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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】ディーゼルエンジン
(51)【国際特許分類】
   F02M 26/17 20160101AFI20221129BHJP
   F02M 26/05 20160101ALI20221129BHJP
   F02M 26/36 20160101ALI20221129BHJP
【FI】
F02M26/17
F02M26/05
F02M26/36
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019223321
(22)【出願日】2019-12-10
(65)【公開番号】P2021092188
(43)【公開日】2021-06-17
【審査請求日】2021-06-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】坪田 健一
(72)【発明者】
【氏名】矢野 真二
(72)【発明者】
【氏名】森本 宏
(72)【発明者】
【氏名】荒木 宝
【審査官】北村 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-012586(JP,A)
【文献】特開2016-070187(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0059713(US,A1)
【文献】特開2001-289133(JP,A)
【文献】実開平03-087960(JP,U)
【文献】特開2011-12572(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 26/17
F02M 26/05
F02M 26/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気ガスの一部を吸気側へ還元するEGR回路を有するディーゼルエンジンにおいて、吸気マニホールド(20)に孔部(20a)を形成し、該孔部(20a)内に吸気側へ還元する排気ガスの一部を通過させるように構成し、前記吸気マニホールド(20)にEGR還元合流筒(16)を設け、該EGR還元合流筒(16)から大気中の空気を吸気マニホールド(20)内に送る構成とし、前記EGR還元合流筒(16)に孔部(16a)を形成し、前記吸気マニホールド(20)の孔部(20a)から送られてくる排気ガスをEGR還元合流筒(16)に形成した孔部(16a)を通過させ、EGR還元合流筒(16)の孔部(16a)を通過する排気ガスの出口部(16b)をEGR還元合流筒(16)に形成し、前記EGR還元合流筒(16)内で、前記排気ガスの一部とEGR還元合流筒(16)に送られてくる大気中の空気を合流させるように構成し、排気ガスの一部は排気マニホールド(17)からEGR還元筒(18)を通過して前記EGR還元合流筒(16)へ送られる構成とし、前記EGR還元筒(18)はフライホイール(13)の上方を通過させる構成とし、高圧燃料を蓄圧するコモンレール(1)はエンジン本体とEGR還元合流筒(16)との間の空間部であって前記吸気マニホールド(20)に取り付けたことを特徴とするディーゼルエンジン。
【請求項2】
前記フライホイール(13)の上方であってエンジン側面に取り付けた第1ブラケット(22)をエンジンのシリンダヘッド(24)の上方に延長して構成し、排気ガス中の粒状化物質を除去するDPF(14)を前記第1ブラケット(22)で支持したことを特徴とする請求項1に記載のディーゼルエンジン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ディーゼルエンジンに関する。
【背景技術】
【0002】
排気ガスの一部を吸気側に戻すEGRの配管は、エンジン本体に対して独立した配管で形成されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-77371号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述のような技術では、EGRの配管が損傷する可能性がある。
本発明の課題は、前述のような不具合を解消するディーゼルエンジンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の上記課題は次の構成によって達成される。
【0006】
