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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】電池配線モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/507 20210101AFI20221129BHJP
   H01M 50/569 20210101ALI20221129BHJP
【FI】
H01M50/507
H01M50/569
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019156335
(22)【出願日】2019-08-29
(65)【公開番号】P2021034318
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2021-11-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 洋
(72)【発明者】
【氏名】森 亮太
(72)【発明者】
【氏名】矢板 久佳
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 政巳
(72)【発明者】
【氏名】中須賀 麻耶
【審査官】宮田 透
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-216200(JP,A)
【文献】国際公開第2013/061871(WO,A1)
【文献】特開2018-085201(JP,A)
【文献】特開2018-153031(JP,A)
【文献】国際公開第2018/092896(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/50-50/598
H01M 50/20-50/298
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池セルの電池端子同士を接続する複数のバスバーにそれぞれ接続される複数の電線端子と、
前記複数の電線端子にそれぞれ接続された複数の電線と、
複数の前記電線端子及び複数の前記電線を収容するハウジングと、を備えた電池配線モジュールであって、
前記ハウジングは、前記電線を収容する第1収容溝と、前記第1収容溝を覆う第1カバーと、前記電線を収容する第2収容溝と、前記第2収容溝を覆う第2カバーと、前記電線を収容する第3収容溝と、前記第3収容溝を覆う第3カバーと、を備え、
前記第1収容溝及び前記第2収容溝は、互いに同一方向に延在するとともに、その延在方向に対する直交方向に互いに並び、
前記第3収容溝は、前記第1収容溝と前記第2収容溝とを連通し、
前記第3カバーは、前記第3収容溝に対向する裏面と、前記裏面の反対側の表面と、を有し、
前記第1カバーは、前記第3カバーの前記表面に当接する当接部を有し
前記当接部は、前記第1収容溝より前記第3収容溝側へ突出している、電池配線モジュール。
【請求項2】
複数の電池セルの電池端子同士を接続する複数のバスバーにそれぞれ接続される複数の電線端子と、
前記複数の電線端子にそれぞれ接続された複数の電線と、
複数の前記電線端子及び複数の前記電線を収容するハウジングと、を備えた電池配線モジュールであって、
前記ハウジングは、前記電線を収容する第1収容溝と、前記第1収容溝を覆う第1カバーと、前記電線を収容する第2収容溝と、前記第2収容溝を覆う第2カバーと、前記電線を収容する第3収容溝と、前記第3収容溝を覆う第3カバーと、を備え、
前記第1収容溝及び前記第2収容溝は、互いに同一方向に延在するとともに、その延在方向に対する直交方向に互いに並び、
前記第3収容溝は、前記第1収容溝と前記第2収容溝とを連通し、
前記第3カバーは、前記第3収容溝に対向する裏面と、前記裏面の反対側の表面と、を有し、
前記第1カバーは、前記第3カバーの前記表面に当接する当接部を有し、
前記第3カバーは、ヒンジを介して、前記第3収容溝に連結され、
前記第3カバーは、前記第3収容溝を覆う閉位置から前記表面側への前記ヒンジを軸とした回動により、前記第3収容溝を覆わない開位置に配置される、電池配線モジュール。
【請求項3】
複数の前記電線端子は、前記第1収容溝及び前記第2収容溝の前記延在方向に沿って並べられている、請求項1又は請求項2に記載の電池配線モジュール。
【請求項4】
前記第1カバーは、前記第1収容溝に係止する係止部を備え、
