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特許7184266水中にコンクリートを打設する工法におけるコンクリート打ち上がり高さ測定方法および測定装置
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  • 特許-水中にコンクリートを打設する工法におけるコンクリート打ち上がり高さ測定方法および測定装置 図1
  • 特許-水中にコンクリートを打設する工法におけるコンクリート打ち上がり高さ測定方法および測定装置 図2
  • 特許-水中にコンクリートを打設する工法におけるコンクリート打ち上がり高さ測定方法および測定装置 図3
  • 特許-水中にコンクリートを打設する工法におけるコンクリート打ち上がり高さ測定方法および測定装置 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】水中にコンクリートを打設する工法におけるコンクリート打ち上がり高さ測定方法および測定装置
(51)【国際特許分類】
   E02D 15/06 20060101AFI20221129BHJP
【FI】
E02D15/06
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021049859
(22)【出願日】2021-03-24
(65)【公開番号】P2022148247
(43)【公開日】2022-10-06
【審査請求日】2022-05-16
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】391004090
【氏名又は名称】関西オートメイション株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000194756
【氏名又は名称】成和リニューアルワークス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【弁理士】
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100155963
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100154771
【弁理士】
【氏名又は名称】中田 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100150566
【弁理士】
【氏名又は名称】谷口 洋樹
(74)【代理人】
【識別番号】100220489
【弁理士】
【氏名又は名称】笹沼 崇
(72)【発明者】
【氏名】田村 征大
(72)【発明者】
【氏名】大高 信雄
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 正嘉
(72)【発明者】
【氏名】西田 与志雄
(72)【発明者】
【氏名】平山 哲也
【審査官】石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-128957(JP,A)
【文献】特開2017-150165(JP,A)
【文献】特開平05-280051(JP,A)
【文献】特公昭47-008897(JP,B1)
【文献】国際公開第2013/080296(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中にコンクリートを打設する工法において、掘削孔に打設されるコンクリートの連続的に変化する打ち上がり高さを順次測定する方法であって、
ケーブルと、前記ケーブルの下端部に取り付けられて前記コンクリートの天端に接触するウエイトと、前記ウエイトを前記ケーブルを介して昇降させる回転駆動装置とを備えるレベル測定装置を用いて、前記掘削孔の測定基準レベルからの前記天端の深さを測定することを含み、
前記天端の深さを測定することが、
N回目(N:自然数)の測定において前記ウエイトをコンクリートの天端まで降下させてコンクリートの高さを測定した後、前記ウエイトを、前記測定基準レベル未満の高さ位置まで巻き上げて待機させ、その後コンクリート高さが増加した後、(N+1)回目の測定において前記ウエイトをコンクリートの天端まで降下させて前記天端の深さを測定することを含む、
水中にコンクリートを打設する工法におけるコンクリート打ち上がり高さ測定方法。
【請求項2】
請求項に記載のコンクリート打ち上がり高さ測定方法において、
予め設定された前記掘削孔への前記コンクリートの投入速度に応じて、各回の測定において、測定後に前記ウエイトを所定の高さ巻き上げ、その後所定の時間待機させ、
前記待機の後に前記ウエイトを前記天端まで降下させる、
