IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド.の特許一覧

<>
  • 特許-アンテナモジュール 図1
  • 特許-アンテナモジュール 図2
  • 特許-アンテナモジュール 図3
  • 特許-アンテナモジュール 図4
  • 特許-アンテナモジュール 図5
  • 特許-アンテナモジュール 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】アンテナモジュール
(51)【国際特許分類】
   H01Q 23/00 20060101AFI20221129BHJP
   H05K 3/46 20060101ALI20221129BHJP
   H01L 23/12 20060101ALI20221129BHJP
   H01L 25/00 20060101ALI20221129BHJP
   H01Q 1/38 20060101ALI20221129BHJP
【FI】
H01Q23/00
H05K3/46 Z
H05K3/46 L
H01L23/12 Q
H01L25/00 B
H01L23/12 301Z
H01Q1/38
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2018103664
(22)【出願日】2018-05-30
(65)【公開番号】P2019087987
(43)【公開日】2019-06-06
【審査請求日】2021-03-24
(31)【優先権主張番号】10-2017-0148203
(32)【優先日】2017-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム、キ-セオク
(72)【発明者】
【氏名】ヨー、セオン-ヒュン
(72)【発明者】
【氏名】チョイ、ユ-リム
(72)【発明者】
【氏名】ヨー、ガ-ヨウン
(72)【発明者】
【氏名】シム、ジ-ヒエ
(72)【発明者】
【氏名】パク、チャン-ファ
【審査官】鈴木 肇
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/047396(WO,A1)
【文献】特開平10-303640(JP,A)
【文献】特開2000-001622(JP,A)
【文献】特表2017-514317(JP,A)
【文献】特開2015-041773(JP,A)
【文献】特開2014-011769(JP,A)
【文献】特開2017-041790(JP,A)
【文献】特開2005-086603(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0049723(US,A1)
【文献】特開2000-216630(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0189935(US,A1)
【文献】特開2014-146982(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/00-25/04
H05K 3/46
H01L 23/12-23/14
H01L 25/00-25/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナ部が備えられた第1基板と、
前記第1基板に積層された第2基板と、
前記第2基板内に形成され、前記アンテナ部に電気的に接続するフィーディング部と、
前記フィーディング部の末端に接続するように前記第2基板上に実装されるRF処理部と、を含み、
前記第1基板は、上下方向に積層された複数の第1絶縁層を含み、
前記複数の第1絶縁層のそれぞれの誘電損失は、前記第2基板の誘電損失よりも小さく、
前記複数の第1絶縁層のうち、上部の第1絶縁層の上部に配置されたソルダーレジスト層をさらに含み、前記ソルダーレジスト層から前記アンテナ部に上下方向に重なる部分は開放された、アンテナモジュール。
【請求項2】
前記第1基板の誘電率は、前記第2基板の誘電率よりも大きい請求項1に記載のアンテナモジュール。
【請求項3】
前記アンテナ部は、前記複数の第1絶縁層のそれぞれの一面に形成された金属パターンを含む請求項1または2に記載のアンテナモジュール。
【請求項4】
前記複数の第1絶縁層は、
樹脂及び無機充填剤を含むビルドアップフィルムで形成された請求項3に記載のアンテナモジュール。
【請求項5】
前記複数の第1絶縁層の表面粗さ(Ra)は、0.2μmよりも小さい請求項3または4に記載のアンテナモジュール。
【請求項6】
前記第1基板は、前記金属パターンとの接続のために、前記複数の第1絶縁層のそれぞれを貫通するビアをさらに含む請求項3から5のいずれか一項に記載のアンテナモジュール。
【請求項7】
前記金属パターンは、
シード層と、前記シード層上に形成されためっき層と、を含む請求項3から6のいずれか一項に記載のアンテナモジュール。
【請求項8】
