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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】情報処理システム
(51)【国際特許分類】
   G06F 11/30 20060101AFI20221129BHJP
【FI】
G06F11/30 196
G06F11/30 140D
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021515387
(86)(22)【出願日】2019-04-24
(86)【国際出願番号】 JP2019017504
(87)【国際公開番号】W WO2020217357
(87)【国際公開日】2020-10-29
【審査請求日】2021-10-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高井 真人
【審査官】福西 章人
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/038857(WO,A1)
【文献】特開2006-252163(JP,A)
【文献】特開2000-47912(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 9/44-9/455
G06F 11/28-11/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
観測端末に取得されたデータを前記観測端末から順次受け付けるバッファ部と、
前記バッファ部が受け付けた前記データを順次処理する処理部と、
前記データが前記観測端末に取得された時刻からの経過時間に基づいて算出される情報の鮮度を表す指標値を前記処理部の処理のリソースの調整によって制御する制御部と、
を備える情報処理システム。
【請求項2】
前記観測端末によるデータの取得率、および前記処理部による処理のサービス率を算出する第1算出部
を備え、
前記制御部は、前記取得率を前記サービス率で除した利用率と前記指標値との関係が待ち行列モデルによって予め定まるときに、前記第1算出部が算出する前記取得率および前記サービス率から求められる前記利用率が前記取得率および前記待ち行列モデルに基づいて予め定められた前記指標値の目標値に対応する利用率となるように前記処理部の処理のリソースの調整によって前記サービス率を制御する
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記指標値を前記経過時間に基づいて算出する第2算出部
を備え、
前記制御部は、前記第2算出部に算出される前記指標値によって表される情報の鮮度が高くなるように前記処理部の処理のリソースを調整する
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記指標値を前記経過時間に基づいて算出する第2算出部
を備え、
前記制御部は、前記第2算出部に算出される前記指標値が予め定められた目標値となるように前記処理部の処理のリソースを調整する
請求項1に記載の情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、情報処理システムの例を開示する。情報処理システムは、端末からデータを収集する。情報処理システムは、データ処理装置の負荷状態に基づいて、データ処理装置に送信するデータを、収集したデータから選択する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2016/208354号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の情報処理システムにおいて、選択されないデータはデータ処理装置に送信されない。このため、データ処理装置に処理されないデータが生じる可能性がある。データが表す対象の状態が時間によって変化する場合に、データが取得された時刻からの時間が経過するにつれて、当該データと対象の現在の状態とが乖離することがある。すなわち、データは、時間の経過によって劣化することがある。
【0005】
