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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】ゲート絶縁型トランジスタ
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/76 20060101AFI20221129BHJP
   H01L 29/78 20060101ALI20221129BHJP
   H01L 21/822 20060101ALI20221129BHJP
   H01L 27/04 20060101ALI20221129BHJP
   H01L 21/8234 20060101ALI20221129BHJP
   H01L 27/06 20060101ALI20221129BHJP
   H01L 27/088 20060101ALI20221129BHJP
   H01L 21/8236 20060101ALI20221129BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20221129BHJP
   H01L 29/12 20060101ALI20221129BHJP
   H01L 29/739 20060101ALI20221129BHJP
   H01L 29/861 20060101ALI20221129BHJP
   H01L 29/868 20060101ALI20221129BHJP
【FI】
H01L29/78 652R
H01L27/04 A
H01L27/06 102A
H01L27/088 E
H01L27/088 311A
H01L29/78 301B
H01L29/78 301R
H01L29/78 301V
H01L29/78 652C
H01L29/78 652D
H01L29/78 652K
H01L29/78 652M
H01L29/78 652Q
H01L29/78 652S
H01L29/78 652T
H01L29/78 653A
H01L29/78 655F
H01L29/78 657A
H01L29/78 657F
H01L29/78 657G
H01L29/78 658J
H01L29/91 C
H01L29/91 F
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019557036
(86)(22)【出願日】2018-10-03
(86)【国際出願番号】 JP2018036982
(87)【国際公開番号】W WO2019106948
(87)【国際公開日】2019-06-06
【審査請求日】2021-07-21
(31)【優先権主張番号】P 2017230807
(32)【優先日】2017-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】日吉 透
【審査官】田付 徳雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-063107(JP,A)
【文献】特開2014-216465(JP,A)
【文献】特開2006-271098(JP,A)
【文献】特開平10-326897(JP,A)
【文献】米国特許第06180966(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/76
H01L 21/822
H01L 21/8234
H01L 21/8236
H01L 21/336
H01L 29/78
H01L 29/12
H01L 29/739
H01L 29/861
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性領域と、
前記活性領域から離間したセンス領域と、
前記センス領域を取り囲み、かつ前記センス領域と前記活性領域とを分離する分離トレンチとを備え、
前記活性領域は、第1導電型を有する第1不純物領域と、前記第1不純物領域上に設けられ、前記第1導電型と異なる第2導電型を有する第2不純物領域と、前記第1不純物領域から隔てられるように前記第2不純物領域上に設けられ、かつ前記第1導電型を有する第3不純物領域とを含み、
前記活性領域には、第1側面と、前記第1側面に連なる第1底面とにより規定される第1ゲートトレンチが設けられており、
前記第1側面は、前記第1不純物領域と、前記第2不純物領域と、前記第3不純物領域とにより構成されており、
前記第1底面は、前記第1不純物領域により構成されており、
前記第1側面および前記第1底面の双方に接する第1絶縁膜と、
前記第1絶縁膜上に設けられた第1導電体と、
前記分離トレンチ内に設けられた第2絶縁膜と、
前記第2絶縁膜上に設けられた第2導電体とを備え、
前記分離トレンチは、前記第1不純物領域に達しており、
前記第1絶縁膜は、前記第2絶縁膜と同じ材料により構成され、
前記第1導電体は、前記第2導電体と同じ材料により構成され、かつ前記第2導電体から電気的に分離されており、
前記センス領域は、電流センサ素子と、温度センサ素子とを有し、
前記センス領域には、前記電流センサ素子と前記温度センサ素子とを分離し、かつ前記分離トレンチに連なる境界トレンチが設けられている、ゲート絶縁型トランジスタ。
【請求項2】
前記電流センサ素子は、前記第1導電型を有しかつ前記第1不純物領域に電気的に接続された第4不純物領域と、前記第2導電型を有しかつ前記第4不純物領域上に設けられた第5不純物領域と、前記第4不純物領域から隔てられるように前記第5不純物領域上に設けられかつ前記第1導電型を有する第6不純物領域とを有し、さらに、
前記センス領域には、第2側面と、前記第2側面に連なる第2底面とにより規定される第2ゲートトレンチが設けられており、
前記第2側面は、前記第4不純物領域と、前記第5不純物領域と、前記第6不純物領域とにより構成されており、
前記第2底面は、前記第4不純物領域により構成されており、さらに、
前記第2側面および前記第2底面の双方に接する第3絶縁膜と、
前記第3絶縁膜上に設けられた第3導電体とを備え、
前記第1導電体は、前記第3導電体と電気的に接続されている、請求項に記載のゲート絶縁型トランジスタ。
【請求項3】
前記温度センサ素子は、前記第1導電型を有しかつ前記第1不純物領域に電気的に接続された第4不純物領域と、前記第2導電型を有しかつ前記第4不純物領域上に設けられた第5不純物領域と、前記第2導電型を有しかつ前記第5不純物領域よりも高い不純物濃度を有する第6不純物領域とを有し、さらに、
前記第3不純物領域と電気的に接続されるソース電極と、
前記第5不純物領域および前記第6不純物領域の各々と電気的に接続される第4導電体とを備え、
前記ソース電極は、前記第4導電体から電気的に分離されている、請求項に記載のゲート絶縁型トランジスタ。
【請求項4】
前記分離トレンチの深さは、前記第1ゲートトレンチの深さ以上である、請求項1~請求項のいずれか1項に記載のゲート絶縁型トランジスタ。
【請求項5】
前記分離トレンチの深さは、前記第1ゲートトレンチの深さと同じである、請求項に記載のゲート絶縁型トランジスタ。
【請求項6】
前記分離トレンチの延在方向に対して垂直な断面における前記分離トレンチの幅は、前記第1ゲートトレンチの延在方向に対して垂直な断面における前記第1ゲートトレンチの幅以上である、請求項1~請求項のいずれか1項に記載のゲート絶縁型トランジスタ。
【請求項7】
前記第1導電体および前記第2導電体の材料は、ポリシリコンである、請求項1~請求項のいずれか1項に記載のゲート絶縁型トランジスタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ゲート絶縁型トランジスタに関する。本出願は、2017年11月30日に出願した日本特許出願である特願2017-230807号に基づく優先権を主張する。当該日本特許出願に記載された全ての記載内容は、参照によって本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
