(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】運転支援方法及び運転支援装置
(51)【国際特許分類】
B60W 40/04 20060101AFI20221129BHJP
B60W 30/095 20120101ALI20221129BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20221129BHJP
【FI】
B60W40/04
B60W30/095
G08G1/16 D
G08G1/16 C
(21)【出願番号】P 2021508333
(86)(22)【出願日】2019-03-27
(86)【国際出願番号】 IB2019000377
(87)【国際公開番号】W WO2020194015
(87)【国際公開日】2020-10-01
【審査請求日】2021-09-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100114177
【氏名又は名称】小林 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】山口 翔太郎
(72)【発明者】
【氏名】方 芳
(72)【発明者】
【氏名】南里 卓也
【審査官】小関 峰夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-178194(JP,A)
【文献】特開2010-211297(JP,A)
【文献】特開2018-158709(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 30/00
B60W 40/00
G08G 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両が走行する第1経路上の交差点へ前記第1経路とは異なる第2経路から進入する第1他車両を検出し、
前記第1他車両が前記交差点内で停止するか否かを予測し、交差点内で停止すると予測した場合には前記第1他車両の停止位置を予測し、
予測した前記停止位置に前記第1他車両が停止した場合における前記第1他車両の車体と前記第1他車両の周囲物体との間、又は前記第1他車両の車体と前記第1他車両の走行車線の道路端との間、である第1間隔の最小距離を算出し、
算出した前記最小距離に応じて、前記第1他車両の後続車両である第2他車両が前記第1他車両の後方から前記第1間隔をすり抜ける可能性があるか否かを予測する、
ことを特徴とする運転支援方法。
【請求項4】
前記第2他車両の車幅を検出し、
検出した前記第2他車両の車幅が前記算出した最小距離より長い場合に、前記第2他車両が前記第1他車両の後方から前記第1間隔をすり抜ける可能性がないと予測することを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の運転支援方法。
【請求項10】
前記第2他車両の後続車両である第3他車両の車幅を検出し、
前記第2他車両の車体と前記第2他車両の周囲物体との間、又は前記第2他車両の車体と前記第2他車両の走行車線の道路端との間、である第2間隔の最小距離を算出し、
前記第3他車両の車幅が、前記第1間隔の最小距離と前記第2間隔の最小距離のうち小さい方の距離より長い場合に、前記第3他車両が前記第1他車両の後方から前記第1間隔をすり抜ける可能性がないと予測することを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載の運転支援方法。
【請求項12】
自車両が走行する第1経路上の交差点へ前記第1経路とは異なる第2経路から進入する第1他車両を検出するセンサと
前記第1他車両が前記交差点内で停止するか否かを予測し、交差点内で停止すると予測した場合には前記第1他車両の停止位置を予測し、予測した前記停止位置に前記第1他車両が停止した場合における前記第1他車両の車体と前記第1他車両の周囲物体との間、又は前記第1他車両の車体と前記第1他車両の走行車線の道路端との間、である第1間隔の最小距離を算出し、算出した前記最小距離に応じて、前記第1他車両の後続車両である第2他車両が前記第1他車両の後方から前記第1間隔をすり抜ける可能性があるか否かを予測する、コントローラと、
を備えることを特徴とする運転支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転支援方法及び運転支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
交差点における自車両の走行を制御する技術として、特許文献1に記載の技術が知られている。特許文献1に記載の運転支援装置は、自車両周辺の障害物と自車両との接触のリスクを考慮に入れた規範行動候補を提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
自車両が走行する経路上の交差点を進行する際に、自車両が走行する経路とは異なる経路から他車両が交差点へ進入する場合、この他車両に後続車両がいる可能性がある。この様な場合、交差点へ進入する他車両が自車両の進行を妨げないことが判明しても、他車両の後方にいる可能性が有る後続車両が他車両側方をすり抜けて交差点内に進入してくる可能性が有るため自車両が交差点内を進行できないことがある。
本発明は、自車両が走行する経路上の交差点へ、自車両が走行する経路とは異なる経路から他車両が進入し、この他車両に後続車両がいる可能性がある場合においても、後続車両が他車両側方をすり抜ける可能性が有るか否かを判定できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る運転支援方法では、自車両が走行する第1経路上の交差点へ第1経路とは異なる第2経路から進入する第1他車両を検出し、第1他車両が交差点内で停止するか否かを予測し、交差点内で停止すると予測した場合には第1他車両の停止位置を予測し、予測した停止位置に第1他車両が停止した場合における第1他車両の車体と第1他車両の周囲物体との間、又は第1他車両の車体と第1他車両の走行車線の道路端との間、である第1間隔の最小距離を算出し、算出した最小距離に応じて、第1他車両の後続車両である第2他車両が第1他車両の後方から第1間隔をすり抜ける可能性があるか否かを予測する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一態様によれば、自車両が走行する経路上の交差点へ、自車両が走行する経路とは異なる経路から他車両が進入し、この他車両に後続車両がいる可能性がある場合においても、後続車両が他車両側方をすり抜ける可能性が有るか否かを判定できる。
本発明の目的及び利点は、特許請求の範囲に示した要素及びその組合せを用いて具現化され達成される。前述の一般的な記述及び以下の詳細な記述の両方は、単なる例示及び説明であり、特許請求の範囲のように本発明を限定するものでないと解するべきである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態の運転支援装置の一例を示すブロック図である。
【
図2】実施形態の運転支援方法の一例の説明図である。
【
図3】
図1に示すコントローラの機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】他車両の進路上の障害物が歩行者である運転シーンの一例の説明図である。
【
図5】他車両の進路上の障害物が他車両の進路前方の車両渋滞である運転シーンの第1例の説明図である。
【
図6】他車両の進路上の障害物が他車両の進路前方の車両渋滞である運転シーンの第2例の説明図である。
【
図7】他車両の進路上の障害物が他車両の進路と交差する他車両である運転シーンの
一例の説明図である。
【
図8】T字路における運転支援方法の一例の説明図である。
【
図9】他車両の走行車線の道路端の一例の説明図である。
【
図10】後続車両がすり抜ける可能性がある間隔の他の例の説明図である。
【
図11A】他車両の車体と道路端との間の間隔の最小距離の説明図(その1)である。
【
