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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】ガス給湯器
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/409 20060101AFI20221129BHJP
   F23N 5/00 20060101ALI20221129BHJP
【FI】
G01N27/409 100
F23N5/00 J
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019053772
(22)【出願日】2019-03-20
(65)【公開番号】P2020153874
(43)【公開日】2020-09-24
【審査請求日】2021-10-01
(73)【特許権者】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100125575
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 洋
(72)【発明者】
【氏名】松波 功浩
【審査官】黒田 浩一
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-042444(JP,A)
【文献】特開2012-229896(JP,A)
【文献】実開平04-129650(JP,U)
【文献】特開2000-019148(JP,A)
【文献】特開2013-231687(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/406-27/419
F24H 1/00-4/06
F23N 1/02-5/24
F24D 18/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼室で生成された燃焼ガスを当該燃焼室から排出する排気通路と、
前記排気通路に配設され、燃焼ガスの酸素濃度を検出する酸素センサと、
前記酸素センサにより検出された酸素濃度に基づいて、前記燃焼室における燃焼状態を制御する燃焼制御部と
を備え、
前記排気通路を通過する燃焼ガスと給湯用の水との熱交換によって温水を生成するガス給湯器であって、
前記排気通路とは別に設けられ、前記燃焼室において生成された燃焼ガスの一部を前記酸素センサへ供給することにより前記酸素センサのセンサ素子を昇温可能となるように構成された供給通路を備え、
前記供給通路は、前記排気通路を通じて前記燃焼室から前記酸素センサに到達するまでの間に低下する燃焼ガスの温度の低下量と比較して、前記供給通路を通じて前記燃焼室から前記酸素センサに供給されるまでの間に低下する燃焼ガスの温度の低下量の方が小さくなるように構成されており、
前記供給通路の通路長は、前記排気通路における前記燃焼室から前記酸素センサの配設箇所までの通路長よりも短くなっているガス給湯器。
【請求項2】
前記供給通路は、前記排気通路よりも高断熱となっている請求項1に記載のガス給湯器。
【請求項3】
燃焼室で生成された燃焼ガスを当該燃焼室から排出する排気通路と、
前記排気通路に配設され、燃焼ガスの酸素濃度を検出する酸素センサと、
前記酸素センサにより検出された酸素濃度に基づいて、前記燃焼室における燃焼状態を制御する燃焼制御部と
を備え、
前記排気通路を通過する燃焼ガスと給湯用の水との熱交換によって温水を生成するガス給湯器であって、
前記排気通路とは別に設けられ、前記燃焼室において生成された燃焼ガスの一部を前記酸素センサへ供給することにより前記酸素センサのセンサ素子を昇温可能となるように構成された供給通路を備え、
前記供給通路は、前記排気通路を通じて前記燃焼室から前記酸素センサに到達するまでの間に低下する燃焼ガスの温度の低下量と比較して、前記供給通路を通じて前記燃焼室から前記酸素センサに供給されるまでの間に低下する燃焼ガスの温度の低下量の方が小さくなるように構成されており、
前記供給通路は、前記排気通路よりも高断熱となっているガス給湯器
【請求項4】
前記供給通路は、少なくともその一部が前記排気通路を通過する燃焼ガスと給湯用の水との熱交換によって温水を生成する熱交換領域に位置するように配設されている請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載のガス給湯器。
【請求項5】
前記供給通路は、前記排気通路を通過する燃焼ガスと給湯用の水との熱交換によって温水を生成する熱交換領域外に配設されている請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載のガス給湯器。
【請求項6】
燃焼室で生成された燃焼ガスを当該燃焼室から排出する排気通路と、
前記排気通路に配設され、燃焼ガスの酸素濃度を検出する酸素センサと、
前記酸素センサにより検出された酸素濃度に基づいて、前記燃焼室における燃焼状態を制御する燃焼制御部と
を備え、
前記排気通路を通過する燃焼ガスと給湯用の水との熱交換によって温水を生成するガス給湯器であって、
前記排気通路とは別に設けられ、前記燃焼室において生成された燃焼ガスの一部を前記酸素センサへ供給することにより前記酸素センサのセンサ素子を昇温可能となるように構成された供給通路を備え、