特開2014-150126号公報(特許文献1)には、メインセル領域と、センスセル領域とを有するMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)が開示されている。メインセル領域とセンスセル領域との間において、素子分離層が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-150126号公報
【発明の概要】
【0004】
本開示に係るゲート絶縁型トランジスタは、活性領域と、センス領域と、分離トレンチと、第1絶縁膜と、第1導電体と、第2絶縁膜と、第2導電体とを備えている。センス領域は、活性領域から離間している。分離トレンチは、センス領域を取り囲み、かつセンス領域と活性領域とを分離している。活性領域は、第1導電型を有する第1不純物領域と、第1不純物領域上に設けられ、第1導電型と異なる第2導電型を有する第2不純物領域と、第1不純物領域から隔てられるように第2不純物領域上に設けられ、かつ第1導電型を有する第3不純物領域とを含んでいる。活性領域には、第1側面と、第1側面に連なる第1底面とにより規定される第1ゲートトレンチが設けられている。第1側面は、第1不純物領域と、第2不純物領域と、第3不純物領域とにより構成されている。第1底面は、第1不純物領域により構成されている。第1絶縁膜は、第1側面および第1底面の双方に接している。第1導電体は、第1絶縁膜上に設けられている。第2絶縁膜は、分離トレンチ内に設けられている。第2導電体は、第2絶縁膜上に設けられている。分離トレンチは、第1不純物領域に達している。第1絶縁膜は、第2絶縁膜と同じ材料により構成されている。第1導電体は、第2導電体と同じ材料により構成され、かつ第2導電体から電気的に分離されている。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1図1は、第1実施形態に係るゲート絶縁型トランジスタの構成を示す断面模式図であり、図3のI-I線矢視断面模式図に対応する。
図2図2は、第1実施形態に係るゲート絶縁型トランジスタが有する炭化珪素基板の構成を示す平面模式図である。
図3図3は、第1実施形態に係るゲート絶縁型トランジスタの構成を示す平面模式図である。
図4図4は、図1の領域IVの拡大図である。
図5図5は、図3のV-V線矢視断面模式図である。
図6図6は、第2実施形態に係るゲート絶縁型トランジスタの構成を示す断面模式図であり、図7のVI-VI線矢視断面模式図に対応する。
図7図7は、第2実施形態に係るゲート絶縁型トランジスタの構成を示す平面模式図である。
図8図8は、第3実施形態に係るゲート絶縁型トランジスタの構成を示す断面模式図である。
図9図9は、図10のX-X線矢視断面模式図である。
図10図10は、第3実施形態に係るゲート絶縁型トランジスタの構成を示す平面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
[本開示が解決しようとする課題]
特開2014-150126号公報に記載のMOSFETの一実施形態においては、素子分離層は酸化物などの絶縁体によって構成されている。素子分離層を絶縁体によって形成する方法としては、炭化珪素基板にトレンチを形成した後、当該トレンチの内部を絶縁体で埋めることが考えられる。しかしながら、上記形成方法を採用する場合には、プロセス的に工程数が大幅に増加してしまう。
【0007】
本開示の目的は、工程数を大幅に増加することなくセンス領域と活性領域とを分離可能なゲート絶縁型トランジスタを提供することである。
【0008】
[本開示の効果]
本開示によれば、工程数を大幅に増加することなくセンス領域と活性領域とを分離可能なゲート絶縁型トランジスタを提供することができる。
【0009】
[本開示の実施形態の概要]
まず、本開示の実施形態の概要について説明する。
【0010】
(1)本開示に係るゲート絶縁型トランジスタ100は、活性領域10と、センス領域20と、分離トレンチ39と、第1絶縁膜41と、第1導電体42と、第2絶縁膜61と、第2導電体62とを備えている。センス領域20は、活性領域10から離間している。分離トレンチ39は、センス領域20を取り囲み、かつセンス領域20と活性領域10とを分離している。活性領域10は、第1導電型を有する第1不純物領域12と、第1不純物領域12上に設けられ、第1導電型と異なる第2導電型を有する第2不純物領域13と、第1不純物領域12から隔てられるように第2不純物領域13上に設けられ、かつ第1導電型を有する第3不純物領域14とを含んでいる。活性領域10には、第1側面17と、第1側面17に連なる第1底面18とにより規定される第1ゲートトレンチ19が設けられている。第1側面17は、第1不純物領域12と、第2不純物領域13と、第3不純物領域14とにより構成されている。第1底面18は、第1不純物領域12により構成されている。分離領域30には、分離トレンチ39が設けられている。第1絶縁膜41は、第1側面17および第1底面18の双方に接している。第1導電体42は、第1絶縁膜41上に設けられている。第2絶縁膜61は、分離トレンチ39内に設けられている。第2導電体62は、第2絶縁膜61上に設けられている。分離トレンチ39は、第1不純物領域12に達している。第1絶縁膜41は、第2絶縁膜61と同じ材料により構成されている。第1導電体42は、第2導電体62と同じ材料により構成され、かつ第2導電体62から電気的に分離されている。
【0011】
上記(1)に係るゲート絶縁型トランジスタ100によれば、活性領域10には、第1側面17と、第1側面17に連なる第1底面18とにより規定される第1ゲートトレンチ19が設けられている。分離トレンチ39は、センス領域20と活性領域10とを分離している。これにより、センス領域20と活性領域10とが電気的に分離される。第1絶縁膜41は、第1側面17および第1底面18の双方に接している。第1導電体42は、第1絶縁膜41上に設けられている。第2絶縁膜61は、分離トレンチ39内に設けられている。第2導電体62は、第2絶縁膜61上に設けられている。第1絶縁膜41は、第2絶縁膜61と同じ材料により構成されている。第1導電体42は、第2導電体62と同じ材料により構成されている。これにより、分離トレンチ39を第1ゲートトレンチ19と同時に形成することができる。そのため、工程数を増やすことなく、センス領域20と活性領域10とを分離することができる。また分離トレンチ39を容易に埋めることができる。さらに分離トレンチ39が第2絶縁膜61および第2導電体62によって埋められることで、分離トレンチ39上に段差が発生することを抑制することができる。そのため、電極に電力を供給するためのアルミニウム配線を形成する際に、当該配線の付き回りの不具合が発生することを抑制することができる。
【0012】
(2)上記(1)に係るゲート絶縁型トランジスタ100において、センス領域20は、電流センサ素子84を有していてもよい。
【0013】
(3)上記(2)に係るゲート絶縁型トランジスタ100は、第3絶縁膜51と、第3導電体52とを備えていてもよい。電流センサ素子84は、第1導電型を有しかつ第1不純物領域12に電気的に接続された第4不純物領域22と、第2導電型を有しかつ第4不純物領域22上に設けられた第5不純物領域23と、第4不純物領域22から隔てられるように第5不純物領域23上に設けられかつ第1導電型を有する第6不純物領域24とを有していてもよい。センス領域20には、第2側面27と、第2側面27に連なる第2底面28とにより規定される第2ゲートトレンチ29が設けられていてもよい。第2側面27は、第4不純物領域22と、第5不純物領域23と、第6不純物領域24とにより構成されていてもよい。第2底面28は、第4不純物領域22により構成されていてもよい。第3絶縁膜51は、第2側面27および第2底面28の双方に接していてもよい。第3導電体52は、第3絶縁膜51上に設けられていてもよい。第1導電体42は、第3導電体52と電気的に接続されていてもよい。
【0014】
(4)上記(1)に係るゲート絶縁型トランジスタ100において、センス領域20は、温度センサ素子85を有していてもよい。
【0015】
