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特許7184048検査対象物の表面状態の評価方法、評価装置、評価装置の制御方法及び評価装置の制御プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】検査対象物の表面状態の評価方法、評価装置、評価装置の制御方法及び評価装置の制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/88 20060101AFI20221129BHJP
   G01N 21/27 20060101ALI20221129BHJP
   G01J 3/51 20060101ALI20221129BHJP
【FI】
G01N21/88 Z
G01N21/27 B
G01J3/51
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2019553779
(86)(22)【出願日】2018-10-25
(86)【国際出願番号】 JP2018039760
(87)【国際公開番号】W WO2019097981
(87)【国際公開日】2019-05-23
【審査請求日】2020-10-19
(31)【優先権主張番号】P 2017219029
(32)【優先日】2017-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000191009
【氏名又は名称】新東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】辻 俊哉
(72)【発明者】
【氏名】山本 翔一
(72)【発明者】
【氏名】小林 祐次
(72)【発明者】
【氏名】杉林 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】吉田 瞬
【審査官】小野寺 麻美子
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-205957(JP,A)
【文献】特開2006-198504(JP,A)
【文献】特開2001-281057(JP,A)
【文献】特開2002-039863(JP,A)
【文献】特開平09-184762(JP,A)
【文献】特開2000-131243(JP,A)
【文献】特開2009-229431(JP,A)
【文献】国際公開第2013/145873(WO,A1)
【文献】特開2006-266959(JP,A)
【文献】特開2004-354089(JP,A)
【文献】特開平07-012804(JP,A)
【文献】特開2006-227011(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0327431(US,A1)
【文献】特開昭61-155714(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00 - G01N 21/01
G01N 21/17 - G01N 21/61
G01N 21/84 - G01N 21/958
G01J 3/00 - G01J 3/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
投光部及び受光部を備えて前記投光部から照射する光を測定対象面で反射させて前記受光部で受光すると共にその受光する赤、青及び緑の光強度から測定対象の色に応じた出力値を算出するカラーセンサを用いて、設計仕様にショットブラスト処理の投射条件が含まれ当該投射条件でショットブラスト加工が施された検査対象物の表面状態を評価する方法であって、
設計仕様にショットブラスト処理の投射条件が含まれ当該投射条件でショットブラスト加工が施された合格品の表面の一点を予め前記カラーセンサにより非接触で測定してその出力値に基づいてコンピュータが合格基準値を設定し、その後に前記合格品と同じ設計仕様の検査対象物の表面の一点を前記カラーセンサにより非接触で測定し、前記コンピュータが、前記合格基準値の設定後に前記カラーセンサから出力された出力値を、又は当該出力値をその測定時の測定条件に応じて所定の基準に基づいて補正した補正値を、前記合格基準値と比較して前記検査対象物の表面状態の合否を判定する、検査対象物の表面状態の評価方法。
【請求項2】
前記検査対象物の表面の一点を前記カラーセンサにより測定する前に、前記カラーセンサにおける測定対象側を向く所定部位と前記合格品の表面との間における前記投光部の光照射中心軸方向に沿った離間距離を変えた複数のパターンで、前記カラーセンサにより前記合格品の表面の一点を測定しかつ前記カラーセンサに組み込まれた距離測定計により前記離間距離を測定し、前記コンピュータが前記複数のパターンにおける前記距離測定計の出力値と前記カラーセンサの色に関する出力値との関係から前記離間距離に応じた補正係数を算出し、
その後、前記距離測定計により、前記検査対象物の測定時の位置に配置された前記カラーセンサにおける測定対象側を向く所定部位と、前記検査対象物の表面と、の間における前記投光部の光照射中心軸方向に沿った離間距離を前記検査対象物に非接触で測定し、
前記コンピュータは、前記検査対象物の表面の一点を前記カラーセンサにより非接触で測定した時の色に関する出力値を、前記補正係数の算出後に前記距離測定計により測定された値に応じた前記補正係数によって補正し、その補正値を前記合格基準値と比較して前記検査対象物の表面状態の合否を判定する、請求項1に記載の検査対象物の表面状態の評価方法。
【請求項3】
前記検査対象物の表面の一点を前記カラーセンサにより測定する前に、前記カラーセンサにおける測定対象側を向く所定部位と前記合格品の表面との間における前記投光部の光照射中心軸方向に沿った離間距離、及び前記合格品の表面の測定部分に垂直な方向に対する前記投光部の光照射中心軸方向の傾き、の条件を変えた複数のパターンで、前記カラーセンサにより前記合格品の表面の一点を測定しかつ前記投光部及び前記受光部が並ぶ方向の両側において前記カラーセンサに組み込まれた二つの距離測定計により前記離間距離をそれぞれ測定し、更に、前記コンピュータが、前記二つの距離測定計による測定結果から、前記離間距離の平均値と前記傾きとを第1のデータとして算出し、前記複数のパターンにおける前記カラーセンサの色に関する出力値と前記第1のデータとの関係から、前記離間距離の平均値である平均離間距離及び前記傾きに応じた補正係数を予め算出し、
その後、前記二つの距離測定計により、前記検査対象物の測定時の位置に配置された前記カラーセンサにおける測定対象側を向く所定部位と、前記検査対象物の表面と、の間における前記投光部の光照射中心軸方向に沿った離間距離を、前記検査対象物に非接触でそれぞれ測定し、更に、前記コンピュータが、その二つの測定結果から、前記離間距離の平均値と、前記検査対象物の表面の測定部分に垂直な方向に対する前記投光部の光照射中心軸方向の傾きと、を第2のデータとして算出し、
前記コンピュータは、前記検査対象物の表面の一点を前記カラーセンサにより非接触で測定した時の色に関する出力値を、前記第2のデータに応じた前記補正係数によって補正し、その補正値を前記合格基準値と比較して前記検査対象物の表面状態の合否を判定する、請求項1に記載の検査対象物の表面状態の評価方法。
【請求項4】
検査対象物と同じ設計仕様の一個の合格品の表面の一点を予め前記カラーセンサで測定してその出力値を前記コンピュータは前記合格基準値として設定する、請求項1に記載の検査対象物の表面状態の評価方法。
【請求項5】
検査対象物と同じ設計仕様の複数個の合格品の表面の各々の一点を予め前記カラーセンサで測定してその出力値のうち最低の出力値を前記コンピュータは前記合格基準値として設定する、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の検査対象物の表面状態の評価方法。
【請求項6】
設計仕様にショットブラスト処理の投射条件が含まれ当該投射条件でショットブラスト加工が施された特定の設計仕様の製品を検査対象物としてその表面状態を評価する評価装置であって、
測定対象面に光を照射する投光部と、前記投光部から照射されて前記測定対象面で反射する光を受光する受光部と、前記受光部で受光する赤、青及び緑の光強度から測定対象の色に応じた出力値を算出する算出部と、を備えると共に、測定時に測定対象に対して非接触とされる測色部と、
設計仕様にショットブラスト処理の投射条件が含まれ当該投射条件でショットブラスト加工が施された前記特定の設計仕様の合格品の表面状態を測定する場合に選択される第一モードと、検査対象物の表面状態を判定させる場合に選択される第二モードと、を選択可能なモード選択部と、
前記第一モードが選択された状態で前記測色部から出力された出力値に基づいて、合格基準値を設定する合格基準設定部と、前記第二モードが選択された状態で前記測色部から出力された出力値を、又は当該出力値をその測定時の測定条件に応じて所定の基準に基づいて補正した補正値を、前記合格基準値と比較して、前記検査対象物の表面状態の合否を判定する判定部と、を備えるデータ処理部と、
を有する評価装置。
【請求項7】
前記測色部と一体化されて測定機器を構成して前記測定機器における測定対象側を向く所定部位と前記測定対象との間における前記投光部の光照射中心軸方向に沿った離間距離を当該測定対象に対して非接触で測定する距離測定部を有し、
前記データ処理部は、互いに対応付けられて記憶された、前記第一モードが選択された状態で前記測色部から出力された出力値と、前記第一モードが選択された状態で前記距離測定部から出力された出力値と、の関係に基づいて、前記離間距離に応じた補正係数を算出する補正係数算出部を備え、
前記判定部は、前記第二モードが選択された状態で前記測色部から出力された出力値を、前記第二モードが選択された状態で前記距離測定部から出力された出力値に応じた前記補正係数によって補正し、その補正値を前記合格基準値と比較して前記検査対象物の表面状態の合否を判定する、請求項6に記載の評価装置。
【請求項8】
前記測色部に対して前記投光部及び前記受光部が並ぶ方向の両側に配置されて前記測色部と一体化されて測定機器を構成して前記測定機器における測定対象側を向く所定部位と前記測定対象との間における前記投光部の光照射中心軸方向に沿った離間距離を当該測定対象に対して非接触でそれぞれ測定する二つの距離測定部を有し、
前記データ処理部は、
前記二つの距離測定部からそれぞれ出力された出力値から、前記離間距離の平均値を算出し、かつ前記測定対象面に垂直な方向に対する前記投光部の光照射中心軸方向の傾きを算出する距離傾度算出部と、
互いに対応付けられて記憶された、前記第一モードが選択された状態で前記測色部から出力された出力値と、前記第一モードが選択された状態で前記二つの距離測定部からそれぞれ出力された出力値に基づいて前記距離傾度算出部が算出した算出値と、の関係に基づいて、前記離間距離の平均値である平均離間距離及び前記傾きに応じた補正係数を算出する補正係数算出部と、
を備え、
前記判定部は、前記第二モードが選択された状態で前記測色部から出力された出力値を、前記第二モードが選択された状態で前記二つの距離測定部からそれぞれ出力された出力値に基づいて前記距離傾度算出部が算出した算出値に応じた前記補正係数によって補正し、その補正値を前記合格基準値と比較して前記検査対象物の表面状態の合否を判定する、請求項6に記載の評価装置。
【請求項9】
前記合格基準設定部は、前記第一モードが選択された状態で前記測色部から出力された出力値のデータが一個である場合、当該出力値を合格基準値として設定する、請求項6~請求項8のいずれか1項に記載の評価装置。
【請求項10】
前記合格基準設定部は、前記第一モードが選択された状態で前記測色部から出力された出力値のデータが複数個である場合、当該出力値の最低値を合格基準値として設定する、請求項6~請求項9のいずれか1項に記載の評価装置。
【請求項11】
設計仕様にショットブラスト処理の投射条件が含まれ当該投射条件でショットブラスト加工が施された製品を検査対象物としてその表面状態を評価する評価装置であって、
測定対象面に光を照射する投光部と、前記投光部から照射されて前記測定対象面で反射する光を受光する受光部と、前記受光部で受光する赤、青及び緑の光強度から測定対象の色に応じた出力値を算出する算出部と、を備えると共に、測定時に測定対象に対して非接触とされる測色部と、
測定対象の設計仕様の情報を入力可能な情報入力部と、
設計仕様にショットブラスト処理の投射条件が含まれ当該投射条件でショットブラスト加工が施された合格品の表面状態を測定する場合に選択される第一モードと、検査対象物の表面状態を判定させる場合に選択される第二モードと、を選択可能なモード選択部と、
前記第一モードが選択された状態で前記測色部から出力された出力値及び前記情報入力部からの情報に基づいて、測定対象の設計仕様毎に合格基準値を設定する合格基準設定部と、前記第二モードが選択された状態で前記測色部から出力された出力値を、又は当該出力値をその測定時の測定条件に応じて所定の基準に基づいて補正した補正値を、その測定対象と同じ設計仕様の製品における前記合格基準値と比較して、前記検査対象物の表面状態の合否を判定する判定部と、を備えるデータ処理部と、
を有する評価装置。
【請求項12】
前記測色部と一体化されて測定機器を構成して前記測定機器における測定対象側を向く所定部位と前記測定対象との間における前記投光部の光照射中心軸方向に沿った離間距離を当該測定対象に対して非接触で測定する距離測定部を有し、
前記データ処理部は、互いに対応付けられて記憶された、前記第一モードが選択された状態で前記測色部から出力された出力値と、前記第一モードが選択された状態で前記距離測定部から出力された出力値と、の関係、及び前記情報入力部からの情報に基づいて、測定対象の設計仕様毎に前記離間距離に応じた補正係数を算出する補正係数算出部を備え、
前記判定部は、前記第二モードが選択された状態で前記測色部から出力された出力値を、前記第二モードが選択された状態で前記距離測定部から出力された出力値及びその測定対象の設計仕様の情報、に応じた前記補正係数によって補正し、その補正値を、その測定対象と同じ設計仕様の製品における前記合格基準値と比較して、前記検査対象物の表面状態の合否を判定する、請求項11に記載の評価装置。
【請求項13】
前記測色部に対して前記投光部及び前記受光部が並ぶ方向の両側に配置されて前記測色部と一体化されて測定機器を構成して前記測定機器における測定対象側を向く所定部位と前記測定対象との間における前記投光部の光照射中心軸方向に沿った離間距離を当該測定対象に対して非接触でそれぞれ測定する二つの距離測定部を有し、
前記データ処理部は、
前記二つの距離測定部からそれぞれ出力された出力値から、前記離間距離の平均値を算出し、かつ前記測定対象面に垂直な方向に対する前記投光部の光照射中心軸方向の傾きを算出する距離傾度算出部と、
