(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】表示装置及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G01C 21/26 20060101AFI20221129BHJP
G09B 29/00 20060101ALI20221129BHJP
G09B 29/10 20060101ALI20221129BHJP
【FI】
G01C21/26 C
G09B29/00 F
G09B29/10 A
(21)【出願番号】P 2019062557
(22)【出願日】2019-03-28
【審査請求日】2021-11-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】竹内 優太
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 裕司
(72)【発明者】
【氏名】常川 勝広
【審査官】小林 勝広
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-142679(JP,A)
【文献】特開2010-169423(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/00-21/36、23/00-25/00
G08G 1/00-99/00
B60L 1/00- 3/12、 7/00-13/00、
15/00-58/40
G09B 23/00-29/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気自動車の現在位置と、前記電気自動車が有するバッテリの残充電量とに基づいて、前記現在位置から前記残充電量で前記電気自動車が走行可能な走行可能領域を示す第1領域図形を生成する第1領域図形生成手段と、
前記第1領域図形が示す前記走行可能領域の一部を区画した判断領域を設定する判断領域設定手段と、
前記判断領域設定手段が設定した前記判断領域に含まれる充電施設の数に基づいて、前記第1領域図形の大きさを調整した第2領域図形を生成する第2領域図形生成手段と、
前記第2領域図形を表示する表示手段と、を有する表示装置。
【請求項2】
前記第2領域図形生成手段は、
前記判断領域に含まれる充電施設の数に基づいて、前記第1領域図形の大きさを小さく調整し、前記判断領域に含まれる前記充電施設の数が第1数であることに基づいて、前記第1領域図形を小さくする調整量に比べて、前記判断領域に含まれる前記充電施設の数が前記第1数より少ない第2数であることに基づいて、前記第1領域図形を小さくする調整量を多くする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第1領域図形を示す外周線を、前記電気自動車が存在する内側に向かって所定距離だけ移動させた移動後外周線で囲まれた第3領域図形を生成する第3領域図形生成手段を有し、
前記判断領域設定手段は、
前記第1領域図形の前記外周線と、前記第3領域図形の前記移動後外周線との間の領域を前記判断領域として設定する、請求項1又は請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記判断領域設定手段は、
前記電気自動車の前記現在位置を基準とした各方位に対応する前記判断領域を設定し、
前記第2領域図形生成手段は、
各方位のうち、所定方位に対応する前記判断領域に含まれる前記充電施設の数に基づいて、前記所定方位に対応する前記第1領域図形の大きさを調整する、請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記第2領域図形生成手段は、
前記所定方位に対応する前記判断領域と、前記判断領域に隣接する隣接判断領域との両方に含まれる前記充電施設の数に基づいて、前記所定方位に対応する前記第1領域図形の大きさを調整する、請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記第1領域図形生成手段は、
前記電気自動車の前記現在位置から前記残充電量の全てを使用するまで走行した電欠位置を算出し、前記電気自動車の前記現在位置を基準とした各方位に前記電欠位置を設定し、前記現在位置を中心として周方向に並ぶ各方位の前記電欠位置に対し、隣り合う前記電欠位置を前記外周線で結んだ図形を前記第1領域図形として生成し、
前記判断領域設定手段は、
複数の前記電欠位置に含まれる第1電欠位置と、前記第1電欠位置と隣り合う第2電欠位置と、前記現在位置の3つの位置を結ぶ直線で囲まれ、且つ、前記外周線と前記移動後外周線との間となる領域を前記判断領域として設定する、請求項3に記載の表示装置。
【請求項7】
走行可能な領域の図形を表示させるコンピュータプログラムであって、
コンピュータを、
電気自動車の現在位置と、前記電気自動車が有するバッテリの残充電量とに基づいて、前記現在位置から前記残充電量で前記電気自動車が走行可能な走行可能領域を示す第1領域図形を生成する第1領域図形生成手段と、
前記第1領域図形が示す前記走行可能領域の一部を区画した判断領域を設定する判断領域設定手段と、
前記判断領域設定手段が設定した前記判断領域に含まれる充電施設の数に基づいて、前記第1領域図形の大きさを調整した第2領域図形を生成する第2領域図形生成手段と、
前記第2領域図形を表示する表示手段と、して機能させる為のコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行可能な領域を示す領域図形を表示する表示装置及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両が有するバッテリの残充電量に基づいて、走行可能な領域を示す領域図形を表示する表示装置がある。例えば、特開2017-203733には、車両の現在位置と、バッテリの残充電量に基づいて、その残充電量で航続可能な航続可能範囲を算出し、算出した航続可能範囲を地図情報に重畳させて表示する表示装置に係わる技術が開示されている。
【0003】
特開2017-203733の表示装置では、航続可能範囲の算出の際に、残充電量に10%の余力を残した範囲を設定している。具体的には、表示装置は、現在位置から経路探索を実行し、残充電量が10%未満となるノードを検出するまで経路探索を実行する。表示装置は、検出したノードを線で結んだ領域を、航続可能範囲として生成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-203733号公報(段落0031、0032、
