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特許71844033次元物体を製造するための方法及び装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】3次元物体を製造するための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/343 20170101AFI20221129BHJP
   B29C 64/112 20170101ALI20221129BHJP
   B29C 64/209 20170101ALI20221129BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20221129BHJP
   B33Y 50/02 20150101ALI20221129BHJP
   B29C 64/393 20170101ALI20221129BHJP
   B29C 64/35 20170101ALI20221129BHJP
   B28B 1/30 20060101ALI20221129BHJP
【FI】
B29C64/343
B29C64/112
B29C64/209
B33Y10/00
B33Y50/02
B29C64/393
B29C64/35
B28B1/30
【請求項の数】 35
(21)【出願番号】P 2021531482
(86)(22)【出願日】2019-12-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-28
(86)【国際出願番号】 EP2019084052
(87)【国際公開番号】W WO2020115308
(87)【国際公開日】2020-06-11
【審査請求日】2021-08-31
(31)【優先権主張番号】01516/18
(32)【優先日】2018-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CH
(73)【特許権者】
【識別番号】521235888
【氏名又は名称】ケムスピード・リサーチ・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Chemspeed Research AG
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(72)【発明者】
【氏名】ギュラー,ロルフ
【審査官】國方 康伸
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-540664(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0156978(US,A1)
【文献】特開2017-222163(JP,A)
【文献】特開2005-319618(JP,A)
【文献】特開平09-011337(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00-64/40
B33Y 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
計量装置(20;220)が、印刷材料(M、N、O)の供給が維持されている少なくとも1つのリザーバ(41、42、43;44、45)に移動され、
前記印刷材料は、前記計量装置(20;220)によって、前記少なくとも1つのリザーバ(41、42、43;44、45)からピックアップされ、
前記計量装置(20;220)は、3つの空間次元すべてで定義された目標位置に移動され、
前記目標位置で、前記計量装置(20;220)を用いて、計量された量の前記印刷材料が、基板(60)に、またはその上に配置された、あるいはその上に構築されている3次元印刷物体(P)に、塗布され、
印刷材料要素(N0、N1、N2、N3、M4、M5、NM)の作成するために、前記印刷材料要素(N0、N1、N2、N3、M4、M5、NM)の作成を前記3次元印刷物体(P)が完全に構築および/または処理されるまで繰り返す、
印刷材料(M、N、O)を3次元印刷材料要素(N0、N1、N2、N3、M4、M5、NM)の状態で間欠的に目標位置に分配することによる3次元印刷物体(P)の製造および/または処理のための方法。
【請求項2】
2つ以上の異なる印刷材料(M、N、O)の供給を維持し、
異なる印刷材料で前記3次元印刷物体(P)を構築および/または処理するために、前記異なる印刷材料を選択してピックアップする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
使用される1つ以上の前記印刷材料は、液体、液体に溶解または懸濁した固体、細胞懸濁液、若しくはバイオ材料である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
使用される1つ以上の前記印刷材料は、浸透性がある物質、アモルファスの固体、若しくは凍結物質である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
使用される1つ以上の前記印刷材料は、顆粒状の固形物である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項6】
前記計量装置(20;220)によって、印刷材料要素(N0、N1、N2、N3、M4、M5、NM)に定量的に対応する量の印刷材料(M、N、O)がピックアップされる、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記計量装置(20;220)によってピックアップされた印刷材料(M、N、O)の量は、前記基板(60)またはその上に配置された、あるいはその上に構築される前記3次元印刷物体(P)に適用する前に、重量測定され、
計量の結果と予め設定された基準に基づいて、ピックアップされた前記印刷材料(M、N、O)の量を補充する、又は、前記ピックアップされた印刷材料(M、N、O)の量を前記計量装置(20;220)から廃棄して、印刷材料(M、N、O)の新たな量をピックアップするか否かを決定する、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記目標位置にある前記計量装置(20;220)によって、前記基板(60)に、又は、その上に配置されたまたはその上に構築されている前記3次元印刷物体(P)に、印刷材料要素の形態で塗布された印刷材料の前記量は、指向性放射線又は熱の適用、若しくは他の硬化方法または重合方法によって、前記基板、またはその上に配置されたまたは既に部分的に構築されている前記3次元印刷物体に硬化および/または融合される、請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記計量装置(20;220)は、交換可能な計量器(24)を備え、前記計量器(24)は、ピックアップする前記印刷材料の変更に先立って廃棄され、新しい計量器と交換される、請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記計量装置(20;220)は、計量器(24)を備えており、前記計量器(24)は、ピックアップされる前記印刷材料の変更前に清掃される、請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記3次元印刷物体(P)の前記構築および/または処理は、それ自体が前記3次元印刷物体の製造および/または処理のために同様に構成されている追加の印刷システム(90)によって部分的に行われ、印刷材料要素は、前記計量装置(20;220)および前記追加の印刷システム(90)によって、前記基板(60)、またはその上に配置されたもしくはその上に構築されている前記3次元印刷物体(P)に適用される、請求項1から10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
少なくとも1つの印刷材料は、前記基板(60)またはその上に配置されているか構築されている前記3次元印刷物体(P)に適用される前記印刷材料要素(N0、N1、N2、N3、M4、M5、NM)が、前記3次元印刷物体(P)から材料が除去されるように、材料除去動作を有するように構成される、請求項1から11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記材料除去動作は、前記印刷材料要素(N0、N1、N2、N3、M4、M5、NM)の熱や放射線による活性化後にのみ生じる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
材料除去作用を有する前記印刷材料要素(N0、N1、N2、N3、M4、M5、NM)を形成する前記少なくとも1つの印刷材料は、酸または溶媒である、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
