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特許7183971ショット処理装置及びショット処理装置の制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】ショット処理装置及びショット処理装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   B24C 7/00 20060101AFI20221129BHJP
   B24C 5/04 20060101ALI20221129BHJP
【FI】
B24C7/00 E
B24C5/04 A
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2019112641
(22)【出願日】2019-06-18
(65)【公開番号】P2020203346
(43)【公開日】2020-12-24
【審査請求日】2021-11-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000191009
【氏名又は名称】新東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 幸徳
【審査官】城野 祐希
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-296469(JP,A)
【文献】国際公開第2009/022489(WO,A1)
【文献】特開2008-068368(JP,A)
【文献】特開平07-080773(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24C 7/00
B24C 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ショット材を貯留する貯留部と、
前記ショット材を噴射させるノズルであって、内部で発生した負圧により前記ショット材を吸引すると共に圧縮空気と共に前記ショット材を噴射するノズルと、
前記貯留部から前記ノズルへ前記ショット材を搬送する搬送路と、
前記圧縮空気を前記ノズルに供給する圧縮空気供給部と、を備えるショット処理装置であって、
前記搬送路内の負圧を検出する負圧計と、
前記負圧計の検出結果に基づいて、前記搬送路の詰まり、又は/および前記搬送路からの気密破れを含む、動作異常、または動作異常の予兆を検出する異常検出部と、
前記異常検出部の検出結果に基づいて作動する異常処置部と、
前記異常処置部の作動を制御する制御部と、
を備えるショット処理装置。
【請求項2】
前記異常処置部は、前記異常検出部の検出結果に基づいて、警告表示又は警告音を含む警告を発する警告機構を備える請求項1に記載のショット処理装置。
【請求項3】
前記異常処置部は、前記異常検出部で検出された検出結果に基づいて、前記搬送路内に前記圧縮空気を供給する詰まり解除機構を備える請求項1又は2に記載のショット処理装置。
【請求項4】
前記詰まり解除機構は、前記圧縮空気を受け入れるとともに前記ノズルまたは前記搬送路内に前記圧縮空気を選択的に供給する三方弁を備える請求項3に記載のショット処理装置。
【請求項5】
前記三方弁は、前記ノズル又は前記搬送路内に前記圧縮空気を選択的に供給する第一の三方弁と、
前記第一の三方弁と前記搬送路との間に介在し、前記第一の三方弁から前記圧縮空気を受け入れるとともに、前記搬送路内に前記圧縮空気を供給する、または前記搬送路内を大気開放する、ことを選択的に行う第二の三方弁とを備える請求項4に記載のショット処理装置。
【請求項6】
前記搬送路に、前記搬送路の延在する方向に前記負圧計が複数設けられている請求項1から5のいずれか一項に記載のショット処理装置。
【請求項7】
前記負圧計は、前記搬送路と前記ノズルとの接合部近傍に設けられている請求項6に記載のショット処理装置。
【請求項8】
前記負圧計は、前記貯留部と前記搬送路との接合部近傍に設けられている請求項6または7に記載のショット処理装置。
【請求項9】
前記負圧計は、前記搬送路と前記ノズルとの接合部と、前記貯留部と前記搬送路との接合部との間に介在する前記搬送路上に設けられている請求項8に記載のショット処理装置。
【請求項10】
ショット材を貯留する貯留部と、
前記ショット材を噴射させるノズルであって、内部で発生した負圧により前記ショット材を吸引すると共に圧縮空気と共に前記ショット材を噴射するノズルと、
前記貯留部から前記ノズルへ前記ショット材を搬送する搬送路と、
前記圧縮空気を前記ノズルに供給する圧縮空気供給部と、を備えるショット処理装置であって、
前記搬送路内の負圧を検出する負圧計と、
前記負圧計の検出結果に基づいて動作異常、または動作異常の予兆を検出する異常検出部と、
前記搬送路内に前記圧縮空気を供給する詰まり解除機構と、
前記動作異常、または動作異常の予兆が前記搬送路の詰まりの予兆であるか否かを判断する予兆判断部と、
前記予兆判断部が、詰まりの予兆であると判断すると、前記搬送路内に前記圧縮空気を供給するよう前記詰まり解除機構を制御する制御部と、
を備えるショット処理装置。
【請求項11】
ショット材を貯留する貯留部と、