図11B】他車両の車体と道路端との間の間隔の最小距離の説明図(その2)である。
【
図11C】他車両の車体と周囲物体との間の間隔の最小距離の説明図(その1)である。
【
図11D】他車両の車体と周囲物体との間の間隔の最小距離の説明図(その2)である。
【
図12】他車両の後続車両のさらに後続車両を考慮する場合の運転支援方法の一例の説明図である。
【
図13A】実施形態の運転支援方法のフローチャート(その1)である。
【
図13B】実施形態の運転支援方法のフローチャート(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下において、図面を参照して実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を貼付している。但し、図面は模式的なものである。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0009】
(構成)
実施形態に係る運転支援装置は、例えば車両に搭載される(以下、実施形態に係る運転支援装置が搭載される車両を「自車両」という)。実施形態に係る運転支援装置は、自車両が走行経路に従って走行するように自動で運転する自動運転と、自車両が走行経路に従って走行するように運転者に対して促す案内とを、運転支援として実行可能である。
【0010】
自動運転は、乗員(運転者)が関与せずに自車両の駆動、制動及び操舵のすべての制御を実行する場合を含み、自車両の駆動、制動及び操舵の少なくとも1つの制御を行う場合も含む。自動運転は、先行車追従制御、車間距離制御、車線逸脱防止制御等であってもよい。
【0011】
実施形態に係る運転支援装置1は、
図1に示すように、センサ部2と、測位部3と、地図データベース(図面において「地
図DB」と表記する)4と、通信部5と、ナビゲーション装置6と、出力部7と、コントローラ8と、走行制御装置9と、アクチュエータ10を備える。
センサ部2は、自車両の周囲環境、例えば自車両の周囲の物体を検出する。センサ部2は、自車両周囲に存在する物体、自車両と物体との相対位置、自車両と物体との距離、物体が存在する方向等の自車両の周囲環境を検出する。
【0012】
センサ部2は、レーザレンジファインダ(LRF)やレーダなどの測距装置や、カメラを備えてよい。カメラは、例えばステレオカメラであってよい。カメラは、単眼カメラであってもよく、単眼カメラにより複数の視点で同一の物体を撮影して、物体までの距離を計算してもよい。また、撮像画像から検出された物体の接地位置に基づいて、物体までの距離を計算してもよい。センサ部2は、検出した周囲環境の情報である周囲環境情報をコントローラ8へ出力する。
【0013】
測位部3は、自車両の現在位置を測定する。測位部3は、例えば全地球型測位システム(GNSS)受信機を備えてよい。GNSS受信機は、例えば地球測位システム(GPS)受信機等であり、複数の航法衛星から電波を受信して自車両の現在位置を測定する。
測位部3は、例えばオドメトリにより自車両の現在位置を測定してもよい。測位部3は、取得した自車両の現在位置をコントローラ8へ出力する。
【0014】
地図データベース4は、自動運転用の地図として好適な高精度地図データ(以下、単に「高精度地図」という。)を記憶してよい。高精度地図は、ナビゲーション用の地図データ(以下、単に「ナビ地図」という。)よりも高精度の地図データであり、道路単位の情報よりも詳細な車線単位の情報を含む。
例えば、高精度地図は車線単位の情報として、車線基準線(例えば車線内の中央の線)上の基準点を示す車線ノードの情報と、車線ノード間の車線の区間態様を示す車線リンクの情報を含む。
【0015】
車線ノードの情報は、その車線ノードの識別番号、位置座標、接続される車線リンク数、接続される車線リンクの識別番号を含む。車線リンクの情報は、その車線リンクの識別番号、車線の種類、車線の幅員、車線境界線の種類、車線の形状、車線区分線の形状、車線基準線の形状を含む。高精度地図は更に、車線上又はその近傍に存在する信号機、停止線、標識、建物、電柱、縁石、横断歩道等の地物の種類及び位置座標と、地物の位置座標に対応する車線ノードの識別番号及び車線リンクの識別番号等の、地物の情報を含む。
【0016】
高精度地図は、車線単位のノード及びリンク情報を含むため、走行ルートにおいて自車両が走行する車線を特定可能である。高精度地図は、車線の延伸方向及び幅方向における位置を表現可能な座標を有する。高精度地図は、3次元空間における位置を表現可能な座標(例えば経度、緯度及び高度)を有し、車線や上記地物は3次元空間における形状として記述され得る。
【0017】
また地図データベース4には、ナビ地図が記憶されていてもよい。ナビ地図は道路単位の情報を含む。例えば、ナビ地図は道路単位の情報として、道路基準線(例えば道路の中央の線)上の基準点を示す道路ノードの情報と、道路ノード間の道路の区間態様を示す道路リンクの情報を含む。道路ノードの情報は、その道路ノードの識別番号、位置座標、接続される道路リンク数、接続される道路リンクの識別番号を含む。
【0018】
道路リンクの情報は、その道路リンクの識別番号、道路規格、リンク長、車線数、道路の幅員、制限速度を含む。
これらの地図情報に加えて、地図データベース4は、交差点で交差する道路間の優先度の情報である優先度情報等を含んでよい。
【0019】
通信部5は、自車両の外部の通信装置との間で無線通信を行う。通信部5による通信方式は、例えば公衆携帯電話網による無線通信や、車車間通信、路車間通信、又は衛星通信であってよい。
なお、運転支援装置1は、地図データベース4に代えて、通信部5による車車間通信や路車間通信等のテレマティクスサービスによって、高精度地図やナビ地図を取得してもよい。
【0020】
テレマティクスサービスを用いることにより、自車両では、データ容量が大きい地図データを有しておく必要がなく、メモリの容量を抑制することができる。また、テレマティクスサービスを用いることにより、更新された地図データを取得できるため、道路構造の変化、工事現場の有無等、実際の走行状況を正確に把握できる。更に、テレマティクスサービスを用いることにより、自車両以外の複数の他車両から集められたデータに基づいて作成された地図データを用いることができるため、正確な情報を把握できる。
【0021】
ナビゲーション装置6は、自車両の現在位置から目的地までの経路を算出する。乗員がナビゲーション装置6を操作して目的地を入力すると、ダイキストラ法やA*などのグラフ探索理論に基づく手法により、現在位置から目的地までの走行経路を設定する。ナビゲーション装置6は、この走行経路に従って出力部7を介して乗員に経路案内を行う。
また、設定した走行経路は、自車両の自動運転や運転支援に使用するためのコントローラ8に出力される。
【0022】
出力部7は、様々な視覚的情報や音声情報を出力する。例えば出力部7は、自車両周囲の地図画面や推奨経路の案内の視覚的情報を表示してよい。また例えば出力部7は、設定した走行経路に基づく運転案内や、自車両周囲の道路地図データに基づく道路案内などの音声案内を出力してよい。
また例えば出力部7は、コントローラ8によって運転者の運転を支援するための案内表示を表示したり、音声案内メッセージを出力してもよい。
【0023】
コントローラ8は、自車両の運転支援を行う電子制御ユニット(ECU)である。コントローラ8は、プロセッサ11と、記憶装置12等の周辺部品とを含む。プロセッサ11は、例えばCPUやMPUであってよい。記憶装置12は、半導体記憶装置、磁気記憶装置及び光学記憶装置のいずれかを備えてよい。記憶装置12は、レジスタ、キャッシュメモリ、主記憶装置として使用されるROM及びRAM等のメモリを含んでよい。なお、汎用の半導体集積回路中に設定される機能的な論理回路でコントローラ8を実現してもよい。例えば、コントローラ8はフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)等のプログラマブル・ロジック・デバイス(PLD)等を有していてもよい。
【0024】
