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  • 特許-流体濾過アセンブリ 図1A
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】流体濾過アセンブリ
(51)【国際特許分類】
   C12M 3/06 20060101AFI20221129BHJP
   C12M 1/12 20060101ALI20221129BHJP
【FI】
C12M3/06
C12M1/12
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021540109
(86)(22)【出願日】2020-01-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-15
(86)【国際出願番号】 US2020013087
(87)【国際公開番号】W WO2020146734
(87)【国際公開日】2020-07-16
【審査請求日】2021-07-30
(31)【優先権主張番号】62/790,808
(32)【優先日】2019-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503393010
【氏名又は名称】レプリゲン・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】Repligen Corporation
【住所又は居所原語表記】41Seyon Street,Building#1,Suite100,Waltham,Massachusetts02139,United StatesOfAmerica
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パヴリク、ルドルフ
【審査官】小林 薫
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0238317(US,A1)
【文献】特表2013-540577(JP,A)
【文献】米国特許第09315767(US,B1)
【文献】米国特許第06544424(US,B1)
【文献】特表2018-534940(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2001/0028865(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0353516(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0111486(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2002/0067622(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M 1/00-3/10
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体濾過アセンブリであって、
流体貯蔵容器と流体接続するための第1の端部を有するフィルタハウジングと、
前記フィルタハウジング内に配設可能なフィルタカートリッジと、
前記フィルタハウジングの第2の端部に結合されたポンプアセンブリであって、前記ポンプアセンブリが、
第1の半球および第2の半球を画定するポンプハウジングであって、前記第1の半球が、前記フィルタハウジングに流体的に接続され、ポートを備える、ポンプハウジングと、
前記ポンプハウジング内で前記第1の半球と前記第2の半球との間に固定されたダイヤフラムと、
を備えるポンプアセンブリと、
前記ポートを介して前記ポンプハウジングの第1の半球に挿入されたセンサと、
を備える流体濾過アセンブリ。
【請求項2】
前記ポートが、トリクローバ(tri-clover)コネクタを備える、請求項1に記載の流体濾過アセンブリ。
【請求項3】
前記センサが、前記ポートを略閉塞するように、かつ前記センサを前記ポンプハウジング内で流体と接触させて配置するようにサイズ設定されたプラグを通じて前記ポートに挿入される、請求項2に記載の流体濾過アセンブリ。
【請求項4】
前記センサが、前記ポートに挿入され、前記ポンプハウジングの第1の半球に接合されている、請求項1に記載の流体濾過アセンブリ。
【請求項5】
前記ダイヤフラムが、第1の位置と第2の位置との間で移動可能である、請求項1から4のいずれか一項に記載の流体濾過アセンブリ。
【請求項6】
前記ダイヤフラムが、前記第2の半球の圧力の変化により、前記第1の位置と前記第2の位置との間で移動する、請求項5に記載の流体濾過アセンブリ。
【請求項7】
前記ダイヤフラムが、機械的アクチュエータによって前記第1の位置と前記第2の位置との間で移動する、請求項5に記載の流体濾過アセンブリ。
【請求項8】
前記ポンプハウジングの第1の半球および第2の半球が、それぞれ半径方向延在フランジを備え、その結果、前記半径方向延在フランジの対向面表面が、締め合わされたときに互いに接触する、請求項1から7のいずれか一項に記載の流体濾過アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対する優先権
本出願は、2019年1月10日に出願された「HOLLOW FIBER FILTRATION SYSTEMS AND METHODS」と題する米国仮出願第62/790,808号に対する優先権を主張するものである。上記出願は、参照により、その全体があらゆる目的で本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示の分野
本開示は、概して濾過システムに関し、特に、例えば生存細胞を感知するためのセンサを含む交互接線流濾過ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0003】
濾過は、流体の溶液、混合物、または懸濁液を分離、浄化、改質、および/または濃縮する目的で行われるのが典型的である。バイオテクノロジー、製薬、および医療の業界では、医薬品、診断薬、化学薬品、およびその他多くの製品を失敗なく製造、加工、および分析するのに、濾過が不可欠である。例えば、濾過は、流体を滅菌し、複合懸濁液を浄化して濾過済みの「澄んだ」部分と未濾過の部分とに分ける目的で用いられ得る。同様に、懸濁媒を除去または「濾過分離」することによって、懸濁媒体中の成分が濃縮され得る。さらに、フィルタ材料、フィルタ孔径、および/または他のフィルタ可変要素を適切に選択することにより、他にも多くの専門用途が開発されてきた。これらの用途は、微生物の培養液や血液に加え、溶液、混合物、または懸濁液であり得る他の流体など、様々なソースから成分を選択的に分離することを伴い得る。
【0004】