前記ショット材を噴射させるノズルであって、内部で発生した負圧により前記ショット材を吸引すると共に圧縮空気と共に前記ショット材を噴射するノズルと、
前記貯留部から前記ノズルへ前記ショット材を搬送する搬送路と、
前記圧縮空気を前記ノズルに供給する圧縮空気供給部と、を備えるショット処理装置であって、
前記搬送路内の負圧を検出する負圧計と、
前記負圧計の検出結果に基づいて動作異常、または動作異常の予兆を検出する異常検出部と、
前記異常検出部の検出結果に基づいて、警告表示又は警告音を含む警告を発する警告機構と、
前記動作異常、または動作異常の予兆が前記搬送路の詰まりの予兆である場合をカウントし、このカウントした値が設定された値以上のとき警告を発するよう前記警告機構を制御する制御部と、を備えるショット処理装置。
【請求項12】
ショット材を貯留する貯留部と、前記ショット材を噴射させるノズルであって、内部で発生した負圧により前記ショット材を吸引すると共に圧縮空気と共に前記ショット材を噴射するノズルと、前記貯留部から前記ノズルへ前記ショット材を搬送する搬送路と、前記圧縮空気を前記ノズルに供給する圧縮空気供給部と、を備えるショット処理装置の制御方法であって、
前記搬送路内の負圧を検出すること、
前記負圧の検出結果に基づいて、前記搬送路の詰まり、又は/および前記搬送路からの気密破れを含む、動作異常、または動作異常の予兆を検出すること、
前記動作異常、または動作異常の予兆が検出されたときに、警告表示、警告音を含む警告を発すること、を含むショット処理装置の制御方法。
【請求項13】
ショット材を貯留する貯留部と、前記ショット材を噴射させるノズルであって、内部で発生した負圧により前記ショット材を吸引すると共に圧縮空気と共に前記ショット材を噴射するノズルと、前記貯留部から前記ノズルへ前記ショット材を搬送する搬送路と、前記圧縮空気を前記ノズルに供給する圧縮空気供給部と、を備えるショット処理装置の制御方法であって、
前記搬送路内の負圧を検出すること、
前記負圧の検出結果に基づいて動作異常、または動作異常の予兆を検出すること、
前記動作異常、または動作異常の予兆が前記搬送路の詰まりの予兆である場合に、前記搬送路内に前記圧縮空気を供給すること、
を含むショット処理装置の制御方法。
【請求項14】
前記搬送路内に前記圧縮空気を供給することをカウントし、このカウントした値が設定された値以上のとき警告を発すること、を含む請求項13に記載のショット処理装置の制御方法。
【請求項15】
前記動作異常、または動作異常の予兆が前記搬送路の詰まり、又は/および前記搬送路からの気密破れである場合に警告を発すること、を含む請求項13に記載のショット処理装置の制御方法。
【請求項16】
ショット材を貯留する貯留部と、前記ショット材を噴射させるノズルであって、内部で発生した負圧により前記ショット材を吸引すると共に圧縮空気と共に前記ショット材を噴射するノズルと、前記貯留部から前記ノズルへ前記ショット材を搬送する搬送路と、前記圧縮空気を前記ノズルに供給する圧縮空気供給部と、を備えるショット処理装置の制御方法であって、
前記搬送路内の負圧を検出すること、
前記負圧の検出結果に基づいて動作異常、または動作異常の予兆を検出すること、
前記動作異常、または動作異常の予兆が前記搬送路の詰まりの予兆である場合をカウントし、このカウントした値が設定された値以上のとき警告を発すること、
を含むショット処理装置の制御方法。
【請求項17】
前記動作異常、または動作異常の予兆が前記搬送路の詰まりの予兆である場合に、前記搬送路内に前記圧縮空気を供給すること、を含む請求項12に記載のショット処理装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ショット処理装置及びショット処理装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ショット処理装置は、高圧気体流にショット材を混合した固気二相流を噴射ノズルより被加工物に向けて噴射することで、ブラスト加工やショットピーニングなどの表面処理を行う装置として広く知られている。このショット処理装置は、圧縮空気供給部からノズルまでの経路中にショット材を圧送して圧縮空気と混合し、固気二相流として噴射するタイプと(直圧式)、ノズル内部で発生した負圧によりショット材をノズル内部に吸引して圧縮空気と混合し、固気二相流として噴射するタイプと(吸引式)、がある。
【0003】
吸引式のショット処理装置は、ベンチュリ効果によってノズル内に負圧を生じさせ、その負圧をショット材を搬送するホースに伝搬させて、ショット材をノズルまで吸引している。負圧によるショット材の搬送は、直圧式に比べて、ショット材へ加えられる圧力が弱いため、使用されるショット材の状態等によってはホース内に詰まりが生じる恐れがある。
【0004】
また、装置の長期間の使用によってショット材がホースの内面を削り、ホースに破れが生じたり、装置の稼働中にホースがノズルから外れて当該ホースの口が開いてしまったりして、ショット材による正常な処理ができなくなる恐れがある。
【0005】