前記供給通路は、前記排気通路を通じて前記燃焼室から前記酸素センサに到達するまでの間に低下する燃焼ガスの温度の低下量と比較して、前記供給通路を通じて前記燃焼室から前記酸素センサに供給されるまでの間に低下する燃焼ガスの温度の低下量の方が小さくなるように構成されており、
前記供給通路は、前記排気通路を通過する燃焼ガスと給湯用の水との熱交換によって温水を生成する熱交換領域外に配設されているガス給湯器。
【請求項7】
前記供給通路の流路面積は、前記排気通路の流路面積よりも小さくなっている請求項1乃至請求項のいずれか1つに記載のガス給湯器。
【請求項8】
前記供給通路に設けられ、当該供給通路における前記燃焼ガスの通過を許容する開状態と、当該燃焼ガスの通過を不可とする閉状態とに切替可能なバルブと、
前記バルブの開閉制御を行う制御部と
を備えている請求項1乃至請求項のいずれか1つに記載のガス給湯器。
【請求項9】
燃焼室で生成された燃焼ガスを当該燃焼室から排出する排気通路と、
前記排気通路に配設され、燃焼ガスの酸素濃度を検出する酸素センサと、
前記酸素センサにより検出された酸素濃度に基づいて、前記燃焼室における燃焼状態を制御する燃焼制御部と
を備え、
前記排気通路を通過する燃焼ガスと給湯用の水との熱交換によって温水を生成するガス給湯器であって、
前記排気通路とは別に設けられ、前記燃焼室において生成された燃焼ガスの一部を前記酸素センサへ供給することにより前記酸素センサのセンサ素子を昇温可能となるように構成された供給通路を備え、
前記供給通路は、前記排気通路を通じて前記燃焼室から前記酸素センサに到達するまでの間に低下する燃焼ガスの温度の低下量と比較して、前記供給通路を通じて前記燃焼室から前記酸素センサに供給されるまでの間に低下する燃焼ガスの温度の低下量の方が小さくなるように構成されており、
前記供給通路に設けられ、当該供給通路における前記燃焼ガスの通過を許容する開状態と、当該燃焼ガスの通過を不可とする閉状態とに切替可能なバルブと、
前記バルブの開閉制御を行う制御部と
を備えているガス給湯器。
【請求項10】
前記酸素センサには、前記センサ素子を加熱する電気式のヒータが設けられており、
前記制御部は、湯沸しが開始された場合に前記バルブを前記開状態且つ前記ヒータを非通電状態とし、湯沸しが開始された後に所定の切替条件が成立したことに基づいて前記バルブを前記閉状態且つ前記ヒータを通電状態に切り替える構成となっている請求項8又は請求項9に記載のガス給湯器。
【請求項11】
前記酸素センサには、前記センサ素子を加熱する電気式のヒータが設けられており、
湯沸しを開始する場合の前記センサ素子の温度を検出又は推定により取得する取得部を備え、
前記制御部は、湯沸しが開始された場合に前記取得部の取得結果に基づいて前記センサ素子の温度が所定の温度に達しているかを判定する判定部を有し、前記判定部により所定の温度に達していないと判定した場合に前記バルブを前記開状態且つ前記ヒータを非通電状態とし、前記所定の温度に達していると判定した場合にバルブを前記閉状態且つ前記ヒータを通電状態とする構成となっている請求項8又は請求項9に記載のガス給湯器。
【請求項12】
前記排気通路の途中位置に前記供給通路の出口が接続されている請求項1乃至請求項11のいずれか1つに記載のガス給湯器。
【請求項13】
前記排気通路のうち前記センサが配設されている箇所の周辺となる部分に前記供給通路の出口が接続されている請求項1乃至請求項12のいずれか1つに記載のガス給湯器。
【請求項14】
前記酸素センサは、前記センサ素子を前記排気通路側から覆うカバー部を有してなり、
前記カバー部には、燃焼ガスが通過可能な貫通孔が形成されており、
前記供給通路の出口は、前記カバー部の直下となる位置から外れた位置に配されている請求項13に記載のガス給湯器。
【請求項15】
前記供給通路の出口は、前記排気通路における燃焼ガスの流れ方向において前記酸素センサの上流側となる位置に配設されている請求項14に記載のガス給湯器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸素濃度を検出するセンサを備えたガス給湯器に関する。
【背景技術】
【0002】
ガス給湯器には、燃焼ガスの酸素濃度をA/Fセンサ等の酸素センサによって検出しその検出結果に基づいてガスの供給量等を調節することにより、燃焼の適正化が図られているものがある(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平1-98818号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した酸素センサは性能を正しく発揮させる上でセンサ素子を適切な温度(例えば750°C)とする必要がある。つまり、酸素センサの検出結果の確からしさを向上させて燃焼の適正化を好適に実現するには、センサ素子を昇温させる必要がある。
【0005】
