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特許7184305圧力駆動型太陽光発電パネルの自動追跡装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】圧力駆動型太陽光発電パネルの自動追跡装置
(51)【国際特許分類】
   H02S 20/32 20140101AFI20221129BHJP
   H02S 30/00 20140101ALI20221129BHJP
   G05D 3/00 20060101ALI20221129BHJP
【FI】
H02S20/32
H02S30/00
G05D3/00 M
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021080782
(22)【出願日】2021-05-12
(65)【公開番号】P2022115776
(43)【公開日】2022-08-09
【審査請求日】2021-05-12
(31)【優先権主張番号】202110116793.3
(32)【優先日】2021-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】598098331
【氏名又は名称】ツィンファ ユニバーシティ
(73)【特許権者】
【識別番号】500080546
【氏名又は名称】鴻海精密工業股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】HON HAI PRECISION INDUSTRY CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】66,Chung Shan Road,Tu-Cheng New Taipei,236(TW)
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】特許業務法人SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】任 建勳
(72)【発明者】
【氏名】▲カク▼ 俊紅
【審査官】山口 敦司
(56)【参考文献】
【文献】実公昭40-020543(JP,Y1)
【文献】特開2014-130524(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103888047(CN,A)
【文献】特開2012-174944(JP,A)
【文献】中国実用新案第207442783(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02S 20/32
H02S 30/00
G05D 3/00
F21S 11/00
G05F 1/67
H01L 31/042
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光発電パネル、回転軸、回転輪、伝動部品、第一カウンターウェイト、第二カウンターウェイト、ベローズ及びガス供給機構を含む圧力駆動型太陽光発電パネルの自動追跡装置において、
前記太陽光発電パネルは、前記回転軸に固定され、
前記回転輪は前記回転軸に固定され、
前記回転輪に前記伝動部品が設けられ、
前記伝動部品の両端がそれぞれ第一カウンターウェイト及び第二カウンターウェイトに接続され、
前記第一カウンターウェイトが前記ベローズの端面と接続され、
前記ベローズは、前記ガス供給機構に接続され、
前記ガス供給機構を介して前記ベローズのガス充填量を調節することによって、前記ベローズを伸縮させ、それにより、前記ベローズの端面と接続された前記第一カウンターウェイトを垂直方向に移動させ、前記回転輪を回転させ、
前記太陽光発電パネルが太陽光に対する自動追跡を実現することを特徴とする圧力駆動型太陽光発電パネルの自動追跡装置。
【請求項2】
前記ガス供給機構は、ガスダクト、双方向ガスポンプ及びガスポンプ駆動コントローラを含み、
前記ベローズは、前記ガスダクトを介して前記双方向ガスポンプに接続され、
前記双方向ガスポンプは、前記ガスポンプ駆動コントローラに接続され、
前記ガスポンプ駆動コントローラは、前記ベローズのガス充填量を調節することに用いられることを特徴とする請求項1に記載の圧力駆動型太陽光発電パネルの自動追跡装置。
