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特許7183923文書出力プログラム、文書出力方法及び文書出力システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】文書出力プログラム、文書出力方法及び文書出力システム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/387 20060101AFI20221129BHJP
   G06T 11/60 20060101ALI20221129BHJP
   B41J 21/00 20060101ALI20221129BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20221129BHJP
   G03G 21/04 20060101ALI20221129BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20221129BHJP
【FI】
H04N1/387
G06T11/60 100A
B41J21/00 Z
B41J29/00 Z
G03G21/04 552
G03G21/00 390
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019072275
(22)【出願日】2019-04-04
(65)【公開番号】P2020170969
(43)【公開日】2020-10-15
【審査請求日】2022-01-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】森田 豊年
【審査官】花田 尚樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-049860(JP,A)
【文献】特開2007-268783(JP,A)
【文献】特開2001-357352(JP,A)
【文献】特開2001-283153(JP,A)
【文献】特開2013-114287(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/38 - 1/393
G06T 1/00
11/60 -13/80
17/05
19/00 -19/20
B41J 5/00 - 5/52
21/00 -21/18
B41J 29/00 -29/70
G03G 21/00
21/04
21/10 -21/12
G03G 15/00
15/36
21/02
21/14
21/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
秘匿対象のキーワード情報を記憶した記憶部を参照して、文書の出力の指示に応じて前記文書にキーワード情報が含まれるかを判定する処理と、
判定した前記キーワード情報を秘匿化するとともに、前記文書に複数の前記キーワード情報が含まれ、且つ、複数の前記キーワード情報の位置関係が近接条件を満たす場合に複数の前記キーワード情報の間に位置する情報についても秘匿化する処理と、
秘匿化した後の前記文書を出力する処理と、
をコンピュータに実行させる文書出力プログラム。
【請求項2】
前記文書を出力する処理は、前記文書の印刷及び/又は前記文書の表示である、
請求項1に記載の文書出力プログラム。
【請求項3】
前記間に位置する情報は、前記位置関係が前記近接条件を満たす複数の前記キーワード情報の外接矩形内の情報であることを特徴とする、
請求項1又は2に記載の文書出力プログラム。
【請求項4】
複数の前記キーワード情報と前記複数の前記キーワード情報の間の情報をグループ化し、
複数の前記グループ化した情報の位置関係が近接条件を満たす場合に複数の前記グループ化した情報の間に位置する情報を複数の前記グループ化した情報とグループ化する処理を所定回数繰り返し、繰り返した後のグループ化した情報のすべてを秘匿化する、
請求項1~3のいずれかに記載の文書出力プログラム。
【請求項5】
利用者の識別情報と秘匿レベルとを記憶した前記記憶部を参照して、前記文書の出力を指示する利用者の識別情報に対応する秘匿レベルを判定する処理と、
判定した前記秘匿レベルに応じて前記所定回数を決定する処理と、
を更に有する請求項4に記載の文書出力プログラム。
【請求項6】
前記秘匿化する処理は、対象となる前記キーワード情報及び前記間に位置する情報を塗り潰す又は対象となる前記キーワード情報及び前記間に位置する情報の内容を、マスク用データを記憶した前記記憶部を参照して、前記マスク用データに置換して表示する、
請求項1~5のいずれかに記載の文書出力プログラム。
【請求項7】
秘匿対象のキーワード情報を記憶した記憶部を参照して、文書の出力の指示に応じて前記文書にキーワード情報が含まれるかを判定する処理と、
判定した前記キーワード情報を秘匿化するとともに、前記文書に複数の前記キーワード情報が含まれ、且つ、複数の前記キーワード情報の位置関係が近接条件を満たす場合に複数の前記キーワード情報の間に位置する情報についても秘匿化する処理と、
秘匿化した後の前記文書を出力する処理と、
をコンピュータが実行する文書出力方法。
【請求項8】
秘匿対象のキーワード情報を記憶した記憶部を参照して、文書の出力の指示に応じて前記文書にキーワード情報が含まれるかを判定する判定部と、
判定した前記キーワード情報を秘匿化するとともに、前記文書に複数の前記キーワード情報が含まれ、且つ、複数の前記キーワード情報の位置関係が近接条件を満たす場合に複数の前記キーワード情報の間に位置する情報についても秘匿化する秘匿化処理部と、
秘匿化した後の前記文書を出力する出力部と、
を有する、文書出力システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、文書出力プログラム、文書出力方法及び文書出力システムに関する。
