(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】主装置および代理応答先の呼び出し方法
(51)【国際特許分類】
H04Q 3/58 20060101AFI20221129BHJP
H04M 3/42 20060101ALI20221129BHJP
H04M 3/50 20060101ALI20221129BHJP
H04M 3/54 20060101ALI20221129BHJP
【FI】
H04Q3/58 106
H04M3/42 P
H04M3/50 A
H04M3/54
(21)【出願番号】P 2019053847
(22)【出願日】2019-03-20
【審査請求日】2021-09-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000134707
【氏名又は名称】株式会社ナカヨ
(74)【代理人】
【識別番号】100104570
【氏名又は名称】大関 光弘
(72)【発明者】
【氏名】城田 翔平
(72)【発明者】
【氏名】田中 佑季
(72)【発明者】
【氏名】星野 敦史
【審査官】田畑 利幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-244321(JP,A)
【文献】特開2005-109782(JP,A)
【文献】特開2016-127309(JP,A)
【文献】特開2018-101941(JP,A)
【文献】特開2012-099922(JP,A)
【文献】米国特許第09838538(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M 3/38- 3/58
H04Q 3/58- 3/62
G10L 15/00-17/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の内線電話端末を収容する主装置であって、
前記内線電話端末毎に、当該内線電話端末が割り当てられたユーザのユーザ名、所属情報を含むユーザ情報を記憶するユーザ情報記憶手段と、
着信した呼に自動応答して、当該呼の発信元に取次先の音声入力を促す音声ガイダンスを送出し、当該発信元から音声データを受信する取次先指定音声取得手段と、
前記ユーザ情報記憶手段を参照して、前記取次先指定音声取得手段により取得された前記音声データから認識される前記取次先に割り当てられた前記内線電話端末を特定し呼び出す取次先呼び出し手段と、
前記取次先呼び出し手段による呼び出しに対して所定時間内に応答がない場合、前記ユーザ情報記憶手段を参照して、前記取次先と同じ所属のユーザを代理応答先に選出する代理応答先選出手段と、
前記取次先指定音声取得手段により取得された前記音声データの特徴値から前記発信元の状態を推定する発信元状態推定手段と、
前記発信元状態推定手段により推定された前記発信元の状態に応じた呼び出し方式により、前記代理応答先選出手段により選出された前記代理応答先に割り当てられた前記内線電話端末を呼び出す代理応答先呼び出し手段と、を備える
ことを特徴とする主装置。
【請求項2】
請求項1に記載の主装置であって、
前記代理応答先呼び出し手段は、
前記発信元状態推定手段により推定された前記発信元の状態が応答に緊急を要する状態であるならば、前記代理応答先選出手段により選出されたすべての前記代理応答先に割り当てられた前記内線電話端末を一斉に呼び出し、応答に緊急を要する状態でないならば、前記代理応答先選出手段により選出されたすべての前記代理応答先に割り当てられた前記内線電話端末を順番に呼び出す
ことを特徴とする主装置。
【請求項3】
請求項2に記載の主装置であって、
前記ユーザ情報は、ユーザの座席の位置情報を含み、
前記代理応答先呼び出し手段は、
前記発信元状態推定手段により推定された前記発信元の状態が応答に緊急を要する状態でない場合、前記ユーザ情報記憶手段を参照して、前記代理応答先選出手段により選出されたすべての前記代理応答先に割り当てられた前記内線電話端末を、座席位置が前記取次先の座席位置に近い順番に呼び出す
ことを特徴とする主装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか一項に記載の主装置であって、
前記代理応答先呼び出し手段は、
前記発信元状態推定手段により推定された前記発信元の状態が応答に緊急を要する状態である場合、前記ユーザ情報記憶手段を参照し、前記代理応答先選出手段により選出されたすべての前記代理応答先のうち、前記ユーザ情報に携帯番号が含まれている前記代理応答先に対しては、当該代理応答先に割り当てられた前記内線電話端末に代えて、当該携帯番号により特定される携帯電話端末を呼び出す
ことを特徴とする主装置。
【請求項5】
複数の内線電話端末を収容する主装置による代理応答先の呼び出し方法であって、
前記主装置は、
着信した呼に自動応答し、当該呼の発信元に取次先の音声入力を促す音声ガイダンスを送出して、当該発信元から音声データを受信し、
前記内線電話端末毎に記憶された、当該内線電話端末が割り当てられたユーザのユーザ名、所属情報を含むユーザ情報を参照して、前記発信元から取得した前記音声データから認識される前記取次先に割り当てられた前記内線電話端末を特定して呼び出し、
当該呼び出しに対して前記取次先に割り当てられた前記内線電話端末から所定時間内に応答がない場合に、前記内線電話端末毎に記憶された前記ユーザ情報を参照して、前記取次先と同じ所属の他のユーザを代理応答先に選出するとともに、前記発信元から取得した前記音声データの特徴値から前記発信元の状態を推定し、
当該推定した前記発信元の状態に応じた呼び出し方式により、当該選出した前記代理応答先に割り当てられた前記内線電話端末を呼び出す