図5)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、バッテリを充電可能な充電施設の数は、航続可能範囲内の各場所によって異なっている。しかしながら、上記特許文献1では、残充電量として一律に10%の余力を残したノードを探索し、そのノードを線で結んだ範囲を航続可能範囲として設定している。例えば、想定よりも電力を消費してしまい充電の必要がある場合、自車位置周辺に充電施設が少ない場所では、最寄りの充電施設までの移動距離が比較的遠い可能性が高い。このため、多めに余力を残しておく必要がある。一方で、充電施設が多い場所では最寄りの充電施設までの移動距離が比較的短いため、より余力を少なく設定できる。つまり、航続可能距離を長く設定できる。上記特許文献1では、余力を一律にして航続可能範囲を表示しており、充電施設の数に応じた適切な航続可能範囲を表示できていなかったという問題がある。
【0006】
本発明は前記従来における問題点を解消するためになされたものであり、残充電量で走行可能な領域を示す領域図形の大きさを、充電施設の数に応じて調整して表示できる表示装置及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため本発明に係る表示装置は、電気自動車の現在位置と、前記電気自動車が有するバッテリの残充電量とに基づいて、前記現在位置から前記残充電量で前記電気自動車が走行可能な走行可能領域を示す第1領域図形を生成する第1領域図形生成手段と、前記第1領域図形が示す前記走行可能領域の一部を区画した判断領域を設定する判断領域設定手段と、前記判断領域設定手段が設定した前記判断領域に含まれる充電施設の数に基づいて、前記第1領域図形の大きさを調整した第2領域図形を生成する第2領域図形生成手段と、前記第2領域図形を表示する表示手段と、を有する。
【0008】
また、本発明に係るコンピュータプログラムは、走行可能な領域の図形を表示させるコンピュータプログラムであって、コンピュータを、電気自動車の現在位置と、前記電気自動車が有するバッテリの残充電量とに基づいて、前記現在位置から前記残充電量で前記電気自動車が走行可能な走行可能領域を示す第1領域図形を生成する第1領域図形生成手段と、前記第1領域図形が示す前記走行可能領域の一部を区画した判断領域を設定する判断領域設定手段と、前記判断領域設定手段が設定した前記判断領域に含まれる充電施設の数に基づいて、前記第1領域図形の大きさを調整した第2領域図形を生成する第2領域図形生成手段と、前記第2領域図形を表示する表示手段と、して機能させる。
【発明の効果】
【0009】
前記構成を有する本発明に係る表示装置及びコンピュータプログラムによれば、残充電量で走行可能な走行可能領域の中に、充電施設の判断に用いる判断領域を設定する。そして、当該表示装置等では、設定した判断領域に含まれる充電施設の数に基づいて、走行可能領域を示す第1領域図形の大きさを調整することにより第2領域図形を生成し、表示することができる。これにより、第1領域図形の大きさを、判断領域内の充電施設の数に応じて調整して表示できる。例えば、充電施設の数が多い場所や密度の高い場所等では残充電量の余力(バッファ)を減らしても良く。その結果走行距離(航続距離)を長く表示できる。また、充電施設の数が少ない場所や密度の低い場所では逆に余力(バッファ)を増やしても良い。その結果走行距離(航続距離)をより短く表示するものの、最寄りの充電施設までの移動距離が比較的長い場合でも、十分な余力(バッファ)を残しておくことができる。当該表示装置等では、残充電量で走行可能(航続可能)な領域図形の大きさを、上記した充電施設の数に応じて適切に調整して表示できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態に係るナビゲーション装置を示したブロック図である。
【
図2】本実施形態に係る領域図形表示処理プログラムのフローチャートである。
【
図3】領域図形表示処理プログラムの第1領域図形生成処理の内容を示すフローチャートである。
【
図4】第2領域図形を液晶ディスプレイに表示した画面を示す図である。
【
図5】第1領域図形を生成する処理を説明するための図である。
【
図6】第3領域図形の生成処理と、判断領域の設定処理を説明するための図である。
【
図8】第1領域図形と、調整後の第2領域図形と、充電施設との関係を示す図である。
【
図9】別例の判断領域と、隣接判断領域とを用いる場合を説明するための図である。
【
図10】別例の第2領域図形を液晶ディスプレイに表示した画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る表示装置をナビゲーション装置に具体化した一実施形態に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。先ず、本実施形態に係るナビゲーション装置1の概略構成について
図1を用いて説明する。
図1は本実施形態に係るナビゲーション装置1を示したブロック図である。
【0012】
図1に示すように本実施形態に係るナビゲーション装置1は、ナビゲーション装置1が搭載された車両(例えば、電気自動車)の現在位置を検出する現在位置検出部11と、各種のデータが記録されたデータ記録部12と、入力された情報に基づいて、各種の演算処理を行うナビゲーションECU13と、ユーザからの操作を受け付けるタッチパネル14と、ユーザに対して車両周辺の地図や後述の領域図形等を表示する液晶ディスプレイ15と、経路案内に関する音声ガイダンスを出力するスピーカ16と、記憶媒体であるDVDを読み取るDVDドライブ17と、プローブセンタやVICS(登録商標:Vehicle Information and Communication System)センタ等の情報センタとの間で通信を行う通信モジュール18と、を備えている。
【0013】
以下に、ナビゲーション装置1が備える各構成要素について順に説明する。
現在位置検出部11は、GPS21、車速センサ22、ステアリングセンサ23、ジャイロセンサ24等を備え、現在の車両の位置、方位、車両の走行速度、現在時刻等を検出することが可能となっている。ここで、特に車速センサ22は、車両の移動距離や車速を検出する為のセンサであり、車両の駆動輪の回転に応じてパルスを発生させ、パルス信号をナビゲーションECU13に出力する。そして、ナビゲーションECU13は発生するパルスを計数することにより駆動輪の回転速度や移動距離を算出する。尚、上記4種類のセンサをナビゲーション装置1が全て備える必要はなく、これらの内の1又は複数種類のセンサのみをナビゲーション装置1が備える構成としても良い。
