(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】ホーンスイッチ体を備えたエアバッグ装置
(51)【国際特許分類】
B62D 1/04 20060101AFI20221129BHJP
B60R 21/203 20060101ALN20221129BHJP
【FI】
B62D1/04
B60R21/203
(21)【出願番号】P 2019217034
(22)【出願日】2019-11-29
【審査請求日】2021-10-28
(31)【優先権主張番号】P 2019065997
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076473
【氏名又は名称】飯田 昭夫
(72)【発明者】
【氏名】永田 松雄
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 浩史
(72)【発明者】
【氏名】神崎 博稔
(72)【発明者】
【氏名】角田 憲司
(72)【発明者】
【氏名】坂本 大樹
(72)【発明者】
【氏名】野々山 裕貴
【審査官】田邉 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-084005(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0184062(US,A1)
【文献】特開2016-028963(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 1/04
B60R 21/203
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステアリングホイールの中央付近のボス部における上面側に組み付けられる構成として、
膨張用ガスを流入させて膨張するエアバッグと、
該エアバッグに膨張用ガスを供給するインフレーターと、
折り畳まれた前記エアバッグを覆うパッドと、
前記エアバッグ、前記インフレーター、及び、前記パッドを保持する板金製の取付ベースと、
前記ステアリングホイールの本体側に組み付ける組付ピンを備えたホーンスイッチ体と、
前記取付ベースの下面側に取り付けられる構成として、前記ホーンスイッチ体を支持する板金製の支持プレートと、
を備えるとともに、
前記取付ベースと前記支持プレートとが、前記インフレーターにおける膨張用ガスを吐出する本体部を挿入させる挿入孔を有して、該挿入孔の周囲の複数個所の相互の対向部位を、それぞれ、前記ホーンスイッチ体の接点部位の上下と側方とを囲む合成樹脂製のケースを前記取付ベースと前記支持プレートとの間に配設可能とするスイッチ配設部位、とし、
前記支持プレートが、前記スイッチ配設部位を、前記取付ベースの前記スイッチ配設部位の下面側から、前記ケースの略高さ寸法分、凹む段差部に、配設させて、前記段差部の上面側と前記取付ベースにおける前記スイッチ配設部位の下面側との間に、前記ケースを配設させる構成として、
前記ホーンスイッチ体が、
前記組付ピンの下端側を、前記ケース内から、前記支持プレートを経て、下方へ突出させて、前記ステアリングホイールの本体側に組み付けるとともに、
前記接点部位の可動側接点を前記ケース内における前記ケースの天井壁部の下面側に配置させ、前記接点部位の固定側接点を、前記ケース内に配設される前記組付ピンの上端側に、配置させ、さらに、
前記組付ピンの上端側によって前記ケースの上方移動を規制し、前記ケースの下面側と前記組付ピンの下端側との間に、前記ケースと前記組付ピンの下端側とを離隔させる方向に付勢するばねを配設させて構成されるホーンスイッチ体を備えたエアバッグ装置であって、
前記ホーンスイッチ体の前記組付ピンの周囲における前記ケース、前記スイッチ配設部位の前記取付ベース、若しくは、前記支持プレートに、前記ケースにおける前記スイッチ配設部位に対するガタツキを防止可能なスペーサが、配設されていることを特徴とするホーンスイッチ体を備えたエアバッグ装置。
【請求項2】
前記スペーサが、前記ケース、前記取付ベースの前記スイッチ配設部位、若しくは、前記支持プレートの前記スイッチ配設部位、のいずれかにおいて、周囲の一般部と一体的として、前記一般部から突設されて、配設されていることを特徴とする請求項1に記載のホーンスイッチ体を備えたエアバッグ装置。
【請求項3】
前記スペーサが、前記取付ベース若しくは前記支持プレートの一方に、配設されていることを特徴とする請求項2に記載のホーンスイッチ体を備えたエアバッグ装置。
【請求項4】
前記スペーサが、前記取付ベースに配設されるとともに、前記一般部から部分的に下方に隆起する突条部を、前記組付ピンの周囲で、複数設けて、構成されていることを特徴とする請求項3に記載のホーンスイッチ体を備えたエアバッグ装置。
【請求項5】
前記突条部が、前記組付ピンの周囲における長方形の角部の配置位置とした4箇所に、配設されていることを特徴とする請求項4に記載のホーンスイッチ体を備えたエアバッグ装置。
【請求項6】
前記突条部が、前記組付ピンの周囲で、左右対称的な位置に配設されていることを特徴とする請求項5に記載のホーンスイッチ体を備えたエアバッグ装置。
【請求項7】
前記突条部が、前記組付ピンの周囲で、正四角形の角部の配置位置に配設されていることを特徴とする請求項5に記載のホーンスイッチ体を備えたエアバッグ装置。
【請求項8】
前記ホーンスイッチ体の前記ケースが、前記組付ピンの周囲における点対称的な位置の下面側に、前記支持プレートの前記スイッチ配設部位の位置決め孔に嵌合される位置決め突起、を突設させ、
前記突条部が、前記組付ピンの周囲で、正四角形の角部の配置位置に配設されるとともに、4つの前記突条部の内の2つを、2つの前記位置決め突起を結ぶ前記組付ピンを中心とした直径方向の線上に、一致させるように、配設されていることを特徴とする請求項7に記載のホーンスイッチ体を備えたエアバッグ装置。
【請求項9】
前記取付ベースが、前記一般部から部分的に上方に隆起し、かつ、前記突条部を避けつつ前記スイッチ配設部位をそれぞれ横断するように直線状に配置されるビード、を配設させていることを特徴とする請求項5乃至請求項8のいずれか1項に記載のホーンスイッチ体を備えたエアバッグ装置。
【請求項10】
前記ビードが、それぞれの前記スイッチ配設部位の近傍における前記挿入孔の周縁の接線に略沿う方向の直線上で、かつ、前記組付ピンを中心とした直径方向の線上に配設されていることを特徴とする請求項9に記載のホーンスイッチ体を備えたエアバッグ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホーンスイッチ体を備えて、車両のステアリングホイールの本体に取り付けられるエアバッグ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のホーンスイッチ体を備えたエアバッグ装置では、ステアリングホイールの中央付近のボス部における上面側に組み付けられる構成としていた。(例えば、特許文献1参照)。エアバッグ装置は、膨張用ガスを流入させて膨張するエアバッグと、エアバッグに膨張用ガスを供給するインフレーターと、折り畳まれたエアバッグを覆うパッドと、エアバッグ、インフレーター、及び、パッドを保持する板金製の取付ベースと、複数のホーンスイッチ体と、取付ベースの下面側に取り付けられる構成として、ホーンスイッチ体を支持する板金製の支持プレートと、を備えて構成されていた。ホーンスイッチ体は、非操作時に離隔させた上方側の可動側接点と下方側の固定側接点とを備えるとともに、可動側接点と固定側接点との両者の接点部位の上下と側方とを囲む合成樹脂製のケースを備え、さらに、ケースから下方に突出して、ステアリングホイールの本体側に組み付けられる組付ピン、を備えて構成されていた。