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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】浴室天井パネルの固定構造
(51)【国際特許分類】
   E04H 1/12 20060101AFI20221129BHJP
   E04B 9/30 20060101ALI20221129BHJP
【FI】
E04H1/12 301
E04B9/30 B
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018228805
(22)【出願日】2018-12-06
(65)【公開番号】P2020090848
(43)【公開日】2020-06-11
【審査請求日】2021-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000155207
【氏名又は名称】株式会社明工
(73)【特許権者】
【識別番号】301050924
【氏名又は名称】株式会社ハウステック
(74)【代理人】
【識別番号】100104927
【弁理士】
【氏名又は名称】和泉 久志
(72)【発明者】
【氏名】伊川 博之
(72)【発明者】
【氏名】山下 紗央里
【審査官】沖原 有里奈
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-084373(JP,A)
【文献】特開2008-069529(JP,A)
【文献】特開平11-124948(JP,A)
【文献】実開平3-86955(JP,U)
【文献】特開平9-302964(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 1/00-1/14
E04B 9/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁パネルを相互に連結する柱フレームの上端部に固定され、天井パネルの周縁に形成された周縁起立片部に対面する上部支持部が設けられた天井フレームと、前記天井フレームと前記天井パネルとを連結する固定クリップとが備えられ、
前記固定クリップは、対峙する両壁面の間に、前記天井パネルの周縁起立片部及び前記天井フレームの上部支持部が下方側から嵌入される狭持部と、前記狭持部の上端部に設けられ、少なくとも前記天井パネルの周縁起立片部を上側端縁から下方に向けて付勢支持する弾性支持部と、前記天井フレームの下端部が上方側から嵌入される下端係合部とが設けられ、
前記狭持部に前記天井パネルの周縁起立片部及び前記天井フレームの上部支持部を挟み込むとともに、前記弾性支持部の付勢力に抗して前記固定クリップを押し下げながら、前記下端係合部に前記天井フレームの下端部を係合することにより、前記天井フレームと前記天井パネルとが連結されていることを特徴とする浴室天井パネルの固定構造。
【請求項2】
前記弾性支持部は、前記狭持部の対峙する両壁面を貫通する開口部内に先端部を臨ませた片持ち梁状の板ばねからなる請求項1記載の浴室天井パネルの固定構造。
【請求項3】
前記固定クリップの上端に、前記天井フレームの下端部と前記下端係合部との係脱の際に、上方から工具を挿入して前記固定クリップの押し下げ操作及び傾倒操作を行う工具挿入部が設けられている請求項1、2いずれかに記載の浴室天井パネルの固定構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室の天井パネルを柱フレームに固定するための浴室天井パネルの固定構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ユニットバスUBでは、図1に示されるように、全周を囲む外装函体の内側に、壁パネル2、2…などが、各壁面の中間位置では中間部柱フレーム3、3…により、またコーナー部ではコーナー部柱フレーム4、4…により相互に連結されることにより、浴室の四周面を囲む壁面が構成されている。
【0003】
