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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】物品搬送設備
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/00 20060101AFI20221129BHJP
   B65G 1/04 20060101ALI20221129BHJP
   H01L 21/677 20060101ALI20221129BHJP
【FI】
B65G1/00 511J
B65G1/00 511B
B65G1/04 561
H01L21/68 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019168693
(22)【出願日】2019-09-17
(65)【公開番号】P2021046274
(43)【公開日】2021-03-25
【審査請求日】2021-11-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 秀郎
(72)【発明者】
【氏名】瀬邉 高弘
【審査官】太田 義典
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-020255(JP,A)
【文献】特開2017-208437(JP,A)
【文献】特開2018-039664(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00-1/333
B66B 5/00- 5/28
B66B 9/00- 9/193
H01L 21/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数階の床部を備えた建物に設置され、上下方向に沿って前記複数階に亘って物品を搬送する第1搬送装置と、
前記第1搬送装置と並列配置され、前記上下方向に沿って前記複数階に亘って物品を搬送する第2搬送装置と、を備え、
前記第1搬送装置は、前記上下方向に沿って前記複数階に亘って配置された第1案内レールと、前記第1案内レールに沿って昇降する第1昇降体と、前記第1昇降体に支持されて物品の保持及び移載を行う第1移載部と、を備え、
前記第2搬送装置は、前記上下方向に沿って前記複数階に亘って配置された第2案内レールと、前記第2案内レールに沿って昇降する第2昇降体と、前記第2昇降体に支持されて物品の保持及び移載を行う第2移載部と、を備え、
前記第1案内レールと前記第2案内レールとは、前記複数階に亘って物品を搬送する場合に前記第1昇降体及び前記第2昇降体が通過する前記床部である通過床部に形成された開口部を貫通するように配置され、
前記上下方向に沿う上下方向視で前記第1搬送装置と前記第2搬送装置とが並ぶ方向を並列方向とし、前記上下方向視で前記並列方向に直交する方向を直交方向として、
前記並列方向における前記第1搬送装置と前記第2搬送装置との間に、前記複数階に亘って前記第1搬送装置と前記第2搬送装置との間を仕切る仕切壁が設けられ、
前記第1昇降体は、前記第1案内レールに対して前記直交方向の一方側である直交方向第1側を昇降するように設けられ、
前記第2昇降体は、前記第2案内レールに対して前記直交方向第1側を昇降するように設けられ、
前記第1案内レールと前記第2案内レールとは、前記直交方向の他方側である直交方向第2側において前記床部に固定され、
前記第1案内レールにおける前記仕切壁と対向する側とは反対側の側面に沿って、前記第1昇降体に電力を供給する第1給電部が配置され、
前記第2案内レールにおける前記仕切壁と対向する側とは反対側の側面に沿って、前記第2昇降体に電力を供給する第2給電部が配置されている、物品搬送設備。
【請求項2】
前記第1昇降体及び前記第1移載部の移動軌跡と重複しないように、前記上下方向に沿って配置される第1梯子と、
前記第2昇降体及び前記第2移載部の移動軌跡と重複しないように、前記上下方向に沿って配置される第2梯子と、を更に備え、
前記第1梯子は、前記仕切壁における前記第1案内レールが配置された側の面である第1面に固定され、
前記第2梯子は、前記仕切壁における前記第2案内レールが配置された側の面である第2面に固定されている、請求項1に記載の物品搬送設備。
【請求項3】
前記複数階のそれぞれにおいて、前記第1搬送装置及び前記第2搬送装置の双方を覆う筒状壁を更に備え、
前記第1案内レールと前記第2案内レールとが、前記複数階の前記床部に固定され、
前記筒状壁が、前記第1案内レール及び前記第2案内レールに固定され、
前記仕切壁が、前記筒状壁に固定されている、請求項1又は2に記載の物品搬送設備。
【請求項4】
前記仕切壁における前記第1案内レールが配置された側の面である第1面に、少なくとも前記第1搬送装置を非常停止させる第1非常停止スイッチが配置され、
前記仕切壁における前記第2案内レールが配置された側の面である第2面に、少なくとも前記第2搬送装置を非常停止させる第2非常停止スイッチが配置されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の物品搬送設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品搬送設備に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特開2018-052659号公報(特許文献1)には、複数階に亘って物品を搬送する搬送装置を備えた物品搬送設備が開示されている。以下、背景技術の説明において括弧内に付す符号は、特許文献1のものである。
【0003】
特許文献1に開示された設備では、複数階のそれぞれにおいて設けられた筒状壁(90)の内部に、物品(A)を保持可能な保持部(R)が複数設けられている。そして、筒状壁(90)の内部には、複数階に亘って配置された1つの案内レール(14)と、当該案内レール(14)に沿って昇降する昇降体(21)と、当該昇降体(21)に支持されて保持部(R)との間で物品(A)を移載する移載部(31)と、を備えた搬送装置(20)が設けられている。
【0004】
このように構成された搬送装置(20)は、複数の保持部(R)の間で、複数階に亘って物品(A)を搬送可能となっている。また、このような搬送装置(20)に電力を供給するための給電部は、一般的に、案内レール(14)に沿って設けられ、定期的にメンテナンスが行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-052659号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示された設備では、物品(A)の上下方向の搬送が、1台の搬送装置(20)によって行われるが、物品の搬送量を増加させるために、複数の搬送装置(20)を並列配置することが考えられる。しかし、限られた空間に複数の搬送装置(20)を並列配置する場合には、隣り合う搬送装置(20)同士の間隔が狭くなるため、それぞれの搬送装置(20)のメンテナンスを適切に行えるようにするための工夫が必要となる。また、搬送装置(20)のメンテナンスの際に、全ての搬送装置(20)を同時に停止させると物品の搬送効率が大幅に低下する。従って、複数の搬送装置(20)を個別に停止させて、メンテナンスできることが望ましい。しかし、一部の搬送装置(20)を稼働させながら残りの搬送装置(20)のメンテナンスを行うことを可能にためには、動作中の搬送装置(20)に対する作業者の安全性を確保するための工夫が必要となる。
【0007】
上記実状に鑑みて、複数の搬送装置を並列配置する場合において、メンテナンスの容易性を確保できると共に、メンテナンス時の搬送効率の低下を少なく抑えつつ作業者の安全性を確保することができる物品搬送設備の実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る物品搬送設備は、