前記係止部は、前記当接部に隣接した位置に設けられている、請求項1から請求項3のうちいずれか一項に記載の電池配線モジュール。
【請求項5】
前記係止部は、前記当接部を挟んだ両側にそれぞれ設けられている、請求項4に記載の電池配線モジュール。
【請求項6】
前記第2カバーは、前記直交方向に沿って前記第3収容溝上に延びる延長部を有している、請求項1から請求項のうちいずれか一項に記載の電池配線モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電池配線モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車やハイブリッド自動車などの車両において、例えば走行駆動用の電源として、複数の電池セルが直列又は並列に配列された電池が搭載される。特許文献1に開示されるように、電池には、電池配線モジュールが装着される。この電池配線モジュールは、隣接する電池セルの電池端子同士を接続する複数のバスバーに接続される複数の電線端子と、一端側に電線端子が接続される複数の電線と、複数の電線端子及び複数の電線を収容するハウジングと、を備える。ハウジングは、電線を収容するとともに一方向に延在する複数の収容溝を有する。複数の収容溝は、延在方向に直交する方向に2列で並んでいる。また、ハウジングは、収容溝を覆うカバーを有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-21593号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電池配線モジュールにおいて、2列で設けられた収容溝同士の間を横断するように電線を配置することがある。この場合、収容溝同士の間に、これら収容溝を連通する別の収容溝を設け、その別の収容溝を通じて電線を収容溝同士の間を横断するように配置する。別の収容溝は、通常、2列で設けられた収容溝よりも短いため、短い区間に設けたカバーが外れやすいことが懸念される。
【0005】
本開示は、カバーの外れを抑制可能にした電池配線モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の電池配線モジュールは、複数の電池セルの電池端子同士を接続する複数のバスバーにそれぞれ接続される複数の電線端子と、前記複数の電線端子にそれぞれ接続された複数の電線と、複数の前記電線端子及び複数の前記電線を収容するハウジングと、を備えた電池配線モジュールであって、前記ハウジングは、前記電線を収容する第1収容溝と、前記第1収容溝を覆う第1カバーと、前記電線を収容する第2収容溝と、前記第2収容溝を覆う第2カバーと、前記電線を収容する第3収容溝と、前記第3収容溝を覆う第3カバーと、を備え、前記第1収容溝及び前記第2収容溝は、互いに同一方向に延在するとともに、その延在方向に対する直交方向に互いに並び、前記第3収容溝は、前記第1収容溝と前記第2収容溝とを連通し、前記第3カバーは、前記第3収容溝に対向する裏面と、前記裏面の反対側の表面と、を有し、前記第1カバーは、前記第3カバーの前記表面に当接する当接部を有している。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、カバーの外れを抑制可能にした電池配線モジュールを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、一実施形態において、二次電池に組み付けられた状態の電池配線モジュールの上面図である。
図2図2は、同実施形態における第3収容溝の近傍を拡大した上面図である。
図3図3は、図2のI-I断面図である。
図4図4は、同実施形態においてカバーが開いた状態を示す斜視図である。
図5図5は、同実施形態において、図4から、第3カバーを閉じた状態を示す斜視図である。
図6図6は、同実施形態において、図5から、第1カバーを閉じた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示の電池配線モジュールは、
[1]複数の電池セルの電池端子同士を接続する複数のバスバーにそれぞれ接続される複数の電線端子と、前記複数の電線端子にそれぞれ接続された複数の電線と、複数の前記電線端子及び複数の前記電線を収容するハウジングと、を備えた電池配線モジュールであって、前記ハウジングは、前記電線を収容する第1収容溝と、前記第1収容溝を覆う第1カバーと、前記電線を収容する第2収容溝と、前記第2収容溝を覆う第2カバーと、前記電線を収容する第3収容溝と、前記第3収容溝を覆う第3カバーと、を備え、前記第1収容溝及び前記第2収容溝は、互いに同一方向に延在するとともに、その延在方向に対する直交方向に互いに並び、前記第3収容溝は、前記第1収容溝と前記第2収容溝とを連通し、前記第3カバーは、前記第3収容溝に対向する裏面と、前記裏面の反対側の表面と、を有し、前記第1カバーは、前記第3カバーの前記表面に当接する当接部を有している。