少なくとも1つの印刷材料は、前記基板(60)またはその上に配置されたまたはその上に構築されている前記3次元印刷物体(P)に適用される前記印刷材料要素(N0、N1、N2、N3、M4、M5、NM)が、前記3次元印刷物体(P)の物理的または化学的特性を点ごとに変更するように構成されている、請求項1から14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記計量装置(20;220)によって、異なる印刷材料(M、N、O)が、少なくとも2つのリザーバ(41、42、43;44、45)から順にピックアップされ、3つの空間次元で定義された目標位置に移動され、その位置で、前記異なる印刷材料が、前記基板(60)またはその上に配置されたか、その上に構築されている前記3次元印刷物体(P)に順に塗布される、請求項1から15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記計量装置(20;220)によって、異なる印刷材料(M、N、O)が、少なくとも2つのリザーバ(41、42、43;44、45)から順にピックアップされ、3つの空間次元で定義された目標位置に移動され、その位置で、前記基板(60)またはその上に配置されたか、その上に構築されている前記3次元印刷物体(P)に塗布され、異なる印刷材料(M、N、O)は、塗布の前に、前記計量装置(20;220)で互いに混合される、請求項1から15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記計量装置(20;220)は、少なくとも2つの計量チャンネル(D1、D2、D3、D4)を有しており、前記計量チャンネルによって、1つまたは複数のリザーバ(41、42、43、44、45)から印刷材料または印刷材料(M、N、O)が順にまたは同時にピックアップされ、その後、3つの空間次元で定義された少なくとも1つの目標位置に移動され、その位置で、前記基板(60)またはその上に配置されたまたはその上に構築されている前記3次元印刷物体(P)に塗布される、請求項1から17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
印刷材料(M、N、O)の供給が維持されている少なくとも1つのリザーバ(41、42、43、44、45)と、
前記少なくとも1つのリザーバ(41、42、43、44、45)から印刷材料をピックアップするように構成されている計量装置(20;220)と、
前記計量装置(20;220)を前記少なくとも1つのリザーバ(41、42、43、44、45)に移動させ、前記計量装置を3つの空間次元で定義された目標位置に搬送するように構成されている移動装置(10)と、
を含み、
前記計量装置(20、220)は、前記目標位置で、ピックアップした前記印刷材料を計量した量で、基板(60)またはその上に配置された、あるいはその上に構築されている3次元印刷物体(P)に塗布するように構成されており、
前記基板(60)またはその上に配置されたまたはその上に構築されている前記3次元印刷物体(P)に塗布された前記印刷材料の量に高精度に作用するための少なくとも1つの放射線源(80;81、82)を有する、印刷材料(M、N、O)を3次元印刷材料要素(N0、N1、N2、N3、M4、M5、NM)の状態で間欠的に目標位置に分配する装置を備える、印刷材料(M、N、O)を用いた3次元印刷物体(P)の製造および/または処理のための装置。
【請求項20】
前記計量装置(20;220)は、ホルダ(30)に設けられた少なくとも1つの計量器(24)を有し、
前記計量器は、前記計量装置(20;220)の計量ヘッド(22)に設置され、そこから再び取り外されるように構成されており、
前記移動装置(10)は、前記計量ヘッド(22)を前記ホルダ(30)に設けられた前記計量器(24)に移動させ、前記計量器を前記計量ヘッド(22)に設置するように構成され、
前記移動装置(10)はさらに、前記設置された計量器(24)とともに前記計量装置(20;220)を前記リザーバ(41、42、43;44、45)上に移動させ、
前記計量器(24)をその中に保管されている印刷材料の前記供給部に浸し、それによって、規定量の前記印刷材料を前記計量器(24)によってピックアップするように構成されている、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記ホルダ(30)に設けられた複数の計量器(24)を備え、
前記計量器は、印刷材料を導入し、そこから再び分配することができる異なるサイズのチューブまたはキャピラリー(241)の形態である、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記チューブ(241)は、その中で移動可能なプランジャ(242)を有しており、
前記プランジャ(242)の後退により液体印刷材料を引き込むことで、規定された量の印刷材料をピックアップし、前記プランジャ(242)の前進により再び前記チューブ(241)から分配することが可能である、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記チューブ(241)は、その中で移動可能なプランジャ(242)を有しており、規定された量の印刷材料が、前記チューブ(241)の挿入によって、固体またはアモルファスの印刷材料、または粉末または顆粒にピックアップされ、前記プランジャの前方移動によって、再び前記チューブから分配されることが可能である、請求項21に記載の装置。
【請求項24】
前記ホルダ(30)に設けられた複数の計量器(24)を備え、前記計量器は、使い捨てのシリンジの形態である、請求項20に記載の装置。
【請求項25】
前記ホルダ(30)に設けられた複数の計量器(24)を備え、前記計量器は大きさの異なるロッド(243)の形態をしており、前記ロッドを印刷材料に浸すと印刷材料がその一端に付着する、請求項20に記載の装置。
【請求項26】
前記計量ヘッド(22)に取り付けられた状態の前記計量器(24)を加熱するためのヒータ(26)または放射線源を有している、請求項20~25のいずれか1項に記載の装置。
【請求項27】
前記少なくとも1つの放射線源(81、82)は、前記計量ヘッド(22)上に配置されている、請求項20~26のいずれか1項に記載の装置。
【請求項28】
前記計量器(24)は、前記少なくとも1つの放射線源(81、82)によって放出された放射線が前記計量器(24)を介して前記塗布された印刷材料量に伝導可能であるように構成されていることを特徴とする、請求項20~27のいずれか1項に記載の装置。
【請求項29】
前記移動装置は、制御コンピュータ(C)によって制御されるハンドリングロボット(10)を備え、前記ハンドリングロボットは、少なくとも100~200μmの空間的位置精度を有している、請求項19~28のいずれか1項に記載の装置。
【請求項30】
同一または異なる前記印刷材料のための複数のリザーバを備え、
前記リザーバは、個々の容器(41、42、43)または複数のウェル(45)を有するプレート(44)によって形成される、請求項19~29のいずれか1項に記載の装置。
【請求項31】
前記少なくとも1つの放射線源(80;81,82)は、印刷材料の溶融または硬化のために構成されている、請求項19~30のいずれか1項に記載の装置。
【請求項32】
異なる印刷材料のための2つ以上のリザーバ(41、42、43、45)を備え、異なるリザーバから印刷材料を選択し、前記計量装置(20、220)でその印刷材料をピックアップするように構成されており、2つ以上の異なる印刷材料から前記3次元印刷物体(P)を構築することが可能である、請求項29~31のいずれか1項に記載の装置。
【請求項33】
少なくとも1つの追加の独立した印刷システム(90)を備え、
前記印刷システム(90)は、3次元印刷物体の製造および/または処理のために同様に構成されている、請求項19~32のいずれか1項に記載の装置。
【請求項34】
前記3次元印刷物体(P)の構築および/または処理を、部分的に前記計量装置(20;220)によって行い、部分的に前記追加の印刷システム(90)によって行うように構成されている、請求項33に記載の装置。
【請求項35】