【請求項3】
前記双方向ガスポンプによって前記ベローズの内部のガス充填量を調節することにより、前記ベローズを伸縮させて、前記第一カウンターウェイトを前記ベローズからの作用力を受けて垂直方向に移動させ、それにより、前記第一カウンターウェイトと前記第二カウンターウェイトとの間の相対位置を調整し、
更に前記伝動部品を動かし、前記伝動部品の動きが前記回転輪を回転させ、それによって前記太陽光発電パネルを回転させ、
前記太陽光発電パネルが太陽光に対するリアルタイムで自動追跡を実現することを特徴とする請求項2に記載の圧力駆動型太陽光発電パネルの自動追跡装置。
【請求項4】
前記圧力駆動型太陽光発電パネルの自動追跡装置は、さらに防振機構を備え、
前記防振機構は、前記太陽光発電パネルが揺れ又は共振するのを防ぐことに用いられることを特徴とする請求項1に記載の圧力駆動型太陽光発電パネルの自動追跡装置。
【請求項5】
前記防振機構は、二つの可動ヒンジ、二つの金属棒、二つの油圧シリンダー及び二つの固定ヒンジを含み、
前記太陽光発電パネルは、前記太陽光発電パネルの両端のそれぞれと前記回転軸との間の位置に設置された前記可動ヒンジ及び前記金属棒を介して前記油圧シリンダーを構成するシリンダーに接続され、
前記油圧シリンダーを構成するピストンおよびビストンロッドは、前記固定ヒンジを介して固定装置または地面に固定されることを特徴とする請求項4に記載の圧力駆動型太陽光発電パネルの自動追跡装置。
【請求項6】
前記防振機構は、防振鋼線、少なくとも二つの固定滑車及びロック機構を含み、
前記回転軸に垂直な前記太陽光発電パネルの両端は、それぞれ、前記防振鋼線の両端に固定され、
前記防振鋼線は、少なくとも二つの前記固定滑車によって支持され、
前記防振鋼線には前記ロック機構が設けられることを特徴とする請求項4に記載の圧力駆動型太陽光発電パネルの自動追跡装置。
【請求項7】
前記圧力駆動型太陽光発電パネルの自動追跡装置は、複数のグループの前記太陽光発電パネルを含み、
各グループの前記太陽光発電パネルは、一つの回転軸が設けられ、
各回転軸は接続され、一つの前記回転軸だけに前記回転輪が設けられ、
前記ガス供給機構を介して、前記ベローズのガス充填量を調整することによって、同時に複数のグループの前記太陽光発電パネルが太陽光に対する自動追跡を実現できることを特徴とする請求項1に記載の圧力駆動型太陽光発電パネルの自動追跡装置。
【請求項8】
前記圧力駆動型太陽光発電パネルの自動追跡装置は、複数のグループの前記太陽光発電パネルを含み、
各グループの前記太陽光発電パネルは、一つの回転軸が設置され、且つ各回転軸は、前記回転輪が設置され、
各回転輪に伝動部品が設置され、
各伝動部品の両端は、それぞれ第一カウンターウェイト及び第二カウンターウェイトに接続され、
複数のベローズは、一つのガス供給機構に接続され、
前記ガス供給機構を介して、複数の前記ベローズのガス充填量を調整することによって、複数の前記ベローズを伸縮させ、複数の前記第一カウンターウェイトを垂直方向に移動させ、それにより、複数の前記回転輪を回転させ、
複数のグループの前記太陽光発電パネルが太陽光に対する自動追跡を実現することを特徴とする請求項1に記載の圧力駆動型太陽光発電パネルの自動追跡装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光発電技術の応用分野に関し、特に圧力駆動型太陽光発電パネルの自動追跡装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
エネルギー安全保障、環境汚染、気候変動に直面して、太陽光発電技術を精力的に開発することは、我が国では、クリーン、低炭素、安全、かつ効率的であるエネルギーシステムを構築するための重要な方法である。太陽光発電技術の継続的な開発・普及・応用に伴い、太陽光発電の変換効率をさらに向上させる必要がある。一方では、新たな光電変換技術を開発する必要があり、もう一方では、光の利用率を高めるために、できるだけ太陽光の動きを追跡し、発電能力を高めるように、太陽光発電パネルの発電部品の受光角をリアルタイムで調整することが必要である。
【0003】
