(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】ハンドルグリップ装置
(51)【国際特許分類】
B62K 23/04 20060101AFI20221129BHJP
B62J 6/00 20200101ALI20221129BHJP
F21S 43/239 20180101ALI20221129BHJP
F21S 43/245 20180101ALI20221129BHJP
F21S 43/249 20180101ALI20221129BHJP
F21S 43/19 20180101ALI20221129BHJP
F21W 104/00 20180101ALN20221129BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20221129BHJP
F21W 107/13 20180101ALN20221129BHJP
【FI】
B62K23/04
B62J6/00
F21S43/239
F21S43/245
F21S43/249
F21S43/19
F21W104:00
F21Y115:10
F21W107:13
(21)【出願番号】P 2018163850
(22)【出願日】2018-08-31
【審査請求日】2021-07-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000213954
【氏名又は名称】朝日電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095614
【氏名又は名称】越川 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】澤木 祐介
【審査官】結城 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0347402(US,A1)
【文献】特開平10-68947(JP,A)
【文献】中国実用新案第201737113(CN,U)
【文献】登録実用新案第3146255(JP,U)
【文献】実開昭61-24330(JP,U)
【文献】実開昭61-132183(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62K 23/04,21/26,11/14,
B62J 6/00,33/00,
F21S 43/19,43/239,43/245,43/249,
F21W 104/00,107/13,
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が具備するハンドルバーの先端に取り付けられるとともに、基端側に形成された鍔部と運転者が把持可能な把持部とを有するハンドルグリップ本体と、
光を照射し得る発光手段と、
前記ハンドルグリップ本体の内部に取り付けられて当該ハンドルグリップ本体の長手方向に延設されるとともに、前記発光手段からの光を導くことが可能な導光体と、
を備え、前記導光体で導かれた前記発光手段の光を前記ハンドルグリップ本体から外部に照射させるハンドルグリップ装置であって、
前記発光手段は、前記ハンドルグリップ本体の鍔部の内部に配設され
、且つ、前記ハンドルグリップ本体は、前記把持部における所定位置に貫通孔が形成され、当該貫通孔を介して前記導光体で導かれた前記発光手段の光が外部に照射されるとともに、前記導光体は、前記貫通孔に嵌入可能な凸部が一体形成されたことを特徴とするハンドルグリップ装置。
【請求項2】
前記導光体の裏面には、その長手方向に亘って微細な凹凸形状が形成されたことを特徴とする請求項1記載のハンドルグリップ装置。
【請求項3】
前記導光体の裏面は、前記ハンドルグリップ本体の基端側の部位より先端側の部位の方が前記凹凸形状が大きくなるよう形成されたことを特徴とする請求項2記載のハンドルグリップ装置。
【請求項4】
前記導光体は、前記ハンドルグリップ本体の先端部まで延設されるとともに、
前記把持部の所定位置に形成された貫通孔に加えて当該ハンドルグリップ本体の先端部から
、前記導光体で導かれた前記発光手段の光が外部に照射されることを特徴とする請求項1~
3の何れか1つに記載のハンドルグリップ装置。
【請求項5】