コンクリート打ち上がり高さ測定方法。
【請求項3】
水中にコンクリートを打設する工法において、掘削孔に打設されるコンクリートの連続的に変化する打ち上がり高さを順次測定する装置であって、
ケーブルと、
前記ケーブルの下端部に取り付けられて測定対象物の天端に接触するウエイトと、
前記ウエイトを前記ケーブルを介して昇降させる回転駆動装置と、
前記回転駆動装置によって回転駆動されて、前記ケーブルの巻き出しおよび巻取りを行うドラムと、
巻き出された前記ケーブルの長さを検知するケーブル長さ検知装置と、
前記回転駆動装置、前記ドラムおよび前記ケーブルを収容するケーシングと、
前記ケーシングに設けられて、前記ケーシングの外部からの洗浄液を前記ケーシングの内方に位置する前記ケーブルに導く洗浄ノズルと、
を備える、
コンクリート打ち上がり高さ測定装置。
【請求項4】
請求項に記載の測定装置において、前記ケーブルはテープ状の部材であり、2つの前記洗浄ノズルが、テープ状の前記ケーブルの両面に対向する位置にそれぞれ設けられている、測定装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中にコンクリートを打設する工法におけるコンクリートの打ち上がり高さの測定方法および測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、超高層ビルのような重量の大きい建築物の基礎工事や、地下を大規模に掘削するための山留工事では、地中に円形や矩形の掘削を行い、その掘削孔内を泥水や清水で満たした状態でコンクリートを打設する工法が利用されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
水中に打設する場所打ちコンクリート工法では、掘削孔内へのコンクリートの打設を、トレミー管と呼ばれるパイプを用いて行う。一般的に、コンクリートの打設は、掘削孔に孔壁保護のための泥水や清水を満たした状態で行われる。このような状態で、トレミー管の先端を掘削孔の底部付近まで挿入し、トレミー管の先端からコンクリートを押出することにより、掘削孔の底部から上方へ押し上げるようにコンクリートを打設していく。
【0004】
このようにして行われるコンクリートの打設に際しては、トレミー管の先端がコンクリート内に所定の深さの範囲で挿入されるよう管理することが、水中にコンクリートを打設する工法の品質を確保するために重要となる。トレミー管がコンクリートに挿入されていなければ、トレミー管から押出されたコンクリートと掘削孔中の泥水や清水が混ざってしまう一方、トレミー管の挿入深さが深すぎると、トレミー管から押出されたコンクリートの流動性が確保できなくなるからである。このような管理を行う前提として、順次打設されていくコンクリートの高さを正確に測定することが必要になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-183494号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来、このような水中にコンクリートを打設する工法におけるコンクリートの打ち上がり高さの測定は、先端にウエイトをつけた検尺テープを手動で掘削孔内に垂らし、検尺テープの弛みを目視で確認してウエイトがコンクリートの天端に到達したことを確認し、その時の深さを計測することによって行っている。一回の測定が終了すれば、その後のコンクリート投入のために、その都度検尺テープを引き上げ、次回の測定時に再度検尺テープをコンクリート天端まで降下させる。工事が終了するまで、このような作業を何度も繰り返す必要があるので、工事作業者の作業負担が大きいと共に、時間的にも非効率であった。
【0007】
本発明の目的は、上記の課題を解決するために、水中にコンクリートを打設する工法において、作業者の作業負担を低減し、かつ測定作業の時間効率を向上させることが可能なコンクリート打ち上がり高さの測定方法および測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係る場所打ちコンクリート杭工法におけるコンクリート打ち上がり高さ測定方法は、
水中にコンクリートを打設する工法において、掘削孔に打設されるコンクリートの連続的に変化する打ち上がり高さを順次測定する方法であって、
ケーブルと、前記ケーブルの下端部に取り付けられて前記コンクリートの天端に接触するウエイトと、前記ウエイトを前記ケーブルを介して昇降させる回転駆動装置とを備えるサウンジング装置を用いて、前記掘削孔の測定基準レベルからの前記天端の深さを測定することを含む。
【0009】
