(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】デスクシステム
(51)【国際特許分類】
A47B 83/04 20060101AFI20221129BHJP
A47B 13/02 20060101ALI20221129BHJP
A47B 13/00 20060101ALI20221129BHJP
【FI】
A47B83/04
A47B13/02
A47B13/00 Z
(21)【出願番号】P 2018172780
(22)【出願日】2018-09-14
【審査請求日】2021-07-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000152228
【氏名又は名称】株式会社内田洋行
(74)【代理人】
【識別番号】100113608
【氏名又は名称】平川 明
(74)【代理人】
【識別番号】100123098
【氏名又は名称】今堀 克彦
(74)【代理人】
【識別番号】100146330
【氏名又は名称】本間 博行
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼澤 彩香
(72)【発明者】
【氏名】丸山 高央
(72)【発明者】
【氏名】立川 秀樹
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3069944(JP,U)
【文献】特開2010-022620(JP,A)
【文献】特開平09-023938(JP,A)
【文献】実開平07-016632(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 1/00-41/06
A47B 83/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板と、前記天板を、使用者が起立した姿勢で使用可能な位置に支持する脚部材と、前記天板よりも低い位置に設けられ、前記使用者が椅子に着席した姿勢で足を乗せることができる足置き台とを備えるデスクと、
前記デスクの
前記天板の下に配置されて用いられるワゴンであって
、前記デスクの前記天板よりも低い位置に設けられ前記デスクの幅方向に延設される足置き台と干渉しないように、
前記ワゴンの幅の両端間にわたって凹んだ第1の凹部を備え
るワゴン
と、
を備え、
前記デスクの足置き台の一部分が、前記ワゴンの前記第1の凹部に収容される
デスクシステム。
【請求項2】
前記第1の凹部は、
前記ワゴンの背面から前面に向かってほぼ水平に凹んだスリットである
請求項1に記載の
デスクシステム。
【請求項3】
前記ワゴンの上部にサイドキャビネットを載置する載置面を備える
請求項1又は2に記載の
デスクシステム。
【請求項4】
前記載置面に、
前記サイドキャビネットのキャスター又はアジャスターを収容するための第2の凹部を備える
請求項3に記載の
デスクシステム。
【請求項5】
前記載置面に、前記サイドキャビネットの底部と係合する接続部材を備える
請求項3又は4に記載の
デスクシステム。
【請求項6】
前記ワゴンの上部に前記サイドキャビネットを備え、
前記サイドキャビネットの底部と前記接続部材とが係合する
請求項5に記載の
デスクシステム。
【請求項7】
前記ワゴンの底面にキャスターをさらに備える
請求項1から6のいずれか一項に記載の
デスクシステム。
【請求項8】
前記ワゴンの前面が開口し、
前記ワゴンの内部に物品を収容するための空間を備える
請求項1から7のいずれか一項に記載の
デスクシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワゴン及びデスクシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のデスクを連結してこれらに構成部材を共有させる連結デスクにおいて、各デスクの高さを独立して設定できるようにしたものが提案されている(例えば、特許文献1)。当該技術では、天板と脚部材との間に接続され、天板の高さを脚部材の上端よりも高い位置に支持する側面支持部材を用いる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、使用者が起立した姿勢で使用できる連結デスクは提案されていた。このようなデスクを着席した姿勢で使用したい場合は、天板の高さに応じて座面が一般的な家具よりも高いフットリング付の椅子を使用する事が多かった。しかしながら、座面の高いフットリング付の椅子ではデスクの使用者はデスク使用時の足を載せる場所が限定されるために自由な姿勢をとりづらく、長時間の使用に向かないという問題があった。また、仮に、使用者が着席した状態でも適切な姿勢で使用できるよう、例えばデスクの両端の脚部間に、使用者の足を載せるための足置き台を設ける場合、一般的なデスクワゴン(サイドキャビネット、脇机)等と干渉し、天板の下の空間に収容することができないという問題が生じる。