特許文献1には、ホッパーの出口に負圧計を設けて、それを観測することでホッパーからノズルまでのガラスビーズが搬送される経路における異常を検知する、歯車の高強度化装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平9-248762号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の装置では、負圧計が正常な値を示しているか否かのみで異常を検知し、作業を停止させているので、異常状態の把握、及び復旧には時間がかかる恐れがある。また、装置の状態が経時的に変化して、正常な状態から逸脱してきている傾向を把握できない恐れがある。
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、動作異常、または動作異常の予兆を迅速に効率良く検知し、対策を講じることが可能なショット処理装置及びショット処理装置の制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
すなわち、本発明によるショット処理装置は、ショット材を貯留する貯留部と、ショット材を噴射させるノズルであって、内部で発生した負圧によりショット材を吸引すると共に圧縮空気と共にショット材を噴射するノズルと、貯留部からノズルへショット材を搬送する搬送路と、圧縮空気をノズルに供給する圧縮空気供給部と、を備えるショット処理装置であって、搬送路内の負圧を検出する負圧計と、負圧計の検出結果に基づいて動作異常、または動作異常の予兆を検出する異常検出部と、異常検出部の検出結果に基づいて作動する異常処置部と、この異常処置部の作動を制御する制御部と、を備える。
このような構成によれば、ショット処理装置の動作異常、または動作異常の予兆を検出し、動作異常、または動作異常の予兆に迅速に対処することができる。
【0009】
本発明の一態様においては、異常処置部は、異常検出部の検出結果に基づいて、警告表示又は警告音を含む警告を発する警告機構を備える。
このような構成によれば、ショット処理装置に動作異常、または動作異常の予兆が生じた場合、当該動作異常、または動作異常の予兆を警告表示又は警告音により知得できるので、動作異常、または動作異常の予兆に対する処置を迅速に行うことができる。
【0010】
本発明の一態様においては、異常処置部は、異常検出部で検出された検出結果に基づいて、搬送路内に圧縮空気を供給する詰まり解除機構を備える。
このような構成によれば、搬送路がショット材により詰まる前に予防する対策を講じることができる。
【0011】
本発明の一態様においては、詰まり解除機構は、圧縮空気を受け入れるとともにノズルまたは搬送路内に圧縮空気を選択的に供給する三方弁を備える。
このような構成によれば、安価で簡易に詰まり解除機構を構成することができる。
【0012】
本発明の一態様においては、三方弁は、ノズル又は搬送路内に圧縮空気を選択的に供給する第一の三方弁と、この第一の三方弁と搬送路との間に介在し、第一の三方弁から圧縮空気を受け入れるとともに、搬送路内に圧縮空気を供給する、または搬送路内を大気開放する、ことを選択的に行う第二の三方弁とを備える。
このような構成によれば、搬送路の一端の閉止と詰まり予防のための圧縮空気の供給を行うことができるので、簡易に安価に詰まり解除機構を構成することができる。
【0013】
本発明の一態様においては、搬送路に、この搬送路の延在する方向に負圧計が複数設けられている。
このような構成によれば、ショット材の詰まり(もしくは詰まりの予兆)の発生位置を簡便に検知することができるので、迅速に異常事態への対応が可能となる。
【0014】
本発明の一態様においては、負圧計は、搬送路とノズルとの接合部近傍に設けられている。
このような構成によれば、ショット材の詰まりは搬送路とノズルとの接合部で発生する確率が比較的高いので、その位置に負圧計を設けることで、詰まりの発生個所をより正確に特定することができる。
【0015】
本発明の一態様においては、負圧計は、貯留部と搬送路との接合部近傍に設けられている。
このような構成によれば、ショット材の詰まりは貯留部と搬送路との接合部近傍で発生する確率が比較的高いので、その位置に負圧計を設けることで、詰まりの発生個所をより正確に特定することができる。
【0016】
本発明の一態様においては、負圧計は、搬送路とノズルとの接合部と、貯留部と搬送路との接合部との間に介在する搬送路上に設けられている。
このような構成によれば、搬送路はショット材が擦過することで破れ、亀裂や開口等の気密破れが発生することがある。搬送路に負圧計を設けることで、破れ、亀裂や開口の発生個所をより正確に特定することができる。
【0017】
本発明によるショット処理装置は、ショット材を貯留する貯留部と、ショット材を噴射させるノズルであって、内部で発生した負圧によりショット材を吸引すると共に圧縮空気と共にショット材を噴射するノズルと、貯留部からノズルへショット材を搬送する搬送路と、圧縮空気をノズルに供給する圧縮空気供給部と、を備えるショット処理装置であって、搬送路内の負圧を検出する負圧計と、負圧計の検出結果に基づいて動作異常、または動作異常の予兆を検出する異常検出部と、搬送路内に圧縮空気を供給する詰まり解除機構と、動作異常、または動作異常の予兆が搬送路の詰まりの予兆であるか否かを判断する予兆判断部と、予兆判断部が、詰まりの予兆であると判断すると、搬送路内に圧縮空気を供給するよう詰まり解除機構を制御する制御部と、を備える。
