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特許7184072特定方法、特定システム、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】特定方法、特定システム、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/80 20170101AFI20221129BHJP
   G03B 21/00 20060101ALI20221129BHJP
   H04N 5/74 20060101ALI20221129BHJP
   G09G 5/00 20060101ALI20221129BHJP
【FI】
G06T7/80
G03B21/00 D
H04N5/74 Z
G09G5/00 510B
G09G5/00 X
G09G5/00 530T
G09G5/00 550C
G09G5/00 550B
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020178205
(22)【出願日】2020-10-23
(65)【公開番号】P2022069176
(43)【公開日】2022-05-11
【審査請求日】2021-09-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003177
【氏名又は名称】弁理士法人旺知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】黒田 一平
【審査官】山田 辰美
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-102775(JP,A)
【文献】国際公開第2017/122500(WO,A1)
【文献】特開2016-102755(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/00-7/90
G03B 21/00
H04N 5/74
G09G 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロジェクターから投写画像を投写される被投写物を撮像する撮像装置が固定されているか否かを判定し、
前記撮像装置が固定されていないと判定される場合には、前記プロジェクターから前記被投写物に第1群に属する各画像を順次投写する一方、前記撮像装置が固定されていると判定される場合には前記プロジェクターから前記被投写物に第2群に属する各画像を順次投写し、
前記第1群に属する各画像又は前記第2群に属する各画像が投写されている状態において、前記被投写物を前記撮像装置により撮像することで撮像画像を生成し、
前記プロジェクターから前記被投写物に投写された画像と前記撮像装置による前記撮像画像とに基づいて、前記被投写物に投写された画像上の位置と前記撮像画像上の位置との対応関係を特定する、
特定方法。
【請求項2】
第1の時刻から第2の時刻までの前記撮像装置の位置の変化量を検出し、
前記変化量が閾値以上である場合に、前記撮像装置は固定されていないと判定し、前記第1の時刻から前記第2の時刻までの前記撮像装置の位置の変化量が前記閾値未満である場合に、前記撮像装置は固定されていると判定する、請求項1に記載の特定方法。
【請求項3】
第1の時刻から第2の時刻までの前記撮像装置の速度の変化量を検出し、
前記変化量が閾値以上である場合に、前記撮像装置は固定されていないと判定し、前記第1の時刻から前記第2の時刻までの前記撮像装置の速度の変化量が前記閾値未満である場合に、前記撮像装置は固定されていると判定する、請求項1に記載の特定方法。
【請求項4】
第1の時刻における前記撮像装置の加速度である第1の加速度、及び前記第2の時刻における前記撮像装置の加速度である第2の加速度を検出し、
前記第1の加速度と前記第2の加速度との和を前記撮像装置の速度の変化量とする、請求項3に記載の特定方法。
【請求項5】
第1の時刻、第2の時刻、第3の時刻、及び第4の時刻の各々における前記撮像装置の加速度を検出し、
前記第1の時刻から前記第4の時刻までの時間領域における前記撮像装置の加速度の分布を周波数領域のスペクトラムに変換し、前記スペクトラムのピークにおける強度が閾値以上である場合に、前記撮像装置が固定されていないと判定し、前記スペクトラムのピークにおける強度が前記閾値未満である場合に、前記撮像装置が固定されていると判定する、請求項1に記載の特定方法。
【請求項6】
前記撮像装置が固定されているか否かを示す情報の入力をユーザーに促し、前記ユーザーにより入力された情報に基づいて前記撮像装置が固定されているか否かを判定する、請求項1に記載の特定方法。
【請求項7】
前記第1群の画像数は、前記第2群の画像数よりも少ない、請求項1乃至6のうちの何れか1項に記載の特定方法。
【請求項8】
前記第1群の各画像は、互いに異なるパターンの画像であり、前記第1群の各画像は、互いに異なるパターンの画像に各パターンの位置合わせのためのマーカーを付与した画像である、請求項1乃至7のうちの何れか1項に記載の特定方法。
【請求項9】
プロジェクターと、
撮像装置と、
処理装置と、を備え、
前記処理装置は、
前記撮像装置が固定されているか否かを判定すること、
前記撮像装置が固定されていないと判定される場合には、被投写物に対して前記プロジェクターに第1群に属する各画像を順次投写させる一方、前記撮像装置が固定されていると判定される場合には前記プロジェクターから前記被投写物に第2群に属する各画像を順次投写させること、
前記第1群に属する各画像又は前記第2群に属する各画像が投写されている状態において、前記被投写物を前記撮像装置に撮像させることで撮像画像を生成すること、
前記プロジェクターから前記被投写物に投写された画像と前記撮像装置による前記撮像画像とに基づいて、前記被投写物に投写された画像上の位置と前記撮像画像上の位置との対応関係を特定すること、を実行する、
特定システム。
【請求項10】
コンピューターに、
プロジェクターから投写画像を投写される被投写物を撮像する撮像装置が固定されているか否かを判定すること、