太陽光発電パネルのリアルタイム追跡装置には、感光性、熱感度駆動、機械制御などの装置が開発されている。従来の太陽光発電パネルの追跡装置は、一般的に、回転軸、太陽光発電パネル、駆動モーター及び減速機構を含む。太陽光発電パネルは回転軸に設置され、駆動モーターが減速機構を介して回転軸を駆動して回転させることにより、太陽光発電パネルを回転させ、太陽光に対する自動追跡を実現する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
太陽光発電パネルの追跡装置は、太陽光発電パネルが1日80度から120度回転するだけで、回転角が非常に小さいため、減速機構の減速比を比較的大きくする必要がある。超低等速回転が難しいため、一般的に太陽光発電パネルに間欠制御を行い、特定時間を置いて太陽光発電パネルの角度を調整する。これによって光エネルギーの利用率が低くなる。間欠制御であるため、駆動モーターを頻繁に始動する必要があり、瞬時始動時の駆動モーターの動作電流が大きく、瞬時入力電力及びモーターへの影響が比較的大きく、駆動モーターの使用寿命に影響を与え、且つ駆動システムのハードウェアリソースも無駄になる。風、雨、ほこりの環境でモーター及び減速機構が長時間作動し、故障率が高くなる。これらはすべて、太陽光発電パネルの自動追跡装置の使用を制限する。
【0005】
これによって、均一な速度で回転でき、駆動力が小さい圧力駆動型太陽光発電パネルの自動追跡装置を提供することが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
圧力駆動型太陽光発電パネルの自動追跡装置は、太陽光発電パネル、回転軸、回転輪、伝動部品、第一カウンターウェイト、第二カウンターウェイト、ベローズ及びガス供給機構を含む。前記太陽光発電パネルは、前記回転軸に固定され、前記回転輪は前記回転軸に固定され、前記回転輪に伝動部品が設けられ、前記伝動部品の両端がそれぞれ第一カウンターウェイト及び第二カウンターウェイトに接続され、前記第一カウンターウェイトが前記ベローズの端面と接続され、前記ベローズは、前記ガス供給機構に接続され、前記ガス供給機構を介して前記ベローズのガス充填量を調節することによって、前記ベローズを伸縮させ、それにより、前記ベローズの端面と接続された前記第一カウンターウェイトを垂直方向に移動させ、前記回転輪を回転させ、前記太陽光発電パネルが太陽光に対する自動追跡を実現する。
【0007】
前記ガス供給機構は、ガスダクト、双方向ガスポンプ及びガスポンプ駆動コントローラを含み、前記ベローズは、前記ガスダクトを介して前記双方向ガスポンプに接続され、前記双方向ガスポンプは、前記ガスポンプ駆動コントローラに接続され、前記ガスポンプ駆動コントローラは、前記ベローズのガス充填量を調節することに用いられる。
【0008】
前記双方向ガスポンプによって前記ベローズの内部のガスの圧力を変え、前記第一カウンターウェイトに前記ベローズからの作用力を受けて垂直方向に移動させ、それにより、前記第一カウンターウェイト及び前記第二カウンターウェイトとの間の相対位置を調整し、更に伝動部品を動かし、前記伝動部品の動きが前記回転輪を回転させ、それによって前記太陽光発電パネルを回転させ、前記太陽光発電パネルが太陽光に対するリアルタイムで自動追跡を実現する。
【0009】
前記圧力駆動型太陽光発電パネルの自動追跡装置は、さらに防振機構を備え、前記防振機構は、前記太陽光発電パネルが揺れ又は共振するのを防ぐことに用いられる。
【0010】
前記防振機構は、二つの可動ヒンジ、二つの金属棒、二つの油圧シリンダー及び二つの固定ヒンジを含み、前記太陽光発電パネルが前記回転軸の両側に位置する箇所は、それぞれ前記可動ヒンジ及び前記金属棒を介して前記油圧シリンダーに接続され、前記油圧シリンダーは、前記固定ヒンジを介して固定される。
【0011】
前記防振機構は、防振鋼線、少なくとも二つの固定滑車及びロック機構を含み、前記回転軸に垂直な太陽光発電パネルの両端は、それぞれ、前記防振鋼線の両端に固定され、前記防振鋼線は、少なくとも二つの前記固定滑車によって支持され、前記防振鋼線には前記ロック機構が設けられる。
【0012】
前記圧力駆動型太陽光発電パネルの自動追跡装置は、複数のグループの太陽光発電パネルを含み、各グループの太陽光発電パネルは、一つの回転軸が設けられ、各回転軸は接続され、一つの前記回転軸だけに前記回転輪が設けられ、前記ガス供給機構を介して、前記ベローズのガス充填量を調整することによって、同時に複数のグループの太陽光発電パネルが太陽光に対する自動追跡を制御できる。
