(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】動作システム、動作装置及び可視光照射装置
(51)【国際特許分類】
H04Q 9/00 20060101AFI20221129BHJP
G05D 1/00 20060101ALI20221129BHJP
B25J 5/00 20060101ALI20221129BHJP
【FI】
H04Q9/00 311A
G05D1/00 B
B25J5/00 A
(21)【出願番号】P 2020186626
(22)【出願日】2020-11-09
【審査請求日】2021-07-29
(73)【特許権者】
【識別番号】591117631
【氏名又は名称】株式会社NICHIJO
(73)【特許権者】
【識別番号】597065329
【氏名又は名称】学校法人 龍谷大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平山 英樹
(72)【発明者】
【氏名】金田 脩佑
(72)【発明者】
【氏名】植村 渉
【審査官】木村 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-116981(JP,A)
【文献】特開2011-017215(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04Q 9/00
G05D 1/00
B25J 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
動作を生成する少なくとも1つの動作装置と、
前記動作装置に可視光を照射可能な少なくとも1つの可視光照射装置と、を備え、
前記動作装置は、
前記動作を生成する少なくとも1つの動作部と、
前記動作部を制御する動作制御部と、
可視光を受ける少なくとも1つの受光部と、
前記受光部が所定の一定周波数の点滅パターンの可視光を受けると、前記動作制御部に制御された前記動作部に所定アクションを行わせるアクション開始部と、を有し、
前記可視光照射装置は、
可視光を発することが可能な発光部と、
前記発光部が発する前記可視光に前記一定周波数の点滅パターンを付与する少なくとも1つの発振回路部と、を有
し、
前記動作装置は、前記動作部としての走行部を有する移動体であり、
前記可視光照射装置は、所定の位置に設置される据置式であり、
前記発光部は、所定の照射範囲にて前記可視光を発する、動作システム。
【請求項2】
前記所定アクションは、前記動作部の非常停止又は前記動作部の動作開始の少なくとも一方を含む、請求項1に記載の動作システム。
【請求項3】
前記可視光照射装置は、ユーザが手で持ち運べる可搬式であり、
前記可視光照射装置は、前記発光部を発光させるためにユーザに操作される発光操作部を更に有する、請求項1又は2に記載の動作システム。
【請求項4】
動作を生成する少なくとも1つの動作装置と、
前記動作装置に可視光を照射可能な少なくとも1つの可視光照射装置と、を備え、
前記動作装置は、
前記動作を生成する少なくとも1つの動作部と、
前記動作部を制御する動作制御部と、
可視光を受ける少なくとも1つの受光部と、
前記受光部が所定の一定周波数の点滅パターンの可視光を受けると、前記動作制御部に制御された前記動作部に所定アクションを行わせるアクション開始部と、を有し、
前記可視光照射装置は、
可視光を発することが可能な発光部と、
前記発光部が発する前記可視光に前記一定周波数の点滅パターンを付与する少なくとも1つの発振回路部と、を有し、
前記可視光照射装置は、ユーザが手で持ち運べる可搬式であり、
前記可視光照射装置は、前記発光部を発光させるためにユーザに操作される発光操作部を更に有し、
前記少なくとも1つの動作装置は、複数の動作装置を含み、
前記可視光照射装置は、前記発光部の照射範囲を拡大又は縮小させる照射範囲調節を行う照射範囲調節部と、前記照射範囲調節部に前記照射範囲調節をさせるためにユーザに操作される照射範囲操作部と、を更に有
し、
前記照射範囲調節部は、前記発光部から出射される可視光の光路上に配置された可変絞りを含む、動作システム。
【請求項5】
動作を生成する少なくとも1つの動作装置と、
前記動作装置に可視光を照射可能な少なくとも1つの可視光照射装置と、を備え、
前記動作装置は、
前記動作を生成する少なくとも1つの動作部と、