前記計量装置(20;220)は、少なくとも2つの計量チャネル(D1、D2、D3、D4)を有しており、それによって、前記少なくとも1つの印刷材料(M、N、O)が、1つまたは複数のリザーバ(41、42、43、44、45)から順にまたは同時にピックアップされ、3つの空間次元すべてで定義された少なくとも1つの目標位置に移動され、その位置で、前記基板(60)またはその上に配置されたまたはその上に構築されている前記3次元印刷物体(P)に塗布される、請求項19~34のいずれか1項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、個別の3次元印刷材料要素の形態で標的位置に分配される印刷材料を用いて3次元物体を製造および/または処理するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に3次元印刷または3Dプリンタと呼ばれる3次元物体の積層製造は、急速に発展している製造技術であり、プライベート用途(たとえば、アート、モデル製造、宝石、ファッション等の分野)、及び最も多様な産業部門、医学やバイオテクノロジに至るまでの科学と研究(たとえば、個々の患者や細胞培養からの代替臓器にさえ適合したプロテーゼの製造)における産業用途(例えば、高速プロトタイピング、および食品の製造に至るまでの標準部品の製造)を含み得る用途がますます多くなっている。3次元印刷装置は一般に3Dプリンタと呼ばれる。
【0003】
典型的な3Dプリンタは、例えば、文書NL 2017 088 Aに記載されている。その3Dプリンタは、その中の印刷材料を堆積するために、ロボットアームによって作業空間内の任意の所望の目標位置に移動することができる印刷ヘッドを備える。印刷材料は、ロボットアーム上に配置されたフィードユニットから印刷ヘッドに供給される(したがって、ロボットアームと共に移動される)。あるいは、フィードユニットは、装置のベースプレート上またはベースプレートの近くに静止位置に配置することもでき、その場合、フィードユニットは、対応するラインを介して印刷ヘッドに接続される。
【0004】
ベースプレート上に主に2次元の微細構造を生成するための装置は、米国特許出願第2004/0231593A1に開示されている。装置は、その主な構成要素として、計量された液滴を分配するように構成され、インクジェットの原理に従って圧電的に動作するアプリケーションヘッドを含む。アプリケーションヘッドは、コンピュータ制御の下、2次元でベースプレートの任意の目標位置に移動でき、そこで印刷材料を液滴ごとに堆積する。印刷材料は、アプリケーションヘッドに取り付けられたリザーバから、および/またはアプリケーションヘッドにつながる供給ラインを介して、アプリケーションヘッドに供給される。装置はまた、異なる印刷材料を供給することもできる複数のまたは交換可能なアプリケーションヘッドを有することができる。さらに、その文書は、非常に一般的であるが、印刷材料の液滴が上下に堆積することもあり、その結果、3次元(ミクロ)構造が生成されると述べている。狭義の3Dプリンタ、つまり巨視的な3次元物体の生成については、この文書には言及されていない。
【0005】
現在の3Dプリンタは通常、いくつかの確立された方法(たとえば、熱溶解積層法(FDM/FFF)、ステレオリソグラフィ(SLA)、デジタル光処理(DLP)、選択的レーザ焼結(SLS)、選択的(金属)レーザ溶融(SLM)または噴射法(マルチジェット融合、HSS))のいずれかを使用して3次元物体を構成する材料で動作する。
【0006】
複数の材料を使用できる3Dプリンタ(複数の3Dプリンタ)もますます使用されており、その供給は、たとえば、すでに事前にさまざまな材料で充填された複数のカートリッジの形で、またはワイヤ形式の印刷材料(通常はプラスチックですが、金属ワイヤも含む)を含み、必要に応じて使用されるさまざまな選択可能なリールの形で、問題のプリンタに保持されている。このような3Dプリンタは、最終製品の材料組成に関して、すでにより高度な柔軟性を可能にしている。つまり、印刷される物体ですが、この場合も、使用できる印刷材料の範囲は、通常、使用可能な印刷方法によって制限され、たとえば、印刷材料、又は(たとえば、印刷材料が硬化すると硬度が異なる)容易に区別できる複数の材料と同じ種類の異なる色の使用に制限されることがよくある。
【0007】
しかしながら、いずれにしても、たとえば、原則として、最初に印刷可能な配合物(液体塗布の場合)またはワイヤ状態の材料を製造する必要があるため、新規または新規に開発された材料をその場で使用することはできない。しかし、これはその場限りの決定を非現実的にし、そしてそれに応じて、例えば、研究開発においてさえ、少なくとも莫大な量の追加の出費と準備作業を含み、自動化するのは複雑である。
【0008】
しかしながら、研究開発の分野では、たとえば3Dプリンタに適した新しい材料の開発では、新しく開発された材料は、非常に少量しか合成および/または調剤できないことが多いため、材料を目的の形態に完全には調剤できないため(たとえば、溶解度の低い粉末の形態であるため)、印刷材料として機能するワイヤは、最初に新しいタイプの合金で作成する必要があるため、または、実験のために1回のみまたは数回、材料サンプルを使用することを念頭に置いた場合、適切な計量容器の(手動)充填は非常に面倒で非効率的であるため、印刷材料の供給を事前に充填された容器や計量カートリッジ、または他のいくつかの事前に準備された形態に維持される必要があるという不利益がある。
【0009】
同様の範囲の問題が、バイオ材料や培養細胞からの人工臓器の製造におけるバイオテクノロジでも発生する。この場合も、3Dプリンタで使用する前に、まず印刷物を十分な量で製造し、適切な計量装置(例えば、注射器のようなカートリッジ)に充填する必要がある。さらに、生細胞は凍結状態で適用することができないため、細胞懸濁液の使用が必要になる。
【0010】
さらに、研究開発の分野で働く科学者は、適用された印刷材料要素ごとに、どれだけ適用されているかを知りたいと思うことがよくあり、特に計量中に異なる振る舞いをする新しい材料の場合は、印刷される物体に印刷材料要素を適用する直前にその印刷材料要素を適用するか否かを決定したいと思う。その場合、十分な量の材料が塗布されているか否かを判断できることが有利であり、例えば、材料サンプルが実際に塗布されるか否かを判断すべきである。
【0011】
本発明の目的は、既知の3Dプリンタの記載された不利な点を回避し、特に材料の選択、材料の範囲及び異なる材料と材料の種類の組み合わせに関する追加のオプションを提供する、3次元物体の製造のための方法および対応する装置を提供することである。
【0012】
好ましくは、本発明は、例えば、研究者が単純なガラス容器に存在する物質を簡単に試験できることを可能にするべきである。さらに、好ましい実施形態では、適用される各印刷材料要素について、彼は、例えば、事前にプログラムされた決定機能(例えば、「エラー率が0.1mg未満の場合に追加/適用、それ以外の場合は破棄して再試行」)を使用することによって、適用の直前に印刷材料要素が適用されているか否かを決定すべきである。さらに、好ましくは、一緒に混合してから、非常に少量の2つ以上の材料(例えば、液体に難溶性の粉末など)を適用することも可能であるべきである。
【0013】
本発明の根底にある問題は、独立特許請求項1に定義された発明による方法および独立特許請求項19に定義された装置によって解決される。本発明による方法および本発明による装置の特に有利な開発および実施形態は、それぞれの従属特許請求の範囲の主題である。
【0014】
この方法に関して、本発明の核心は以下にある:離散的な3次元印刷材料の形態で標的位置に分配される印刷材料による3次元物体の製造および/または処理のため、計量装置は、印刷材料の供給が維持される少なくとも1つのリザーバに移動される。印刷材料は、計量装置によってその少なくとも1つのリザーバから取り出される。計量装置は、3つの空間次元すべてで定義された目標位置に移動され、印刷材料要素を作成するために、その目標位置で、計量された量の印刷材料が、計量装置によって、基板またはその上に配置された又はその上に構築された3次元物体に塗布される。印刷材料要素の作成は、3次元物体が完全に構築および/または処理されるまで繰り返される。
【0015】
印刷材料をピックアップし、移動し、塗布するための計量装置の使用は、事実上任意の所望の印刷材料を処理することを可能にし、したがって、物体を実質的に任意の所望の印刷材料で製造および/または処理することを可能にする。
【0016】
有利なことに、2つ以上の異なる印刷材料の供給が維持され、異なる印刷材料で3次元物体を構築および/または処理するために、異なる印刷材料が選択およびピックアップされる。
【0017】
有利な実施形態では、使用される1以上の印刷材料は、液体、液体に溶解または懸濁した固体、細胞懸濁液またはバイオ材料である。
【0018】
さらに有利な実施形態では、使用される1以上の印刷材料は、浸透性またはアモルファスの固体または凍結物質である。浸透性またはアモルファスの固体は、例えば、ワックス様物質、または例えばチョコレートなどの物質であると理解されるべきである。
【0019】
さらに有利な実施形態では、使用される1つの印刷材料または複数の印刷材料は、粉状または粒状の固体である。
【0020】