前記撮像装置が固定されていないと判定される場合には、前記被投写物に対して第1群に属する各画像を前記プロジェクターに順次投写させる一方、前記撮像装置が固定されていると判定される場合には前記被投写物に対して第2群に属する各画像を前記プロジェクターに順次投写させること、
前記第1群に属する各画像又は前記第2群に属する各画像が投写されている状態において、前記被投写物を前記撮像装置に撮像させることで撮像画像を生成すること、及び、
前記プロジェクターから前記被投写物に投写された画像と前記撮像装置による前記撮像画像とに基づいて、前記被投写物に投写された画像上の位置と前記撮像画像上の位置との対応関係を特定すること、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、特定方法、特定システム、及びプログラム、に関する。
【背景技術】
【0002】
プロジェクションマッピングでは、非平面のスクリーンに対してプロジェクターから投写画像を投写することがある。非平面のスクリーンに投写された投写画像は、ユーザーには、スクリーンの形状に応じて歪んで見える。そこで、投写画像の投写先が非平面のスクリーンである場合には、スクリーンの形状に応じた歪みを考慮して投写画像を予め補正しておくことが普通である。スクリーンの形状に応じた歪みを検出する技術の一例としては特許文献1に開示の技術が挙げられる。
【0003】
特許文献1に開示の技術では、まず、スクリーンに対するプロジェクターの投写方向が特定される。特許文献1に開示の技術では、特定した投写方向に応じた変形を施したパターン画像がプロジェクターからスクリーンに投写される。特許文献1に開示の技術では、変形を施したパターン画像を投写されている状態において、スクリーンがカメラにより撮像される。そして、特許文献1に開示の技術では、投写方向に応じた変形を施したパターン画像とカメラの撮像画像とに基づいてプロジェクター座標系とカメラ座標系との対応関係が特定される。プロジェクター座標系とは投写画像内の位置を示す座標系である。カメラ座標系とはカメラによる撮像画像内の位置を示す座標系である。特許文献1に開示の技術では、プロジェクター座標系とカメラ座標系との対応関係に基づいてスクリーンの形状に応じた歪みが検出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-166893号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
スクリーンに対するプロジェクターの投写方向を考慮するだけでは、プロジェクター座標系とカメラ座標系との対応関係を十分な精度で特定できない場合がある。ユーザーが手に持ったカメラでスクリーンを撮像する場合には、プロジェクター座標系とカメラ座標系との対応関係を手振れ等の影響により、十分な精度で特定できない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するために、本開示の特定方法は、プロジェクターから投写画像を投写される被投写物を撮像する撮像装置が固定されているか否かを判定し、前記撮像装置が固定されていないと判定される場合には、前記プロジェクターから前記被投写物に第1群に属する各画像を順次投写する一方、前記撮像装置が固定されていると判定される場合には前記プロジェクターから前記被投写物に第2群に属する各画像を順次投写し、前記第1群に属する各画像又は前記第2群に属する各画像が投写されている状態において、前記被投写物を前記撮像装置により撮像することで撮像画像を生成し、前記プロジェクターから前記被投写物に投写された画像と前記撮像装置による前記撮像画像とに基づいて、前記被投写物に投写された画像上の位置と前記撮像画像上の位置との対応関係を特定する。
【0007】
また、以上の課題を解決するために、本開示の特定システムは、プロジェクターと、撮像装置と、処理装置と、を備える。処理装置は、前記撮像装置が固定されているか否かを判定すること、前記撮像装置が固定されていないと判定される場合には、被投写物に対して前記プロジェクターに第1群に属する各画像を順次投写させる一方、前記撮像装置が固定されていると判定される場合には前記プロジェクターから前記被投写物に第2群に属する各画像を順次投写させること、前記第1群に属する各画像又は前記第2群に属する各画像が投写されている状態において、前記被投写物を前記撮像装置に撮像させることで撮像画像を生成すること、及び、前記プロジェクターから前記被投写物に投写された画像と前記撮像装置による前記撮像画像とに基づいて、前記被投写物に投写された画像上の位置と前記撮像画像上の位置との対応関係を特定すること、を実行する。
【0008】
また、以上の課題を解決するために、本開示のプログラムは、コンピューターに、プロジェクターから投写画像を投写される被投写物を撮像する撮像装置が固定されているか否かを判定すること、前記撮像装置が固定されていないと判定される場合には、前記被投写物に対して第1群に属する各画像を前記プロジェクターに順次投写させる一方、前記撮像装置が固定されていると判定される場合には前記被投写物に対して第2群に属する各画像を前記プロジェクターに順次投写させること、前記第1群に属する各画像又は前記第2群に属する各画像が投写されている状態において、前記被投写物を前記撮像装置に撮像させることで撮像画像を生成すること、及び、前記プロジェクターから前記被投写物に投写された画像と前記撮像装置による前記撮像画像とに基づいて、前記被投写物に投写された画像上の位置と前記撮像画像上の位置との対応関係を特定すること、を実行させる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の一実施形態に係る特定方法を実行する特定装置1Aを含む画像表示システム5Aの構成例を示すブロック図である。
図2】特定装置1Aがプロジェクター2に投射させるパターン画像の一例を示す図である。
図3】特定装置1Aがプロジェクター2に投射させるパターン画像の一例を示す図である。
図4】特定装置1Aがプロジェクター2に投射させるパターン画像の一例を示す図である。
図5】特定装置1Aがプロジェクター2に投射させるパターン画像の一例を示す図である。