コントローラ8は、センサ部2から入力した周囲環境情報と、測位部3により測定された自車両の現在位置とに基づいて、ナビゲーション装置6により設定された走行経路を自車両に走行させる走行軌道を生成する。コントローラ8は、生成した走行軌道を走行制御装置9へ出力する。
走行制御装置9は、自車両の走行制御を行うECUである。走行制御装置9は、プロセッサと、記憶装置等の周辺部品とを含む。プロセッサは、例えばCPUやMPUであってよい。記憶装置は、半導体記憶装置、磁気記憶装置及び光学記憶装置のいずれかを備えてよい。記憶装置は、レジスタ、キャッシュメモリ、主記憶装置として使用されるROM及びRAM等のメモリを含んでよい。
【0025】
なお、汎用の半導体集積回路中に設定される機能的な論理回路で走行制御装置9を実現してもよい。例えば、走行制御装置9はFPGA等のPLD等を有していてもよい。走行制御装置9は、コントローラ8と一体の電子制御ユニットであってもよく、別個の電子制御ユニットであってもよい。走行制御装置9は、コントローラ8が生成した走行軌道を自車両が走行するようにアクチュエータ10を駆動して自動的に自車両を走行させる。
【0026】
アクチュエータ10は、走行制御装置9からの制御信号に応じて、自車両のステアリングホイール、アクセル開度及びブレーキ装置を操作して、自車両の車両挙動を発生させる。アクチュエータ10は、例えば、ステアリングアクチュエータと、アクセル開度アクチュエータと、ブレーキ制御アクチュエータを備えてよい。ステアリングアクチュエータは、自車両のステアリングの操舵方向及び操舵量を制御する。アクセル開度アクチュエータは、自車両のアクセル開度を制御する。ブレーキ制御アクチュエータは、自車両のブレーキ装置の制動動作を制御する。
【0027】
図2を参照して、運転支援装置1による運転支援方法の概要を説明する。
自車両20が走行する第1経路21の前方には交差点(十字路)があり、第1経路21と異なる第2経路22から第1他車両v1がこの交差点に進入している。また、第1他車両v1の後方には第1他車両v1の後続車両である第2他車両v2が走行している。
自車両20が交差点を走行する今後の予定経路p0は右折であり、また第1他車両v1の進路p1も右折である。したがって第1他車両v1は自車両20の進路を妨げることはない。
【0028】
しかしながら、自車両20が交差点を右折して通過する経路p0を走行する優先度は、第2他車両v2が第1他車両v1の走行車線を走行する優先度よりも低い。すなわち交差点において、第2他車両v2が直進する優先度は、自車両20が交差点を右折して経路p0を走行する優先度よりも高い。したがって、第2他車両v2が交差点を直進するおそれがある。このため、第1他車両v1が自車両20の進路を妨げないことが判明しても、第2他車両v2が第1他車両v1と道路端との間をすり抜けて交差点内を直進して来る可能性が有り、交差点を走行する予定経路p0へ自車両を進行させることができない。
【0029】
そこでコントローラ8は、まず、第1他車両v1が交差点を通過する進路p1の先の地点の状態に応じて第1他車両v1が停止するか否かを判断する。
図2の例では、自車両20の後続車両o1が交差点を直進する進路23と第1他車両v1が右折する進路p1とが交差しているため、後続車両o1は、第1他車両v1の進路上の障害物となる。このため、コントローラ8は、第1他車両v1は停止すると判断して、第1他車両v1の停止位置を予測する。
【0030】
次に、コントローラ8は、停止した第1他車両v1の後方から第2他車両v2が、第1他車両v1と走行車線の道路端との間をすり抜けて交差点内へ進入して来る可能性が有るか否かを予測する。具体的には、まず、停止した第1他車両v1と走行車線の道路端との間隔の最小距離d1を算出する。以下、第1他車両v1と走行車線の道路端との間隔を「第1間隔」と表記することがある。
第1間隔は、例えば
図2に示すように第1他車両v1の車体と第1他車両v1の走行車線の道路端との間の間隔であってよいし、第1他車両v1の車体と縁石との間の間隔、あるいは第1他車両v1の車体と他の物体(例えば同路端に設けられた壁、ガードレール、電柱、標識など)との間隔であっても良く、また、第1他車両v1の車体と他の複数物体との間隔であっても良い。
【0031】
コントローラ8は、算出した最小距離d1に応じて、第2他車両v2が第1他車両v1の後方から第1間隔をすり抜ける可能性があるか否かを予測する。例えば、第1間隔の最小距離d1が閾値以下(例えば二輪車の車幅寸法よりも充分小さな所定の寸法以下)の場合に、コントローラ8は、第2他車両v2が第1他車両v1の後方から第1間隔をすり抜ける可能性がないと判断する。
【0032】
また例えば、第1間隔の最小距離d1が第2他車両v2の車幅w1未満である場合に、コントローラ8は、第2他車両v2が第1間隔をすり抜ける可能性がないと判断する。反対に、第1間隔の最小距離d1が車幅w1以上である場合に、コントローラ8は、第2他車両v2が第1間隔をすり抜ける可能性があると判断する。
【0033】
このように、第2他車両v2が第1他車両v1の後方から第1間隔をすり抜ける可能性を判断することで、第2他車両v2が自車両20の進路を妨げるか否かを判断できる。
これにより自車両20が走行する経路21上の前方の交差点へ、この経路21とは異なる経路22から第1他車両v1が進入し、この第1他車両v1に後続車両がいる可能性があっても、交差点を走行する経路p0へ自車両20を進行させることができる。
【0034】
次に、
図3を参照してコントローラ8の機能構成の一例を説明する。コントローラ8は、物体認識部30と、自己位置推定部31と、運転行動決定部32と、軌道生成部33と、を備える。物体認識部30、自己位置推定部31、運転行動決定部32、及び軌道生成部33の機能は、例えばコントローラ8のプロセッサ11が、記憶装置12に格納されたコンピュータプログラムを実行することによって実現されてよい。
【0035】
物体認識部30は、センサ部2が出力する周囲環境情報に基づいて、自車両20の周囲の物体を認識する。物体認識部30が認識する物体は、例えば、第1他車両v1、第1他車両v1の後続車両、第1他車両v1の周囲の物体、第1他車両v1が交差点を通過する進路上の物体、第1他車両v1の走行車線の道路端(例えば、縁石、ガードレール、電柱、道路標識)であってよい。
【0036】
例えば、物体認識部30は、センサ部2のカメラによる画像に対して画像処理を行うことにより検出した物体の認識結果と、レーザレンジファインダやレーダなどの測距装置による物体の検出結果とを、既知のセンサ・フュージョン技術を用いて統合して、自車両20の周囲の物体を認識する。
【0037】
その際に、物体認識部30は、認識した物体を追跡する。具体的には、異なる時刻に認識した物体の同一性の検証(対応付け)を行い、その対応付けに基づいて物体の挙動を予測する。
なお、物体認識部30は、自車両20の周囲の物体の位置、大きさ、挙動などの情報を車車間通信や路車間通信によって取得してもよい。
物体認識部30は、認識結果を運転行動決定部32へ出力する。
【0038】
自己位置推定部31は、測位部3により得られた自車両20の現在位置と、地図データベース4に格納されている地図データから、地図上における自車両20の位置及び姿勢を推定する。自己位置推定部31は、自車両20が走行している道路、さらに当該道路のうちで自車両20が走行する車線を特定する。
自己位置推定部31は、推定結果を運転行動決定部32へ出力する。
【0039】
運転行動決定部32は、物体認識部30の認識結果、及び自己位置推定部31による推定結果等に基づいて、第1他車両v1の後方の車両(例えば第1他車両v1の後続車両である第2他車両v2)が第1他車両v1の傍をすり抜けて、自車両20の進行の妨げになる可能性があるか否かを判断する。
運転行動決定部32は、第1他車両v1の後方の車両が自車両20の進行の妨げになる可能性があるか否かに基づいて、交差点を走行する経路p0へ自車両20を進行させるか否かを判断する。
【0040】
運転行動決定部32は、交差点情報管理部40と、他車両進路予測部41と、他車両/周囲情報管理部42と、間隔算出部43と、すり抜け予測部44と、を備える。
【0041】