【0014】
また、データ記録部12は、外部記憶装置及び記録媒体としてのハードディスク(図示せず)と、ハードディスクに記録された地図情報DB31や所定のプログラム等を読み出すとともにハードディスクに所定のデータを書き込む為のドライバである記録ヘッド(図示せず)とを備えている。尚、データ記録部12をハードディスクの代わりに不揮発性メモリ、メモリーカード、CDやDVD等の光ディスクにより構成しても良い。また、地図情報DB31は、外部のサーバに格納され、ナビゲーション装置1から通信により取得される構成でも良い。
【0015】
ここで、地図情報DB31は、例えば、道路(リンク)に関するリンクデータ33、ノード点に関するノードデータ34、各交差点に関する交差点データ35、経路の探索に係る処理に用いられる探索データ36、施設等の地点に関する地点データ、地図を表示するための地図表示データ、地点を検索するための検索データ等が記憶された記憶手段である。特に本実施形態では、地図情報DB31には、後述するバッテリ51の充電を行なうことが可能な充電施設に関するデータが記憶されている。
【0016】
また、リンクデータ33としては、道路を構成する各リンクに関してリンクの属する道路の幅員、勾(こう)配、カント、バンク、路面の状態、道路の車線数、車線数の減少する箇所、幅員の狭くなる箇所、踏切等を表すデータが、コーナに関して、曲率半径、交差点、T字路、コーナの入口及び出口等を表すデータが、道路属性に関して、降坂路、登坂路等を表すデータが、道路種別に関して、国道、県道、細街路等の一般道のほか、高速自動車国道、都市高速道路、一般有料道路、有料橋等の有料道路を表すデータがそれぞれ記録される。
【0017】
また、ノードデータ34としては、実際の道路の分岐点(交差点、T字路等も含む)や各道路に曲率半径等に応じて所定の距離毎に設定されたノード点の座標(位置)、ノードが交差点に対応するノードであるか等を表すノード属性、ノードに接続するリンクのリンク番号のリストである接続リンク番号リスト、ノードにリンクを介して隣接するノードのノード番号のリストである隣接ノード番号リスト、各ノード点の高さ(高度)等に関するデータ等が記録される。
【0018】
また、交差点データ35としては、該交差点を形成するノードを特定する該当ノード情報、該交差点に接続されるリンク(以下、接続リンクという)を特定する接続リンク情報、該交差点におけるリンクの接続角度等が記憶される。
【0019】
また、探索データ36としては、後述のように出発地(例えば車両の現在位置)から設定された目的地までの経路を探索する経路探索処理に使用される各種データについて記録されている。具体的には、交差点に対する経路として適正の程度を数値化したコスト(以下、交差点コストという)や道路を構成するリンクに対する経路として適正の程度を数値化したコスト(以下、リンクコストという)等の探索コストを算出する為に使用するコスト算出データが記憶されている。また、本実施形態では、探索データ36には、各道路を走行する際に消費する予想燃費(電費)、乗員や天候等により変動する燃費(電費)を調整するための調整値、過去の燃費(電費)の実績データ等、燃料(残充電量)がなくなる位置(電欠位置など)を探索するためのデータが記憶されている。
【0020】
ここで、交差点コストは、探索コストの算出対象となる経路に含まれる交差点に対応するノード毎に設定され、信号機の有無、交差点を通過する際の自車の走行経路(即ち直進、右折及び左折の種類)等によってその値が算出される。また、リンクコストは、探索コストの算出対象となる経路に含まれるリンク毎に設定され、リンク長を基本にして、該リンクの道路属性や道路種別、道路幅、車線数、勾配、交通状況等を考慮して算出される。
【0021】
ナビゲーション装置1は、ユーザによって設定された目的地や探索条件によって目的地までの経路探索や経路の案内を行なう。探索条件としては、例えば、『燃費』、『距離』、『時間』などの項目を採用できる。例えば、『燃費』に対して高い優先度を設定すれば、目的地までに消費する燃料を少なくすることを優先した経路探索を行なう。ここでいう燃料とは、例えば、ガソリン車であればガソリンであり、電気自動車であればバッテリの充電量である。『距離』に対して高い優先度を設定すれば、目的地までの距離が短くなることを優先した経路探索を行う。『時間』に対して高い優先度を設定すれば、目的地までの所要時間が短くなることを優先した経路探索を行う。
【0022】
更に本実施形態のナビゲーション装置1は、残燃料及び燃料を補給する燃料補給所に応じた領域図形の表示を行なうことができ、その表示を行なう際に経路探索を実行する。以下の説明では、一例として、車両として電気自動車を採用し、燃料補給所として充電施設を採用した場合について説明する。ここでいう電気自動車とは、外部から充電可能なバッテリを備え、該バッテリから供給される電力に基づいて駆動されるモータを駆動源とする自動車である。また、充電施設とは、バッテリを充電することが可能な設備を備えた施設である。また、電気自動車とは、純粋に電気エネルギーで駆動する電気自動車のみならず、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン等の燃焼機関と併用するいわゆるハイブリッド車でも良い。また、本願の車両は、電気自動車に限らず、ガソリン車や燃料電池車でも良い。
【0023】
尚、上記した目的地までの経路探索処理や、領域図形を表示するための経路探索処理についてはナビゲーション装置1と通信可能に接続された外部サーバで行うようにしても良い。外部サーバで経路探索を行う場合には、ナビゲーション装置1からサーバ装置へ現在位置、目的地、探索条件等の経路探索に必要な情報が経路探索要求とともに送信される。そして経路探索要求を受信したサーバ装置は、サーバ装置の有する地図情報を用いて経路探索を行い、目的地等までの経路を特定する。その後、特定された経路を要求元のナビゲーション装置1へと送信する。それによって、経路探索時点においてナビゲーション装置1が有する地図情報が古いバージョンの地図情報である場合や、ナビゲーション装置1が地図情報自体を有さない場合でも、サーバ装置が有する最新バージョンの地図情報に基づいて適切な経路を設定することが可能となる。
【0024】
