(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】ダイレクト・ツー・メッシュ・スクリーンの作成
(51)【国際特許分類】
B41C 1/14 20060101AFI20221129BHJP
B41F 15/36 20060101ALI20221129BHJP
B41N 1/24 20060101ALI20221129BHJP
【FI】
B41C1/14
B41F15/36 Z
B41N1/24
(21)【出願番号】P 2020572713
(86)(22)【出願日】2018-07-04
(86)【国際出願番号】 EP2018068047
(87)【国際公開番号】W WO2020007457
(87)【国際公開日】2020-01-09
【審査請求日】2021-05-10
(73)【特許権者】
【識別番号】519245622
【氏名又は名称】デュラルクローム アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】ハーウェル、ジョン セシル
(72)【発明者】
【氏名】ヘルモン、シュロモ
(72)【発明者】
【氏名】クラインマン、アレクサンダー
【審査官】井出 元晴
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05819653(US,A)
【文献】米国特許第06230618(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0297021(US,A1)
【文献】特開2009-028909(JP,A)
【文献】特開2015-189901(JP,A)
【文献】特開2009-051062(JP,A)
【文献】特開2015-131456(JP,A)
【文献】特開2016-193416(JP,A)
【文献】特開平06-071839(JP,A)
【文献】特開平11-188833(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41C 1/14
B41F 15/36
B41N 1/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクリーン・ステンシルを作成するためのダイレクト・ツー・メッシュ・スクリーン・プリンタであって、
・噴射可能なエマルジョンを塗布する間、予備伸張されたメッシュを所定の位置に保持するためのフレームと、
・フレームを保持するための固定具と、
・予備伸張されたメッシュの片側上に剥離液を保持するためのプラテンと、
・前記プラテンまたは前記メッシュ上に前記剥離液を供給する剥離液ディスペンサと、
・予備伸張されたメッシュの前記プラテンとは反対側に噴射可能なエマルジョンを印刷するためのプリントヘッドを支持するプリンタキャリッジと、
を含んでなるダイレクト・ツー・メッシュ・スクリーン・プリンタ。
【請求項2】
前記固定具は、前記噴射可能なエマルジョンの塗布中に、前記予備伸張されたメッシュを有する前記フレームを所定の位置に堅固に保持するように構成された、請求項1に記載のダイレクト・ツー・メッシュ・スクリーン・プリンタ。
【請求項3】
前記プラテンは、前記剥離液を前記予備伸張されたメッシュの底部に対して堅固に保持するように構成された、請求項1に記載のダイレクト・ツー・メッシュ・スクリーン・プリンタ。
【請求項4】
前記プラテンは、平滑であり、固く、前記剥離液を透過させず、へこみ及び亀裂に対して耐性がある、請求項3に記載のダイレクト・ツー・メッシュ・スクリーン・プリンタ。
【請求項5】
前記剥離液は、プラテンに、又は前記メッシュが前記プラテンに載置されたときに前記メッシュに直接に、極めて薄く、均一に塗布され、前記噴射可能なエマルジョンを塗布中に前記メッシュが前記プラテンに付着するのを防止する、請求項1に記載のダイレクト・ツー・メッシュ・スクリーン・プリンタ。
【請求項6】
前記剥離液は、ドットゲインを抑制すると同時に、滑らかで硬化後の前記噴射可能なエマルジョンに対して反応しない表面を提供するように構成される、請求項1に記載のダイレクト・ツー・メッシュ・スクリーン・プリンタ。
【請求項7】
前記剥離液は、水と、前記剥離液の蒸発を防止するのに十分な量の少なくとも1つの乳化剤とを含む、請求項1に記載のダイレクト・ツー・メッシュ・スクリーン・プリンタ。
【請求項8】
前記噴射可能なエマルジョンは、約4cP~約15cPの低粘度を有し、耐久性及び可撓性/弾性の両方を有する、請求項1に記載のダイレクト・ツー・メッシュ・スクリーン・プリンタ。
【請求項9】
前記噴射可能なエマルジョンは、硬化後にエラストマとしての性質を有するUV活性化アクリレートモノマーである、請求項8に記載のダイレクト・ツー・メッシュ・スクリーン・プリンタ。
【請求項10】
前記噴射可能なエマルジョンを硬化させ、スクリーン印刷のためのステンシルを形成するためのUV源をさらに含む、請求項1に記載のダイレクト・ツー・メッシュ・スクリーン・プリンタ。
【請求項11】
・噴射可能なエマルジョンの塗布中に予備伸張されたメッシュを所定の位置に保持するように構成されたフレームを保持するための固定具と、予備伸張されたメッシュの一方の側に対して剥離液を保持するためのプラテンと、前記予備伸張されたメッシュの前記プラテンとは反対側の側に噴射可能なエマルジョンを印刷するための印刷ヘッドを支持するプリンタキャリッジと、を含む、ダイレクト・ツー・メッシュ・スクリーン・プリンタを提供することと、
・フレームを固定具に配置することと、
・前記プラテン又はメッシュに剥離液を塗布することと、
・前記プラテンと前記メッシュとを緊張させることと、
・前記噴射可能なエマルジョンをメッシュに塗布することと、
・前記噴射可能なエマルジョンをUV放射を用いて硬化させることと、
を含むプロセス。
【請求項12】
硬化したエマルジョンがスクリーン・ステンシルを形成し、このスクリーン・ステンシルの開口部が表面上に画像を形成するために使用される、請求項11に記載のプロセス。
【請求項13】
前記剥離液は、硬化後に前記噴射可能なエマルジョンに付着しないと同時に、ドットゲインを抑制するように構成されている、請求項11に記載のプロセス。
【請求項14】
前記剥離液は、水と、前記剥離液の蒸発を防止するのに十分な量の少なくとも1つの乳化剤とを含む、請求項11に記載のプロセス。
【請求項15】
前記噴射可能なエマルジョンは、硬化後にエラストマ性質を有するUV活性化アクリレートモノマーである、請求項11に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2017年1月5日に出願された出願番号PCT/EP2017/050214に基づいて優先権を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