このような構成によれば、ショット処理装置の動作異常、または動作異常の予兆が詰まりに関係する場合に、搬送管路内の詰まりを予防することができる。
【0018】
本発明によるショット処理装置は、ショット材を貯留する貯留部と、ショット材を噴射させるノズルであって、内部で発生した負圧によりショット材を吸引すると共に圧縮空気と共にショット材を噴射するノズルと、貯留部からノズルへショット材を搬送する搬送路と、圧縮空気をノズルに供給する圧縮空気供給部と、を備えるショット処理装置であって、搬送路内の負圧を検出する負圧計と、負圧計の検出結果に基づいて動作異常、または動作異常の予兆を検出する異常検出部と、異常検出部の検出結果に基づいて、警告表示又は警告音を含む警告を発する警告機構と、動作異常、または動作異常の予兆が搬送路の詰まりの予兆である場合をカウントし、このカウントした値が設定された値以上のとき警告を発するよう警告機構を制御する制御部と、を備える。
このような発明によれば、ショット処理装置の経時的な変化を感知でき、ショット材が詰まる前に予め対策を講じることができる。
【0019】
本発明によるショット処理装置の制御方法は、ショット材を貯留する貯留部と、ショット材を噴射させるノズルであって、内部で発生した負圧によりショット材を吸引すると共に圧縮空気と共にショット材を噴射するノズルと、貯留部からノズルへショット材を搬送する搬送路と、圧縮空気をノズルに供給する圧縮空気供給部と、を備えるショット処理装置の制御方法であって、
搬送路内の負圧を検出すること、
負圧の検出結果に基づいて動作異常、または動作異常の予兆を検出すること、
動作異常、または動作異常の予兆が検出されたときに、警告表示、警告音を含む警告を発すること、を含む。
このような構成によれば、ショット処理装置に動作異常、または動作異常の予兆が生じた場合、当該動作異常、または動作異常の予兆を警告表示又は警告音により知得できるので、動作異常、または動作異常の予兆に対する処置を迅速に行うことができる。
【0020】
本発明によるショット処理装置の制御方法は、ショット材を貯留する貯留部と、ショット材を噴射させるノズルであって、内部で発生した負圧によりショット材を吸引すると共に圧縮空気と共にショット材を噴射するノズルと、貯留部からノズルへショット材を搬送する搬送路と、圧縮空気をノズルに供給する圧縮空気供給部と、を備えるショット処理装置の制御方法であって、
搬送路内の負圧を検出すること、
負圧の検出結果に基づいて動作異常、または動作異常の予兆を検出すること、
動作異常、または動作異常の予兆が搬送路の詰まりの予兆である場合に、搬送路内に圧縮空気を供給すること、を含む。
このような発明によれば、ショット処理装置の動作異常、または動作異常の予兆が詰まりに関係する場合に、搬送管路内の詰まりを予防することができる。
【0021】
本発明の一態様においては、上記制御方法は、搬送路内に圧縮空気を供給することをカウントし、このカウントした値が設定された値以上のとき警告を発することを含む。
このような構成によれば、ショット処理装置の経時的な変化を感知でき、ショット材が詰まる前に予め対策を講じることができる。
【0022】
本発明の一態様においては、上記制御方法は、動作異常、または動作異常の予兆が搬送路の詰まり、又は/および搬送路からの気密破れである場合に警告を発することを含む。
このような構成によれば、ショット処理装置の動作異常、または動作異常の予兆を迅速に検出することができる。
【0023】
また、本発明によるショット処理装置の他の制御方法は、ショット処理装置は、ショット材を貯留する貯留部と、ショット材を噴射させるノズルであって、内部で発生した負圧によりショット材を吸引すると共に圧縮空気と共にショット材を噴射するノズルと、貯留部からノズルへショット材を搬送する搬送路と、圧縮空気をノズルに供給する圧縮空気供給部と、を備えるショット処理装置の制御方法であって、
搬送路内の負圧を検出すること、
負圧の検出結果に基づいて動作異常、または動作異常の予兆を検出すること、
動作異常、または動作異常の予兆が搬送路の詰まりの予兆である場合をカウントし、このカウントした値が設定された値以上のとき警告を発すること、を含む。
このような発明によれば、ショット処理装置の経時的な変化を感知でき、ショット材が詰まる前に予め対策を講じることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、動作異常、または動作異常の予兆を迅速に効率良く検知し、対策を講じることが可能なショット処理装置及びショット処理装置の制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の第1の実施形態に係るショット処理装置の概略構成図である。
図2】同ショット処理装置のショット材送り装置の部分を示す拡大斜視図である。
図3】本発明の第1の実施形態のショット処理装置の動作を説明するためのフローチャートである。
図4】本発明の実施形態における負圧計で検出される負圧の値を、時間に対して示したグラフである。
図5】本発明の実施形態における負圧計で検出される負圧の値を、時間に対して示したグラフである。
図6】本発明の実施形態の変形例におけるフローチャートである。
