(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】背負い兼用の手提げ鞄、及び背負い兼用の手提げ鞄の製造方法
(51)【国際特許分類】
A45C 3/00 20060101AFI20221129BHJP
【FI】
A45C3/00 Q
(21)【出願番号】P 2022068732
(22)【出願日】2022-04-19
【審査請求日】2022-04-21
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】398010047
【氏名又は名称】宝本商事株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100195752
【氏名又は名称】奥村 一正
(72)【発明者】
【氏名】宝本 龍吾
(72)【発明者】
【氏名】加納 由恵
【審査官】木戸 優華
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-055139(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0085253(KR,A)
【文献】実開平04-034915(JP,U)
【文献】実開昭61-144817(JP,U)
【文献】特開2018-094140(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45C 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
背負い兼用の手提げ鞄であって、
正面及び背面を有するとともに、上部に開口を有し
てリボンを組み合わせた袋状の本体部と、
前記正面及び前記背面の上部の前記開口付近にそれぞれ位置する手提げ用の
リボンからなる持ち手と、
前記正面及び前記背面の前記持ち手と連続した背負い用の
リボンからなる背負い帯と、
前記背負い帯と連続した前記持ち手が挿通する
ようにリボンからなる挿通部用帯体で覆うように縫製した挿通部と、を備え、
前記背負い帯における前記持ち手との境には前記持ち手の
幅よりも大きい拡大部を有し、前記挿通部を前記持ち手は挿通自在で、前記背負い帯の前記拡大部は挿通不可能であり、
手提げ鞄として使用する場合に、前記拡大部が前記挿通部に規制されて前記持ち手が必要以上に長く伸びることを防止することを特徴とする背負い兼用の手提げ鞄。
【請求項2】
前記持ち手は、前記正面に位置する正面側持ち手と、前記背面側に位置する背面側持ち手とを備え、
前記背負い帯は、前記正面側持ち手と連続し、前記本体部外側の底面を経由して前記背面側持ち手に連続するように設けられ、
前記挿通部は、前記正面側持ち手が挿通する正面側挿通部と、前記背面側持ち手が挿通する背面側挿通部とを有したことを特徴とする請求項1に記載の背負い兼用の手提げ鞄。
【請求項3】
前記背負い帯は、長さ調整部を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の背負い兼用の手提げ鞄。
【請求項4】
前記持ち手は、前記正面に位置する正面側持ち手と、前記背面側に位置する背面側持ち手とを備え、
前記背負い帯は、前記正面側持ち手と連続し、前記本体部外側の底面を経由して前記背面側持ち手に連続するように設けられ、
前記本体部の前記正面にサイドポケットを袋状に設け、前記サイドポケットの前記本体部側に前記背負い帯を挿通させるサイドポケット挿通部を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の背負い兼用の手提げ鞄。
【請求項5】
前記背負い帯は、長さ調整部を備えたことを特徴とする請求項4に記載の背負い兼用の手提げかばん。
【請求項6】
背負い兼用の手提げかばんの製造方法であって、
正面及び背面を有し上部に開口を有し
てリボンを組み合わせた袋状の本体部を作成するとともに、
リボンからなる正面側持ち手に連続し、前記本体部外側の底面を経由し
て背面側持ち手に連続する背負い用の
リボンからなる背負い帯を作成する本体部及び背負い帯作成工程と、
前記背負い帯における前記正面側持ち手との境には前記正面側持ち手の
幅よりも大きい正面側拡大部を有し、前記正面側持ち手は挿通自在であるが、前記背負い帯の前記正面側拡大部は挿通不可能である正面側挿通部、及び前記背負い帯における前記背面側持ち手との境には前記背面側持ち手の