ここで、ガス給湯器においては燃焼ガスの熱により酸素センサのセンサ素子が昇温し得る。但し、燃焼ガスと給湯管を通過する水や貯湯タンクに蓄えられた水等との間で熱交換が行われることで燃焼ガスが冷える点を考慮すると、酸素センサの配置によっては燃焼ガスによる昇温効果が上手く発揮されなくなると懸念される。言い換えれば、燃焼ガスによりセンサ素子を昇温させる上では、酸素センサの配置に係る制約が強くなると想定される。酸素センサによる検出については燃焼ガスにおける成分のむら等が少ない状態にて行われることが好ましいところ、当該酸素センサの配置に係る制約が強くなることは好ましくない。このように、燃焼ガスによりセンサ素子を昇温させる構成においては、酸素センサの配置自由度を向上させる上で、未だ改善の余地がある。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、酸素濃度を検出する酸素センサのセンサ素子を燃焼ガスにより昇温させる構成において酸素センサの配置自由度を向上させることができるガス給湯器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記課題を解決するための手段について記載する。
【0008】
第1の手段は、
燃焼室で生成された燃焼ガスを当該燃焼室から排出する排気通路と、
前記排気通路に配設され、燃焼ガスの酸素濃度を検出する酸素センサと、
前記酸素センサにより検出された酸素濃度に基づいて、前記燃焼室における燃焼状態を制御する燃焼制御部と
を備え、
前記排気通路を通過する燃焼ガスと給湯用の水との熱交換によって温水を生成するガス給湯器であって、
前記排気通路とは別に設けられ、前記燃焼室において生成された燃焼ガスの一部を前記酸素センサへ供給することにより前記酸素センサのセンサ素子を昇温可能となるように構成された供給通路を備え、
前記供給通路は、前記排気通路を通じて前記燃焼室から前記酸素センサに到達するまでの間に低下する燃焼ガスの温度の低下量と比較して、前記供給通路を通じて前記燃焼室から前記酸素センサに供給されるまでの間に低下する燃焼ガスの温度の低下量の方が小さくなるように構成されている。
【0009】
上記構成によれば、熱交換済みの燃焼ガスよりも高温となる燃焼ガスを供給通路を通じて酸素センサに供給することにより酸素センサ(センサ素子)を昇温させることができる。このようにして排気通路を通過する燃焼ガスへの依存を減らすことにより、例えば排気通路の下流部分(熱交換済みの燃焼ガスの通過位置)に酸素センサを配置したとしてもセンサ素子を昇温させることが可能となる。これにより、酸素センサの配置自由度を好適に向上させることができる。
【0010】
なお、燃焼ガスによる昇温効果を上手く発揮させることができるため、電気式のヒータ等の別の昇温手段を併用する場合であっても、当該昇温手段における電力消費を抑えつつ、酸素センサの配置自由度を好適に向上させることができる。
【0011】
第2の手段では、前記供給通路の通路長は、前記排気通路における前記燃焼室から前記酸素センサの配設箇所までの通路長よりも短くなっている。
【0012】
上記構成に示すように、供給通路の通路長(全長)を排気通路における燃焼室から酸素センサの配設箇所までの通路長よりも短くすることで、酸素センサの昇温に用いる燃焼ガスの温度低下を抑制できる。また、供給通路の全長が短くなることは、酸素センサへ燃焼ガスを速やかに供給して、昇温の応答性を向上させる上でも有利である。
【0013】
例えば、省スペース化を目的として熱交換領域(熱交換部)に供給通路を配設したとしても、供給通路を通過する燃焼ガスの温度低下量を排気通路を通過する燃焼ガスの温度低下量と比べて小さくすることができる。このような構成とすれば、熱交換用の領域を積極的に迂回させるようにして供給通路を配設させる必要がなくなり、ガス給湯器の大型化を好適に抑制できる。
【0014】
第3の手段では、前記供給通路は、前記排気通路よりも高断熱となっている。
【0015】
上記構成に示すように、供給通路は排気通路よりも高断熱となっているため、酸素センサの昇温に用いる燃焼ガスの温度低下を抑制できる。
【0016】
例えば、省スペース化を目的として熱交換領域(熱交換部)に供給通路を配設したとしても、供給通路を通過する燃焼ガスの温度低下量を排気通路を通過する燃焼ガスの温度低下量と比べて小さくすることができる。このような構成とすれば、熱交換領域を積極的に迂回させるようにして供給通路を配設させる必要がなくなり、ガス給湯器の大型化を好適に抑制できる。
【0017】
第4の手段では、前記供給通路は、少なくともその一部が前記排気通路を通過する燃焼ガスと給湯用の水との熱交換によって温水を生成する熱交換領域に位置するように配設されている。
【0018】
上記第2の手段又は第3の手段を前提とした上で熱交換領域に供給通路を配設すれば、供給通路を通過する燃焼ガスの温度低下量を排気通路を通過する燃焼ガスの温度低下量と比べて小さくすることができる。故に、熱交換領域を積極的に迂回させるようにして供給通路を配設させる必要がなくなり、ガス給湯器の大型化を好適に抑制できる。
【0019】
第5の手段では、前記供給通路は、前記排気通路を通過する燃焼ガスと給湯用の水との熱交換によって温水を生成する熱交換領域外に配設されている。
【0020】
上記構成によれば、給湯用の水との熱交換が行われない燃焼ガスを酸素センサに供給することで、酸素センサを好適に昇温できる。
【0021】
第6の手段では、前記供給通路の流路面積は、前記排気通路の流路面積よりも小さくなっている。
【0022】
上記構成によれば、供給通路を通過する燃焼ガスの流量が嵩むことを抑制し、熱交換用の排気通路について燃焼ガスの流量を確保できる。このような構成によれば、供給通路を用いた酸素センサの昇温機能が、給湯器における温水の生成効率の向上を図る上で妨げになることを抑制できる。
【0023】
第7の手段では、前記供給通路に設けられ、当該供給通路における前記燃焼ガスの通過を許容する開状態と当該燃焼ガスの通過を不可とする閉状態とに切替可能なバルブと、前記バルブの開閉制御を行う制御部とを備えている。