また、ナビゲーションECU(エレクトロニック・コントロール・ユニット)13は、ナビゲーション装置1の全体の制御を行う電子制御ユニットであり、演算装置及び制御装置としてのCPU41、並びにCPU41が各種の演算処理を行うにあたってワーキングメモリとして使用されるとともに、経路が探索されたときの経路データ等が記憶されるRAM42、制御用のプログラムのほか、後述の領域図形表示処理プログラム(
図2、
図3参照)等が記録されたROM43、ROM43から読み出したプログラムを記憶するフラッシュメモリ44等の内部記憶装置を備えている。
【0025】
尚、ナビゲーションECU13は、処理アルゴリズムとしての各種手段を構成する。例えば、第1領域図形生成手段は、電気自動車の現在位置と、電気自動車が有するバッテリの残充電量とに基づいて、現在位置から残充電量で電気自動車が走行可能な走行可能領域を示す第1領域図形を生成する。また、判断領域設定手段は、第1領域図形が示す走行可能領域の一部を区画した判断領域を設定する。第2領域図形生成手段は、判断領域設定手段が設定した判断領域に含まれる充電施設の数に基づいて、第1領域図形の大きさを調整した第2領域図形を生成する。表示手段は、第2領域図形を液晶ディスプレイ15に表示する。第3領域図形生成手段は、第1領域図形の外周を示す外周線を、電気自動車が存在する内側に向かって所定距離だけ移動させた移動後外周線で囲まれた第3領域図形を生成する。
【0026】
タッチパネル14は、液晶ディスプレイ15の表示領域の前面に配置され、地図画像のスクロール表示を行う場合や表示領域に配置されたボタンを選択する場合等に操作される。そして、ナビゲーションECU13は、タッチパネル14の操作によりタッチパネル14から出力される検出信号に基づき、タッチパネル14に対する操作内容(タッチ操作、ドラッグ操作やフリック操作)を検出する。尚、ユーザのタッチ操作を受け付ける操作手段としては、タッチパネル14の代わりにタブレット等の操作手段を用いても良い。
【0027】
また、液晶ディスプレイ15には、道路を含む地図画像、交通情報、操作案内、操作メニュー、キーの案内、出発地から目的地までの案内経路、案内経路に沿った案内情報、ニュース、天気予報、時刻、メール、テレビ番組等が表示される。特に本実施形態では充電施設に応じた領域図形が液晶ディスプレイ15に表示される(
図4参照)。尚、液晶ディスプレイ15の代わりに、HUDやHMDを用いても良い。
【0028】
また、スピーカ16は、ナビゲーションECU13からの指示に基づいて案内経路に沿った走行を案内する音声ガイダンスや、交通情報の案内を出力する。
【0029】
また、DVDドライブ17は、DVDやCD等の記録媒体に記録されたデータを読み取り可能なドライブである。そして、読み取ったデータに基づいて音楽や映像の再生、地図情報DB31の更新等が行われる。尚、DVDドライブ17に替えてメモリーカードを読み書きする為のカードスロットを設けても良い。
【0030】
また、通信モジュール18は、交通情報センタ、例えば、VICSセンタやプローブセンタ等から送信された交通情報、プローブ情報、天候情報等を受信する為の通信装置であり、例えば携帯電話機やDCMが該当する。
【0031】
また、本実施形態のナビゲーション装置1は、電気自動車に搭載されたバッテリ51を制御するバッテリコントローラ52に接続されている。バッテリコントローラ52は、バッテリ51と接続され、バッテリ51に供給される電流の大きさ(電流値)や電圧の大きさ(電圧値)を制御する。また、バッテリコントローラ52は、バッテリ51の電流値、電圧値、及び温度等の検出値に基づいて、バッテリ51の残充電量を演算可能となっている。ナビゲーション装置1のナビゲーションECU13は、バッテリコントローラ52と接続され、バッテリコントローラ52から入力される信号に基づいて、バッテリ51の残充電量を検出することができる。
【0032】
続いて、上記構成を有する本実施形態に係るナビゲーション装置1においてCPU41が実行する領域図形表示処理プログラムについて
図2及び
図3に基づき説明する。
図2及び
図3は本実施形態に係る領域図形表示処理プログラムのフローチャートである。ここで、領域図形表示処理プログラムは、例えば、タッチパネル14の特定のボタンをタッチされた場合に実行され、後述する第2領域図形を地図画像に表示するプログラムである。尚、領域図形表示処理プログラムの実行を開始する条件は、タッチパネル14に対するタッチ操作を検出する条件に限らず、例えば、液晶ディスプレイ15に表示する地図画像の縮尺を特定の縮尺に変更される条件でも良い。この場合、CPU41は、特定の縮尺を選択されたことを検出すると、
図2の処理を開始する。あるいは、領域図形表示処理プログラムの実行を開始する条件は、経路探索を実行する条件でも良い。例えば、CPU41は、タッチパネル14の操作入力により目的地を設定され経路案内を開始する操作を受け付けると、
図2の処理を開始する。また、領域図形表示処理プログラムの実行を開始する条件は、バッテリ51の残充電量が所定量以下となる条件でも良い。また、以下の
図2にフローチャートで示されるプログラムは、ナビゲーション装置1が備えているRAM42やROM43に記憶されており、CPU41により実行される。
【0033】
ここで、CPU41は、
図5に示す現在位置61を囲む第1領域図形62の大きさを、充電施設63(
図4参照)の数に応じて調整した第2領域図形64(
図4参照)を、液晶ディスプレイ15に表示する。
図4に示すように、CPU41は、現在位置61を囲む第2領域図形64を液晶ディスプレイ15の地図画像65に重ねて表示する。尚、
図4の地図画像65は、所定の縮尺(図示例ではXkm)で表示した地図画像65を示している。
図4に示すマーク、尺度等は一例である。例えば、充電施設63のマークとして、説明の便宜上、同一マークを使用しているが、充電施設63のサービス会社ごとに異なるマークを用いても良い。
【0034】
詳述すると、
図2に示すように、先ず、領域図形表示処理プログラムではステップ(以下、Sと略記する)1において、CPU41は、第1領域図形生成処理を実行し、第1領域図形62を生成する。
図3は、第1領域図形生成処理の内容を示している。
【0035】
図3に示すように、CPU41は、第1領域図形生成処理を開始すると、現在位置61とバッテリ51の残充電量に基づいて到達可能領域67を設定する(S21)。
図5は、第1領域図形62を生成する処理を説明するための図である。
