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特許7184369導波管を備える指向性マルチウェイスピーカ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】導波管を備える指向性マルチウェイスピーカ
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/28 20060101AFI20221129BHJP
   H04R 1/26 20060101ALI20221129BHJP
【FI】
H04R1/28 310D
H04R1/26
【請求項の数】 26
(21)【出願番号】P 2019557359
(86)(22)【出願日】2017-04-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-06-18
(86)【国際出願番号】 FI2017050305
(87)【国際公開番号】W WO2018193154
(87)【国際公開日】2018-10-25
【審査請求日】2019-12-12
【審判番号】
【審判請求日】2021-12-10
(73)【特許権者】
【識別番号】598156701
【氏名又は名称】ジェネレック・オーワイ
【氏名又は名称原語表記】GENELEC OY
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】マキビルタ、アキ
(72)【発明者】
【氏名】ホルム、ユハ
(72)【発明者】
【氏名】バイサネン、ユッシー
(72)【発明者】
【氏名】ナギアン、シアマック
(72)【発明者】
【氏名】マルティカイネン、イルポ
【合議体】
【審判長】千葉 輝久
【審判官】新井 寛
【審判官】木方 庸輔
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/055687(WO,A1)
【文献】特開2013-126250(JP,A)
【文献】特開平4-154298(JP,A)
【文献】特開平10-94081(JP,A)
【文献】特開2011-061334(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/28
H04R 1/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
- 内部容積を画定する前部分、側方部分、および後方部分を有するエンクロージャと、
- 前記前部分は、導波管表面として形成され、前記導波管表面の中心に少なくとも1つのドライバを含み、スピーカの主な音響パワーを第1の音響軸の方向に放出することができる、
- 前記エンクロージャに取り付けられる少なくとも1つのさらなるドライバとを含み、
- 前記さらなるドライバは、サブ容積が前記内部容積の内側に形成されるように、前記エンクロージャの内側に取り付けられ、前記サブ容積が、前記さらなるドライバ、前記さらなるドライバと前記前部分の間のスペーサ、および前記エンクロージャの前記前部分により制限される、
- 少なくとも1つの第1のポートは、前記サブ容積から周囲容積へと、前記エンクロージャの側方部分または後方部分のいずれかに開口するように適合される、スピーカであって、
- 前記サブ容積に音響的に接続される少なくとも1つの共振器を含み、前記共振器は、前記サブ容積の望ましくない共振の少なくとも1つに同調され、前記ドライバの周囲に少なくとも部分的に位置することを特徴とするスピーカ。
【請求項2】
前記共振器は、広帯域特性を有する抵抗性共振器であることを特徴とする、請求項1に記載のスピーカ。
【請求項3】
前記共振器は、PESウール、連続気泡フォーム材料、ガラス繊維、ミネラルウール、フェルト、または他の繊維質の、連続気泡、もしくは多孔質材料、あるいは代替的に、材料は、気泡サイズもしくは繊維サイズが、1μm(マイクロメートル)から1mm(ミリメートル)の寸法範囲にある連続気泡または繊維構造であるように、前記共振器の容積に代えて製作される任意の固体材料などの減衰材料を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載のスピーカ。
【請求項4】
前記共振器は、パネル共振器またはヘルムホルツ共振器などのリアクティブ性共振器であることを特徴とする、請求項1に記載のスピーカ。
【請求項5】
前記サブ容積は、W/Hの比が、通常、約1.8であるように、幅(W)および長さ(H)を有することを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のスピーカ。
【請求項6】
前記エンクロージャは、金属製、通常はアルミニウム製であり、前記共振器は、このエンクロージャの一体部分であることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載のスピーカ。
【請求項7】
前ポートの平面、および前記第1のポートのいずれかの平面は、0度よりも大きく、好ましくは、前記第1のポートが前記後方部分に位置していないとき、45度を超える角度αを有することを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載のスピーカ。
【請求項8】
- 第1の周波数帯域、および対応する前記第1の音響軸を生成するように構成された前記少なくとも1つのドライバと、
- 前記第1の周波数帯域とは異なるが、クロスオーバ領域で重複し得る第2の周波数帯域を生成するように構成された前記少なくとも1つのさらなるドライバであって、前記第2の周波数帯域は、第2の音響軸を有する、前記少なくとも1つのさらなるドライバ
前記エンクロージャの前記前部分上で前記少なくとも1つのドライバの周囲に位置する3次元的な導波管を備える前記エンクロージャとを含み、