一方、天井パネルは、例えば下記特許文献1、2に開示される固定構造によって固定されている。下記特許文献1においては、断面略L字状の接続補助部材をコーナ支柱に対し内側からビス固定した後、天井パネルを前記接続補助部材に対し外側からビス固定する構造が開示されている。更に、下記特許文献2においては、天井パネルの両側の各側縁に、下向きに突出する連結部材が取り付けられ、各連結部材が壁パネルとつなぎ材との間の隙間に上方から嵌入して壁パネルの裏面側に当接した構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-84373号公報
【文献】特開2008-69529号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1、2記載の天井パネルの固定構造はいずれも、天井パネルと取付部材(上記特許文献1記載の接続補助部材または上記特許文献2記載の連結部材及びつなぎ材)とをビス止めする構造であるため、以下の問題点がある。(1)ビス止めには電動工具などが必要で、取り付けに時間がかかる。(2)作業者が浴室天井パネルに備えられた点検口などから手を伸ばして、天井裏の狭い空間内でビス止めをしなければならないため、作業性が悪い。(3)天井裏にビス止め作業のための作業スペースを確保する必要がある。(4)天井パネルや取付部材に下孔加工を施す必要がある。(5)天井パネルや取付部材の厚みが薄いため所定数のネジ山を確保するにはバーリング加工を行う必要がある。(6)この下孔の位置がずれているとビス止めができないため、下孔の加工精度管理が必要となる。(7)バーリング加工によってネジ山を確保しても、天井パネルや取付部材の厚みが元々薄いため、ビスとの噛み合いが少なく、ネジ山が潰れやすく、それに起因した固定不良が起こりやすい。(8)作業者による締め付け力のばらつきが生じやすいとともに、電動工具での締め付けすぎによって、天井パネルや固定部材に歪みが生じるおそれがある。(9)一旦連結すると容易に外す(交換する)ことができない。(10)取付部材やビスなど部品点数が多く、これらを取り付ける作業工数が多くなる。
【0006】
そこで本発明の主たる課題は、浴室天井パネルを固定する際、ビス止めを無くすことによって、取付時間を短縮化し、作業性に優れるようにするとともに、取付不良をなくし、着脱作業を容易にし、かつ部品点数を最小化した浴室天井パネルの固定構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために請求項1に係る本発明として、壁パネルを相互に連結する柱フレームの上端部に固定され、天井パネルの周縁に形成された周縁起立片部に対面する上部支持部が設けられた天井フレームと、前記天井フレームと前記天井パネルとを連結する固定クリップとが備えられ、
前記固定クリップは、対峙する両壁面の間に、前記天井パネルの周縁起立片部及び前記天井フレームの上部支持部が下方側から嵌入される狭持部と、前記狭持部の上端部に設けられ、少なくとも前記天井パネルの周縁起立片部を上側端縁から下方に向けて付勢支持する弾性支持部と、前記天井フレームの下端部が上方側から嵌入される下端係合部とが設けられ、
前記狭持部に前記天井パネルの周縁起立片部及び前記天井フレームの上部支持部を挟み込むとともに、前記弾性支持部の付勢力に抗して前記固定クリップを押し下げながら、前記下端係合部に前記天井フレームの下端部を係合することにより、前記天井フレームと前記天井パネルとが連結されていることを特徴とする浴室天井パネルの固定構造が提供される。
【0008】
上記請求項1記載の発明では、柱フレームの上端部に固定された天井フレームと天井パネルとが固定クリップによって連結された固定構造を備えている。前記固定クリップは、対峙する両壁面の間に、前記天井パネルの周縁起立片部及び前記天井フレームの上部支持部が下方側から挟み込まれる狭持部と、前記狭持部の対峙する両壁面の間の上端部に設けられ、前記天井パネルの周縁起立片部及び前記天井フレームの上部支持部を上側端縁から下方に向けて付勢支持する弾性支持部と、前記天井フレームの下端部が上方側から係合する下端係合部とが設けられている。かかる固定クリップによって天井フレームと天井パネルとを連結するには、前記狭持部に前記天井パネルの起立片部及び前記天井フレームの上部支持部を挟み込むとともに、前記弾性支持部の付勢力に抗して固定クリップを押し下げながら、前記下端係合部に前記天井フレームの下端部を係合することにより行う。このように、天井パネルを前記固定クリップによって固定し、天井裏でのビス止め作業を不要としたため、以下のメリットが生じる。(1)ワンタッチで取り付けでき、取付時間が短縮化できる。(2)壁パネルを取り付ける前に浴室内から天井端に手を伸ばして簡単に取り付けることもできるので、作業性が良い。(3)天井パネルの取付時に、天井裏の作業スペースが必要ない。(4)下孔が不要なため、前加工が必要なく、下孔のズレやネジ山の潰れによる取付不良が生じない。(5)作業者によるばらつきがなく、組立ての品質が良好で、安定する。(6)連結後の取り外しが容易である。(7)部品点数が少なく、これらを取り付ける作業工数も少なくて済む。