ことを特徴とする代理応答先の呼び出し方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主装置に関し、特に、主装置による代理応答先の呼び出し技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電話の対応者が容易に取次先を取得して転送することでき、かつ代理応答も柔軟に判断することが可能な取次支援システムが開示されている。この取次支援システムにおいて、外線から着信した呼に応答した電話機は、発信元から受け付けた音声データに音声認識処理を実施して呼の取次先を特定する。そして、過去の転送履歴情報から取次先への呼に代理応答したことのあるユーザを抽出し、抽出したユーザ各々が代理応答先として掲載された転送先リストと、この転送先リストに掲載された各代理応答先の座席状況と、を表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の取次支援システムでは、過去に取次先への呼に代理応答したことのあるユーザのみが代理応答先として転送先リストに掲載され、取次先が応答しなかった呼の発信元の状態(緊急度)については、何ら考慮していない。また、発信元の用件に適した代理応答先が存在しても、この代理応答先が過去に取次先への呼に代理応答したことがなければ、転送先リストに掲載されない。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、取次先が応答しなかった呼の発信元をより満足させることができるように代理応答先を呼び出すことにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明において、複数の内線電話端末を収容する主装置は、内線電話端末毎に、この内線電話端末が割り当てられたユーザのユーザ名、所属情報を含むユーザ情報を記憶している。また、主装置は、着信した呼に自動応答して、発信元に取次先の音声入力を促し、発信元から音声データを受信すると、記憶しているユーザ情報を参照して、この音声データから認識される取次先の内線電話端末を特定し、特定した取次先の内線電話端末を呼び出す。そして、所定時間内に取次先の内線電話端末から応答がない場合、記憶しているユーザ情報を参照して、取次先と同じ所属の他のユーザを代理応答先に選出するとともに、音声データから発信元の状態(緊急度)を推定し、状態に応じた呼び出し方式により代理応答先の内線電話端末を呼び出す。例えば、応答に緊急を要する状態であるならば、選出したすべての代理応答先の内線電話端末を一斉に呼び出して、少しでも早く代理応答できるようにする。また、応答に緊急を要する状態でないならば、選出した代理応答先の内線電話端末を順番に呼び出して、代理応答先の不要な呼び出しを減らす。ここで、主装置は、音声認識サーバに発信元の音声データに対する音声認識処理を実施させ、その音声認識結果から取次先を認識するようにしてもよい。
【0007】
例えば、本発明は、
複数の内線電話端末を収容する主装置であって、
前記内線電話端末毎に、当該内線電話端末が割り当てられたユーザのユーザ名、所属情報を含むユーザ情報を記憶するユーザ情報記憶手段と、
着信した呼に自動応答して、当該呼の発信元に取次先の音声入力を促す音声ガイダンスを送出し、当該発信元から音声データを受信する取次先指定音声取得手段と、
前記ユーザ情報記憶手段を参照して、前記取次先指定音声取得手段により取得された前記音声データから認識される前記取次先に割り当てられた前記内線電話端末を特定し呼び出す取次先呼び出し手段と、
前記取次先呼び出し手段による呼び出しに対して所定時間内に応答がない場合、前記ユーザ情報記憶手段を参照して、前記取次先と同じ所属のユーザを代理応答先に選出する代理応答先選出手段と、
前記取次先指定音声取得手段により取得された前記音声データの特徴値から前記発信元の状態を推定する発信元状態推定手段と、
前記発信元状態推定手段により推定された前記発信元の状態に応じた呼び出し方式により、前記代理応答先選出手段により選出された前記代理応答先に割り当てられた前記内線電話端末を呼び出す代理応答先呼び出し手段と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、着信した呼の取次先の内線電話端末が応答しない場合に、取次先と同じ所属の他のユーザを代理応答先に選出するとともに、発信元の音声データから発信元の状態(緊急度)を推定し、この推定した状態に応じた呼び出し方式により代理応答先の内線電話端末を呼び出す。このため、発信元の状態を考慮して代理応答先の内線電話端末を呼び出すことができる。
【0012】
このように、本発明によれば、発信元をより満足させることができるように代理応答先を呼び出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本発明の第一実施の形態に係る電話システムの概略構成図である。
【
図2】
図2は、本発明の第一実施の形態に係る電話システムの動作例を説明するためのシーケンス図である。
【
図4】
図4は、ユーザ情報記憶部104の登録内容例を模式的に表した図である。
【
図5】
図5は、主装置1の着信処理を説明するためのフロー図である。
【
図6】
図6は、主装置1の着信処理を説明するためのフロー図であり、
図5の続きである。
【
図7】
図7は、本発明の第二実施の形態に電話システムの動作例を説明するためのシーケンス図である。
【
図8】
図8は、主装置1Aの概略機能構成図である。
【
図9】
図9は、ユーザ情報記憶部113の登録内容例を模式的に表した図である。
【
図10】
図10は、主装置1Aの着信処理を説明するためのフロー図である。
【
図11】
図11は、主装置1Aの着信処理を説明するためのフロー図であり、
図10の続きである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0015】
[第一実施の形態]
図1は、本発明の第一実施の形態に係る電話システムの概略構成図である。
【0016】
図示するように、本実施の形態に係る電話システムは、WAN(Wide Area Network)5に接続された主装置1と、主装置1に収容された複数の内線電話端末2-1~2-n(以下、単に内線電話端末2とも呼ぶ)と、アクセスポイント(AP)6を介して主装置1に収容された複数の携帯電話端末3-1~3-m(以下、単に携帯電話端末3とも呼ぶ)と、音声認識サーバ4と、を備えて構成されている。
【0017】
主装置1は、内線電話端末2毎に、この内線電話端末2が割り当てられたユーザのユーザ名、所属情報、座席情報、および携帯電話端末3が割り当てられている場合にはその携帯番号を含むユーザ情報を記憶している。また、主装置1は、着信した呼の取次先の内線電話端末2が呼び出しに応答しない場合、各内線電話端末2のユーザ情報に基づいて1以上の代理応答先を選出するとともに、呼の発信元の音声データから発信元の状態(緊急度)を推定する。そして、推定した状態に応じた呼び出し方式により各代理応答先の内線電話端末2あるいは携帯電話端末3を呼び出す。
【0018】
図2は、本実施の形態に係る電話システムの動作例を説明するためのシーケンス図である。
【0019】
主装置1は、WAN5から呼が着信すると(S100)、これに一次応答して、発信元との間に通話路を確立する(S101)。そして、この通話路を介して発信元に、取次先の音声入力を促す音声ガイダンスを送信し(S102)、発信元から取次先を表す音声データを受信する(S103)。