- 前記3次元的な導波管は、前記第1の周波数帯域の音波を、本質的に、音響的に反射して、前記第1の音響軸に対して角度を付けた方向に伝達する音響的に選択的に透過性のある部分を備え、
- 前記選択的に透過性のある部分は、前記第2の周波数帯域の音波に対して本質的に透過性があり、前記選択的に透過性のある部分を通して、前記第2の音響軸の方向に伝達する、
- 前記少なくとも1つのさらなるドライバは、前記音響的に選択的に透過性のある部分の後方の、前記エンクロージャの内側に位置する、請求項1から7のいずれか一項に記載のスピーカ。
【請求項9】
前記少なくとも1つの第1のポートの合計面積は、通常、前記前ポートの面積の5~50%であり、有利には、前記前ポートの面積の10~20%の範囲であることを特徴とする、請求項7に記載のスピーカ。
【請求項10】
前記第1のポートは、前記エンクロージャの前記後方部分へのチャネルまたは導体により形成されることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載のスピーカ。
【請求項11】
前記第2の音響軸は、前記第1の音響軸と同軸ではないことを特徴とする、請求項8に記載のスピーカ。
【請求項12】
前記第2の音響軸は、前記第1の音響軸と平行ではないことを特徴とする、請求項8に記載のスピーカ。
【請求項13】
前記選択的に透過性のある部分は、多孔質材料製であることを特徴とする、請求項8に記載のスピーカ。
【請求項14】
前記選択的に透過性のある部分は、細孔の直径が1mmより小さい多孔質材料製であることを特徴とする、請求項8に記載のスピーカ。
【請求項15】
前記選択的に透過性のある部分は、約1~5mmの厚さを有するフェルト製であることを特徴とする、請求項8に記載のスピーカ。
【請求項16】
前記選択的に透過性のある部分は、約1~20mmの厚さを有する連続気泡プラスチックフォーム製であることを特徴とする請求項8に記載のスピーカ。
【請求項17】
前記選択的に透過性のある部分は、ツイータを除く、スピーカ前面全体を覆うことを特徴とする、請求項8に記載のスピーカ。
【請求項18】
前記選択的に透過性のある部分は、開口部だけを覆うことを特徴とする、請求項8に記載のスピーカ。
【請求項19】
前記少なくとも1つのドライバは、2つの同軸ドライバを含むことを特徴とする、請求項8に記載のスピーカ。
【請求項20】
前記少なくとも1つのドライバは、1つのドライバだけを含むことを特徴とする、請求項8に記載のスピーカ。
【請求項21】
前記選択的に透過性のある部分は、金属から作られることを特徴とする、請求項8に記載のスピーカ。
【請求項22】
前記選択的に透過性のある部分は、金属メッシュから作られることを特徴とする、請求項8に記載のスピーカ。
【請求項23】
前記選択的に透過性のある部分は、いくつかの層の金属メッシュから作られることを特徴とする、請求項8に記載のスピーカ。
【請求項24】
前記選択的に透過性のある部分は、打ち抜き孔を有するいくつかの層の金属シートから作られることを特徴とする、請求項8に記載のスピーカ。
【請求項25】
前記選択的に透過性のある部分は、0.2~2mmの範囲で互いに離間されたシートから作られることを特徴とする、請求項8に記載のスピーカ。
【請求項26】
前記スピーカは、バスレフ型スピーカであることを特徴とする、請求項1から25のいずれか一項に記載のスピーカ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スピーカに関する。詳細には、本発明は、導波管を備えるスピーカに関する。
【0002】
正確には、本発明は、請求項1のプリンブル部分に関する。
【背景技術】
【0003】
従来技術においては、2つ以上のドライバを有するスピーカ(マルチウェイスピーカ)は特に、スピーカの正面バッフル面(フェース)上の不連続性により生ずる音が回折する問題を示している。実際には、高周波数ドライバ(ツイータ)が、この意味において最も重要な部分である。本出願の出願人は、ツイータの周囲が、単に、ツイータおよび/もしくはミッドレンジドライバ、または代替的に、同軸のミッドレンジ/ツイータドライバのいずれかに向けた、高周波数およびミッドレンジ周波数オーディオ信号に対する連続的な導波管として形成される解決策を作成してきた。
【0004】
本出願では、この種の音源は導波管ドライバと呼ばれ、またそれらは、この3次元導波管構造の中心に位置する任意のドライバを含む。これらの解決策により、良好な音質、および音エネルギーの正確な方向付けが達成され得る。しかし、放射の指向性を制御するための導波管の周波数範囲および有効性は、導波管により覆われる表面積により、従って、スピーカの前面バッフル(フェース)の寸法により、大部分決定される導波管の寸法に依存する。小さな導波管面積は、指向性制御を、ツイータ範囲だけになど、高周波数に限定する。大きな導波管面積は、指向性制御の周波数範囲を、ミッドレンジドライバ周波数範囲などの、低周波数の方向に広げることを可能にする。
【0005】
小寸法のスピーカが設計される場合、すべてのドライバは、通常、導波管(低周波数放射体、ウーハなど)の中心に配置され得ず、これらの他のドライバおよびドライバそれ自体により占められる表面積が、導波管に利用可能なバッフル面積を制限するか、オーディオエネルギーの有害な回折をさらに生成するかのいずれかであり、聴取者に聞こえるオーディオ信号の品質を悪化させることになる。
【0006】