【0005】
そこで、本発明は、足置き台を備えるデスクにもデスクワゴンを収容できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るワゴンは、デスクの天板の下に配置されて用いられる。また、ワゴンは、デスクの天板よりも低い位置に設けられデスクの幅方向に延設される足置き台と干渉しないように、自装置の幅の両端間にわたって凹んだ第1の凹部を備える。また、第1の凹部は、自装置の背面から前面に向かってほぼ水平に凹んだスリットであってもよい。
【0007】
このようにすれば、足置き台を備えるデスクの下にもワゴンを収容できるようになる。なお、ワゴンは、一般的なオフィス用のサイドキャビネットを載置するためのものであってもよいし、一体的に形成され、第1の凹部を備える収納家具であってもよい。
【0008】
また、自装置の上部にサイドキャビネットを載置する載置面を備えるようにしてもよい。このようにすれば、サイドキャビネットとワゴンとが分離する構成において、自装置のみでサイドキャビネットを支持することができる。この様な分離構造とする事で、足置き台を使用しない際には、自装置と分離する事で流用することが可能となる。
【0009】
また、ワゴンは、載置面に、サイドキャビネットのキャスター又はアジャスターを収容するための第2の凹部を備えるようにする事で、一般的なサイドキャビネットをそのまま載置することができ、安定性も向上する。
【0010】
また、ワゴンは、載置面に、サイドキャビネットの底部と係合する接続部材を備えるようにしてもよい。また、ワゴンは、自装置の上部にサイドキャビネットを備え、サイドキャビネットの底部と連結部とが係合するようにしてもよい。サイドキャビネットとワゴンとを連結することにより、安定性を向上させることができる。
【0011】
また、ワゴンは、自装置の底面にキャスターをさらに備えるようにしてもよい。このようにすれば、使用者はワゴンを容易に移動させることができる。
【0012】
また、ワゴンは、自装置の前面が開口し、自装置の内部に物品を収容するための空間を備えるようにしてもよい。このようにすれば、空間を有効に活用できる。
【0013】
また、本発明の他の側面に係るデスクシステムは、上述したワゴンに加え、天板と、天板を、使用者が起立した姿勢で使用可能な位置に支持する脚部材と、天板よりも低い位置に設けられ、使用者が椅子に着席した姿勢で足を乗せることができる足置き台とを備えるデスクを備え、デスクの足置き台の一部分が、ワゴンの第1の凹部に収容される。このようにすれば、足置き台を備えるデスクにもサイドキャビネットを収容できるようになる。
【0014】
なお、上記課題を解決するための手段の内容は、本発明の課題や技術的思想を逸脱しない範囲で可能な限り組み合わせることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、足置き台を備えるデスクにもサイドキャビネットを収容できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、デスクワゴンの一例を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、デスクワゴンの一例を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、デスクワゴンとデスクとを含むデスクシステムの一例を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、デスクワゴンの一例を示す分解斜視図である。
【
図7】
図7は、デスクワゴンの一例を示す右側面図である。
【
図8】
図8は、デスクシステムの使用状態の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、変形例に係るデスクワゴンの一例を示す右側面図である。
【
図10】
図10は、変形例に係るデスクワゴンの一例を示す右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。
【0018】
<全体構成>
図1及び
図2は、本実施形態に係るデスクワゴンの一例を示す斜視図である。
図1には、デスクワゴン10の正面、平面(上面)、右側面が表れている。
図2には、デスクワゴン10の背面、平面、右側面が表れている。なお、図面に方向を示す通り、後述する引出しが開く方向を前、その逆を奥又は後ろと呼ぶものとする。また、前からデスクワゴン10に向かって左右をそれぞれ左、右と呼び、鉛直方向上下をそれぞれ上、下と呼ぶ。
【0019】