前記動作部を制御する動作制御部と、
可視光を受ける少なくとも1つの受光部と、
前記受光部が所定の一定周波数の点滅パターンの可視光を受けると、前記動作制御部に制御された前記動作部に所定アクションを行わせるアクション開始部と、を有し、
前記可視光照射装置は、
可視光を発することが可能な発光部と、
前記発光部が発する前記可視光に前記一定周波数の点滅パターンを付与する少なくとも1つの発振回路部と、を有し、
前記少なくとも1つの動作装置は、第1動作装置及び第2動作装置を含み、
前記少なくとも1つの可視光照射装置は、第1周波数の点滅パターンの可視光と、第2周波数の点滅パターンの可視光と、を発することが可能であり、
前記第1動作装置の前記アクション開始部は、前記第1周波数の点滅パターンの可視光を受けると、前記動作制御部に制御された前記動作部に前記所定アクションをさせ、
前記第2動作装置の前記アクション開始部は、前記第2周波数の点滅パターンの可視光を受けると、前記動作制御部に制御された前記動作部に前記所定アクションをさせ、
前記第1周波数と前記第2周波数とは、互いに異なる
、動作システム。
【請求項6】
動作を生成する少なくとも1つの動作装置と、
前記動作装置に可視光を照射可能な少なくとも1つの可視光照射装置と、を備え、
前記動作装置は、
前記動作を生成する少なくとも1つの動作部と、
前記動作部を制御する動作制御部と、
可視光を受ける少なくとも1つの受光部と、
前記受光部が所定の一定周波数の点滅パターンの可視光を受けると、前記動作制御部に制御された前記動作部に所定アクションを行わせるアクション開始部と、を有し、
前記可視光照射装置は、
可視光を発することが可能な発光部と、
前記発光部が発する前記可視光に前記一定周波数の点滅パターンを付与する少なくとも1つの発振回路部と、を有し、
前記少なくとも1つの動作装置は、第1動作装置及び第2動作装置を含み、
前記少なくとも1つの可視光照射装置は、第1波長の可視光と、第2波長の可視光と、を発することが可能であり、
前記第1動作装置の前記アクション開始部は、前記点滅パターンかつ前記第1波長の可視光を受けると、前記動作制御部に制御された前記動作部に前記所定アクションをさせ、
前記第2動作装置の前記アクション開始部は、前記点滅パターンかつ前記第2波長の可視光を受けると、前記動作制御部に制御された前記動作部に前記所定アクションをさせ、
前記第1波長と前記第2波長とは、互いに異なる
、動作システム。
【請求項7】
前記少なくとも1つの動作部は、複数の動作部を含み、
前記動作装置の前記アクション開始部は、前記点滅パターンの可視光を受けると、前記複数の動作部のうち一部の動作部のみに前記所定アクションを行わせる、請求項1乃至
6のいずれか1項に記載の動作システム。
【請求項8】
動作装置に所定のアクションを行わせるために可視光照射装置であって、
可視光を発することが可能な発光部と、
前記発光部が発する前記可視光に一定周波数の点滅パターンを付与する発振回路部と、を備え
、
前記可視光照射装置は、所定の位置に設置される据置式であり、
前記発光部は、所定の照射範囲にて前記可視光を発する、可視光照射装置。
【請求項9】
動作装置に所定のアクションを行わせるために可視光照射装置であって、
可視光を発することが可能な発光部と、
前記発光部が発する前記可視光に一定周波数の点滅パターンを付与する発振回路部と、
前記発光部から出射される可視光の光路上に配置された可変絞りを含み、前記発光部の照射範囲を拡大又は縮小させる照射範囲調節を行う照射範囲調節部と、
前記照射範囲調節部に前記照射範囲調節をさせるためにユーザに操作される照射範囲操作部と、を備える、可視光照射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動作システム、動作装置及び可視光照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動制御によって装置を動作させる自動運転技術の研究が進められている。自動運転する装置は、緊急事態の発生時には迅速に非常停止できる必要がある。例えば、特許文献1には、緊急事態の発生時にユーザが緊急停止リモコンを操作することで、自律走行する作業車両を無線で非常停止させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、緊急停止リモコンの電池残量が少なくなっている又は電池が切れている場合には、当該リモコンが発信する電波が弱くなる又は無線電波が発信されなくなるため、自動運転装置を確実に非常停止させることができない。