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  • 特許-乗客コンベアの制御装置 図1
  • 特許-乗客コンベアの制御装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】乗客コンベアの制御装置
(51)【国際特許分類】
   B66B 25/00 20060101AFI20221129BHJP
   B66B 29/00 20060101ALI20221129BHJP
【FI】
B66B25/00 Z
B66B29/00 H
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020570665
(86)(22)【出願日】2019-02-04
(86)【国際出願番号】 JP2019003839
(87)【国際公開番号】W WO2020161762
(87)【国際公開日】2020-08-13
【審査請求日】2021-02-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森上 敦史
【審査官】須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-203513(JP,A)
【文献】特開2018-164372(JP,A)
【文献】特開2017-65829(JP,A)
【文献】特開2014-121151(JP,A)
【文献】特開2013-234028(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 25/00
B66B 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
受電電源の出力部に接続され、前記受電電源から電力が供給されるコンバーターと、
前記コンバーターの出力部に接続されたインバーターと、
前記コンバーターの出力部と前記インバーターの入力部の間の直流母線に接続され、前記コンバーターからの電力を平滑するコンデンサと、
前記インバーターの動作を制御するインバーター制御回路と、
前記受電電源の出力部と前記コンバーターの入力部の間の配線に接続された整流回路と、
前記整流回路の出力部に接続され、前記整流回路によって整流された前記受電電源からの電力により充電され、前記受電電源からの電力供給が停止した際に前記インバーター制御回路に電力を供給する蓄電装置と、
前記受電電源から供給される電圧を検出する停電判定回路と、
前記蓄電装置と前記インバーター制御回路との間に設けられ、前記停電判定回路によって前記受電電源から供給される電力の電圧が予め定められた基準電圧以上であると判定された場合に開き、前記停電判定回路によって前記受電電源から供給される電力の電圧が予め定められた基準電圧未満であると判定された場合に閉じる接点と、
を備え
前記インバーターは、前記コンデンサからの電力を乗客コンベアのモータに供給する乗客コンベアの制御装置。
【請求項2】
前記インバーター制御回路は、停電時に前記蓄電装置から供給された電力により前記インバーターの動作を制御する請求項1に記載の乗客コンベアの制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、乗客コンベアの制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、乗客コンベアの制御装置を開示する。当該乗客コンベアの制御装置によれば、停電等が発生した場合に蓄電装置からインバーター装置および電源装置に電力を供給することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】日本特開2006-151545号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の乗客コンベアの制御装置においては、蓄電装置は、インバーター装置が備える平滑コンデンサに並列に接続される。蓄電装置からの電力で乗客コンベアを継続的に運転させるためには、大容量の蓄電装置が必要となる。このため、蓄電装置の実装性が悪い。
【0005】
この発明は、上述の課題を解決するためになされた。この発明の目的は、蓄電装置を容易に実装できる蓄電装置を備えた乗客コンベアの制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る乗客コンベアの制御装置は、受電電源の出力部に接続され、前記受電電源から電力が供給されるコンバーターと、前記コンバーターの出力部に接続されたインバーターと、前記コンバーターの出力部と前記インバーターの入力部の間の直流母線に接続され、前記コンバーターからの電力を平滑するコンデンサと、前記インバーターの動作を制御するインバーター制御回路と、前記受電電源の出力部と前記コンバーターの入力部の間の配線に接続された整流回路と、前記整流回路の出力部に接続され、前記整流回路によって整流された前記受電電源からの電力により充電され、前記受電電源からの電力供給が停止した際に前記インバーター制御回路に電力を供給する蓄電装置と、前記受電電源から供給される電圧を検出する停電判定回路と、前記蓄電装置と前記インバーター制御回路との間に設けられ、前記停電判定回路によって前記受電電源から供給される電力の電圧が予め定められた基準電圧以上であると判定された場合に開き、前記停電判定回路によって前記受電電源から供給される電力の電圧が予め定められた基準電圧未満であると判定された場合に閉じる接点と、を備え、前記インバーターは、前記コンデンサからの電力を乗客コンベアのモータに供給する。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、蓄電装置は、受電電源からの電力により充電される。蓄電装置は、受電電源からの電力供給が停止した際にインバーター制御回路に電力を供給する。このため、蓄電装置を容易に実装することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1における乗客コンベアの構成図である。
図2】実施の形態1における乗客コンベアの制御装置の全体構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
この発明を実施するための形態について添付の図面に従って説明する。なお、各図中、同一または相当する部分には同一の符号が付される。当該部分の重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0010】
実施の形態1.
