(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】車両下部構造
(51)【国際特許分類】
B60L 5/00 20060101AFI20221129BHJP
B60K 1/04 20190101ALI20221129BHJP
B60L 3/00 20190101ALI20221129BHJP
B60L 53/12 20190101ALI20221129BHJP
B62D 25/20 20060101ALI20221129BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20221129BHJP
H02J 50/10 20160101ALI20221129BHJP
【FI】
B60L5/00 B
B60K1/04 Z
B60L3/00 J
B60L53/12
B62D25/20 N
H02J7/00 P
H02J7/00 301D
H02J50/10
(21)【出願番号】P 2019050779
(22)【出願日】2019-03-19
【審査請求日】2021-06-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】村井 大介
(72)【発明者】
【氏名】寺田 佳樹
【審査官】岩田 健一
(56)【参考文献】
【文献】再公表特許第2015/045085(JP,A1)
【文献】特開2009-286259(JP,A)
【文献】特開2016-143773(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 5/00
B60K 1/04
B60L 3/00
B60L 53/12
B62D 25/20
H02J 7/00
H02J 50/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サスペンションメンバと、
前記サスペンションメンバの後部の車両下側に配置されるとともに、前記サスペンションメンバに取り付けられ、給電モジュールから非接触で電力供給を受ける非接触充電モジュールと、
導電性を有し、前記サスペンションメンバの
前部の車両下側に、前記非接触充電モジュールと車両前後方向に隣り合って設置され、前記サスペンションメンバを車両下側から覆うアンダカバーと、
を備える車両下部構造。
【請求項2】
前記アンダカバーにおける前記非接触充電モジュール側の端部は、前記非接触充電モジュールに車両下側から取り付けられる、
請求項1に記載の車両下部構造。
【請求項3】
前記非接触充電モジュールにおける前記アンダカバー側の端部は、前記アンダカバーに車両下側から取り付けられる、
請求項1に記載の車両下部構造。
【請求項4】
前記非接触充電モジュールは、
非接触充電モジュール本体と、
前記非接触充電モジュール本体における前記アンダカバー側の端部に設けられ、該アンダカバーと連結されるカバー用ブラケットと、
を有する、
請求項1~請求項3の何れか1項に記載の車両下部構造。
【請求項5】
前記アンダカバーにおける前記非接触充電モジュール側の端部の下面は、前記非接触充電モジュール本体における前記アンダカバー側の端部の下面と面一とされる、
請求項2を引用する請求項4に記載の車両下部構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両下部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド車又は電気自動車等の車両において、サスペンションメンバに取り付けられる非接触充電モジュールが知られている(例えば、特許文献1参照)。この非接触充電モジュールは、例えば、駐車場等に設置された給電モジュールから非接触で電力が供給され、供給された電力を車両に搭載されたバッテリへ供給する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-086906号公報
【文献】特開2013-219861号公報
【文献】特開2014-128124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、サスペンションメンバの車両下側には、車両の下を流れる空気の抵抗を低減するアンダカバーが設置される。この種のアンダカバーとしては、車両に搭載された電動モータ又はPCU(パワーコントロールユニット)等が発生する電磁波を遮蔽する電磁シールド機能を兼ね備えるものがある。