本発明は、このような課題を解決するためになされた。本発明の目的は、処理されないデータの発生および時間の経過によるデータの劣化を抑制できる情報処理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る情報処理システムは、観測端末に取得されたデータを観測端末から順次受け付けるバッファ部と、バッファ部が受け付けたデータを順次処理する処理部と、データが観測端末に取得された時刻からの経過時間に基づいて算出される情報の鮮度を表す指標値を処理部の処理のリソースの調整によって制御する制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、情報処理システムは、バッファ部と、処理部と、制御部と、を備える。バッファ部は、観測端末に取得されたデータを観測端末から順次受け付ける。処理部は、バッファ部が受け付けたデータを順次処理する。制御部は、情報の鮮度を表す指標値を処理部の処理のリソースの調整によって制御する。情報の鮮度を表す指標値は、データが観測端末に取得された時刻からの経過時間に基づいて算出される。これにより、処理されないデータの発生および時間の経過によるデータの劣化を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1に係る情報処理システムの構成図である。
図2】AoIの時間変化の例を示す図である。
図3】利用率と定常状態におけるAoIの時間平均との関係の例を示す図である。
図4】実施の形態1に係る制御部による利用率の制御の例を示す図である。
図5】実施の形態1に係る情報処理システムの主要部のハードウェア構成を示す図である。
図6】実施の形態2に係る情報処理システムの構成図である。
図7】実施の形態2に係る制御部による情報の鮮度を表す指標値の制御の例を示す図である。
図8】実施の形態3に係る制御部による情報の鮮度を表す指標値の制御の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明を実施するための形態について添付の図面を参照しながら説明する。各図において、同一または相当する部分には同一の符号を付して、重複する説明は適宜に簡略化または省略する。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る情報処理システムの構成図である。
【0011】
情報処理システム1は、例えばエレベーターの遠隔監視システムに適用される。情報処理システム1は、1つまたは複数の観測端末2と、表示装置3と、受信端末4と、を備える。この例において、観測端末2は、エレベーターのユニットに設けられる遠隔監視装置である。このとき、受信端末4は、例えば情報センターに設けられるサーバー装置である。エレベーターのユニットは、例えば鉛直方向に延びる昇降路の内部を移動するかごを含む装置である。遠隔監視装置は、エレベーターのユニットの状態を監視する装置である。情報センターは、エレベーターについての情報を収集する拠点である。
【0012】
観測端末2は、データを取得する装置である。この例において、観測端末2は、当該観測端末2が設けられるエレベーターのユニットの状態を表すデータを取得する装置である。観測端末2が取得するデータは、当該データが取得された時刻の情報を含む。観測端末2は、取得したデータを出力しうるように、受信端末4に接続される。
【0013】
観測端末2によるデータの取得は、繰り返し行われる。観測端末2によるデータの取得間隔は、例えば指数分布、退化分布、アーラン分布、またはその他の一般分布などに従って分布する。ここで、データの取得間隔は、1つまたは複数の観測端末2のいずれかがデータを取得した時刻から、その次に1つまたは複数の観測端末2のいずれかがデータを取得する時刻までの時間である。このとき、データの取得率λは、データの取得間隔の平均値の逆数である。データの取得率λは、例えば現在の時刻と現在の時刻から予め設定された時間を遡った時刻との間における単位時間当たりのデータの取得の回数などに基づいて算出される、可変な値であってもよい。
【0014】
表示装置3は、観測端末2がデータを取得する対象の状況を表示する装置である。この例において、表示装置3は、エレベーターの状況を表示する装置である。表示装置3は、例えばディスプレイ装置である。
【0015】
受信端末4は、バッファ部5と、処理部6と、出力部7と、第1算出部8と、制御部9と、を備える。
【0016】
バッファ部5は、観測端末2が順次出力するデータを順次受け付ける部分である。バッファ部5は、データを一時的に記憶する例えばFIFO(First-In First-Out)のキュー構造を有する。
【0017】
処理部6は、バッファ部5が受け付けたデータを順次処理する部分である。処理部6による処理は、例えばデータの内容を表示するための処理、データを記録するための処理、またはデータから情報を抽出する処理などである。この例において、処理部6は、処理するデータを選択によって取捨しない。