複数階の床部を備えた建物に設置され、上下方向に沿って前記複数階に亘って物品を搬送する第1搬送装置と、
前記第1搬送装置と並列配置され、前記上下方向に沿って前記複数階に亘って物品を搬送する第2搬送装置と、を備え、
前記第1搬送装置は、前記上下方向に沿って前記複数階に亘って配置された第1案内レールと、前記第1案内レールに沿って昇降する第1昇降体と、前記第1昇降体に支持されて物品の保持及び移載を行う第1移載部と、を備え、
前記第2搬送装置は、前記上下方向に沿って前記複数階に亘って配置された第2案内レールと、前記第2案内レールに沿って昇降する第2昇降体と、前記第2昇降体に支持されて物品の保持及び移載を行う第2移載部と、を備え、
前記第1案内レールと前記第2案内レールとは、前記複数階に亘って物品を搬送する場合に前記第1昇降体及び前記第2昇降体が通過する前記床部である通過床部に形成された開口部を貫通するように配置され、
前記上下方向に沿う上下方向視で前記第1搬送装置と前記第2搬送装置とが並ぶ方向を並列方向とし、前記上下方向視で前記並列方向に直交する方向を直交方向として、
前記並列方向における前記第1搬送装置と前記第2搬送装置との間に、前記複数階に亘って前記第1搬送装置と前記第2搬送装置との間を仕切る仕切壁が設けられ、
前記第1昇降体は、前記第1案内レールに対して前記直交方向の一方側である直交方向第1側を昇降するように設けられ、
前記第2昇降体は、前記第2案内レールに対して前記直交方向第1側を昇降するように設けられ、
前記第1案内レールと前記第2案内レールとは、前記直交方向の他方側である直交方向第2側において前記床部に固定され、
前記第1案内レールにおける前記仕切壁と対向する側とは反対側の側面に沿って、前記第1昇降体に電力を供給する第1給電部が配置され、
前記第2案内レールにおける前記仕切壁と対向する側とは反対側の側面に沿って、前記第2昇降体に電力を供給する第2給電部が配置されている。
【0009】
本構成によれば、第1搬送装置及び第2搬送装置の双方によって物品を搬送するため、搬送装置が1つだけの場合に比べて多くの物品を搬送することができる。また、本構成によれば、第1搬送装置と第2搬送装置との間が仕切壁によって仕切られているため、第1搬送装置及び第2搬送装置の一方を停止させてメンテナンスを行う際に他方の稼働を継続させたとしても、メンテナンス作業を行う作業者が当該稼働中の搬送装置に接触することを回避できる。すなわち、第1搬送装置と第2搬送装置とを個別に停止させてメンテナンスを行うことが可能となるため、メンテナンス時の搬送効率の低下を少なく抑えつつ、作業者の安全性を確保することができる。更に、本構成によれば、第1給電部が第1案内レールにおける仕切壁と対向する側とは反対側の側面に沿って配置されていると共に、第2給電部が第2案内レールにおける仕切壁と対向する側とは反対側の側面に沿って配置されている。そのため、第1給電部及び第2給電部のメンテナンスを行う場合に、仕切壁が当該メンテナンスの妨げとなりにくい。従って、メンテナンスの容易性が確保されている。以上のように、本構成によれば、2つの搬送装置を並列配置する場合において、メンテナンスの容易性を確保できると共に、メンテナンス時の搬送効率の低下を少なく抑えつつ、作業者の安全性を確保することができる。
【0010】
本開示に係る技術のさらなる特徴と利点は、図面を参照して記述する以下の例示的かつ非限定的な実施形態の説明によってより明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】物品搬送設備の斜視図
図2】開口部周辺の構造を示す斜視図
図3】平面視における物品搬送設備の要部断面図
図4】直交方向視における物品搬送設備の要部断面図
図5】並列方向視における物品搬送設備の要部断面図
図6】物品搬送設備の制御構成の一部を示すブロック図
図7】第1作業台が突出状態であって第2作業台が引退状態である様子を示す図
図8】第1作業台が引退状態であって第2作業台が突出状態である様子を示す図
図9】防火扉が閉状態である様子を示す図
【発明を実施するための形態】
【0012】
物品搬送設備は、例えば、原材料、中間製品、或いは完成品等の搬送や保管を行う設備である。以下では、物品搬送設備がクリーン環境下において原材料の処理等を行うクリーンルームに設置される場合を例示して、物品搬送設備の実施形態について説明する。
【0013】
図1及び図2に示すように、物品搬送設備100は、複数階の床部4を備えた建物に設置された、天井搬送装置99、床面搬送装置98、第1搬送装置1、及び第2搬送装置2を備えている。天井搬送装置99は、各階において天井近くを走行して物品Wを搬送する。床面搬送装置98は、各階の床面上を走行して物品Wを搬送する。第1搬送装置1は、上下方向に沿って複数階に亘って物品Wを搬送する。第2搬送装置2は、第1搬送装置1と並列配置され、上下方向に沿って複数階に亘って物品Wを搬送する。なお、物品Wとしては、例えば半導体基板やレチクル基板等を収容する収容容器(FOUP(Front Opening Unified Pod)やレチクルポッド等)を例示することができる。
【0014】
本実施形態では、物品搬送設備100は、複数階のそれぞれにおいて、第1搬送装置1及び第2搬送装置2の双方を覆う筒状壁3を更に備えている。換言すれば、第1搬送装置1及び第2搬送装置2は、筒状壁3の内部に設けられている。一方、天井搬送装置99及び床面搬送装置98は、筒状壁3の外部に設けられている。
【0015】
ここで、上下方向に沿う上下方向視で第1搬送装置1と第2搬送装置2とが並ぶ方向を並列方向Xとすると、並列方向Xにおける第1搬送装置1と第2搬送装置2との間に、複数階に亘って第1搬送装置1と第2搬送装置2との間を仕切る仕切壁5が設けられている。筒状壁3の内部は、仕切壁5によって、第1搬送装置1が配置される第1エリアA1と第2搬送装置2が配置される第2エリアA2とに区画されている。第1搬送装置1は、第1エリアA1において、上下方向に沿って物品Wを搬送するように構成されている。第2搬送装置2は、第2エリアA2において、上下方向に沿って物品Wを搬送するように構成されている。
【0016】
図1に示すように、物品搬送設備100は、各階に設置されて筒状壁3の内部に物品Wを搬入し又は筒状壁3の内部から物品Wを搬出する入出搬送装置97を備えている。入出搬送装置97は、筒状壁3を水平方向に貫通する状態で、筒状壁3の内部と外部とに亘って設けられている。入出搬送装置97は、筒状壁3の外部に位置する側の端部(外部側端部97a)と筒状壁3の内部に位置する側の端部(内部側端部97b)との間で物品Wを搬送する。入出搬送装置97は、例えばベルトコンベヤやローラコンベヤ等のコンベヤを用いて構成される。
【0017】
筒状壁3の内部には、物品Wを保持する保持部8が複数設けられている(図3図5参照)。図示の例では、保持部8は、物品Wを下方から支持可能な支持体80を備えている。保持部8は、支持体80により物品Wを支持することで当該物品Wを保持するように構成されている。
【0018】
天井搬送装置99、床面搬送装置98、或いは作業者等により、入出搬送装置97の外部側端部97aに物品Wが載せられると、当該物品Wは、入出搬送装置97によって筒状壁3の内部の内部側端部97bに搬送される。その後、物品Wは、第1搬送装置1又は第2搬送装置2によって内部側端部97bから同一階又は他の階にある保持部8に搬送されて、その保持部8に保持される。また、保持部8に保持されている物品Wは、第1搬送装置1又は第2搬送装置2によって保持部8から同一階又は他の階にある入出搬送装置97の内部側端部97bに搬送され、その後、入出搬送装置97によって外部側端部97aに搬送される。外部側端部97aに搬送された物品Wは、天井搬送装置99、床面搬送装置98、或いは作業者等により、外部側端部97aから他の場所へ搬送される。また、第1搬送装置1又は第2搬送装置2により、内部側端部97bから別の入出搬送装置97の内部側端部97bに物品Wを搬送する場合や、保持部8から別の保持部8に物品Wを搬送する場合もある。なお、入出搬送装置97の内部側端部97bは、物品Wを搬送していない状態では、その位置に物品Wを保持することになるため、保持部8としても機能する。