前記導光体は、前記ハンドルグリップ本体における鍔部の内部に位置する大径部と、前記ハンドルグリップ本体における把持部の内部に位置する延設部と、前記ハンドルグリップ本体における先端部の内部に位置する突端部とを有した一体成形部品から成るとともに、前記発光手段は、前記大径部に取り付けられたことを特徴とする請求項1~
4の何れか1つに記載のハンドルグリップ装置。
【請求項6】
前記大径部は、前記発光手段が形成された基板を嵌合して固定可能な取付溝が形成されたことを特徴とする請求項
5記載のハンドルグリップ装置。
【請求項7】
前記導光体は、前記ハンドルバーに対して回転可能なスロットルパイプの表面に形成されるとともに、前記
ハンドルグリップ本体の一部を充填させて前記スロットルパイプの表面に密着させた開口部を有することを特徴とする請求項1~
6の何れか1つに記載のハンドルグリップ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両が具備するハンドルバーの先端に取り付けられたハンドルグリップを発光させることができるハンドルグリップ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
二輪車等のハンドルバーを具備した車両においては、そのハンドルバーの先端に運転者が把持し得るハンドルグリップが取り付けられている。かかるハンドルグリップは、通常、基端側に形成された鍔部と、運転者が把持可能な把持部とが一体的に形成されたハンドルグリップ本体を有して成り、右側ハンドルバーの先端及び左側ハンドルバーの先端のそれぞれに取り付けられている。
【0003】
しかるに、従来、ハンドルグリップ本体の先端部に発光手段を取り付けるとともに、ハンドルグリップ本体の内部において長手方向に導光体を延設させ、発光手段からの光を導光体にてハンドルグリップ本体内に導くことにより意匠性を向上させることができるハンドルグリップ装置が開示されている(例えば特許文献1参照)。かかる従来のハンドルグリップ装置によれば、発光手段の光が導光体を介してハンドルグリップ本体内に導かれるので、当該ハンドルグリップ本体を発光させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来のハンドルグリップ装置においては、導光体にて発光手段の光を導いて発光させているので、発光手段を複数有するものに比べて安価に製造することができるものの、発光手段がハンドルグリップ本体の先端部に配設されているので、当該先端部に発光手段を取り付けるための比較的大きな部位が必要となり、車両のハンドルバー全体を含む意匠性に影響が及んでしまう虞があった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、導光体を利用して安価に製造することができるとともに、ハンドルグリップ本体において発光手段を配設するための新たな形状を不要とすることができるハンドルグリップ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、車両が具備するハンドルバーの先端に取り付けられるとともに、基端側に形成された鍔部と運転者が把持可能な把持部とを有するハンドルグリップ本体と、光を照射し得る発光手段と、前記ハンドルグリップ本体の内部に取り付けられて当該ハンドルグリップ本体の長手方向に延設されるとともに、前記発光手段からの光を導くことが可能な導光体とを備え、前記導光体で導かれた前記発光手段の光を前記ハンドルグリップ本体から外部に照射させるハンドルグリップ装置であって、前記発光手段は、前記ハンドルグリップ本体の鍔部の内部に配設され、且つ、前記ハンドルグリップ本体は、前記把持部における所定位置に貫通孔が形成され、当該貫通孔を介して前記導光体で導かれた前記発光手段の光が外部に照射されるとともに、前記導光体は、前記貫通孔に嵌入可能な凸部が一体形成されたことを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のハンドルグリップ装置において、前記導光体の裏面には、その長手方向に亘って微細な凹凸形状が形成されたことを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項2記載のハンドルグリップ装置において、前記導光体の裏面は、前記ハンドルグリップ本体の基端側の部位より先端側の部位の方が前記凹凸形状が大きくなるよう形成されたことを特徴とする。