スクリーン印刷は、ブロッキング・ステンシルとも称されるスクリーン印刷ステンシルによってインクに対して不透過性にされた領域を除いて、メッシュを使用してインクを基材上に転写する印刷技術である。ブレードまたはスクイージを、スクリーンを横切るように移動させて、開いたメッシュ開口にインクを充填し、次いで逆ストロークによって、スクリーンを接触線に沿って瞬間的に基板に接触させる。これによってブレードが通過後スクリーンが跳ね返るときにインクによって基板が濡らされ、メッシュ開口から引き離される。
【0003】
スクリーン印刷ステンシルの作成は、面倒で労働集約的な仕事である。それは、多くのプロセスステップ、化学薬品、大量の水を必要とするものであり、大部分は手作業で行われる。これは、現在のスクリーン印刷ビジネスの最も自動化されていない部分である。
【図面の簡単な説明】
【0004】
本開示の実施例は、以下の詳細な説明及び図面を参照することによって明らかになる。図面において、類似の参照番号は、同一ではないが同様な構成要素に対応する。簡潔にするために、前に述べた機能を有する参照番号または参照特徴を、それらが現れる他の図面に関連して説明してもしなくてもよい。
【0005】
【
図1】
図1は、本開示の一例による、ダイレクト・ツー・メッシュ・プリンタを示す。
【0006】
【
図2A】
図2Aは、本開示の一例による、ダイレクト・ツー・メッシュ・スクリーン・プリンタを使用する、スクリーン印刷におけるプロセスの要素を断面図で示す。
【
図2B】
図2Bは、本開示の一例による、ダイレクト・ツー・メッシュ・スクリーン・プリンタを使用する、スクリーン印刷におけるプロセスの要素を断面図で示す。
【
図2C】
図2Cは、本開示の一例による、ダイレクト・ツー・メッシュ・スクリーン・プリンタを使用する、スクリーン印刷におけるプロセスの要素を断面図で示す。
【
図2D】
図2Dは、本開示の一例による、ダイレクト・ツー・メッシュ・スクリーン・プリンタを使用する、スクリーン印刷におけるプロセスの要素を断面図で示す。
【
図2E】
図2Eは、本開示の一例による、ダイレクト・ツー・メッシュ・スクリーン・プリンタを使用する、スクリーン印刷におけるプロセスの要素を断面図で示す。
【0007】
【
図3A】
図3Aは、本開示の一例による、現在の技術(
図3A)と本明細書の開示(
図3B)との間の比較を提供する、メッシュ上のエマルジョンを概略的に示す。
【
図3B】
図3Bは、本開示の一例による、現在の技術(
図3A)と本明細書の開示(
図3B)との間の比較を提供する、メッシュ上のエマルジョンを概略的に示す。
【0008】
【
図4】
図4は、本開示の一例によるスクリーン印刷の方法を示すフローチャートである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
スクリーン印刷のためのステンシルを形成するためにメッシュを直接コーティングするための以前の解決策のいくつかの例がある。これらについて説明する。
【0010】
・メッシュの準備とコーティング:
エマルジョンの直接塗布:エマルジョンの直接塗布は、機械または手作業のいずれかで行われる。適切な被覆を確実にするために、スクリーンの両面をエマルジョンで被覆しなければならない。機械即ち自動化バージョンは、厳密には、人間に取って代わる機械である。この機械は、はるかに正確に正確な量のエマルジョンを塗布し、均一な被覆率を得る。この機械は、一般に無駄が少ない。
【0011】
毛細管フィルム:毛細管フィルムは、エマルジョンで事前にコーティングされたフィルムである。メッシュを水で過飽和にし、フィルム(エマルジョン側を下にして)を過飽和メッシュに対して配置する。エマルジョンは、毛細管作用によってメッシュ内に引き込まれる。これによって、厚さ及びカバーの両方におけるエマルジョンのより正確なコーティングが与えられる。エマルジョンがメッシュ内に拡散すると、フィルムは剥がされる。
【0012】
エマルジョンがスクリーンメッシュに浸透すると、スクリーンメッシュを乾燥しなければならない。スクリーンメッシュが乾燥すると像転写又はステンシルの作成が可能となる。エマルジョンは乾燥すると収縮し、メッシュに従った形状となり、粗く、平坦でない表面を生じさせる。(この粗い表面は、印刷プロセスにおいてスクイージの老化を加速させる。)
【0013】
今日のほとんどのエマルジョンは、紫外線(UV)放射によって活性化される(すなわちUV活性化)が、可視光で活性化してもよい。一旦コーティングされると、ステンシルは、いかなる光への露出からも保護されなければならない(通常の可視光でさえ、硬化プロセスを開始するのに十分なUVを有する)。以下、エマルジョンはUV活性化/硬化されるものと考えられる。
【0014】
画像転写/ステンシル作成:
スクリーン印刷では、各色、典型的にはシアン、マゼンタ、イエロー、及びブラック(CMYK)に加えて各スポットカラーごとに1つのステンシルがある(スポットカラーは、通常、CYMK色では容易に達成できない離散色に基づくものである)。インクを通過させたくないステンシルの領域は、ステンシルを形成するために引き続いて硬化されるエマルジョンによってブロックされ、他の全ての領域はメッシュのみを有する。メッシュの任意の開口部は、ステンシルを形成するために、エマルジョンによって完全にブロックされてもよく、または部分的にブロックされてもよい。
【0015】
フィルムポジティブインク:完全に黒色のUV吸収層をプラスチックの透明シート上に印刷する。印刷は、通常、特殊フィルムポジ型インク(フィルムポジ型インクとは、すべての可視光及びUV光を完全に遮断する高不透明度黒色インクを意味する)を用いてレーザまたはインクジェットプリンタによって行われる。次に、フィルムをプレコートメッシュに付着させ、UV光で露光する。取り付けは、通常、取り外し可能なテープ(マスキングテープなど)によって行われる。露光後、フィルムを除去し、未硬化エマルジョンを洗い流す。
【0016】
しかし、このアプローチは、すべての段階で非常に労働集約的であり、多くのステップを自動化することは不可能である。さらに、正しいフィルムを使用して印刷前に最終的なステンシルを調整するフィルムを取り付ける間にエラーが生じやすい。大量の消耗品(インクやフィルム)に加えて大量の化学薬品や洗浄剤が必要である。
【0017】
サーマルスクリーン:
この方法においては、メッシュは、熱活性化エマルジョンでプレコートされる。典型的には、メッシュ(フレームなし)をサーマルプリンタに入れ、そこでエマルジョンを直接硬化/活性化する。完了したら、未露光エマルジョンを洗い落とし、ステンシルをフレーム上に載せ、印刷する。
【0018】
しかしながら、このアプローチにおいてはメッシュカウントが制限される。また、エマルジョンはそれほど強固ではない。前処理されたメッシュは高価である。ステンシルの位置合わせは、より徹底的に行う必要がある。最後に、ステンシルは、取り付けられている間に損傷を受ける可能性がある。
【0019】
コンピュータ・トゥ・スクリーン(CtS)印刷:
この方法では、コーティングされたメッシュが高不透明度の黒色インクで乳化スクリーン上に直接印刷される。これは、フィルムなしのフィルムポジティブインクと同様である。全てのプロセスは同じである。