幅よりも大きい背面側拡大部を有し、前記背面側持ち手は挿通自在であるが、前記背負い帯の前記背面側幅広部は挿通不可能である背面側挿通部を作成する挿通部作成工程と、を備え、
前記挿通部作成工程は、前記正面側持ち手を前記正面の上部に位置合わせするとともに、前記背面側持ち手を前記背面の上部に位置合わせした後、前記正面側持ち手及び前記背面側持ち手をそれぞれ
リボンからなる挿通部用帯体で覆うようにして、前記正面側挿通部及び前記背面側挿通部の
幅を縫製にて規制することで、
手提げ鞄として使用する場合に、前記拡大部が前記挿通部に規制されて前記持ち手が必要以上に長く伸びることを防止することを特徴とする背負い兼用の手提げかばんの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リュックサックのように背負ったり、手で提げて使用したりできる背負い兼用の手提げ鞄に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、かばんをリュックサックとして背負ったり、手で提げて手提げかばんとして使用したりする多用途の鞄が多く用いられている。
【0003】
特許文献1には、手提げハンドル7と背負いバンド6とが連続するとともに、手提げハンドル7を上下左右任意の位置に固定する止め具2を用いた事項が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特許文献1:実開昭61-16027号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のものは、止め具2が複雑な構成であり、コスト上の問題がある。
【0006】
本発明は、上記問題点を解決して、簡単な構成で背負い兼用の手提げ鞄を実現することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明は、背負い兼用の手提げ鞄であって、
正面及び背面を有するとともに、上部に開口を有してリボンを組み合わせた袋状の本体部と、
前記正面及び前記背面の上部の前記開口付近にそれぞれ位置する手提げ用のリボンからなる持ち手と、
前記正面及び前記背面の前記持ち手と連続した背負い用のリボンからなる背負い帯と、
前記背負い帯と連続した前記持ち手が挿通するようにリボンからなる挿通部用帯体で覆うように縫製した挿通部と、を備え、
前記背負い帯における前記持ち手との境には前記持ち手の幅よりも大きい拡大部を有し、前記挿通部を前記持ち手は挿通自在で、前記背負い帯の前記拡大部は挿通不可能であり、
手提げ鞄として使用する場合に、前記拡大部が前記挿通部に規制されて前記持ち手が必要以上に長く伸びることを防止することを特徴とする背負い兼用の手提げ鞄を提供するものである。
【0008】
この構成により、背負ってリュックサックとして使用する場合は背負い帯を引っ張って持ち手を短くし、手提げ鞄として使用する場合は持ち手を引っ張って長くすることで、簡単な構成で背負い兼用の手提げ鞄を実現できる。
また、背負い帯が拡大部を備えた構成としたことで、挿通部を背負い帯の拡大部が挿通不可能であるため、持ち手の長さが規制され簡単な構成で手提げ鞄として使用できる。
【0009】
背負い兼用の手提げ鞄であって、前記持ち手は、前記正面に位置する正面側持ち手と、前記背面側に位置する背面側持ち手とを備え、
前記背負い帯は、前記正面側持ち手と連続し、前記本体部外側の底面を経由して前記背面側持ち手に連続するように設けられ、
前記挿通部は、前記正面側持ち手が挿通する正面側挿通部と、前記背面側持ち手が挿通する背面側挿通部とを有した構成としてもよい。
【0010】
この構成により、簡単な構成で、正面側拡大部が正面側挿通部を挿通することを規制するとともに、背面側拡大部が背面側挿通部を挿通することを規制することができ、持ち手を手で提げて使っても持ち手の長さが必要以上に伸びることがない。
【0011】
背負い兼用の手提げ鞄であって、前記背負い帯は、長さ調整部を備えた構成としてもよい。
【0012】
この構成により、背負う人の体格にあわせて背負い帯の長さを調節することができる。
【0013】
背負い兼用の手提げ鞄であって、前記持ち手は、前記正面に位置する正面側持ち手と、前記背面側に位置する背面側持ち手とを備え、
前記背負い帯は、前記正面側持ち手と連続し、前記本体部外側の底面を経由して前記背面側持ち手に連続するように設けられ、