図5に示すように、CPU41は、例えば、現在位置61を中心とした円を外縁とする領域を、到達可能領域67として設定する。到達可能領域67は、到達最長距離R1を半径とする円の領域である。ここでいう到達最長距離R1とは、例えば、現在位置61から直線上に理想的な走行条件で、且つ残充電量の全てを使用するまで走行した場合の距離である。理想的な走行条件とは、例えば、現在位置61から1方向(例えば、南北方向)に沿って勾配のない直線道路を想定し、その直線道路を停止することなく一定速度で走行する条件である。一定速度とは、例えば、バッテリ51の電力消費量が最も少ない、換言すれば、最も電費の良い速度である。即ち、到達最長距離R1は、勾配、渋滞、信号待ちなど、電費を下げる要因を全て取り除いて理想的に走行した場合に電欠となるまで走行した距離である。
【0036】
尚、到達可能領域67は、円形の領域に限らず、正方形や多角形の領域でも良い。後述するように到達可能領域67は、電欠位置72(
図5参照)を設定するための領域である。このため、到達可能領域67は、上記した理想的な走行条件(到達最長距離R1)に基づいた領域に限らず、電欠位置72を設定できる(含んでいる)領域であれば、適宜形状等を変更できる。
【0037】
CPU41は、
図3のS21を実行した後、S22を実行する。S22において、CPU41は、S21で設定した到達可能領域67の外周上に、方位毎の目的地を設定する。
図5に黒色の四角で示すように、CPU41は、例えば、現在位置61を基準とした16方位に沿った線と到達可能領域67の外周縁との交点(この場合は、16個の交点)を目的地69に設定する。目的地69は、到達可能領域67の円上において等間隔(
図5の場合は22.5度間隔)の位置に設定される。尚、
図5は、図面が繁雑となるのを防ぐため、16方位(北、北北東など)のうち、一部のみを図示している。また、
図5に示す目的地69の設定位置は、一例である。例えば、CPU41は、南北や東西のように16方位のいずれかに沿った方向から到達可能領域67の周方向へ所定角度ずれた位置を目的地69に設定しても良い。
【0038】
CPU41は、目的地69を設定すると、現在位置61から各目的地69までの経路を探索する(S22)。CPU41は、例えば、地図情報DB31の探索データ36等に基づいて、複数の目的地69の各々について、現在位置61からの経路71を探索する経路探索処理を実行する。
【0039】
CPU41は、S22を実行した後、S23を実行する。CPU41は、S22で探索した経路71に沿って、実際の走行条件に従って移動した場合に、残充電量が完全になくなる電欠の位置(以下、電欠位置という)72を算出する(S23)。ここでいう実際の走行条件とは、例えば、S21の到達可能領域67を設定する際に用いた理想的な走行条件とは異なり、実際の走行において発生する電費を変動させる要因を考慮した条件である。より具体的には、実際の走行条件とは、走行路の勾配、走行路の曲率、渋滞の発生状況、信号の数、渋滞や信号待ちにおいて消費する予想電力量などである。あるいは、実際の走行条件とは、天候(風速、雨量)や乗車人数など、電費を変動させる様々な条件を採用できる。このような走行条件に基づいて電欠位置72を設定することで、S22で設定した16方位(各目的地69)に対応する電欠位置72をより正確に算出できる。
【0040】
CPU41は、S23を実行した後、S24を実行する。CPU41は、S23で設定した各方位の電欠位置72を外周線で結び第1領域図形62を生成する。
図5の破線で示すように、CPU41は、現在位置61を中心として周方向に並ぶ各方位の電欠位置72に対し、隣り合う電欠位置72を直線の外周線73で結んで第1領域図形62を生成する。第1領域図形62は、例えば、電欠位置72を結ぶ多角形となる。この第1領域図形62は、現在位置61から残充電量で走行可能(航続可能)な走行可能領域(航続可能範囲)を示している。尚、外周線73は、直線に限らず、例えば、現在位置61を中心として2つの電欠位置72を通る曲線でも良い。
【0041】
CPU41は、S24において第1領域図形62を生成すると、
図3に示す第1領域図形生成処理を終了する。
図2に戻り、CPU41は、S1を実行すると、S2を実行する。S2において、CPU41は、
図6の一点鎖線で示すように、S1で生成した第1領域図形62を、所定距離Xだけ内側へ小さくした第3領域図形75を生成する。例えば、CPU41は、複数の電欠位置72の中から任意の第1電欠位置72Aを選択する。CPU41は、選択した第1電欠位置72Aと現在位置61とを結ぶ第1直線77を設定し、第1電欠位置72Aを第1直線77に沿って現在位置61側(内側)へ所定距離Xだけ移動させた位置78を算出する(
図6の白い丸参照)。CPU41は、全ての電欠位置72に対して、上記した第1電欠位置72Aと同様の処理を実行し、所定距離Xだけ移動させた位置78を算出する。CPU41は、隣り合う位置78を直線の移動後外周線79で接続して第3領域図形75を生成する。尚、
図6は、図面が繁雑となるのを避けるため、第1直線77や位置78の一部だけを図示している。また、第3領域図形75を生成する方法は、上記した方法に限らない。例えば、CPU41は、複数の電欠位置72のうち、任意の第1電欠位置72Aと、その第1電欠位置72Aと隣り合う第2電欠位置72Bとを結ぶ外周線73を到達可能領域67の半径方向に沿って所定距離Xだけ平行させることで、第3領域図形75を生成しても良い。
【0042】
CPU41は、S2を実行した後、S3を実行する。S3において、CPU41は、第1領域図形62と第3領域図形75との間に、判断領域81を設定する。
図6のハッチングで示すように、CPU41は、任意の第1電欠位置72Aと、第1電欠位置72Aと隣り合う第2電欠位置72Bと、現在位置61の3つの位置を結ぶ直線で囲まれ、且つ、外周線73と移動後外周線79との間となる領域を判断領域81として設定する。より具体的には、CPU41は、第1電欠位置72Aと現在位置61を結ぶ第1直線77、第2電欠位置72Bと現在位置61を結ぶ第2直線83、外周線73、移動後外周線79の4つの直線で囲まれた領域を判断領域81に設定する。本実施形態では、CPU41は、隣り合う2つの電欠位置72を一組として、各組の電欠位置72について判断領域81を設定し、合計で16個の判断領域81を設定する。CPU41は、この判断領域81に含まれる充電施設63の数に基づいて第1領域図形62の大きさを調整する。換言すれば、判断領域81は、第1領域図形62の大きさを調整するために、充電施設63を探索する領域である。
【0043】