(5)上記(4)に係るゲート絶縁型トランジスタ100は、ソース電極45と、第4導電体95とを備えていてもよい。温度センサ素子85は、第1導電型を有しかつ第1不純物領域12に電気的に接続された第4不純物領域22と、第2導電型を有しかつ第4不純物領域22上に設けられた第5不純物領域23と、第2導電型を有しかつ第5不純物領域23よりも高い不純物濃度を有する第6不純物領域91とを有していてもよい。ソース電極45は、第3不純物領域14と電気的に接続されていてもよい。第4導電体95は、第5不純物領域23および第6不純物領域91の各々と電気的に接続されていてもよい。ソース電極45は、第4導電体95から電気的に分離されていてもよい。
【0016】
(6)上記(1)~(5)のいずれかに係るゲート絶縁型トランジスタ100において、分離トレンチ39の深さは、第1ゲートトレンチ19の深さ以上であってもよい。これにより、活性領域10とセンス領域20とをより確実に分離することができる。
【0017】
(7)上記(6)に係るゲート絶縁型トランジスタ100において、分離トレンチ39の深さは、第1ゲートトレンチ19の深さと同じであってもよい。
【0018】
(8)上記(1)~(7)のいずれかに係るゲート絶縁型トランジスタ100において、分離トレンチ39の延在方向に対して垂直な断面における分離トレンチ39の幅は、第1ゲートトレンチ19の延在方向に対して垂直な断面における第1ゲートトレンチ19の幅以上であってもよい。活性領域10とセンス領域20とをより確実に分離することができる。
【0019】
(9)上記(1)~(8)のいずれかに係るゲート絶縁型トランジスタ100において、第1導電体42および第2導電体62の材料は、ポリシリコンであってもよい。
【0020】
(10)上記(1)に係るゲート絶縁型トランジスタ100において、センス領域20は、電流センサ素子84と、温度センサ素子85とを有していてもよい。センス領域20には、電流センサ素子84と温度センサ素子85とを分離し、かつ分離トレンチ39に連なる境界トレンチ67が設けられていてもよい。
【0021】
[本開示の実施形態の詳細]
以下、実施の形態について図に基づいて説明する。なお、以下の図面において、同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰り返さない。本明細書中の結晶学的記載においては、個別方位を[]、集合方位を<>、個別面を()、集合面を{}でそれぞれ示している。また結晶学上の指数が負であることは、通常、”-”(バー)を数字の上に付すことによって表現されるが、本明細書中では数字の前に負の符号を付している。
【0022】
(第1実施形態)
まず、第1実施形態に係るゲート絶縁型トランジスタ100の一例としてのMOSFET100の構成について説明する。
【0023】
図1に示されるように、第1実施形態に係るMOSFETは、炭化珪素基板9と、第1絶縁膜41と、第3絶縁膜51と、第2絶縁膜61と、第1導電体42と、第3導電体52と、第2導電体62と、第1ソース電極45と、第2ソース電極55と、第1層間絶縁膜71と、第2層間絶縁膜72と、パッシベーション層73とを主に有している。炭化珪素基板9は、第1主面1と、第2主面2と、活性領域10と、センス領域20と、分離領域30とを主に有している。センス領域20は、活性領域10と隔てられている。分離領域30は、活性領域10とセンス領域20との間にある。センス領域20および活性領域10は、分離領域30によって互いに隔てられている。第2主面2は、第1主面1の反対側にある。第1主面1および第2主面2の各々は、活性領域10とセンス領域20と分離領域30とにより構成されている。炭化珪素基板9は、たとえばポリタイプ4Hの六方晶炭化珪素から構成されている。
【0024】
第1主面1は、{0001}面または{0001}面がオフ方向に8°以下のオフ角だけ傾斜した面である。具体的には、第1主面1は、(000-1)面または(000-1)面がオフ方向に8°以下のオフ角だけ傾斜した面である。オフ方向は、たとえば<11-20>方向であってもよいし、<1-100>方向であってもよい。オフ角は、たとえば1°以上であってもよいし、2°以上であってもよい。オフ角は、6°以下であってもよいし、4°以下であってもよい。
【0025】
図1に示されるように、活性領域10は、第1ドリフト領域12(第1不純物領域12)と、第1ボディ領域13(第2不純物領域13)と、第1ソース領域14(第3不純物領域14)と、第1コンタクト領域15と、第1p型領域16と、第1基板部分11とを主に含んでいる。第1ドリフト領域12は、たとえば窒素(N)などのn型不純物を含み、n型(第1導電型)を有する。第1ドリフト領域12のn型不純物の濃度は、たとえば1×1014cm-3以上5×1016cm-3以下である。第1ボディ領域13は、第1ドリフト領域12上に設けられている。第1ボディ領域13は、たとえばアルミニウム(Al)などのp型不純物を含み、n型と異なるp型(第2導電型)を有する。第1ボディ領域13のp型不純物の濃度は、第1ドリフト領域12のn型不純物の濃度よりも高くてもよい。第1ボディ領域13におけるp型不純物の濃度は、たとえば1×1016cm-3以上5×1018cm-3以下である。
【0026】
第1ソース領域14は、第1ドリフト領域12から隔てられるように第1ボディ領域13上に設けられている。第1ソース領域14は、たとえば窒素またはリン(P)などのn型不純物を含んでおり、n型を有する。第1ソース領域14は、たとえば第1主面1の一部を構成している。第1ソース領域14のn型不純物の濃度は、第1ボディ領域13のp型不純物の濃度よりも高くてもよい。第1ソース領域14のn型不純物の濃度は、たとえば1×1019cm-3程度である。
【0027】
第1コンタクト領域15は、たとえばアルミニウムなどのp型不純物を含んでおり、p型の導電型を有する。第1コンタクト領域15のp型不純物の濃度は、たとえば第1ボディ領域13のp型不純物の濃度よりも高い。第1コンタクト領域15は、たとえば第1ボディ領域13および第1ソース領域14の各々を貫通している。第1コンタクト領域15は、たとえば第1ドリフト領域12に接する。第1コンタクト領域15は、たとえば第1主面1の一部を構成している。第1コンタクト領域15のp型不純物の濃度は、たとえば1×1018cm-3以上1×1020cm-3以下である。
【0028】
第1p型領域16は、たとえばアルミニウムなどのp型不純物を含み、p型を有する。第1p型領域16は、第1ドリフト領域12上に設けられている。第1p型領域16は、たとえばアルミニウムなどのp型不純物を含み、p型を有する。第1p型領域16のp型不純物の濃度は、第1ボディ領域13のp型不純物の濃度と同じであってもよい。第1p型領域16は、たとえば分離領域30に接していてもよい。また、第1p型領域16は、ソース電極45(S1)に接続されていても良い。第1基板部分11は、たとえば窒素(N)などのn型不純物を含み、n型(第1導電型)を有する。第1基板部分11は、たとえば第2主面2の一部を構成している。第1基板部分11のn型不純物の濃度は、第1ドリフト領域12のn型不純物の濃度よりも高くてもよい。第1ドリフト領域12は、たとえば第1基板部分11上に設けられている。
【0029】
活性領域10には、第1側面17と、第1底面18とにより規定される第1ゲートトレンチ19が設けられている。第1底面18は、第1側面17に連なっている。第1側面17は、第1ドリフト領域12と、第1ボディ領域13と、第1ソース領域14とにより構成されている。第1底面18は、第1ドリフト領域12により構成されている。第1側面17は、第1ボディ領域13および第1ソース領域14の各々を貫通して第1ドリフト領域12に至っている。第1底面18は、たとえば第2主面2と平行な平面である。第1底面18に対する第1側面17の角度は、たとえば90°である。
【0030】
第1側面17は、第1底面18に対して垂直な平面に対して傾斜していてもよい。第1側面17は、第1底面18から第1主面1に向かうに従って、第1ゲートトレンチ19の幅が拡がるように、第1底面18に対して傾斜していてもよい。第1ゲートトレンチ19は、たとえば第2主面2と平行な方向に沿ってストライプ状に伸長している。第1ゲートトレンチ19は、たとえばハニカム状に伸長していてもよいし、アイランド状に点在していてもよい。
【0031】
第1絶縁膜41は、たとえばゲート酸化膜である。第1絶縁膜41は、たとえば二酸化珪素を含む材料により構成されている。第1絶縁膜41は、第1側面17および第1底面18の双方に接している。第1絶縁膜41は、第1底面18において第1ドリフト領域12と接している。第1絶縁膜41は、第1側面17において、第1ドリフト領域12、第1ボディ領域13および第1ソース領域14の各々と接している。