【0020】
つぎに、主装置1は、発信元から受信した音声データを含む音声認識要求を音声認識サーバ4に送信して(S104)、音声認識サーバ4から、この音声データの音声認識結果を受信する(S105)。それから、主装置1は、予め記憶されている各内線電話端末2のユーザ情報を参照して、これらのユーザ情報のなかから、ユーザ名が音声認識サーバ4から受信した音声認識結果に含まれているユーザ情報を検索し、検索したユーザ情報により特定されるユーザを取次先として特定する(S106)。
【0021】
ここでは、内線電話端末2-1が割り当てられたユーザが取次先として特定されたものとする。主装置1は、着信鳴動等により取次先の内線電話端末2-1を呼び出して(S107)、取次先の内線電話端末2-1からの応答を待つ。
【0022】
ここで、取次先の内線電話端末2-1から応答を受けることなく、所定時間経過によりタイムアウトしたものとする(S108)。
【0023】
これを受けて、主装置1は、予め記憶されている取次先の内線電話端末2以外の各内線電話端末2のユーザ情報を参照して、これらのユーザ情報のなかから、取次先のユーザ情報と同じ所属情報を有するユーザ情報を検索する。そして、検索したユーザ情報により特定されるユーザ各々を代理応答先として選出する(S109)。
【0024】
また、主装置1は、発信元の音声データから発話音量、発話速度等の特徴値を抽出し、この抽出した特徴値に基づいて発信元の状態(緊急度)を推定する(S110)。具体的には、発話音量が所定の基準音量以上であり、かつ発話速度が所定の基準速度以上である場合に、発信元が興奮しており、迅速な対応を求めている状態(緊急度:高)と判断し、発話音量が所定の基準音量未満であり、かつ発話速度が所定の基準速度未満である場合に、発信元は冷静であり、対応をしばらく待てる状態(緊急度:低)と判断する。そして、発話音量が所定の基準音量以上であり、かつ発話速度が所定の基準速度未満であるか、あるいは、発話音量が所定の基準音量未満であり、かつ発話速度が所定の基準速度以上である場合は、発信元は普通であり、ある程度であれば対応を待てる状態(緊急度:中)と判断する。
【0025】
つぎに、主装置1は、推定した発信元の状態に基づいて、選出した各代理応答先の呼び出し方式を決定し(S111)、決定した呼び出し方式に従い、選出した各代理応答先の内線電話端末2あるいは携帯電話端末3を呼び出す(S112)。
【0026】
具体的には、発信元の状態が「緊急度:高」の場合は、代理応答先に割り当てられたすべての内線電話端末2を一斉に呼び出す。この際、ユーザ情報に携帯番号を含む代理応答先に対しては、この代理応答先に割り当てられた内線電話端末2に代えて携帯電話端末3を呼び出す。
【0027】
また、発信元の状態が「緊急度:低」の場合は、代理応答先毎に、代理応答先のユーザ情報に含まれている座席情報と、取次先のユーザ情報に含まれている座席情報と、に基づいて、代理応答先の座席と取次先の座席との距離を算出する。そして、代理応答先に割り当てられた内線電話端末2を、算出距離の短い順番に従って呼び出す。すなわち、X番目の代理応答先に割り当てられた内線電話端末2を呼び出して応答を待ち、所定時間内に応答がない場合には、この内線電話端末2に対する呼び出しを中止して、X+1番目の代理応答先に割り当てられた内線電話端末2を呼び出して応答を待つ。この処理を、いずれかの代理応答先に割り当てられた内線電話端末2が応答するか、あるいは、順番上最後の代理応答先に割り当てられた内線電話端末2に対する呼び出しを中止するまで続ける。
【0028】
また、発信元の状態が「緊急度:中」の場合は、基本的に「緊急度:低」の場合と同じであるが、「緊急度:低」の場合に比べて応答の待ち時間を短くする。また、ユーザ情報に携帯番号を含む代理応答先に対しては、この代理応答先に割り当てられた内線電話端末2に代えて携帯電話端末3を呼び出す。
【0029】
つぎに、主装置1の詳細を説明する。
【0030】
なお、内線電話端末2、携帯電話端末3、および音声認識サーバ4には、既存の装置を利用することができるので、その詳細な説明を省略する。
【0031】
【0032】
図示するように、主装置1は、内線インターフェース部100と、WANインターフェース部101と、呼制御部102と、中継部103と、ユーザ情報記憶部104と、取次先指定音声取得部105と、音声認識要求部106と、取次先特定部107と、取次先呼び出し部108と、代理応答先選出部109と、発信元状態推定部110と、呼び出し方式決定部111と、代理応答先呼び出し部112と、を備えている。
【0033】
内線インターフェース部100は、内線電話端末2およびAP6を介して携帯電話端末3と接続するためのインターフェースであり、WANインターフェース部101は、WAN5に接続するためのインターフェースである。
【0034】
呼制御部102は、SIP(Session Initiation Protocol)等の所定の呼制御プロトコルに従い、内線電話端末2あるいは携帯電話端末3とWAN5との間、内線電話端末2と携帯電話端末3との間、内線電話端末2同士間、および、携帯電話端末3同士間の通話路の確立・解放を実施する。
【0035】
中継部103は、RTP(Realtime Transport Protocol)等の所定の伝送プロトコルに従い、内線電話端末2あるいは携帯電話端末3とWAN5との間、内線電話端末2と携帯電話端末3との間、内線電話端末2同士間、および、携帯電話端末3同士間に確立された通話路を中継する。
【0036】
ユーザ情報記憶部104には、内線電話端末2毎に、内線電話端末2が割り当てられたユーザのユーザ情報が記憶されている。
【0037】
図4は、ユーザ情報記憶部104の登録内容例を模式的に表した図である。
【0038】
図示するように、ユーザ情報記憶部104には、内線電話端末2毎に、内線電話端末2が割り当てられたユーザのユーザ情報のレコード1040が記憶されている。ユーザ情報のレコード1040は、ユーザに割り当てられた内線電話端末2の内線番号が登録されたフィールド1041と、ユーザのユーザ名が登録されたフィールド1042と、ユーザの所属部署等の所属情報が登録されたフィールド1043と、ユーザの座席の位置情報(例えばXYZ座標情報)が登録されたフィールド1044と、ユーザが携帯電話端末3を携帯している場合にその携帯番号が登録されたフィールド1045と、を有する。
【0039】
取次先指定音声取得部105は、呼制御部102が着信した呼に一次応答することにより確立された通話路を介して、発信元に、取次先の音声入力を促す音声ガイダンスを送信し、発信元から取次先を表す音声データを取得する。