前記本体部の前記正面にサイドポケットを袋状に設け、前記サイドポケットの前記本体部側に前記背負い帯を挿通させるサイドポケット挿通部を備えた構成としてもよい。
【0014】
この構成により、サイドポケットによる利便性向上を図るとともに、正面側における背負い帯がサイドポケットによって隠れるため、デザイン性を向上させることができる。
【0015】
また、上記課題を解決するために本発明は、背負い兼用の手提げかばんの製造方法であって、
正面及び背面を有し上部に開口を有してリボンを組み合わせた袋状の本体部を作成するとともに、リボンからなる正面側持ち手に連続し、前記本体部外側の底面を経由して背面側持ち手に連続する背負い用のリボンからなる背負い帯を作成する本体部及び背負い帯作成工程と、
前記背負い帯における前記正面側持ち手との境には前記正面側持ち手の幅よりも大きい正面側拡大部を有し、前記正面側持ち手は挿通自在であるが、前記背負い帯の前記正面側拡大部は挿通不可能である正面側挿通部、及び前記背負い帯における前記背面側持ち手との境には前記背面側持ち手の幅よりも大きい背面側拡大部を有し、前記背面側持ち手は挿通自在であるが、前記背負い帯の前記背面側幅広部は挿通不可能である背面側挿通部を作成する挿通部作成工程と、を備え、
前記挿通部作成工程は、前記正面側持ち手を前記正面の上部に位置合わせするとともに、前記背面側持ち手を前記背面の上部に位置合わせした後、前記正面側持ち手及び前記背面側持ち手をそれぞれリボンからなる挿通部用帯体で覆うようにして、前記正面側挿通部及び前記背面側挿通部の幅を縫製にて規制することで、
手提げ鞄として使用する場合に、前記拡大部が前記挿通部に規制されて前記持ち手が必要以上に長く伸びることを防止することを特徴とする背負い兼用の手提げかばんの製造方法を提供するものである。
【0016】
この構成により、背負ってリュックサックとして使用する場合は背負い帯を引っ張って正面側持ち手及び背面側持ち手を短くし、手提げ鞄として使用する場合は正面側持ち手及び背面側持ち手を引っ張って長くすることで、簡単な構成で背負い兼用の手提げ鞄を実現できる。
また、背負い帯が正面側拡大部及び背面側拡大部を備えた構成としたことで、正面側挿通部及び背面側挿通部を背負い帯の正面側拡大部及び背面側拡大部が挿通不可能であるため、持ち手の長さが規制され簡単な構成で手提げ鞄として使用できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の背負い兼用の手提げ鞄、及び背負い兼用の手提げ鞄の製造方法により、簡単な構成で背負い兼用の手提げ鞄を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施例1における背負い兼用の手提げ鞄を手提げとして使用する場合の(a)正面図、(b)底面図、(c)側面図である。
【
図2】本発明の実施例1における背負い帯を説明する図である。
【
図3】本発明の実施例1における背負い兼用の手提げ鞄を背負いとして使用する場合の(a)正面図、(b)底面図、(c)側面図である。
【
図4】本発明の実施例1における背負い兼用の手提げ鞄を背負いとして使用した場合の図である。
【
図5】本発明の実施例2における背負い兼用の手提げ鞄を手提げとして使用する場合の(a)正面図、(b)底面図、(c)側面図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0019】
本発明の実施例1における背負い兼用の手提げ鞄を
図1~
図4を参照して説明する。
図1は、本発明の実施例1における背負い兼用の手提げ鞄を手提げとして使用する場合の(a)正面図、(b)底面図、(c)側面図である。
図2は、本発明の実施例1における背負い帯を説明する図である。
図3は、本発明の実施例1における背負い兼用の手提げ鞄を背負いとして使用する場合の(a)正面図、(b)底面図、(c)側面図である。
図4は、本発明の実施例1における背負い兼用の手提げ鞄を背負いとして使用した場合の図である。
【0020】