【0032】
第1導電体42は、たとえば第1ゲート電極である。第1導電体42は、第1絶縁膜41上に設けられている。第1導電体42は、たとえば導電性不純物を含むポリシリコンから構成されている。第1導電体42は、たとえば第1ゲートトレンチ19の内部に配置されている。
【0033】
第1ソース電極45(第1電極45)は、第1ソース領域14と電気的に接続されている。第1ソース電極45は、たとえば第1主面1において、第1ソース領域14および第1コンタクト領域15の各々に接している。第1ソース電極45は、第1コンタクト電極43と、第1ソース配線44とを有している。第1ソース配線44は、第1コンタクト電極43上に設けられている。第1コンタクト電極43は、第1主面1において、第1ソース領域14および第1コンタクト領域15の各々に接していてもよい。第1コンタクト電極43は、たとえばTiと、Alと、Siとを含む材料から構成されている。第1コンタクト電極43は、たとえば第1ソース領域14とオーミック接合している。第1コンタクト電極43は、第1コンタクト領域15とオーミック接合していてもよい。第1ソース配線44は、たとえばアルミニウムを含む材料から構成されている。
【0034】
分離領域30には、分離トレンチ39が設けられている。分離トレンチ39は、第3側面37と、第3底面38とにより規定されている。第3底面38は、第3側面37に連なっている。分離領域30は、たとえば第3ドリフト領域32と、第3基板部分31とを有している。第3底面38は、第3ドリフト領域32により構成されている。第3底面38は、たとえば第2主面2と平行な平面である。第3底面38に対する第3側面37の角度は、たとえば90°である。第3側面37は、第3底面38に対して垂直な平面に対して傾斜していてもよい。第3側面37は、第3底面38から第1主面1に向かうに従って、分離トレンチ39の幅が拡がるように、第1底面18に対して傾斜していてもよい。
【0035】
分離トレンチ39は、第1不純物領域12に達している。別の観点から言えば、分離トレンチ39の第3側面37の一部は、第1不純物領域12に接している。分離トレンチ39は、第1p型領域16と、第2p型領域26とに挟まれている。分離トレンチ39は、第1p型領域16および第2p型領域26の各々に接している。
【0036】
第2絶縁膜61は、たとえば酸化膜である。第2絶縁膜61は、たとえば二酸化珪素を含む材料により構成されている。第1絶縁膜41は、第2絶縁膜61と同じ材料により構成されている。第2絶縁膜61は、分離トレンチ39内に設けられている。第2絶縁膜61は、第3側面37および第3底面38の双方に接している。第2絶縁膜61は、第3底面38において第3ドリフト領域32と接している。第2絶縁膜61は、たとえば第3側面37において、第1p型領域16および第1ドリフト領域12の各々に接している。
【0037】
第2導電体62は、第2絶縁膜61上に設けられている。第2導電体62は、たとえば導電性不純物を含むポリシリコンから構成されている。第2導電体62は、たとえば分離トレンチ39の内部に配置されている。第1導電体42は、第2導電体62と同じ材料により構成されている。第1導電体42は、第2導電体62から電気的に分離されている。別の観点から言えば、第2導電体62は、フローティング電極である。
【0038】
図2に示されるように、第1主面1に対して垂直な方向から見て、分離トレンチ39は、センス領域20を取り囲んでいる。分離トレンチ39は、センス領域20と活性領域10とを分離している。分離トレンチ39は、分離領域30に設けられている。第1主面1に対して垂直な方向から見て、分離領域30は、たとえばセンス領域20の外周を取り囲んでいる。分離領域30は、たとえば環状である。活性領域10は、たとえば分離領域30の外周を取り囲んでいる。活性領域10は、たとえば環状である。第1主面1に対して垂直な方向から見て、センス領域20は、たとえば長方形の形状を有している。
【0039】
センス領域20は、たとえば電流センサ素子84を有している。図1に示されるように、センス領域20は、第2ドリフト領域22(第4不純物領域22)と、第2ボディ領域23(第5不純物領域23)と、第2ソース領域24(第6不純物領域24)と、第2コンタクト領域25と、第2p型領域26と、第2基板部分21とを主に有していている。第2ドリフト領域22と第2ボディ領域23と第2ソース領域24とは、たとえば電流センサ素子84を構成する。
【0040】
第2ドリフト領域22は、たとえば窒素などのn型不純物を含み、n型(第1導電型)を有する。第2ドリフト領域22は、第1ドリフト領域12に電気的に接続されている。第2ドリフト領域22のn型不純物の濃度は、第1ドリフト領域12のn型不純物の濃度と同じであってもよい。第2ボディ領域23は、たとえばアルミニウム(Al)などのp型不純物を含み、p型を有する。第2ボディ領域23は、第2ドリフト領域22上に設けられている。第2ボディ領域23のp型不純物の濃度は、第2ドリフト領域22のn型不純物の濃度よりも高くてもよい。第2ボディ領域23のp型不純物の濃度は、第1ボディ領域13のp型不純物の濃度と同じであってもよい。第2ボディ領域23は、たとえば第1ボディ領域13から電気的に分離されている。
【0041】
第2ソース領域24は、第2ドリフト領域22から隔てられるように第2ボディ領域23上に設けられている。第2ソース領域24は、たとえば窒素またはリン(P)などのn型不純物を含んでおり、n型を有する。第2ソース領域24は、たとえば第1主面1の一部を構成している。第2ソース領域24のn型不純物の濃度は、第2ボディ領域23のp型不純物の濃度よりも高くてもよい。第2ソース領域24のn型不純物の濃度は、第1ソース領域14のn型不純物の濃度と同じであってもよい。第2ソース領域24は、たとえば第1ソース領域14から電気的に分離されている。
【0042】
第2コンタクト領域25は、たとえばアルミニウムなどのp型不純物を含んでおり、p型の導電型を有する。第2コンタクト領域25のp型不純物の濃度は、たとえば第2ボディ領域23のp型不純物の濃度よりも高い。第2コンタクト領域25は、たとえば第2ボディ領域23および第2ソース領域24の各々を貫通している。第2コンタクト領域25は、たとえば第2ドリフト領域22に接する。第2コンタクト領域25は、たとえば第1主面1の一部を構成している。第2コンタクト領域25のp型不純物の濃度は、第1コンタクト領域15のp型不純物の濃度と同じであってもよい。第2コンタクト領域25は、たとえば第1コンタクト領域15から電気的に分離されている。
【0043】
第2p型領域26は、第2ドリフト領域22上に設けられている。第2p型領域26は、たとえばアルミニウムなどのp型不純物を含み、p型を有する。第2p型領域26のp型不純物の濃度は、第2ボディ領域23のp型不純物の濃度と同じであってもよい。第2p型領域26は、たとえば分離トレンチ39の第3側面37に接していてもよい。第2基板部分21は、たとえば窒素などのn型不純物を含み、n型を有する。第2基板部分21は、たとえば第2主面2の一部を構成している。第2基板部分21のn型不純物の濃度は、第2ドリフト領域22のn型不純物の濃度よりも高くてもよい。第2ドリフト領域22は、たとえば第2基板部分21上に設けられている。第2基板部分21は、第1基板部分11に連なっている。
【0044】
センス領域20には、第2側面27と、第2底面28とにより規定される第2ゲートトレンチ29が設けられていてもよい。第2底面28は、第2側面27に連なっている。第2側面27は、たとえば第2ドリフト領域22と、第2ボディ領域23と、第2ソース領域24とにより構成されている。第2底面28は、たとえば第2ドリフト領域22により構成されている。第2側面27は、第2ボディ領域23および第2ソース領域24の各々を貫通して第2ドリフト領域22に至っている。第2底面28は、たとえば第2主面2と平行な平面である。第2底面28に対する第1側面17の角度は、たとえば90°である。
【0045】