すなわち、請求項1記載の発明では、排気ガスの一部を吸気側へ還元するEGR回路を有するディーゼルエンジンにおいて、吸気マニホールド(20)に孔部(20a)を形成し、該孔部(20a)内に吸気側へ還元する排気ガスの一部を通過させるように構成し、前記吸気マニホールド(20)にEGR還元合流筒(16)を設け、該EGR還元合流筒(16)から大気中の空気を吸気マニホールド(20)内に送る構成とし、前記EGR還元合流筒(16)に孔部(16a)を形成し、前記吸気マニホールド(20)の孔部(20a)から送られてくる排気ガスをEGR還元合流筒(16)に形成した孔部(16a)を通過させ、EGR還元合流筒(16)の孔部(16a)を通過する排気ガスの出口部(16b)をEGR還元合流筒(16)に形成し、前記EGR還元合流筒(16)内で、前記排気ガスの一部とEGR還元合流筒(16)に送られてくる大気中の空気を合流させるように構成し、排気ガスの一部は排気マニホールド(17)からEGR還元筒(18)を通過して前記EGR還元合流筒(16)へ送られる構成とし、前記EGR還元筒(18)はフライホイール(13)の上方を通過させる構成とし、高圧燃料を蓄圧するコモンレール(1)はエンジン本体とEGR還元合流筒(16)との間の空間部であって前記吸気マニホールド(20)に取り付けたことを特徴とするディーゼルエンジンとしたものである。
【0007】
請求項記載の発明では、前記フライホイール(13)の上方であってエンジン側面に取り付けた第1ブラケット(22)をエンジンのシリンダヘッド(24)の上方に延長して構成し、排気ガス中の粒状化物質を除去するDPF(14)を前記第1ブラケット(22)で支持したことを特徴とする請求項1に記載のディーゼルエンジンとしたものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明は上述のごとく構成したので、排気ガスの一部を吸気側に還元する配管の損傷を防止できる。また、高圧燃料を蓄圧するコモンレールは、エンジン本体とEGR還元合流筒との間の空間部を利用して取り付けたので、コンパクトな構成となる。
また、DPFのメンテナンスが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】蓄圧式燃料噴射装置の全体構成図
図2】エンジンの正面図
図3】エンジンの右側面図
図4】エンジンの左側面図
図5】エンジンの背面図
図6】エンジンの平面図
図7】エンジンのEGR還元合流筒周辺の斜視図
図8】DPFの支持構成斜視図
図9】DPFの支持構成斜視図
図10】吸気系と排気系の配管斜視図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面に示す実施例を参照しながら説明する。
【0011】
図1は、蓄圧式燃料噴射装置の全体構成図である。蓄圧式燃料噴射装置は、例えば、多気筒ディーゼル機関に適用されるものであるが、ガソリン機関でもよい。そして、蓄圧式燃料噴射装置は、噴射圧力に相当する高圧燃料を蓄圧するコモンレール1と、このコモンレール1に取り付けられる圧力センサ2と、燃料タンク3より汲み上げた燃料を加圧して燃料制御弁40で供給燃料の量を調整してコモンレール1に圧送する高圧ポンプ4と、燃料の供給量を検出する燃料センサ41と、コモンレール1に蓄圧された高圧燃料をエンジンEのシリンダー5内に噴射する燃料噴射ノズル6と、前記高圧ポンプ4と燃料制御弁40と燃料噴射ノズル6等の動作を制御するエンジンコントロールユニット(ECU)100等から構成される。また、シリンダー5には燃料を通電によって加熱するグロープラグ39が設けられ、ECU100でオン・オフを制御する。
【0012】
このように、コモンレール1は、エンジンEの各シリンダー5へ噴射する燃料圧を要求された圧力とするものである。
【0013】
前記燃料タンク3内の燃料は吸入通路により燃料フィルター7を通してエンジンEで駆動される高圧ポンプ4に吸入され、この高圧ポンプ4によって加圧され駆動負荷によってECU100で制御された燃料制御弁40で供給量が調整された高圧燃料は燃料センサ41で供給量が計測されて吐出通路8によりコモンレール1に導かれて蓄えられる。
コモンレール1内の高圧燃料は各高圧燃料供給通路9により気筒数分の燃料噴射ノズル6に供給され、ECU100からの指令に基づき、各シリンダーの燃料噴射ノズル6が作動して、高圧燃料がエンジンEの各シルンダー5室内に噴射供給され、各燃料噴射ノズル6での余剰燃料(リターン燃料)は各リターン通路10により共通リターン通路10aへ導かれ、このリターン通路10aによって燃料タンク3へ戻される。
【0014】
