係る燃焼器の一実施形態について説明する。
【0015】
本実施形態に係る燃焼器1は、ガスタービン(不図示)に備えられている。ガスタービンは、不図示の圧縮機、タービン及び燃焼器1を備えている。ガスタービンは、圧縮機において外気から取り込んだ空気を所定圧まで圧縮して圧縮空気を生成し、燃焼器1において上記圧縮空気を酸化剤として燃料を燃焼させる。さらに、ガスタービンは、燃料を燃焼させて発生した燃焼ガスの流れを用いてタービンを回転させることにより、回転動力を発生させる。
【0016】
図1及び図2に示すように、燃焼器1は、燃焼器ライナ2と、燃焼器バーナ3と、不図示のケーシングとを備えている。
【0017】
燃焼器ライナ2は、不図示のケーシングの内部に収容された円筒体である。この燃焼器ライナ2は、図2に示すように、燃焼器バーナ3に接続されており、燃焼室Nを内部に形成している。燃焼室Nの内部においては、周壁の中心軸に沿うように、燃焼空気及び燃料の流れ(主流S)が形成されている。また、燃焼器ライナ2には、内周面に沿って冷却空気が供給されており、内周面近傍に冷却空気層が形成されている。
【0018】
燃焼器バーナ3は、燃焼器ライナ2の上流部に取り付けられており、基部3aと、空気流路部材3bと、燃料流路部材3cと、流量可変部3dとを備えている。基部3aは、空気流路部材3b及び燃料流路部材3cが固定された円盤状の部材であり、天然ガス供給口h1(図3参照)とアンモニア供給口h2とが形成されている。また、基部3aが外部構造部材等にボルト等で固定されることにより、燃焼器バーナ3が外部構造部材に固定される。
【0019】
空気流路部材3bは、燃焼器ライナ2へと固定された略円筒状の部材である。空気流路部材3bは、燃焼器ライナ2側へと向けて縮径されるように形成されており、図1に示すように、基部3a側の端部近傍の周面に複数の空気取り込み口h3が形成されている。
【0020】
燃料流路部材3cは、空気流路部材3bと同心上に配置された略円筒状の部材であり、一端が燃焼器ライナ2に挿入された状態とされる。また、燃料流路部材3cは、空気流路部材3bと同様に、燃焼器ライナ2側へと向けて縮径されるように形成されている。燃料流路部材3cは、図1に示すように、内部において環状かつ等間隔に、天然ガスバーナb1(図1及び図3参照)とアンモニアバーナb2とがそれぞれ複数形成されている。天然ガスバーナb1及びアンモニアバーナb2は、周方向において交互に配置されると共に、それぞれ燃料流路部材3cの外形に沿って軸方向へと形成されており、入口端が基部3aとの間の空間に開口し、出口端が燃焼器ライナ2に開口している。なお、天然ガスバーナb1は、不図示の天然ガス貯留タンク等と接続され、天然ガスを燃焼室Nへと案内する。また、アンモニアバーナb2は、不図示のアンモニア貯留タンクまたは気化器と接続され、気体状態のアンモニアを燃焼室Nへと案内する。また、燃料流路部材3cと空気流路部材3bとの間には、円環状に燃焼用空気流路rが形成されている。
【0021】
流量可変部3dは、図2に示すように、可動部材3d1と、付勢部材3d2とを備えている。可動部材3d1は、燃料流路部材3cと基部3aとの間の空間に配置された移動可能な円環状部材である。この可動部材3d1は、燃焼器ライナ2側へと向けて立設された円筒状の周壁部3d3と、アンモニアバーナb2に挿入されたノズル部3d4とを有している。この周壁部3d3には、空気取り込み口h3と対応する位置に開口h4が形成され、開口h4が一姿勢において空気取り込み口h3と完全に重なるように配置されている。また、ノズル部3d4は、アンモニアバーナb2に挿入された状態とされ、アンモニア供給口h2から供給されるアンモニアをアンモニアバーナb2へと案内する。なお、ノズル部3d4の流路径は、アンモニア供給口h2及びアンモニアバーナb2の流路径よりも十分に小さく設定されている。
【0022】
付勢部材3d2は、一端が基部3aに固定され、他端が可動部材3d1に固定されたバネ部材である。この付勢部材3d2は、可動部材3d1が基部3aと当接するように、可動部材3d1を軸方向基部3a側へと向けて付勢している。この状態において、可動部材3d1は、開口h4が空気取り込み口h3と完全に重なった状態とされる。
