(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】歯車と回転軸との組立体およびその組立方法
(51)【国際特許分類】
F16H 55/17 20060101AFI20221129BHJP
【FI】
F16H55/17 A
(21)【出願番号】P 2022545328
(86)(22)【出願日】2022-03-11
(86)【国際出願番号】 JP2022011026
【審査請求日】2022-07-26
(31)【優先権主張番号】P 2021041404
(32)【優先日】2021-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000811
【氏名又は名称】弁理士法人貴和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】市田 誠治
【審査官】畔津 圭介
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-119890(JP,A)
【文献】特開2015-036266(JP,A)
【文献】特開2014-020381(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 55/17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周面に複数の歯を有し、かつ、中心部に軸方向に貫通する中心孔を有する歯車と、
外周面に雄セレーション部を有し、かつ、前記中心孔に圧入されるセレーション軸部と、前記セレーション軸部の軸方向片側に隣接して備えられ、かつ、前記中心孔に隙間嵌で内嵌可能な外径を有するガイド軸部とを有する回転軸と、
を備え
、
前記中心孔が、軸方向片側部分に小径部を有し、かつ、軸方向他側部分に、前記小径部の内径よりも内径が大きい大径部を有しており、
前記セレーション軸部が、前記大径部に圧入されており、
前記ガイド軸部が、前記小径部に隙間嵌で内嵌されている、
歯車と回転軸との組立体。
【請求項2】
前記ガイド軸部の外径が、前記
小径部の内径よりも0.01%以上0.5%以下小さい、
請求項1に記載の歯車と回転軸との組立体。
【請求項3】
前記回転軸が、前記ガイド軸部の軸方向片側に隣接する部分に、前記ガイド軸部の外径よりも小さい外径を有する補助ガイド軸部を備える、
請求項1または2に記載の歯車と回転軸との組立体。
【請求項4】
前記補助ガイド軸部の前記外径が、軸方向片側に向かうほど小さくなっている、
請求項3に記載の歯車と回転軸との組立体。
【請求項5】
前記中心孔が、内周面のうち、軸方向他側の端部に、第1面取り部を有し、かつ、前記内周面のうち、前記第1面取り部の軸方向片側に隣接する部分に、前記第1面取り部の面取り角度よりも面取り角度が小さい第2面取り部を有する、
請求項1~4のいずれかに記載の歯車と回転軸との組立体。
【請求項6】
前記ガイド軸部が、外周面に雄セレーション部を有する、
請求項1~
5のいずれかに記載の歯車と回転軸との組立体。
【請求項7】
請求項1~
6のいずれかに記載の歯車と回転軸との組立体の組立方法であって、
前記回転軸を、軸方向片側の端部を先頭にして、前記歯車の前記中心孔に該中心孔の軸方向他側から挿入し、前記ガイド軸部を前記中心孔に隙間嵌で内嵌することにより、前記歯車に対して前記回転軸を軸合わせした後、前記セレーション軸部を前記中心孔に圧入することにより、前記歯車と前記回転軸とを結合する工程を備える、
歯車と回転軸との組立体の組立方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウォームホイールとピニオン軸との組立体などの、歯車と回転軸との組立体およびその組立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の操舵輪に舵角を付与する際に、ステアリングホイールの操作に要する力の軽減を図るための装置として、電動モータを補助動力源に使用する電動パワーステアリング装置が広く使用されている。電動パワーステアリング装置は、電動モータの取付位置により、ステアリングコラムの内側に回転自在に支持されたステアリングシャフトに補助動力を付与するコラムアシスト式、ステアリングギヤユニットの入力軸であるピニオン軸に補助動力を付与するピニオンアシスト式、およびステアリングギヤユニットに入力軸であるピニオン軸とは別のピニオン軸を設け、該ピニオン軸に補助動力を付与するデュアルピニオン式などに大別される。いずれの構造においても、ステアリングホイールの操作に伴って回転または直線運動する軸部材に、電動モータの補助動力が減速機を介して付与される。このような減速機としては、ウォーム減速機が広く使用されている。電動パワーステアリング装置を構成するウォーム減速機は、電動モータにより回転駆動されるウォームと、該ウォームと噛合するウォームホイールとを備える。
【0003】
図15および
図16は、特開2013-119890号公報に記載されたピニオンアシスト式の電動パワーステアリング装置100を示している。電動パワーステアリング装置100では、ステアリングホイール101の回転は、ステアリングシャフト102、中間シャフト103および1対の自在継手104a、104bを介して、ステアリングギヤユニット105のピニオン軸106に伝達される。ピニオン軸106の回転に伴い、ステアリングギヤユニット105のラック軸107が軸方向に変位すると、ラック軸107の軸方向両側の端部に接続された1対のタイロッド108が押し引きされて、1対の操舵輪109に舵角が付与される。
【0004】
ピニオンアシスト式の電動パワーステアリング装置100では、運転者がステアリングホイール101を操作するために要する力を低減するため、電動モータ110のトルクが、ウォーム減速機111を介してピニオン軸106に付与される。ウォーム減速機111は、ウォーム112と、ウォームホイール113とを備える。
【0005】
ウォーム112は、外周面に、ねじ状のウォーム歯114を有し、かつ、電動モータ110により回転駆動される。
【0006】
ウォームホイール113は、外周面に、ウォーム歯114と噛合する複数のホイール歯115を有し、かつ、中心部に、軸方向に貫通した、内径が一定の中心孔116を有する。ウォームホイール113は、中心孔116に、ピニオン軸106の軸方向中間部を圧入することにより、該ピニオン軸106に対し結合固定されている。
【0007】
ピニオン軸106は、ウォームホイール113の中心孔116に圧入される軸方向中間部のうち、軸方向片側部分(
図16の上側部分)に、外周面が、ピニオン軸106の中心軸を中心とする円筒面である円筒軸部117を備え、かつ、軸方向他側部分(
図16の下側部分)に、外周面に雄セレーション部を有するセレーション軸部118を備える。ピニオン軸106の軸方向中間部をウォームホイール113の中心孔116に圧入する以前の状態で、円筒軸部117の外径は、中心孔116の内径よりも大きく、かつ、セレーション軸部118の外径、すなわちセレーション軸部118の外周面に備えられた雄セレーション部を構成するセレーション歯の歯先円直径は、円筒軸部117の外径よりも大きい。
【0008】