そして、取付ベースと支持プレートとは、インフレーターにおける膨張用ガスを吐出する本体部を挿入させる挿入孔を有して、挿入孔の周囲の複数個所(例えば、3箇所)の相互の対向部位を、それぞれ、ホーンスイッチ体の接点部位の周囲を囲むケースを取付ベースと支持プレートとの間に配設可能とするスイッチ配設部位、とし、さらに、支持プレートが、スイッチ配設部位を、取付ベースのスイッチ配設部位の下面側から、ケースの略高さ寸法分、凹む段差部に、配設させて、段差部の上面側と取付ベースにおけるスイッチ配設部位の下面側との間に、ケースを配設させる構成としていた。そしてさらに、ホーンスイッチ体は、組付ピンの下端側を、ケース内から、支持プレートを経て、下方へ突出させて、ステアリングホイールの本体側に組み付けるとともに、接点部位の可動側接点をケース内におけるケースの天井壁部の下面側に配置させ、接点部位の固定側接点を、ケース内に配設される組付ピンの上端側に、配置させ、さらに、組付ピンの上端側によってケースの上方移動を規制し、ケースの下面側と組付ピンの下端側との間に、ケースと組付ピンの下端側とを離隔させる方向に付勢するばねを配設させて構成されていた。このばねは、エアバッグ装置をステアリングホイールの本体側から上方へ付勢する付勢力を発揮することとなる。
【0003】
そして、ホーンを作動させるように、ばねの付勢力に抗して、ケースの下面側を組付ピンの下端側に接近させるように、エアバッグ装置を下方へ押下すると、すなわち、パッドを押下操作すると、パッドを取り付けていた取付ベースが下降し、取付ベースのスイッチ配設部位も下降して、ホーンスイッチ体のケースにおける天井壁部の下面側の可動側接点も下降しようとする。しかし、接点部位の固定側接点は、ステアリングホイール本体側に組み付けられた組付ピンの上端側に配置されて、その位置を停止させていることから、下降する可動側接点が固定側接点に接触して、ホーン作動回路が通電し、ホーンを作動させることとなっていた。その後、押下操作を止めれば、エアバッグ装置を上方へ付勢していたばねの付勢力により、組付ピンの上端側にケースの下面側が規制されるまで、支持プレート、取付ベース、及び、ホーンスイッチ体のケースを含めたエアバッグ装置が、上方に押し上げられ、接触していた可動側接点を、固定側接点から離隔させて、作動前の位置に復帰させることとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来のホーンスイッチ体を備えたエアバッグ装置では、板金製の支持プレートが、ホーンスイッチ体のケースを配設させるスイッチ配設部位を、取付ベースのスイッチ配設部位の下面側から、ケースの略高さ寸法分、凹む段差部の上面側に、配置させ、そして、ホーンスイッチ体のケースが、スイッチ配設部位における取付ベースの下面と支持プレートの段差部の上面との間に、配設される構成としており、支持プレートが、板金素材から絞り加工により、段差部を形成していた。そのため、支持プレートの加工時の寸法精度のバラツキにより、段差部の上面が、取付プレートのスイッチ配設部位の下面との間に、ケースの高さ寸法より、若干、大きな隙間を空けるように、形成される場合があり、そのような場合、エアバッグ装置が搭載されている車両の走行中、ケースと、スイッチ配設部位の取付ベースや支持プレートと、の間に発生している隙間により、ケースが取付ベースや支持プレートと干渉(当接)し、異音を発生させる虞れが生ずる。
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するもので、簡便な構成により、異音を発生させるようなホーンスイッチ体のケースにおける周囲との干渉を、防止できるホーンスイッチ体を備えたエアバッグ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るエアバッグ装置は、ステアリングホイールの中央付近のボス部における上面側に組み付けられる構成として、
膨張用ガスを流入させて膨張するエアバッグと、
該エアバッグに膨張用ガスを供給するインフレーターと、
折り畳まれた前記エアバッグを覆うパッドと、
前記エアバッグ、前記インフレーター、及び、前記パッドを保持する板金製の取付ベースと、
前記ステアリングホイールの本体側に組み付ける組付ピンを備えたホーンスイッチ体と、
前記取付ベースの下面側に取り付けられる構成として、前記ホーンスイッチ体を支持する板金製の支持プレートと、
を備えるとともに、
前記取付ベースと前記支持プレートとが、前記インフレーターにおける膨張用ガスを吐出する本体部を挿入させる挿入孔を有して、該挿入孔の周囲の複数個所の相互の対向部位を、それぞれ、前記ホーンスイッチ体の接点部位の上下と側方とを囲む合成樹脂製のケースを前記取付ベースと前記支持プレートとの間に配設可能とするスイッチ配設部位、とし、
前記支持プレートが、前記スイッチ配設部位を、前記取付ベースの前記スイッチ配設部位の下面側から、前記ケースの略高さ寸法分、凹む段差部に、配設させて、前記段差部の上面側と前記取付ベースにおける前記スイッチ配設部位の下面側との間に、前記ケースを配設させる構成として、
前記ホーンスイッチ体が、
前記組付ピンの下端側を、前記ケース内から、前記支持プレートを経て、下方へ突出させて、前記ステアリングホイールの本体側に組み付けるとともに、
前記接点部位の可動側接点を前記ケース内における前記ケースの天井壁部の下面側に配置させ、前記接点部位の固定側接点を、前記ケース内に配設される前記組付ピンの上端側に、配置させ、さらに、
前記組付ピンの上端側によって前記ケースの上方移動を規制し、前記ケースの下面側と前記組付ピンの下端側との間に、前記ケースと前記組付ピンの下端側とを離隔させる方向に付勢するばねを配設させて構成されるホーンスイッチ体を備えたエアバッグ装置であって、
前記ホーンスイッチ体の前記組付ピンの周囲における前記ケース、前記スイッチ配設部位の前記取付ベース、若しくは、前記支持プレートに、前記ケースにおける前記スイッチ配設部位に対するガタツキを防止可能なスペーサが、配設されていることを特徴とする。
【0008】
本発明に係るエアバッグ装置では、ガタツキを防止可能なスペーサにより、ケースにおけるスイッチ配設部位に対するガタツキが防止されることから、異音の発生が防止される。そして、このような防止構造は、単に、ホーンスイッチ体の組付ピンの周囲におけるケース、あるいは、スイッチ配設部位の取付ベースや支持プレートのいずれかに、単に、スペーサを配設するだけでよいことから、簡便に構成できる。
【0009】
したがって、本発明に係るホーンスイッチ体を備えたエアバッグ装置では、簡便な構成により、異音を発生させるようなホーンスイッチ体のケースにおける周囲との干渉を、防止することができる。
【0010】
そして、本発明に係るエアバッグ装置では、前記スペーサが、前記ケース、前記取付ベースの前記スイッチ配設部位、若しくは、前記支持プレートの前記スイッチ配設部位、のいずれかにおいて、周囲の一般部と一体的として、前記一般部から突設されて、配設されていることが望ましい。
【0011】
このような構成では、別途、スペーサを、ケース、あるいは、スイッチ配設部位の取付ベースや支持プレートに、取り付けずに済むことから、容易に、スペーサを配設することができる。
【0012】
この場合、前記スペーサは、前記取付ベース若しくは前記支持プレートの一方に、配設されていることが望ましい。
【0013】
すなわち、合成樹脂製のケースにスペーサを一体的に形成する場合には、スペーサを設ける部位の合成樹脂部材の成形型に、スペーサ形成用の成形用凹部を設ける必要があり、ケース自体に後加工でスペーサを形成することが行い難い。しかし、取付ベースや支持プレートは、板金製としており、プレス加工や押圧ピンの押し付け等により、後加工により、あるいは、板金素材からの加工時に略同時として、簡単に、スペーサを形成できることから、従来品から、容易に、スペーサを設けた取付ベースや支持プレートを形成できて、スペーサを設けた取付ベースや支持プレートを容易に得ることができる。