【0010】
上記態様によれば、第3カバーの表面に、第1カバーの当接部が当接することにより、第3カバーの表面側への移動を規制することができる。すなわち、第3カバーが第3収容溝から離間する方向へ移動するのを規制できるため、第3カバーの外れを抑制することが可能となる。なお、第3カバーの表面に対する当接部の当接は、第1カバー及び第3カバーが第1収容溝及び第3収容溝をそれぞれ被覆する状態で常に当接していることに限定されず、第3カバーが第3収容溝から離間する方向へ移動した場合に当接することを含む。
【0011】
[2]複数の前記電線端子は、前記第1収容溝及び前記第2収容溝の前記延在方向に沿って並べられていることが好ましい。
上記態様によれば、複数の電線端子を、一方向に並べるにあたって、第1収容溝及び第2収容溝に沿って配置し易い構成にできる。
【0012】
[3]前記当接部は、前記第1収容溝より前記第3収容溝側へ突出していることが好ましい。
上記態様によれば、当接部を、第3収容溝上に配置させることができる。当接部は、第3収容溝上で第3カバーに当接することで、第3カバーが第3収容溝を覆った状態からの外れを好適に抑制できる。
【0013】
[4]前記第1カバーは、前記第1収容溝に係止する係止部を備え、前記係止部は、前記当接部に隣接した位置に設けられていることが好ましい。
上記態様によれば、第3カバーが第3収容溝から離間する方向へ移動しようとする際に当接部に作用する力を、当接部に隣接する係止部で受けられる。これにより、第3カバーとの当接によって当接部が浮き上がって、当接部による第3カバーの移動規制が効かなくなることを抑制でき、その結果、第3カバーの外れを好適に抑制できる。
【0014】
[5]前記係止部は、前記当接部を挟んだ両側にそれぞれ設けられていることが好ましい。
上記態様によれば、第3カバーとの当接による当接部の浮き上がりをより好適に抑制でき、その結果、第3カバーの外れをより好適に抑制できる。
【0015】
[6]前記第3カバーは、ヒンジを介して、前記第3収容溝に連結され、前記第3カバーは、前記第3収容溝を覆う閉位置から前記表面側への前記ヒンジを軸とした回動により、前記第3収容溝を覆わない開位置に配置されることが好ましい。
【0016】
上記態様によれば、第3収容溝を覆う際、第3カバーを閉位置に回動させるだけで済む。これは、組み付け性の向上に寄与できる。また、第3カバーが開く際の表面側への回動は、当接部が第3カバーの表面に当接することによって規制できる。
【0017】
[7]前記第2カバーは、前記第3カバーとの間に、前記直交方向に沿って前記第3収容溝上に延びる延長部を有していることが好ましい。
上記態様によれば、第3カバーだけでなく、延長部でも第3収容溝を覆うので、第3収容溝において、第3カバーに覆われない部分を延長部で覆うことができる。これは、第3収容溝の保護に寄与できる。
【0018】
[本開示の実施形態の詳細]
以下、本開示の電池配線モジュールの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0019】
図1に示すように、電池配線モジュール1は、略直方体状の二次電池BTに装着される。二次電池BTは、電気自動車やハイブリッド自動車等に搭載されるものである。また、二次電池BTは、車両の走行用モータに電力を供給するとともに、充電状態や車両の運転状態に応じて、走行用モータや発電用モータからの電力の供給を受ける。二次電池BTは、一方向に並んで配置された複数の電池セルCを備えている。以降の説明では、電池セルCの並ぶ方向をX方向、X方向に直交する方向をY方向として説明する。また、X方向及びY方向に直交する方向を、上下方向とし、二次電池BTに対して電池配線モジュール1が装着される側を上方とする。
【0020】
各電池セルCは、2つの電池端子Tを有している。2つの電池端子Tは、一方が正極側で、他方が負極側の端子である。各電池セルCがX方向に並べられたとき、2つの電池端子Tは、電池配線モジュール1に対向する面、すなわち上面にY方向に沿って並ぶ。このとき、各電池セルCは、その並び方向、すなわちX方向において、正極側の電池端子Tと負極側の電池端子Tとが交互に並ぶように、電池セルCの向きが交互に反転されて並べられている。これにより、正極側及び負極側が交互に並んだ電池端子Tの列が、2列形成されている。