図6】特定装置1Aの処理装置40がプログラムPAに従って実行する特定方法の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本開示の実施形態を説明する。以下に述べる実施形態には技術的に好ましい種々の限定が付されている。しかし、本開示の実施形態は、以下に述べる形態に限られるものではない。
【0011】
1.実施形態
図1は、本開示の実施形態に係る特定装置1Aを含む画像表示システム5Aの構成例を示すブロック図である。画像表示システム5Aには、特定装置1Aの他に、特定装置1Aと通信するプロジェクター2が含まれる。プロジェクター2は、特定装置1Aから供給される画像データに応じた投写画像G1を被投写物SCの表面に投写する。図1では、詳細な図示を省略したが、プロジェクター2は、光源と、光変調装置としての3つの表示パネルと、投写レンズと、表示パネル駆動部とを備える。
【0012】
プロジェクター2における3つの表示パネルの各々は、夫々赤、緑及び青の各色に対応する。本実施形態では、表示パネルは液晶ライトバルブである。表示パネル駆動部は、特定装置1Aから供給される画像データに応じて3つの表示パネルの各々における光の透過率を制御する。プロジェクター2は、光源から射出された光を3つの表示パネルの各々で変調して画像光を形成し、この画像光を投写レンズから投写して被投写物SCの表面に投写画像G1を表示する。本実施形態における被投写物SCは、図1に示すように直方体であるが、三角錐或いは四角錐等、多角形の連結により構成される三次元形状、或いは曲面を有する三次元形状であってもよい。
【0013】
特定装置1Aは、例えばスマートフォンである。特定装置1Aは、撮像機能、及びプロジェクター2と通信する通信機能、を有する。特定装置1Aとプロジェクター2とがネットワーク接続されると、特定装置1Aは、プロジェクター2と通信し、プロジェクター2からプロジェクター情報を取得する。プロジェクター情報には、解像度情報、及びプロジェクター2において復号化可能な圧縮形式を示す圧縮形式情報が含まれる。
【0014】
解像度情報は、プロジェクター2における表示パネルの解像度を示す情報である。解像度情報は、プロジェクター座標系とカメラ座標系との対応関係を特定するための計測パターンのパターン画像を生成する際に利用される。プロジェクター座標系とはプロジェクター2による投写画像上の位置を示す座標系である。プロジェクター座標系の一例としては、投写画像の左上隅を原点とする二次元座標系が挙げられる。カメラ座標系とは、撮像画像上の位置を示す座標系である。カメラ座標系の具体例としては撮像画像の左上隅を原点とする二次元座標系が挙げられる。詳細については後述するが、本実施形態では、計測パターンとしてバイナリコードパターンが用いられる。圧縮形式情報は、計測パターンを示す計測パターンデータを圧縮して特定装置1Aからプロジェクター2へ送信する場合における計測パターンデータの圧縮形式の決定に利用される。特定装置1Aからプロジェクター2へ計測パターンデータを圧縮して送信する場合の圧縮形式は、ランレングス、LZH、PNG、及びGIF等の可逆圧縮形式が望ましい。
【0015】
特定装置1Aは、プロジェクター2から取得した解像度情報を用いて複数の計測パターンの各々を表す計測パターンデータを生成し、生成した計測パターンデータをプロジェクター2に与える。プロジェクター2は、特定装置1Aから与えられる計測パターンデータの示す複数の計測パターンの各々の画像を被投写物SCに投写する。なお、特定装置1Aからプロジェクター2へコマンドを送信し、このコマンドに基づいて計測パターンデータをプロジェクター2が生成してもよい。特定装置1Aからプロジェクター2へコマンドを送信する場合、プロジェクター情報に圧縮形式情報を含めておく必要はない。プロジェクター2で計測パターンデータを生成する態様であれば、特定装置1Aからプロジェクター2に計測パターンを伝達するための通信時間が短縮される。
【0016】
特定装置1Aは、計測パターン毎に、プロジェクター2により計測パターンのパターン画像を投写されている状態において被投写物SCを撮像することをユーザーに促す。特定装置1Aは、計測パターンのパターン画像を投写されている状態の被投写物SCをユーザーの操作に応じて撮像機能により撮像する。計測パターンのパターン画像を投写されている状態の被投写物SCを特定装置1Aを用いて撮像する場合、三脚等を用いて特定装置1Aを固定して撮像する場合、特定装置1Aをユーザーが手に持って撮像する場合、即ち特定装置1Aが固定されていない場合とがある。特定装置1Aは、撮像された複数の撮像画像と複数のパターン画像とからプロジェクター座標系とカメラ座標系との対応関係を特定する。プロジェクター座標系とカメラ座標系との対応関係を特定するとは、一方の座標系から他方の座標系への射影変換のための変換行列を生成することをいう。
【0017】
図1に示すように、特定装置1Aは、タッチパネル10と、通信装置20と、記憶装置30と、処理装置40と、撮像装置50と、センサー60と、を含む。通信装置20は、無線通信モジュール又は有線通信モジュールである。通信装置20が有線通信モジュールである場合、通信装置20は通信線を介してプロジェクター2に接続される。特定装置1Aとプロジェクター2との接続は、ルーター等の中継装置を介さない直接接続であってもよいし、中継装置を介する間接接続であってもよい。通信装置20が無線通信モジュールである場合、直接接続の具体例としてはアドホック接続が挙げられ、間接接続の具体例としては無線アクセスポイント装置を介するアクセスポイント接続が挙げられる。また、通信装置20が有線通信モジュールである場合、直接接続の具体例としてはピアトゥーピア接続が挙げられ、間接接続の具体例としては有線ルーター又は有線ハブを介する接続が挙げられる。通信装置20は、処理装置40による制御の下、プロジェクター2と通信する。撮像装置50はカメラである。撮像装置50は、処理装置40による制御の下で撮像を行い、撮像画像を表す画像データを処理装置40に供給する。本実施形態では、撮像装置50は特定装置1Aに固定されている。
【0018】
タッチパネル10は、表示装置と入力装置とが一体化された装置である。入力装置は、例えば透明なシート状の接触センサーである。入力装置は、表示装置の表示面を覆うように設けられる。入力装置は、当該入力装置に接触する物体と当該入力装置とによって特定される静電容量を用いてタッチ位置を検出し、検出したタッチ位置を示すデータを処理装置40へ出力する。これにより、タッチパネル10に対するユーザーの操作内容が処理装置40へ伝達される。