交差点情報管理部40は、ナビゲーション装置6が設定した走行経路、地図データベース4に格納されている地図データや、物体認識部30による認識結果に基づいて、自車両20が交差点を通過する経路p0を走行する優先度に関する自車両優先度情報50を取得する。
例えば、ナビゲーション装置6が設定した走行経路に基づいて自車両20が交差点を右折する場合、交差点情報管理部40は、自車両20の経路p0を走行する優先度は、対向車両の走行車線を走行する優先度(すなわち交差点を直進する優先度)より低いと判断する。
自車両20が交差点を直進又は左折する場合、交差点情報管理部40は、自車両20の経路p0を走行する優先度は、対向車両の走行車線を走行する優先度よりも低くないと判断する。
【0042】
また、交差点情報管理部40は、地図データベース4に格納されている地図データに基づいて、自車両20
の第1経路21前方にある交差点において自車両20が一時停止すべきことが指定されているか否かを判断してもよい。自車両20が一時停止すべきことが指定されている場合、交差点情報管理部40は、自車両20の経路p0を走行する優先度は、自車両20の走行道路と交差する道路を走行する優先度よりも低いと判断してよい。
また、交差点情報管理部40は、物体認識部30による認識結果から一時停止標識や、
図6、
図7、
図9に図示した一時停止線24を検出した場合に、交差点情報管理部40は、自車両20の経路p0を走行する優先度は、自車両20の走行道路と交差する道路を走行する優先度よりも低いと判断してもよい。交差点情報管理部40は、自車両優先度情報50をすり抜け予測部44に出力する。
【0043】
また交差点情報管理部40は、自車両20の自己位置の推定結果と、地図データベース4に格納されている地図データや物体認識部30による認識結果と、に基づいて、第1他車両v1の走行車線の道路端の地図上における位置を推定し、道路端の位置及び形状に関する道路端情報51を取得する。交差点情報管理部40は、例えば縁石、ガードレール、電柱、道路標識などの道路端に設けられた物体の位置を道路端の位置と認識してよい。
交差点情報管理部40は、道路端情報51を間隔算出部43へ出力する。
【0044】
他車両/周囲情報管理部42は、自己位置の推定結果と物体認識部30による認識結果とに基づいて、自車両20の周囲の物体の地図上の位置を推定し、自車両20の周囲の物体の位置に関する周囲物体情報54を取得する。周囲物体情報54は、自車両20の周囲の物体表面の各点の位置情報を含んでよい。
また、他車両/周囲情報管理部42は、自己位置の推定結果と物体認識部30による認識結果とに基づいて、自車両20の周囲の他車両(例えば第1他車両v1、第2他車両v2)の地図上の位置を推定し、他車両の車体表面の各点の位置に関する他車両端情報55を取得する。
【0045】
他車両進路予測部41は、自己位置の推定結果と物体認識部30による認識結果とに基づいて、第1他車両v1が停止するか否かを判断し、第1他車両v1の停止位置を予測する。他車両進路予測部41は、進路予測部52と、停止予測部53を備える。
他車両進路予測部41は、自己位置の推定結果と物体認識部30による認識結果とに基づいて、地図上における第1他車両v1の進路p1を予測する。例えば、他車両進路予測部41は、物体認識部30が予測した第1他車両v1の移動履歴や、物体認識部30が認識した第1他車両v1の周囲の物体と第1他車両v1との間の位置関係等に基づいて第1他車両v1の進路p1を予測してよい。
【0046】
停止予測部53は、予測した第1他車両v1の進路p1が自車両20の進路を妨げるか否かを判断する。
例えば
図2の運転シーンでは、自車両20が交差点を走行する今後の予定経路p0は右折であり、また第1他車両v1の進路p1も右折である。したがって第1他車両v1は自車両20の進路を妨げることはない。
【0047】
第1他車両v1の進路p1が自車両20の進路を妨げない場合に、停止予測部53は、他車両進路予測部41が予測した第1他車両v1の進路p1に基づいて、他車両/周囲情報管理部42が取得した周囲物体情報54から、第1他車両v1が交差点を通過する進路p1の先に存在する物体の情報を取得する。
停止予測部53は、周囲物体情報54から取得した情報に基づいて、第1他車両v1が交差点を通過する進路p1の先の地点の状態を判断する。停止予測部53は、進路p1の先の地点の状態に基づいて、第1他車両v1が停止するか否か、及び第1他車両v1の停止位置を判断する。
【0048】
停止予測部53は、例えば周囲物体情報54から、第1他車両v1の進路p1上に障害物(物体)が存在する場合に、停止予測部53は、第1他車両v1の停止位置を予測してよい。
第1他車両v1の進路p1上の障害物は、例えば
図2に示すように、第1他車両v1が右折する進路p1と交差する進路23を走行する他車両o1であってよい。
第1他車両v1の進路p1上の障害物は、例えば
図4に示すように、第1他車両v1の進路p1上の歩行者o2であってもよい。
【0049】
第1他車両v1の進路p1上の障害物は、第1他車両v1の先行車両や、第1他車両v1の進路p1前方の車両渋滞であってもよい。
例えば
図5の運転シーンでは、第1他車両v1の進路p1の前方に車両渋滞があり、先行車両o3が停止している。このため、停止予測部53は、交差点の手前の位置で第1他車両v1が停止すると予測する。この場合も、右折する自車両20の経路p0を第1他車両v1が妨げることはない。
【0050】
図6の運転シーンでは、自車両20が走行する第1経路21と第1他車両v1が走行する第2経路22は交差点で交差する。第1他車両v1の進路p1の前方に車両渋滞があり、先行車両o3が停止しているため第1他車両v1は交差点の手前で停止する必要がある。このため、直進する自車両20の進路を第1他車両v1が妨げることはない。この場合も、停止予測部53は、第1他車両v1の先行車両や、第1他車両v1の進路p1前方の車両渋滞が、第1他車両v1の進路p1上の障害物であると判断し、交差点の手前の位置を第1他車両v1の停止位置と予測する。
【0051】
図7の運転シーンにおいても、自車両20が走行する第1経路21と第1他車両v1が走行する第2経路22が交差点で交差する。自車両20が交差点を走行する今後の予定経路p0は左折であり、また第1他車両v1の進路p1は右折である。したがって第1他車両v1は自車両20の進路を妨げることはない。
第1他車両v1が交差点を右折する進路p1は、第1他車両v1の対向車両o1が交差点を直進する進路23と交差している。このため、停止予測部53は、対向車両o1が、第1他車両v1の進路p1上の障害物であると判断し、対向車両o1が通過するまで交差点内で待機する位置を第1他車両v1の停止位置と予測する。
【0052】
運転行動決定部32が自車両20を進行させるか否かを判断する交差点は十字路に限定されない。
図8の運転シーンでは、運転行動決定部32は、自車両20が走行する第1経路21と第1他車両v1が走行する第2経路22が交差するT字路において、自車両20を進行させるか否かを判断する。
第1他車両v1は、自車両20の右方から接近し自車両20が走行している道路に左折で進入しようとしており、自車両20は、第1他車両v1が到来する方向と反対方向へ左折して進出しようとしている。この場合も、第1他車両v1は左折する自車両20の経路p0を妨げることはない。
【0053】
自車両20が走行する道路(すなわち第1他車両v1が進入する予定の道路)の幅員が短く、自車両20と第1他車両v1のすれ違いが困難な場合には、第1他車両v1は、自車両20がしている道路に進入できない。このため、停止予測部53は、自車両20が、第1他車両v1の進路p1上の障害物であると判断し、T字路の手前の位置を第1他車両v1の停止位置と予測する。
【0054】
図3を参照する。間隔算出部43は、交差点情報管理部40が取得した道路端情報と、他車両/周囲情報管理部42が取得した他車両端情報55に基づいて、停止した第1他車両v1の傍を第2他車両v2がすり抜けると考えられる間隔の候補である第1間隔の最小距離d1を算出する。
例えば間隔算出部43は、
図2、
図4~
図7の運転シーン(すなわち第1他車両v1が右折又は直進する運転シーン)では、間隔算出部43は、第1他車両v1の車体の端部と、第1他車両v1の走行車線の左側の道路端との間隔の最小距離を、最小距離d1として算出してよい。