【0014】
そしてこの場合、前記スペーサが、前記取付ベースに配設されるとともに、前記一般部から部分的に下方に隆起する突条部を、前記組付ピンの周囲で、複数設けて、構成されていることが望ましい。
【0015】
このような構成では、取付ベースのスイッチ配設部位は、支持プレートのスイッチ配設部位のように、段差部を設けずに形成できて、平坦部位に形成できることから、組付ピンの周囲となる平坦な部位に、押圧ピンの押し付け等の後加工により、容易に、スペーサを構成する突条部を、2つ以上、形成できる。そして、スペーサとしての突条部が、例えば、組付ピンの周囲の3箇所以上に配設されていれば、組付ピン周りのケースの平面状の上面側に対して、バランスよく、各突条部を圧接させることができ、安定して、ケースの周囲において、異音を発生させるようなスイッチ配設部位の支持プレートや取付ベースに対する隙間、の発生を防止できる。勿論、突条部は、組付ピンの周囲の2箇所に設けてもよく、その場合でも、それらの2つの突条部自体が、あるいは、取付ベースのスイッチ配設部位における2つの突条部とそれらの部位から離れた部位との3箇所が、ケースの上面側に圧接される態様となって、ケースの周囲において、異音を発生させるようなスイッチ配設部位の支持プレートや取付ベースに対する隙間、の発生を防止できる。
【0016】
この場合、前記突条部が、前記組付ピンの周囲における長方形の角部の配置位置とした4箇所に、配設されていれば、組付ピンの周囲におけるケースの上面側に対して、一層、バランスよく、突条部が当接して、より安定して、ケースの周囲に、異音を発生させるような隙間を生じさせない。
【0017】
この場合、これらの前記突条部は、前記組付ピンの周囲で、左右対称的な位置に配設されていたり、あるいは、前記組付ピンの周囲で、正四角形の角部の配置位置に配設されていてもよい。そして、エアバッグ装置の左右方向の中央部位に配設されるホーンスイッチ体が、組付ピンの周囲で、左右対称的な位置の4箇所に突条部を配設させていれば、エアバッグ装置(パッド)の左縁側や右縁側を押下操作する際、両操作時のホーンストロークを同等とするように、ホーンスイッチ体のケースの上面側における組付ピン周りの左右の距離を同等として、各突条部をケースの上面側に圧接させることができて、均等に、可動側接点を、固定側接点に接近させることが可能となる。また、組付ピンの周囲で、正四角形の角部の配置位置の4箇所に突条部が配設させていれば、組付ピンの周囲で、ホーンスイッチ体のケースの上面側における組付ピン周りにおける周方向の離隔距離を同等として、各突条部をケースの上面側に圧接させることができて、均等に、可動側接点を、固定側接点に接近させることが可能となる。
【0018】
さらに、本発明に係るエアバッグ装置では、取付ベースのスイッチ配設部位に設ける前記突条部を、前記組付ピンの周囲における正四角形の角部の配置位置の4箇所に、配設させる場合には、前記ホーンスイッチ体の前記ケースが、前記組付ピンの周囲における点対称的な位置の下面側に、前記支持プレートの前記スイッチ配設部位の位置決め孔に嵌合される位置決め突起、を突設させ、
前記突条部が、前記組付ピンの周囲で、正四角形の角部の配置位置に配設される4つの前記突条部の内の2つを、2つの前記位置決め突起を結ぶ前記組付ピンを中心とした直径方向の線上に、一致させるように、配設されていることが望ましい。
【0019】
このような構成では、組付ピンを中心とする直径方向の線上に、2つの位置決め突起と2つの突条部とが配設されるとともに、組付ピンを中心として、2つの位置決め突起相互と、4つの突条部相互とが、それぞれ、同心的に配設されることとなる。換言すれば、組付ピンの上端側からなる接点部位の固定側接点に対して、同心的に4つの突条部が、配設されるとともに、位置決め突起を介在させて、ケースの上面側の接点部位の可動側接点も、組付ピンの周方向での配置位置が一定となる。そのため、組付ピンを中心とするホーンスイッチ体の接点部位を囲む4つの各突条部の配置位置が、一定の配置状態(組付ピンの周囲で同心的な放射状の配置関係)となって、ホーン操作時における各ホーンスイッチ体毎のケースの上面側と突条部との当接状態を、より安定させることでき、1つのエアバッグ装置に設ける複数のホーンスイッチ体を、上記構成とすれば、ホーン操作時の感触を良好にすることができる。
【0020】
また、本発明に係るエアバッグ装置では、前記取付ベースが、前記一般部から部分的に上方に隆起し、かつ、前記突条部を避けつつ前記スイッチ配設部位をそれぞれ横断するように直線状に配置されるビード、を配設させていてもよい。
【0021】
このような構成では、取付ベースにおけるスイッチ配設部位が、剛性を高めて、突条部付近の曲げ変形を抑制できることから、組付ピン周りのケースの平面状の上面側に対し、安定して、各突条部を圧接させることができて、一層、ケースの周囲において、異音を発生させるようなスイッチ配設部位の支持プレートや取付ベースに対する隙間、の発生を防止できる。
【0022】
この場合、前記ビードは、それぞれの前記スイッチ配設部位の近傍における前記挿入孔の周縁の接線に略沿う方向の直線上で、かつ、前記組付ピンを中心とした直径方向の線上に配設されていることが望ましい。
【0023】
このような構成では、取付ベースの各スイッチ配設部位に配設されるビードが、それぞれのスイッチ配設部位の近傍における取付ベースの挿入孔の周縁の接線に略沿った直線上に配設されることから、長い寸法とした直線状のビードを配設させても、挿入孔周縁のインフレーターやエアバッグを取り付けるための取付ベースの取付座と干渉し難く、円滑に、ビードを配設することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の一実施形態のエアバッグ装置を搭載したステアリングホイールの概略平面図である。
【
図2】実施形態のステアリングホイールの概略縦断面図であり、
図1のII-II部位に対応する。
【
図3】実施形態のエアバッグ装置の概略縦断面図であり、
図1のIII-III部位に対応する。
【
図4】実施形態のホーンスイッチ体の配設部位の概略拡大縦断面図であり、
図3のIV部位である。
【
図5】実施形態のホーンスイッチ体の配設部位の概略拡大縦断面図であり、
図6のV-V部位である。
【
図7】実施形態のエアバッグ装置における取付ベースの平面図である。
【
図8】実施形態のエアバッグ装置における取付ベースの側面図である。
【
図9】実施形態のエアバッグ装置における取付ベースの底面図である。
【
図10】実施形態のエアバッグ装置の概略分解斜視図である。
【
図11】実施形態のエアバッグ装置におけるホーンスイッチ体と段差部とを示す概略部分斜視図である。
【
図12】実施形態のエアバッグ装置のパッドにおける係止脚部の取付ベースへの取付構造を説明する概略部分断面図である。
【
図13】実施形態のエアバッグ装置における取付ベースの変形例の底面図である。
【
図14】実施形態のエアバッグ装置における取付ベースの他の変形例の底面図である。
【
図15】
図14に示す取付ベースを使用したエアバッグ装置を搭載したステアリングホイールの概略縦断面図であり、
図14のXV-XV部位に対応する。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明すると、実施形態のエアバッグ装置20が搭載されるステアリングホイールWは、
図1に示すように、操舵時に把持するリング部R、リング部Rの中央に配置されるボス部B、及び、リング部Rとボス部Bとを連結するスポーク部S、を有したステアリングホイールWの本体(ステアリングホイール本体)1と、ボス部Bの上部に配設されるエアバッグ装置20と、を備えて構成される。