互いに対応付けられて記憶された、前記第一モードが選択された状態で前記測色部から出力された出力値と、前記第一モードが選択された状態で前記二つの距離測定部からそれぞれ出力された出力値に基づいて前記距離傾度算出部が算出した算出値と、の関係、及び前記情報入力部からの情報に基づいて、測定対象の設計仕様毎に前記離間距離の平均値である平均離間距離及び前記傾きに応じた補正係数を算出する補正係数算出部と、
を備え、
前記判定部は、前記第二モードが選択された状態で前記測色部から出力された出力値を、前記第二モードが選択された状態で前記二つの距離測定部からそれぞれ出力された出力値に基づいて前記距離傾度算出部が算出した算出値及びその測定対象の設計仕様の情報、に応じた前記補正係数によって補正し、その補正値を、その測定対象と同じ設計仕様の製品における前記合格基準値と比較して、前記検査対象物の表面状態の合否を判定する、請求項11に記載の評価装置。
【請求項14】
前記合格基準設定部は、前記第一モードが選択された状態で前記測色部から出力された出力値のデータが、その測定対象の設計仕様の情報で分類した設計仕様別のカテゴリー内で一個である場合、当該出力値をその設計仕様の製品における合格基準値として設定する、請求項11~請求項13のいずれか1項に記載の評価装置。
【請求項15】
前記合格基準設定部は、前記第一モードが選択された状態で前記測色部から出力された出力値のデータが、その測定対象の設計仕様の情報で分類した設計仕様別のカテゴリー内で複数個である場合、当該出力値の最低値をその設計仕様の製品における合格基準値として設定する、請求項11~請求項14のいずれか1項に記載の評価装置。
【請求項16】
前記データ処理部は、前記合格基準値の設定に用いた製品の設計仕様を特定する入力情報と、前記合格基準設定部が設定した前記合格基準値と、を対応付けてテーブルに記憶すると共に、前記判定部が前記テーブルを参照して前記検査対象物の表面状態の合否を判定する、請求項11~請求項15のいずれか1項に記載の評価装置。
【請求項17】
設計仕様にショットブラスト処理の投射条件が含まれ当該投射条件でショットブラスト加工が施された特定の設計仕様の製品を検査対象物としてその表面状態を評価する評価装置であって、
測定対象面に光を照射する投光部と、前記投光部から照射されて前記測定対象面で反射する光を受光する受光部と、前記受光部で受光する赤、青及び緑の光強度から測定対象の色に応じた出力値を算出する算出部と、を備えると共に、測定時に測定対象に対して非接触とされる測色部と、
設計仕様にショットブラスト処理の投射条件が含まれ当該投射条件でショットブラスト加工が施された前記特定の設計仕様の合格品の表面状態を測定する場合に選択される第一モードと、検査対象物の表面状態を判定させる場合に選択される第二モードと、を選択可能なモード選択部と、
を有する評価装置において、
前記第一モードが選択された場合、その状態で前記測色部から出力された出力値に基づいて、合格基準値を設定し、
前記第二モードが選択された場合、その状態で前記測色部から出力された出力値を、又は当該出力値をその測定時の測定条件に応じて所定の基準に基づいて補正した補正値を、前記合格基準値と比較して、前記検査対象物の表面状態の合否を判定する、
ことを含む評価装置の制御方法。
【請求項18】
設計仕様にショットブラスト処理の投射条件が含まれ当該投射条件でショットブラスト加工が施された製品を検査対象物としてその表面状態を評価する評価装置であって、
測定対象面に光を照射する投光部と、前記投光部から照射されて前記測定対象面で反射する光を受光する受光部と、前記受光部で受光する赤、青及び緑の光強度から測定対象の色に応じた出力値を算出する算出部と、を備えると共に、測定時に測定対象に対して非接触とされる測色部と、
測定対象の設計仕様の情報を入力可能な情報入力部と、
設計仕様にショットブラスト処理の投射条件が含まれ当該投射条件でショットブラスト加工が施された合格品の表面状態を測定する場合に選択される第一モードと、検査対象物の表面状態を判定させる場合に選択される第二モードと、を選択可能なモード選択部と、
を有する評価装置において、
前記第一モードが選択された場合、その状態で前記測色部から出力された出力値及び前記情報入力部からの情報に基づいて、測定対象の設計仕様毎に合格基準値を設定し、
前記第二モードが選択された場合、その状態で前記測色部から出力された出力値を、又は当該出力値をその測定時の測定条件に応じて所定の基準に基づいて補正した補正値を、その測定対象と同じ設計仕様の製品における前記合格基準値と比較して、前記検査対象物の表面状態の合否を判定する、
ことを含む評価装置の制御方法。
【請求項19】
設計仕様にショットブラスト処理の投射条件が含まれ当該投射条件でショットブラスト加工が施された特定の設計仕様の製品を検査対象物としてその表面状態を評価する評価装置であって、
測定対象面に光を照射する投光部と、前記投光部から照射されて前記測定対象面で反射する光を受光する受光部と、前記受光部で受光する赤、青及び緑の光強度から測定対象の色に応じた出力値を算出する算出部と、を備えると共に、測定時に測定対象に対して非接触とされる測色部と、
設計仕様にショットブラスト処理の投射条件が含まれ当該投射条件でショットブラスト加工が施された前記特定の設計仕様の合格品の表面状態を測定する場合に選択される第一モードと、検査対象物の表面状態を判定させる場合に選択される第二モードと、を選択可能なモード選択部と、
を有する評価装置に含まれるコンピュータに、
前記第一モードが選択された場合、その状態で前記測色部から出力された出力値に基づいて、合格基準値を設定し、前記第二モードが選択された場合、その状態で前記測色部から出力された出力値を、又は当該出力値をその測定時の測定条件に応じて所定の基準に基づいて補正した補正値を、前記合格基準値と比較して、前記検査対象物の表面状態の合否を判定することを含む処理を行わせるための評価装置の制御プログラム。
【請求項20】
設計仕様にショットブラスト処理の投射条件が含まれ当該投射条件でショットブラスト加工が施された製品を検査対象物としてその表面状態を評価する評価装置であって、
測定対象面に光を照射する投光部と、前記投光部から照射されて前記測定対象面で反射する光を受光する受光部と、前記受光部で受光する赤、青及び緑の光強度から測定対象の色に応じた出力値を算出する算出部と、を備えると共に、測定時に測定対象に対して非接触とされる測色部と、
測定対象の設計仕様の情報を入力可能な情報入力部と、
設計仕様にショットブラスト処理の投射条件が含まれ当該投射条件でショットブラスト加工が施された合格品の表面状態を測定する場合に選択される第一モードと、検査対象物の表面状態を判定させる場合に選択される第二モードと、を選択可能なモード選択部と、
を有する評価装置に含まれるコンピュータに、
前記第一モードが選択された場合、その状態で前記測色部から出力された出力値及び前記情報入力部からの情報に基づいて、測定対象の設計仕様毎に合格基準値を設定し、前記第二モードが選択された場合、その状態で前記測色部から出力された出力値を、又は当該出力値をその測定時の測定条件に応じて所定の基準に基づいて補正した補正値を、その測定対象と同じ設計仕様の製品における前記合格基準値と比較して、前記検査対象物の表面状態の合否を判定することを含む処理を行わせるための評価装置の制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、検査対象物の表面状態の評価方法、評価装置、評価装置の制御方法及び評価装置の制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、金属表面の素地処理状態の判定方法に関する発明が開示されている。この発明では、金属表面の素地処理状態を判定するために、金属表面の比色分析がなされる。当該比色分析には測色装置が用いられており、測色装置は、外部光源を遮蔽するための端栓を装備している。すなわち、素地処理された金属表面に端栓を接触させた状態で、測色装置を用いた比色分析がなされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2015/044591号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、表面に端栓を接触させる構成では、高速の製造ラインに適用することができない。
【0005】
本開示は、上記事実を考慮して、高速の製造ラインに適用することができる検査対象物の表面状態の評価方法、評価装置、評価装置の制御方法及び評価装置の制御プログラムを得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の態様に係る検査対象物の表面状態の評価方法は、投光部及び受光部を備えて前記投光部から照射する光を測定対象面で反射させて前記受光部で受光すると共にその受光する赤、青及び緑の光強度から測定対象の色に応じた出力値を算出するカラーセンサを用いて、検査対象物の表面状態を評価する方法であって、合格品の表面の一点を予め前記カラーセンサにより非接触で測定してその出力値に基づいてコンピュータが合格基準値を設定し、その後に前記合格品と同じ設計仕様の検査対象物の表面の一点を前記カラーセンサにより非接触で測定し、前記コンピュータが、前記合格基準値の設定後に前記カラーセンサから出力された出力値を、又は当該出力値をその測定時の測定条件に応じて所定の基準に基づいて補正した補正値を、前記合格基準値と比較して合否を判定する。
【0007】
なお、「合格品」とは、一定の基準以上の表面状態に仕上げられているものと判断された製品をいう(以下、本明細書において同じ)。また、「設計仕様」には、対象となるものの材質や寸法に関する仕様の他、その対象となるものに施される表面加工に関する仕様も含まれる(以下、本明細書において同じ)。
【0008】
上記構成によれば、合格品の表面の一点を予めカラーセンサにより非接触で測定してその出力値に基づいてコンピュータが合格基準値を設定し、その後に合格品と同じ設計仕様の検査対象物の表面の一点をカラーセンサにより非接触で測定し、コンピュータが、合格基準値の設定後にカラーセンサから出力された出力値を、又は当該出力値をその測定時の測定条件に応じて所定の基準に基づいて補正した補正値を、合格基準値と比較して合否を判定する。このように検査対象物に対して非接触で合否を判定することができるので、処理時間を短く抑えることが可能となり、高速の製造ラインに適用することができる。
【0009】
本開示の第2の態様は、第1の態様に係る検査対象物の表面状態の評価方法において、前記検査対象物の表面の一点を前記カラーセンサにより測定する前に、前記カラーセンサにおける測定対象側を向く所定部位と前記合格品の表面との間における前記投光部の光照射中心軸方向に沿った離間距離を変えた複数のパターンで、前記カラーセンサにより前記合格品の表面の一点を測定しかつ前記カラーセンサに組み込まれた距離測定計により前記離間距離を測定し、前記コンピュータが前記複数のパターンにおける前記距離測定計の出力値と前記カラーセンサの色に関する出力値との関係から前記離間距離に応じた補正係数を算出し、その後、前記距離測定計により、前記検査対象物の測定時の位置に配置された前記カラーセンサにおける測定対象側を向く所定部位と、前記検査対象物の表面と、の間における前記投光部の光照射中心軸方向に沿った離間距離を前記検査対象物に非接触で測定し、前記コンピュータは、前記検査対象物の表面の一点を前記カラーセンサにより非接触で測定した時の色に関する出力値を、前記補正係数の算出後に前記距離測定計により測定された値に応じた前記補正係数によって補正し、その補正値を前記合格基準値と比較して合否を判定する。
【0010】
上記構成によれば、検査対象物の表面の一点をカラーセンサにより測定する前に、カラーセンサにおける測定対象側を向く所定部位と合格品の表面との間における投光部の光照射中心軸方向に沿った離間距離を変えた複数のパターンで、カラーセンサにより合格品の表面の一点を測定しかつカラーセンサに組み込まれた距離測定計により前記離間距離を測定し、コンピュータが複数のパターンにおける距離測定計の出力値とカラーセンサの色に関する出力値との関係から前記離間距離に応じた補正係数を算出する。その後、距離測定計により、検査対象物の測定時の位置に配置されたカラーセンサにおける測定対象側を向く所定部位と、検査対象物の表面と、の間における投光部の光照射中心軸方向に沿った離間距離を検査対象物に非接触で測定する。そして、コンピュータは、検査対象物の表面の一点をカラーセンサにより非接触で測定した時の色に関する出力値を、補正係数の算出後に距離測定計により測定された値に応じた補正係数によって補正し、その補正値を合格基準値と比較して合否を判定する。これにより、カラーセンサの投光部と検査対象物の表面の測定点との間の離間距離がばらついても、精度良く合否を判定することができる。
【0011】
本開示の第3の態様は、第1の態様に係る検査対象物の表面状態の評価方法において、前記検査対象物の表面の一点を前記カラーセンサにより測定する前に、前記カラーセンサにおける測定対象側を向く所定部位と前記合格品の表面との間における前記投光部の光照射中心軸方向に沿った離間距離、及び前記合格品の表面の測定部分に垂直な方向に対する前記投光部の光照射中心軸方向の傾き、の条件を変えた複数のパターンで、前記カラーセンサにより前記合格品の表面の一点を測定しかつ前記投光部及び前記受光部が並ぶ方向の両側において前記カラーセンサに組み込まれた二つの距離測定計により前記離間距離をそれぞれ測定し、更に、前記コンピュータが、前記二つの距離測定計による測定結果から、前記離間距離の平均値と前記傾きとを第1のデータとして算出し、前記複数のパターンにおける前記カラーセンサの色に関する出力値と前記第1のデータとの関係から、前記離間距離の平均値である平均離間距離及び前記傾きに応じた補正係数を予め算出し、その後、前記二つの距離測定計により、前記検査対象物の測定時の位置に配置された前記カラーセンサにおける測定対象側を向く所定部位と、前記検査対象物の表面と、の間における前記投光部の光照射中心軸方向に沿った離間距離を、前記検査対象物に非接触でそれぞれ測定し、更に、前記コンピュータが、その二つの測定結果から、前記離間距離の平均値と、前記検査対象物の表面の測定部分に垂直な方向に対する前記投光部の光照射中心軸方向の傾きと、を第2のデータとして算出し、前記コンピュータは、前記検査対象物の表面の一点を前記カラーセンサにより非接触で測定した時の色に関する出力値を、前記第2のデータに応じた前記補正係数によって補正し、その補正値を前記合格基準値と比較して合否を判定する。
【0012】