【0019】
以下、図2図5を参照して、第1搬送装置1及び第2搬送装置2の構成、及び、これら各装置の周辺の構造について詳細に説明する。なお、図2では、筒状壁3の一部及び仕切壁5の一部を切り欠いて示すと共に、保持部8を省略している。また、図5は、第1エリアA1の構造のみを示しているが、図5において示されない第2エリアA2の構造は、第1エリアA1の構造と同じであるため図示を省略する。
【0020】
また以下では、上述のように、上下方向に沿う上下方向視で第1搬送装置1と第2搬送装置2とが並ぶ方向を並列方向Xとする。そして、並列方向Xにおける一方側を並列方向第1側X1とし、他方側を並列方向第2側X2とする。また、上下方向視で並列方向Xに直交する方向を直交方向Yとする。そして、直交方向Yにおける一方側を直交方向第1側Y1とし、他方側を直交方向第2側Y2とする。
【0021】
上述のように、筒状壁3は、複数階のそれぞれにおいて、第1搬送装置1及び第2搬送装置2の双方を覆っている。本実施形態では、筒状壁3は、矩形状の断面を有する筒状に形成されており、第1搬送装置1及び第2搬送装置2に対して、直交方向第1側Y1に配置された前壁部31と、直交方向第2側Y2に配置された後壁部32と、並列方向第1側X1に配置された第1側壁部33と、並列方向第2側X2に配置された第2側壁部34と、を備えている。
【0022】
第1搬送装置1は、上下方向に沿って複数階に亘って配置された第1案内レール11と、第1案内レール11に沿って昇降する第1昇降体13と、第1昇降体13に支持されて物品Wの保持及び移載を行う第1移載部14と、を備えている。本実施形態では、第1移載部14は、物品Wを保持可能な第1移載保持部141と、第1移載保持部141を水平方向に出退させる機構部及び第1移載保持部141を上下方向に沿う軸心周りに旋回させる機構部と、を備えている。例えば、第1移載部14は、水平多関節アーム(いわゆるSCARA;Selective Compliance Assembly Robot Arm)を用いて構成されている。図示の例では、一対の第1移載部14が上下方向に並んで同一の第1昇降体13に支持されている。
【0023】
第2搬送装置2は、上下方向に沿って複数階に亘って配置された第2案内レール21と、第2案内レール21に沿って昇降する第2昇降体23と、第2昇降体23に支持されて物品Wの保持及び移載を行う第2移載部24と、を備えている。本実施形態では、第2移載部24は、物品Wを保持可能な第2移載保持部241と、第2移載保持部241を水平方向に出退させる機構部及び第2移載保持部241を上下方向に沿う軸心周りに旋回させる機構部と、を備えている。例えば、第2移載部24は、水平多関節アームを用いて構成されている。図示の例では、一対の第2移載部24が上下方向に並んで同一の第2昇降体23に支持されている。このように、本実施形態では、第1搬送装置1と第2搬送装置2とは同一の構造とされている。
【0024】
本実施形態では、第1案内レール11は、当該レールの中心軸よりも並列方向第2側X2に配置された側面である第1対向面11aを有している。本例では、第1対向面11aは、並列方向Xにおいて仕切壁5と対向している。また、第2案内レール21は、当該レールの中心軸よりも並列方向第1側X1に配置された側面である第2対向面21aを有している。本例では、第2対向面21aは、並列方向Xにおいて仕切壁5と対向している。なお、第1対向面11a及び第2対向面21aは、全体が平坦面で構成されている場合に限らず、一部に凹凸面を含んで構成されていても良い。
【0025】
第1案内レール11と第2案内レール21とは、複数階に亘って物品Wを搬送する場合に第1昇降体13及び第2昇降体23が通過する床部4である通過床部4Tに形成された開口部40を貫通するように配置されている。例えば、最下階の床部4以外の床部4が通過床部4Tとされ、当該通過床部4Tのそれぞれに上下方向に貫通する開口部40が形成される。以下、床部4と通過床部4Tとを特に区別しない場合には、これらを床部4と総称する。
【0026】
そして、第1搬送装置1が物品Wを搬送する第1搬送経路P1と、第2搬送装置2が物品Wを搬送する第2搬送経路P2とが、床部4に形成された開口部40を通過するように上下方向に沿って設定されている。第1搬送経路P1は第1案内レール11に沿って延びており、第2搬送経路P2は第2案内レール21に沿って延びている。
【0027】
第1案内レール11と第2案内レール21とは、直交方向第2側Y2において床部4に固定されている。本実施形態では、第1案内レール11と第2案内レール21とは、後述するように、防火扉6を支持する扉支持フレーム60に固定されている。そして、この扉支持フレーム60は、床部4に固定されている。従って、本実施形態では、第1案内レール11と第2案内レール21とは、防火扉6の扉支持フレーム60を介して、床部4に固定されている。本例では、第1案内レール11と第2案内レール21とは、複数階の床部4に固定されている。これにより、第1案内レール11と第2案内レール21とを、建物に対して強固に固定することができている。
【0028】
本実施形態では、第1案内レール11は、当該レールの中心軸よりも直交方向第2側Y2に配置された側面である第1固定面11dを有している。本例では、この第1固定面11dが、扉支持フレーム60を介して床部4に固定されている。また、第2案内レール21は、当該レールの中心軸よりも直交方向第2側Y2に配置された側面である第2固定面21dを有している。本例では、この第2固定面21dが、扉支持フレーム60を介して床部4に固定されている。なお、第1固定面11d及び第2固定面21dは、全体が平坦面で構成されている場合に限らず、一部に凹凸面を含んで構成されていても良い。
【0029】
本実施形態では、筒状壁3が、第1案内レール11及び第2案内レール21に固定されている。また、仕切壁5が、筒状壁3に固定されている。このような構成により、第1案内レール11と第2案内レール21とを利用して、筒状壁3と仕切壁5とを適切に支持することができる。なお、上記の各部材同士の固定は、ボルト等の不図示の締結具を用いて行われる。
【0030】
図3に示すように、第1案内レール11における仕切壁5と対向する側(第1対向面11a)とは反対側の側面に沿って、第1昇降体13に電力を供給する第1給電部12が配置されている。本実施形態では、第1案内レール11は、当該レールの中心軸よりも並列方向第1側X1に配置された側面である第1配置面11bを有している。本例では、この第1配置面11bに沿って、第1給電部12が配置されている。なお、第1配置面11bは、全体が平坦面で構成されている場合に限らず、一部に凹凸面を含んで構成されていても良い。
【0031】
本実施形態では、第1給電部12は、給電線121と当該給電線121を保持する給電線保持部122とを備えている。給電線保持部122は、第1案内レール11における第1配置面11bに沿って上下方向に延在するように設けられていると共に、第1配置面11bから並列方向第1側X1に突出するように設けられている。給電線保持部122は、第1配置面11bから並列方向第1側X1に離間した位置において、給電線121を保持している。給電線121は、第1配置面11bに沿って上下方向に延在するように配置されている。また、給電線121は、直交方向Yに離間して配置される一対の電力線を備えている。これら一対の電力線の直交方向Yの間に、第1昇降体13に備えられた第1受電部131が配置される。本例では、給電線121は、第1受電部131に対して非接触の状態で電力を供給するように構成されている。