【背景技術】
【0002】
秘密情報を含む印刷物又は複写物がそのまま印刷あるいはファクシミリ送信などによって出力された場合、秘密情報が外部に流出するおそれがある。そこで、秘密情報の外部への流出を防止するために、ユーザが印刷物又は複写物内の秘密情報を黒く塗り潰すことが行われている。しかしながら、秘密情報を塗り潰す箇所及び範囲はユーザによって変わる場合があり、人手による作業では秘密情報が漏れるリスクがある。
【0003】
そこで、秘密情報及び秘密情報が表示される領域を示すインデックスデータに基づき、文書中の秘密情報が表示される範囲を決定し、決定した範囲に対してフィルタ処理を行う技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。これにより、ユーザがフィルタ処理を行う範囲を指定することなく、文書中の秘密情報を塗り潰す等のフィルタ処理を実行できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-124208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記手法では、フィルタ処理が行われる秘密情報の範囲は固定されている。よって、上記手法では、文書中の固定された範囲の秘密情報の流出は防止できるものの、文書中の秘密情報が類推される情報の記載から秘密情報が外部へ流出することを防止できない。
【0006】
そこで、1つの側面では、本開示は、秘匿対象のキーワード情報と、前記キーワード情報が類推されるおそれのある情報とを秘匿化する文書出力プログラム、文書出力方法及び文書出力システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1つの実施態様では、秘匿対象のキーワード情報を記憶した記憶部を参照して、文書の出力の指示に応じて前記文書にキーワード情報が含まれるかを判定する処理と、判定した前記キーワード情報を秘匿化するとともに、前記文書に複数の前記キーワード情報が含まれ、且つ、複数の前記キーワード情報の位置関係が近接条件を満たす場合に複数の前記キーワード情報の間に位置する情報についても秘匿化する処理と、秘匿化した後の前記文書を出力する処理と、をコンピュータに実行させる文書出力プログラムが提供される。
【発明の効果】
【0008】
1つの側面では、本開示は、秘匿対象のキーワード情報と、前記キーワード情報が類推されるおそれのある情報とを秘匿化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態に係る文書出力システムの全体構成を示す図。
図2】一実施形態に係る複合機の機能構成を示す図。
図3】一実施形態に係る秘匿レベルデータベースを示す図。
図4】一実施形態に係る複合機のハードウェア構成を示す図。
図5】従来の文書の秘匿化の一例を示す図。
図6】一実施形態に係る文書の秘匿化の概念を示す図。
図7】一実施形態に係る文書出力処理を示すフローチャート。
図8】一実施形態に係る文書出力処理を説明するための図。
図9】一実施形態に係る文書出力処理を説明するための図。
図10】一実施形態に係る文書の秘匿化の他の例を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、一実施形態について添付の図面を参照しながら説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く。
【0011】
[文書出力システムの全体構成]
まず、一実施形態に係る文書出力システム1の全体構成について、図1を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係る文書出力システム1の全体構成を示す。本実施形態に係る文書出力システム1は、複合機10及びパーソナルコンピュータ20を有する。複合機10及びパーソナルコンピュータ20は、ローカルエリアネットワーク又はインターネット等のネットワークに接続され、互いに通信が可能になっている。
【0012】
複合機10は、印刷機能、複写機能、スキャナ機能、ファクリミリ機能、メール機能、文書の秘匿化機能等を有する。また、複合機10は、上面に配置されたタッチパネル式の表示装置112に、操作メニューを表示したり、キーワードを塗り潰すなどして秘匿化された文書を印刷前に確認するためにプレビュー表示したりする機能を有する。複合機10は、文書出力装置の一例であり、文書出力装置は、複合機10に限られず、複写機、スキャナ、ファクシミリであっても良い。
【0013】
パーソナルコンピュータ20は、複合機10へ文書の印刷を要求する利用者が使用するコンピュータの一例である。利用者が使用するコンピュータの他の例としては、タブレット型端末、スマートフォン等の携帯デバイスやHMD(Head Mount Display)、FMD(Face Mount Display)等のウェアラブルデバイスが挙げられる。
【0014】
複合機10の利用者は、パーソナルコンピュータ20を操作することで、パーソナルコンピュータ20に記憶されている所望の文書データを複合機10に送り、印刷、ファクシミ送信又はメール送信など様々な形態で文書を出力することができる。また、利用者は、直接複合機10にセットした紙媒体の文書を複合機10に読込み、印刷、ファクシミ送信又はメール送信など様々な形態で文書を出力することができる。利用者は、通信機能を有する社員証等を複合機10にかざした後、複合機10にセットした紙媒体の文書を印刷等できるようにしてもよい。利用者が複合機10を直接操作する場合、文書出力システム1は、複合機10を有し、パーソナルコンピュータ20を有さなくてもよい。
【0015】
[複合機の機能構成]