【0040】
音声認識要求部106は、取次先指定音声取得部105が取得した発信元の音声データを含む音声認識要求を音声認識サーバ4に送信して、音声認識サーバ4から、この音声データの音声認識結果を取得する。
【0041】
取次先特定部107は、ユーザ情報記憶部104を参照して、各内線電話端末2のユーザのユーザ情報のなかから、音声認識要求部106が取得した音声認識結果に含まれているユーザ名を有するユーザ情報を検索し、検索したユーザ情報により特定されるユーザを取次先として特定する。
【0042】
取次先呼び出し部108は、呼制御部102と連携して、取次先特定部107により特定された取次先のユーザ情報に含まれている内線番号により特定される内線電話端末2を着信鳴動等により呼び出す。
【0043】
代理応答先選出部109は、ユーザ情報記憶部104を参照して、各内線電話端末2のユーザのユーザ情報のなかから、取次先特定部107により特定された取次先のユーザ情報と同じ所属情報を有する取次先以外のユーザ情報を検索し、検索したユーザ情報により特定されるユーザ各々を代理応答先として特定する。
【0044】
発信元状態推定部110は、取次先指定音声取得部105が取得した発信元の音声データの発話音量、発話速度等の特徴値を抽出し、この抽出した特徴値に基づいて発信元の状態(緊急度)を推定する。
【0045】
呼び出し方式決定部111は、発信元状態推定部110により推定された発信元の状態に基づいて、代理応答先選出部109により選出された各代理応答先の呼び出し方式を決定する。
【0046】
代理応答先呼び出し部112は、取次先の内線電話端末2が呼び出しに応答することなく所定時間の経過によりタイムアウトした場合に、呼制御部102と連携して、呼び出し方式決定部111により決定された呼び出し方式に従い、代理応答先選出部109により選出された各代理応答先の内線電話端末2あるいは携帯電話端末3を着信鳴動等により呼び出す。
【0047】
図5および
図6は、主装置1の着信処理を説明するためのフロー図である。
【0048】
このフローは、WANインターフェース部101を介してWAN5から、あるいは内線インターフェース部100を介して内線電話端末2または携帯電話端末3から、呼制御部102に呼が着信することにより開始される。
【0049】
まず、呼制御部102は、着信した呼に一次応答して、発信元と中継部103との間に通話路を確立する。取次先指定音声取得部105は、この確立された通話路を介して発信元に、取次先の音声入力を促す音声ガイダンスを送信する(S200)。そして、取次先指定音声取得部105は、この通話路を介して発信元から取次先を表す音声データを受信する(S201)。
【0050】
つぎに、音声認識要求部106は、WANインターフェース部101を介して音声認識サーバ4に、取次先指定音声取得部105が受信した発信元の音声データを含む音声認識要求を送信する(S202)。そして、音声認識サーバ4からこの音声データに対する音声認識結果を受信する(S203)。
【0051】
つぎに、取次先特定部107は、ユーザ情報記憶部104から、音声認識要求部106が取得した音声認識結果に含まれているユーザ名がフィールド1042に登録されているユーザ情報のレコード1040を検索し、検索したレコード1040により特定されるユーザを取次先として特定する(S204)。
【0052】
それから、取次先呼び出し部108は、取次先特定部107により特定された取次先のユーザ情報のレコード1040のフィールド1041に登録されている内線番号を呼制御部102に通知する。これを受けて、呼制御部102は、内線インターフェース部100を介して、取次先呼び出し部108より受け取った内線番号により特定される取次先の内線電話端末2を、着信鳴動等により呼び出す(S205)。
【0053】
つぎに、呼制御部102は、取次先の内線電話端末2から応答を受信したならば(S206でYES)、取次先の内線電話端末2を発信元と中継部103との間に確立されている通話路に接続する(S207)。これにより、発信元と取次先との通話が可能となる。
【0054】
一方、呼制御部102は、取次先の内線電話端末2から応答を受信することなく(S206でNO)、所定時間の経過によりタイムアウトしたならば(S208でYES)、取次先の内線電話端末2の呼び出しを中止して、その旨を代理応答先呼び出し部112に通知する。これを受けて、代理応答先呼び出し部112は、代理応答先選出部109に代理応答先の選出を指示するとともに、呼び出し方式決定部111に呼び出し方式の決定を指示する。
【0055】
代理応答先選出部109は、代理応答先呼び出し部112から代理応答先の選出の指示を受け取ると、取次先特定部107により特定された取次先のユーザ情報のレコード1040のフィールド1043に登録されている所属情報を特定する。そして、ユーザ情報記憶部104から、この特定した所属情報がフィールド1043に登録されている取次先以外のユーザ情報のレコード1040を検索し、検索したレコード1040により特定されるユーザ各々を代理応答先として選出する(S209)。
【0056】
また、呼び出し方式決定部111は、代理応答先呼び出し部112から呼び出し方式の決定の指示を受け取ると、発信元状態推定部110に発信元の状態の推定を指示する。これを受けて、発信元状態推定部110は、取次先指定音声取得部105が取得した発信元の音声データの発話音量、発話速度等の特徴値を抽出し、この抽出した特徴値に基づいて発信元の状態(緊急度)を推定する(S210)。具体的には、発話音量が所定の基準音量以上であり、かつ発話速度が所定の基準速度以上である場合に、発信元が興奮しており迅速な対応を求めている状態(緊急度:高)と判断し、発話音量が所定の基準音量未満であり、かつ発話速度が所定の基準速度未満である場合に、発信元は冷静であり、対応をしばらく待てる状態(緊急度:低)と判断する。そして、発話音量が所定の基準音量以上であり、かつ発話速度が所定の基準速度未満であるか、あるいは、発話音量が所定の基準音量未満であり、かつ発話速度が所定の基準速度以上である場合は、発信元は普通であり、ある程度であれば対応を待てる状態(緊急度:中)と判断する。
【0057】
つぎに、呼び出し方式決定部111は、発信元状態推定部110により推定された発信元の状態に基づいて、代理応答先選出部109により選出された各代理応答先の呼び出し方式を決定する(S211)。具体的には、発信元の状態が「緊急度:高」の場合は、一斉呼び出し方式に決定し、「緊急度:中」あるいは「緊急度:低」の場合は、順番呼び出しに決定する。
