(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】電池用包装材料、その製造方法、及び電池
(51)【国際特許分類】
H01M 50/129 20210101AFI20221129BHJP
H01M 50/105 20210101ALI20221129BHJP
H01M 50/119 20210101ALI20221129BHJP
H01M 50/121 20210101ALI20221129BHJP
H01M 50/133 20210101ALI20221129BHJP
B32B 7/02 20190101ALI20221129BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20221129BHJP
B65D 65/40 20060101ALI20221129BHJP
【FI】
H01M50/129
H01M50/105
H01M50/119
H01M50/121
H01M50/133
B32B7/02
B32B27/00 B
B32B27/00 M
B65D65/40 D
(21)【出願番号】P 2021184095
(22)【出願日】2021-11-11
(62)【分割の表示】P 2018512055の分割
【原出願日】2017-04-12
【審査請求日】2021-12-09
(31)【優先権主張番号】P 2016079621
(32)【優先日】2016-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124431
【氏名又は名称】田中 順也
(74)【代理人】
【識別番号】100174160
【氏名又は名称】水谷 馨也
(72)【発明者】
【氏名】天野 真
(72)【発明者】
【氏名】山下 力也
【審査官】小森 重樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-124068(JP,A)
【文献】特開2002-352778(JP,A)
【文献】特開2015-033828(JP,A)
【文献】特開2013-149397(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/129
H01M 50/105
H01M 50/119
H01M 50/121
H01M 50/133
B32B 7/02
B32B 27/00
B65D 65/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、基材層、バリア層、
接着層、及び熱融着性樹脂層をこの順に有する積層体から構成され
た電池用包装材料であって、
少なくとも、前記積層体の前記基材層側の表面には、滑剤が存在しており、
前記積層体の前記基材層側の表面の滑剤量及び前記積層体の前記熱融着性樹脂層の表面の滑剤量の合計が、15mg/m
2以上、60mg/m
2以下であり、
前記電池用包装材料を構成する前記積層体の厚み方向における断面において、光学顕微鏡で前記バリア層を観察した視野内の任意の100個の第二相粒子において、個々の第二相粒子の径yを測定とした場合に、当該径yが大きい順に上位20個の第二相粒子の径yの平均が、5.0μm以下である、電池用包装材料。
【請求項2】
前記積層体の前記基材層側の表面に存在する滑剤量が、3mg/m
2以上、15mg/m
2以下である、請求項1に記載の電池用包装材料。
【請求項3】
前記積層体の前記熱融着性樹脂層の表面に存在する滑剤量が、10mg/m
2以上、50mg/m
2以下である、請求項1又は2に記載の電池用包装材料。
【請求項4】
前記滑剤が、アミド系滑剤を含んでいる、請求項1~3のいずれかに記載の電池用包装材料。
【請求項5】
前記積層体の前記基材層側の表面の滑剤量及び前記積層体の前記熱融着性樹脂層の表面の滑剤量の合計が、40mg/m
2
超、60mg/m
2
以下である、請求項1~4のいずれかに記載の電池用包装材料。
【請求項6】
前記積層体の前記基材層側の表面の滑剤量及び前記積層体の前記熱融着性樹脂層の表面の滑剤量の合計が、40mg/m
2
超、50mg/m
2
以下である、請求項1~5のいずれかに記載の電池用包装材料。
【請求項7】
前記バリア層の平均結晶粒径が、10μm以下である、請求項1~6のいずれかに記載の電池用包装材料。
【請求項8】
前記熱融着性樹脂層が、ポリオレフィンにより形成された1層で構成されている、請求項1~7のいずれかに記載の電池用包装材料。
【請求項9】
前記熱融着性樹脂層が、ポリオレフィンにより形成された2層以上で構成されている、請求項1~7のいずれかに記載の電池用包装材料。
【請求項10】
前記バリア層と、前記熱融着性樹脂層とが、共押出樹脂層である、請求項1~9のいずれかに記載の電池用包装材料。
【請求項11】
前記バリア層が、アルミニウム合金箔で構成されており、前記アルミニウム合金箔の厚みが、10μm以上100μm以下である、請求項1~10のいずれかに記載の電池用包装材料。
【請求項12】
前記アルミニウム合金箔の厚みが、10μm以上55μm以下である、請求項11に記載の電池用包装材料。
【請求項13】
前記アルミニウム合金箔の厚みが、55μm以上100μm以下である、請求項11に記載の電池用包装材料。
【請求項14】
前記基材層が、外側から、二軸延伸ポリエステルと二軸延伸ナイロンをこの順に有する多層構造である、請求項1~13のいずれかに記載の電池用包装材料。
【請求項15】
少なくとも正極、負極、及び電解質を備えた電池素子が、請求項1~
14のいずれかに記載の電池用包装材料により形成された包装体中に収容されている、電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池用包装材料、その製造方法、及び電池に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、様々なタイプの電池が開発されているが、あらゆる電池において、電極や電解質などの電池素子を封止するために包装材料が不可欠な部材になっている。従来、電池用包装として金属製の包装材料が多用されていたが、近年、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、パソコン、カメラ、携帯電話などの高性能化に伴い、電池には、多様な形状が要求されると共に、薄型化や軽量化が求められている。しかしながら、従来多用されていた金属製の電池用包装材料では、形状の多様化に追従することが困難であり、しかも軽量化にも限界があるという欠点がある。
【0003】
そこで、多様な形状に加工が容易で、薄型化や軽量化を実現し得る電池用包装材料として、基材層/接着層/バリア層/熱融着性樹脂層が順次積層されたフィルム状の積層体が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このようなフィルム状の電池用包装材料では、熱融着性樹脂層同士を対向させて周縁部をヒートシールにて熱融着させることにより電池素子を封止できるように形成されている。
【0004】
電池用包装材料においては、電池素子を封入する際に金型で成形し、電池素子を収容する空間が形成される。この成形の際に、電池用包装材料が引き延ばされることによって、金型のフランジ部において、バリア層にクラックやピンホールが発生しやすいという問題がある。このような問題を解決するために、電池用包装材料の熱融着性樹脂層の表面に滑剤をコーティングしたり、熱融着性樹脂層に滑剤を配合して表面にブリードアウトさせることなどにより、電池用包装材料の滑り性を高める方法が知られている。このような方法を採用することにより、成形時において、電池用包装材料が金型に引き込まれやすくなり、電池用包装材料のクラックやピンホールを抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
電池用包装材料の熱融着性樹脂層の表面に存在する滑剤の量が多すぎると、滑剤が金型に付着し、塊となって金型を汚染するという問題がある。金型が汚染されたまま、他の電池用包装材料を成形すると、金型に付着した滑剤の塊が電池用包装材料の表面に付着し、そのまま熱融着性樹脂層の熱融着に供される。そうすると、熱融着性樹脂層を熱融着させる際、滑剤が付着した部分の溶け方が不均一となるため、シール不良が発生する。これを防ぐため、金型に付着した滑剤を除去するための清掃頻度を増加させる必要性が生じ、電池の連続生産性が低下するという問題がある。
【0007】
一方、電池用包装材料の表面に存在する滑剤の量が少なすぎると、電池用包装材料の滑り性が低くなるため、電池用包装材料の成形性が低下するという問題がある。
【0008】
このような状況下、本発明は、高い成形性を有し、かつ、電池の連続生産性に優れた電池用包装材料を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、少なくとも、基材層、バリア層、及び熱融着性樹脂層をこの順に有する積層体からなり、少なくとも、前記積層体の前記基材層側の表面には、滑剤が存在しており、前記積層体の前記基材層側の表面の滑剤量及び前記積層体の前記熱融着性樹脂層の表面の滑剤量の合計が、15mg/m2以上、60mg/m2以下である電池用包装材料は、高い成形性を有し、かつ、電池の連続生産性に優れ、電池の製造に適した電池用包装材料となることを見出した。本発明は、これらの知見に基づいて、さらに検討を重ねることにより完成したものである。
【0010】
