IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コニカミノルタ株式会社の特許一覧

特許7183948画像形成装置、情報処理システム、情報処理方法、およびプログラム
<>
  • 特許-画像形成装置、情報処理システム、情報処理方法、およびプログラム 図1
  • 特許-画像形成装置、情報処理システム、情報処理方法、およびプログラム 図2
  • 特許-画像形成装置、情報処理システム、情報処理方法、およびプログラム 図3
  • 特許-画像形成装置、情報処理システム、情報処理方法、およびプログラム 図4
  • 特許-画像形成装置、情報処理システム、情報処理方法、およびプログラム 図5
  • 特許-画像形成装置、情報処理システム、情報処理方法、およびプログラム 図6
  • 特許-画像形成装置、情報処理システム、情報処理方法、およびプログラム 図7
  • 特許-画像形成装置、情報処理システム、情報処理方法、およびプログラム 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】画像形成装置、情報処理システム、情報処理方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/00 20060101AFI20221129BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20221129BHJP
   B41J 29/42 20060101ALI20221129BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20221129BHJP
   H04N 1/34 20060101ALI20221129BHJP
   G06F 3/12 20060101ALI20221129BHJP
   G06Q 20/14 20120101ALI20221129BHJP
【FI】
B41J29/00 Z
B41J29/38 103
B41J29/38 401
B41J29/38 301
B41J29/42 F
H04N1/00 127A
H04N1/00 885
H04N1/34 200
G06F3/12 303
G06F3/12 373
G06F3/12 385
G06Q20/14
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019095932
(22)【出願日】2019-05-22
(65)【公開番号】P2020189436
(43)【公開日】2020-11-26
【審査請求日】2022-01-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久野 高資
(72)【発明者】
【氏名】川村 勇司
【審査官】牧島 元
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-36840(JP,A)
【文献】特開2009-048533(JP,A)
【文献】特開2011-104879(JP,A)
【文献】特開2009-141773(JP,A)
【文献】特開2005-238852(JP,A)
【文献】特開2018-045565(JP,A)
【文献】特開2010-170442(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/38
B41J 29/00
B41J 29/42
H04N 1/00
H04N 1/34
G06F 3/12
G06Q 20/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置であって、
ジョブを開始する前に、前記ジョブに対する課金額を計算する計算手段と、
決済処理を行う外部サーバーに対して、前記課金額の決済処理を要求する決済処理要求手段と、
前記課金額の決済処理がなされたことを条件に、前記画像形成装置に前記ジョブを実行させるジョブ制御手段と、
前記ジョブの実行が中断している状態で、前記画像形成装置の電源スイッチをオフする操作を前記画像形成装置が受け付けると、前記課金額と前記ジョブのうち実行済みのジョブに対する課金額との差額の返金を、前記外部サーバーに対して要求する返金処理要求手段と、
前記差額の返金が前記外部サーバーに対して要求された後に、前記画像形成装置をシャットダウンさせるシャットダウン処理を実行する装置状態制御手段とを備える、画像形成装置。
【請求項2】
前記ジョブのデータを記憶するメモリと、
前記シャットダウン処理が実行される前に、前記ジョブのデータを前記メモリから削除する削除手段とをさらに備える、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記装置状態制御手段は、前記差額の返金処理がなされたことを示す応答通知を前記外部サーバーから受け取ったことを条件に、前記画像形成装置をシャットダウンさせる、請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記差額の返金処理がなされたこと通知する通知手段をさらに備える、請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記通知手段は、前記画像形成装置の管理者宛てに電子メールにて、前記差額の返金処理がなされたことを通知する、請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
操作パネルをさらに備え、
前記通知手段は、前記操作パネルに前記差額の返金処理がなされたことを表示させる、請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記操作パネルに前記差額の返金処理がなされたことが表示された後に、前記操作パネルが確認用のボタンの操作を受け付けたことを条件に、前記装置状態制御手段は、前記画像形成装置をシャットダウンさせる、請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記返金処理要求手段は、中断している前記ジョブの後に、前記課金額の決済処理がなされた他のジョブが存在する場合、前記他のジョブに対して支払った前記課金額の返金を、前記外部サーバーにさらに要求する、請求項1から7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記ジョブのデータを記憶するメモリと、