上記構成によれば、検査対象物の表面の一点をカラーセンサにより測定する前に、カラーセンサにおける測定対象側を向く所定部位と合格品の表面との間における投光部の光照射中心軸方向に沿った離間距離、及び合格品の表面の測定部分に垂直な方向に対する投光部の光照射中心軸方向の傾き、の条件を変えた複数のパターンで、カラーセンサにより合格品の表面の一点を測定しかつ投光部及び受光部が並ぶ方向の両側においてカラーセンサに組み込まれた二つの距離測定計によりそれぞれ前記離間距離を測定する。更に、コンピュータが、二つの距離測定計による測定結果から、前記離間距離の平均値と前記傾きとを第1のデータとして算出し、複数のパターンにおけるカラーセンサの色に関する出力値と第1のデータとの関係から、前記離間距離の平均値である平均離間距離及び前記傾きに応じた補正係数を予め算出する。その後、二つの距離測定計により、検査対象物の測定時の位置に配置されたカラーセンサにおける測定対象側を向く所定部位と、検査対象物の表面と、の間における投光部の光照射中心軸方向に沿った離間距離を、検査対象物に非接触でそれぞれ測定し、更に、コンピュータが、その二つの測定結果から、前記離間距離の平均値と、検査対象物の表面の測定部分に垂直な方向に対する投光部の光照射中心軸方向の傾きと、を第2のデータとして算出する。そして、コンピュータは、検査対象物の表面の一点をカラーセンサにより非接触で測定した時の色に関する出力値を、第2のデータに応じた補正係数によって補正し、その補正値を合格基準値と比較して合否を判定する。これにより、カラーセンサの投光部と検査対象物の表面の測定点との間の離間距離、及び、投光部の光照射中心軸方向の傾きの両方又は一方がばらついても、精度良く合否を判定することができる。
【0013】
本開示の第4の態様は、第1の態様に係る検査対象物の表面状態の評価方法において、検査対象物と同じ設計仕様の一個の合格品の表面の一点を予め前記カラーセンサで測定してその出力値を前記コンピュータは前記合格基準値として設定する。
【0014】
上記構成によれば、同じ設計仕様の一個の合格品から合格基準値を設定することができる。
【0015】
本開示の第5の態様は、第1の態様~第3の態様のいずれか1態様に係る検査対象物の表面状態の評価方法において、検査対象物と同じ設計仕様の複数個の合格品の表面の各々の一点を予め前記カラーセンサで測定してその出力値のうち最低の出力値を前記コンピュータは前記合格基準値として設定する。
【0016】
上記構成によれば、同じ設計仕様の複数個の合格品から合格基準値を設定することができる。
【0017】
本開示の第6の態様に係る評価装置は、特定の設計仕様の製品を検査対象物としてその表面状態を評価する評価装置であって、測定対象面に光を照射する投光部と、前記投光部から照射されて前記測定対象面で反射する光を受光する受光部と、前記受光部で受光する赤、青及び緑の光強度から測定対象の色に応じた出力値を算出する算出部と、を備えると共に、測定時に測定対象に対して非接触とされる測色部と、前記特定の設計仕様の合格品の表面状態を測定する場合に選択される第一モードと、検査対象物の表面状態を判定させる場合に選択される第二モードと、を選択可能なモード選択部と、前記第一モードが選択された状態で前記測色部から出力された出力値に基づいて、合格基準値を設定する合格基準設定部と、前記第二モードが選択された状態で前記測色部から出力された出力値を、又は当該出力値をその測定時の測定条件に応じて所定の基準に基づいて補正した補正値を、前記合格基準値と比較して、合否を判定する判定部と、を備えるデータ処理部と、を有する。
【0018】
上記構成によれば、評価装置は、特定の設計仕様の製品を検査対象物としてその表面状態を評価し、測色部、モード選択部及びデータ処理部を有している。測色部は、測定時に測定対象に対して非接触となっており、投光部から照射されて測定対象面で反射する光を受光部で受光すると共に、受光部で受光する赤、青及び緑の光強度から算出部が測定対象の色に応じた出力値を算出する。一方、モード選択部では、特定の設計仕様の合格品の表面状態を測定する場合に選択される第一モードと、検査対象物の表面状態を判定させる場合に選択される第二モードと、を選択することができる。
【0019】
ここで、本発明の評価装置は、合格基準設定部及び判定部を備えるデータ処理部を有する。合格基準設定部は、第一モードが選択された状態で測色部から出力された出力値に基づいて、合格基準値を設定する。また、判定部は、第二モードが選択された状態で測色部から出力された出力値を、又は当該出力値をその測定時の測定条件に応じて所定の基準に基づいて補正した補正値を、合格基準値と比較して、合否を判定する。このように検査対象物に対して非接触で合否を判定することができるので、処理時間を短く抑えることが可能となり、高速の製造ラインに適用することができる。
【0020】
本開示の第7の態様は、第6の態様に係る評価装置において、前記測色部と一体化されて測定機器を構成して前記測定機器における測定対象側を向く所定部位と前記測定対象との間における前記投光部の光照射中心軸方向に沿った離間距離を当該測定対象に対して非接触で測定する距離測定部を有し、前記データ処理部は、互いに対応付けられて記憶された、前記第一モードが選択された状態で前記測色部から出力された出力値と、前記第一モードが選択された状態で前記距離測定部から出力された出力値と、の関係に基づいて、前記離間距離に応じた補正係数を算出する補正係数算出部を備え、前記判定部は、前記第二モードが選択された状態で前記測色部から出力された出力値を、前記第二モードが選択された状態で前記距離測定部から出力された出力値に応じた前記補正係数によって補正し、その補正値を前記合格基準値と比較して合否を判定する。
【0021】
上記構成によれば、距離測定部は、測色部と一体化されて測定機器を構成して前記測定機器における測定対象側を向く所定部位と測定対象との間における前記投光部の光照射中心軸方向に沿った離間距離を当該測定対象に対して非接触で測定する。また、データ処理部は、補正係数算出部を備え、この補正係数算出部は、互いに対応付けられて記憶された、第一モードが選択された状態で測色部から出力された出力値と、第一モードが選択された状態で距離測定部から出力された出力値と、の関係に基づいて、前記離間距離に応じた補正係数を算出する。そして、判定部は、第二モードが選択された状態で測色部から出力された出力値を、第二モードが選択された状態で距離測定部から出力された出力値に応じた補正係数によって補正し、その補正値を合格基準値と比較して合否を判定する。これにより、測色部の投光部と測定対象との間の離間距離がばらついても、精度良く合否を判定することができる。
【0022】
本開示の第8の態様は、第6の態様に係る評価装置において、前記測色部に対して前記投光部及び前記受光部が並ぶ方向の両側に配置されて前記測色部と一体化されて測定機器を構成して前記測定機器における測定対象側を向く所定部位と前記測定対象との間における前記投光部の光照射中心軸方向に沿った離間距離を当該測定対象に対して非接触でそれぞれ測定する二つの距離測定部を有し、前記データ処理部は、前記二つの距離測定部からそれぞれ出力された出力値から、前記離間距離の平均値を算出し、かつ前記測定対象面に垂直な方向に対する前記投光部の光照射中心軸方向の傾きを算出する距離傾度算出部と、互いに対応付けられて記憶された、前記第一モードが選択された状態で前記測色部から出力された出力値と、前記第一モードが選択された状態で前記二つの距離測定部からそれぞれ出力された出力値に基づいて前記距離傾度算出部が算出した算出値と、の関係に基づいて、前記離間距離の平均値である平均離間距離及び前記傾きに応じた補正係数を算出する補正係数算出部と、を備え、前記判定部は、前記第二モードが選択された状態で前記測色部から出力された出力値を、前記第二モードが選択された状態で前記二つの距離測定部からそれぞれ出力された出力値に基づいて前記距離傾度算出部が算出した算出値に応じた前記補正係数によって補正し、その補正値を前記合格基準値と比較して合否を判定する。
【0023】
上記構成によれば、二つの距離測定部は、測色部に対して投光部及び受光部が並ぶ方向の両側に配置されて測色部と一体化されて測定機器を構成して前記測定機器における測定対象側を向く所定部位と測定対象との間における投光部の光照射中心軸方向に沿った離間距離を当該測定対象に対して非接触でそれぞれ測定する。データ処理部は、距離傾度算出部と補正係数算出部とを備えている。距離傾度算出部は、二つの距離測定部からそれぞれ出力された出力値から、前記離間距離の平均値を算出し、かつ測定対象面に垂直な方向に対する投光部の光照射中心軸方向の傾きを算出する。補正係数算出部は、互いに対応付けられて記憶された、第一モードが選択された状態で測色部から出力された出力値と、第一モードが選択された状態で二つの距離測定部からそれぞれ出力された出力値に基づいて距離傾度算出部が算出した算出値と、の関係に基づいて、前記離間距離の平均値である平均離間距離及び前記傾きに応じた補正係数を算出する。そして、判定部は、第二モードが選択された状態で測色部から出力された出力値を、第二モードが選択された状態で二つの距離測定部からそれぞれ出力された出力値に基づいて距離傾度算出部が算出した算出値に応じた補正係数によって補正し、その補正値を合格基準値と比較して合否を判定する。これにより、測色部の投光部と測定対象との間の離間距離及び投光部の光照射中心軸方向の傾きの両方又は一方がばらついても、精度良く合否を判定することができる。
【0024】
本開示の第9の態様は、第6の態様~第8の態様のいずれか1態様に係る評価装置において、前記合格基準設定部は、前記第一モードが選択された状態で前記測色部から出力された出力値のデータが一個である場合、当該出力値を合格基準値として設定する。
【0025】
上記構成によれば、一個の合格品から合格基準値を設定することができる。
【0026】
本開示の第10の態様は、第6の態様~第9の態様のいずれか1態様に係る評価装置において、前記合格基準設定部は、前記第一モードが選択された状態で前記測色部から出力された出力値のデータが複数個である場合、当該出力値の最低値を合格基準値として設定する。
【0027】
上記構成によれば、複数個の合格品から合格基準値を設定することができる。
【0028】
本開示の第11の態様に係る評価装置は、測定対象面に光を照射する投光部と、前記投光部から照射されて前記測定対象面で反射する光を受光する受光部と、前記受光部で受光する赤、青及び緑の光強度から測定対象の色に応じた出力値を算出する算出部と、を備えると共に、測定時に測定対象に対して非接触とされる測色部と、測定対象の設計仕様の情報を入力可能な情報入力部と、合格品の表面状態を測定する場合に選択される第一モードと、検査対象物の表面状態を判定させる場合に選択される第二モードと、を選択可能なモード選択部と、前記第一モードが選択された状態で前記測色部から出力された出力値及び前記情報入力部からの情報に基づいて、測定対象の設計仕様毎に合格基準値を設定する合格基準設定部と、前記第二モードが選択された状態で前記測色部から出力された出力値を、又は当該出力値をその測定時の測定条件に応じて所定の基準に基づいて補正した補正値を、その測定対象と同じ設計仕様の製品における前記合格基準値と比較して、合否を判定する判定部と、を備えるデータ処理部と、を有する。
【0029】
上記構成によれば、測色部は、測定時に測定対象に対して非接触となっており、投光部から照射されて測定対象面で反射する光を受光部で受光すると共に、受光部で受光する赤、青及び緑の光強度から算出部が測定対象の色に応じた出力値を算出する。一方、情報入力部では、測定対象の設計仕様の情報が入力可能となっており、モード選択部では、合格品の表面状態を測定する場合に選択される第一モードと、検査対象物の表面状態を判定させる場合に選択される第二モードと、を選択することができる。
【0030】
ここで、本発明の評価装置は、合格基準設定部及び判定部を備えるデータ処理部を有する。合格基準設定部は、第一モードが選択された状態で測色部から出力された出力値及び情報入力部からの情報に基づいて、測定対象の設計仕様毎に合格基準値を設定する。また、判定部は、第二モードが選択された状態で測色部から出力された出力値を、又は当該出力値をその測定時の測定条件に応じて所定の基準に基づいて補正した補正値を、その測定対象と同じ設計仕様の製品における合格基準値と比較して、合否を判定する。このように検査対象物に対して非接触で合否を判定することができるので、処理時間を短く抑えることが可能となり、高速の製造ラインに適用することができる。
【0031】
本開示の第12の態様は、第11の態様に係る評価装置において、前記測色部と一体化されて測定機器を構成して前記測定機器における測定対象側を向く所定部位と前記測定対象との間における前記投光部の光照射中心軸方向に沿った離間距離を当該測定対象に対して非接触で測定する距離測定部を有し、前記データ処理部は、互いに対応付けられて記憶された、前記第一モードが選択された状態で前記測色部から出力された出力値と、前記第一モードが選択された状態で前記距離測定部から出力された出力値と、の関係、及び前記情報入力部からの情報に基づいて、測定対象の設計仕様毎に前記離間距離に応じた補正係数を算出する補正係数算出部を備え、前記判定部は、前記第二モードが選択された状態で前記測色部から出力された出力値を、前記第二モードが選択された状態で前記距離測定部から出力された出力値及びその測定対象の設計仕様の情報、に応じた前記補正係数によって補正し、その補正値を、その測定対象と同じ設計仕様の製品における前記合格基準値と比較して、合否を判定する。
【0032】
上記構成によれば、距離測定部は、測色部と一体化されて測定機器を構成して前記測定機器における測定対象側を向く所定部位と測定対象との間における投光部の光照射中心軸方向に沿った離間距離を当該測定対象に対して非接触で測定する。データ処理部は、補正係数算出部を備え、補正係数算出部は、互いに対応付けられて記憶された、第一モードが選択された状態で測色部から出力された出力値と、第一モードが選択された状態で距離測定部から出力された出力値と、の関係、及び情報入力部からの情報に基づいて、測定対象の設計仕様毎に前記離間距離に応じた補正係数を算出する。そして、判定部は、第二モードが選択された状態で測色部から出力された出力値を、第二モードが選択された状態で距離測定部から出力された出力値及びその測定対象の設計仕様の情報、に応じた補正係数によって補正し、その補正値を、その測定対象と同じ設計仕様の製品における合格基準値と比較して、合否を判定する。これにより、測色部の投光部と測定対象との間の離間距離がばらついても、精度良く合否を判定することができる。
【0033】