しかし、人間は電波を視認できないため、ユーザが緊急停止リモコンを急いで操作する際に、ユーザは当該リモコンによって自動運転装置を非常停止させることができない状態にあることを直ぐに認識できず、非常停止の確実性が低下する。更に、緊急停止リモコンは、受信機との間で相互認証処理(ペアリング処理)が必要であるため、相互認証に不具合がある場合にも、ユーザは当該リモコンによって自動運転装置を非常停止させることができない状態にあることを直ぐに認識できない恐れがある。
【0005】
また、緊急停止リモコンから受信機に送信される電波には、非常停止情報の他にID情報や誤り検出符号等の他の情報も付与された制御信号が含まれるため、受信側では当該制御信号を処理する時間が必要になる。しかし、自動運転装置の動作速度や緊急事態の種類等によっては、非常停止の緊急性が非常に高い場合がある。そのため、緊急事態発生から非常停止完了までに掛かる時間を出来るだけ短縮することが望まれる。なお、非常停止の確実性及び迅速性は、自動運転だけではなく手動運転の場合にも重要である。また、非常停止のようなアクションだけでなく、非常停止の解除などのように他のアクションもユーザがリモコンで行えると便利である。
【0006】
そこで本発明は、非常停止等の所定のアクションの確実性を向上させながら、当該アクションに要する時間を出来るだけ短縮することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る動作システムは、動作を生成する少なくとも1つの動作装置と、前記動作装置に可視光を照射可能な少なくとも1つの可視光照射装置と、を備え、前記動作装置は、前記動作を生成する少なくとも1つの動作部と、前記動作部を制御する動作制御部と、可視光を受ける少なくとも1つの受光部と、前記受光部が所定の一定周波数の点滅パターンの可視光を受けると、前記動作制御部に制御された前記動作部に所定アクションを行わせるアクション開始部と、を有し、前記可視光照射装置は、可視光を発することが可能な発光部と、前記発光部が発する前記可視光に前記一定周波数の点滅パターンを付与する少なくとも1つの発振回路部と、を有する。
【0008】
本発明の一態様に係る動作装置は、動作を生成する動作部と、前記動作部を制御する動作制御部と、可視光を受ける受光部と、前記受光部が所定の一定周波数の点滅パターンの可視光を受けると、前記動作制御部に制御された前記動作部に前記所定アクションを行わせるアクション開始部と、を備える。
【0009】
本発明の一態様に係る可視光照射装置は、動作装置に所定のアクションを行わせるための可視光照射装置であって、可視光を発することが可能な発光部と、前記発光部が発する前記可視光に一定周波数の点滅パターンを付与する発振回路部と、を備える。
【0010】
前記したシステム及び各装置の構成によれば、動作装置の所定アクションの開始のために可視光を照射するので、ユーザは動作装置が所定アクションの開始可能な状態にあるか否かを可視光の目視にて容易かつ迅速に確認できる。また、通信に用いられる可視光は一定周波数の点滅パターンであり、可視光照射装置において特別な処理を不要にできる。しかも、通信に用いられる可視光が一定周波数の点滅パターンであるために、可視光通信の情報量を最小限に抑えることができる。以上のことから、所定アクションの開始の確実性を向上させながら、所定アクションの開始に要する時間を出来るだけ短縮することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様によれば、非常停止等の所定のアクションの確実性を向上させながら、当該アクションに要する時間を出来るだけ短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、第1実施形態の動作システムの全体図である。
【
図3】
図3は、
図2の可視光照射装置から照射される可視光の点滅パターンを示す図面である。
【
図4】
図4は、第1実施形態の変形例の全体図である。
【
図5】
図5は、第2実施形態の動作システムの全体図である。
【
図7】
図7は、第3実施形態の動作システムのブロック図である。