前記シャットダウン処理が実行された後、前記電源スイッチをオンする操作を受け付けると、前記ジョブのデータを前記メモリから削除する削除手段とをさらに備える、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記画像形成装置が電源スイッチをオフする操作を受け付けると、前記ジョブのデータを無効化する無効化手段をさらに備え、
前記削除手段は、前記電源スイッチがオンされた後に、無効化された前記ジョブのデータを前記メモリから削除する、請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
操作パネルと、
不揮発性のメモリと、
前記画像形成装置が電源スイッチをオフする操作を受け付けると、前記電源スイッチをオンする操作を受け付けたときに、中断している前記ジョブの実行を継続するか否かをユーザーに選択させる表示を、前記操作パネルに行わせる表示制御手段と、
中断された前記ジョブの実行を継続する選択がなされた場合には、前記ジョブのデータを前記不揮発性のメモリに書き込む書込手段とをさらに備え、
前記返金処理要求手段は、中断された前記ジョブの実行を継続する選択がなされた場合には、前記差額の返金を、前記外部サーバーに対して要求しない、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記シャットダウン処理を実行しているときには、新たなジョブを受け付けない、請求項1から11のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項13】
画像形成装置と、決済処理を行うサーバーとを備えた情報処理システムであって、
前記画像形成装置は、
ジョブを開始する前に、前記ジョブに対する課金額を計算し、
前記サーバーに対して、前記課金額の決済処理を要求し、
前記サーバーは、
前記要求に基づいて、前記課金額の決済処理を実行し、
前記決済処理がなされたことを、前記画像形成装置に通知し、
前記画像形成装置は、
前記課金額の決済処理がなされたことを条件に、前記ジョブを実行し、
前記ジョブの実行が中断している状態で、前記画像形成装置の電源スイッチをオフする操作を受け付けると、支払った前記課金額と実行済みのジョブに対する課金額との差額の返金を、前記サーバーに対して要求し、
前記差額の返金を前記サーバーに対して要求した後に、前記画像形成装置をシャットダウンさせるシャットダウン処理を実行する、情報処理システム。
【請求項14】
画像形成装置が、ジョブを開始する前に、前記ジョブに対する課金額を計算するステップと、
前記画像形成装置が、決済処理を行う外部サーバーに対して、前記課金額の決済処理を要求するステップと、
前記画像形成装置が、前記課金額の決済処理がなされたことを条件に、前記画像形成装置に前記ジョブを実行させるステップと、
前記画像形成装置が、前記ジョブの実行が中断している状態で、前記画像形成装置の電源スイッチをオフする操作を前記画像形成装置が受け付けると、前記課金額と前記ジョブのうち実行済みのジョブに対する課金額との差額の返金を、前記外部サーバーに対して要求するステップと、
前記画像形成装置が、前記差額の返金が前記外部サーバーに対して要求された後に、前記画像形成装置をシャットダウンさせるシャットダウン処理を実行するステップとを備える、情報処理方法。
【請求項15】
ジョブを開始する前に、前記ジョブに対する課金額を計算するステップと、
決済処理を行う外部サーバーに対して、前記課金額の決済処理を要求するステップと、
前記課金額の決済処理がなされたことを条件に、前記ジョブを実行するステップと、
前記ジョブの実行が中断している状態で、電源スイッチをオフする操作を画像形成装置が受け付けると、前記課金額と前記ジョブのうち実行済みのジョブに対する課金額との差額の返金を、前記外部サーバーに対して要求するステップと、
前記差額の返金が前記外部サーバーに対して要求された後に、前記画像形成装置をシャットダウンさせるシャットダウン処理を実行するステップとを、画像形成装置のプロセッサに実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、情報処理システム、情報処理方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンター、複写機、ファクシミリ、およびこれらの複合機(MFP:Multifunction Peripheral)などの画像形成装置が知られている。このような画像形成装置は、コンビニエンスストアー等の各種の店舗に設置されている。
【0003】
また、特許文献1に示されているように、MFPを利用したコピーのジョブの内容に基づいて料金を計算し、計算した料金に対してオンライン決済サービスによって発行された支払いコードを通知し、通知した支払いコードを使用してオンライン決済サービス経由で料金が支払われた場合にコピーのジョブを実行するジョブ実行システムが知られている。
【0004】
このジョブ実行システムは、ジョブの履歴であるジョブログを記憶しており、正常に終了していないジョブをジョブログに基づいて判断した場合に、正常に終了していないジョブに対する料金の少なくとも一部の返金をオンライン決済サービスに依頼する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-45565号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のジョブ実行システムでは、返金処理を行うためには、ジョブログを必ず残さなければならない。
【0007】
また、上記のようなオンライン決済サービスでは、ジョブ実行中に画像形成装置において店舗の店主あるいは店員が対応できないトラブルが発生した場合、節電の観点等から、サービスマンが来るまでの間、店主等が画像形成装置の電源(具体的には、主電源)をオフ状態とすることが想定される。
【0008】
電源がオフされると、画像形成装置の制御基盤への電源供給も途絶えてしまう。したがって、再度電源をオン状態としない限り、画像形成装置は、サーバーに対して返金処理を要求できない。