ピニオン軸106とウォームホイール113とを結合固定する際には、回転軸であるピニオン軸106を、軸方向片側の端部を先頭にして、歯車であるウォームホイール113の中心孔116に挿入する。そして、円筒軸部117を中心孔116に圧入した後、さらに、ウォームホイール113に対してピニオン軸106を軸方向片側に変位させ、セレーション軸部118を中心孔116に圧入することにより、ピニオン軸106とウォームホイール113との結合強度を確保する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特開2013-119890号公報に記載の電動パワーステアリング装置100は、ウォーム112のウォーム歯114と、ウォームホイール113のホイール歯115との噛合状態を、確実に適正な状態とする面からは改良の余地がある。
【0011】
特開2013-119890号公報に記載の電動パワーステアリング装置100では、回転軸であるピニオン軸106と歯車であるウォームホイール113とを結合固定する際、まず、円筒軸部117を中心孔116に圧入することにより、ウォームホイール113に対してピニオン軸106を軸合わせしている。
【0012】
したがって、ウォームホイール113に対してピニオン軸106を軸合わせするために、中心孔116に対して円筒軸部117を圧入する作業の初期段階で、ウォームホイール113の中心軸に対してピニオン軸106の中心軸が傾いたりずれたりすると、その後、ウォームホイール113の中心軸に対するピニオン軸106の中心軸の傾きおよび/またはずれを補正できなくなる可能性がある。すなわち、ピニオン軸106の中心軸がウォームホイール113の中心軸に対して傾いたりずれたりしたまま、ピニオン軸106とウォームホイール113とが結合固定されてしまう可能性がある。
【0013】
ウォームホイール113の中心軸に対してピニオン軸106の中心軸が傾いたりずれたりすると、ウォーム歯114とホイール歯115との噛み合い抵抗が大きくなったり、ウォーム歯114とホイール歯115との噛合部で異音が発生したりするなどの可能性がある。したがって、特開2013-119890号公報に記載の電動パワーステアリング装置100では、中心孔116に対する円筒軸部117の圧入作業を開始する以前に、ピニオン軸106とウォームホイール113との軸合わせを高精度に行っておく必要があり、面倒である。
【0014】
また、特開2013-119890号公報に記載の電動パワーステアリング装置100では、ウォームホイール113の中心孔116の寸法公差と、ピニオン軸106の円筒軸部117およびセレーション軸部118の寸法公差とを、精度よく規制する必要がある。この理由は、次のとおりである。
【0015】
特開2013-119890号公報に記載の電動パワーステアリング装置100では、ウォームホイール113との軸合わせを行うための円筒軸部117と、ウォームホイール113に対する結合強度を確保するためのセレーション軸部118とがいずれも、中心孔116に圧入される。このため、円筒軸部117を中心孔116に圧入する以前の状態において、円筒軸部117の外径D117は、中心孔116の内径d116よりもわずかに大きい(D117>d116)。また、セレーション軸部118の外周面に備えられた雄セレーション部を構成するセレーション歯の高さ、すなわち歯丈をtとすると、セレーション軸部118の外径、すなわちセレーション歯の歯先円直径D118は、円筒軸部117の外径D117と、セレーション歯の高さtの2倍との和にほぼ等しい(D118≒D117+2t)。このため、中心孔116の内径d116が小さすぎると、セレーション軸部118を圧入しにくくなる。
【0016】
したがって、ピニオン軸106の円筒軸部117とセレーション軸部118との両方を、中心孔116に圧入可能とするためには、中心孔116の寸法公差と、円筒軸部117およびセレーション軸部118の寸法公差とを、精度よく規制する必要があり、コストが増大してしまう。
【0017】
なお、セレーション歯の高さtを小さくすれば、中心孔116の寸法公差と、円筒軸部117およびセレーション軸部118の寸法公差とを、精度よく規制する必要はなくなるが、ピニオン軸106に対するウォームホイール113のクリープ防止効果を十分に確保できなくなる可能性がある。
【0018】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、これに限定されないが、ウォームホイールとピニオン軸との組立体などの、歯車と回転軸との組立体において、歯車と回転軸との同軸度を良好に確保することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の一態様にかかる歯車と回転軸との組立体は、歯車と、回転軸とを備える。
【0020】
前記歯車は、外周面に複数の歯を有し、かつ、中心部に軸方向に貫通する中心孔を有する。
【0021】
前記回転軸は、外周面に雄セレーション部を有し、かつ、前記中心孔に圧入されるセレーション軸部と、前記セレーション軸部の軸方向片側に隣接して備えられ、かつ、前記中心孔に隙間嵌で内嵌可能な外径を有するガイド軸部とを有する。
【0022】
本発明の一態様にかかる歯車と回転軸との組立体では、前記回転軸のうち、前記セレーション軸部のみを、前記歯車の前記中心孔に内嵌することができる。すなわち、前記回転軸のうち、前記ガイド軸部を、前記中心孔よりも軸方向片側に位置させることができる。
【0023】
あるいは、前記セレーション軸部の少なくとも軸方向片側部分と前記ガイド軸部の軸方向他側部分とを、前記歯車の前記中心孔に内嵌することもできる。
【0024】
本発明の一態様にかかる歯車と回転軸との組立体では、前記ガイド軸部の外径を、前記中心孔の内径よりも0.01%以上0.5%以下小さく、好ましくは0.01%以上0.2%以下小さくすることができる。
【0025】
本発明の一態様にかかる歯車と回転軸との組立体では、前記回転軸は、前記ガイド軸部の軸方向片側に隣接する部分に、前記ガイド軸部の外径よりも小さい外径を有する補助ガイド軸部を備えることができる。
【0026】
この場合、前記補助ガイド軸部の前記外径を、軸方向片側に向かうほど小さくすることができる。
【0027】
本発明の一態様にかかる歯車と回転軸との組立体では、前記中心孔は、内周面のうち、軸方向他側の端部に、第1面取り部を有し、かつ、前記内周面のうち、前記第1面取り部の軸方向片側に隣接する部分に、前記第1面取り部の面取り角度よりも面取り角度が小さい第2面取り部を有することができる。
【0028】
本発明の一態様にかかる歯車と回転軸との組立体では、前記中心孔は、軸方向片側部分に小径部を有し、かつ、軸方向他側部分に、前記小径部の内径よりも内径が大きい大径部を有することができる。この場合、前記セレーション軸部は、前記大径部に圧入され、かつ、前記ガイド軸部は、前記小径部に隙間嵌で内嵌される。
【0029】
本発明の一態様にかかる歯車と回転軸との組立体では、前記ガイド軸部は、外周面に雄セレーション部を有することができる。
【0030】
本発明の一態様にかかる歯車と回転軸との組立体では、前記歯車は、中心部に前記中心孔を有するハブと、外周面に前記複数の歯を有し、前記ハブの径方向外側の端部を覆うように該ハブに結合固定された合成樹脂製のギヤ部とを備えることができる。
【0031】