有利な実施形態では、それぞれの場合に計量装置によって、印刷材料要素に定量的に対応する量の印刷材料がピックアップされる。したがって、計量装置によって分配または塗布される印刷材料の量は、ピックアップされる印刷材料の量に正確に対応する。
【0021】
有利な実施形態では、それぞれの場合にピックアップされる印刷材料の量は、基板またはその上に構築される3次元物体に適用される前に重量分析され、計量および事前設定された基準の結果に基づいて、ピックアップされた量が補充される又は破棄され、新しい量がピックアップされるか否かに関して決定される。これにより、構築または処理される3次元物体の品質を向上させることができる。
【0022】
有利な実施形態では、印刷材料要素の形態で、目標位置にある計量装置によって、基板またはその上に配置された、またはその上に構築された3次元物体に適用される印刷材料の量が、指向性放射または熱の適用によって、または他の硬化または重合方法によって、基板、またはその上に配置された、またはすでに部分的に構築された3次元物体に、硬化および/または溶融される。これにより、個々の印刷材料要素が局所的に所定の位置に固定される。
【0023】
計量装置は、有利には、交換可能な計量器を含み、計量器は廃棄され、ピックアップされる印刷材料の交換の前に新しい計量器と交換される。これにより、汚染の問題が回避される。
【0024】
または、ピックアップする印刷材料を交換する前に、計量器をクリーニングする。
【0025】
有利な実施形態では、3次元物体の構築および/または処理は、3次元物体の製造および/または処理のためにそれ自体が同様に構成される追加の印刷システムによって部分的に作用され、その場合、印刷材料要素は、計量装置および追加の印刷システムの両方によって、基板またはその上に配置された、またはその上に構築された3次元物体に適用される。その結果、例えば、追加の印刷システムによって3次元物体の基本構造を構築することができ、計量装置によってそれらの基本構造にさらなる構造を追加することができ、それらのさらなる構造が、たとえば、追加の印刷システムでは処理できない印刷材料で構成される。
【0026】
有利な実施形態では、少なくとも1つの印刷材料は、基板またはその上に配置されたまたはその上に構築される3次元物体に適用される印刷材料要素が材料除去作用を有し、3次元物体から材料が除去されるように構成されている。このようにして、3次元物体を点ごとに分解、つまり減算処理することもできる。したがって、本発明による方法は、付加的製造に使用できるだけでなく、必要に応じて減算的に使用することもできる。
【0027】
好都合な実施形態では、材料除去作用は、印刷材料要素の活性化後、特に熱または放射線による活性化後にのみ行われる。そのようにして、例えば、一時的な支持構造は、もはや必要とされなくなった時点で除去することができる。
【0028】
塗布された印刷材料要素が材料除去作用を有するために、少なくとも1つの印刷材料は、例えば、酸または溶媒の形態であり得る。
【0029】
さらに有利な実施形態では、少なくとも1つの印刷材料は、基板またはその上に配置されたまたはその上に構築される3次元物体に適用される印刷材料要素が、3次元物体の物理的または化学的特性を点ごとに修正するように構成されている。これを利用して、例えば、3次元物体のシリコンからなる部分、特にシリコンのドーピングされる部分の導電性を点ごとに変更することができる。
【0030】
さらに有利な実施形態では、計量装置によって、異なる印刷材料が少なくとも2つのリザーバから順にとピックアップされ、3つの空間次元すべてで定義された目標位置に移動され、その位置で、異なる印刷材料が、基板またはその上に配置された、あるいはその上に構築された3次元物体に次々と塗布される。これにより、3次元物体の構築や処理を加速することができる。
【0031】
あるいは、計量装置によって、異なる印刷材料が少なくとも2つのリザーバから順にピックアップされ、3つの空間次元すべてで定義された目標位置に移動され、その位置で、基板またはその上に配置された、あるいはその上に構築される3次元物体に塗布され、塗布前に計量装置内で異なる印刷材料が互いに混合される。これにより、特に2成分系の場合は、物体の構築を加速することが可能になる。
【0032】
さらに有利な実施形態では、計量装置は、少なくとも2つの計量チャネルを有しており、このチャネルによって、1つまたは複数のリザーバから1つまたは複数の印刷材料が次々とまたは同時にピックアップされ、その後、3つの空間次元すべてで定義された少なくとも1つの目標位置に移動され、その位置で、基板またはその上に配置されたまたはその上に構築されている3次元物体に塗布される。これにより、3次元物体の構築や処理を加速することができる。
【0033】
装置に関して、本発明の核心は、印刷材料を用いて3次元物体を製造および/または処理するための装置が、目標位置に離散的な3次元印刷材料要素の形態で印刷材料を分配する装置を備えている点にある。この装置は、印刷材料の供給が維持されている少なくとも1つのリザーバから印刷材料をピックアップするように構成された計量装置を備えている。さらに、計量装置を少なくとも1つのリザーバに移動させ、3つの空間次元すべてで定義された目標位置に計量装置を移動するように構成された移動装置を備えている。計量装置はさらに、ピックアップした印刷材料を計量した量で、基板またはその上に配置された、あるいはその上に構築されている3次元物体に塗布するように構成されている。
【0034】
印刷材料をピックアップし、移動し、塗布するための計量装置は、実質的にあらゆる所望の印刷材料の処理を可能にし、それに伴い、実質的にあらゆる所望の印刷材料から作られた物体の製造および/または処理を可能にする。
【0035】
有利には、計量装置は、ホルダに設けられた少なくとも1つの計量器を有し、この計量器は、計量装置の計量ヘッドに取り付けられ、そこから再び取り外されるように構成されており、移動装置は、計量ヘッドをホルダに設けられた計量器まで移動させ、計量器を計量ヘッドに取り付けるように構成されている。さらに、移動装置は、設置された計量器とともに計量装置をリザーバ上に移動させ、計量器をリザーバ内に保管されている印刷材料の供給部に浸すように構成されており、これにより、規定の量の印刷材料を計量器でピックアップすることができるようになっている。計量ヘッドに取り付け可能な計量器を使用することで、印刷材料ごとに、かつ分配する印刷材料要素の大きさに応じて、常に最適な計量器を使用することが可能となる。
【0036】
好ましくは、移動装置は、制御コンピュータによって制御されるハンドリングロボットで構成される。ハンドリングロボットは、有利なことに、少なくとも100~200μm、好ましくは1~2μmの空間的な位置決め精度を達成するように構成されている。
【0037】
有利な実施形態では、装置は、同じまたは異なる印刷材料のための複数のリザーバを備えており、リザーバは、個々の容器によって、または、特にガラスまたはプラスチックで作られた、好ましくは複数のウェルを有するプレートによって形成されている。ウェルがなくても、プレートは、その上に盛られた印刷材料のための1つまたは複数の容器として機能することができる。
【0038】
有利な実施形態では、装置は、ホルダに設けられた複数の計量器を備えており、計量器は、印刷材料を導入し、そこから再び分配することができる異なるサイズのチューブまたはキャピラリの形態をしている。複数の異なる計量器を備えることで、それぞれのケースに最適なツールを選択することができる。
【0039】
有利なことに、チューブはその中で移動可能なプランジャを有しており、プランジャの後退により液体印刷材料を引き込むことで、規定量の印刷材料をピックアップし、プランジャの前進によりチューブから再び分配することが可能である。好ましくは、プランジャはチューブよりも長く、その上端でチューブから突出している。
【0040】
有利なことに、チューブはその中で移動可能なプランジャを有しており、チューブの挿入によって、定義された量の印刷材料を、固体またはアモルファスの印刷材料または粉末または顆粒にピックアップし、プランジャの前方移動によってチューブから再び分配することが可能である。好ましくは、プランジャはチューブよりも長く、その上端でチューブから突出しており、プランジャは挿入前にチューブ内に格納されているので、固体またはアモルファスの印刷材料や粉体または顆粒にチューブを挿入したときに、規定された量の印刷材料をピックアップすることができ、その量はプランジャの前方移動によって再びチューブから排出することができる。プランジャは、チューブの中でゆるやかに動くことができ、その中でしっかりとスライドする必要はなく、すなわちチューブを密閉する必要はない。
【0041】
計量器としてのチューブは、他の用途にも使用できることが証明されており、本発明に係る装置に最も適している。代わりに、計量器は、使い捨てのシリンジの形態であり得る。後者も本発明に係る装置に非常に適している。
【0042】