本開示の第13の態様は、第11の態様に係る評価装置において、前記測色部に対して前記投光部及び前記受光部が並ぶ方向の両側に配置されて前記測色部と一体化されて測定機器を構成して前記測定機器における測定対象側を向く所定部位と前記測定対象との間における前記投光部の光照射中心軸方向に沿った離間距離を当該測定対象に対して非接触でそれぞれ測定する二つの距離測定部を有し、前記データ処理部は、前記二つの距離測定部からそれぞれ出力された出力値から、前記離間距離の平均値を算出し、かつ前記測定対象面に垂直な方向に対する前記投光部の光照射中心軸方向の傾きを算出する距離傾度算出部と、互いに対応付けられて記憶された、前記第一モードが選択された状態で前記測色部から出力された出力値と、前記第一モードが選択された状態で前記二つの距離測定部からそれぞれ出力された出力値に基づいて前記距離傾度算出部が算出した算出値と、の関係、及び前記情報入力部からの情報に基づいて、測定対象の設計仕様毎に前記離間距離の平均値である平均離間距離及び前記傾きに応じた補正係数を算出する補正係数算出部と、を備え、前記判定部は、前記第二モードが選択された状態で前記測色部から出力された出力値を、前記第二モードが選択された状態で前記二つの距離測定部からそれぞれ出力された出力値に基づいて前記距離傾度算出部が算出した算出値及びその測定対象の設計仕様の情報、に応じた前記補正係数によって補正し、その補正値を、その測定対象と同じ設計仕様の製品における前記合格基準値と比較して、合否を判定する。
【0034】
上記構成によれば、二つの距離測定部は、測色部に対して投光部及び受光部が並ぶ方向の両側に配置されて測色部と一体化されて測定機器を構成して前記測定機器における測定対象側を向く所定部位と測定対象との間における投光部の光照射中心軸方向に沿った離間距離を当該測定対象に対して非接触でそれぞれ測定する。データ処理部は、距離傾度算出部と補正係数算出部とを備えている。距離傾度算出部は、二つの距離測定部からそれぞれ出力された出力値から、前記離間距離の平均値を算出し、かつ測定対象面に垂直な方向に対する投光部の光照射中心軸方向の傾きを算出する。補正係数算出部は、互いに対応付けられて記憶された、第一モードが選択された状態で測色部から出力された出力値と、第一モードが選択された状態で二つの距離測定部からそれぞれ出力された出力値に基づいて距離傾度算出部が算出した算出値と、の関係、及び情報入力部からの情報に基づいて、測定対象の設計仕様毎に前記離間距離の平均値である平均離間距離及び前記傾きに応じた補正係数を算出する。そして、判定部は、第二モードが選択された状態で測色部から出力された出力値を、第二モードが選択された状態で二つの距離測定部からそれぞれ出力された出力値に基づいて距離傾度算出部が算出した算出値及びその測定対象の設計仕様の情報、に応じた補正係数によって補正し、その補正値を、その測定対象と同じ設計仕様の製品における合格基準値と比較して、合否を判定する。これにより、測色部の投光部と測定対象との間の離間距離及び投光部の光照射中心軸方向の傾きの両方又は一方がばらついても、精度良く合否を判定することができる。
【0035】
本開示の第14の態様は、第11の態様~第13の態様のいずれか1態様に係る評価装置において、前記合格基準設定部は、前記第一モードが選択された状態で前記測色部から出力された出力値のデータが、その測定対象の設計仕様の情報で分類した設計仕様別のカテゴリー内で一個である場合、当該出力値をその設計仕様の製品における合格基準値として設定する。
【0036】
上記構成によれば、設計仕様別のカテゴリー内の一個の合格品から合格基準値を設定することができる。
【0037】
本開示の第15の態様は、第11の態様~第14の態様のいずれか1態様に係る評価装置において、前記合格基準設定部は、前記第一モードが選択された状態で前記測色部から出力された出力値のデータが、その測定対象の設計仕様の情報で分類した設計仕様別のカテゴリー内で複数個である場合、当該出力値の最低値をその設計仕様の製品における合格基準値として設定する。
【0038】
上記構成によれば、設計仕様別のカテゴリー内の複数個の合格品から合格基準値を設定することができる。
【0039】
本開示の第16の態様は、第11の態様~第15の態様のいずれか1態様に係る評価装置において、前記データ処理部は、前記合格基準値の設定に用いた製品の設計仕様を特定する入力情報と、前記合格基準設定部が設定した前記合格基準値と、を対応付けてテーブルに記憶すると共に、前記判定部が前記テーブルを参照して合否を判定する。
【0040】
上記構成によれば、設計仕様を特定する入力情報と合格基準値とを対応付けて記憶したテーブルを判定部が参照して合否を判定するので、効率的に合否判定をすることができる。
【0041】
本開示の第17の態様に係る評価装置の制御方法は、特定の設計仕様の製品を検査対象物としてその表面状態を評価する評価装置であって、測定対象面に光を照射する投光部と、前記投光部から照射されて前記測定対象面で反射する光を受光する受光部と、前記受光部で受光する赤、青及び緑の光強度から測定対象の色に応じた出力値を算出する算出部と、を備えると共に、測定時に測定対象に対して非接触とされる測色部と、前記特定の設計仕様の合格品の表面状態を測定する場合に選択される第一モードと、検査対象物の表面状態を判定させる場合に選択される第二モードと、を選択可能なモード選択部と、を有する評価装置において、前記第一モードが選択された場合、その状態で前記測色部から出力された出力値に基づいて、合格基準値を設定し、前記第二モードが選択された場合、その状態で前記測色部から出力された出力値を、又は当該出力値をその測定時の測定条件に応じて所定の基準に基づいて補正した補正値を、前記合格基準値と比較して、合否を判定する、ことを含む。このため、本開示の第6の態様と同様に、検査対象物に対して非接触で合否を判定することができるので、高速の製造ラインに適用することができる。
【0042】
本開示の第18の態様に係る評価装置の制御方法は、測定対象面に光を照射する投光部と、前記投光部から照射されて前記測定対象面で反射する光を受光する受光部と、前記受光部で受光する赤、青及び緑の光強度から測定対象の色に応じた出力値を算出する算出部と、を備えると共に、測定時に測定対象に対して非接触とされる測色部と、測定対象の設計仕様の情報を入力可能な情報入力部と、合格品の表面状態を測定する場合に選択される第一モードと、検査対象物の表面状態を判定させる場合に選択される第二モードと、を選択可能なモード選択部と、を有する評価装置において、前記第一モードが選択された場合、その状態で前記測色部から出力された出力値及び前記情報入力部からの情報に基づいて、測定対象の設計仕様毎に合格基準値を設定し、前記第二モードが選択された場合、その状態で前記測色部から出力された出力値を、又は当該出力値をその測定時の測定条件に応じて所定の基準に基づいて補正した補正値を、その測定対象と同じ設計仕様の製品における前記合格基準値と比較して、合否を判定する、ことを含む。このため、本開示の第11の態様と同様に、検査対象物に対して非接触で合否を判定することができるので、高速の製造ラインに適用することができる。
【0043】
本開示の第19の態様に係る評価装置の制御プログラムは、特定の設計仕様の製品を検査対象物としてその表面状態を評価する評価装置であって、測定対象面に光を照射する投光部と、前記投光部から照射されて前記測定対象面で反射する光を受光する受光部と、前記受光部で受光する赤、青及び緑の光強度から測定対象の色に応じた出力値を算出する算出部と、を備えると共に、測定時に測定対象に対して非接触とされる測色部と、前記特定の設計仕様の合格品の表面状態を測定する場合に選択される第一モードと、検査対象物の表面状態を判定させる場合に選択される第二モードと、を選択可能なモード選択部と、を有する評価装置に含まれるコンピュータに、前記第一モードが選択された場合、その状態で前記測色部から出力された出力値に基づいて、合格基準値を設定し、前記第二モードが選択された場合、その状態で前記測色部から出力された出力値を、又は当該出力値をその測定時の測定条件に応じて所定の基準に基づいて補正した補正値を、前記合格基準値と比較して、合否を判定することを含む処理を行わせる。このため、コンピュータが本開示の第19の態様に係る評価装置の制御プログラムを実行することで、コンピュータによって本開示の第17の態様に係る評価装置の制御方法が実施されることになる。すなわち、本開示の第6の態様及び本開示の第17の態様と同様に、検査対象物に対して非接触で合否を判定することができるので、高速の製造ラインに適用することができる。
【0044】
本開示の第20の態様に係る評価装置の制御プログラムは、測定対象面に光を照射する投光部と、前記投光部から照射されて前記測定対象面で反射する光を受光する受光部と、前記受光部で受光する赤、青及び緑の光強度から測定対象の色に応じた出力値を算出する算出部と、を備えると共に、測定時に測定対象に対して非接触とされる測色部と、測定対象の設計仕様の情報を入力可能な情報入力部と、合格品の表面状態を測定する場合に選択される第一モードと、検査対象物の表面状態を判定させる場合に選択される第二モードと、を選択可能なモード選択部と、を有する評価装置に含まれるコンピュータに、前記第一モードが選択された場合、その状態で前記測色部から出力された出力値及び前記情報入力部からの情報に基づいて、測定対象の設計仕様毎に合格基準値を設定し、前記第二モードが選択された場合、その状態で前記測色部から出力された出力値を、又は当該出力値をその測定時の測定条件に応じて所定の基準に基づいて補正した補正値を、その測定対象と同じ設計仕様の製品における前記合格基準値と比較して、合否を判定することを含む処理を行わせる。このため、コンピュータが本開示の第20の態様に係る評価装置の制御プログラムを実行することで、コンピュータによって本開示の第18の態様に係る評価装置の制御方法が実施されることになる。すなわち、本開示の第11の態様及び本開示の第18の態様と同様に、検査対象物に対して非接触で合否を判定することができるので、高速の製造ラインに適用することができる。
【発明の効果】
【0045】
以上説明したように、本開示によれば、高速の製造ラインに適用することができるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1】本開示の第1の実施形態に係る評価装置の概略構成を示すブロック図である。
図2】本開示の第1の実施形態に係る評価装置のデータ処理制御装置の概略構成を示すブロック図である。
図3A】カラーセンサ(測色部)の概略構成を側方側から見た状態で示す模式的な縦断面図であり、測定対象の表面に凹凸がある場合を示す。
図3B】カラーセンサ(測色部)の概略構成を側方側から見た状態で示す模式的な縦断面図であり、測定対象の表面が平面である場合を示す。
図4図1のデータ処理部で実行される制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図5】評価前の段階で検査対象物を表面加工している状態を模式的に示す側面図である。
図6A】試験結果を示すグラフである。
図6B】試験結果を示すグラフである。
図7】本開示の第2の実施形態に係る評価装置の概略構成を示すブロック図である。
図8】本開示の第2の実施形態に係る評価装置のデータ処理制御装置の概略構成を示すブロック図である。
図9図7のデータ処理部で実行される制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図10】本開示の第3の実施形態に係る評価装置の概略構成を示すブロック図である。
図11】本開示の第3の実施形態に係る評価装置のデータ処理制御装置の概略構成を示すブロック図である。
図12】カラーセンサ(測色部)に距離測定部が組み込まれた構成を側方側から見た状態で示す模式的な縦断面図である。
図13図10のデータ処理部で実行される制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図14】本開示の第4の実施形態に係る評価装置の概略構成を示すブロック図である。
図15】本開示の第4の実施形態に係る評価装置のデータ処理制御装置の概略構成を示すブロック図である。
図16図14のデータ処理部で実行される制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図17】本開示の第5の実施形態に係る評価装置の概略構成を示すブロック図である。
図18】本開示の第5の実施形態に係る評価装置のデータ処理制御装置の概略構成を示すブロック図である。
図19】カラーセンサ(測色部)に第一距離測定部及び第二距離測定部が組み込まれた構成を側方側から見た状態で示す模式的な縦断面図である。
図20図17のデータ処理部で実行される制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図21】本開示の第6の実施形態に係る評価装置の概略構成を示すブロック図である。
図22】本開示の第6の実施形態に係る評価装置のデータ処理制御装置の概略構成を示すブロック図である。
図23図21のデータ処理部で実行される制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0047】
[第1の実施形態]
本開示の第1の実施形態に係る検査対象物の表面状態の評価方法、評価装置、評価装置の制御方法及び評価装置の制御プログラムについて図1図6Bを用いて説明する。なお、本実施形態に係る検査対象物の表面状態の評価方法、評価装置、評価装置の制御方法及び評価装置の制御プログラムは、一例として、錆やスケールを除去するためにショットブラストされた検査対象物の表面において、錆やスケールの除去が良好になされているか否かを判断するために用いられる。
【0048】
図1には、本実施形態における評価装置10の概略構成がブロック図で示されている。図1に示されるように、評価装置10は、測色部12、情報入力部20、モード選択部22、データ処理部24及び出力部30を含んで構成されている。
【0049】
測色部12は、カラーセンサ32(図3A及び図3B参照)によって測色の処理を行う。図3A及び図3Bには、カラーセンサ32の概略構成が側方側から見た状態の模式的な縦断面図で示されている。なお、カラーセンサ32には、例えばオムロン(株)社製のE3NX-CAと同様の構成のセンサを適用することができる。
【0050】
図1に示されるように、測色部12は、投光部14、受光部16及び算出部18を備える。図3A及び図3Bに示されるように、投光部14は、測定対象面60、62に光を照射する機能部であり、照射する光を測定対象面60、62で反射させる。また、受光部16は、投光部14から照射されて測定対象面60、62で反射する光を受光する機能部である。なお、図3Aは測定対象T1の表面(測定対象面60)に凹凸がある場合を示し、図3Bは測定対象T2の表面(測定対象面62)が平面である場合を示す。カラーセンサ32によって測色の処理を行う測色部12(図1参照)は、測定時に測定対象T1、T2に対して非接触とされる。図1に示される算出部18は、受光部16で受光する赤、青及び緑の光強度から測定対象の色に応じた出力値を算出する機能部である。測色部12は、データ処理部24に接続されている。