図7】本発明の第2の実施形態に係るショット処理装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
(第1の実施形態)
以下に本発明の実施の形態の一例を示す。図1は、本発明の実施形態におけるショット処理装置1の概略構成図である。ショット処理装置1は、ショット材2を貯留するホッパー3(貯留部)と、このショット材2を噴射させるノズル4と、ホッパー3からノズル4へショット材2を搬送するホース5(搬送路)と、圧縮空気をノズル4に供給するコンプレッサ6(圧縮空気供給部)と、制御部10を備えている。制御部10は、図示しないCPU、メモリ、コネクタ、バッファ等から構成されており、以下に示す個別の機能処理部分を統合的に制御している制御基板上の一領域のことである。なお、制御基板は、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)やデジタルシグナルプロセッサ(DSP)などのモーションコントローラ、パーソナルコンピュータ(PC)などの各種演算装置、等ショット処理装置の動作を制御する装置に含まれる。
ホース5のホッパー3との接合部近傍には、ホース5内の負圧を検出する負圧計7が備えられ、この負圧計7と通信し、この負圧計7の検出結果に基づいて装置の動作異常、または動作異常の予兆を検出する異常検出部8が設けられている。異常検出部8は、負圧計7から入力されるデータを簡易に演算できる二値情報に変換するICチップやメモリ、コネクタ、バッファ等からなる機能処理部分であり、前述のCPUが、どのような状態が異常でどのような状態なら正常なのかを演算判断(比較)するために必要なプログラムやデータが格納されている。
また、異常検出部8の検出結果に基づいて作動する異常処置部9が設けられており、この異常処置部9は制御部10により制御されている。
【0027】
異常処置部9は、前述した制御基板の一領域であり、図示しないICチップやバッファなどからなる機能処理部分である。この異常処置部9は、後述する警告機構9Aと、詰まり解除機構9Bを内包しており、ICチップには制御部10の指令に従って、警告機構9Aと詰まり解除機構9Bを制御するために必要なプログラムやデータが格納されている。
異常処置部9に内包される警告機構9Aは、パトライト(登録商標)などの光明滅手段や、スピーカーなどの音声出力手段とそれらと接続するケーブル、ならびにそのケーブルと前述の制御基板とを接続するコネクタ、バッファなどからなる機能処理部分である。警告機構9Aは、異常検出部9の検出結果に基づいて装置が異常であることの警告表示または警告音を含む警告を発するものである。
また、同様に異常処置部9に内包される詰まり解除機構9Bは、ICチップ、メモリなどからなる後述する圧縮空気供給機構を制御する機能処理部分であり、後述するようにショット材2のホース5内にショット材2が詰まった場合に、ホース5内に圧縮空気を供給してショット材の詰まりを解除するものである。
【0028】
制御部10は、異常検出部8で検出された動作異常、または動作異常の予兆に基づいて、警告機構9Aを制御する一方、第1の三方弁11と第2の三方弁12で構成される、ホース5内に圧縮空気を供給する圧縮空気供給機構13を制御する。ここで圧縮空気供給機構13は、後述するように圧縮空気をエアージェットノズル32側へ供給する一方、ホース5内等のショット材の詰まりを解除するために、ホース5側にも圧縮空気を供給できるようになっており、一部の構成がショット材2の詰まり解除機構9Bを構成している。
また、ショット処理装置1は、ホース5内への詰まりの予兆を判断する予兆判断部8Aを備えている。この予兆判断部8Aは、前述した制御基板の一領域であり、ICチップやコネクタ、バッファなどからなる機能処理部分である。このICチップは前述のCPUが、現在の負圧値が異常状態の予兆なのか否か演算判断(比較)するために必要なプログラムやデータが格納されている。この予兆判断部8Aは、異常検出部8の検出結果に基づいて、後述するようにホース5内へのショット材の詰まりの予兆を判断する。
【0029】
ホッパー3の下端部21には、大径の配管22の端部23が挿入配置され、さらこの大径の配管22と対向する側から小径の配管24が挿入配置されている。この大径の配管22と小径の配管24は、ショット材送り装置20を構成している。
図2は、この大径の配管22、小径の配管24の先端部の詳細構造を示しており、この図に示すように、配管22は、その先端部23が斜めにカットされており、配管24はその先端部23内に挿入配管されている。配管22は、ホッパー3の下端部21の外部にホース5の一端が連結され、このホース5の他端はノズル4に連結されている。
【0030】
ノズル4は、ノズル本体30、ノズルチップ31、及びエアージェットノズル32を備えている。ノズル本体30は、一方向に延びる本体管路33と、この管路に対し側方から角度をもって斜め方向に交わるショット材導入管路34とを有する。ショット材導入管路34は、ホース5に接続されている。本体管路33は、細径部35と、中央拡径部36と、先端拡径部37とを有する。この本体管路33の細径部35にはエアージェットノズル32が嵌合され、先端拡径部37には、ノズルチップ31が嵌合されている。
ノズルチップ31は、その中心軸線方向にショット材噴出孔31aを備えている。ショット材噴出孔31aの内径寸法r1は、本体管路33の中央拡径部36の内径r2より小径とされている。
