(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】エレベーターの乗場ドア用インターロックの位置確認装置および敷居間閉塞体の取付方法
(51)【国際特許分類】
B66B 5/00 20060101AFI20221129BHJP
B66B 13/30 20060101ALI20221129BHJP
【FI】
B66B5/00 D
B66B13/30 L
(21)【出願番号】P 2019065742
(22)【出願日】2019-03-29
【審査請求日】2022-02-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082175
【氏名又は名称】高田 守
(74)【代理人】
【識別番号】100106150
【氏名又は名称】高橋 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100142642
【氏名又は名称】小澤 次郎
(72)【発明者】
【氏名】吉井 敏史
【審査官】須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】実開昭58-134362(JP,U)
【文献】特開2018-188234(JP,A)
【文献】特開2013-035638(JP,A)
【文献】特開2009-012983(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0029246(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 5/00
B66B 13/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベーターのかごにおいて出入口よりも下方の位置に対して着脱自在に設けられ、前記かごとともに鉛直方向に移動した際に前記エレベーターの乗場の出入口に設けられた乗場ドアのインターロックにおいて前記乗場の敷居よりも昇降路の側に突き出した部分の水平方向の位置を検出する突出部分検出体、
を備えたエレベーターの乗場ドア用インターロックの位置確認装置。
【請求項2】
前記突出部分検出体は、前記乗場の側に突き出すように水平方向に並び、前記かごとともに鉛直方向に移動した際に前記インターロックにおいて前記乗場の敷居よりも昇降路の側に突き出した部分と接触した際に倒れた状態に維持される複数のピン、
を備えた請求項1に記載のエレベーターの乗場ドア用インターロックの位置確認装置。
【請求項3】
前記突出部分検出体は、前記乗場の側に検出範囲が向くように水平方向に並び、前記かごとともに鉛直方向に移動した際に前記インターロックにおいて前記乗場の敷居よりも昇降路の側に突き出した部分を検出する複数のセンサ、
を備えた請求項1に記載のエレベーターの乗場ドア用インターロックの位置確認装置。
【請求項4】
前記かごの出入口の下方に設けられた前垂れに磁力により吸着する磁力発生体、
を備え、
前記突出部分検出体は、前記磁力発生体において前記乗場の側に設けられた請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のエレベーターの乗場ドア用インターロックの位置確認装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の位置確認装置を前記かごにおいて出入口よりも下方の位置に取り付ける位置確認装置取付工程と、
前記位置確認装置取付工程の後、前記かごを鉛直方向に移動させて前記乗場を通過させるかご移動工程と、
前記かご移動工程の後、水平投影面上において前記位置確認装置が検出した前記インターロックの位置を避けた位置で前記乗場の敷居と前記かごの敷居と隙間を閉塞するように前記エレベーターの乗場の側から乗場ドアを開いて敷居間閉塞体を前記かごの出入口の下方に取り付ける敷居間閉塞体取付工程と、
をエレベーターの敷居間閉塞体の取付方法。
【請求項6】
前記かご移動工程は、前記かごを最下階から最上階の一方から前記最下階から前記最上階の他方へ移動させた後に前記最下階から前記最上階の他方から前記かごを最下階から最上階の一方へ移動させる工程、
を備えた請求項5に記載のエレベーターの敷居間閉塞体の取付方法。
【請求項7】
前記敷居間閉塞体取付工程は、
前記位置確認装置の下方または上方において前記敷居間閉塞体を一時的に仮固定する敷居間閉塞体仮固定工程と、
前記敷居間閉塞体仮固定工程の後、前記位置確認装置が検出した前記インターロックの位置よりも予め設定された寸法だけ水平方向の両側に離れた位置において前記敷居間閉塞体にマーキングを施すマーキング工程と、
前記マーキング工程の後、前記敷居間閉塞体を前記マーキングの位置で切断する敷居間閉塞体切断工程と、