【0021】
二次電池BTには、電池端子Tを電気的に接続する複数のバスバーBが設けられる。各バスバーBは、隣り合う電池端子T、すなわち正極側の電池端子Tと負極側の電池端子Tとを接続する。複数のバスバーBは、複数の電池端子Tを、直列に電気接続する。本例のバスバーBは、例えば電池端子Tと溶接によって接続される。バスバーBは、Y方向の一方側に寄って配置されたバスバーBの群と、Y方向の他方側に寄って配置されたバスバーBの群とを形成している。これら群は、2列に並んだ電池端子Tの列にそれぞれ対応している。なお、直列接続された複数の電池セルCにおいて、両端にある正極及び負極の電池端子Tに設けられたバスバーBは、外部へ引き出され、これら電池端子Tと外部とを接続する。
【0022】
電池配線モジュール1は、複数のバスバーBにそれぞれ接続される複数の電線端子2と、複数の電線端子2にそれぞれ接続された複数の電線3とを備えている。電線端子2及び電線3は、例えば各バスバーBの電圧を検出するための検圧用である。各電線3は、一端が電線端子2に接続され、他端が検圧用装置に接続するためのコネクタ4へ接続される。電池配線モジュール1は、上記2つのバスバーBの群の間に設けられる。なお、各図中では、各電線3の図示を省略し、図1では、電線3の通る経路を模式的に表している。
【0023】
電池配線モジュール1は、絶縁樹脂製のハウジング10を備えている。ハウジング10は、例えば、X方向に長さ方向を有し、かつY方向に幅方向を有する長尺の形状をなしている。ハウジング10は、電線端子2を収容する端子収容部11と、電線3を収容する電線収容溝12とを有する。
【0024】
端子収容部11は、ハウジング10において、Y方向の一方側に設けられた端子収容部11aと、他方側に設けられた端子収容部11bとを有している。端子収容部11a及び端子収容部11bは、X方向に延在し、それぞれ異なるバスバーBの群に隣接して配置されている。端子収容部11は、X方向に沿って並ぶように、複数の電線端子2を収容している。すなわち、電線端子2は、X方向に沿って並べられている。電線端子2は、その一部が端子収容部11からY方向外側へ突出するように収容され、この突出した部分がバスバーBに接続される。
【0025】
電線収容溝12は、Y方向において、端子収容部11a及び端子収容部11bの間に配置されている。電線収容溝12は、第1収容溝21と、第2収容溝22と、第3収容溝23とを備えている。第1収容溝21及び第2収容溝22は、互いにX方向に延在するとともに、Y方向に互いに並んでいる。すなわち、X方向が、第1収容溝21及び第2収容溝22の延在方向に該当する。第3収容溝23は、第1収容溝21及び第2収容溝22の間に設けられ、Y方向に延在している。第1収容溝21、第2収容溝22、及び第3収容溝23は、二次電池BTに対向する底壁と、底壁から立設している一対の側壁とを有し、底壁とは反対側、すなわち上側が開口している。
【0026】
第1収容溝21は、端子収容部11aに隣接するように、Y方向の一方側に設けられている。第1収容溝21は、ハウジング10において、X方向の全長に亘って1つ設けられている。第1収容溝21は、そのX方向の一端から、全ての電線3が引き出されている。電線3は、第1収容溝21から引き出された先で、コネクタ4に接続される。
【0027】
第2収容溝22は、端子収容部11bに隣接するように、Y方向の他方側に設けられている。本実施形態の第2収容溝22は、2つ設けられ、互いにX方向に直線的に並んでいる。X方向において、2つの第2収容溝22同士が離間した間には、例えば部品取付部Pが設けられている。部品取付部Pに取り付けられる部品の一例は、サーミスタである。
【0028】
第1収容溝21及び第2収容溝22は、Y方向に離間している。ここで、第1収容溝21及び第2収容溝22がY方向に離間して設けられるのは、例えば、Y方向における二次電池BTの中央部に別部材を設けたり、別部材との間にクリアランスを設けたりするための空間を設けるためである。別部材の一例は、防爆弁である。
【0029】