【0055】
また、例えば
図8の運転シーン(すなわち第1他車両v1が左折する運転シーン)では、間隔算出部43は、第1他車両v1の車体の端部と、第1他車両v1の走行車線の右側の道路端との間隔の最小距離を、最小距離d1として算出してよい。
また、
図9に示す第1他車両v1が左折する運転シーンでは、第1他車両v1の走行車線と対向車線との間に車線変更を禁止する車線境界線(日本では黄色線)25が設けられている。このような場合には、第2他車両v2が車線境界線25を超えて第1他車両v1の傍をすり抜けにくいと考えられる。
このため間隔算出部43は、車線境界線25を道路端と考えて、第1他車両v1の車体の端部と、第1他車両v1の走行車線の右側の車線境界線25との間隔の最小距離を、最小距離d1として算出してよい。
【0056】
間隔算出部43は、第1他車両v1の車体と第1他車両v1の周囲物体との間の間隔の最小距離を、第1間隔の最小距離d1として検出してもよい。
図10の運転シーンでは、予定経路p0を進む自車両20は交差点で右折して車線26に進入しようとし、対向車線を走行する第1他車両v1は進路p1を進んで交差点で左折して車線26の隣接車線27に進入することが予測されている。また、第1他車両v1の進路p1上には障害物(歩行者o2)が存在しているため、第1他車両v1は横断歩道の手前で停車することが予測される。
【0057】
一方で、交差点内には、第1他車両v1の周囲(第1他車両v1の右側)に他車両s1が存在している。他車両s1が交差点を右折する進路は、自車両20の後続車両が交差点を直進する進路と交差しており、自車両20の後続車両が、他車両s1の進路上の障害物となっている。このため、他車両s1は進行できずに交差点内で停止している。
この場合、第1他車両v1と他車両s1との間の間隔を第2他車両v2がすり抜けるおそれがある。
【0058】
このため、間隔算出部43は、第1他車両v1の車体と他車両s1との間の間隔の最小距離を、第1間隔の最小距離d1として検出してもよい。
第1他車両v1の車体と他車両s1との間の間隔の最小距離を検出するのは他車両s1が停止している場合に限られない。間隔算出部43は、他車両s1の進路上の障害物のために減速している場合にも、第1他車両v1の車体と他車両s1との間の間隔の最小距離を、最小距離d1として検出してもよい。
他車両s1の進路上の障害物は、例えば、他車両s1の先行車両、他車両s1の進路前方の車両渋滞、他車両s1の進路と交差する進路を走行する他車両、又は他車両s1の進路上の歩行者であってよい。
【0059】
次に、第1他車両v1の車体の端部と、第1他車両v1の走行車線の道路端との間隔の最小距離d1の算出方法を説明する。
図11Aを参照する。まず間隔算出部43は、物体認識部30によって検出した情報に含まれる第1他車両v1の車体の外周表面上の複数の点p1~点p7のうち点p1を選択する。間隔算出部43は、選択した点p1と、道路端28の複数の点p11~p16との組合せをそれぞれ決定し、決定した組合せの点の間の距離をそれぞれ算出する。
【0060】
図11Bを参照する。次に間隔算出部43は、複数の点p1~点p7のうち点p2を選択する。間隔算出部43は、選択した点p2と、複数の点p11~p16との組合せをそれぞれ決定し、決定した組合せの点の間の距離をそれぞれ算出する。
以下同様に、間隔算出部43は、第1他車両v1の車体の外周上の複数の点p3~点p7についても道路端28の複数の点p11~p16との組合せを決定して、組合せの点の間の距離をそれぞれ算出する。
間隔算出部43は、これら算出した距離のうち最も小さい距離を、第1間隔の最小距離d1として選択する。
【0061】
次に、第1他車両v1の車体の端部と、第1他車両v1の周囲物体s1との間隔の最小距離d1の算出方法を説明する。
図11Cを参照する。まず間隔算出部43は、物体認識部30によって検出した情報に含まれる第1他車両v1の車体の外周表面上の複数の点p1~点p6のうち点p1を選択する。間隔算出部43は、選択した点p1と、周囲物体s1の複数の点p21~p26との組合せをそれぞれ決定し、決定した組合せの点の間の距離をそれぞれ算出する。
【0062】
図11Dを参照する。次に間隔算出部43は、複数の点p1~点p6のうち点p2を選択する。間隔算出部43は、選択した点p2と、複数の点p21~p26との組合せをそれぞれ決定し、決定した組合せの点の間の距離をそれぞれ算出する。
以下同様に、間隔算出部43は、第1他車両v1の車体の外周上の複数の点p3~点p6についても周囲物体s1の複数の点p21~p26との組合せを決定して、組合せの点の間の距離をそれぞれ算出する。
間隔算出部43は、これら算出した距離のうち最も小さい距離を、第1間隔の最小距離d1として選択する。
【0063】
図3を参照する。間隔算出部43は、算出した最小距離d1をすり抜け予測部44へ出力する。すり抜け予測部44は、自車両優先度情報50と、停止予測部53による予測結果と、間隔算出部43が算出した第1間隔の最小距離d1に基づいて、第2他車両v2が第1他車両v1の後方から第1間隔をすり抜ける可能性があるか否かを予測する。
【0064】
すり抜け予測部44は、自車両優先度情報50に基づいて、自車両20が交差点を通過する経路p0を走行する優先度が、第1他車両v1の走行車線(すなわち第1他車両v1の後続車両である第2他車両v2の走行車線)を走行する優先度よりも高いか否かを判断する。
自車両20が交差点を通過する経路p0を走行する優先度が、第1他車両v1の走行車線を走行する優先度よりも高い場合には、自車両20は第2他車両v2に優先して交差点を走行できる。したがってこの場合には、すり抜け予測部44は、第2他車両v2が第1間隔をすり抜ける可能性があるか否かを予測しない。
【0065】
一方で、自車両20が交差点を通過する経路p0を走行する優先度が、第1他車両v1の走行車線を走行する優先度よりも高くない場合(すなわち、自車両20が交差点を通過する経路p0を走行する優先度が、第1他車両v1の走行車線を走行する優先度以下の場合)には、すり抜け予測部44は、第2他車両v2が第1間隔をすり抜ける可能性があるか否かを予測する。
次に、すり抜け予測部44は、間隔算出部43が算出した第1間隔の最小距離d1が所定の閾値以下であるか否かを判断する。この閾値は、例えば自動二輪車が通過できる幅よりも小さく設定する。
【0066】
第1間隔の最小距離d1が所定の閾値以下である場合には、すり抜け予測部44は、第2他車両v2が第1間隔をすり抜ける可能性がないと予測する。第2他車両v2が第1間隔をすり抜ける可能性がないと予測した場合、すり抜け予測部44は、第1他車両v1の後方の車両が第1他車両v1をすり抜ける可能性がないと予測する。
第1間隔の最小距離d1が所定の閾値より大きい場合には、すり抜け予測部44は、周囲物体情報54に基づいて、物体認識部30が第2他車両v2を検出できたか否かを判断する。
【0067】
物体認識部30が第2他車両v2を検出できない場合、すり抜け予測部44は、第1他車両v1の後方の車両が第1他車両v1をすり抜ける可能性があると予測する。第2他車両v2が、第1他車両v1や第1他車両v1の周囲物体の死角に入っているかもしれないからである。
一方、物体認識部30が第2他車両v2を検出した場合、すり抜け予測部44は、第2他車両v2の車幅w1を計測する。
【0068】
例えば、すり抜け予測部44は、物体認識部30が認識した第2他車両v2の大きさの情報に基づいて、第2他車両v2の車幅w1を測定してよい。物体認識部30が認識した情報に基づいて測定した第2他車両v2の幅に所定のマージンを加えて車幅w1を算出してもよい。
また例えば、すり抜け予測部44は、第2他車両v2の車体の全体又は一部の画像を用いたパターンマッチングにより第2他車両v2の車種を特定してもよい。この場合、例えばすり抜け予測部44は、車種ごとの車幅情報を含む予め記憶した車両データ又は通信部5により取得可能な車両データと特定した車種とを照合して、特定した車種の車幅情報を取得することができる。
【0069】