【0019】
センサー60は、例えば加速度センサーである。センサー60は、処理装置40による制御の下、特定装置1Aの筐体に加わった外力に応じた特定装置1Aの並進運動の加速度を検知し、検知した加速度の大きさを示す加速度データを処理装置40へ出力する。本実施形態では、特定装置1Aに撮像装置50が固定されているため、センサー60により検知される特定装置1Aの加速度は、撮像装置50の加速度でもある。
【0020】
記憶装置30は、処理装置40が読み取り可能な記録媒体である。記憶装置30は、例えば、不揮発性メモリーと揮発性メモリーとを含む。不揮発性メモリーは、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)又はEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)である。揮発性メモリーは、例えば、RAM(Radom Access Memory)である。
【0021】
記憶装置30の不揮発性メモリーには、処理装置40によって実行されるプログラムPAが記憶される。記憶装置30の揮発性メモリーはプログラムPAを実行する際のワークエリアとして処理装置40によって利用される。プログラムPAは、「アプリケーションプログラム」、「アプリケーションソフトウェア」又は「アプリ」とも称され得る。プログラムPAは、例えば、通信装置20を介して不図示のサーバー等から取得され、その後、記憶装置30に記憶される。プログラムPAは、記憶装置30に予め記憶されてもよい。
【0022】
処理装置40は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサー、即ちコンピューターを含んで構成される。処理装置40は、単一のコンピューターで構成されてもよいし、複数のコンピューターで構成されてもよい。処理装置40は、プログラムPAの実行開始を指示する操作がタッチパネル10に対して為されたことを契機としてプログラムPAを不揮発性メモリーから揮発性メモリーに読み出し、プログラムPAの実行を開始する。プログラムPAに従って作動中の処理装置40は、図1に示す取得部400、判定部410、第1撮像制御部420、第1特定部430、第2撮像制御部440、及び第2特定部450として機能する。図1に示す取得部400、判定部410、第1撮像制御部420、第1特定部430、第2撮像制御部440、及び第2特定部450は、処理装置40をプログラムPAに従って動作させることで実現されるソフトウェアモジュールである。
【0023】
取得部400は、特定装置1Aとプロジェクター2とがネットワーク接続された状況下においてタッチパネル10に対する操作により対応関係の特定開始を指示されたことを契機として、プロジェクター情報を取得する。また、取得部400は、プロジェクター情報を取得した時刻と、当該時刻から所定時間だけ後の時刻の各々における加速度の大きさを示す加速度データをセンサー60から取得する。プロジェクター情報を取得した時刻は第1の時刻の一例である。第1の時刻から所定時間だけ後の時刻は第2の時刻の一例である。第1の時刻における加速度は第1の加速度の一例である。第2の時刻における加速度は第2の加速度の一例である。第1の加速度の大きさを表す加速度データは第1の加速度データの一例である。第2の加速度の大きさを表す加速度データは第2の加速度データの一例である。
【0024】
判定部410は、第1の加速度データ及び第2の加速度データに基づいて、被投写物SCに対して撮像装置50が固定されているか否かを判定する。より詳細に説明すると、判定部410は、まず、第1の時刻から第2の時刻までの所定時間における撮像装置50の速度の変化量を算出する。具体的には、判定部410は、第1の加速度の大きさと第2の加速度の大きさとの和を、第1の時刻から第2の時刻までの所定時間における撮像装置50の速度の変化量とする。判定部410は、撮像装置50の速度の変化量に基づいて、撮像装置50が固定されているか否かを判定する。具体的には、撮像装置50の速度の変化量が予め定められた閾値未満である場合には、判定部410は、撮像装置50が固定されていると判定する。逆に、撮像装置50の速度の変化量が予め定められた閾値以上である場合には、判定部410は、撮像装置50が固定されていないと判定する。
【0025】
第1撮像制御部420は、プロジェクター2に投写させる第1の計測パターンのパターン画像として第1群に属する複数の画像をプロジェクター情報に基づいて生成する。第1の計測パターンは、特定装置1Aが固定されていない状態、即ち撮像装置50が固定されていない状態において、プロジェクター座標系とカメラ座標系との対応関係を特定するための計測パターンである。撮像装置50が固定されていない場合には、第1撮像制御部420と、後述の第1特定部430とにより、プロジェクター座標系とカメラ座標系との対応関係が特定される。第1撮像制御部420は、プロジェクター情報に含まれる解像度情報から第1群に属する各計測パターンの表す第1計測パターンデータを生成する。第1撮像制御部420は、第1計測パターンデータの表す各計測パターンを順次投写するようにプロジェクター2を制御する。また、第1撮像制御部420は、被投写物SCに順次投写される各計測パターンを撮像するようにユーザーに促し、ユーザーの操作に応じて撮像装置50に撮像を行わせることで撮像画像を生成する。
【0026】
第1特定部430は、第1群の各画像と、第1群の各画像が投写されている状態において撮像された被投写物SCの各撮像画像とに基づいて、プロジェクター座標系とカメラ座標系との対応関係を特定する。第1特定部430は、撮像装置50により撮像された撮像画像における第1の計測パターンの座標をプロジェクター2の表示装置における第1の計測パターンの座標に射影変換するための変換行列を複数の第1の計測パターンの画像と複数の撮像画像とから生成する。
【0027】