即ち、本発明は、下記に掲げる態様の電池用包装材料及び電池を提供する。
項1. 少なくとも、基材層、バリア層、及び熱融着性樹脂層をこの順に有する積層体からなり、
少なくとも、前記積層体の前記基材層側の表面には、滑剤が存在しており、
前記積層体の前記基材層側の表面の滑剤量及び前記積層体の前記熱融着性樹脂層の表面の滑剤量の合計が、15mg/m2以上、60mg/m2以下である、電池用包装材料。
項2. 前記積層体の前記基材層側の表面に存在する滑剤量が、3mg/m2以上、15mg/m2以下である、項1に記載の電池用包装材料。
項3. 前記積層体の前記熱融着性樹脂層の表面に存在する滑剤量が、10mg/m2以上、50mg/m2以下である、項1又は2に記載の電池用包装材料。
項4. 前記基材層が、ポリエステルにより形成された層及びポリアミドにより形成された層のうち少なくとも一方の層を有している、項1~3のいずれかに記載の電池用包装材料。
項5. 前記基材層の前記バリア層とは反対側に表面被覆層を備えている、項1~4のいずれかに記載の電池用包装材料。
項6. 前記滑剤が、アミド系滑剤を含んでいる、項1~5のいずれかに記載の電池用包装材料。
項7. 前記熱融着性樹脂層が、ポリオレフィンにより形成された層を備えている、項1~6のいずれかに記載の電池用包装材料。
項8. 前記バリア層の少なくとも一方の面に下地皮膜層を備えている、項1~7のいずれかに記載の電池用包装材料。
項9. 二次電池用の包装材料である、項1~8のいずれかに記載の電池用包装材料。
項10. 少なくとも正極、負極、及び電解質を備えた電池素子が、項1~9のいずれかに記載の電池用包装材料により形成された包装体中に収容されている、電池。
項11. 少なくとも、基材層、バリア層、及び熱融着性樹脂層をこの順となるように積層する工程を備えており、
少なくとも、前記積層体の前記基材層側の表面に滑剤を存在させ、かつ、前記積層体の前記基材層側の表面の滑剤量及び前記積層体の前記熱融着性樹脂層の表面の滑剤量の合計を、15mg/m2以上、60mg/m2以下とする、電池用包装材料の製造方法。
項12. 前記基材層の少なくとも一方の表面にコロナ処理を施す工程をさらに備える、項11に記載の電池用包装材料の製造方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、高い成形性を有し、かつ、電池の連続生産性に優れる電池用包装材料を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の電池用包装材料の断面構造の一例を示す模式図である。
【
図2】本発明の電池用包装材料の断面構造の一例を示す模式図である。
【
図3】本発明の電池用包装材料の断面構造の一例を示す模式図である。
【
図4】本発明の電池用包装材料の断面構造の一例を示す模式図である。
【
図5】アルミニウム合金箔層の厚み方向における、結晶粒と第二相粒子を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の電池用包装材料は、少なくとも、基材層、バリア層、及び熱融着性樹脂層をこの順に有する積層体からなり、少なくとも、前記積層体の前記基材層側の表面には、滑剤が存在しており、積層体の基材層側の表面の滑剤量及び積層体の熱融着性樹脂層の表面の滑剤量の合計が、15mg/m2以上、60mg/m2以下であることを特徴とする。
以下、本発明の電池用包装材料について詳述する。
【0014】
1.電池用包装材料の積層構造
本発明の電池用包装材料は、
図1に示すように、少なくとも、基材層1、バリア層3、及び熱融着性樹脂層4をこの順に有する積層体からなる。本発明の電池用包装材料において、基材層1が最外層側になり、熱融着性樹脂層4は最内層になる。即ち、電池の組み立て時に、電池素子の周縁に位置する熱融着性樹脂層4同士が熱融着して電池素子を密封することにより、電池素子が封止される。
【0015】
本発明の電池用包装材料10は、
図2に示すように、基材層1とバリア層3との間に、これらの接着性を高める目的で、必要に応じて接着剤層2が設けられていてもよい。また、本発明の電池用包装材料10は、
図3に示すように、バリア層3と熱融着性樹脂層4との間に、これらの接着性を高める目的で、必要に応じて接着層5が設けられていてもよい。また、
図4に示すように、基材層1側の表面には、表面被覆層6が形成されていてもよい。
【0016】
本発明の電池用包装材料10を構成する積層体の厚みとしては、特に制限されないが、電池用包装材料の厚みを薄くして電池のエネルギー密度を高めつつ、成形性に優れた電池用包装材料とする観点からは、例えば約150μm以下、好ましくは約120μm以下、より好ましくは50μm以上100μm以下程度、さらに好ましくは50μm以上80μm以下程度が挙げられる。
【0017】
本発明の電池用包装材料10は、基材層1の表面に滑剤が存在しており、かつ、電池用包装材料10を構成している積層体の基材層側の表面の滑剤量及び積層体の熱融着性樹脂層の表面の滑剤量の合計は、15mg/m2以上、60mg/m2以下である。本発明の電池用包装材料においては、基材層1表面に滑剤が存在しており、かつ、電池用包装材料10の表面に存在している滑剤量がこのような特定の範囲にあることにより、高い成形性を有し、かつ、電池の連続生産性に優れる。この機序の詳細については限定的な解釈を望むものではないが、次のように考えられる。すなわち、基材層1の表面に滑剤が存在しており、かつ、滑剤の総量が15mg/m2以上あると、金型と電池用包装材料との滑り性が向上し、雄型で絞り成形した際に、電池用包装材料が引き込まれ易くなるため、深い絞り成形が可能となり、ピンホールや裂けが発生し難くなっていると考えられる。一方、滑剤の総量が60mg/m2以下であることにより、電池の連続生産中に成形に用いられる金型に滑剤が堆積することが効果的に抑制され、付着した滑剤の電池用包装材料への再転移が発生しにくく、ヒートシール時に接着不良が回避されやすくなっているものと考えられる。
【0018】
前記滑剤量の合計を15mg/m2以上、60mg/m2以下の範囲に設定する方法としては、基材層1側や熱融着性樹脂層4側の表面に滑剤を塗布する方法や、基材層1側の層(例えば基材層1又は表面被覆層6)や熱融着性樹脂層4を構成する樹脂中に滑剤を含ませて、加熱することにより、表面に滑剤をブリードアウトさせる方法が挙げられる。
【0019】
より一層高い成形性を有し、かつ、電池の連続生産性に優れた電池用包装材料とする観点からは、積層体の基材層側の表面の滑剤量及び積層体の熱融着性樹脂層の表面の滑剤量の合計としては、下限は、好ましくは20mg/m2以上、より好ましくは40mg/m2超が挙げられ、上限は、好ましくは50mg/m2以下が挙げられる。また、当該滑剤量の合計の好ましい範囲としては、20mg/m2以上50mg/m2以下、40mg/m2超50mg/m2以下が挙げられる。なお、積層体の表面に存在している滑剤の種類は、後述の基材層1において例示したものが挙げられる。また、積層体の表面の滑剤量の測定方法としては、積層体の表面の所定面積を溶剤で洗い流し、得られた洗浄液中(溶剤)に含まれる滑剤量を、ガスクロマトグラフ質量分析計(GC-MS)を用いて定量した値である。
【0020】
また、積層体の基材層側の表面に存在する滑剤量が、3mg/m2以上15mg/m2以下であり、かつ、積層体の基材層側の表面の滑剤量及び積層体の熱融着性樹脂層の表面の滑剤量の合計が40mg/m2超、好ましくは40mg/m2超50mg/m2以下であることにより、電池用包装材料の成形性と電池の連続生産性を高めつつ、基材層1の表面の印字特性を向上させることができる。
【0021】
2.電池用包装材料を形成する各層
[基材層1]
本発明の電池用包装材料10において、基材層1は、最外層側に位置する層である。基材層1を形成する素材については、絶縁性を備えるものであることを限度として特に制限されるものではない。基材層1を形成する素材としては、例えば、ポリエステル、ポリアミド、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂、ポリウレタン、珪素樹脂、フェノール樹脂、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリカーボネート、及びこれらの混合物や共重合物などが挙げられる。これらの中でも、基材層1は、ポリエステルにより形成された層及びポリアミドにより形成された層のうち少なくとも一方の層を有していることが好ましい。
【0022】