【0013】
前記圧力駆動型太陽光発電パネルの自動追跡装置は、複数のグループの太陽光発電パネルを含み、各グループの前記太陽光発電パネルは、一つの回転軸が設置され、且つ各回転軸は、前記回転輪が設置され、各回転輪に伝動部品が設置され、各伝動部品の両端は、それぞれ第一カウンターウェイト及び第二カウンターウェイトに接続され、複数のベローズは、一つのガス供給機構に接続され、前記ガス供給機構を介して、複数の前記ベローズのガス充填量を調整することによって、複数の前記ベローズを伸縮させ、複数の前記第一カウンターウェイトを垂直方向に移動させ、それにより、複数の前記回転輪を回転させ、複数のグループの太陽光発電パネルが太陽光に対する自動追跡を実現する。
【発明の効果】
【0014】
従来技術と比べて、本発明の圧力駆動型太陽光発電パネルの自動追跡装置は、ベローズの内部のガスの充填及び排出を制御することによって、太陽光発電パネルを間欠的ではなく、等速で回転させることができ、太陽光発電パネルが太陽光に対する自動追跡を実現する。従って、圧力駆動型太陽光発電パネルの自動追跡装置は、光エネルギーの利用率が比較的高く、その構造が簡単であり、必要な双方向ガスポンプの消費電力が非常に小さいので、双方向ガスポンプの駆動力は非常に小さい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施例の圧力駆動型太陽光発電パネルの自動追跡装置の正面構造を示す図である。
図2】本発明の実施例の圧力駆動型太陽光発電パネルの自動追跡装置の側面構造を示す図である。
図3】本発明の実施例の防振機構を有する圧力駆動型太陽光発電パネルの自動追跡装置の正面構造を示す図である。
図4】本発明の実施例の防振機構を有する圧力駆動型太陽光発電パネルの自動追跡装置のもう一つの構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付の図面及び具体的な実施例を参照して、本発明による圧力駆動型太陽光発電パネルの自動追跡装置をさらに詳細に説明する。
【0017】
図1図2を参照して、実施例の圧力駆動型太陽光発電パネルの自動追跡装置を説明する。圧力駆動型太陽光発電パネルの自動追跡装置は、太陽光発電パネル1、第一カウンターウェイト2、ベローズ3、第二カウンターウェイト6、伝動部品7、回転輪8、回転軸9、ベアリング10、支持体11及びガス供給機構を含む。ガス供給機構は、ガスダクト4、双方向ガスポンプ5、ガス貯蔵タンク12及びガスポンプ駆動コントローラ13を含む。
【0018】
回転軸9は、両端がベアリング10を介して支持体11に設置され、支持体11によって支持される。太陽光発電パネル1は回転軸9に固定され、太陽光発電パネル1の重心の回転軸9の軸心に対する偏心は小さければ小さいほどよい。本実施例では、太陽光発電パネル1の重心は、回転軸9の軸心に設置される。回転輪8は回転軸9に固定され、回転軸9は回転輪8の回転に伴って回転する。回転輪8に伝動部品7が設けられ、伝動部品7の両端がそれぞれ一つのカウンターウェイトに接続される。即ち、伝動部品7の一端が第一カウンターウェイト2に接続され、伝動部品7のもう一端が第二カウンターウェイト6に接続され、第一カウンターウェイト2がベローズ3の端面と接続され、該接続は直接接続又は間接接続である。ベローズ3は、ガスダクト4を介して双方向ガスポンプ5に接続され、双方向ガスポンプ5は、ガスポンプ駆動コントローラ13に接続され、双方向ガスポンプ5は、ガス貯蔵タンク12にも接続され、ガス貯蔵タンク12は、ガスを貯蔵するために使用され、双方向ガスポンプ5にガスを供給するか、又は双方向ガスポンプ5から排出されたガスをガス貯蔵タンク12に貯蔵する。もちろん、ガス貯蔵タンク12は設けられなくてもよい。ガス供給機構を介してベローズ3にガスを充填又は排出することによって、ベローズ3を伸縮させ、それにより、第一カウンターウェイト2を垂直方向に移動させる。この機能を実現することができる、ベローズ3と第一カウンターウェイト2との接続方法は多種あり、ベローズ3が伸びることによって、第一カウンターウェイト2を押し上げてもよく、ベローズ3が伸びることによって、第一カウンターウェイト2を引き上げてもよい。ここでは繰り返されない。
【0019】
太陽光発電パネル1は、主に大規模の太陽光発電所で使用される様々な太陽光発電部品を指すが、これに限定されない。