次に、一実施形態に係る複合機10の機能構成について、図2を参照しながら説明する。図2は、一実施形態に係る複合機10の機能構成を示す。複合機10は、通信部11、受付部12、検出部13、判定部14、秘匿化処理部15、出力部16、記憶部17、操作部22、スキャナ部23、プリンタ部24及びファクシミリ部25を有する。
【0016】
通信部11は、ローカルネットワーク又はインターネットなどのネットワークに接続されたパーソナルコンピュータ20等の電子機器との間で、TCP/IPなどのプロトコルを利用してデータの送受信を行う。通信部11は、パーソナルコンピュータ20から印刷対象の文書データと印刷要求とを受信する。
【0017】
受付部12は、パーソナルコンピュータ20からの印刷要求に基づく文書データの出力の指示を受け付ける。受付部12は、利用者が直接複合機10にセットした紙媒体の文書のコピー要求を受け付ける。受付部12は、タッチパネル式の表示装置112への利用者のタッチ操作を受け付ける。
【0018】
検出部13は、出力対象の文書中に秘匿対象のキーワード情報があるかを検出する。秘匿対象のキーワード情報は、記憶部17の辞書データベース18に記憶されている。辞書データベース18に記憶されているキーワード情報の一例としては、「従業員番号」、「氏名」、「住所」、「メールアドレス」、「カード番号」、「社員番号」等がある。キーワード情報は、文字、文字列、数字、記号、文字と数字の組合せ、文字と記号の組合せ、数字と記号の組合せ、文字と数字と記号の組合せ等がある。
【0019】
記憶部17は、辞書データベース18と秘匿レベルデータベース19を記憶する。図3に秘匿レベルデータベース19の一例を示す。秘匿レベルデータベース19は、利用者の利用者IDと秘匿レベルとを対向付けて記憶している。
【0020】
判定部14は、秘匿レベルデータベース19を参照して利用者の秘匿レベルを判定する。つまり、判定部14は、利用者IDに応じた秘匿レベルに基づき、複数のキーワード情報を含む文書内の情報を秘匿化するレベルを決定する。利用者の秘匿レベルは、文書中の秘匿対象のキーワード情報とともに前記キーワード情報が類推されるおそれのある情報とを秘匿化する際のレベルを示し、秘匿レベルが高い程、文書中の秘匿される範囲が多くなり、セキュリティレベルは高くなる。
【0021】
秘匿化処理部15は、判定した文書内のキーワード情報を秘匿化する。例えば、辞書データベース18にキーワード情報として「森」が記憶されている場合、秘匿化処理部15は、文書内の「森」の文字を黒塗りして秘匿化する。秘匿化処理部15は、文書内の「森」の文字だけでなく、「森」の文字とともに「もり」や「モリ」の文字列を黒塗りして秘匿化してもよい。このように漢字と同じひらがな読み、カタカナ読み等の文字又は文字列は、辞書データベース18に各漢字のリンク情報として登録しておき、漢字とともに文書中の秘匿化の対象としてもよい。
【0022】
また、文書中に複数のキーワード情報を検出すると、秘匿化処理部15は、複数のキーワード情報の位置関係が近接条件を満たす場合、複数のキーワードの間に位置する情報を複数のキーワード情報とグループ化し、グループ化した情報を秘匿化する。例えば、秘匿化処理部15は、複数のキーワード情報の位置関係が近接条件を満たす場合、複数の前記キーワード情報の外接矩形内の情報をグループ化し、秘匿化する。
【0023】
出力部16は、秘匿化後の文書を出力する。出力部16は、秘匿化後の文書を印刷する前に、タッチパネル式の表示装置112にプレビュー表示してもよい。出力部16は、秘匿化後の文書を記憶部17に保存してもよい。
【0024】
操作部22は、利用者の印刷操作、スキャナ操作、ファクシミリ送信操作、メール送信操作、表示装置112へのタッチ操作等の複合機10に対する操作を受け付ける。表示装置112には、複合機10の操作メニュー、トラブル時のガイダンス、印刷前であって秘匿化後の文書等が表示される。
【0025】
スキャナ部23は、オートドキュメントフィーダ等に載置された紙文書を読み取り、文書データとして出力する。
【0026】
プリンタ部24は、パーソナルコンピュータ20から送信される文書データを、各種の設定条件に応じて記録用紙に印刷する。なお、複合機10の複写機能は、スキャナ部23及びプリンタ部24が協働することにより実現される。
【0027】
ファクシミリ部25は、公衆回線網を介してファクシミリ通信を行う。
【0028】
[複合機のハードウェア構成]
次に、一実施形態に係る複合機10のハードウェア構成について、図4を参照しながら説明する。図4は、一実施形態に係る複合機10のハードウェア構成の一例を示す。一実施形態に係る複合機10は、入力装置111と、表示装置112と、外部I/F113と、通信I/F114と、ROM115とを有する。また、一実施形態に係る複合機10は、RAM116と、CPU117と、補助記憶装置118と、印刷/スキャナ装置119とを有する。各ハードウェアはバスB1で相互に接続されている。
【0029】
入力装置111は、例えばタッチパネル、マウス、キーボードであり、複合機10に各種の操作を入力するのに用いられる。表示装置112は、例えばタッチパネル式のディスプレイであり、操作メニューの表示や印刷前であって秘匿化後の文書のプレビュー表示を行う。
【0030】
外部I/F113は、外部装置とのインタフェースである。外部装置には、記録媒体113a等がある。複合機10は、外部I/F113を介して、記録媒体113aの読み取りや書き込みを行うことができる。記録媒体113aには、例えば、SDメモリカード(SD memory card)やUSB(Universal Serial Bus)メモリ等がある。
【0031】
通信I/F114は、複合機10をネットワークに接続するためのインタフェースである。複合機10は、通信I/F114を介して、パーソナルコンピュータ20やその他の機器と通信を行う。
【0032】