【0024】
上記構成によれば、供給通路に設けられたバルブを開閉させることにより、ガス給湯器の運転状況等に応じて酸素センサへの燃焼ガスの供給を行ったり、供給を停止させたりすることができる。これにより、供給通路を用いた酸素センサの昇温機能が給湯器における温水の生成効率の向上を図る上で妨げになることを抑制できる。
【0025】
第8の手段では、前記酸素センサには、前記センサ素子を加熱する電気式のヒータが設けられており、
前記制御部は、湯沸しが開始された場合に前記バルブを前記開状態且つ前記ヒータを非通電状態とし、湯沸しが開始された後に所定の切替条件が成立したことに基づいて前記バルブを前記閉状態且つ前記ヒータを通電状態に切り替える構成となっている。
【0026】
電気式のヒータは低温時に大きな電力が必要となる。このような大電力を想定して電源の容量を設定しようとすれば、電源部のサイズが大きくなる。これは、例えば給湯器の電気的構成の小型化を促進する上で好ましくない。また、供給通路を通じた燃焼ガスの供給を常時行う構成は温水の生成効率を向上させる上で不利になり得る。第8の手段では、湯沸し開始時は燃焼ガスによる加熱を行い、所定の切替条件が成立した場合にはバルブを閉じる構成とすることで、それらの不都合を好適に払拭できる。
【0027】
なお、例えば酸素センサの温度が基準温度以上になった場合に上記「所定の切替条件」成立として熱源の切り替えを行う構成としてもよいし、湯沸し開始(ガス給湯器の運転開始)から基準時間を経過した場合に「所定の切替条件」として熱源の切り替えを行う構成としてもよい。
【0028】
第9の手段では、前記酸素センサには、前記センサ素子を加熱する電気式のヒータが設けられており、
湯沸しを開始する場合の前記センサ素子の温度を検出又は推定により取得する取得部を備え、
前記制御部は、湯沸しが開始された場合に前記取得部の取得結果に基づいて前記センサ素子の温度が所定の温度に達しているかを判定する判定部を有し、前記判定部により所定の温度に達していないと判定した場合に前記バルブを前記開状態且つ前記ヒータを非通電状態とし、前記所定の温度に達していると判定した場合にバルブを前記閉状態且つ前記ヒータを通電状態とする構成となっている。
【0029】
上記構成によれば、湯沸し開始時にセンサ素子の温度が所定の温度に達しているかを判定し、所定の温度に達していない場合にはバルブを開状態且つヒータを非通電状態として供給通路を通じた燃焼ガスによる加熱を行い、所定の温度に達している場合にはバルブを閉状態且つヒータを通電状態として電気による加熱を行うことにより、給湯器の電気的構成の小型化と、温水の生成効率を向上とを好適に実現できる。
【0030】
第10の手段によれば、前記排気通路の途中位置に前記供給通路の出口が接続されている。
【0031】
上述の如く供給通路から流出した燃焼ガスは排気通路を通過する構成とすれば、供給通路からの燃焼ガスを酸素センサの昇温後は、熱交換の対象とすることができる。このように、酸素センサ昇温用の比較的高温の燃焼ガスについても熱交換の対象に含めることにより、供給通路を用いた昇温機能に起因する温水の生成効率の低下を好適に抑制できる。
【0032】
第11の手段によれば、前記排気通路のうち前記センサが配設されている箇所の周辺となる部分に前記供給通路の出口が接続されている。
【0033】
上記構成によれば、供給通路がら流出した熱い燃焼ガスが排気通路を通過する冷えた燃焼ガスに混ざることを抑制できる。故に、酸素センサを効率よく昇温させることができる。
【0034】
第12の手段によれば、前記酸素センサは、前記センサ素子を前記排気通路側から覆うカバー部を有してなり、前記カバー部には、燃焼ガスが通過可能な貫通孔が形成されており、前記供給通路の出口は、前記カバー部の直下となる位置から外れた位置に配されている。
【0035】
上記構成によれば、酸素センサから落ちた水滴が供給通路の出口に入り、当該水滴が供給通路から吹き出される燃焼ガスにより酸素センサ側に飛ばされることを回避できる。これは、当該水滴がカバー部の貫通孔を通過してセンサ素子に付着することを抑制する上で好ましい。
【0036】
第13の手段によれば、前記供給通路の出口は、前記排気通路における燃焼ガスの流れ方向において前記酸素センサの上流側となる位置に配設されている。
【0037】
第13の手段によれば、供給通路から放出された燃焼ガスは排気通路を流れる燃焼ガスとともに酸素センサ側へ移動することとなる。このようにして供給通路から放出された燃焼ガスが排気通路内の流れを妨げない構成とすれば、供給通路から排気通路に放出される燃焼ガスの流速を速くする必要がなくなる。放出される際の流速を抑えることは、供給通路を通過する燃焼ガスの量を少なくして温水の生成効率の低下を抑制する上で有利である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】ガス給湯器の概略図。
図2】熱交換部の概略図。
図3】A/Fセンサ及びその周辺を示す図2の部分拡大図。
図4】制御部にて実行される昇温用バルブ開閉処理を示すフローチャート。
図5】昇温の様子を示す概略図。
図6】消費電力の違いを示す概略図。
図7】供給管の変形例を示す概略図。
図8】供給管の変形例を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態は、貯湯式のガス給湯器として具現化している。