【0005】
しかしながら、サスペンションメンバに取り付けられた非接触充電モジュールを、車両下側から電磁シールド機能を備えるアンダカバーで覆うと、次のことが懸念される。すなわち、給電モジュールから非接触充電モジュールに非接触で行われる電力供給が、アンダカバーによって阻害される可能性がある。
【0006】
本発明は、上記の事実を考慮し、電磁シールド機能を備えるアンダカバーによって車両下の空気抵抗を低減しつつ、給電モジュールから非接触充電モジュールに非接触で電力供給可能な車両下部構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1態様に係る車両下部構造は、サスペンションメンバと、前記サスペンションメンバに取り付けられ、給電モジュールから非接触で電力供給を受ける非接触充電モジュールと、導電性を有し、前記サスペンションメンバの車両下側に、前記非接触充電モジュールと車両前後方向に隣り合って設置され、前記サスペンションメンバを車両下側から覆うアンダカバーと、を備える。
【0008】
上記の構成によれば、サスペンションメンバには、給電モジュールから電力供給を受ける非接触充電モジュールが取り付けられる。また、サスペンションメンバの車両下側には、アンダカバーが設置される。このアンダカバーによってサスペンションメンバを車両下側から覆うことにより、車両の下を流れる空気の抵抗が低減される。したがって、車両の走行に伴う電力消費量(電費)又は燃料消費量(燃費)が低減される。
【0009】
また、アンダカバーは、導電性を有している。これにより、例えば、車両に搭載された電動モータ又はPCU等が発生した電磁波が、アンダカバーによって遮蔽される。つまり、本態様のアンダカバーは、電磁シールド機能を兼ね備えている。
【0010】
さらに、アンダカバーは、非接触充電モジュールと車両前後方向に隣り合って配置される。これにより、給電モジュールから非接触充電モジュールに非接触で行われる電力供給が、アンダカバーによって阻害されることが抑制される。
【0011】
このように本態様では、電磁シールド機能を備えるアンダカバーによって、車両下の空気抵抗を低減しつつ、給電モジュールから非接触充電モジュールに非接触で電力を供給することができる。
【0012】
第2態様に係る車両下部構造は、第1態様に係る車両下部構造において、前記アンダカバーにおける前記非接触充電モジュール側の端部は、前記非接触充電モジュールに車両下側から取り付けられる。
【0013】
上記の構成によれば、アンダカバーにおける非接触充電モジュール側の端部は、非接触充電モジュールに車両下側から取り付けられる。これにより、サスペンションメンバから非接触充電モジュールを取り外さずに、車両下部からアンダカバーを取り外すことができる。したがって、アンダカバー、及び車両下部のメンテナンス性が向上する。
【0014】
また、本態様では、サスペンションメンバと非接触充電モジュールとの間にアンダカバーが介在しないため、非接触充電モジュールを所定の高さ(設置高さ)に精度良く設置することができる。これにより、給電モジュールから非接触充電モジュールに非接触で電力を供給する際に、給電モジュールに対して非接触充電モジュールの所定高さに配置することができる。したがって、給電モジュールから非接触充電モジュールに所定の効率で電力を供給することができる。
【0015】
第3態様に係る車両下部構造は、第1態様に係る車両下部構造において、前記非接触充電モジュールにおける前記アンダカバー側の端部は、前記アンダカバーに車両下側から取り付けられる。
【0016】
上記の構成によれば、非接触充電モジュールにおけるアンダカバー側の端部は、アンダカバーに車両下側から取り付けられる。これにより、車両下部からアンダカバーを取り外さずに、サスペンションメンバから非接触充電モジュールを取り外すことができる。したがって、非接触充電モジュールのメンテナンス性が向上する。
【0017】
また、本態様では、サスペンションメンバと非接触充電モジュールとの間にアンダカバーが介在する。そのため、本態様では、サスペンションメンバと非接触充電モジュールとの間にアンダカバーが介在しない場合と比較して、給電モジュールから非接触充電モジュールに非接触で電力を供給する際に、非接触充電モジュールが給電モジュールに接近する。したがって、給電モジュール及び非接触充電モジュールの非接触充電の感度が良好になる。