この構成によれば、水中にコンクリートを打設する工法において、コンクリート高さを測定するために従来手動で行っていた計測用ウエイトの昇降を、回転駆動装置を備える、いわゆるサウンジング式のレベル測定装置によって行うので、工事作業者の作業負担を低減し、かつ時間効率を向上させることが可能になる。
【0010】
本発明の一実施形態に係る測定方法において、N回目(N:自然数)の測定において前記ウエイトをコンクリートの天端まで降下させてコンクリートの高さを測定した後、前記ウエイトを、前記測定基準レベル未満の高さ位置まで巻き上げて待機させ、その後コンクリート高さが増加した後、(N+1)回目の測定において前記ウエイトをコンクリートの天端まで降下させて前記天端の深さを測定することを含んでいてもよい。典型的には、例えば、予め設定された前記掘削孔への前記コンクリートの投入速度に応じて、各回の測定において、測定後に前記ウエイトを所定の高さ巻き上げ、その後所定の時間待機させ、前記待機の後に前記ウエイトを前記天端まで降下させてもよい。この構成によれば、測定の度にウエイトを最上部の測定基準レベルまで巻き上げることなく次回の測定に移行するので、コンクリート高さ測定作業の時間効率が飛躍的に向上する。
【0011】
本発明に係るコンクリート高さ測定装置は、
ケーブルと、
前記ケーブルの下端部に取り付けられて測定対象物の天端に接触するウエイトと、
前記ウエイトを前記ケーブルを介して昇降させる回転駆動装置と、
前記回転駆動装置によって回転駆動されて、前記ケーブルの巻き出しおよび巻取りを行うドラムと、
巻き出された前記ケーブルの長さを検知するケーブル長さ検知装置と、
前記回転駆動装置、前記ドラムおよび前記ケーブルを収容するケーシングと、
前記ケーシングに設けられて、前記ケーシングの外部からの洗浄液を前記ケーシングの内方に位置する前記ケーブルに導く洗浄ノズルと、
を備えている。
【0012】
上記測定装置を水中にコンクリートを打設する工法に使用した場合、ケーブルにセメントのような異物が付着することが想定され、これを放置すると、セメントがケーシング内でケーブルやその周辺の部材に固着し、その後の測定装置の動作に支障を来すおそれがある。上記構成によれば、洗浄ノズルを設けたことによってケーシング内のケーブル及びその周辺を洗浄することが可能となり、セメントの固着を防止することができる。
【0013】
本発明の一実施形態に係る測定装置において、前記ケーブルはテープ状の部材であり、2つの前記洗浄ノズルが、テープ状の前記ケーブルの両面に対向する位置にそれぞれ設けられていてもよい。この構成によれば、大深度の水中にコンクリートを打設する工法に対応可能なテープ状のケーブルを備える測定装置の内部を効果的に洗浄することができる。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明によれば、水中にコンクリートを打設する工法において、作業者の作業負担を低減し、かつ測定作業の時間効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係る水中にコンクリートを打設する工法におけるコンクリート打ち上がり高さの測定方法および測定装置が適用される掘削孔を模式的に示す断面図である。
図2図1の測定装置を示す分解正面図である。
図3図1の測定装置を示す分解側面図である。
図4】本発明の一実施形態に係る測定方法の一例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しながら説明する。図1に本発明の一実施形態に係る水中にコンクリートを打設する工法におけるコンクリート打ち上がり高さ測定方法(以下、単に「測定方法」という。)およびコンクリート打ち上がり高さ測定装置(以下、単に「測定装置」という。)1が適用される掘削孔Bの概略構成を示す。地中に形成された掘削孔Bには、孔壁を保護するための泥水Wが張られている。この工法では、掘削孔Bに、コンクリートがトレミー管Pを介して底部から投入されていく。
【0017】
なお、本明細書では、水中にコンクリートを打設する工法の一例として、泥水を用いる場所打ちコンクリート杭工法について説明するが、本発明に係る測定方法および測定装置は、地中連続壁工法等の水(泥水や清水)を使用してコンクリートを打設する工法一般に適用することができる。
【0018】
本実施形態に係る測定方法では、後述するように構成された測定装置1を用いてコンクリート高さを測定する。測定装置1は、掘削孔Bの測定基準レベルOからのコンクリート3の天端3aの深さDを測定するために使用される。測定装置1は、地面Gと同一レベルにある掘削孔Bの最上端の開口7に配置された設置板5上に載置されている。なお、測定装置1の設置レベルは地面Gと同一である必要ななく、また、測定装置1を設置する態様はこの例に限定されない。例えば、移動式または固定式の吊り下げ装置によって測定装置1を吊り下げてもよい。
