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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】ルーフウェザストリップ
(51)【国際特許分類】
   B60J 10/82 20160101AFI20221129BHJP
   B60J 10/20 20160101ALI20221129BHJP
【FI】
B60J10/82
B60J10/20
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019057973
(22)【出願日】2019-03-26
(65)【公開番号】P2020157870
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2021-05-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120765
【弁理士】
【氏名又は名称】小滝 正宏
(74)【代理人】
【識別番号】100097076
【弁理士】
【氏名又は名称】糟谷 敬彦
(72)【発明者】
【氏名】倉知 あゆみ
(72)【発明者】
【氏名】二宮 郁夫
【審査官】菅 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-243792(JP,A)
【文献】特開2004-231088(JP,A)
【文献】特開2014-136456(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0055211(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 10/00-10/90
B60R 13/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両ルーフの開口部を覆う2枚のパネルを備え、
第1パネルは、開口部を開閉可能に構成され、
第2パネルは、前記第1パネルの車両後方側若しくは前方側に隣接して配置され、且つ開口部を閉塞する状態で固定されており、
前記第2パネルの前記第1パネル側の端部にはホルダ部が形成され、
前記ホルダ部は、前記第1パネル側方向に車両高さ方向に絞られた嵌合凹部と、前記嵌合凹部に接続する車両上下方向に突出する上方嵌合凸部及び下方嵌合凸部を有する嵌合凸部が形成されており、
前記ホルダ部に取付けられ、前記ホルダ部の前記上方嵌合凸部及び前記下方嵌合凸部を車両高さ方向から挟み込んで前記ホルダ部と前記第1パネルとの間をシールするルーフウェザストリップであって、
前記ルーフウェザストリップは、取付基部と、
前記第1パネルの縁部に弾性的に接触可能なシール部を一体的に有し、
前記取付基部には、前記ホルダ部の前記上方嵌合凸部を車両上方から覆うとともに、車両下方に延出し、前記ホルダ部の前記嵌合凹部の少なくとも両側面に当接する断面が略J字状の第1リップと、
前記取付基部の下方から前記第2パネル側に向け、斜め上方に延びた先端部が折り返されて前記第1パネル側に向け、斜め上方に延び、前記ホルダ部の前記下方嵌合凸部を車両下方から覆うとともに、車両上方に延出し、前記ホルダ部の前記嵌合凹部の下部面又は前記下方嵌合凸部の前記第2パネル側の側面の少なくとも一方に当接する断面が略横v字状の第2リップが形成されていることを特徴とするルーフウェザストリップ。
【請求項2】
前記第1リップの下方への延出長は、前記第2リップの上方への延出長より長く設定されている請求項1に記載のルーフウェザストリップ。
【請求項3】
前記取付基部において、前記ホルダ部の前記嵌合凸部の前記第1パネル側側面に当接する面の上方端部又は下方端部の少なくとも一方には、凹部が形成されている請求項1又は請求項2に記載のルーフウェザストリップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ルーフに開閉可能なパネルと、固定されたパネルを備えた開口部を有する車両において、固定されたパネルに取付けられ、開閉可能なパネルの端部との間をシールするルーフウェザストリップに関する。
【背景技術】
【0002】
ルーフに開閉可能なパネルと、固定されたパネルを備えた開口部を有する車両において、固定されたパネルに取付けられ、開閉可能なパネルの端部との間をシールするルーフウェザストリップとしては、例えば、特許文献1に記載されたものが知られている。図6に示すように、固定パネル300の可動パネル200側には、境界ウェザストリップ(ルーフウェザストリップ)500を嵌着するための固定パネル縁部320と、固定パネル縁部320の前端縁で下側部から車両の前方に向かって断面略フック状のパネル側係合突部330を有するホルダ部310が突設されている。すなわち、ホルダ部310は、可動パネル200方向に車両高さ方向に絞られた嵌合凹部340と、嵌合凹部340に接続する車両上方に凸状の嵌合凸部350を有している。