【0012】
請求項4記載の発明は、請求項1~3の何れか1つに記載のハンドルグリップ装置において、前記導光体は、前記ハンドルグリップ本体の先端部まで延設されるとともに、前記把持部の所定位置に形成された貫通孔に加えて当該ハンドルグリップ本体の先端部から、前記導光体で導かれた前記発光手段の光が外部に照射されることを特徴とする。
【0013】
請求項5記載の発明は、請求項1~4の何れか1つに記載のハンドルグリップ装置において、前記導光体は、前記ハンドルグリップ本体における鍔部の内部に位置する大径部と、前記ハンドルグリップ本体における把持部の内部に位置する延設部と、前記ハンドルグリップ本体における先端部の内部に位置する突端部とを有した一体成形部品から成るとともに、前記発光手段は、前記大径部に取り付けられたことを特徴とする。
【0014】
請求項6記載の発明は、請求項5記載のハンドルグリップ装置において、前記大径部は、前記発光手段が形成された基板を嵌合して固定可能な取付溝が形成されたことを特徴とする。
【0015】
請求項7記載の発明は、請求項1~6の何れか1つに記載のハンドルグリップ装置において、前記導光体は、前記ハンドルバーに対して回転可能なスロットルパイプの表面に形成されるとともに、前記ハンドルグリップ本体の一部を充填させて前記スロットルパイプの表面に密着させた開口部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明によれば、導光体で導かれた発光手段の光をハンドルグリップ本体から外部に照射させるとともに、発光手段は、ハンドルグリップ本体の鍔部の内部に配設されたので、導光体を利用して安価に製造することができるとともに、ハンドルグリップ本体において発光手段を配設するための新たな形状を不要とすることができる。
また、ハンドルグリップ本体は、把持部における所定位置に貫通孔が形成され、当該貫通孔を介して導光体で導かれた発光手段の光が外部に照射されるので、貫通孔の形状や大きさを任意のものとすることにより、光の照射による意匠性をより向上させることができる。
さらに、導光体は、貫通孔に嵌入可能な凸部が一体形成されたので、導光体で導かれる光を貫通孔から外部に向かって良好に照射させることができる。
【0017】
請求項2の発明によれば、導光体の裏面には、その長手方向に亘って微細な凹凸形状が形成されたので、導光体により導かれる光を凹凸形状により乱反射させることができ、ハンドルグリップ本体の外部に向かって光を良好に照射させることができる。
【0018】
請求項3の発明によれば、導光体の裏面は、ハンドルグリップ本体の基端側の部位より先端側の部位の方が凹凸形状が大きくなるよう形成されたので、ハンドルグリップ本体の基端側と先端側とで照射される光の量(外部に対する光の照射量)を均等化させることができる。
【0021】
請求項4の発明によれば、導光体は、ハンドルグリップ本体の先端部まで延設されるとともに、把持部の所定位置に形成された貫通孔に加えて当該ハンドルグリップ本体の先端部から導光体で導かれた発光手段の光が外部に照射されるので、把持部が運転者によって把持されて覆われていても、ハンドルグリップ本体の先端部から光を照射して意匠性の向上を図ることができる。
【0022】
請求項5の発明によれば、導光体は、ハンドルグリップ本体における鍔部の内部に位置する大径部と、ハンドルグリップ本体における把持部の内部に位置する延設部と、ハンドルグリップ本体における先端部の内部に位置する突端部とを有した一体成形部品から成るとともに、発光手段は、大径部に取り付けられたので、導光体が発光手段の光を導く機能と、発光手段を固定させる機能とを兼ね備えることができる。また、導光体に発光手段が取り付けられるので、導光体と発光手段との位置決めを正確に行わせることができる。
【0023】
請求項6の発明によれば、大径部は、発光手段が形成された基板を嵌合して固定可能な取付溝が形成されたので、発光手段が形成された基板を容易且つ確実に取り付けることができる。
【0024】