従来技術では、スピーカの前面側に1つまたは複数の導波管を備えたスピーカを作成する試みが行われている。本出願の出願人は、例えば、EP出願14168925.7、および出願PCT/FI2014/050757など、このような様々な解決策を以前に作成している。これらの出願において、解決策が提示されており、非同軸のドライバは、それらが、エンクロージャの前面(フェース)上に作られた導波管形態を乱さないように配置されており、もし同じ面(エンクロージャの前側(フェース))上に配置された場合、それらは、選択された周波数において固体表面として機能し、また導波管がそれに向けて設計されている音源により放出される周波数の貫通を制限するが、他方で、他の周波数、より詳細には、非同軸のドライバにより放出される、通常、ウーハが発する周波数に透過性のある材料によって覆われるので有利である。
【0007】
ドライバによる空気の容積変位は、空気の流れを可能にする十分な開口部を必要とするため、低周波数ドライバを覆うことは、ドライバの動的性能にいくつかの問題を生ずるおそれがある。加えて、ウーハの前のサブ容積は、望ましくない共振を生ずる可能性がある。
【発明の概要】
【0008】
本発明の目的
本発明によれば、上記で述べた問題の少なくともいくつかは、スピーカの合計容積が、可能な限り小さく留まるように、ウーハの容積に対して、抵抗性共振器またはリアクティブ性共振器のいずれかを音響的に結合することにより解決される。これらの共振器は、同軸要素の周囲に少なくとも部分的に配置されると有利である。さらに本発明の目的は、ウーハの動的性能を向上させることである。
【0009】
より具体的には、本発明によるスピーカは、請求項1の特徴付け部分において述べられるものにより特徴付けられる。
【0010】
本発明の一実施形態によれば、スピーカは、サブ容積に音響的に接続される少なくとも1つの共振器を含み、共振器は、サブ容積の少なくとも1つの望ましくない共振に同調される。
本発明で得られる利点
本発明の支援により、かなりの利点が得られる。
【0011】
本発明の一実施形態の助けを借りると、低周波数ドライバは覆うことができるが、ウーハのサブ容積により生ずる共振に関する問題は抑制され得る。いくつかの実施形態では、その抑制は、異なる周波数に同調された複数の共振器によって複数の周波数で行うことができる。
【0012】
本発明の助けを借りると、スピーカの前面(フェース)全体は、バスドライバのサブ容積の形成に何らかの妨げる共振を生ずることなく、スピーカの全体容積を可能な限り小さく保ったままで、中間周波数および高周波数に対する連続的な導波管として形成され得る。この手段により、18~20000Hzのオーディオ範囲全体が、正確に1つの「スイートスポット」に方向付けられ、さらに音のエネルギーの残りのものが、スピーカのすべての導波管形態により、リスニングルームに分割され、したがって、本質的に、スピーカのエンクロージャそれ自体は、主方向以外の方向における周波数応答に影響を与えないようにする。
【0013】
言い換えると、バッフルプレート全体が、平坦であるか、導波管として一部だけ湾曲しているかのいずれかである従来のスピーカにおいて、「スイートスポット」以外の他の方向へと形成される信号は、制御されない状態で、リスニングルームの壁から反射されることになる。しかし、本発明は、音圧がすべての方向に最適に配分され、それによりさらに、壁の反射が人の耳に自然に聞こえるエンクロージャを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
以下では、本発明のいくつかの好ましい実施形態が、添付図面を参照して述べられる。
図1】本発明の1つの好ましい実施形態によるスピーカの正面図。
図2図1によるスピーカの横断面図。
図3図1によるスピーカの詳細な横断面図。
図4】本発明によるウーハキャビティ、および対応する共振器の周波数応答のグラフを示す図。
図5】本発明によるウーハのサブ容積の横断面図。
図6】本発明による第2のウーハのサブ容積の横断面図。
図7】本発明による第3のサブ容積の横断面図。
図8a】本発明によるウーハの正面図。
図8b図7aのウーハの断面A-Aを示す図。
図9】本発明による第3のウーハのサブ容積の横断面図。
図10】本発明の1つの代替の実施形態によるスピーカの正面図。
図11図9によるスピーカの横断面図。
図12】本発明の別の好ましい実施形態によるスピーカの正面図。
図13】本発明の1つの好ましい実施形態によるスピーカシステムの図。
図14】本発明の1つの好ましい実施形態によるスピーカの横断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
使用される用語のリスト
1 スピーカ
2 エンクロージャ
3 導波管ドライバ、さらに同軸ドライブまたはツイータだけ
4 ウーハ、低周波数ドライバ、付加的ドライバ
5 ウーハに対する前ポート(開口部)、エンクロージャ2の表面上の外側リムを有する低周波数ドライバ、リムは前ポートのリムの平面を画定する
6 音響的に選択的に透過性のある層
7 音響的に透過性のある層に対する支持構造
8 3次元的な導波管表面、さらに、滑らかな連続する表面を有する主な音響パワーを放出するエンクロージャ2の前面(フェース)であり、導波管ドライバ3の中心周りで軸方向に対称的な機構を備える
9 複数のスピーカに対するスイートスポット
10 第1の音響軸
11 第2の音響軸
12 ツイータ
13 ミッドレンジドライバ
15 エンクロージャの前部分(壁)、(導波管表面8とすることもできる)、前面バッフル部分、前部分は、主な音響パワーを放出し、また導波管表面8を含み、第1の音響軸10に直角な平面28を有する
B1 導波管ドライバ3の周波数帯域
B2 非同軸ドライバ4の周波数帯域
C 帯域B1とB2の間のクロスオーバ周波数帯域
d パネル共振器のキャビティ深さ
20 第1のポート、さらにエンクロージャ表面に第1のポート平面を画定する外側リムを有する側方開口部
21 エンクロージャの側方部分(壁)
22 サブ容積、さらに、ウーハの前空間、低周波数ドライバ、内部容積27の一部
W サブ容積の幅
L サブ容積の長さ
23 ドライバ4とエンクロージャ2の間のスペーサを形成するサブ容積(前空間)の側壁、側壁23の中央における接線は、前部分15の平面28に対してゼロとは異なる角度を有し、通常、約90度の角度である