前記金属パターンの表面粗さ(Ra)は、0.2μmよりも小さい請求項3から7のいずれか一項に記載のアンテナモジュール。
【請求項9】
前記複数の第1絶縁層のそれぞれと前記金属パターンとの間に形成される接着層をさらに含む請求項3から8のいずれか一項に記載のアンテナモジュール。
【請求項10】
前記第2基板は、上下方向に積層された複数の第2絶縁層を含み、
前記フィーディング部は、前記複数の第2絶縁層のそれぞれの内部に形成されるビアを含む請求項3から9のいずれか一項に記載のアンテナモジュール。
【請求項11】
前記ビアとの接続のために前記複数の第2絶縁層のそれぞれの一面に形成されるパッドをさらに含む請求項10に記載のアンテナモジュール。
【請求項12】
前記複数の第2絶縁層は、
樹脂及び無機充填剤を含むビルドアップフィルムで形成される請求項10または11に記載のアンテナモジュール。
【請求項13】
前記複数の第2絶縁層の表面粗さ(Ra)は、0.2μmよりも小さい請求項10から12のいずれか一項に記載のアンテナモジュール。
【請求項14】
前記パッドの表面粗さ(Ra)は、0.2μmよりも小さい請求項11に記載のアンテナモジュール。
【請求項15】
前記複数の第2絶縁層のそれぞれと前記パッドとの間に形成される接着層をさらに含み、
前記ビアは、前記接着層を貫通する請求項11に記載のアンテナモジュール。
【請求項16】
前記ビアのうち、互いに異なる第2絶縁層に形成された2つのビアは、パッドを介在せずに直接接触する請求項10から15のいずれか一項に記載のアンテナモジュール。
【請求項17】
前記ビアの横断面積は、前記複数の第2絶縁層のそれぞれの上下方向において一定である請求項16に記載のアンテナモジュール。
【請求項18】
前記ビアは、
シード層と、前記シード層上に形成されためっき層と、を含む請求項10から17のいずれか一項に記載のアンテナモジュール。
【請求項19】
前記第1基板と前記第2基板との間に形成されるコア層をさらに含む請求項1から18のいずれか一項に記載のアンテナモジュール。
【請求項20】
前記第1基板の誘電損失は、前記コア層の誘電損失よりも小さい請求項19に記載のアンテナモジュール。
【請求項21】
前記コア層の一面に形成され、前記フィーディング部に電気的に接続するフィーディングライン(feeding line)をさらに含む請求項19または20に記載のアンテナモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナモジュール(antenna module)に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信技術の発展により、単なる音声送受信を主とした通信サービスから、動画放送、画像電話、ファイル伝送等の様々なマルチメディア応用サービスが増大している。この様々な無線通信サービスの利用の裏面には、使用周波数帯域のバンド多重化やGHz以上の高周波帯域の利用があった。特に、無線通信技術に使用される高周波帯域は60GHz以上が検討されている。これにより、高周波信号の伝送時に発生する信号損失を低減できるプリント回路基板の開発が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】韓国公開特許第10-2011-0002112号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、信号損失を低減したアンテナモジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一側面によれば、アンテナ部が備えられた第1基板と、上記第1基板に積層された第2基板と、上記第2基板内に形成され、上記アンテナ部に電気的に接続されるフィーディング(feeding)部と、上記フィーディング部の末端に接続されるように、上記第2基板上に実装されるRF処理部と、を含み、上記第1基板の誘電損失は上記第2基板の誘電損失よりも小さいアンテナモジュールが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本発明の一実施例に係るアンテナモジュールを示す図である。
図2】本発明の他の実施例に係るアンテナモジュールを示す図である。
図3】本発明のまた他の実施例に係るアンテナモジュールを示す図である。
図4】本発明のまた他の実施例に係るアンテナモジュールを示す図である。
図5】本発明のまた他の実施例に係るアンテナモジュールを示す図である。
図6】本発明のまた他の実施例に係るアンテナモジュールを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明に係るアンテナモジュールの実施例を添付図面を参照して詳細に説明し、添付図面を参照して説明するに当たって、同一または対応する構成要素には同一の図面符号を付し、これに対する重複説明を省略する。
【0008】