【0058】
つぎに、代理応答先呼び出し部112は、呼び出し方式決定部111により決定された呼び出し方式が一斉呼び出し方式である場合(S212で「一斉呼び出し」)、代理応答先選出部109により選出された代理応答先毎に、代理応答先のユーザ情報のレコード1040のフィールド1045に携帯番号が登録されているならばその携帯番号を、登録されていないならばフィールド1041に登録されている内線番号を、呼制御部102に通知して、呼制御部102に一斉呼び出しを指示する。これを受けて、呼制御部102は、内線インターフェース部100を介して、代理応答先呼び出し部112より受け取った内線番号により特定される代理応答先の内線電話端末2あるいは携帯番号により特定される代理応答先の携帯電話端末3を、着信鳴動等により一斉に呼び出す(S213)。
【0059】
つぎに、呼制御部102は、いずれかの代理応答先の内線電話端末2あるいは携帯電話端末3から応答を受信したならば(S214でYES)、呼び出しに応答した代理応答先の内線電話端末2あるいは携帯電話端末3を、発信元と中継部103との間に確立されている通話路に接続する(S215)。これにより、発信元と呼び出しに応答した代理応答先との通話が可能となる。
【0060】
一方、呼制御部102は、いずれの代理応答先の内線電話端末2および携帯電話端末3からも応答を受信することなく(S214でNO)、所定時間の経過によりタイムアウトしたならば(S216でYES)、代理応答先選出部109により選出されたすべての代理応答先の一斉呼び出しを中止して、このフローを終了する。
【0061】
また、代理応答先呼び出し部112は、呼び出し方式決定部111により決定された呼び出し方式が順番呼び出し方式である場合(S212で「順番呼び出し」)、取次先のユーザ情報のレコード1040のフィールド1044に登録されている座席情報と、各代理応答先のユーザ情報のレコード1040のフィールド1044に登録されている座席情報とに基づいて、代理応答先の優先順番を決定する(S217)。具体的には、代理応答先毎に、代理応答先の座席情報により特定される代理応答先の座席位置の、取次先の座席情報により特定される取次先の座席位置からの距離を算出する。そして、算出距離の短い順に従って、代理応答先の優先順番を決定する。
【0062】
つぎに、代理応答先呼び出し部112は、発信元状態推定部110により推定された発信元の状態が「緊急度:中」の場合、代理応答先毎に、代理応答先のユーザ情報のレコード1040のフィールド1045に携帯番号が登録されているならばその携帯番号を、登録されていないならばフィールド1041に登録されている内線番号を、その優先順番とともに、呼制御部102に通知して、呼制御部102に、「緊急度:中」に応じた順番呼び出しを指示する。一方、発信元状態推定部110により推定された発信元の状態が「緊急度:低」の場合、代理応答先毎に、代理応答先のユーザ情報のレコード1040のフィールド1045に携帯番号が登録されているか否かにかかわらず、フィールド1041に登録されている内線番号を、その優先順番とともに、呼制御部102に通知して、呼制御部102に、「緊急度:低」に応じた順番呼び出しを指示する。
【0063】
これを受けて、呼制御部102は、内線インターフェース部100を介して、呼び出しを実施していない代理応答先のうち最も優先順番の高い代理応答先について、代理応答先呼び出し部112より受け取った内線番号により特定される代理応答先の内線電話端末2あるいは携帯番号により特定される代理応答先の携帯電話端末3を、着信鳴動等により呼び出す(S218)。
【0064】
つぎに、呼制御部102は、呼出し中の代理応答先の内線電話端末2あるいは携帯電話端末3から応答を受信したならば(S219でYES)、この代理応答先の内線電話端末2あるいは携帯電話端末3を発信元と中継部103との間に確立されている通話路に接続する(S220)。これにより、発信元と呼び出しに応答した代理応答先との通話が可能となる。
【0065】
一方、呼制御部102は、呼出し中の代理応答先の内線電話端末2あるいは携帯電話端末3から応答を受信することなく(S219でNO)、所定時間の経過によりタイムアウトしたならば(S221でYES)、呼出し中の代理応答先の内線電話端末2あるいは携帯電話端末3に対する呼び出しを中止する。それから、呼制御部102は、すべての代理応答先の呼び出しを実施していないならば(S222でNO)、S218に戻り、すべての代理応答先の呼び出しを実施したならば(S222でYES)、このフローを終了する。なお、S221において監視するタイムアウトまでの所定時間は、「緊急度:中」の場合を「緊急度:低」の場合よりも短くする。
【0066】
以上、本発明の第一実施の形態について説明した。
【0067】
本実施の形態において、主装置1は、内線電話端末2毎に、この内線電話端末2が割り当てられたユーザのユーザ名、所属情報を含むユーザ情報を記憶している。また、主装置1は、着信した呼に自動応答して、発信元に取次先の音声入力を促し、発信元から音声データを受信すると、記憶しているユーザ情報を参照して、この音声データから認識される取次先の内線電話端末2を特定し、特定した取次先の内線電話端末2を呼び出す。そして、所定時間内に取次先の内線電話端末2から応答がない場合、記憶しているユーザ情報を参照して、取次先と同じ所属の他のユーザを代理応答先に選出するとともに、音声データから発信元の状態(緊急度)を推定し、状態に応じた呼び出し方式により代理応答先の内線電話端末2を呼び出す。具体的には、応答に緊急を要する状態であるならば、選出したすべての代理応答先の内線電話端末2を一斉に呼び出して、少しでも早く代理応答できるようにする。また、応答に緊急を要する状態でないならば、選出した代理応答先の内線電話端末2を順番に呼び出して、代理応答先の不要な呼び出しを減らす。したがって、本実施の形態によれば、発信元の状態を考慮して代理応答先の内線電話端末2を呼び出すことができるので、発信元をより満足させることができるように代理応答先を呼び出すことができる。
【0068】
また、本実施の形態によれば、音声データから推定される発信元の状態が応答に緊急を要する状態である場合、代理応答先のユーザ情報に携帯番号が含まれているならば、この代理応答先に割り当てられた内線電話端末2に代えて、この携帯番号により特定される携帯電話端末3を呼び出しているので、いずれかの代理応答先が応答する可能性を高めることができる。
【0069】