【0018】
第4態様に係る車両下部構造は、第1態様~第3態様の何れか1つに係る車両下部構造において、前記非接触充電モジュールは、非接触充電モジュール本体と、前記非接触充電モジュール本体における前記アンダカバー側の端部に設けられ、該アンダカバーと連結されるカバー用ブラケットと、を有する。
【0019】
上記の構成によれば、非接触充電モジュールにおけるアンダカバー側の端部には、カバー用ブラケットが設けられる。このカバー用ブラケットとアンダカバーとを連結することにより、アンダカバーと非接触充電モジュールとの取付性が向上する。
【0020】
第5態様に係る車両下部構造は、第2態様を引用する第4態様に係る車両下部構造において、前記アンダカバーにおける前記非接触充電モジュール側の端部の下面は、前記非接触充電モジュール本体における前記アンダカバー側の端部の下面と面一とされる。
【0021】
上記の構成によれば、アンダカバーにおける非接触充電モジュール側の端部の下面は、非接触充電モジュール本体におけるアンダカバー側の端部の下面と面一とされる。これにより、アンダカバーと非接触充電モジュール本体との境界部の下を流れる空気の抵抗が低減される。したがって、車両の走行に伴う電力消費量や燃料消費量がさらに低減される。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように、本発明に係る車両下部構造によれば、電磁シールド機能を備えるアンダカバーによって車両の下を流れる空気の抵抗を低減しつつ、給電モジュールから非接触充電モジュールに非接触で電力を供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る車両下部構造が適用された車両前部を示す縦断面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示される車両前部を車両下側から見て平面図(下面図)である。
【
図7】
図7は、一実施形態に係る車両下部構造の変形例が適用された車両前部を車両下側から見て平面図(下面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しながら、一実施形態に係る車両下部構造について説明する。なお、各図において適宜示される矢印FRは、車両前側(車両前後方向の前側)を示し、矢印UPは、車両上側(車両上下方向の上側)を示している。また、矢印OUTは、車両幅方向の外側を示している。また、以下の説明における前後、上下及び左右は、特に断りがない限り、車両前後方向の前後、車両上下方向の上下、及び車両幅方向の左右をそれぞれ意味する。
【0025】
(車両前部)
図1には、本実施形態に係る車両下部構造30が適用された車両10の車両前部10Fが示されている。車両10は、例えば、ハイブリッド車、又は電気自動車とされている。この車両10の車両前部10Fには、パワーユニットルーム12が設けられている。
【0026】
パワーユニットルーム12は、フード14によって車両上側から覆われている。また、パワーユニットルーム12の車両前側には、ラジエータ16等が配置されている。このパワーユニットルーム12には、電磁波を発生する電動モータ20、PCU(パワーコントロールユニット)22、及び高電圧ユニット(電圧ユニット)24が収容されている。
【0027】
電動モータ20は、フロントタイヤ18(
図2参照)を回転駆動する駆動源とされており、図示しない一対のフロントサイドメンバの間に配置されている。この電動モータ20には、PCU22を介して図示しないバッテリが接続されている。また、バッテリには、高電圧ユニット24を介して後述する非接触充電モジュール50が接続されている。
【0028】
PCU22は、電動モータ20の車両上側に配置されている。このPCU22は、例えば、図示しないバッテリから電動モータ20に供給される直流電流を三相交流に変換する。高電圧ユニット24は、DC給電充電リレー、分岐ボックス、及びDC/DCコンバータ等を有し、非接触充電モジュール50からバッテリに給電される電力を制御する。このように構成された車両前部10Fの下部に、本実施形態に係る車両下部構造30が適用されている。
【0029】