他の有利な実施形態では、チューブの代わりに、円筒形、ロッド状、球状などの形状を持つ固体を使用することも可能で、これらの固体は、特に液体または粉末状の印刷材料に浸され、小さな液滴または少量の粉末が計量器に付着し、その後、所定の位置にセットすることができる。その場合、計量器は好ましくは異なるサイズのロッドの形態をしており、ロッドが印刷材料に浸されたときにその一端に印刷材料が付着する。これは、特に少量を計量する場合に有用であり、非常に微細な解像度と非常に小さな構造を可能にする。
【0043】
有利な実施形態では、装置は、計量ヘッドに取り付けられた状態の計量器を加熱するためのヒータまたは放射線源を備えることもできる。その結果、計量器内に存在する印刷材料の量を、例えば、目標位置または適用点に移動されている間、溶融状態に保つことができる。
【0044】
有利な実施形態では、装置は、基板またはその上に配置された、あるいはその上に構築されている3次元物体に塗布された印刷材料量に高精度に作用するための少なくとも1つの放射線源を好都合にも有している。したがって、塗布された印刷材料要素を溶融、硬化または架橋させ、局所的に位置を固定することができる。
【0045】
有利なことに、少なくとも1つの放射線源は、計量ヘッド上に配置されている。その結果、放射線源と目標位置との手間のかかる位置合わせが不要となる。
【0046】
計量器は、少なくとも1つの放射線源によって放出された放射線が、計量器を介して適用された印刷材料量に伝導可能であるように、便宜的に構成される。
【0047】
少なくとも1つの放射線源は、有利には、印刷材料の溶融または硬化のために構成されている。
【0048】
有利には、装置は、異なる印刷材料のための2つ以上のリザーバを備え、異なるリザーバから印刷材料を選択し、計量器でその印刷材料をピックアップするように構成されており、2つ以上の異なる印刷材料から3次元物体を構築することが可能である。
【0049】
有利な実施形態では、装置は、3次元物体の製造および/または処理のために同様に構成された、少なくとも1つの追加の独立した印刷システムを備えている。装置は、3次元物体の構築および/または処理を、部分的に計量装置で行い、部分的に追加印刷システムで行うように構成されていることが望ましい。その結果、例えば、追加の印刷システムによって対象物の部分構造を構築および/または処理し、計量装置によってそれらの部分構造にさらなる構造を追加することができ、それらのさらなる構造は、例えば、追加の印刷システムによって処理できない印刷材料で構成することが可能である。これにより、本装置の汎用性が高まる。
【0050】
さらに、装置は、例えば、適切な溶媒や酸を点々と塗布することで、3次元物体の構成要素を除去するためにも使用することができ、この目的のために、このような溶剤や酸の供給が少なくとも1つのリザーバに保たれている。
【0051】
さらに有利な実施形態では、計量装置は、少なくとも2つの計量チャネルを有しており、それによって、1つまたは複数の印刷材料を1つまたは複数のリザーバから次々とまたは同時にピックアップし、3つの空間次元すべてで定義された少なくとも1つの目標位置に移動し、その位置で、基板またはその上に配置されたまたはその上に構築されている3次元物体に塗布することができる。このようにして、3次元物体の構築または処理を促進することができる。
【0052】
以下、図面に示す例示的な実施形態を参照して、本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0053】
図1図1は、印刷プロセスの様々な作業ステップにおける、本発明による装置の第1の例示的な実施形態を示す斜視図である。
図2図2は、印刷プロセスの様々な作業ステップにおける、本発明による装置の第1の例示的な実施形態を示す斜視図である。
図3図3は、印刷プロセスの様々な作業ステップにおける、本発明による装置の第1の例示的な実施形態を示す斜視図である。
図4図4は、印刷プロセスの様々な作業ステップにおける、本発明による装置の第1の例示的な実施形態を示す斜視図である。
図5図5は、印刷プロセスの様々な作業ステップにおける、本発明による装置の第1の例示的な実施形態を示す斜視図である。
図6図6は、印刷プロセスの様々な作業ステップにおける、本発明による装置の第1の例示的な実施形態を示す斜視図である。
図7図7は、印刷プロセスの様々な作業ステップにおける、本発明による装置の第1の例示的な実施形態を示す斜視図である。
図8図8は、3次元の印刷物を作る際の様々な作業ステップにおける計量器の斜視断面図です。
図9図9は、3次元の印刷物を作る際の様々な作業ステップにおける計量器の斜視断面図です。
図10図10は、3次元の印刷物を作る際の様々な作業ステップにおける計量器の斜視断面図です。
図11図11は、3次元の印刷物を作る際の様々な作業ステップにおける計量器の斜視断面図です。
図12図12は、3次元の印刷物を作る際の様々な作業ステップにおける計量器の斜視断面図です。
図13図13は、3次元の印刷物を作る際の様々な作業ステップにおける計量器の斜視断面図です。
図14図14は、印刷プロセスの様々な作業ステップにおける3次元印刷物体の構成を示す図式的な透視詳細図である。
図15図15は、印刷プロセスの様々な作業ステップにおける3次元印刷物体の構成を示す図式的な透視詳細図である。
図16図16は、印刷プロセスの様々な作業ステップにおける3次元印刷物体の構成を示す図式的な透視詳細図である。
図17図17は、印刷プロセスの様々な作業ステップにおける3次元印刷物体の構成を示す図式的な透視詳細図である。
図18図18は、印刷プロセスの様々な作業ステップにおける3次元印刷物体の構成を示す図式的な透視詳細図である。
図19図19は、印刷プロセスの様々な作業ステップにおける3次元印刷物体の構成を示す図式的な透視詳細図である。
図20図20は、統合された追加印刷システムを備えた本発明による装置のさらに例示的な実施形態を示す斜視図である。
図21図21は、測光器の別の形態を示す。
図22図22は、本装置の詳細な変形例を示す斜視図である。
図23図23は、2つの異なる未混合印刷材料を用いて3次元印刷物体を構築する様々な作業ステップにおける計量器の斜視断面図を示す。
図24図24は、2つの異なる未混合印刷材料を用いて3次元印刷物体を構築する様々な作業ステップにおける計量器の斜視断面図を示す。
図25図25は、2つの異なる未混合印刷材料を用いて3次元印刷物体を構築する様々な作業ステップにおける計量器の斜視断面図を示す。
図26図26は、2つの異なる未混合印刷材料を用いて3次元印刷物体を構築する様々な作業ステップにおける計量器の斜視断面図を示す。
図27図27は、2つの異なる未混合印刷材料を用いて3次元印刷物体を構築する様々な作業ステップにおける計量器の斜視断面図を示す。
図28図28は、2つの異なる未混合印刷材料を用いて3次元印刷物体を構築する様々な作業ステップにおける計量器の斜視断面図を示す。
図29図29は、2つの異なる印刷材料を混ぜ合わせて3次元の印刷物を作る様々な作業ステップにおける計量器の斜視断面図を示す。
図30図30は、2つの異なる印刷材料を混ぜ合わせて3次元の印刷物を作る様々な作業ステップにおける計量器の斜視断面図を示す。
図31図31は、2つの異なる印刷材料を混ぜ合わせて3次元の印刷物を作る様々な作業ステップにおける計量器の斜視断面図を示す。
図32図32は、2つの異なる印刷材料を混ぜ合わせて3次元の印刷物を作る様々な作業ステップにおける計量器の斜視断面図を示す。
図33図33は、2つの異なる印刷材料を混ぜ合わせて3次元の印刷物を作る様々な作業ステップにおける計量器の斜視断面図を示す。
図34図32は、2つの異なる印刷材料を混ぜ合わせて3次元の印刷物を作る様々な作業ステップにおける計量器の斜視断面図を示す。
図35図35は、材料除去作用を有する印刷材料要素を用いた3次元物体の処理を図式的に示したものである。
図36図36は、材料除去作用を有する印刷材料要素を用いた3次元物体の処理を図式的に示したものである。
図37図37は、材料除去作用を有する印刷材料要素を用いた3次元物体の処理を図式的に示したものである。
図38図38は、材料除去作用を有する印刷材料要素を用いた3次元物体の処理を図式的に示したものである。
図39図39は、4つの計量チャネルを持つ計量装置の斜視透視図である。
【0054】
以下の記載は、後述する詳細な説明に関して適用する。図面を明確にするために、参照符号が図に含まれているが、詳細な説明に直接関連する部分で言及されていない場合、詳細な説明の前後の部分でそれらの参照符号の説明を参照する必要がある。逆に、図面の過度の複雑化を避けるために、すぐに理解することにあまり関係のない参照符号は、すべての図に含まれていない。その場合には、他の図を参照する必要がある。
【0055】