【0026】
なお、本明細書での上下・左右・前後の方向は、ステアリングホイールWを車両のステアリングシャフトSS(
図2参照)にナットN止めして接続させた状態における車両の直進操舵時を基準として、上下方向は、そのステアリングシャフトSSの軸方向に沿った上下方向に対応し、左右方向は、そのステアリングシャフトSSの軸直交方向の車両の左右方向に対応し、前後方向は、そのステアリングシャフトSSの軸直交方向の車両の前後方向に対応している。
【0027】
ステアリングホイール本体1は、リング部R、ボス部B、及び、スポーク部Sを相互に連結するように配設される芯金2と、リング部Rとリング部R近傍のスポーク部Sの芯金2の部位を覆うウレタン等からなる被覆層7と、を備えて構成されている。被覆層7の表面には、皮革8が巻き付けられている。さらに、リング部Rの前部と後部の内周側には、加飾ガーニッシュ13,15が配設されている。
【0028】
芯金2は、リング部Rに配置されるリング芯金部3、ボス部Bに配置されてステアリングシャフトSSと接続されるボス芯金部4、及び、左右のスポーク部Sに配置されてリング芯金部3とボス芯金部4とを連結するスポーク芯金部5、から構成される。スポーク芯金部5は、実施形態の場合、前側の左右の二本のスポーク部Sの部位にしか配設されておらず、後部側のスポーク部Sには、パッド50の周囲を囲うベゼル14が配設されている。
【0029】
そして、芯金2のボス芯金部4の周縁には、エアバッグ装置20のホーンスイッチ機構60における各ホーンスイッチ体61の組付ピン71を組み付けるための組付部10、が配設されている(
図2~4参照)。組付部10は、下狭まりのテーパ状に貫通する組付孔11と、ボス芯金部4の下面側に配置されて、組付ピン71の係止突起71dを係止する係止ピン12と、を配設させて構成されている。係止ピン12は、復元可能に、ボス芯金部4の下面に沿って、撓み可能なばね材から形成されている。
【0030】
また、ステアリングホイール本体1は、ボス部Bの下面側に、ロアカバー16を配設させて構成されている(
図2参照)。
【0031】
エアバッグ装置20は、
図1~6に示すように、膨張用ガスを流入させて膨らむエアバッグ45と、エアバッグ45に膨張用ガスを供給するインフレーター40と、折り畳まれたエアバッグ45を覆ってボス部Bの上面側に配置される合成樹脂製のパッド50と、エアバッグ45、インフレーター40、及び、パッド50を保持する板金製の取付ベース21と、板金製の支持プレート30と、板金製のリテーナ42と、を備えて構成され、そして、下部側に、組付部材としての3つのホーンスイッチ体61を設けてなるホーンスイッチ機構60を、配設させている。各ホーンスイッチ体61は、取付ベース21のスイッチ配設部位23の下面23aと、支持プレート30のスイッチ配設部位としての組付座35の上面35aとの間に、接点部位70(可動側接点68と固定側接点69)を覆うケース62を配設させて、エアバッグ装置20の下面側に保持されている。
【0032】
エアバッグ45は、球状に近似した厚みのある略円板状の膨張完了形状として、下部側に膨張用ガスを流入するために円形に開口した流入用開口46を備え、流入用開口46の周縁47には、リテーナ42の固着手段としてボルト42bを貫通させる貫通孔47a(
図3参照)が4個形成されている。
【0033】
インフレーター40は、上部に膨張用ガスを吐出させる複数のガス吐出口40bを設けた円柱状の本体部40aを備え、本体部40aの外周面には、四角環状のフランジ部40c(
図3,10参照)が突設されている。フランジ部40cには、リテーナ42のボルト42bを貫通させる貫通孔40dが形成されている。
【0034】
リテーナ42は、
図1に示すように、四角環状の板金製の本体42aを備え、四隅に、下方に突出するボルト42b(
図3,10参照)を突設させている。リテーナ42は、エアバッグ45内の流入用開口46の周縁47に配設され、各ボルト42bを、エアバッグ45の貫通孔47a、取付ベース21の貫通孔22b、インフレーター40のフランジ部40cの貫通孔40d、及び、支持プレート30の貫通孔31bに、順に貫通させ、各ボルト42bにナット43を締結させることにより、取付ベース21に、エアバッグ45、インフレーター40、及び、支持プレート30を取り付けている(
図3参照)。
【0035】
パッド50は、
図1~3,6,10に示すように、オレフィン系熱可塑性エラストマー等の合成樹脂製として、ステアリングホイールWの中央付近のボス部Bの上面側に配設されている。パッド50は、ボス部Bの内部に折り畳まれて収納されたエアバッグ45の上方を覆う天井壁部51と、天井壁部51の下面から略円筒状に延び、折り畳まれたエアバッグ45の前後左右の側方(外周側)を覆う側壁部56と、を備えて構成されている。
【0036】
天井壁部51には、膨張するエアバッグ45に押されて前方側に開くドア部52が、配設されている。ドア部52は、前縁側にヒンジ部53を設けて、ヒンジ部53を除く周囲に、薄肉の破断予定部54を設けて構成されている。
【0037】
パッド50の側壁部56は、
図6,10,12に示すように、前縁側と左右の後縁側との下端に、二つずつの係止脚部57を、配設させている。各係止脚部57は、取付ベース21の取付プレート部22に設けられた係止孔22cに挿入されて、係止孔22cの周縁における支持プレート30の押圧片32に、外側に押し付けられて、先端の係止頭部57aが係止孔22cの周縁に係止される。そして、側壁部56の下端面56aが、取付ベース21の取付プレート部22の上面22dに当接した状態で、各係止脚部57の係止頭部57aによる係止孔22cの周縁への係止によって、パッド50が、取付ベース21に対して、上下にずれたり、あるいは、前後左右にずれたりせずに、取り付けられる。
【0038】
取付ベース21は、板金製として、
図2~10に示すように、エアバッグ45、インフレーター40、パッド50、及び、支持プレート30を保持し、さらに、ホーンスイッチ体61の組付ピン71を利用して、エアバッグ装置20をステアリングホイール本体1側に取り付ける板金製の部材として構成されている。そして、取付ベース21は、略円環状の取付プレート部22と、取付プレート部22の外周縁から上方へ突出する側壁部24と、を備えて構成されている。
【0039】
なお、取付ベース21は、平板状の板金素材から孔開け加工や曲げ加工等により、形成されている。
【0040】
取付プレート部22には、中央に、インフレーター40の円柱状の本体部40aを挿入させるための円形に開口した挿入孔22aが配設され、挿入孔22aの周囲には、リテーナ42の各ボルト42bを貫通させる貫通孔22bが配設されている。また、取付プレート部22の挿入孔22aの周縁の後縁側と左右の前縁側には、下面23a側を、各ホーンスイッチ体61のケース62の上面63側に当接させるように配設させて、各ホーンスイッチ体61の上方を覆うスイッチ配設部位としての支持座23(23L,23R,23B)、が配設されている。
【0041】
各支持座23には、周囲の一般部28から下方に隆起する突条部27が、4個ずつ配設されている。各突条部27は、平板状の部位に、押しピンP等を押し付けるプレス加工して(
図8参照)、上面側にすり鉢状に凹む凹面27bを設けつつ、周囲の一般部28から下方に隆起する頂部27aを突出させて、球殻状の曲面状に形成されている。そして、各支持座23の各突条部27は、ホーンスイッチ体61のケース62のガタツキを防止するスペーサ26を構成する。
【0042】
なお、スペーサ26を配設する理由は、ケース62の高さ寸法Ch(