ポリエステルとしては、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレンイソフタレート、エチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体とした共重合ポリエステル、ブチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体とした共重合ポリエステルなどが挙げられる。また、エチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体とした共重合ポリエステルとしては、具体的には、エチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体としてエチレンイソフタレートと重合する共重合体ポリエステル(以下、ポリエチレン(テレフタレート/イソフタレート)にならって略す)、ポリエチレン(テレフタレート/イソフタレート)、ポリエチレン(テレフタレート/アジペート)、ポリエチレン(テレフタレート/ナトリウムスルホイソフタレート)、ポリエチレン(テレフタレート/ナトリウムイソフタレート)、ポリエチレン(テレフタレート/フェニル-ジカルボキシレート)、ポリエチレン(テレフタレート/デカンジカルボキシレート)などが挙げられる。また、ブチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体とした共重合ポリエステルとしては、具体的には、ブチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体としてブチレンイソフタレートと重合する共重合体ポリエステル(以下、ポリブチレン(テレフタレート/イソフタレート)にならって略す)、ポリブチレン(テレフタレート/アジペート)、ポリブチレン(テレフタレート/セバケート)、ポリブチレン(テレフタレート/デカンジカルボキシレート)、ポリブチレンナフタレートなどが挙げられる。これらのポリエステルは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。ポリエステルは、耐電解液性に優れ、電解液の付着に対して白化などが発生し難いという利点があり、基材層1の形成素材として好適に使用される。
【0023】
また、ポリアミドとしては、具体的には、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン12、ナイロン46、ナイロン6とナイロン66との共重合体などの脂肪族系ポリアミド;テレフタル酸及び/又はイソフタル酸に由来する構成単位を含むナイロン6I、ナイロン6T、ナイロン6IT、ナイロン6I6T(Iはイソフタル酸、Tはテレフタル酸を表す)などのヘキサメチレンジアミン-イソフタル酸-テレフタル酸共重合ポリアミド、ポリメタキシリレンアジパミド(MXD6)などの芳香族を含むポリアミド;ポリアミノメチルシクロヘキシルアジパミド(PACM6)などの脂環系ポリアミド;さらにラクタム成分や、4,4'-ジフェニルメタン-ジイソシアネートなどのイソシアネート成分を共重合させたポリアミド、共重合ポリアミドとポリエステルやポリアルキレンエーテルグリコールとの共重合体であるポリエステルアミド共重合体やポリエーテルエステルアミド共重合体;これらの共重合体などが挙げられる。これらのポリアミドは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。延伸ポリアミドフィルムは延伸性に優れており、成形時の基材層1の樹脂割れによる白化の発生を防ぐことができ、基材層1の形成素材として好適に使用される。
【0024】
基材層1は、一軸又は二軸延伸された樹脂フィルムで形成されていてもよく、また未延伸の樹脂フィルムで形成してもよい。中でも、一軸又は二軸延伸された樹脂フィルム、とりわけ二軸延伸された樹脂フィルムは、配向結晶化することにより耐熱性が向上しているので、基材層1として好適に使用される。また、基材層1は、上記の素材をバリア層3上にコーティングして形成されていてもよい。
【0025】
これらの中でも、基材層1を形成する樹脂フィルムとして、好ましくはナイロン、ポリエステル、さらに好ましくは二軸延伸ナイロン、二軸延伸ポリエステルが挙げられる。
【0026】
基材層1は、耐ピンホール性及び電池の包装体とした時の絶縁性を向上させるために、異なる素材の樹脂フィルム及びコーティングの少なくとも一方を積層化(多層構造化)することも可能である。具体的には、ポリエステルフィルムとナイロンフィルムとを積層させた多層構造、ナイロンフィルムを複数層積層させた多層構造、ポリエステルフィルムを複数層積層させた多層構造などが挙げられる。基材層1が多層構造である場合、二軸延伸ナイロンフィルムと二軸延伸ポリエステルフィルムの積層体、二軸延伸ナイロンフィルムを複数積層させた積層体、二軸延伸ポリエステルフィルムを複数積層させた積層体が好ましい。例えば、基材層1を2層の樹脂フィルムから形成する場合、ポリエステル樹脂とポリエステル樹脂を積層する構成、ポリアミド樹脂とポリアミド樹脂を積層する構成、又はポリエステル樹脂とポリアミド樹脂を積層する構成にすることが好ましく、ポリエチレンテレフタレートとポリエチレンテレフタレートを積層する構成、ナイロンとナイロンを積層する構成、又はポリエチレンテレフタレートとナイロンを積層する構成にすることがより好ましい。また、二軸延伸ポリエステルは、例えば電解液が表面に付着した際に変色し難いことなどから、基材層1が二軸延伸ナイロンフィルムと二軸延伸ポリエステルフィルムの積層体の多層構造である場合、基材層1は、バリア層3側から二軸延伸ナイロンと二軸延伸ポリエステルをこの順に有する積層体であることが好ましい。基材層1を多層構造とする場合、各層の厚みとして、好ましくは2μm以上、25μm以下程度が挙げられる。
【0027】
基材層1を多層構造にする場合、各樹脂フィルムは接着剤を介して接着してもよく、また接着剤を介さず直接積層させてもよい。接着剤を介さず接着させる場合には、例えば、共押出し法、サンドイッチラミネート法、サーマルラミネート法などの熱溶融状態で接着させる方法が挙げられる。また、接着剤を介して接着させる場合、使用する接着剤は、2液硬化型接着剤であってもよく、また1液硬化型接着剤であってもよい。さらに、接着剤の接着機構についても、特に制限されず、化学反応型、溶剤揮発型、熱溶融型、熱圧型、電子線硬化型や紫外線硬化型などのいずれであってもよい。接着剤の具体例としては、接着剤層2で例示した接着剤と同様のものが挙げられる。また、接着剤の厚みについても、接着剤層2と同様とすることができる。
【0028】
基材層1の表面に存在する滑剤量としては、前記合計量を満たすことを限度として特に制限されないが、より一層高い成形性を有し、かつ、電池の連続生産性に優れた電池用包装材料とする観点からは、好ましくは3mg/m2以上、より好ましくは4mg/m2以上、15mg/m2以下、さらに好ましくは5mg/m2以上、14mg/m2以下が挙げられる。基材層1の表面に存在する滑剤量をこのような値に設定することにより、基材層1の表面の印字特性を向上させることもできる。なお、基材層1の表面に存在する滑剤量の測定方法は、前述の積層体の表面に存在している滑剤量の測定方法と同じである。
【0029】
基材層1の表面に存在する滑剤量を上記の量に設定する方法としては、基材層1の表面に滑剤を塗布する方法や、基材層1を構成する樹脂中に滑剤を含ませて、加熱することにより、表面に滑剤をブリードアウトさせる方法が挙げられる。
【0030】
滑剤の種類としては、特に制限されないが、好ましくはアミド系滑剤が挙げられる。アミド系滑剤の具体例としては、例えば、飽和脂肪酸アミド、不飽和脂肪酸アミド、置換アミド、メチロールアミド、飽和脂肪酸ビスアミド、不飽和脂肪酸ビスアミドなどが挙げられる。飽和脂肪酸アミドの具体例としては、ラウリン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミドなどが挙げられる。不飽和脂肪酸アミドの具体例としては、オレイン酸アミド、エルカ酸アミドなどが挙げられる。置換アミドの具体例としては、N-オレイルパルミチン酸アミド、N-ステアリルステアリン酸アミド、N-ステアリルオレイン酸アミド、N-オレイルステアリン酸アミド、N-ステアリルエルカ酸アミドなどが挙げられる。また、メチロールアミドの具体例としては、メチロールステアリン酸アミドなどが挙げられる。飽和脂肪酸ビスアミドの具体例としては、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、エチレンビスベヘン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスベヘン酸アミド、ヘキサメチレンヒドロキシステアリン酸アミド、N,N'-ジステアリルアジピン酸アミド、N,N'-ジステアリルセバシン酸アミドなどが挙げられる。不飽和脂肪酸ビスアミドの具体例としては、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N'-ジオレイルアジピン酸アミド、N,N'-ジオレイルセバシン酸アミドなどが挙げられる。脂肪酸エステルアミドの具体例としては、ステアロアミドエチルステアレートなどが挙げられる。また、芳香族系ビスアミドの具体例としては、m-キシリレンビスステアリン酸アミド、m-キシリレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、N,N'-ジステアリルイソフタル酸アミドなどが挙げられる。滑剤は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
【0031】
好ましい滑剤の分子量としては、100~1000程度が挙げられる。なお、滑剤の分子量は、基材層の表面を溶媒で洗浄し、得られた洗浄液を電界脱離質量分析法で分析することにより測定することができる。
【0032】
基材層1は、コロナ処理された表面を備えていてもよい。基材層1の表面がコロナ処理されていることにより、基材層1の表面の印字特性を向上させることができる。
【0033】
基材層1の厚さとしては、電池用包装材料10の厚みを薄くしつつ、成形後の形状安定性に優れた電池用包装材料10とする観点からは、好ましくは約4μm以上、より好ましくは10μm以上75μm以下程度、さらに好ましくは10μm以上50μm以下程度が挙げられる。