【0018】
処理部6の処理のリソースは、可変である。ここで、処理のリソースは、例えば演算リソースである。処理部6の処理のリソースに対して、上限が設定されていてもよい。処理部6は、例えば動作周波数が可変の処理装置を有していてもよい。このとき、処理部6の処理のリソースは、例えば動作周波数によって制御される。このとき、処理部6の処理のリソースの上限は、例えば動作周波数によって設定される。あるいは、処理部6は、例えば処理性能が異なる複数の処理装置を有していてもよい。このとき、処理部6の処理のリソースは、例えば演算を行う処理装置の選択によって制御される。このとき、処理部6の処理のリソースの上限は、例えば選択される処理装置の処理のリソースによって設定される。あるいは、処理部6は、例えば演算を行うコア数が可変の処理装置を有していてもよい。また、処理部6は、複数のコンピューターによってクラスタリングされていてもよい。このとき、処理部6の処理のリソースは、例えば演算を行うコア数によって制御される。このとき、処理部6の処理のリソースの上限は、例えばコア数によって設定される。
【0019】
処理部6による処理のサービス間隔は、例えば指数分布、退化分布、アーラン分布、またはその他の一般分布などに従って分布する。ここで、処理のサービス間隔は、処理部6がデータの処理を完了した時刻から、その次に処理部6がデータの処理を完了する時刻までの時間である。このとき、処理のサービス率μは、処理のサービス間隔の平均値の逆数である。処理のサービス率μは、例えば現在の時刻と現在の時刻から予め設定された時間を遡った時刻との間における単位時間当たりに完了した処理の数などに基づいて算出される、可変な値であってもよい。
【0020】
出力部7は、処理部6による処理の結果を出力する部分である。出力部7は、例えばデータの内容を表示するための情報を表示装置3に出力する。
【0021】
第1算出部8は、観測端末2によるデータの取得率λを算出する部分である。また、第1算出部8は、処理部6による処理のサービス率μを算出する部分でもある。第1算出部8は、例えばバッファ部5に受け付けられたデータが含んでいる当該データが取得された時刻に基づいて、取得率λを算出する。第1算出部8は、例えば処理部6が処理を取得する時刻を監視することによって、サービス率μを算出する。
【0022】
制御部9は、情報の鮮度を表す指標値を、処理部6の処理のリソースの調整によって制御する部分である。情報の鮮度を表す指標値は、データが観測端末2に取得された時刻からの経過時間に基づいて算出される。情報の鮮度を表す指標値は、例えばAoI(Age of Information)によって表される値である。
【0023】
図2は、AoIの時間変化の例を示す図である。
図2において、横軸は時刻tを表す。図2において、縦軸は時刻tにおけるAoIを表す。
【0024】
この例において、αは、i番目のデータが取得された時刻である。βは、i番目のデータの処理が完了した時刻である。この例において、βは、i番目のデータの内容を表示するための情報を出力部7から表示装置3が受信する時刻である。ここで、データの処理が完了してから表示装置3が情報を受信するまでの時間は、データの処理の時間に対して充分短いものとする。図2において、Apeak,iは、i番目のピークAoIを表す。i番目のピークAoIは、i番目のデータが更新される時刻βiの直前のAoIである。
【0025】
AoIは、最新のデータが観測端末2に取得された時刻からの経過時間を表す。最新のデータは、例えば表示装置3に内容が表示されているデータである。この例において、表示装置3に表示される内容は処理部6による処理の完了によって不連続に更新される。このため、図2に示されるように、時刻tにおけるAoIは、不連続な複数の線分によって表される。
【0026】
このように、AoIは、時間の経過とともに劣化する情報の鮮度を表す。制御部9は、例えば定常状態におけるAoIの時間平均E[A]を情報の鮮度を表す指標値として用いる。定常状態におけるAoIの時間平均は、受信端末4を待ち行列モデルによってモデル化するときに、当該待ち行列モデルの利用率ρによって求められる。ここで、利用率ρは、取得率λをサービス率μで除した値である。
【0027】
図3は、利用率と定常状態におけるAoIの時間平均との関係の例を示す図である。
図3において、横軸は利用率ρを表す。図3において、縦軸は定常状態におけるAoIの時間平均E[A]を表す。
【0028】