図4参照)が、ある程度の寸法精度を有していても、ケース62を収納する板金製の取付ベース21と支持プレート30との相互に設けられるスイッチ配設部位の支持座23の下面23aと後述する段差部34の上面35aとの間の収納高さ寸法Shが、加工精度のバラツキ、特に、絞り加工の段差部34の後述するプレート本体部31からの深さ寸法Dhのバラツキにより、ケース62の高さ寸法Chより、大きくなれば、車両走行時、ケース62が、スイッチ配設部位の支持座23の下面23aや段差部34の上面35aと干渉して、異音を発生する恐れが生ずる。その異音を発生するような隙間(ガタツキ)が生じないように、実施形態では、スペーサ26を設けて、支持座23の下面23aや段差部34の上面35aとの間で、積極的に、ガタツキを発生させないように、ケース62を挟持するようにして、異音発生を防止している。
【0043】
また、実施形態の場合、各支持座23では、各突条部27を、組付ピン71の軸心(中心軸)XPを中心として(
図9参照)、長方形の4つの角部となる位置に、配設させている。特に、左右の支持座23L,23Rでは、それぞれ、各突条部27を、組付ピン71の軸心(中心軸)XPを中心とした正方形(正四角形)の各角部となる位置に、配設させている。左右方向の中央の後側の支持座23Bでは、取付ベース21(エアバッグ装置20)の左右方向の中央を通る中心線CLを基準として、左右対称的な位置に、左右の前後2つずつの突条部27を配設させている。
【0044】
なお、実施形態の場合、各突条部27の一般部28からの突出高さT(
図8参照)は、約0.5±0.1mmとしている。また、ケース62の高さ寸法Chは、約12.6±0.3mm、収納高さ寸法Shは、約12.6±0.1mmとしている。
【0045】
さらに、取付プレート部22の各支持座23の間には、パッド50の各係止脚部57を挿入させて係止する係止孔22cが開口している。また、取付プレート部22の外周縁には、上方に延びる側壁部24が形成されている。
【0046】
支持プレート30は、
図2~6,10,11に示すように、中央に、インフレーター40の本体部40aを挿入させる円形に開口した挿入孔31aを有した円環状のプレート本体部31を備え、プレート本体部31の外周縁には、段差を設けるように下方に凹む段差を設けた段差部34が配設されている。また、プレート本体部31の段差部34間には、押圧片32が配設されている。各押圧片32は、取付ベース21の係止孔22cに挿入されたパッド50の係止脚部57の係止頭部57aを、係止孔22cの周縁で係止させるもので(
図12参照)、係止脚部57の係止孔22cへの挿入時には、先端側を、挿入孔31a側に撓ませ、かつ、挿入後に復元させて、係止脚部57の係止頭部57aを、係止孔22cの周縁側に押圧し、係止頭部57aの係止孔22cからの抜けを防止するように作用する。
【0047】
各段差部34は、挿入孔31aの周縁の後縁側と左右の前縁側における取付ベース21の各支持座23の配置位置に対応するように、配設されて、支持プレート30側のスイッチ配設部位を構成している。そして、それぞれのスイッチ配設部位としての段差部34の上面35aと取付ベース21の支持座23の下面23aとの間に、ホーンスイッチ体61のケース62が配設されることとなる。
【0048】
すなわち、支持プレート30の各段差部34は、リテーナ42の各ボルト42bとナット43とにより、インフレーター40のフランジ部40cや取付ベース21の取付プレート部22とに対して、一体的にプレート本体部31が固着される際、取付プレート部22の各支持座23の直下に配設されて、段差部34の上面35aと取付ベース21の支持座23の下面23aとの間で、各ケース62の上下を挟むように、配設されることとなる。
【0049】
さらに、各段差部34は、ホーンスイッチ体61を組み付ける組付座35を構成しており、各組付座35は、ホーンスイッチ体61の組付ピン71やその周囲を囲うスリーブ75の摺動筒部75aを挿通させる挿通孔35bを備えるとともに、挿通孔35bの両側に、一対の係止孔35cと、一対の位置決め孔36と、を配設させている。係止孔35cの挿通孔35b側の周縁には、断面L字状に上方へ延びる係止爪35dが配設されている(
図5,6,11参照)。
【0050】
一対の位置決め孔36は、平面視として、挿通孔35bを挿通させる組付ピン71の軸心XPを中心として、点対称の位置に配設されるとともに、軸心XPを通る挿通孔35bの直径方向の直線DL上に一致するように、配設され、さらに、スイッチ配設部位としての支持座23L,23Rでは、一対の位置決め孔36は、取付ベース21の各支持座23の2つずつの突条部27と一致するように、配設されている(
図6,9参照)。但し、左右方向の中央のスイッチ配設部位としての支持座23Bでは、一対の位置決め孔36は、取付ベース21の各支持座23の突条部27と、若干、ずれて配設されている。なお、
図9の括弧書きのように、支持座23Bにおいても、一対の位置決め孔36を、取付ベース21の各支持座23の2つずつの突条部27と一致するように、配設させてもよい。
【0051】
また、各組付座35の外周縁には、上方へ延びる補強用リブ37が配設されている(
図11参照)。
【0052】
なお、支持プレート30は、平板状の板金素材から、孔開け加工や絞り加工により、形成されている。特に、段差部34は、プレート本体部31から下方に凹むように、深絞り加工されて、形成されており、組付座35の上面35aのプレート本体部31から凹む段差寸法Shに、加工のバラツキが生じ易い。
【0053】
各ホーンスイッチ体61は、相互の接触時にホーン作動回路を閉じるように配設される可動側接点68及び固定側接点69を有した接点部位70と、接点部位70の上下と側方を覆うように配設される略円柱状のケース62と、ステアリングホイール本体1の組付部10に組み付けられる組付ピン71と、付勢手段としてのコイルばね73と、を備えて構成されている(
図4,5参照)。
【0054】
ケース62は、ポリプロピレン等の合成樹脂製のアッパ部64とロア部65とを備えて構成され、ケース62内の上面63側となるアッパ部64側に、可動側接点68を有した可動側接点材67を組み付けている。アッパ部64とロア部65とは、共に、対応するキャビティを有した成形型を使用する射出成形により、形成される。
【0055】
アッパ部64は、略円板状の天井壁部64aと、天井壁部64aの外周縁から下方に延びる周壁部64bと、を備え、周壁部64bには、ロア部65の係止爪65dを係止する係止孔64dが、点対称的な位置の2箇所に形成されるとともに(
図2,10,11参照)、ロア部65の嵌合突起65fを嵌合させる嵌合孔64eが、点対称的な位置の4箇所に形成されている(
図4,11参照)。なお、対応する嵌合突起65f及び嵌合孔64eの4箇所の配置部位の内の2箇所は、位置決め突起65eの配設部位に、配置されている。
【0056】
さらに、天井壁部64aの下面64abの中央には、可動側接点68を有した可動側接点材67の横杆部67aが配設されている。周壁部64bの内周面側には、可動側接点材67の縦杆部67bを係止する係止凸部64cが形成されている。
【0057】
ロア部65は、中央に、組付ピン71を挿通させる挿通孔65bを有した円環状の底壁部65aを備えて、底壁部65aの内周縁からアッパ部64の周壁部64bの内周側に延びる周壁部65cを配設させている。周壁部65cには、アッパ部64の周壁部64bの内周側から係止孔64dに挿入係止される係止爪65dが、挿通孔65bを中心とした点対称の位置に、形成されている(
図2参照)。さらに、底壁部65aの下面における挿通孔65b(組付ピン71の軸心XP)を中心とした点対称の位置に、支持プレート30の組付座35における位置決め孔36に嵌挿される位置決め突起65eが、下方に突設されるように配設されている(
