(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】3方向デッキブラシ
(51)【国際特許分類】
A47L 13/10 20060101AFI20221129BHJP
A46B 5/00 20060101ALI20221129BHJP
【FI】
A47L13/10 D
A46B5/00 A
A46B5/00 C
(21)【出願番号】P 2018193856
(22)【出願日】2018-09-25
【審査請求日】2021-09-24
(73)【特許権者】
【識別番号】518364551
【氏名又は名称】山田 徹
(74)【代理人】
【識別番号】110003096
【氏名又は名称】弁理士法人第一テクニカル国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 徹
【審査官】高橋 祐介
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-006808(JP,A)
【文献】実開平07-030750(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2005/0044648(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 13/10
A46B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長方形のブラシヘッド1下部にブラシ2を植設し、ブラシヘッド1上部長軸方向中央
且つ短軸方向端寄りにねじ受け部3を設け、ブラシヘッド1上部長軸方向中央
且つ短軸方向中央にねじ受け部4を設け、ブラシヘッド1上部長軸方向端にねじ受け部5を設け、柄7の先端にねじ山部6を設け
、
前記ねじ受け部3は、前記ブラシヘッド1の長軸方向に垂直な方向に所定の仰角をもって設けられ、前記ねじ受け部4は、前記ブラシヘッド1の長軸方向に所定の仰角をもって設けられ、前記ねじ受け部5は、前記ブラシヘッド1の長軸方向に平行に設けられている
ことを特徴とする3方向デッキブラシ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床等の清掃用具であるデッキブラシであって、ブラシ本体の3箇所に柄の付け外しが行える、3方向デッキブラシに関するものである。
【技術背景】
【0002】
デッキブラシは床等の清掃用具であり、強くこすりつけて清掃を行うものとして比較的硬質のブラシが植毛されているものである。
そのため、柄に掛けた力がブラシを通して床面まできちんと伝わるよう、柄とブラシヘッドが固定されているものが多い。
そのうちの多くはブラシ全体がT字型になるような、柄がブラシヘッド長軸方向に対し垂直に付けられているものだが、ブラシの長軸方向に仰角を設け柄を取り付けた縦型のデッキブラシもある。
また、柄の終端をねじ軸とし、ブラシヘッドの付け外しが可能なデッキブラシもある。
また、ヒンジなどの可動部をもってブラシヘッドの向きを変えるデッキブラシもあった(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そのため、次のような問題点があった。
(イ)柄とブラシヘッドが垂直なT字型デッキブラシでは、壁と床との境目のような隅を磨く際には、ブラシをその長軸方向に動かす必要があり、そのためには保持したブラシを左右に動かすことになるので、人にとって力を掛けやすい前後動の動きをもってしてこすることが困難である。
(ロ)ブラシの長軸方向に沿って柄が取り付けられている縦型のものではこういった壁などの隅は磨きやすいが、床面を磨くにあたってもブラシの長い方向に動かすため、一度に磨ける面積が小さく、床面の広い範囲を効率よく磨くことができるデッキブラシそのものの利点を失ってしまっている。
またT字型のデッキブラシと合わせてブラシが2本必要で、運搬、保管のコストも掛かってしまう。
(ハ)柄とブラシ本体がネジ式で取り外し可能なデッキブラシでは、柄がブラシに垂直なT字型のデッキブラシとしてのみ使用できるよう設計されており、やはり床面の隅は磨きづらく、このタイプでは特に左右方向に動かすことでねじ軸が緩んでしまい、力を掛けてこするという本来の目的を達成できなくなってしまう。
(ニ)一般的なデッキブラシであるT字型のものは保管する際にブラシヘッドの横幅が嵩むため、特に複数本収納する際に収納スペースを非常に取ってしまう。