25 エンクロージャの後方部分、前部分15の平面と通常平行な、後方部分25の中央に形成される接線により画定される平面を有する。後方部分25の平面は、本発明に従って、様々な異なる角度を有することができる。
26 周囲容積
27 エンクロージャ2の内部容積
28 前部分の平面
29 側方部分21の平面、この部分の中心の接線によって決定される
30 後方部分の平面、この部分の中心の接線により決定される
31 前ポート5の平面
32 第1のポート20の平面、前ポート5の平面31、および第1のポート20のいずれかの平面32は、0度より大きい角度αを有し、第1のポート20が後方部分25に位置していないとき、45度を超えることが好ましい
33 スペーサ、ウーハと前部分15との間の部分、エンクロージャ2の一体部分または別要素のいずれかである
34 反射ポート
α 前ポート5の平面31と第1のポート20の平面32との間の角度
40 共振器
40’ サブ共振器
41 共振器の抑制材料
43 サブ容積の周波数応答
44 共振器の周波数応答
0 共振周波数
45 ヘルムホルツ共振器の首部
46 ヘルムホルツ共振器のキャビティ
47 ウーハカバー
48 カバー管
50 パネル共振器のパネル
【0016】
図1によれば、本発明の一実施形態であるスピーカ1は、ツイータ12と、その周囲にミッドレンジドライバ13とを備える同軸の導波管ドライバ3を含む。同軸ドライバ3は、エンクロージャ2の前面(フェース)でもある3次元的な導波管表面8の中心に位置する。エンクロージャは、通常、有利には、アルミニウムである鋳造金属から作られる。λの(λtic)組合せなど、他の鋳造可能な、または成形可能な材料が、エンクロージャの材料として使用され得る。
【0017】
導波管表面8は、ドライバ3の主な音響パワーを放出する。導波管8は、導波管ドライバ3の中心の周囲で軸方向に対称な機構を備える滑らかな連続面を有する。2つのウーハドライバ4は、エンクロージャ2の内側において、導波管ドライバ3の両側に対称的に配置され、第1のポートである狭いポート(開口部)20は、エンクロージャ2から外に音響エネルギーを出すために、ウーハ4に対する導波管表面のすぐ後ろに形成される。これらの第1のポート20は、この実施形態では、エンクロージャ2の狭い前端部にあり、またこれらポートは、聴取方向から部分的に見ることができる。言い換えると、第1のポート20は、U字形のスロットである。
【0018】
破線を用いて、ウーハ4と、ウーハサブ容積22の外形と、ウーハサブ容積22に接続された共振器40の外形とが示される。共振器40の機能は、ウーハのサブ容積22の共振を抑制することである。これらの共振器40は、同軸ドライバ3の後ろに部分的に位置し、各サブ容積22は、同軸ドライバ3の両側に2つの共振器を有する。サブ容積22は、W/Hの比が、約1.8であり、通常、1.0~5の範囲にあるような幅Wおよび高さHを有する。共振器40は、通常、エンクロージャの一体部分である。
【0019】
共振器は、この時間長さにおいて、最も長い寸法が、抑制すべき波長のλ/4、または代替的にλ/2であるような寸法である。言い換えると、サブ容積22が、波長λで望ましくない共振を有する場合、共振器は、λ/4の長さにすべきである。周波数領域において、これは、共振f0において、λ=v/f0であることを意味し、ここで、vは音速である。有利には、共振器40は、PESウール、連続気泡フォーム材料、ガラス繊維、ミネラルウール、フェルト、または他の繊維質、連続気泡、もしくは多孔質材料、あるいは代替的に、材料は、気泡サイズもしくは繊維サイズが、1μm(マイクロメートル)から1mm(ミリメートル)の寸法範囲にある連続気泡または繊維構造であるように、その容積に代えて製作される任意の固体材料などの抑制材料41で満たされる。
【0020】
図2を参照すると、共振器40はまた、同軸ドライバ3の後ろに少なくとも部分的に位置することができる。
【0021】
図2および図3を参照すると、同軸ドライバの周囲に対称的に配置される2つのウーハ4は、ウーハがそれ自体の音響軸11を有しているが、本質的に導波管ドライバ3と同じ、音響軸10に沿ってポート20を通して放射する等価な大きなウーハを形成する。
【0022】
言い換えると、スピーカ1は、第1の周波数帯域B1および対応する第1の音響軸10を生成するように構成された第1のドライバ3と、第1の周波数帯域B1とは異なるが、クロスオーバ領域で重複し得る第2の周波数帯域B2を生成するように構成された第2のドライバ4であって、その第2の周波数帯域B2は、第2の音響軸11を有する、第2のドライバ4とを含む。エンクロージャ2は、前記ドライバ3、4を囲み、エンクロージャ2の前面に、また第1のドライバ3の周囲に位置する3次元的な導波管8を備える。
【0023】
上記で述べたように、個々のウーハドライバの第2の音響軸11は、第1の音響軸10とは非同軸であるが、共に動作する複数の対称的なウーハ(等価なウーハドライバ)の得られた軸は、導波管ドライバ3である同軸ドライバと同じ音響軸を有する。しかし、この対称性は、本発明のすべての実施形態において必要なものではない。軸10および軸11は平行または非平行であり得る。
【0024】
図2および図3を参照すると、ウーハ4は、サブ容積22が、ウーハ4の前に形成され、ウーハ4それ自体および側壁23により制限されるように、エンクロージャ2の内側に位置する。共振器40は、サブ容積22に音響的に接続される。適切な抑制材料41が、望ましくない周波数をさらに減衰させるために、共振器40の内側で使用され得る。
【0025】
サブ容積(前空間)22の側壁33は、ドライバ4とエンクロージャ2の間のスペーサを形成し、サブ容積22を、エンクロージャ2の内部容積27の残りの部分から封止する。より詳細には、内部容積27は、エンクロージャ2の壁、すなわち、前部分15、側方部分21、および後方部分25により制限される。