ROM115は、電源を切ってもデータを保持することができる不揮発性の半導体メモリである。RAM116は、プログラムやデータを一時保持する揮発性の半導体メモリである。CPU117は、例えば補助記憶装置118やROM115等からプログラムやデータをRAM116上に読み出して、各種処理を実行する演算装置である。
【0033】
補助記憶装置118は、プログラムやデータを格納している不揮発性の記憶装置である。補助記憶装置118には、文書出力プログラムが格納されてもよい。
【0034】
印刷/スキャナ装置119は、文書を印刷したり、複写したり、スキャンしたりする。
【0035】
図2に示す複合機10の機能は、図4に示すハードウェア構成を有することにより、実現される。例えば通信部11の機能は、通信I/F114により実現される。
【0036】
受付部12、検出部13、判定部14、秘匿化処理部15の機能は、CPU117が文書出力プログラムを実行することにより実現される。
【0037】
出力部16、スキャナ部23、プリンタ部24及びファクシミリ部25の機能は、印刷/スキャナ装置119により実現される。記憶部17の機能は、ROM115、RAM116又は補助記憶装置118により実現される。操作部22の機能は、入力装置111又はタッチパネルの機能を有する表示装置112により実現される。
【0038】
[従来の文書の秘匿化]
従来の文書の秘匿化の方法について、図5を参照しながら説明する。図5は、従来の文書の秘匿化の一例を示す図である。図5(a)は、秘匿化する前の文書T0の一例である。「〇〇部長行」の「〇〇」、「従業員番号」、「所属」、「氏名」は、個人情報を表示しており、秘密情報であるとする。
【0039】
秘密情報を含む文書が、そのまま印刷又はファクシミリ送信等によって出力された場合、秘密情報が外部に流出するおそれがある。そこで、秘密情報の外部への流出を防止するために、利用者によって文書中の秘密情報を黒く塗り潰すことが行われている。しかしながら、秘密情報を塗り潰す箇所及び範囲は俗人的であり、利用者によって異なる場合がある。この結果、秘密情報が外部に漏れるリスクがある。
【0040】
例えば、図5(b)は、一の利用者が文書T0内の秘密情報を黒く塗り潰した文書T1を示す。また、図5(c)は、他の利用者が文書T0内の秘密情報を黒く塗り潰した文書T2を示す。
【0041】
これによれば、文書T1内の一の利用者が塗り潰した秘密情報の範囲と、文書T2内の他の利用者が塗り潰した秘密情報の範囲とが異なっていた。この結果、各利用者が秘密情報を黒く塗り潰す作業に時間を要するだけでなく、図5(b)の領域Aは塗り潰されているが、図5(c)の領域Bは塗り潰されていないという状況が生じ得る。これにより、秘匿化後の文書T2が出力された場合、従業員番号及び所属の秘密情報が外部に流出する。また、秘匿化後の文書T2のデータが複合機10の記憶部17に記憶されると、ネットワークを介して複合機10と接続可能な機器に、文書T2のデータが転送され、秘密情報が漏れるリスクがある。
【0042】
[本実施形態の文書の秘匿化の概念]
そこで、本実施形態では、秘匿対象のキーワード情報と、前記キーワード情報が類推されるおそれのある情報とを秘匿化する文書出力プログラム、文書出力方法及び文書出力システムを提供する。図6に、本実施形態に係る文書の秘匿化の概念を示す。本実施形態に係る秘匿対象の文書は、紙媒体に印刷された文書D0であってもよいし、文書データD0’であってもよい。
【0043】
利用者が、複合機10に紙媒体の文書D0をセットしてコピーの開始ボタンを押すと、複合機10は、文書D0のコピー要求を受け付ける。また、利用者がパーソナルコンピュータ20を操作して、複合機10に対して文書データD0’の印刷を要求すると、複合機10は、文書データD0’の印刷要求を受け付ける。
【0044】
コピー及び印刷等の要求があった文書D0及び文書データD0’は、一時的にイメージ(画像データ)の文書データとして複合機10に取り込まれる。複合機10は、取り込まれた文書データを記憶部17に記憶する前に秘密情報であるキーワード情報を画像認識し、キーワード情報が書かれた箇所を「■」等に置き換えるマスク処理を行い、キーワード情報の秘匿化処理を実行する。複合機10は、秘匿化後の文書データD1を記憶部17に保存するとともに複合機10で印刷又はコピー等する。秘匿化後の文書データD1を印刷する前に、その印刷イメージを複合機10の表示装置112を用いてプレビュー表示してもよい。この場合、利用者が文書データD1内の塗り潰しの範囲(以下、「マスク範囲」ともいう。)を表示装置112の画面にタッチ操作することにより広げることができる。これにより、マスク範囲を調整後の文書データD1を複合機10で印刷又はコピーすることができる。ただし、複合機10は、利用者によるマスク範囲の調整について、マスク範囲を増加させる調整は許可するが、マスク範囲を減少させる調整は許可しないことが好ましい。これにより、セキュリティレベルが低下することを回避できる。よって、本実施形態では、利用者によるマスク範囲の調整を可能とし、複合機10は、マスク範囲を増加させる範囲の調整のみ受け付ける。
【0045】
これによれば、人手によらず秘匿対象のキーワード情報を自動で塗り潰し、秘匿化することができる。また、利用者によるキーワード情報の塗り潰しの作業時間をなくすことができ、印刷又は複写時間とほぼ同一の時間で文書の秘匿化及び印刷等を行うことができる。このため、作業時間とコストとを大幅に削減することができる。さらに、本実施形態では、秘匿化前の文書D0及び文書データD0’を複合機10の記憶部17に記憶せず、秘匿化後の文書データD1を記憶部17に記憶する。これにより、秘匿化前の文書D0及び文書データD0’が、ネットワークを介して複合機10に接続可能な他の機器を介して外部に流出し、秘密情報が漏れるリスクを回避できる。
【0046】