各印刷ステップで各支持体(基板若しくはその上に配置された又は構築される3次元物体)に塗布される印刷材料の量の単位は、その特定の幾何学的形態にかかわらず、印刷材料要素と呼ばれる。本発明の内容では、印刷材料要素は、狭い意味での印刷材料の点であることと、直線的または平面的な印刷材料構造であることが理解される。
【0056】
図1は、アイドル状態にある本発明に係る装置の第1の例示的な実施形態を示している。全体として参照数字100で示される装置は、ハンドリングロボット10が配置されたベースプレート1上に設置されている。ハンドリングロボット10には、計量ヘッド22が取り付けられている。図面には図示されているだけのハンドリングロボット10は、その上に搭載された計量ヘッド22を装置100の内部の任意の所望の空間座標に移動させるように構成されており、それに応じて計量ヘッドの移動装置を構成している。ハンドリングロボット10は、全体として、ここでは円のみで示される矢印10xの方向に、図面の平面に対して垂直に、ベースプレート1に対して前後に移動可能である(これに関しては、図20も参照)。キャリッジ12は、矢印10yの方向に延びるロボットアーム14に沿って左右に移動可能に配置されており、キャリッジ12上に配置されたロボットアーム15は、計量ヘッド22を搭載しており、計量ヘッド22を矢印10zの方向に上下に移動させることができる。ハンドリングロボット10は、制御コンピュータCによって制御される。また、ハンドリングロボット10は、さらなる軸(例えば、ロボットアーム15の回転のための軸)を有していてもよく、あるいは、例えば、リニアロボット、多関節アームロボット、SCARAロボット、デルタロボットなどの形態であることもできる。重要なことは、既に述べたように、単に、計量ヘッド22が装置100の内部の任意の所望の空間座標に移動できることであり、ハンドリングロボット10は、少なくとも市販の3Dプリンタと同じ空間分解能および位置決め精度、すなわち、少なくとも100-200μm、有利には1-2μmまで、可能にすることが有利である。図面に示されているハンドリングロボット10は、例えば、WO 2016/074105 A1に示されるような先行技術に対応している。
【0057】
ベースプレート1上には、計量器24用のホルダ30、異なる印刷材料M、N、O用の(ここでは、例えば、3つの)リザーバ41、42、43、基板60をクランプした分析天秤50、使用済み計量器24用の廃棄物容器70、および放射線源80が配置されている。
【0058】
計量ヘッド22は、ハンドリングロボット10の助けを借りて、計量器24をピックアップし、それらを展開し、再びリリースするように構成されている。計量ヘッド22は、ピックアップされた計量器24と共に、計量装置20を形成する。図面に示されている計量装置20は、例えば、WO2016/074105 A1またはWO2017/152293 A1の文書によって示されているような先行技術に対応している。しかしながら、計量ヘッド22は、計量器をピックアップし、展開し、解放するように構成されていれば、何らかの他の方法で実現することもできる。また、計量装置は、例えば、液体ハンドラ、カートリッジディスペンサなどの市販の計量装置によって形成することもできる。
【0059】
ハンドリングロボット10は、計量装置が印刷材料リザーバと、印刷される3次元物体上の任意の所望の点の両方に移動できるように、計量装置20を異なる空間軸で移動させることができる。
【0060】
ホルダ30は、複数の計量器24を保持している。計量器24は、その中を摺動するプランジャ242を備えたチューブまたはキャピラリ241の形態をしており(図8図11も参照)、それらは、例えばプランジャ242の後退によって空洞を形成し、空洞のサイズによって定義される印刷材料の量が計量器24内に残存するようになっている。このようにして、例えば、液体を吸い上げることができる。このように構成された計量器24は、固体、ワックス状、粒状または粉状の固体に挿入されること、およびその副量をピックアップすることにも同様に適している。このような計量器の正確な動作モードは、例えば、WO 2016/074105 A1に記載されている。
【0061】
また、計量器は、使い捨てのチップ又はシリンジを有する市販の自動ピペットの形をしていることもあり、これらのピペットは、例えば、空気置換の原理や正方向への置換の原理に従って機能する。これらの機能は、当業者にはよく知られているものであるため、これ以上の詳細な説明はしない。
【0062】
さらに別の方法として、計量器は、空洞のない非中空の固体の形で、例えば、印刷材料に浸漬/挿入されたときに少量の物質が付着する細いロッドの形態で、(例えば、物質を点状に塗布することにより、図21も参照)その量を3次元物体に分配することができる。このような計量器の正確な動作モードは、例えば、WO 2017/152293 A1に記載されている。
【0063】
リザーバ41、42、43には、3種類以上の異なる印刷材料M、N、Oの供給を維持する。また、印刷材料は、他の種類の容器、例えば、複数のウェルを有するプレート(例えば、マイクロタイタープレート(MTP)として知られているもの)に少量の印刷材料を貯留して供給することもできる(図20も参照)。
【0064】
有利な実施形態では、リザーバで提供される印刷材料の供給は、同時に最も多様な材料、例えば、様々な液体、固体(例えばワックス状、顆粒状、粉状)、さらには凍結した液体(「Cryo-3Dプリンティング」)、溶液、懸濁液、さらには生きた細胞を持つ全細胞培養物などを含み、これらは適切な容器に保管される。つまり、3次元物体の定義された点ごとに、保存されている材料のどれを使用するかを正確に定義することが可能であり、これにより、これまでよりも広範囲で複雑な材料を使用した物体の製造が可能になり、例えば、酸や溶剤を使ってエッチングしたり、分解したりして、既存の構造物や物体をポイントごとに取り除いていく材料を採用すること当然に可能である。
【0065】
また、リザーバ41、42、43には、比較的少量の印刷材料のみを供給することも可能である。これらのリザーバの充填および必要に応じて再充填は、計量装置20または別の計量装置によって、対応する供給源から行うことができる。例えば、使用する印刷材料の一部が、印刷装置に物理的に近い別の装置(例えば合成装置や製剤装置)で製造され、印刷装置でのテストに使用される場合、この変形は特に有利である。その場合、リザーバとして小さなウェル(例えばマイクロタイタープレート)を有する装置を使用するのが有利である(図20も参照)
【0066】
別の選択肢として、印刷材料の供給を維持するのではなく、適切なツールや方法を用いて装置上で直接印刷材料を製造することもできる。これは、印刷材料自体が合成または調合された後に急速に硬化する場合に特に重要となる可能性がある(例えば、二液性接着剤など)。
【0067】
分析天秤50にクランプされた基板60は、構築される3次元物体Pのベースとして機能する。
【0068】
放射線源80は、例えば、レーザまたはUV放射線源の形態であり、個々の印刷材料要素を硬化/架橋または互いに融合させる役割を果たす(詳細は以下を参照)。放射線源は、有利には、印刷装置に取り付けられ、(制御コンピュータCによって)制御可能であり、そのため、その点に位置する材料を溶融(融合)、硬化、または架橋するために、基板上の空間の任意の所望のポイントを特別に照射することができる。別の有利な実施形態では、放射線源が計量ヘッド22に直接取り付けられ、計量ヘッド22に搭載された計量器24の先端に常に正確に照準を合わせるように配向されているので、その場所に分配された印刷材料要素は、分配された直後に融合、硬化、または架橋させることができる(図20も参照)。
【0069】
分析天秤50は、計量装置20によって分配された印刷材料の量の重力測定に役立つ。代替的または追加的に、計量装置によってピックアップされた印刷材料の量も、有利には、さらなる分析天秤を用いて重力測定することができる。1つの可能性は、リザーバを分析天秤に配置して、そこから除去された印刷材料の量を決定できるようにすることである。計量装置またはその計量器によってピックアップされた印刷材料の量を決定するための特に適した配置が、図22に図式的に示されている。
【0070】
その配置では、計量ヘッド22は、接続ピース522を介して分析天秤52に吊り下げられており、分析天秤52は、すべての物体、特に計量器24が取り付けられた計量ヘッド22の重量を測定する。分析天秤52は、接続片524を介してハンドリングロボット10(ここでは図示せず)に接続されている。また、図22から分かるように、計量ヘッド22は、2組のグリップトング対221、222を備えている。図22の下側のグリップトング対221は、計量ヘッド22に対して固定されており、計量器24またはこの場合はそのチューブ241を保持/解放するために役立つ。他方のグリップトング対222は、駆動部223によって上下に移動することができ、計量器24のプランジャ242を保持/解放したり、計量器24を上下に移動させたりするのに役立つ。2組のグリップトング対221、222および駆動部223は、同様に、制御コンピュータC(ここでは図示せず)によって制御される。より詳細な説明は、例えば、WO 2016/074105 A1に記載されている。