【0003】
又、境界ウェザストリップ(ルーフウェザストリップ)500は、ホルダ部310のパネル側係合突部330に互い違いで係合する、すなわち、嵌合凹部340と嵌合凸部350に当接するように断面略フック状の取付基部510と、取付基部510から車両の前方に湾出するシール部520を有している。取付基部510は、例えばEPDM等の合成ゴムや熱可塑性エラストマーのソリッド材からなり、シール部520は、例えばEPDM等の合成ゴムや熱可塑性エラストマーのスポンジ材からなる。
【0004】
そして、境界ウェザストリップ(ルーフウェザストリップ)500のシール部520は、可動パネル200が閉じられたときに、可動パネル200の固定パネル300側の可動パネル縁部210に撓んで当接し、固定パネル300のホルダ部310と可動パネル200の可動パネル縁部210との間をシールする。
【0005】
一方、上記のような複数のパネルを有する車両ではないが、車両ルーフの開口部に設けられるパネル本体に取付けられるウェザストリップの取付け構造については、例えば、特許文献2に記載されたものが知られている。特許文献2は、高圧洗車時におけるルーフ上方からの高圧洗浄液の噴射によるウェザストリップの剥がれ防止を目的とするものである。
【0006】
図7に示すように、車両ルーフの開口部に設けられるパネル本体には、ウェザストリップ600を嵌着するためのパネル本体の外周縁部に接合されたホルダ部610を有し、ホルダ部610には、車両上下方向に絞られた嵌合凹部620と、車両上下方向に突出する上方嵌合凸部641及び下方嵌合凸部642を有する嵌合凸部630が形成されている。
【0007】
又、ウェザストリップ600は、ソリッドゴムからなる取付基部640と、車両ルーフ100の開口部縁部110に弾性的に接触可能なスポンジゴムからなるシール部650を有している。取付基部640は、ホルダ部610の嵌合凸部630の外側面に密接する本体部660と、本体部660の上端に接続されてホルダ部610の上方嵌合凸部641を車両上方から乗り越えて嵌合凹部620に向かって突設された略鉤爪状(ブロック状)の上側取付部670と、本体部660の下端に接続されてホルダ部610の下方嵌合凸部642を車両下方から乗り越えて嵌合凹部620に向かって突設された略鉤爪状(ブロック状)の下側取付部671が形成されている。さらに、取付基部640は、下側取付部671の下端外側部から外側斜め下方に延出する延出部680が形成されている。
【0008】
一方、前記シール部650は、断面略弓形に成形されており、取付基部640の上面に載置されるとともに、その下端で延出部680に接合されている。そして、シール部650は、取付基部640の外側面との間に断面略D字状の中空部651を形成している。さらに、シール部650は、取付基部640の上面よりも車内側に突出する略舌片状のリップ部690を有し、リップ部690においてホルダ部610の上面に弾性的に接触している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2015-58746号公報
【文献】特開2014-136456号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、図6において、ルーフの開口が長期にわたり閉塞された状態(可動パネル200が長期間閉じた状態)が続くと、可動パネル200の固定パネル300側の端部に樹脂材で形成された可動パネル縁部210と境界ウェザストリップ(ルーフウェザストリップ)500のシール部520が固着し、可動パネル200を再び開いたときに、境界ウェザストリップ(ルーフウェザストリップ)500が、固定パネル300の可動パネル200側に突設されたホルダ部310から外れ、可動パネル200が閉まらなくなる問題が発生した。
【0011】
この場合、境界ウェザストリップ(ルーフウェザストリップ)500の保持力を増加させると、境界ウェザストリップ(ルーフウェザストリップ)500の取付基部510の肉厚が増して重量が増加する。
【0012】