【0051】
データ処理部24には、情報入力部20、モード選択部22及び出力部30が接続されている。情報入力部20は、例えばマウスやキーボード、タッチスクリーン等の入力部を含む。情報入力部20では、ユーザがマウスやキーボード、タッチスクリーン等の入力部を用いて例えば所定の入力画面における入力欄に測定対象の設計仕様の情報を入力可能とされている。情報入力部20は、一例として、データコピー機能(既に入力したデータをコピーする機能)を有している。なお、「設計仕様」には、対象となるものの材質や寸法に関する仕様の他、その対象となるものに施される表面加工に関する仕様も含まれる。表面加工に関する仕様には、例えば、ショットブラスト処理で表面加工されたものについては投射材の種類、投射材の粒径、投射材の単位時間当たり投射量、投射材の投射時間、投射材の投射速度、投射材をエアで噴射する場合にはエア圧力、投射材を羽根車の回転によって遠心力で加速して投射する場合には前記羽根車の単位時間当たりの回転数、及び表面加工される処理対象物と投射機の投射口との距離を含む投射条件も含まれる。
【0052】
また、モード選択部22では、合格品の表面状態を測定する場合に選択される第一モードと、検査対象物の表面状態を判定させる場合に選択される第二モードと、を選択可能とされている。評価装置10は、モード選択部22において第一モードが選択されて合格品の表面状態が測定されてからモード選択部22において第二モードが選択されることを想定した装置である。なお、「合格品」は、一例として一定の基準以上の表面状態に仕上げられているものと熟練者によって判断された製品である。モード選択部22は、一例としてユーザが操作可能なモード選択用の切替スイッチとされている。なお、変形例として、モード選択部22は、ユーザが操作可能なモード選択用のボタンやモード選択用の入力部とされてもよい。出力部30は、例えばディスプレイ等の表示出力部を含み、データ処理部24での処理結果を表示出力可能とされている。
【0053】
データ処理部24は、合格基準設定部26と判定部28とを備える。合格基準設定部26は、第一モードが選択された状態で測色部12から出力された出力値及び情報入力部20からの情報に基づいて、測定対象の設計仕様毎に合格基準値を設定する機能部である。また、判定部28は、第二モードが選択された状態で測色部12から出力された出力値を、その測定対象と同じ設計仕様の製品における合格基準値と比較して、合否を判定する機能部である。
【0054】
合格基準設定部26は、第一モードが選択された状態で測色部12から出力された出力値のデータが、その測定対象の設計仕様の情報で分類した設計仕様別のカテゴリー内で一個である場合、当該出力値をその設計仕様の製品における合格基準値として設定する。また、合格基準設定部26は、第一モードが選択された状態で測色部12から出力された出力値のデータが、その測定対象の設計仕様の情報で分類した設計仕様別のカテゴリー内で複数個である場合、当該出力値の最低値をその設計仕様の製品における合格基準値として設定する。
【0055】
本実施形態では、データ処理部24は、合格基準値の設定に用いた製品の設計仕様を特定する入力情報と、合格基準設定部26が設定した合格基準値と、を対応付けてテーブルに記憶すると共に、判定部28が前記テーブルを参照して合否を判定する。
【0056】
データ処理部24は、図2に示されるコンピュータとしてのデータ処理制御装置40によって合否判定のためのデータ処理制御を行う。図2には、データ処理制御装置40の概略構成がブロック図で示されている。データ処理制御装置40は、CPU42、RAM44、ROM46及び入出力インタフェース部(I/O)50を備え、これらがバス52を介して互いに接続されている。ROM46は、不揮発性の記憶部であり、このROM46には、データ処理制御プログラム48(本開示の第20の態様に係る評価装置の制御プログラムの一例)が記憶されている。I/O50は、外部の装置との通信を行う。このI/O50には、カラーセンサ32(図3A及び図3B参照)が接続される。データ処理制御装置40は、データ処理制御プログラム48がROM46から読み出されてRAM44に展開され、RAM44に展開されたデータ処理制御プログラム48がCPU42によって実行されることで、データ処理部24(図1参照)として機能する。
【0057】
次に、本実施形態の作用として、図1に示される評価装置10においてデータ処理部24(データ処理制御装置40(図2参照))で実行される制御処理(評価装置10の制御方法)の流れの一例について、図4に示すフローチャートを参照して説明する。本実施形態では、一例として、図2に示されるデータ処理制御装置40の電源がオンされると、図4に示される制御処理の実行が開始される。
【0058】
図4に示される制御処理のステップ100において、データ処理部24は、モード選択部22で選択されたモード情報を取得する。
【0059】
ステップ100の次のステップ102において、データ処理部24は、先のステップ100で取得したモード情報に基づいて、第一モードが選択されたか否かを判定する。ステップ102の判定が否定された場合はステップ106へ移行し、ステップ102の判定が肯定された場合はステップ104へ移行する。
【0060】
ステップ104において、データ処理部24は、測色部12から測定結果である出力値を取得し、かつ情報入力部20で入力された測定対象の設計仕様の情報を取得する。ステップ104の次のステップ108において、データ処理部24は、第一モードが選択された状態で測色部12から出力された出力値及び情報入力部20からの情報に基づいて、測定対象の設計仕様毎に合格基準値を設定する。ステップ108の次はステップ114へ移行する。ステップ114については後述する。
【0061】
一方、ステップ106において、データ処理部24は、ステップ100で取得したモード情報に基づいて、第二モードが選択されたか否かを判定する。ステップ106の判定が否定された場合はステップ114へ移行し、ステップ106の判定が肯定された場合はステップ110へ移行する。
【0062】
ステップ110において、データ処理部24は、測色部12から測定結果である出力値を取得し、かつ情報入力部20で入力された測定対象の設計仕様の情報を取得する。ステップ110の次のステップ112において、データ処理部24は、第二モードが選択された状態で測色部12から出力された出力値を、その測定対象と同じ設計仕様の製品における合格基準値と比較して、合否を判定する。ここで、データ処理部24では、設計仕様を特定する入力情報と合格基準値とを対応付けて記憶したテーブルを判定部28が参照して合否を判定するので、効率的に合否の判定をすることができる。ステップ112の次はステップ114へ移行する。
【0063】
ステップ114において、データ処理部24は、データ処理制御装置40(図2参照)の電源がオフされたか否かを判定する。ステップ114の判定が否定された場合はステップ100へ戻り、ステップ114の判定が肯定されるまで、ステップ100~ステップ114を繰り返す。ステップ114の判定が肯定されると、図4に示す制御処理を終了する。
【0064】
次に、図3A及び図3Bに示されるカラーセンサ32及び図2に示されるデータ処理制御装置40を用いて検査対象物の表面状態を評価する方法、すなわち検査対象物の表面状態の評価方法について説明する。
【0065】
検査対象物の表面状態の評価方法においては、合格品の表面の一点を予め図3A及び図3Bに示されるカラーセンサ32により非接触で測定してその出力値に基づいてデータ処理制御装置40(図2参照)が合格基準値を設定する。その後にその合格品と同じ設計仕様の検査対象物の表面の一点をカラーセンサ32により非接触で測定し、その出力値を図2に示されるデータ処理制御装置40が前記合格基準値と比較して合否を判定する。具体的には、データ処理制御装置40は、図3A及び図3Bに示されるカラーセンサ32の出力値が前記合格基準値以上であれば合格と判定し、カラーセンサ32の出力値が前記合格基準値未満であれば不合格と判定する。
【0066】
検査対象物の表面状態の評価方法においては、検査対象物と同じ設計仕様の一個の合格品の表面の一点を予めカラーセンサ32で測定してその出力値を合格基準値として設定してもよいし、検査対象物と同じ設計仕様の複数個の合格品の表面の各々の一点を予めカラーセンサ32で測定してその出力値のうち最低の出力値を合格基準値として設定してもよい。
【0067】
次に、合否判定に関する試験例について図5図6A及び図6Bを参照しながら説明する。図5には、評価前の段階で検査対象物をショットブラストで表面加工している状態が模式的な側面図で示されている。図6A及び図6Bには、試験結果のグラフが示されている。
【0068】
まず、試験条件について概説する。検査対象物の表面加工前の対象物は、SS400(一般構造用圧延鋼材)の黒皮材(表面に酸化皮膜を備えるもの)であり、一辺50mmの正方形で厚さ6mmの試験片とされる。図5に示されるように、対象物Wに対してショットブラスト加工を行った。
【0069】
図6Aに結果が示される試験の第1のショットブラスト条件は、投射材として粒径0.8mmの球状の鋳鋼ショットを適用し、ショットブラストする際のエア圧力を0.1MPaとし、さらに、ショットブラスト加工時に図6Aに試験結果が示される送り速度で対象物を移動させた。図6Bに結果が示される試験の第2のショットブラスト条件は、投射材として粒径0.7mmで鋭角形状を備えた鋳鋼グリットを適用し、ショットブラストする際のエア圧力を0.08MPaとし、さらに、ショットブラスト加工時に図6Bに試験結果が示される送り速度で対象物を移動させた。
【0070】
図5を用いて補足説明すると、投射材を投射するショットブラスト用のエアノズルS1が固定された状態で対象物Wは移動装置S2によって矢印X方向に移動される。そして、対象物Wの送り速度を変えることで、投射密度を異ならせている。
【0071】
また、ショットブラスト後の錆の除去の評価は、熟練者により合否判定がなされ、合否判定の結果(つまり合格、不合格の結果)は図6A及び図6Bに示す通りである。一方、カラーセンサを用いて測定する際の測定モードはコントラストを重視したモード(コントラストモード)とした。
【0072】
図6A及び図6Bでは、縦軸にカラーセンサの出力値、横軸に送り速度を設定している。図6A及び図6Bに示されるように、合格品の出力値の最低値を通る線(点線)L1、L2を引くと、不合格品はすべてその線L1、L2よりも下の範囲に存在していることが判る。このことから、合格品の出力値の最低値を合格基準値とすれば良好に合否判定できることが判る。また、図6A及び図6Bより、ショットブラスト処理(広義には表面処理)のための設計仕様が異なると、合格基準値も変わることが判る。
【0073】
以上説明したように、本実施形態によれば、図3A及び図3Bに示されるカラーセンサ32(図1の測色部)を検査対象物に接触させないで合否の判定ができるので、処理時間を短く抑えることが可能となり、高速の製造ラインに適用することができる。なお、高速の製造ラインは、例えば、自動車業界、造船業界及び鉄鋼業界等の製造現場に設けられる。
【0074】
また、本実施形態では、表面状態の客観的な合否判定が可能であるうえ、例えば、エンジン部品のコンロッドのような複雑形状の部品や狭隘部にも適用できる。
【0075】
[第2の実施形態]
次に、本開示の第2の実施形態に係る検査対象物の表面状態の評価方法、評価装置、評価装置の制御方法及び評価装置の制御プログラムについて、図7図9を用いて説明する。本実施形態は以下に説明する点を除いて第1の実施形態と実質的に同様とされる。よって、第1の実施形態と実質的に同様の構成部については、同一符号を付して説明を省略する。
【0076】
図7には、本実施形態に係る評価装置70の概略構成がブロック図で示されている。図7に示されるように、本実施形態の評価装置70には、第1の実施形態の情報入力部20(図1参照)に対応する機能部が存在せず、データ処理部24に代えてデータ処理部72が設けられている。
【0077】
本実施形態の評価装置70は、特定の設計仕様の製品を検査対象物としてその表面状態を評価する評価装置である。評価装置70は、一例として、特定の製品専用のショットブラスト装置の付帯設備として設けられる。なお、モード選択部22は、第1の実施形態のモード選択部22と実質的に同様であるため、同一符号を付すが、モード選択部22で選択可能な第一モード及び第二モードのうち、本実施形態における第一モードは、運用上は特定の設計仕様の合格品の表面状態を測定する場合に選択されることになる。
【0078】
データ処理部72は、合格基準設定部74と判定部76とを備える。合格基準設定部74は、第一モードが選択された状態で測色部12から出力された出力値に基づいて、合格基準値を設定する機能部である。また、判定部76は、第二モードが選択された状態で測色部12から出力された出力値を、合格基準値と比較して、合否を判定する機能部である。
【0079】
合格基準設定部74は、第一モードが選択された状態で測色部12から出力された出力値のデータが一個である場合、当該出力値を合格基準値として設定する。また、合格基準設定部74は、第一モードが選択された状態で測色部12から出力された出力値のデータが複数個である場合、当該出力値の最低値を合格基準値として設定する。
【0080】
データ処理部72は、図8に示されるコンピュータとしてのデータ処理制御装置80によって合否判定のためのデータ処理制御を行う。図8には、データ処理制御装置80の概略構成がブロック図で示されている。
【0081】
図8に示されるように、データ処理制御装置80は、第1の実施形態のROM46(図2参照)に代えて、データ処理制御プログラム78(本開示の第19の態様に係る評価装置の制御プログラムの一例)が記憶されているROM47を有する。なお、ROM47は、第1の実施形態のROM46(図2参照)と同様に不揮発性の記憶部である。データ処理制御装置80の他の構成部であるCPU42、RAM44、入出力インタフェース部(I/O)50及びバス52については、第1の実施形態と同様とされている。このデータ処理制御装置80は、データ処理制御プログラム78がROM47から読み出されてRAM44に展開され、RAM44に展開されたデータ処理制御プログラム78がCPU42によって実行されることで、本実施形態におけるデータ処理部72(図7参照)として機能する。
【0082】
次に、本実施形態の作用として、図7に示される評価装置70においてデータ処理部72(データ処理制御装置80(図8参照))で実行される制御処理の流れの一例について、図9に示すフローチャートを参照して説明する。
【0083】