図3において、受信端末4をM/M/1待ち行列モデルによってモデル化するときのAoI、および受信端末4をD/M/1待ち行列モデルによってモデル化するときのAoIが示される。ここで、待ち行列モデルは、ケンドールの記号によって表されている。M/M/1待ち行列モデルは、データの取得間隔が指数分布に従い、処理のサービス間隔が指数分布に従い、処理部6の数が1つである待ち行列モデルである。D/M/1待ち行列モデルは、データの取得間隔が退化分布に従い、処理のサービス間隔が指数分布に従い、処理部6の数が1つである待ち行列モデルである。受信端末4は、ここに例示されない待ち行列モデルによってモデル化されてもよい。
【0029】
M/M/1待ち行列モデルについて、定常状態におけるAoIの時間平均E[A]は、次の式(1)によって表される。
【0030】
【数1】
【0031】
D/M/1待ち行列モデルについて、定常状態におけるAoIの時間平均E[A]は、次の式(2)によって表される。ここで、Wは、ランベルトのW関数である。
【0032】
【数2】
【0033】
図3に示されるように、サービス率μが与えられた場合の定常状態におけるAoIの時間平均E[A]は、利用率ρの変化に対して最小値を持つ。また、E[A]を最小とする利用率は、待ち行列モデルによって定まる。このように、E[A]の最小値を情報の鮮度を表す指標値の目標値とするときに、当該目標値に対応する利用率ρは、待ち行列モデルによって定まる。
【0034】
また、例えば処理部6の処理のリソースに対して上限が設定されている場合など、サービス率μの取り得る範囲が設定されている場合に、利用率ρの値の取り得る範囲は、取得率λに応じて定まる。この場合の定常状態において、AoIの時間平均E[A]は、取り得る値の範囲における利用率ρの変化に対して最小値を持つ。また、取得率λに応じて定まる利用率ρの範囲におけるE[A]を最小とする利用率は、待ち行列モデルによって定まる。このように、取得率λに応じたE[A]の最小値を情報の鮮度を表す指標値の目標値とするときに、当該目標値に対応する利用率ρは、待ち行列モデルによって定まる。
【0035】
制御部9は、第1算出部8が算出する取得率λおよびサービス率μから求められる利用率ρが、情報の鮮度を表す指標値の目標値に対応する利用率ρとなるように、処理部6の処理のリソースの調整によってサービス率μを調整する。
【0036】
図4は、実施の形態1に係る制御部による利用率の制御の例を示す図である。
図4において、横軸は時刻tを表す。図4において、縦軸は第1算出部8が算出する取得率λおよびサービス率μから求められる利用率ρを表す。図4において、情報の鮮度を表す指標値の目標値に対応する利用率ρが破線で示される。
【0037】
制御部9は、処理部6にリソースを調整する制御信号を出力する。制御部9は、例えばPID(Proportional-Integral-Differential)制御などによってリソースの調整量を制御する。あるいは、制御部9は、例えば強化学習によってリソースの調整量を制御してもよい。このとき、強化学習の報酬は、例えばサービス率μの値に基づいて算出される。あるいは、強化学習の報酬は、取得率λに応じて定まる利用率の目標値ρと第1算出部8に算出された利用率ρとの偏差に基づいて算出されてもよい。
【0038】
以上に説明したように、実施の形態1に係る情報処理システム1は、バッファ部5と、処理部6と、制御部9と、を備える。バッファ部5は、観測端末2に取得されたデータを観測端末2から順次受け付ける。処理部6は、バッファ部5が受け付けたデータを順次処理する。制御部9は、情報の鮮度を表す指標値を処理部6の処理のリソースの調整によって制御する。情報の鮮度を表す指標値は、データが観測端末2に取得された時刻からの経過時間に基づいて算出される。
【0039】
制御部9は、情報の鮮度を表す指標値を処理部6の処理のリソースの調整によって制御する。バッファ部5に受け付けられたデータは、処理部6に順次処理される。このため、処理されないデータの発生が抑制される。また、時間の経過によるデータの劣化が抑制される。このため、情報処理システム1は、例えばエレベーターの遠隔監視システムなどのように、取得されるデータは取捨されないことが好ましいシステムにも適用できる。
【0040】
また、情報処理システム1は、第1算出部8を備える。第1算出部8は、観測端末2によるデータの取得率λを算出する。第1算出部8は、処理部6による処理のサービス率μを算出する。取得率λをサービス率μで除した利用率ρと指標値との関係は、待ち行列モデルによって予め定まる。このときに、制御部9は、第1算出部8が算出する取得率λおよびサービス率μから求められる利用率ρが指標値の目標値に対応する利用率ρとなるように処理部6の処理のリソースの調整によってサービス率μを制御する。指標値の目標値は、取得率λおよび待ち行列モデルに基づいて予め定められる値である。