本発明の一態様にかかる歯車と回転軸との組立体では、前記歯車を、ウォームホイールにより構成することができる。すなわち、前記複数の歯のそれぞれを、ウォームに備えられたねじ状のウォーム歯と噛合するホイール歯により構成することができる。
【0032】
本発明の一態様にかかる歯車と回転軸との組立体の組立方法は、本発明の一態様にかかる歯車と回転軸との組立体を組み立てるために、
前記回転軸を、軸方向片側の端部を先頭にして、前記歯車の前記中心孔に該中心孔の軸方向他側から挿入し、前記ガイド軸部を前記中心孔に隙間嵌で内嵌することにより、前記歯車に対して前記回転軸を軸合わせした後、前記セレーション軸部を前記中心孔に圧入することにより、前記歯車と前記回転体とを結合する工程を備える。
【発明の効果】
【0033】
本発明の一態様にかかる歯車と回転軸との組立体によれば、歯車と回転軸との同軸度を良好に確保しやすい構造を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態の第1例にかかるウォームホイール(歯車)とピニオン軸(回転軸)との組立体を備える電動パワーステアリング装置を示す模式図である。
【
図2】
図2は、第1例にかかる電動パワーステアリング装置を示す要部断面図である。
【
図3】
図3は、第1例にかかるウォームホイールとピニオン軸との組立体を示す側面図である。
【
図5】
図5は、第1例について、ウォームホイールとピニオン軸とを結合する以前の状態で示す要部拡大断面図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施の形態の第2例にかかるウォームホイールとピニオン軸との組立体を示す側面図である。
【
図9】
図9は、本発明の実施の形態の第3例にかかるウォームホイールとピニオン軸との組立体を示す側面図である。
【
図11】
図11は、第3例のウォームホイールとピニオン軸との組立体についての
図5に相当する図である。
【
図12】
図12は、本発明の形態の第4例にかかるウォームホイールとピニオン軸との組立体を示す側面図である。
【
図14】
図14は、第4例にかかるウォームホイールとピニオン軸との組立体についての
図5に相当する図である。
【
図15】
図15は、ピニオンアシスト式の電動パワーステアリング装置の従来構造の1例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
[第1例]
図1~
図6は、本発明の実施の形態の第1例を示している。本例は、本発明の一態様にかかる歯車と回転軸との組立体およびその組立方法を、ピニオンアシスト式の電動パワーステアリング装置1のステアリングギヤユニット6を構成するピニオン軸8と、ウォーム減速機19を構成するウォームホイール29との組立体50およびその組立方法に適用した例である。
【0036】
以下の説明において、前後方向は、車両の前後方向を意味し、上下方向は、車両の上下方向を意味し、および左右方向は、車両の幅方向を意味する。左右方向は、後述するラック軸10の軸方向およびラック収容部14の軸方向に一致する。ラック軸10の軸方向およびラック収容部14の軸方向に関して一方側とは、
図1の左側を指し、ラック軸10の軸方向およびラック収容部14の軸方向に関して他方側とは、
図1の右側を指す。本例では、上下方向は、ラック軸10の幅方向に一致する。
【0037】
本例の電動パワーステアリング装置1は、ステアリングホイール2と、ステアリングシャフト3と、2つの自在継手4a、4bと、中間シャフト5と、ステアリングギヤユニット6と、電動アシスト装置7とを備える。
【0038】
ステアリングシャフト3は、車体に支持された、図示しないステアリングコラムの内側に、回転自在に支持されている。ステアリングシャフト3の後側の端部には、運転者が操舵操作するステアリングホイール2が取り付けられている。ステアリングシャフト3の前側の端部は、自在継手4a、中間シャフト5、および別の自在継手4b、並びに、後述する中空軸33およびトーションバー34を介して、ステアリングギヤユニット6を構成するピニオン軸8に接続されている。このため、ピニオン軸8には、ステアリングホイール2の回転運動が伝達される。
【0039】
ステアリングギヤユニット6は、ハウジング9と、ピニオン軸8と、ラック軸10と、ラックガイド11とを備える。ピニオン軸8の回転運動は、ステアリングギヤユニット6により、ラック軸10の軸方向の直線運動に変換される。これにより、ラック軸10の軸方向両側の端部に接続された1対のタイロッド12が押し引きされて、左右1対の操舵輪13に舵角が付与される。
【0040】
ハウジング9は、ラック収容部14と、ピニオン収容部15と、ガイド収容部16と、ギヤハウジング部17とを備える。
【0041】
ラック収容部14は、軸方向両側の端部が開口した円筒形状を有し、かつ、前側面(
図1の手前側面)のうちで軸方向に離隔した2箇所位置に取付部18をそれぞれ有する。ラック収容部14は、取付部18のそれぞれを挿通したボルトやスタッドなどの固定部材により、軸方向を左右方向に向け、かつ、路面に対し略平行、好ましくは平行な状態で、車体に固定される。
【0042】
ピニオン収容部15は、円筒形状を有しており、ラック収容部14の前側で、かつ、ラック収容部14の軸方向一方側部分に、上下方向に伸長するように備えられている。ピニオン収容部15の中心軸とラック収容部14の中心軸とは、ねじれの位置関係にある。なお、本例では、前後方向から見て、ピニオン収容部15の中心軸とラック収容部14の中心軸とは斜交している。換言すれば、ピニオン収容部15の中心軸とラック収容部14の中心軸とは鋭角をなす。ピニオン収容部15の内部空間は、ラック収容部14の内部空間に連通している。
【0043】
ガイド収容部16は、円筒形状を有し、ラック収容部14の後側で、かつ、ラック収容部14の軸方向に関して、ピニオン収容部15と同じ位置である軸方向一方側部分に、軸方向を前後方向に向けた状態で備えられている。ガイド収容部16の内部空間は、ラック収容部14の内部空間に連通している。
【0044】
ギヤハウジング部17は、後述する電動アシスト装置7のウォーム減速機19を収容する部分であり、ホイール収容部20とウォーム収容部21とを備える。
【0045】
ホイール収容部20は、円筒形状を有し、ピニオン収容部15の下側に、かつ、該ピニオン収容部15と同軸に備えられている。
【0046】
ウォーム収容部21は、円筒形状を有しており、ホイール収容部20の後側に、左右方向に伸長するように備えられている。ウォーム収容部21の中心軸とホイール収容部20の中心軸とは、ねじれの位置関係にある。ウォーム収容部21の内部空間は、ホイール収容部20の内部空間に連通している。
【0047】
ピニオン軸8は、軸方向中間部外周面に、複数のピニオン歯22を有し、かつ、ピニオン歯22が備えられた部分を挟んだ軸方向両側部分の外周面に円筒面部23a、23bをそれぞれ有する。ピニオン軸8は、2つの軸受24a、24bにより、ピニオン収容部15の内側に該ピニオン収容部15と同軸に、回転自在に支持されている。すなわち、2つの軸受24a、24bのそれぞれの内輪を、ピニオン軸8の円筒面部23a、23bに外嵌固定し、かつ、それぞれの外輪を、ピニオン収容部15の内周面に内嵌固定することにより、ピニオン軸8をピニオン収容部15の内側に回転自在に支持している。