第2側面27は、第2底面28に対して垂直な平面に対して傾斜していてもよい。第2側面27は、第2底面28から第1主面1に向かうに従って、第2ゲートトレンチ29の幅が拡がるように、第2底面28に対して傾斜していてもよい。第2ゲートトレンチ29は、たとえば第2主面2と平行な方向に沿ってストライプ状に伸長している。第2ゲートトレンチ29は、たとえばハニカム状に伸長していてもよいし、アイランド状に点在していてもよい。
【0046】
第3絶縁膜51は、たとえばゲート酸化膜である。第3絶縁膜51は、たとえば二酸化珪素を含む材料により構成されている。第3絶縁膜51は、たとえば第2側面27および第2底面28の双方に接している。第3絶縁膜51は、第2底面28において第2ドリフト領域22と接している。第3絶縁膜51は、第2側面27において、第2ドリフト領域22、第2ボディ領域23および第2ソース領域24の各々と接している。
【0047】
第3導電体52は、たとえば第2ゲート電極である。第3導電体52は、第3絶縁膜51上に設けられていてもよい。第3導電体52は、たとえば導電性不純物を含むポリシリコンから構成されている。第3導電体52は、たとえば第2ゲートトレンチ29の内部に配置されている。第1導電体42は、第3導電体52と電気的に接続されている。第1導電体42および第2導電体62の材料は、同じである。第1導電体42および第3導電体52の材料も、同じであってもよい。
【0048】
第2ソース電極55は、第2ソース領域24と電気的に接続されている。第2ソース電極55は、たとえば第1主面1において、第2ソース領域24および第2コンタクト領域25の各々に接している。第2ソース電極55は、第2コンタクト電極53と、第2ソース配線54とを有している。第2ソース配線54は、第2コンタクト電極53上に設けられている。第2コンタクト電極53は、第1主面1において、第2ソース領域24および第2コンタクト領域25の各々に接していてもよい。第2コンタクト電極53は、たとえばTiと、Alと、Siとを含む材料から構成されている。第2コンタクト電極53は、たとえば第2ソース領域24とオーミック接合している。第2コンタクト電極53は、第2コンタクト領域25とオーミック接合していてもよい。第2ソース配線54は、たとえばアルミニウムを含む材料から構成されている。第1ソース電極45は、たとえば第2ソース電極55から電気的に分離されている。
【0049】
第1層間絶縁膜71は、たとえば第1ゲートトレンチ19および分離トレンチ39の各々を覆うように設けられている。第1層間絶縁膜71は、たとえば第1導電体42と、第1絶縁膜41と、第2導電体62と、第2絶縁膜61とに接して設けられている。第1層間絶縁膜71は、第1主面1において、第1ソース領域14と、第1p型領域16と、第2p型領域26とに接していてもよい。第1層間絶縁膜71は、活性領域10、センス領域20および分離領域30の各々の上に設けられていてもよい。
【0050】
第2層間絶縁膜72は、たとえば第2ゲートトレンチ29を覆うように設けられている。第2層間絶縁膜72は、たとえば第3導電体52と、第3絶縁膜51とに接して設けられている。第2層間絶縁膜72は、第1主面1において、第2ソース領域24に接していてもよい。第2層間絶縁膜72は、たとえばセンス領域20上に設けられており、活性領域10および分離領域30の各々から離間していてもよい。
【0051】
第1層間絶縁膜71および第2層間絶縁膜72の各々は、たとえば二酸化珪素を含む材料から構成されている。第1層間絶縁膜71は、たとえば第1導電体42と第1ソース電極45とを電気的に絶縁している。第2層間絶縁膜72は、たとえば第3導電体52と第2ソース電極55とを電気的に絶縁している。パッシベーション層73は、第1ソース電極45と、第2ソース電極55と、第1層間絶縁膜71とに接して設けられている。パッシベーション層73は、たとえば窒化珪素(SiN)、二酸化珪素またはポリイミドなどの材料により構成されている。
【0052】
ドレイン電極70(第2電極70)は、第2主面2に接している。別の観点から言えば、ドレイン電極70は、第2主面2において、第1基板部分11、第2基板部分21および第3基板部分31の各々と接している。ドレイン電極70は、第1ドリフト領域12、第2ドリフト領域22および第3ドリフト領域32の各々と電気的に接続されている。ドレイン電極70は、たとえばNiSiまたはTiAlSiを含む材料から構成されている。ドレイン電極70は、活性領域10、センス領域20および分離領域30の各々を覆うように設けられている。
【0053】
図3に示されるように、第1実施形態に係るMOSFETは、ゲートパッド80と、第1ゲートランナー81と、第2ゲートランナー82と、ソースパッド57と、ソース配線領域56とをさらに有していてもよい。第1ゲートランナー81は、ゲートパッド80の一方側に接続されている。第2ゲートランナー82は、ゲートパッド80の他方側に接続されている。図3に示されるように、第2主面2に対して垂直な方向から見て、第1ソース配線44、ソースパッド57およびソース配線領域56の各々は、第1ゲートランナー81と、第2ゲートランナー82とに挟まれている。ゲートパッド80は、第1導電体42および第3導電体52の各々と電気的に接続されている。
【0054】
第1ソース配線44は、第2ソース配線54から電気的に分離されている。ソースパッド57は、ソース配線領域56を介して、第2ソース配線54に接続されている。ソースパッド57は、ゲートパッド80の隣に位置している。ソースパッド57は、ゲートパッド80から電気的に分離されている。第2主面2に対して垂直な方向から見て、第2ソース配線54は、分離領域30に取り囲まれていてもよい。
【0055】
第2ソース配線54は、センス領域20上に配置されている。ソースパッド57は、活性領域10上に配置されていてもよい。ソース配線領域56は、活性領域10、分離領域30およびセンス領域20の各々の上に配置されていてもよい。第2主面2に対して垂直な方向から見て、ソース配線領域56は、分離領域30の延在方向に対して概ね垂直な方向に分離領域30を横切るように設けられていてもよい。ゲートパッド80、第1ゲートランナー81、第2ゲートランナー82および第1ソース配線44の各々は、たとえば活性領域10上に配置されている。
【0056】
図4に示されるように、分離トレンチ39の深さH2は、第1ゲートトレンチ19の深さH1以上であってもよい。分離トレンチ39の深さは、第1ゲートトレンチ19の深さH1と同じであってもよいし、第1ゲートトレンチ19の深さH1よりも大きくてもよい。第1ゲートトレンチ19の深さH1は、たとえば0.5μm以上3.0μm以下である。分離トレンチ39の深さH2は、たとえば0.5μm以上20.0μm以下である。分離トレンチ39の深さは、第2ゲートトレンチ29の深さと同じであってもよいし、第2ゲートトレンチ29の深さよりも大きくてもよい。
【0057】
図4に示されるように、分離トレンチ39の延在方向に対して垂直な断面における分離トレンチ39の幅W2は、第1ゲートトレンチ19の延在方向に対して垂直な断面における第1ゲートトレンチ19の幅W1以上であってもよい。分離トレンチ39の幅W2は、第1ゲートトレンチ19の幅W1と同じであってもよいし、第1ゲートトレンチ19の幅W1よりも大きくてもよい。第1ゲートトレンチ19の幅W1は、たとえば0.2μm以上2.0μm以下である。分離トレンチ39の幅W2は、たとえば0.2μm以上200μm以下である。分離トレンチ39の幅は、第2ゲートトレンチ29の幅と同じであってもよいし、第2ゲートトレンチ29の幅よりも大きくてもよい。なお、トレンチの延在方向とは、トレンチの底面に平行な方向であって、かつトレンチの側面に平行な方向である。
【0058】
図5に示されるように、第1実施形態に係るMOSFETは、ゲート接続配線83と、第1絶縁層74と、第2絶縁層75と、第3層間絶縁膜76とをさらに有していてもよい。活性領域10は、第3p型領域5をさらに有していてもよい。第3p型領域5は、第1ドリフト領域12上に設けられている。第3p型領域5は、たとえばアルミニウムなどのp型不純物を含み、p型を有する。第3p型領域5のp型不純物の濃度は、第1ボディ領域13のp型不純物の濃度と同じであってもよい。第3p型領域5は、たとえば第1ゲートトレンチ19の第1側面17に接していてもよい。
【0059】