エアージェットノズル32は、その中心軸縦方向に圧縮空気噴出孔32aを備えている。圧縮空気噴出孔32aの内径寸法r3は中央拡径部36の内径r2より小径とされており、装置の稼働時に、後述するように中央拡径部36内が負圧状態になるようになっている。その先端部が中央拡径部36内に位置し、他端がノズル本体30の外部に位置している。
【0031】
第1の三方弁11の第1の接続口11aは、コンプレッサ6に接続され、第2の接続口11bは、ノズル4のエアージェットノズル32に接続されている。第2の三方弁12の第1の接続口12aは、ホッパー3の下端部21に備えられた小径の配管24に接続され、第2の接続口12bは、外部(大気圧)に開放されている。第1の三方弁11の第3の接続口11cは、第2の三方弁12の第3の接続口12cと接続されている。
これらの三方弁11、12は、レバー11d、12d、の操作、又は制御部10からの指令によって、第1の接続口11a、12aと第2の接続口11b、12bを連通させた状態か、第1の接続口11a、12aと第3の接続口11c、12cを連通させた状態かに、切り換えることができるように構成されている。
【0032】
次に図3を参照して、本実施形態のショット処理装置1の動作について説明する。図3は、本実施形態の動作を説明するためのフローチャートである。
ショット処理装置1において、当初、コンプレッサ6は、停止している。第1の三方弁は、第1の接続口11aと第2の接続口11bとが連通しており、コンプレッサ6が始動した際には、圧縮空気をノズル4に送ることが可能な状態となっている。また、第2の三方弁は、第1の接続口12aと第2の接続口12bとが連通しており、ホッパー3の下端部21に挿入されている配管24は、大気圧に開放されている。
【0033】
ショット処理工程がスタートすると(S00)、コンプレッサ6が始動され、第1の三方弁11を通過して圧縮空気がノズル4に送られる。この圧縮空気は、ノズル4のエアージェットノズル32に供給され、この先端から、ノズルチップ31を通過して、ノズルの外部に吹き出す。
この場合、小径の内径r3を有するエアージェットノズル32から噴出する圧縮空気は、大径の内径寸法r2を有する中央拡径部36を通って小径の内径寸法r1を有するノズルチップ31に内に導入されるので、中央拡径部36内がベンチュリ効果によって負圧状態となる。この結果、ショット材導入管路34、及びホース5内に負圧が生じる。この負圧によって、図2に示されている、配管22の端部23と、配管24の間隙25からショット材2が、大気圧に開放されている配管24からの空気と共に吸い込まれる。吸い込まれたショット材2は、ホース5を通過して、ノズル4まで搬送される。搬送されたショット材2は、ノズル本体30のショット材導入管路34を通過して、中央拡径部36で、エアージェットノズル32の先端から吹き出す圧縮空気と混合され、ノズルチップ31の先端から被加工物14への噴射が開始される。この後、ショット材2による加工は、三方弁11とノズル4の途中に設けているピンチバルブ(図示せず)のオンオフによって被加工物14への加工が継続的に行われる(S01)。
【0034】
負圧計7は、ホース5内の負圧を検出している。この検出データは、異常検出部8に送信されており、後述する負圧の状態に基づいて装置の動作異常、または動作異常の予兆が発生しているかどうかを判断する(S02)。動作異常、または動作異常の予兆が検出されない場合(S02の条件:No)は、ショット材噴射加工が継続される(S01)。動作異常、または動作異常の予兆が検出された場合(S02の条件:Yes)には、この動作異常、または動作異常の予兆が、ホースの詰まりの予兆であるか否かが、後述する負圧の状態からさらに判断される(S03)。この動作異常、または動作異常の予兆が、ホースの詰まりの予兆でない場合(S03の条件:No)、異常検出部8は、警告部9に、警告を発するように指令を送り、警告部9は、パトライト(登録商標)、ディスプレイ表示、音などで警告を発報(S06)し、装置1を止めるなどの処置によって一連の工程を終える(S07)。
【0035】
この動作異常、または動作異常の予兆が、ホース5の詰まりの予兆である場合(S03の条件:Yes)、異常検出部8は、詰まり予防動作を行うように制御部10に指示を送信する。制御部10は、詰まり解除機構9Bを駆動して、ホース5内に圧縮空気を供給する動作を行う。この動作は、制御部10の指令により、詰まり解除機構9Bの一部を構成する圧縮空気供給機構13の第1の三方弁11と、第2の三方弁12の、連通状態を切り換えることにより実施される。すなわち、第1の三方弁では、第1の接続口11aと第2の接続口11bとが連通した状態から、第1の接続口11aと第3の接続口11cが連通した状態に切り換える。このことにより、ノズル4に送られていたコンプレッサ6の圧縮空気が、第2の三方弁へ送られることが可能な状態となる。第2の三方弁では、第1の接続口12aと第2の接続口12bとが連通した状態から、第1の接続口12aと第3の接続口12cが連通した状態に切り換える。このことにより、第1の三方弁11から送られてきた圧縮空気が、配管24と、配管23を通過して、ホース5内に供給される。設定された時間経過後、第1の三方弁11と第2の三方弁12の連通状態を当初の状態に戻す。ホース5内に供給されていた圧縮空気が停止され、制御部に設けられたカウンタ(図示せず)をカウントして、詰まり予防動作が終了する(S04)。