【0048】
ピニオン軸8の軸方向は、
図2~
図6の上下方向に一致する。本例では、ピニオン軸8および該ピニオン軸8に結合固定されるウォームホイール29に関して、軸方向片側は、ピニオン軸8の先端側である
図2~
図6の下側をいい、軸方向他側は、ピニオン軸8の基端側である
図2~
図6の上側をいう。
【0049】
ピニオン軸8は、それぞれの円筒面部23a、23bのうち、軸方向片側の円筒面部23aよりも軸方向片側部分に、軸方向他側から順に、セレーション軸部25と、ガイド軸部26と、補助ガイド軸部27とを有する。すなわち、ピニオン軸8は、セレーション軸部25と、該セレーション軸部25の軸方向片側に隣接して備えられたガイド軸部26を有する。さらに、本例では、ピニオン軸8は、ガイド軸部26の軸方向片側に隣接する部分に補助ガイド軸部27を有する。
【0050】
セレーション軸部25は、外周面に、雄セレーション部28を有する。セレーション軸部25には、後述するように、ウォーム減速機19を構成するウォームホイール29の中心孔30が締り嵌めにより外嵌固定される。すなわち、セレーション軸部25が中心孔30に圧入される。したがって、
図5に示すような、セレーション軸部25をウォームホイール29の中心孔30に圧入する以前の状態において、セレーション軸部25は、中心孔30の内径d
30よりもわずかに大きい外径、すなわち雄セレーション部28を構成するセレーション歯の歯先円直径D
25を有する。具体的には、セレーション軸部25の外径D
25は、ウォームホイール29の中心孔30の内径d
30よりも0.5%以上1.5%以下大きく、好ましくは0.7%以上1.0%以下大きい。
【0051】
セレーション軸部25の軸方向長さL25は、ウォームホイール29に対するピニオン軸8の結合強度を確保できる限り、特に限定されるものではないが、セレーション軸部25の軸方向長さL25は、ウォームホイール29の中心孔30のうち、軸方向両側の端部に備えられた面取り部、具体的には軸方向他側の端部に備えられた第1面取り部43および第2面取り部44、並びに、軸方向片側の端部に備えられた面取り部を除く軸方向中間部の軸方向長さと同等またはそれ以上とすることが好ましい。ただし、ウォームホイール29に対するピニオン軸8の結合強度を確保できる限り、セレーション軸部25の軸方向長さL25は、中心孔30の軸方向中間部の軸方向長さよりも短くすることもできる。図示の例では、セレーション軸部25の軸方向長さL25は、中心孔30のうち、軸方向両側の端部に備えられた面取り部を含む軸方向の全長L30の約0.8倍である。なお、セレーション軸部25の軸方向長さL25の上限値は、ピニオン軸8の軸方向長さが徒に長くなることを防止する面から規制される。以上の理由から、セレーション軸部25の軸方向長さL25は、中心孔30の軸方向の全長L30の1.2倍以下とすることが好ましく、1倍以下とすることがより好ましい。
【0052】
ガイド軸部26は、後述するように、ピニオン軸8を、軸方向片側を先頭にして、ウォームホイール29の中心孔30に挿入する際に、ウォームホイール29に対するピニオン軸8の軸合わせをするためのガイドとして機能する。
【0053】
ガイド軸部26は、外周面に雄セレーション部31を有し、かつ、ウォームホイール29の中心孔30に隙間嵌で内嵌可能な外径、すなわち雄セレーション部31を構成するセレーション歯の歯先円直径D26を有する。換言すれば、ガイド軸部26は、ウォームホイール29の中心孔30に、軸方向の相対変位を可能に、かつ、径方向のがたつきを可能な限り抑えたインロー嵌合により内嵌可能な外径D26を有する。具体的には、ガイド軸部26の外径D26は、ウォームホイール29の中心孔30の内径d30よりも0.01%以上0.5%以下小さく、好ましくは0.01%以上0.2%以下小さい。
【0054】
ガイド軸部26の軸方向長さL26は、ウォームホイール29の中心孔30にピニオン軸8を挿入する際に、ウォームホイール29に対するピニオン軸8の軸合わせをすることができる限り、特に限定されるものではないが、ウォームホイール29の中心孔30の軸方向長さL30の0.3倍以上とすることが好ましく、0.5倍以上とすることがより好ましい。図示の例では、ガイド軸部26の軸方向長さL26は、ウォームホイール29の中心孔30の軸方向長さL30の約0.4倍である。なお、ガイド軸部26の軸方向長さL26の上限値も、ピニオン軸8の軸方向長さが徒に長くなることを防止する面から規制される。具体的には、例えば、ガイド軸部26の軸方向長さL26は、中心孔30の軸方向長さL30の1.0倍以下とすることが好ましく、0.8倍以下とすることがより好ましい。
【0055】
補助ガイド軸部27は、後述するように、ピニオン軸8を、軸方向片側を先頭にして、ウォームホイール29の中心孔30に挿入する際に、ウォームホイール29に対するピニオン軸8のおおよその軸合わせをするための補助ガイドとして機能する。補助ガイド軸部27の外周面は、軸方向片側の端部に備えられた面取り部を除き、軸方向に関して外径D27が変化しない円筒面により構成されている。
【0056】
補助ガイド軸部27は、ピニオン軸8の中心軸を中心とする円筒状の外周面を有し、かつ、ガイド軸部26の外径D26よりも小さい外径D27を有する。具体的には、補助ガイド軸部27の外径D27は、ガイド軸部26の外径D26よりも2.0%以上10.0%以下小さく、好ましくは4.0%以上7.0%以下小さい。補助ガイド軸部27は、軸方向片側の端部外周面に、面取り部32を有する。本例では、面取り部32を、直線状の母線形状を有するC面取りにより構成している。
【0057】
補助ガイド軸部27の軸方向長さL27は、ウォームホイール29の中心孔30にピニオン軸8を挿入する際に、ウォームホイール29に対するピニオン軸8のおおよその軸合わせをすることができる限り、特に限定されるものではないが、ウォームホイール29の中心孔30の軸方向長さL30の0.5倍以上とすることが好ましく、1.0倍以上とすることがより好ましい。図示の例では、補助ガイド軸部27の軸方向長さL27は、ウォームホイール29の中心孔30の軸方向長さL30の約0.6倍である。なお、補助ガイド軸部27の軸方向長さL27の上限値も、ピニオン軸8の軸方向長さが徒に長くなることを防止する面から規制される。具体的には、例えば、補助ガイド軸部27の軸方向長さL27は、中心孔30の軸方向長さL30の2.0倍以下とすることが好ましく、1.5倍以下とすることがより好ましい。
【0058】
なお、セレーション軸部25の外周面、すなわち雄セレーション部28を構成するセレーション歯の歯先面と、ガイド軸部26の外周面、すなわち雄セレーション部31を構成するセレーション歯の歯先面とは、軸方向片側に向かうほど外径が小さくなる傾斜面により接続されている。また、ガイド軸部26の外周面と補助ガイド軸部27の外周面とは、軸方向片側に向かうほど外径が小さくなる傾斜面により接続されている。
【0059】
ピニオン軸8を製造する場合に、雄セレーション部28を備えるセレーション軸部25と、雄セレーション部31を備えるガイド軸部26とは、例えば次のようにして形成することができる。
【0060】