また、本実施の形態では、複数の代理応答先を順番に呼び出す場合、代理応答先の座席位置と取次先の座席位置との距離の短い順位に従って優先順番を決定し、この優先順番に従って代理応答先を順番に呼び出している。このため、取次先と座席が近い、つまり取次先をよく知っている可能性の高い代理応答先から順番に呼び出すこととなるので、発信元の要望を満足させる可能性がさらに高まる。
【0070】
[第二実施の形態]
本実施の形態に係る電話システムが、
図1に示す第一実施の形態に係る電話システムと異なる点は、主装置1に代えて主装置1Aを設けたことである。その他の構成は、
図1に示す第一実施の形態に係る電話システムと同様である。
【0071】
主装置1Aは、内線電話端末2毎に、この内線電話端末2が割り当てられたユーザのユーザ名、対応可能用件、対応回数、性別、および携帯電話端末3が割り当てられている場合にはその携帯番号を含むユーザ情報を記憶している。また、主装置1Aは、着信した呼の取次先の内線電話端末2が呼び出しに応答しない場合、呼の発信元から用件を取得するとともに、各内線電話端末2のユーザ情報に基づいて、呼の発信元の用件に対応可能な1以上の代理応答先を選出する。そして、選出した各代理応答先の内線電話端末2あるいは携帯電話端末3を呼び出す。
【0072】
図7は、本発明の第二実施の形態に電話システムの動作例を説明するためのシーケンス図である。
【0073】
主装置1Aは、WAN5から呼が着信すると(S120)、これに一次応答して、発信元との間に通話路を確立する(S121)。そして、この通話路を介して発信元に、取次先の音声入力を促す音声ガイダンスを送信し(S122)、発信元から取次先を表す音声データを受信する(S123)。
【0074】
つぎに、主装置1Aは、発信元から受信した取次先を表す音声データを含む音声認識要求を音声認識サーバ4に送信して(S124)、音声認識サーバ4から、この音声データの音声認識結果を受信する(S125)。それから、主装置1Aは、予め記憶されている各内線電話端末2のユーザ情報を参照して、これらのユーザ情報のなかから、ユーザ名が音声認識サーバ4から受信した音声認識結果に含まれているユーザ情報を検索し、検索したユーザ情報により特定されるユーザを取次先として特定する(S126)。
【0075】
ここでは、内線電話端末2-1が割り当てられたユーザが取次先として特定されたものとする。主装置1Aは、着信鳴動等により取次先の内線電話端末2-1を呼び出して(S127)、取次先の内線電話端末2-1からの応答を待つ。
【0076】
ここで、取次先の内線電話端末2-1から応答を受けることなく、所定時間経過によりタイムアウトしたものとする(S128)。
【0077】
これを受けて、主装置1Aは、発信元との間に確立されている通話路を介して発信元に、用件名の音声入力を促す音声ガイダンスを送信し(S129)、発信元から用件名を表す音声データを受信する(S130)。
【0078】
つぎに、主装置1Aは、発信元から受信した用件名を表す音声データを含む音声認識要求を音声認識サーバ4に送信して(S131)、音声認識サーバ4から、この音声データの音声認識結果を受信する(S132)。それから、主装置1Aは、音声認識結果に含まれている用件名が恋愛相談、結婚相談等の同性による対応を前提とする所定の用件である同性対応用件であるか否かを判断する。音声認識結果に含まれている用件が同性対応用件である場合は、発信元から受信した音声データの周波数特性等の特徴値から発信元の性別を判断する。そして、予め記憶されている各内線電話端末2のユーザ情報を参照して、これらのユーザ情報のなかから、対応可能用件が音声認識サーバ4から受信した音声認識結果に含まれている用件名と一致し、かつ性別が発信元の性別と一致するユーザ情報を検索する。一方、音声認識結果に含まれている用件が同性対応用件でない場合は、予め記憶されている各内線電話端末2のユーザ情報を参照して、これらのユーザ情報のなかから、対応可能用件が音声認識サーバ4から受信した音声認識結果に含まれている用件名と一致するユーザ情報を検索する。それから、主装置1Aは、以上のようにして検索したユーザ情報により特定されるユーザ各々を代理応答先として選出する(S133)。
【0079】
つぎに、主装置1Aは、選出した各代理応答先の内線電話端末2あるいは携帯電話端末3を呼び出す(S134)。
【0080】
具体的には、代理応答先に割り当てられた内線電話端末2を、代理応答先のユーザ情報に含まれている対応回数の多い順番に従って呼び出す。すなわち、X番目の代理応答先に割り当てられた内線電話端末2を呼び出して応答を待ち、所定時間内に応答がない場合には、この内線電話端末2に対する呼び出しを中止して、X+1番目の代理応答先に割り当てられた内線電話端末2を呼び出して応答を待つ。この処理を、いずれかの代理応答先に割り当てられた内線電話端末2が応答するか、あるいは、順番上最後の代理応答先に割り当てられた内線電話端末2に対する呼び出しを中止するまで続ける。なお、ユーザ情報に携帯番号を含む代理応答先に対しては、この代理応答先に割り当てられた内線電話端末2に代えて携帯電話端末3を呼び出す。
【0081】
つぎに、主装置1Aの詳細を説明する。
【0082】
【0083】
図示するように、主装置1Aは、内線インターフェース部100と、WANインターフェース部101と、呼制御部102と、中継部103と、音声認識要求部106と、取次先特定部107と、取次先呼び出し部108と、ユーザ情報記憶部113と、取次先・用件指定音声取得部114と、代理応答先選出部115と、発信元性別判定部116と、代理応答先呼び出し部117と、を備えている。ここで、
図3に示す第一実施の形態に係る主装置1と同じ符号が付されているものは、同じ機能を有するものであり、その詳細な説明を省略している。
【0084】
ユーザ情報記憶部113には、内線電話端末2毎に、内線電話端末2が割り当てられたユーザのユーザ情報が記憶されている。
【0085】
図9は、ユーザ情報記憶部113の登録内容例を模式的に表した図である。
【0086】
図示するように、ユーザ情報記憶部113には、内線電話端末2毎に、内線電話端末2が割り当てられたユーザのユーザ情報のレコード1130が記憶されている。ユーザ情報のレコード1130は、ユーザに割り当てられた内線電話端末2の内線番号が登録されたフィールド1131と、ユーザのユーザ名が登録されたフィールド1132と、ユーザの対応可能用件名が登録されたフィールド1133と、用件の対応回数が登録されたフィールド1134と、ユーザの性別が登録されたフィールド1135と、ユーザが携帯電話端末3を携帯している場合にその携帯番号が登録されたフィールド1136と、を有する。
【0087】