【0020】
しかしながら、これらの機械は、高不透明度インクを必要とするが、この高不透明度インクは、通常のインクジェットインクよりも高価である。
【0021】
CtS_Wax:
この方法は、CtS印刷に近縁であるが、UV光を遮断するためにワックスを使用する。それ以外は全て同じである。
【0022】
しかしながら、溶融ワックスを使用するため、これらの機械は取り扱いが難しい可能性がある。さらに、ワックスを、メッシュに塗布するために加熱することが要求される。
【0023】
CtS直接露光:
この技術は、UVレーザを使用してエマルジョンを直接露光する。
【0024】
しかしながら、この技術で使用される機械は、典型的には非常に高価である。さらに、このプロセスは、粗いグレードのメッシュではうまく機能しない。最後に、UVレーザは、交換を必要とする場合、依然として非常に高価である。
【0025】
上記の方法の各々は、いくつかの後処理/追加処理(follow-up)を必要とする。熱活性化及びCtS直接露光を除いて、すべてのステンシルは、画像ブロッキングが適用された後に露光されなければならない(フィルムまたはCtS印刷及びワックスのいずれか)。このプロセスは、強力な現像剤を用いてスクリーン当たり約1~2分を要する。
【0026】
すべてのスクリーンは、余分なエマルジョンを洗い流さなければならない。エマルジョンが排水系に入らないように注意しなければならない。洗浄後、スクリーンを乾燥させなければならない。
【0027】
フィルム及び熱活性化方法の場合、適切な位置合わせが確実になされるように、完成したステンシルをカルーセル上に配置したときに微調整しなければならない。
【0028】
より少ない化学薬品及びより少ない水を使用するより単純なアプローチが望ましいことは、現在の技術の前述の説明から明らかである。
【課題を解決するための手段】
【0029】
本明細書に開示され、特許請求されるように、本明細書の開示によれば、ステンシルを形成するためのDtM(ダイレクト・ツー・メッシュ)アプローチは、インクジェット技術を使用してエマルジョンをスクリーン上に直接塗布し、活性化/露光することを含む。特に、本明細書の開示によれば、DtMスクリーン・プリンタは、以下を含む。
・噴射可能なエマルジョンを塗布する間、予備伸張されたメッシュを所定の位置に保持するためのフレーム、
・フレームを保持するための固定具、
・予備伸張されたメッシュの一方の側に対して剥離液を保持するためのプラテン、
・前記プラテンまたはメッシュ上に前記剥離液を供給する剥離液ディスペンサ、
・予備伸張されたメッシュのプラテンと反対側に噴射可能なエマルジョンを印刷するための印刷ヘッドを支持するプリンタキャリッジ。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1は、ダイレクト・ツー・メッシュ(DtM)プリンタ100のブロック図を示す。DtMプリンタ100は、フレーム114によって所定位置に保持された予備伸張されたメッシュ112を備えるメッシュ支持システム110を含む。フレーム114は、固定具116によって保持される。固定具116は、噴射可能なエマルジョンの塗布中に、予備伸張されたメッシュ112を有するフレーム114を所定の位置に強固に保持する。
【0031】
ここで使用されるように、メッシュ112は、織物、繊維、金属、または他の可撓性/延性材料の接続されたストランドから作られ、ここでは十字パターンで織られる。メッシュを構成する材料は、幾種類もの織物(シルク、ポリエステル)、ステンレス鋼のような金属、ポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロン、ポリ塩化ビニル(PVC)若しくはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のようなプラスチック、またはガラス繊維のいずれであってもよい。ストランドの直径は、スクリーン印刷において一般的な任意の直径であってもよく、メッシュサイズは、スクリーン印刷において一般的な任意のサイズであってもよい。より粗いメッシュは、通常、より大きな直径(ゲージ)のストランドで織られるが、このメッシュにはエマルジョンをより厚く塗布する必要がある。
【0032】
DtMプリンタ100は、さらに、プラテン124によって予備伸張されたメッシュ112の一方の側に保持された剥離液122を包含するプラテン支持システム120を含む。プラテン124は、剥離液122を、予備伸張されたメッシュ112の底部に対して堅固に保持する。プラテン124は、できるだけ滑らかであって、液体を透過させず、且つへこみや亀裂に耐えるように構成されている。プラテン124は、また、UV光源208からのエネルギーを分散させるように機能する(
図1ではなく、
図2Dに示す)。
【0033】
剥離液122は、噴射可能なエマルジョンを塗布するまでに、プラテン124に直接塗布しても、プラテン上において位置決めしたメッシュ112に塗布してもよい。例えばプラテン124に剥離液122を導入し、または塗布する液体ディスペンサ126は、1以上のスプレー126を有してよい。前記スプレー126は、通常の噴霧器またはスプレー型要素を有していてよい。
【0034】
前記剥離液122は、硬化エマルジョンと反応しないことにより、印刷媒体中に広がる印刷流体の効果であるドットゲインを抑制する。エマルジョン液を噴射した後、硬化が非常に速く起こるので、ドットゲインは短期間だけ抑制する必要がある。
【0035】
最後に、DtMプリンタ100は、プリンタキャリッジ134に取り付けられたプリントヘッド132を含むインクジェットプリンタ130を包含する。プリントヘッド132は、予備伸張されたメッシュ112のプラテン124とは反対側に、噴射可能なエマルジョンを印刷するように構成されている。プリンタキャリッジ134は、デカルト座標系におけるX方向及びY方向の両方において正確な高精度プリンタキャリッジであり、噴射可能なエマルジョンを堆積する間、1つまたは複数のパスにわたる正確な液滴配置を支援する。実際、エマルジョンは、非常に細かいものから極めて粗いものまでの広範囲のメッシュゲージに適合するように「堆積(build up)」することができる。積層化は、エマルジョンを堆積する際に高解像度を維持するために使用することができる。
【0036】
プリントヘッド132は、サーマルインクジェット、圧電インクジェット、ドロップオンデマンドインクジェット、または本明細書に開示される噴射可能なエマルジョンを含み、流体を噴射することができる他の適切な噴射プリントヘッドなどのインクジェットプリントヘッドであってもよい。
【0037】