【
図8】
図8は、第2又は第3実施形態の変形例の全体図である。
【
図9】
図9は、第4実施形態の動作システムの全体図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して実施形態を説明する。
【0014】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の動作システム1の全体図である。
図2は、
図1の動作システム1のブロック図である。
図1及び2に示すように、動作システム1は、動作装置2及び可視光照射装置3を備える。動作装置2は、人間が手動操作せずとも自動で動作する機能を備えた装置である。動作装置2は、例えば、自動で走行可能な移動体(例えば、車両又は自走ロボット等)、自動で作動する作業ロボット等とし得る。
図1では、動作装置2として車両が例示されている。なお、動作装置2は、車両やロボット等に限られず、自動で動作する機能を備えるものであれば他のものでもよい。可視光照射装置3は、動作装置2に可視光(400~800nmの範囲内の波長を有する光)を照射可能な装置である。可視光照射装置3は、ユーザが手で持ち運べる可搬式である。
【0015】
動作装置2は、動作部21、動作制御部22、受光部23及びアクション開始部24を備える。動作部21は、動作を発生するように構成されている。動作制御部22は、動作部21の動作を制御する。動作装置2が車両である場合に、動作部21は走行動力を発生する走行部(例えば、エンジン及び/又は電動モータからなる走行駆動源)であり、動作制御部22は走行部を制御するコントローラ(ECU/インバータ)である。動作装置2が作業ロボットである場合に、動作部21はアクチュエータであり、動作制御部22はアクチュエータを制御するコントローラである。
【0016】
受光部23は、動作装置2の外部の光を受けることができるように動作装置2に配置されている。受光部23は、受光素子及びバンドパスフィルタを有し、所定の一定周波数(例えば、1kHz~1GHzの範囲内の値)の点滅パターンの可視光を受光するとアクション開始部24にトリガー信号を送る。アクション開始部24は、受光部23が前記一定周波数の点滅パターンの可視光を受光すると、動作制御部22に制御された動作部21に所定アクションを行わせる。前記所定アクションは、動作部21の非常停止又は動作部21の動作開始(非常停止解除)の少なくとも一方を含む。例えば、アクション開始部24は、動作部21に非常停止させることが可能であると共に、非常停止後の所定時間経過後に非常停止した動作部21に動作開始させることが可能である。
【0017】
動作部21の動作中において、動作部21の前記非常停止は、アクション開始部24が動作部21に対する給電回路を遮断することで実現され得る。動作部21の前記動作開始(非常停止解除)は、アクション開始部24が動作部21に対する給電回路を接続(復旧)することで実現され得る。なお、動作部21の前記非常停止(又は前記動作開始)は、アクション開始部24が動作制御部22に動作部21を停止(又は動作開始)させる信号を送る構成としてもよい。なお、前記所定アクションは、非常停止及びその解除とは異なるアクションであってもよい。
【0018】
可視光照射装置3は、発光部31、発振回路部32、発光操作部33、照射範囲調節部34及び照射範囲操作部35を備える。発光部31は、可視光を発することが可能な発光素子(例えば、LED)を含む。発光部31は、可視光照射装置3の外部に光を照射できるように可視光照射装置3に配置されている。発光部31は、可視光を発するように構成されている。具体的には、発光部31は、白色ではない有色(例えば、赤色、青色等)の可視光を発する構成であると好ましい。これにより、ユーザは可視光照射装置3が発する可視光を白昼でも容易に視認できる。なお、発光部31は、白色の可視光を発する構成としてもよい。発振回路部32は、発光部31が発する可視光に前記一定周波数(例えば、1kHz~1GHzの範囲内の値)の点滅パターンを付与する。
【0019】
発光部31及び受光部23が発光/受光する可視光の点滅周波数は、1kHz以上であることで、他の照明装置の外乱を確実に防止できる。1GHz以下であることで、高点滅周期に対応可能な発光素子及び受光素子を使わずに済む。なお、点滅周波数は、1kHz~1GHzの範囲内に限定されるものではない。