背負い兼用の手提げ鞄100は、正面11、背面12、左側面13、右側面14、及び底面15を有し、上部の天面は開口した袋状の本体部10と、正面11及び背面12の上部における開口付近にそれぞれ位置する手提げ用の持ち手20と、持ち手20と連続した背負い用の背負い帯30と、背負い帯30と連続した持ち手20が挿通する挿通部41、42、43、44とを備えている。実施例1における本体部20の大きさは、横(X)が約280mm、縦(Y)が約290mmの大きさを有しているが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、横(X)が約280mm以上、縦(Y)が約290mm以上であってもよく、横(X)が約280mm以下、縦(Y)が約290mm以下であってもよい。
【0021】
本体部10は、さらに天面における開口には、ファスナーやボタン等の閉じ具を備えていてもよい。また、実施例1においては、約40mmの左側面13及び右側面14と、約40mmの底面15とを有しているが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、左側面、右側面、及び底面を有さない本体部であってもよい。
【0022】
持ち手20は、正面11側に位置する正面側持ち手21と背面12側に位置する背面側持ち手22を有している。正面側持ち手21及び背面側持ち手22は、背負い帯30と連続してループを形成する幅Bの帯状を有している(
図2参照)。すなわち、背負い帯30は、正面側持ち手21と連続し、本体部10外側の底面15を経由して前記背面側持ち手に連続するように設けられている。また、正面側持ち手21及び背面側持ち手22は、実際に手で持つ部分である先端部が帯状の幅方向の端部と端部が重ねられ幅が狭く形成されており、手で握りやすいB/2の幅寸法を有している。
【0023】
正面側持ち手21は先端部からAの寸法を有し、その先は背負い帯30となっている。背負い帯30における正面側持ち手21との境には、幅Cを有する幅が広い正面側左拡大部31、及び正面側右拡大部32とされている。正面側左拡大部31、及び正面側右拡大部32はDの長さを有し、その先は持ち手20と同じ幅Bを有している。
【0024】
同様に、背面側持ち手22は先端部からAの寸法を有し、その先は背負い帯30となっている。背負い帯30における背面側持ち手22との境には、幅Cを有する幅広の背面側左拡大部33、及び背面側右拡大部34とされている。背面側左拡大部33、及び背面側右拡大部34は長さDより長いEの長さを有し、その先は持ち手20と同じBの幅を有している。背面側の長さEが正面側の長さDより長いことで、背負うときの背負い易さが向上している。
【0025】
正面側左拡大部31と背面側左拡大部33との間は、幅Bを有した帯状であり、この部分に左長さ調整部51を有している。また、正面側右拡大部32と背面側右拡大部34との間は、幅Bを有した帯状であり、この部分に右長さ調整部52を有している。そして、本願では、左長さ調整部51と右長さ調整部52とを総称して長さ調整部50と呼ぶ。長さ調整部50は、バックルに帯状の背負い帯30を通した構成を有した構成を備えている。
【0026】
なお、実施例1における各寸法は、A=約200mm、B=約40mm、C=約50mm、D=約90mm、E=約310mmである。しかしながら、これに限定されず適宜変更が可能である。本体部10の大きさに合わせて長くても短くてもよい。
【0027】
また、実施例1においては、本体部10、持ち手20、及び背負い帯30は、ポリエステルを主原料とするリボンを組合せて構成している。しかしながら、これに限定されず適宜変更が可能である。例えば、布や革で構成してもよく、リボン状でなくてもよい。
【0028】
挿通部41、42、43、44は、本体部10の上部に縫製された約35mm幅の挿通部用帯体40の一部に上下(Y方向)に開口した開口部の左右方向(X方向)の両端部を縫製することにより、幅方向寸法が約42mm幅に開口が形成されている。そして、挿通部41、42、43、44の幅は、B寸法より若干広く、C寸法より狭い寸法に形成されているため、持ち手20は挿通自在であるが、背負い帯30の拡大部30は挿通不可能である。これにより、持ち手20を手で持って手提げ鞄として使用する場合は、各拡大部31、32、33、34が各挿通部41、42、43、44に規制されて、持ち手20が必要以上に長く伸びることを防いでいる。
【0029】
背負い兼用の手提げ鞄100を手提げ鞄として使用する場合は、各拡大部31、32、33、34が各挿通部41、42、43、44に規制されるまで正面側持ち手21及び背面側持ち手22を引っ張って最適な長さとする。この状態で、持ち手20(正面側持ち手21及び背面側持ち手22)を手で提げて使用することができる。背負い兼用の手提げ鞄100に物を収納するときは、上部の開口から収納することができる。