【0009】
しかしながら、このようなオンライン決済では、一度支払われた料金に対して返金可能期限を設けていることがある。したがって、電源が再度オンされるタイミングが返金可能期限を超えると、返金処理が行われないといった問題がある。
【0010】
本開示は、上記の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、事前のオンライン決済によりユーザーから徴収(課金)した料金のうち、未実施のジョブの料金を確実にユーザーに返すことが可能な画像形成装置、情報処理システム、情報処理方法、およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示のある局面に従うと、画像形成装置は、ジョブを開始する前に、ジョブに対する課金額を計算する計算手段と、決済処理を行う外部サーバーに対して、課金額の決済処理を要求する決済処理要求手段と、課金額の決済処理がなされたことを条件に、画像形成装置にジョブを実行させるジョブ制御手段と、ジョブの実行が中断している状態で、画像形成装置の電源スイッチをオフする操作を画像形成装置が受け付けると、課金額とジョブのうち実行済みのジョブに対する課金額との差額の返金を、外部サーバーに対して要求する返金処理要求手段と、差額の返金が外部サーバーに対して要求された後に、画像形成装置をシャットダウンさせるシャットダウン処理を実行する装置状態制御手段とを備える。
【0012】
好ましくは、画像形成装置は、ジョブのデータを記憶するメモリと、シャットダウン処理が実行される前に、ジョブのデータをメモリから削除する削除手段とをさらに備える。
【0013】
好ましくは、装置状態制御手段は、差額の返金処理がなされたことを示す応答通知を外部サーバーから受け取ったことを条件に、画像形成装置をシャットダウンさせる。
【0014】
好ましくは、画像形成装置は、差額の返金処理がなされたこと通知する通知手段をさらに備える。
【0015】
好ましくは、通知手段は、画像形成装置の管理者宛てに電子メールにて、差額の返金処理がなされたことを通知する。
【0016】
好ましくは、画像形成装置は、操作パネルをさらに備える。通知手段は、操作パネルに差額の返金処理がなされたことを表示させる。
【0017】
好ましくは、操作パネルに差額の返金処理がなされたことが表示された後に、操作パネルが確認用のボタンの操作を受け付けたことを条件に、装置状態制御手段は、画像形成装置をシャットダウンさせる。
【0018】
好ましくは、返金処理要求手段は、中断しているジョブの後に、課金額の決済処理がなされた他のジョブが存在する場合、他のジョブに対して支払った課金額の返金を、外部サーバーにさらに要求する。
【0019】
好ましくは、画像形成装置は、ジョブのデータを記憶するメモリと、シャットダウン処理が実行された後、電源スイッチをオンする操作を受け付けると、ジョブのデータをメモリから削除する削除手段とをさらに備える。
【0020】
好ましくは、画像形成装置は、画像形成装置が電源スイッチをオフする操作を受け付けると、ジョブのデータを無効化する無効化手段をさらに備える。削除手段は、電源スイッチがオンされた後に、無効化されたジョブのデータをメモリから削除する。
【0021】
好ましくは、画像形成装置は、操作パネルと、不揮発性のメモリと、画像形成装置が電源スイッチをオフする操作を受け付けると、電源スイッチをオンする操作を受け付けたときに、中断しているジョブの実行を継続するか否かをユーザーに選択させる表示を、操作パネルに行わせる表示制御手段と、中断されたジョブの実行を継続する選択がなされた場合には、ジョブのデータを不揮発性のメモリに書き込む書込手段とをさらに備える。返金処理要求手段は、中断されたジョブの実行を継続する選択がなされた場合には、差額の返金を、外部サーバーに対して要求しない。
【0022】
好ましくは、画像形成装置は、シャットダウン処理を実行しているときには、新たなジョブを受け付けない。
【0023】
本開示の他の局面に従うと、情報処理システムは、画像形成装置と、決済処理を行うサーバーとを備える。画像形成装置は、ジョブを開始する前に、ジョブに対する課金額を計算する。画像形成装置は、サーバーに対して、課金額の決済処理を要求する。サーバーは、要求に基づいて、課金額の決済処理を実行する。サーバーは、決済処理がなされたことを、画像形成装置に通知する。画像形成装置は、課金額の決済処理がなされたことを条件に、ジョブを実行する。画像形成装置は、ジョブの実行が中断している状態で、画像形成装置の電源スイッチをオフする操作を受け付けると、支払った課金額と実行済みのジョブに対する課金額との差額の返金を、サーバーに対して要求する。画像形成装置は、差額の返金をサーバーに対して要求した後に、画像形成装置をシャットダウンさせるシャットダウン処理を実行する。
【0024】
本開示のさらに他の局面に従うと、情報処理方法は、画像形成装置が、ジョブを開始する前に、ジョブに対する課金額を計算するステップと、画像形成装置が、決済処理を行う外部サーバーに対して、課金額の決済処理を要求するステップと、画像形成装置が、課金額の決済処理がなされたことを条件に、画像形成装置にジョブを実行させるステップと、画像形成装置が、ジョブの実行が中断している状態で、画像形成装置の電源スイッチをオフする操作を画像形成装置が受け付けると、課金額とジョブのうち実行済みのジョブに対する課金額との差額の返金を、外部サーバーに対して要求するステップと、画像形成装置が、差額の返金が外部サーバーに対して要求された後に、画像形成装置をシャットダウンさせるシャットダウン処理を実行するステップとを備える。
【0025】
本開示のさらに他の局面に従うと、プログラムは、ジョブを開始する前に、ジョブに対する課金額を計算するステップと、決済処理を行う外部サーバーに対して、課金額の決済処理を要求するステップと、課金額の決済処理がなされたことを条件に、画像形成装置にジョブを実行させるステップと、ジョブの実行が中断している状態で、画像形成装置の電源スイッチをオフする操作を画像形成装置が受け付けると、課金額とジョブのうち実行済みのジョブに対する課金額との差額の返金を、外部サーバーに対して要求するステップと、差額の返金が外部サーバーに対して要求された後に、画像形成装置をシャットダウンさせるシャットダウン処理を実行するステップとを、画像形成装置のプロセッサに実行させる。