図6,9参照)。さらに、底壁部65aの外周縁には、アッパ部64の各嵌合孔64eに嵌合される嵌合突起65fが形成されている(
図11参照)。
【0058】
ケース62は、アッパ部64の周壁部64b内にロア部65の周壁部65cを挿入させて、各嵌合突起65fを、対応する嵌合孔64e内に挿入させて、周壁部64bの下端面に当接させるとともに、各係止爪65dを対応する係止孔64dに係止させれば、アッパ部64とロア部65とを組み付けて、ケース62を組み立てることができる。
【0059】
接点部位70の一方の可動側接点68は、可動側接点材67に形成されている。可動側接点材67は、導電性を有した銅板等の板材から形成され、可動側接点68を設けた横杆部67aと、横杆部67aの両縁から下方に延びる縦杆部67bと、を備えた帯状の逆U字形状としている(
図5参照)。縦杆部67bの下端には、支持プレート30の組付座35における係止爪35dに係合する係止爪部67cが設けられている。可動側接点材67は、縦杆部67b,67bを、係止凸部64cに係合させるように、ケース62におけるアッパ部64の周壁部64bの内周側に配置させて、横杆部67aからなる可動側接点68を、ケース62の上面63側となる天井壁部64aの下面64abの中央に、配置させている。
【0060】
接点部位70の他方の固定側接点69は、組付ピン71の上端側の頭部71aから形成されている。組付ピン71は、鋼棒等から形成されて、ケース62内の可動側接点68の下方に配設される鍔状の頭部71aと、頭部71aから下方に延びる軸部71bと、を備えて構成されている。軸部71bは、下端に、係止溝71cを設けた係止突起71dを配設させている。組付ピン71は、係止突起71dを、ステアリングホイール本体1の組付部10の組付孔11に挿入させれば、撓んだ後に復元されて係止溝71cに挿入される係止ピン12によって、係止突起71dが係止されて、ステアリングホイール本体1の組付部10に、組み付けられることとなる。
【0061】
そして、実施形態の場合、組付ピン71の上面側の頭部71a自体が、既述したように、固定側接点69を構成し、その組付ピン71の頭部71aは、ケース62のロア部65の挿通孔65bから下方へ抜けない外形寸法としている。
【0062】
なお、固定側接点69は、組付ピン71が、ステアリングホイール本体1の芯金2の組付部10に組み付けられて、ホーン作動回路の負極側に導通し、可動側接点68は、ホーン作動回路の正極側に導通する支持プレート30の係止爪35dに対して、可動側接点材67の係止爪部67cを係止させて、接触させることから、ホーン作動回路の正極側に導通することとなる。そのため、接点68,69相互が接触すれば、ホーン作動回路が閉じて通電し、ホーンを作動させることとなる。
【0063】
付勢手段としてのコイルばね73は、可動側接点68を、ホーンのホーンストロークHS分(
図4参照)、固定側接点69から離隔させるように付勢するものであり、実施形態の場合、組付ピン71の下端の係止突起71d側と、ケース62の下面66側との間に、配設されて、両者を離隔するように、付勢する。具体的には、組付ピン71の下端側には、係止溝71cに嵌合されるばね座74が配設され、ケース62の下面66側には、軸部71bの周囲に摺動可能に配設されるスリーブ75が配設され、ばね73が、ばね座74とスリーブ75の鍔部75bとの間に配設されている。スリーブ75は、組付ピン71の軸部71bに摺動可能に配設される円筒状の摺動筒部75aと、摺動筒部75aの外周面に配設される鍔部75bと、備えて構成され、鍔部75bは、ばね座74に下端を支持されたコイルばね73の上端を支持し、ダンパ77を介して、ケース62のロア部65の底壁部65aに当接されている。さらに、スリーブ75は、摺動筒部75aの上端を組付ピン71の頭部71aの下面71abに当接させており、組付ピン71の頭部71aは、スリーブ75の摺動筒部75aを介在させて、ケース62の下面66側からの抜けが防止されている。
【0064】
ダンパ77は、略円筒状のゴム等からなり、組付ピン71の頭部71aとロア部65との間におけるスリーブ75の摺動筒部75aの周囲に配設されて、組付ピン71の頭部71aとロア部65との接触による異音発生を防止できるように、配設されている。
【0065】
実施形態のエアバッグ装置20では、組付時、まず、各ボルト42bを貫通孔47aから突出させた状態で、エアバッグ45の内部にリテーナ42を入れて、エアバッグ45を折り畳み、折り崩れ防止用の図示しないラッピング材で包む。また、支持プレート30のプレート本体部31における各段差部34の組付座35には、挿通孔35bから組付ピン71の軸部71bを突出させた状態として、係止爪部67cを係止孔35cの係止爪35dに係止させて、組立済みのホーンスイッチ体61を、予め、組み付けておく。
【0066】
そして、挿入孔22a,31a相互や貫通孔22b,31b相互、さらに、支持座23とホーンスイッチ体61を組み付けた組付座35との相互、を、一致させて、取付ベース21の下方に、支持プレート30を配置させ、ついで、取付ベース21の挿入孔22aの周縁の取付座22eの上に、エアバッグ45の流入用開口46の周縁47を配置させて、リテーナ42の各ボルト42bを、取付ベース21や支持プレート30の貫通孔22b,31bに貫通させ、さらに、インフレーター40の本体部40aを、取付ベース21や支持プレート30の挿入孔22a,31aを経て、エアバッグ45内に挿入させつつ、取付ベース21や支持プレート30の貫通孔22b,31bから突出しているリテーナ42の各ボルト42bを、インフレーター40の貫通孔40dに貫通させ、そして、各ボルト42bにナット43を締結すれば、取付ベース21に、エアバッグ45、支持プレート30、及び、インフレーター40、を取り付けることができる。ついで、パッド50をエアバッグ45に被せて、側壁部56の下端の各係止脚部57を取付ベース21の係止孔22cに挿入させて係止させるとともに、側壁部56の下端面56aを取付プレート部22の上面22dに当接させれば、パッド50が取付ベース21に結合されて、エアバッグ装置20の組立が完了する。
【0067】
なお、各段差部34にホーンスイッチ体61を組み付けた状態で、リテーナ42の各ボルト42bにナット43が締結されることにより、取付ベース21に支持プレート30が取り付けられれば、各ホーンスイッチ体61のケース62は、突条部27からなるスペーサ26を設けた支持座23の下面23aや段差部34の上面35aとの間で、積極的に、ガタツキを発生させないように、挟持されることとなる。
【0068】
エアバッグ装置20の車両への搭載は、ステアリングシャフトSSへ組付済みのステアリングホイール本体1の各組付部10の組付孔11に、各ホーンスイッチ体61の組付ピン71の係止突起71dを挿入させて、係止溝71c内に係止ピン12を嵌合させれば、エアバッグ装置20をステアリングホイール本体1に取り付けることができ、ステアリングホイールWの組立が完了するとともに、ステアリングホイールWを、エアバッグ装置20とともに、車両に搭載することができる。
【0069】
なお、エアバッグ装置20のステアリングホイール本体1への取り付け時には、支持プレート30の図示しないリード線を、ホーン作動回路の正極側に結線し、また、インフレーター40に、作動信号入力用の図示しないリード線を結線することとなる。
【0070】
車両への搭載後、インフレーター40に作動信号が入力されれば、インフレーター40は、膨張用ガスをガス吐出口40bから吐出させることから、折り畳まれたエアバッグ45は、膨張用ガスを流入させて膨張し、パッド50の天井壁部51のドア部52を押し開き、ドア部52の開いた開口から突出して、ボス部Bの上方からリング部Rの上面を覆うように、展開膨張することととなる(
図1の二点鎖線参照)。
【0071】