すり抜け予測部44は、第2他車両v2の車幅w1が第1間隔の最小距離d1より短いか否かを判断する。第2他車両v2の車幅w1が第1間隔の最小距離d1より長い場合、すり抜け予測部44は、第2他車両v2が第1間隔をすり抜ける可能性がないと予測する。第2他車両v2が第1間隔をすり抜ける可能性がないと予測した場合、すり抜け予測部44は、第1他車両v1の後方の車両が第1他車両v1をすり抜ける可能性がないと予測する。
【0070】
一方で、第2他車両v2の車幅w1が第1間隔の最小距離d1以下である場合、すり抜け予測部44は、第2他車両v2が停止するか否かを判断する。第2他車両v2の車幅w1が第1間隔の最小距離d1以下であり且つ第2他車両v2が停止しない場合には、すり抜け予測部44は、第2他車両v2が第1間隔をすり抜ける可能性があると予測する。
第2他車両v2が第1間隔をすり抜ける可能性があると予測した場合、すり抜け予測部44は、第1他車両v1の後方の車両が第1他車両v1をすり抜ける可能性があると予測する。
【0071】
次に、すり抜け予測部44は、
図12に示すように、第2他車両v2の車体と第2他車両v2の走行車線の道路端との間(又は第2他車両v2の車体と第2他車両v2の周囲物体との間)の間隔(以下「第2間隔」と表記する)の最小距離d2を算出する。第2間隔の最小距離d2の算出方法は、
図11A~
図11Dを参照して説明した第1間隔の最小距離d1の算出方法と同様である。
第1他車両v1や第1他車両v1の周囲物体により第2他車両v2の車体の一部が隠れている場合には、第2他車両v2の画像のパターンマッチングにより特定された車種の車両モデル(特定された車種と前後左右方向の大きさが略等しい仮想物体)を、仮想的に地図データに配置して、道路端や周囲物体との間の間隔を算出してよい。
【0072】
第2間隔の最小距離d2が例えば自動二輪車の幅方向寸法よりも小さい所定の閾値以下である場合には、すり抜け予測部44は、第2他車両v2の後続車両である第3他車両v3が第2間隔をすり抜ける可能性がないと予測する。第3他車両v3が第2間隔をすり抜ける可能性がないと予測した場合、すり抜け予測部44は、第1他車両v1の後方の車両が第1他車両v1をすり抜ける可能性がないと予測する。
【0073】
第2間隔の最小距離d2が所定の閾値より大きい場合には、すり抜け予測部44は、第3他車両v3を物体認識部30が検出できたか否かを判断する。物体認識部30が第3他車両v3を検出できない場合、すり抜け予測部44は、第3他車両v3が第1間隔と第2間隔をすり抜ける可能性があると予測する。第3他車両v3が第1間隔と第2間隔をすり抜ける可能性がある場合、すり抜け予測部44は、第1他車両v1の後方の車両が第1他車両v1をすり抜ける可能性があると予測する。
【0074】
物体認識部30が第3他車両v3を検出した場合、すり抜け予測部44は、第3他車両v3の車幅w2を計測する。車幅w2の計測方法は、第2他車両v2の車幅w1の計測方法と同様であってよい。
すり抜け予測部44は、第1間隔の最小距離d1と第2間隔の最小距離d2のうち小さい方を注目最小距離Dとして選択する。
【0075】
すり抜け予測部44は、第3他車両v3の車幅w2が注目最小距離Dより短いか否かを判断する。第3他車両v3の車幅w2が注目最小距離Dより長い場合、すり抜け予測部44は、第3他車両v3が第1間隔と第2間隔をすり抜ける可能性がないと予測する。第3他車両v3が第1間隔と第2間隔をすり抜ける可能性がないと予測した場合、すり抜け予測部44は、第1他車両v1の後方の車両が第1他車両v1をすり抜ける可能性がないと予測する。
【0076】
一方で、第3他車両v3の車幅w2が注目最小距離D以下である場合、すり抜け予測部44は、第3他車両v3が停止しているか否かを判断する。第3他車両v3の車幅w2が注目最小距離D以下であり、第3他車両v3が停止していない場合に、第3他車両v3が第1間隔及び第2間隔をすり抜ける可能性があると予測する。第3他車両v3が第1間隔及び第2間隔をすり抜ける可能性があると予測した場合、すり抜け予測部44は、第1他車両v1の後方の車両が第1他車両v1をすり抜ける可能性があると予測する。
【0077】
以下同様に、すり抜け予測部44は、第1他車両v1の後方の車両が第1他車両v1をすり抜ける可能性があると予測するか、そのような可能性がないと予測するまで、第3他車両v3の後方の車両の各々について同様の処理を繰り返す。
第1他車両v1の後方の車両が第1他車両v1をすり抜ける可能性があると予測した場合、すり抜け予測部44は、交差点を走行する経路p0へ自車両20を進行させる前に、自車両20を停止させると決定する。
第1他車両v1の後方の車両が第1他車両v1をすり抜ける可能性がないと予測した場合、すり抜け予測部44は、交差点を走行する経路p0へ自車両20を進行させると決定する。
【0078】
図3を参照する。すり抜け予測部44は、決定結果を軌道生成部33へ出力する。
軌道生成部33は、センサ部2から出力される周囲環境情報、ナビゲーション装置6が設定した走行経路、及び地図データベース4が記憶する地図データに基づいて自車両に走行させる走行軌道を生成する。
軌道生成部33は、自車両が停車位置で停止したり、停車位置を減速して通過したりするための速度のプロファイルを含むように走行軌道を生成する。
【0079】
交差点を走行する経路p0へ自車両20を進行させる前に自車両20を停止させるとすり抜け予測部44が決定した場合、軌道生成部33は、交差点を走行する経路p0へ自車両20を進行させる前に、第1他車両v1の後方の車両が第1他車両v1をすり抜けて追い越すのを待機する位置に停止させる走行軌道を生成する。
走行制御装置9は、軌道生成部33が生成した走行軌道に基づいてアクチュエータ10を制御することにより、第1他車両v1の後方の車両が第1他車両v1をすり抜けて追い越すのを待機する位置に自車両20を停止させる。
【0080】
交差点を走行する経路p0へ自車両20を進行させるとすり抜け予測部44が決定した場合、軌道生成部33は、交差点を走行する経路p0へ自車両20を進行させる走行軌道を生成する。
走行制御装置9は、軌道生成部33が生成した走行軌道に基づいてアクチュエータ10を制御することにより、交差点を走行する経路p0へ自車両20を進行させる。
【0081】
なお、走行制御装置9により自動的に自車両20を走行させる代わりに、すり抜け予測部44は、自車両20の運転を促す案内情報を出力部7から出力することにより、運転者の運転操作を支援してもよい。
例えば、第1他車両v1の後方の車両が第1他車両v1をすり抜けて追い越す可能性があると予測した場合、すり抜け予測部44は、第1他車両v1の後方の車両が第1他車両v1を追い越して自車両と干渉する可能性が有ることを知らせ、交差点を走行する経路p0へ自車両20を進行させる前に自車両20を停止することを促す案内情報を、出力部7から出力してよい。
【0082】
例えば、第1他車両v1の後方の車両が第1他車両v1をすり抜けて追い越す可能性がないと予測した場合、すり抜け予測部44は、第1他車両v1の後方の車両が第1他車両v1を追い越す可能性がないことを知らせ、交差点を走行する経路p0へ自車両20を進行させることを促す案内情報を、出力部7から出力してもよい。
【0083】
(運転支援方法)
次に、
図13A及び
図13Bのフローチャートを参照して、実施形態に係る運転支援方法の一例を説明する。
ステップS1において運転行動決定部32は、物体認識部30による認識結果に基づいて自車両20の周囲の物体の位置に関する物体情報を取得し、また自己位置の推定結果と地図データベース4に基づいて地図情報を取得する。
【0084】
ステップS2において運転行動決定部32は、自車両が交差点に接近しているか否かを判断する。自車両が交差点に接近している場合(ステップS2:Y)に処理はステップS3へ進む。自車両が交差点に接近していない場合(ステップS2:N)に処理はステップS1へ戻る。
ステップS3においてすり抜け予測部44は、自車両20が交差点を通過する経路p0を走行する優先度が、第1他車両v1の走行車線を走行する優先度より高いか否かを判断する。
【0085】
自車両20が交差点を通過する経路p0を走行する優先度が、第1他車両v1の走行車線を走行する