【0030】
背負い兼用の手提げ鞄100を背負って使用する場合は、
図3、
図4に示すように、持ち手20(正面側持ち手21及び背面側持ち手22)の実際に手で持つ部分が各挿通部41、42、43、44に最接近するまで背負い帯30を引っ張る。そうすると、正面側持ち手21及び背面側持ち手22の実際に手で持つ部分から各拡大部31、32、33、34までの長さだけ背面側が緩んで、背負い帯30で背中に背負うことができる。また、長さ調整部50で背負い帯30の長さを調整して各人にあった長さとすることもできる。
【0031】
(背負い兼用の手提げかばんの製造方法)
まず、ポリエステルを主原料とするリボンを複数用いて各リボンの幅方向端部同士を縫製して本体部10を作成するとともに、リボンを用いて持ち手20に連続した背負い帯30を作成する本体部及び背負い帯作成工程を実施する。
ここで、本体部10は、正面11及び背面12を有し上部に開口を有した袋状とする。また、背負い帯30は、正面側持ち手21に連続し、本体部10外側の底面15を経由して背面側持ち手22に連続するように作成する。同時に、背負い帯30における正面側持ち手21との境には正面側持ち手21の幅よりも大きい正面側左拡大部31、及び正面側右拡大部32を縫製により作成する。また、背負い帯30における背面側持ち手22との境には背面側持ち手22の幅よりも大きい背面側左拡大部33、及び背面側右拡大部34を作成する。
【0032】
次に、各挿通部41、42、43、44を持ち手20が挿通した状態で作成する挿通部作成工程を実施する。すなわち、正面側持ち手21を正面11の上部に位置合わせするとともに、背面側持ち手22を背面12の上部に位置合わせした後、正面側持ち手21及び背面側持ち手22をそれぞれリボンからなる挿通部用帯体40で覆うようにして、正面側左挿通部41、正面側右挿通部42、背面側左挿通部43、及び背面側右挿通部44の幅を持ち手20は挿通自在、かつ各拡大部31、32、33、34は挿通不可能になるように縫製にて規制する。
【0033】
最後に、底面15を経由するように背負い帯30を位置して、底面15における背負い帯30にリボンを重ねて底面左挿通部16及び底面右挿通部17を縫製にて作成する底面挿通部作成工程を実施する。このとき、底面左挿通部16は、正面側左拡大部31、及び背面側左拡大部33が挿通自在となるように幅を規制して縫製する。また、底面右挿通部17は、正面側右拡大部32、及び背面側右拡大部34が挿通自在となるように幅を規制して縫製する。これにより、背負い帯30が正面側持ち手21と連続し、本体部10外側の底面15を経由して背面側持ち手22と連続するように設けられるとともに、背負い帯30と本体部10とがばらばらにならず一体とすることができる。
【0034】
なお、実施例1においては、背負い帯30が正面側持ち手21と連続し、本体部10外側の底面15を経由して背面側持ち手22に連続するように設けたが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、正面11及び背面12のうち少なくともいずれか一方の持ち手と連続した背負い帯を設けるようにしてもよい。
【0035】
また、実施例1においては、背負い帯30における持ち手20との境には持ち手20の幅よりも大きい各拡大部31、32、33、34を有するようにしたが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、持ち手20の厚さよりも厚い正面側左拡大部、正面側右拡大部、背面側左拡大部、及び背面側右拡大部を有するようにしてもよい。この場合は、正面側左挿通部、正面側右挿通部、背面側左挿通部、及び背面側右挿通部を正面側左拡大部、正面側右拡大部、背面側左拡大部、及び背面側右拡大部が厚さで規制されて挿通不可能になるようにすればよい。
【0036】
このように、実施例1においては、背負い兼用の手提げ鞄であって、
正面及び背面を有するとともに、上部に開口を有した袋状の本体部と、
前記正面及び前記背面の上部の前記開口付近にそれぞれ位置する手提げ用の持ち手と、
前記正面及び前記背面のうち少なくともいずれか一方の持ち手と連続した背負い用の背負い帯と、
前記背負い帯と連続した前記持ち手が挿通する挿通部と、を備え、