【0040】
図1に示すように、ガス給湯器10には湯を蓄える貯湯タンク21が設けられている。貯湯タンク21には当該貯湯タンク21の内部を上下に仕切る仕切り部27が設けられており、この仕切り部27よりも下側が燃焼室25、上側が貯湯室26となるように構成されている。貯湯室26の下部には、給水管22が接続されており、この給水管22を通じて水道から水が供給される。貯湯室26の上部には風呂等の蛇口と当該貯湯室26とを繋ぐ給湯管23が接続されており、この給湯管23を通じて湯が供給される。
【0041】
燃焼室25には吸気管31が接続されており、この吸気管31には送風機32が配設されている。送風機32は制御部71による駆動制御の対象となっており、当該制御部71からの駆動信号に基づいて動作する。送風機32が動作することで外部の空気が吸気管31を通じて燃焼室25に供給される。吸気管31の途中位置にはガス供給管33のノズル34が接続されている。ガス供給管33には制御弁35が設けられており、この制御弁35が制御部71によって駆動制御されることで吸気管31へのガスの供給量が調整される構成となっている。
【0042】
燃焼室25には、吸気管31を通じて燃焼室25に供給されたガスと空気との混合気体である燃焼用空気を燃焼させるバーナ36と点火プラグ37とが設けられている。燃焼室25にて生成された燃焼ガスは、燃焼室25に接続された排気管41(「排気通路」に相当)を通じて燃焼室25から排出される。排気管41は、貯湯室26内を通過するようにして配設されており、当該貯湯室26内に蓄えらえた水と接触している。燃焼ガスが排気管41を通じて排出される過程で、当該排気管41を介して燃焼ガスと水との間で熱交換が行われる。この熱交換によって貯湯タンク21内の水が温められ、湯が生成される構成となっている。本実施形態では、貯湯室26が「熱交換領域」に相当する。
【0043】
図2に示すように、排気管41は複数回折り返されており、貯湯室26内を左右に蛇行している。これは、排気管41の通路長(入口42から出口43までの長さ)を稼ぎつつ、当該排気管41を通過する燃焼ガスの移動速度を抑える工夫である。なお、図2においては排気管41が左右に蛇行している場合について例示しているが、排気管41を通過する燃焼ガスの通過時間(熱交換の時間)を稼ぐことができるのであれば、具体的な形状については任意である。例えば、上下に蛇行させたり、螺旋状としたりすることも可能である。
【0044】
排気管41は貯湯タンク21の天井部から上方に突出しており、この突出部分に排気管41の出口43が形成されている。排気管41において貯湯室26内に位置し且つ出口43寄りとなる部分には、排気管41を通過する燃焼ガスの酸素濃度を検出するA/Fセンサ61(「酸素センサ」に相当)が配設されている。A/Fセンサ61は制御部71に接続されており、制御部71ではこのA/Fセンサ61からの検出情報に基づいてガスの噴射量等を制御する。これにより、燃焼効率の向上が図られている。A/Fセンサ61を用いて燃焼効率の向上を図る上では、A/Fセンサ61を燃焼室25から遠ざけて配置し、燃焼ガスにおける成分のむら等が少ない状態にて検出を行うことに技術的意義がある。
【0045】
ここで、図3を参照して、A/Fセンサ61の構造について説明する。A/Fセンサ61は、センサ素子63と当該センサ素子63を収容するハウジング62とを有してなり、ハウジング62が排気管41の内部に突出するようにして当該排気管41に固定されている。ハウジング62には複数の貫通孔が形成されており、それら貫通孔を通じてハウジング62内に流入した燃焼ガスをセンサ素子63へ案内する案内部65が設けられている。
【0046】
A/Fセンサ61の検出性能を正しく発揮させる上ではセンサ素子63を適切な温度(例えば750°C)とする必要がある。つまり、A/Fセンサ61の検出結果の確からしさを向上させて燃焼の適正化を図るには、センサ素子63を上記適切な温度まで昇温させる必要がある。このような事情に配慮して、A/Fセンサ61にはセンサ素子63を昇温させるための電気ヒータ64が設けられている。電気ヒータ64はセンサ素子63に接触しており、電気ヒータ64の温度が高くなることでセンサ素子63が昇温される。電気ヒータ64についても上記制御部71に接続されており、制御部71によって通電状態/非通電状態の切り替えが実行される。これにより、センサ素子63を昇温させたり適正な温度に維持したりすることが可能となっている。因みに、電気ヒータ64とセンサ素子63とは中間層を介して接触しており、センサ素子63の温度が上がると、それに追従して電気ヒータ64の温度も上がる。
【0047】
但し、電気ヒータ64はその特性上、低温時に大きな電力が必要となる。このような大電力を想定して電源の容量を設定しようとすれば、電源部のサイズが大きくなる。これは、例えばガス給湯器の電気的構成の小型化を促進する上で好ましくない。一方で、排気管41を通過する燃焼ガスによってセンサ素子63が昇温し得るものの、熱交換済みの燃焼ガスでは十分な昇温は期待できない。本実施形態では、このような各種不都合を解消する工夫がなされていることを特徴の1つとしている。以下、図2及び図3を参照して当該工夫について説明する。
【0048】