第3収容溝23は、第1収容溝21及び第2収容溝22を連通する。第3収容溝23は、第1収容溝21及びX方向一方側の第2収容溝22の間に設けられた一方の第3収容溝23と、第1収容溝21及びX方向の他方側の第2収容溝22の間に設けられた他方の第3収容溝23との2つが設けられている。一方の第3収容溝23により、第1収容溝21及びX方向一方側の第2収容溝22が連通され、他方の第3収容溝23により、第1収容溝21及びX方向他方側の第2収容溝22が連通される。これら第3収容溝23を介して、第1収容溝21と各第2収容溝22との間に、電線3が通される。すなわち、複数の電線3のうち一部は、一方の第3収容溝23を通じて第1収容溝21からX方向一方側の第2収容溝22へ配置されている。また、複数の電線3のうち別の一部は、他方の第3収容溝23を通じて第1収容溝21からX方向他方側の第2収容溝22へ配置されている。なお、各第3収容溝23は、例えば上述の二次電池BTの中央部に設けられた別部材に対して、干渉しないように配置されることが好ましい。
【0030】
ハウジング10は、第1収容溝21を覆う第1カバー31と、2つの第2収容溝22をそれぞれを覆う2つの第2カバー32と、第3収容溝23を覆う第3カバー33とを備えている。第1カバー31及び各第2カバー32は、第1収容溝21及び第2収容溝22とは別体に設けられている。第1カバー31は、その周縁に、第1収容溝21に係止する係止部41を複数有している。また、各第2カバー32は、その周縁に、第2収容溝22に係止する係止部42を複数有している。
【0031】
図2に示すように、第1カバー31の係止部41は、第1収容溝21の側壁に設けられた被係止部41aに引っ掛かって係止している。第2カバー32の係止部42は、第2収容溝22の側壁に設けられた被係止部42aに引っ掛かって係止している。
【0032】
以下、第3収容溝23近傍の構成について説明する。ここでは、一方の第3収容溝23を例に説明する。なお、他方の第3収容溝23の近傍においても、一方の第3収容溝23と同様の構成となっている。以降、一方及び他方の第3収容溝23を区別しない場合、単に第3収容溝23と記載する。また、第2収容溝22、第2カバー32、第3カバー33の記載も、同様の扱いとする。
【0033】
図2に示すように、第3カバー33は、第3収容溝23に連結されたヒンジ33aを有するヒンジカバーであり、第3収容溝23に一体に設けられている。第3カバー33は、ヒンジ33aを軸に、第3収容溝23を覆う閉位置と第3収容溝23を覆わない開位置との間を回動する。第3カバー33は、X方向において、ヒンジ33aが設けられた側とは反対側に、ハウジングに係止する係止部43を有している。第3カバー33は、閉位置において、係止部43が第3収容溝23に係止している。係止部43は、第3収容溝23の側壁に設けられた被係止部43aに引っかかって係止している。
【0034】
図3に示すように、第3カバー33は、上面である表面331と、第3収容溝23に対向する裏面332とを有している。第3カバー33は、閉位置から、表面331側へ回動すると、開位置に配置される。また、第3カバー33は、開位置から、裏面332側へ回動すると、閉位置に配置される。
【0035】
図2及び図3に示すように、第1カバー31は、第3カバー33に当接する当接部50を備えている。当接部50は、第1収容溝21より第3収容溝23側、すなわちY方向に突出している。当接部50は、第3カバー33を介して第3収容溝23上に配置されている。当接部50は、第3カバー33の表面331に当接する。なお、当接部50は、第1カバー31に2つ設けられ、一方の第3収容溝23及び他方の第3収容溝23のそれぞれに対して設けられている。第1カバー31の係止部41のうち一部は、各当接部50を挟んで両側に隣接するように設けられている。
【0036】
第1カバー31、第2カバー32、及び第3カバーは、それぞれ第1収容溝21、第2収容溝22、及び第3収容溝23の側壁の上端に当接するように取り付けられている。本実施形態の場合、第3収容溝23の側壁は、第1収容溝21及び第2収容溝22の側壁よりも、上下方向において、低く設定されている。従って、第3カバー33は、第1カバー31及び第2カバー32よりも、上下方向において、低い位置に配置されている。なお、第1収容溝21、第2収容溝22、及び第3収容溝23の底壁は、上下方向において、同じ高さに設定されている。
【0037】
当接部50は、第3カバー33の表面331に当接するように、第3カバー33に向かって下方に延びている。すなわち、当接部50は、第1収容溝21の側壁上端よりも、下方に突出している。
【0038】
第2カバー32は、Y方向において、第3カバー33との間に延長部51を有している。延長部51は、第2収容溝22からY方向に沿って延び、第3収容溝23を覆っている。延長部51と第3カバー33とは、上下方向において重ならない位置に配置されている。第3収容溝23は、第3カバー33で覆われた部分以外の残余部分が、当接部50及び延長部51によって覆われている。
