(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】基地局、端末、無線通信システム
(51)【国際特許分類】
H04W 74/08 20090101AFI20221129BHJP
【FI】
H04W74/08
(21)【出願番号】P 2020535409
(86)(22)【出願日】2018-08-08
(86)【国際出願番号】 JP2018029848
(87)【国際公開番号】W WO2020031312
(87)【国際公開日】2020-02-13
【審査請求日】2021-05-10
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147164
【氏名又は名称】向山 直樹
(72)【発明者】
【氏名】太田 好明
(72)【発明者】
【氏名】河▲崎▼ 義博
(72)【発明者】
【氏名】大出 高義
(72)【発明者】
【氏名】青木 信久
【審査官】望月 章俊
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/115335(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/072215(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/026435(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W4/00-H04W99/00
H04B7/24-H04B7/26
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ランダムアクセス手順を実施する基地局であって、
前記ランダムアクセス手順で送信する第1の信号と、前記第1の信号とは異なる前記ランダムアクセス手順の信号ではない第2の信号であってコントロールプレーンの下り制御
の信号と、を多重したプロトコルデータユニットを送信できる送信部と、
前記第2の信号の伝送を制御する制御情報を、前記第1の信号に含ませて、送信するように制御することが可能な制御部を有
し、
前記第1の信号は、ランダムアクセスレスポンス信号であり、
前記第2の信号は、下り制御の信号であってRRC(Radio Resource Control)レイヤの信号であることを特徴とする基地局。
【請求項2】
前記ランダムアクセス手順は、非競合型のランダムアクセス手順であることを特徴とする請求項
1に記載の基地局。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1の信号と前記第2の信号の送信前に、送信帯域に対してキャリアセンシングを実施し、
前記送信部は、前記キャリアセンシングの結果に応じて前記第1の信号と前記第2の信号を送信することを特徴とする請求項1
または2に記載の基地局。
【請求項4】
前記送信部は、前記第1の信号と前記第2の信号を多重した信号を所定回数連続して送信することを特徴とする請求項1乃至
3の何れか1項に記載の基地局。
【請求項5】
前記制御部は、前記第1の信号に前記第2の信号の
伝送を制御する前記制御情報を含ませる際に、前記ランダムアクセス手順で送信される第3の信号を送信するための周波数・時間リソースを含ませないことを特徴とする請求項1
または2に記載の基地局。
【請求項6】
前記制御部は、前記第1の信号に付随する制御信号にランダムアクセスレスポンス信号のタイプ情報を含ませ、
前記送信部は、前記制御信号を送信することを特徴とする請求項1
または2に記載する基地局。
【請求項7】
前記制御部は、7オクテッドより小さいMACPDU構成の前記第1の信号を生成することを特徴とする1乃至
6の何れか1つに記載する基地局。
【請求項8】
前記制御部は、前記第1の信号と前記第2の信号を送信する他の無線通信装置の識別子を用いて、前記制御
情報をマスキングまたは、スクランブル処理を行うように制御することができることを特徴とする請求項1乃至
7のうち何れか1項に記載の基地局。
【請求項9】
前記制御部は、サブヘッダにランダムアクセス信号が格納されているか否かを示す情報があることを特徴とする請求項
8に記載の基地局。
【請求項10】
ランダムアクセス手順を実施する端末であって、
前記ランダムアクセス手順の第1の信号と、前記第1の信号とは異なる前記ランダムアクセス手順の信号ではない第2の信号であってコントロールプレーンの下り制御
の信号と、を多重したプロトコルデータユニットを受信できる受信部と、
前記第2の信号の伝送を制御する制御情報が含まれた前記第1の信号に応じて、前記第2の信号の受信処理を行うことが可能な制御部を有
し、
前記第1の信号は、ランダムアクセスレスポンス信号であり、
前記第2の信号は、下り制御の信号であってRRC(Radio Resource Control)レイヤの信号であることを特徴とする端末。
【請求項11】
前記受信処理は、前記第2の信号に対する応答信号を生成することを特徴とする請求項1
0に記載の端末。
【請求項12】
前記受信部は
、無線通信装置の識別子を用いて、前記制御
情報をマスキングまたは、スクランブル処理が行われた制御信号を受信し、
前記制御部は、サブヘッダに含まれるランダムアクセス信号が格納されているか否かを示す情報に応じてランダムアクセス信号の有無を識別することができることを特徴とする請求項1
0または、1
1に記載の端末。
【請求項13】
第1の無線通信装置と第2の無線通信装置との間でランダムアクセス手順を実施する無線通信システムであって、
前記第1の無線通信装置は、
前記ランダムアクセス手順で送信する第1の信号と、前記第1の信号とは異なる前記ランダムアクセス手順の信号ではない第2の信号であってコントロールプレーンの下り制御
の信号と、を多重したプロトコルデータユニットを送信できる送信部と、
前記第2の信号の伝送を制御する制御情報を、前記第1の信号に含ませて、送信するように制御することが可能な第1制御部を有し、
前記プロトコルデータユニットを受信できる受信部と、
前記第1の信号に応じて、前記第2の信号の受信処理を行うことが可能な第2制御部を有
し、
前記第1の信号は、ランダムアクセスレスポンス信号であり、
前記第2の信号は、下り制御の信号であってRRC(Radio Resource Control)レイヤの信号である
ことを特徴とする無線通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基地局、端末、無線通信システム、に関する。
【背景技術】
【0002】
現在のネットワークは、モバイル端末(スマートフォンやフューチャーホン)のトラフィックがネットワークのリソースの大半を占めている。また、モバイル端末が使うトラフィックは、今後も拡大していく傾向にある。
【0003】
一方で、IoT(Internet of a things)サービス(例えば、交通システム、スマートメータ、装置等の監視システム)の展開にあわせて、多様な要求条件を持つサービスに対応することが求められている。そのため、第5世代移動体通信(5Gまたは、NR(New Radio))の通信規格では、第4世代移動体通信(4G)の標準技術(例えば、非特許文献1~11)に加えて、さらなる高データ信号レート化、大容量化、低遅延化を実現する技術が求められている。なお、第5世代通信規格については、3GPPの作業部会(例えば、TSG-RAN WG1、TSG-RAN WG2等)で技術検討が進められており、2017年12月に、初版がリリースされている。(非特許文献12~39)
上記で述べたように、多種多様なサービスに対応するために、5Gでは、eMBB(Enhanced Mobile BroadBand)、Massive MTC(Machine Type Communications)、およびURLLC(Ultra-Reliable and Low Latency Communication)に分類される多くのユースケースのサポートを想定している。
【0004】
無線通信システムでは、基地局と移動局が通信を開始するに当たって、端末が最初に送信するためのチャネルが用意されている。3GPPにおいては、これをランダムアクセスチャネル(RACH:Random Access Channel)と呼び、RACHによる通信開始手順をランダムアクセス手順(Random Access Procedure)と呼んでいる。RACHには、移動局が送信した無線信号を基地局が識別する情報としてプリアンブルと呼ばれる情報が含まれている。この情報により、基地局が端末を識別できるようにしている。
【0005】
ランダムアクセス手順は、イニシャルアクセスを実施する場合、データ信号発生、及びハンドオーバ時の同期を確立する場合等で実行される。なお、イニシャルアクセスの実施と上りデータ信号が発生した場合におけるランダムアクセスは、端末が複数のプリアンブルの中から1つのプリアンブルを選択して使用する(これを競合型ランダムアクセス:Contention Based Random Access Procedureと呼ぶ。)。
【0006】