【0020】
第一カウンターウェイト2及び第二カウンターウェイト6は、回転輪8の両側に配置され、バランスを行い、それらの相対位置は、ベローズ3の伸縮によって制御することができ、それにより、ベアリング10の支持の下で回転軸9を回転させる。それによって、太陽光発電パネル1は、回転軸9の回転方向に沿って回転する。第一カウンターウェイト2及び第二カウンターウェイト6の材料及びサイズは限定されず、太陽光発電パネル1の重量に応じて設計することができる。太陽光発電パネル1に常に安定及びバランスを保持させるように、第一カウンターウェイト2及び第二カウンターウェイト6の質量の差によって生成される駆動トルクは、回転システムの摩擦抵抗トルクよりわずかに大きい。具体的には、第一カウンターウェイト2及び第二カウンターウェイト6は、金属ブロック又はセメントブロックである。本実施例では、第一カウンターウェイト2及び第二カウンターウェイト6は、金属ブロックである。
【0021】
ベローズ3の材料は、金属材料であっても、ポリテトラフルオロエチレン、シリコーンゴム等の非金属材料であってもよいが、これらに限定されない。ベローズ3は、気密性と伸縮性に優れる。ベローズ3の直径と高さは、制御される太陽光発電パネル1の回転角度によって決定され、作動圧力は、常圧又はわずかに正圧である。本実施例では、ベローズ3の材料はシリコーンゴムである。ベローズ3の材料は、耐熱性、耐食性などの特性を有さなければならず、ベローズ3は、内部ガスが充填または放出されると、軸方向に沿って伸縮することができる。双方向ガスポンプ5を介してベローズ3にガスを充填及び排出することによって、ベローズ3が伸縮することができ、垂直方向の変位を生成し、それにより、第一カウンターウェイト2を上下に動かし、それにより、回転輪8を回転させることができる。
【0022】
ガスダクト4の材料は、限定されない。ガスダクト4の材料は、特定の圧力に耐え、ガスを輸送することができればよい。ガスダクト4は、金属管又は非金属管である。本実施例では、ガスダクト4はシリコーンゴム管である。ガスダクト4の長さ及び直径は、実際の制御要件に基づいて設計することができる。一般的に言えば、ガス充填及びガス排出の抵抗が大き過ぎると、ガスの流れに不利であるため、それを避けるために、ガスダクト4の直径は、1mm以上である。ガスダクト4は、実際に制御される太陽光発電パネル1の数量に応じて、直列及び並列の最適化設計することができる。
【0023】
伝動部品7は、特定の引っ張り力に耐えることができ、回転輪8としっかりと接続され、回転輪8を回転させることができる。回転輪8が回転すると回転軸9を回転させ、太陽光発電パネル1が回転軸9に固定されているので、太陽光発電パネル1が回転軸9とともに回転し、太陽光発電パネル1が太陽光に対する自動追跡を実現する。
【0024】
伝動部品7の長さは、実際の支持体11の高さに応じて設計される。伝動部品7は、牽引鋼線、チェーン、ベルトなどの伝動機能を有する可撓性部品である。本実施例では、伝動部品7は牽引鋼線である。
【0025】
ガス貯蔵タンク12は、主に作動ガスを貯蔵する機能を果たし、双方向ガスポンプ5と密接に接続される。ガス貯蔵タンクの内部の作動ガスは、乾燥ガス、窒素ガス又は不活性ガスなどの安全で安定するガスであり、具体的な応用環境に応じて選択して使用することができる。
【0026】
双方向ガスポンプ5は、その種類が制限されず、特定の応用環境に応じて選択して使用することができる。太陽光発電パネル1が発電するとき、双方向ガスポンプ5は、ガス貯蔵タンク12の内部のガスを、ガスダクト4を通してベローズ3に押し込む。太陽光発電パネル1が発電していないとき、作動ガスの密閉サイクルを実現するように、双方向ガスポンプ5は、ベローズ3及びガスダクト4の内部のガスを、ガス貯蔵タンク12に送り返す。
【0027】
ガスポンプ駆動コントローラ13は、双方向ガスポンプ5のガス充填量を制御及び調整し、太陽の照射角度の変化に応じてベローズ3のガス充填流量を制御することができ、また、タイミング制御方式により、リアルタイムで太陽光発電パネル1の受光角度を制御及び維持することもできる。
【0028】