【0009】
請求項2に係る本発明として、前記弾性支持部は、前記狭持部の対峙する両壁面を貫通する開口部内に先端部を臨ませた片持ち梁状の板ばねからなる請求項1記載の浴室天井パネルの固定構造が提供される。
【0010】
上記請求項2記載の発明では、前記弾性支持部の構造について詳細に規定しており、前記弾性支持部を、前記狭持部の対峙する両壁面を貫通する開口部内に先端部を臨ませた片持ち梁状の板ばねで構成することによって、簡単にかつ安定して、前記天井パネルの周縁起立片部及び天井フレームの上部支持部に下向きの付勢力を付加することができるようになる。
【0011】
請求項3に係る本発明として、前記固定クリップの上端に、前記天井フレームの下端部と前記下端係合部との係脱の際に、上方から工具を挿入して前記固定クリップの押し下げ操作及び傾倒操作を行う工具挿入部が設けられている請求項1、2いずれかに記載の浴室天井パネルの固定構造が提供される。
【0012】
上記請求項3記載の発明では、上方から工具を挿入して固定クリップの係脱操作が可能な工具挿入部が設けられているため、簡単に固定クリップの係脱ができるようになる。
【発明の効果】
【0013】
以上詳説のとおり本発明によれば、浴室天井パネルを固定する際、ビス止めを無くすことによって、取付時間が短縮化でき、作業性に優れるようになるとともに、取付不良が起こりにくく、着脱作業が容易になり、かつ部品点数が最小化できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】ユニットバスUBの平面図である。
図2】壁面部分の縦断面図である。
図3】固定クリップ10の取付部分の拡大縦断面図である。
図4】固定クリップ10を示す、(A)は前面側の斜視図、(B)は背面側の斜視図である。
図5】固定クリップ10を示す、(A)は正面図、(B)は側面図、(C)は上面図、(D)は(A)のD-D線矢視図である。
図6】天井パネル5の取付方法を示す断面図である。
図7】固定クリップ10の取外し方法を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
【0016】
ユニットバスUBは、図1及び図2に示されるように、洗い場パン1及び図示しない浴槽の周囲を囲む壁パネル2、2…が、各壁面の中間位置では中間部柱フレーム3、3…により、またコーナー部ではコーナー部柱フレーム4、4…により相互に連結されることによって、四周面を囲む壁面が構成されるとともに、これらの壁パネル2、2…で包囲された上方の開口部が天井パネル5によって覆われて構成されるものである。
【0017】
前記壁パネル2は、鋼板または硬質プラスチックなどからなる表面板2aの裏側に石膏ボード2bなどを裏打ちしたパネルであり、表面板2aの側縁は、石膏ボード2bの側端よりもさらに外方に突出し、その先端部が裏打ちした石膏ボード2b側に向けてL字状に屈曲されている。
【0018】
前記中間部柱フレーム3、3…及びコーナー部柱フレーム4、4…は、薄板を用いて断面略溝型形状に成形加工された長手通しの部材であり、図2に示されるように、柱フレーム固定金具6によって下端部が洗い場パン1等に固定されている。
【0019】
前記天井パネル5は、前記壁パネル2と同様に、鋼板または硬質プラスチックなどからなる表面板5aの裏側に石膏ボード5bなどを裏打ちしたパネルであり、表面板5aの周縁は、石膏ボード5bの周縁よりもさらに外方に突出し、その先端部が上方(裏側)に向けて略90°のL字状に屈曲され、この屈曲部によって周縁起立片部7が形成されている(図6(A)参照)。
【0020】