競合型のランダムアクセスでは、低確率であるが、複数の移動局が同じタイミングかつ同じRACHリソースを使用してプリアンブルを送信することが起こり得る。一方、下りデータ信号の発生時に同期を確立する場合とハンドオーバの際に移動先基地局と同期を確立する場合は、基地局が端末に固有となる個別シグネチャを割り当てる方法で実施される(これを非競合型ランダムアクセス:Non-contention Based Random Access Procedureと呼ぶ。)(非特許文献4、非特許文献20)。
【0007】
競合型ランダムアクセスの手順について、簡単に説明する。競合型ランダムアクセスの手順では、はじめに端末がランダムに選択したプリアンブルを基地局に送信することでランダムアクセス手順を開始する(メッセージ1または、Random access Preambleと呼ぶ。)。次に、基地局は上り通信のための同期信号や送信許可などと共にメッセージ1の応答を返信する(メッセージ2または、Random Access Responseと呼ぶ。)。
【0008】
次に、有効な移動局のID等を端末が基地局に送信する(メッセージ3又は、Scheduled Transmissionと呼ぶ。)。なお、メッセージ1においてプリアンブルの衝突が起こっている場合、基地局は当該信号(メッセージ3)を復号(decode)することができず受信に失敗するため、プリアンブルの衝突が生じていたことを認識できる。基地局は、メッセージ3を受信できたか否かの情報を端末に送信する(メッセージ4または、Contention Resolutionと呼ぶ。)。なお、イニシャルアクセスを実施する場合の競合型ランダムアクセスにおいて、基地局がメッセージ3の受信に成功した場合、PDCCHによって新規の上り送信を通知する。また、上りデータ信号が発生した場合における非競合型ランダムアクセスにおいて、基地局がメッセージ3の受信に成功した場合、PDSCHで有効な端末の識別子(ID)を通知する。なお、基地局がメッセージ3の受信に失敗した場合、端末は、Non-Adaptive HARQ(Hybrid Automatic Repeat reQuest )を実施する。
【0009】
次に非競合型ランダムアクセスの手順について、簡単に説明する。あらかじめ個別のシグネチャの割り当てを送信する(メッセージ0または、Random Access Preamble Assignmentと呼ぶ。)。端末は、当該個別プリアンブルをRACHで送信する(メッセージ1または、Random access Preambleと呼ぶ。)。基地局は、上り通信のための同期信号や送信許可などと共にメッセージ1の応答信号を送信する(メッセージ2または、Random Access Responseと呼ぶ。)。
【0010】
このようにして、端末と基地局は、同期を確立し、データ信号通信を行う。具体的な例として、非競合型ランダムアクセス手順後の基地局の下りデータ信号送信について説明する。
【0011】
ランダムアクセスの終了後に上りの同期状態が非同期から同期に遷移する。基地局は、PDSCHを用いて下りデータ信号を移動局に送信する。なお、当該PDSCHが使用している無線リソースやMCSについては、PDSCHに付随するPDCCHで送信する。移動局が、下りデータ信号の受信に成功すると、上りは同期状態に遷移しているため、基地局にACK(ACKnowledgement)信号を返信することができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0012】
【文献】3GPP TS 36.211 V15.2.0
【文献】3GPP TS 36.212 V15.2.1
【文献】3GPP TS 36.213 V15.2.0
【文献】3GPP TS 36.300 V15.2.0
【文献】3GPP TS 36.321 V15.2.0
【文献】3GPP TS 36.322 V15.1.0
【文献】3GPP TS 36.323 V15.0.0
【文献】3GPP TS 36.331 V15.2.2
【文献】3GPP TS 36.413 V15.2.0
【文献】3GPP TS 36.423 V15.2.0
【文献】3GPP TS 36.425 V15.0.0
【文献】3GPP TS 37.340 V15.2.0
【文献】3GPP TS 38.201 V15.0.0
【文献】3GPP TS 38.202 V15.2.0
【文献】3GPP TS 38.211 V15.2.0
【文献】3GPP TS 38.212 V15.2.0
【文献】3GPP TS 38.213 V15.2.0
【文献】3GPP TS 38.214 V15.2.0
【文献】3GPP TS 38.215 V15.2.0
【文献】3GPP TS 38.300 V15.2.0
【文献】3GPP TS 38.321 V15.2.0
【文献】3GPP TS 38.322 V15.2.0
【文献】3GPP TS 38.323 V15.2.0
【文献】3GPP TS 38.331 V15.2.1
【文献】3GPP TS 38.401 V15.2.0
【文献】3GPP TS 38.410 V15.0.0
【文献】3GPP TS 38.413 V15.0.0
【文献】3GPP TS 38.420 V15.0.0
【文献】3GPP TS 38.423 V15.0.0
【文献】3GPP TS 38.470 V15.2.0
【文献】3GPP TS 38.473 V15.2.1
【文献】3GPP TR 38.801 V14.0.0
【文献】3GPP TR 38.802 V14.2.0
【文献】3GPP TR 38.803 V14.2.0
【文献】3GPP TR 38.804 V14.0.0
【文献】3GPP TR 38.900 V15.0.0
【文献】3GPP TR 38.912 V15.0.0
【文献】3GPP TR 38.913 V15.0.0
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
無線通信システムにおいて、データ信号通信の遅延量を低減することが要求されている。例えば、5Gで想定されているURLLCのサービスに対応できるような遅延量が要求される。そのため、端末と基地局との同期が取れていない状況においてデータ信号が発生した場合においても、データ信号送信までの遅延量を低減する方法が要求される。
【0014】
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、データ信号送信までの遅延量を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、開示の無線通信装置は、ランダムアクセス手順を実施する無線通信装置であって、前記ランダムアクセスの中で送信する第1の信号と、前記第1の信号とは異なる前記ランダムアクセス手順の信号ではない第2の信号と、を送信できる送信部と、前記第2の信号の制御情報を,前期第1の信号または前記第1の信号に付随する制御信号に含ませて,送信するように制御することが可能な制御部を備える。
【発明の効果】
【0016】
非同期状態からデータ信号送信までの遅延量を低減することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、実施例1のネットワーク構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、実施例1の無線通信システムにおける基地局の機能構成図の一例である。
【
図3】
図3は、実施例1の無線通信システムにおける端末の機能構成図の一例である。
【
図4】
図4は、実施例1の無線通信システムにおけるランダムアクセス手順を含むシーケンス図の一例である。
【
図5】
図5は、実施例2の無線通信システムにおけるランダムアクセス手順を含むシーケンス図の一例である。
【
図6】
図6は、実施例3の無線通信システムにおけるランダムアクセス手順を含むシーケンス図の一例である。
【
図7】
図7は、実施例4におけるMACRARの構成の第1の例である。
【
図8】
図8は、実施例4におけるランダムアクセス信号に含ませる下りの制御情報の構成の一例である。
【
図9】
図9は、実施例4における第1の例の具体的なMACRARの構成の例である。
【
図10】
図10は、実施例4におけるランダムアクセス信号に付随する下り制御情報の構成の一例である。
【
図11】
図11は、実施例4におけるMACRARの構成の第2の例である。
【
図12】
図12A~12Cは、実施例4におけるランダムアクセス信号に含ませる制御情報の構成の一例である。
【
図13】
図13A~13Cは、実施例4における第2の例の具体的なMACRARの構成の例である
【
図14】
図14は、RAR信号に含まれるMACRARの構成の一例である。
【
図15】
図15は、実施例4におけるランダムアクセス信号に付随する下り制御情報の構成の一例である。
【
図16】
図16A~16Bは、実施例4におけるランダムアクセス信号とデータ信号の無線リソースへの割り当ての一例である。
【
図17】
図17A~17Bは、実施例4におけるランダムアクセス信号とデータ信号の無線リソースへの割り当ての一例である。
【
図18】
図18A~18Bは、ランダムアクセス信号(MACRAR)を含むMACPDUの構成の一例である。
【
図19】
図19は、ランダムアクセスレスポンス信号(MACRAR)を含むMACPDUにおけるランダムアクセスレスポンス信号(MACRAR)のサブヘッダの構成の一例である。
【
図20】