ねじ式等でブラシヘッドが外せる物は、外して別のスペースに保管する事でスペース効率を上げることができるが、柄とブラシ本体を分けて保管することによる紛失のリスクが存在する。
(ホ)ヒンジなどの可動部をもってブラシヘッドの向きを変えるデッキブラシでは、柄の線上床側終端がブラシヘッドの上方にあるため、柄に掛けた力が直線的に伝わらず、また使用中にもブラシヘッドが不安定に可動するので、力強くこすることが困難である。また構造が複雑なため、コストが高くつく不利もある。
本発明はこれらの問題を解決するためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
長方形のブラシヘッド1下部にブラシ2を植設する。ブラシヘッド1上部長軸方向中央、短軸方向端寄りに内側にねじ溝を切った円筒形のねじ受け部3を設ける。
ブラシヘッド1上部短軸方向、長軸方向共に中央位置に、内側にねじ溝を切った円筒形のねじ受け部4を設ける。
ブラシヘッド1上部短軸方向中央、長軸方向端に、内側にねじ溝を切った円筒形のねじ受け部5を設ける。
柄7の先端にねじ山部6を設ける。
柄7のねじ山部6と反対方向の端には穴8を設ける。
以上のように構成された3方向デッキブラシである。
【発明の効果】
【0006】
(イ)ブラシ本体を縦長にして使用することができるので、壁と床との境目のような直角の隅を磨くことが容易になる。
(ロ)T字型、縦型双方のデッキブラシとしての機能を持つことで、広い床面と狭い隙間の両方を一本で効率よく清掃することができ、管理物品を減らすことでのコストの低下を実現できる。
(ハ)ブラシを横長、縦長のどちらにも取り付けることが出来るので、使用する場面に応じて最適の形態に付け替えることで使用中にネジが緩むことによるぐらつきを発生させることなく清掃作業をすることができる。
(ニ)ブラシ本体の長軸方向と平行に柄を取り付けることができるので、分解保管による紛失の恐れを無くした上で、収納する際に必要とする横幅をブラシ本体の横幅にまで低減させることができる。
(ホ)ブラシと柄の固定がヒンジではなくねじ式であることにより、柄に掛けた力が直線的に床に伝わり、使用中のブラシのぐらつきも抑え、また簡易な構造のため生産コストも低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】本発明のねじ受け部3にねじ山部6を接続した使用例の図である。
【
図3】本発明のねじ受け部4にねじ山部6を接続した使用例の図である。
【
図4】本発明のねじ受け部5にねじ山部6を接続した使用例の図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
プラスチック、または木材等を材料にした長方形のブラシヘッド1下部に比較的硬質のブラシ2を植設する。
ブラシヘッド上部にはプラスチックまたは金属等を材料にしたねじ受け部3、ねじ受け部4、ねじ受け部5を設ける。
これらは内側にねじ溝を切った円筒形であり、3つ共にねじ規格は同じである。
ねじ受け部3はブラシヘッド長軸方向に垂直に60度程度の仰角を設け、ブラシヘッド1長軸方向中央、短軸方向端寄りに設ける。
ねじ受け部4はブラシヘッド1短軸方向、長軸方向共に中央位置、長軸方向へ60度程度の仰角をもって設ける。
ねじ受け部5はブラシヘッド1短軸方向中央、長軸方向端のブラシ本体外向きにブラシヘッド1長軸方向と平行に設ける。
プラスチック、または木材等を材料にした直径2cm程度、長さ110cm程度の柄7の先端に、ねじ受け部3、ねじ受け部4、ねじ受け部5のいずれとも接合可能であるねじ山部6を設ける。
なお好ましい実施の形態においては、ブラシ2はねじ受け部4とねじ受け部5の挿入方向端に、ブラシヘッド1縁よりはみ出す形に設け、柄7のねじ山部6と反対方向の端には柄7の直径未満の大きさの穴8を設ける。
本発明は以上のような構成である。
本発明を使用するときは、ねじ受け部3にねじ山部6をねじ込む事で取り付け、柄7を両手で保持し床などの特に広い面をブラシ2でこすることにより使用する。
またねじ受け部4にねじ山部6を取り付ける事で、主に壁と床との境目などの窄まった部位をブラシ2を用いて磨くために使用する。
さらに、ねじ受け部5にねじ山部6を取り付ける事で、ブラシヘッド1とブラシ2を含めたブラシ本体の入るサイズであれば、ブラシ2を用いて細い配管等の内部を磨くことができる。
収納の際には穴8をフック等にかけて吊るしたり、ねじ受け部5にねじ山部6を取り付けた状態で立てかけたりすることにより実施する。
【符号の説明】
【0009】
1 ブラシヘッド
2 ブラシ
3 ねじ受け部
4 ねじ受け部
5 ねじ受け部
6 ねじ山部
7 柄
8 穴