第2撮像制御部440は、プロジェクター2に投写させる計測パターンのパターン画像として第1群とは異なる第2群に属する複数の画像をプロジェクター情報に基づいて生成する。第2の計測パターンは、特定装置1Aが固定されている状態、即ち撮像装置50が固定されている状態において、プロジェクター座標系とカメラ座標系との対応関係を特定するための計測パターンである。撮像装置50が固定されている場合には、第2撮像制御部440と、後述の第2特定部450とにより、プロジェクター座標系とカメラ座標系との対応関係が特定される。
【0028】
第2撮像制御部440は、プロジェクター情報に含まれる解像度情報から第2群に属する各計測パターンの表す第2計測パターンデータを生成する。第2撮像制御部440は、第2計測パターンデータの表す各計測パターンを順次投写するようにプロジェクター2を制御する。また、第2撮像制御部440は、被投写物SCに順次投写される各計測パターンを撮像するようにユーザーに促し、ユーザーの操作に応じて撮像装置50に撮像を行わせることで撮像画像を生成する。第2特定部450は、第2群の各画像と、第2群の各画像が投写されている状態において撮像された被投写物SCの各撮像画像とに基づいて、プロジェクター座標系とカメラ座標系との対応関係を特定する。
【0029】
前述したように、本実施形態では計測パターンとしてバイナリコードパターンが用いられる。つまり、第1の計測パターンと第2の計測パターンは、バイナリコードパターンという点では共通である。バイナリコードパターンとは、バイナリコードを使って表示装置の座標を表現するための画像のことをいう。バイナリコードとは、任意の数値を2進数で表現した場合の各桁の値をスイッチのオン/オフによって表現する技法である。計測パターンとしてバイナリコードパターンを用いる場合、プロジェクター2により投写される画像が上記のスイッチにあたり、座標値を表す2進数の桁数分の画像が必要となる。また、X座標とY座標とで夫々別個の画像が必要となる。例えば、プロジェクター2の表示パネルの解像度、即ち縦方向及び横方向の画素数が夫々6桁の2進数で表現される場合、X座標を表現するために6枚の画像が必要となり、Y座標を表現するために6枚の画像が必要となる。
【0030】
バイナリコードパターンを計測パターンとして用いる場合、照明等の外乱光の影響により計測のロバスト性が低下することが一般的に知られている。このため、バイナリコードパターンを計測パターンとして用いる場合には、外乱光の影響を抑え、計測のロバスト性を向上させるために相補パターンを併用することが一般的である。相補パターンとは、白黒を反転した画像のことをいう。以下では、1を白で表し、0を黒で表すバイナリコードパターンを「ポジティブパターン」と呼び、それを反転させた相補パターンを「ネガティブパターン」と呼ぶ。解像度情報の示す縦方向及び横方向の画素数が夫々6桁の2進数で表現される場合、計測のロバスト性の低下を考慮すれば、図2に示すように、ポジティブパターンが12枚、ネガティブパターンが12枚の合計24枚の計測パターンを用いることが望ましい。
【0031】
本実施形態では、第2撮像制御部440は、解像度情報の示す縦方向及び横方向の画素数が夫々6桁の2進数で表現される場合、図2に示す24枚の計測パターンを第2群の各画像として生成する。計測のロバスト性の低下を考慮し、プロジェクター座標系とカメラ座標系との対応関係を精度良く特定するためである。これに対して、第1撮像制御部420は、図3に示す12枚の計測パターンを第1群の各画像として生成する。図3図2とを対比すれば明らかように、第1の計測パターンは「ポジティブパターン」と「ネガティブパターン」とのうちの一方で構成されている点が、第2の計測パターンと異なる。つまり、本実施形態における第1群の画像数は第2群の画像数よりも少ない。撮像装置50が固定されていない状態では、計測のロバスト性の向上よりも、対応関係の特定を手早く終わらせることを優先させることで、手振れの影響の低減が期待されるからである。
【0032】
また、図3図2とを対比すれば明らかなように、第1群の各画像は、第1群の各画像を互いに位置合わせするためのマーカーMを四隅に有する点において第2群の各画像と異なる。第1特定部430は、撮像装置50により撮像された各撮像画像における4つのマーカーMが互いに重なるように各撮像画像に射影変換を施す。そして、第1特定部430は、第1群の各画像と、射影変換済の各撮像画像とに基づいて、プロジェクター座標系とカメラ座標系との対応関係を特定する。4つのマーカーMが互いに重なるように各撮像画像に射影変換を施すことで手振れの影響が低減するからである。
【0033】
本実施形態では、計測パターンとしてバイナリコードパターンが用いられるが、ドットパターン、矩形パターン、多角形パターン、チェッカーパターン、グレイコードパターン、位相シフトパターン、又はランダムドットパターン等の他の構造化光が用いられてもよい。計測パターンとしてグレイコードパターンを用い、且つ解像度情報の示す縦方向及び横方向の画素数が夫々6桁の2進数で表現される場合おける第2計測パターンとしては図4に示す24枚が挙げられ、第1計測パターンとしては図5に示す12枚が挙げられる。
【0034】
また、プログラムPAに従って作動している処理装置40は、本開示の特定方法を実行する。図6は、この特定方法の流れを示すフローチャートである。図6に示すように、この特定方法には、取得処理SA100、判定処理SA110、第1撮像制御処理SA120、第1特定処理SA130、第2撮像制御処理SA140、及び第2特定処理SA150が含まれる。
【0035】
取得処理SA100では、処理装置40は、取得部400として機能する。取得処理SA100では、処理装置40は、タッチパネル10に対する操作により対応関係の特定開始を指示されたことを契機として、プロジェクター情報を取得する。また、取得処理SA100では、処理装置40は、第1の加速度データと第2の加速度データとを取得する。
【0036】
判定処理SA110では、処理装置40は、第1の加速度データ及び第2の加速度データに基づいて、撮像装置50が固定されているか否かを判定する。前述したように、判定処理SA110では、処理装置40は、まず、第1の時刻から第2の時刻までの所定時間における撮像装置50の速度の変化量を算出する。具体的には、処理装置40は、第1の加速度データの示す第1の加速度の大きさと第2の加速度データの示す第2の加速度の大きさとの和を、第1の時刻から第2の時刻までの所定時間における撮像装置50の速度の変化量とする。次いで、処理装置40は、撮像装置50の速度の変化量が予め定められた閾値未満である場合には撮像装置50が固定されていると判定し、当該変化量が予め定められた閾値以上である場合には撮像装置50が固定されていないと判定する。