【発明の効果】
【0026】
本開示によれば、事前のオンライン決済によりユーザーから徴収した料金のうち、未実施のジョブの料金を確実にユーザーに返すことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】ネットワークシステムの全体構成を示す図である。
図2】画像形成装置のハードウェア構成の一例を説明するためのブロック図である。
図3】一連の処理の前半部分を示したシーケンス図である。
図4】一連の処理の後半部分を示したシーケンス図である。
図5】トラブルが発生したときの処理の流れを説明するためのシーケンス図である。
図6】画像形成装置の機能的構成を説明するための機能ブロック図である。
図7】管理テーブルの概要を示した図である。
図8】操作パネルに表示されるユーザーインターフェイスの例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
実施の形態における画像形成装置について、以下、図を参照しながら説明する。以下に説明する実施の形態において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本開示の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。同一の部品、相当部品に対しては、同一の参照番号を付し、重複する説明は繰り返さない場合がある。
【0029】
図面においては、実際の寸法の比率に従って図示しておらず、構造の理解を容易にするために、構造が明確となるように比率を変更して図示している箇所がある。なお、以下で説明される各変形例は、適宜選択的に組み合わされてもよい。
【0030】
また、以下では、カラープリンタとしての画像形成装置について説明するが、画像形成装置は、カラープリンタに限定されない。たとえば、画像形成装置は、モノクロプリンタであってもよいし、FAXであってもよいし、モノクロプリンタ、カラープリンタおよびFAXの複合機(MFP:Multi-Functional Peripheral)であってもよい。
【0031】
<A.ネットワークシステムの全体構成>
図1は、ネットワークシステム1000の全体構成を示す図である。
【0032】
図1を参照して、ネットワークシステム1000は、画像形成装置1と、端末装置2と、サーバー3とを備えている。
【0033】
画像形成装置1は、ネットワーク901を介して、サーバー3に通信可能に接続されている。画像形成装置1は、本体部10と、後処理装置20とを備える。本体部10は、コントローラー(制御基盤)31と、操作パネル34と、電源スイッチ39とを備える。
【0034】
端末装置2は、画像形成装置1と通信可能である。端末装置2は、たとえば、AirPrint(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、NFC(Near Field Communication)、WifiDirect(登録商標)等によって、画像形成装置1と通信可能に構成されている。端末装置2は、たとえば、スマートフォン、タブレット端末等の可搬性のある機器である。
【0035】
端末装置2は、ネットワーク902を介して、サーバー3と通信可能である。典型的には、端末装置2は、在圏している基地局8と、基地局8に接続された中継局9とを介して、サーバー3と通信する。
【0036】
サーバー3は、決済用のサーバーである。サーバー3は、画像形成装置1で行われるサービスに対して、オンライン決済を行う。詳しくは、サーバー3は、サービスの提供前に、ユーザーが所望する処理(ジョブ)に対する決済(課金)を行う。すなわち、サーバー3は、事前決済(先課金)を行う。
【0037】
端末装置2は、オンライ決済を行うためのアプリケーションプルグラムがインストールされている。具体的には、端末装置2は、事前のオンライン決済を行うためのアプリケーションプルグラムがインストールされている。たとえば、端末装置2は、当該アプリケーションプログラムにより、WeChatPay(登録商標)、Air pay(登録商標)、NaverPay、LINE Pay(登録商標)等の決済サービスが利用可能となっている。
【0038】
<B.画像形成装置のハードウェア構成>
図2は、画像形成装置1のハードウェア構成の一例を説明するためのブロック図である。
【0039】
図2を参照して、本体部10は、コントローラー31と、固定記憶装置32と、短距離無線IF(Inter Face)33と、電源スイッチ39と、スキャナーユニット12と、操作パネル34と、給紙ユニット14と、メディアセンサ16と、画像形成ユニット11と、プリンタコントローラー35と、ネットワークIF36と、ワイアレスIF37とを有する。コントローラー31には、各部11,12,14,16,32~37,39がバス30を介して接続されている。
【0040】
コントローラー31は、画像形成装置1の動作を制御する。コントローラー31は、CPU(Central Processing Unit)311と、制御プログラムの格納されたROM(Read Only Memory)312と、作業用のS-RAM(Static Random Access Memory)313と、画像形成に関わる各種の設定を記憶するバッテリバックアップされたNV-RAM(Non-Volatile RAM:不揮発性メモリ)314と、時計IC(Integrated Circuit)315とを有する。各部311~315は、バス30を介して接続されている。また、コントローラー31は、典型的には、制御基盤として本体部10に内蔵される。
【0041】
電源スイッチ39は、画像形成装置1をオンおよびオフさせるためのスイッチである。電源スイッチ39は、主電源のスイッチである。電源スイッチがユーザー操作によってオンされると、外部の商用電源からの電力が、画像形成装置1の各部に供給される。
【0042】
電源スイッチ39がオフされると、画像形成装置1の各部への電力供給が停止する。すなわち、電源スイッチ39がオフされると、全ての機能がオフする。この場合には、コントローラー31への電力供給も停止するため、画像形成装置1は、サーバー3および端末装置2とは通信できない。