図1は実施の形態1における乗客コンベアの構成図である。
【0011】
図1の乗客コンベアにおいて、下部乗降口1は、乗客コンベアの下部に設けられる。上部乗降口2は、乗客コンベアの上部に設けられる。
【0012】
下部機械室3は、下部乗降口1の下方に設けられる。上部機械室4は、上部乗降口2の下方に設けられる。
【0013】
複数のステップ5は、下部乗降口1と上部乗降口2との間に設けられる。複数のステップ5は、無端状に設けられる。
【0014】
駆動装置12は、上部機械室4の内部に設けられる。
【0015】
次に、図2を用いて、制御装置14を説明する。
図2は実施の形態1における乗客コンベアの制御装置の全体構成図である。
【0016】
図2において、三相交流電源15は、乗客コンベアに電力を供給する受電電源である。モータMは、図2においては図示されない駆動装置12に設けられる。
【0017】
制御装置14は、コンバーター16と平滑電解コンデンサ17とインバーター18とインバーター制御回路19と整流回路20と蓄電装置21と停電判定回路22とリレー23とを備える。
【0018】
コンバーター16の入力部は、三相交流電源15の出力部に接続される。インバーター18の入力部は、コンバーター16の出力部に接続される。インバーター18の出力部は、モータMの入力部に接続される。平滑電解コンデンサ17は、コンバーター16の出力部とインバーター18の入力部との間の直流母線に接続される。インバーター制御回路19の制御出力部は、インバーター18の制御入力部に接続される。
【0019】
整流回路20の入力部は、三相交流電源15の出力部に接続される。例えば、整流回路20の入力部において、第1配線は、三相交流電源15の出力部における第1配線に接続される。第2配線は、三相交流電源15の出力部における第2配線に接続される。
【0020】
蓄電装置21の入力部は、整流回路20の出力部に接続される。蓄電装置21の出力部は、インバーター制御回路19の入力部に接続される。
【0021】
停電判定回路22の入力部は、整流回路20の出力部に接続される。停電判定回路22の出力部は、リレー用電源に接続される。
【0022】
リレー23は、接点23aとコイル23bとを備える。接点23aは、バック接点である。接点23aは、蓄電装置21の出力部とインバーター制御回路19の入力部との間の配線上に設けられる。コイル23bは、停電判定回路22の出力部とリレー用電源との間の配線上に設けられる。
【0023】
乗客コンベアに電源が入れられると、コンバーター16は、三相交流電源15から供給される交流電力を直流電力に変換する。平滑電解コンデンサ17は、コンバーター16から供給される直流電力を平滑する。インバーター18は、平滑電解コンデンサ17で平滑された直流電力の入力を受け付ける。インバーター制御回路19は、インバーター18の動作を制御する。その結果、所望の周波数の交流電力がモータMに供給される。
【0024】
整流回路20は、三相交流電源15から供給された単相交流電圧を直流電圧に整流する。停電判定回路22は、乗客コンベアにおいて停電が発生した際に停電を検出する。停電判定回路22は、整流回路20で整流された直流電圧と予め定められた基準電圧とを比較する。例えば、停電判定回路22は、コンパレータを使用して整流回路20で整流された直流電圧と予め定められた基準電圧とを比較する。
【0025】
通常時において、整流回路20で整流された直流電圧が基準電圧以上である場合、停電判定回路22は、停電モードではないと判定する。この場合、通常運転が行われる。この際、停電判定回路22の動作により、リレー用電源からの電力がコイル23bに供給されることで、接点23aが開く。
【0026】
その結果、蓄電装置21は、インバーター制御回路19に電力を供給しない。この際、蓄電装置21は、整流回路20で整流された直流電圧により蓄電される。
【0027】
なお、図示されないが、通常時において、インバーター制御回路19には、三相交流電源または単相交流電源から供給される交流電力をコンバーターにおいて変換した直流電力が供給される。
【0028】
一方、停電時等において、整流回路20で整流された直流電圧が基準電圧未満である場合、停電判定回路22は、停電モードであると判定する。この場合、停電運転が行われる。この際、停電判定回路22の動作によりリレー用電源からの電力がコイル23bに供給されないことで、接点23aが閉じる。
【0029】
その結果、蓄電装置21は、蓄えられた電力をインバーター制御回路19のゲート駆動回路の電源に供給する。
【0030】
この際、インバーター制御回路19は、ゲート駆動回路の電源に蓄えられた電力によりインバーター18の動作を継続して制御する。その結果、モータMは、ゆっくり減速する。このため、乗客コンベアは、急停止しない。
【0031】
なお、この際、モータMには、通常時において平滑電解コンデンサ17に充電された電力が供給される。
【0032】
以上で説明した実施の形態1によれば、蓄電装置21は、三相交流電源15からの電力により充電される。蓄電装置21は、三相交流電源15からの電力供給が停止した際にインバーター制御回路19に電力を供給する。この際、蓄電装置21は、モータMをゆっくり減速させるために必要な電力だけをインバーター制御回路19に供給すればよい。このため、蓄電装置21を大容量にする必要がなく、蓄電装置21を容易に実装することができる。
【0033】
また、停電判定回路22は、停電状態を判定する。このため、停電であると判定した場合と停電ではないと判定した場合とで、蓄電装置21からインバーター制御回路19に電力を供給するモードと蓄電装置21に電力を蓄電するモードとを自動的に切り替えることができる。
【0034】
また、停電を検出して、蓄電装置21からインバーター制御回路19に電力を供給することができる。このため、乗客コンベアの急停止をより確実に抑制することができる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
以上のように、この発明に係る乗客コンベアの制御装置は、乗客コンベアに利用できる。
【符号の説明】
【0036】
1 下部乗降口、 2 上部乗降口、 3 下部機械室、 4 上部機械室、 5 ステップ、 12 駆動装置、 14 制御装置、 15 三相交流電源、 16 コンバーター、 17 平滑電解コンデンサ、 18 インバーター、 19 インバーター制御回路、 20 整流回路、 21 蓄電装置、 22 停電判定回路、 23 リレー、 23a 接点、 23b コイル
図1
図2