【0020】
発光操作部33は、ユーザの手でオン・オフ操作可能に構成されている。発光操作部33は、例えば、例えば、押ボタン、スライドスイッチ、レバースイッチ等である。発光操作部33がユーザによって操作されると、発光部31を前記一定周波数の点滅パターンで発光させるように発光部31及び発振回路部32が動作する。
【0021】
照射範囲調節部34は、発光部31から発せられる可視光の照射範囲を拡大又は縮小させて照射範囲を調節する。照射範囲調節部34は、例えば、発光部31から出射された可視光の光路上に配置された可変絞りとし得る。照射範囲操作部35は、ユーザの手で増減操作可能に構成されている。照射範囲操作部35は、例えば、プラス押ボタン/マイナス押ボタン、正負に移動可能なスライダ等である。照射範囲操作部35がユーザによって操作されると、発光部31から出射される可視光の照射範囲を増加/減少させるように照射範囲調節部34が動作する。
【0022】
動作装置2の動作中にユーザが動作装置2を非常停止させる必要が生じた場合、可視光照射装置3を手に持ったユーザは、可視光照射装置3を動作装置2の受光部23に向けて発光操作部33をオン操作する。その際又は事前に、ユーザは照射範囲操作部35を操作して照射範囲を自己が望む大きさに調節する。照射範囲調節部34を通じて発光部31が出射される可視光は、
図2に示すように一定周波数の点滅パターンで点滅する。発光部31が出射する可視光の点滅周波数は一定であるため、可視光は1つの情報のみを有する。
【0023】
その可視光が動作装置2の受光部23によって受光されると、アクション開始部24が動作部21に対する給電回路を遮断して動作部21が非常停止する。ユーザは動作部21が非常停止したことを確認した後に発光操作部33をオフ操作する。動作部21の動作を再開できる状況になれば、ユーザは、発光操作部33をオン操作して可視光照射装置3から可視光を動作装置動作装置2に向けて照射する。その可視光が動作装置2の受光部23によって受光されると、アクション開始部24が動作部21に対する給電回路を接続(復旧)して動作部21の動作が再開する。なお、動作部21の非常停止後の動作再開は、可視光照射装置3によって行われずに別の手段によって行われるようにしてもよい。
【0024】
以上に説明した構成によれば、動作装置2の所定アクションの開始に可視光が用いられるので、ユーザは動作装置2が所定アクションを行える状態にあるか否かを可視光の目視にて容易かつ迅速に確認できる。また、動作装置2と可視光照射装置3との間の通信に用いられる可視光は一定周波数の点滅パターンであり、当該通信において特別な処理を不要にできる。しかも、当該通信に用いられる可視光が一定周波数の点滅パターンであるために、可視光通信の情報量を最小限に抑えることができる。以上のことから、動作装置が所定アクションを行う確実性を向上させながら、所定アクションを行うのに要する時間を出来るだけ短縮することができる。特に、所定アクションとして緊急性の高い非常停止や非常停止の解除等を遠隔から確実かつ迅速にできる。
【0025】
また、ユーザが動作装置2の動作部21を非常停止させたい事態が発生したときには、ユーザは、可視光照射装置3の発光部31が発する可視光が動作装置2の受光部23に照射されるように可視光照射装置3を動作装置2に向けて発光操作部33を操作すればよい。そのため、非常停止させたい動作装置2の位置が変わる場合にも、ユーザは、照射される可視光を目視しながら可視光照射装置3の向きを変えることで、簡単に可視光を動作装置2の受光部23に当てることができる。
【0026】
図4は、第1実施形態の変形例の全体図である。
図4に示すように、動作装置2は、動作部21としての走行部を有する移動体(例えば、車両)である。可視光照射装置3’は、所定の位置に設置される据置式である。可視光照射装置3’は、所定の照射範囲にて可視光を出射する。例えば、可視光照射装置3’が発する可視光の照射範囲は、立入禁止区域への侵入を防ぐ柵の役目を果たすように、通常走行路と立入禁止区域の境界付近に設定される。
【0027】
動作装置2が通常走行路から逸れて立入禁止区域に誤って侵入しようとすると、可視光照射装置3の発光部31から出射される可視光の照射範囲に入ることになり、その可視光が動作装置2の受光部23によって受光される。それにより、動作装置2の動作部21を自動で非常停止させて動作装置2が立入禁止区域に侵入することを防ぐことができる。