前記敷居間閉塞体切断工程の後、前記敷居間閉塞体において前記マーキングよりも外側の部分を水平投影面上において前記インターロックの位置を避けた位置に本固定する敷居間閉塞体本固定工程と、
を備えた請求項5または請求項6に記載のエレベーターの敷居間閉塞体の取付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、エレベーターの乗場ドア用インターロックの位置確認装置および敷居間閉塞体の取付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、エレベーターの敷居間閉塞体を開示する。当該敷居間閉塞体は、エレベーターの乗場敷居とかご敷居との間を閉塞する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の敷居間閉塞体においては、乗場ドアのインターロックにおいて乗場の敷居よりも昇降路の側に突き出した部分との接触を避ける必要がある。このために、敷居間閉塞体の取付位置の調整が必要となる。
【0005】
この発明は、上述の課題を解決するためになされた。この発明の目的は、敷居間閉塞体の取付位置を容易に確認することができるエレベーターの乗場ドア用インターロックの位置確認装置および敷居間閉塞体の取付方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係るエレベーターの乗場ドア用インターロックの位置確認装置は、エレベーターのかごにおいて出入口よりも下方の位置に対して着脱自在に設けられ、前記かごとともに鉛直方向に移動した際に前記エレベーターの乗場の出入口に設けられた乗場ドアのインターロックにおいて前記乗場の敷居よりも昇降路の側に突き出した部分の水平方向の位置を検出する突出部分検出体、を備えた。
【0007】
この発明に係るエレベーターの敷居間閉塞体の取付方法は、前記位置確認装置を前記かごにおいて出入口よりも下方の位置に取り付ける位置確認装置取付工程と、前記位置確認装置取付工程の後、前記かごを鉛直方向に移動させて前記乗場を通過させるかご移動工程と、前記かご移動工程の後、水平投影面上において前記位置確認装置が検出した前記インターロックの位置を避けた位置で前記乗場の敷居と前記かごの敷居と隙間を閉塞するように前記エレベーターの乗場の側から乗場ドアを開いて敷居間閉塞体を前記かごの出入口の下方に取り付ける敷居間閉塞体取付工程と、を備えた。
【発明の効果】
【0008】
これらの発明によれば、突出部分検出体は、乗場ドアのインターロックにおいて前記乗場の敷居よりも昇降路の側に突き出した部分の水平方向の位置を検出する。このため、敷居間閉塞体の取付位置を容易に確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1におけるエレベーターの乗場ドア用インターロックの位置確認装置が適用されるエレベーターの構成図である。
【
図2】実施の形態1におけるエレベーターの乗場ドア用インターロックの位置確認装置が適用されるエレベーターの乗場ドアを昇降路の側から見た際の正面図である。
【
図3】実施の形態1におけるエレベーターの乗場ドア用インターロックの位置確認装置が適用されるエレベーターの要部の平面図である。
【
図4】実施の形態1におけるエレベーターの乗場ドア用インターロックの位置確認装置が適用されるエレベーターの敷居間閉塞体の分解斜視図である。
【
図5】実施の形態1におけるエレベーターの乗場ドア用インターロックの位置確認装置の斜視図である。
【
図6】実施の形態1におけるエレベーターの乗場ドア用インターロックの位置確認装置が適用されるエレベーターの構成図である。
【
図7】実施の形態1におけるエレベーターの乗場ドア用インターロックの位置確認装置が適用されるエレベーターの構成図である。
【
図8】実施の形態1におけるエレベーターの乗場ドア用インターロックの位置確認装置が適用されるエレベーターの構成図である。
【
図9】実施の形態1におけるエレベーターの乗場ドア用インターロックの位置確認装置が適用されるエレベーターの要部の正面図である。
【
図10】実施の形態1におけるエレベーターの乗場ドア用インターロックの位置確認装置が適用されるエレベーターの要部の正面図である。
【
図11】実施の形態1におけるエレベーターの乗場ドア用インターロックの位置確認装置が適用されるエレベーターの要部の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
この発明を実施するための形態について添付の図面に従って説明する。なお、各図中、同一または相当する部分には同一の符号が付される。当該部分の重複説明は適宜に簡略化ないし省略される。
【0011】
実施の形態1.