請求項7の発明によれば、導光体は、ハンドルバーに対して回転可能なスロットルパイプの表面に形成されるとともに、ハンドルグリップ本体の一部を充填させてスロットルパイプの表面に密着させた開口部を有するので、導光体の材質に関わらず、スロットルパイプに対してハンドルグリップ本体をより強固且つ安定して取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の実施形態に係るハンドルグリップ装置の外観を示す斜視図
【
図6】同ハンドルグリップ装置におけるハンドルグリップ本体を示す斜視図
【
図7】同ハンドルグリップ装置におけるスロットルパイプを示す斜視図
【
図8】同ハンドルグリップ装置におけるスロットルパイプを示す斜視図
【
図9】同ハンドルグリップ装置における導光体を示す斜視図
【
図10】同ハンドルグリップ装置における導光体を示す斜視図
【
図11】同ハンドルグリップ装置における導光体を示す斜視図
【
図12】同ハンドルグリップ装置におけるスロットルパイプに導光体を取り付けた状態を示す斜視図
【
図13】同ハンドルグリップ装置におけるスロットルパイプに導光体を取り付けた状態を示す斜視図
【
図14】同ハンドルグリップ装置における発光体が形成された基板を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
本実施形態に係るハンドルグリップ装置は、二輪車(車両)が具備する操舵のためのハンドルバーにおける先端(本実施形態においてはハンドルバーの右側先端)に取り付けられたものであり、
図1~5に示すように、ハンドルグリップ本体1と、スロットルパイプ2と、発光手段としてのLED4と、導光体5とを有して構成されている。なお、図中符号Hは、車両が具備するハンドルバー(ハンドルパイプ)を示している。かかるハンドルバーHの先端には、ウェイト部材Wが締結手段aによって固定されており、当該ウェイト部材Wとハンドルグリップ本体1の先端部1c及び導光体5の突端部5dとの間には、所定寸法のクリアランスが形成されている。
【0027】
ハンドルグリップ本体1は、車両が具備するハンドルバーの先端に取り付けられる(具体的には、ハンドルバーHの先端に取り付けられたスロットルパイプ2の表面に形成される)とともに、基端側(
図1~4中の左端側)に形成された鍔部1aと運転者が把持可能な把持部1bと、先端部1cとを有する。また、ハンドルグリップ本体1は、鍔部1a、把持部1b及び先端部1cが一体形成された軟質樹脂や合成ゴム材から成る。
【0028】
さらに、本実施形態に係るハンドルグリップ本体1は、
図6に示すように、把持部1bにおける所定位置に貫通孔mが形成されており、導光体5で導かれたLED4からの光が貫通孔mを介して外部に照射可能とされている。かかる貫通孔mは、その形状や大きさが任意のものとされており、光の照射による意匠性をより向上させることができるようになっている。
【0029】
スロットルパイプ2は、ハンドルバーHに対して回転可能な硬質樹脂等から成るもので、
図7、8に示すように、その基端側に形成されて操作ワイヤ(不図示)が取り付け可能な取付部位2aと、取付部位2aと隣接した位置に一体形成された第1リブ2b及び第2リブ2cとを有した円筒状部品から成る。そして、スロットルパイプ2の表面にハンドルグリップ本体1が形成されると、
図3、4に示すように、鍔部1aの基端側(図中左側)の開口を第1リブ2bで塞ぐとともに、第2リブ2cで鍔部1aの内部空間を補強し得るようになっている。
【0030】
LED4(発光手段)は、通電によって光を照射し得るもので、
図5、14に示すように、所定の電気回路が印刷された基板3上に複数(本実施形態においては2つ)形成されている。本実施形態に係る基板3は、ハンドルグリップ本体1の鍔部1aの形状に倣った円弧形状とされており、導光体5に形成された取付溝5ba(
図9参照)に嵌合して取り付けられるようになっている。
【0031】
導光体5は、ハンドルグリップ本体1の内部に取り付けられて当該ハンドルグリップ本体1の長手方向(
図1のX方向)に延設されるとともに、LED4(発光手段)からの光を導くことが可能な透明樹脂又は半透明樹脂等から成るものである。本実施形態に係る導光体5は、
図9~11に示すように、ハンドルグリップ本体1における鍔部1aの内部に位置する大径部5bと、ハンドルグリップ本体1における把持部1bの内部に位置する延設部5cと、ハンドルグリップ本体1における先端部1cの内部に位置する円環状の突端部5dとを有した一体成形部品から成る。
【0032】