さらに、特許文献2の技術を適用すれば、特許文献1における境界ウェザストリップ(ルーフウェザストリップ)500が、固定パネル300の可動パネル200側に突設されたホルダ部310から外れる問題は解消できると考えられるが、図7のような取付基部640の形状では、上側取付部670と下側取付部671は略鉤爪状の塊(ブロック)状であるので、ウェザストリップ600の重量が増加する。又、取付基部640の上側取付部670をホルダ部610の嵌合凹部620に装着した後に、取付基部640の下側取付部671をホルダ部610の下方嵌合凸部642を乗り越えて嵌合凹部620に装着するには大きな力を必要とし、組付け性が悪い。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、請求項1の本発明は、車両ルーフの開口部を覆う2枚のパネルを備え、第1パネルは、開口部を開閉可能に構成され、第2パネルは、第1パネルの車両後方側若しくは前方側に隣接して配置され、且つ開口部を閉塞する状態で固定されており、第2パネルの第1パネル側の端部にはホルダ部が形成され、ホルダ部は、第1パネル側方向に車両高さ方向に絞られた嵌合凹部と、嵌合凹部に接続する車両上下方向に突出する上方嵌合凸部及び下方嵌合凸部を有する嵌合凸部が形成されており、ホルダ部に取付けられ、ホルダ部の上方嵌合凸部及び下方嵌合凸部を車両高さ方向から挟み込んでホルダ部と第1パネルとの間をシールするルーフウェザストリップであって、ルーフウェザストリップは、取付基部と、第1パネルの縁部に弾性的に接触可能なシール部を一体的に有し、取付基部には、ホルダ部の上方嵌合凸部を車両上方から覆うとともに、車両下方に延出し、ホルダ部の嵌合凹部の少なくとも両側面に当接する断面が略J字状の第1リップと、取付基部の下方から第2パネル側に向け、斜め上方に延びた先端部が折り返されて第1パネル側に向け、斜め上方に延び、ホルダ部の下方嵌合凸部を車両下方から覆うとともに、車両上方に延出し、ホルダ部の嵌合凹部の下部面又は下方嵌合凸部の第2パネル側の側面の少なくとも一方に当接する断面が略横v字状の第2リップが形成されていることを特徴とするルーフウェザストリップである。
【0014】
請求項1の本発明では、ルーフウェザストリップの取付基部には、ホルダ部の上方嵌合凸部を車両上方から覆うとともに、車両下方に延出し、ホルダ部の嵌合凹部の少なくとも両側面に当接する断面が略J字状の第1リップが形成されているので、第1リップがホルダ部の嵌合凹部に当接したとき、ホルダ部の嵌合凹部の両側側面をその当接反力によって押圧する。
【0015】
又、ルーフウェザストリップの取付基部には、取付基部の下方から第2パネル側に向け、斜め上方に延びた先端部が折り返されて第1パネル側に向け、斜め上方に延び、ホルダ部の下方嵌合凸部を車両下方から覆うとともに、車両上方に延出し、ホルダ部の嵌合凹部の下部面又は下方嵌合凸部の第2パネル側の側面の少なくとも一方に当接する断面が略横v字状の第2リップが形成されているので、第2リップの先端部分を容易に拡げる、すなわち、v字の角度を大きくすることができ、第2リップの先端部分を容易に、下方嵌合凸部を乗り越えさせることができ、第2リップがホルダ部の下方嵌合凸部の車両下方側の面に当接するとともに、嵌合凹部に係合したときに先端部分がホルダの下部面又は下方嵌合凸部の第2パネル側の側面の少なくとも一方に強く当接する。
【0016】
その結果、第1リップの有するホルダ部の嵌合凹部の両側側面との間の高い摩擦力、第2リップの有するホルダの下部面又は下方嵌合凸部の第2パネル側の側面の少なくとも一方への強い当接力等、及びそれらの相乗効果により、第1パネルが上方に開くときにルーフウェザストリップのシール部が上方に引っ張れても、第1パネルとの固着力に抗してルーフウェザストリップの取付基部がホルダ部に強固に固定されているので、ルーフウェザストリップが外れることを防止することができる。
【0017】
又、第1リップの断面が略J字状、第2リップの断面が略横v字状に形成されているので、両リップを撓ませてホルダ部の嵌合凸部を乗り越えて当接させ、嵌合凹部と係合させることができるので、ルーフウェザストリップのホルダ部への装着が容易であり、極めて高い作業性を有している。
【0018】
さらに、第1リップと第2リップがともにリップ形状であるため、ルーフウェザストリップの重量を増加させることもない。
【0019】
ここで、第1リップの断面が略J字状とは、一旦下方に延びた縦棒部の先端部が左側に弧状に折り返されて上方に延びる形状をいい、第2リップの断面が略横v字状とは、取付基部の下方から第2パネル側に向け、斜め上方に延びた先端部が折り返されて第1パネル側に向け、斜め上方に延びる形状をいう。
【0020】
請求項2の本発明は、第1リップの下方への延出長は、第2リップの上方への延出長より長く設定されているルーフウェザストリップである。請求項2の本発明では、第1リップの下方への延出長は、第2リップの上方への延出長より長く設定されているので、取付基部に形成された断面が略横v字状の第2リップをホルダ部の下方嵌合凸部を乗り越えさせて取付けるときに、第2リップの先端部分を大きくに拡げる、すなわち、v字の角度を大きくする必要がなく、組付け性に優れている。
【0021】