図1は実施の形態1におけるエレベーターの乗場ドア用インターロックの位置確認装置が適用されるエレベーターの構成図である。
【0012】
図1のエレベーターにおいて、昇降路1は、図示されない建築物の各階を貫く。機械室2は、昇降路1の直上に設けられる。複数の乗場3の各々は、建築物の各階に設けられる。複数の乗場3の各々は、昇降路1に対向する。
【0013】
巻上機4は、機械室2に設けられる。主ロープ5は、巻上機4に巻き掛けられる。
【0014】
かご6は、昇降路1の内部に設けられる。かご6は、主ロープ5の一側に吊るされる。釣合おもり7は、昇降路1の内部に設けられる。釣合おもり7は、主ロープ5の他側に吊るされる。
【0015】
複数の乗場敷居8の各々は、複数の乗場3の各々における出入口の下縁部に設けられる。複数の乗場ドア9の各々は、複数の乗場3の各々の出入口において乗場敷居8に案内される。かご敷居10は、かご6における出入口の下縁部に設けられる。前垂れ11は、かご6の下部においてかご敷居10よりも下方に設けられる。かごドア12は、かご6の出入口においてかご敷居10に案内される。
【0016】
敷居間閉塞体13は、かご6の出入口より下方に設けられる。例えば、敷居間閉塞体13は、かご敷居10の直下において前垂れ11に固定される。敷居間閉塞体13は、水平投影面上において乗場敷居8とかご敷居10との隙間とを閉塞し得るように設けられる。
【0017】
制御装置14は、機械室2に設けられる。制御装置14は、巻上機4とかご6の機器とに電気的に接続される。制御装置14は、エレベーターを全体的に制御し得るように設けられる。
【0018】
次に、
図2と
図3とを用いて、乗場ドア9と敷居間閉塞体13とを説明する。
図2は実施の形態1におけるエレベーターの乗場ドア用インターロックの位置確認装置が適用されるエレベーターの乗場ドアを昇降路の側から見た際の正面図である。
図3は実施の形態1におけるエレベーターの乗場ドア用インターロックの位置確認装置が適用されるエレベーターの要部の平面図である。
【0019】
図2に示されるように、乗場ドア9は、一対のパネル15と一対のドアハンガー16とインターロック17とを備える。
【0020】
一対のパネル15は、乗場3の出入口を開閉するように乗場敷居8に案内される。一対のドアハンガー16の一方は、一対のパネル15の一方を吊る。一対のドアハンガーの他方は、一対のパネル15の他方を吊る。
【0021】
インターロック17は、一対のロック片18と一対のつかみローラ19とを備える。
【0022】
一対のロック片18の一方は、一対のドアハンガーの一方の先端部に設けられる。一対のロック片18の他方は、一対のドアハンガーの他方の先端部に設けられる。一対のロック片18は、一対のパネル15が閉じている際に互いにかみ合う。一対のつかみローラ19は、一対のロック片18に設けられる。
【0023】
図3に示されるように、水平投影面上において、一対のつかみローラ19は、乗場3の敷居よりも昇降路1の側に突き出す。
図3においては図示されないかご6が乗場3に到着し、かごドア12が開き始めると、かごドア12の図示されないベーンが一対のつかみローラ19をつかむ。さらにかごドア12が開く方向に移動すると、一対のロック片18のかみ合いが解除される。さらに、かごドア12が開く方向に移動すると、乗場ドア9は、かごドア12とともに開く方向に移動する。
【0024】
敷居間閉塞体13は、水平投影面上において一対のつかみローラ19を避けた位置で乗場敷居8とかご敷居10との隙間を閉塞するようにかご6の出入口の下方に取り付けられる。
【0025】
次に、
図4を用いて、敷居間閉塞体13を説明する。
図4は実施の形態1におけるエレベーターの乗場ドア用インターロックの位置確認装置が適用されるエレベーターの敷居間閉塞体の分解斜視図である。
【0026】
図4に示されるように、敷居間閉塞体13は、取付部13aと閉塞部13bとを備える。
【0027】
例えば、取付部13aは、金属で形成される。取付部13aは、かご6の前垂れ11に固定される。例えば、閉塞部13bは、金属で形成される。閉塞部13bの鉛直部は、取付部13aの受入部に挿入され得るように設けられる。閉塞部13bの水平部は、鉛直部が取付部13aの受入部に挿入された際に
図4においては図示されない乗場3の側に突き出すように設けられる。
【0028】
次に、
図5を用いて、インターロック17の位置の確認方法を説明する。
図5は実施の形態1におけるエレベーターの乗場ドア用インターロックの位置確認装置の斜視図である。
【0029】
図5に示されるように、インターロック17の位置の確認においては、位置確認装置20が利用される。位置確認装置20は、磁力発生体20aと突出部分検出体20bとを備える。
【0030】