【0043】
なお、画像形成装置1は、副電源スイッチ(図示せず)を備えている。副電源スイッチは、操作パネル34に設けられている。副電源スイッチをオフにすると、節電状態となる。本実施の形態では、主電源をオフしたとき処理に着目して説明する。
【0044】
操作パネル34は、各種の入力を行うキー、および表示部を有する。操作パネル34は、典型的には、タッチスクリーンと、ハードウェアキーとで構成される。なお、タッチスクリーンは、ディスプレイの上にタッチパネルが重畳されたデバイスである。
【0045】
ネットワークIF36は、ネットワークを介して接続されたサーバー3、PC(図示せず)および他の画像形成装置(図示せず)をはじめとする外部装置との間で各種の情報を送受信する。
【0046】
プリンタコントローラー35は、ネットワークIF36により受信したプリントデータから複写画像を生成する。画像形成ユニット11は、複写画像を用紙上に形成する。
【0047】
なお、固定記憶装置32は、典型的には、ハードディスク装置である。固定記憶装置32には、各種のデータが記憶されている。なお、固定記憶装置32は、フラッシュメモリであってもよい。
【0048】
<C.処理シーケンス>
ネットワークシステム1000において実行される処理について説明する。具体的には、端末装置2と、画像形成装置1と、サーバー3とにおいて実行させる処理について説明する。
【0049】
まず、ジョブを実行するときの正常時の処理について説明する。次いで、ジョブの途中で、トラブル等の発生により主電源がオフされたときの処理について説明する。
【0050】
(c1.正常時の処理)
ジョブを実行するときの処理は、大別して、ジョブの実行を指示する処理と、指示されたジョブをホールドする処理と、課金計算の処理と、料金確認の処理と、オーダー処理と、入金確認の処理と、ジョブ出力の処理とを含む。
【0051】
図3は、一連の処理の前半部分を示したシーケンス図である。詳しくは、図3は、上述した、ジョブの実行を指示する処理と、指示されたジョブをホールドする処理と、課金計算の処理と、料金確認の処理と、オーダー処理とを説明するための図である。
【0052】
図3を参照して、シーケンスSQ1において、端末装置2は、ジョブ実行指示を画像形成装置1に送る。端末装置2は、ジョブとして、プリント、コピー、スキャン等を画像形成装置1に指示する。プリントジョブの実現方法としては、たとえば、上述したように、AirPrint、Bluetooth、NFC、WifiDirect等に基づいた通信を利用できる。
【0053】
なお、ジョブの実行指示は、上記のような通信プロトコルに限定されず、図1に示した、3G(3rd Generation)、4G、5G等の規格に基づく通信網を利用した指示であってもよい。
【0054】
シーケンスSQ2において、画像形成装置1は、端末装置2のユーザー操作に基づくジョブ(シーケンスSQ1で実行指示されたジョブ)をホールド(保持)する。すなわち、画像形成装置1は、ジョブを即座に実行することなく、実行可能となるタイミングまで待機する。
【0055】
シーケンスSQ3において、画像形成装置1は、課金計算を行う。詳しくは、画像形成装置1は、ジョブを開始する前に、ジョブに対する課金額を計算する。
【0056】
シーケンスSQ4において、料金確認の処理が行われる。詳しくは、シーケンスSQ4は、シーケンスSQ40~SQ42の処理を含む。
【0057】
シーケンスSQ40においては、画像形成装置1は、端末装置2に対して、課金される料金を通知する。端末装置2のユーザーが、課金される料金に同意する操作を端末装置2に対して行うと(シーケンスSQ41)、端末装置2は、承認通知を画像形成装置1に送信する(シーケンスSQ42)。当該送信に用いる通信プロトコルも特に限定されるものではない。
【0058】
なお、上記においては、シーケンスSQ4において、アプリを介して画像形成装置1と通信する構成を例に挙げているが、メールを画像形成に送信する構成であってもよい。
【0059】
シーケンスSQ5において、オーダー処理が行われる。具体的には、シーケンスSQ5において、決済処理を行うサーバー3に対して、課金額の決済処理を要求する。詳しくは、シーケンスSQ5は、シーケンスSQ50~SQ55の処理を含む。
【0060】
シーケンスSQ50において、画像形成装置1は、注文書を作成する。シーケンスSQ51において、サーバー3に対して、支払いの要請をする。たとえば、WechatPayを利用する場合、画像形成装置1は、WechatpayAPI(Application Programming Interface)へ支払いを要請する。
【0061】
シーケンスSQ52において、支払いに関する一連の処理が開始される。シーケンスSQ53において、サーバー3は、支払い処理に用いるURL(Uniform Resource Locator)を画像形成装置1に通知する。シーケンスSQ54において、画像形成装置1は、当該URLに基づき二次元コードを作成する。典型的には、画像形成装置1は、QRコード(登録商標)を作成する。
【0062】
その後、シーケンスSQ55において、画像形成装置1は、操作パネル34に、作成された二次元コードを表示する。これにより、端末装置2のユーザー(すなわち、画像形成装置1によるサービスの提供を受けるユーザー)は、二次元コードを端末装置2で読み取ることが可能となる。
【0063】
図4は、一連の処理の後半部分を示したシーケンス図である。詳しくは、図4は、上述した、入金確認の処理と、ジョブ出力の処理とを説明するための図である。
【0064】
図4を参照して、シーケンスSQ6において、入金確認の処理が行われる。詳しくは、シーケンスSQ6は、シーケンスSQ60~SQ69の処理を含む。
【0065】
シーケンスSQ60において、ユーザーは、端末装置2を用いて、画像形成装置1の操作パネル34に表示された二次元コードをスキャンする。なお、本例では、端末装置2のアプリ(オンライン決済用のアプリケーションプログラム)は、二次元コードをスキャンするアプリの機能を含む。
【0066】