第1絶縁層74は、第3p型領域5上に配置されている。第1絶縁層74は、第1主面1において、第3p型領域5に接している。ゲート接続配線83は、第1導電体42上に配置されている。ゲート接続配線83は、第1導電体42とゲートパッド80との間を繋いでいる。ゲートパッド80は、ゲート接続配線83に接している。ゲート接続配線83は、第1絶縁層74上に配置されていてもよい。第1絶縁層74は、第1絶縁膜41に接していてもよい。ゲート接続配線83は、ゲートパッド80と第1絶縁層74との間に配置されていてもよい。
【0060】
第2絶縁層75は、たとえば第1絶縁層74上に配置されている。第2絶縁層75は、ゲート接続配線83に接していてもよい。第3層間絶縁膜76は、たとえば第1ソース電極45とゲート接続配線83との間に配置されている。第3層間絶縁膜76は、たとえば第1ソース電極45とゲート接続配線83とを電気的に絶縁している。第3層間絶縁膜76は、ゲート接続配線83上に配置されていてもよい。ゲートパッド80は、第3層間絶縁膜76および第2絶縁層75の各々上に配置されていてもよい。ゲートパッド80は、第3p型領域5に対向して配置されていてもよい。
【0061】
次に、第1実施形態に係るMOSFETが有する電流センサの動作について説明する。
図1に示されるように、第1ソース配線44は、第1ソース端子S1に接続されている。第2ソース配線54は、第2ソース端子S2に接続されている。ドレイン電極70は、ドレイン端子Dに接続されている。第1ゲート電極42は、第1ゲート端子G1に接続されている。第2ゲート電極52は、第2ゲート端子G2に接続されている。第1ゲート端子G1は、第2ゲート端子G2と電気的に接続されている。
【0062】
第1ゲート端子G1および第2ゲート端子G2の各々にゲート電圧を印加すると、第1ソース端子S1とドレイン端子Dとの間に電流が流れ、かつ第2ソース端子S2とドレイン端子Dとの間に電流が流れる。第2ソース端子S2とドレイン端子Dとの間に流れる電流は、第1ソース端子S1とドレイン端子Dとの間に流れる電流にほぼ比例する。たとえば、第1ソース端子S1とドレイン端子Dとの間に100Aの電流が流れる場合、第2ソース端子S2とドレイン端子Dとの間には1mAの電流が流れる。第2ソース端子S2とドレイン端子Dとの間に流れる電流は、セルの数およびゲート幅などを変更することによって調整することができる。
【0063】
第2ソース端子S2とドレイン端子Dとの間に流れる電流と、第1ソース端子S1とドレイン端子Dとの間に流れる電流との関係式は、予め求められている。第2ソース端子S2とドレイン端子Dとの間に流れる電流は、図示しない電流計によってモニターされる。上記関係式に基づいて、第2ソース端子S2とドレイン端子Dとの間に流れる電流から第1ソース端子S1とドレイン端子Dとの間に流れる電流が推定される。たとえば、第2ソース端子S2とドレイン端子Dとの間に流れる電流が所定の値を超えた場合に、ゲート電圧の印加が停止されるようにMOSFET100が制御されてもよい。
【0064】
次に、第1実施形態に係るMOSFETの作用効果について説明する。
第1実施形態に係るMOSFETによれば、活性領域10には、第1側面17と、第1側面17に連なる第1底面18とにより規定される第1ゲートトレンチ19が設けられている。分離トレンチ39は、センス領域20と活性領域10とを分離している。これにより、センス領域20と活性領域10とが電気的に分離される。第1絶縁膜41は、第1側面17および第1底面18の双方に接している。第1導電体42は、第1絶縁膜41上に設けられている。第2絶縁膜61は、分離トレンチ39内に設けられている。第2導電体62は、第2絶縁膜61上に設けられている。第1絶縁膜41は、第2絶縁膜61と同じ材料により構成されている。第1導電体42は、第2導電体62と同じ材料により構成され、かつ第2導電体62から電気的に分離されている。これにより、分離トレンチ39を第1ゲートトレンチ19と同時に形成することができる。そのため、工程数を増やすことなく、センス領域20と活性領域10とを分離することができる。また分離トレンチ39を容易に埋めることができる。さらに分離トレンチ39が第2絶縁膜61および第2導電体62によって埋められることで、分離トレンチ39上に段差が発生することを抑制することができる。そのため、電極に電力を供給するためのアルミニウム配線を形成する際に、当該配線の付き回りの不具合が発生することを抑制することができる。
【0065】
また第1実施形態に係るMOSFETによれば、分離トレンチ39の深さは、第1ゲートトレンチ19の深さ以上であってもよい。これにより、活性領域10とセンス領域20とをより確実に分離することができる。
【0066】
さらに第1実施形態に係るMOSFETによれば、分離トレンチ39の延在方向に対して垂直な断面における分離トレンチ39の幅は、第1ゲートトレンチ19の延在方向に対して垂直な断面における第1ゲートトレンチ19の幅以上であってもよい。活性領域10とセンス領域20とをより確実に分離することができる。
【0067】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係るMOSFET100の構成について説明する。第2実施形態に係るMOSFETは、電流センサ素子の代わりに温度センサを有している構成において、第1実施形態に係るMOSFETと異なっており、その他の構成については、第1実施形態に係るMOSFETとほぼ同じである。以下、第1実施形態に係るMOSFETと異なる構成を中心に説明する。
【0068】
センス領域20は、温度センサ素子を有していてもよい。図6に示されるように、センス領域20は、第4不純物領域22と、第5不純物領域23と、第3コンタクト領域91(第6不純物領域91)と、第4コンタクト領域92と、第2基板部分21とを主に有している。第5不純物領域23と、第3コンタクト領域91と、第4コンタクト領域92とは、たとえば温度センサ素子85を構成する。温度センサ素子85は、たとえば電気抵抗体である。電気抵抗体の温度依存性を利用して、電気抵抗体の抵抗値から温度を推定することができる。
【0069】
第4不純物領域22は、たとえば窒素などのn型不純物を含み、n型(第1導電型)を有する。第4不純物領域22は、第1ドリフト領域12に電気的に接続されている。第4不純物領域22のn型不純物の濃度は、第1ドリフト領域12のn型不純物の濃度と同じであってもよい。第5不純物領域23は、たとえばアルミニウム(Al)などのp型不純物を含み、p型を有する。第5不純物領域23は、第4不純物領域22上に設けられている。第5不純物領域23のp型不純物の濃度は、第4不純物領域22のn型不純物の濃度よりも高くてもよい。第5不純物領域23のp型不純物の濃度は、第1ボディ領域13のp型不純物の濃度と同じであってもよい。第5不純物領域23は、たとえば分離トレンチ39の第3側面37に接していてもよい。第5不純物領域23は、たとえば第1ボディ領域13から電気的に分離されている。
【0070】
第3コンタクト領域91および第4コンタクト領域92の各々は、たとえばアルミニウムなどのp型不純物を含んでおり、p型の導電型を有する。第3コンタクト領域91および第4コンタクト領域92の各々のp型不純物の濃度は、たとえば第5不純物領域23のp型不純物の濃度よりも高い。第3コンタクト領域91および第4コンタクト領域92の各々は、第5不純物領域23に接する。第3コンタクト領域91および第4コンタクト領域92の各々は、たとえば第1主面1の一部を構成している。第3コンタクト領域91および第4コンタクト領域92の各々のp型不純物の濃度は、第1コンタクト領域15のp型不純物の濃度と同じであってもよい。
【0071】
第2基板部分21は、たとえば窒素などのn型不純物を含み、n型を有する。第2基板部分21は、たとえば第2主面2の一部を構成している。第2基板部分21のn型不純物の濃度は、第4不純物領域22のn型不純物の濃度よりも高くてもよい。第4不純物領域22は、たとえば第2基板部分21上に設けられている。第2基板部分21は、第3基板部分31に連なっている。
【0072】