図2に示すように、ガス給湯器10には、上記排気管41とは別に、燃焼室25にて生成された燃焼ガスをA/Fセンサ61に供給する供給管51(「供給通路」に相当)が設けられている。供給管51の入口52は排気管41の入口42同様に仕切り部27に設けられており、当該入口52から縦方向に延びている。供給管51の出口53は排気管41におけるA/Fセンサ61の近辺となる位置に接続されている。具体的には、出口53は、排気管41の流路においてA/Fセンサ61の下流側且つ下側となる位置に配されており、その延長上にA/Fセンサ61の先端部分が位置している(図3参照)。
【0049】
供給管51の出口53から排気管41内へ吹き出された燃焼ガスは、当該排気管41内を縦断するようにしてA/Fセンサ61に向かい、上記案内部65を通じてセンサ素子63に供給されることとなる。
【0050】
なお、本実施形態に示すガス給湯器10においては、排気管41を通じた空気の取り入れを行う場合があり(所謂パージ)、この際、A/Fセンサ61に水分が付着する可能性がある。本実施形態においては、出口53はA/Fセンサ61の直下から外れた位置に配設されているため、仮に上記水分が水滴となって落下したとしても、当該水滴が出口53に付着することはない。これにより、水滴によって出口53が塞がれたり、当該水滴が燃焼ガスの吹出し時にA/Fセンサ61へ飛んだりすることを抑制できる。
【0051】
供給管51は排気管41よりも断熱性が高くなっている。言い換えれば、供給管51は排気管41よりも熱伝導率(熱交換率)が低くなっている。つまり、排気管41については貯湯室26内の水との熱交換を促す構成となっていたのに対して、供給管51については貯湯室26内の水との熱交換を妨げる構成となっている。これにより、供給する燃焼ガスが貯湯室26を通過する過程で冷えることを抑制している。
【0052】
また、供給管51については、排気管41における入口42からA/Fセンサ61までの通路長よりも全長が短くなるように構成されている。これにより、当該供給管51内を通過する燃焼ガスを速やかにA/Fセンサ61へ届けることが可能となっている。特に、供給管51については入口52を含む大部分が上方に延びるストレート構造となっており、排気管41のような折り返しが設けられていない。これにより、入口52を通じて供給管51内に流入する燃焼ガスの流れを一層スムーズなものとしている。
【0053】
これらの工夫によって、排気管41を通じて燃焼室25からA/Fセンサ61に到達するまでの間に低下する燃焼ガスの温度の低下量と比較して、供給管51を通じて燃焼室25からA/Fセンサ61に供給されるまでの間に低下する燃焼ガスの温度の低下量の方が小さくなっている。つまり、供給管51を通じてA/Fセンサ61に供給される燃焼ガスの温度は、排気管41を通じてA/Fセンサ61の配設位置に到達した燃焼ガスの温度よりも高くなるように差別化されている。特に、貯湯室26内が水の温度が低い状況下、すなわちガス給湯器10による湯の生成が開始された直後では、上述した差は顕著になる。
【0054】
なお、供給管51の内径は排気管41の内径よりも小さくなっており、供給管51側へ過度に多くの燃焼ガスが流入して、湯の生成効率が低下することが抑制されている。
【0055】
供給管51(詳しくは入口52付近)にはバルブ55が配設されている。バルブ55は、供給管51への燃焼ガスの流入を許容する開状態と不可とする閉状態とに切替可能となっている。バルブ55は制御部71に接続されており、制御部71によってバルブ55の駆動制御処理(昇温用バルブ開閉制御処理)が実行される。この処理は、制御部71にて定期処理の一環として実行される処理である。以下、図4を参照し、昇温用バルブ開閉制御処理について説明する。
【0056】
昇温用バルブ開閉制御処理においては先ず、ステップS101にて昇温用のバルブ55が開状態となっているか否かを判定する。開状態となっている場合にはステップS101にて肯定判定をしてステップS102に進む。ステップS102では湯沸しの開始タイミングであるか否かを判定する。ステップS102にて否定判定をした場合には、そのまま本開閉制御処理を終了する。ステップS102にて肯定判定をした場合にはステップS103に進む。
【0057】
ステップS103ではA/Fセンサ61に付属の温度センサ68(図3参照)からの検知情報に基づいてA/Fセンサ61(詳しくはセンサ素子63)の温度が基準温度よりも低いか否かを判定する。本実施形態では、A/Fセンサの検出性能を正しく発揮させる上では適切な温度である750°Cが基準温度として設定されている。ステップS103にて肯定判定をした場合にはステップS104に進み、バルブ55を開状態に切り替えた後、本開閉制御処理を終了する。この切替処理を実行することにより、燃焼室25にて生成された燃焼ガスが供給管51を通じてA/Fセンサ61に供給され、当該燃焼ガスによってA/Fセンサ61が昇温されることとなる(図5(a)参照)。なお、供給管51を利用した燃焼ガスによる昇温が行われている間は、電気ヒータ64による昇温は行われない。
【0058】
ステップS101の説明に戻り、バルブ55が開状態となっている場合には、当該ステップS101にて肯定判定をしてステップS105に進む。ステップS105では、A/Fセンサ61(詳しくはセンサ素子63)の温度が上記基準温度に達しているか否かを判定する。基準温度に達していない場合にはステップS105に否定判定をして、そのまま本開閉制御処理を終了する。基準温度に達している場合にはステップS106に進み、昇温用のバルブ55を閉状態に切り替える。これにより、供給管51を利用した燃焼ガスによる昇温が終了することとなる(図5(b)参照)。なお、湯沸しが終了する場合にもバルブ55が閉状態に切り替えられることとなる。