太陽光発電パネル1は、支持体11によって支持された回転軸9上に設置され、回転軸9は、ベアリング10を介して支持体11に接続され、太陽光発電パネル1は、牽引鋼線によって引っ張られた回転輪8の駆動に応じて回転することができる。第一カウンターウェイト2及び第二カウンターウェイト6は、牽引鋼線を介して回転輪8の両側に設置され、第一カウンターウェイト2は、ベローズ3と接触して設置される。双方向ガスポンプ5によってベローズの内部のガスの圧力を変え、第一カウンターウェイト2にベローズ3からの作用力を受けて、第一カウンターウェイト2を垂直方向に移動させ、それにより、第一カウンターウェイト2及び第二カウンターウェイト6との間の相対位置を調整し、更に牽引鋼線を動かす。牽引鋼線の動きが回転輪8を回転させ、それによって太陽光発電パネル1を均一な速度で回転させ、太陽光発電パネルが太陽光に対するリアルタイムで自動追跡を実現する。
【0029】
圧力駆動型太陽光発電パネルの自動追跡装置は、さらに防振機構を備える。図3を一緒に参照して、防振機構は、二つの可動ヒンジ14、二つの金属棒15、二つの油圧シリンダー16及び二つの固定ヒンジ17を含む。二つの可動ヒンジ14は、それぞれ、太陽光発電パネル1に設置され、且つ太陽光発電パネル1の両端と回転軸9との間の適切な位置にそれぞれ設置される。本実施例では、二つの可動ヒンジ14は、それぞれ、回転軸9に垂直な太陽光発電パネル1の両端に配置される。二つの金属棒15の一端は、それぞれ二つの可動ヒンジ14に固定され、他端は、それぞれ二つの油圧シリンダー16に固定され、二つの油圧シリンダー16の他端は、それぞれ、二つの固定ヒンジ17に接続され、二つの固定ヒンジ17が固定装置又は地面に固定される。油圧シリンダー16は、シリンダー161、ピストン162、ピストンロッド163を含み、ピストン162とピストンロッド163とは、剛接合され、ピストン162には、減衰穴1621が設けられ、ピストンロッド163は、固定ヒンジ17に固定される。
【0030】
具体的には、金属棒15のもう一方の端部は、油圧シリンダー16のシリンダー161に固定される。シリンダー161は、例えば作動油などの流体で満たされる。ピストン162の断面積と減衰穴1621の断面積との比は、900以上15,000以下である。ピストン162の断面積と減衰穴1621の断面積との比が2000以上3000以下であることが好ましい。本実施例では、ピストン162の断面積と減衰穴1621の断面積との比が2500である。減衰穴1621のサイズは、制限された振動速度、流体の種類及び太陽光発電パネルの均一な回転を妨げないなどの要因に基づいて計算及び設計する。ピストン162は、シリンダー161の内部で低速で軸方向に沿って移動することができ、減衰穴1621は、ピストン162及びピストンロッド163が迅速に移動するのを防ぐことができる。従って、防振機構は、風荷重又は他の偶発的な外部荷重の下で太陽光発電パネル1が揺れ又は共振するのを防ぐことができるが、圧力駆動型太陽光発電パネルの自動追跡装置の通常の動作に影響を与えない。雨や雪などの悪天候では、手動でガスポンプ駆動コントローラ13を制御することによって、双方向ガスポンプ5にガスを充填又は排出させることができ、それによって、太陽光発電パネル1に特定の角度に留まらせ、太陽光発電パネル1が雪を蓄積すること又は風に吹かれることを防止することができる。
【0031】
また、図4を参照して、防振機構の構造は、上記実施例の説明に限らず、太陽光発電パネルの揺れや共振を防止できる構造であれば、他の構造でもよい。防振機構は、防振鋼線24、少なくとも二つの固定滑車25及びロック機構26を含んでもよい。回転軸9に垂直な太陽光発電パネル1の両端は、それぞれ、防振鋼線24の両端に固定される。防振鋼線24は、少なくとも二つの固定滑車25によって支持され、少なくとも二つの固定滑車25の間の防振鋼線24にはロック機構26が設けられる。ロック機構26は速度センサを有し、速度センサは、防振鋼線24の移動速度を検出することができる。防振鋼線24の移動速度が設定値を超えると、ロック機構26を自動的に作動させ、防振鋼線24をロックする。従って、防振機構は、風荷重下で太陽光発電パネル1が揺れ又は共振するのを防ぐことができる。もちろん、防振鋼線24をロックできる限り、ロック機構26の位置は限定されない。雨や雪などの悪天候では、手動でガスポンプ駆動コントローラ13を制御することによって、双方向ガスポンプ5にガスを充填又は排出させることができ、それによって、太陽光発電パネル1に特定の角度に留まらせ、且つロック機構26によって、防振鋼線24をロックし、太陽光発電パネル1が特定の角度に留まり、太陽光発電パネル1が雪を蓄積させたり、風に吹き飛ばされたりするのを防止することができる。