【0037】
撮像装置50の速度の変化量が予め定められた閾値未満である場合には判定処理SA110の判定結果は“Yes”となり、撮像装置50の速度の変化量が予め定められた閾値以上である場合には判定処理SA110の判定結果は“No”となる。判定処理SA110の判定結果が“No”、即ち否定である場合には、第1撮像制御処理SA120、及び第1特定処理SA130が実行される。判定処理SA110の判定結果が“Yes”、即ち肯定である場合には、第2撮像制御処理SA140、及び第2特定処理SA150が実行される。
【0038】
第1撮像制御処理SA120では、処理装置40は、第1撮像制御部420として機能する。第1撮像制御処理SA120では、処理装置40は、第1群の各画像をプロジェクター情報に基づいて生成し、第1群の各画像を順次投写するようにプロジェクター2を制御する。また、処理装置40は、被投写物SCに順次投写される第1群の各画像を撮像するようにユーザーに促し、ユーザーの操作に応じて撮像装置50に撮像を行わせることで撮像画像を生成する。
【0039】
第1特定処理SA130では、処理装置40は、第1特定部430として機能する。第1特定処理SA130では、処理装置40は、第1群の各画像と、第1群の各画像が投写されている状態において撮像された被投写物SCの各撮像画像とに基づいて、プロジェクター座標系とカメラ座標系との対応関係を特定する。より具体的には、第1特定処理SA130では、処理装置40は、撮像装置50により撮像された撮像画像における第1の計測パターンの座標をプロジェクター2の表示装置における第1の計測パターンの座標に射影変換するための変換行列を複数の第1の計測パターンの画像と複数の撮像画像とから生成する。
【0040】
第2撮像制御処理SA140では、処理装置40は、第2撮像制御部440として機能する。第2撮像制御処理SA140では、処理装置40は、第2群の各画像をプロジェクター情報に基づいて生成し、第2群の各画像を順次投写するようにプロジェクター2を制御する。また、処理装置40は、被投写物SCに順次投写される第2群の各画像を撮像するようにユーザーに促し、ユーザーの操作に応じて撮像装置50に撮像を行わせることで撮像画像を生成する。
【0041】
第2特定処理SA150では、処理装置40は、第2特定部450として機能する。第2特定処理SA150では、処理装置40は、第2群の各画像と、第2群の各画像が投写されている状態において撮像された被投写物SCの各撮像画像とに基づいて、プロジェクター座標系とカメラ座標系との対応関係を特定する。より具体的には、第2特定処理SA150では、処理装置40は、撮像装置50により撮像された撮像画像における第2の計測パターンの座標をプロジェクター2の表示装置における第2の計測パターンの座標に射影変換するための変換行列を複数の第2の計測パターンの画像と複数の撮像画像とから生成する。
【0042】
本実施形態の特定装置1Aによれば、撮像装置50が固定されている場合には、「ポジティブパターン」と「ネガティブパターン」とを含む第2群の各画像を用いてカメラ座標系とプロジェクター座標系の対応関係が特定されるので、対応関係を精度良く特定できる。一方、撮像装置50が固定されていない場合には、「ポジティブパターン」と「ネガティブパターン」との何れか一方を含む第1群の各画像を用いてカメラ座標系とプロジェクター座標系の対応関係が特定される。第1群の画像数は第2群の画像数よりも少ないので、撮像装置50が固定されていない場合には、撮像装置50が固定されている場合に比較して短時間で対応関係が特定され、手振れ等に起因する影響を低減できる。また、第1群の各画像の四隅には位置合わせのためのマーカーMが設けられている。第1特定部430は、撮像装置50により撮像された各撮像画像における4つのマーカーMが互いに重なるように各撮像画像に射影変換を施し、射影変換済の各撮像画像とに基づいて、プロジェクター座標系とカメラ座標系との対応関係を特定するので、手振れの影響を低減させることができる。
【0043】
2.変形例
上記実施形態は、以下のように変更されてもよい。
(1)上記実施形態におけるセンサー60は、特定装置1Aの並進運動の加速度を検知するセンサーであったが、特定装置1Aの重心回りの回転運動の加速度、即ち角加速度を検知するセンサーであってもよい。センサー60が角加速度を検知するセンサーである場合、判定処理SA110では、第1の時刻から第2の時刻までの間の角速度の変化量に基づいて撮像装置50が固定されているか否かを判定してもよい。角速度の変化量に基づいて撮像装置50が固定されているか否かを判定する場合、第1の時刻における角加速度と第2の時刻における角加速度との和を角速度の変化量とすればよい。
【0044】
(2)上述の実施形態における判定処理SA110では、第1の時刻においてセンサー60により検出された加速度と第2の時刻においてセンサー60により検出された加速度との和が撮像装置50の速度の変化量とされた。しかし、センサー60の出力に基づいて第1の時刻における撮像装置50の速度と第2の時刻における撮像装置50の速度とを算出し、第1の時刻における速度と第2の時刻における速度との差を撮像装置50の速度の変化量としてもよい。また、第1の時刻における撮像装置50の速度と第2の時刻における撮像装置50の速度との和を撮像装置50の位置の変化量とし、撮像装置50の位置の変化量に基づいて撮像装置50が固定されているか否かを判定してもよい。具体的には、撮像装置50の位置の変化量が閾値未満であれば撮像装置50が固定されていると判定し、撮像装置50の位置の変化量が閾値以上であれば撮像装置50が固定されていないと判定すればよい。また、センサー60として速度センサーを用いて第1の時刻における撮像装置50の速度と第2の時刻における撮像装置50の速度とを検出してもよい。
【0045】