【0041】
待ち行列モデルによって、指標値の目標値と利用率ρとの関係が定まる。このため、指標値を取得率λに応じた目標値とするための利用率の目標値ρが定まる。取得率λ、サービス率μ、および利用率ρは、データの取得および処理の状況に基づいて逐次算出できる値である。このため、制御部9は、利用率ρに基づいて、指標値を目標値とするようにサービス率μの制御量が算出できる。また、第1算出部8は、取得率λ、サービス率μ、および利用率ρの算出において、データごとに個別のパラメーターの設定を必要としない。このため、情報処理システム1は、待ち行列モデルによってモデル化できるシステムについて汎用的に適用できる。
【0042】
なお、取得率λおよび待ち行列モデルに基づく指標値の目標値は、例えばペナルティ関数によって定められてもよい。ペナルティ関数は、例えば、サービス率μが大きくなるにつれて大きい値をとる関数である。ペナルティ関数は、例えば線形関数、べき関数、ステップ関数、指数関数、およびこれらの関数の組合せなどによる単調増加関数であってもよい。このとき、指標値の目標値は、例えばAoIの時間平均E[A]とペナルティ関数との和が最小になるように設定されてもよい。すなわち、このときの目標値に対応する利用率ρは、AoIの時間平均E[A]とペナルティ関数との和を最小にする取得率λおよびサービス率μから算出される利用率である。
【0043】
また、観測端末2は、エレベーターのユニットに設けられる個々のセンサーであってもよい。このとき、受信端末4は、例えば当該ユニットに設けられる遠隔監視装置である。この場合において、受信端末4の処理部6は、例えば収集したセンサーのデータを当該ユニットの遠隔監視に利用可能な形式に変換する処理を行う。受信端末4の出力部7は、例えば処理部6による処理の結果を情報センターのサーバー装置に送信する。
【0044】
また、情報処理システム1は、例えばエスカレーターまたはその他のビル設備などのデータが反復して取得されるシステムに適用されてもよい。
【0045】
続いて、図5を用いて情報処理システム1のハードウェア構成の例について説明する。
図5は、実施の形態1に係る情報処理システムの主要部のハードウェア構成を示す図である。
【0046】
情報処理システム1の各機能は、処理回路により実現し得る。処理回路は、少なくとも1つのプロセッサ1bと少なくとも1つのメモリ1cとを備える。処理回路は、プロセッサ1bおよびメモリ1cと共に、あるいはそれらの代用として、少なくとも1つの専用のハードウェア1aを備えてもよい。
【0047】
処理回路がプロセッサ1bとメモリ1cとを備える場合、情報処理システム1の各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせで実現される。ソフトウェアおよびファームウェアの少なくとも一方は、プログラムとして記述される。そのプログラムはメモリ1cに格納される。プロセッサ1bは、メモリ1cに記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、情報処理システム1の各機能を実現する。
【0048】
プロセッサ1bは、CPU(Central Processing Unit)、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSPともいう。メモリ1cは、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROM等の、不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD等により構成される。
【0049】
処理回路が専用のハードウェア1aを備える場合、処理回路は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、またはこれらの組み合わせで実現される。
【0050】
情報処理システム1の各機能は、それぞれ処理回路で実現することができる。あるいは、情報処理システム1の各機能は、まとめて処理回路で実現することもできる。情報処理システム1の各機能について、一部を専用のハードウェア1aで実現し、他部をソフトウェアまたはファームウェアで実現してもよい。このように、処理回路は、ハードウェア1a、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせで情報処理システム1の各機能を実現する。
【0051】
実施の形態2.