【0026】
通常、第1のポート20は、第1の軸10および第2の軸11に対して実質的に直交するように、最も好ましくは、これらの軸に対して60~120度の範囲で方向付けられる。しかし、第1のポート20は、例えば、チャネルにより、エンクロージャ2の後方部分25へと導かれる場合、第1のポート20の方向と、軸10および軸11の方向の間の差は、180度にもなる可能性がある。
【0027】
第1のポート20の合計面積は、重要な機能であり、したがって、第1のポート20は、諸図で示されるように、各ウーハ4に対して1つだけの単一の第1のポート20とすることができるが、または1つの単一のポートに対応する面積を備えた格子状の複数の第1のポート20から形成され得る。
【0028】
第1のポート20は、3次元的な導波管表面8を乱すべきではなく、したがって、それらは、エンクロージャ2の側方部分21上に位置すると有利である。当然であるが、これらの第1のポート20は、適切な管またはチャネル(図示せず)によってエンクロージャ2の後方部分25に導かれ得る。言い換えると、第1のポート20は、エンクロージャ2の前部分15の3次元的な導波管8の外側の領域への通気路を形成する。
【0029】
図4のグラフは、f0において1つの共振を有するウーハ4のサブ容積22の周波数応答(実線)と、サブ容積22に音響的に接続された共振器40の対応する周波数応答(破線)とを示しており、共振器40は、サブ容積22の望ましくない共振を補償する。
【0030】
図5は、サブ容積の2つの望ましくない周波数に対する異なる長さを有する2つの抵抗性共振器(40)を備えた代替的な実施形態を示す。さらに、有利には、抑制材料で満たされた、1つまたは複数の抵抗性の広帯域共振器が使用され得る。この場合、共振器キャビティの機械的寸法(長さ、幅、および深さ)は、共振器の1つまたは複数の同調周波数の同調を画定する。
【0031】
図6は、1つのリアクティブ性ヘルムホルツ共振器40を備えた代替的な実施形態を示す。一般に、リアクティブ性共振器は、高い品質ファクタを有し、またそれらは、非常に有効な狭帯域共振器である。さらに、これらのタイプの共振器は、いくつかの鋭い望ましくない共振がある場合、1つのサブ容積22内にいくつかを取り付けることができる。このタイプの共振器はまた、1つまたは複数の望ましくない周波数f0に同調される。ヘルムホルツ共振器の寸法は、以下で説明される。
【0032】
共振は、共振器40の音響的空気量の首部分と、共振器のチャンバの空気容積の音響コンプライアンスにより生成される一連の共振回路との効果から生ずる。共振周波数の近くのヘルムホルツ共振器は、サブ容積22の望ましくない共振を減衰する。共振器40の首部-キャビティシステムは、共振器のキャビティの空気容積と、首部の直径およびその長さとから導出され得る。
【0033】
【数1】
【0034】
式中、f0は共振周波数であり、cは音速であり、Aは首部の断面積であり、Lは、首部の長さであり、またVはチャンバの容積である。
【0035】
図7は、共振器として1つのリアクティブ性パネル共振器を備えた代替的な実施形態を示す。この実施形態は、単位当たりのパネル50の質量と、キャビティ深さdに基づいて、以下の方法で寸法が示される。
【0036】
パネル共振器/薄膜吸収器共振周波数fは、以下のように定義される。
【0037】
【数2】
【0038】
ここで、mは、
m=パネル50の単位面積当たりの音響質量(kg/m2
d=キャビティ深さ
薄膜固定の剛性は、無視できるものと仮定される。
【0039】
図8aは、平坦なカバー47と、ヘルムホルツ共振器を同様に形成する短い管48とを有するウーハ4を上面図として示しており、管は首部であり、またカバーとウーハコーンの間の容積は、共振器の容積を形成する。図8bでは、この解決策が、A-A断面として示されている。同調原理は、図5および図6と同じである。
【0040】
図9は、別の代替的な解決策を示しており、共振器40は、前面バッフル部分および15と、ウーハのサブ容積22との間に形成される。共振器は、何らかの首部分を有しない抵抗性タイプ、またはサブ容積22への開口部が管として作られている場合はリアクティブ性タイプのいずれかとすることができる。同調原理は、前の図と同じである。
【0041】
本発明によるスピーカは、通常、よく知られたバスレフ原理に従って機能し、低周波数ドライバ4は、エンクロージャの内側に含まれる空気容積27と、図2の反射ポート34の内側に含まれる空気容積のコンプライアンスの助けを借りて共振に同調される。
【0042】
本発明の一実施形態が(図10図11)さらに、以下のように述べられ得る。
【0043】
スピーカ1は、内部容積27を画定し、また内部容積27とエンクロージャ2の周囲容積26との間に流体通路を提供するための前ポート5を有する前面バッフル部分15(前部分)と、バッフル部分15の周辺から後方に延びる側方部分21とを含むエンクロージャ2を備える。側方部分21は、側壁またはエンクロージャ2を形成する。エンクロージャは、後方部分25をさらに含み、それは、通常、本質的に、前面バッフル部分15と平行であり、エンクロージャ2の後ろ側を形成する。スピーカ1は、エンクロージャ2に取り付けられるドライバ4をさらに備え、したがって、ドライバ4は、バッフル部分15から距離を置いて配置され、サブ容積22が、スペーサ33によって、ドライバ4とバッフル部分15との間に形成されるように、エンクロージャ2の内側にサブ容積22を形成し、ここにおいて、前記前ポート5は、サブ容積22と、エンクロージャ2の周囲容積28との間で前ポートとして働く。この実施形態によれば、第1のポート20は、サブ容積22と周囲容積26とを互いに接続するために、側方部分21または後方部分25のいずれかにおいて、エンクロージャ2に形成される。