【0028】
(第2実施形態)
図5は、第2実施形態の動作システム101の全体図である。
図6は、
図5の動作システム101のブロック図である。なお、第1実施形態と共通する構成については同一符号を付して説明を省略する。
図5及び6に示すように、動作システム101は、複数の第1動作装置102A、複数の第2動作装置102B、及び、可視光照射装置103を備える。
図5では、第1動作装置102A及び第2動作装置102Bとして作業ロボットが例示されている。
【0029】
第1動作装置102Aの受光部23Aは、一定の第1周波数(例えば、1kHz~1GHzの範囲内の第1の値)の点滅パターンの可視光を受光可能に構成されている。第2動作装置102Bの受光部23Bは、一定の第2周波数(例えば、1kHz~1GHzの範囲内の第2の値)の点滅パターンの可視光を受光可能に構成されている。第2周波数は、第1周波数とは異なる周波数である。
【0030】
第1動作装置102Aの受光部23Aのバンドパスフィルタは、第1周波数で点滅する可視光を受光してアクション開始部24にトリガー信号を送るが、第2周波数で点滅する可視光を受光してもアクション開始部24にトリガー信号を送らないように設定されている。第2動作装置102Bの受光部23Bのバンドパスフィルタは、第2周波数で点滅する可視光を受光してアクション開始部24にトリガー信号を送るが、第1周波数で点滅する可視光を受光してもアクション開始部24にトリガー信号を送らないように設定されている。
【0031】
可視光照射装置103の第1発光操作部33Aは、ユーザに操作されると、発光部31を第1周波数の点滅パターンで発光させるように発光部31及び発振回路部32を動作させる。可視光照射装置103の第2発光操作部33Bは、ユーザに操作されると、発光部31を第2周波数の点滅パターンで発光させるように発光部31及び発振回路部32を動作させる。
【0032】
動作中の複数の動作装置102A(
図5のNo. 1-5)のうち一部の動作装置102A(
図5のNo. 2-3)のみを非常停止させたい場合、ユーザは可視光照射装置103を操作し、当該一部の動作装置102Aの受光部23Aにのみ可視光を照射する。その際、可視光照射装置103の照射範囲操作部35を操作して照射範囲を拡げることで、複数の動作装置102Aに同時に可視光を照射することができる。
【0033】
即ち、1つの動作装置102Aのみを非常停止させたい場合には、小さい照射範囲の可視光を用いて狙った動作装置102Aの受光部23Aに可視光をピンポイントで当てることができる。他方、複数の動作装置102Aを同時に非常停止させたい場合には、大きい照射範囲の可視光を用いて複数の動作装置102Aの受光部23Aに同時に可視光を当てることができる。よって、同じエリアに複数の動作装置102Aが混在する場合において、ユーザ操作される可視光照射装置103の利便性を高めることができる。
【0034】
次に、第1動作装置102Aの周囲に第2動作装置102Bが存在し、第2動作装置102Bを非常停止させることなく第1動作装置102Aを非常停止させる場合を考える。可視光照射装置103を手に持ったユーザは、可視光照射装置103を第1動作装置102Aの受光部23Aに向けて第1発光操作部33Aをオン操作する。可視光照射装置103の発光部31が出射する可視光の点滅周波数は第1周波数であるため、その可視光を受光部23Aで受光した第1動作装置102Aでは、アクション開始部24が動作部21を非常停止させる。しかし、その可視光を第2動作装置102Bの受光部23Bが受光したとしても、その可視光が第2周波数ではなく第1周波数であるため、第2動作装置102Bでは、アクション開始部24は動作部21を非常停止させない。
【0035】
このように、同じエリアに複数種類の動作装置102A,102Bが混在していて可視光が複数種類の動作装置102A,102Bに同時に当たる可能性がある場合でも、通信に用いられる可視光の点滅パターンの周波数を使い分けることで、第1動作装置102Aの動作部21を非常停止させながらも、第2動作装置102Bの動作部21の動作を継続させることができる。よって、複数種類の動作装置102A,102Bについて選択的な非常停止を実現できる。
【0036】
(第3実施形態)
図7は、第3実施形態の動作システム201のブロック図である。