(3)撮像装置50の速度又は位置の変化量ではなく、第1の時刻、第2の時刻、第3の時刻、及び第4の時刻の各々における加速度、即ち第1の時刻から第4の時刻に至る時間区間における加速度の分布に基づいて、撮像装置50が固定されているか否かを判定してもよい。ユーザーが特定装置1Aを手で持って撮像を行うと、撮像装置50の加速度の分布には、手振れに起因する周期が現れるからである。具体的には、取得部400は、第1の時刻、第2の時刻、第3の時刻、及び第4の時刻の各々における撮像装置50の加速度を検出し、第1の時刻から第4の時刻までの時間領域における撮像装置50の加速度の分布を周波数領域のスペクトラムに変換する。判定部410は、当該スペクトラムのピークにおける強度が閾値以上である場合には撮像装置50が固定されていないと判定し、スペクトラムのピークにおける強度が閾値未満である場合には撮像装置50が固定されていると判定する。
【0046】
(4)判定処理SA110では、撮像装置50が固定されているか否かを示す情報の入力をユーザーに促す画面をタッチパネル10の表示装置に表示し、ユーザーにより入力された情報に基づいて撮像装置50が固定されているか否かを判定してもよい。本態様においては、センサー60及び取得処理SA100は不要である。
【0047】
(5)上述の実施形態における取得部400、判定部410、第1撮像制御部420、第1特定部430、第2撮像制御部440、及び第2特定部450はソフトウェアモジュールであったが、取得部400、判定部410、第1撮像制御部420、第1特定部430、第2撮像制御部440、及び第2特定部450の一部又は全部は、ハードウェアであってもよい。このハードウェアの一例としては、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、及びFPGA(Field Programmable Gate Array)が挙げられる。取得部400、判定部410、第1撮像制御部420、第1特定部430、第2撮像制御部440、及び第2特定部450の一部又は全部がハードウェアであっても、上記実施形態と同一の効果が奏される。
【0048】
(6)特定装置1Aは、撮像装置50を有するスマートフォンであったが、撮像装置を備えるタブレット端末或いは撮像装置を備えるノート型パーソナルコンピューターであってもよい。ノート型パーソナルコンピューターを本開示の特定装置として用いる場合には、マウス又はキーボードを入力装置として各種操作を受け付けてもよい。また、スマートフォン或いはタブレット端末等の撮像機能を有する携帯端末とLAN又はインターネットを介してと通信するサーバー装置とを有するコンピューターシステムにおいて、サーバー装置の処理装置を取得部400、判定部410、第1撮像制御部420、第1特定部430、第2撮像制御部440、及び第2特定部450として機能させ、当該携帯端末に撮像装置及び入力装置の役割を担わせてもよい。このコンピューターシステムは本開示の特定システムの一例である。
【0049】
(7)上述した実施形態では、プログラムPAが記憶装置30に記憶済であった。しかし、プログラムPAを単体で製造又は配布してもよい。プログラムPAの具体的な配布方法としては、フラッシュROM(Read Only Memory)等のコンピューター読み取り可能な記録媒体に上記プログラムPAを書き込んで配布する態様、又はインターネット等の電気通信回線経由のダウンロードにより配布する態様が考えられる。当該プログラムPAをパーソナルコンピューター等の一般的な情報処理装置にインストールし、当該情報処理装置のCPU等のコンピューターを当該プログラムに従って作動させることで当該情報処理装置を本開示の特定装置として機能させることが可能になる。
【0050】
(8)上述した実施形態における第1撮像制御部420が生成する第1群の画像は、図3に示すようにバイナリコードパターンが表示されるバイナリコードパターン部と4つのマーカーMを含めて無彩色のみで構成されていても良いし、バイナリコードパターン部と4つのマーカーMとの色調を異ならせるように構成されていても良い。例えば、バイナリコードパターン部を赤色や緑色の有彩色で構成し、4つのマーカーMを白色や黒色の無彩色で構成しても良いし、バイナリコードパターン部を白色や黒色の無彩色で構成し、4つのマーカーMを赤色や緑色の有彩色で構成しても良い。このように、バイナリコードパターン部と4つのマーカーMとの色調を異ならせることにより、第1群の各画像を撮像装置50により撮像された各撮像画像から、4つのマーカーMをより高精度に検出することが可能となる。これは計測パターンとしてバイナリコードパターン以外の、ドットパターン、矩形パターン、多角形パターン、チェッカーパターン、グレイコードパターン、位相シフトパターン、又はランダムドットパターン等の他の構造化光が用いる場合も同様である。
【0051】
3.各実施形態及び各変形例の少なくとも1つから把握される態様
本開示は、上述した各実施形態及び変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実現することができる。例えば、本開示は、以下の態様によっても実現可能である。以下に記載した各態様中の技術的特徴に対応する上記実施形態中の技術的特徴は、本開示の課題の一部又は全部を解決するために、或いは本開示の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【0052】
本開示の特定方法は、判定処理SA110と、第1撮像制御処理SA120と、第1特定処理SA130と、第2撮像制御処理SA140と、第2特定処理SA150と、を含む。判定処理SA110では、プロジェクター2から投写画像を投写される被投写物SCを撮像する撮像装置50が固定されているか否かが判定される。判定処理SA110の判定結果が否定である場合、即ち、撮像装置50が固定されていないと判定される場合には、第1撮像制御処理SA120及び第1特定処理SA130が実行される。これに対して、判定処理SA110の判定結果が肯定である場合、即ち、撮像装置50が固定されていると判定される場合には、第2撮像制御処理SA140、及び第2特定処理SA150が実行される。第1撮像制御処理SA120では、第1群に属する各画像がプロジェクター2から被投写物SCへ順次投写され、第1群に属する各画像が投写されている状態において、被投写物SCを撮像装置50により撮像することで撮像画像が生成される。第1特定処理SA130では、プロジェクター2から被投写物SCへ投写された第1群の各画像と撮像装置50による各撮像画像とに基づいて、被投写物SCに投写された画像上の位置と撮像画像上の位置との対応関係が特定される。第2撮像制御処理SA140では、第2群に属する各画像がプロジェクター2から被投写物SCへ順次投写され、第2群に属する各画像が投写されている状態において、被投写物SCを撮像装置50により撮像することで撮像画像が生成される。第2特定処理SA150では、プロジェクター2から被投写物SCへ投写された第2群の各画像と撮像装置50による各撮像画像とに基づいて、被投写物SCに投写された画像上の位置と撮像画像上の位置との対応関係が特定される。