【0032】
また、第2案内レール21における仕切壁5と対向する側(第2対向面21a)とは反対側の側面に沿って、第2昇降体23に電力を供給する第2給電部22が配置されている。本実施形態では、第2案内レール21は、当該レールの中心軸よりも並列方向第2側X2に配置された側面である第2配置面21bを有している。本例では、この第2配置面21bに沿って、第2給電部22が配置されている。なお、第2配置面21bは、全体が平坦面で構成されている場合に限らず、一部に凹凸面を含んで構成されていても良い。
【0033】
本実施形態では、第2給電部22は、給電線221と当該給電線221を保持する給電線保持部222とを備えている。給電線保持部222は、第2案内レール21における第2配置面21bに沿って上下方向に延在するように設けられていると共に、第2配置面21bから並列方向第2側X2に突出するように設けられている。給電線保持部222は、第2配置面21bから並列方向第2側X2に離間した位置において、給電線221を保持している。給電線221は、第2配置面21bに沿って上下方向に延在するように配置されている。また、給電線221は、直交方向Yに離間して配置される一対の電力線を備えている。これら一対の電力線の直交方向Yの間に、第2昇降体23に備えられた第2受電部231が配置される。本例では、給電線221は、第2受電部231に対して非接触の状態で電力を供給するように構成されている。
【0034】
第1昇降体13は、第1案内レール11に対して直交方向第1側Y1を昇降するように設けられている。本実施形態では、第1案内レール11は、当該レールの中心軸よりも直交方向第1側Y1に配置された側面である第1支持面11cを有している。本例では、この第1支持面11cと対向するように、第1昇降体13が支持されている。第1昇降体13は、第1支持面11c沿って昇降するように設けられている。なお、第1支持面11cは、全体が平坦面で構成されている場合に限らず、一部に凹凸面を含んで構成されていても良い。本例では、第1支持面11cには、第1昇降体13を支持及び上下方向に案内するための第1溝部111が形成されている(図2図3参照)。第1溝部111は、上下方向に沿って延在するように形成されている。
【0035】
本実施形態では、第1昇降体13は、第1案内レール11に対して上下方向に相対移動自在に支持された第1本体部130と、第1給電部12から電力の供給を受けるための第1受電部131と、これら第1本体部130と第1受電部131とを連結する第1連結部材132と、を備えている(図3参照)。本例では、第1連結部材132は、基端部において第1本体部130に連結し、当該第1本体部130から並列方向第1側X1に突出すると共に、直交方向第2側Y2に屈曲して延びている。そして、第1連結部材132の先端部に第1受電部131が連結されており、当該第1受電部131は、第1給電部12の給電線121から電力の供給を受けることが可能な位置に配置される。図示の例では、第1受電部131は、第1給電部12に備えられた一対の電力線の直交方向Yの間に配置される。
【0036】
第2昇降体23は、第2案内レール21に対して直交方向第1側Y1を昇降するように設けられている。本実施形態では、第2案内レール21は、当該レールの中心軸よりも直交方向第1側Y1に配置された側面である第2支持面21cを有している。本例では、この第2支持面21cと対向するように、第2昇降体23が支持されている。第2昇降体23は、第2支持面21c沿って昇降するように設けられている。なお、第2支持面21cは、全体が平坦面で構成されている場合に限らず、一部に凹凸面を含んで構成されていても良い。本例では、第2支持面21cには、第2昇降体23を支持及び上下方向に案内するための第2溝部211が形成されている(図2図3参照)。第2溝部211は、上下方向に沿って延在するように形成されている。
【0037】
本実施形態では、第2昇降体23は、第2案内レール21に対して上下方向に相対移動自在に支持された第2本体部230と、第2給電部22から電力の供給を受けるための第2受電部231と、これら第2本体部230と第2受電部231とを連結する第2連結部材232と、を備えている(図3参照)。本例では、第2連結部材232は、基端部において第2本体部230に連結し、当該第2本体部230から並列方向第2側X2に突出すると共に、直交方向第2側Y2に屈曲して延びている。そして、第2連結部材232の先端部に第2受電部231が連結されており、当該第2受電部231は、第2給電部22の給電線221から電力の供給を受けることが可能な位置に配置される。図示の例では、第2受電部231は、第2給電部22に備えられた一対の電力線の直交方向Yの間に配置される。
【0038】
以上のように、本構成に係る給電部(12,22)の配置位置によれば、当該給電部(12,22)が、案内レール(11,21)の固定の妨げとなりにくいと共に昇降体(13,23)の移動の妨げとなりにくい。また、給電部(12,22)によって昇降体(13,23)への電力の供給を適切に行い易い構成を実現できる。
【0039】
本実施形態では、物品搬送設備100は、第1昇降体13及び第1移載部14の移動軌跡と重複しないように、上下方向に沿って配置される第1梯子L1と、第2昇降体23及び第2移載部24の移動軌跡と重複しないように、上下方向に沿って配置される第2梯子L2と、を更に備えている。これにより、例えば、作業者が第1搬送装置1のメンテナンスを行う場合に、第1梯子L1を利用して当該メンテナンスを行うことができる。また、作業者が第2搬送装置2のメンテナンスを行う場合には、第2梯子L2を利用して当該メンテナンスを行うことができる。更に、上記のように、梯子(L1,L2)は、昇降体(13,23)及び移載部(14,24)の移動軌跡と重複しないように配置される。すなわち、第1梯子L1及び第2梯子L2は、第1搬送装置1及び第2搬送装置2による物品Wの搬送の妨げとならない適切な位置に配置されている。なお、昇降動作する昇降体(13,23)の移動軌跡は、案内レール(11,21)よりも直交方向第1側Y1において、上下方向に沿って延在する空間となる。出退動作する移載部(14,24)の移動軌跡は、昇降体(13,23)の移動軌跡から、複数の保持部8のそれぞれの高さにおいて複数の保持部8それぞれに向かって水平方向に広がる空間となる。
【0040】
図3に示すように、本実施形態では、第1梯子L1は、仕切壁5における第1案内レール11が配置された側の面である第1面51に固定されている。換言すれば、第1梯子L1は、第1エリアA1において仕切壁5に固定されている。また、第2梯子L2は、仕切壁5における第2案内レール21が配置された側の面である第2面52に固定されている。換言すれば、第2梯子L2は、第2エリアA2において仕切壁5に固定されている。このように、第1搬送装置1と第2搬送装置2との間を仕切る仕切壁5を利用することにより、比較的簡易な構成で、メンテナンスに利用可能な第1梯子L1及び第2梯子L2を配置することができる。本実施形態では、第1梯子L1及び第2梯子L2は、物品搬送設備100に常設されている。なお、第1梯子L1及び第2梯子L2は、仕切壁5に対して着脱自在に構成され、メンテナンス等が行われる際に設置されるものであっても良い。
【0041】
上述のように、床部4(通過床部4T)には、第1案内レール11及び第2案内レール21の双方が貫通する開口部40が形成されている。そして、この開口部40に、開状態で開口部40の開口領域40Rを開放し、閉状態で開口領域40Rを閉鎖する可動式の防火扉6が設けられている。防火扉6は、火災時に開口領域40Rを閉鎖することにより、隣接する階への延焼を抑制する(図9参照)。例えば、防火扉6は、物品搬送設備100の内部に設けられた火災検知センサSeF(図6参照)により設備内の火災が検知された場合に、自動で閉状態となるように構成されている。防火扉6が閉状態となった場合には、第1搬送装置1及び第2搬送装置2の双方は、防火扉6と干渉しない位置で停止される。