また、デスクワゴン10は、本実施形態に係るワゴン1と、サイドキャビネット2とを含む。サイドキャビネット2は、引出しを備え、一般的なデスクの下に収納できる、例えばオフィス向けの一般的な収納家具である。ワゴン1は、その上部にサイドキャビネット
2を載置することができる台である。また、ワゴン1には、その幅方向の両端間にわたり、その背面から前方に向けて凹んだ、水平なスリット状の空隙11が設けられている。スリット状の空隙11は、本発明に係る「第1の凹部」に相当する。
【0020】
図3は、デスクワゴンとデスクとを含むデスクシステムの一例を示す斜視図である。デスクシステム30は、上述したワゴン1及びサイドキャビネット2、並びにデスク3を含む。デスク3は、使用者が起立した姿勢で使用することができる。例えば、一般的なオフィス用デスクの天板の高さは、床面から700mmから720mm程度であるところ、本実施形態に係るデスク3の天板32の高さは950mmから1100mm程度が好ましい。また、使用者は、一般的な高さよりも座面の高い椅子(「ハイチェア」とも呼ぶ。図示せず)に座ってデスク3を使用することもできる。ハイチェアの座面の高さは、例えば天板32の高さよりも200mmから350mm程度低い位置が好ましい。また、デスク3は、使用者がハイチェア等の椅子に着席して使用する際に足を載せることができる足置き台31を備える。足置き台31は、デスク3の幅方向の両端に設けられた脚部33に、例えばアングル等の接続部材を介してほぼ水平に保持される板状の部材である。すなわち、足置き台31は、デスクの天板よりも低い位置に設けられ、デスクの幅方向に延設される。また、足置き台31の前方の端部は、天板32の前方の端部よりも奥まった位置に存在し、デスクの下に椅子を収納する際に椅子の足と干渉することが低減され、また、使用者が足をぶつける可能性も低減される。また、デスク3における足置き台31から天板までの距離は、一般的なデスクにおける床面から天板までの距離とほぼ等しい。したがって、使用者がデスク3を、着席した姿勢で使用する場合においても、使用者は望ましい姿勢をとることができる。
【0021】
また、
図3に示すように、ワゴン1の空隙11は、足置き台31と干渉しないような位置に設けられている。サイドキャビネット2は、仮にデスク3の天板32の下に収容しようとしても、足置き台31と衝突するため奥までは入らない。しかし、サイドキャビネット2をワゴン1の上に載置することで、サイドキャビネット2を足置き台31の上部に保持すると共に、空隙11に足置き台31を挿入することができ、デスク3の天板32の下の空間の奥までデスクワゴン10を入れることができる。
【0022】
図4及び
図5は、ワゴンの一例を示す斜視図である。
図4には、ワゴン1の正面、右側面及び平面が表れている。
図5には、ワゴン1の背面、左側面及び底面が表れている。ワゴン1は、ほぼ直方体形状の台である。その側面12の上方には、背面側から前方側に向かってほぼコ字状に凹んだ凹部があり、空隙11を形成する。また、ほぼ長方形である上面13は、サイドキャビネット2が載置される載置面である。上面13の四隅には、載置されるサイドキャビネット2のキャスター又はアジャスターと対応する位置に、これらを収容するための凹部131が設けられている。凹部131は、本発明に係る「第2の凹部」に相当する。また、上面13には、サイドキャビネット2を載置した状態で固定するための接続部材を接続するためのねじ穴132が設けられている。また、ワゴン1の正面側は開口しており、2つの側面12、上面13及び底面14とで囲われた空間15が設けられている。空間15は、書類や鞄等の物品を収容するための収納として利用することができる。また、ワゴン1の背面側には、空間15の奥の端部を塞ぐ背面16が設けられている。背面16と上述した上面13との間には、スリット状の空隙11が設けられている。空隙11は、ワゴン1の幅方向の両端間にわたり、背面側から正面側に向かってほぼ水平に設けられている。また、空隙11の奥行きは、足置き台31の奥行き程度の長さであり、ワゴン1をデスク3の奥に収容する場合に足置き台31と空隙11とが干渉しないようになっている。空隙11の底面側には、上述した空間15の上面の一部を形成する平板状の平板部材17が設けられている。また、空隙11の正面側の端部には、平板状の壁部材18が設けられている。また、ワゴン1の底面の鉛直下方の四隅には、キャスター19が設けられている。すなわち、ワゴン1は、使用者が容易に移動させられる台車になってい
る。なお、ワゴン1は、一般的なスチール等で形成することができる。
【0023】
図6は、デスクワゴンの一例を示す分解斜視図である。
図7は、デスクワゴンの一例を示す右側面図である。