図7に示すように、なお、第1及び第2実施形態と共通する構成については同一符号を付して説明を省略する。
図7に示すように、動作システム201は、複数の第1動作装置202A、複数の第2動作装置202B、及び、可視光照射装置203を備える。第1動作装置202Aの受光部23Cは、一定周波数(例えば、1kHz~1GHzの範囲内の値)の点滅パターンかつ第1波長(400~800nmの範囲内の第1の値)の可視光を受光可能に構成されている。第2動作装置202Bの受光部23Cは、一定周波数(例えば、1kHz~1GHzの範囲内の値)の点滅パターンかつ第2波長(400~800nmの範囲内の第2の値)の可視光を受光可能に構成されている。第2波長は、第1波長とは異なる波長である。
【0037】
第1動作装置202Aの受光部23Cの受光素子は、第1波長の可視光を受光してアクション開始部24にトリガー信号を送るが、第2波長の可視光を受光してもアクション開始部24にトリガー信号を送らないように設定されている。第2動作装置202Bの受光部23Dの受光素子は、第2波長の可視光を受光してアクション開始部24にトリガー信号を送るが、第1波長の可視光を受光してもアクション開始部24にトリガー信号を送らないように設定されている。なお、第1動作装置202Aの受光部23Cのバンドパスフィルタと第2動作装置202Bの受光部23Dのバンドパスフィルタは、互いに同じ点滅周波数の可視光を受光してアクション開始部24にトリガー信号を送るように設定されている。
【0038】
可視光照射装置203は、第1波長の可視光を発する第1発光部31Aと、第1発光部31Aとは異なる第2波長の可視光を発する第2発光部31Bと、を備える。可視光照射装置203の第1発光操作部33Aは、ユーザに操作されると、第1発光部31Aを一定周波数の点滅パターンで発光させるように第1発光部31A及び発振回路部32を動作させる。可視光照射装置203の第2発光操作部33Bは、ユーザに操作されると、第2発光部31Bを同じ一定周波数の点滅パターンで発光させるように第2発光部31B及び発振回路部32を動作させる。
【0039】
第1動作装置202Aの周囲に第2動作装置202Bが存在し、第2動作装置202Bを非常停止させることなく第1動作装置202Aを非常停止させる場合を考える。可視光照射装置203を手に持ったユーザは、可視光照射装置203を第1動作装置202Aの受光部23Cに向けて第1発光操作部33Aをオン操作する。可視光照射装置203の第1発光部31Aが出射する可視光の波長は第1波長であるため、その可視光を受光部23Cで受光した第1動作装置202Aでは、アクション開始部24が動作部21を非常停止させる。しかし、その可視光を第2動作装置202Bの受光部23Dが受光したとしても、その可視光が第2波長ではなく第1波長であるため、第2動作装置202Bでは、アクション開始部24は動作部21を非常停止させない。
【0040】
このように、同じエリアに複数種類の動作装置202A,202Bが混在していて可視光が複数種類の動作装置202A,202Bに同時に当たる可能性がある場合でも、通信に用いられる可視光の波長(色)を使い分けることで、第1動作装置202Aの動作部21を非常停止させながらも、第2動作装置202Bの動作部21の動作を継続させることができる。なお、他の構成は前述した第1及び第2実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0041】
図8は、第2又は第3実施形態の変形例の全体図である。
図8に示すように、本変形例の動作システム301では、第1動作装置102A’及び第2動作装置102B’は、移動体(例えば、車両)である。可視光照射装置103’は、所定の位置に設置される据置式である。可視光照射装置103’は、所定の照射範囲にて可視光を出射する。例えば、可視光照射装置103’が発する可視光の照射範囲は、立入禁止区域への侵入を防ぐ柵の役目を果たすように、通常走行路と立入禁止区域の境界付近に設定される。
【0042】
第1動作装置102A’は、立入禁止区域への侵入が禁止されているが、第2動作装置102B’は、立入禁止区域への侵入が許可されているものとする。第1動作装置102A’は、第1周波数の点滅パターンの可視光(又は一定周波数の点滅パターンで第1波長の可視光)を受光して非常停止する。第2動作装置102B’は、第1周波数の点滅パターンの可視光(又は一定周波数の点滅パターンで第1波長の可視光)を受光しても非常停止しない。