また、以下で使用する「第1」、「第2」等の用語は、同一または対応する構成要素を区別するための識別記号に過ぎず、同一または対応する構成要素が第1、第2等の用語により限定されることはない。
【0009】
また、「結合」とは、各構成要素間の接触関係において、各構成要素が物理的に直接接触する場合のみを意味するものではなく、他の構成が各構成要素の間に介在され、該他の構成に、構成要素がそれぞれ接触している場合まで包括する概念として使用する。
【0010】
図1は、本発明の一実施例に係るアンテナモジュールを示す図であり、図2は、本発明の他の実施例に係るアンテナモジュールを示す図であり、図3は、本発明のまた他の実施例に係るアンテナモジュールを示す図であり、図4は、本発明のまた他の実施例に係るアンテナモジュールを示す図であり、図5は、本発明のまた他の実施例に係るアンテナモジュールを示す図であり、図6は、本発明のまた他の実施例に係るアンテナモジュールを示す図である。
【0011】
図1から図6を参照すると、本発明の一実施例に係るアンテナモジュールは、第1基板100と、第2基板200と、RF処理部Rと、を含み、第1基板100にアンテナ部110が備えられ、第2基板200にフィーディング部210が備えられる。
【0012】
第1基板100の一面には、アンテナ部110の少なくとも一部が形成され、第1基板100の他面には、第2基板200が接合される。第1基板100の一面には、ソルダーレジスト層150を積層することができる。
【0013】
第1基板100は、1つ以上の第1絶縁層120を含む。好ましくは、第1基板100は、上下に積層された複数の第1絶縁層120で構成される。第1絶縁層120は、樹脂を主成分とする資材である。第1絶縁層120の樹脂としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等の様々な材料を用いることができる。例えば、第1絶縁層120の樹脂として、エポキシ系樹脂またはポリイミドを用いることができる。ここで、エポキシ系樹脂には、ナフタレン系エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック系エポキシ樹脂、クレゾールノボラック系エポキシ樹脂、ゴム変性型エポキシ樹脂、環型脂肪族系エポキシ樹脂、シリコン系エポキシ樹脂、窒素系エポキシ樹脂、リン系エポキシ樹脂などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0014】
第1絶縁層120には、上記樹脂に無機充填剤が含有されてもよい。無機充填剤としては、シリカ(SiO)、硫酸バリウム(BaSO)、アルミナ(Al)のうちのいずれか1種を選択して使用するか、2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0015】
無機充填剤としては、その他にも炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、フライアッシュ、天然シリカ、合成シリカ、カオリン、クレー、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化カリウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、タルク、マイカ、ハイドロタルサイト、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、焼成タルク、ウオラストナイト、チタン酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、燐酸マグネシウムなどが挙げられるが、これらに制限されない。
【0016】
第1絶縁層120(金属パターン130が形成される面)の表面粗さ(Ra)は、0.2μmよりも小さくてもよい。第1絶縁層120の表面粗さは、デスミア(desmear)処理後に測定した値であってもよい。この第1絶縁層120は、上述した樹脂に上述した無機充填剤が含有されているビルドアップフィルム(build up film)であってもよく、ビルドアップフィルムは、PPG(プリプレグ)よりも表面粗さが小さくて0.2μm未満であり得る。ビルドアップフィルムとしては、ABF(Ajinomoto Build-up Film)等を使用できる。
【0017】
第1絶縁層120は、誘電正接(Df)の比較的小さい材料で形成可能であり、第1絶縁層120の誘電正接は、上述した無機充填剤の種類及び含量により調整可能である。
【0018】
第1絶縁層120の誘電正接は、0.003以下であってもよい。ここで、誘電正接とは、信号伝送時に第1絶縁層120により損失される電力(誘電損失)の度合いを意味する。誘電正接が大きいほど誘電損失が大きい。
【0019】