【0036】
異常検出部8は、この動作の後、前述のカウント値が設定された値以上であるか否かを判断する(S05)。カウント値が設定値未満である場合(S05の条件:No)は、ショット材噴射加工が継続される(S01)。カウント値が設定値以上である場合(S05の条件:Yes)は、警告部9に、警告を発するように指令を送り、警告部9は、パトライト(登録商標)、ディスプレイ表示、音などで警告を発報(S06)し、装置を止めるなどの処置によって一連の工程を終える(S07)。
【0037】
次に、図4図5を参照して、負圧計7の検出結果に基づく装置1の動作異常、または動作異常の予兆の検出方法を説明する。
ここで装置の動作異常とは、(イ)ホース5にショット材が詰まった場合、(ロ)ホース5に亀裂が生じたり穴が開いた場合、(ハ)ホース5が接続部、例えばノズル4、又は配管22の接続部から外れた場合などである。上記の動作異常について、ショット材2の詰まりは、ショット材2を循環させて使用することにより、ワーク(被加工物)に付着する油分・水分や、大気の湿気や、環境のコンタミなどがショット材に付着し、その結果ショット材2の流動性低下が原因となって詰まりが生じることがある。また、詰まりが生じる場所は、ホース5の湾曲部、ホース5とノズル4の接続部等、ショット材2の流動方向が変化する部分や、ショット材2の搬送路の内径寸法が変化する部分などである。
また、装置1の長期間稼働によるショット材2の擦過により、ホース5の内面が削れ、穴が開くことがある。またショット材2の流通によりホース5が振動し、その振動が局所的に集中したことによりホース5に亀裂が入ることがある。穴が開いたり亀裂が入る場所としては、ホース5の湾曲部等、ショット材2の流動方向が変化する部分などである。
また、装置1を稼働した場合には、ホース5がショット材2の流通により振動し、この振動が繰り返されることによって、当該ホース5がノズル4等から外れることがある。
【0038】
図4図5は、負圧計7で検出される負圧の値を、時間に対して示した負圧波形のグラフである。
図4には、ショット材2の噴射を開始してから、噴射が安定するまで(点線範囲51)と、安定状態が継続している状態(点線範囲52)の波形が示されている。図5には、安定状態の負圧波形(点線範囲53)から、動作が不安定(点線範囲54)となり、詰まり55となった波形が示されている。
ホース5内の負圧には、以下に示す表1のような傾向があることが、本発明の発明者の調査によってわかっている。
【0039】
【表1】
【0040】
図4図5において、噴射が安定している状態(点線範囲52、53)は、上表(2)の状態であることがわかる。この状態を波形より検知するには、例えば、安定状態の負圧範囲を図4図5の点線56から59のように定めて、この間である周期幅を持って振動している状態を検知し、これを正常状態と定義する。点線56~59の範囲から外れた場合(図5の55)は、動作異常と判断する。図5では、紙面下方向に、点線59を超えて外れている場合が示されているが、点線58を超えて上方向に外れた場合も動作異常と定義する。また、点線58、59内に波形の振幅は収まっているが、周期が正常状態と異なり不規則な場合(図5の点線範囲54)には、不安定状態として、ホース詰まりの予兆(動作異常の予兆)が生じていると定義して、前述の図3のフローチャートで説明したように、詰まり予防動作のきっかけとするようにする。
【0041】
以上述べたように、本実施形態のショット処理装置1は、ホース5の負圧を検知する負圧計7を備えて、負圧の検出結果に基づいて動作異常、または動作異常の予兆を検出するので、動作異常、または動作異常の予兆を識別して迅速に検出することができる。また、動作異常、または動作異常の予兆に対して、警告を発する警告部9を備えるので、動作異常、または動作異常の予兆に際し、ショット加工を即座に停止させることができるので、ショット加工不良を低減することができる。異常検出部8は、詰まりの予兆(動作異常の予兆)を検知できるので、ショット処理装置1の経時変化等を的確に捉えることができる。また、詰まり解除機構9Bによって、詰まりの予兆を検知したときは、ホース5に、圧縮空気を供給し、詰まりかけの状態を回復する詰まり予防措置をとることができる。詰まり予防措置が設定回数を超えて行われたときに、警告を発することができるので、ショット処理装置1が動作不能になるまえに、的確なタイミングで点検をし、不安定状態を回避することができる。
【0042】
以上説明したように、上記のショット処理装置1は、ショット材2を貯留する貯留部3と、前記ショット材を噴射させるノズル4であって、内部で発生した負圧によりショット材を吸引すると共に圧縮空気と共にショット材を噴射するノズル4と、貯留部3からノズル4へショット材2を搬送するホース5と、圧縮空気をノズル4に供給する圧縮空気供給部6と、を備えている。そしてこのショット処理装置1の制御方法としては、ホース5内の負圧を検出すること、負圧の検出結果に基づいて動作異常または動作異常の予兆を検出すること、動作異常または動作異常の予兆が検出されたときに警告表示や警告音を含む警告を発すること、を採用することができる。