なお、次に説明するように、本実施形態に係る文書出力方法では、文書内にキーワード情報が複数存在する場合、複数のキーワードの位置関係によってマスク範囲を自動で設定したり、変更したりすることができる。また、利用者の秘匿レベルに応じてマスク範囲を自動で設定したり、変更したりすることができる。
【0047】
[文書出力処理]
次に、一実施形態に係る文書出力処理について図7図9を参照して説明する。図7は、一実施形態に係る文書出力処理を示すフローチャートである。図8図9は、一実施形態に係る文書出力処理を説明するための図である。
【0048】
図7の文書出力処理は、通信部11がパーソナルコンピュータ20から文書の印刷要求を受信するか、利用者が複合機10を直接操作することにより、受付部12が文書のコピーを受け付けると開始される。本処理が開始されると、判定部14は利用者の秘匿レベルを判定する(ステップS1)。
【0049】
次に、受付部12は、出力の対象となる文書を読み込む(ステップS2)。文書は、イメージ(画像データ)の文書データとして読み込まれる。次に、検出部13は、辞書データベース18を参照して、読み込まれた文書データに含まれる秘匿対象のキーワード情報を検出し、秘匿化処理部15は、検出したキーワード情報を全て黒く塗り潰す(ステップS3)。
【0050】
次に、秘匿化処理部15は、黒く塗り潰したキーワード情報の四隅の座標を取得する(ステップS4)。
【0051】
次に、検出部13は、読み込まれた文書中に含まれる秘匿対象のキーワード情報の検出を終了したかを判定する(ステップS5)。検出部13は、キーワード情報の検出を文書の最後まで行っていない場合、「NO」と判定し、ステップS3~S5の処理を繰り返す。一方、検出部13は、キーワード情報の検出を文書の最後まで行った場合、「YES」と判定し、ステップ6に進む。
【0052】
例えば、図8(a)の文書データD0が読み込まれた場合であって、辞書データベース18に「○○」、「○○○」が登録されていた場合を例に挙げて説明する。「〇」の中には、文字、記号、数字等が入る。この場合、図7のステップS3~S5の処理を繰り返すことにより、図8(b)に示す文書データD0中の「○○」、「○○○」のキーワード情報a1~a17が検出され、キーワード情報a1~a17の全てが黒く塗り潰される。そして、キーワード情報a1~a17を塗り潰した領域b1~b17のそれぞれについて四隅の座標が取得される。例えば、キーワード情報a7の塗り潰し領域b7の位置情報として、図8(b)の右に拡大して示す四隅の座標(x1,y1)、(x1’,y1)、(x1,y1’)、(x1’,y1’)が取得される。
【0053】
次に、図7のステップS6以降の処理において、秘匿化処理部15は、秘匿レベルに応じてキーワード情報のグループ化(以下、「秘匿グループ化」ともいう。)を行う。まず、秘匿化処理部15は、秘匿グループ化の回数を初期値の「0」に設定する(ステップS6)。次に、秘匿化処理部15は、ステップS1にて判定した利用者の秘匿レベルと秘匿グループ化の回数とが等しいかを判定する(ステップS7)。
【0054】
秘匿化処理部15は、利用者の秘匿レベルと秘匿グループ化の回数とが等しくないと判定している間、ステップS7~S11の処理を繰り返す。秘匿化処理部15は、塗り潰された複数のキーワード情報の秘匿箇所の座標同士が、予め定められた近接条件を満たす範囲内である場合、複数のキーワード情報の秘匿箇所をグループ化する(ステップS8)。
【0055】
例えば、図8(c)の右に拡大して示す塗り潰し領域b6の四隅の座標は(x2,y2)、(x2’,y2)、(x2,y2’)、(x2’,y2’)である。また、塗り潰し領域b7の四隅の座標は(x1,y1)、(x1’,y1)、(x1,y1’)、(x1’,y1’)である。この場合のグループ化について説明する。
【0056】
近接条件には、距離αが予め設定されているとする。秘匿化処理部15は、各塗り潰し領域b6、b7の四隅の座標のそれぞれから、x座標において塗り潰し領域b6、b7が最も近い距離と、y座標において塗り潰し領域b6、b7の最も近い距離とを算出する。図8(c)の場合、x座標において塗り潰し領域b6、b7の最も近い距離(x2-x1’)と、y座標において塗り潰し領域b6、b7が最も近い距離(y2’-y1)とが算出される。そして、秘匿化処理部15は、x座標において塗り潰し領域b6、b7が最も近い距離及びy座標において塗り潰し領域b6、b7が最も近い距離のいずれもが近接条件よりも小さい場合、近接条件を満たすと判定する。つまり、塗り潰し領域b6、b7の位置関係の場合、秘匿化処理部15は、(x2-x1’)<αかつ(y2’-y1)<αの条件を満たす場合、複数のキーワード情報の秘匿箇所、つまり、塗り潰し領域b6、b7をグループ化する。この結果、図8(c)に示す塗り潰し領域b6、b7がグループ化される。
【0057】
図7において、次に、秘匿化処理部15は、ステップS8にてグループ化された複数のキーワード情報の秘匿箇所の外接矩形内を塗り潰し、グループ化された範囲を新しい秘匿箇所の座標とする(ステップS9)。
【0058】
これにより、例えば図8(c)に示す新たにグループ化された塗り潰し領域b6、b7の外接矩形c2内が図9(d)に示すように塗り潰される。つまり、図9(d)の右に拡大して示す、四隅の座標が(x1,y2)、(x2’,y2)、(x1,y1’)、(x2’,y1’)である塗り潰し領域b6、b7の外接矩形c2が塗り潰される。
【0059】
図7において、次に、秘匿化処理部15は、文書データの同一レベル(以下、「同一のセキュリティレベル」ともいう。)のグループ化が終了したかを判定する(ステップS10)。なお、同一のセキュリティレベルのグループ化か否かは、ステップS8~S10の処理が繰り返されている間、同一のセキュリティレベルのグループ化と判定される。そして、ステップS11からステップS7に戻ったときに一つ上のセキュリティレベルのグループ化が開始されると判定される。