(車両下部構造)
車両下部構造30は、サスペンションメンバ40と、非接触充電モジュール50と、アンダカバー80とを備えている。サスペンションメンバ40は、電動モータ20の車両下側に配置されている。このサスペンションメンバ40は、図示しない一対のフロントサイドメンバに車両下側から取り付けられている。
【0030】
(サスペンションメンバ)
図2に示されるように、サスペンションメンバ40は、平面視にて、枠状に形成されている。このサスペンションメンバ40は、一対のサイドレール42と、フロントクロスメンバ44と、リアクロスメンバ46とを有している。
【0031】
一対のサイドレール42は、車両前後方向に沿って配置されるとともに、車両幅方向に間隔を空けて配置されている。この一対のサイドレール42は、サスペンションメンバの車両幅方向の両側の側部を構成している。また、一対のサイドレール42には、サスペンションアームとしてのロアアーム48がそれぞれ連結されている。ロアアーム48は、一対のサイドレール42から車両幅方向の外側へそれぞれ延出しており、フロントタイヤ18のホイールを支持している。
【0032】
フロントクロスメンバ44及びリアクロスメンバ46は、車両幅方向に沿って配置されるとともに、車両前後方向に間隔を空けて配置されている。フロントクロスメンバ44は、一対のサイドレールの前端部同士を連結している。このフロントクロスメンバ44は、サスペンションメンバ40の前端部を構成している。一方、リアクロスメンバ46は、一対のサイドレールの後端部同士を連結している。このリアクロスメンバ46は、サスペンションメンバ40の後端部を構成している。
【0033】
(非接触充電モジュール)
図1に示されるように、サスペンションメンバ40の後部40Rの車両下側には、非接触充電モジュール50が配置されている。非接触充電モジュール50は、サスペンションメンバ40の後部40Rに車両下側から取り付けられている。この非接触充電モジュール50は、路面32に面した状態で、サスペンションメンバ40の後部40Rを車両下側から覆っている。また、非接触充電モジュール本体52の下面52Lは、例えば、平坦面とされている。この非接触充電モジュール本体52によって、車両前部10Fの下を流れる空気の抵抗が低減されている。
【0034】
非接触充電モジュール50は、非接触充電モジュール本体52と、一対の前側ブラケット60と、カバー用ブラケット64とを備えている。非接触充電モジュール本体52は、ケース54と、受電コイル56とを有している。ケース54は、樹脂等によって扁平な箱状に形成されている。このケース54の内部には、受電コイル56が収納されている。受電コイル56は、導電線等によって形成されている。
【0035】
受電コイル56は、例えば、駐車場等に設置された給電モジュール90の送電コイル92と車両上下方向に対向して配置される。この状態で、給電モジュール90が作動されると、例えば、電磁誘導によって送電コイル92から受電コイル56に非接触で電力が供給される。受電コイル56に供給された電力は、前述した高電圧ユニット24を介して、車両10のバッテリに供給される。
【0036】
なお、受電コイル56は、導電性を有している。そのため、受電コイル56は、パワーユニットルーム12に収容された電動モータ20、PCU22、及び高電圧ユニット24が発生した電磁波が遮断する電磁シールドとしても機能する。
【0037】
図1及び
図2に示されるように、非接触充電モジュール本体52の後端部52Rは、例えばボルトによって、サスペンションメンバ40のリアクロスメンバ46の連結部46Aに車両下側から取り付けられている。なお、非接触充電モジュール本体52の後端部52Rは、サスペンションメンバ40に限らず、車両下部を構成する他の部材に取り付けられても良い。
【0038】
図2に示されるように、非接触充電モジュール本体52の前端部52Fには、一対の前側ブラケット60が設けられている。一対の前側ブラケット60は、非接触充電モジュール本体52の前端部52Fにおける車両幅方向の両側から車両前側、かつ、車両幅方向の外側へ延出している。
【0039】
図3に示されるように、前側ブラケット60の先端部60T(前端部)は、サスペンションメンバ40の一対のサイドレール42に車両下側にそれぞれ配置されている。この前側ブラケット60の先端部60Tには、当該先端部60Tを厚み方向(車両上下方向)に貫通する貫通孔61が形成されている。