【0071】
分析天秤52によって、印刷材料がピックアップされる前、および印刷材料がピックアップされた後、さらに印刷材料が分配された後に、ピックアップされた印刷材料を有するまたは有していないクランプされた計量器24の重量を測定することができる。このようにして、3次元物体に塗布されるべき印刷材料要素の量を正確に決定することができる。測定された材料の量に基づいて、当の印刷材料要素をすべて適用すべきか、あるいは廃棄すべきかを決定することも可能である。量が少なすぎる場合は、例えば、追加の印刷材料をピックアップするために、計量器を対応するリザーバにもう一度挿入または浸漬することができる。量が多すぎる場合は、計量器を廃棄し、別の、おそらくより小さい計量器を使用して新しい印刷材料をピックアップすることができる。
【0072】
図2は、本発明に係る印刷装置100の第1の作業ステップを示す図である。計量ヘッド22はハンドリングロボット10によってホルダ30に移動され、ここでは例えばチューブ241とその中に移動自在に配置されたプランジャ242とからなる計量器24をピックアップする。次のステップ(図3)では、リザーバ42に貯蔵されている印刷材料Nが固体または高粘度の液体もしくは懸濁液である場合には、計量器24がそこに挿入され、印刷材料Nが液体である場合には、計量器がそこに浸される。液体または懸濁液の場合、計量器24のプランジャ242(図8図11)を後退させて、規定された量の印刷材料N(図9も参照)をピックアップし、量N0(図10参照)がプランジャ242とチューブ241との間に形成された空洞に残るようにする。正確な量N0は、プランジャ242を後退させる距離と、チューブ241の内径によって制御することができる。処理される印刷材料の性質にもよるが、通常は0.1~1mmの内径を持つチューブが適している。
【0073】
印刷材料量N0が計量器24にピックアップ/引き出された後、計量器は再び印刷材料Nから持ち出され(図4)、その後、印刷材料量N0が、製造される3次元物体Pの第1の印刷材料要素として、基板S上の正確に規定された位置に塗布される基板60に移動される(図5)。そのために、材料量N0は、計量ヘッド22によって計量器24内のプランジャ242が下向きに移動することで、計量器24から射出され、基板Sに塗布される。もちろん、同じ印刷材料のいくつかの部分が計量器によって同時にピックアップされることも可能であり、これらの部分は、その後、3次元物体P上の所定の位置に、互いに独立して次々とセットすることができる。第1の印刷材料要素N0は、放射線源80(例えば、対応する印刷材料に適したレーザ)による照射または熱の作用によって硬化または架橋される(図6)。
【0074】
物体Pを構成するために同じ種類の印刷材料要素をさらに使用する場合は、図3図6で説明したような浸漬/ピックアップ/分配のシーケンスを繰り返して、印刷材料要素に印刷材料要素をセットし(図14図17も参照)、3次元物体Pを作成する。十分な印刷材料がピックアップされていれば、必要に応じて、計量器24をリザーバに中程度に浸漬することなく、複数の印刷材料要素を次々に塗布することもできる。しかしながら、異なる印刷材料(この場合、例えば、MまたはO)を採用する場合には、材料Nを計量した使用済みまたは汚染された計量器24を廃棄物容器70に廃棄し(図6)、図2図5で説明したステップと同様に異なる印刷材料を用いて印刷操作を継続し、最終的には、互いに融着または硬化した複数の個別の印刷材料要素からなる最終製品が完成した3次元物体Pとして得られる(図7)。あるいは、使用済みの汚れた計量器を次の計量ステップの前に廃棄せず、装置内の適切な洗浄装置によって単に洗浄することも可能である。
【0075】
図8図13は、本発明による印刷方法の詳細ステップを示している。図8は、計量器24を示しており、この場合は、ガラス製のチューブ241(ただし、使用する印刷材料に応じて他の材料も適している)からなる単純な形態であり、その中に少し長いプランジャ242(有利には同様にガラス製)が摺動可能に取り付けられている。プランジャ242は、計量ヘッド22またはハンドリングロボット10によって、チューブ241に対して上下に移動させることができる。
【0076】
図9は、計量器24が印刷材料N(図の例では液体)に浸され、プランジャ242の後退によってチューブ241内に引き込まれる様子を示している。固体(例えば、粉末、顆粒、または非晶質固体)の場合、プランジャは、固体に挿入する前に、(定義されたサイズのキャビティを得るために)定義された距離だけ既に後退しており、ツールは、その後、固体に挿入され、それによって固体の一部がチューブ241内を通過し、そこに留まることになる。
【0077】
図10は、例えばリザーバ42から基板60への計量装置20の移動中のように、定義された量N0の印刷材料で完全に満たされた計量器24を示している。
【0078】
図11は、計量器24内で搬送された印刷材料の量N1が、目標位置(この場合は、既に基板60上の所定の位置にセットされて硬化した印刷材料要素N0の真上)に移動して正確に位置決めされ、計量器24から押し出されて、プランジャ242の下向きの動きによって、印刷材料要素N0に塗布される様子を示している。
【0079】
図12に示すように、塗布されたばかりの印刷材料要素N1は、放射線源80によって生成された熱/放射線/レーザビーム(印刷材料に応じて)の作用により、既に蒸着された印刷材料要素N0と硬化/架橋または融合し、2つの印刷材料要素から3次元物体Pが作成される(図13)。3次元物体の製造に、異なる溶融/硬化/架橋方法を有する印刷材料が必要な場合、本発明による印刷装置は、異なる印刷材料にそれぞれ適した複数の溶融/硬化/架橋装置も備えていることが理解されるであろう(図20も参照)。印刷材料によっては、硬化または溶融または架橋および対応する装置を完全に省略することも可能であり、例えば、外部からの作用なしに硬化または固化する印刷材料(例えば、自己乾燥材料、2成分系など)の場合がそうである。
【0080】
図21は、代替となるロッド形状の計量器243を示しており、この計量器を印刷材料(ここではN)に浸すだけで、量N0の印刷材料が計量器に付着し、その後、物体Pの所定の位置にセットすることができる。
【0081】
計量器24のピックアップまたは廃棄、計量器24の印刷材料への浸漬およびそこからの除去、および、基板60上またはその上に構築される3次元物体P上の所望の蒸着位置への計量器の位置決めのための、ハンドリングロボット10による計量ヘッド22の3つの空間方向の動きは、図20に示す例示的な実施形態と同様に、制御コンピュータCによって制御され、同様に、計量器24への印刷材料の引き込みと計量器からの排出、および放射線源80の起動も制御される。
【0082】
そのために、制御コンピュータは、印刷される個々の点(または、塗布中に計量器が1つ以上の空間軸で移動している場合は、各線)について、その空間座標、材料の識別、材料の量、および3次元物体のすべての個々の点の印刷シーケンスからなるプロセス制御情報を使用する。
【0083】
図14図19は、個々の印刷材料要素から3次元物体Pを構築することを明確にするために、実際の印刷動作を非常に簡略化した透視図で示している。図14は、第1の印刷材料要素N0が既に塗布された基板60を示している。図15は、計量器24によって、第2の印刷材料要素N1が印刷材料要素N0に塗布される様子を示しており(明確にするために、溶融/硬化操作は図14図18には示されていない)、これにより、図16に示すように、2つの印刷材料要素から単純な物体が作成される。
【0084】
図17は、この例では単純な逆四面体を形成する2つのさらなる印刷材料要素N2およびN3を備えた物体を構築している様子を示している。図18は、今回は異なる印刷材料Mで作られている、さらに2つの印刷材料要素M4とM5が物体に追加された様子を示している。最後に、図19は、材料Nで作られたさらなる印刷材料要素がすでに物体Pに追加されている、さらに後の製造ステップを示している。本発明に係る印刷装置100によって、異なる印刷材料で構成された3次元印刷物体Pをどのように構築することができるかを容易に理解することができる。
【0085】
本発明に係る装置は、例えば、塗布点に移動される間、計量器24に含まれる印刷材料の量を溶融状態に保つために、ヒータ26(図1にのみ図示)を備えることもできる。
【0086】