まず、ピニオン軸8の素材のうち、セレーション軸部25およびガイド軸部26を形成すべき部分の外周面に、外径、すなわち歯先円直径が軸方向に関して変化しない素雄セレーションを、転造やブローチ加工などにより形成する。
【0061】
次いで、前記素雄セレーションの歯先を研磨する。このとき、前記素雄セレーションのうちで軸方向片側部分の歯先の研磨量を、軸方向他側部分の歯先の研磨量よりも多くすることで、前記素雄セレーションを、セレーション軸部25の雄セレーション部28とガイド軸部26の雄セレーション部31とに加工する。例えば、軸方向片側部分の外径が軸方向他側部分の外径よりも大きい段付円筒面状の外周面を有する総型の砥石により、前記素雄セレーションを研磨する。このように雄セレーション部28と雄セレーション部31とを加工した場合、雄セレーション部28と雄セレーション部31とは、歯先円直径のみが異なっており、歯底円直径、歯幅および位相は互いに同じである。
【0062】
ピニオン軸8の軸方向他側の端部は、トーションバー34を介して、中空軸33の軸方向片側の端部に連結されている。中空軸33の軸方向他側の端部は、ステアリングシャフト3の前側の端部に、自在継手4a、中間シャフト5および別の自在継手4bを介して接続されている。したがって、ピニオン軸8は、ステアリングホイール2の操作に伴って回転する。
【0063】
ラック軸10は、円柱状に構成され、かつ、外周面の一部に、ピニオン軸8のピニオン歯22と噛合する複数のラック歯35を有する。本例では、ラック軸10は、軸方向中間部の前側面に、複数のラック歯35を有する。
【0064】
ラック軸10は、軸方向を左右方向に向け、かつ、軸方向両側の端部を、ラック収容部14の左右方向両側の開口から突出させた状態で、ラック収容部14の内側に該ラック収容部14と同軸に、図示しないラックブッシュ、すなわち滑り軸受などにより、軸方向に関する往復移動を可能に支持されている。ラック軸10の軸方向両側の端部は、球面継手を介してタイロッド12に接続されている。
【0065】
ラックガイド11は、ラック軸10をピニオン軸8に向けて押圧する機能を有する。ラックガイド11は、パッド36と、弾性部材37とを備える。
【0066】
パッド36は、略円柱形状を有しており、ガイド収容部16の内側に、ラック軸10に対する遠近移動を可能に配置されている。パッド36は、ラック軸10の後側面に対向する面に、ラック軸10の後側面を、該ラック軸10の軸方向に案内可能な形状を有する凹円筒面状の押圧面36aを有する。押圧面36aは、滑り性に優れた合成樹脂などから構成されている。弾性部材37は、パッド36と、ガイド収容部16の開口部を蓋したキャップ38との間に、弾性的に圧縮された状態で挟持されている。これにより、弾性部材37は、パッド36をラック軸10に向けて押圧する。なお、図示の例では、弾性部材37は、ねじりコイルばねにより構成されているが、皿ばねなどにより構成することもできる。
【0067】
ラックガイド11は、ラック軸10をピニオン軸8に向けて押圧することで、ピニオン歯22とラック歯35との噛合部のバックラッシュを低減して、ピニオン歯22とラック歯35との噛合部での異音の発生を防止している。
【0068】
電動アシスト装置7は、ピニオン軸8に補助動力を付与し、運転者によるステアリングホイール2の操作に必要な操舵力を軽減する。電動アシスト装置7は、ウォーム減速機19と、電動モータ39と、トルクセンサ40とを備える。すなわち、電動アシスト装置7は、電動モータ39の出力軸のトルクを増大して、換言すれば該出力軸の回転を減速して、ピニオン軸8に伝達する。
【0069】
ウォーム減速機19は、ウォームホイール29と、ウォーム41とを備える。
【0070】
歯車に相当するウォームホイール29は、外周面に、複数の歯に相当する複数のホイール歯42を有し、かつ、中心部に軸方向に貫通する中心孔30を有する。中心孔30は、軸方向他側の端部内周面に、第1面取り部43を有し、かつ、内周面のうちで第1面取り部43の軸方向片側に隣接する部分に、第2面取り部44を有する。第1面取り部43および第2面取り部44はいずれも、直線状の母線形状を有するC面取りにより構成されており、第2面取り部44の面取り角度θ2を、第1面取り部43の面取り角度θ1よりも小さくしている。なお、第1面取り部43の面取り角度θ1は、ウォームホイール29の中心軸に対する第1面取り部43の母線の傾斜角度をいい、第2面取り部44の面取り角度θ2は、ウォームホイール29の中心軸に対する第2面取り部44の母線の傾斜角度をいう。
【0071】
第1面取り部43の面取り角度θ1は、10.0度以上20.0度以下であることが好ましく、14.0度以上16.0度以下であることがより好ましい。第2面取り部44の面取り角度θ2は、第1面取り部43の面取り角度θ1よりも小さく、かつ、2.5度以上7.5度以下であることが好ましく、4.0度以上6.0度以下であることがより好ましい。
【0072】
本例では、中心孔30の内周面は、軸方向他側の端部に備えられた第1面取り部43および第2面取り部44と、軸方向片側の端部に備えられた面取り部とを除き、軸方向に関して内径が変化しない円筒面により構成されている。
【0073】
ウォームホイール29は、中心孔30に、ピニオン軸8のセレーション軸部25を圧入することで、ピニオン軸8に対し結合固定されており、かつ、ギヤハウジング部17のホイール収容部20の内側に配置されている。本例では、ピニオン軸8とウォームホイール29とを結合して組立体50を構成した状態で、ピニオン軸8のうち、ガイド軸部26の軸方向中間部からセレーション軸部25の軸方向他側の端部にかけての部分が、ウォームホイール29の中心孔30と嵌合している。すなわち、ガイド軸部26の軸方向他側部分と中心孔30の軸方向片側の端部とががたつきのない隙間嵌で嵌合し、かつ、セレーション軸部25が中心孔30の軸方向他側部分に圧入されている。なお、ガイド軸部26の軸方向片側部分は、中心孔30の軸方向片側の開口よりも軸方向片側に位置している。セレーション軸部25は、中心孔30の内周面に食い込んでいる。
【0074】
本例では、ウォームホイール29は、金属製のハブ45と、合成樹脂製のギヤ部46とを備える。
【0075】
ハブ45は、中心部に中心孔30を有する内径側筒部47と、内径側筒部47の周囲に該内径側筒部47と同軸に配置された外径側筒部48と、内径側筒部47と外径側筒部48とを接続する中空円形板状の接続部49とを備える。
【0076】
ギヤ部46は、径方向外側の端部に複数のホイール歯42を有し、ハブ45の径方向外側の端部を覆うように該ハブ45に結合固定されている。すなわち、ギヤ部46は、射出成形、具体的にはインサート成形により形成され、ハブ45の外径側筒部48と接続部49の径方向外側の端部とを包埋している。
【0077】
ウォーム41は、外周面に、ウォームホイール29のホイール歯42と噛合するねじ状のウォーム歯を有し、ウォーム収容部21の内側に、基端部を中心とする若干の揺動変位を可能に支持されている。
【0078】
電動モータ39は、出力軸を、ウォーム41の基端部にトルクの伝達を可能に接続し、かつ、ウォーム収容部21に対して支持固定されている。
【0079】