【0060】
秘匿化処理部15は、同一のセキュリティレベルのグループ化が終了していないと判定すると、ステップS8に戻り、ステップS8以降の処理を繰り返す。キーワード情報a1~a17を塗り潰した領域b1~b17のそれぞれの位置関係に基づきグループ化が行われた結果、図9(c)に示す塗り潰し領域b3、b4の外接矩形c1のグループ化が行われる。また、塗り潰し領域b6、b7の外接矩形c2のグループ化が行われる。また、塗り潰し領域b10、b12の外接矩形c3のグループ化が行われる。また、塗り潰し領域b16、b17の外接矩形c4のグループ化が行われる。そして、図9(d)に示すようにグループ化された外接矩形c1~c4が塗り潰される。
【0061】
図7において、秘匿化処理部15は、同一のセキュリティレベルのグループ化が終了したと判定すると、秘匿グループ化の回数を1つ加算し(ステップS11)、ステップS7に戻る。そして、利用者の秘匿レベルと秘匿グループ化の回数とが等しくなるまでステップS7~S11の処理を繰り返す。ステップS7において、秘匿化処理部15は、利用者の秘匿レベルと秘匿グループ化の回数とが等しいと判定した場合、秘匿化された文書を印刷する又は印刷前のプレビューを表示し(ステップS12)、本処理を終了する。
【0062】
かかる処理によれば、秘匿化処理部15は、秘匿レベルに応じてステップS7~S11の処理の繰り返し回数を所定回数に決定する。そして、ステップS7~S11の処理を所定回数だけ繰り返すことによって、秘匿化された文書のセキュリティレベルの高低を制御できる。
【0063】
例えば、図8(b)に示す秘匿化された文書D1のセキュリティレベルを1とし、図9(d)に示す秘匿化された文書D2のセキュリティレベルを2とする。これによれば、図7のステップ11の処理からステップ7の処理に戻り、ステップS8~S10の処理の繰り返しの回数が一つ増える度に、秘匿化される文書の領域が多くなり、セキュリティレベルが一段高くなっていることがわかる。つまり、図9(d)に示す秘匿化された文書D2は、複数のキーワード情報の位置関係が近接条件を満たす場合に複数のキーワード情報の間に位置する情報を複数のキーワード情報とグループ化し、グループ化した情報を秘匿化する。これにより、秘匿対象のキーワード情報と、複数のキーワード情報の間に位置する情報とを秘匿化することができる。複数のキーワード情報の間に位置する情報は、外接矩形c1~c4内のキーワード情報以外の情報であり、キーワード情報の前後に位置する文字列である。このため、文章の前後関係を考慮すると、複数のキーワード情報の間に位置する情報からキーワード情報が類推されるおそれがある。よって、本実施形態に係る文書出力処理では、秘匿対象のキーワード情報と、複数のキーワード情報の間に位置する情報とを秘匿化する。これにより、秘匿対象のキーワード情報とともに、キーワード情報を類推できるような情報も秘匿化することができる。
【0064】
さらに、ステップS7~S11の処理を繰り返す回数が1増える毎に、セキュリティレベルはさらに一段階ずつ高くなる。例えば、ステップS7~S11の処理により図9(d)に示す秘匿化された文書D2が作成される。ステップS7~S11の処理の繰り返し回数が1増え、さらにステップS7~S11の処理が実行されたとき、図9(d)に示す複数の塗り潰された領域が近接条件を満たすとさらにグループ化される。この結果、図9(e)に示す秘匿化された文書D3が作成される。文書D3では、新たにグループ化された外接矩形を含む外接矩形d1~d5の領域が塗り潰され、文書D2よりもさらに秘匿化が進んだセキュリティレベルが3の状態となる。
【0065】
利用者の秘匿レベルが高い程、ステップS7~S11の処理を繰り返す回数が多くなり、セキュリティレベルが高くなる。その結果、利用者の秘匿レベルが0のときには、図9(b)に示すセキュリティレベルが1の秘匿化された文書D1が印刷される。利用者の秘匿レベルが1のときには、図9(d)に示すセキュリティレベルが2の秘匿化された文書D2が印刷される。利用者の秘匿レベルが2のときには、図9(e)に示すセキュリティレベルが3の秘匿化された文書D3が印刷される。利用者の秘匿レベルが3のときには、図9(f)に示すセキュリティレベルが4の秘匿化された文書D4が印刷される。利用者の秘匿レベルが4以上のときには、文書D0の全体が秘匿化された、図9(g)に示すセキュリティレベルが5の文書D5が印刷される。
【0066】
以上に説明したように、本実施形態にかかる文書出力方法によれば、利用者の秘匿レベルを予め設定し、秘匿レベルに応じてステップS7~S11の処理を繰り返す回数を所定回数に決定する。これにより、例えば、社員の役職によって秘匿レベルデータベース19に設定する秘匿レベルを変えることで秘匿化のレベル、つまり、セキュリティレベルが異なる文書を出力することができる。例えば、役職が上の社員程秘匿レベルを低くすることで、秘匿化されている領域が少ない文書を出力することができる。ただし、秘匿レベルの設定方法は、これに限られず、状況に応じて自由に設定することが可能である。また、利用者が秘匿レベルの設定を変更できる場合には、秘匿レベルを高くする変更を許可し、秘匿レベルを低くする変更を許可しないようにしても良い。これにより、秘密情報の外部への流出をより確実に防止することができる。
【0067】
秘匿化された文書を印刷、ファクシミリ送信、メール送信する前に、印刷対象の文書を表示装置112にプレビュー表示しても良い。これにより、利用者は、印刷等する前に文書中のマスク範囲(塗り潰された範囲)を確認することができる。また、利用者は、表示装置112にプレビュー表示されたマスク範囲をタッチ操作などにより広げることができる。例えば、利用者は、マスク範囲を指でタッチして拡大したり、印刷対象の文書のマスク範囲外の文字列自体を新たなマスク範囲として選択したりしても良い。ただし、利用者によるマスク範囲の変更は、マスク範囲を広げることのみ許可し、マスク範囲を狭めることは許可しないことが好ましい。これにより、セキュリティレベルを低下させずに利用者が文書中で秘匿化したい情報に対するマスク範囲の精度を高めることができる。