一方、第1基板100の第1絶縁層120は、誘電率(誘電定数、Dk)の比較的大きい材料で形成可能である。この場合、アンテナモジュールの厚さ及びサイズが小さくなり得る。例えば、第1絶縁層120の誘電定数は、3.2、3.4、5等の値を有することができる。特に、第1絶縁層120の誘電定数(Dk)は、第2基板200の第2絶縁層220の誘電定数(Dk)より大きくてもよく、この場合、第1絶縁層120の誘電定数は、5の値を有することができる。
【0020】
アンテナ部110は、RF信号を放射または受信する役割を担い、10GHz以上の高周波信号を処理することができる。アンテナ部110は、第1絶縁層120の一面に形成される金属パターン130であってもよく、金属パターン130の金属としては、銅(Cu)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、金(Au)、白金(Pt)等の金属またはこれらの合金を用いることができる。このアンテナ部110の金属パターン130は、アンテナパッチ(patch)であってもよく、多角形、円形などの様々な形状を有することができ、互いに離隔して複数形成されることができる。
【0021】
第1絶縁層120が複数である場合、アンテナ部110の金属パターン130は、それぞれの第1絶縁層120の一面に形成可能である。金属パターン130は、それぞれの第1絶縁層120毎に形成され、それぞれの第1絶縁層120の上面に形成されることができる。これにより、最外層に位置した第1絶縁層120に形成されている金属パターン130は、外部に露出される。
【0022】
一方、最外層に位置した第1絶縁層120上にソルダーレジスト層150が積層される場合も、金属パターン130を露出するようにソルダーレジスト層150に開口が形成される。
【0023】
それぞれの第1絶縁層120に形成された金属パターン130は、上下に対応する位置に形成される。これにより、それぞれの第1絶縁層120に形成された金属パターン130間の電磁気的相互作用により、他の第1絶縁層120に形成された金属パターン130間に信号伝達が可能となる。
【0024】
金属パターン130は、SAP法(Semi Additive Process)により形成可能であり、これにより、金属パターン130は、シード層Sとめっき層とを含むことができる。ここで、シード層Sの厚さは、1μm以下(例えば、0.6μm)であってもよい。SAP法において、シード層S上にめっき層を形成した後に、不要なシード層Sを(フラッシュ)エッチングにより除去できるが、この場合、シード層Sとめっき層とが同じ金属(例えば、銅)で形成されて、シード層Sのエッチングとともにめっき層表面の一部がエッチングされることがある。しかし、シード層Sの厚さが1μm以下である場合は、エッチングされるめっき層が極めて少ないので、結果的に、金属パターン130の上・下面の面積にはほとんど差がない。
【0025】
これに対して、金属パターン130がMSAP法(Modified Semi Additive Process)により形成される場合は、金属薄膜及びシード層上にめっき層が形成されるので、エッチングにより除去すべき金属層(金属薄膜及びシード層)の厚さが2μm以上となり、SAPの場合よりもその厚さが大きい。このため、上記金属層のエッチングによりめっき層もエッチングされ、特にめっき層の上側に行くほどエッチング量が多くなり、結果的に、形成される金属パターン130の上下面に面積差が発生する。
【0026】
金属パターン130の上下面の面積の差は、帯域(bandwidth)の差を誘発し、これにより、ボルテージ・ドロップ(voltage-drop)が発生するので、金属パターン130の上下面の面積の差が少ないものが信号損失の低減の側面から有利である。
【0027】
特に、PPGに比べてビルドアップフィルムは、その表面粗さが小さいため(例えば、Ra<0.2μm)、PPGよりもビルドアップフィルムの場合が、SAP法によるシード層Sを形成することが有利である。つまり、ビルドアップフィルムにSAP法を用いて金属パターン130を形成することが、信号損失の低減の側面から好ましいと言える。
【0028】
一方、金属パターン130の表面粗さ(Ra)は、0.2μmよりも小さくてもよく、さらに、金属パターン130の表面粗さは、0であってもよい。金属パターン130の表面粗さが0であるとは、金属パターン130の表面に粗さ処理を施さなかった結果であり得る。金属パターン130の粗さが0.2μm以上である場合は、金属パターン130においての表皮効果(skin effect)が極大化し、これは信号損失の結果をもたらす。よって、金属パターン130の表面粗さが0.2μmよりも小さいと、信号損失を低減することができる。特に、金属パターン130の表面粗さが0.5μmより大きい場合に比べて、金属パターン130の表面粗さが0.1μmより小さい場合は、信号損失率を20~30%低減できる。
【0029】
図2を参照すると、第1基板100は、金属パターン130に接続される第1ビア140をさらに含むことができる。第1ビア140は、互いに異なる第1絶縁層120に形成されている金属パターン130間に電気的信号を伝達する機能を担い、第1絶縁層120を貫通する。