トルクセンサ40は、中空軸33およびピニオン軸8の周囲に配置されており、中空軸33およびピニオン軸8の回転方向、並びに、中空軸33とピニオン軸8との間で伝達されるトルクを検知する。トルクセンサ40は、中空軸33およびピニオン軸8の回転方向、並びに、中空軸33とピニオン軸8との間で伝達されるトルクに対応した信号を、電動モータ39の電子制御ユニットへ出力する。本例では、トルクセンサ40として、エンコーダを利用して位相差を検出することによりトルクを検出するセンサを使用している。ただし、トルクセンサ40としては、例えば、磁歪効果を利用した非接触式トルクセンサを使用することもできる。この場合、中空軸33およびトーションバー34を省略して、ピニオン軸8の基端部を、自在継手4bに直接接続することもできる。
【0080】
電動アシスト装置7は、トルクセンサ40の出力信号に基づいて、電動モータ39を駆動制御する。これにより、電動モータ39が発生する駆動トルクを、ウォーム減速機19を介し、ピニオン軸8に対して操舵補助力として伝達する。この結果、運転者によるステアリングホイール2の操作に必要な操舵力を軽減する。
【0081】
本例によれば、ピニオン軸8とウォームホイール29との同軸度を良好に確保することができる。この理由について、以下に説明する。
【0082】
ピニオン軸8とウォームホイール29とを結合する際には、
図5に矢印で示すように、ピニオン軸8を、軸方向片側を先頭にして、ウォームホイール29の中心孔30に挿入する。中心孔30へのピニオン軸8の挿入作業の初期段階では、ピニオン軸8の補助ガイド軸部27を、中心孔30の軸方向他側部分に、がたつきの小さい隙間嵌で内嵌する。これにより、ピニオン軸8の中心軸とウォームホイール29の中心軸とをほぼ一致させ、ピニオン軸8とウォームホイール29とのおおよその軸合わせを行う。
【0083】
補助ガイド軸部27と中心孔30とを嵌合した状態から、さらにウォームホイール29に対してピニオン軸8を軸方向片側に向けて変位させ、中心孔30に対するピニオン軸8の挿入量を増大させる。これにより、ピニオン軸8のガイド軸部26を、中心孔30の軸方向他側部分に、がたつきのない、すなわち補助ガイド軸部27と中心孔30との嵌合部よりもがたつきの小さい隙間嵌で内嵌する。これにより、ピニオン軸8の中心軸とウォームホイール29の中心軸とを高い精度で一致させ、ピニオン軸8とウォームホイール29との軸合わせを高精度に行う。
【0084】
ガイド軸部26と中心孔30とを嵌合することで、ウォームホイール29に対してピニオン軸8を軸合わせした状態から、さらにウォームホイール29に対してピニオン軸8を軸方向片側に向けて変位させ、中心孔30に対するピニオン軸8の挿入量を増大させる。これにより、ピニオン軸8のセレーション軸部25を、中心孔30に圧入することで、ピニオン軸8とウォームホイール29とを結合し、
図3に示すような組立体50を得る。
【0085】
上述のように、ピニオン軸8のガイド軸部26とウォームホイール29の中心孔30とをがたつきのない隙間嵌で嵌合することにより、ウォームホイール29とピニオン軸8との軸合わせを高精度に行っている。このように、ウォームホイール29とピニオン軸8との軸合わせを高精度に行ってから、中心孔30に対するセレーション軸部25の圧入を開始することができる。また、中心孔30に対してガイド軸部26を内嵌した状態で、ウォームホイール29の中心軸に対してピニオン軸8の中心軸がわずかに傾いたりずれたりした場合でも、中心孔30の内周面とガイド軸部26の外周面(雄セレーション部31の歯先面)との間の微小隙間の存在に基づいて、ウォームホイール29の中心軸に対するピニオン軸8の中心軸の傾きおよび/またはずれを補正することができる。したがって、ピニオン軸8の中心軸がウォームホイール29の中心軸に対して傾いたりずれたりしたまま、ピニオン軸8とウォームホイール29とが結合固定されることを防止できる。このため、ピニオン軸8とウォームホイール29との同軸度を確保しやすい。
【0086】
本例では、ピニオン軸8のうち、ウォームホイール29との軸合わせを行うためのガイド軸部26は、ウォームホイール29の中心孔30に対し隙間嵌で内嵌される。したがって、中心孔30の寸法公差と、セレーション軸部25の寸法公差およびガイド軸部26の寸法公差とを、
図16に示すような、ウォームホイール113との軸合わせを行うための円筒軸部117と、ウォームホイール113に対する結合強度を確保するためのセレーション軸部118とをいずれもウォームホイール113の中心孔116に圧入する従来構造ほど厳しく規制する必要がない。このため、ピニオン軸8とウォームホイール29との組立体50の製造コストの増大を抑えることができる。
【0087】
本例では、セレーション軸部25およびガイド軸部26を形成すべき部分の外周面に、外径が軸方向に関して変化しない素雄セレーションを形成し、その後、段付円筒面状の外周面を有する総型の砥石により研磨することで、セレーション軸部25の外周面およびガイド軸部26の外周面を同時に仕上げている。このため、セレーション軸部25の外径D25と、ガイド軸部26の外径D26との差を、精度よく規制することができ、ガイド軸部26と中心孔30とを隙間嵌で嵌合させることによる高精度の軸合わせと、セレーション軸部25を中心孔30に圧入させることによる結合強度の確保とを、高いレベルで両立させることができる。
【0088】
ただし、セレーション軸部25およびガイド軸部26を形成すべき部分の外周面に、外径が軸方向に関して変化しない素雄セレーションを形成した後、前記素雄セレーションのうちで軸方向片側部分の歯先と、軸方向他側部分の歯先とのそれぞれを、別々の砥石で研磨したり異時に研磨したりすることもできる。この場合、ガイド軸部26が形成される軸方向片側部分の歯先を研磨する砥石の送り量を、セレーション軸部25が形成される軸方向他側部分の歯先を研磨する砥石の送り量よりも多くする。なお、セレーション軸部25が形成される軸方向他側部分に研磨加工を施さないようにすることもできる。
【0089】
本例では、中心孔30の軸方向他側の端部内周面に、第1面取り部43を有し、かつ、内周面のうちで第1面取り部43の軸方向片側に隣接する部分に、第1面取り部43の面取り角度θ1よりも面取り角度θ2が小さい第2面取り部44を有する。このため、ガイド軸部26と中心孔30とを隙間嵌で嵌合した状態で、ウォームホイール29の中心軸に対してピニオン軸8の中心軸がわずかに傾いたりずれたりしている場合であっても、中心孔30に対するセレーション軸部25の圧入時に、ウォームホイール29の中心軸に対するピニオン軸8の中心軸の傾きおよび/またはずれを補正することができる。すなわち、ガイド軸部26と中心孔30とを隙間嵌で嵌合した状態から、さらにウォームホイール29に対してピニオン軸8を軸方向片側に向けて変位させることに伴い、セレーション軸部25の軸方向片側の端部外周面が、第1面取り部43および第2面取り部44により案内され、ウォームホイール29の中心軸に対するピニオン軸8の中心軸の傾きおよび/またはずれが補正される。この面からも、ピニオン軸8とウォームホイール29との同軸度を確保しやすい。
【0090】
本例では、ガイド軸部26の軸方向片側に隣接する部分に、ガイド軸部26の外径D26よりも小さな外径D27を有する補助ガイド軸部27を有する。ピニオン軸8とウォームホイール29との結合作業の初期段階、すなわちガイド軸部26と中心孔30とを隙間嵌で嵌合して、ウォームホイール29とピニオン軸8との軸合わせを高精度に行う以前に、補助ガイド軸部27と中心孔30とをがたつきの小さい隙間嵌で嵌合することにより、ウォームホイール29とピニオン軸8とのおおよその軸合わせを行うことができる。このため、ピニオン軸8とウォームホイール29との結合作業を容易化できる。