【0042】
本実施形態では、防火扉6は、上下方向に交差する方向に沿って移動することで開状態と閉状態との状態変更を行うように構成されている。本例では、防火扉6は、上下方向に直交する方向、すなわち水平方向に沿って移動するように構成されている。本例に係る防火扉6は、直交方向Yに沿ってスライド移動するように構成されている。
【0043】
本実施形態では、防火扉6は、床部4に固定された扉支持フレーム60によって支持されている。上述のように、扉支持フレーム60は、第1案内レール11と第2案内レール21とを、床部4に対して固定している。扉支持フレーム60には、防火扉6を水平方向に案内する扉ガイド溝61が形成されている。本例では、扉ガイド溝61は、直交方向Yに沿って形成されている。これにより、防火扉6は、直交方向Yに沿ってスライド移動可能となっている。
【0044】
また、開口部40には、引退状態で第1搬送経路P1及び第2搬送経路P2と重複しないように配置され、突出状態で第1搬送経路P1と重複し第2搬送経路P2と重複しないように配置される可動式の第1作業台71と、引退状態で第1搬送経路P1及び第2搬送経路P2と重複しないように配置され、突出状態で第2搬送経路P2と重複し第1搬送経路P1と重複しないように配置される可動式の第2作業台72と、が設けられている。これにより、作業者が第1搬送装置1のメンテナンスを行う場合には、第1作業台71を突出状態として、当該第1作業台を第1搬送経路P1と重複しつつ第2搬送経路P2とは重複しないように配置できる。そして作業者は、第1作業台71を利用して第1搬送装置1のメンテナンスを容易に行うことができる。また、この場合、第1作業台71が第2搬送経路P2とは重複しないため、第2搬送装置2によって第2搬送経路P2に沿う物品Wの搬送を継続することができる。同様に、作業者が第2搬送装置2のメンテナンスを行う場合には、第2作業台72を利用することができる。
【0045】
本実施形態では、第1作業台71は、突出状態で、第1昇降体13及び第1移載部14の移動軌跡と重複するように配置される。本例では、開口領域40Rにおける仕切壁5に対して第1搬送装置1側の部分を第1領域41Rとすると、突出状態の第1作業台71は、上下方向視で、第1領域41Rの全体と重複するように配置される。より具体的には、突出状態の第1作業台71は、第1領域41Rの上方に配置され、これにより、第1搬送経路P1が閉鎖される(図7の左図参照)。そして作業者は、開口領域40Rの一部である第1領域41Rの上方において、第1作業台71に乗って第1搬送装置1のメンテナンスを行うことができる。なお、引退状態の第1作業台71は、上下方向視で第1領域41Rと重複しないように配置される。すなわち、引退状態の第1作業台71は、第1領域41Rの外部に配置される。よって、第1作業台71が引退状態では、第1搬送経路P1が開放され、第1搬送装置1による物品Wの搬送が可能となる(図8の左図参照)。
【0046】
本実施形態では、第2作業台72は、突出状態で、第2昇降体23及び第2移載部24の移動軌跡と重複するように配置される。本例では、開口領域40Rにおける仕切壁5に対して第2搬送装置2側の部分を第2領域42Rとすると、突出状態の第2作業台72は、上下方向視で、第2領域42Rの全体と重複するように配置される。より具体的には、突出状態の第2作業台72は、第2領域42Rの上方に配置され、これにより、第2搬送経路P2が閉鎖される(図8の右図参照)。これにより作業者は、開口領域40Rの一部である第2領域42Rの上方において、第2作業台72に乗って第2搬送装置2のメンテナンスを行うことができる。なお、引退状態の第2作業台72は、上下方向視で第2領域42Rと重複しないように配置される。すなわち、引退状態の第2作業台72は、第2領域42Rの外部に配置される。よって、第2作業台72が引退状態では、第2搬送経路P2が開放され、第2搬送装置2による物品Wの搬送が可能となる(図7の右図参照)
【0047】
本実施形態では、第1作業台71および第2作業台72は、防火扉6に対して平行に移動することで引退状態と突出状態との状態変更を行うように構成されている。これにより、上下方向に比較的小さい空間に、防火扉6の構造と第1作業台71及び第2作業台72の構造とを配置することができている。本例では、防火扉6と、第1作業台71および第2作業台72とは、状態変更を行う際の移動方向が同じとなっている。すなわち、防火扉6と、第1作業台71と、第2作業台72とは、いずれも直交方向Yに沿ってスライド移動するように構成されている。
【0048】
本実施形態では、第1作業台71は、床部4に固定された第1支持フレーム710によって支持されている。本例では、第1支持フレーム710は、仕切壁5に対して第1搬送装置1側、すなわち第1エリアA1において、扉支持フレーム60を介して床部4に固定されている。図示の例では、第1支持フレーム710は、扉支持フレーム60の上面に固定されている。第1支持フレーム710には、第1作業台71を水平方向に案内する第1ガイド溝711が形成されている。本例では、第1ガイド溝711は、直交方向Yに沿って形成されている。これにより、第1作業台71は、直交方向Yに沿ってスライド移動可能となっている。また、上記のように、第1支持フレーム710は、扉支持フレーム60の上面に固定されていることから、第1作業台71は防火扉6の上方において当該防火扉6に対して平行に移動するように構成されている。
【0049】
また、本実施形態では、第2作業台72は、床部4に固定された第2支持フレーム720によって支持されている。本例では、第2支持フレーム720は、仕切壁5に対して第2搬送装置2側、すなわち第2エリアA2において、扉支持フレーム60を介して床部4に固定されている。図示の例では、第2支持フレーム720は、扉支持フレーム60の上面に固定されている。第2支持フレーム720には、第2作業台72を水平方向に案内する第2ガイド溝721が形成されている。本例では、第2ガイド溝721は、直交方向Yに沿って形成されている。これにより、第2作業台72は、直交方向Yに沿ってスライド移動可能となっている。また、上記のように、第2支持フレーム720は、扉支持フレーム60の上面に固定されていることから、第2作業台72は防火扉6の上方において当該防火扉6に対して平行に移動するように構成されている。
【0050】
本実施形態では、扉支持フレーム60、第1支持フレーム710、及び第2支持フレーム720は、筒状壁3における前壁部31を直交方向Yに貫通するように配置されている。そして、扉支持フレーム60、第1支持フレーム710、及び第2支持フレーム720における前壁部31を貫通して当該前壁部31よりも外側に配置された部分は、カバー部材Cにより覆われている。
【0051】
図4に示すように、本実施形態では、仕切壁5は、複数階のそれぞれにおいて、第1搬送装置1と第2搬送装置2とを仕切るように配置された板状の仕切体50を備えている。本例では、仕切体50には、監視窓50aが形成されている(図2参照)。これにより作業者は、仕切体50(仕切壁5)を挟んで自己が作業を行っているエリアとは反対側のエリアを監視可能となっている。例えば作業者は、第1エリアA1において作業を行っている場合に、監視窓50aによって第2エリアA2を監視することができる。第2エリアA2において作業を行っている場合には、同じ監視窓50aにより第1エリアA1を監視することができる。
【0052】