図20A~20Cは、実施例5におけるMAC RARの構成の例を示す図である。
【
図21】
図21は、実施例6におけるにおけるランダムアクセス手順を含むシーケンス図の一例である。
【
図22】
図22は、無線通信システムにおける基地局のハードウェア構成図の一例である。
【
図23】
図23は、無線通信システムにおける端末のハードウェア構成図の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。本明細書における課題及び実施例は一例であり、本願の権利範囲を限定するものではない。特に、記載の表現が異なっていたとしても技術的に同等であれば、異なる表現であっても本願の技術を適用可能であり、権利範囲を限定するものではない。そして、各実施の形態は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【0019】
また、本明細書で使用している用語や記載した技術的内容は、3GPPなど通信に関する規格として仕様書や寄書に記載された用語や技術的内容が適宜用いられてもよい。このような仕様書としては、例えば、先行技術文献で記載した3GPP TS 38.211 V15.2.0がある。
【0020】
(実施例1)
実施例1は、基地局と端末間において同期処理を行うための信号とデータ信号を多重または連結して送信する例である。具体的には、データ信号と同期処理で用いられるランダムアクセス手順の信号(または、メッセージ)または、当該ランダムアクセス手順の信号(同期処理を行うための信号)に付随する制御信号にデータ信号の制御情報を付与して、送信する。なお、例えば、同期処理を行うための信号を第1の信号、データ信号を第2の信号と記載することができる。
【0021】
実施例1の無線通信システム1を
図1に示す。無線通信システム1は、基地局100と、端末200とを有する。基地局100は、セルC10を形成している。端末20
0はセルC1
0に存在しているとする。なお、基地局100は、例えば、マクロ無線基地局、ピコ無線基地局等の小型無線基地局(マイクロ無線基地局、フェムト無線基地局等を含む)の他、様々な規模の無線基地局であってもよく、無線通信装置、通信装置、送信装置等に言い換えて記載しても良い。また、端末200は、例えば、携帯電話機、スマートフォン、PDA(Personal Digital Assistant)、パーソナルコンピュータ(Personal Computer)、車両等の無線通信機能を有する各種装置や機器(センサー装置等)などの無線端末であってもよく、無線通信装置、通信装置、受信装置、移動局等と言い換えても良い。
【0022】
基地局100は、図に示していないネットワーク装置(上位装置や他の基地局)と有線接続を介してネットワーク2に接続されている。なお、基地局100を有線ではなく無線を介してネットワーク装置に接続してもよい。
【0023】
基地局100は、端末200との無線通信機能とデジタル信号処理及び制御機能とを分離して別装置としてもよい。この場合、無線通信機能を備える装置をRRH(Remote Radio Head)、デジタル信号処理及び制御機能を備える装置をBBU(Base Band Unit)と呼ぶ。RRHはBBUから張り出されて設置され、それらの間は光ファイバなどで有線接続されてもよい。あるいは無線接続されてもよい。また、前述のRRHとBBUではなく、例えば、Central UnitとDistributed Unitの2つに分離してもよい。Distributed Unitは、少なくともRF無線回路を含むが、これに加え、無線物理レイヤ(またはレイヤ1)機能、更にはMACレイヤ機能、更にはRLC機能をもたせてもよい。
【0024】
一方、端末200は、無線通信で基地局100と通信を行う。また、基地局100と同期が取れていない場合は、ランダムアクセス手順を用いて基地局100と同期をとることができる。
【0025】
次に、基地局100について、説明する。基地局100の機能ブロック構成の一例を
図2に示す。基地局100は、無線通信部110、制御部120、記憶部130、通信部140を有する。
【0026】
無線通信部110は、送信部111、受信部112から構成され、端末200と無線通信を行う。具体的には、送信部111は、端末200にランダムアクセス手順の信号、下りデータ信号、下りの制御信号(以下PDCCH(Physical Downlink Control Channel)と記載することがある。)、及びランダムアクセス手順の信号や下りデータ信号の制御情報を含む制御信号を送信することができる。また、受信部112は、端末から送信されたランダムアクセス手順の信号、上りデータ信号、及び上りの制御信号を受信することができる。
【0027】
制御部120は、基地局100を制御する。具体的には、制御部120は、端末200と非同期時にランダムアクセス手順の実行制御、受信部112が受信した信号の信号処理、送信ブロック(TB: Transport Brock)の作成、送信ブロックを無線リソースへのマッピング等の制御をすることができる。なお、送信ブロックの生成は、例えば、記憶部130に格納されている下りデータ信号とランダムアクセス手順で用いられるメッセージを1つの送信ブロックとして生成することが挙げられる。
【0028】
記憶部130は、例えば、下りデータ信号を格納することができる。
【0029】
通信部140は、有線または、無線を介してネットワーク装置(例えば、上位装置、他の基地局装置)と接続し、通信を行う。通信部140が受信した端末200に向けたデータ信号は、記憶部130に格納することができる。
【0030】
次に、端末200について説明する。
図3は、実施例1の無線通信システムにおける端末200の機能構成図の一例である。
図3に示すように、端末200は、通信部210と、制御部220と、記憶部230を備える。これら各構成部分は、一方向又は双方向に、信号やデータの入出力が可能なように接続されている。なお、通信部210は、送信部211と受信部212と分けて記載することができる。
【0031】
送信部211は、データ信号や制御信号を、アンテナを介して無線通信で送信する。なお、アンテナは送信と受信で共通でもよい。送信部211は、例えば、ランダムアクセス手順に関する信号、上りのデータ信号、上りの制御信号(以下PUCCH(Physical Uplink Control Channel)と記載することがある。)、下りデータ信号に対する応答信号を送信する。
【0032】
受信部212は、基地局100から送信されたデータ信号や制御信号を、アンテナを介して受信する。具体的には、ランダムアクセス手順の信号、下りデータ信号、下りの制御信号(以下PDCCH(Physical Downlink Control Channel)と記載することがある。)、及びランダムアクセス手順の信号や下りデータ信号の制御情報を含む制御信号等を受信する。また、受信する信号は例えば、チャネル推定や復調のために用いられるリファレンス信号を含む。
【0033】
制御部220は、端末200を制御する。具体的には、制御部220は、基地局100と非同期時にランダムアクセス手順の実行制御、受信部212が受信した信号の信号処理、送信ブロック(TB: Transport Brock)の作成、送信ブロックを無線リソースへのマッピング等の制御をすることができる。
【0034】
記憶部230は、例えば、上りデータ信号を格納することができる。また、記憶部230は、基地局100から送信された無線に関する設定情報を格納することができる。
【0035】
図4は、本実施例1に係る無線通信システムにおけるランダムアクセス手順を含むシーケンスの一例を示す図である。
図4は、基地局100と端末200が非同期の状態(上り非同期の状態)で下りデータ信号が発生した例を用いており、端末200が下りデータ信号に対する応答信号(ACK信号または、NACK(Negative ACKnowledgement )信号)の送信までを説明したシーケンス図である。
【0036】
基地局100は、非同期の状態時にデータ信号が発生すると、端末200と同期するためにランダムアクセス手順(非競合型ランダムアクセス手順)を開始する。はじめに、基地局100の送信部111は、メッセージ0(または、RAPA: Random Access Preamble Assignment)として、あらかじめ個別のプリアンブル(シグネチャ)の割り当てを送信し、端末200の受信部212は、メッセージ0を受信する(S10)。以下、メッセージ0(または、RAPA: Random Access Preamble Assignment)をRAPA(Random Access Preamble Assignment)信号と記載する。
【0037】
次に、端末200の送信部211は、メッセージ1(または、RAP:Random access Preamble)として、個別プリアンブルを送信し、基地局100の受信部112は、メッセージ1を受信する(S20)。以下、メッセージ1(または、RAP:Random access Preamble)をRAP(Random access Preamble)信号と記載する。
【0038】