ここで、電欠位置72は、現時点の残充電量が完全になくなると予想する位置である。しかしながら、例えば、実際に走行した場合、渋滞、路面の状態、天候などによって予想よりも電力を消費してしまい充電が必要となる場合が想定される。そこで、残充電量として一定の余力(バッファ)を持たせるため、第1領域図形62を所定距離Xだけ小さくした第3領域図形75を生成する。電気自動車が第3領域図形75(移動後外周線79)に到達した場合、設定した余力の残充電量が残ることとなり、ドライバは、その時点の残充電量で充電施設63へ移動することが可能となる。この際に、自車位置周辺に充電施設63が少ない場所では、最寄りの充電施設63までの移動距離が比較的遠くなる可能性が高い。このため、多めに余力を残しておく必要がある。一方で、充電施設63が多い場所では最寄りの充電施設63までの移動距離が比較的短くなる可能性が高い。このため、余力を少なく設定し、走行可能距離を長く設定できる。そこで、本実施形態のCPU41は、判断領域81に含まれる充電施設63の数に基づいて、第1領域図形62の大きさ、より具体的にはその判断領域81を区画する外周線73の位置を調整する。
【0044】
従って、上記した所定距離Xは、余力として残す残充電量に基づく距離であり、判断領域81を規定するための距離である。所定距離Xは、例えば、電欠が近いことをドライバに知らせるための電欠ランプ(燃料ランプ)を点灯させた時点から残充電量で走行できる距離であり、数km~数十kmである。この場合、電気自動車は、想定通りの走行を実行した場合、第3領域図形75の移動後外周線79に到達した時点で電欠ランプが点灯し、その時点の残充電量で所定距離Xだけ走行できる。尚、CPU41は、距離(所定距離X)に基づいて、第1領域図形62を小さくしなくとも良い。例えば、CPU41は、残充電量が満充電の数%(数Wh)となる位置まで、第1領域図形62を内側へ小さくしても良い。
【0045】
また、上記した判断領域81の形状や位置は一例である。例えば、CPU41は、第1電欠位置72A、第2電欠位置72B、現在位置61で囲まれた三角形の領域を判断領域81として用いても良い。あるいは、CPU41は、例えば、第1領域図形62をマトリックス状に区画した1つ1つの領域を判断領域81に設定し、1又は複数の判断領域81に基づいて第1領域図形62の大きさを調整しても良い。
【0046】
CPU41は、S3において複数の(本実施形態では16個)の判断領域81を設定すると、S4を実行する。CPU41は、S4において全ての判断領域81について処理を完了したか否かを判断する。CPU41は、後述するS5以降において、複数の判断領域81の各々について処理を実行する。このため、CPU41は、S4において、全ての判断領域81についてS5以降の処理を完了していない場合、否定判断する(S4:NO)。
【0047】
CPU41は、S4で否定判断すると(S4:NO)、複数の判断領域81の中から新規の判断領域81を選択する(S5)。CPU41は、例えば、16個の判断領域81の中から任意の判断領域81を選択する。また、CPU41は、後述するS7を実行して再度S5を実行すると、前回選択した判断領域81から時計回り方向へ1つだけずれた判断領域81を選択する。このように、CPU41は、S5を実行するごとに新たな判断領域81を選択する。
【0048】
CPU41は、S5を実行した後、S6を実行する。CPU41は、S5で選択した判断領域81内に含まれる充電施設63を抽出する(S6)。CPU41は、例えば、判断領域81の座標位置と、データ記録部12の地図情報DB31(
図1参照)に基づいて、判断領域81内の充電施設63を抽出する。尚、CPU41は、サーバ装置等へ問い合わせを行なうことで、判断領域81内の充電施設63を取得しても良い。
【0049】
CPU41は、S6を実行した後、S7を実行する。S7において、CPU41は、S6で抽出した充電施設63の数に基づいて、判断領域81に対応する第1領域図形62の外周線73を内側へ移動させる調整(第1領域図形62を小さくする調整)を実行し、第2領域図形64の最終外周線85を算出する。
図7は、外周線73を調整する状態を示している。CPU41は、判断領域81に含まれている充電施設63の数が多いほど、最終外周線85を現在位置61から遠い外側に調整する。従って、本実施形態のCPU41は、充電施設63の数が多い場所ほど、残充電量の余力(バッファ)を減らし、走行可能距離(航続可能距離)を長くする。また、CPU41は、充電施設63の数が少ない場所ほど、余力(バッファ)を増やす。これにより、外周線73の位置(第1領域図形62の大きさ)を、最終外周線85周辺の最寄りの充電施設63までの移動距離に応じて調整できる。
【0050】
例えば、CPU41は、判断領域81に含まれている充電施設63の数が予め設定された上限値以上である場合、小さくする調整量をゼロにし、その判断領域81を区画する外周線73を最終外周線85として設定する。また、
図7の矢印で示すように、CPU41は、判断領域81に含まれている充電施設63の数が少なくなるに従って、最終外周線85を内側へ移動させる調整を実行する。CPU41は、判断領域81に含まれている充電施設63の数がゼロである場合、その判断領域81の内側の線、即ち、第3領域図形75の移動後外周線79を最終外周線85として設定する。
【0051】
尚、外周線73を段階的に調整する幅(段数)は、特に限定されない。例えば、CPU41は、上限値を10個に設定し、外周線73と移動後外周線79との間の距離を10等分した幅Wを算出する。そして、CPU41は、判断領域81に含まれる充電施設63の数が、10個、9個、8個、・・と減るのに合わせて、外周線73を幅Wずつ内側へ移動させても良い。
【0052】
また、上記した外周線73の調整方法は、一例である。例えば、CPU41は、判断領域81の内側の移動後外周線79を移動させることで、外周線73を調整しても良い。CPU41は、充電施設63がゼロであれば移動後外周線79を最終外周線85に設定する。また、CPU41は、充電施設63が増えるごとに移動後外周線79を外側へ移動させ、移動させた移動後外周線79を最終外周線85に設定することで、結果的に外周線73を外側へ調整しても良い。
【0053】
また、外周線73を調整する基準は、充電施設63の数に限らない。例えば、CPU41は、充電施設63の密度に基づいて外周線73を調整しても良い。CPU41は、判断領域81の面積に対する充電施設63の数(密度)が減少するごとに外周線73を内側へ調整しても良い。
【0054】
CPU41は、
図2のS7を実行すると、S4を再度実行する。CPU41は、S4で否定判断すると(S4:NO)、S5において新たな判断領域81を選択する。CPU41は、全ての判断領域81についてS5~S7の処理を実行し、各判断領域81に対応する外周線73の調整を実行する。