【0030】
第1ビア140の形状は、様々な形状を有することができ、例えば、図2に示すように、それぞれの第1絶縁層120において第1基板100の外側に行くほど第1ビア140の横断面積が大きくなることができる。
【0031】
それぞれの第1絶縁層120に形成されている金属パターン130は、上下に対応する位置に形成されるので、金属パターン130と第1ビア140とは互いに一直線に形成されることが可能である。しかし、ここで「一直線」とは、その中心線が必ずしも一致する必要はなく、許容誤差を考慮して金属パターン130と第1ビア140とがスタック(stack)構造を形成することを意味する。
【0032】
第1ビア140は、上述したSAP法により形成可能であり、これにより、第1ビア140は、シード層Sとめっき層とで構成されることができる。この場合、第1ビア140のシード層Sと金属パターン130のめっき層とが互いに接触することができる。
【0033】
図3から図4を参照すると、第1基板100に接着層Lを形成することができる。接着層Lは、第1絶縁層120と金属パターン130との間に形成可能であり、特に、第1絶縁層120と金属パターン130とが接する面積に対して形成可能である。ただし、接着層Lは、第1絶縁層120の表面に延長して形成されることができる。また、接着層Lは、有機薄膜であって、ナノ(nano)スケールの厚さを有することができる。ここで、接着層Lは、シランカップリングを含む材料により形成することができる。一方、接着層Lは、蒸着またはディッピング方式により形成可能である。
【0034】
接着層Lは、第1絶縁層120と金属パターン130との間の密着力を向上させる役割をする。特に、金属パターン130の表面粗さが低い場合(例えば、Ra<0.2μmの場合)は、信号損失は低減されるものの、金属パターン130と第1絶縁層120との間の密着力が問題となることがあるが、この密着力の問題は接着層Lにより解決可能である。接着層Lにより、金属パターン130と第1絶縁層120との間の剥離強度を0.5kgf/cmよりも大きくすることができる。
【0035】
図4に示すように、第1基板100内に第1ビア140が形成される場合、第1ビア140は、接着層Lを貫通して金属パターン130に接続される。すなわち、接着層Lは、第1ビア140と金属パターン130とが接する領域には形成されない。
【0036】
図1から図6を参照すると、第2基板200の一面は、第1基板100と接合され、第2基板200の他面には、RF処理部Rが実装される。第2基板200の他面にソルダーレジスト層250が積層され、RF処理部Rの他にもキャパシターC等の素子を実装することができる。また、メインボードとの接合のためのソルダーボールSBも第2基板200の他面に形成することができる。
【0037】
第2基板200は、1つ以上の第2絶縁層220を含み、好ましくは、上下方向に積層された複数の第2絶縁層220で形成される。第2絶縁層220は、樹脂を主成分とする資材であって、第2絶縁層220の樹脂としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂などの様々な材料を用いることができる。
【0038】
例えば、第2絶縁層220の樹脂としては、エポキシ系樹脂またはポリイミドを用いることができる。ここで、エポキシ系樹脂には、ナフタレン系エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック系エポキシ樹脂、クレゾールノボラック系エポキシ樹脂、ゴム変性型エポキシ樹脂、環型脂肪族系エポキシ樹脂、シリコン系エポキシ樹脂、窒素系エポキシ樹脂、リン系エポキシ樹脂などが挙げられるが、これに限定されない。
【0039】
第2絶縁層220は、上記の樹脂に無機充填剤を含有することができる。無機充填剤としては、シリカ(SiO)、硫酸バリウム(BaSO)、アルミナ(Al)のうちのいずれか1種を選択して使用するか、2種以上を組み合わせて使用することができる。無機充填剤にはその外にも、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、フライアッシュ、天然シリカ、合成シリカ、カオリン、クレー、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化カリウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、タルク、マイカ、ハイドロタルサイト、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、焼成タルク、ウオラストナイト、チタン酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、燐酸マグネシウムなどが挙げられるが、それらに制限されない。
【0040】