基地局100の送信部111は、RAP信号を受信後にメッセージ2(RAR:Random Access Response)として、上り通信のための同期信号や送信許可などと共にメッセージ1の応答信号を送信すると共に、発生した下りデータ信号を送信し、端末200の受信部212は、メッセージ2と下りデータ信号を受信する(S30)。以下、メッセージ2(RAR:Random Access Response)をRAR(Random Access Response)信号と記載する。
【0039】
なお、具体的には、例えば、制御部220において、RAR信号と当該下りデータ信号とを含む送信ブロックを構成し、構成した送信ブロックを送信する無線リソースにマッピングする。なお、当該下りデータ信号に対する制御情報は、RAR信号に対する制御情報に含ませるか、RAR信号の中に含ませて送信する。
【0040】
基地局100及び、端末200は、RAR信号の送受信が成功することで、上りの非同期状態から同期状態に遷移する。
【0041】
端末200の送信部211は、受信部212が受信した下りデータ信号に対する応答信号(ACK信号または、NACK信号)を送信し、基地局100の受信部112は、当該応答信号を受信する(S40)。なお、基地局100の制御部120は、受信した応答信号に応じてHARQ処理を実行する。
【0042】
このように、ランダムアクセス手順に用いられる信号(または、メッセージ)とデータ信号を多重して送信することで、下りデータ信号を送信するまでの時間が早くなる。要するに、下りデータ信号送信までの遅延量を低減することができる。また、データ信号に対する制御情報については、メッセージ2に対する制御情報に含ませるか、メッセージ2の中に含ませて送信することが可能である。そのため、端末200は、下りデータ信号を復号し、送信部211から応答信号を送信することができる。
【0043】
以上、説明した第1実施形態によれば、基地局と端末間において同期処理を行うための信号(ランダムアクセス手順に用いられる信号)とデータ信号を多重または連結して送信することで、遅延量を低減することができる。例えば、従来のランダムアクセス手順と実施例1で説明したランダムアクセス手順からデータ信号送信までを比較すると、実施例1で説明した方法がデータ信号送信までより低遅延となる。なお、具体的には、ランダムアクセス手順に含めてデータ信号を送信するため、例えば、従来のランダムアクセス手順における上り同期が完了後にスケジューリングして送信していた下りデータ信号までの時間を短縮することができる。なお、下りデータは、ユーザプレーンのデータ、コントロールプレーンのデータのどちらでも良い。
【0044】
(実施例2)
実施例1では、基地局と端末間において同期処理を行うための信号とデータ信号を多重または連結して送信する例について説明した。実施例2では、基地局100と端末200が免許不要帯域(以下、アンライセンス帯と呼ぶ。)を用いて通信する場合の例について説明する。なお、無線通信システム1、基地局100、端末200が実施例1と同様な構成については、同様な番号を付与して説明する。また、実施例1の無線通信システム1、基地局100、端末200の処理が同様なものについては、説明を省略する。
【0045】
はじめに、アンライセンス帯について説明する。アンライセンス帯は、免許が不要な帯域であるため、様々なベンダーが使用することが出来る。要するに、例えば、アンライセンス帯では、異なるベンダー間で同じ周波数リソースを用いて通信する可能性がある。そのため、アンライセンス帯で通信する際には、信号の送信を行う前にキャリアセンシング(CS : Carrier Sensing)を行う。例えば、基地局100が端末200にアンライセンス帯で送信する場合、基地局100の制御部120は、アンライセンス帯のキャリアセンシングを行うように制御し、当該アンライセンス帯を用いて、他の通信装置が通信をしていないことを確認後に送信部111から信号を送信する。
【0046】
キャリアセンシングは、アンライセンス帯を用いた通信において必要となるため、例えば、ランダムアクセス手順をアンライセンス帯で行う場合、キャリアセンシングを行うタイミングが多くなり、そのキャリアセンシングの回数に応じて遅延量が多くなる問題がある。例えば、非競合型のランダムアクセス手順からその後のデータ信号送信までにおいては、基地局100から送信されるRAPA信号、RAR信号、及びその後のデータ信号の送信の前にキャリアセンシングが必要となる。また、端末200では、送信部211から送信するRAP信号、及びデータ信号に対する応答信号の前にキャリアセンシングが必要となる。なお、端末200のキャリアセンシングの制御は、制御部220で行うことができる。
【0047】
図5は、実施例2の無線通信システム1におけるランダムアクセス手順を含むシーケンスの一例を示す図である。
図5のシーケンスは、基地局100と端末200がアンライセンス帯を用いて通信している場合のシーケンス図である。なお、実施例1と同様な処理については、同一のステップ番号を記載する。
【0048】
基地局100は、非同期時にデータ信号が発生すると、端末200と同期するためにランダムアクセス手順(非競合型ランダムアクセス手順)を開始する。はじめに、基地局100は、送信部111からRAPA信号を送信する前に、RAPA信号を送信するアンライセンス帯において、他の通信装置が通信をしているか否かを調べるためにキャリアセンシング(図面:CS)を行う。なお、キャリアセンシングにおける信号の有無の判断は、例えば、受信部112でアンライセンス帯域の信号を受信しようとし、制御部120でアンライセンス帯の信号強度を測定して、当該アンライセンス帯で所定値以上のパワーがあるか否かで、信号の有無を判断する。または、例えば、別途、検出部(図面記載無し)を設けて、信号を検出するようにしても良い。制御部120がキャリアセンシング後に信号が無いと判定すると、送信部111から、RAPA信号を送信し、端末200の受信部212は、RAPA信号を受信する(S10)。
【0049】
次に、端末200は、送信部211からRAP信号を送信する前に、メッセージ1を送信するアンライセンス帯において、他の通信装置が通信をしているか否かを調べるためにキャリアセンシング(図面:CS)を行う。なお、キャリアセンシングにおける信号の有無の判断は、例えば、受信部212でアンライセンス帯域の信号を受信しようとし、制御部220でアンライセンス帯の信号強度を測定して、当該アンライセンス帯で所定値以上のパワーがあるか否かで、信号の有無を判断する。または、例えば、別途、検出部(図面記載無し)を設けて、信号の有無を検出するようにしても良い。制御部220がキャリアセンシング後に信号が無いと判定すると端末200の送信部211は、RAP信号を送信し、基地局100の受信部112は、RAP信号を受信する(S20)。
【0050】
基地局100は、受信部112がRAP信号を受信した後に、送信部111がRAR信号送信する前に、送信に用いるアンライセンス帯のキャリアセンシングを行い、アンライセンス帯の信号が無いタイミングでRAR信号と共に、発生した下りデータ信号を送信し、端末200の受信部212は、RAR信号と下りデータ信号を受信する(S30)。なお、具体的には、例えば、制御部220において、RAR信号と当該下りデータ信号とを含む送信ブロックを構成し、構成した送信ブロックを送信する無線リソースにマッピングする。なお、当該下りデータ信号に対する制御情報は、RAR信号に対する制御情報に含ませるか、RAR信号に含ませて送信する。
【0051】
基地局100及び、端末200は、RAR信号の送受信が成功することで、上りの非同期状態から同期状態に遷移することができる。
【0052】
端末200は、受信部212が受信した下りデータ信号に対する応答信号(ACK信号または、NACK信号)を送信部211から送信する前に、応答信号を送信するアンライセンス帯において、他の通信装置が通信をしているか否かを調べるためにキャリアセンシングを行い、アンライセンス帯の信号が無いタイミングで送信部211から応答信号を送信し、基地局の受信部112は、当該応答信号を受信する(S40)。なお、基地局の制御部120は、受信した応答信号に応じてHARQ処理を実行する。
【0053】
このように、アンライセンス帯を用いた通信において、ランダムアクセス手順に用いられる信号(または、メッセージ)とデータ信号を多重(または連結)して送信することで、データ信号の送信までのキャリアセンシングの回数を減らすことが出来る。例えば、従来のようにRAR信号と下りデータ信号の送信を別のタイミングで行うと、RAR信号の送信タイミングと下りデータ信号の送信タイミングで共にキャリアセンシングが必要となる。要するに2回のキャリアセンシングが必要となる。一方、実施例2で説明した方法を用いると、RAR信号と下りデータ信号を多重(又は、連結)して送信するためRAR信号と下りデータ信号の送信におけるキャリアセンシングが1回で良い。なお、実施例2では、信号の送受信が成功していることを仮定して記載している。
【0054】