【0059】
続くステップS107では電気ヒータ64を用いた昇温モードへと移行する。つまり、基準温度への到達後は、電気ヒータ64によって温度維持が図られることとなる。ここで、一気に大量の湯が使用される等して短いスパンで湯沸しが繰り返される場合には、湯沸しを開始したタイミングであってもA/Fセンサ61の温度が基準温度に達している可能性がある。このような場合には、上記ステップS103にて否定判定をして、ステップS107の処理を実行することで、供給管51を利用した燃焼ガスによる昇温を行うことなく、電気ヒータ64を用いた昇温モードへ移行する。
【0060】
以上詳述した実施形態によれば、以下の優れた効果を奏する。
【0061】
熱交換済みの燃焼ガスよりも高温となる燃焼ガスを供給管51を通じてA/Fセンサ61サに供給することによりセンサ素子63を昇温させることができる。このように、センサ素子63の昇温に関して排気管41を通過する燃焼ガスへの依存を減らすことにより、例えば排気管41の下流部分(熱交換済みの燃焼ガスの通過位置)にA/Fセンサ61を配置したとしてもセンサ素子63を十分に昇温させることが可能となっている。
【0062】
燃焼ガスによる昇温効果を上手く発揮させることにより、電気ヒータ64による電力消費を抑えることが可能である。具体的には、図6(a)の比較例に示すように、電気ヒータ64が低温である場合には当該電気ヒータ64における電気抵抗が小さく大きな電流(例えば10A)が流れる。特に、寒冷地においてはその傾向が顕著となる。大きな電流が流れる場合には消費電力が大きくなり、そのような大きな電力に対応しようとすれば電源部(AC-DCコンバータ)も大型化することとなる。ここで、A/Fセンサ61が基準温度まで温まった後は、温度を上げるのではなく温度を維持すれば足りることとなる。そして、この時点ではセンサ素子63に接触した状態で配置されている電気ヒータ64についても温度が高くなり、当該電気ヒータ64における電気抵抗が大きくなる。この結果、電気ヒータ64において消費される電力は大幅に低下する。本実施形態では、図6(b)に示すように、基準温度に到達することで電気ヒータ64による昇温モードへ移行するため、消費電力が過度に大きくなる部分を考慮する必要がなくない。これにより、電源部の大型化を抑制している。
【0063】
なお、基準温度に到達した後に昇温のモードを電気ヒータ64を用いた昇温モードに切り替えることには、センサ素子63の温度管理の安定性を高めることができるという技術的意義がある。
【0064】
供給管51の通路長(全長)を排気管41における燃焼室25からA/Fセンサ61までの通路長よりも短くすることで、A/Fセンサ61の昇温に用いる燃焼ガスの温度低下を抑制できる。また、供給管51の全長が短くなることは、A/Fセンサ61へ燃焼ガスを速やかに供給して、昇温の応答性を向上させる上でも有利である。
【0065】
本実施形態に示す供給管51については排気管41よりも断熱性が高くなっている。このため、省スペース化を目的として熱交換領域である貯湯室26に供給管51を配設したとしても、供給管51を通過する燃焼ガスの温度低下量を排気管41を通過する燃焼ガスの温度低下量と比べて小さくすることができる。故に、貯湯室26を積極的に迂回させるようにして供給管51を配設させる必要がなくなり、ガス給湯器の大型化を好適に抑制できる。
【0066】
供給管51に設けられたバルブ55を開閉させることにより、ガス給湯器10の運転状況等に応じてA/Fセンサ61への燃焼ガスの供給を行ったり、供給を停止させたりすることができる。このように限られた条件下において供給管51を利用する構成とすれば、供給管51を用いたA/Fセンサ61の昇温機能がガス給湯器10における温水の生成効率の向上を図る上で妨げになることを抑制できる。
【0067】
供給管51から流出した燃焼ガスは排気管41を通過する構成とすれば、供給管51からの燃焼ガスをA/Fセンサ61の昇温後は熱交換の対象とすることができる。このように、A/Fセンサ61昇温用の比較的高温の燃焼ガスについても熱交換の対象に含めることにより、供給管51を用いた昇温機能に起因する温水の生成効率の低下を好適に抑制できる。
【0068】
供給管51の出口53(吹出し口)は、排気管41のうちA/Fセンサ61が配設されている箇所の近辺となる部分に接続されている。このような構成によれば、供給管51がら流出した熱い燃焼ガスが排気管41を通過する冷えた燃焼ガスに混ざることを抑制できる。故に、A/Fセンサ61を効率よく昇温させることができる。
【0069】
<他の実施形態>
・上記実施形態では、供給管51を通過する燃焼ガスの熱交換率が排気管41を通過する燃焼ガスの熱交換率よりも低くなるように、以下の3つ構成をガス給湯器に適用した。すなわち、(1)供給管51の全長を排気管41の入口42からA/Fセンサ61までの通路長よりも短くし、(2)供給管51の熱伝導率を排気管41の熱伝導率よりも低くし(断熱性を高くし)、(3)供給管51を主として縦向き且つ排気管41を主として横向きとして供給管51の流速を排気管41の流速よりも大きくなるようした。供給管51を通過する燃焼ガスの熱交換率が排気管41を通過する燃焼ガスの熱交換率よりも低くすることができるのであれば、これら3つの構成を全て適用する必要は必ずしもない。
【0070】