【0040】
サイドレール42は、断面矩形の筒状に形成されている。このサイドレール42の下壁部42Lには、当該下壁部42Lを厚み方向(車両上下方向)に貫通する貫通孔43が形成されている。これらの貫通孔43,61に車両下側から挿入されたボルト76及びナット78によって、前側ブラケット60の先端部60Tがサイドレール42の下壁部42Lに連結(固定)されている。
【0041】
なお、前側ブラケット60は、サスペンションメンバ用ブラケットの一例である。
【0042】
図2に示されるように、非接触充電モジュール本体52の前端部52Fにおける車両幅方向の中央部には、カバー用ブラケット64が設けられている。
図4に示されるように、カバー用ブラケット64は、板状に形成されており、非接触充電モジュール本体52の前端部52Fにおける厚み方向(車両上下方向)の中間部から車両前側へ延出されている。このカバー用ブラケット64の下面64Lと非接触充電モジュール本体52(ケース54)の下面52Lとの間には、段差が形成されている。
【0043】
カバー用ブラケット64には、当該カバー用ブラケット64を厚み方向(車両上下方向)に貫通する貫通孔65が形成されている。このカバー用ブラケット64には、後述するアンダカバー80の後端部80Rが車両下側から取り付けられている。
【0044】
なお、カバー用ブラケット64は、非接触充電モジュール本体52と一体に形成されても良いし、非接触充電モジュール本体52と別体に形成され、非接触充電モジュール本体52に取り付けられても良い。
【0045】
(アンダカバー)
図1に示されるように、アンダカバー80は、サスペンションメンバ40の前部40Fの車両下側で、かつ、非接触充電モジュール50の車両前側に配置されており、サスペンションメンバ40と車両前後方向に隣り合って配置されている。このアンダカバー80は、サスペンションメンバ40の前部40Fを車両下側から覆うパネル状に形成されている。また、アンダカバー80の下面80Lは、平坦面とされている。このアンダカバー80によって、車両前部10Fの下を流れる空気の抵抗が低減されている。
【0046】
なお、本実施形態において、アンダカバー80とサスペンションメンバ40とが車両前後方向に隣り合うとは、アンダカバー80とサスペンションメンバ40とが車両前後方向に連続する場合と、アンダカバー80及びサスペンションメンバ40の境界部下の空力に影響を与えない範囲内で、アンダカバー80とサスペンションメンバ40との間に隙間がある場合を含む概念である。
【0047】
また、アンダカバー80は、パワーユニットルーム12に収容された電動モータ20、PCU22、及び高電圧ユニット24の車両下側に配置されている。このアンダカバー80は、導電性を有し、電磁シールドとして機能を兼ね備えている。具体的には、アンダカバー80の上面80Uは、アルミニウムシート等の導電性層82(
図4参照)によって被覆されている。この導電性層82によって、パワーユニットルーム12に収容された電動モータ20、PCU22、及び高電圧ユニット24が発生した電磁波が遮断される。
【0048】
図2に示されるように、アンダカバー80の前側は、複数のクリップ70によって、サスペンションメンバ40のフロントクロスメンバ44に車両下側から取り付けられている。具体的には、
図5に示されるように、アンダカバー80の前側には、車両上側へ凹む取付凹部84が形成されている。取付凹部84は、フロントクロスメンバ44の車両下側に配置されている。この取付凹部84には、当該取付凹部84を厚み方向(車両上下方向)に貫通する貫通孔85が形成されている。
【0049】
フロントクロスメンバ44は、断面矩形の筒状に形成されている。また、フロントクロスメンバ44の下壁部44Lには、当該下壁部44Lを厚み方向(車両上下方向)に貫通する貫通孔45が形成されている。この貫通孔45及び取付凹部84の貫通孔85には、車両下側からクリップ70のクリップ本体部72が嵌め込まれている。クリップ70のフランジ部74は、取付凹部84の底面84Lに係合されている。このクリップ70によって、アンダカバー80の取付凹部84がフロントクロスメンバ44の下壁部44Lに連結(固定)されている。
【0050】