【0043】
これにより、第1動作装置102A’は、可視光照射装置103’によって照射される第1周波数の可視光(又は一定周波数の点滅パターンで第1波長の可視光)の照射範囲に入ると、自動で非常停止する。他方、第2動作装置102B’は、可視光照射装置103’によって照射される第1周波数の可視光(又は一定周波数の点滅パターンで第1波長の可視光)の照射範囲に入っても、非常停止せずに走行を継続する。よって、複数種類の動作装置102A’,102B’について選択的な非常停止を実現できる。なお、他の構成は前述した第2又は第3実施形態と同様であるため説明を省略する
【0044】
(第4実施形態)
図9は、第4実施形態の動作システム401の全体図である。
図10は、
図9の動作システム401のブロック図である。
図9及び10に示すように、動作システム401は、動作装置402及び可視光照射装置103を備える。動作装置402は、複数種類の動作部421A,421Bを有する。
図9では、動作装置402として除雪車両が例示されているが、これに限られない。動作装置402は、第1動作部421A(例えば、開閉動作する除雪翼)と、第2動作部421B(例えば、走行駆動力を発生する走行部)とを有し、動作制御部422が第1動作部421A及び第2動作部421Bを制御する。
【0045】
第1発光操作部33Aが操作されて可視光照射装置103から第1周波数の点滅パターンの可視光が出射されて当該可視光を受光部423が受光すると、アクション開始部424は、第1動作部421Aのみを非常停止させるが、第2動作部421Bを非常停止させずに継続して動作させる。他方、第1発光操作部33Bが操作されて可視光照射装置103から第2周波数の点滅パターンの可視光が出射されて当該可視光を受光部423が受光すると、アクション開始部424は、第1動作部421A及び第2動作部421Bの両方を非常停止させる。なお、アクション開始部424は、受光部423が第2周波数で点滅する可視光を受光すると、第2動作部421Bのみを非常停止させ、第1動作部421Aを非常停止させずに継続して動作させてもよい。
【0046】
このような構成によれば、動作装置402のアクション開始部424は、受光部423が所定の可視光を受けると、複数の動作部421A,421Bのうち一部の動作部421Aのみ非常停止させるので、非常停止させる動作部421Aを最小限に抑え、動作装置402の動作を継続させることができる。
【0047】
なお、
図7のように、第1発光操作部33Aが操作されて可視光照射装置103から一定周波数の点滅パターンかつ第1波長の可視光が出射され、当該可視光を受光部423が受光すると、アクション開始部424は、第1動作部421Aのみを非常停止させるが、第2動作部421Bを非常停止させずに継続して動作させる構成としてもよい。他方、第1発光操作部33Bが操作されて可視光照射装置103から同じ一定周波数の点滅パターンかつ第2波長の可視光が出射されて当該可視光を受光部423が受光すると、アクション開始部424は、第1動作部421A及び第2動作部421Bの両方を非常停止させてもよい。
【0048】
なお、本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、その構成を変更、追加、又は削除することができる。例えば、1つの実施形態中の一部の構成は、その実施形態中の他の構成から分離して任意に抽出可能であり、1つの実施形態中の一部の構成を他の実施形態に適用してもよい。
【符号の説明】
【0049】
1,101,201,301,401 動作システム
2,402 動作装置
102A,102A’、202A 第1動作装置
102B,102B’,202B 第2動作装置
3,103,103’,203 可視光照射装置
21 動作部
421A 第1動作部
421B 第2動作部
22 動作制御部
422 動作制御部
23,423 受光部
23A~D 受光部
24,424 アクション開始部
31 発光部
31A 第1発光部
31B 第2発光部
32 発振回路部
33A 第1発光操作部
33B 第2発光操作部
34 照射範囲調節部
34 照射範囲調節部
34 照射範囲調節部
35 照射範囲操作部
35 照射範囲操作部
35 照射範囲操作部