第2絶縁層220の表面粗さ(Ra)は、0.2μmより小さいことが可能である。第2絶縁層220の表面粗さは、デスミア(desmear)処理後に測定した値であり得る。この第2絶縁層220は、上述した樹脂に上述した無機充填剤が含有されているビルドアップフィルム(build up film)であってもよく、ビルドアップフィルムは、PPG(プリプレグ)よりも表面粗さが小さくて、0.2μm未満であり得る。ビルドアップフィルムとしてABF(Ajinomoto Build-up Film)などを用いることができる。
【0041】
第2絶縁層220は、誘電正接(Df)の比較的小さい材料で形成可能であり、第2絶縁層220の誘電正接は、上述した無機充填剤の種類及び含量により調整可能である。第2絶縁層220の誘電正接は、0.004以下であってもよい。この場合、第2絶縁層220の誘電正接は、第1絶縁層120の誘電正接以上であってもよく、好ましくは、第2絶縁層220の誘電正接は、第1絶縁層120の誘電正接より大きい。
【0042】
また、上述したように、第2絶縁層220の誘電率(誘電定数、Dk)は、第1絶縁層120の誘電率(誘電定数、Dk)よりも小さくてもよい。
【0043】
フィーディング部210は、アンテナ部110とRF処理部Rとの間に信号を伝達する役割をする。例えば、フィーディング部210は、アンテナ部110に受信された高周波信号をRF処理部Rに伝達する。フィーディング部210は、第2絶縁層220内に形成される第2ビア240を含み、第2基板200が複数の第2絶縁層220を含む場合は、第2ビアはそれぞれの第2絶縁層の内部に形成される。
【0044】
第2ビア240は、アンテナ部110及びRF処理部Rに電気的に接続され、それぞれの第2絶縁層220に形成される第2ビア240は、複数の第2絶縁層220を通過しながらRF処理部R側に収斂するように形成される。すなわち、RF処理部Rがアンテナモジュールの中央部に位置する場合、複数の第2絶縁層220にかけて形成される複数の第2ビア240は、第2基板200の一面から他面に行くほど外側から中央部側に収斂することになる。
【0045】
第2ビア240の形状は、様々な形状を有することができ、例えば、図1等に示すように、それぞれの第2絶縁層220において、第2基板200の(上下方向に)外側に行くほど第2ビア240の横断面積が大きくなることができ、第1ビア140及び第2ビア240の形状は、対称をなすことができる。
【0046】
しかし、この形状に限定されず、第1ビア140及び第2ビア240の横断面積の増減の方向性は、同一であってもよく、これは、第1基板100と第2基板200をそれぞれ別に形成した後に、第1基板100と第2基板200とを互いに接合した方式の結果であり得る。
【0047】
第2基板200は、第2ビア240に接続及び接触するために第2絶縁層220の一面に形成されるパッド230をさらに含むことができる。パッド230とビアとが接する面においてのパッド230の面積は、第2ビア240の面積よりも大きい。
【0048】
一方、第2ビア240及びパッド230は、銅(Cu)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、金(Au)、白金(Pt)などの金属またはこれらの合金により形成可能である。
【0049】
パッド230は、SAP法(Semi Additive Process)により形成可能であり、これにより、パッド230は、シード層Sとめっき層とを含むことができる。ここでシード層Sの厚さは、1μm以下(例えば、0.6μm)であってもよい。この場合、結果的に形成されたパッド230の上下面の面積差はほとんど発生しない。
【0050】
パッド230の上下面の面積の差は、帯域(bandwidth)差を誘発し、これにより、ボルテージ・ドロップ(voltage-drop)が発生するので、パッド230の上下面の面積の差が少ないものが信号損失の低減の側面から有利である。
【0051】
上述した金属パッド230の場合と同様に、ビルドアップフィルムにSAP法を用いてパッド230を形成することが、信号損失の低減の側面から好ましいと言える。
【0052】
一方、パッド230の表面粗さ(Ra)は、0.2μmよりも小さくてもよく、さらにパッド230の表面粗さは、0であってもよい。パッド230の表面粗さが0であるとは、パッド230の表面に粗さ処理を施さなかった結果であり得る。パッド230の粗さが0.2μm以上である場合は、パッド230においての表皮効果(skin effect)が極大化し、これは信号損失の結果をもたらす。すなわち、パッド230の表面粗さが0.2μmよりも小さいと、信号損失を低減することができる。特に、パッド230の表面粗さが0.5μmより大きい場合に比べて、パッド230の表面粗さが0.1μmより小さい場合は、信号損失率を20~30%低減できる。
【0053】