請求項3の本発明は、取付基部において、ホルダ部の嵌合凸部の第1パネル側側面に当接する面の上方端部又は下方端部の少なくとも一方には、凹部が形成されているルーフウェザストリップである。
【0022】
請求項3の本発明では、取付基部において、ホルダ部の嵌合凸部の第1パネル側側面に当接する面の上方端部又は下方端部の少なくとも一方には、凹部が形成されているので、ホルダ部の上方嵌合凸部及び下方嵌合凸部とルーフウェザストリップの取付基部との間の寸法誤差を吸収することができ、ルーフウェザストリップをホルダ部に確実に取付けることができる。又、それに伴い、組付け性もよい。
【発明の効果】
【0023】
ルーフウェザストリップの取付基部には、ホルダ部の上方嵌合凸部を車両上方から覆い、ホルダ部の嵌合凹部の上部面に当接する断面が略J字状の第1リップと、取付基部の下方から第2パネル側に向け、斜め上方に延びた先端部が折り返されて第1パネル側に向け、斜め上方に延び、ホルダ部の下方嵌合凸部を車両下方から覆い、ホルダ部の嵌合凹部の下部面に当接する断面が略横v字状の第2リップが形成されているので、第1リップの有するホルダ部の嵌合凹部の両側側面との高い摩擦力、第2リップの有するホルダ部の下部面又は車両下方の下方嵌合凸部の第1パネル側の側面の少なくとも一方への強い当接力等、及びそれらの相乗効果により、第1パネルが再度上方に開くときにルーフウェザストリップが上方に引っ張れても、第1パネルとの固着力に抗してルーフウェザストリップの取付基部がホルダ部に強固に固定され、ルーフウェザストリップが外れることを防止することができる。
【0024】
又、第1リップの断面が略J字状、第2リップの断面が略横v字状に形成されているので、両リップを撓ませてホルダ部の嵌合凸部を乗り越えて当接させ、嵌合凹部と当接させることができるので、ルーフウェザストリップのホルダ部への装着が容易であり、優れた組付け性を有している。
【0025】
さらに、第1リップと第2リップがともにリップ形状であるため、ルーフウェザストリップの重量を増加させることもない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の実施形態を示す車両のルーフ部分の分解斜視図である。
図2】本発明の第1の実施形態におけるルーフウェザストリップの断面図である。
図3】本発明の第1の実施形態におけるルーフウェザストリップをルーフに装着したときの図1のルーフウェザストリップのA-A断面の断面図である。
図4】本発明の第2の実施形態におけるルーフウェザストリップの断面図である。
図5】本発明の第1の実施形態におけるルーフウェザストリップをルーフに装着したときの図1のルーフウェザストリップのA-A断面の断面図である。
図6】従来形態を示す断面図である(特許文献1)。
図7】従来形態を示す断面図である(特許文献2)。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の第1の実施形態について図1から図3に基づき説明する。なお、以下では、車両の前後方向を「前後方向」といい、車両の高さ方向上方及び下方をそれぞれ「上方」及び「下方」という。又、車両の幅方向を「幅方向」という。
【0028】
図1に示すように、自動車などの車両のルーフ10には、略四角形の開口11が形成されている。この開口11の開口縁は、その略全周に亘って下方に延びる略四角筒状のボデー側フランジ部12を含む。そして、ルーフ10には、例えばガラス板からなる略四角形の可動パネルである第1パネル20及び固定パネルである第2パネル30が前後方向に並設されている。第1パネル20は、開口11の前部を開閉可能に取り付けられている。すなわち、第1パネル20は、その前側部位を支点に後側部位が上昇するチルトアップ動作、及び前後方向へのスライド動作可能に取り付けられている。第1パネル20による開口11の前部の開閉作動においては、チルトアップ状態のままスライド動作する、いわゆるアウタースライディング式が採用されている。なお、第1パネル20は、その周縁部に沿う、ポリウレタンの樹脂材からなる略四角環状の第1パネル縁部21を含む。なお、第1パネル縁部21の樹脂材はポリウレタンには限られない。
【0029】
一方、第2パネル30は、開口11の後部を常時閉塞するように取り付けられている。なお、第2パネル30は、その周縁部に沿う、例えば樹脂材からなる略四角環状の第2パネル縁部32を含む。
【0030】
又、ルーフ10には、開口11の幅方向両縁部にそれぞれ沿って前後方向に延在する一対のガイドレール13が設置されている。さらに、ルーフ10には、開口11の前縁部に沿って延在して両ガイドレール13の前端同士を幅方向に接続するフロントハウジング14が設置されるとともに、開口11の後縁部に沿って延在して両ガイドレール13の後端同士を幅方向に接続するリヤハウジング15が設置されている。各ガイドレール13は、例えばアルミニウム合金の押出材からなり、フロントハウジング14及びリヤハウジング15は共に、例えば樹脂材からなる。