【0019】
なお、本明細書において「測定基準レベルO」とは、掘削孔Bの最上端の開口7のレベルを指す。また、「コンクリートの打ち上がり高さ」とは、掘削孔Bの底面を基準としたコンクリート天端3aの高さHを意味し、以下の説明では単に「コンクリート高さ」という場合がある。もっとも、実際の測定においては、通常、事前に掘削孔Bの底面の、測定基準レベルからの深さ(以下、単に「深さ」という。)を測定し把握したうえで、測定装置1によって直接測定するのはコンクリート天端3aの深さDである。本明細書では、コンクリート天端3aの「深さD」を「コンクリートの高さH」と区別することなく用いる。
【0020】
本実施形態における測定装置1は、いわゆるサウンジング式のレベル測定装置1である。具体的には、図2に示すように、測定装置1は、ケーブル11と、ケーブル11の下端部に取り付けられて測定対象物(この例ではコンクリート3の天端3a)に接触するウエイト13と、ウエイト13を前記ケーブル11を介して昇降させる回転駆動装置(この例では電動モータ)15と、回転駆動装置15によって回転駆動されて、ケーブル11の巻き出しおよび巻取りを行うドラム17と、回転駆動装置15、ドラム17およびケーブル11等の構成部材を収容するケーシング19とを備えている。ケーシング19の下端開口21を介してケーブル11の昇降が行われる。本実施形態では、ケーブル11は、薄長のテープ状部材として形成されている。
【0021】
測定装置1は、さらに、ドラム17の下方に設けられたケーブル長さ検知装置であるカウントプーリ23と、カウントプーリ23と下端開口21との間に設けられた巻上完了部25とを備えている。この例では、巻き出されたケーブル11の長さを前記ケーブル長さ検知装置であるカウントプーリ23によって検知するが、ケーブル長さ検知装置はこの例に限定されない。巻上完了部25の下縁部近傍には、測定中にケーブル11に付着した異物を除去するためのケーブルクリーナ27が設けられている。図3に示すように、ケーブルクリーナ27は、テープ状のケーブル11の両面にそれぞれ対向する角棒状の部材として形成されている。2つの角棒状部材の間の小さな隙間をケーブル11が通過する際に、ケーブル11の付着物がこそぎ落とされることによって、ケーブル11の付着物が除去される。
【0022】
さらに、測定装置1には、ウエイト13が測定対象に到達したことを検知する図示しない到達検出センサが設けられている。この例では、ケーブル11の張力の変化を検出するセンサを到達検出センサとして用いている。
【0023】
図3に示すように、ケーシング19の一側面の、ドラム17にほぼ対応する位置に端子ボックス31が設けられている。端子ボックス31内には、測定装置1の動作、制御のために必要な機器との接続のための各種端子、例えば、電力を入力するための電源端子や、制御を行う制御盤と接続するための制御端子が収納されている。
【0024】
測定装置1の制御盤には、後に詳述する計測方法を実行するための制御回路が搭載されている。この制御回路には、例えば、測定結果をリアルタイムで生じさせる表示手段、計測結果を電子データとして記憶する記憶手段、後述する計測手順を自動で実行させるためのプログラムを含む実行指令手段、測定装置1と制御盤との間で信号の送受信を行うための通信手段等が含まれる。測定装置1と制御盤との間の通信は、有線であっても無線であってもよい。また、上記表示手段、記憶手段、実行指令手段の少なくとも一部は、測定装置1とは別体に設けられた制御盤ではなく、測定装置1自体に設けられていてもよい。また、制御盤で受信し、記憶した測定データを、有線または無線の通信手段によって、さらに他の端末に送信可能に構成してもよい。
【0025】
測定装置1のケーシング19には、ケーシング19の外部からの洗浄液をケーシング19の内方に位置するケーブル11に導く洗浄ノズル33が設けられている。洗浄ノズル33は、テープ状のケーブル11の両面に対向する位置にそれぞれ設けられている。図示の例では、各洗浄ノズル33は、ケーブルクリーナ27に向けて洗浄液を噴射可能な位置、角度で設けられている。
【0026】
より詳細には、ケーシング19の内部は、図2に示す隔壁35によって、回転駆動装置15が収容される駆動室37と、ケーブル11の移動経路を形成するドラム17、カウントプーリ23、巻上完了部25が収容される測定室39とに隔離されている。洗浄ノズル33(図3)は、ケーシング19内の測定室39側のみに洗浄液を噴射可能な位置に設けられている。隔壁35および隔壁35に取り付けられたシール(図示せず)によって、測定室39内に噴射された洗浄液が駆動室37内に流入することが防止される。
【0027】