【0039】
第1収容溝21と第3収容溝23との接続部分、及び第2収容溝22と第3収容溝23との接続部分において、電線収容溝12の側壁には、側壁の他の部分よりも上方へ突出した突出部60が設けられている。第1カバー31には、突出部60が内部に挿入される貫通孔61が設けられている。また、第2カバー32には、突出部60が内部に挿入されるようにY方向に窪んだ凹部62が設けられている。
【0040】
図3に示すように、第1カバー31及び第2カバー32には、下方に突出したリブ65が設けられている。第1カバー31のリブ65は、第1収容溝21に対向する面から第1収容溝21内に突出するとともに、第1収容溝21の側壁に沿ってX方向に延びている。第1カバー31は、リブ65が側壁の内面に緩く嵌合している。第2カバー32のリブ65は、第2収容溝22に対向する面から第2収容溝22内に突出するとともに、第2収容溝22の側壁に沿ってX方向に延びている。第2カバー32は、リブ65が側壁の内面に緩く嵌合している。第1カバー31及び第2カバー32において、リブ65は、Y方向の一方側及び他方側の両方に設けられている。なお、図3中では、リブ65は、第1カバー31及び第2カバー32において、Y方向の一方側又は他方側の1つのみを図示している。
【0041】
本実施形態の作用について説明する。ここでは、第1カバー31、第2カバー32、及び第3カバー33が開けられた状態から、これらカバーを閉じた状態に組付ける手順を説明する。なお、図4図6では、電線3の図示を省略する。
【0042】
図4に示すように、第1カバー31、第2カバー32、及び第3カバー33が開けられた状態では、電線収容溝12の上側が開口している。この状態で、電線収容溝12の開口を介して、複数の電線3が電線収容溝12の内部に配置される。電線3は、第1収容溝21から第3収容溝23を通る部分、及び第3収容溝23から第2収容溝22を通る部分で、屈曲するように配置される。電線3は、屈曲した第3収容溝23付近の部分が電線収容溝12から飛び出しやすくなっている。
【0043】
図5に示すように、第3カバー33は、開位置から、ヒンジ33aを軸に裏面332側へ回動されると、閉位置へ配置される。閉位置において、第3カバー33は、第3収容溝23を、電線3とともに覆う。これにより、第3収容溝23付近での電線3の飛び出しを抑制できる。電線3が飛び出しやすい第3収容溝23付近の電線3を覆うことにより、例えば、以降の組み付け作業を容易にすることができる。第3カバー33は、係止部43が第3収容溝23の被係止部43aに引っ掛けられ、閉位置に保持される。
【0044】
ところで、第3カバー33は、係止部43が係止していない場合、ヒンジ33aを軸に表面331側へ回動して開位置へ変位し得る。そのため、例えばハウジング10が撓んだ場合に、係止部43の引っ掛かりが浅くなると、係止部43が外れて第3カバー33が開いてしまう虞があった。それを踏まえ、本実施形態では、第1カバー31に当接部50を設けている。
【0045】
図6に示すように、第3カバー33を閉じた後、第1カバー31が第1収容溝21に取り付けられる。第1カバー31は、第1収容溝21に取り付けられると、第1収容溝21を電線3とともに覆いつつ、当接部50が第3カバー33を上方から覆う。当接部50は、第3カバー33の表面331に当接することにより、第3カバー33が表面331側へ回動するのを規制できる。すなわち、当接部50は、第3カバー33が開くのを抑制し、第3カバー33を閉位置に保持できる。また、当接部50は、第3カバー33に当接するように、第3カバー33に向かって下方に突出している。これにより、第3カバー33の変位を小さく抑えることができる。
【0046】
第1カバー31は、複数の係止部41によって、第1収容溝21に係止する。第1カバー31は、リブ65が第1収容溝21内に挿入されることにより、第1収容溝21に対する移動が規制される。第1カバー31は、複数の係止部41及びリブ65によって第1収容溝21に保持され、第3カバー33と比べて、電線収容溝12から外れにくくなっている。また、第1カバー31の係止部41のうち一部は、当接部50の両側に隣接して設けられている。そのため、第3カバー33が閉位置から開くことによって、当接部50に作用する力を当接部50両側の係止部41によって支持することができる。これらによって、第3カバー33をより強固に保持することができる。なお、第2カバー32も、複数の係止部42と、リブ65によって、第2収容溝22に保持されている。