【0053】
本態様によれば、撮像装置50が固定されている場合と固定されていない場合とで、異なる群の画像が用いられるので、撮像装置50の固定状態によらず、プロジェクター座標系とカメラ座標系との対応関係を精度良く特定することが可能になる。具体的には、第2群の各画像には、「ポジティブパターン」と「ネガティブパターン」とを含めておけばよく、第1群の各画像には、「ポジティブパターン」と「ネガティブパターン」の何れか一方を含めておけばよい。また、第1群の各画像の四隅には位置合わせのためのマーカーMを設けてもよい。なお、第1撮像制御処理SA120と第2撮像制御処理SA140は一つの撮像制御処理にまとめられてもよい。この撮像制御処理では、撮像装置50が固定されていないと判定される場合には、プロジェクター2から被投写物SCに第1群に属する各画像が順次投写される一方、撮像装置50が固定されていると判定される場合にはプロジェクター2から被投写物SCに第2群に属する各画像が順次投写される。そして、この撮像制御処理では、第1群に属する各画像又は第2群に属する各画像が投写されている状態において、被投写物SCを撮像装置50により撮像することで撮像画像が生成される。第1特定処理SA130及び第2特定処理SA150についても同様に、一つの特定処理にまとめられてもよい。この特定処理では、プロジェクター2から被投写物SCに投写された画像と撮像装置50による撮像画像とに基づいて、被投写物SCに投写された画像上の位置と撮像画像上の位置との対応関係が特定される。
【0054】
より好ましい態様の特定方法では、判定処理SA110において、第1の時刻から第2の時刻までの撮像装置50の位置の変化量に基づいて、撮像装置50は固定されているか否かが判定されてもよい。具体的には、第1の時刻から第2の時刻までの撮像装置50の位置の変化量が、閾値以上である場合には、固定されていないと判定され、閾値未満である場合には固定されていると判定される。本態様によれば、第1の時刻から第2の時刻までの撮像装置50の位置の変化量に基づいて、撮像装置50が固定されているか否かを判定できる。
【0055】
別の好ましい態様の特定方法では、判定処理SA110において、第1の時刻から第2の時刻までの撮像装置50の速度の変化量に基づいて、撮像装置50は固定されているか否かが判定されてもよい。具体的には、第1の時刻から第2の時刻までの撮像装置50の速度の変化量が閾値以上である場合には固定されていないと判定され、閾値未満である場合には固定されていると判定される。本態様によれば、第1の時刻から第2の時刻までの撮像装置50の速度の変化量に基づいて、撮像装置50が固定されているか否かを判定できる。
【0056】
別の好ましい態様の特定方法では、判定処理SA110において、第1の時刻における撮像装置50の加速度である第1の加速度、及び第2の時刻における撮像装置50の加速度である第2の加速度が取得されてもよい。この態様では、第1の加速度と第2の加速度との和が撮像装置50の速度の変化量とされる。本態様によれば、第1の加速度と第2の加速度とに基づいて、第1の時刻から第2の時刻までの撮像装置50の速度の変化量を算出できる。
【0057】
別の好ましい態様の特定方法では、判定処理SA110において、第1の時刻、第2の時刻、第3の時刻、及び第4の時刻の各々における前記撮像装置の加速度が取得されてもよい。判定処理SA110では、第1の時刻から第4の時刻までの時間領域における撮像装置50の加速度の分布が周波数領域のスペクトラムに変換される。そして、スペクトラムのピークにおける強度が閾値以上である場合には撮像装置50が固定されていないと判定され、スペクトラムのピークにおける強度が閾値未満である場合には撮像装置50が固定されていると判定される。本態様によれば、第1の時刻から第4の時刻までの時間領域における撮像装置50の加速度の分布に基づいて、撮像装置50が固定されているか否かを判定できる。
【0058】
別の好ましい態様の特定方法では、判定処理SA110では、撮像装置50が固定されているか否かを示す情報の入力をユーザーに促し、ユーザーにより入力された情報に基づいて撮像装置50が固定されているか否かが判定されてもよい。本態様によれば、撮像装置50が固定されているか否かをユーザーに指定させることができる。
【0059】
本開示の特定システムは、プロジェクター2と、撮像装置50と、処理装置40と、を備える。処理装置40は、前述の判定処理SA110、撮像制御処理、及び特定処理を実行する。本態様によっても、撮像装置50の固定状態によらず、プロジェクター座標系とカメラ座標系との対応関係を精度良く特定することが可能になる。
【0060】
本開示のプログラムは、コンピューターに、前述の判定処理SA110、撮像制御処理、及び特定処理を実行させる。本態様によっても、撮像装置の固定状態によらず、プロジェクター座標系とカメラ座標系との対応関係を精度良く特定することが可能になる。
【符号の説明】
【0061】
1A…特定装置、2…プロジェクター、10…タッチパネル、20…通信装置、30…記憶装置、40…処理装置、400…取得部、410…判定部、420…第1撮像制御部、430…第1特定部、440…第2撮像制御部、450…第2特定部、50…撮像装置、60…センサー、PA…プログラム、SC…被投写物、5A…画像表示システム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6