取次先・用件指定音声取得部114は、呼制御部102が着信した呼に一次応答することにより確立された通話路を介して、発信元に、取次先の音声入力を促す音声ガイダンスを送信し、発信元から取次先を表す音声データを取得する。また、この通話路を介して、発信元に、用件名の音声入力を促す音声ガイダンスを送信し、発信元から用件名を表す音声データを取得する。
【0088】
代理応答先選出部115は、ユーザ情報記憶部113を参照して、各内線電話端末2のユーザのユーザ情報のなかから、音声認識要求部106が取得した音声認識結果に含まれている用件名を対応可能用件とするユーザ情報を検索し、検索したユーザ情報により特定されるユーザ各々を代理応答先として特定する。ただし、音声認識要求部106が取得した音声認識結果に含まれている用件名が同性対応用件である場合は、音声認識要求部106が取得した音声認識結果に含まれている用件名を対応可能用件とし、かつ発信元性別判定部116によって判定された発信元の性別と同じ性別のユーザ情報を検索し、検索したユーザ情報により特定されるユーザ各々を代理応答先として特定する。
【0089】
発信元性別判定部116は、取次先・用件指定音声取得部114が取得した発信元の音声データの周波数特性等の特徴値を抽出し、この抽出した特徴値に基づいて発信元の性別を判定する。
【0090】
代理応答先呼び出し部117は、取次先の内線電話端末2が呼び出しに応答することなく所定時間の経過によりタイムアウトした場合に、呼制御部102と連携して、代理応答先選出部115により選出された各代理応答先の内線電話端末2あるいは携帯電話端末3を、着信鳴動等により、各代理応答先のユーザ情報に含まれている対応回数の多い順番に従って呼び出す。
【0091】
図10および
図11は、主装置1Aの着信処理を説明するためのフロー図である。
【0092】
このフローは、WANインターフェース部101を介してWAN5から、あるいは内線インターフェース部100を介して内線電話端末2または携帯電話端末3から、呼制御部102に呼が着信することにより開始される。
【0093】
まず、呼制御部102は、着信した呼に一次応答して、発信元と中継部103との間に通話路を確立する。取次先・用件指定音声取得部114は、この確立された通話路を介して発信元に、取次先の音声入力を促す音声ガイダンスを送信する(S230)。そして、取次先・用件指定音声取得部114は、この通話路を介して発信元から取次先を表す音声データを受信する(S231)。
【0094】
つぎに、音声認識要求部106は、WANインターフェース部101を介して音声認識サーバ4に、取次先・用件指定音声取得部114が受信した取次先を表す音声データを含む音声認識要求を送信する(S232)。そして、音声認識サーバ4からこの音声データに対する音声認識結果を受信する(S233)。
【0095】
つぎに、取次先特定部107は、ユーザ情報記憶部113から、音声認識要求部106が取得した音声認識結果に含まれているユーザ名がフィールド1132に登録されているユーザ情報のレコード1130を検索し、検索したレコード1130により特定されるユーザを取次先として特定する(S234)。
【0096】
それから、取次先呼び出し部108は、取次先特定部107により特定された取次先のユーザ情報のレコード1130のフィールド1131に登録されている内線番号を呼制御部102に通知する。これを受けて、呼制御部102は、内線インターフェース部100を介して、取次先呼び出し部108より受け取った内線番号により特定される取次先の内線電話端末2を、着信鳴動等により呼び出す(S235)。
【0097】
つぎに、呼制御部102は、取次先の内線電話端末2から応答を受信したならば(S236でYES)、取次先の内線電話端末2を発信元と中継部103との間に確立されている通話路に接続する(S237)。これにより、発信元と取次先との通話が可能となる。
【0098】
一方、呼制御部102は、取次先の内線電話端末2から応答を受信することなく(S236でNO)、所定時間の経過によりタイムアウトしたならば(S238でYES)、取次先の内線電話端末2の呼び出しを中止して、その旨を代理応答先呼び出し部117に通知する。これを受けて、代理応答先呼び出し部117は、代理応答先選出部115に代理応答先の選出を指示する。
【0099】
代理応答先選出部115は、代理応答先呼び出し部117から代理応答先の選出の指示を受け取ると、取次先・用件指定音声取得部114に用件名を表す音声データの取得を指示する。これを受けて、取次先・用件指定音声取得部114は、発信元との間に確立されている通話路を介して発信元に、用件名の音声入力を促す音声ガイダンスを送信する(S239)。そして、取次先・用件指定音声取得部114は、この通話路を介して発信元から用件名を表す音声データを受信する(S240)。
【0100】
つぎに、音声認識要求部106は、WANインターフェース部101を介して音声認識サーバ4に、取次先・用件指定音声取得部114が受信した用件名を表す音声データを含む音声認識要求を送信する(S241)。そして、音声認識サーバ4からこの音声データに対する音声認識結果を受信する(S242)。
【0101】
つぎに、代理応答先選出部115は、音声認識要求部106が取得した音声認識結果に含まれている用件名が同性対応用件であるか否かを判断する(S243)。そして、同性対応用件であるならば(S243でYES)、発信元性別判定部116に発信元の性別判定を指示する。これを受けて、発信元性別判定部116は、取次先・用件指定音声取得部114が受信した取次先を表す音声データおよび/または用件名を表す音声データの周波数特性等の特徴値を抽出し、この抽出した特徴値に基づいて発信元の性別を判定する。
【0102】
それから、代理応答先選出部115は、音声認識要求部106が取得した音声認識結果に含まれている用件名が同性対応用件でないならば、ユーザ情報記憶部113から、この用件名がフィールド1133に登録されている取次先以外のユーザ情報のレコード1130を検索し、検索したレコード1130により特定されるユーザ各々を代理応答先として選出し、同性対応用件であるならば、ユーザ情報記憶部113から、この用件名がフィールド1133に登録されており、かつ発信元性別判定部116により判定された発信元の性別がフィールド1135に登録されている取次先以外のユーザ情報のレコード1130を検索し、検索したレコード1130により特定されるユーザ各々を代理応答先として選出する(S245)。
【0103】
つぎに、代理応答先呼び出し部117は、各代理応答先のユーザ情報のレコード1130のフィールド1134に登録されている対応回数の多い順に従って、代理応答先の優先順番を決定する(S246)。