【0055】
CPU41は、全ての判断領域81について処理を完了させると(S4:YES)、S8を実行する。S8において、CPU41は、
図8に示すように、S7で算出した最終外周線85を互いに結び第2領域図形64を生成する。CPU41は、例えば、任意の最終外周線85の一端と、その最終外周線85の隣の最終外周線85の一端(任意の最終外周線85に近い側の端)とを直線85Aで結び第2領域図形64を生成する。
【0056】
CPU41は、S8で第2領域図形64を生成すると、生成した第2領域図形64を地図画像65に重ねて液晶ディスプレイ15へ表示する(S9)。
図4に示すように、液晶ディスプレイ15に表示された第2領域図形64は、最終外周線85周辺の充電施設63の数に応じて、現在位置61からの走行可能距離を調整されたマップとなる。より具体的には、最終外周線85周辺に充電施設63が多い場合、最終外周線85がより外側となり、最終外周線85周辺に充電施設63が少ない場合、最終外周線85がより内側となる。これにより、本実施形態のCPU41は、残充電量で走行可能な領域を示す第2領域図形64(第1領域図形62)の大きさを、充電施設63の数に応じて適切に調整して表示できる。
【0057】
CPU41は、S9を実行すると、
図2に示す領域図形表示処理プログラムを終了する。尚、CPU41は、一度、第2領域図形64を表示すると、再度、タッチパネル14に対する操作入力(第2領域図形64を表示する指示)を検出するまで、表示した第2領域図形64の形状、位置等を維持する。また、CPU41は、電気自動車の移動に合わせて(現在位置61の移動に合わせて)、
図2及び
図3の処理を再度開始し、第2領域図形64の位置や形状を移動後の現在位置61に基づいて自動で更新しても良い。
【0058】
以上詳細に説明した通り、本実施形態に係るナビゲーション装置1及びナビゲーション装置1で実行されるコンピュータプログラムでは、現在位置61から残充電量で走行可能な走行可能領域を示す第1領域図形62を生成する(S1)。CPU41は、残充電量の余力を考慮した所定距離Xだけ第1領域図形62を小さくした第3領域図形75を生成し(S2)、第1領域図形62と第3領域図形75とで区画した判断領域81を設定する(S3)。CPU41は、複数の判断領域81の各々に含まれる充電施設63の数に基づいて、第1領域図形62の大きさを調整し(S7)、第2領域図形64を生成する(S8)。そして、CPU41は、生成した第2領域図形64を地図画像65に重ねて液晶ディスプレイ15へ表示する(S9)。
【0059】
これによれば、CPU41は、残充電量で走行可能な第1領域図形62で囲まれた中に、充電施設63の判断に用いる判断領域81し、設定した判断領域81に含まれる充電施設63の数に基づいて、第1領域図形62の大きさを調整することにより、第2領域図形64を生成し、表示することができる。例えば、充電施設63の数が多い場所や密度の高い場所等では残充電量の余力(バッファ)を減らし、走行距離(航続距離)を長く表示できる。また、充電施設63の数が少ない場所や密度の低い場所では逆に余力(バッファ)を増やす。その結果走行距離(航続距離)をより短く表示するものの、第2領域図形64の最終外周線85付近において最寄りの充電施設63までの移動距離が長い場合でも、十分な余力(バッファ)を残しておくことができる。
【0060】
尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。
例えば、本実施形態では、ナビゲーション装置1が経路探索処理を行っているが、経路探索処理についてはナビゲーション装置1と通信可能に接続された外部サーバで行うようにしても良い。外部サーバで行う場合には、ナビゲーション装置1からサーバ装置へ現在位置61やバッテリ51の残充電量等の経路探索に必要な情報を、経路探索要求とともに送信しても良い。
【0061】
また、CPU41は、第3領域図形75を用いずに判断領域81を第1領域図形62内に設定しても良い。
また、CPU41は、第1領域図形62の外周線73を直接調整せずに、第3領域図形75の移動後外周線79を調整することで、結果として外周線73を調整しても良い。この場合、CPU41は、判断領域81内の充電施設63の数が増加するのに応じて移動後外周線79をより外側へ調整しても良い。
また、上記実施形態では、CPU41は、1つの判断領域81で充電施設63の数を判断したが、複数の判断領域81を用いて充電施設63の数を判断しても良い。例えば、
図9に示すように、CPU41は、所定の方位に対応する判断領域81と、その判断領域81に隣接する2つの隣接判断領域81Aとの両方に含まれる充電施設63の数に基づいて、判断領域81の外周線73を調整しても良い。例えば、CPU41は、
図9に示すように、判断領域81と、その判断領域81を挟む2つの隣接判断領域81Aを選択し、3つの領域に含まれている充電施設63の合計数に基づいて、真ん中の判断領域81の外周線73を調整しても良い。これにより、所定方位に対応する判断領域81だけでなく、隣接する隣接判断領域81Aの充電施設63の数も加味して第1領域図形62の大きさを調整できる。
また、
図4に示す第2領域図形64の形状は、一例である。例えば、CPU41は、調整後の最終外周線85の端を直線85Aで結び第2領域図形64を生成したが、これに限らない。
図10に示すように、CPU41は、2つの最終外周線85の端を曲線で接続し、第2領域図形64の角を丸くしても良い。あるいは、CPU41は、2つの最終外周線85の端を、実際の走行路に沿って接続しても良い。
【0062】
また、本発明はナビゲーション装置以外に、経路探索機能や表示機能を有する装置に対して適用することが可能である。例えば、携帯電話機、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等(以下、携帯端末等という)に適用することも可能である。また、サーバと携帯端末等から構成されるシステムに対しても適用することが可能となる。その場合には、上述した領域図形表示処理プログラム(
図2、
図3)の各ステップは、サーバと携帯端末等のいずれが実施する構成としても良い。また、本発明を携帯端末等に適用する場合には、電気自動車以外の移動体、例えば、バッテリを駆動源とする2輪車等に対する表示処理にも本願発明を適用することが可能である。
【0063】