シーケンスSQ61において、端末装置2は、ネットワーク902等を介して、サーバー3にURLを送信する。すなわち、端末装置2は、二次元コードをスキャンすることにより得たURLを、サーバー3に送信する。なお、URLの送信経路は、上記に限定されるものではない。
【0067】
シーケンスSQ62において、サーバー3は、端末装置2から受信したURLを確認する。具体的には、サーバー3は、URLが画像形成装置1に送信したURLと一致するか否かを確認する。
【0068】
シーケンスSQ63において、端末装置2から受信したURLが正しいことを条件(認証されたことを条件)に、端末装置2に対して、支払いの認可の連絡を通知する。ユーザーが端末装置2に所定のパスワードと支払いの承認を示す入力とを行うことにより(シーケンスSQ64)、シーケンスSQ65において、これらの入力データがサーバー3に送信される。
【0069】
シーケンスSQ66において、サーバー3にて、端末装置2から送られてきたデータの確認(パスワードの認証等)が行われ、問題が無ければ支払いが完了する。その後、シーケンスSQ67において、サーバー3は、支払い処理に成功したことを示す通知を、端末装置2に送信する。
【0070】
シーケンスSQ68において、画像形成装置1は、サーバー3に対して、状態を確認するための通知を送信する。具体的には、画像形成装置1は、支払い(入金処理)が完了したか否かを問い合わせる通知を、定期的にサーバー3に送信する。
【0071】
シーケンスSQ69において、サーバー3は、支払い処理が完了していることを条件に、支払完了通知書を画像形成装置1に送る。
【0072】
画像形成装置1は、支払完了通知をサーバー3から受信すると、シーケンスSQ7において、ジョブを出力(ジョブを実行)する。このように、画像形成装置1は、課金額の決済処理がなされたことを条件に、ジョブを実行する。
【0073】
(c2.電源がオフされた時の処理)
図5は、図4のシーケンスSQ7においてトラブルが発生したときの処理の流れを説明するためのシーケンス図である。詳しくは、図5は、ジョブがトラブルによって中断し、かつジョブが中断しているときに電源スイッチ39がオフされたときの処理を説明するためのシーケンス図である。なお、中断するトラブルとしては、たとえば、ジャムの発生、用紙やトナーなどの消耗品のエンプティ、交換部品の寿命などがある。
【0074】
図5を参照して、シーケンスSQ101において、画像形成装置1は、トラブルによりジョブの実行を中断する。シーケンスSQ102において、画像形成装置1は、ユーザーからの電源オフ操作があったか否かを判断する。電源オフ操作があった場合(シーケンスSQ102においてYES)、画像形成装置1は、後述するシーケンスSQ103~SQ107が完了するまで、シャットダウン処理を実行(開始)しない。なお、電源オフ操作がない場合(シーケンスSQ102においてNO)、画像形成装置1では、シーケンスSQ103以降の処理は行なわれない。
【0075】
シーケンスSQ103において、画像形成装置1は、返金額の算出を行う。具体的には、画像形成装置1は、課金額(決済された金額)と、指示を受けたジョブのうち実行済みのジョブに対する課金額との差額の返金を算出する。画像形成装置1は、たとえば10枚のプリントの実行指示を受け付けた場合に8枚のプリントが完了している場合には、残り2枚のプリント分の料金(差額)を算出する。
【0076】
シーケンスSQ104において、画像形成装置1は、返金処理要求をサーバー3に通知する。具体的には、画像形成装置1は、算出された上記差額の返金を求める通知を、サーバー3に対して送信する。シーケンスSQ105において、サーバー3は、返金処理を実行する。サーバー3は、返金処理が完了すると、シーケンスSQ106において、返金が完了したことを示す通知を画像形成装置1に対して送信する。
【0077】
シーケンスSQ107において、画像形成装置1は、返金処理がなされたことと、返金額とを、操作パネル34に表示する。これにより、ユーザーは、未実施のジョブに対する返金処理がなされたことと、返金額とを知ることができる。
【0078】
シーケンスSQ107の後、画像形成装置1をシャットダンする処理が順次実行される。シーケンスSQ108において、コントローラー31のCPU311は、HDD(すなわち、固定記憶装置32)へのアクセスを終了する。シーケンスSQ109において、CPU311は、操作パネル34をオフにする。シーケンスSQ110において、CPU110は、制御基盤(すなわち、コントローラー31)への電源供給を停止する。
【0079】
(c3.小括)
以上のように、画像形成装置1は、ジョブを開始する前に、ジョブに対する課金額を計算する。また、画像形成装置1は、決済処理を行うサーバー3に対して、課金額の決済処理を要求する。画像形成装置1は、課金額の決済処理がなされたことを条件に、ジョブを実行する。
【0080】
画像形成装置1は、ジョブの実行が中断している状態で、画像形成装置1の電源スイッチ39をオフする操作を画像形成装置1が受け付けると、課金額とジョブのうち実行済みのジョブに対する課金額との差額の返金を、サーバー3に対して要求する。画像形成装置1は、差額の返金をサーバー3に対して要求した後に、画像形成装置1をシャットダウンさせるシャットダウン処理を実行する。
【0081】
このような構成によれば、画像形成装置1は、電源スイッチ39を再度オンしなくても、サーバー3に対して返金処理を要求できる。それゆえ、サーバー3において、一度支払われた料金(決済された課金額)に対して返金可能期限を設けていることがあっても、返金可能期限を超えることはない。したがって、画像形成装置1によれば、事前のオンライン決済によりユーザーから徴収した料金(決済された課金額)のうち、未実施のジョブの料金を確実にユーザーに返すことが可能となる。
【0082】
なお、画像形成装置1が備える他の機能については、後述する。
<D.機能的構成>
図6は、画像形成装置1の機能的構成を説明するための機能ブロック図である。
【0083】
図6を参照して、画像形成装置1は、制御部100と、スキャナーユニット12と、通信インターフェイス部17と、操作パネル34と、電源スイッチ39と、記憶部38と、後処理装置20と、画像形成ユニット11とを備えている。
【0084】
制御部100は、図2に示したコントローラー31に対応する。通信インターフェイス部17は、図2に示した、短距離無線IF33、ネットワークIF36、ワイアレスIF37に対応する。記憶部38は、典型的には、固定記憶装置32に対応する。