【0031】
なお、両ガイドレール13には、一対の機能部品(図示せず)がそれぞれ前後方向に移動可能に支持されている。両機能部品には、それらの間に橋渡しされる状態で第1パネル20が連係及び支持されている。第1パネル20は、両機能部品の前後方向の移動に伴って開閉作動する。
【0032】
ルーフ10には、ウェザストリップ40が設置されている。このウェザストリップ40は、開口11の周縁部に沿う略四角環状のウェザストリップ本体41、第2パネル30の前縁部に沿って幅方向に延在するルーフウェザストリップ50、及びウェザストリップ本体41及びルーフウェザストリップ50の幅方向両端の各々を一体的に接続する型成形の接続部42を有する。
【0033】
そして、ウェザストリップ本体41は、開口11の幅方向両縁部に沿って前後方向にそれぞれ延在する一対の側部ウェザストリップ43、及び開口11の前後方向両縁部に沿って幅方向にそれぞれ延在する一対の前後部ウェザストリップ44を有する。各側部ウェザストリップ43の前端及び後端は、型成形の角部45をそれぞれ介して一対の側部ウェザストリップ43の先端にそれぞれ接続されている。
【0034】
なお、各側部ウェザストリップ43は、前後方向に略一定断面を有する押出材からなり、各前後部ウェザストリップ44及びルーフウェザストリップ50は、共に幅方向に略一定断面を有する押出材からなる。本発明は、ルーフウェザストリップ50に関するものである。
【0035】
ルーフウェザストリップ50は、図2に示すように、取付基部51と、第1パネル20の第1パネル縁部21に弾性的に接触可能な断面略弓形のシール部52を有している。シール部52は、取付基部51の外側面との間に断面略D字状の中空部53を形成している。
【0036】
取付基部51には、後述する第2パネル30のホルダ部31の上方嵌合凸部36を車両上方から覆うとともに、嵌合凹部34に向かって延出された断面が略J字状、すなわち、一旦下方に延びた縦棒部55の先端部が左側に弧状に折り返されて上方に延びる形状の第1リップ54が形成されている。第1リップ54は、先端部分が先細り形状になっている。
【0037】
又、ホルダ部31の下方嵌合凸部37を車両下方から覆うとともに、嵌合凹部34の下部面に向かって突設された断面が略横v字状、すなわち、取付基部51の下方から第2パネル30側に向け、斜め上方に延びた先端部が折り返されて第1パネル側に向け、斜め上方に延びる形状の第2リップ56が形成されている。第2リップ56の下方部位57は肉厚に形成されている。
【0038】
ルーフウェザストリップ50は、取付基部51、第1リップ54及び第2リップ56をEPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)のソリッド材で、シール部52をEPDMのスポンジ材を用い、押出成形により成形した。
【0039】
図3は、ルーフウェザストリップ50をルーフ10に装着したときのルーフウェザストリップ50近傍の断面図である。固定パネルである第2パネル30の可動パネルである第1パネル20側には、ルーフウェザストリップ50を嵌着するための第2パネル縁部32と、第2パネル縁部32で下側部から車両の前方に向かって断面略フック状の第1パネル側係合突部33を有するホルダ部31が突設されている。すなわち、ホルダ部31は、第1パネル20方向に車両高さ方向に絞られた嵌合凹部34と、嵌合凹部34に接続する車両上下方向に突出する上方嵌合凸部36及び下方嵌合凸部37を有する嵌合凸部35を有している。又、ホルダ部31の嵌合凸部35は、下方が肉厚に形成され、第1パネル20側の側面は、上方に向い第2パネル30側に傾斜している。
【0040】
ルーフウェザストリップ50を第2パネル30のホルダ部31に取付けるには、まず、取付基部51に形成された断面が略J字状の第1リップ54を、ホルダ部31の嵌合凹部34に挿入する。略J字状の第1リップ54は、嵌合凹部34の両側面に当接することにより、変形されて嵌合凹部34に挿入されるので、第1リップ54を嵌合凹部34内に容易に挿入して取付けることができる。又、取付けが完了したときには、第1リップ54は、嵌合凹部34の両側面に当接して固定されるので、当接による反力によって、第1リップ54を嵌合凹部34に強固に固定することができる。なお、第1リップ54を嵌合凹部34の奥深くまで挿入し、嵌合凹部34の底面と当接させてもよい。
【0041】