図2に示されるように、アンダカバー80の後端部80Rにおける車両幅方向の両側は、複数のクリップ70によって、非接触充電モジュール50の一対の前側ブラケット60に車両下側からそれぞれ取り付けられている。
【0051】
具体的には、
図6に示されるように、アンダカバー80の後端部80Rにおける車両幅方向の両側には、車両上側へ凹む取付凹部86が形成されている。この取付凹部86には、当該取付凹部86を厚み方向(車両上下方向)に貫通する貫通孔87が形成されている。
【0052】
前側ブラケット60の前部60Fには、車両下側へ突出するカバー連結部62が形成されている。カバー連結部62には、当該カバー連結部62を厚み方向(車両上下方向)に貫通する貫通孔63が形成されている。この貫通孔63及び取付凹部86の貫通孔87には、車両下側からクリップ70のクリップ本体部72が嵌め込まれている。クリップ70のフランジ部74は、取付凹部86の底面86Lに係合されている。このクリップ70によって、アンダカバー80の取付凹部86が前側ブラケット60のカバー連結部62に連結(固定)されている。
【0053】
また、クリップ70のフランジ部74は、取付凹部86内に収容されている。このフランジ部70Bの下面74Lは、アンダカバー80の後端部80Rの下面80Lと面一とされている。これにより、取付凹部86の下を流れる空気の抵抗が低減される。さらに、アンダカバー80の後端部80Rの下面80Lと、前側ブラケット60の後部60Rの下面60Lとは、面一とされている。これにより、アンダカバー80の後端部80R及び前側ブラケット60の後部60Rの境界部の下を流れる空気の抵抗が低減される。
【0054】
図2に示されるように、アンダカバー80の後端部80Rにおける車両幅方向の中央部は、クリップ70によって、非接触充電モジュール50のカバー用ブラケット64に車両下側から取り付けられている。
【0055】
具体的には、
図4に示されるように、アンダカバー80の後端部80Rにおける車両幅方向の中央部には、車両上側へ凹む取付凹部88が形成されている。取付凹部88は、カバー用ブラケット64の下面64Lに車両下側から重ねられている。この取付凹部88には、当該取付凹部88を厚み方向(車両上下方向)に貫通する貫通孔89が形成されている。
【0056】
取付凹部88の貫通孔89、及び前述したカバー用ブラケット64の貫通孔65には、車両下側からクリップ70のクリップ本体部72が嵌め込まれている。クリップ70のフランジ部74は、取付凹部88の底面88Lに係合されている。このクリップ70によって、取付凹部88がカバー用ブラケット64に連結(固定)されている。
【0057】
また、クリップ70のフランジ部74は、取付凹部88内に収容されている。このフランジ部70Bの下面74Lは、アンダカバー80の後端部80Rの下面80Lと面一とされている。これにより、取付凹部88の下を流れる空気の抵抗が低減される。さらに、アンダカバー80の後端部80Rの下面80Lは、非接触充電モジュール本体52(ケース54)の下面52Lと面一とされている。これにより、アンダカバー80の後端部80Rと非接触充電モジュール本体52との境界部の下を流れる空気の抵抗が低減される。
【0058】
なお、本実施形態における「面一」とは、2つの面が同一平面内に配置される場合に限らず、製造誤差等によって2つの面の間に僅かな段差が形成される場合も含む概念である。したがって、例えば、非接触充電モジュール本体52の下面52Lとアンダカバー80の下面80Lとが面一とは、2つの下面52L,80Lが同一平面内に配置される場合に限らず、製造誤差等によって2つの下面52L,80Lの間に僅かな段差が形成される場合も含む概念である。また、アンダカバー80の後端部80Rは、アンダカバー80における非接触充電モジュール50側の端部の一例である。
【0059】
(作用)
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0060】
図1に示されるように、本実施形態に係る車両下部構造30によれば、サスペンションメンバ40の後部40Rには、給電モジュール90から電力供給を受ける非接触充電モジュール50が取り付けられている。また、サスペンションメンバ40の前部40Fの車両下側には、アンダカバー80が設置されている。アンダカバー80の下面80Lは、平坦面とされている。このアンダカバー80によってサスペンションメンバ40の前部40Fを車両下側から覆うことにより、車両前部10Fの下を流れる空気の抵抗が低減される。したがって、車両10の走行に伴う電力消費量(電費)や燃料消費量(燃費)が低減される。