以上、説明した実施例2によれば、アンライセンス帯において基地局と端末間において同期処理を行うための信号(ランダムアクセス手順に用いられる信号)とデータ信号を多重または連結して送信することで、遅延量を低減することができる。例えば、ランダムアクセス手順に用いられる信号(または、メッセージ)とデータ信号を多重して送信することで、従来のランダムアクセス手順と比較し、遅延量を低減することができる。また、具体的には、ランダムアクセス手順に含めてデータ信号を送信するため、例えば、従来のランダムアクセス手順における上り同期が完了後にスケジューリングして送信していた下りデータ信号までの時間の短縮や、キャリアセンシングの回数を削減することが出来る。そのため、ライセンスキャリア帯との効果を比較すると、アンライセンス帯のほうがキャリアセンス分の遅延も減少できるのでより大きな効果となる。なお、下りデータは、ユーザプレーンのデータ、コントロールプレーンのデータのどちらでも良い。
【0055】
(実施例3)
実施例1では、基地局と端末間において同期処理を行うための信号とデータ信号を多重または連結して送信する例について説明した。また、実施例2では、基地局と端末間において同期処理を行うための信号とデータ信号を多重または連結して送信する例について説明した。実施例3では、実施例2の無線通信システム1において、ランダムアクセス手順における連続送信の例について説明する。なお、無線通信システム1、基地局100、端末200が実施例1及び実施例2と同様な構成については、同様な番号を付与して説明する。また、実施例1及び実施例2の無線通信システム1、基地局100、端末200の処理が同様なものについては、説明を省略する。
【0056】
図6は、実施例3の無線通信システムにおけるランダムアクセス手順を含むシーケンス図の一例である。
図6のシーケンス図は、基地局100と端末200がアンライセンス帯を用いて通信している場合のシーケンス図である。なお、実施例2と同様な処理については、同一のステップ番号等を用いて記載する。また、
図6における繰り返し送信回数は、3回と仮定して説明する。
【0057】
図6におけるシーケンス図において、ステップS30までは、
図5のシーケンスと同様なため説明を省略する。なお、ステップS30が繰り返し送信の1回目とする。
【0058】
基地局100は、繰り返し送信時において、RAR信号と共に下りデータ信号を連続送信する場合も送信する前にキャリアセンシングが必要となる。そこで、ステップS30において、RAR信号と下りデータ信号を送信したあとに、制御部120は、キャリアセンシングを実行するように制御する。
【0059】
基地局100の送信部111は、キャリアセンシングした結果、信号を送信可能と判定すると、連続送信の2回目となる当該信号(RAR信号と下りデータ信号)を送信する(S31)。その後、制御部120は、再度キャリアセンシングを行うように制御する。キャリアセンシングした結果、制御部120が信号を送信可能と判定すると、送信部111から連続送信の3回目となる当該信号(RAR信号と下りデータ信号)を送信する(S32)。なお、上り同期状態への遷移は、端末200がRAR信号及び下りデータ信号を正常に受信したタイミングとなる。
【0060】
また、
図6の説明では、連続送信を行う各ステップの前でキャリアセンシングを行う例を用いて説明したが、例えば、ステップS30~S31の間隔を短くする(所定の間隔(例えば、4ms)とする)ことでさらにキャリアセンシングの回数を減らすことができる。これは、キャリアセンシングを実行した後に、信号を送信できる状態になると、所定の間隔において、連続して信号を送信できるためキャリアセンシングの数を減らすことができる。
【0061】
以上、説明した実施例3によれば、アンライセンス帯において基地局と端末間において同期処理を行うための信号(ランダムアクセス手順に用いられる信号)とデータ信号を多重または連結して送信することで、遅延量を低減することができる。さらに、ランダムアクセス手順に用いられる信号(または、メッセージ)とデータ信号を多重して連続して送信することで下りデータ信号の受信特性(信頼性)を向上することもできる。また、下りデータ信号に用いられる制御情報は、ランダムアクセス手順に用いられる信号に付随されているため、制御情報のオーバーヘッドについても低減することが出来る。
【0062】
なお、実施例3では、実施例2の無線通信システム1をもとに説明したが、実施例1の無線通信システムにも適応することができる。例えば、実施例1のRAR信号と下りデータ信号の送信(
図4のステップ
S30相当)を複数回
実施することでRAR信号と下りデータ信号の信頼性を向上することができる。なお、下りデータは、ユーザプレーンのデータ、コントロールプレーンのデータのどちらでも良い。
【0063】
(実施例4)
実施例1乃至3では、基地局と端末間において同期処理を行うための信号とデータ信号を多重または連結して送信する例について説明した。実施例4では、下りデータ信号の制御情報の具体的な送信方法について説明する。なお、実施例4の説明では、実施例1をもとに説明するが、実施例2及び実施例3の無線通信システム1にも適応することができる。
【0064】
初めに、実施例4におけるRAR信号内に下りデータ信号の制御情報を格納する例を説明する(以下、第1の方法と記載する。)。
図7にRAR信号のMAC(Medium Access Control) SDU(Service Data Unit)の構成(MAC RAR(Medium Access Control Random Access Response))の第1の例を示す。
図7は、リザーブビット(図面:R)が1ビット、タイミングアドバンスコマンド(図面:Timing Advance command)が12ビット、下りデータ信号に対する制御情報(図面:DLA(DL assignment))が27ビット、一時的なC-RNTI値(Temporary C-RNTI(Radio. Network Temporary Identifier))が16ビットの例である。
【0065】
下りデータ信号に対する制御情報(図面:DLA(DL assignment))には、少なくとも、下りデータ信号の割り当て周波数リソース情報(PDSCH frequency resource allocation)、下りデータ信号の割り当て時間リソース情報(PDSCH time resource allocation)、下りデータ信号の変調情報(MCS : Modulation and Coding Scheme)のうちの1つ以上が必要となる。なお、
図7では、下りデータ信号に対する制御情報(図面:DLA(DL assignment))が27ビットの例を示しているが、例えば、下りデータ信号に対する制御情報(図面:DLA(DL assignment))が19ビット以内でまかなえるのであれば、8ビット(1オクテッド)分をなくしても良い。要するに、
図7では、7オクテッドの例としているが、制御情報のビット数によっては、6オクテッド以下としても良い。
【0066】
基地局100は、下りデータ信号に対する制御情報を含むRAR信号を送信することを端末に通知するために、下り制御情報フォーマット(DCI(Downlink control information)
format(例えば、DCI
format1_0))内のReserved bitsの1ビットを使用して
、端末200にRAR信号の種類を通知する。端末200の制御部220は、例えば、Reserved bitsが”1”の時に、
図7の構成を有するRAR信号を受信すると判断する。または、DCI formatの中に上記で説明したRAR Typeフィールドを設定せずに従来通りのDCI formatでも通知することもできる。この場合、制御部120は、RARフィールドのリザーブビット(図面R)を”1”に設定し識別できるようにする。
【0067】
次に、下りデータ信号に対する制御情報の詳細について説明する。
図8にRAR信号に格納する下りデータ信号に対する制御情報(図面:DLA(DL assignment))の一例を示す。
図8に示す例では、下り制御信号の情報として、下りデータ信号の割り当て周波数リソース情報(Frequency domain resource assignment)が14ビット、下りデータ信号の割り当て時間リソース情報(Time domain resource assignment)が4ビット、仮想リソースブロックと物理リソースブロックのマッピングに関する情報(VRB-to-PRB mapping)が1ビット、下りデータ信号の変調情報(Modulation and coding scheme)が5ビット、上り通信に関する情報として、上りのパワー制御に関する情報(TPC Command)が2ビットの計26ビットで構成される。なお、上りのパワー制御に関する情報については、PUCCHのカバレッジを適切に確保するために有用となるので残している。
【0068】
なお、パワーの設定については、例えば、基地局がRAP信号を受信し
、その受信信号レベルを参考にPUCCHのパワーを設定する。その際、PUCCHによるACK受信品質は
、プ
リアンブル(RAP信号)の受信品質よりも高くすることが好ましい。従って、プ
リアンブルを受信した際の品質よりも高い品質(パワー)を設定することが好ましい。なお、
図7に示したフォーマットの例は、27ビットであったため、例えば、あまりの1ビットをリザーブビットとすることができる。
【0069】
なお、下り制御情報(DCI)の情報には、上記で説明した情報以外にも、下り信号に対する情報として、例えば、下り制御情報フォーマットの識別情報(Identify for DCI formats)、新規データか否かを示す情報(New data indicator)、HARQプロセスの番号情報(HARQ process number)等があり、上り信号に対する情報として、上り制御信号のリソース情報(PUCC