スクリーンメッシュ112は、いかなるタイプのものであってもよく、高価なものであっても安価なものであってもよく、任意のゲージであってもよいが、フレーム114上に延伸される。フレーム114は、プラテン124上に置かれている剥離液122と共にインクジェットプリンタ130内に配置される。次いで、噴射可能なエマルジョンをインクジェットプリンタ130によってマスキング領域に塗布し、高強度UVランプまたはUV発光ダイオード(LED)などの他の適切なUV源で実質的に同時に露光する。UVランプ(またはLED)は、最適な性能を実現するために、噴射可能なエマルジョンの反応範囲に合わせることができる。本明細書に開示される噴射可能なエマルジョンの場合、エマルジョンは395ナノメートル(nm)の波長で反応する。他の噴射可能なエマルジョンは、395nm未満を含む他の反応波長を有してもよい。粗いメッシュの場合、エマルジョンを必要な厚さに積層するために、塗布はマルチパス操作であってもよい。「粗いメッシュ」とは、目の粗い織りを有し、したがって細かいメッシュスクリーンよりもストランド間のギャップが大きいメッシュを意味する。例えば、335メッシュカウントは細かいメッシュであると考えられ、一方、110メッシュカウントは粗いメッシュであると考えられる。ここで、メッシュカウントは平方インチ当たりのスレッド交差の数である。
【0038】
本明細書に開示されるダイレクト・ツー・メッシュ法は、最近の低粘度噴射可能なエマルジョンの開発によって可能になった。「低粘度」とは、約4センチポアズ(cP)~約15cP(約4ミリパスカル・秒~15ミリパスカル・秒)の範囲を意味する。これらの新しい噴射可能なエマルジョンは、UVプリンタを用いて多種多様な材料上にエンボス効果を作り出すために使用される。これらの新しい噴射可能なエマルジョンはまた、より弾性があり、したがって、以前のエマルジョンの代替物としてより容易に使用することができる。透明即ちクリアを含む任意の色を噴射可能なエマルジョンに使用することができるが、薄いシアンまたは薄いマゼンタを使用して、ステンシルを検証するためにわずかなコントラストを提供することができる。透明即ちクリアを含む任意の色を噴射可能なエマルジョンに使用することができるが、薄いシアンまたは薄いマゼンタを使用して、ステンシルを検証するためのわずかなコントラストを提供することができる。
【0039】
本明細書に開示されるプロセスにおいて適切に使用され得る噴射可能なエマルジョンの例は、硬化後にエラストマとしての性質を有するUV活性化アクリレート・モノマーである。噴射可能なエマルジョンは、基材上に迅速に堆積して硬化し、高耐久性層及び高抵抗性層の両方を形成する特殊なエンボス加工「ワニス」ポリマーである。硬化したポリマーはまた、耐久性があり、可撓性/弾性である(ポリマーが硬い場合、使用中に容易に亀裂が入り、ステンシルを役に立たなくする)。VersaUV(Roland DG)技術は、本明細書の開示の実施において有用であり得る材料の一例である。
【0040】
剥離液122は、メッシュ112の下に滑らかで反応性のない印刷面を提供するように構成される。また、印刷されたエマルジョンのドットゲインを制限する役割も果たす。ドットゲインは、噴射された液滴(即ちドット)がUV露光前に膨張または広がったときに発生する。これは、ハーフトーンを採用する場合、つまりメッシュ内の空間全体がエマルジョンで満たされていない場合に特に重要である。しかしながら、エマルジョンが噴射された後、UV硬化が非常に速く起こるので、ドットゲインは短期間だけ抑制される必要がある。
【0041】
剥離液122は、ドットゲインを管理する液であり、エマルジョンがメッシュ112から持ち上がったり分離したりしないように、硬化中のエマルジョンと反応しない液である。剥離液122のための流体は、表面張力、イオン性混合物、極性または非極性成分、または流体が水性または非水性であるかの変更を含むが、これらに限定されない特定の特性を変更することによって、噴出可能なエマルジョンに対して修正または調整することができる。
【0042】
剥離液122は、水性(例えば、蒸留水)であってもよく、水単独であっても、少なくとも1つの乳化剤を剥離液の蒸発を防止するのに十分な量含んでいてもよい。乳化剤の例としては、ポリソルベート、グリセリン、およびブチルセルローブのようなグリコールを含む界面活性剤として知られる乳化剤が挙げられるが、これらに限定されない。ある実施例においては、剥離液122の蒸発を防止するために、乳化剤は、少なくとも3体積%~5体積%存在していればよい。また、剥離液122の他の例としては、酢酸ブチル、キシレン、キシロール、ジメチルベンゼン、およびそれらの組み合わせなどの水系ワニスが挙げられる。
【0043】
剥離液122は、メッシュがプラテン124上に配置された後、プラテン124上に直接、またはメッシュ112上に堆積される。現在の技術における調製物のほとんどにおいて、エマルジョンは、かなり粗くなり得、これは、乾燥プロセスにおいてエマルジョンがメッシュに対して共形となることによって生じることが多い。しかしながら、この粗いエマルジョン表面は、スクイージで摩耗するので、スクイージブレードの再成形または交換を必要とする可能性がある。しかしながら、ダイレクト・ツー・メッシュプロセスでは、噴出可能なエマルジョンがメッシュ内に堆積されると、剥離液122は、非常に滑らかな表面を確保する。例えば、
図3Bおよびそれに付随する議論を参照されたい。
【0044】
メッシュ112に塗布されるエマルジョンは遮断領域に存在するのみであるので、UV光のマスク領域への反射によるオーバーシュートまたはオーバー露光はない。このことにより、はるかに滑らかで、きれいな画像が提供される。(これらのオーバーシュート領域及びオーバー露光領域は、画像の内側、特にエッジの周りにスポットまたは液滴を生成する可能性があり、これらはピンホールの「反転」である。)
【0045】
プラテン124は、剥離液122のための滑らかで硬く、不透過性の表面を提供し、エマルジョンを塗布する良好で均一な平坦な表面を保証するために、メッシュ112をピンと張った状態で緩やかに押す。いくつかの実施形態では、プラテン124は、剥離液122を吸収せず、また、剥離液122と化学的または物理的に相互作用せず、且つ平面(±0.05mm/m)である。「平滑」とは、プラテン124の表面が、表面が規則的である限り、研磨/光沢または曇り/つや消しのいずれかであり得る規則的な表面であることを意味する。
【0046】
ダイレクト・ツー・メッシュ・プロセスの例示的なステップが、DtM装置の断面図である
図2A~2Eに示されている。
【0047】
図2Aにおいて、フレーム114はプラテン142を囲繞する。フレーム114を支持するための固定具116は、
図2A及び
図2B~2Eでは省略されている。フレーム固定具116は、当技術分野で現在使用されているものと同様である。1以上の要素即ちスプレー126は、プラテン124の上面126aに剥離液122の層を噴霧する。スプレー126は、定位置に固定されてもよく、またはプラテン124を横切るように構成されてもよい。当然のことながら、放出された液体は、例えば噴霧の他、拭取りやブラッシング等種々の方法によって塗布することができる。
【0048】