前記中間部柱フレーム3、3…及びコーナー部柱フレーム4、4…の上端部には、これらを相互に連結する天井フレーム8が横架している。前記天井フレーム8は、上下方向の中間にクランク部が形成された断面形状からなる薄板部材であり、このクランク部より下方側が前記柱フレーム3…、4…にビス等で固定されており、天井パネル5の全周に亘って配置されている。前記天井フレーム8は、中間に設けられたクランク部のうち水平方向に延びる部分が、上側に天井パネル5の周縁部を載置する載置部8aを構成するとともに、この載置部8aの外縁から起立する部分が、天井パネル5の周縁起立片部7に対面する上部支持部9を構成し、かつ前記載置部8aの内縁から垂下する部分が、柱フレーム3、4に対する固定部と後述する固定クリップ10の下端係合部15に対する係合部とを兼用する下部支持部8bを構成している。前記天井フレーム8は、図3に示されるように、前記柱フレーム3、4の配置部分において、柱フレーム3、4の内側面及び上端面に沿って略90°に屈折して形成されるとともに、柱フレーム3、4の背側面位置で上方に向けて起立するように略90°に屈折して形成されている。
【0021】
本発明に係る固定構造では、図3に示されるように、前記天井フレーム8と天井パネル5とが固定クリップ10によって連結されている。前記固定クリップ10は、図4及び図5に示されるように、対峙する両壁面11、12の間に、天井パネル5の周縁起立片部7及び天井フレーム8の上部支持部9が下方側から嵌入される狭持部13と、この狭持部13の対峙する両壁面11、12の間の上端部に設けられ、少なくとも前記天井パネル5の周縁起立片部7を上側端縁から下方に向けて付勢支持する弾性支持部14と、前記天井フレーム8の下端部が上方側から嵌入される下端係合部15とが設けられている。
【0022】
前記固定クリップ10は、図3に示されるように、前記狭持部13に前記天井パネル5の周縁起立片部7及び天井フレーム8の上部支持部9を挟み込むとともに、前記弾性支持部14の付勢力に抗して固定クリップ10を押し下げながら、前記下端係合部15に天井フレーム8の前記下部支持部8bの下端部を係合することにより、前記天井フレーム8と天井パネル5とを連結している。
【0023】
このように、本発明に係る固定構造では、天井パネル5が前記固定クリップ10によって簡単に固定できるため、従来のビス止めによる固定構造と比較すると以下のメリットがある。
(1)従来のビス止め作業では、電動工具が必要で取り付けに時間がかかっていたのに対し、本固定構造では、ワンタッチで取り付けできるため、取付時間の短縮化が図れる。
(2)従来のビス止め作業では、天井点検口から手を伸ばして天井裏でビス止めを行う必要があるため作業性が悪かったが、本固定構造では、壁パネル2を取り付ける前に、浴室内から天井端に手を伸ばして簡単に取り付けることもできるので、作業性が良い。
(3)従来のビス止め作業では、ビス止め時に天井裏の作業スペースを確保しなければならなかったが、本固定構造では、上記(2)のように浴室内から取り付けできるため、天井裏の作業スペースを確保する必要がない。
(4)従来のビス止め作業では、各部材にビス止め用の下孔加工を施す必要があったが、本固定構造では、下孔が不要なため、部材への前加工が必要ない。
(5)従来のビス止め作業では、下孔を開ける前にバーリング加工が必要であったが、本固定構造では、下孔が不要なため、部材への前加工が必要ない。
(6)従来のビス止め作業では、各部材間でビス止め用の下孔が位置ズレしていると取付けができなかったが、本固定構造では、下孔が不要なため、下孔の位置ズレによる取付不良が生じない。
(7)従来のビス止め作業では、各部材の厚みが薄いため、ネジ山が潰れやすく、取付不良が生じやすかったが、本固定構造では、下孔が不要なため、ネジ山の潰れによる取付不良が生じない。
(8)従来のビス止め作業では、作業者による締め付け力のばらつきがあるとともに、電動工具での締め付けすぎによって、天井パネルや固定部材に歪みが生じるおそれがあったが、本固定構造では、作業者によるばらつきがなく、組立ての品質が良好で、安定する。
(9)従来のビス止め作業では、一旦連結すると容易に外す(交換する)ことができなかったが、本固定構造では、連結後の取り外しも容易である。
(10)従来のビス止め作業では、連結部材やビスなど、部品点数が多く(上記特許文献1記載の構造では、接続補助部材1点、ビス2点、上記特許文献2記載の構造では、連結部材及びつなぎ材の2点、ビス1点)、これらを取り付ける作業工数が多くなっていたが、本固定構造では、部品点数が少なく(天井フレーム1点、固定クリップ1点)、これらを取り付ける作業工数が少なくて済む。
【0024】