図3から図4を参照すると、第2基板200には、接着層Lを形成することができる。接着層Lは、第2絶縁層220とパッド230との間に形成可能であり、特に、第2絶縁層220とパッド230とが接する面積に対して形成可能である。ただし、接着層Lは、第2絶縁層220の表面に延長して形成することができる。また、接着層Lは、有機薄膜であって、ナノ(nano)スケールの厚さを有することができる。ここで、接着層Lは、シランカップリングを含む材料により形成することができる。一方、接着層Lは蒸着またはディッピング(dipping)方式により形成可能である。
【0054】
接着層Lは、第2絶縁層220とパッド230との間の密着力を向上させる役割をする。特に、パッド230の表面粗さが低い場合(例えば、Ra<0.2μmの場合)は、信号損失は低減するものの、パッド230と第2絶縁層220との間の密着力に問題が発生することがあるが、この密着力の問題を接着層Lにより解決することができる。接着層Lにより、パッド230と第2絶縁層220との間の剥離強度が、0.5kgf/cmよりも大きくなることができる。
【0055】
一方、第2ビア240は、接着層Lを貫通してパッド230に接続されることができる。すなわち、接着層Lは、第2ビア240とパッド230とが接触する領域には形成されない。
【0056】
図5を参照すると、第2基板200は、パッドを含まないパッドレス(padless)構造を有することができる。すなわち、第2ビア240のうち、互いに異なる第2絶縁層220に形成された隣接する2つのビア241、242は、パッドを介在せずに直接接触することができる。一般的にパッドとビアとが接触する面において、パッドの面積はビアの面積よりも大きく、このようなパッドの端部から信号損失が発生することがある。このため、パッドを含まず、ビア241、242の間に接触及び接続ができれば、パッドによる信号損失を防止することができる。
【0057】
ここで、第2ビア240がSAP法により製造されて、シード層Sとめっき層とを含む場合、2つのビア241、242のうちの1つ242のシード層は、他の1つ241のめっき層と接触する。
【0058】
また、図6を参照すると、第2基板200が上述したパッドレス構造を有し、第2ビア240の横断面積は、第2基板200の上下方向において一定であってもよい。これは第2基板200の第2絶縁層220を積層した後に、すべての第2絶縁層220を貫通するビアホールが形成され、その後にシード層S及びめっき層が形成された結果であり得る。
【0059】
再び、図1から図6を参照すると、本発明の実施例に係るアンテナモジュールは、コア層300をさらに含むことができる。
【0060】
コア層300は、第1基板100と第2基板200との間に形成され、絶縁材で形成されており、アンテナモジュールに剛性を付与することができる。一方、コア層300の誘電損失は、第1基板100の誘電損失よりも大きく、コア層300を形成する絶縁材の誘電正接は、第1基板100の第1絶縁層120の誘電正接よりも大きくてもよい。ここで、コア層300の絶縁材は、第2基板200の第2絶縁層220と類似の材料で形成され、コア層300の誘電正接は、第2基板200の第2絶縁層220の誘電正接と類似または同一であることができる。
【0061】
コア層300の一面(第1基板100と接合する面)にはフィーディングライン(feeding line)310が形成され、コア層300の内部には上記フィーディングライン310に接続する貫通ビア320が形成され、コア層300の他面(第2基板200と接合する面)には貫通ビア320に接続するビアパッド330が形成されることができる。
【0062】
ビアパッド330は、第2基板200のフィーディング部210に電気的に接続される。すなわち、第1基板100と第2基板200との間に形成されたコア層300を介して第1基板と第2基板200とが電気的に接続することができる。
【0063】
フィーディングライン310は、アンテナ部110の金属パターン130に接続及び接触して、最下層(コア層300と最も近い第1絶縁層120)に形成された複数の金属パターン130は、同一のフィーディングライン310に接続することができる。
【0064】
以上、本発明の一実施例について説明したが、当該技術分野で通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載した本発明の思想から逸脱しない範囲内で、構成要素の付加、変更、削除または追加などにより本発明を多様に修正及び変更することができ、これも本発明の権利範囲内に含まれるものといえよう。
【符号の説明】
【0065】
100 第1基板
110 アンテナ部
120 第1絶縁層
130 金属パターン
140 第1ビア
150 ソルダーレジスト層
200 第2基板
210 フィーディング部
220 第2絶縁層
230 パッド
240、241、242 第2ビア
250 ソルダーレジスト層
300 コア層
310 フィーディングライン
320 貫通ビア
330 ビアパッド
R RF処理部
C キャパシター
L 接着層
S シード層
図1
図2
図3
図4
図5
図6