【0047】
第1カバー31には、貫通孔61が設けられている。第1カバー31は、貫通孔61に突出部60が挿入されることにより、電線収容溝12に対して位置決めされる。そのため、当接部50の位置を第3カバー33の位置に合わせることができる。
【0048】
第2カバー32は、第3カバー33を閉じる前、後又は途中で第2収容溝22に取り付けられる。第2カバー32に設けられた延長部51は、第3カバー33と重ならない位置に配置されるため、第3カバー33に干渉しない。そのため、第2カバー32の取り付け工程と、第3カバー33の閉じ工程との順序は問わない。第2カバー32は、第2収容溝22に取り付けられると、電線3とともに第2収容溝22を覆いつつ、延長部51が第3収容溝23を覆う。第2カバー32は、凹部62に突出部60が挿入されることにより、電線収容溝12に対して位置決めされる。
【0049】
本実施形態の効果について説明する。
(1)電池配線モジュール1のハウジング10は、互いにX方向に延びるとともに、X方向に直交するY方向に並ぶ第1収容溝21及び第2収容溝22と、第1収容溝21及び第2収容溝22を連通している第3収容溝23と、を備えている。また、ハウジング10は、第1収容溝21、第2収容溝22、及び第3収容溝23をそれぞれ覆う第1カバー31、第2カバー32、及び第3カバー33を備えている。第1カバー31は、第3カバー33の第3収容溝23に対向する裏面332の反対側の表面331に当接する当接部50を有する。これによれば、第3カバー33の表面331に、第1カバー31の当接部50が当接することにより、第3カバー33の表面331側への移動を規制することができる。すなわち、第3カバー33が第3収容溝23から離間する方向へ移動するのを規制でき、第3カバー33を、第3収容溝23を覆った状態で保持することができる。したがって、第3カバー33の外れを抑制できる。
【0050】
(2)複数の電線端子2は、第1収容溝21及び第2収容溝22の延在方向であるX方向に沿って並べられている。これによれば、複数の電線端子2を、一方向に並べるにあたって、第1収容溝21及び第2収容溝22に沿って配置し易い構成にできる。
【0051】
(3)当接部50は、第1収容溝21より第3収容溝23側へ突出している。これによれば、当接部50を、第3収容溝23上へ突出させることができる。当接部50は、第3収容溝23上で第3カバー33に当接することで、第3カバー33が第3収容溝23を覆った状態で好適に保持できる。
【0052】
(4)第1カバー31は、第1収容溝21に係止する係止部41を備え、係止部41は、当接部50に隣接した位置に設けられている。これによれば、第3カバー33が第3収容溝23から離間する方向へ移動しようとする際に、当接部50に作用する力を、当接部50に隣接する係止部41によって受ける。これによれば、第3カバー33との当接によって当接部50が浮き上がって、当接部50による第3カバー33の移動規制が効かなくなることを抑制できる。この結果、第3カバー33の外れを好適に抑制できる。
【0053】
(5)係止部41は、当接部50を挟んだ両側にそれぞれ設けられている。これによれば、第3カバー33との当接による当接部50の浮き上がりをより好適に抑制でき、その結果、第3カバー33の外れをより好適に抑制できる。
【0054】
(6)第3カバー33は、ヒンジ33aを介して、第3収容溝23に連結されている。第3カバー33は、第3収容溝23を覆う閉位置から表面331側へのヒンジ33aを軸とした回動により、第3収容溝23を覆わない開位置に配置される。これによれば、第3収容溝23を覆う際、第3カバー33を閉位置に回動させるだけで済む。そのため、電線3が飛び出しやすい第3収容溝23付近において、第3カバー33を容易に取り付けることができる。これは、組み付け性の向上に寄与できる。また、第3カバー33の表面331側への回動は、当接部50によって規制できるので、第3カバー33の外れを好適に抑制できる。
【0055】
(7)第2カバー32は、第3カバー33との間に、Y方向に沿って第3収容溝23上に延びる延長部51を有している。これによれば、第3カバー33だけでなく、延長部51でも第3収容溝23を覆うことができるので、第3収容溝23において、第3カバー33に覆われない部分を延長部51で覆うことができる。これは、第3収容溝23の保護に寄与できる。また、延長部51と第3カバー33とが上下方向に重ならないようにすることで、第2カバー32と、第3カバー33とが互いに干渉しない構成にできる。これは、組み付け性の向上に寄与できる。