次に、取付基部51に形成された断面が略横v字状の第2リップ56をホルダ部31の下方嵌合凸部37を乗り越えさせる。このとき、第2リップ56は断面が略横v字状に形成されているので、先端部分を容易に拡げる、すなわち、v字の角度を大きくすることができ、第2リップ56の先端部分を容易に乗り越えさせることができる。又、第2リップ56の下方部位57は肉厚に形成されているので、先端部分を拡げるときに第2リップ56自身が下方に折れ曲がってしまうことがない。したがって、作業性に極めて優れている。
【0042】
そして、第2リップ56をホルダ部31の下方嵌合凸部37を乗り越えさせた後は、第2リップ56は、ホルダ部31の下方嵌合凸部37の下方側の面に当接するとともに、嵌合凹部34に係合したときに先端部分がホルダ部31の嵌合凹部34と下方嵌合凸部37の接続部近傍に当接する。なお、第2リップ56の当接部は、上記の嵌合凹部34と下方嵌合凸部37の接続部近傍のみならず、嵌合凹部34の下部や下方嵌合凸部37の第2パネル30側の側面であってもよい。
【0043】
このとき取付基部51と嵌合凸部35の第1パネル20側側面も当接するので、第1リップ54と、第2リップ56と、取付基部51と嵌合凸部35の第1パネル20側側面との当接により、ルーフウェザストリップ50を第2パネル30のホルダ部31に強固に固定することができる。
【0044】
したがって、第1パネル20が長期にわたり閉塞され、第1パネル20の第2パネル30側の端部にポリウレタンで形成された第1パネル縁部21とルーフウェザストリップ50のシール部52が固着し、第1パネル20を開いたとき、すなわち、図3において、第1パネル20が矢印方向に動いたときでも、第1リップ54の有するホルダ部31の嵌合凹部34の両側側面との高い摩擦力、第2リップ56の有するホルダ部31の下方嵌合凸部37の接続部近傍への強い当接力等、及びそれらの相乗効果により、第1パネル20との固着力に抗してルーフウェザストリップ50の取付基部51がホルダ部31に強固に固定されているので、ルーフウェザストリップ50が外れることを防止することができる。
【0045】
さらに、第1リップ54と第2リップ56がともにリップ形状であるため、ルーフウェザストリップ50の重量を増加させることもない。
【0046】
次に、本発明の第2の実施形態について図4及び図5に基づき説明する。第2の実施形態における上記第1の実施形態との相違点は、取付基部51において、凹部58が形成されている点にある。
【0047】
図4に示すように、取付基部51には、ホルダ部31の嵌合凸部35の第1パネル20側側面に当接する部分の上方端部及び下方端部には、凹部58が形成されている。そして、このルーフウェザストリップ50をホルダ部31に装着した場合が図5である。
【0048】
ホルダ部31の上方嵌合凸部36及び下方嵌合凸部37と、ルーフウェザストリップ50の取付基部51には寸法誤差が必ずある。図5から明らかなように、凹部58を形成することにより、凹部58がホルダ部31の嵌合凸部35とルーフウェザストリップ50との間寸法誤差を吸収することができ、ルーフウェザストリップ50をホルダ部31の所定の位置に確実に取付けることができる。又、それに伴い、組付け性も向上する。
【0049】
なお、凹部58は、取付基部51の、ホルダ部31の嵌合凸部35の第1パネル20側側面に当接する部分の上方端部のみ、又は下方端部のみに形成してもよい。
【0050】
本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0051】
ルーフウェザストリップ50は、取付基部51、第1リップ54及び第2リップ56をEPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)のソリッド材で、シール部52をEPDMのスポンジ材を用いたが、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)や動的架橋型熱可塑性エラストマー(TPV)などの熱可塑性エラストマーのソリッド材とスポンジ材を用いてもよい。また、シール部52の外側に第1パネル縁部21と同じ樹脂材(ポリウレタン)の被膜を形成してもよい。
【0052】
ホルダ部31の下方面は、嵌合凹部34を含み下方嵌合凸部37との接続部まで同一面となっているが、特許文献2と同様に、車両上下方向に絞られた嵌合凹部とし、嵌合凹部に接続して車両上下方向に突出する上方嵌合凸部及び下方嵌合凸部を有する嵌合凸部が形成されているようにしてもよい。
【符号の説明】
【0053】
20 第1パネル
21 第1パネル縁部
30 第2パネル
31 ホルダ部
34 嵌合凹部
35 嵌合凸部
36 上方嵌合凸部
37 下方嵌合凸部
50 ルーウェザストリップ
51 取付基部
52 シール部
54 第1リップ
56 第2リップ
58 凹部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7