本実施形態では、各階における仕切体50の下端部は、防火扉6よりも上方に配置されている。そして、この仕切体50が配置された階に隣接する下の階に配置された仕切体50の上端部は、上記防火扉6よりも下方に配置されている。すなわち、隣接する階のそれぞれに配置された一対の仕切体50の上下方向の間に、防火扉6、ここでは扉支持フレーム60が配置されている。従って、仕切体50(仕切壁5)が防火扉6の移動の妨げとならないようになっており、防火扉6を適切に閉状態とすることが可能となっている。
【0053】
本実施形態では、隣接する階のそれぞれに配置された一対の仕切体50の上下方向の間には、当該一対の仕切体50の間に存在する物体を検知する物体検知センサSeO(図6参照)が設けられている。物体検知センサSeOは、例えばライトカーテンとして構成されており、一対の仕切体50のうち上側の仕切体50の下端部に投光部が配置されると共に、下側の仕切体50の上端部に受光部が配置される。投光部と受光部との配置関係は逆であっても良い。物体検知センサSeOによって検知される対象としては、例えば、作業者、作業者が使用する道具等、或いは、防火扉6などが挙げられる。本例では、物体検知センサSeOによって何らかの物体が検知された場合には、第1搬送装置1及び第2搬送装置2の双方が非常停止される。
【0054】
図3及び図4に示すように、本実施形態では、仕切壁5における第1案内レール11が配置された側の面である第1面51に、少なくとも第1搬送装置1を非常停止させる第1非常停止スイッチS1が配置されている。また、仕切壁5における第2案内レール21が配置された側の面である第2面52に、少なくとも第2搬送装置2を非常停止させる第2非常停止スイッチS2が配置されている。本実施形態では、第1非常停止スイッチS1及び第2非常停止スイッチS2のそれぞれは、第1搬送装置1と第2搬送装置2との双方を非常停止させるスイッチである。本例では、第1非常停止スイッチS1及び第2非常停止スイッチS2のそれぞれは、各階に配置された仕切体50のそれぞれに配置されている。
【0055】
また本実施形態では、第1エリアA1における筒状壁3の内壁面に、少なくとも第1搬送装置1を非常停止させる第3非常停止スイッチS3が配置されている。本例では、第3非常停止スイッチS3は、第1側壁部33における内側を向く面である第1内壁面33aに配置されている。ここでは、第3非常停止スイッチS3は、第1搬送装置1のみを非常停止させるスイッチである。但し、これに限らず、第3非常停止スイッチS3は、第1搬送装置1及び第2搬送装置2の双方を非常停止させるスイッチであっても良い。
【0056】
更に本実施形態では、第2エリアA2における筒状壁3の内壁面に、少なくとも第2搬送装置2を非常停止させる第4非常停止スイッチS4が配置されている。本例では、第4非常停止スイッチS4は、第2側壁部34における内側を向く面である第2内壁面34aに配置されている。ここでは、第4非常停止スイッチS4は、第2搬送装置2のみを非常停止させるスイッチである。但し、これに限らず、第4非常停止スイッチS4は、第1搬送装置1及び第2搬送装置2の双方を非常停止させるスイッチであっても良い。
【0057】
また、本実施形態では、第1エリアA1における筒状壁3の外壁面に、少なくとも第1搬送装置1を非常停止させる第5非常停止スイッチS5が配置されている。本例では、第5非常停止スイッチS5は、第1側壁部33における外側を向く面である第1外壁面33bに配置されている。ここでは、第5非常停止スイッチS5は、第1搬送装置1のみを非常停止させるスイッチである。但し、これに限らず、第5非常停止スイッチS5は、第1搬送装置1及び第2搬送装置2の双方を非常停止させるスイッチであっても良い。
【0058】
また、本実施形態では、第2エリアA2における筒状壁3の外壁面に、少なくとも第2搬送装置2を非常停止させる第6非常停止スイッチS6が配置されている。本例では、第6非常停止スイッチS6は、第2側壁部34における外側を向く面である第2外壁面34bに配置されている。ここでは、第6非常停止スイッチS6は、第2搬送装置2のみを非常停止させるスイッチである。但し、これに限らず、第6非常停止スイッチS6は、第1搬送装置1及び第2搬送装置2の双方を非常停止させるスイッチであっても良い。
【0059】
次に、物品搬送設備100の制御構成について、図6を参照して説明する。図6は、物品搬送設備100の制御構成の一部を示すブロック図である。
【0060】
図6に示すように、物品搬送設備100は、設備内における複数の物品Wの保管や移動等を統括的に管理する統括制御装置Htを備えている。統括制御装置Htは、第1搬送装置1の動作を制御する第1搬送制御部H1、第2搬送装置2の動作を制御する第2搬送制御部H2、及び防火扉6の動作を制御する扉制御部H6との間で、有線又は無線により通信可能に構成されている。統括制御装置Htは、第1搬送制御部H1及び第2搬送制御部H2に対して、指定の場所に物品Wを搬送するための搬送指令や各動作を停止させるための停止指令等を行う。統括制御装置Ht、第1搬送制御部H1、第2搬送制御部H2、及び扉制御部H6は、例えば、マイクロコンピュータ等のプロセッサ、メモリ等の周辺回路等を備えている。そして、これらのハードウェアとコンピュータ等のプロセッサ上で実行されるプログラムとの協働により、各機能が実現される。
【0061】
本実施形態では、第1搬送制御部H1は、第1作業台71の突出状態及び引退状態を検知する第1センサSe1からの検知結果を取得可能に構成されている。上述のように、第1搬送経路P1は、第1作業台71が突出状態である場合には閉鎖され、第1作業台71が引退状態である場合には開放される。そのため本例では、第1作業台71が突出状態である場合に、第1搬送装置1による物品Wの搬送が禁止され、第1作業台71が引退状態である場合に、第1搬送装置1による物品Wの搬送が許容される。この搬送の禁止および許容は、第1搬送制御部H1によって行われる。
【0062】
また、本実施形態では、第1搬送制御部H1は、第1非常停止スイッチS1及び第2非常停止スイッチS2が押圧されたか否かの情報を取得可能に構成されている。そして、第1非常停止スイッチS1及び第2非常停止スイッチS2の少なくとも一方が押圧された場合に、第1搬送装置1が非常停止される。更に本例では、第1搬送制御部H1は、第3非常停止スイッチS3及び第5非常停止スイッチS5が押圧されたか否かの情報を取得可能に構成されている。そして、第3非常停止スイッチS3又は第5非常停止スイッチS5が押圧された場合に、第1搬送装置1が非常停止される。この非常停止は、第1搬送制御部H1によって行われる。
【0063】
本実施形態では、第2搬送制御部H2は、第2作業台72の突出状態及び引退状態を検知する第2センサSe2からの検知結果を取得可能に構成されている。上述のように、第2搬送経路P2は、第2作業台72が突出状態である場合には閉鎖され、第2作業台72が引退状態である場合には開放される。そのため本例では、第2作業台72が突出状態である場合に、第2搬送装置2による物品Wの搬送が禁止され、第2作業台72が引退状態である場合に、第2搬送装置2による物品Wの搬送が許容される。この搬送の禁止および許容は、第2搬送制御部H2によって行われる。
【0064】
また、本実施形態では、第2搬送制御部H2は、第1非常停止スイッチS1及び第2非常停止スイッチS2が押圧されたか否かの情報を取得可能に構成されている。そして、第1非常停止スイッチS1及び第2非常停止スイッチS2の少なくとも一方が押圧された場合に、第2搬送装置2が非常停止される。更に本例では、第2搬送制御部H2は、第4非常停止スイッチS4及び第6非常停止スイッチS6が押圧されたか否かの情報を取得可能に構成されている。そして、第4非常停止スイッチS4又は第6非常停止スイッチS6が押圧された場合に、第2搬送装置2が非常停止される。この非常停止は、第2搬送制御部H2によって行われる。
【0065】