【0034】
本発明の電池用包装材料において、成形性を高める観点から、基材層1は、最外層側(バリア層3とは反対側)の表面について、フーリエ変換赤外分光法の全反射法を用い、0°から170°まで10°刻みで18方向の赤外吸収スペクトルを取得した場合に、以下の式(表面配向度:Ymax/Ymin)を充足する以下の表面配向度:Ymax/Yminを備えるポリエステルフィルムを含むことが好ましい。
Ymax/Ymin=1.4以上2.7以下
Ymaxは、前記18方向の赤外吸収スペクトルの吸収ピーク強度Y1340を、吸収ピーク強度Y1410で除した値の最大値である。
Yminは、前記18方向の赤外吸収スペクトルの吸収ピーク強度Y1340を、吸収ピーク強度Y1410で除した値の最小値である。
最大値Ymax及び最小値Yminの算出においては、前記18方向それぞれについて、Y1340/Y1410を求め、これらの中から、それぞれ最大値Ymax及び最小値Yminを選択する。
【0035】
赤外吸収スペクトルの具体的な測定条件は、以下の通りである。なお、ポリエステルフィルムの表面における赤外吸収スペクトルの測定は、ポリエステルフィルムの表面が露出した状態であれば、電池用包装材料に積層された状態で行うことができる。また、後述の表面被覆層6などがポリエステルフィルムの表面に積層されている場合には、当該表面被覆層6を除去し、ポリエステルフィルムの表面が露出した状態として、測定を行うことができる。例えば、基材層が、バリア層側から順に、ポリエステルフィルム及びポリアミドフィルムを備える電池用包装材料から、ポリエステルフィルムを取得して、フーリエ変換分光法の全反射法を用いた測定を行う場合には、ポリエステルフィルムからポリアミドフィルムを剥離又は溶解させて、得られたポリエステルフィルムについて、吸収ピーク強度Y1340と、吸収ピーク強度Y1410を測定することができる。
【0036】
(赤外吸収スペクトルの測定条件)
分光器(1回反射ATR付属装置が付属)
検出器:MCT(Hg Cd Te)
波数分解能:8cm-1
IRE:Ge
入射角:30°
偏光子:ワイヤーグリッド、S偏光
ベースライン:波数1800cm-1から2000cm-1の範囲における強度の平均値
吸収ピーク強度Y1340:波数1335cm-1から1342cm-1の範囲におけるピーク強度の最大値からベースラインの値を引いたもの
吸収ピーク強度Y1410:波数1400cm-1から1410cm-1の範囲におけるピーク強度の最大値からベースラインの値を引いたもの
【0037】
18方向の赤外吸収スペクトルの取得は、サンプルとするポリエステルフィルムを、サンプルホルダーに水平に置き、サンプルの上に置いたGeクリスタルごと10°ずつ回転させて行う。入射角は、垂線(法線)と入射光の角度である。
【0038】
電池用包装材料の成形性をより向上させる観点から、当該表面配向度(Ymax/Ymin)としては、より好ましくは1.6以上2.7以下、さらに好ましくは1.6以上2.4以下程度が挙げられる。
【0039】
上記のような表面配向度:Ymax/Yminを備えるポリエステルフィルムは、例えば、ポリエステルフィルムを製造する際の延伸方法、延伸倍率、延伸速度、冷却温度、熱固定温度などを適宜調整することにより製造することができる。また、ポリエステルフィルムとしては、市販品を用いることができる。
【0040】
ポリエステルフィルムは、二軸延伸ポリエステルフィルム、特に二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムにより構成されていることが好ましい。
【0041】
ポリエステルフィルムの厚みとしては、特に制限されないが、電池用包装材料を薄型化しつつ、優れた成形性を発揮する観点からは、好ましくは約20μm以下、より好ましくは1μm以上15μm以下程度、より好ましくは3μm以上12μm以下程度が挙げられる。
【0042】
[接着剤層2]
本発明の電池用包装材料10において、接着剤層2は、基材層1とバリア層3を強固に接着させるために、必要に応じて、これらの間に設けられる層である。
【0043】
接着剤層2は、基材層1とバリア層3とを接着可能である接着剤によって形成される。接着剤層2の形成に使用される接着剤は、2液硬化型接着剤であってもよく、また1液硬化型接着剤であってもよい。さらに、接着剤層2の形成に使用される接着剤の接着機構についても、特に制限されず、化学反応型、溶剤揮発型、熱溶融型、熱圧型などのいずれであってもよい。
【0044】
接着剤層2の形成に使用できる接着成分としては、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレンイソフタレート、共重合ポリエステルなどのポリエステル系樹脂;ポリカーボネート;ポリエーテル系接着剤;ポリウレタン系接着剤;エポキシ系樹脂;フェノール樹脂系樹脂;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、共重合ポリアミドなどのポリアミド系樹脂;ポリオレフィン、カルボン酸変性ポリオレフィン、金属変性ポリオレフィンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂;セルロース系接着剤;(メタ)アクリル系樹脂;ポリイミド系樹脂;尿素樹脂、メラミン樹脂などのアミノ樹脂;クロロプレンゴム、ニトリルゴム、スチレン-ブタジエンゴムなどのゴム;シリコーン系樹脂などが挙げられる。これらの接着成分は1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの接着成分の中でも、好ましくはポリウレタン系接着剤が挙げられる。
【0045】
接着剤層2の厚みについては、接着層としての機能を発揮すれば特に制限されないが、例えば、1μm以上10μm以下程度、好ましくは2μm以上5μm以下程度が挙げられる。
【0046】
[バリア層3]
電池用包装材料10において、バリア層3は、電池用包装材料の強度向上の他、電池内部に水蒸気、酸素、光などが侵入することを防止する機能を有する層である。バリア層3は、金属層、すなわち、金属で形成されている層であることが好ましい。バリア層3を構成する金属としては、具体的には、アルミニウム、ステンレス、チタンなどが挙げられ、好ましくはアルミニウムが挙げられる。バリア層3は、例えば、金属箔や金属蒸着膜、無機酸化物蒸着膜、炭素含有無機酸化物蒸着膜、これらの蒸着膜を設けたフィルムなどにより形成することができ、金属箔により形成することが好ましく、アルミニウム合金箔により形成することがさらに好ましい。電池用包装材料の製造時に、バリア層3にしわやピンホールが発生することを防止する観点からは、バリア層は、例えば、焼きなまし処理済みのアルミニウム(JIS H4160:1994 A8021H-O、JIS H4160:1994 A8079H-O、JIS H4000:2014 A8021P-O、JIS H4000:2014 A8079P-O)など軟質アルミニウム合金箔により形成することがより好ましい。
【0047】
バリア層3の成形性を高める観点からは、バリア層3(特にアルミニウム合金箔により形成されている場合)の平均結晶粒径が、約10.0μm以下であることが好ましく、1.0μm以上7.0μm以下程度であることが好ましく、1.0μm以上3.0μm以下程度であることがより好ましい。
【0048】
本発明において、アルミニウム合金箔層における平均結晶粒径は、アルミニウム合金箔層の厚み方向の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、視野内に位置する100個のアルミニウム合金の結晶粒31について、
図5の模式図に示されるように、個々の結晶粒の最大径xを測定し、100個の結晶粒の当該最大径xを平均した値を意味する。個々の結晶粒の最大径xは、
図5の模式図に示されるように、SEMで観察した結晶粒について、結晶粒の外延の1点と、同じ結晶粒の外延の他点とを結ぶ直線距離が最大となる径を意味する。SEMで観察したアルミニウム合金箔層の厚み方向の断面は、断面を圧延方向に垂直な面で切断して得られた切断面である。なお、
図5は模式図であるため、描画を省略し、結晶粒31を100個描いてない。
【0049】
また、本発明では、電池用包装材料を構成する積層体の厚み方向における断面において、光学顕微鏡でバリア層3を観察した視野内の任意の100個の第二相粒子32において、個々の第二相粒子の径yを測定とした場合に、当該径yが大きい順に上位20個の第二相粒子の径yの平均が、約5.0μm以下であることが好ましく、1.0μm以上4.0μm以下程度であることがより好ましく、1.0μm以上3.5μm以下程度であることがさらに好ましい。個々の第二相粒子の径yは、
図5の模式図に示されるように、SEMで観察した粒子について、第二相粒子の外延の1点と、同じ第二相粒子の外延の他点とを結ぶ直線距離が最大となる径を意味する。バリア層3における平均結晶粒径が、約10.0μm以下であり、かつ、第二相粒子32の前記径がこのような範囲にあることにより、電池用包装材料の成形性をより一層高めることができる。なお、
図5は模式図であるため、描画を省略し、第二相粒子32を100個描いてない。
【0050】
本発明において、例えばバリア層3がアルミニウム合金により形成されている場合、アルミニウム合金に含まれる第二相粒子は、Al-(Fe・Mn)-Siなどの金属間化合物を形成しており、主として、鋳造工程の凝固時に生成するこのような第二相粒子が、後工程で固定化しきれずに残留したものである。