前記固定クリップ10について更に詳しく説明すると、前記固定クリップ10は、樹脂により製造された型成形品であり、前面側及び背面側に所定の間隔を空けて対峙する両壁面11、12が上端部で懸架されることにより、これら両壁面11、12の間隙部によって前記狭持部13が形成されるとともに、背面側の壁面12が前面側の壁面11より相対的に下方側に延在し、且つその先端が前面側に屈曲して形成され、この屈曲部12aの先端に前記下端係合部15が設けられた外形を成している。
【0025】
前記狭持部13の間隙幅(両壁面11、12の離隔幅)は、前記天井フレーム8の上部支持部9及び天井パネル5の周縁起立片部7を重ね合わせた状態で挿入可能な寸法で形成されている。前記狭持部13は、両壁面11、12の全幅に亘って設けられ、固定クリップ10の両側面を貫くように形成されている。
【0026】
前記狭持部13の上端(両壁面11、12の上端の懸架部)には、図5(B)に示される側面視で、狭持部13の間隙幅より大きな直径の円形拡幅部16が形成されている。前記狭持部13の上端に前記円形拡幅部16が形成されることにより、固定クリップ10の着脱時に、両壁面11、12が上端の懸架部を基点として離隔幅が拡大するように変形でき、着脱作業をよりスムーズに行うことができるようになる。
【0027】
前記背面側の壁面12は、図3に示されるように、天井フレーム8と天井パネル5との連結状態で、天井パネル5の下面より下側に延在しており、この下側に延在した部分の下端に、内側に屈曲する前記屈曲部12aが形成されている。この屈曲部12aの内側への延在長さは、図3に示される断面視で、天井フレーム8の載置部8aの幅とほぼ同等の寸法で形成されており、前記屈曲部12aの先端に設けられた下端係合部15に天井フレーム8の下端が係合した状態で、前記狭持部13が直立する方向に延びるように形成されている。
【0028】
前記狭持部13の上端部に設けられる弾性支持部14は、前記狭持部13に挟み込まれた天井パネル5の周縁起立片部7及び天井フレーム8の上部支持部9のうち、少なくとも天井パネル5の周縁起立片部7の上端に当接し、この周縁起立片部7の上端を下方に向けて押圧する付勢力を作用させている。図3に示される例では、周縁起立片部7の上端が上部支持部9の上端より上方に延在することにより、弾性支持部14が周縁起立片部7の上端のみに当接しているが、周縁起立片部7及び上部支持部9の上端をほぼ同等の高さに位置することにより、弾性支持部14がこれら周縁起立片部7及び上部支持部9の両方の上端に当接するようにしてもよい。
【0029】
前記弾性支持部14としては、前述の通り少なくとも周縁起立片部7の上端に当接し、この周縁起立片部7の上端を下方に向けて押圧する付勢力を作用させるものであれば特に限定されないが、図4及び図5に示されるように、前記狭持部13の対峙する両壁面11、12を貫通する開口部17、18内に先端部が臨むように延びる片持ち梁状の板ばねによって構成するのが好ましい。この板ばね(弾性支持部14)は、前面側の壁面11の上端部又は背面側の壁面12の上端部から、図示例では前面側の壁面11の上端部から、下方に向けて延びるとともに、その下端が前記開口部17又は18を通って前記狭持部13に向けて屈曲し、前記狭持部13の上端部を跨いで、先端が反対側の開口部18又は17に臨んだ板状の部材である。この弾性支持部14の前記狭持部13を跨ぐ部分が、前記狭持部13に嵌入された周縁起立片部7及び上部支持部9のうち、少なくとも前記周縁起立片部7の上端に当接し、嵌入時の押圧力によって前記板ばねが上方に曲げ変形することによって、前記板ばねの復元力に伴う下方への付勢力が発現するようになっている。
【0030】
前記天井パネル5の取付けは、洗い場パン1及び浴槽の周囲に所定の間隔で中間部柱フレーム3、3…及びコーナー部柱フレーム4、4…を立設し、これら中間部柱フレーム3、3…及びコーナー部柱フレーム4、4…の上端部を天井フレーム8によって相互に連結した後、図6(A)に示されるように、天井パネル5を持ち込み、天井パネル5の周縁起立片部7を天井フレーム8の上部支持部9に対面させるとともに、天井パネル5の周縁部を天井フレーム8の載置部8aに載置した状態で、前記固定クリップ10によって天井パネル5を天井フレーム8に固定する。