【0061】
また、アンダカバー80は、導電性を有している。具体的には、アンダカバー80の上面80Uは、導電性層82(
図4参照)によって被覆されている。これにより、パワーユニットルーム12に搭載された電動モータ20、PCU22、高電圧ユニット24等が発生する電磁波が、アンダカバー80によって遮蔽される。つまり、本実施形態に係るアンダカバー80は、電磁シールド機能を兼ね備えている。
【0062】
さらに、アンダカバー80は、非接触充電モジュール50と車両前後方向に隣り合って配置されている。より具体的には、アンダカバー80は、非接触充電モジュール本体52の車両前側に配置されている。これにより、給電モジュール90の送電コイル92から非接触充電モジュール本体52の受電コイル56に非接触で行われる電力供給が、アンダカバー80によって阻害されることが抑制される。
【0063】
このように本実施形態では、電磁シールド機能を備えるアンダカバー80によって、車両前部10Fの下の空気抵抗を低減しつつ、給電モジュール90から非接触充電モジュール50に非接触で電力を供給することができる。
【0064】
また、非接触充電モジュール50の非接触充電モジュール本体52の下面52Lは、平坦面とされている。この非接触充電モジュール本体52によって、サスペンションメンバ40の後部40Rを車両下側から覆うことにより、車両前部10Fの下を流れる空気の抵抗が低減される。したがって、車両10の走行に伴う電力消費量(電費)や燃料消費量(燃費)がさらに低減される。
【0065】
また、
図2に示されるように、アンダカバー80の前側は、複数のクリップ70によって、サスペンションメンバ40のフロントクロスメンバ44に車両下側から取り付けられている。さらに、アンダカバー80の後端部80Rは、複数のクリップ70によって、非接触充電モジュール50の一対の前側ブラケット60及びカバー用ブラケット64に車両下側からそれぞれ取り付けられている。
【0066】
これにより、サスペンションメンバ40から非接触充電モジュール50を取り外さずに、サスペンションメンバ40からアンダカバー80を取り外すことができる。したがって、アンダカバー80、及び車両前部10Fの下部のメンテナンス性が向上する。
【0067】
また、非接触充電モジュール本体52の前端部52Fには、上記のように、一対の前側ブラケット60及びカバー用ブラケット64が設けられている。これらの一対の前側ブラケット60及びカバー用ブラケット64にアンダカバー80の後端部80Rを連結することにより、非接触充電モジュール50に対するアンダカバー80の取付性が向上する。
【0068】
また、
図6に示されるように、クリップ70のフランジ部74は、アンダカバー80の後端部80Rの取付凹部86内に収容されている。このクリップ70のフランジ部74の下面74Lは、アンダカバー80の後端部80Rの下面80Lと面一とされている。これにより、アンダカバー80の後端部80Rの下を流れる空気の抵抗が低減される。
【0069】
さらに、アンダカバー80の後端部80Rの下面80Lと、前側ブラケット60の後部60Rの下面60Lとは面一とされている。これにより、アンダカバー80の後端部80Rと前側ブラケット60の後部60Rとの境界部の下を流れる空気の抵抗が低減される。
【0070】
また、
図4に示されるように、クリップ70のフランジ部74は、アンダカバー80の後端部80Rの取付凹部88内に収容されている。このクリップ70のフランジ部74の下面74Lは、アンダカバー80の後端部80Rの下面80Lと面一とされている。これにより、アンダカバー80の後端部80Rの下を流れる空気の抵抗が低減される。
【0071】
さらに、アンダカバー80の後端部80Rの下面80Lは、非接触充電モジュール本体52の前端部52Fの下面52Lと面一とされている。これにより、アンダカバー80の後端部80Rと非接触充電モジュール本体52の前端部52Fとの境界部の下を流れる空気の抵抗が低減される。
【0072】