図2Bでは、メッシュ112がフレーム114の頂部を横切って配置されている。メッシュ112の下方には、プラテンの表面124a上に支持された剥離液122の薄く、均一な被覆を有するプラテン124がある。いくつかの実施形態では、剥離液122の厚さは、約20マイクロメートル(μm)であるが、いずれにせよ、メッシュのゲージよりも小さく、±0.5μm以内の平面性である。剥離液122は、塗布されるとメッシュ112をバックアップして噴射可能なエマルジョンの良好な被覆を提供する。剥離液122は、プラテン124への噴射可能なエマルジョンの付着を回避するように調合される。剥離液122の処方は、エマルジョンがプラテンに結合、反応、または他の方法で固着するのを防止する。場合によっては、エマルジョンは、剥離液122と反応してもよいが、一般的に前記相互作用/反応によってプラテン124に付着しない。エマルジョンのプラテン124への付着が、エマルジョンのメッシュ112への付着よりも強い場合、エマルジョンは、メッシュから脱結合/剥離する可能性がある。これによってピンホールや裸のパッチが発生することがある。最悪の場合、メッシュの破損や裂け目の原因となる。
【0049】
図2Cにおいて、プラテン124は、剥離液122とともにメッシュ112まで移動され、メッシュを緊張させ、剥離液をメッシュの背面に押し付ける。これにより、平滑で張力のかかった平坦な印刷面が提供される。プラテン124の移動は矢印202で示されている。
【0050】
図2Dにおいて、プリンタキャリッジ134(
図2Dには示されていないが、
図1に示されている)によって平行移動可能なプリントヘッド132は、ブロック画像またはステンシル206(
図2Eに示されている)をメッシュ112上に直接印刷し、ここでブロック画像は印刷即ちスクリーン印刷される実際の画像の反転、言い換えればネガである。プリントヘッド132は、メッシュ112上にスクリーン・ステンシル206を形成するために、矢印204によって示される方向に横方向に移動する。「インク」は、本質的にUV光源208によって塗布されるときにUV硬化される、上述のUV硬化噴射可能エマルジョンである。一例では、UV源は、矢印210によって示される方向に横方向に移動する。これは、従来のUVプリンタで起こることと同様である。
図2Dは、メッシュ112を横切って移動するプリントヘッド132及びUV光源208を示す。しかし、メッシュ112及びフレーム114(及び固定具116)を含むメッシュ支持システムは、プリントヘッド132及びUV光源208に対して並進させることができる。メッシュ112を両方向から印刷できるようにUV光源208をプリントヘッド132の両側に固定してもよい。
【0051】
図2Eでは、ステンシル206は、プリンタから取り外され、他の準備または処理なしに直ちに使用することができる。
【0052】
いくつかの実施形態では、層128は、その上に剥離液122を塗布する前に、プラテン124の表面124a上に配置されてもよい。ここでは、層128を「背景タイプ」と称する。プラテン124を一定の高さに保ち、「背景」128を置いた。背景タイプ128としては、4mmミラー、2mmクリアガラス、2Xガラス(上)、ポリエチレン白、ガラス(上)/ミラー(下)、4mmガラス(上)、3mmミラーがある。例えば、4mmミラーを使用した場合、印刷面は2mmクリアガラスより2mm高かった。「二部分からなる」背景で異なる結果が得られた。例えば、「2Xガラス」は2枚のクリアガラスからなる。「ガラス(上)/ミラー(下)」は2mm /4mmミラー上の2mmガラス片であった。2枚のプレートを使用すると、2つの表面が中間で合う光反射/屈折が生じると特定の理論によらずとも考えられる。「ポリエチレン白」は白色ポリエチレンのシートであった。
【0053】
一例による結果の比較を
図3A~3Bに示す。両方の図は、メッシュ112に適用されたエマルジョンを示す。
【0054】
図3Aでは、従来の展着性エマルジョン302とメッシュ112との組み合わせ300において、エマルジョンは、メッシュの頂部とメッシュの底部との両方を含む、メッシュの縦糸及び横糸(ストランド112a及び112b)に共形的に従う。この共形性は、展着性エマルジョン302がメッシュ112上で空気乾燥するときに生じる。特に、
図3Aは、従来の方法で適用されたエマルジョン302が、手またはアプリケータ機械のいずれかで塗布された後に、メッシュ112上で乾燥するときに、どのように収縮するかを示す。この収縮は、水成分が乾燥するにつれて避けられない。エマルジョン302は、当該技術分野において一般的に使用されるものである。
【0055】
図3Bにおいては、本開示の噴射可能なエマルジョン302’とメッシュ112との組み合わせ350において、噴射可能なエマルジョンは、プラテン124(及びその上の剥離液122)の滑らかな表面124aによって提供される平坦な底面302’aを有することが分かる。噴射可能なエマルジョン302’の上面302’bは、現在のエマルジョン302よりもメッシュ112の縦糸及び横糸に対して共形的でないことが分かる。(下面302’aは、実際のスクリーン印刷プロセスの間にスクリーンインクがスクイージを用いて塗布され、押圧されるところである)。DtMにおいては、メッシュ112は、平滑プラテン124によって支持された剥離液122を有するので、エマルジョン302’の下面302’aは、より平坦または平坦である。これはまた、UV放射によって本質的に直ちに硬化される結果である。
【0056】
このプロセスは、ダイレクト・ツー・メッシュ (DtM)と呼ばれ、エマルジョンの塗布前(すなわち、エマルジョンの塗布)及び塗布後(未露光エマルジョン及びインクの洗浄)の両方で追加の処理を必要とするCtS (コンピュータからスクリーンへの)と区別される。DtMプロセスでは、噴射可能なエマルジョン302’の塗布の前後に追加の処理を必要とせず、したがってステンシル206の作成が簡単になる。
【0057】
図4は、スクリーン印刷のためのステンシルを準備するための、本明細書の開示による例示的なDtMプロセス400のフローチャートを示す。プロセス400では、ダイレクト・ツー・メッシュ・プリンタ100が提供される(405)。上述のように、DtMスクリーン・プリンタ100は、フレーム114を保持するための固定具116を含み、フレームは、噴射可能なエマルジョン302’の塗布中に、予備伸張されたメッシュ112を所定の位置に保持するように構成される。DtMスクリーン・プリンタ100のプラテン124は、剥離液122を、予備伸張されたメッシュ112の一方の側に保持するためのものである。最後に、DtMスクリーン・プリンタ100は、予備伸張されたメッシュ112のプラテン124とは反対側に噴射可能なエマルジョン302’を印刷するための印刷ヘッド118を支持するプリンタキャリッジ134を含む。
【0058】
DtMプロセス400においては、引き続いてフレーム114を固定具116に配置するステップ410が行われる。固定具116は、プリンタ100の一部であり、様々なサイズのフレーム114を受け入れるようになっている。固定具116は、プリンタキャリッジ134がメッシュ112に正確に位置合わせされるように、フレーム114を所定の位置に正確に固定するように構成される。