【0051】
バリア層3の厚み方向の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した際、結晶粒は、通常、複数の結晶と接する境界線を描く。これに対して、第二相粒子は、通常、境界線が単一の結晶となる。また、結晶粒と第二相粒子とは、位相が異なる為、SEM画像上で色が異なり、第二相粒子は白く見える場合が多いという特徴を有している。さらに、バリア層3の厚み方向の断面を光学顕微鏡で観察した場合には、結晶粒と第二相粒子との位相の相違に起因して、第二相粒子のみが黒く見えるので、観察が容易になる。
【0052】
バリア層3がアルミニウム合金により形成されている場合、アルミニウム合金の組成としては、0.7質量%以上2.5質量%以下のFe、0.05質量%以下のCu、0.30質量%以下のSiを含むことが好ましい。
【0053】
バリア層3の厚みは、水蒸気などのバリア層としての機能を発揮すれば特に制限されないが、例えば、10μm以上、100μm以下程度、好ましくは10μm以上、55μm以下程度、より好ましくは10μm以上、38μm以下程度とすることができる。
【0054】
また、バリア層3は、接着の安定化、溶解や腐食の防止などのために、少なくとも一方の面、好ましくは両面が下地皮膜層を備えていることが好ましい。ここで、下地皮膜層は、バリア層の表面に化成処理が施されることによって形成される層であり、化成処理とは、バリア層の表面に耐酸性皮膜を形成する処理をいう。化成処理としては、例えば、硝酸クロム、フッ化クロム、硫酸クロム、酢酸クロム、蓚酸クロム、重リン酸クロム、クロム酸アセチルアセテート、塩化クロム、硫酸カリウムクロムなどのクロム化合物を用いたクロメート処理;リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸アンモニウム、ポリリン酸などのリン酸化合物を用いたリン酸クロメート処理;下記一般式(1)から(4)で表される繰り返し単位を有するアミノ化フェノール重合体を用いたクロメート処理などが挙げられる。なお、当該アミノ化フェノール重合体において、下記一般式(1)から(4)で表される繰り返し単位は、1種類単独で含まれていてもよいし、2種類以上の任意の組み合わせであってもよい。
【0055】
【0056】
【0057】
【0058】
【0059】
一般式(1)から(4)中、Xは、水素原子、ヒドロキシル基、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アリル基又はベンジル基を示す。また、R1及びR2は、それぞれ同一又は異なって、ヒドロキシル基、アルキル基、又はヒドロキシアルキル基を示す。一般式(1)から(4)において、X、R1及びR2で示されるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基などの炭素数1から4の直鎖又は分枝鎖状アルキル基が挙げられる。また、X、R1及びR2で示されるヒドロキシアルキル基としては、例えば、ヒドロキシメチル基、1-ヒドロキシエチル基、2-ヒドロキシエチル基、1-ヒドロキシプロピル基、2-ヒドロキシプロピル基、3-ヒドロキシプロピル基、1-ヒドロキシブチル基、2-ヒドロキシブチル基、3-ヒドロキシブチル基、4-ヒドロキシブチル基などのヒドロキシ基が1個置換された炭素数1から4の直鎖又は分枝鎖状アルキル基が挙げられる。一般式(1)から(4)において、X、R1及びR2で示されるアルキル基及びヒドロキシアルキル基は、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。一般式(1)から(4)において、Xは、水素原子、ヒドロキシル基又はヒドロキシアルキル基であることが好ましい。一般式(1)から(4)で表される繰り返し単位を有するアミノ化フェノール重合体の数平均分子量は、例えば、500以上100万以下であることが好ましく、1000以上2万以下であることがより好ましい。
【0060】
また、バリア層3に耐食性を付与する化成処理方法として、リン酸中に、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化セリウム、酸化スズなどの金属酸化物や硫酸バリウムの微粒子を分散させたものをコーティングし、150℃以上で焼付け処理を行うことにより、バリア層3の表面に耐食性の下地皮膜層を形成する方法が挙げられる。また、耐食性の下地皮膜層の上には、カチオン性ポリマーを架橋剤で架橋させた樹脂層をさらに形成してもよい。ここで、カチオン性ポリマーとしては、例えば、ポリエチレンイミン、ポリエチレンイミンとカルボン酸を有するポリマーからなるイオン高分子錯体、アクリル主骨格に1級アミンをグラフト重合させた1級アミングラフトアクリル樹脂、ポリアリルアミン又はその誘導体、アミノフェノールなどが挙げられる。これらのカチオン性ポリマーとしては、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。また、架橋剤としては、例えば、イソシアネート基、グリシジル基、カルボキシル基、及びオキサゾリン基よりなる群から選ばれた少なくとも1種の官能基を有する化合物、シランカップリング剤などが挙げられる。これらの架橋剤としては、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0061】
化成処理は、1種類の化成処理のみを行ってもよいし、2種類以上の化成処理を組み合わせて行ってもよい。さらに、これらの化成処理は、1種の化合物を単独で使用して行ってもよく、また2種以上の化合物を組み合わせて使用して行ってもよい。化成処理の中でも、クロメート処理や、クロム化合物、リン酸化合物、及びアミノ化フェノール重合体を組み合わせた化成処理などが好ましい。クロム化合物の中でも、クロム酸化合物が好ましい。
【0062】
化成処理においてバリア層3の表面に形成させる下地皮膜層の量については、特に制限されないが、例えば、上記のクロメート処理を行う場合であれば、バリア層3の表面1m2当たり、クロム酸化合物がクロム換算で0.5mg以上50mg以下程度、好ましくは1.0mg以上40mg以下程度、リン化合物がリン換算で0.5mg以上50mg以下程度、好ましくは1.0mg以上40mg以下程度、及びアミノ化フェノール重合体が1mg以上200mg以下程度、好ましくは5.0mg以上150mg以下程度の割合で含有されていることが望ましい。
【0063】
化成処理は、下地皮膜層の形成に使用する化合物を含む溶液を、バーコート法、ロールコート法、グラビアコート法、浸漬法などによって、バリア層の表面に塗布した後に、バリア層の温度が70℃以上200℃以下程度になるように加熱することにより行われる。また、バリア層に化成処理を施す前に、予めバリア層を、アルカリ浸漬法、電解洗浄法、酸洗浄法、電解酸洗浄法などによる脱脂処理に供してもよい。このように脱脂処理を行うことにより、バリア層の表面の化成処理をより効率的に行うことが可能となる。
【0064】
[熱融着性樹脂層4]
本発明の電池用包装材料において、熱融着性樹脂層4は、最内層に該当し、電池の組み立て時に熱融着性樹脂層同士が熱融着して電池素子を密封する層である。
【0065】
熱融着性樹脂層4に使用される樹脂成分については、熱融着可能であることを限度として特に制限されないが、例えば、ポリオレフィン、環状ポリオレフィン、カルボン酸変性ポリオレフィン、カルボン酸変性環状ポリオレフィンが挙げられる。
【0066】
前記ポリオレフィンとしては、具体的には、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレンなどのポリエチレン;ホモポリプロピレン、ポリプロピレンのブロックコポリマー(例えば、プロピレンとエチレンのブロックコポリマー)、ポリプロピレンのランダムコポリマー(例えば、プロピレンとエチレンのランダムコポリマー)などのポリプロピレン;エチレン-ブテン-プロピレンのターポリマーなどが挙げられる。これらのポリオレフィンの中でも、好ましくはポリエチレン及びポリプロピレンが挙げられる。
【0067】
前記環状ポリオレフィンは、オレフィンと環状モノマーとの共重合体であり、前記環状ポリオレフィンの構成モノマーであるオレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、4-メチル-1-ペンテン、ブタジエン、イソプレンなどが挙げられる。また、前記環状ポリオレフィンの構成モノマーである環状モノマーとしては、例えば、ノルボルネンなどの環状アルケン;具体的には、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、ノルボルナジエンなどの環状ジエンなどが挙げられる。これらのポリオレフィンの中でも、好ましくは環状アルケン、さらに好ましくはノルボルネンが挙げられる。また、モノマーとしては、スチレンも挙げられる。
【0068】
前記カルボン酸変性ポリオレフィンとは、前記ポリオレフィンをカルボン酸でブロック重合又はグラフト重合することにより変性したポリマーである。変性に使用されるカルボン酸としては、例えば、マレイン酸、アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸などが挙げられる。
【0069】