前記背負い帯における前記持ち手との境には前記持ち手の幅又は厚みよりも大きい拡大部を有し、前記挿通部を前記持ち手は挿通自在で、前記背負い帯の前記拡大部は挿通不可能であることを特徴とする背負い兼用の手提げ鞄により、背負ってリュックサックとして使用する場合は背負い帯を引っ張って持ち手を短くし、手提げ鞄として使用する場合は持ち手を引っ張って長くすることで、簡単な構成で背負い兼用の手提げ鞄を実現できる。また、背負い帯が拡大部を備えた構成としたことで、挿通部を背負い帯の拡大部が挿通不可能であるため、持ち手の長さが規制され簡単な構成で手提げ鞄として使用できる。
【0037】
また、背負い兼用の手提げかばんの製造方法であって、
正面及び背面を有し上部に開口を有した袋状の本体部を作成するとともに、正面側持ち手に連続し、前記本体部外側の底面を経由して前記背面側持ち手に連続する背負い用の背負い帯を作成する本体部及び背負い帯作成工程と、
前記背負い帯における前記正面側持ち手との境には前記正面側持ち手の幅又は厚みよりも大きい正面側拡大部を有し、前記正面側持ち手は挿通自在であるが、前記背負い帯の前記正面側拡大部は挿通不可能である正面側挿通部、及び前記背負い帯における前記背面側持ち手との境には前記背面側持ち手の幅又は厚みよりも大きい背面側拡大部を有し、前記背面側持ち手は挿通自在であるが、前記背負い帯の前記背面側幅広部は挿通不可能である背面側挿通部を作成する挿通部作成工程と、を備え、
前記挿通部作成工程は、前記正面側持ち手を前記正面の上部に位置合わせするとともに、前記背面側持ち手を前記背面の上部に位置合わせした後、前記正面側持ち手及び前記背面側持ち手をそれぞれ挿通部用帯体で覆うようにして、前記正面側挿通部及び前記背面側挿通部の幅又は厚さを縫製にて規制することを特徴とする背負い兼用の手提げかばんの製造方法により、背負ってリュックサックとして使用する場合は背負い帯を引っ張って正面側持ち手及び背面側持ち手を短くし、手提げ鞄として使用する場合は正面側持ち手及び背面側持ち手を引っ張って長くすることで、簡単な構成で背負い兼用の手提げ鞄を実現できる。また、背負い帯が正面側拡大部及び背面側拡大部を備えた構成としたことで、正面側挿通部及び背面側挿通部を背負い帯の正面側拡大部及び背面側拡大部が挿通不可能であるため、持ち手の長さが規制され簡単な構成で手提げ鞄として使用できる。
【実施例2】
【0038】
本発明の実施例2は、本体部の正面にサイドポケットを備えた点で実施例1と異なっている。実施例2について、
図5を参照して説明する。
図5は、本発明の実施例2における背負い兼用の手提げ鞄を手提げとして使用する場合の(a)正面図、(b)底面図、(c)側面図である。
【0039】
実施例2における背負い兼用の手提げ鞄200は、本体部10の正面11にサイドポケット260を袋状に備えている。このサイドポケット260は、袋状を有して両側面、背面、及び底面を本体部10に縫製されている。天面は開放されて物の出し入れが可能となっている。そして、サイドポケット260の上部には、止め具261を備えており、これにて本体部10との間が閉じられて収納した物が飛び出ないように配慮されている。
【0040】
また、サイドポケット260の本体部10側における背面に、背負い帯30を挿通させるサイドポケット左挿通部262及びサイドポケット右挿通部263を備え、背負い帯30の正面側左拡大部31がサイドポケット左挿通部262を挿通自在とされ、背負い帯30の正面側右拡大部32がサイドポケット右挿通部263を挿通自在とされている。これにより、本体部10の正面11において、背負い帯30がばらつくのを防ぐことができるとともに、正面から背負い帯30が視認できないためデザイン性を向上させることができる。
【0041】
なお、実施例2においては、袋状のサイドポケットを本体部10に設けた構成としたが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、背面を有さず袋状ではないサイドポケットとしてもよい。その場合は、サイドポケット左挿通部及びサイドポケット右挿通部を別の部材で縫製すればよい。
【0042】
このように、実施例2においても、背負い兼用の手提げ鞄であって、
正面及び背面を有するとともに、上部に開口を有した袋状の本体部と、
前記正面及び前記背面の上部の前記開口付近にそれぞれ位置する手提げ用の持ち手と、