【0085】
操作パネル34は、操作部341と、表示部342とを備える。操作部341は、物理キー、タッチパネルに対応する。表示部342は、ディスプレイに対応する。
【0086】
制御部100は、課金制御部110と、ジョブ制御部120と、装置状態制御部130と、ジョブデータ処理部140と、通知部150とを備える。課金制御部110は、計算部111と、決済処理要求部112と、返金処理要求部113とを有する。ジョブデータ処理部140は、削除部141と、無効化部142と、書込部143とを有する。通知部150は、表示制御部151を有する。
【0087】
以下、制御部100の処理について、様々な局面に基づいて説明する。
(d1.処理の概要)
課金制御部110は、課金に関する処理を実行する。
【0088】
計算部111は、ジョブを開始する前に、当該ジョブに対する課金額を計算する。計算された課金額は、通信インターフェイス部17を介して、端末装置2に通知される(図3のシーケンスSQ40参照)。
【0089】
決済処理要求部112は、決済処理を行うサーバー3に対して、算出された課金額の決済処理を要求する。具体的には、ユーザーからの承認通知を受信したことに基づき、算出された課金額の決済処理を要求する(図3のシーケンスSQ41,SQ42,SQ50,SQ51参照)。
【0090】
ジョブ制御部120は、課金額の決済処理がなされたことを条件に、画像形成装置1にジョブを実行させる。たとえば、ジョブ制御部120は、ジョブがプリントまたはコピーの場合、画像形成ユニット11に画像の形成をさせる(図4のシーケンスSQ7)。
【0091】
返金処理要求部113は、ジョブの実行が中断している状態で、画像形成装置1の電源スイッチ39をオフする操作を画像形成装置1が受け付けると、当該課金額と当該ジョブのうち実行済みのジョブに対する課金額との差額の返金を、サーバー3に対して要求する(図5のシーケンスSQ104参照)。具体的には、返金処理要求部113は、通信インターフェイス部17を介して、差額の返金をサーバー3に要求する。
【0092】
装置状態制御部130は、差額の返金がサーバー3に対して要求された後に、画像形成装置1をシャットダウンさせるシャットダウン処理を実行する(図5のシーケンスSQ108~SQ110参照)。
【0093】
したがって、画像形成装置1によれば、事前のオンライン決済によりユーザーから徴収した料金(決済された課金額)のうち、未実施のジョブの料金を確実にユーザーに返すことが可能となる。
【0094】
(d2.処理の詳細)
(1)記憶部38は、実行を指示されたジョブのデータを記憶している。削除部141は、シャットダウン処理が実行される前に、ジョブのデータを記憶部38から削除する。なお、ジョブのデータを削除するタイミングは、削除部141は、ジョブの中断後、かつシャットダウン処理が実行前であれば、特に限定されるものではない。
【0095】
このような構成によれば、シャットダウンがなされた状態においてはジョブのデータは記憶部38から削除された状態となる。このため、電源がオンされた後に、当該ジョブが実行されることもない。また、データの削除により、セキュリティも向上する。さらに、データ(不要なデータ)によって記憶容量が低下することを抑制できる。
【0096】
(2)装置状態制御部130は、差額の返金処理がなされたことを示す応答通知(図5のシーケンスSQ106参照)をサーバー3から受け取ったことを条件に、画像形成装置1をシャットダウンさせる。このような構成によれば、未実施のジョブの料金をより確実にユーザーに返すことが可能となる。
【0097】
(3)通知部150は、差額の返金処理がなされたこと通知する。たとえば、通知部150は、画像形成装置1の管理者宛てに電子メールにて、当該差額の返金処理がなされたことを通知する。このような構成によれば、管理者がユーザーに返金処理がなされたことを知らせることが可能となる。それゆえ、ユーザーに安心感を与えることができる。
【0098】
また、通知部150は、操作パネル34の表示部342に、差額の返金処理がなされたことを表示させてよい。このような構成によれば、ユーザーは、その場で、返金処理がなされたことを確認することができる。さらに、通知部150は、操作パネル34の表示部342に、差額の情報を表示させてよい。このような構成によれば、ユーザーは、その場で、返金される金額(差額)を知ることができる。
【0099】
通知部150が、差額と差額の返金処理がなされたこととを、表示部342に表示させることが好ましい。
【0100】
(4)装置状態制御部130は、典型的には、操作パネル34の表示部342に差額の返金処理がなされたことが表示された後に、操作パネル34が確認用のボタン(図示せず)の操作を受け付けたことを条件に、画像形成装置1をシャットダウンさせる。このような構成によれば、ユーザーの確認が得られた状態で、シャットダウンすることができる。また、ユーザーに返金処理がなされたことの認識を持たせることができる。
【0101】
(5)返金処理要求部113は、中断しているジョブの後に、課金額の決済処理がなされた他のジョブが存在する場合、他のジョブに対して支払った課金額の返金を、サーバー3にさらに要求する。すなわち、返金処理要求部113は、中断しているジョブの後に引き続き実行されるジョブであって、既に決済処理がなされているものについても、サーバー3ーに対して返金の要求を行う。このような構成によれば、後続するジョブの返金処理のみを別途単独で行う必要がなくなる。
【0102】
(6)上記においては、削除部141は、シャットダウン処理の実行前にジョブを削除する構成を説明したが、これに限定されるものではない。たとえば、削除部141は、シャットダウン処理が実行された後、電源スイッチ39をオンする操作を受け付けると、ジョブのデータを記憶部38から削除してもよい。
【0103】
また、画像形成装置1が電源スイッチ39をオフする操作を受け付けると、シャットダウン処理の実行前に、無効化部142によってジョブのデータを無効化しておき、電源スイッチ39がオンされた後に、無効化されたジョブのデータを記憶部38から削除してもよい。
【0104】