【0091】
すなわち、ガイド軸部26の外周面と中心孔30の内周面との間の径方向隙間は極めて小さい。このため、補助ガイド軸部を備えていない構造では、ピニオン軸とウォームホイールとの結合作業を開始する以前に、ピニオン軸の中心軸とウォームホイールの中心軸とを高い精度で一致させてからでなければ、中心孔に対してガイド軸部を挿入することができない。これに対し、本例では、補助ガイド軸部27と中心孔30とをがたつきの小さい隙間嵌で嵌合することにより、ウォームホイール29とピニオン軸8とのおおよその軸合わせを行ってから、中心孔30に対するガイド軸部26の挿入作業を開始することができる。要するに、ピニオン軸8とウォームホイール29との結合作業を開始する以前に、ピニオン軸8の中心軸とウォームホイール29の中心軸とをそれほど高い精度で一致させる必要がない。このため、ピニオン軸8とウォームホイール29との結合作業を容易化することができる。
【0092】
なお、本例では、補助ガイド軸部27の外周面は、軸方向片側の端部に備えられた面取り部32を除き、軸方向に関して外径D27が変化しない円筒面により構成されている。ただし、補助ガイド軸部の外周面を、軸方向他側に向かうほど外径が大きくなる円すい台面により構成することもできる。この場合、補助ガイド軸部の軸方向他側の端部の外径を、ガイド軸部の外径よりも小さくする。
【0093】
あるいは、ピニオン軸とウォームホイールとの結合作業を開始する以前に、ピニオン軸の中心軸とウォームホイールの中心軸とを高い精度で一致させることができる場合には、補助ガイド軸部を省略することもできる。
【0094】
本例では、ピニオン軸8のうち、ウォームホイール29との軸合わせを行うためのガイド軸部26の軸方向片側部分を、中心孔30よりも軸方向片側に位置させている。換言すれば、ガイド軸部26の軸方向片側部分を、中心孔30の軸方向片側の開口から軸方向片側に突出させている。このため、ウォームホイール29に対する結合強度を確保するためのセレーション軸部25と、中心孔30との嵌合長さを確保しやすい。したがって、ピニオン軸8とウォームホイール29との結合強度を十分に確保することができる。
【0095】
これに対し、
図15および
図16に示した従来構造では、ピニオン軸106のうち、ウォームホイール113に対する結合強度を確保するためのセレーション軸部118だけでなく、ウォームホイール113との軸合わせを行うための円筒軸部117も、その軸方向全長が、ウォームホイール113の中心孔116と嵌合している。このため、セレーション軸部118と中心孔116との嵌合長さが確保しにくく、ピニオン軸106とウォームホイール113との結合強度を十分に確保できなくなる可能性がある。
【0096】
一方、従来構造において、ピニオン軸106とウォームホイール113との結合強度を確保すべく、セレーション軸部118の軸方向長さを十分に確保した場合、円筒軸部117の軸方向長さが短くなり、ピニオン軸106とウォームホイール113との結合作業時に、ウォームホイール113に対するピニオン軸106の軸合わせを十分に行えなくなる可能性がある。
【0097】
[第2例]
図7および
図8は、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例では、ピニオン軸8aのセレーション軸部25と、ウォームホイール29の中心孔30とが、軸方向全長にわたり嵌合している。換言すれば、ピニオン軸8aのうち、セレーション軸部25のみが、ウォームホイール29の中心孔30に圧入されており、ガイド軸部26aは、その軸方向全長が、ウォームホイール29の中心孔30よりも軸方向片側に位置している。換言すれば、ガイド軸部26aの軸方向全長が、中心孔30の軸方向片側の開口から軸方向片側に突出している。
【0098】
また、本例では、ピニオン軸8aのガイド軸部26aの外周面を、セレーション軸部25との接続部および補助ガイド軸部27との接続部である軸方向両側の端部を除き、軸方向に関して外径が変化しない円筒面により構成している。
【0099】
本例では、ピニオン軸8aのセレーション軸部25と、ウォームホイール29の中心孔30とを、軸方向にわたり嵌合させているため、ピニオン軸8aとウォームホイール29との結合強度を、第1例と比較して高くすることができる。その他の構成および作用効果は、第1例と同様である。
【0100】
[第3例]
図9~
図11は、本発明の実施の形態の第3例を示している。本例では、ウォームホイール29aに備えられた中心孔30aは、軸方向片側部分に、小径部51を有し、かつ、軸方向他側部分に、小径部51の内径d
51よりも大きい内径d
52を有する大径部52を有する。小径部51と大径部52とは、軸方向片側に向かうほど内径が小さくなる方向に傾斜した円すい台面状の傾斜面部53により接続されている。すなわち、中心孔30aは、段付孔により構成されている。小径部51の内径d
51および大径部52の内径d
52は、特に限定されるものではなく、それぞれ任意の大きさとすることができる。
【0101】
小径部51の軸方向長さL51および大径部52の軸方向長さL52は、ピニオン軸8bとウォームホイール29との結合強度を確保できる限り、特に限定されるものではないが、小径部51の軸方向長さL
51
を、大径部52の軸方向長さL
52
の0.3倍以上1.0倍以下とすることが好ましく、0.5倍以上0.8倍以下とすることがより好ましい。
【0102】
また、ピニオン軸8bは、1対の円筒面部23a、23bのうち、軸方向片側の円筒面部23aよりも軸方向片側部分に、軸方向他側から順に、セレーション軸部25と、ガイド軸部26bと、補助ガイド軸部27とを有する。
【0103】
セレーション軸部25は、ウォームホイール29aの中心孔30aのうち、大径部52の内径d52よりもわずかに大きい外径D25を有する。具体的には、セレーション軸部25を大径部52に圧入する以前の状態で、セレーション軸部25の外径D25は、大径部52の内径d52よりも0.5%以上1.5%以下大きく、好ましくは0.7%以上1.0%以下大きい。
【0104】
本例では、ガイド軸部26bの外周面は、セレーション軸部25との接続部および補助ガイド軸部27との接続部である軸方向両側の端部を除き、軸方向に関して外径が変化しない円筒面により構成されている。
【0105】
ガイド軸部26bは、ウォームホイール29aの中心孔30aのうち、小径部51に隙間嵌で内嵌可能な外径を有する。すなわち、ガイド軸部26bは、小径部51の内径d51よりもわずかに小さい外径D26を有する。具体的には、ガイド軸部26の外径D26は、小径部51の内径d51よりも0.01%以上0.5%以下小さく、好ましくは0.01%以上0.2%以下小さい。
【0106】
また、ガイド軸部26bの軸方向長さL26は、中心孔30aの大径部52の軸方向長さL52よりも長い。具体的には、ガイド軸部26bの軸方向長さL26を、大径部52の軸方向長さL52の1.2倍以上2.0倍以下、好ましくは1.2倍以上1.5倍以下としている。これにより、後述するピニオン軸8bとウォームホイール29aとの結合作業時に、ガイド軸部26bと小径部51とががたつきのない隙間嵌で嵌合するよりも以前に、セレーション軸部25が大径部52に圧入されることを防止している。