また、インフレーター40の非作動時における通常使用時において、ホーンスイッチ機構60を操作するように、エアバッグ装置20のパッド50を押下すれば、側壁部56の下端面56aを当接させている取付ベース21の支持座23が下降し、さらに、支持座23の下面23aが当接しているケース62が、取付ベース21の支持座23や支持プレート30の組付座35とともに下降し、ケース62のアッパ部64の下面に配設された可動側接点68も下降する。この時、組付ピン71は、ステアリングホイール本体1の組付部10に固定されており、上端の頭部71aからなる固定側接点69は、高さ位置を変化させないことから、可動側接点68を設けたケース62は、コイルばね73を圧縮させて、降下し、可動側接点68を固定側接点69に接触させて、ホーンを作動させることとなる。ホーンを作動させた後、パッド50から手を離せば、ばね73の付勢力により、組付ピン71の上端側の頭部71aにケース62の下面66側のロア部65が規制されるまで、支持プレート30、取付ベース21、及び、ホーンスイッチ体61のケース62を含めたエアバッグ装置20が、上方に押し上げられ、接触していた可動側接点68を、固定側接点69から離隔させて、作動前の位置に復帰させることとなる。
【0072】
そして、実施形態のエアバッグ装置20では、ガタツキを防止可能な突条部27からなるスペーサ26により、ケース62におけるスイッチ配設部位(支持座23の下面23aや段差部34の上面35a)に対するガタツキが防止されることから、異音の発生が防止される。そして、このような防止構造は、単に、ホーンスイッチ体61の組付ピン71の周囲におけるケース62、あるいは、スイッチ配設部位の取付ベース21や支持プレート30のいずれかに(実施形態では、取付ベース21)、単に、スペーサ26を配設するだけでよいことから、簡便に構成できる。
【0073】
したがって、実施形態のエアバッグ装置20では、簡便な構成により、異音を発生させるようなホーンスイッチ体61のケース62における周囲との干渉を、防止することができる。
【0074】
なお、実施形態では、取付ベース21にスペーサ26としての突条部27を設けたが、他の支持プレート30やケース62に、あるいは、取付ベース21、支持プレート30、及び、ケース62のいずれか2つに、スペーサを設けてもよい。勿論、取付ベース21、支持プレート30、及び、ケース62の全てに、スペーサを配設させてもよい。
【0075】
そして、実施形態では、スペーサ26が、ケース62、取付ベース21のスイッチ配設部位としての支持座23、若しくは、支持プレート30のスイッチ配設部位としての段差部34、のいずれかにおいて、周囲の一般部28と一体的として、一般部28から突設されて、配設されている。
【0076】
そのため、実施形態では、別途、スペーサを、ケース62、あるいは、スイッチ配設部位の取付ベース21や支持プレート30に、取り付けずに済むことから、容易に、スペーサを配設することができる。
【0077】
実施形態では、取付ベース21に周囲の一般部28から一体的に、スペーサ26を設けたが、スペーサは、支持プレート30の段差部34の上面35a側に周囲の部位と一体的に設けたり、あるいは、ケース62の上面63側や下面66側に周囲の部位と一体的にスペーサを設けてもよい。
【0078】
勿論、上記の点を考慮しなければ、別体のスペーサ、例えば、ゴム片やフェルト等からなるスペーサを、取付ベース21の支持座23の下面23a、支持プレート30の段差部34の上面35a、あるいは、ケース62の上面63側や下面66側に、貼着させる等して、配設してもよい。
【0079】
但し、周囲の部位と一体的にスペーサを設ける場合、スペーサは、取付ベース21若しくは支持プレート30の一方に、配設されていることが望ましい。
【0080】
すなわち、合成樹脂製のケース62にスペーサを一体的に形成する場合には、スペーサを設ける部位の合成樹脂部材の成形型に、スペーサ形成用の成形用凹部を設ける必要があり、ケース62自体に後加工でスペーサを形成することが行い難い。しかし、取付ベース21や支持プレート30は、板金製としており、プレス加工や押圧ピンPの押し付け等により、後加工により、あるいは、板金素材からの加工時に略同時として、簡単に、スペーサ26を形成できることから、従来品から、容易に、スペーサ26を設けた取付ベース21や支持プレート30を形成できて、スペーサ26を設けた取付ベース21や支持プレート30を容易に得ることができる。
【0081】
特に、実施形態では、スペーサ26が、取付ベース21に配設されるとともに、一般部28から部分的に下方に隆起する突条部27を、組付ピン71の周囲で、複数に設けて(実施形態では4箇所に設けて)、構成されている。
【0082】
そのため、実施形態では、取付ベース21のスイッチ配設部位の支持座23が、支持プレート30のスイッチ配設部位の段差部34のように、段差部を設けずに形成できて、平坦部位に形成できることから、組付ピン71の周囲となる平坦な部位に、押圧ピンPの押し付け等の後加工により、容易に、スペーサ26を構成する突条部27を、2つ以上、形成できる。そして、例えば、スペーサ26としての突条部27が、組付ピン71の周囲の3箇所に配設されていれば、組付ピン71周りのケース62の平面状の上面63側に対して、バランスよく、各突条部27を圧接させることができ、安定して、ケース62の周囲において、異音を発生させるようなスイッチ配設部位の支持プレート30や取付ベース21に対する隙間、の発生を防止できる。
【0083】
勿論、突条部27は、
図13に示す取付ベース21Aのように、組付ピン71の周囲の2箇所に設けてもよく、その場合でも、それらの2つの突条部27,27自体が、あるいは、取付ベース21のスイッチ配設部位(支持座)23における2つの突条部27と、それらの部位から軸心XPを中心として略点対称的に離れた部位23bと、の3箇所が、各々、ケース62の上面63側に圧接される態様となって、ケース62の周囲において、異音を発生させるようなスイッチ配設部位の支持プレート30や取付ベース21に対する隙間、の発生を防止できる。
【0084】
特に、実施形態では、突条部27が、組付ピン71の周囲における長方形の角部の配置位置とした4箇所に、配設されており、組付ピン71の周囲におけるケース62の上面63側に対して、一層、バランスよく、各突条部27が当接して、より安定して、ケース62の周囲に、異音を発生させるような隙間を生じさせない。
【0085】
さらに、組付ピン71の周囲の4箇所に突条部27を配設する場合、実施形態では、エアバッグ装置20の左右方向の中央となる取付ベース21の後部側の支持座23Bのように、各突条部27が、組付ピン71の周囲で、左右対称的な位置に配設されていてもよい(
図9参照)。
【0086】
このような構成では、エアバッグ装置20の左右方向の中央部位に配設されるホーンスイッチ体61Bが、組付ピン71の周囲で、左右対称的な位置の4箇所に突条部27を配設させていれば、エアバッグ装置20(パッド50)の左縁側や右縁側を押下操作する際、両操作時のホーンストロークHSを同等とするように、ホーンスイッチ体61Bのケース62の上面63側における組付ピン71周りの左右の距離を同等として、各突条部27をケース62の上面63側に圧接させることができて、均等に、可動側接点68を、固定側接点69に接近させることが可能となる。
【0087】
また、組付ピン71の周囲の4箇所に突条部27を配設する場合、実施形態では、エアバッグ装置20の取付ベース21の左右の支持座23L,23Rのように、各突条部27が、組付ピン71の周囲で、正四角形の角部の配置位置に配設されている(
図9参照)。
【0088】