前記正面及び前記背面のうち少なくともいずれか一方の持ち手と連続した背負い用の背負い帯と、
前記背負い帯と連続した前記持ち手が挿通する挿通部と、を備え、
前記背負い帯における前記持ち手との境には前記持ち手の幅又は厚みよりも大きい拡大部を有し、前記挿通部を前記持ち手は挿通自在で、前記背負い帯の前記拡大部は挿通不可能であることを特徴とする背負い兼用の手提げ鞄により、背負ってリュックサックとして使用する場合は背負い帯を引っ張って持ち手を短くし、手提げ鞄として使用する場合は持ち手を引っ張って長くすることで、簡単な構成で背負い兼用の手提げ鞄を実現できる。また、背負い帯が拡大部を備えた構成としたことで、挿通部を背負い帯の拡大部が挿通不可能であるため、持ち手の長さが規制され簡単な構成で手提げ鞄として使用できる。
【0043】
また、背負い兼用の手提げかばんの製造方法であって、
正面及び背面を有し上部に開口を有した袋状の本体部を作成するとともに、正面側持ち手に連続し、前記本体部外側の底面を経由して前記背面側持ち手に連続する背負い用の背負い帯を作成する本体部及び背負い帯作成工程と、
前記背負い帯における前記正面側持ち手との境には前記正面側持ち手の幅又は厚みよりも大きい正面側拡大部を有し、前記正面側持ち手は挿通自在であるが、前記背負い帯の前記正面側拡大部は挿通不可能である正面側挿通部、及び前記背負い帯における前記背面側持ち手との境には前記背面側持ち手の幅又は厚みよりも大きい背面側拡大部を有し、前記背面側持ち手は挿通自在であるが、前記背負い帯の前記背面側幅広部は挿通不可能である背面側挿通部を作成する挿通部作成工程と、を備え、
前記挿通部作成工程は、前記正面側持ち手を前記正面の上部に位置合わせするとともに、前記背面側持ち手を前記背面の上部に位置合わせした後、前記正面側持ち手及び前記背面側持ち手をそれぞれ挿通部用帯体で覆うようにして、前記正面側挿通部及び前記背面側挿通部の幅又は厚さを縫製にて規制することを特徴とする背負い兼用の手提げかばんの製造方法により、背負ってリュックサックとして使用する場合は背負い帯を引っ張って正面側持ち手及び背面側持ち手を短くし、手提げ鞄として使用する場合は正面側持ち手及び背面側持ち手を引っ張って長くすることで、簡単な構成で背負い兼用の手提げ鞄を実現できる。また、背負い帯が正面側拡大部及び背面側拡大部を備えた構成としたことで、正面側挿通部及び背面側挿通部を背負い帯の正面側拡大部及び背面側拡大部が挿通不可能であるため、持ち手の長さが規制され簡単な構成で手提げ鞄として使用できる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明における背負い兼用の手提げ鞄、及び背負い兼用の手提げかばんの製造方法は、手提げと背負いを兼用する鞄の分野に広く用いることができる。
【符号の説明】
【0045】
10:本体部 11:正面 12:背面
13:左側面 14:右側面 15:底面
16:底面左挿通部 17:底面右挿通部
20:持ち手 21:正面側持ち手 22:背面側持ち手
30:背負い帯 31:正面側左拡大部 32:正面側右拡大部
33:背面側左拡大部 34:背面側右拡大部
40:挿通部用帯体 41:正面側左挿通部 42:正面側右挿通部
43:背面側左挿通部 44:背面側右挿通部
50:長さ調整部 51:左長さ調整部 52:右長さ調整部
100:背負い兼用の手提げ鞄
200:背負い兼用の手提げ鞄
260:サイドポケット 261:止め具
262:サイドポケット左挿通部 263:サイドポケット右挿通部
【要約】
【課題】簡単な構成で背負い兼用の手提げ鞄を実現することを課題とする。
【解決手段】背負い兼用の手提げ鞄100であって、正面11及び背面12を有するとともに、上部に開口を有した袋状の本体部10と、前記正面11及び前記背面12の上部の前記開口付近にそれぞれ位置する手提げ用の持ち手20と、前記正面及び前記背面のうち少なくともいずれか一方の持ち手20と連続した背負い用の背負い帯30と、前記背負い帯30と連続した前記持ち手20が挿通する挿通部41、42、43、44と、を備え、前記背負い帯30における前記持ち手20との境には前記持ち手の幅又は厚みよりも大きい拡大部31、32、33、34を有し、前記挿通部41、42、43、44を前記持ち手20は挿通自在で、前記背負い帯30の前記拡大部31、32、33、34は挿通不可能であることを特徴とする背負い兼用の手提げ鞄100とした。
【選択図】
図1