また、本実施形態では、サスペンションメンバ40と非接触充電モジュール50との間にアンダカバー80が介在しないため、非接触充電モジュール50を所定の高さ(設置高さ)に精度良く設置することができる。これにより、給電モジュール90から非接触充電モジュール50に非接触で電力を供給する際に、給電モジュール90に対して非接触充電モジュール50を所定高さに配置することができる。したがって、給電モジュール90から非接触充電モジュール50に所定の効率で電力を供給することができる。
【0073】
なお、
図7に示されるように、非接触充電モジュール50が搭載されない車両では、例えば、アンダカバー80がサスペンションメンバ40の後部40Rの車両下側へ延長される。この場合、サスペンションメンバ40のリアクロスメンバ46に設けられた非接触充電モジュール本体52用の連結部46Aに、アンダカバー80の後端部80Rを取り付けることができる。
【0074】
(変形例)
次に、上記実施形態の変形例について説明する。
【0075】
上記実施形態では、カバー用ブラケット64が、非接触充電モジュール本体52の前端部52Fにおける車両幅方向の中央部に設けられている。しかしながら、カバー用ブラケット64の配置又は数は、適宜変更可能である。したがって、例えば、非接触充電モジュール本体52の前端部52Fにおける車両幅方向の一方側に、カバー用ブラケットが設けられても良い。
【0076】
また、上記実施形態では、アンダカバー80の各取付凹部84,86,88が、クリップ70によって、サスペンションメンバ40のフロントクロスメンバ44、一対の前側ブラケット60、及びカバー用ブラケット64にそれぞれ取り付けられている。しかしながら、アンダカバー80の各取付凹部84,86,88は、ボルト等によって、サスペンションメンバ40のフロントクロスメンバ44、一対の前側ブラケット60、及びカバー用ブラケット64に取り付けられても良い。
【0077】
また、上記実施形態では、アンダカバー80の後端部80Rが、非接触充電モジュール50に車両下側から取り付けられている。しかしながら、非接触充電モジュール50の前端部、すなわち非接触充電モジュール50におけるアンダカバー80側の端部は、アンダカバー80の後端部80Rに車両下側から取り付けられても良い。この場合、車両下部からアンダカバー80を取り外さずに、サスペンションメンバ40から非接触充電モジュール50を取り外すことができる。したがって、非接触充電モジュール50のメンテナンス性が向上する。
【0078】
また、上記の場合、サスペンションメンバ40と非接触充電モジュール50との間にアンダカバー80が介在する。そのため、サスペンションメンバ40と非接触充電モジュール50との間にアンダカバー80が介在しない場合と比較して、給電モジュール90から非接触充電モジュール50に非接触で電力を供給する際に、非接触充電モジュール50が給電モジュール90に接近する。したがって、給電モジュール90及び非接触充電モジュール50の非接触充電の感度が良好になる。
【0079】
また、上記実施形態では、アンダカバー80が、非接触充電モジュール50に取り付けられている。しかしながら、アンダカバー80と非接触充電モジュール50とは車両前後方向に隣り合って配置されていれば良く、アンダカバー80は、必ずしも非接触充電モジュール50に取り付ける必要はない。
【0080】
また、上記実施形態に係る車両下部構造30は、車両前部10Fに適用されている。しかしながら、上記実施形態に係る車両下部構造は、車両後部にも適用可能である。この場合、アンダカバーは、非接触充電モジュールの車両後側に配置される。そして、アンダカバーの前端部が非接触充電モジュールの後端部に車両下側から取り付けられ、又は非接触充電モジュールの後端部が、アンダカバーの前端部に車両下側から取り付けられる。
【0081】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に限定されるものでなく、一実施形態及び各種の変形例を適宜組み合わせて用いても良いし、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0082】
30 車両下部構造
40 サスペンションメンバ
50 非接触充電モジュール
52 非接触充電モジュール本体
52L 下面(非接触充電モジュール本体の下面)
64 カバー用ブラケット
80 アンダカバー
80R 後端部(アンダカバーにおける非接触充電モジュール側の端部)
80L 下面(アンダカバーの下面)
90 給電モジュール