(7)表示制御部151は、表示部342に各種の画像を表示する。表示制御部151は、画像形成装置1が電源スイッチ39をオフする操作を受け付けると、電源スイッチ39をオンする操作を受け付けたときに、中断しているジョブの実行を継続するか否かをユーザーに選択させる表示を、操作パネル34の表示部342に行わせる。典型的には、表示制御部151は、中断しているジョブの実行を継続するか否かをユーザーに選択させるソフトウェアキー(たとえば、継続のソフトウェアキーと、キャンセルのソフトウェアキー)とを表示部342に表示させる。
【0105】
書込部143は、中断されたジョブの実行を継続する選択がなされた場合には、ジョブのデータを記憶部38(不揮発性のメモリ)に書き込む。返金処理要求部113は、中断されたジョブの実行を継続する選択がなされた場合には、差額の返金をサーバー3に対して要求しない。
【0106】
このような構成によれば、返金処理をその場で行うか否かをユーザーに選択されることができる。したがって、ユーザーの意思を尊重した処理が可能となる。
【0107】
(8)画像形成装置1は、シャットダウン処理を実行しているときには、新たなジョブを受け付けない。
【0108】
(9)記憶部38は、管理テーブルを記憶している。課金制御部110は、管理テーブルに基づいて、課金額および返金額を算出する。
【0109】
図7は、管理テーブルの概要を示した図である。図7を参照して、管理テーブルは、ジョブ番号に対応付けて、ユーザーの情報(ユーザー名等)と、原稿枚数と、印刷部数と、カラーモードの指定の有無と、課金額と、決済の有無と、出力枚数と、返金額との各情報が、ジョブ毎に記載されている。
【0110】
具体的には、制御部100(具体的には、CPU311)は、ジョブ生成時に、ジョブ番号を付与する。制御部100は、ジョブ番号を、管理テーブルに登録する。制御部100は、ユーザー認証などでユーザーが特定できる場合は、ユーザーの情報を管理テーブルに記録する。また、制御部100は、課金額に必要な情報(原稿枚数、印刷枚数、カラーモードなど)を管理テーブルに記録する。本例では、1枚出力する単価をカラーコピーで20円、モノクロコピーで10円とした場合に「原稿枚数×印刷部数×単価」を課金額としている。料金が徴収できたときには、制御部100は、課金済みの情報を管理テーブルに記録する。制御部100は、印刷が開始されると、出力される毎に出力枚数を管理テーブルに記録する。本例では、返金額を「課金額-(印刷枚数×単価)」で計算している。制御部100は、用紙出力毎に返金額を計算してもよいし、あるいは実際に返金処理を行う場合に返金額を計算してもよい。
【0111】
なお、課金額および返金額については、単純に「単価×印刷枚数」とせず、所定の額を上乗せして、値引くサービスの形態を取ってもよい。
【0112】
<E.UI>
図8は、操作パネル34に表示されるユーザーインターフェイスの例を示した図である。
【0113】
図8を参照して、表示制御部151は、返金額(差額)と差額の返金処理がなされたこととを、表示部342に表示させる。具体的には、表示制御部151は、差額の返金処理なされたことと差額とを記載した画像3421を、表示部342に表示させる。
【0114】
このような表示によれば、上述したように、ユーザーは、その場で、返金処理がなされたことと、返金される金額(差額)とを知ることができる。
【0115】
画像形成装置1における処理は、各ハードウェアおよびCPU311により実行されるソフトウェアによって実現される。このようなソフトウェアは、固定記憶装置32(たとえば、HDD)に予め記憶されている場合がある。また、ソフトウェアは、その他の記憶媒体に格納されて、プログラムプロダクトとして流通している場合もある。あるいは、ソフトウェアは、いわゆるインターネットに接続されている情報提供事業者によってダウンロード可能なプログラムプロダクトとして提供される場合もある。このようなソフトウェアは、読取装置によりその記憶媒体から読み取られて、あるいは、ネットワークIF36等を介してダウンロードされた後、固定記憶装置32に一旦格納される。そのソフトウェアは、CPU311によって固定記憶装置32から読み出され、RAM314に実行可能なプログラムの形式で格納される。CPU311は、そのプログラムを実行する。
【0116】
同図に示される画像形成装置1を構成する各構成要素は、一般的なものである。したがって、本発明の本質的な部分は、RAM314、固定記憶装置32(HDD)あるいはフラッシュメモリ、記憶媒体に格納されたソフトウェア、あるいはネットワークを介してダウンロード可能なソフトウェアであるともいえる。なお、画像形成装置1の各ハードウェアの動作は周知であるので、詳細な説明は繰り返さない。
【0117】
なお、記録媒体としては、DVD-RAMに限られず、DVD-ROM、CD-ROM、FD、ハードディスク、磁気テープ、カセットテープ、光ディスク、EEPROM、フラッシュROMなどの半導体メモリ等の固定的にプログラムを担持する媒体でもよい。また、記録媒体は、当該プログラム等をコンピュータが読取可能な一時的でない媒体である。また、ここでいうプログラムとは、CPUにより直接実行可能なプログラムだけでなく、ソースプログラム形式のプログラム、圧縮処理されたプログラム、暗号化されたプログラム等を含む。
【0118】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0119】
1 画像形成装置、2 端末装置、3 サーバー、8 基地局、9 中継局、10 本体部、11 画像形成ユニット、12 スキャナーユニット、14 給紙ユニット、17 通信インターフェイス部、20 後処理装置、30 バス、31 コントローラー、32 固定記憶装置、34 操作パネル、36 ネットワークIF、38 記憶部、39 電源スイッチ、100 制御部、110 課金制御部、111 計算部、112 決済処理要求部、113 返金処理要求部、120 ジョブ制御部、130 装置状態制御部、140 ジョブデータ処理部、141 削除部、142 無効化部、143 書込部、150 通知部、151 表示制御部、341 操作部、342 表示部、901,902 ネットワーク、1000 ネットワークシステム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8