Hresource)、HARQタイミング情報(HARQ Timing)の情報がある。しかし、限られたリソースの中で重要な情報(例えば、下りデータ信号の割り当て周波数リソース情報(PDSCH frequency resource allocation)、下りデータ信号の割り当て時間リソース情報(PDSCH time resource allocation)、下りデータ信号の変調情報(MCS : Modulation and Coding Scheme))を優先するため、
図8の例では、除いている。例えば、HARQに関する情報については、RAR信号とデータ信号
とを送信するタイミングの信号(ステップS30相当)を繰り返し送信することで、下りデータ信号の受信特性を確保す
る代替え手段もある。また、当該下りデータ信号に対する確認応答を受信するPUCCHの送信タイミングをあらかじめ設定し(例えば、RAR受信から4msとして、RRC(Radio Resource control)メッセージで設定する
又は標準規格書にハードコーディング(予め規定)して送信タイミングを設定する)、PUCCHが使用する無線リソースをPDCCHのリソースに関連付ける方法もある。そのため、HARQに関する制御情報を削除している。
【0070】
図8で説明した各制御情報を含めたRAR2のMAC SDU構成(MAC RAR)の構成例を
図9に示す。
図9は、
図7に示した制御情報(図面:DLA(DL assignment))を具体化した一例である。なお、リザーブビットは、制御情報(図面:DLA(DL assignment))の先頭(一番若いOct(Oct2)の6ビット目)としている。以上のように基地局100は、RAR信号に下りデータ信号の制御信号を格納することができる。従って、RAR信号と下りデータ信号をまとめて(連結または、多重して)送信することができる。そのため、データ信号の送信までの遅延量を低減することが出来る。
【0071】
次に、RAR信号のための制御情報を用いて下りデータ信号の制御情報を示す例について説明する(以下、第2の方法と記載する。)。なお、ランダムアクセスレスポンスのための制御情報のフォーマットとして、例えば、既存のDCI_Format1_0に情報を追加しても良いし、説明する内容に沿った新しいDCI_Formatを定義しても良い。
【0072】
実施例4の第2の方法のRAR信号のための制御情報の一例を
図10に示す。
図10に示す情報は、下り制御情報フォーマット識別子(Identifier for DCI formats)が1ビット、割り当て周波数リソース情報(Frequency domain resource assignment)が14ビット、ランダムアクセスプ
リアンブル値(Random Access Preamble index)が6ビット、アップリンク/サプリメンタルアップリンク識別子(UL/SUL indicator)が1ビット、サーチスペース/PBCH値(SS/PBCH index)が6ビット、PRACHマスク値(PRACH Mask index)が4ビット、ランダムアクセスタイプ(RAR Type)が1ビット、リザーブビット(Reserved bits)が9ビットの例を示している。なお、ランダムアクセスタイプ(RAR Type)の1ビットは、ランダムアクセスレスポンスの構成を示す情報であり、例えば、ランダムアクセスタイプ(RAR Type)が”1”の場合、RAR信号とデータ信号を多重するためのフォーマットを用いていることを示す。
【0073】
第2の方法の例では、RAR信号のリソースと下りデータ信号のリソースを周波数軸または、時間軸で連続して割り当てることでRAR信号に含む情報量を削減でき、例えば、
図7で示したDLAの27ビットを削減できる。また、27ビットを削減すると、3ビットのリザーブビットが増えることとなる。そこで、この3ビットのリザーブビットの活用の一例を記載する。3ビットのリザーブビットの活用を考慮したMAC SDU構成(MAC
RAR)の構成の一例を
図11に示す。なお、
図11において、上記3ビットをリザーブビットとする場合は、
図11に記載のアップリンクグラン
ト(UL grant)の3ビットをリザーブビットの3ビットとする。
【0074】
図11は、リザーブビット(図面:R)が1ビット、タイミングアドバンスコマンド(図面:Timing Advance command)が12ビット、アップリンクグラント(図面:UL grant)が3ビット、一時的なC-RNTI値(Temporary C-RNTI)が16ビットの例である。なお、下りデータ信号の割り当てに関する情報(例えば、データ信号の変調情報(MCS : Modulation and Coding Scheme)等)については、RAR信号と同一にする(RAR信号に対する制御情報を活用する)ことで削減できる。言い換えれば、RAR信号と下りデータ信号は、同じ変調情報を用いて変調される。
【0075】
次に、
図11に記載のアップリンクグラントの具体的な活用方法について記載する。
図12A~12Cにアップリンクグラントの3ビットの構成の一例を示す。
図12A~12Cは、それぞれ、CQIリクエスト(CQI(Channel Quality Information request)1ビットとリザーブビット2ビット、上りのパワー制御情報(TPC(Transmission power control) Command)が2ビットとリザーブビットが1ビット、CQIリクエスト1ビットと上りのパワー制御情報が2ビットの構成の例である。なお、
図13A~13Cに、
図11に示したアップリンクグラントを
図12A~12Cに対応させた具体例を示す。なお、CQIリクエストは、今後も下りデータ信号が発生すると考えられる場合に、CQI リクエストによって下りの無線品質を把握することで、以降の下り通信において最適なMCS設定を行うことを可能にする。
【0076】
また、PUCCHのパワー制御を指定することで、下りデータ信号に対する応答信号を最適に近づけるパワーでの送信を可能とし、適切なカバレッジを確保することができる。なお,説明した第1の方法及び第2の方法は、DL Assignmentフィールドを削減することを目的としている。しかし,ランダムアクセスレスポンスのサイズを気にすることがないのであれば、例えば、非特許文献16(3GPP TS 38.212 V15.1.1(2018-04)Section 7.3.1)に記載の下り制御情報フォーマット(例えば、DCI Format 1_0 (for DL data))のフィールド全てをRAR信号に含ませてもよい。
【0077】
なお、第1の例(
図7相当)と第2の例(
図11相当)に加え、さらに
図14に示すアップリングが27ビットあるRAR信号のMAC SDU構成(MAC RAR)をRAR信号の制御情報で切り替えて使用することができるようにしても良い。なお、
図14は、リザーブビット(図面:R)が1ビット、タイミングアドバンスコマンド(図面:Timing Advance command)が12ビット、アップリンクグラント(図面:UL grant)が27ビット、一時的なC-RNTI値(図面:Temporary C-RNTI)が16ビットの例であるRAR信号に含まれるMACRARの構成の一例であり、非特許文献21(3GPP TS 38.321 V15.2.0 Section 6.2.3)に記載されている。
【0078】
図15に複数のランダムアクセスレスポンスのフォーマットを変更することを可能とした制御情報の一例を
示す。
図15は、
図10に記載の情報からランダムアクセスタイプ(RAR Type)が2ビット、リザーブビット(Reserved bits)が8ビットに変更された例を示している。
【0079】
例えば、ランダムアクセスタイプ(RAR Type)が“00”の時は、図
14に相当するMAC RARのフォーマットを示し、ランダムアクセスタイプ(RAR Type)が“01”の時は、
図7に相当するMAC RARのフォーマットを示し、ランダムアクセスタイプ(RAR Type)が“10”の時は、
図11に相当するMAC RARのフォーマットを示す。このようにすることで、MAC RARのフォーマットを切り替えながら使用することができる。そのため、柔軟な無線リソースの割り当てを行うことや、無線リソースを効率
的に使用することができる。なお、これら制御情報の生成は、基地局100の制御部120で行うことができる。
【0080】
また、
図16A~16B及び
図17A~17Bに無線リソースへのマッピング例を示す。図
17A~
17Bのそれぞれは、RAR信号(図面:領域A)と下りデータ信号(図面:領域B)が同一の間隔P(例えば、スロット、ミニスロット、サブフレーム等)で周波数方向に連続している例と、ランダムアクセスレスポンス信号(図面:領域A)と下りデータ信号(図面:領域B)が同一周波数で時間軸方向に連続している(連続した間隔Pを用いている)例を示す。また、図
16A~
16Bは、ランダムアクセスレスポンス信号(図面:領域A)と下りデータ信号(図面:領域B)が同一の間隔Pで周波数方向に非連続している例と、ランダムアクセスレスポンス信号(図面:領域A)と下りデータ信号(図面:領域B)が異なる周波数で時間軸方向に連続している(連続した間隔Pを用いている)例を示す。