【0044】
図10によれば、本発明の一実施形態である2つのウーハドライバ4は、エンクロージャ2の内側の導波管ドライバ3の両側に配置され、適切なポート(開口部)5が、音響エネルギーをエンクロージャ2から外に出すために、ウーハ4に対して形成される。
【0045】
図11を参照すると、開口部5は、導波管表面8の一部を形成する音響的に透過性のある層6によって覆われる。必要に応じて、音響的に透過性のある層6は、支持バー7を用いて、下方から支持され得る。ウーハドライバ4は、通常、音響的に透過性のある層6から離間される。
【0046】
図10を参照すると、2つのウーハ4は、ウーハがそれら自体の音響軸11を有しているが、本質的に、導波管ドライバ3と同じ音響軸10に沿って放射する等価な大きなウーハを形成する。
【0047】
言い換えると、スピーカ1は、第1の周波数帯域B1、および対応する第1の音響軸10を生成するように構成された第1のドライバ3と、第1の周波数帯域B1とは異なるが、クロスオーバ領域で重複することのできる第2の周波数帯域B2を生成するように構成された第2のドライバ4とを含み、その第2の周波数帯域B2は、第2の音響軸11を有する。エンクロージャ2は、前記ドライバ3、4を囲み、またエンクロージャ2の前面上で、第1のドライバ3の周囲に位置する3次元的な導波管8を備える。3次元的な導波管8は、本質的に、第1の周波数帯域B1の音波に対して音響的に反射して、第1の音響軸10へと角度を付けた方向に伝達する音響的に選択的に透過性のある部分6を備え、導波管部分6は、本質的に、第2の周波数帯域B2の音波に対して透過性があり、導波管部分6を通して第2の音響軸の方向に伝達し、また第2のドライバ4は、音響的に選択的に透過性のある部分6の後ろでエンクロージャ2の内側に位置する。
【0048】
上記で述べたように、個々のウーハドライバの第2の音響軸11は、第1の音響軸10と同軸ではないが、共に動作する複数のウーハ(等価なウーハドライバ)の得られた軸は、導波管ドライバ3である同軸ドライバと同じ音響軸を有する。しかし、この対称性は、本発明のすべての実施形態において必要なものではない。軸10および軸11は、平行または非平行であり得る。
【0049】
図10および図11を参照すると、ウーハ4は、サブ容積22が、ウーハ4の正面に形成され、ウーハ4それ自体、側壁23、および音響的に選択的に透過性のある層6により制限されるように、エンクロージャ2の内側に位置する。共振器40は、サブ容積22に接続され、サブ容積22によって生成された望ましくない周波数へと同調される。共振器40は、抵抗性またはリアクティブ性のいずれかとすることができる。抵抗性共振器を用いると、抑制特性は、広帯域タイプのものである。言い換えると、抵抗性共振器によって生成される中心周波数f0付近のノッチは、リアクティブ性共振器におけるようには、鋭くない。サブ容積(前空間)22の側壁33は、ドライバ4とエンクロージャ2の間のスペーサを形成し、サブ容積22を、エンクロージャ2の内部容積27の残りのものから封止する。より詳細には、内部容積27は、エンクロージャ2の壁により、すなわち、前部分15、側方部分21、および後方部分25により制限される。
【0050】
本発明のいくつかの実施形態では、音響的に選択的に透過性のある層6は、機械的に保護する格子によって置き換えることができ、格子は、この場合、サブ容積ならびに内部容積27を制限する。ウーハ4の動作を最適化するために、第1のポート20が、サブ容積22の側壁23に、またエンクロージャ2の側方部分21に対して形成されると有利である。これらの第1のポート20を用いない場合、ウーハ4の性能は損なわれ得る。第1のポート20は、例えば、図で示されるように短い側方部分21上に、または代替的に、長い側方部分21になど、側方部分21のいずれかに配置され得る。
【0051】
通常、第1のポート20は、第1の軸10および第2の軸11に対して実質的に直交するように、最も好ましくは、これらの軸に対して60~120度の範囲で方向付けられる。しかし、第1のポート20は、例えば、チャネルにより、エンクロージャ2の後方部分25へと導かれる場合、第1のポート20の方向と、軸10および軸11の方向の間の差は、180度にもなる可能性がある。
【0052】
これらの第1のポート20の面積は、ウーハ4に対する開口部5の面積の、通常5~50%であり、最も有利には、ウーハ4に対する開口部5の面積の10~20%の範囲である。第1のポート20の合計面積は、重要な機能であり、したがって、第1のポート20は、諸図で示されるように、各ウーハ4に対して1つだけの単一の第1のポート20とすることができるが、または1つの単一のポートに対応する面積を備えた格子状の複数の第1のポート20から形成され得る。
【0053】
第1のポート20は、3次元的な導波管表面8を乱すべきではなく、したがって、それらは、エンクロージャ2の側方部分21に位置すると有利である。当然であるが、これらの第1のポート20は、適切な管またはチャネル(図示せず)によって、エンクロージャ2の後方部分25に導かれ得る。言い換えると、第1のポート20は、エンクロージャ2の前部分15の3次元的な導波管8の外側の領域への通気路を形成する。
【0054】
通常、第2のドライバ4は、音響的に選択的に透過性のある部分6の後ろのエンクロージャ2の内側に位置し、またそれから離間されており、したがって、サブ容積22は、エンクロージャ2の内側に形成され、ドライバ4により、またドライバ4とエンクロージャ2の前部分15との間のスペーサとして形成された側壁23により、内側容積27から離間される。
【0055】
音響的に選択的に透過性のある層6に関して、本質的に反射することは、音響エネルギーの少なくとも50~100%、好ましくは、80~100%の範囲の反射または吸収を意味する。
【0056】