磁力発生体20aは、前垂れ11に磁力により吸着し得るように設けられる。例えば、磁力発生体20aは、永久磁石である。例えば、突出部分検出体20bは、複数のピンである。複数のピンは、磁力発生体20aに設けられる。複数のピンは、磁力発生体20aの前面に水平方向に並んで設けられる。複数のピンは、磁力発生体20aが前垂れ11に吸着した際に乗場3の側に突き出すように設けられる。複数のピンは、位置確認装置20がかご6とともに鉛直方向に移動した際にインターロック17の一対のつかみローラ19と接触した際に倒れた状態に維持され得るように設けられる。倒れているピンの位置が一対のつかみローラ19の位置に対応する。
【0031】
なお、実際には、隣接したピンの間の隙間は、微小である。このため、一対のつかみローラ19の水平方向の位置は、ミリメートルの単位で検出される。
【0032】
次に、
図6から
図11を用いて、敷居間閉塞体13の取付方法を説明する。
図6から
図8は実施の形態1におけるエレベーターの乗場ドア用インターロックの位置確認装置が適用されるエレベーターの構成図である。
図9から
図11は実施の形態1におけるエレベーターの乗場ドア用インターロックの位置確認装置が適用されるエレベーターの要部の正面図である。
【0033】
まず、
図6に示されるように、位置確認装置20が最下階において前垂れ11に取り付けられる。その後、
図7に示されるように、かご6が乗場3を低速で通過するように鉛直方向に移動する。例えば、かご6が最下階から最上階の他方へ移動した後に最上階から最下階へ移動する。
【0034】
その後、
図8に示されるように、敷居間閉塞体13が最下階で位置確認装置20の上方において一時的に仮固定される。その後、
図9に示されるように、位置確認装置20により検出されたインターロック17の一対のつかみローラ19の位置よりも予め設定された寸法だけ水平方向の両側に離れた位置において、敷居間閉塞体13にマーキングAが施される。
【0035】
その後、
図10に示されるように、敷居間閉塞体13がマーキングAの位置で切断される。その後、
図11に示されるように、敷居間閉塞体13においてマーキングAよりも外側の部分が水平投影面上においてインターロック17の位置を避けた位置に本固定される。
【0036】
以上で説明した実施の形態1によれば、突出部分検出体20bは、乗場ドア9のインターロック17において乗場3の敷居よりも昇降路1の側に突き出した部分の水平方向の位置を検出する。このため、敷居間閉塞体13の取付位置を容易に確認することができる。
【0037】
具体的には、複数のピンは、インターロック17において乗場3の敷居よりも昇降路1の側に突き出した部分と接触した際に倒れた状態に維持される。このため、簡単な構成で、敷居間閉塞体13の取付位置を容易に確認することができる。
【0038】
なお、突出部分検出体20bとして、複数のセンサを用いてもよい。この場合、検出範囲が乗場3の側に向くように複数のセンサを水平方向に並べればよい。この場合も、敷居間閉塞体13の取付位置を容易に確認することができる。
【0039】
また、磁力発生体20aは、前垂れ11に磁力により吸着する。このため、前垂れ11に対して位置確認装置20を容易に着脱することができる。
【0040】
また、かご6が最下階から最上階へ移動した後に最上階から最下階へ移動した後、敷居間閉塞体13にマーキングが施される。このため、全ての階の一対のつかみローラ19の位置を考慮して、敷居間閉塞体13を本固定することができる。その結果、全ての階において、敷居間閉塞体13が一対のつかみローラ19に接触することを抑制できる。
【0041】
なお、かご6が最上階から最下階へ移動した後に最下階から最上階へ後、敷居間閉塞体13にマーキングを施してもよい。この場合も、全ての階の一対のつかみローラ19の位置を考慮して、敷居間閉塞体13を本固定することができる。その結果、全ての階において、敷居間閉塞体13が一対のつかみローラ19に接触することを抑制できる。
【0042】
また、
図8において、敷居間閉塞体13と位置確認装置20との上下関係を入れ替えてもよい。この場合も、敷居間閉塞体13の取付位置を容易に確認することができる。
【0043】
また、実施の形態1の位置確認装置20を機械室2のないエレベーターに適用してもよい。この場合も、敷居間閉塞体13の取付位置を容易に確認することができる。
【符号の説明】
【0044】
1 昇降路、 2 機械室、 3 乗場、 4 巻上機、 5 主ロープ、 6 かご、 7 釣合おもり、 8 乗場敷居、 9 乗場ドア、 10 かご敷居、 11 前垂れ、 12 かごドア、 13 敷居間閉塞体、 13a 取付部、 13b 閉塞部、 14 制御装置、 15 パネル、 16 ドアハンガー、 17 インターロック、 18 ロック片、 19 つかみローラ、 20 位置確認装置、 20a 磁力発生体、 20b 突出部分検出体