優先度より高い場合(ステップS3:Y)に処理は
図13BのステップS14へ進む。この場合、すり抜け予測部44は、交差点を走行する経路p0へ自車両20を進行させると決定する。この結果、走行制御装置9は、交差点を走行する経路p0へ自車両20を進行させる。
自車両20が交差点を通過する経路p0を走行する優先度が、第1他車両v1の走行車線を走行する
優先度より高くない場合(ステップS3:N)に処理はステップS4へ進む。
【0086】
ステップS4においてすり抜け予測部44は、交差点に接近する第1他車両v1を検出したか否かを判断する。交差点に接近する第1他車両v1を検出した場合(ステップS4:Y)に処理はステップS5へ進む。
交差点に接近する第1他車両v1を検出していない場合(ステップS4:N)に処理は
図13BのステップS14へ進む。この場合に走行制御装置9は、交差点を走行する経路p0へ自車両20を進行させる。
【0087】
ステップS5において停止予測部53は、第1他車両v1の進路p1が自車両20の進路を妨げるか否かを判断する。第1他車両v1の進路p1が自車両20の進路を妨げる場合(ステップS5:Y)には、第1他車両v1が交差点を通過するのを待機した後、処理はステップS1へ戻る。第1他車両v1の進路p1が自車両20の進路を妨げない場合(ステップS5:N)に処理はステップS6へ進む。
【0088】
ステップS6において停止予測部53は、第1他車両v1の進路p1上に障害物があるか否かを判断する。第1他車両v1の進路p1上に障害物がある場合(ステップS6:Y)に処理はステップS7へ進む。第1他車両v1の進路p1上に障害物がない場合(ステップS6:N)には、第1他車両v1が交差点を通過するのを待機した後、処理はステップS1へ戻る。
【0089】
ステップS7において停止予測部53は、第1他車両v1の移動履歴に基づいて第1他車両v1が実際に停止するか否かを判断する。第1他車両v1が停止した場合(ステップS7:Y)に処理はステップS8へ進む。第1他車両v1が停止ない場合(ステップS7:N)には、第1他車両v1が交差点を通過するのを待機した後、処理はステップS1へ戻る。
【0090】
ステップS8において間隔算出部43は、第1他車両v1の車体の端部と第1他車両v1の周囲物体との間の第1間隔(又は第1他車両v1の車体の端部と第1他車両v1の走行車線の道路端との間の第1間隔)の最小距離d1を算出する。そして、間隔算出部43は、算出した最小距離d1を注目最小距離Dに設定する。
ステップS9においてすり抜け予測部44は、注目最小距離Dが所定の閾値以下であるか否かを判断する。
【0091】
注目最小距離Dが閾値以下である場合(ステップS9:Y)に処理は
図13BのステップS13へ進む。注目最小距離Dが閾値より大きい場合(ステップS9:N)に処理はステップS10へ進む。
ステップS10においてすり抜け予測部44は、第1他車両v1の後続車両である第2他車両v2が検出できたか否かを判断する。第2他車両v2が検出できた場合(ステップS10:Y)に処理は
図13BのステップS11へ進む。第2他車両v2が検出できない場合(ステップS10:N)に処理は
図13BのステップS16へ進む。
【0092】
図13Bを参照する。ステップS11においてすり抜け予測部44は、第1他車両v1の後続車両である第2他車両v2を注目車両Vに設定する。
またすり抜け予測部44は、注目車両Vの車幅(すなわち第2他車両v2の車幅w1)を計測し、注目車幅Wに設定する。
ステップS12においてすり抜け予測部44は、注目車幅Wが注目最小距離Dより長いか否かを判断する。注目車幅Wが注目最小距離Dより長い場合(ステップS12:Y)に処理はステップS13へ進む。注目車幅Wが注目最小距離D以下である場合(ステップS12:N)に処理はステップS15へ進む。
【0093】
ステップS13においてすり抜け予測部44は、注目車両Vが第1他車両v1の後方から第1間隔をすり抜ける可能性が無いために、第1他車両v1の後方の車両が第1他車両v1をすり抜ける可能性がないと判断する。すり抜け予測部44は、交差点を走行する経路p0へ自車両20を進行させると決定する。
ステップS14において軌道生成部33は、交差点を走行する経路p0へ自車両20を進行させる走行軌道を生成する。走行制御装置9は、軌道生成部33が生成した走行軌道に基づいてアクチュエータ10を制御することにより、交差点を走行する経路p0へ自車両20を進行させる。その後に処理は終了する。
【0094】
一方で、ステップS15においてすり抜け予測部44は、注目車両Vが停止するか否かを判断する。注目車両Vが停止する場合(ステップS15:Y)に処理はステップS17へ進む。注目車両Vが停止しない場合(ステップS15:N)に処理はステップS16へ進む。
ステップS16においてすり抜け予測部44は、注目車両Vが第1他車両v1の後方から第1間隔をすり抜ける可能性があると判断する。すなわち、第1他車両v1の後方の車両が第1他車両v1をすり抜ける可能性があると判断する。交差点を走行する経路p0へ自車両20を進行させる前に、自車両20を停止させると決定する。
【0095】
このため軌道生成部33は、交差点を走行する経路p0へ自車両20を進行させる前に、第1他車両v1の後方の車両が第1他車両v1をすり抜けて追い越すのを待機する位置に停止させる走行軌道を生成する。
走行制御装置9は、軌道生成部33が生成した走行軌道に基づいてアクチュエータ10を制御することにより、第1他車両v1の後方の車両が第1他車両v1をすり抜けて追い越すのを待機する位置に自車両20を停止させる。その後に処理は終了する。
【0096】
ステップS17において間隔算出部43は、注目車両Vの車体の端部と注目車両Vの周囲物体との間の間隔(又は注目車両Vの車体の端部と注目車両Vの走行車線の道路端との間の間隔)の最小距離を検出する。
例えば、注目車両Vが第2他車両v2である場合には、間隔算出部43は、第2他車両v2の車体の端部と第2他車両v2の周囲物体との間の第2間隔(又は第2他車両v2の車体の端部と第2他車両v2の走行車線の道路端との間の第2間隔)の最小距離d2を検出する。
【0097】
ステップS18においてすり抜け予測部44は、ステップS17で算出した最小距離が所定の閾値以下であるか否かを判断する。最小距離が閾値以下である場合(ステップS18:Y)に処理はステップS13へ進む。最小距離が閾値より大きい場合(ステップS18:N)に処理はステップS19へ進む。
ステップS19においてすり抜け予測部44は、注目車両Vの後続車両が検出できたか否かを判断する。例えば、注目車両Vが第2他車両v2である場合には、注目車両Vの後続車両は第3他車両v3である。
注目車両Vの後続車両が検出できた場合(ステップS19:Y)に処理はステップS20へ進む。注目車両Vの後続車両が検出できない場合(ステップS19:N)に処理はステップS16へ進む。
【0098】
ステップS20においてり抜け予測部44は、注目車両Vの後続車両の車幅(注目車両Vの後続車両が第3他車両v3である場合には車幅w2)を計測する。
ステップS21においてすり抜け予測部44は、ステップS17で算出した最小距離が注目最小距離Dより短いか否かを判断する。ステップS17で算出した最小距離が注目最小距離Dより短い場合(ステップS21:Y)に処理はステップS22へ進む。ステップS17で算出した最小距離が注目最小距離D以上の場合にステップS22をスキップして処理はステップS23へ進む。
【0099】
ステップS22においてすり抜け予測部44は、ステップS17で算出した最小距離を注目最小距離Dに設定する。その後に処理はステップS23へ進む。
ステップS23においてすり抜け予測部44は、注目車両Vの後続車両を注目車両Vに設定し、注目車両Vの後続車両の車幅を注目車幅Wに設定する。
その後に処理はステップS12へ戻る。このため、第1他車両v1の後方の車両を順々に注目車両Vに設定しながら、ステップS12~S23が繰り返されて、最終的にステップS16で第1他車両v1の後方の車両が第1他車両v1をすり抜ける可能性があると予測するか、ステップS13でそのような可能性がないと予測する。
【0100】
(実施形態の効果)