【0043】
また、このショット処理装置1の他の制御方法としては、ホース5内の負圧を検出すること、負圧の検出結果に基づいて動作異常または動作異常の予兆を検出すること、動作異常または動作異常の予兆がホース5の詰まりの予兆である場合に、ホース5内に圧縮空気を供給すること、を採用することができる。
上記制御に加えて、ホース5内に圧縮空気を供給することをカウントし、このカウントした値が設定された値以上のとき警告を発すること、動作異常または動作異常の予兆がホース5の詰まりやホース5からの気密破れである場合に警告を発すること、を採用することができる。
【0044】
また、このショット処理装置1の制御方法としては、ホース5内の負圧を検出すること、負圧の検出結果に基づいて動作異常または動作異常の予兆を検出すること、動作異常または動作異常の予兆がホース5の詰まりの予兆である場合をカウントした値が設定された値以上のとき警告を発すること、を採用してよい。
【0045】
(第1の実施形態の変形例)
次に以下に上述した第1の実施形態の変形例を示す。図6はそのフローチャートである。図6においては、図3のフローチャートと同一のステップは、同一の符号で示されている。本変形例が上記実施形態と異なる点は、図3の詰まり予防動作、及び、カウント(S04)が、予兆カウント(S14)に置き換えられている点である。すなわち、図5に示された詰まりの予兆(点線範囲54)は、前述のホース5に圧縮空気を供給する詰まり予防動作を行わなくても、安定状態(点線範囲53)に復帰する場合がある。この場合は、連続的に詰まり予兆と安定状態を繰り返す場合があるので、この変形例では、詰まり予防動作を行わず、詰まりの予兆が設定回数を超えたら、警告を発するように制御するようにしたものである。このような制御方法を採用することにより、制御を簡便化して、加工工程のスループットを向上することができる。また、詰まり解除機構9Bを設けなくても良いので、ショット処理装置1を簡便に構成することができる。
【0046】
(第2の実施形態)
次に以下に本発明の実施の2例目を示す。図7は2例目のショット処理装置60の模式図である。図7においては、第1の実施形態と同一の構成要素は、同符号で示されている。この実施形態が、上記の第1の実施形態と異なる点は、ホース5のノズル4との接合部近傍に、負圧計7aを、ホース5のホッパー3とノズル4の間の湾曲部に負圧計7bを備えた点である。異常検出部8は、3つの負圧計7、7a、7bの値を解析し、動作異常、または動作異常の予兆を分析するように構成されている。
このような構成とすることで、ホース5における動作不良を、場所、状態について、さらに詳細に検知することができる。例えば、ショット処理装置60が、加工動作状態にあったとき、負圧計7a、7bの値が、高止まり(-30kPa以上)し、負圧計7の値が大気圧付近(0kPa付近)であった場合は、ホース5の負圧計7と負圧計7bの間で詰まりが発生していることがわかる。例えば、すべての負圧計7、7a、7bの値が、大気圧付近(0kPa付近)であった場合は、ホース5の気密破れの状態であることがわかり、ホース5に穴が開いたか、いずれかの接続部からホース5が外れていることがわかる。したがって、より詳細な状況を含めた情報を、例えば警告部9のディスプレイ(図示せず)に表示することができ、動作異常、または動作異常の予兆対策を迅速に講じることが可能となる。
なお、負圧計7bをホース5の湾曲部に設ける理由は、湾曲部においては、ショット材2がホース5の内壁に衝突するので摩耗しやすく、破れ、亀裂や開口が比較的発生しやすいので、ホース5の湾曲部に負圧計を設けることで、破れ、亀裂や開口の発生個所をより正確に特定することができるからである。
また、本実施の形態では、負圧計を3つ備えることが記載されているが、これに限定されず状況に応じて負圧計をいくつ備えてもよい。
【0047】
(実施形態の補足説明)
上記実施形態のショット処理装置1は、ブラスト加工の為の装置であってもショットピーニングの為の装置であってもよい。更には、ショット材2を被加工面に噴射・衝突させて、ショット材2由来の皮膜を形成するための装置であってもよい。
【0048】
ショット材は、鉄系及び非鉄金属系のショット及びカットワイヤ及びグリッド、セラミックスの粒子(例えば、アルミナや炭化珪素やジルコン等)、ガラスの粒子、樹脂の粒子(例えば、ナイロン樹脂やメラミン樹脂やユリア樹脂等)、植物種子を粉砕した粒子(例えば、クルミやピーチ等)、等が挙げられ、上記実施形態におけるショット材は特に限定されない。
【0049】
以上説明した実施形態はあくまで例示であって、本件発明は当該実施形態に限られず、その技術的思想が及ぶ均等物や変形物も含む物である。
【符号の説明】
【0050】
1、60 ショット処理装置
2 ショット材
3 ホッパー(貯留部)
4 ノズル
5 ホース(搬送路)
6 コンプレッサ(圧縮空気供給部)
7、7a、7b 負圧計
8 異常検出部
8a 予兆判断部8A
9 異常処置部
9A 警告機構
9B 詰まり解除機構
10 制御部
11 第1の三方弁
12 第2の三方弁

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7