図9に示されるように、本実施形態の制御処理は、第1の実施形態の制御処理におけるステップ104、108(図4参照)に代えて、ステップ124、128が設定され、第1の実施形態の制御処理におけるステップ110、112(図4参照)に代えて、ステップ130、132が設定されている。以下においては、第1の実施形態の制御処理と異なる部分を説明する。
【0084】
ステップ102が肯定された場合に移行するステップ124、言い換えれば、第一モードが選択された場合において、データ処理部72は、測色部12から測定結果である出力値を取得する。ステップ124の次のステップ128において、データ処理部72は、第一モードが選択された状態で測色部12から出力された出力値に基づいて、合格基準値を設定する。ステップ128の次はステップ114へ移行する。
【0085】
また、ステップ106が肯定された場合に移行するステップ130、言い換えれば、第二モードが選択された場合において、データ処理部72は、測色部12による測定結果、つまり測色部12からの出力値を取得する。ステップ130の次のステップ132において、データ処理部72は、第二モードが選択された状態で測色部12から出力された出力値を、合格基準値と比較して、合否を判定する。ステップ132の次はステップ114へ移行する。
【0086】
以上説明した本実施形態の構成によっても、検査対象物に接触しないで合否の判定ができるので、高速の製造ラインに適用することができる。
【0087】
[第3の実施形態]
次に、本開示の第3の実施形態に係る検査対象物の表面状態の評価方法、評価装置、評価装置の制御方法及び評価装置の制御プログラムについて、図10図13を用いて説明する。本実施形態は以下に説明する点を除いて第1の実施形態と実質的に同様とされる。よって、第1の実施形態と実質的に同様の構成部については、同一符号を付して説明を省略する。
【0088】
図10には、本実施形態に係る評価装置200の概略構成がブロック図で示されている。図10に示されるように、本実施形態の評価装置200には、距離測定部202が設けられると共に、第1の実施形態のデータ処理部24(図1参照)に代えてデータ処理部204が設けられている。
【0089】
距離測定部202は、測色部12と一体化されて図12に示される測定機器としてのカラーセンサ32Aを構成してカラーセンサ32Aにおける測定対象側を向く所定部位と測定対象T2との間における投光部14の光照射中心軸方向14Xに沿った離間距離Lを測定対象T2に対して非接触で測定する。距離測定部202は、距離測定計で構成されており、距離測定計には、レーザー距離計、渦電流距離計等を適用することができる。本実施形態では、距離測定部202は、投光部14の横に配置されている。なお、測定対象T2に対するカラーセンサ32Aの位置が変えられていない状態で測色部12及び距離測定部202がそれぞれ測定して出力した出力値は、データ処理部204(図10参照)によって、自動的に又はユーザからの入力情報に基づいて、互いに対応付けられて記憶されるようになっている。
【0090】
図10に示されるように、データ処理部204は、合格基準設定部26、補正係数算出部206及び判定部208を備える。補正係数算出部206は、互いに対応付けられて記憶された、第一モードが選択された状態で測色部12から出力された出力値と、第一モードが選択された状態で距離測定部202から出力された出力値と、の関係、及び情報入力部20からの情報に基づいて、測定対象の設計仕様毎に、図12に示されるカラーセンサ32Aにおける測定対象側を向く所定部位と測定対象T2との間における投光部14の光照射中心軸方向14Xに沿った離間距離Lに応じた補正係数を算出する機能部である。なお、補正係数は、図10に示される測色部12の距離依存性を精度良く把握することで精度良く算出される。
【0091】
判定部208は、第二モードが選択された状態で測色部12から出力された出力値を、第二モードが選択された状態で距離測定部202から出力された出力値及びその測定対象の設計仕様の情報、に応じた補正係数によって補正し、その補正値(言い換えれば測色部12から出力された出力値をその測定時の測定条件に応じて所定の基準に基づいて補正した補正値)を、その測定対象と同じ設計仕様の製品における合格基準値と比較して、合否を判定する機能部である。
【0092】
データ処理部204は、図11に示されるコンピュータとしてのデータ処理制御装置210によって合否判定のためのデータ処理制御を行う。図11には、データ処理制御装置210の概略構成がブロック図で示されている。
【0093】
図11に示されるように、データ処理制御装置210は、第1の実施形態のROM46(図2参照)に代えて、データ処理制御プログラム214(本開示の第20の態様に係る評価装置の制御プログラムの一例)が記憶されているROM212を有する。なお、ROM212は、第1の実施形態のROM46(図2参照)と同様に不揮発性の記憶部である。データ処理制御装置210の他の構成部であるCPU42、RAM44、入出力インタフェース部(I/O)50及びバス52については、第1の実施形態と同様とされている。なお、本実施形態のI/O50には、距離測定部202(図12参照)も接続されている。データ処理制御装置210は、データ処理制御プログラム214がROM212から読み出されてRAM44に展開され、RAM44に展開されたデータ処理制御プログラム214がCPU42によって実行されることで、本実施形態におけるデータ処理部204(図10参照)として機能する。
【0094】
次に、本実施形態の作用として、図10に示される評価装置200においてデータ処理部204(データ処理制御装置210(図11参照))で実行される制御処理の流れの一例について、図13に示すフローチャートを参照して説明する。
【0095】
図13に示されるように、本実施形態の制御処理は、第1の実施形態の制御処理におけるステップ104、108(図4参照)に代えて、ステップ134、136が設定され、第1の実施形態の制御処理におけるステップ110、112(図4参照)に代えて、ステップ138、140、142が設定されている。以下においては、第1の実施形態の制御処理と異なる部分を説明する。
【0096】
ステップ102が肯定された場合に移行するステップ134、言い換えれば、第一モードが選択された場合において、データ処理部204は、第一モードが選択された状態で測色部12及び距離測定部202からそれぞれ出力された測定結果である出力値を取得し、かつ情報入力部20で入力された測定対象の設計仕様の情報を取得する。ステップ134の次のステップ136において、データ処理部204は、合格基準設定部26が測定対象の設計仕様毎に合格基準値を設定し、かつ補正係数算出部206が、測定対象の設計仕様毎に、カラーセンサ32Aにおける測定対象側を向く所定部位と測定対象T2との間における投光部14の光照射中心軸方向14Xに沿った離間距離Lに応じた補正係数を算出する。このとき、補正係数算出部206は、互いに対応付けられて記憶された、第一モードが選択された状態で測色部12から出力された出力値と、第一モードが選択された状態で距離測定部202から出力された出力値と、の関係、及び情報入力部20からの情報に基づいて、離間距離Lに応じた補正係数を算出する。ステップ136の次はステップ114へ移行する。
【0097】
また、ステップ106が肯定された場合に移行するステップ138、言い換えれば、第二モードが選択された場合において、データ処理部204は、第二モードが選択された状態で測色部12及び距離測定部202からそれぞれ出力された測定結果である出力値を取得し、かつ情報入力部20で入力された測定対象の設計仕様の情報を取得する。ステップ138の次のステップ140において、データ処理部204の判定部208は、第二モードが選択された状態で測色部12から出力された出力値を、第二モードが選択された状態で距離測定部202から出力された出力値及びその測定対象の設計仕様の情報、に応じた補正係数によって補正する。ステップ140の次のステップ142において、データ処理部204の判定部208は、ステップ140で求めた補正値(言い換えれば測色部12から出力された出力値をその測定時の測定条件に応じて所定の基準に基づいて補正した補正値)を、その測定対象と同じ設計仕様の製品における合格基準値と比較して、合否を判定する。ステップ142の次はステップ114へ移行する。
【0098】
次に、図12に示されるカラーセンサ32A、距離測定部202、及び図11に示されるデータ処理制御装置210を用いて検査対象物の表面状態を評価する方法、すなわち検査対象物の表面状態の評価方法について説明する。
【0099】
検査対象物の表面状態の評価方法においては、検査対象物の表面の一点を図12に示されるカラーセンサ32Aにより測定する前に、カラーセンサ32Aにおける測定対象側を向く所定部位と合格品の表面との間における投光部14の光照射中心軸方向14Xに沿った離間距離Lを変えた複数のパターンで、カラーセンサ32Aの測色部12により合格品の表面の一点を測定しかつカラーセンサ32Aに組み込まれた距離測定計である距離測定部202により離間距離Lを測定し、データ処理制御装置210(より具体的には図10の補正係数算出部206)が複数のパターンにおける距離測定部202の出力値とカラーセンサ32Aの色に関する出力値との関係から離間距離Lに応じた補正係数を算出する。また、データ処理制御装置210(より具体的には図10の合格基準設定部26)は、カラーセンサ32Aの色に関する出力値に基づいて合格基準値を設定する。
【0100】
その後、合格品と同じ設計仕様の検査対象物の表面の一点をカラーセンサ32Aの測色部12により非接触で測定する。また、カラーセンサ32Aに組み込まれた距離測定計である距離測定部202により、検査対象物の測定時の位置に配置されたカラーセンサ32Aにおける測定対象側を向く所定部位と、検査対象物の表面と、の間における投光部14の光照射中心軸方向14Xに沿った離間距離Lを検査対象物に非接触で測定する。そして、データ処理制御装置210(図11参照、より具体的には図10の判定部208)は、検査対象物の表面の一点をカラーセンサ32Aの測色部12により非接触で測定した時の色に関する出力値を、補正係数の算出後に距離測定部202により測定された値に応じた補正係数によって補正し、その補正値(言い換えれば、カラーセンサ32Aの測色部12から出力された色に関する出力値をその測定時の測定条件に応じて所定の基準に基づいて補正した補正値)を合格基準値と比較して合否を判定する。
【0101】
以上説明した本実施形態の構成によっても、検査対象物に接触しないで合否の判定ができるので、高速の製造ラインに適用することができる。また、本実施形態では、カラーセンサ32Aの投光部14と検査対象物の表面の測定点との間の離間距離がばらついても、精度良く合否を判定することができる。
【0102】
[第4の実施形態]
次に、本開示の第4の実施形態に係る検査対象物の表面状態の評価方法、評価装置、評価装置の制御方法及び評価装置の制御プログラムについて、図14図16を用いて説明する。本実施形態は以下に説明する点を除いて第3の実施形態と実質的に同様とされる。よって、第3の実施形態と実質的に同様の構成部については、同一符号を付して説明を省略する。
【0103】
図14には、本実施形態に係る評価装置220の概略構成がブロック図で示されている。図14に示されるように、本実施形態の評価装置220には、第3の実施形態の情報入力部20(図10参照)に対応する機能部が存在せず、データ処理部204に代えてデータ処理部222が設けられている。なお、データ処理部222は、第3の実施形態におけるデータ処理部204と同様に、測定対象T2(図12参照)に対するカラーセンサ32Aの位置が変えられていない状態で測色部12及び距離測定部202がそれぞれ測定して出力した出力値を、自動的に又はユーザからの入力情報に基づいて、互いに対応付けて記憶するようになっている。
【0104】
本実施形態の評価装置220は、第2の実施形態と同様に、特定の設計仕様の製品を検査対象物としてその表面状態を評価する評価装置である。なお、モード選択部22は、第3の実施形態のモード選択部22と実質的に同様であるため、同一符号を付すが、モード選択部22で選択可能な第一モード及び第二モードのうち、本実施形態における第一モードは、運用上は特定の設計仕様の合格品の表面状態を測定する場合に選択されることになる。
【0105】
データ処理部222は、合格基準設定部74、補正係数算出部224及び判定部226を備える。合格基準設定部74は、第2の実施形態における合格基準設定部74と同様の機能部であるため、詳細説明を省略する。
【0106】
補正係数算出部224は、互いに対応付けられて記憶された、第一モードが選択された状態で測色部12から出力された出力値と、第一モードが選択された状態で距離測定部202から出力された出力値と、の関係に基づいて、測色部12における測定対象側を向く所定部位と測定対象T2(図12参照)との間における投光部14の光照射中心軸方向14X(図12参照)に沿った離間距離L(図12参照)に応じた補正係数を算出する機能部である。また、判定部226は、第二モードが選択された状態で測色部12から出力された出力値を、第二モードが選択された状態で距離測定部202から出力された出力値に応じた補正係数によって補正し、その補正値(言い換えれば、測色部12から出力された出力値をその測定時の測定条件に応じて所定の基準に基づいて補正した補正値)を合格基準値と比較して合否を判定する機能部である。
【0107】
データ処理部222は、図15に示されるコンピュータとしてのデータ処理制御装置230によって合否判定のためのデータ処理制御を行う。図15には、データ処理制御装置230の概略構成がブロック図で示されている。
【0108】
図15に示されるように、データ処理制御装置230は、第3の実施形態のROM212(図11参照)に代えて、データ処理制御プログラム234(本開示の第19の態様に係る評価装置の制御プログラムの一例)が記憶されているROM232を有する。なお、ROM232は、第3の実施形態のROM212(図11参照)と同様に不揮発性の記憶部である。データ処理制御装置230の他の構成部であるCPU42、RAM44、入出力インタフェース部(I/O)50及びバス52については、第3の実施形態と同様とされている。このデータ処理制御装置230は、データ処理制御プログラム234がROM232から読み出されてRAM44に展開され、RAM44に展開されたデータ処理制御プログラム234がCPU42によって実行されることで、本実施形態におけるデータ処理部222(図14参照)として機能する。
【0109】
次に、本実施形態の作用として、図14に示される評価装置220においてデータ処理部222(データ処理制御装置230(図15参照))で実行される制御処理の流れの一例について、図16に示すフローチャートを参照して説明する。
【0110】