3次元物体を製造するための本発明による装置の第2の例示的な実施形態を、図20に図式的かつ高度に簡略化して示す。装置100’は、既に説明したように、ハンドリングロボット10を備えており、このハンドリングロボット10は、計量ヘッド22を3つの空間方向(矢印10x、10y、10z)に移動させることができ、その結果、計量ヘッド22を用いて、ホルダ30から計量器24をピックアップし、リザーバ(この場合、異なる印刷材料を含む複数のウェル45を有するプレート44の形態)から印刷材料をピックアップし、3次元物体Pを構築し、使用済みの計量器24を廃棄物容器70に廃棄することができるようになっている。
【0087】
この例示的な実施形態では、複数(ここでは具体的に2つ)の放射線源81および82が、計量ヘッド22に直接取り付けられ、計量ヘッド22に設置された計量器24の先端に照準を合わせるように配向されている。これにより、硬化または溶融のために放射線源に異なる要求をする複数の異なる印刷材料を、装置全体を変更することなく、装置内で使用することができる。
【0088】
制御コンピュータCは、第1の例示的な実施形態に関連して既に説明した方法で、ハンドリングロボット10と、(この場合は2つの)放射線源81および82と、計量ヘッド22とを再び制御する。
【0089】
さらに、この第2の例示的な実施形態では、独立した印刷システム90も印刷装置100’に統合されており、この印刷システムは、それ自体が同様に、3次元物体の製造のために構成されている。追加の印刷システム90は、例えば、従来の3Dプリンタによって提供することができる。
【0090】
図面に示す例では、追加印刷システム90は、全体として参照数字110で示される駆動装置を備え、この駆動装置によって、一方では、基板60が取り付けられた板状の基板支持部61が、その平面内で前後(矢印110x)およびその平面に垂直な上下(矢印110z)に移動することができ、他方では、計量装置124が取り付けられた印刷ヘッド122が、基板支持部61の平面と平行に左右(矢印110y)に移動可能である。全体的に計量装置124は、それに応じて、基板支持部61に対して、またはそれに取り付けられた基板60に対して、任意の所望の空間的位置に移動させることができる。計量装置124には、リザーバ140からライン146を介して印刷材料、例えば液状の印刷材料が供給され、計量装置124は、基板60上にその上に3次元物体Pを構築するために、印刷材料を点々と分配するように構成されている。追加の印刷システム90は、既に述べたように、従来の3Dプリンタによって提供されるものであり、したがって、より詳細な説明を必要としない。原則として、追加印刷システム90には、多数の異なる3Dプリンタの種類と技術を使用することができ、例えば、NL 2 017 088 Aに記載されている3Dプリンタも使用することができる。
【0091】
ハンドリングロボット10は、同様に、それに取り付けられた計量ヘッド22および計量器24からなる計量装置20を、基板支持部61に対して、またはそれに取り付けられた基板60に対して、任意の所望の空間位置に移動させることができるので、既に上で説明したように、計量装置20によって基板60上に3次元物体Pを構築することも可能である。したがって、統合印刷システム90の計量装置20および計量装置124の両方は、その後、基板60上に構築される同一の物体Pに対して作業を行うことができる。その場合、制御コンピュータCは、一方では衝突を防止し、他方では物体の最適な構築を保証するために、追加の印刷システム90の制御と、プロセスの調整とを引き受ける。
【0092】
本発明に係る装置のこの第2の例示的な実施形態は、より普遍的な使用が可能であるという利点がある。したがって、3次元物体は、計量装置20によっても、統合された印刷システム90によっても、あるいは有利には両方を組み合わせて構築することができる。例えば、統合印刷システム90は、製造される物体の基本構造を構築することができ、一方で、統合印刷システム90が処理できない印刷材料で作られたさらなる構造は、計量装置20によって追加することができる。本発明に係る装置の可能な適用の範囲をさらに拡大するために、装置は、2つ以上の追加の印刷システムを備えることもできる。
【0093】
図23図28は、2つの異なる未混合の印刷材料NおよびMを用いて3次元物体を加速して構築するための本発明による印刷方法の実施形態の詳細ステップを示している。図23は、チューブ241と、計量ヘッド22またはハンドリングロボット10によってチューブ241に対して上下に移動可能なプランジャ242とを備えた計量器24を再び示している。計量器24は、印刷材料Nに浸されており、プランジャ242の後退によってチューブ241内に引き込まれている。
【0094】
図24は、計量器24が印刷材料Nから引き出された後に定義された量の印刷材料N0で満たされ、印刷材料Mに浸され、プランジャ242のさらなる後退によって印刷材料Mがチューブ241内に引き込まれた状態を示している。
【0095】
図25は、計量器24に定義された印刷材料量N0と定義された印刷材料量M0とが充填された状態を示しており、2つの異なる印刷材料が混合されていない状態である。この状態で計量器24は基板60に移動される。
【0096】
図26および図27は、印刷材料量M0および印刷材料量N0が、それぞれ基板60上および印刷材料要素M0上の目標位置に正確に位置決めされ、計量器24から押し出され、プランジャ242の下向きの動きによって塗布される様子を示している。放射線源80の作用により、定着または硬化/架橋が行われ、2つの印刷材料要素M0、N0から3次元物体Pが作成される(図28)。
【0097】
図29図34は、2つの異なる印刷材料NおよびMを混合して3次元物体を加速的に構築するための、本発明による印刷方法の実施形態の詳細なステップを示している。図29は、チューブ241と、計量ヘッド22またはハンドリングロボット10によってチューブ241に対して上下に移動可能なプランジャ242とを備えた計量器24を順に示している。計量器24は、プランジャ242の後退によってチューブ241内に引き込まれた印刷材料Nに浸されている。
【0098】
図30は、計量器24が、印刷材料Nから引き出された後に定義された量の印刷材料N0で満たされ、印刷材料Mに浸され、プランジャ242のさらなる後退によって印刷材料Mがチューブ241内に引き込まれた状態を示している。
【0099】
図31は、定義された印刷材料量N0および定義された印刷材料量M0で満たされた計量器24を示しており、2つの異なる印刷材料はまだ混合されていない。2つの印刷材料量N0およびM0は、計量器24内またはチューブ241内で、例えばプランジャ242の上向きおよび下向きの動きによって乱流を発生させることによって、互いに混合することができ、混合物NMが形成されるようになっている(図32を参照)。計量器24は、混合前、混合中、または混合後に、基板60に移動される。
【0100】
図33は、印刷材料要素としての混合物NMが、基板60上の目標位置に正確に位置決めされ、計量器24から押し出され、プランジャ242の下向きの動きによって塗布される様子を示している。放射線源80の作用により、定着または硬化/架橋の効果が得られるので、3次元物体Pが作成される(図34)。
【0101】
図35図38は、材料除去作用を有する印刷材料要素を用いて、基板60上の3次元物体Pを処理する様子を示している。図35は、基板60上のまだ処理されていない3次元物体Pを示している。
【0102】
図36は、3つの印刷材料要素N1、N2、N3を3次元物体Pに適用した直後の状況を示している。図37では、印刷材料要素N1、N2、N3は、すでに3次元物体Pに食い込んでおり、すなわち、物体Pから対応する材料を取り除いている。
【0103】
図38は、印刷材料要素N1、N2、N3が除去された後の状況を示しており、例えば洗浄されている
【0104】
図39は、4つの計量チャンネルD1,D2,D3,D4を有する計量装置220の斜視透視図である。それら4つの計量チャンネルD1,D2,D3,D4のそれぞれは、上述してきたように、例えば、チューブ241とプランジャ242とから構成されている。チューブ241およびプランジャ242は、それぞれ矢印241zおよび242zで示すように、また、図22に関連して詳細に説明したように、上下方向に移動可能である。矢印240yに従って、4つの計量チャネルD1、D2、D3およびD4は、水平方向に互いに相対的に変位可能である。4つの計量チャネルD1、D2、D3およびD4によって、印刷材料または印刷材料は、1つまたは複数のリザーバから次々とまたは同時にピックアップされ、その後、計量装置220の移動によって、3つの空間次元すべてで定義された1つまたは複数の目標位置に移動され、そこで、1つ印刷材料または複数の印刷材料は、基板60またはその上に配置されたまたはその上に構築されている3次元物体Pに塗布されることができる。
図1
図2
図3
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図5
図6
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図39