(1)すり抜け予測部44は、自車両20が走行する第1経路21上の交差点へ第1経路21とは異なる第2経路22から進入する第1他車両v1を検出する。停止予測部53は、第1他車両v1が交差点内で停止するか否かを予測し、交差点内で停止すると予測した場合には第1他車両v1の停止位置を予測する。間隔算出部43は、予測した停止位置に第1他車両v1が停止した場合における第1他車両v1の車体と第1他車両v1の周囲物体との間、又は第1他車両v1の車体と第1他車両f1の走行車線の道路端との間、である第1間隔の最小距離d1を算出する。すり抜け予測部44は、算出した最小距離に応じて、第1他車両の後続車両である第2他車両が第1他車両の後方から第1間隔をすり抜ける可能性があるか否かを予測する。
【0101】
これにより、交差点において第1他車両v1を検出し,第1他車両v1と周囲物体との間(又は第1他車両v1と道路端との間)の第1間隔に応じて、第1他車両v1の脇に第1他車両v1の後続車両が通過できる間隔が空いているのか否かを見積もることができる。このため、例えば後続車両が見えていない状態でも、第1他車両v1の後方の車両が第1他車両v1をすり抜ける可能性があるか否かを予測でき、自車経路に進む場合の安全性をより高精度で確認できる。
【0102】
このように、第1他車両v1の後続車両が第1他車両v1をすり抜ける可能性があるか否かを予測することができるため、第1他車両v1の後続車両が接近している場合や、または見えていない場合であっても、後続車両が第1他車両v1をすり抜ける可能性がない場合には、後続車両を待たずに自車両20を交差点へ進行させることができる。これにより、自動運転における目的地までの所要時間を短縮することができる。このように、自車両20の自動運転の走行軌道の品質が向上した、改良された走行軌道生成技術を提供できる。さらに、後続車両を待つために自車両20を無駄に停止させることが回避できるので、自車両20の燃費向上に貢献する。
【0103】
(2)すり抜け予測部44は、自車両20が交差点を通過する経路を走行する優先度が、第1他車両v1の走行車線を走行する優先度よりも低い場合に、第2他車両v2が第1他車両v1の後方から第1間隔をすり抜ける可能性があるか否かを予測してよい。
自車両20が交差点を通過する優先度が高い場合には第2他車両v2に関わらず自車両20が交差点を通過することができる。このような場合には、第2他車両v2が第1他車両v1の後方から第1間隔をすり抜ける可能性を予測することを省くことにより、コントローラ8の計算負荷を低減できる。
【0104】
(3)すり抜け予測部44は、算出した最小距離d1が予め定められた所定の閾値以下である場合に、第2他車両v2が第1他車両v1の後方から第1間隔をすり抜ける可能性がないと予測してよい。これにより、第2他車両v2が第1他車両v1の後方から第1間隔をすり抜ける可能性がないことを予測できる。
【0105】
(4)すり抜け予測部44は、第2他車両v2の車幅w1を検出し、検出した第2他車両v2の車幅w1が算出した最小距離d1より長い場合に、第2他車両v2が第1他車両v1の後方から第1間隔をすり抜ける可能性がないと予測してよい。これにより、第2他車両v2が第1他車両v1の後方から第1間隔をすり抜ける可能性がないことを予測できる。
【0106】
(5)停止予測部53は、第1他車両v1の進路上に障害物が存在する場合に、第1他車両v1が交差点内で停止すると予測してよい。これにより、第1他車両v1が停止するか否かを判断することができ、第2他車両v2が第1他車両v1をすり抜けて進行するのか、第1他車両v1が進むのを待つのかを判断することができる。
【0107】
(6)第1他車両v1の進路上の障害物は、第1他車両v1の先行車両、第1他車両v1の進路前方の車両渋滞、第1他車両v1の進路と交差する進路を走行する他車両、自車両20、又は第1他車両v1の進路上の歩行者であってよい。
これにより、これら列挙された障害物によって第1他車両v1が停止するか否かを判断することができ、第2他車両v2が第1他車両v1をすり抜けて進行するのか、第1他車両v1が進むのを待つのかを判断することができる。
【0108】
(7)第1間隔が、第1他車両v1の車体と周囲物体との間の間隔である場合、間隔算出部43は、第1他車両v1の車体の外周表面上の複数の点p1~p6の各々を順次選択して、選択した点と周囲物体の外周表面上の複数の点p21~p26との組合せをそれぞれ決定し、決定した組合せの点の間の距離のうち最も小さい距離を、第1間隔の最小距離d1として算出してよい。
これにより、後続車両がすり抜けをすることができるかを予測するための間隔の距離を適切に求めることができる.
【0109】
(8)第1間隔が、第1他車両v1の車体と第1他車両v1の走行車線の道路端との間の間隔である場合、間隔算出部43は、第1他車両v1の車体の外周表面上の複数の点p1~p7の各々を順次選択して、選択した点と道路端上の複数の点p11~p16との組合せをそれぞれ決定し、決定した組合せの点の間の距離のうち最も小さい距離を、第1間隔の最小距離d1として算出してよい。
これにより、後続車両がすり抜けをすることができるかを予測するための間隔の距離を適切に求めることができる.
【0110】
(9)道路端とは、壁、縁石、ガードレール、電柱、道路標識であってよい。これにより、後続車両の進行を物理的に妨げるこれらの物体で道路端が画定されている場合に、第1他車両v1と道路端との間の間隔を後続車両がすり抜けるか否かを予測できる。
また、道路端とは、車線変更を禁止する車線境界線であってよい。これにより、車線境界線を超えることが禁止されている場合に、第1他車両v1と車線境界線との間の間隔を後続車両がすり抜けるか否かを予測できる。
【0111】
(10)すり抜け予測部44は、第2他車両v2の後続車両である第3他車両v3の車幅w2を検出してよい。間隔算出部43は、第2他車両v2の車体と第2他車両v2の周囲物体との間、又は第2他車両v2の車体と第2他車両v2の走行車線の道路端との間、である第2間隔の最小距離d2を算出してよい。すり抜け予測部44は、第3他車両の車幅w2が、第1間隔の最小距離d1と第2間隔の最小距離d2のうち小さい方の距離より長い場合に、第3他車両v3が第1他車両v1の後方から第1間隔をすり抜ける可能性がないと予測してよい。
【0112】
これにより、第2他車両v2の後方に更なる後続車両である第3他車両v3が存在する場合に、第3他車両v3が第1他車両v1を追い越すことができる間隔が空いているのか否かを見積もることができる。このため、第3他車両v3が第1他車両v1をすり抜ける可能性があるか否かを予測できるので、自車経路に進む場合の安全性をより高精度で確認できる。
【0113】
(11)第1他車両v1の後方から第1間隔を他車両がすり抜ける可能性がないとすり抜け予測部44が予測した場合、走行制御装置9は、交差点内を走行する予定経路へ自車両20を進行させてよい。
これにより自車両20の経路の安全が確保されている上で、自車両20を進行させることができる。
【0114】
ここに記載されている全ての例及び条件的な用語は、読者が、本発明と技術の進展のために発明者により与えられる概念とを理解する際の助けとなるように、教育的な目的を意図したものであり、具体的に記載されている上記の例及び条件、並びに本発明の優位性及び劣等性を示すことに関する本明細書における例の構成に限定されることなく解釈されるべきものである。本発明の実施例は詳細に説明されているが、本発明の精神及び範囲から外れることなく、様々な変更、置換及び修正をこれに加えることが可能であると解すべきである。
【符号の説明】
【0115】
1…運転支援装置、2…センサ部、3…測位部、4…地図データベース、5…通信部、6…ナビゲーション装置、7…出力部、8…コントローラ、9…走行制御装置、10…アクチュエータ、11…プロセッサ、12…記憶装置、30…物体認識部、31…自己位置推定部、32…運転行動決定部、33…軌道生成部、40…交差点情報管理部、41…他車両進路予測部、42…他車両/周囲情報管理部、43…間隔算出部、44…すり抜け予測部、50…自車両優先度情報、51…道路端情報、52…進路予測部、53…停止予測部、54…周囲物体情報、55…他車両端情報