図3に示す例では、洗浄ノズル33には開閉弁が取り付けられている。具体的には、開閉弁41は電磁弁として構成されている。開閉弁41の弁部41aはケーシング19の内部に、制御部41bはケーシング19の外部(図示の例では端子ボックス31の下側)に設けられている。洗浄ノズル33のケーシング19外側に突出する接続端部に、外部からの洗浄液(例えば水道水)を供給するためのホースが接続される。
【0028】
次に、本実施形態に係る上記測定方法について説明する。本実施形態に係る測定方法では、図1に示す掘削孔B内へ測定装置1のウエイト13を降下させ、コンクリート3の天端3aに接触させて測定を開始した後、予め設定された掘削孔Bへのコンクリートの投入速度に応じて、図4に示すように、各回の測定において、測定後にウエイト13を所定の高さ巻き上げ(図4のステップA)、その後所定の時間待機させ(図4のステップB)、この待機の後にウエイト13を天端3aまで降下させる(図4のステップC)、という手順を繰り返す。
【0029】
上記「所定の高さ」とは、最終回の測定後の場合を除いて、巻き上げ後のウエイト13の下端が測定基準レベル未満の高さ位置となる高さである。換言すれば、この測定方法では、各回の測定後、ウエイト13を測定基準レベルまで完全に巻き上げるのではなく、各回の測定時におけるコンクリート天端3aと、測定基準レベルとの間の途中の位置まで巻き上げて停止させ、その状態で所定の時間待機させる。
【0030】
上記「所定の高さ」および待機させる「所定の時間」は、掘削孔Bの深さ、コンクリートの投入速度(コンクリート高さの上昇速度)、コンクリート打設を終了するまでに行う高さ測定の回数を事前に設定し、これらのパラメータに応じて適宜設定される。
【0031】
なお、測定作業全体の負担軽減および効率化の観点から、上述のように、最終回の測定を除く各回の測定において、上述の手順に沿って測定を行うことが好ましい。もっとも、全体の測定作業のうち、少なくとも1回上記の手順が実行されてもよい。すなわち、この測定方法は、あるN回目(N:自然数)の測定においてウエイト13をコンクリートの天端3aまで降下させてコンクリートの高さを測定した後、ウエイト13を、測定基準レベル未満の高さ位置まで巻き上げて待機させ、その後コンクリート高さが増加した後、(N+1)回目の測定において前記ウエイト13をコンクリートの天端3aまで降下させて天端3aの深さを測定することを含むものであってよい。少なくとも1回上記の手順が実行されれば、従来の手動による測定に比べて測定作業の負担が軽減されるとともに時間効率が向上する効果が得られる。
【0032】
また、本実施形態では、ウエイト13を巻き上げる際に、図3に示す洗浄ノズル33に設けられた開閉弁41を開けてケーブル11の洗浄を行う。このようなタイミングでケーブル11の洗浄を行うことにより、泥水W(図1)に浸漬されていたケーブル11に付着したセメントなどの異物を効率的に除去することができる。
【0033】
なお、本実施形態に係る計測方法に用いられる測定装置1は、ケーブル11と、ケーブル11の下端部に取り付けられてコンクリートの天端3aに接触するウエイト13と、ウエイト13をケーブル11を介して昇降させる回転駆動装置15とを備えるレベル測定装置1であれば、そのほかの具体的な構成は上記で説明した例に限定されない。例えば、ケーブル11はテープ状ではなくワイヤロープ状のものであってもよいし、洗浄用ノズルが設けられていなくてもよい。
【0034】
以上説明した本実施形態に係る測定方法によれば、水中にコンクリートを打設する工法において、コンクリート高さを測定するために従来手動で行っていた計測用ウエイト13の昇降を、回転駆動装置15を備える、いわゆるサウンジング式のレベル測定装置1によって行うので、工事作業者の作業負担を低減し、かつ時間効率を向上させることが可能になる。
【0035】
また、本実施形態に係る測定装置1によれば、洗浄ノズル33を設けたことによってケーシング19内のケーブル11及びその周辺を洗浄することが可能となり、セメントなどの異物がケーブル11に固着するを防止することができる。
【0036】
以上のとおり、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、種々の追加、変更または削除が可能である。したがって、そのようなものも本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0037】
1 コンクリート打ち上がり高さ測定装置
3 コンクリート
3a コンクリートの天端
11 ケーブル
13 ウエイト
15 回転駆動装置
17 ドラム
19 ケーシング
23 カウントプーリ(ケーブル長さ検知装置)
33 洗浄ノズル
B 掘削孔
W 泥水(水)
図1
図2
図3
図4