【0032】
本発明によって提供される圧力駆動太陽光発電パネルの自動追跡装置の太陽光発電パネルは、1つのグループに限定されず、複数のグループにすることもでき、複数のグループの太陽光発電パネルが直列又は並列に接続される。複数のグループの太陽光発電パネルが直列に接続される場合、各グループの太陽光発電パネルは、一つの剛性の回転軸が設けられ、各回転軸は、カップリング及びフレキシブル転軸を介して接続され、一つの回転軸だけに回転輪が設けられ、一つの双方向ガスポンプを制御し、ベローズのガス充填量を調整することによって、同時に複数のグループの太陽光発電パネルが太陽光に対する自動追跡を制御できる。この直列接続は若干の遅れがあるが、グループの数量が少ないので、コストが大幅に削減され、取り付けが便利である。
【0033】
複数のグループの太陽光発電パネルが並列に接続される場合、各グループの太陽光発電パネルは、異なる回転軸に設置される。つまり、各グループの太陽光発電パネルは、一つの回転軸が設置され、且つ各回転軸は、回転輪が設置され、各回転輪に伝動部品が設置され、各伝動部品の両端はそれぞれ第一カウンターウェイト及び第二カウンターウェイトが接続され、各々の第一カウンターウェイトは、一つのベローズと接触して設置され、複数のベローズは、異なるガスダクトを介して同じ双方向ガスポンプに接続される。即ち、複数のグループの太陽光発電パネルは並列に接続され、一つの双方向ガスポンプを共用する。一つの双方向ガスポンプを制御し、複数のベローズのガス充填量を調整することによって、複数の第一カウンターウェイトを垂直方向に移動させ、それにより、複数の回転輪を回転させ、複数のグループの太陽光発電パネルが太陽光に対する自動追跡を実現する。
【0034】
本発明の実施例によって提供される圧力駆動型太陽光発電パネルの自動追跡装置は、主に太陽光発電パネルが太陽光に対する自動追跡を目的として、主に水平単軸追跡であり、傾斜単軸追跡であってもよく、東西方向の追跡又は南北方向の追跡であり、大規模な太陽光発電所、分散型統合エネルギーシステムなどの分野に適する。
【0035】
本発明の実施例によって提供される圧力駆動型太陽光発電パネルの自動追跡装置は、従来技術の減速機構及び駆動モーターを使用して、太陽光発電パネルを回転させることはないが、ベローズの内部のガスの充填及び排出を制御するによって、太陽光発電パネルに断続的に等速で回転させることができる。それによって、太陽光発電パネルが太陽光に対するリアルタイムで自動追跡を実現する。太陽光発電パネルが等速で回転し、太陽光に対してリアルタイムで自動追跡できるので、光エネルギーの利用率が高く、且つ圧力駆動型太陽光発電パネルの自動追跡装置は、構造が簡単であり、必要な双方向ガスポンプの消費電力が非常に小さいので、双方向ガスポンプの駆動力は小さいである。圧力駆動型太陽光発電パネルの自動追跡装置のベローズの材料は、長寿命、耐高温性、耐食性、耐久性及び耐疲労性、優れた弾性、広い動作温度範囲及び高い信頼性を備える。従って、圧力駆動型太陽光発電パネルの自動追跡装置は優れた安定性と長い寿命を有する。また、圧力駆動型太陽光発電パネルの自動追跡装置の太陽光発電パネルの重心は回転軸の軸心に位置するので、追加のトルクがなく、駆動力が小さい。
【0036】
また、当業者であれば、本発明の精神の範囲内で他の変更を行うことができる。もちろん、本発明の精神に従ってなされたこれらの変更は、いずれも本発明の保護請求する範囲に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0037】
1 太陽光発電パネル
2 第一カウンターウェイト
3 ベローズ
4 ガスダクト
5 双方向ガスポンプ
6 第二カウンターウェイト
7 伝動部品
8 回転輪
9 回転軸
10 ベアリング
11 支持体
12 ガス貯蔵タンク
13 ガスポンプ駆動コントローラ
14 可動ヒンジ
15 金属棒
16 油圧シリンダー
17 固定ヒンジ
24 防振鋼線
25 固定滑車
26 ロック機構
161 シリンダー
162 ピストン
163 ピストンロッド
1621 減衰穴
図1
図2
図3
図4