【0059】
DtMプロセス400では、直接、またはメッシュ112を介して、プラテン124に剥離液122を適用し続ける(プロセス415)。剥離液122の塗布は、メッシュ112に直接行った場合、プラテン124に事前に塗布した場合と同様に有効であり得る。これは、剥離液122が良好な乳化剤を含んでいる場合においても蒸発する時間を有し得る非常に大きなステンシルまたは5,000 DPIのような非常に高いドット密度に対して重要であり得る。
【0060】
いずれにせよ、剥離液122で被覆されたプラテン124は、メッシュ112に接触させられる(または、プラテン124は、メッシュ112に接触させられ、剥離液122がメッシュに塗布される)。いくつかの実施態様において、プラテン124は、メッシュ112に緊縮性を付与するために、メッシュのレベルより約1ミリメートル(mm)~約2mm高くされてもよい。
【0061】
DtMプロセス400は、UV放射を使用して噴射可能なエマルジョン302’を硬化させるプロセス425で終了する。噴射可能なエマルジョン302’を硬化させるために、任意の一般的なUV源を使用することができる。
【0062】
DtMプロセス400は、引き続いてメッシュ112への噴出可能なエマルジョン302’の塗布(420)を行う。上述のように、インクジェットプリントヘッド132が噴射可能なエマルジョン302’を噴射するインクジェットプリンタ130によってメッシュ112に対して噴出可能なエルジョン302’が塗布される。
【0063】
DtMプロセス400は、噴射可能なエマルジョン302’を、UVを用いて硬化(425)させることを含む。通常のUV源であればどのようなものであっても噴射可能なエマルジョン302’を硬化させるのに使用できる。
【0064】
DtMプロセス400の結果、ステンシル206が形成され、硬化され、例えば衣服のような適切な印刷表面上にカラーをスクリーン印刷するために使用される準備が整う。特に、噴射可能なエマルジョンは硬化後、開口部が印刷面に画像を印刷するのに使用されるスクリーン・ステンシルを形成する。
【0065】
[実施例4]
4系列の実施例を実施した。実施例及び表では以下の定義が与えられる。
【0066】
「メッシュ解像度」とは、センチメートル(cm)あたりの糸の数をいい、メッシュの解像度には、S(小径)、T(中径)、HD(大径)など、糸の直径を示す文字を含めることができる。例えば、「43T」とは、中径で1cmあたり43本の糸を有するメッシュである。
【0067】
「フレームのタイプ」とは、使用されるフレーム114のタイプを示し、ローラフレーム、アルミニウム、またはビッグローラフレームであってよい。「アルミニウム」フレームは、メッシュが開始前に特定の張力で接着された固定された正方形の金属アルミニウムフレームであった。張力の典型的な値は約26ニュートン(N)であった。「ローラフレーム」は、ステンシルが展張された後のメッシュの張力を変化させることを可能にした再展張可能なフレームであった。ローラフレームは標準的な正方形のフレームよりはるかに高価であるが、張力を正しく保ち、再展張がはるかに簡単である。ビッグローラフレームはローラフレームよりも多少大きかった。
【0068】
金属メッシュはステンレス鋼、ニッケルメッキメッシュであった。このタイプのメッシュは、ロータリースクリーンや、浸食性液体に曝されるスクリーン、または同じステンシルからの長時間の使用(多くの印刷/プレス)によく使用される。
【0069】
「単位解像度」とは、プリントヘッドから噴出しているドット密度混交(Dot Density Interweave)(DPI)である。
【0070】
「パルス数」とは、個々のノズルに送られる発射パルスの数をいう。
【0071】
使用したプリントヘッドは、8列のノズル列を有していた。「インクチャネル」という見出しは、流体を噴射するために何列使用されたかを意味し、「すべて」は、8列すべてを意味し、「11100111」という表記は、中間の2列が発射されなかったことを示し、これは、噴射間の「ギャップ」の効果を与える。
【0072】
「UV%」とは、調整可能なUV LED光源208によって放射されたUV放射線の強度をいう。UV LED光源208の強度をPMW (Pulse Width Modulator)で変調し、発生するUV光の強度を制御した。採用したUV光源208上の最大は100 W/cm2であった。例えば、60%の表記は、UV光の60%が完全強度の60%に変調されたことを意味する。
【0073】
「剥離液」とは、プラテン124に塗布された剥離液122の組成をいう。
【0074】
「背景タイプ」とは、プラテン124の表面に使用されたものをいう。プラテン124は、一定の高さに保たれ、次いで、「背景」がプラテンの上部に配置された。背景のタイプとしては、4mmミラー、2mmクリアガラス、2Xガラス(2mmクリアガラス2枚)、「ガラス(アップ)/ミラー(ダウン)」(2mm/4mmミラー上に2mmクリアガラス)、「ポリエチレンホワイト」(白色ポリエチレンシート)などがある。
【0075】
「TEM」とは、Total Emulsion Measureの略で、エマルジョンの厚さを表す尺度である。しばしば、EoM (エマルジョン・オーバ・メッシュ)の文言が使用されるが、それはエマルジョンの厚さをメッシュの厚さで割った比率である。ここで、μm単位の数は、エマルジョンの厚さにメッシュの厚さを加えたものを含む、全体の厚さを指す。
【0076】
「平滑性」とは、ステンシルの滑らかさをいう。プラテン側では、表面は、手触りに対して極めて滑らかで、識別可能な粗さを有せざるべきである。プリント側では、表面は、手触りに対して滑らかであるべきである。わずかな粗さ(曇りガラスで体験できるものと同様)は、「受け入れ可能」であるとみなされた。一般に表面が紙やすり様のものは、テスト結果から「受け入れ不可能」とみなされた。
【0077】
平滑性の結果は主観的評定に基づいており、1は許容範囲内、2はぎりぎりで許容範囲内、3はぎりぎりで許容範囲外、4は許容範囲外である。
【0078】
「結果」とは、実験の全体的な結果を主観的に評価したものをいう。ここでも、平滑性について説明した主観的評定尺度と同じものを使用する。
【0079】
「A4プリント時間」とは、A4用紙(21.0cm x 29.7cm)の寸法のスクリーンを印刷するのに要した時間のことである。
【0080】
[実施例1]
実施例1では、6つの実験が行われた。詳細は、以下の表1A (試験パラメータ)及び表1B(結果)に示されている。すべての実験では、噴射可能なエマルジョンとして実験用インクであるUVスーパーフレックス100インクが使用された。それぞれの場合のメッシュ色は白色であった。フレームのタイプは、表IAに記載されているように、種々のローラフレーム、アルミニウムまたはビッグローラフレームであった。各場合のユニット解像度は1440 DPIであった。それぞれの実験の印刷速度は300cm/secであった。パルス数は、表IAに記載されたとおりであった。最初の4つの実験では、8つのインクチャネルすべてが発射されたが、最後の2つの実験では、プリントヘッドの中間の2つのノズル列は発射されず、ギャップが残った。それぞれの場合のUVは全強度の60%であった。6つの実験すべてにおける剥離液は100%蒸留水であった。最初の3つの実験における背景のタイプは4mmミラーであったが、最後の3つの実験では2mmクリアガラスであった。