前記カルボン酸変性環状ポリオレフィンとは、環状ポリオレフィンを構成するモノマーの一部を、α,β-不飽和カルボン酸又はその無水物に代えて共重合することにより、或いは環状ポリオレフィンに対してα,β-不飽和カルボン酸又はその無水物をブロック重合又はグラフト重合することにより得られるポリマーである。カルボン酸変性される環状ポリオレフィンについては、前記と同様である。また、変性に使用されるカルボン酸としては、前記ポリオレフィンの変性に使用されるものと同様である。
【0070】
これらの樹脂成分の中でも、好ましくはカルボン酸変性ポリオレフィン;さらに好ましくはカルボン酸変性ポリプロピレンが挙げられる。
【0071】
熱融着性樹脂層4は、1種の樹脂成分単独で形成してもよく、また2種以上の樹脂成分を組み合わせたブレンドポリマーにより形成してもよい。さらに、熱融着性樹脂層4は、1層のみで成されていてもよいが、同一又は異なる樹脂成分によって2層以上で形成されていてもよい。
【0072】
また、熱融着性樹脂層4の表面には、滑剤が存在していることが好ましい。熱融着性樹脂層4の表面に存在する滑剤量としては、前記合計量を満たすことを限度として特に制限されないが、より一層高い成形性を有し、かつ、電池の連続生産性に優れた電池用包装材料とする観点からは、好ましくは10mg/m2以上、50mg/m2以下程度、さらに好ましくは15mg/m2以上、40mg/m2以下程度が挙げられる。なお、熱融着性樹脂層4の表面に存在する滑剤量の測定方法は、前述の積層体の表面に存在している滑剤量の測定方法と同じである。なお、熱融着性樹脂層4の表面に存在している滑剤の種類は、前述の基材層1において例示したものが挙げられる。
【0073】
熱融着性樹脂層4の表面に存在する滑剤量を上記の量に設定する方法としては、熱融着性樹脂層4の表面に滑剤を塗布する方法や、熱融着性樹脂層4を構成する樹脂中に滑剤を含ませて、加熱することにより、表面に滑剤をブリードアウトさせる方法が挙げられる。
【0074】
また、熱融着性樹脂層4の厚みとしては、熱融着性樹脂層としての機能を発揮すれば特に制限されないが、好ましくは約60μm以下、より好ましくは15μm以上40μm以下程度が挙げられる。
【0075】
[接着層5]
本発明の電池用包装材料において、接着層5は、バリア層3と熱融着性樹脂層4を強固に接着させるために、これらの間に必要に応じて設けられる層である。
【0076】
接着層5は、バリア層3と熱融着性樹脂層4とを接着可能である樹脂によって形成される。接着層5の形成に使用される樹脂としては、その接着機構、接着剤成分の種類などは、接着剤層2で例示した接着剤と同様のものが使用できる。また、接着層5の形成に使用される樹脂としては、前述の熱融着性樹脂層4で例示したポリオレフィン、環状ポリオレフィン、カルボン酸変性ポリオレフィン、カルボン酸変性環状ポリオレフィンなどのポリオレフィン系樹脂も使用できる。バリア層3と熱融着性樹脂層4との密着性に優れる観点から、ポリオレフィンとしては、カルボン酸変性ポリオレフィンが好ましく、カルボン酸変性ポリプロピレンが特に好ましい。
【0077】
さらに、電池用包装材料の厚みを薄くしつつ、成形後の形状安定性に優れた電池用包装材料とする観点からは、接着層5は、酸変性ポリオレフィンと硬化剤を含む樹脂組成物の硬化物であってもよい。酸変性ポリオレフィンとしては、好ましくは、熱融着性樹脂層4で例示したカルボン酸変性ポリオレフィン、カルボン酸変性環状ポリオレフィンと同じものが例示できる。
【0078】
また、硬化剤としては、酸変性ポリオレフィンを硬化させるものであれば、特に限定されない。硬化剤としては、例えば、エポキシ系硬化剤、多官能イソシアネート系硬化剤、カルボジイミド系硬化剤、オキサゾリン系硬化剤などが挙げられる。
【0079】
エポキシ系硬化剤は、少なくとも1つのエポキシ基を有する化合物であれば、特に限定されない。エポキシ系硬化剤としては、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、変性ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ノボラックグリシジルエーテル、グリセリンポリグリシジルエーテル、ポリグリセリンポリグリシジルエーテルなどのエポキシ樹脂が挙げられる。
【0080】
多官能イソシアネート系硬化剤は、2つ以上のイソシアネート基を有する化合物であれば、特に限定されない。多官能イソシアネート系硬化剤の具体例としては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、これらをポリマー化やヌレート化したもの、これらの混合物や他ポリマーとの共重合物などが挙げられる。
【0081】
カルボジイミド系硬化剤は、カルボジイミド基(-N=C=N-)を少なくとも1つ有する化合物であれば、特に限定されない。カルボジイミド系硬化剤としては、カルボジイミド基を少なくとも2つ以上有するポリカルボジイミド化合物が好ましい。
【0082】
オキサゾリン系硬化剤は、オキサゾリン骨格を有する化合物であれば、特に限定されない。オキサゾリン系硬化剤としては、具体的には、日本触媒社製のエポクロスシリーズなどが挙げられる。
【0083】
接着層5によるバリア層3と熱融着性樹脂層4との密着性を高めるなどの観点から、硬化剤は、2種類以上の化合物により構成されていてもよい。
【0084】
接着層5を形成する樹脂組成物における硬化剤の含有量は、0.1質量%以上、50質量%以下の範囲にあることが好ましく、0.1質量%以上、30質量%以下の範囲にあることがより好ましく、0.1質量%以上、10質量%以下の範囲にあることがさらに好ましい。
【0085】
接着層5の厚みについては、接着層としての機能を発揮すれば特に制限されないが、接着剤層2で例示した接着剤を用いる場合であれば、好ましくは2μm以上、10μm以下程度、より好ましくは2μm以上、5μm以下程度が挙げられる。また、熱融着性樹脂層4で例示した樹脂を用いる場合であれば、好ましくは2μm以上、50μm以下程度、より好ましくは10μm以上、40μm以下程度が挙げられる。また、酸変性ポリオレフィンと硬化剤との硬化物である場合であれば、好ましくは約30μm以下、より好ましくは0.1μm以上、20μm以下程度、さらに好ましくは0.5μm以上、5μm以下程度が挙げられる。なお、接着層5が酸変性ポリオレフィンと硬化剤を含む樹脂組成物の硬化物である場合、当該樹脂組成物を塗布し、加熱などにより硬化させることにより、接着層5を形成することができる。
【0086】
[表面被覆層6]
本発明の電池用包装材料10においては、意匠性、耐電解液性、耐擦過性、成形性の向上などを目的として、必要に応じて、基材層1の上(基材層1のバリア層3とは反対側)に、必要に応じて、表面被覆層6を設けてもよい。表面被覆層6は、電池を組み立てた時に、最外層に位置する層である。表面被覆層6を備えている場合、電池用包装材料の表面被覆層6の表面(すなわち、前述の基材層1側の表面)に滑剤が存在している。
【0087】
表面被覆層6は、例えば、ポリ塩化ビニリデン、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂などにより形成することができる。また、表面被覆層6は、電池用包装材料の表面の耐電解液性をより一層高める観点から、ウレタン樹脂とアクリル樹脂などを組み合わせた混合樹脂により形成してもよい。表面被覆層は、これらの中でも、2液硬化型樹脂により形成することが好ましい。表面被覆層を形成する2液硬化型樹脂としては、例えば、2液硬化型ウレタン樹脂、2液硬化型ポリエステル樹脂、2液硬化型エポキシ樹脂などが挙げられる。また、表面被覆層には、添加剤を配合してもよい。
【0088】
添加剤としては、例えば、粒径が0.5nm以上5μm以下程度の微粒子が挙げられる。添加剤の材質については、特に制限されないが、例えば、金属、金属酸化物、無機物、有機物などが挙げられる。また、添加剤の形状についても、特に制限されないが、例えば、球状、繊維状、板状、不定形、バルーン状などが挙げられる。添加剤として、具体的には、タルク,シリカ,グラファイト、カオリン、モンモリロイド、モンモリロナイト、合成マイカ、ハイドロタルサイト、シリカゲル、ゼオライト、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化亜鉛,酸化マグネシウム,酸化アルミニウム,酸化ネオジウム,酸化アンチモン、酸化チタン、酸化セリウム、硫酸カルシウム,硫酸バリウム、炭酸カルシウム,ケイ酸カルシウム、炭酸リチウム、安息香酸カルシウム,シュウ酸カルシウム,ステアリン酸マグネシウム、アルミナ、カーボンブラック、カーボンナノチューブ類、高融点ナイロン、架橋アクリル、架橋スチレン、架橋ポリエチレン、ベンゾグアナミン、金、アルミニウム、銅、ニッケルなどが挙げられる。これらの添加剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの添加剤の中でも、分散安定性やコストなどの観点から、好ましくはりシリカ、硫酸バリウム、酸化チタンが挙げられる。また、添加剤には、表面に絶縁処理、高分散性処理などの各種表面処理を施しておいてもよい。
【0089】
表面被覆層6を形成する方法としては、特に制限されないが、例えば、表面被覆層6を形成する2液硬化型樹脂を基材層1の一方の表面上に塗布する方法が挙げられる。添加剤を配合する場合には、2液硬化型樹脂に添加剤を添加して混合した後、塗布すればよい。
【0090】