第2実施形態に係るMOSFETは、第4導電体95と、第4電極98とをさらに有している。第4導電体95は、第3電極である。第4導電体95は、たとえば第5不純物領域23、第3コンタクト領域91および第4コンタクト領域92の各々と電気的に接続されている。第4導電体95は、たとえば第1主面1において、第3コンタクト領域91に接している。第4導電体95は、第3コンタクト電極93と、第3配線94とを有している。第3配線94は、第3コンタクト電極93上に設けられている。第3コンタクト電極93は、第1主面1において、第3コンタクト領域91に接していてもよい。第3コンタクト電極93は、たとえばTiと、Alと、Siとを含む材料から構成されている。第3コンタクト電極93は、第3コンタクト領域91とオーミック接合していてもよい。第3配線94は、たとえばアルミニウムを含む材料から構成されている。第4導電体95は、たとえば電源3に接続され得る。
【0073】
第4電極98は、たとえば第5不純物領域23、第3コンタクト領域91および第4コンタクト領域92の各々と電気的に接続されている。第4電極98は、たとえば第1主面1において、第4コンタクト領域92に接している。第4電極98は、第4コンタクト電極96と、第4配線97とを有している。第4配線97は、第4コンタクト電極96上に設けられている。第4コンタクト電極96は、第1主面1において、第4コンタクト領域92に接していてもよい。第4コンタクト電極96は、たとえばTiと、Alと、Siとを含む材料から構成されている。第4コンタクト電極96は、第4コンタクト領域92とオーミック接合していてもよい。第4配線97は、たとえばアルミニウムを含む材料から構成されている。第4電極98は、たとえば電流計4に接続され得る。第1ソース電極45は、第4導電体95および第4電極98の各々から電気的に分離されている。
【0074】
第2層間絶縁膜72は、第1主面1の一部を覆うように設けられている。第2層間絶縁膜72は、第1主面1において、たとえば第5不純物領域23、第3コンタクト領域91および第4コンタクト領域92の各々に接して設けられている。第2層間絶縁膜72は、たとえばセンス領域20上に設けられており、活性領域10および分離領域30の各々から離間していてもよい。第2層間絶縁膜72は、たとえば二酸化珪素を含む材料から構成されている。第2層間絶縁膜72は、たとえば第4導電体95と第4電極98との間に位置している。
【0075】
図7に示されるように、第2実施形態に係るMOSFETは、第3パッド101と、第4パッド102と、第3接続配線103と、第4接続配線104とをさらに有していてもよい。図7に示されるように、第2主面2に対して垂直な方向から見て、第3パッド101、第4パッド102、第3接続配線103および第4接続配線104の各々は、第1ゲートランナー81と、第2ゲートランナー82とに挟まれていてもよい。
【0076】
第3パッド101は、第3配線94と電気的に接続されている。第3パッド101は、第3接続配線103を介して、第3配線94に接続されている。第3パッド101は、ゲートパッド80の隣に位置している。第4パッド102は、第4配線97と電気的に接続されている。第4パッド102は、第4接続配線104を介して、第4配線97に接続されている。第3パッド101および第4パッド102の各々は、ゲートパッド80から電気的に分離されている。第3パッド101は、第4パッド102から物理的に分離されている。第3パッド101および第4パッド102の各々は、ソース配線44から電気的に分離されている。
【0077】
第2主面2に対して垂直な方向から見て、第4導電体95および第4電極98の各々は、分離領域30に取り囲まれていてもよい。第4導電体95および第4電極98の各々は、センス領域20上に配置されている。第3パッド101および第4パッド102の各々は、活性領域10上に配置されていてもよい。第3配線94および第4配線97の各々は、活性領域10、分離領域30およびセンス領域20の各々の上に配置されていてもよい。第2主面2に対して垂直な方向から見て、第3接続配線103および第4接続配線104の各々は、分離領域30の延在方向に対して概ね垂直な方向に分離領域30を横切るように設けられていてもよい。第3接続配線103は、第4接続配線104とほぼ平行に延在していてもよい。第2実施形態に係るMOSFET100においても、第1実施形態に係るMOSFET100と同様の作用効果を有する。
【0078】
次に、第2実施形態に係るMOSFETが有する温度センサの動作について説明する。
図6に示されるように、第3電極95は、電源3の正極側に接続されている。第4電極98は、電源3の負極側に接続されている。第4電極98と、電源3の負極との間に、電流計4が設けられている。電源3を用いて、第3電極95と第4電極98との間に電圧が印加されると、第3コンタクト領域91と第5不純物領域23と第4コンタクト領域92とを通って、第3電極95と第4電極98との間を電流が流れる。第3電極95と第4電極98との間を流れる電流は、電流計4によって検出される。
【0079】
第3コンタクト領域91と、第5不純物領域23と、第4コンタクト領域92とは、温度センサ素子85を構成する。温度センサ素子85は、たとえば電気抵抗体である。温度センサ素子85の電気抵抗は、温度によって変化する。たとえば温度センサ素子85の温度が高くなると、温度センサ素子85の電気抵抗が大きくなる。結果として、電流計4によって測定される電流は、小さくなる。反対に、温度センサ素子85の温度が低くなると、温度センサ素子85の電気抵抗が小さくなる。結果として、電流計4によって測定される電流は、大きくなる。以上のように、電流計4によって測定される電流に基づいて、温度センサ素子85の温度を推定することができる。
【0080】
温度センサ素子85の温度と、電流計4によって測定される電流との関係式は、予め求められている。電流計4によって、温度センサ素子85を流れる電流がモニターされる。上記関係式に基づいて、電流計4によって測定される電流から温度センサ素子85の温度が推定される。たとえば、電流計4によって測定される電流が所定の値を超えた場合に、ゲート電圧の印加が停止されるようにMOSFET100が制御されてもよい。
【0081】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態に係るMOSFET100の構成について説明する。第3実施形態に係るMOSFETは、温度センサ素子がダイオードである構成において、第2実施形態に係るMOSFETと異なっており、その他の構成については、第2実施形態に係るMOSFETとほぼ同じである。以下、第2実施形態に係るMOSFETと異なる構成を中心に説明する。
【0082】
図8に示されるように、センス領域20は、第4不純物領域22と、第5不純物領域23と、n型領域6と、第5コンタクト領域7と、第2基板部分21とを主に有している。第5不純物領域23(p型領域)と、n型領域6とは、たとえば温度センサ素子85を構成する。温度センサ素子85は、たとえばダイオードである。
【0083】
第5不純物領域23は、たとえばアルミニウム(Al)などのp型不純物を含み、p型を有する。第5不純物領域23は、第4不純物領域22上に設けられている。第5不純物領域23のp型不純物の濃度は、第4不純物領域22のn型不純物の濃度よりも高くてもよい。第5不純物領域23のp型不純物の濃度は、第1ボディ領域13のp型不純物の濃度と同じであってもよい。第5不純物領域23は、たとえば分離トレンチ39の第3側面37に接していてもよい。第5不純物領域23は、第1ボディ領域13から電気的に分離されている。
【0084】
n型領域6は、第4不純物領域22から隔てられるように第5不純物領域23上に設けられている。n型領域6は、たとえば窒素またはリン(P)などのn型不純物を含んでおり、n型を有する。n型領域6は、たとえば第1主面1の一部を構成している。n型領域6のn型不純物の濃度は、第5不純物領域23のp型不純物の濃度よりも高くてもよい。n型領域6のn型不純物の濃度は、第1ソース領域14のn型不純物の濃度と同じであってもよい。n型領域6は、第4導電体95に接続している。
【0085】