本実施形態では、統括制御装置Htは、物体検知センサSeOからの検知結果を取得可能に構成されている。そして、統括制御装置Htは、物体検知センサSeOによって、隣接する階のそれぞれに配置された一対の仕切体50の間において物体が検知された場合に、第1搬送制御部H1及び第2搬送制御部H2に対して、各搬送装置(1,2)の動作を停止させる停止指令を行う。すなわち、物体検知センサSeOによって物体が検知された場合に、第1搬送装置1による物品Wの搬送及び第2搬送装置2による物品Wの搬送の双方が禁止される。但し、このような構成に限定されることなく、第1搬送制御部H1及び第2搬送制御部H2の双方が、物体検知センサSeOからの検知結果を取得可能に構成されると共に、取得した検知結果に基づいて第1搬送装置1又は第2搬送装置2の動作を停止させても良い。
【0066】
また、本実施形態では、統括制御装置Htは、火災検知センサSeFからの検知結果を取得可能に構成されている。そして、統括制御装置Htは、火災検知センサSeFによって火災が検知された場合に、第1搬送制御部H1及び第2搬送制御部H2に対して、各搬送装置(1,2)の動作を停止させるための停止指令を行う。また、統括制御装置Htは、火災検知センサSeFによって火災が検知された場合に、扉制御部H6に対して、防火扉6を閉状態とするように指令する。この指令を受けた扉制御部H6は、防火扉6を移動させて閉状態とする。上述のように、防火扉6が閉状態である場合には、第1領域41R及び第2領域42Rを含む開口領域40Rが閉鎖され、これにより、第1搬送経路P1及び第2搬送経路P2の双方が閉鎖される。そのため本例では、防火扉6が閉状態である場合に、第1搬送装置1による物品Wの搬送及び第2搬送装置2による物品Wの搬送の双方が禁止される。但し、第1昇降体13又は第2昇降体23が防火扉6と干渉する位置で停止した場合には、防火扉6を閉状態とすることができなくなる。従って、防火扉6を閉状態とする場合には、第1昇降体13及び第2昇降体23が防火扉6と干渉しない位置に退避した状態で、第1搬送装置1及び第2搬送装置2が停止される。なお、上記では、扉制御部H6は、火災検知センサSeFによる検知結果を取得した統括制御装置Htからの指令を受けて、防火扉6を閉状態とする構成について説明した。しかし、このような構成に限定されることなく、扉制御部H6は、火災検知センサSeFからの検知結果を取得可能に構成され、取得した検知結果に基づいて防火扉6を閉状態とするように構成されていても良い。
【0067】
以上のように構成された物品搬送設備100では、第1搬送装置1と第2搬送装置2とを個別にメンテナンスできると共に、火災時に適切に防火扉6を閉鎖することが可能となっている。ここで、図7図9は、第1作業台71、第2作業台72、及び防火扉6の動作を模式的に示しており、説明に不要な要素は省略している。また、図7図9のそれぞれにおける左図は、並列方向第1側X1から見た第1エリアA1を示しており、図7図9のそれぞれにおける右図は、並列方向第2側X2から見た第2エリアA2を示している。
【0068】
例えば、作業者が第1エリアA1において第1搬送装置1のメンテナンスを行う場合には、図7の左図に示すように、第1作業台71を突出状態として、開口領域40Rの一部である第1領域41Rの上方に当該第1作業台71を配置する。作業者は、第1作業台71を利用して第1搬送装置1のメンテナンスを行うことができる。第1作業台71が第1領域41Rの上方に配置されることで、第1搬送装置1の搬送経路である第1搬送経路P1が閉鎖されるが、第1作業台71が突出状態である場合には第1搬送装置1による物品Wの搬送が禁止されるため、作業者は安全にメンテナンスを行うことができる。一方、第2作業台72は、第1作業台71とは別に動作させることができ、例えば図7の右図に示すように、引退状態としておくことができる。第2作業台72が引退状態の場合には、当該第2作業台72は開口領域40Rの一部である第2領域42Rの外部に配置される。そのため、第2搬送装置2の搬送経路である第2搬送経路P2は開放された状態となる。従って、第2作業台72が引退状態である場合には、第2搬送装置2による物品Wの搬送が許容され、第2エリアA2において物品Wの搬送が可能となる。
【0069】
また、例えば、作業者が第2エリアA2において第2搬送装置2のメンテナンスを行う場合には、図8の右図に示すように、第2作業台72を突出状態として、第2領域42Rの上方に当該第2作業台72を配置する。作業者は、第2作業台72を利用して第2搬送装置2のメンテナンスを行うことができる。第2作業台72が第2領域42Rの上方に配置されることで、第2搬送経路P2が閉鎖されるが、第2作業台72が突出状態である場合には第2搬送装置2による物品Wの搬送が禁止されるため、作業者は安全にメンテナンスを行うことができる。一方、第1作業台71は、第2作業台72とは別に動作させることができ、例えば図8の左図に示すように、引退状態としておくことができる。第1作業台71が引退状態の場合には、当該第1作業台71は第1領域41Rの外部に配置される。そのため、第1搬送経路P1は開放された状態となる。従って、第1作業台71が引退状態である場合には、第1搬送装置1による物品Wの搬送が許容され、第1エリアA1において物品Wの搬送が可能となる。
【0070】
更に、並列方向Xにおける第1搬送装置1と第2搬送装置2との間には、仕切壁5が設けられている。そのため、例えば、作業者が第1エリアA1において第1搬送装置1のメンテナンスを行っている間に、第2エリアA2において第2搬送装置2を稼働させる場合であっても(図7参照)、作業者と第2搬送装置2とが接触することを回避できる。反対に、作業者が第2エリアA2において第2搬送装置2のメンテナンスを行っている間に、第1エリアA1において第1搬送装置1を稼働させる場合には(図8参照)、作業者と第1搬送装置1とが接触することを回避できる。従って、本開示に係る物品搬送設備100によれば、第1搬送装置1と第2搬送装置2とを並列配置する場合において、メンテナンスの容易性を確保できると共に、メンテナンス時の搬送効率の低下を少なく抑えつつ、作業者の安全性を確保することができる。
【0071】
そして、火災時には、図9に示すように、防火扉6が閉状態とされ、開口領域40Rの上方に防火扉6が配置される。上述のように、防火扉6が閉状態である場合には、第1搬送装置1による物品Wの搬送及び第2搬送装置2による物品Wの搬送の双方が禁止される。なお、図9に示す例では、第1作業台71及び第2作業台72の双方が引退状態とされると共に、防火扉6が閉状態とされている。しかし、これに限らず、第1作業台71及び第2作業台72のうち少なくとも一方が突出状態で、防火扉6を閉状態としても良い。
【0072】
〔その他の実施形態〕
次に、物品搬送設備のその他の実施形態について説明する。
【0073】
(1)上記の実施形態では、第1梯子L1が、仕切壁5における第1案内レール11が配置された側の面である第1面51に固定され、第2梯子L2が、仕切壁5における第2案内レール21が配置された側の面である第2面52に固定されている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、第1梯子L1及び第2梯子L2のうち少なくとも一方は、例えば、筒状壁3における内面に固定されていても良い。なお、第1梯子L1及び第2梯子L2は、必須の構成ではなく、物品搬送設備100は、第1梯子L1及び第2梯子L2の少なくとも一方を備えていなくても良い。
【0074】
(2)上記の実施形態では、物品搬送設備100が、第1搬送装置1及び第2搬送装置2の双方を覆う筒状壁3を備えている例について説明した。しかし、筒状壁3は必須の構成ではなく、物品搬送設備100は、このような筒状壁3を備えていなくても良い。
【0075】
(3)上記の実施形態では、物品搬送設備100に、第1搬送装置1又は第2搬送装置2を非常停止させる第1~第6非常停止スイッチ(S1~S6)が設けられている例について説明したが、これら第1~第6非常停止スイッチ(S1~S6)は、必須の構成ではない。従って、物品搬送設備100は、これら第1~第6非常停止スイッチ(S1~S6)の少なくとも一部を備えていなくても良い。