図7の側面図は、ワゴン1及びサイドキャビネット2の内部の構造の一部を破線で表している。サイドキャビネット2は、その底面に開口部を有している。そして、使用者は、引出し21を引き抜いて取り外すことで、開口部の端部22に本実施形態に係る接続部材133を係合させることができる。開口部の端部22は、水平方向に突出する板状の凸部になっており、接続部材133と係合される被係合部として機能する。また、本実施形態に係る接続部材133は、断面形状がZ形のZ形鋼であり、平板状の中央部の両端に、それぞれ逆方向にほぼ直角に曲げられた2つの端部を有する。接続部材133の左右方向の幅はサイドキャビネット2の底面の開口部の幅よりも小さく、接続部材133の中央部の長さは、開口部の端部22の厚さよりも大きい。そして、接続部材133の一端を開口部の端部22に掛け、他端をねじ(図示せず)でワゴン1の上面13のねじ穴132に接続する。また、サイドキャビネット2の底面の開口は、対向する位置に端部22を少なくとも2つ有しており、少なくとも2つの端部22が接続部材133を介してワゴン1と接続されるものとする。
【0024】
このようにして、既存のサイドキャビネット2にはねじ穴等を設けることなく、ワゴン1と接続することができる。なお、接続部材133の形状はZ形鋼には限られず、サイドキャビネット2側の被接続部の形状に合わせて適宜変更することができる。また、サイドキャビネット2側にねじ穴等を設けて接続するようにしてもよい。
【0025】
図8は、本実施形態に係るデスクシステムの使用状態の一例を示す図である。ワゴン1は、サイドキャビネット2の底面を、足置き台31とほぼ同じ高さに保持する。本実施形態に係るワゴン1によれば、起立した姿勢で使用できる高さのデスク3に、ハイチェア4に着座して使用するための足置き台31を設けた場合であっても、サイドキャビネット2が足置き台31と干渉せずにデスク3の下に収容できるようになる。また、ワゴン1の奥行きはサイドキャビネット2の奥行以下であり、はみ出すことなくデスクワゴン10をデスク3の下に収容することができる。なお、足置き台31から天板32までの高さは、床面から一般的なデスクの天板までの高さとほぼ同じである。したがって、使用者は、ハイチェア4に座った状態で、サイドキャビネット2に収容物を出し入れすることができる。
【0026】
<変形例>
図9は、変形例に係るデスクワゴンの一例を示す右側面図である。本変形例では、ワゴン1の空隙11はスリット状でなく、側面視において段付きになった切欠きである。すなわち、ワゴン1は前後に2段の階段状の上面を有し、前方の上段にはサイドキャビネット2の前方の一部が載置される。後方の下段は、デスク3の足置き台31の下方に収容される。そして、サイドキャビネット2の後方の一部は足置き台31上に載置される。また、ワゴン1とサイドキャビネット2とを接続する接続部材をさらに備えていてもよい。
【0027】
このような構成であっても、ワゴン1は、サイドキャビネット2を足置き台31とほぼ同じ高さに保持することができる。したがって、起立した姿勢で使用できる高さのデスクに、ハイチェアに着座して使用するための足置き台を設けた場合であっても、サイドキャビネットが足置き台と干渉せずにデスクの下に収容できるようになる。
【0028】
図10は、他の変形例に係るデスクワゴンの一例を示す右側面図である。本変形例に係るデスクワゴン10は、ワゴン1とサイドキャビネット2とが一体に形成され、分離しないようになっている。また、背面にはスリット状の空隙11が設けられ、デスク3の下に収容する場合に足置き台31と干渉しないようになっている。また、
図10の例では空間15に代えて、最下段にも引出し21を備えている。なお、引出し21の内部は、書類や
鞄等の物品を収容するための空間といえる。
【0029】
なお、説明した実施形態及び変形例は例示であり、本発明は上述した態様には限定されない。上述した態様の一部は、本発明の課題や技術的思想を逸脱しない範囲で、他の態様と可能な限り組み合わせることができる。
【0030】
ワゴン1は、その底面に、床面に対して付勢しワゴン1の移動を規制するためのロック機構を備えるようにしてもよい。また、ワゴン1のキャスター19にその回転を抑制しワゴン1の移動を規制するためのロック機構を備えるようにしてもよい。これらのロック機構によれば、使用者が座面の高い椅子に座ってサイドキャビネット2から物品を出し入れする場合であっても、ワゴン1の移動を規制できるため、安全性が向上する。また、ワゴン1は、凹部131、接続部材133、キャスター19等を備えず、単にサイドキャビネット2を載置するものであってもよい。
【符号の説明】
【0031】
30 :デスクシステム
10 :デスクワゴン
1 :ワゴン
11 :空隙
12 :側面
13 :上面
131 :凹部
132 :ねじ穴
133 :接続部材
14 :底面
15 :空間
19 :キャスター
2 :サイドキャビネット
21 :引出し
22 :開口の端部
3 :デスク
31 :足置き台
32 :天板
33 :脚部
4 :ハイチェア