図16に示されるように、本実施形態の制御処理は、第3の実施形態の制御処理におけるステップ134、136(図13参照)に代えて、ステップ144、146が設定され、第3の実施形態の制御処理におけるステップ138、140、142(図13参照)に代えて、ステップ148、150、152が設定されている。以下においては、第3の実施形態の制御処理と異なる部分を説明する。
【0111】
ステップ102が肯定された場合に移行するステップ144、言い換えれば、第一モードが選択された場合において、データ処理部222は、第一モードが選択された状態で測色部12及び距離測定部202からそれぞれ出力された測定結果である出力値を取得する。ステップ144の次のステップ146において、データ処理部222は、合格基準設定部74が合格基準値を設定し、かつ補正係数算出部224が測色部12における測定対象側を向く所定部位と測定対象T2との間における投光部14の光照射中心軸方向14Xに沿った離間距離Lに応じた補正係数を算出する。このとき、補正係数算出部224は、互いに対応付けられて記憶された、第一モードが選択された状態で測色部12から出力された出力値と、第一モードが選択された状態で距離測定部202から出力された出力値と、の関係に基づいて、離間距離Lに応じた補正係数を算出する。ステップ146の次はステップ114へ移行する。
【0112】
また、ステップ106が肯定された場合に移行するステップ148、言い換えれば、第二モードが選択された場合において、データ処理部222は、第二モードが選択された状態で測色部12及び距離測定部202からそれぞれ出力された測定結果である出力値を取得する。ステップ148の次のステップ150において、データ処理部222の判定部226は、第二モードが選択された状態で測色部12から出力された出力値を、第二モードが選択された状態で距離測定部202から出力された出力値に応じた補正係数によって補正する。ステップ150の次のステップ152において、データ処理部222の判定部226は、ステップ150で求めた補正値(言い換えれば、測色部12から出力された出力値をその測定時の測定条件に応じて所定の基準に基づいて補正した補正値)を合格基準値と比較して合否を判定する。ステップ152の次はステップ114へ移行する。
【0113】
なお、図14に示される評価装置220を用いれば、第3の実施形態と同様に、検査対象物の表面状態の評価方法を実行することができる。
【0114】
以上説明した本実施形態の構成によっても、検査対象物に接触しないで合否の判定ができるので、高速の製造ラインに適用することができる。また、本実施形態では、第3の実施形態と同様に、投光部14と検査対象物の表面の測定点との間の離間距離がばらついても、精度良く合否を判定することができる。
【0115】
[第5の実施形態]
次に、本開示の第5の実施形態に係る検査対象物の表面状態の評価方法、評価装置、評価装置の制御方法及び評価装置の制御プログラムについて、図17図20を用いて説明する。本実施形態は以下に説明する点を除いて第1の実施形態と実質的に同様とされる。よって、第1の実施形態と実質的に同様の構成部については、同一符号を付して説明を省略する。
【0116】
図17には、本実施形態に係る評価装置240の概略構成がブロック図で示されている。図17に示されるように、本実施形態の評価装置240には、二つの距離測定部としての第一距離測定部242及び第二距離測定部244が設けられると共に、第1の実施形態のデータ処理部24(図1参照)に代えてデータ処理部246が設けられている。
【0117】
第一距離測定部242及び第二距離測定部244は、測色部12に対して図19に示される投光部14及び受光部16が並ぶ方向の両側に配置され、測色部12と一体化されて測定機器としてのカラーセンサ32Bを構成している。第一距離測定部242及び第二距離測定部244は、カラーセンサ32Bにおける測定対象側を向く所定部位と測定対象T2との間における投光部14の光照射中心軸方向14Xに沿った離間距離La、Lbを測定対象T2に対して非接触でそれぞれ測定する。第一距離測定部242及び第二距離測定部244は、第3の実施形態の距離測定部202と同様に、距離測定計で構成されており、距離測定計には、レーザー距離計、渦電流距離計等を適用することができる。なお、測定対象T2に対するカラーセンサ32Bの位置が変えられていない状態で測色部12、第一距離測定部242及び第二距離測定部244がそれぞれ測定して出力した出力値は、データ処理部246(図17参照)によって、自動的に又はユーザからの入力情報に基づいて、互いに対応付けられて記憶されるようになっている。
【0118】
図17に示されるように、データ処理部246は、合格基準設定部26、距離傾度算出部248、補正係数算出部250及び判定部252を備える。距離傾度算出部248は、第一距離測定部242及び第二距離測定部244からそれぞれ出力された出力値から、図19に示されるカラーセンサ32Bにおける測定対象側を向く所定部位と測定対象T2との間における投光部14の光照射中心軸方向14Xに沿った離間距離La、Lbの平均値を算出し、かつ測定対象面62に垂直な方向に対する投光部14の光照射中心軸方向14Xの傾きを算出する機能部である。
【0119】
図17に示される補正係数算出部250は、互いに対応付けられて記憶された、第一モードが選択された状態で測色部12から出力された出力値と、第一モードが選択された状態で第一距離測定部242及び第二距離測定部244からそれぞれ出力された出力値に基づいて距離傾度算出部248が算出した算出値と、の関係、及び情報入力部20からの情報に基づいて、測定対象の設計仕様毎に、図19に示されるカラーセンサ32Bにおける測定対象側を向く所定部位と測定対象T2との間における投光部14の光照射中心軸方向14Xに沿った離間距離La、Lbの平均値である平均離間距離及び測定対象面62に垂直な方向に対する投光部14の光照射中心軸方向14Xの傾き、に応じた補正係数を算出する機能部である。
【0120】
また、図17に示される判定部252は、第二モードが選択された状態で測色部12から出力された出力値を、第二モードが選択された状態で第一距離測定部242及び第二距離測定部244からそれぞれ出力された出力値に基づいて距離傾度算出部248が算出した算出値及びその測定対象の設計仕様の情報、に応じた補正係数によって補正し、その補正値(言い換えれば測色部12から出力された出力値をその測定時の測定条件に応じて所定の基準に基づいて補正した補正値)を、その測定対象と同じ設計仕様の製品における合格基準値と比較して、合否を判定する機能部である。
【0121】
データ処理部246は、図18に示されるコンピュータとしてのデータ処理制御装置260によって合否判定のためのデータ処理制御を行う。図18には、データ処理制御装置260の概略構成がブロック図で示されている。
【0122】
図18に示されるように、データ処理制御装置260は、第1の実施形態のROM46(図2参照)に代えて、データ処理制御プログラム264(本開示の第20の態様に係る評価装置の制御プログラムの一例)が記憶されているROM262を有する。なお、ROM262は、第1の実施形態のROM46(図2参照)と同様に不揮発性の記憶部である。データ処理制御装置260の他の構成部であるCPU42、RAM44、入出力インタフェース部(I/O)50及びバス52については、第1の実施形態と同様とされている。なお、本実施形態のI/O50には、第一距離測定部242及び第二距離測定部244(いずれも図19参照)も接続されている。このデータ処理制御装置260は、データ処理制御プログラム264がROM262から読み出されてRAM44に展開され、RAM44に展開されたデータ処理制御プログラム264がCPU42によって実行されることで、本実施形態におけるデータ処理部246(図17参照)として機能する。
【0123】
次に、本実施形態の作用として、図17に示される評価装置240においてデータ処理部246(データ処理制御装置260(図18参照))で実行される制御処理の流れの一例について、図20に示すフローチャートを参照して説明する。
【0124】
図20に示されるように、本実施形態の制御処理は、第1の実施形態の制御処理におけるステップ104、108(図4参照)に代えて、ステップ154、156が設定され、第1の実施形態の制御処理におけるステップ110、112(図4参照)に代えて、ステップ158、160、162が設定されている。以下においては、第1の実施形態の制御処理と異なる部分を説明する。
【0125】
ステップ102が肯定された場合に移行するステップ154、言い換えれば、第一モードが選択された場合において、データ処理部246は、第一モードが選択された状態で測色部12、第一距離測定部242及び第二距離測定部244からそれぞれ出力された測定結果である出力値を取得し、かつ情報入力部20で入力された測定対象の設計仕様の情報を取得する。
【0126】
ステップ154の次のステップ156において、データ処理部246は、合格基準設定部26が測定対象の設計仕様毎に合格基準値を設定する。また、ステップ156において、データ処理部246は、距離傾度算出部248が前述した所定の演算を行った後、補正係数算出部250が、測定対象の設計仕様毎に、カラーセンサ32Bにおける測定対象側を向く所定部位と測定対象T2との間における投光部14の光照射中心軸方向14Xに沿った離間距離La、Lbの平均値である平均離間距離及び測定対象面62に垂直な方向に対する投光部14の光照射中心軸方向14Xの傾き、に応じた補正係数を算出する。補足説明すると、補正係数算出部250が補正係数を算出するに先立ち、距離傾度算出部248は、第一モードが選択された状態で第一距離測定部242及び第二距離測定部244からそれぞれ出力された出力値から、カラーセンサ32Bにおける測定対象側を向く所定部位と測定対象T2との間における投光部14の光照射中心軸方向14Xに沿った離間距離La、Lbの平均値を算出し、かつ測定対象面62に垂直な方向に対する投光部14の光照射中心軸方向14Xの傾きを算出する。そして、補正係数算出部250は、互いに対応付けられて記憶された、第一モードが選択された状態で測色部12から出力された出力値と、第一モードが選択された状態で第一距離測定部242及び第二距離測定部244からそれぞれ出力された出力値に基づいて距離傾度算出部248が算出した算出値と、の関係、及び情報入力部20からの情報に基づいて、前記平均離間距離及び前記傾きに応じた補正係数を算出する。ステップ156の次はステップ114へ移行する。
【0127】
また、ステップ106が肯定された場合に移行するステップ158、言い換えれば、第二モードが選択された場合において、データ処理部246は、第二モードが選択された状態で測色部12、第一距離測定部242及び第二距離測定部244からそれぞれ出力された測定結果である出力値を取得し、かつ情報入力部20で入力された測定対象の設計仕様の情報を取得する。
【0128】
ステップ158の次のステップ160において、データ処理部246は、第二モードが選択された状態で測色部12から出力された出力値を補正する。より具体的に説明すると、まず、データ処理部246の距離傾度算出部248は、第二モードが選択された状態で第一距離測定部242及び第二距離測定部244からそれぞれ出力された出力値から、カラーセンサ32Bにおける測定対象側を向く所定部位と測定対象T2との間における投光部14の光照射中心軸方向14Xに沿った離間距離La、Lbの平均値を算出し、かつ測定対象面62に垂直な方向に対する投光部14の光照射中心軸方向14Xの傾きを算出する。そして、データ処理部246の判定部252は、第二モードが選択された状態で測色部12から出力された出力値を、第二モードが選択された状態で第一距離測定部242及び第二距離測定部244からそれぞれ出力された出力値に基づいて距離傾度算出部248が算出した算出値及びその測定対象の設計仕様の情報、に応じた補正係数によって補正する。
【0129】
ステップ160の次のステップ162において、データ処理部246の判定部252は、ステップ160で求めた補正値(言い換えれば測色部12から出力された出力値をその測定時の測定条件に応じて所定の基準に基づいて補正した補正値)を、その測定対象と同じ設計仕様の製品における合格基準値と比較して、合否を判定する。ステップ162の次はステップ114へ移行する。
【0130】
次に、図19に示されるカラーセンサ32B、第一距離測定部242及び第二距離測定部244、及び図18に示されるデータ処理制御装置260を用いて検査対象物の表面状態を評価する方法、すなわち検査対象物の表面状態の評価方法について説明する。
【0131】
検査対象物の表面状態の評価方法においては、検査対象物の表面の一点を図19に示されるカラーセンサ32Bにより測定する前に、カラーセンサ32Bにおける測定対象側を向く所定部位と合格品の表面との間における投光部14の光照射中心軸方向14Xに沿った離間距離La、Lb、及び合格品の表面の測定部分に垂直な方向に対する投光部14の光照射中心軸方向14Xの傾き、の条件を変えた複数のパターンで、カラーセンサ32Bにより合格品の表面の一点を測定しかつ投光部14及び受光部16が並ぶ方向の両側においてカラーセンサ32Bに組み込まれた二つの距離測定計である第一距離測定部242及び第二距離測定部244により離間距離La、Lbをそれぞれ測定する。更に、データ処理制御装置260(より具体的には図17の距離傾度算出部248)が、第一距離測定部242及び第二距離測定部244による測定結果から、離間距離La、Lbの平均値と前記傾きとを第1のデータとして算出する。そして、データ処理制御装置260(より具体的には図17の補正係数算出部250)が、複数のパターンにおけるカラーセンサ32Bの色に関する出力値と前記第1のデータとの関係から、離間距離La、Lbの平均値である平均離間距離及び前記傾きに応じた補正係数を予め算出する。また、データ処理制御装置260(より具体的には図17の合格基準設定部26)は、カラーセンサ32Bの色に関する出力値に基づいて合格基準値を設定する。
【0132】
その後、合格品と同じ設計仕様の検査対象物の表面の一点をカラーセンサ32Bの測色部12により非接触で測定する。また、投光部14及び受光部16が並ぶ方向の両側においてカラーセンサ32Bに組み込まれた二つの距離測定計である第一距離測定部242及び第二距離測定部244により、検査対象物の測定時の位置に配置されたカラーセンサ32Bにおける測定対象側を向く所定部位と、検査対象物の表面と、の間における投光部14の光照射中心軸方向14Xに沿った離間距離La、Lbを、検査対象物に非接触でそれぞれ測定する。更に、データ処理制御装置260(より具体的には図17の距離傾度算出部248)が、その二つの測定結果から、離間距離La、Lbの平均値と、検査対象物の表面の測定部分に垂直な方向に対する投光部14の光照射中心軸方向14Xの傾きと、を第2のデータとして算出する。そして、データ処理制御装置260(より具体的には図17の判定部252)は、検査対象物の表面の一点をカラーセンサ32Bの測色部12により非接触で測定した時の色に関する出力値を、前記第2のデータに応じた補正係数によって補正し、その補正値(言い換えれば、カラーセンサ32Bの測色部12から出力された色に関する出力値をその測定時の測定条件に応じて所定の基準に基づいて補正した補正値)を合格基準値と比較して合否を判定する。