【0107】
ピニオン軸8bとウォームホイール29aとを結合する際には、
図11に白抜き矢印で示すように、ピニオン軸8bを、軸方向片側を先頭にして、ウォームホイール29aの中心孔30aに挿入する。そして、補助ガイド軸部27と小径部51とをがたつきの小さい隙間嵌で嵌合する。これにより、ピニオン軸8bの中心軸とウォームホイール29aの中心軸とをほぼ一致させ、ピニオン軸8bとウォームホイール29aとのおおよその軸合わせを行う。
【0108】
この状態から、さらにウォームホイール29aに対してピニオン軸8bを軸方向片側に向けて変位させ、ガイド軸部26と小径部51とをがたつきのない隙間嵌で嵌合する。これにより、ピニオン軸8bの中心軸とウォームホイール29aの中心軸とを高い精度で一致させ、ピニオン軸8bとウォームホイール29aとの軸合わせを高精度に行う。
【0109】
ガイド軸部26bと小径部51とを嵌合した状態から、さらにウォームホイール29aに対してピニオン軸8bを軸方向片側に向けて変位させ、セレーション軸部25を大径部52に圧入することで、ピニオン軸8bとウォームホイール29aとを結合固定する。
【0110】
本例によれば、ウォームホイール29aの中心孔30aの内径を、ピニオン軸8bとの軸合わせを行うための小径部51と、ピニオン軸8bに対する結合強度を確保するための大径部52とで異ならせることができる。このため、小径部51の内径D51は、セレーション軸部25の外径D25との関係を考慮する必要なく、ガイド軸部26bの外径D26との関係のみで寸法公差を規制することができる。また、大径部52の内径D52は、ガイド軸部26bの外径D26との関係を考慮する必要なく、セレーション軸部25の外径D25との関係で寸法公差を規制することができる。その他の部分の構成および作用効果は、実施の形態の第1例と同様である。
【0111】
[第4例]
図12~
図14は、本発明の実施の形態の第4例を示している。本例では、ウォームホイール29aに備えられた中心孔30aは、軸方向片側の小径部51と、軸方向他側の大径部52とを有する段付孔により構成されている。
【0112】
また、ピニオン軸8cは、1対の円筒面部23a、23bのうち、軸方向片側の円筒面部23aよりも軸方向片側部分に、軸方向他側から順に、セレーション軸部25と、ガイド軸部26bとを有する。すなわち、本例のピニオン軸8cは、第3例のピニオン軸8bから補助ガイド軸部27を省略している。このため、ウォームホイール29aの中心孔30aの軸方向片側の開口からのピニオン軸8cの突出量を抑えることができる。その他の部分の構成および作用効果は、第1例および第3例と同様である。
【0113】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、発明の技術思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。また、第1例~第4例は、矛盾を生じない範囲で、適宜組み合わせて実施することができる。
【0114】
第1例~第4例では、ウォームホイール29を、ピニオン軸8、8a、8bのうちで複数のピニオン歯22が備えられた軸方向中間部よりも先端側に位置する部分に支持固定してなる組立体50について説明した。ただし、本発明は、ウォームホイールを、ピニオン軸のうちで複数のピニオン歯が備えられた軸方向中間部よりも基端側に位置する部分に支持固定してなる組立体に適用することもできる。
【0115】
第1例~第4例では、本発明を、ピニオンアシスト式の電動パワーステアリング装置1のステアリングギヤユニット6を構成するピニオン軸8、8a、8bと、ウォーム減速機19を構成するウォームホイール29、29aとの組立体50およびその組立方法に適用した例について説明した。ただし、本発明は、ピニオンアシスト式以外の電動パワーステアリング装置の回転軸とウォームホイールとの組立体およびその組立方法に適用することもできる。すなわち、コラムアシスト式の電動パワーステアリング装置の場合、ステアリングシャフトと、該ステアリングシャフトに支持固定されるウォームホイールとの組立体およびその組立方法に適用することができる。デュアルピニオン式の電動パワーステアリング装置の場合、ステアリングシャフトにトルク伝達可能に接続されたピニオンシャフトとは別で、かつ、ラック軸に噛合する第2のピニオンシャフトと、該第2のピニオンシャフトに支持固定されるウォームホイールとの組立体およびその組立方法に適用することができる。
【0116】
また、本発明は、電動パワーステアリング装置に限らず、各種機械のウォーム減速機の回転軸とウォームホイールとの組立体およびその組立方法に適用することができる。さらに、本発明は、回転軸とウォームホイールとの組立体およびその組立方法に限らず、回転軸と、平歯車などのウォームホイール以外の歯車との組立体およびその組立方法に適用することもできる。
【符号の説明】
【0117】
1 電動パワーステアリング装置
2 ステアリングホイール
3 ステアリングシャフト
4a、4b 自在継手
5 中間シャフト
6 ステアリングギヤユニット
7 電動アシスト装置
8、8a、8b ピニオン軸
9 ハウジング
10 ラック軸
11 ラックガイド
12 タイロッド
13 操舵輪
14 ラック収容部
15 ピニオン収容部
16 ガイド収容部
17 ギヤハウジング部
18 取付部
19 ウォーム減速機
20 ホイール収容部
21 ウォーム収容部
22 ピニオン歯
23a、23b 円筒面部
24a、24b 軸受
25 セレーション軸部
26、26a、26b ガイド軸部
27 補助ガイド軸部
28 雄セレーション部
29、29a ウォームホイール
30、30a 中心孔
31 雄セレーション部
32 面取り部
33 中空軸
34 トーションバー
35 ラック歯
36 パッド
36a 押圧面
37 弾性部材
38 キャップ
39 電動モータ
40 トルクセンサ
41 ウォーム
42 ホイール歯
43 第1面取り部
44 第2面取り部
45 ハブ
46 ギヤ部
47 内径側筒部
48 外径側筒部
49 接続部
50 組立体
51 小径部
52 大径部
53 傾斜面部
100 電動パワーステアリング装置
101 ステアリングホイール
102 ステアリングシャフト
103 中間シャフト
104a、104b 自在継手
105 ステアリングギヤユニット
106 ピニオン軸
107 ラック軸
108 タイロッド
109 操舵輪
110 電動モータ
111 ウォーム減速機
112 ウォーム
113 ウォームホイール
114 ウォーム歯
115 ホイール歯
116 中心孔
117 円筒軸部
118 セレーション軸部
【要約】
【課題】歯車と回転軸との同軸度を良好に確保しやすい構造を実現する。
【解決手段】ピニオン軸8は、外周面に雄セレーション部28を有し、かつ、ウォームホイール29の中心孔30に圧入されるセレーション軸部25と、セレーション軸部25の軸方向片側に隣接して備えられ、かつ、中心孔30に隙間嵌で内嵌可能な外径を有するガイド軸部26とを有する。
【選択図】
図4