同様にして、本質的に透過性のあることは、音響エネルギーの少なくとも50~100%、好ましくは、80~100%の範囲の透過性を意味する。
【0057】
以下では、音響的に選択的に透過性のある層6のさらに有利な特性が示される。
【0058】
層6の厚さは、
・フェルト、約1・・・5mmの厚さ
・連続気泡プラスチックフォーム、約1~20mmの厚さ、1mm未満の細孔直径
・それ自体、または層6の一部としての薄い織物
であると有利である。
【0059】
層6は、導波管ドライバ3の音響放射を減衰すべきである、これは、通常、600Hzを超える周波数を意味する。
【0060】
言い換えると、層6は、周波数に応じた音響インピーダンス(または吸収)を有すべきであり、したがって、以下のように音響フィルタとして機能する。
【0061】
○ウーハドライバ4からの音が通過するときは、低域通過
○導波管ドライバ3からの高周波数に対する減衰(例えば、高域損失を有する乱れまたは吸収により生ずる)、中間および高周波数において音響波の強力な反射を生ずる
○ドライバ3の高周波数に対する高反射率
以下のように、層6が孔もしくは細孔、またはそれらの組合せから形成されると有利である。
【0062】
○単一の層6が使用される場合、孔は、1mmより小さい直径を有するべきである
○複数の層6が使用される場合、1mmより小さい直径を有する孔が有効であり得る
○さらに、複数の層6が使用される場合、1mmより大きい直径を有する孔が有効であり得る(まだ試験されていない)
○フェルトおよび連続気泡プラスチックなどの微細構造が有効である
層6のための理想的な材料に対する特性は以下のものである。
【0063】
○気体透過性(=多孔質)
○クロスオーバ周波数Cまでは低い音響損失(ウーハ4)
○クロスオーバ周波数cのわずかに上で高い音響反射率
○上記の基準を満たす知られた材料は、
・フェルト、約1・・・5mmの厚さ
・連続気泡プラスチックフォーム、約1~20mmの厚さ、1mm未満の細孔直径
層6は、スピーカ前面(ツイータ12は除く)、または孔5だけを覆うことができる。
【0064】
層6はまた、多孔性および周波数特性に対する上記の要件に従って、1つまたはいくつかの層を備えたメッシュもしくは格子のような金属構造としても形成され得る。この種の構造は、例えば、約0.2~2mmの厚さの孔が開けられた金属シートまたはプレートの積層により形成することもできる。この種の積層の特性は、孔または細孔の配置(分布)、孔または細孔のパーセンテージ(開口性)、および互いに対するプレートの間隔により調整され得る。孔または開口部直径は、通常、約0.3~3mmで変わり得る。シートまたはプレートの間の間隔は、通常、約0.2~2mmである。
【0065】
上記で述べた金属構造は、その特性が、自由に調整され得ること、および色などの外部特性も同様に、制限なく選択され得るため有利である。
【0066】
クロスオーバ周波数Cは、通常、以下のものである。
【0067】
○低い周波数f<600Hz(ウーハ出力範囲)
○高い周波数f>600Hz(ミッドレンジおよび/またはツイータ出力範囲)
大きな導波管8と組み合わせた本発明によれば、
○ウーハ4は導波管表面8の後ろに置かれる
○2つ以上(例えば、4)のウーハ4が、指向性を得るために使用され得る、ウーハは、同軸ドライバに対して対称的に配置され得る
1つだけのウーハを備えた実施形態も可能であるが、スピーカエンクロージャの前面バッフルのサイズと組み合わせたウーハ表面を変位させる空気のサイズにより提供されるものを超える、低周波数に対する指向性が得られることはない。
【0068】
本発明の代替的な実施形態では、選択的に透過性のある部分6は、選択的な透過性の完全な特性を有しない機械的な保護格子により置き換えられ得る。
【0069】
図12によれば、共振器は、複数の独立したサブ共振器40’へと分割され、それぞれが、それ自体の共振周波数を有することができる。
【0070】
図13は、本発明によるスピーカ1の典型的な位置決めを示しており、スピーカは、スイートスポット9である聴取位置に方向付けられる。エンクロージャ2の正面全体が、導波管8として形成されることにより、非常に良好な指向性が達成される。加えて、導波管形態8は、リスニングルームにおけるすべての方向に対して、すべての周波数の一様な配分を生じさせ、したがって、壁、天井、および床からの反射は、音の色付けを生じない。図13はまた、スピーカ1のエンクロージャ2の前部分15、側方部分21、および後方部分25を示している。
【0071】
図14では、抑制材料41が共振器キャビティ40内に位置するスピーカが提示されている。図の上側キャビティ40だけが、材料で満たされているが、実際には、上側と下側キャビティ40の両方が、抑制材料で満たされるようになる。
以下に本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[C1]
- 内部容積を画定する前部分、側方部分、および後方部分を有するエンクロージャと、
- 前記前部分は、導波管表面として形成され、前記導波管表面の中心に少なくとも1つのドライバを含み、スピーカの主な音響パワーを第1の音響軸の方向に放出することができる、
- 前記エンクロージャに取り付けられる少なくとも1つのさらなるドライバとを含み、
- 前記さらなるドライバは、サブ容積が前記内部容積の内側に形成されるように、前記エンクロージャの内側に取り付けられ、前記サブ容積が、前記ドライバ、前記ドライバと前記前部分の間のスペーサ、および前記エンクロージャの前記前部分により制限される、
- 少なくとも1つの第1のポートは、前記サブ容積から周囲容積へと、前記エンクロージャの側方部分または後方部分のいずれかに開口するように適合される、スピーカであって、
- 前記サブ容積に音響的に接続される少なくとも1つの共振器を含み、前記共振器は、前記サブ容積の望ましくない共振の少なくとも1つに同調されることを特徴とするスピーカ。