大径部5bは、ハンドルグリップ本体1における鍔部1aの形状に倣った表面形状とされており、延設部5cや突端部5d等の他の部位より径が大きく形成された部位から成るとともに、その内周面には基板3を嵌合して固定し得る取付溝5baが形成されている。そして、大径部5bから先端側に向かって連続して延設部5c及び突端部5dが一体形成されている。
【0033】
延設部5cは、ハンドルグリップ本体1における把持部1bの内部に位置するとともに、その表面f2aには、ハンドルグリップ本体1に形成された貫通孔mに嵌入可能な凸部5aが一体形成されている。また、延設部5cの裏面f2bには、その長手方向(
図9~11中X方向)に亘って微細な凹凸形状(シボ)が形成されている。かかるシボとは、延設部5cの裏面に対し付与(シボ加工)された微細な凹凸形状(凹凸模様)をいい、鏡面ではなく表面が粗い状態となって導光体5の内部で導かれる光を乱反射させ得るようになっている。
【0034】
さらに、本実施形態に係る延設部5cに形成されたシボは、ハンドルグリップ本体1の基端側の部位(大径部5b側)より先端側の部位(突端部5d側)の方が凹凸形状が大きく(乱反射が多く)なるよう形成されている。これにより、LED4から照射された光が、導光体5の内部で導かれる過程において、LED4と近接した部位の乱反射を小さくし、且つ、LED4と離間した部位の乱反射を大きくすることができ、ハンドルグリップ本体1の基端側と先端側とで照射される光の光量を均等化させることができる。
【0035】
またさらに、本実施形態に係る導光体5の延設部5cには、
ハンドルグリップ本体1の一部を充填させてスロットルパイプ2の表面に密着させた開口部5eを有している。より具体的には、開口部5eは、
図10、11に示すように、延設部5cの長手方向に形成された長孔から成り、スロットルパイプ2に導光体5を組み付け、その上面に軟質樹脂等を成形してハンドルグリップ本体1を形成する際、ハンドルグリップ本体1の一部が開口部5eに充填されてスロットルパイプ2の表面に密着することとなるので、
ハンドルグリップ本体1とスロットルパイプ2とが導光体5を挟みつつ密着して一体化されるようになっている。
【0036】
一方、大径部5b及び延設部5cは、
図9~11に示すように、円筒状部材を長手方向に対して半割した形状とされるとともに、スロットルパイプ2は、
図7、8に示すように、延設部5cの裏面f2bと合致して組み付け可能な組み付け面f1aと、延設部5cが組み付けられない非組み付け面f1bと、先端の周方向に亘って形成された先端面f1cとを有している。
【0037】
そして、組み付け面f1に延設部5cの裏面f2bを合致させてスロットルパイプ2に導光体5を組み付けると、
図12、13に示すように、延設部5cの表面f2aとスロットルパイプ2の非組み付け面f1bとが周方向に連続した面を形成するとともに、突端部5dが先端面f1cに合致して組み付けられるようになっている。また、スロットルパイプ2に導光体5を組み付けると、大径部5bと第1リブ2b及び第2リブ2cとが合致して、周方向に一体の大径な部位を形成している。
【0038】
しかして、LED4から光を照射すると、その光が導光体5の大径部5bから入り込み、延設部5cの内部において長手方向に導かれる過程で凹凸形状(シボ)によって乱反射するとともに、貫通孔mを介して凸部5aから外部に向かって照射される。また、突端部5dに達した光は、ハンドルグリップ本体1の先端部1c(具体的には、先端部1cとウェイト部材Wとの間に形成されたクリアランス)から外部に照射されることとなる。
【0039】
本実施形態によれば、導光体5で導かれたLED4(発光手段)の光をハンドルグリップ本体1から外部に照射させるとともに、LED4は、ハンドルグリップ本体1の鍔部1aの内部に配設されたので、導光体5を利用して安価にハンドルグリップ装置を製造することができるとともに、ハンドルグリップ本体1においてLED4を配設するための新たな形状を不要とすることができる。すなわち、通常のハンドルグリップ本体1の基端には、他の部位より大きな径とされた鍔部1aが形成されるので、その鍔部1aにLED4(発光手段)を配設すれば、新たに大きな部位を形成する必要がなく、ハンドルバーH全体を含めた意匠性に影響が及んでしまうのを防止することができるのである。
【0040】