【0023】
このような燃焼器1の動作を、図2及び図3を参照して説明する。
燃焼器1において、天然ガスの専焼時には、空気取り込み口h3と開口h4とが完全に重なった状態とされ、空気取り込み口h3から、燃焼室Nへと燃焼用空気が全量供給される。また、天然ガスが複数の天然ガスバーナb1から供給される。このような燃焼用空気と燃料とが混ざり合いながら近傍のバーナ火炎より火炎伝播することで、燃焼器1における燃焼が行われる。
【0024】
また、アンモニアの混焼時には、アンモニア供給口h2を介して流量可変部3dへと流入したアンモニアが、流路径の小さいノズル部3d4からアンモニアバーナb2へと流入する。このため、可動部材3d1と基部3aとの間の空間の圧力が上昇し、可動部材3d1が軸方向燃焼器ライナ2側へと押し込まれる。これにより可動部材3d1の開口h4は、燃焼器ライナ2側へと移動し、空気取り込み口h3と重なる面積が小さくなる。これにより、空気取り込み口h3から取り込まれる燃焼用空気の流量が小さくなる。
【0025】
このような本実施形態によれば、流量可変部3dにより、アンモニアの流量の増加に伴って、燃焼用空気の流量を減少させることが可能である。したがって、単純な構成でアンモニアの燃焼時に当量比の高い状態とすることができ、フューエルNOxを減少させることで、低NOx化することが可能である。
【0026】
また、本実施形態によれば、可動部材3d1が移動されることにより、燃焼用空気の全量の流量を変更することが可能である。したがって、アンモニアの燃焼時において、効果的に燃焼用空気の流量を変更することができる。
【0027】
また、本実施形態によれば、天然ガスバーナb1とアンモニアバーナb2とがそれぞれ複数環状に配置されている。これにより、天然ガス及びアンモニアの濃度分布が形成されにくく、燃焼室N内において均等に燃焼されやすい。
【0028】
以上、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0029】
なお、上記実施形態においては、可動部材3d1と付勢部材3d2とにより空気取り込み口h3の開口面積を変化させるものとしたが、本発明はこれに限定されない。例えば、アンモニアバーナb2を別構成の可動部材とし、アンモニアバーナb2により燃焼用空気流路を閉塞する構成とすることも可能である。
【0030】
また、上記実施形態においては、アニュラ型の燃焼器1について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、燃焼器バーナ3は、マルチノズルバーナとしてもよい。この場合、空気孔プレートを可動部材とし、アンモニアの圧力により空気孔プレートを動かすことで、燃焼用空気流路を閉塞することが可能である。
【0031】
また、天然ガスバーナb1及びアンモニアバーナb2の設置数は、混焼率等に応じて種々変更可能である。
【0032】
また、上記実施形態においては、流量可変部3dが燃焼室Nへと供給される燃焼用空気の全量を変更するものとしたが、本発明はこれに限定されない。燃焼器バーナ3の径方向中心部には、希釈用空気を燃焼室Nへと供給する希釈用流路が形成されている。流量可変部は、このような希釈用流路に供給される希釈用空気の流量と、燃焼用空気との流量配分を変更するものとしてもよい。このような構成においては、流量可変部は、燃焼用空気の流量を減少させる際には、希釈用空気の流量を増加させることとなる。この場合についても、上記実施形態と同様に、アンモニアの燃焼時に燃焼用空気の流量を減少させることで、低NOx化することが可能である。
【符号の説明】
【0033】
1 燃焼器
2 燃焼器ライナ
3 燃焼器バーナ
3a 基部
3b 空気流路部材
3c 燃料流路部材
3d 流量可変部
3d1 可動部材
3d2 付勢部材
3d3 周壁部
3d4 ノズル部
b1 天然ガスバーナ
b2 アンモニアバーナ
h1 天然ガス供給口
h2 アンモニア供給口
h3 空気取り込み口
h4 開口
N 燃焼室
r 燃焼用空気流路
S 主流
図1
図2
図3