このような構成では、組付ピン71の周囲で、ホーンスイッチ体61のケース62の上面63側における組付ピン71周りにおける周方向の離隔距離を同等として、各突条部27をケース62の上面63側に圧接させることができて、均等に、可動側接点68を、固定側接点79に接近させることが可能となる。
【0089】
さらに、取付ベース21のスイッチ配設部位の支持座23(L,R)に設ける突条部27を、組付ピン71の周囲の4箇所に、配設させる場合、実施形態では、ホーンスイッチ体61のケース62が、組付ピン71の周囲における点対称的な位置の下面側に、支持プレート30のスイッチ配設部位の段差部34における位置決め孔36に嵌合される位置決め突起65e、を突設させて、各突条部27が、組付ピン71の中心XPの周囲で、正四角形の角部の配置位置に配設されるとともに、4つの突条部27の内の2つを、2つの位置決め突起65eを結ぶ組付ピン71を中心XPとした直径方向の線DL上に、一致させるように、配設されている。
【0090】
そのため、実施形態の支持座23(L,R)では、組付ピン71を中心とする直径方向の直線DL上に、2つの位置決め突起65eと2つの突条部27とが配設されるとともに、組付ピン71を中心XPとして、2つの位置決め突起65e相互と、4つの突条部27相互とが、それぞれ、同心的に配設されることとなる。換言すれば、組付ピン71の上端側からなる接点部位70の固定側接点69に対して、同心的に4つの突条部27が、配設されるとともに、位置決め突起65eを介在させて、ケース62の上面63側の接点部位70の可動側接点68も、組付ピン71の周方向での配置位置が一定となる。そのため、組付ピン71を中心XPとするホーンスイッチ体61の接点部位70を囲む4つの各突条部27の配置位置が、一定の配置状態(組付ピン71の周囲で同心的な放射状の配置関係)となって、ホーン操作時における各ホーンスイッチ体61毎のケース62の上面63側と各突条部27との当接状態を、より安定させることできる。
【0091】
そのため、
図9に示す支持座23L,23Rを設けた取付ベース21として、支持座23Bの構成に関し、
図9の括弧書きに示すように、各突条部27を、組付ピン71の中心XPの周囲で、正四角形の角部の配置位置に配設させるとともに、4つの突条部27の内の2つを、2つの位置決め突起65eを結ぶ組付ピン71を中心XPとした直径方向の線DL上に、一致させるように、構成した取付ベース21Bに変更すれば、取付ベース21Bを使用したエアバッグ装置20では、各支持座23(L,R,B)に設ける複数(全て)のホーンスイッチ体61L,61R,61Bにおいて、上記構成(組付ピン71を中心XPとするホーンスイッチ体61の接点部位70を囲む4つの各突条部27の配置位置を、一定の配置状態(組付ピン71の周囲で同心的な放射状の配置関係))とすることができて、ホーン操作時の感触を良好にすることができる。
【0092】
また、スペーサとしての突出部を取付ベースに設ける場合、
図14,15に示す取付ベース21Cのように、一般部28から部分的に突条部27の反対側の上面22d側の上方に隆起し、かつ、突条部27を避けつつスイッチ配設部位としての支持座23(L,R,B)をそれぞれ横断するように直線状に配置されるビード29、を配設させてもよい。各ビード29は、それぞれの支持座23(L,R,B)の近傍における挿入孔22aの周縁の接線TL(L,R,B)に沿う方向の直線BL(L,R,B)上で、かつ、組付ピン71を中心XPとした直径方向の線DL上に配設されている。
【0093】
なお、図例のビード29は、突条部27と同様に、取付ベース21Cの外形形状を賦形した後、プレス加工や押し治具の押し付け等の後加工により、形成されている。そして、ビード29は、取付プレート部22の下面23a側に凹面29bを設けつつ、上面22d側に隆起するように、形成されている。
【0094】
図例のビード29は、一般部28から突出した頂部29aまでの高さ寸法TBを約1.5mmとし、幅寸法BBを約5mm、長さ寸法LBを約40mmとしている。
【0095】
また、取付ベース21Cでは、それぞれのスイッチ配設部位としての支持座23(L,R,B)において、組付ピン71を中心XPとした正四角形の角部における取付プレート部22の外縁側に配置される2つの角部の配置位置に、突条部27を配設させており、これら2つの突条部27は、ビード29の配設される直線BLに沿って、配設されている。
【0096】
さらに、各支持座23(L,R,B)の2つずつの突条部27は、ビード29を間にして、挿入孔22aの中心(インフレーター40の中心)40acを基準に、同心的に、放射状に配設されている。さらにまた、各支持座23の2つの突条部27は、少なくとも一方が、位置決め突起65eの配置位置の上方に配置されている。
【0097】
この取付ベース21Cを使用したエアバッグ装置20では、取付ベース21Cにおけるスイッチ配設部位としての支持座23(L,R,B)が、ビード29により、剛性を高めて、突条部27付近の曲げ変形を抑制できることから、組付ピン71周りのケース62の平面状の上面63側に対し、安定して、各突条部27を圧接させることができて、一層、ケース62の周囲において、異音を発生させるようなスイッチ配設部位の支持プレート30や取付ベース21Bに対する隙間、の発生を防止できる。
【0098】
なお、この取付ベース21Cの各支持座23(L,R,B)では、2つずつの突条部27,27自体が、あるいは、取付ベース21Cのスイッチ配設部位(支持座)23における2つの突条部27と、それらの部位から軸心XPを中心として略点対称的に離れた部位23bと、の3箇所が、各々、ケース62の上面63側に圧接される態様となって、ケース62の周囲において、異音を発生させるようなスイッチ配設部位の支持プレート30や取付ベース21Cに対する隙間、の発生を防止できる。
【0099】
さらに、各ビード29は、それぞれのスイッチ配設部位としての支持座23(L,R,B)の近傍における挿入孔22aの周縁の接線TL(L,R,B)に略沿う方向の直線BL(L,R,B)上とし、かつ、組付ピン71を中心XPとした直径方向の線DL上に配設されている。
【0100】
そのため、各ビード29が、それぞれの支持座23(L,R,B)の近傍における取付ベース21Cの挿入孔22aの周縁の接線TL(L,R,B)に略沿った直線BL(L、Rr、B)上に配設されることから、長い寸法とした直線状にビード29を配設させても、挿入孔22a周縁のインフレーター40やエアバッグ45を取り付けるための取付ベース21Bの取付座22eと干渉し難く、円滑に、ビード29を配設することができる。
【0101】
なお、図例の取付ベース21Cの各支持座23(L,R,B)では、実際上、ケース62の上面63への当接部位が、ビード29を間にした両側の突条部27,27と既述の部位23bとの3箇所としており、ビード29から略均等に離れており、安定して、ケース62に圧接されている。
【符号の説明】
【0102】
1…ステアリングホイール本体、10…組付部、11…組付孔、20…エアバッグ装置、21,21A,21B,21C…取付ベース、22a…挿入孔、23(L,R,B)…(スイッチ配設部位)支持座、23a…下面、26…スペーサ、27…突条部、28…一般部、29…ビード、30…支持プレート、31a…挿入孔、34…(スイッチ配設部位)段差部、35…組付座、35a…上面、36…位置決め孔、40…インフレーター、40a…本体部、45…エアバッグ、50…パッド、61…ホーンスイッチ体、62…ケース、63…上面、65e…位置決め突起、66…下面、68…可動側接点、69…固定側接点、70…接点部位、71…組付ピン、71a…(上端)頭部、71d…(下端)係止突起、73…(コイル)ばね、XP…(組付ピンの)中心・軸心、DL…(組付ピンの中心を通る直径方向の)直線、TL(L,R,B)…接線、BL(L,R,B)…(ビードの配置される)直線、
B…ボス部、W…ステアリングホイール。