また、コモンレール1内の燃料圧力(コモンレール圧)を制御するため高圧ポンプ4に圧力制御弁11が設けられており、この圧力制御弁11はECU100からのデューティ信号によって、高圧ポンプ4から燃料タンク3への余剰燃料のリターン通路10の流路面積を調整してコモンレール圧を制御することができる。
【0015】
具体的には、エンジン運転条件に応じて目標コモンレール圧を設定し、レール圧力センサ2により検出されるコモンレール圧が目標コモンレール圧と一致するよう、圧力制御弁11を介してコモンレール圧をフィードバック制御する構成としている。
【0016】
燃料制御弁40は出力設定によって供給する燃料を制御するが、起動後のエンジン負荷が高い間は供給量を安定アイドリング時の供給量(例えば、25mg/st)よりも多くしている。
【0017】
さらに、シリンダー5には、内部を暖めるグロープラグ39を設けており、起動時の通電によって暖めるようにしている。
【0018】
図2はエンジン(4サイクルディーゼルエンジン)の正面図、図3はエンジンの右側面図、図4はエンジンの左側面図、図5はエンジンの背面図、図6はエンジンの平面図を示している。図7は後述するEGR(排気再循環装置)還元合流筒16周辺の斜視図である。
符号12は冷却ファン、符号13はフライホイールである。
過給器TBの吸気タービンにより過給された空気は、エアクリーナー矢印Fに沿ってエンジン上方の吸気筒15を経由してEGR(排気再循環装置)還元合流筒16に送られる。吸入空気はEGR(排気再循環装置)還元合流筒16内で排気ガスの一部と合流する。
排気ガスは排気マニホールド17から過給機TBに送られるが、排気ガスの一部はEGR還元筒18から前記EGR(排気再循環装置)還元合流筒16へ送られる。EGR還元筒18はフライホイール13の上方を通過している。
また、過給機TBからEGR還元筒18へ送られない排気ガスは、排気筒19からディーゼルパティキュレートフィルター(DPF)14へ送られ、その後マフラーから大気中に放出される。DPF14は粒状化物質(PM)を捕集するためのものであり、DPF14内に粒状化物質(PM)が所定量以上堆積すると、吸気を絞ったりポスト噴射を行って粒状化物質(PM)を焼き飛ばす再生を行う必要がある。
前記コモンレール1は吸気マニホールド20に対してボルト21aとボルト21bで取り付ける構成としている。これにより、コモンレール1の取付場所を確保できて、狭いスペースを有効利用できる。また、前記EGR(排気再循環装置)還元合流筒16とエンジン本体との間に空間部にコモンレール1を配置しているので、コンパクトな構成となる。
図8図9はDPF14の支持構成を示している。フライホイール13の上方であってエンジン本体に第1ブラケット22を取り付け、このブラケット22をエンジンのシリンダヘッド24よりも上方に延長してDPF14を支持する構成としている。また、シリンダヘッド24の上方に第2ブラケット23を設けてDPF14を支持する構成としている。第2ブラケット23の一方側はピン23aで支持され、第2ブラケット23の他方側は第2ブラケット23自体をエンジン本体に取り付ける構成としている。第2ブラケット23に支持フランジ24aと24bでDPF14を支持する構成としている。
これにより、DPF14はエンジンの上方に配置されているためメンテナンスが容易となる。また、DPF14を安定して支持可能となる。
図10は前記EGR(排気再循環装置)還元合流筒16の断面を示している。吸入空気は矢印25の流れでEGR(排気再循環装置)還元合流筒16から吸気マニホールド20内に流れる構成としている。排気ガスの一部は、EGR還元筒18から吸気マニホールド20に形成された孔部20aとEGR(排気再循環装置)還元合流筒16に形成された孔部16aを経由して出口部16bから出ることで、EGR(排気再循環装置)還元合流筒16内で吸入空気を合流する構成としている。
これにより、エンジン本体の側面からEGR回路の配管を無くすことができるので、EGR回路の配管の損傷を防止でき、簡素な構成となる。また、部品点数も少なくなりコストダウンとなる。
トラクターやコンバイン等の農作業機を始めその他の作業車両にも利用可能である。
【符号の説明】
【0019】
コモンレール
13 フライホイール
14 DPF
16 EGR還元合流筒
16a EGR還元合流筒の孔部
16b 排気ガスの出口部
17 排気マニホールド
18 EGR還元筒
20 吸気マニホールド
20a 吸気マニホールドの孔部
22 第1ブラケット
24 シリンダヘッド
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10