【0133】
以上説明した本実施形態の構成によっても、検査対象物に接触しないで合否の判定ができるので、高速の製造ラインに適用することができる。また、本実施形態では、カラーセンサ32Bの投光部14と検査対象物の表面の測定点との間の離間距離、及び、投光部14の光照射中心軸方向14Xの傾きの両方又は一方がばらついても、精度良く合否を判定することができる。このため、本実施形態では、例えば、検査対象物の表面が湾曲する場合や検査対象物が丸棒状の場合にも、精度良く合否を判定することができる。
【0134】
[第6の実施形態]
次に、本開示の第6の実施形態に係る検査対象物の表面状態の評価方法、評価装置、評価装置の制御方法及び評価装置の制御プログラムについて、図21図23を用いて説明する。本実施形態は以下に説明する点を除いて第5の実施形態と実質的に同様とされる。よって、第5の実施形態と実質的に同様の構成部については、同一符号を付して説明を省略する。
【0135】
図21には、本実施形態に係る評価装置270の概略構成がブロック図で示されている。図21に示されるように、本実施形態の評価装置270には、第5の実施形態の情報入力部20(図17参照)に対応する機能部が存在せず、データ処理部246に代えてデータ処理部272が設けられている。なお、データ処理部272は、第5の実施形態におけるデータ処理部246と同様に、測定対象T2(図19参照)に対するカラーセンサ32Bの位置が変えられていない状態で測色部12、第一距離測定部242及び第二距離測定部244がそれぞれ測定して出力した出力値を、自動的に又はユーザからの入力情報に基づいて、互いに対応付けて記憶するようになっている。
【0136】
本実施形態の評価装置270は、第2、第4の実施形態と同様に、特定の設計仕様の製品を検査対象物としてその表面状態を評価する評価装置である。なお、モード選択部22は、第5の実施形態のモード選択部22と実質的に同様であるため、同一符号を付すが、モード選択部22で選択可能な第一モード及び第二モードのうち、本実施形態における第一モードは、運用上は特定の設計仕様の合格品の表面状態を測定する場合に選択されることになる。
【0137】
データ処理部272は、合格基準設定部74、距離傾度算出部248、補正係数算出部274、及び判定部276を備える。合格基準設定部74は、第2、第4の実施形態における合格基準設定部74と同様の機能部である。また、距離傾度算出部248は、第5の実施形態における距離傾度算出部248と同様の機能部である。
【0138】
補正係数算出部274は、互いに対応付けられて記憶された、第一モードが選択された状態で測色部12から出力された出力値と、第一モードが選択された状態で第一距離測定部242及び第二距離測定部244からそれぞれ出力された出力値に基づいて距離傾度算出部248が算出した算出値と、の関係に基づいて、図19に示されるカラーセンサ32Bにおける測定対象側を向く所定部位と測定対象T2との間における投光部14の光照射中心軸方向14Xに沿った離間距離La、Lbの平均値である平均離間距離及び測定対象面62に垂直な方向に対する投光部14の光照射中心軸方向14Xの傾き、に応じた補正係数を算出する機能部である。
【0139】
また、図21に示される判定部276は、第二モードが選択された状態で測色部12から出力された出力値を、第二モードが選択された状態で第一距離測定部242及び第二距離測定部244からそれぞれ出力された出力値に基づいて距離傾度算出部248が算出した算出値に応じた補正係数によって補正し、その補正値(言い換えれば、測色部12から出力された出力値をその測定時の測定条件に応じて所定の基準に基づいて補正した補正値)を合格基準値と比較して合否を判定する機能部である。
【0140】
データ処理部272は、図22に示されるコンピュータとしてのデータ処理制御装置280によって合否判定のためのデータ処理制御を行う。図22には、データ処理制御装置280の概略構成がブロック図で示されている。
【0141】
図22に示されるように、データ処理制御装置280は、第5の実施形態のROM262(図18参照)に代えて、データ処理制御プログラム284(本開示の第19の態様に係る評価装置の制御プログラムの一例)が記憶されているROM282を有する。なお、ROM282は、第5の実施形態のROM262(図18参照)と同様に不揮発性の記憶部である。データ処理制御装置280の他の構成部であるCPU42、RAM44、入出力インタフェース部(I/O)50及びバス52については、第5の実施形態と同様とされている。このデータ処理制御装置280は、データ処理制御プログラム284がROM282から読み出されてRAM44に展開され、RAM44に展開されたデータ処理制御プログラム284がCPU42によって実行されることで、本実施形態におけるデータ処理部272(図21参照)として機能する。
【0142】
次に、本実施形態の作用として、図21に示される評価装置270においてデータ処理部272(データ処理制御装置280(図22参照))で実行される制御処理の流れの一例について、図23に示すフローチャートを参照して説明する。
【0143】
図23に示されるように、本実施形態の制御処理は、第5の実施形態の制御処理におけるステップ154、156(図20参照)に代えて、ステップ164、166が設定され、第5の実施形態の制御処理におけるステップ158、160、162(図20参照)に代えて、ステップ168、170、172が設定されている。以下においては、第5の実施形態の制御処理と異なる部分を説明する。
【0144】
ステップ102が肯定された場合に移行するステップ164、言い換えれば、第一モードが選択された場合において、データ処理部272は、測色部12、第一距離測定部242及び第二距離測定部244からそれぞれ出力された測定結果である出力値を取得する。
【0145】
ステップ164の次のステップ166において、データ処理部272は、合格基準設定部74が合格基準値を設定する。また、ステップ166において、データ処理部272は、距離傾度算出部248が前述した所定の演算を行った後、補正係数算出部274が、カラーセンサ32Bにおける測定対象側を向く所定部位と測定対象T2との間における投光部14の光照射中心軸方向14Xに沿った離間距離La、Lbの平均値である平均離間距離及び測定対象面62に垂直な方向に対する投光部14の光照射中心軸方向14Xの傾き、に応じた補正係数を算出する。補足説明すると、補正係数算出部274が補正係数を算出するに先立ち、距離傾度算出部248は、第一モードが選択された状態で第一距離測定部242及び第二距離測定部244からそれぞれ出力された出力値から、カラーセンサ32Bにおける測定対象側を向く所定部位と測定対象T2との間における投光部14の光照射中心軸方向14Xに沿った離間距離La、Lbの平均値を算出し、かつ測定対象面62に垂直な方向に対する投光部14の光照射中心軸方向14Xの傾きを算出する。そして、補正係数算出部274は、互いに対応付けられて記憶された、第一モードが選択された状態で測色部12から出力された出力値と、第一モードが選択された状態で第一距離測定部242及び第二距離測定部244からそれぞれ出力された出力値に基づいて距離傾度算出部248が算出した算出値と、の関係に基づいて、前記平均離間距離及び前記傾きに応じた補正係数を算出する。ステップ166の次はステップ114へ移行する。
【0146】
また、ステップ106が肯定された場合に移行するステップ168、言い換えれば、第二モードが選択された場合において、データ処理部272は、第二モードが選択された状態で測色部12、第一距離測定部242及び第二距離測定部244からそれぞれ出力された測定結果である出力値を取得する。ステップ168の次のステップ170において、データ処理部272は、第二モードが選択された状態で測色部12から出力された出力値を補正する。より具体的に説明すると、まず、データ処理部272の距離傾度算出部248は、第二モードが選択された状態で第一距離測定部242及び第二距離測定部244からそれぞれ出力された出力値から、カラーセンサ32Bにおける測定対象側を向く所定部位と測定対象T2との間における投光部14の光照射中心軸方向14Xに沿った離間距離La、Lbの平均値を算出し、かつ測定対象面62に垂直な方向に対する投光部14の光照射中心軸方向14Xの傾きを算出する。そして、データ処理部246の判定部276は、第二モードが選択された状態で測色部12から出力された出力値を、第二モードが選択された状態で第一距離測定部242及び第二距離測定部244からそれぞれ出力された出力値に基づいて距離傾度算出部248が算出した算出値に応じた補正係数によって補正する。
【0147】
ステップ170の次のステップ172において、データ処理部272の判定部276は、ステップ170で求めた補正値(言い換えれば、測色部12から出力された出力値をその測定時の測定条件に応じて所定の基準に基づいて補正した補正値)を合格基準値と比較して合否を判定する。ステップ172の次はステップ114へ移行する。
【0148】
なお、図21に示される評価装置270を用いれば、第5の実施形態と同様に、検査対象物の表面状態の評価方法を実行することができる。
【0149】
以上説明した本実施形態の構成によっても、検査対象物に接触しないで合否の判定ができるので、高速の製造ラインに適用することができる。また、本実施形態では、第5の実施形態と同様に、投光部14と検査対象物の表面の測定点との間の離間距離、及び、投光部14の光照射中心軸方向14Xの傾きの両方又は一方がばらついても、精度良く合否を判定することができる。
【0150】
[実施形態の補足説明]
上記第1の実施形態、第3の実施形態及び第5の実施形態では、図1図10及び図17に示される合格基準設定部26は、第一モードが選択された状態で測色部12から出力された出力値のデータが、その測定対象の設計仕様の情報で分類した設計仕様別のカテゴリー内で一個である場合と複数個である場合とに場合分けをして合格基準値を設定している。しかし、例えば、第一モードが選択された状態で測色部12によって測定される設計仕様毎の製品(合格品)の数が必ず一個であることが前提である場合には、第一モードが選択された状態で測色部12によって測定される設計仕様毎の製品(合格品)の数が複数個である場合を想定したロジックを設けなくてもよい。また、第一モードが選択された状態で測色部12によって測定される設計仕様毎の製品(合格品)の数が必ず複数個であることが前提である場合には、第一モードが選択された状態で測色部12によって測定される設計仕様毎の製品(合格品)の数が一個である場合を想定したロジックを設けなくてもよい。
【0151】
また、上記第2の実施形態、第4の実施形態及び第6の実施形態では、図7図14及び図21に示される合格基準設定部74は、第一モードが選択された状態で測色部12から出力された出力値のデータが一個である場合と複数個である場合とに場合分けをして合格基準値を設定している。しかし、例えば、第一モードが選択された状態で測色部12によって測定される製品(合格品)の数が必ず一個であることが前提である場合には、第一モードが選択された状態で測色部12によって測定される製品(合格品)の数が複数個である場合を想定したロジックを設けなくてもよい。また、第一モードが選択された状態で測色部12によって測定される製品(合格品)の数が必ず複数個であることが前提である場合には、第一モードが選択された状態で測色部12によって測定される製品(合格品)の数が一個である場合を想定したロジックを設けなくてもよい。
【0152】
また、上記第1の実施形態では、図1に示されるデータ処理部24は、合格基準値の設定に用いた製品の設計仕様を特定する入力情報と、合格基準設定部26が設定した合格基準値と、を対応付けてテーブルに記憶すると共に、判定部28が前記テーブルを参照して合否を判定している。このような構成は、効率的に(スピーディーに)合否を判定する観点から好ましく、上記第3の実施形態及び第5の実施形態においても、同様の構成が適用されている。しかし、データ処理部は、例えば、上記テーブルを有さないで、第一モードが選択された状態で測色部(12)から出力された出力値と情報入力部(20)からの情報とを対応付けたデータベースを有すると共に、判定部(28)が合否を判定する際に、合格基準設定部が前記データベースを参照して合格基準値を設定し、その合格基準値を基準にして判定部(28)が合否を判定するような構成も採り得る。
【0153】
また、図2図8図11図15図18図22に示されるデータ処理制御プログラム48、78、214、234、264、284は、記憶媒体等に記憶して流通可能にしてもよい。
【0154】
また、上記第1~第6の実施形態では、図1図7図10図14図17図21に示される評価装置10、70、200、220、240、270は、モード選択部22において第一モードが選択されて合格品の表面状態が測定されてからモード選択部22において第二モードが選択されることを想定した装置とされている。このため、合格基準値が設定される前に第二モードが選択される場合の制御処理のフローが省略されているが、制御処理のフローにおいて、例えば、合格基準値が設定される前に第二モードが選択されて合否の判断ができない場合に出力部(30)にエラーメッセージを表示するようなステップが追加されてもよい。同様に、上記第3~第6の実施形態において、補正係数が算出される前に第二モードが選択される場合の制御処理のフローが省略されているが、制御処理のフローにおいて、例えば、補正係数が算出される前に第二モードが選択されて合否の判断ができない場合に出力部(30)にエラーメッセージを表示するようなステップが追加されてもよい。
【0155】
さらに、上記実施形態では、ショットブラストによる錆やスケールの除去後の表面状態の評価に適用される場合について説明したが、例えば、ショットブラストによる塗装除去後やコーティング剥離後の表面状態の評価に適用されてもよい。
【0156】
上記以外にも、本開示の主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
【0157】
なお、日本国特許出願No.2017-219029の開示は、その全体が参照により本明細書に援用される。
図1
図2
図3A
図3B
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図6A
図6B
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