・上記実施形態では、供給管51全体が貯湯室26(「熱交換領域」に相当)を通過する構成としたが、これに限定されるものではない。貯湯室26を通過する際の温度低下を抑制する上では、図7に示すように、供給管51Aの少なくとも一部が貯湯室26(貯湯タンク21)外を通過するようにして当該供給管51Aを配設することも可能である。
【0071】
・上記実施形態では、電気ヒータ64による昇温モードと燃焼ガスによる昇温モードとを切り替える構成としたが、これに限定されるものではない。電気ヒータ64を省略し、供給管51による昇温を常時行う構成とすることも可能である。この場合、A/Fセンサ61の温度が基準温度まで達した後は、供給管51から供給する必要がある燃焼ガスの量が少なくなると想定される。そこで、基準温度到達後はバルブ55の絞り量を調整することにより供給管51を通過する(流入する)燃焼ガスの流量を減らす構成とするとよい。
【0072】
・上記実施形態では、供給管51の出口53を排気管41の流路方向においてA/Fセンサ61よりも下流側となる位置に配設したが、供給管51の出口53を排気管41の流路方向においてA/Fセンサ61よりも上流側となる位置に配設することも可能である。例えば、図8に示すように、供給管51Bの出口53BをA/Fセンサ61の側方に配設して、当該出口53Bから吹き出されて燃焼ガスが排気管41の中央部分を縦断することなくA/Fセンサ61に吹き付けられる構成とするとよい。このような構成とすれば、排気管41内を流れる燃焼ガスの流れに乗じて昇温用の燃焼ガスをA/Fセンサ61に届けることが可能となる。これにより、出口53Bを通過する燃焼ガスの流速が低くなってもA/Fセンサ61に当該燃焼ガスを到達させることができるため、昇温用の燃焼ガスの量を減らすことが可能となる。これは、ガス給湯器10における湯の生成効率を向上させる上で好ましい。
【0073】
・上記実施形態では、供給管51の出口53を排気管41に接続し、昇温用の燃焼ガスを排気管41内の流路を通過してA/Fセンサ61に供給する構成としたが、A/Fセンサ61を昇温させることができるのであれば、供給管51の出口53の位置については任意である。例えば排気管41内の流路を通過しないようにしてA/Fセンサ61に供給する構成とすることも可能である。
【0074】
・上記実施形態では、供給管51を内径を排気管41の内径よりも小くしたが、これに限定されるものではない。供給管51の内径を排気管41の内径と同一としてもよいし、排気管41の内径よりも大きくしてもよい。
【0075】
・上記実施形態では、基準温度を750°Cとしたが、基準温度を750°よりも低くしてもよい(例えば740°C)し、基準温度を750°Cよりも高くしてもよい(例えば760°C)。また、基準温度については固定とするのではなく、燃焼ガスの温度に応じて変更可能な構成としてもよい。例えば使用環境や燃料の種類等によって燃焼ガスの温度が750°Cを超えることなく500°C程度を推移する場合には、基準温度を750°C→500°Cに変更するとよい。
【0076】
・上記実施形態では、A/Fセンサ61の温度が基準温度以上になった場合に昇温用の熱源の切り替えを行う構成としたが、湯沸し開始(ガス給湯器10の運転開始)から基準時間を経過した場合に昇温用の熱源の切り替えを行う構成としてもよい。この基準時間については、昇温を開始してからA/Fセンサ61の温度が基準温度に到達するのに要する所要時間に基づいて決定されることが望ましい。例えば、貯湯室26の湯温及び湯量の実測値とユーザにより設定される目標湯温及び目標湯量の設定値との関係に応じて所要時間を予めマップ化しておき、湯沸し開始時の状況に応じてそれら所要時間の中から何れかを選択する構成とするとよい。
【0077】
・上記実施形態では、「酸素センサ」としてA/Fセンサ61を用いる場合について例示したが、A/Fセンサ61に代えてO2濃度センサを用いてもよい。O2濃度センサについては600°C程度に昇温させることでその性能が正しく発揮される。そこで、O2濃度センサを用いる場合には、基準温度を600°C程度に設定することが好ましい。
【0078】
・上記実施形態では、湯沸し開始時に供給管51を通過する燃焼ガスによるA/Fセンサ61の昇温を行う構成としたが、これに限定されるものではない。例えば、ガス給湯器10が起動(初期起動)する場合に燃焼ガスによるA/Fセンサ61の昇温を行う構成とすることも可能である。
【0079】
・排気管41を通過する燃焼ガスの熱を水の予熱(予備加熱)に用いる構成としてもよい。
【0080】
・供給管51を用いたA/Fセンサ61の昇温構造の適用対象は貯湯タイプのガス給湯器に限定されるものではない。同様の構成を瞬間湯沸かしタイプのガス給湯器に適用することも可能である。
【0081】
・上記実施形態では、温度センサ68によってA/Fセンサ61の温度を測定する構成としたが、A/Fセンサを構成する抵抗の抵抗値から温度を推定する構成とすることも可能である。
【符号の説明】
【0082】
10…ガス給湯器、25…燃焼室、26…貯湯室(熱交換領域)、41…排気管(排気通路)、51…供給管(供給通路)、53…吹出口(出口)、55…制御弁(バルブ)、61…A/Fセンサ(酸素センサ)、62…ハウジング(カバー部)、63…センサ素子、64…電気ヒータ(ヒータ)、68…温度センサ(取得部)、71…制御部(燃焼制御部)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8