【0056】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・第2カバー32は、第3カバー33が閉じられる前、後、途中のいずれのタイミングで取り付けてもよい。また、第2カバー32は、第1カバー31の取り付けの前、後、途中のいずれのタイミングで取り付けてもよい。
【0057】
・第3カバー33は、第3収容溝23と別体で設けてもよい。すなわち、第3カバー33は、ヒンジカバーに限定されない。
・第1カバー31は、第1収容溝21に一体に設けてもよい。また、第2カバー32は、第2収容溝22に一体に設けてもよい。例えば、第1カバー31及び第2カバー32は、ヒンジカバーであってもよい。すなわち、第1カバー31及び第2カバー32は、電線収容溝12と別体に設けることに限定されない。
【0058】
・第1収容溝21は、複数に分けて設けてもよく、2つ設けてもよいし、3つ以上設けてもよい。この場合、複数の第1収容溝21は、X方向に直線的に並べて設けてもよい。すなわち、第1収容溝21は、ハウジング10において、X方向の全長に亘って1つだけ設けることに限定されない。また、第2収容溝22は、ハウジング10において、全長に亘って1つだけ設けてもよい。すなわち、第2収容溝22は、X方向に複数設けることに限定されない。さらに、電線3は、第2収容溝22から引き出されて、コネクタ4へ接続されていてもよい。
【0059】
・第1カバー31は、1つの第1収容溝21に対して、第1収容溝21を分割するように複数設けられていてもよい。また、第2カバー32は、1つの第2収容溝22に対して第2収容溝22を分割するように複数設けられていてもよい。
【0060】
・当接部50は、第3カバー33に当接するように下方に突出していなくてもよい。
・当接部50は、第1収容溝21よりY方向に向かって突出していなくてもよい。これは、例えば第3カバー33を第1収容溝21内まで延びるように設けた構成に適用できる。すなわち、当接部50は、第3カバー33に当接すれば、形状は特に限定されない。
【0061】
・第1収容溝21及び第2収容溝22の延在方向は、電池セルCの並ぶ方向に沿っていなくてもよい。すなわち、第1収容溝21及び第2収容溝22は、電池セルCの並ぶ方向と交差する方向に延在していてもよい。
【0062】
・第1収容溝21及び第2収容溝22は、全体として一方向に延在していれば、一部が屈曲していたり、幅が変化したりするように設けてもよい。また、第1収容溝21及び第2収容溝22は、平行になっていない部分があってもよい。
【0063】
・第3収容溝23の個数は、特に限定されず、1つでもよいし、2つでもよいし、3つ以上設けられていてもよい。また、第1収容溝21と一つの第2収容溝22との間に複数設けてもよい。
【0064】
・電線3及び電線端子2の配置は、上記実施形態に限定されない。例えば、電線3は、第2収容溝22から第3収容溝23を介して第1収容溝21へ延ばされるように配置してもよい。また、電線端子2は、第1収容溝21及び第2収容溝22の延在方向と交差する方向に沿って並べられていてもよい。また、電線収容溝12及び端子収容部11の配置は、上記実施形態に限定されない。端子収容部11が電線収容溝12の間に挟まれるように配置してもよいし、端子収容部11を1列で設けてもよい。これらは、仕様に応じて適宜変更可能である。
【0065】
・電池セルCの個数は、本実施形態に限定されない。また電池セルCの個数に応じて、電池端子T、電線端子2、及び電線3の個数は、適宜変更可能である。
・電池は、二次電池BTに限定されない。
【0066】
・電池配線モジュール1は、車両に搭載される電池に装着されることに限定されず、種々の装置に搭載された電池に装着可能である。
【符号の説明】
【0067】
1…電池配線モジュール
2…電線端子
3…電線
4…コネクタ
10…ハウジング
11…端子収容部
11a…端子収容部
11b…端子収容部
12…電線収容溝
21…第1収容溝
22…第2収容溝
23…第3収容溝
31…第1カバー
32…第2カバー
33…第3カバー
33a…ヒンジ
331…表面
332…裏面
41…係止部
41a…被係止部
42…係止部
42a…被係止部
43…係止部
43a…被係止部
50…当接部
51…延長部
60…突出部
61…貫通孔
62…凹部
65…リブ
B…バスバー
BT…二次電池
C…電池セル
P…部品取付部
T…電池端子
図1
図2
図3
図4
図5
図6