表面被覆層6中の添加剤の含有量としては、特に制限されないが、好ましくは0.05質量%以上1.0質量%以下程度、より好ましくは0.1質量%以上0.5質量%以下程度が挙げられる。
【0091】
表面被覆層6の厚みとしては、表面被覆層6としての上記の機能を発揮しつつ、電池用包装材料が上記の物性を満たせば特に制限されないが、例えば、0.5μm以上10μm以下程度、好ましくは1μm以上5μm以下程度が挙げられる。
【0092】
3.電池用包装材料の製造方法
本発明の電池用包装材料の製造方法については、所定の組成の各層を積層させた積層体が得られる限り、特に制限されず、少なくとも、基材層1、バリア層3、及び熱融着性樹脂層4がこの順となるように積層して積層体を得る工程を備えている。基材層1側の表面に滑剤を存在させる方法としては、基材層1側の表面に滑剤を塗布してもよいし、基材層1側の層(例えば基材層1又は表面被覆層6)を構成する樹脂中に滑剤を含ませて、基材層1側の表面に滑剤をブリードアウトさせてもよい。同様に、熱融着性樹脂層4の表面に滑剤を塗布してもよいし、熱融着性樹脂層4を構成する樹脂中に滑剤を含ませて、熱融着性樹脂層4の表面に滑剤をブリードアウトさせてもよい。
【0093】
本発明の電池用包装材料の製造方法の一例としては、以下の通りである。まず、基材層1、接着剤層2、バリア層3が順に積層された積層体(以下、「積層体A」と表記することもある)を形成する。積層体Aの形成は、具体的には、基材層1上又は必要に応じて表面が化成処理されたバリア層3に接着剤層2の形成に使用される接着剤を、グラビアコート法、ロールコート法などの塗布方法で塗布・乾燥した後に、当該バリア層3又は基材層1を積層させて接着剤層2を硬化させるドライラミネート法によって行うことができる。
【0094】
次いで、積層体Aのバリア層3上に、熱融着性樹脂層4を積層させる。バリア層3上に熱融着性樹脂層4を直接積層させる場合には、積層体Aのバリア層3上に、熱融着性樹脂層4を構成する樹脂成分をグラビアコート法、ロールコート法などの方法により塗布すればよい。また、バリア層3と熱融着性樹脂層4の間に接着層5を設ける場合には、例えば、(1)積層体Aのバリア層3上に、接着層5及び熱融着性樹脂層4を共押出しすることにより積層する方法(共押出しラミネート法)、(2)別途、接着層5と熱融着性樹脂層4が積層した積層体を形成し、これを積層体Aのバリア層3上にサーマルラミネート法により積層する方法、(3)積層体Aのバリア層3上に、接着層5を形成させるための接着剤を押出し法や溶液コーティングした高温で乾燥さらには焼き付ける方法などにより積層させ、この接着層5上に予めシート状に製膜した熱融着性樹脂層4をサーマルラミネート法により積層する方法、(4)積層体Aのバリア層3と、予めシート状に製膜した熱融着性樹脂層4との間に、溶融させた接着層5を流し込みながら、接着層5を介して積層体Aと熱融着性樹脂層4を貼り合せる方法(サンドイッチラミネート法)などが挙げられる。
【0095】
表面被覆層6を設ける場合には、基材層1のバリア層3とは反対側の表面に、表面被覆層6を積層する。表面被覆層6は、例えば表面被覆層6を形成する上記の樹脂を基材層1の表面に塗布することにより形成することができる。なお、基材層1の表面にバリア層3を積層する工程と、基材層1の表面に表面被覆層6を積層する工程の順番は、特に制限されない。例えば、基材層1の表面に表面被覆層6を形成した後、基材層1の表面被覆層6とは反対側の表面にバリア層3を形成してもよい。
【0096】
上記のようにして、必要に応じて設けられる表面被覆層6/基材層1/必要に応じて設けられる接着剤層2/必要に応じて表面が化成処理されたバリア層3/必要に応じて設けられる接着層5/熱融着性樹脂層4からなる積層体が形成されるが、必要に応じて設けられる接着剤層2及び接着層5の接着性を強固にするために、さらに、熱ロール接触式、熱風式、近又は遠赤外線式などの加熱処理に供してもよい。このような加熱処理の条件としては、例えば150℃以上250℃以下で1分間から5分間が挙げられる。
【0097】
本発明の電池用包装材料において、積層体を構成する各層は、必要に応じて、製膜性、積層化加工、最終製品2次加工(パウチ化、エンボス成形)適性などを向上又は安定化するために、コロナ処理、ブラスト処理、酸化処理、オゾン処理などの表面活性化処理を施していてもよい。例えば、基材層の少なくとも一方の表面にコロナ処理を施すことにより、製膜性、積層化加工、最終製品2次加工適性などを向上又は安定化させ得る。さらに、例えば、基材層1のバリア層3とは反対側の表面にコロナ処理を施すことにより、基材層1表面へのインクの印刷適性を向上させることができる。
【0098】
4.電池用包装材料の用途
本発明の電池用包装材料は、正極、負極、電解質などの電池素子を密封して収容するための包装体に使用される。すなわち、本発明の電池用包装材料によって形成された包装体中に、少なくとも正極、負極、及び電解質を備えた電池素子を収容して、電池とすることができる。
【0099】
具体的には、少なくとも正極、負極、及び電解質を備えた電池素子を、本発明の電池用包装材料で、前記正極及び負極の各々に接続された金属端子を外側に突出させた状態で、電池素子の周縁にフランジ部(熱融着性樹脂層同士が接触する領域)が形成できるようにして被覆し、前記フランジ部の熱融着性樹脂層同士をヒートシールして密封させることによって、電池用包装材料を使用した電池が提供される。なお、本発明の電池用包装材料により形成された包装体中に電池素子を収容する場合、本発明の電池用包装材料の熱融着性樹脂層部分が内側(電池素子と接する面)になるようにして、包装体を形成する。
【0100】
本発明の電池用包装材料は、一次電池、二次電池のいずれに使用してもよいが、好ましくは二次電池である。本発明の電池用包装材料が適用される二次電池の種類については、特に制限されず、例えば、リチウムイオン電池、リチウムイオンポリマー電池、鉛畜電池、ニッケル・水素畜電池、ニッケル・カドミウム畜電池、ニッケル・鉄畜電池、ニッケル・亜鉛畜電池、酸化銀・亜鉛畜電池、金属空気電池、多価カチオン電池、コンデンサー、キャパシターなどが挙げられる。これらの二次電池の中でも、本発明の電池用包装材料の好適な適用対象として、リチウムイオン電池及びリチウムイオンポリマー電池が挙げられる。
【実施例】
【0101】
以下に実施例及び比較例を示して本発明を詳細に説明する。但し本発明は実施例に限定されるものではない。
【0102】
(実施例1-29及び比較例1-14)
<電池用包装材料の製造>
表1の樹脂により形成された基材層上に、バリア層としてのアルミニウム合金箔(厚み35μm)をドライラミネート法により積層させた。具体的には、アルミニウム合金箔の一方面に、2液型ウレタン接着剤(ポリオール化合物と芳香族イソシアネート系化合物)を塗布し、アルミニウム合金箔上に接着剤層(厚さ3μm)を形成した。次いで、バリア層上の接着剤層と基材層をドライラミネート法で積層した後、40℃で24時間のエージング処理を実施することにより、基材層/接着剤層/バリア層の積層体を作製した。なお、アルミニウム合金箔の両面には、化成処理を施した。アルミニウム合金箔の化成処理は、フェノール樹脂、フッ化クロム化合物、及びリン酸からなる処理液をクロムの塗布量が10mg/m2(乾燥質量)となるように、ロールコート法によりアルミニウム箔の両面に塗布し、皮膜温度が180℃以上となる条件で20秒間焼付けすることにより行った。次に積層体のバリア層の上に、カルボン酸変性ポリプロピレン(バリア層側に配置)20μmとランダムポリプロピレン(最内層側)15μmを共押し出しすることにより、バリア層上に接着層と熱融着性樹脂層を積層させ、基材層/接着剤層/バリア層/接着層/熱融着性樹脂層が順に積層された電池用包装材料を得た。
【0103】
なお、実施例1-7,9-29において、電池用包装材料の表面に存在する滑剤は、基材層及び熱融着性樹脂層を構成する樹脂中に滑剤(エルカ酸アミド)を配合し、電池用包装材料を製造した後に一定時間加熱してブリードアウトさせたものである。一方、実施例8の滑剤は、電池用包装材料を製造した後に、基材層及び熱融着性樹脂層の表面に、滑剤(エルカ酸アミド)を塗布したものである。
【0104】
また、アルミニウム合金箔としては、実施例1-21、23-28及び比較例1-14では、前述の平均結晶粒径が10μm以下、かつ、前述の第二相粒子の径が3μm以下のものを使用し、実施例22では、前述の平均結晶粒径が10μm超、かつ、前述の第二相粒子の径が3μm以下のものを使用した。また。実施例29では、前述の平均結晶粒径が10μm以下、かつ、前述の第二相粒子の径が6μmのものを使用した。
【0105】
アルミニウム合金箔の平均結晶粒径及び第二相粒子は、それぞれ、以下の方法により測定した。
【0106】
<アルミニウム合金箔の平均結晶粒径の測定>
実施例及び比較例のアルミニウム合金箔層として用いたアルミニウム合金箔における平均結晶粒径は、アルミニウム合金箔層の厚み方向の断面を走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製の製品名S-4800)で観察し、視野内に位置する100個のアルミニウム合金の結晶粒を無作為に選択し、個々の結晶粒の最大径xを測定し、100個の結晶粒の当該最大径xを平均した値とした。個々の結晶粒の最大径xは、SEMで観察した結晶粒について、結晶粒の外延の1点と、同じ結晶粒の外延の他点とを結ぶ直線距離が最大となる径を意味する。
【0107】
<アルミニウム合金箔の第二相粒子径の測定>