実施の形態2では、実施の形態1で開示された例と相違する点について詳しく説明する。実施の形態2で説明しない特徴については、実施の形態1で開示された例のいずれの特徴が採用されてもよい。
【0052】
図6は、実施の形態2に係る情報処理システムの構成図である。
【0053】
実施の形態2に係る受信端末4は、第2算出部10を備える。
【0054】
第2算出部10は、データが観測端末2に取得された時刻からの経過時間に基づいて、情報の鮮度を表す指標値を算出する部分である。
【0055】
第2算出部10は、例えばAoIの移動平均MA[A]を、情報の鮮度を表す指標値として用いる。移動平均は、現在の時刻と現在の時刻から予め設定された時間を遡った時刻との間における時間平均である。あるいは、第2算出部10は、現在の時刻と現在の時刻から予め設定された時間を遡った時刻との間におけるピークAoIの平均値を、情報の鮮度を表す指標値として用いてもよい。ここで、AoIは、値が小さいほど情報の鮮度が高いことを表す。すなわち、AoIの移動平均MA[A]およびピークAoIの平均値は、小さいほど情報の鮮度が高いことを表す指標値の例である。
【0056】
図7は、実施の形態2に係る制御部による情報の鮮度を表す指標値の制御の例を示す図である。
図7において、横軸は時刻tを表す。図7において、縦軸は、情報の鮮度の指標値を表す。この例において、指標値は、小さいほど情報の鮮度が高いことを表している。
【0057】
制御部9は、第2算出部10が算出する指標値が小さくなるように処理部6の処理のリソースを調整する。制御部9は、処理部6にリソースを調整する制御信号を出力する。制御部9は、例えば強化学習によってリソースの調整量を制御する。このとき、強化学習の報酬は、例えば指標値に基づいて算出される。例えば指標値がAoIの移動平均MA[A]である場合に、強化学習の報酬は、例えば移動平均MA[A]が小さいほど高くなるように算出される値である。あるいは、制御部9は、PID制御などによって処理部6のリソースを調整してもよい。
【0058】
以上に説明したように、実施の形態2に係る情報処理システム1は、第2算出部10を備える。第2算出部10は、データが観測端末2に取得された時刻からの経過時間に基づいて、情報の鮮度を表す指標値を算出する。制御部9は、第2算出部10に算出される指標値によって表される情報の鮮度が高くなるように処理部6の処理のリソースを調整する。
【0059】
制御部9は、待ち行列モデルに基づく指標値の目標値を必要としない。このため、情報処理システム1は、待ち行列モデルによってモデル化されないシステムについても適用できる。また、制御部9は、システムのモデルが動的に変化する場合においても、変化するモデルに追従して処理部6の処理のリソースを調整できる。
【0060】
実施の形態3.
実施の形態3では、実施の形態1または実施の形態2で開示された例と相違する点について詳しく説明する。実施の形態3で説明しない特徴については、実施の形態1または実施の形態2で開示された例のいずれの特徴が採用されてもよい。
【0061】
図8は、実施の形態3に係る制御部による情報の鮮度を表す指標値の制御の例を示す図である。
図8において、横軸は時刻tを表す。図8において、縦軸は、情報の鮮度の指標値を表す。この例において、指標値は、小さいほど情報の鮮度が高いことを表している。
【0062】
図8において、第2算出部10が算出する指標値の目標値が破線で示される。指標値は、予め設定される。情報の鮮度の指標値は、例えばAoIの移動平均MA[A]である。ここで、指標値の目標値は、指標値が取りうる最小の値より大きい値であってもよい。指標値の目標値は、例えば必要な情報の鮮度が保持されるように予め設定される。
【0063】
制御部9は、第2算出部10が算出する指標値が目標値となるように、処理部6の処理のリソースを調整する。制御部9は、処理部6にリソースを調整する制御信号を出力する。制御部9は、例えばPID制御などによってリソースの調整量を制御する。あるいは、制御部9は、例えば強化学習によってリソースの調整量を制御してもよい。このとき、強化学習の報酬は、例えば指標値の算出値と目標値との偏差に基づいて算出される。
【0064】
以上に説明したように、実施の形態3に係る情報処理システム1は、第2算出部10を備える。第2算出部10は、データが観測端末2に取得された時刻からの経過時間に基づいて、情報の鮮度を表す指標値を算出する。制御部9は、第2算出部10に算出される指標値が予め定められた目標値となるように処理部6の処理のリソースを調整する。
【0065】
これにより、制御部9は、情報の鮮度の指標値を必要以上に高めない。このため、処理部6の処理のリソースがデータの処理に必要以上に割り当てられない。例えば、バッファ部5に受け付けられたデータの処理の他の処理も処理部6が行う場合において、処理部6のリソースがバッファ部5のデータの処理に必要以上に割り当てられない。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明に係る情報処理システムは、順次取得されるデータの処理に適用できる。
【符号の説明】
【0067】
1 情報処理システム、 2 観測端末、 3 表示装置、 4 受信端末、 5 バッファ部、 6 処理部、 7 出力部、 8 第1算出部、 9 制御部、 10 第2算出部、 1a ハードウェア、 1b プロセッサ、 1c メモリ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8