前記固定クリップ10の取付けは、図6(B)に示されるように、天井パネル5の周縁起立片部7及び天井フレーム8の上部支持部9を前記狭持部13の下方側から嵌入した状態で、手で固定クリップ10を徐々に押し下げることにより、前記周縁起立片部7及び上部支持部9のうち少なくとも周縁起立片部7の上端を弾性支持部14に当接させるとともに、この弾性支持部14の付勢力に抗して更に手で固定クリップ10を押し下げ、下端係合部15に天井フレーム8の下部支持部8bの下端部を係合させる。ここで、前記狭持部13に天井パネル5の周縁起立片部7及び天井フレーム8の上部支持部9を嵌入する際、図6(B)に示されるように、背面側の壁面12の下端に前面側に屈曲した屈曲部12aが設けられているため、狭持部13に嵌入する前の狭持部13が周縁起立片部7及び上部支持部9の上下方向に対して傾斜しているが、前述の通り、前記狭持部13の上端に円形拡幅部16が形成され、前記狭持部13を構成する両壁面11、12の間隙が拡大可能に形成されているため、これら両壁面11、12が変形することによって、狭持部13に周縁起立片部7及び上部支持部9がスムーズに嵌入できるようになっている。
【0031】
一方、前記固定クリップ10の取外しに際しては、取付けのときと同様に手で行ってもよいが、図7に示されるように、プラスドライバー等の工具を用いて行うのが好ましい。工具を用いた操作用の係合部として、前記固定クリップ10の上端に、前記天井フレーム8の下端部と前記下端係合部15との脱着の際に、上方から工具を挿入して前記固定クリップ10の押し下げ操作及び傾倒操作が可能な工具挿入部20を設けるのが好ましい。
【0032】
前記工具挿入部20は、固定クリップ10の上面の中央部に設けられた少なくとも上方に開口する有底の凹部であり、プラスドライバー等のように先端が先細形状からなる棒状の工具21が挿入できるように構成されている。前記工具挿入部20の側壁は、全周に亘って設けてもよいが、図4及び図5に示されるように、工具を挿入して固定クリップ10を押し下げる操作、並びに押し下げた状態で固定クリップ10の下端部を背面側に傾倒させる操作を行うのに必要な部位にのみ設けるのが好ましい。
【0033】
具体的には、図5(D)に示されるように、工具挿入部20の上下方向に対して、下方側には、背面側の略半周部に下側側壁部20aが設けられ、前面側の略半周部が開口するとともに、上方側には、前面側の略半周部に上側側壁部20bが設けられ、背面側の略半周部が開口している。前記下側側壁部20aは、プラスドライバーの先細形状の先端が嵌合しやすいように、内面に傾斜面を形成するのが好ましい。
【0034】
図7(B)に示されるように、工具挿入部20に工具21を挿入して弾性支持部14の付勢力に抗して下方に押圧することにより、下端係合部15を天井フレーム8の下部支持部8bの下端部より下方に移動させるとともに、この状態で工具21の手持ち部を前面側に傾けることにより、下側側壁部20aに当接した工具21の先端を起点として、上側側壁部20bが工具21によって前面側に押され、このモーメント力によって固定クリップ10が傾倒し、下端係合部15が天井フレーム8の下端部に係合するのが完全に解除される。このとき、前述の通り、前記狭持部13を構成する両壁面11、12の間隙が拡大可能に形成されているため、これら両壁面11、12が変形することによって、前記工具21を傾けたときに固定クリップ10がスムーズに傾倒できるようになっている。
【0035】
なお、前記工具21を工具挿入部20に挿入して行う操作は、固定クリップ10の取付時にも同様にして行うことができる。
【0036】
前記固定クリップ10は、隣り合う中間部柱フレーム3とコーナー部柱フレーム4との間の任意の位置に1箇所又は所定の間隔をあけた複数箇所に設けるのが好ましい。
【0037】
前記天井パネル5の固定が完了したら、壁パネル2を設置し、各パネルの接合部に目地材を取り付ける。
【符号の説明】
【0038】
1…洗い場パン、2…壁パネル、3…中間部柱フレーム、4…コーナー部柱フレーム、5…天井パネル、6…柱フレーム固定金具、7…周縁起立片部、8…天井フレーム、9…上部支持部、10…固定クリップ、11…前面側の壁面、12…背面側の壁面、13…狭持部、14…弾性支持部、15…下端係合部、16…円形拡幅部、17…前面側の開口部、18…背面側の開口部、20…工具挿入部、21…工具、UB…ユニットバス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7