実施例及び比較例のアルミニウム合金箔層として用いたアルミニウム合金箔の第二相粒子径は、厚み方向における断面において、光学顕微鏡(OLYMPUS社製の製品名CX31-P)で観察し、視野内の100個の第二相粒子を無作為に選択し、個々の第二相粒子の径yの平均値として求めた。個々の第二相粒子の径yは、SEMで観察した粒子について、第二相粒子の外延の1点と、同じ第二相粒子の外延の他点とを結ぶ直線距離が最大となる径を意味する。
【0108】
(滑剤量の測定)
上記で得られた各電池用包装材料をA4サイズに裁断してサンプルを作製した。次に、各サンプルの基材層側表面及び熱融着性樹脂層表面を、それぞれ、メタノール30mlで洗浄し、回収したメタノールを窒素ブローにて揮発・乾燥させて固形物を得た。次に、固形物にメタノール1.5mlを加えて、固形物を再溶解し、ガスクロマトグラフ質量分析計(GCMS、島津製作所製のQP2010、イオン化法:電子衝突イオン化法(EI法)、検出器:四重極型検出器、カラム:Inert Cap 5MS)を用いて、基材層側表面及び熱融着性樹脂層表面の滑剤量を測定した。その結果、各電池用包装材料における表面の滑剤量は、表1に示す値となった。
【0109】
<表面配向度の測定>
実施例11-15、23-28で基材層に用いたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム表面(バリア層とは反対側の表面)について、フーリエ変換赤外分光法(FT-IR)の全反射法(ATR)を用い、0°から170°まで10°刻みで18方向の赤外吸収スペクトルを取得し、18方向について当該赤外吸収スペクトルの吸収ピーク強度Y1340(CH2縦揺れ振動)と、吸収ピーク強度Y1410(C=C伸縮振動)の値からY1340/Y1410をそれぞれ算出し、これらの中の最大値Ymaxと最小値Yminから、表面配向度:Ymax/Yminを算出した。
【0110】
結果を表1に示す。なお、実施例11-16では、Ymaxは2.1、Yminは1.3であり、表面配向度:Ymax/Yminは1.60であった。実施例23では、Ymaxは2.21、Yminは1.13であり、表面配向度:Ymax/Yminは1.96であった。実施例24では、Ymaxは2.14、Yminは1.08であり、表面配向度:Ymax/Yminは1.98であった。実施例25では、Ymaxは2.16、Yminは1.18であり、表面配向度:Ymax/Yminは1.83であった。実施例26では、Ymaxは1.99、Yminは1.28であり、表面配向度:Ymax/Yminは1.55であった。実施例27では、Ymaxは2.15、Yminは1.14であり、表面配向度:Ymax/Yminは1.89であった。実施例28では、Ymaxは2.22、Yminは1.06であり、表面配向度:Ymax/Yminは2.09であった。
【0111】
(赤外吸収スペクトルの測定条件)
分光器:Thermo Fisher Scientific社製のNicolet iS10 FT-IR
付属装置:1回反射ATR付属装置(Seagull)
検出器:MCT(Hg Cd Te)
波数分解能:8cm-1
IRE:Ge
入射角:30°
偏光子:ワイヤーグリッド、S偏光
ベースライン:波数1800cm-1から2000cm-1の範囲における強度の平均値
吸収ピーク強度Y1340:波数1335cm-1から1342cm-1の範囲におけるピーク強度の最大値からベースラインの値を引いた値
吸収ピーク強度Y1410:波数1400cm-1から1410cm-1の範囲におけるピーク強度の最大値からベースラインの値を引いた値
【0112】
18方向の赤外吸収スペクトルの取得は、サンプルとするポリエステルフィルムを、サンプルホルダーに水平に置き、サンプルの上に置いたGeクリスタルごと10°ずつ回転させて行った。入射角は、垂線(法線)と入射光の角度である。
【0113】
(成形性評価)
上記で得られた各電池用包装材料を80mm×120mmの長方形に裁断してサンプルを作製した。温度24℃、相対湿度50%の環境下において、これらのサンプルを30mm×50mmの口径を有する成形金型(雌型、表面は、JIS B 0659-1:2002附属書1(参考) 比較用表面粗さ標準片の表2に規定される、最大高さ粗さ(Rzの呼び値)が3.2μmである)と、これに対応した成形金型(雄型、表面は、JIS B 0659-1:2002附属書1(参考) 比較用表面粗さ標準片の表2に規定される、最大高さ粗さ(Rzの呼び値)が1.6μmである)を用いて、押え圧0.4MPaで0.5mmの成形深さから0.5mm単位で成形深さを増加させて成形を行い、電池用包装材料にピンホールが発生した際の成形深さよりも0.5mm浅い成形深さを、そのサンプルの限界成形深さとした。この限界成形深さから、以下の基準により電池用包装材料の成形性を評価した。結果を表1に示す。
A:限界成形深さ6.0mm以上
B:限界成形深さ5.0mm以上5.5mm以下
C:限界成形深さ4.0mm以上4.5mm以下
D:限界成形深さ3.5mm以下
【0114】
(電池の連続生産性の評価)
上記で得られた各電池用包装材料を80mm×120mmの長方形に裁断してサンプルを作製した。次に、温度24℃、相対湿度50%の環境下において、これらのサンプルを30mm×50mmの口径を有する成形金型(雌型、表面は、JIS B 0659-1:2002附属書1(参考) 比較用表面粗さ標準片の表2に規定される、最大高さ粗さ(Rzの呼び値)が3.2μmである)と、これに対応した成形金型(雄型、表面は、JIS B 0659-1:2002附属書1(参考) 比較用表面粗さ標準片の表2に規定される、最大高さ粗さ(Rzの呼び値)が1.6μmである)を用いて、押え圧0.4MPaで5mmの成形深さで、それぞれ1000個ずつ冷間成形を行った。次に、冷間成形を行った後の金型のコーナー部を目視で観察し、以下の基準より、電池用包装材料の連続成形性を評価した。
A:滑剤が、雄型及び雌型に転移されておらず、金型が白化していないため、連続成形性が高い
B:滑剤が、雄型及び雌型の何れか一方のみに転移し、金型がやや白化しているため、連続成形性はやや高い
C:滑剤が、雄型及び雌型の両方に転移し、金型が白化しているため、連続成形性が低い
【0115】
(印字性の評価)
上記で得られた各電池用包装材料の基材層表面に、パッド印刷で図柄を印刷した。パッド印刷機は、ミシマ株式会社製SPACE PAD 6GXを使用し、インキはナビタス株式会社製のUVインキPJU-A黒色を使用した。また、アズワン製のハンディーUVランプ SUV-4で紫外線波長:254nmにて10cmの距離からUVを30秒間照射してインキを硬化させた。硬化後の印刷面を光学顕微鏡で観察し、以下の基準に従い評価した。結果を表1に示す。なお、印字性評価は、24℃で相対湿度50%の環境下で行った。
5:目視可能な範囲で印刷の抜けが無い
4:印刷の抜けが印刷柄全体の2.5%以下ある
3:印刷の抜けが印刷柄全体の2.5%より多く5%以下ある
2:印刷の抜けが印刷柄全体の5%より多く10%以下ある
1:印刷の抜けが印刷柄全体の10%より多くある
【0116】
(テープ剥離性の評価)
上記で得られた各電池用包装材料の基材層表面に、前述の印字性の評価と同様にして、パッド印刷で図柄を印刷した。硬化後の印刷面に対し、3M社製のスコッチテープ#600を200gのゴムローラーで1往復することで添付した。次に、添付したテープを、剥離角度90°で剥がした。テープを剥がした部分の基材層表面(印刷面)を光学顕微鏡で観察して、目視確認可能な範囲で以下の基準により評価した。結果を表1に示す。なお、テープ剥離性の評価は、24℃で相対湿度50%の環境下で行った。
5:印刷の剥がれが無い
4:印刷の剥がれが印刷柄全体の0%より多く25%以下ある
3:印刷の剥がれが印刷柄全体の25%よりも多く50%以下ある
2:印刷の剥がれが印刷柄全体の50%よりも多く75%以下ある
1:印刷の剥がれが印刷柄全体の75%よりも多くある
【0117】
【0118】
なお、表1において、実施例6,11及び比較例5,11では、基材層表面にコロナ処理を施した(表1中の*印)。また、実施例7,14及び比較例6,12では、基材層表面に易接着処理を施した(表1中の**印)。易接着処理は、アクリル系樹脂とイソシアネート架橋剤を添加した塗布液を用いて形成した。ONyは二軸延伸ナイロン、PETは二軸延伸ポリエチレンテレフタレート、PET/ONyは、PETがバリア層とは反対側に位置しており、ポリエチレンテレフタレート(12μm)とナイロン(15μm)とのドライラミネートによる積層フィルムである。また、PET・ONyは、ポリエチレンテレフタレート(3μm)とナイロン(12μm)の共押出しによる積層フィルム(グンゼ株式会社製のHEPTAX HBN(一般グレード))で基材層を形成したものである。また、PPは、二軸延伸ポリプロピレン、PEは、二軸延伸ポリエチレン、CPPは未延伸ポリプロピレンを意味する。
【0119】
表1に示される結果から明らかな通り、基材層側の表面には、滑剤が存在しており、かつ、積層体の基材層側の表面に存在する滑剤量及び積層体の熱融着性樹脂層の表面に存在する滑剤量の合計が、15mg/m2以上、60mg/m2以下である実施例1~29の電池用包装材料においては、高い成形性を有し、かつ、電池の連続生産性に優れていることが分かる。
【符号の説明】
【0120】
1 基材層
2 接着剤層
3 バリア層
4 熱融着性樹脂層
5 接着層
6 表面被覆層
10 電池用包装材料