【0068】
さらに、グループ化により秘匿化されたキーワード情報以外の情報を秘匿対象の新たなキーワード情報として辞書データベース18に記憶してもよい。また、利用者がマスク範囲を設定又は変更したときに新たに秘匿化された情報を秘匿対象の新たなキーワード情報として辞書データベース18に記憶してもよい。これにより、秘匿対象のキーワード情報を辞書データベース18に蓄積し、次の文書出力処理に使用することができる。
【0069】
上記のようにマスク範囲内の新たなキーワード情報を辞書データベース18に登録する処理は自動で行っても良いし、マスク範囲内の新たなキーワード情報を登録するか否かを利用者に選択させるために、表示してもよい。新たなキーワード情報を表示装置112に表示した場合、利用者が選択した文字列のみを辞書データベース18に登録する。
【0070】
また、辞書データベース18は、利用者毎にキーワード情報が設定された辞書データベースであっても良い。利用者毎の辞書データベース18を使用することによって、同一文書に対する秘匿箇所を変えることができる。
【0071】
以上に説明した一実施形態に係る文書出力方法(図7参照)は、秘匿対象のキーワード情報と、前記キーワード情報が類推されるおそれのある情報とを秘匿化する方法を含み、係る文書出力方法を実行するための機能はすべて複合機10が有する例を挙げて説明した。ただし、一実施形態に係る文書出力方法を実行する機器は、複合機10に限られない。複合機10の一部の機能をパーソナルコンピュータ20が有し、複合機10とパーソナルコンピュータ20とで処理を分散させて文書出力方法を実行してもよい。また、例えば、一実施形態に係る文書出力方法を実行する機器は、パーソナルコンピュータ20であっても良い。つまり、パーソナルコンピュータ20が、図2に示す受付部12、検出部13、判定部14、秘匿化処理部15及び出力部16の機能を有し、辞書データベース18及び秘匿レベルデータベース19を使用して、係る文書出力方法を実行していても良い。
【0072】
この場合、パーソナルコンピュータ20が、印刷対象の文書のキーワード情報と、文書内の複数のキーワード情報の位置関係から近接条件を満たす複数のキーワード情報の外接矩形内を塗り潰し、秘匿化する処理を行う。具体的には、パーソナルコンピュータ20の検出部は、印刷対象の文書を保存する前にキーワード情報を検出する。パーソナルコンピュータ20の秘匿化処理部は、検出したキーワード情報及び近接条件を満たす複数のキーワード情報のグループ化された領域を塗り潰し、秘匿化する。これにより、秘匿化した後の文書の画像データをパーソナルコンピュータ20の記憶領域に保存したり、複合機10に送信し、複合機10にて印刷したりすることで、秘密情報が流出することを防止できる。
【0073】
また、例えば、パーソナルコンピュータ20において利用者が所定の画面をハードコピーしたときにも本実施形態に係る文書出力方法を用いてパーソナルコンピュータ20がハードコピーのデータの秘匿化を行うことができる。具体的には、パーソナルコンピュータ20の検出部は、ハードコピーのデータを保存する前にキーワード情報を検出する。パーソナルコンピュータ20の秘匿化処理部は、検出したキーワード情報及び近接条件を満たす複数のキーワード情報のグループ化された領域を塗り潰し、秘匿化する。これにより、秘匿化した後のハードコピーの画像データを記憶領域に保存したり、複合機10に送信し、複合機10にて印刷したりすることで、秘密情報が流出することを防止できる。
【0074】
本実施形態の文書出力方法では、キーワード情報及びグループ化した外接矩形内(マスク範囲)を秘匿化する方法として、キーワード情報及びグループ化したマスク範囲を塗り潰す方法を例に挙げて説明したが、これに限られない。例えば、情報を秘匿化する他の方法としては、キーワード情報及びグループ化したマスク範囲の情報の内容を類推できない表示に置換する方法が挙げられる。
【0075】
例えば、図10を参照しながら、キーワード情報及びマスク範囲の内容を類推できない表示に置換する方法について説明する。図10は、一実施形態に係る文書の秘匿化の他の例を説明するための図である。この例では、予め置き換え用の架空のマスク用データを記憶したマスク用データベース21を複合機10の記憶部17に記憶しておく。
【0076】
例えば、図10の例では、秘匿対象の文書D0に対して複数のキーワード情報のグループ化によりMで示すマスク範囲が定められた場合、マスク用データベース21を参照して、マスク範囲M内を置き換え用の架空のマスク用データに置換する。これによっても、秘匿化した後の文書を印刷する際に、秘密情報が流出することを防止できる。
【0077】
なお、辞書データベース18、秘匿レベルデータベース19、マスク用データベース21は、複合機10及び/又はパーソナルコンピュータ20に接続されるクラウドコンピュータに記憶されても良い。
【0078】
以上、文書出力プログラム、文書出力方法及び文書出力システムを上記実施形態により説明したが、本開示に係る文書出力プログラム、文書出力方法及び文書出力システムは上記実施形態に限定されるものではなく、本開示の範囲内で種々の変形及び改良が可能である。また、上記実施形態及び変形例が複数存在する場合、矛盾しない範囲で組み合わせることができる。
【0079】
以上の説明に関し、更に以下の項を開示する。
(付記1)
秘匿対象のキーワード情報を記憶した記憶部を参照して、文書の出力の指示に応じて前記文書にキーワード情報が含まれるかを判定する処理と、