【0081】
表1Bに見られるように、TEMは10μmから22μmの範囲であった(実験1、4、5、6)。実験2および3では、シールされたメッシュがないため、TEMは得られなかった。実験1については、平滑性および結果は許容範囲であったが、メッシュがミラーに固着し、得られた22μmのTEMは過大であると判断された。実験4、5、および6は、許容可能な平滑性、結果およびシールされたメッシュをもたらした。
【0082】
2mm透明ガラスは4mmミラーよりも良好な結果を与え、さらに2パルスは1パルスよりも良好な結果を与えたように見える。実験2と3で使用したフレームはアルミニウムであることも注目される。
【0083】
表1A DtMテスト、メッシュ=43T、ユニット解像度=1440DPI テストパラメータ。
【表1A】
【0084】
表1B DtMテスト、メッシュ=43T、ユニット解像度=1440DPI 結果
【表1B】
【0085】
[実施例2]
実施例2では、12の実験が行われた。詳細は、以下の表2A(試験パラメータ)及び表2B(結果)に示されている。すべての実験では、噴射可能なエマルジョンとしてUVスーパーフレックス100インクが使用された。それぞれの実験におけるメッシュの色は黄色であった。それぞれの実験におけるフレームのタイプはアルミニウムであった。それぞれの実験におけるユニット解像度は1080 DPIであった。印刷速度は375cm/秒であった。パルス数は表2の通りであった。すべての実験において、8つのインクチャネルすべてが発射された。UVは、UVが完全強度の40%である実験11を除いて、すべての実験で完全強度の60%であった。剥離液122は、表2Aに記載されたとおりであった。背景のタイプは、表2Aに記載されたものであった。
【0086】
表2Bに見られるように、TEMは7μmから20μmの範囲であり、実験5ではTEMは得られなかった。実験1~4、6、および12については、平滑性および結果は許容範囲内であった。実験7および8については、平滑性および結果はぎりぎり許容可能であった。実験5、9、10、および11については、平滑性も結果も許容できなかった。表2に示されるように、これらの実験は、プラテン上の印刷表面にメッシュが付着する結果となった。
【0087】
実験4と5の唯一の違いは、使用した背景のタイプ、2×ガラス(上)対ポリエチレンであった。前者は後者より良い結果をもたらすようである。
【0088】
実験4と実験7~8の唯一の違いは、使用した背景のタイプで、2×ガラス(上)対4mmガラス(上)であった。前者は後者より良い結果をもたらしたようである。
【0089】
実験9、10、および11に関して、これらは、95%の蒸留水および5%のANODAL ASL (Gedacolor)を含む液体を使用する唯一の実験であった。他の液体、例えば、100%蒸留水、80%蒸留水+20%死海塩、80%蒸留水+20%アルコール、及び50%蒸留水+25%ウインドウクリーナー+25%イソプロパノールは、いずれも許容できる又は限界許容できる平滑度及び結果を与えた。
【0090】
表2A DtMテスト、メッシュ=43T、ユニット解像度=1080DPI テストパラメータ。
【表2A】
【0091】
表2B DtMテスト、メッシュ=43T、ユニット解像度=1080DPI 結果
【表2B】
【0092】
[実施例3]
実施例3では、5つの実験が行われた。詳細は、以下の表3A (試験パラメータ)および表3B (結果)に示されている。すべての実験では、噴射可能なエマルジョンとしてUVスーパーフレックス100UVインクが使用された。それぞれの実験におけるメッシュの色は黄色であった。それぞれの場合のフレームタイプはアルミニウムであった。それぞれの実験におけるユニット解像度は、1080 DPIまたは1440 DPIのいずれかであった。印刷速度は、表2Aに記載されているように、300cm/秒または375cm/秒のいずれかであった。パルス数は表3Aの通りであった。すべての実験において、プリントヘッドの中間の2つのノズル列は焼成されず、ギャップを残した(”11100111”)。UVは全強度の60%であった。6つの実験すべてにおける剥離液122は、100%蒸留水であった。すべての実験における背景のタイプは4mmミラーであった。
【0093】
表3Bに見られるように、TEMは3μmから45μmの範囲であった。すべての実験について平滑性は許容範囲であったが、実験3、4、および5については、結果は許容範囲であった。実験1および2については、メッシュのわずかな固着のため、結果はわずかに許容できなかった。
【0094】
実験1と実験2では、パルス数は両方(2)で同じであったが、実験3、4、5ではパルス数が異なっていた(1)。この違いにより、実験1と実験2は、わずかに許容できない結果となったようである。
【0095】
表3A DtM テスト、メッシュ=120T、43T テストパラメータ
【表3A】
【0096】
表3B DtM テスト、メッシュ=120T、43T 結果
【表3B】
【0097】
実施例4を実施した。詳細は以下の表4A(テストパラメータ)及び表4Bに示す。全ての実験においてメッシュ解像度は、195(米国標準)であった。すべての実験で、噴射可能なエマルジョンとしてUV Super Flex 100 UVインクを使用した。それぞれの実験においてメッシュ色は灰色/金属であった。フレームタイプは金属製であった。各場合のユニット解像度は1440 DPIであった。印刷速度は300cm/秒であった。パルス数はすべての実験で1であった。すべての実験において、プリントヘッドの中間の2つのノズル列は焼成されず、ギャップを残した(”11100111”)。実験1~3では、UVは全強度の60%、40%、30%であったが、実験4では、UVは全強度の30%であった。実験1~3の剥離液は蒸留水であり、実験2では剥離液は使用されなかった。両実験における背景タイプは3mmミラーであった。
【0098】
表4Bに見られるように、TEMはすべての実験で14μmであった。実験1~3については、平滑性と結果の両方が許容できなかったが、実験4については、平滑性と結果は許容できた。
【0099】
上述の実施例1の実験2と3では、フレームはアルミニウムであり、両方の実験は許容できない平滑性と液体として100%の蒸留水を用いた結果を有していた。実施例4の実験1では、フレームは金属であり、同様の許容できない結果が得られた。一方、実施例4の実験2では、フレームも金属であったが、液体は使用されず、許容できる平滑性と結果が観察された。見かけ上、液体とフレームの組み合わせは、許容可能な平滑性と結果が得られるかどうかの要因の一つである。ある条件下では、剥離流体やバッキングペーパーを持たない方が良い結果が得られることが分かっている。前述の試験に基づいて、いかなる裏当て面もなしに作動するエマルジョンを定式化することが可能である。