【0076】
(4)上記の実施形態では、防火扉6、第1作業台71、及び第2作業台72が、スライド移動することで状態変更するように構成されている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、防火扉6、第1作業台71、及び第2作業台72のうち少なくとも1つが、特定方向(例えば水平方向)に沿う軸心周りに旋回動作することで状態変更するように構成されていても良い。
【0077】
(5)上記の実施形態では、床部4(通過床部4T)に形成された開口部40に、防火扉6、第1作業台71、及び第2作業台72が設けられている例について説明した。しかし、これら防火扉6、第1作業台71、及び第2作業台72は、必須の構成ではない。例えば、防火扉6、第1作業台71、及び第2作業台72のうちの一部のみを備えた構成であっても良いし、或いは、これらの全てを備えない構成であっても良い。
【0078】
(6)なお、上述した実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。従って、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
【0079】
〔上記実施形態の概要〕
以下、上記において説明した物品搬送設備について説明する。
【0080】
物品搬送設備は、
複数階の床部を備えた建物に設置され、上下方向に沿って前記複数階に亘って物品を搬送する第1搬送装置と、
前記第1搬送装置と並列配置され、前記上下方向に沿って前記複数階に亘って物品を搬送する第2搬送装置と、を備え、
前記第1搬送装置は、前記上下方向に沿って前記複数階に亘って配置された第1案内レールと、前記第1案内レールに沿って昇降する第1昇降体と、前記第1昇降体に支持されて物品の保持及び移載を行う第1移載部と、を備え、
前記第2搬送装置は、前記上下方向に沿って前記複数階に亘って配置された第2案内レールと、前記第2案内レールに沿って昇降する第2昇降体と、前記第2昇降体に支持されて物品の保持及び移載を行う第2移載部と、を備え、
前記第1案内レールと前記第2案内レールとは、前記複数階に亘って物品を搬送する場合に前記第1昇降体及び前記第2昇降体が通過する前記床部である通過床部に形成された開口部を貫通するように配置され、
前記上下方向に沿う上下方向視で前記第1搬送装置と前記第2搬送装置とが並ぶ方向を並列方向とし、前記上下方向視で前記並列方向に直交する方向を直交方向として、
前記並列方向における前記第1搬送装置と前記第2搬送装置との間に、前記複数階に亘って前記第1搬送装置と前記第2搬送装置との間を仕切る仕切壁が設けられ、
前記第1昇降体は、前記第1案内レールに対して前記直交方向の一方側である直交方向第1側を昇降するように設けられ、
前記第2昇降体は、前記第2案内レールに対して前記直交方向第1側を昇降するように設けられ、
前記第1案内レールと前記第2案内レールとは、前記直交方向の他方側である直交方向第2側において前記床部に固定され、
前記第1案内レールにおける前記仕切壁と対向する側とは反対側の側面に沿って、前記第1昇降体に電力を供給する第1給電部が配置され、
前記第2案内レールにおける前記仕切壁と対向する側とは反対側の側面に沿って、前記第2昇降体に電力を供給する第2給電部が配置されている。
【0081】
本構成によれば、第1搬送装置及び第2搬送装置の双方によって物品を搬送するため、搬送装置が1つだけの場合に比べて多くの物品を搬送することができる。また、本構成によれば、第1搬送装置と第2搬送装置との間が仕切壁によって仕切られているため、第1搬送装置及び第2搬送装置の一方を停止させてメンテナンスを行う際に他方の稼働を継続させたとしても、メンテナンス作業を行う作業者が当該稼働中の搬送装置に接触することを回避できる。すなわち、第1搬送装置と第2搬送装置とを個別に停止させてメンテナンスを行うことが可能となるため、メンテナンス時の搬送効率の低下を少なく抑えつつ、作業者の安全性を確保することができる。更に、本構成によれば、第1給電部が第1案内レールにおける仕切壁と対向する側とは反対側の側面に沿って配置されていると共に、第2給電部が第2案内レールにおける仕切壁と対向する側とは反対側の側面に沿って配置されている。そのため、第1給電部及び第2給電部のメンテナンスを行う場合に、仕切壁が当該メンテナンスの妨げとなりにくい。従って、メンテナンスの容易性が確保されている。以上のように、本構成によれば、2つの搬送装置を並列配置する場合において、メンテナンスの容易性を確保できると共に、メンテナンス時の搬送効率の低下を少なく抑えつつ、作業者の安全性を確保することができる。
【0082】
ここで、
前記第1昇降体及び前記第1移載部の移動軌跡と重複しないように、前記上下方向に沿って配置される第1梯子と、
前記第2昇降体及び前記第2移載部の移動軌跡と重複しないように、前記上下方向に沿って配置される第2梯子と、を更に備え、
前記第1梯子は、前記仕切壁における前記第1案内レールが配置された側の面である第1面に固定され、
前記第2梯子は、前記仕切壁における前記第2案内レールが配置された側の面である第2面に固定されていると好適である。
【0083】
本構成によれば、メンテナンスの際に作業者が利用する梯子を、第1搬送装置及び第2搬送装置による物品の搬送の妨げとならない適切な位置に設置できる。また、第1搬送装置と第2搬送装置との間を仕切る仕切壁を利用することにより、比較的簡易な構成で上記のような梯子の設置を実現できる。
【0084】
また、
前記複数階のそれぞれにおいて、前記第1搬送装置及び前記第2搬送装置の双方を覆う筒状壁を更に備え、
前記第1案内レールと前記第2案内レールとが、前記複数階の前記床部に固定され、
前記筒状壁が、前記第1案内レール及び前記第2案内レールに固定され、
前記仕切壁が、前記筒状壁に固定されていると好適である。
【0085】
本構成によれば、案内レールを建物に対して適切に支持することができると共に、当該案内レールを利用して、筒状壁と仕切壁とを、適切に支持することが可能となる。
【0086】
また、
前記仕切壁における前記第1案内レールが配置された側の面である第1面に、少なくとも前記第1搬送装置を非常停止させる第1非常停止スイッチが配置され、
前記仕切壁における前記第2案内レールが配置された側の面である第2面に、少なくとも前記第2搬送装置を非常停止させる第2非常停止スイッチが配置されていると好適である。
【0087】
本構成によれば、第1搬送装置と第2搬送装置とを個別に停止させてメンテナンスを行っている場合であって、作業者が仕切壁を挟んで稼働中の搬送装置に近い位置においてメンテナンス作業を行っている場合であっても、必要に応じて、稼働中の搬送装置を作業者によって非常停止させることができる。よって、作業者の更なる安全性を確保することができる。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本開示に係る技術は、物品搬送設備に利用することができる。
【符号の説明】
【0089】
100 :物品搬送設備
1 :第1搬送装置
11 :第1案内レール
12 :第1給電部
13 :第1昇降体
14 :第1移載部
2 :第2搬送装置
21 :第2案内レール
22 :第2給電部
23 :第2昇降体
24 :第2移載部
3 :筒状壁
4 :床部
4T :通過床部
40 :開口部
5 :仕切壁
51 :第1面
52 :第2面
L1 :第1梯子
L2 :第2梯子
S1 :第1非常停止スイッチ
S2 :第2非常停止スイッチ
W :物品
X :並列方向
Y :直交方向
Y1 :直交方向第1側
Y2 :直交方向第2側
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9