第5コンタクト領域7は、たとえばアルミニウムなどのp型不純物を含んでおり、p型の導電型を有する。第5コンタクト領域7のp型不純物の濃度は、たとえば第5不純物領域23のp型不純物の濃度よりも高い。第5コンタクト領域7は、第5不純物領域23に接する。第5コンタクト領域7は、たとえば第1主面1の一部を構成している。第5コンタクト領域7のp型不純物の濃度は、第1コンタクト領域15のp型不純物の濃度と同じであってもよい。第5コンタクト領域7は、第4電極98に接続している。第3実施形態に係るMOSFET100においても、第1実施形態に係るMOSFET100と同様の作用効果を有する。
【0086】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態に係るMOSFET100の構成について説明する。第4実施形態に係るMOSFETは、電流センサ素子を有する第1実施形態に係るMOSFETと、温度センサを有する第2実施形態または第3実施形態に係るMOSFETとを組み合わせた構成を有している。以下、第1~3実施形態の各々に係るMOSFETと異なる構成を中心に説明する。
【0087】
図9に示されるように、センス領域20は、電流センサ素子84と、温度センサ素子85とを有している。具体的には、センス領域20は、第2ドリフト領域22と、第2ボディ領域23と、第2ソース領域24と、第2コンタクト領域25と、第2p型領域26と、第2基板部分21と、第3コンタクト領域91と、第4コンタクト領域92とを有していている。電流センサ素子84は、たとえば第2ドリフト領域22と第2ボディ領域23と第2ソース領域24とにより構成されている。温度センサ素子85は、たとえば第3コンタクト領域91と第2ボディ領域23と第4コンタクト領域92とにより構成されている。温度センサ素子85は、たとえば電気抵抗体である。
【0088】
図9に示されるように、センス領域20には、境界トレンチ67が設けられている。境界トレンチ67は、電流センサ素子84と温度センサ素子85とを分離している。センス領域20は、さらに第4ドリフト領域34と、第4基板部分33とを有している。第4ドリフト領域34は、第2ドリフト領域22に連なっている。第4基板部分33は、第2基板部分21に連なっている。境界トレンチ67は、第4側面65と、第4底面66とにより規定されている。第4側面65は、第2ドリフト領域22に接している。境界トレンチ67は、電流センサ素子84の第2ボディ領域23と温度センサ素子85の第2p型領域26とを電気的に分離している。
【0089】
第4底面66は、第4側面65に連なっている。第4底面66は、第4ドリフト領域34により構成されている。第4底面66は、たとえば第2主面2と平行な平面である。第4底面66に対する第4側面65の角度は、たとえば90°である。第4側面65は、第4底面66に対して垂直な平面に対して傾斜していてもよい。第4側面65は、第4底面66から第1主面1に向かうに従って、境界トレンチ67の幅が拡がるように、第4底面66に対して傾斜していてもよい。
【0090】
境界トレンチ67の内部には、第4絶縁膜63が設けられている。第4絶縁膜63は、第4側面65および第4底面66の各々に接している。第4絶縁膜63上に第5導電体64が設けられている。第5導電体64は、境界トレンチ67の内部に配置されている。第4絶縁膜63の材料は、たとえば第2絶縁膜61の材料と同じである。第5導電体64の材料は、たとえば第2導電体62の材料と同じである。
【0091】
図10に示されるように、第2主面2に対して垂直な方向から見て、分離トレンチ39は、たとえば長方形状である。境界トレンチ67は、分離トレンチ39に連なっている。境界トレンチ67は、分離トレンチ39によって囲まれた領域を2つに分断している。第2主面2に対して垂直な方向から見て、境界トレンチ67は、たとえば直線状である。境界トレンチ67の一端および他端の各々は、分離トレンチ39に連なっている。
【0092】
ソースパッド57は、第4パッド102の隣に位置している。第4パッド102は、第3パッド101と、ソースパッド57との間に位置している。ソース配線領域56は、第4接続配線104の隣に位置している。第4接続配線104は、第3接続配線103と、ソース配線領域56との間に位置している。第2ソース配線54は、第4配線97の隣に位置している。第4配線97は、第3配線94と、第2ソース配線54との間に位置している。第4実施形態に係るMOSFET100においても、第1実施形態に係るMOSFET100と同様の作用効果を有する。
【0093】
なお上記各実施形態では、n型を第1導電型とし、かつp型を第2導電型して説明したが、p型を第1導電型とし、かつn型を第2導電型としてもよい。また上記各実施形態では、ゲート絶縁型トランジスタ100としてMOSFETを例に挙げて説明したが、ゲート絶縁型トランジスタ100は、たとえばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などであってもよい。さらに上記各不純物領域におけるp型不純物の濃度およびn型不純物の濃度は、たとえばSCM(Scanning Capacitance Microscope)またはSIMS(Secondary Ion Mass Spectrometry)などにより測定可能である。またp型領域とn型領域6との境界面(つまりPN界面)の位置は、たとえばSCMまたはSIMSなどにより特定することができる。さらに上記第1~第3実施形態では、センス領域20に電流センサまたは温度センサが配置されている場合について説明したが、第4実施形態に示されるように、センス領域20に電流センサおよび温度センサの双方が配置されていてもよい。
【0094】
また上記各実施形態においては、炭化珪素基板9の代わりに、炭化珪素とは異なる半導体により構成された半導体基板が用いられてもよい。具体的な半導体としては、たとえば窒化ガリウム(GaN)、酸化ガリウム(Ga)、窒化アルミニウム(AlN)、珪素(Si)または窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)などが利用可能である。
【0095】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0096】
1 第1主面、2 第2主面、3 電源、4 電流計、5 第3p型領域、6 n型領域、7 第5コンタクト領域、9 炭化珪素基板、10 活性領域、11 第1基板部分、12 第1不純物領域(第1ドリフト領域)、13 第2不純物領域(第1ボディ領域)、14 第3不純物領域(第1ソース領域)、15 第1コンタクト領域、16 第1p型領域、17 第1側面、18 第1底面、19 第1ゲートトレンチ、20 センス領域、21 第2基板部分、22 第4不純物領域(第2ドリフト領域)、23 第5不純物領域(第2ボディ領域)、24 第6不純物領域(第2ソース領域)、25 第2コンタクト領域、26 第2p型領域、27 第2側面、28 第2底面、29 第2ゲートトレンチ、30 分離領域、31 第3基板部分、32 第3ドリフト領域、33 第4基板部分、34 第4ドリフト領域、37 第3側面、38 第3底面、39 分離トレンチ、41 第1絶縁膜、42 第1導電体(第1ゲート電極)、43 第1コンタクト電極、44 第1ソース配線、45 第1ソース電極(ソース電極、第1電極)、51 第3絶縁膜、52 第3導電体(第2ゲート電極)、53 第2コンタクト電極、54 第2ソース配線、55 第2ソース電極、56 ソース配線領域、57 ソースパッド、61 第2絶縁膜、62 第2導電体、70 ドレイン電極(第2電極)、71 第1層間絶縁膜、72 第2層間絶縁膜、73 パッシベーション層、74 第1絶縁層、75 第2絶縁層、76 第3層間絶縁膜、80 ゲートパッド、81 第1ゲートランナー、82 第2ゲートランナー、83 ゲート接続配線、84 電流センサ素子、85 温度センサ素子、91 第6不純物領域(第3コンタクト領域)、92 第4コンタクト領域、93 第3コンタクト電極、94 第3配線、95 第4導電体(第3電極)、96 第4コンタクト電極、97 第4配線、98 第4電極、100 ゲート絶縁型トランジスタ(MOSFET)、101 第3パッド、102 第4パッド、103 第3接続配線、104 第4接続配線、D ドレイン端子、G1 第1ゲート端子、G2 第2ゲート端子、S1 第1ソース端子、S2 第2ソース端子。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10