判定した前記キーワード情報を秘匿化するとともに、前記文書に複数の前記キーワード情報が含まれ、且つ、複数の前記キーワード情報の位置関係が近接条件を満たす場合に複数の前記キーワード情報の間に位置する情報についても秘匿化する処理と、
秘匿化した後の前記文書を出力する処理と、
をコンピュータに実行させる文書出力プログラム。
(付記2)
前記文書を出力する処理は、前記文書の印刷及び/又は前記文書の表示である、
付記1に記載の文書出力プログラム。
(付記3)
前記間に位置する情報は、前記位置関係が前記近接条件を満たす複数の前記キーワード情報の外接矩形内の情報であることを特徴とする、
付記1又は2に記載の文書出力プログラム。
(付記4)
複数の前記キーワード情報と前記複数の前記キーワード情報の間の情報をグループ化し、
複数の前記グループ化した情報の位置関係が近接条件を満たす場合に複数の前記グループ化した情報の間に位置する情報を複数の前記グループ化した情報とグループ化する処理を所定回数繰り返し、繰り返した後のグループ化した情報のすべてを秘匿化する、
付記1~3のいずれかに記載の文書出力プログラム。
(付記5)
利用者の識別情報と秘匿レベルとを記憶した前記記憶部を参照して、前記文書の出力を指示する利用者の識別情報に対応する秘匿レベルを判定する処理と、
判定した前記秘匿レベルに応じて前記所定回数を決定する処理と、
を更に有する付記4に記載の文書出力プログラム。
(付記6)
前記秘匿化する処理は、対象となる前記キーワード情報及び前記間に位置する情報を塗り潰す又は対象となる前記キーワード情報及び前記間に位置する情報の内容を類推できない表示にする、
付記1~5のいずれかに記載の文書出力プログラム。
(付記7)
秘匿対象のキーワード情報を記憶した記憶部を参照して、文書の出力の指示に応じて前記文書にキーワード情報が含まれるかを判定する処理と、
判定した前記キーワード情報を秘匿化するとともに、前記文書に複数の前記キーワード情報が含まれ、且つ、複数の前記キーワード情報の位置関係が近接条件を満たす場合に複数の前記キーワード情報の間に位置する情報についても秘匿化する処理と、
秘匿化した後の前記文書を出力する処理と、
をコンピュータが実行する文書出力方法。
(付記8)
前記文書を出力する処理は、前記文書の印刷及び/又は前記文書の表示である、
付記7に記載の文書出力方法。
(付記9)
前記間に位置する情報は、前記位置関係が前記近接条件を満たす複数の前記キーワード情報の外接矩形内の情報であることを特徴とする、
付記7は8に記載の文書出力方法。
(付記10)
複数の前記キーワード情報と前記複数の前記キーワード情報の間の情報をグループ化し、
複数の前記グループ化した情報の位置関係が近接条件を満たす場合に複数の前記グループ化した情報の間に位置する情報を複数の前記グループ化した情報とグループ化する処理を所定回数繰り返し、繰り返した後のグループ化した情報のすべてを秘匿化する、
付記7~9のいずれかに記載の文書出力方法。
(付記11)
利用者の識別情報と秘匿レベルとを記憶した前記記憶部を参照して、前記文書の出力を指示する利用者の識別情報に対応する秘匿レベルを判定する処理と、
判定した前記秘匿レベルに応じて前記所定回数を決定する処理と、
を更に有する付記10に記載の文書出力方法。
(付記12)
前記秘匿化する処理は、対象となる前記キーワード情報及び前記間に位置する情報を塗り潰す又は対象となる前記キーワード情報及び前記間に位置する情報の内容を類推できない表示にする、
付記7~11のいずれかに記載の文書出力方法。
(付記13)
秘匿対象のキーワード情報を記憶した記憶部を参照して、文書の出力の指示に応じて前記文書にキーワード情報が含まれるかを判定する判定部と、
判定した前記キーワード情報を秘匿化するとともに、前記文書に複数の前記キーワード情報が含まれ、且つ、複数の前記キーワード情報の位置関係が近接条件を満たす場合に複数の前記キーワード情報の間に位置する情報についても秘匿化する秘匿化処理部と、
秘匿化した後の前記文書を出力する出力部と、
を有する、文書出力システム。
(付記14)
前記出力部は、前記文書の印刷及び/又は前記文書の表示を行う、
付記13に記載の文書出力システム。
(付記15)
前記間に位置する情報は、前記位置関係が前記近接条件を満たす複数の前記キーワード情報の外接矩形内の情報であることを特徴とする、
付記13又は14に記載の文書出力システム。
(付記16)
前記秘匿化処理部は、複数の前記キーワード情報と前記複数の前記キーワード情報の間の情報をグループ化し、
複数の前記グループ化した情報の位置関係が近接条件を満たす場合に複数の前記グループ化した情報の間に位置する情報を複数の前記グループ化した情報とグループ化する処理を所定回数繰り返し、繰り返した後のグループ化した情報のすべてを秘匿化する、
付記13~15のいずれかに記載の文書出力システム。
(付記17)
利用者の識別情報と秘匿レベルとを記憶した前記記憶部を参照して、前記文書の出力を指示する利用者の識別情報に対応する秘匿レベルを判定する判定部を有し、
前記秘匿化処理部は、判定した前記秘匿レベルに応じて前記所定回数を決定する、
付記16に記載の文書出力システム。
(付記18)
前記秘匿化処理部は、対象となる前記キーワード情報及び前記間に位置する情報を塗り潰す又は対象となる前記キーワード情報及び前記間に位置する情報の内容を類推できない表示にする、
付記13~17のいずれかに記載の文書出力システム。
【符号の説明】
【0080】
1 文書出力システム
10 複合機
11 通信部
12 受付部
13 検出部
14 判定部
15 秘匿化処理部
16 出力部
17 記憶部
18 辞書データベース
19 秘匿レベルデータベース
20 パーソナルコンピュータ
21 マスク用データベース
22 操作部
23 スキャナ部
24 プリンタ部
25 ファクシミリ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10