【0104】
つぎに、代理応答先呼び出し部117は、代理応答先毎に、代理応答先のユーザ情報のレコード1130のフィールド1136に携帯番号が登録されているならばその携帯番号を、登録されていないならばフィールド1131に登録されている内線番号を、その優先順番とともに、呼制御部102に通知して、呼制御部102に順番呼び出しを指示する。
【0105】
これを受けて、呼制御部102は、内線インターフェース部100を介して、呼び出しを実施していない代理応答先のうち最も優先順番の高い代理応答先について、代理応答先呼び出し部117より受け取った内線番号により特定される代理応答先の内線電話端末2あるいは携帯番号により特定される代理応答先の携帯電話端末3を、着信鳴動等により呼び出す(S247)。
【0106】
つぎに、呼制御部102は、呼出し中の代理応答先の内線電話端末2あるいは携帯電話端末3から応答を受信したならば(S248でYES)、この代理応答先の内線電話端末2あるいは携帯電話端末3を発信元と中継部103との間に確立されている通話路に接続する(S249)。これにより、発信元と呼び出しに応答した代理応答先との通話が可能となる。その後、呼制御部102は、応答した代理応答先の内線番号あるいは携帯番号を代理応答先呼び出し部117に通知する。これを受けて、代理応答先呼び出し部117は、呼制御部102から内線番号が通知されたならば、この内線番号がフィールド1131に登録されているユーザ情報のレコード1130をユーザ情報記憶部113から検索し、呼制御部102から携帯番号が通知されたならば、この携帯番号がフィールド1136に登録されているユーザ情報のレコード1130をユーザ情報記憶部113から検索する。そして、検索したユーザ情報のレコード1130のフィールド1134に登録されている対応回数を1つインクリメントする(S250)。
【0107】
一方、呼制御部102は、呼出し中の代理応答先の内線電話端末2あるいは携帯電話端末3から応答を受信することなく(S248でNO)、所定時間の経過によりタイムアウトしたならば(S251でYES)、呼出し中の代理応答先の内線電話端末2、あるいは携帯電話端末3に対する呼び出しを中止する。それから、呼制御部102は、すべての代理応答先の呼び出しを実施していないならば(S252でNO)、S247に戻り、すべての代理応答先の呼び出しを実施したならば(S252でYES)、このフローを終了する。
【0108】
以上、本発明の第二実施の形態について説明した。
【0109】
本実施の形態において、主装置1Aは、内線電話端末2毎に、この内線電話端末2が割り当てられたユーザのユーザ名、対応可能用件を含むユーザ情報を記憶している。また、主装置1Aは、着信した呼の取次先の内線電話端末2から所定時間内に応答がない場合、この呼に自動応答することにより確立されている通話路を介して発信元に用件名の音声入力を促す。そして、記憶しているユーザ情報を参照して、発信元の音声データから認識される用件名の用件に対応可能なユーザであって、取次先以外のユーザを代理応答先に選出し、選出した代理応答先の内線電話端末を呼び出す。したがって、本実施の形態によれば、発信元の用件名に対応可能な代理応答先の内線電話端末を呼び出すことができるので、発信元をより満足させることができるように代理応答先を呼び出すことができる。
【0110】
また、本実施の形態では、ユーザ情報に対応可能用件の対応回数を含んでおり、代理応答先を複数選出した場合に、対応回数の多い順番で代理応答先の内線電話端末を呼び出す。このため、発信元の用件に対して経験値の高いユーザが代理応答する可能性が高まるので、発信元の要望を満足させる可能性がさらに高まる。
【0111】
また、本実施の形態では、ユーザ情報にユーザの性別を含んでいる。そして、発信元の音声データから認識される用件名が同性による対応を前提とする同性対応用件である場合、発信元の音声データに基づいて発信元の性別を判定し、この性別をユーザ情報に含むユーザのなかから代理応答先を選出している。このため、発信元の要望を満足させる可能性がさらに高まる。
【0112】
なお、本発明は上記の各実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形が可能である。
【0113】
例えば、上記の各実施の形態において、主装置1、1Aは、発信元の音声データに対する音声認識処理を音声認識サーバ4に依頼しているが、本発明はこれに限定されない。主装置1、1Aに音声認識機能を持たせて、主装置1、1Aが自ら発信元の音声データに対する音声認識処理を実施してもよい。
【0114】
また、上記の第二実施の形態においても、上記の第一実施の形態と同様に、発信者の状態に応じて代理応答先の呼び出し方式を変更してもよい。すなわち、主装置1Aに、発信元状態推定部110および呼び出し方式決定部111を設け、この発信元状態推定部110に、取次先および/または用件名を表す音声データから発信元の状態を推定させ、この推定された発信元の状態に基づいて呼び出し方式決定部111に代理応答先の呼び出し方式を決定させる。そして、決定された呼び出し方式に従い代理応答先を呼び出す。
【0115】
また、上記の各実施の形態において、
図3、
図8に示す主装置1、1Aの機能構成は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積ロジックICによりハード的に実現されるか、DSP(Digital Signal Processor)等の計算機によりソフトウエア的に実現される。あるいは、CPUと、メモリと、ハードディスク、フラッシュメモリ等の補助記憶装置と、NIC(Network Interface Card)等の通信インターフェースと、を備えたPC(Personal Computer)等の汎用コンピュータにおいて、CPUが所定のプログラムを補助記憶装置からメモリ上にロードして実行することにより実現される。
【符号の説明】
【0116】
1、1A:主装置 2、2-1~2-n:内線電話端末
3、3-1~3-m:携帯電話端末 4:音声認識サーバ
5:WAN 6:アクセスポイント
100:内線電話端末インターフェース部
101:WANインターフェース部 102:呼制御部
103:中継部 104、113:ユーザ情報記憶部
105:取次先指定音声取得部 106:音声認識要求部
107:取次先特定部 108:取次先呼び出し部
109、115:代理応答先選出部 110:発信元状態推定部
111:呼び出し方式決定部 112、117:代理応答先呼び出し部
114:取次先・用件指定音声取得部 115:発信元性別判定部