【0081】
第1の方法を用いると、ランダム
アクセスレスポンス信号で
図16A~16B及び
図17A~17Bに記載のマッピングが可能であるため、柔軟に無線リソースにマッピングすることができる。一方、第2の方法を用いると、周波数または、時間軸上で連続している図
17A~
17Bのマッピングが可能となる。但し、第2の方法は、RAR信号のサイズ(MAC RAR)を小さくできる。
【0082】
以上のように、実施例4によれば、基地局100と端末200間において同期処理を行うための信号(ランダムアクセス手順に用いられる信号)とデータ信号を多重または連結して送信することで、遅延量を低減することができる。具体的には、ランダムアクセス手順に用いられる信号(または、メッセージ)とデータ信号を多重して連続して送信することができ、従来のランダムアクセス手順と比較し、遅延量を低減することができる。さらに、ランダムアクセス手順に用いられる信号(または、メッセージ)または、ランダムアクセス手順に用いられる信号を制御する制御情報にデータ信号の制御情報を付随させることができる。なお、実施例4では、実施例1の無線通信システムをもとに説明したが、実施例2及び実施例3で説明した無線通信システム1にも適応できる。また、アンライセンス帯に適応する場合、例えば、連続した間隔P(例えば、
図17Bのマッピング)でランダムアクセス手順に用いられる信号(または、メッセージ)とデータ信号を多重する場合、キャリアセンシング後の連続して送れる時間毎にキャリアセンシングを行う必要があることを留意する必要がある。
【0083】
(実施例5)
実施例1乃至3では、基地局と端末間において同期処理を行うための信号とデータ信号を多重または連結して送信する例について説明した。また、実施例4では、下りデータ信号の制御情報の具体的な送信方法について説明した。実施例5の説明では、RAR信号を含む信号に対する制御信号のフォーマットについて説明する。なお、実施例5では、実施例1及び実施例4で説明した無線通信システム1をもとに説明する。
【0084】
図18A~18Bに実施例5におけるMAC
PDU(Media Access Control Protocol Date Unit)の構成の例を示す。
図18Aは、単一のデータ信号をRAR信号に多重した例であり、
図18Bは、複数(図面は、2つ)のデータ信号をRAR信号に多重した例である。なお、
図18A~18Bに記載のMAC RARは、例えば、実施例4で説明した、
図7、9、11、13、14のようなランダムアクセスレスポンスのMAC SDU(MAC RAR)が格納される。
【0085】
初めに下りの制御信号の送信について説明する。下りの制御信号を基地局100が送信する場合、基地局100の制御部120は、端末200の識別情報(C-RNTI)または、ランダムアクセス信号の識別情報(Random Access-Radio Network Temporary Identifier)によってマスキング又はスクランブリングされた巡回冗長検査(CRC)ビットを含む下り制御情報(PDCCH(Physical Downlink Control Channel))を生成する。通常、ランダムアクセス手順の場合、このCRCは、RAR信号の識別情報に応じて行われる。
【0086】
ここでは、ランダムアクセス手順の場合において、端末200の識別情報(C-RNTI)を用いてマスキング又はスクランブリングされた巡回冗長検査(CRC)を用いた下り制御信号の生成について記載する。
【0087】
ランダムアクセスレスポンス信号を含むMAC PDUにおけるランダムアクセスレスポンス信号のサブヘッダの構成例を
図19に示す。なお、ランダムアクセスレスポンス信号のサブヘッダは、
図18のE/T/RAPIDsubheaderに該当する。なお、
図18のE、T、RAPIDは、それぞれ、拡張領域(E-field : Extension field)、タイプ領域(Type field)、ランダムアクセスプ
リアンブル識別領域(The Random Access Preamble IDentifier field)に該当する。通常、拡張領域(E-field)は、複数のRAPIDを意味するフィールドであるが、PDCCHを端末固有の識別子でマスキング又はスクランブリングを行う際は、拡張領域(E-field)を用いて、基地局100は、端末200に通知する。
【0088】
なお、制御部120は、端末200の識別子(C-RNTI)でRAR信号に付随する制御信号(PDCCH)をマスキング又はスクランブリングする場合は、MAC RAR内のTemporary C-RNTIを減らしても良い。これは、既に端末200の識別情報(C-RNTI)を用いてマスキング又はスクランブリングしているため減らすことができる。
【0089】
図20A~20Cに実施例5におけるMAC RARの構成の例を示す図である。
図20A、20B,20Cは、それぞれ、
図7、
図11、
図14に記載のMAC RAR内のTemporary C-RNTIを削減したMAC RARの構成の構成となる。
【0090】
このようにすることで、MAC RARのオクテッドを削減することができる。具体的には、
図20Aと
図7のMAC RARの構成を比較すると、
図20Aの構成のほうが2オクテッド少なくなっていることがわかる。
【0091】
なお、
図20A~20Cは、Temporary C-RNTIを削減したMAC RARの構成を示したが、Temporary C-RNTIの代わりに違う情報を格納しても良い。例えば、下りのデータ信号に対する制御情報(DLA)やアップリンクの割り当て情報(UL grant)等をTemporary C-RNTIを削減可能なオクテッドに付与しても良い。
【0092】
このようにすることで、下りのデータ信号に対する制御情報(DLA)とアップリンクの割り当て情報(UL grant)を含めたMAC RARを構成することができる。但し、Temporary C-RNTIは、16ビットであるのに対して、例えば、アップリンクの割り当て情報(UL grant)は、
図14に記載している
通り、27ビットで構成されるため、11ビット削減した情報になる。または、下りのデータ信号に対する制御情報(DLA)とアップリンクの割り当て情報(UL grant)を含めて43ビットの構成にしても良い。その場合、例えば、下りのデータ信号と上りデータ信号で共通のMCSの使用や、Time domain resource assignmentを下りと上りで対応するように規定する(例えば、下りデータの受信後の4msを上りの送信タイミングとする)等を行い、43ビット以内にする。このようにすることで、RAR信号で上りのデータに対する割り当てと下りのデータに対する割り当ての情報を送信することができる。
【0093】
上記の場合の端末200の動作について説明する。端末200の受信部212は、端末固有の識別子でマスキング又はスクランブリングされたPDCCHを受信する。
【0094】
次に制御部220は、PDCCHで指定された領域のPDSCHを受信、復号し、MAC PDU内のMACサブヘッダを解析する。ここで、先頭ビットが“0
”の場合、制御部120は、ショートデータ信号用のサブヘッダ、ロングデータ信号用のサブヘッダ、MAC CE/UL CCCH用サブヘッダの何れかであると判断する。これら3つの構成は、非特許文献5及び21を参照する。また、これら3つのサブヘッダでは、
図18の拡張領域(E-field)に相当する個所にリザーブビット(R)があるため先頭ビットが“0
”となる。
【0095】
一方、ここで、先頭ビットが1、すなわちEビットが“1”の場合、制御部120は、固有のデータ信号を含んだ(多重されたまたは連結された)RAR信号を受信したと識別する。
【0096】
制御部220がデータ信号を含んだランダムアクセス信号と識別すると、制御部220は、
図18A~18Bに記載の何れのフォーマットのMAC SDUを処理する動作を行う。
【0097】
このようにすることで、端末固有の識別子を用いてPDCCHがマスキング又はスクランブリングされた場合でも、端末200は、RAR信号とデータ信号を受信することができる。
【0098】
以上のように、実施例5によれば、基地局100と端末200間において同期処理を行うための信号(ランダムアクセス手順に用いられる信号)とデータ信号を多重または連結して送信することで、遅延量を低減することができる。具体的には、ランダムアクセス手順に用いられる信号(または、メッセージ)とデータ信号を多重して送信することができ、従来のランダムアクセス手順と比較し、遅延量を低減することができる。さらに、PDCCHのマスキング又はスクランブリングを端末固有の識別子を用いて行うことができる。なお、実施例5では、実施例1または、実施例4の無線通信システム1をもとに説明したが、実施例2及び実施例3で説明した無線通信システム1にも適応できる。例えば、アンライセンス帯において、同様のサブヘッダのフォーマットを用いることで実施例2又は、3に適応することができる。
【0099】
(実施例6)