【0100】
表4A DtM テスト、メッシュ=195(米国標準) テストパラメータ
【表4A】
【0101】
表4B DtM テスト、メッシュ=195(米国標準) 結果
【表4B】
【0102】
以上の実施例から、結果は、液体(エマルジョンと剥離液)、プラテンの構成(例えば1枚のガラス、2枚のガラス、ガラス+ミラーなど)、硬化強度(20%~100%UV)、ドット密度(1080、1440)、パルス数等のいくつかの非常に複雑な相互作用により影響されるように見える。分析的観点から、組み合わせはほとんど無限大であるように見える。現在、パラメータのセットの評価のための唯一の方法は、実践的でなくてはならず、すなわち、各セットを、ここでの教示に基づいてテストしなければならない。しかしながら、このようなテストは過度であるとは考えられない。
【0103】
DtMプロセス400の利点には、以下のようにステンシル作成および後処理の両方を完全に排除することが含まれる。
【0104】
エマルジョンアプリケーター、ドライヤー、個別の露光ユニットなどの機械は必要ない。
【0105】
化学物質の大半(脱脂剤を除く)と水の使用量の80%以上が削減される。
【0106】
すべてのプロセスは、特別な低紫外線照明室を設けることなく行うことができる。実際、DtMプロセスは、通常の工場/オフィス照明または昼光の中で実施することができる。噴射可能なエマルジョンは、取り扱い時にUV保護されたカートリッジまたはバッグの内部に保持される。噴射可能なエマルジョンは、メッシュ112上に噴射されるときにのみ、昼光又は紫外線に曝される。
【0107】
本明細書に開示されるプロセスは、従来の、より安価なメッシュ112を用いることができるので、フレーム114からメッシュを剥ぎ取り、再度メッシュを張り直す方が、水、化学薬品及び特別な洗浄ステーションを必要とするメッシュ洗浄よりも、より効率的で安価であり得ることが多い。
【0108】
原料、未処理スクリーン、またはメッシュ112は、ダイレクト・ツー・メッシュ・プリンタ100上に配置され、使用準備済みのステンシル206はスクリーンから除去され、印刷面上に画像を印刷するためにカルーセル上に直接配置することができる。
【0109】
DtMプロセス400の更なる利点は、各ステンシル206がメッシュ112上に極めて正確に位置合わせされている(registered)ため、カルーセル上に装着する際に微小位置合わせを省略することができることである。DtMプロセス400では、各ステンシル206がフレーム106上に(絶対的にも相対的にも)正確に配置されているため、調整は必要ないし、要求もされない。これは、フレーム固定具116の使用によって達成される。ステンシルフレームには、位置合わせ孔(registration holes)即ち点が設けられていることが一般的である。それぞれの異なるカルーセルメーカーには、独自の位置合わせシステム(registration system)がある。フレーム固定具116は、同一の位置合わせシステム(又は場合によっては別の設計の補助位置合わせシステム)を備えている。フレーム固定具116は、ステンシルフレーム114の正確な位置合わせを可能にする。これを達成するために、テストプリントが4色(または6色以上)で行われ、その後、カルーセルが微調整される。カルーセルの変更が行われず(またはカルーセルが位置合わせから外れない限り)、すべてのステンシルが同じプリンタで作成されれば、ステンシルは正確に位置合わせされる。
【0110】
本明細書に開示されるDtMプロセス400は、プロセス化学物質および水と同様に、プロセス時間および複雑さ、労力、および資本設備(特殊化された照明設備を含む)のいずれか、または両方を大幅に削減できることが理解されよう。
【0111】
DtMプロセス400は、ロータリースクリーン印刷にも使用することができる。ロータリースクリーン印刷は、ラベリングなど、ある程度狭いが頻繁に繰り返される印刷プロセス(壁紙、リニアリノリウムなど)で使用される。ロータリースクリーン印刷は、4色(および任意のスポットカラー)のそれぞれが円筒上に配置され、素材が下を通過する、これらの用途では非常に高速である。ロータリースクリーン印刷では、耐久性および安定性のためにステンレス鋼のメッシュ112を使用するのが一般的である。
【0112】
今日、多くのロータリーステンシルは大規模なサービス・ビューロによって作られている(ヨーロッパには約3つある)。各ステンシルは100ユーロ以上の費用がかかる可能性があり、ステンシルの交換の年間費用は数10万ユーロになる可能性がある。これはサービス・ビューロで使用するときの不便ささえ考慮していない。多くの企業は、高価なサービス・ビューロへの依存を減らしながら、数四半期で機械のコストを回収することができる。
【0113】
前述の説明において、多数の具体的な詳細が説明されて、実施例の完全な理解を提供することが理解されよう。しかしながら、これらの具体的な詳細に限定することなく、実施例を実施することができることが理解されよう。他の例では、実施例の記述を不必要に不明瞭にすることを避けるために、周知の方法及び構造を詳細に記述しないことがある。また、実施例は、互いに組み合わせて使用されてもよい。
【0114】
なお、本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用されるように、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈上明確に指示されない限り、複数の指示対象を含む。前述の説明では、実施例を完全に理解するために多数の具体的な詳細が記載されていることが理解されよう。しかしながら、これらの具体的な詳細に限定されずに実施され得ることが理解される。他の例では、実施例の説明を不必要に不明瞭にすることを避けるために、周知の方法及び構造は詳細に記載されていないことがある。また、実施例は、互いに組み合わせて使用され得る。さらに、「about」を使用して値を記述する場合、これは、製造上の変動によって誘発され得るような、記載された値からの小さな変動(±10%まで)を包含することを意味する。
【0115】
更に、請求項におけるプロセスステップの順序を適宜交換することができる。例えば、剥離液122をプラテン124またはメッシュ112上に分配することは、剥離液をプラテン上に分配し、次いで、プラテンおよびメッシュを一緒に運ぶことを含んでよい。あるいは、プラテンおよびメッシュを一緒にして、剥離液をメッシュ上に分配してもよい。
【0116】
限定された数の例が開示されているが、そこからは多数の修正および変形が存在することを理解すべきである。例えば、垂直面上へのジェット噴射を可能にする可能性のある新しい高/超高速プリントヘッド技術のために、プリンタベッド/テーブルの「向き」が水平から垂直に変更されてもよい。