また、本発明に係る表示装置を具体化した実施例について上記に説明したが、表示装置は以下の構成を有することも可能であり、その場合には以下の効果を奏する。
【0064】
例えば、第1の構成は以下のとおりである。
電気自動車の現在位置(61)と、前記電気自動車が有するバッテリ(51)の残充電量とに基づいて、前記現在位置から前記残充電量で前記電気自動車が走行可能な走行可能領域を示す第1領域図形(62)を生成する第1領域図形生成手段(41)と、前記第1領域図形が示す前記走行可能領域の一部を区画した判断領域(81)を設定する判断領域設定手段(41)と、前記判断領域設定手段が設定した前記判断領域に含まれる充電施設(63)の数に基づいて、前記第1領域図形の大きさを調整した第2領域図形(64)を生成する第2領域図形生成手段(41)と、前記第2領域図形を表示する表示手段(15、41)と、を有する表示装置(1)。
上記構成を有する表示装置によれば、残充電量で走行可能な走行可能領域の中に、充電施設の判断に用いる判断領域を設定する。そして、表示装置は、設定した判断領域に含まれる充電施設の数に基づいて、走行可能領域を示す第1領域図形の大きさを調整することにより第2領域図形を生成し、表示することができる。これにより、第1領域図形の大きさを、判断領域内の充電施設の数に応じて調整して表示できる。例えば、充電施設の数が多い場所や密度の高い場所等では残充電量の余力(バッファ)を減らしても良く。その結果走行距離(航続距離)を長く表示できる。また、充電施設の数が少ない場所や密度の低い場所では逆に余力(バッファ)を増やしても良い。その結果走行距離(航続距離)をより短く表示するものの、最寄りの充電施設までの移動距離が比較的長い場合でも、十分な余力(バッファ)を残しておくことができる。表示装置は、残充電量で走行可能(航続可能)な領域図形の大きさを、上記した充電施設の数に応じて適切に調整して表示できる。
【0065】
また、第2の構成は以下のとおりである。
前記第2領域図形生成手段は、前記判断領域に含まれる充電施設の数に基づいて、前記第1領域図形の大きさを小さく調整し、前記判断領域に含まれる前記充電施設の数が第1数であることに基づいて、前記第1領域図形を小さくする調整量に比べて、前記判断領域に含まれる前記充電施設の数が前記第1数より少ない第2数であることに基づいて、前記第1領域図形を小さくする調整量を多くする。
上記構成を有する表示装置によれば、判断領域の充電施設の数に基づいて、第1領域図形を小さく調整して第2領域図形を生成する。表示装置は、判断領域内の充電施設の数が少なくなるほど、第2領域図形をより小さく調整する。換言すれば、表示装置は、充電施設の数が多くなるほど、第2領域図形をより大きく調整する。このため、充電施設が多く充電が必要な場合に、最寄りの充電施設が比較的近い領域については、第2領域図形を大きくすることで、充電施設の数に合った第2領域図形を表示することが可能となる。
【0066】
また、第3の構成は以下のとおりである。
前記第1領域図形を示す外周線(73)を、前記電気自動車が存在する内側に向かって所定距離(X)だけ移動させた移動後外周線(79)で囲まれた第3領域図形(75)を生成する第3領域図形生成手段(41)を有し、前記判断領域設定手段は、前記第1領域図形の前記外周線と、前記第3領域図形の前記移動後外周線との間の領域を前記判断領域として設定する。
上記構成を有する表示装置によれば、移動後外周線を移動させる所定距離の長さに基づいて判断領域の大きさを調整でき、充電施設の探索範囲を調整できる。
【0067】
また、第4の構成は以下のとおりである。
前記判断領域設定手段は、前記電気自動車の前記現在位置を基準とした各方位に対応する前記判断領域を設定し、前記第2領域図形生成手段は、各方位のうち、所定方位に対応する前記判断領域に含まれる前記充電施設の数に基づいて、前記所定方位に対応する前記第1領域図形の大きさを調整する。
上記構成を有する表示装置によれば、各方位に判断領域を設定し、判断領域ごとに第1領域図形を調整する。このため、第1領域図形の走行可能領域の大半を占めるような大きな判断領域を設定し、その判断領域内に存在する充電施設を一度の処理で抽出する場合に比べて、充電施設を抽出する処理や抽出後に第1領域図形の大きさを調整する処理の内容を簡素化でき、処理負荷を低減できる。
【0068】
また、第5の構成は以下のとおりである。
前記第2領域図形生成手段は、前記所定方位に対応する前記判断領域と、前記判断領域に隣接する隣接判断領域(81A)との両方に含まれる前記充電施設の数に基づいて、前記所定方位に対応する前記第1領域図形の大きさを調整する。
上記構成を有する表示装置によれば、所定方位に対応する判断領域だけでなく、隣接する隣接判断領域の充電施設の数も加味して第1領域図形の大きさを調整できる。残充電量によっては、電欠となる前に判断領域内だけでなく、隣接判断領域内の充電施設に立ち寄ることも可能である。判断領域内の充電施設が故障していた場合など、ドライバは、隣接判断領域の充電施設へ移動する可能性がある。このような実情に合わせて、充電施設の探索範囲を隣接判断領域まで広げて第1領域図形を調整できる。
【0069】
また、第6の構成は以下のとおりである。
前記第1領域図形生成手段は、前記電気自動車の前記現在位置から前記残充電量の全てを使用するまで走行した電欠位置(72)を算出し、前記電気自動車の前記現在位置を基準とした各方位に前記電欠位置を設定し、前記現在位置を中心として周方向に並ぶ各方位の前記電欠位置に対し、隣り合う前記電欠位置を前記外周線で結んだ図形を前記第1領域図形として生成し、前記判断領域設定手段は、複数の前記電欠位置に含まれる第1電欠位置(72A)と、前記第1電欠位置と隣り合う第2電欠位置(72B)と、前記現在位置の3つの位置を結ぶ直線(77、83)で囲まれ、且つ、前記外周線と前記移動後外周線との間となる領域を前記判断領域として設定する。
上記構成を有する表示装置によれば、各方位に電欠位置を設定し、電欠位置を外周線で結んで第1領域図形を生成する。そして、電欠位置、現在位置、外周線、移動後外周線により、充電施設の探索範囲を設定することができる。
【符号の説明】
【0070】
1 ナビゲーション装置
11 現在位置検出部
13 ナビゲーションECU
15 液晶ディスプレイ
31 地図情報DB
41 CPU
51 バッテリ
61 現在位置
62 第1領域図形
63 充電施設
64 第2領域図形
72 電欠位置
72A 第1電欠位置
72B 第2電欠位置
73 外周線
75 第3領域図形
77 第1直線
79 移動後外周線
81 判断領域
81A 隣接判断領域
83 第2直線
X 所定距離