また、導光体5の裏面f2bには、その長手方向に亘って微細な凹凸形状(シボ)が形成されたので、導光体5により導かれる光を凹凸形状(シボ)により乱反射させることができ、ハンドルグリップ本体1の外部に向かって光を良好に照射させることができる。特に、本実施形態に係る導光体5の裏面は、ハンドルグリップ本体1の基端側の部位より先端側の部位の方が凹凸形状が大きくなるよう形成されたので、ハンドルグリップ本体1の基端側と先端側とで照射される光の量(外部に対する光の照射量)を均等化させることができる。
【0041】
さらに、本実施形態に係るハンドルグリップ本体1は、把持部1bにおける所定位置に貫通孔mが形成され、当該貫通孔mを介して導光体5で導かれたLED4(発光手段)の光が外部に照射されるので、貫通孔mの形状や大きさを任意のものとすることにより、光の照射による意匠性をより向上させることができる。また、本実施形態に係る導光体5は、貫通孔mに嵌入可能な凸部5aが一体形成されたので、導光体5で導かれる光を貫通孔mから外部に向かって良好に照射させることができる。
【0042】
またさらに、本実施形態に係る導光体5は、ハンドルグリップ本体1の先端部1cまで延設されるとともに、当該ハンドルグリップ本体1の先端部1cから導光体5で導かれたLED4(発光手段)の光が外部に照射されるので、把持部1bが運転者によって把持されて覆われていても、ハンドルグリップ本体1の先端部1cから光を照射して意匠性の向上を図ることができる。
【0043】
さらに、本実施形態に係る導光体5は、ハンドルグリップ本体1における鍔部1aの内部に位置する大径部5bと、ハンドルグリップ本体1における把持部1bの内部に位置する延設部5cと、ハンドルグリップ本体1における先端部1cの内部に位置する突端部5dとを有した一体成形部品から成るとともに、LED4(発光手段)は、大径部5bに取り付けられたので、導光体5がLED4の光を導く機能と、LED4を固定させる機能とを兼ね備えることができる。また、導光体5にLED4が取り付けられるので、導光体5とLEDD4との位置決めを正確に行わせることができる。
【0044】
またさらに、本実施形態に係る大径部5bは、LED4(発光手段)が形成された基板3を嵌合して固定可能な取付溝5baが形成されたので、LED4が形成された基板3を容易且つ確実に取り付けることができる。また、本実施形態に係る導光体5は、ハンドルバーHに対して回転可能なスロットルパイプ2の表面に形成されるとともに、ハンドルグリップ本体1の一部を充填させてスロットルパイプ2の表面に密着させた開口部5eを有するので、導光体5の材質に関わらず、スロットルパイプ2に対してハンドルグリップ本体1をより強固且つ安定して取り付けることができる。
【0045】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば光源は、LED4に限らず、光を照射し得る他の発光手段であってもよく、導光体5は、発光手段の光を導くことが可能であれば、樹脂材料とは異なる材料(例えばガラス等)としてもよい。また、本実施形態においては、ハンドルバーの右側先端に取り付けられるハンドルグリップ装置とされているがハンドルバーの左側先端に取り付けられるハンドルグリップ装置に適用してもよい。なお、本実施形態においては、二輪車に適用されているが、他の車両(ATV、雪上車などハンドルバーを具備した車両)に適用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0046】
ハンドルグリップ本体の鍔部の内部に発光手段が配設され、且つ、ハンドルグリップ本体は、把持部における所定位置に貫通孔が形成され、当該貫通孔を介して導光体で導かれた発光手段の光が外部に照射されるとともに、導光体は、貫通孔に嵌入可能な凸部が一体形成されたハンドルグリップ装置であれば、外観形状が異なるもの或いは他の機能が付加されたもの等にも適用することができる。
【符号の説明】
【0047】
1 ハンドルグリップ本体
1a 鍔部
1b 把持部
1c 先端部
2 スロットルパイプ
2a 取付部位
2b 第1リブ
2c 第2リブ
3 基板
4 LED(発光手段)
5 導光体
5a 凸部
5b 大径部
5ba 取付溝
5c 延設部
5d 突端部
5e 開口部
H ハンドルバー
m 貫通孔
W ウェイト部材