実施例1乃至5では、基地局と端末間において同期処理を行うための信号とデータ信号を多重または連結して送信する例をもとに説明した。また、実施例6では、基地局と端末間において同期処理を行うための信号と下りデータ信号以外の信号(例えば、コントロールプレーンの制御情報、NASメッセージ、RRCメッセージ等)を多重または連結して送信する例をについて説明する。また、、実施例6では、実施例1及び実施例4等で説明した無線通信システム1をもとに説明する。なお、以下の説明では、下りデータ信号以外の信号としてRRCメッセージを用いて説明するがこれに限定するわけでない。
【0100】
図21は、実施例6の無線通信システムにおけるランダムアクセス手順を含むシーケンス図の一例である。
図21のシーケンス図は、基地局100と端末200が
ライセンスキャリア帯を用いて通信している場合のシーケンス図である。なお、実施例1と同様な処理については、同一のステップ番号等を用いて記載する。
【0101】
図21のシーケンス図において、ステップS20までは、
図4の処理と同様なため説明を省略する。基地局100は、端末200からRAP信号を受信した
後に、送信部111からRAR信号にRRCメッセージを多重または、連結して端末200に送信する(S33)。要するに、端末200は、RAR信号とRRCメッセージを多重または連結した(または、1つの送信ブロックとした)信号を受信する。上記ステップS33では、
図7、
図20等で説明したMAC RARの制御情報(DLA)または、アップリンクグラント(UL grant)のビットにRRCメッセージに関連する情報(例えば、RRCメッセージのリソースを示す情報、RRCメッセージの多重の有無等)を格納しても良い
。または、報知情報を用いてRRCメッセージを通知する。なお、RRCメッセージは、例えば、RRC Reconfigurationメッセージである。
【0102】
端末200の送信部211は、受信部212がRAR信号とRRCメッセージを多重または連結した(または、1つの送信ブロックとした)信号を受信し、制御部220でRRCの設定が完了した(設定することができた)後に、RRCメッセージに対する応答信号(RRC complete message)を基地局100に送信する(S34)。
【0103】
基地局100の送信部111は、RRCメッセージに対する応答信号を受信した後に、下りデータ信号を送信する(S35)。
【0104】
端末200の送信部211は、受信部212が下りデータ信号を受信した後に、下りデータ信号に対する
応答信号を基地局100に送信する(S40)。
【0105】
以上のようにすることで、下りデータ信号以外の信号(例えば、RRCメッセージ)とランダムアクセス手順
に用いられる信号を多重または連結して送信することができるため、非同期状態の時に下りデータが発生してから送信するまでの時間を短縮することができる。具体的には、従来では、RRCの設定が必要な場合、ランダムアクセス手順の後にRRC設定のためのメッセージを送信する。実施例6では、RAR信号とRRCの設定に関するメッセージとを多重または、連結して送信するので従来よりも下りデータの送信までを短縮することができる。なお、実施例6と他の実施例を組み合わせて、RAR信号、RRCの設定に関するメッセージ、下りデータの3つの下り信号を1つのステップで送信しても良い。要するに、基地局100は、RAR信号、RRCの設定に関するメッセージ、下りデータを多重または連結して送信しても良い。この場合、例えば、RAR信号に付随する制御信号で下りデータまたは、RRCの設定に関するメッセージのリソースを示し、
図7、
図20等に記載のMAC RARの制御情報(DLA、UL grant等)やTemporary-RNTIのフィールドを用いて、下りデータまたは、RRCの設定に関するメッセージのリソースを示すことができる。なお、Temporary-RNTIのフィールドは、RAR信号に付随する制御信号(PDCCH)をC-RNTIでマスキングまたは、スクランブルを行っている場合に、用いることができる。
【0106】
なお、実施例6では、実施例1または、実施例4の無線通信システム1をもとに説明したが、実施例2及び実施例3で説明した無線通信システム1にも適応できる。例えば、アンライセンス帯において、RAR信号とRRCメッセージを多重または、連結して送信することができる。また、実施例6は、実施例5の内容とも組み合わせることができる。例えば、実施例5で説明した
図19のサブヘッダのリザーブビットを多重している信号を示すフィールドとして用いても良い。要するに、
図19のEフィールドでRAR信号と他の信号が多重されているか否かを示し、リザーブビットでその種類を示しても良い。また、
図19のEフィールドとリザーブビットを併せて、4種類(RAR信号、RAR信号とRRCメッセージの多重、RAR信号と下りデータの多重、RAR信号とRRCメッセー
ジと下りデータの多重)を示すようにしても良い。また、実施例6及び上記で説明した実施例2、3
、5と実施例6との組合せに実施例4で説明したMAC RARを用いることもできる。
【0107】
(その他の実施例)
実施例1乃至6では、非競合型ランダムアクセスにおけるRAR信号に下りデータ信号を多重または、連結させる例について説明した。しかし、本願は、これに限らず実施することが可能である。例えば、競合型ランダムアクセス中に下りデータが発生した場合のRAR信号(メッセージ2)やメッセージ4に実施例4で説明したMAC RARのフォーマットを適応しても良い。また、非競合型ランダムアクセス中の信号(例えば、メッセージ3)に上りデータ信号を多重させることもできる。その場合は、基地局100は、RAR信号で上りデータのリソースの割り当てを行い、メッセージ3での送信を許可する必要がある。
【0108】
(各実施形態の無線通信システムにおける各装置のハードウェア構成)
図22及び
図23に基づいて、各実施形態および各変形例の無線通信システムにおける各装置のハードウェア構成を説明する。
【0109】
図22は、基地局100のハードウェア構成を示す図である。
図22に示すように、基地局100は、ハードウェアの構成要素として、例えばアンテナ310を備えるRF(Radio Frequency)回路320と、CPU(Central Processing Unit)330と、DSP(Digital Signal Processor)340と、メモリ350と、ネットワークIF(Interface)360とを有する。CPUは、バスを介して各種信号やデータ信号の入出力が可能なように接続されている。メモリ350は、例えばSDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)等のRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、およびフラッシュメモリの少なくともいずれかを含み、プログラムや制御情報やデータ信号を格納する。
【0110】
図2に示す基地局100の機能構成と
図22に示す基地局100のハードウェア構成との対応を説明する。送信部111および受信部112(あるいは通信部140)は、例えばRF回路320、あるいはアンテナ310およびRF回路320により実現される。制御部120は、例えばCPU330、DSP340、メモリ350、不図示のデジタル電子回路等により実現される。デジタル電子回路としては、例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programming Gate Array)、LSI(Large Scale Integration)等が挙げられる。
【0111】
なお、基地局100において、複数のサブバンドで送信される複数のデータ信号が生成することもできるが、これらを生成するフィルタが、サブバンド毎に独立して構成されるようにしても良い。
【0112】
図23は、端末200のハードウェア構成を示す図である。
図23に示すように、無線端末200は、ハードウェアの構成要素として、例えばアンテナ410を備えるRF回路420と、CPU430と、メモリ440とを有する。さらに、無線端末200は、CPU430に接続されるLCD(Liquid Crystal Display)等の表示装置を有してもよい。メモリ440は、例えばSDRAM等のRAM、ROM、およびフラッシュメモリの少なくともいずれかを含み、プログラムや制御情報やデータ信号を格納する。
【0113】
図3に示す無線端末200の機能構成と
図23に示す無線端末200のハードウェア構成との対応を説明する。送信部211および受信部212(あるいは通信部
210)は、例えばRF回路420、あるいはアンテナ410およびRF回路420により実現される。制御部220は、例えばCPU430、メモリ440、不図示のデジタル電子回路等により実現される。デジタル電子回路としては例えば、例えばASIC、FPGA、LSI等が挙げられる。
【符号の説明】
【0114】
1 無線通信システム
100 基地局
C100 セル
110 無線通信部
111 送信部
112 受信部
120 制御部
130 記憶部
140 通信部
200 端末
210 通信部
211 送信部
212 受信部
220 制御部
230 記憶部
310 アンテナ
320 RF回路
230 CPU
340 DSP
350 メモリ
360 ネットワークIF
410 アンテナ
420 RF回路
430 CPU
440 メモリ