[C2]
前記共振器は、広帯域特性を有する抵抗性共振器であることを特徴とする、C1に記載のスピーカ。
[C3]
前記共振器は、PESウール、連続気泡フォーム材料、ガラス繊維、ミネラルウール、フェルト、または他の繊維質の、連続気泡、もしくは多孔質材料、あるいは代替的に、材料は、気泡サイズもしくは繊維サイズが、1μm(マイクロメートル)から1mm(ミリメートル)の寸法範囲にある連続気泡または繊維構造であるように、前記容積に代えて製作される任意の固体材料などの減衰材料を含むことを特徴とする、C1または2に記載のスピーカ。
[C4]
前記共振器は、パネル共振器またはヘルムホルツ共振器などのリアクティブ性共振器であることを特徴とする、C1に記載のスピーカ。
[C5]
前記サブ容積は、W/Lの比が、通常、約1.8である、1.2~2.5の範囲にあるように、幅(W)および長さ(L)を有することを特徴とする、C1から4のいずれか一項に記載のスピーカ。
[C6]
前記エンクロージャは、金属製、通常はアルミニウム製であり、前記共振器は、このエンクロージャの一体部分であることを特徴とする、C1から5のいずれか一項に記載のスピーカ。
[C7]
前ポートの平面、および前記第1のポートのいずれかの平面は、0度よりも大きく、好ましくは、前記第1のポートが前記後方部分に位置していないとき、45度を超える角度αを有することを特徴とする、C1から6のいずれか一項に記載のスピーカ。
[C8]
- 第1の周波数帯域、および対応する第1の音響軸を生成するように構成された第1のドライバと、
- 前記第1の周波数帯域とは異なるが、クロスオーバ領域で重複し得る第2の周波数帯域を生成するように構成された第2のドライバであって、前記第2の周波数帯域は、第2の音響軸を有する、第2のドライバと、
- 前記ドライバに取り付けられた前部分、側方部分、および後方部分を有し、エンクロージャの前部分上で前記第1のドライバの周囲に位置する3次元的な導波管を備える前記エンクロージャとを含み、
- 前記3次元的な導波管は、前記第1の周波数帯域の音波を、本質的に、音響的に反射して、前記第1の音響軸に対して角度を付けた方向に伝達する音響的に選択的に透過性のある部分を備え、
- 前記選択的に透過性のある部分は、前記第2の周波数帯域の音波に対して本質的に透過性があり、前記選択的に透過性のある部分を通して、前記第2の音響軸の方向に伝達する、
- 前記第2のドライバは、前記音響的に選択的に透過性のある部分の後方の、前記エンクロージャの内側に位置する、C1から7のいずれか一項に記載のスピーカ。
[C9]
前記少なくとも1つの第1のポートの合計面積は、通常、前記前ポートの面積の5~50%であり、有利には、前記前ポートの面積の10~20%の範囲であることを特徴とする、C1から8のいずれか一項に記載のスピーカ。
[C10]
前記第1のポートは、前記エンクロージャの前記後方部分へのチャネルまたは導体により形成されることを特徴とする、C1から9のいずれか一項に記載のスピーカ。
[C11]
前記第1のポートの平面は、第1の音響軸に対して80~180度の角度を有することを特徴とする、C1から10のいずれか一項に記載のスピーカ。
[C12]
前記第2の音響軸は、前記第1の音響軸と同軸ではないことを特徴とする、C1から11のいずれか一項に記載のスピーカ。
[C13]
前記第2の音響軸は、前記第1の音響軸と平行ではないことを特徴とする、C1から12のいずれか一項に記載のスピーカ。
[C14]
前記選択的に透過性のある部分は、多孔質材料製であることを特徴とする、C1から13のいずれか一項に記載のスピーカ。
[C15]
前記選択的に透過性のある部分は、細孔の直径が1mmより小さい多孔質材料製であることを特徴とする、C1から14のいずれか一項に記載のスピーカ。
[C16]
前記選択的に透過性のある部分は、約1~5mmの厚さを有するフェルト製であることを特徴とする、C1から15のいずれか一項に記載のスピーカ。
[C17]
前記選択的に透過性のある部分は、約1~20mmの厚さを有する連続気泡プラスチックフォーム製であることを特徴とするC1から16のいずれか一項に記載のスピーカ。
[C18]
前記選択的に透過性のある部分は、ツイータを除く、スピーカ前面全体を覆うことを特徴とする、C1から17のいずれか一項に記載のスピーカ。
[C19]
前記選択的に透過性のある部分は、前記開口部だけを覆うことを特徴とする、C1から18のいずれか一項に記載のスピーカ。
[C20]
前記第1のドライバは、2つの同軸ドライバを含むことを特徴とする、C1から19のいずれか一項に記載のスピーカ。
[C21]
前記第1のドライバは、1つのドライバだけを含むことを特徴とする、C1から20のいずれか一項に記載のスピーカ。
[C22]
前記選択的に透過性のある部分は、金属から作られることを特徴とする、C1から21のいずれか一項に記載のスピーカ。
[C23]
前記選択的に透過性のある部分は、金属メッシュから作られることを特徴とする、C1から22のいずれか一項に記載のスピーカ。
[C24]
前記選択的に透過性のある部分は、いくつかの層の金属メッシュから作られることを特徴とする、C1から23のいずれか一項に記載のスピーカ。
[C25]
前記選択的に透過性のある部分は、打ち抜き孔を有するいくつかの層の金属シートから作られることを特徴とする、C1から24のいずれか一項に記載のスピーカ。
[C26]
前記選択的に透過性のある部分は、0.2~2mmの範囲で互いに離間されたシートから作られることを特徴とする、C1から25のいずれか一項に記載のスピーカ。
[C27]
前記スピーカは、バスレフ型スピーカであることを特徴とする、C1から26のいずれか一項に記載のスピーカ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8a-8b】
図9
図10
図11
図12
図13
図14