生物製剤の製造工程は、相当のプロセス強化を経て進化してきた。組換えタンパク質、ウイルス様粒子(VLP)、遺伝子治療粒子、およびワクチンを作製するための真核細胞および微生物細胞の培養のすべてに、今では10個/ml以上の細胞を実現できる細胞増殖技法が用いられる。このような細胞密度では、代謝性の廃棄物を効率的に除去し、培養物に追加の栄養分を新たに補給することが極めて重要になる。これは、「灌流システム」と称される一部のバイオリアクタシステムで、交互接線流中空繊維濾過(ATF)によって実現される。これらのシステムでは、中空繊維フィルタがバイオリアクタと流体連通して配置され、フィルタを通過する流体流が、交互ダイヤフラムポンプなどの交互ポンプによって駆動される。システムはコントローラによって制御され得、コントローラは、あらかじめプログラムされたシーケンスに基づいて、または1つ以上のセンサからの信号に応答してポンプを操作し得る。
【0005】
センサをATFシステムで使用してATFシステム内のプロセスを監視および制御することが、遍く有用であるか、または望ましくあり得る。有用であり得るセンサは、温度センサ、pHセンサ、O分圧センサ(O2P)、周波数インピーダンスベースのバイオマスセンサなどである。ただし、これらのシステムにセンサを組み込むことの所望性がありながらも、これらのセンサを統合した流体取り扱いシステムおよび方法は依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
本開示は、センサをバイオプロセスシステムに統合しつつ、このシステムの大幅な再設計を必要としないという利点がある装置および方法を提供する。一態様において、本開示は流体濾過アセンブリに関し、流体濾過アセンブリは、流体貯蔵容器と流体接続するための第1の端部を有するフィルタハウジングと、フィルタハウジング内に配設できるフィルタカートリッジと、フィルタハウジングの第2の端部で結合されたポンプアセンブリと、を備え、アセンブリは、第1の半球および第2の半球を画定するポンプハウジングを含み、その結果、第1の半球は、フィルタハウジングに流体的に接続され、ポートを備える。ポンプハウジングは、第1の半球と第2の半球との間に固定された可撓性ダイヤフラムを含む。アセンブリは、ポートを介してポンプハウジングの第1の半球に挿入されたセンサも含む。各種実施形態において、ポートは、トリクローバ(tri-clover)コネクタを備え、センサは、任意選択で、ポートを略閉塞するように、かつセンサをポンプハウジング内で流体と接触させて配置するようにサイズ設定されたプラグを通じてポートに挿入される。代替または追加として、センサは、ポートに挿入され、ポンプハウジングの第1の半球に接合され得る。いくつかの事例において、ダイヤフラムは、例えば、ピストンなどの機械的アクチュエータによって、またはポンプハウジングの第2の半球に対する正圧または負圧の印加によって、第1の位置と第2の位置との間で移動可能である。ポンプハウジングの第1の半球および第2の半球は、場合によっては、半径方向延在フランジの対向面表面が締め合わされたときに互いに接触するように配向された半径方向延在フランジを備えてもよい。
【0007】
別の態様において、本開示は、開口を備える円筒状固定具と、開口内に配設され、固定具に固定されたセンサと、を含むバイオプロセス流体取り扱いアセンブリに関する。センサは、接合によって固定具に固定されてもよく、あるいは、開口がトリクローバポートを備える場合には、トリクローバポートが閉じられたときにその内部で締め合わされる開口内に挿入されたプラグによって固定具に固定されてもよい。
【0008】
後続の開示内容を参照することにより、他の態様および実施形態が当業者に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
添付の図面は、開示済みの方法の原理の実用化のためにこれまでに考案された開示済みの方法の好適な実施形態を表している。
図1A】本開示にかかる交互接線流濾過システムの概略図である。
図1B】本開示にかかる交互接線流濾過システムの概略図である。
図2図1のシステムで使用されるポンプ兼フィルタアセンブリの側面図である。
図3図2のポンプ兼フィルタアセンブリを図2の線3-3に沿って切り取った断面図である。
図4図3に示すポンプ兼フィルタアセンブリの部分詳細図である。
図5図1のシステムで使用されるポンプ兼フィルタアセンブリの代替実施形態の等角図である。
図6】本開示のある実施形態にかかるポンプ兼フィルタセンサアセンブリの側面図である。
図7図6に描かれたポンプ兼フィルタセンサアセンブリの断面図である。
図8】本開示のある実施形態にかかるセンサアセンブリ継手の断面図である。
図9図8に描かれたセンサアセンブリ継手の側面図である。
図10】本開示のある実施形態にかかるセンサアセンブリ継手の断面図である。
図11図10に描かれたセンサアセンブリ継手の側面図である。
図12A】本開示のある実施形態にかかるセンサアセンブリの断面組立図(12A)である。
図12B】本開示のある実施形態にかかるセンサアセンブリの分解図(12B)である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
交互接線流フィルタ
図1Aおよび図1Bを参照すると、本開示にかかるある流体濾過システムにおいて、処理容器2が流体コネクタを介してフィルタ収容区画4に接続されている。容器2は、流体を濾過するのに適した任意のコンテナであり得、例えば、液体を収容できる槽、樽、タンク、瓶、フラスコ、コンテナなどを非排他的に含むバイオリアクタ、発酵槽、または他の任意の容器であり得る。容器は、プラスチック、ステンレス鋼などの金属、またはガラスなど、任意の適切な材料で構成され得る。流体コネクタは、貯蔵容器からの流体を、フィルタ収容区画の入口端部へと向ける働きをする。
【0011】
流体コネクタは、流体を容器の内外に流すのに適した容器ポート6を備え得、このポートは、ジョイント8に取り付けられており、ひいてはフィルタ収容区画4の入口端部に接続されている。適切なポートとしては、圧縮、標準インゴールド、または衛生タイプの継手など、当該技術分野において公知である、任意の防漏型衛生継手が非排他的に挙げられる。適切なジョイントとしては、パイプ、チューブ、ホース、および中空ジョイントアセンブリなどが非排他的に挙げられる。容器の下側への浸透に最も好ましい流体接続手段は、図示のようなL字型パイプである。ジョイントは、容器およびプロセスの構成および要件に基づいて、システムごとに異なり得る。ジョイント8は、適切なバルブ10および12を介して、容器ポート6、およびフィルタ収容区画4の入口端部の両方に接続される。ジョイント8は、トリクランプ(Triclamp)の衛生継手など、適切なクランプによってバルブ10および12に取り付けられ得る。これによって、他の適切な接続部の使用が妨げられることはない。フィルタ収容区画4は、交換式のフィルタ素子カートリッジ18を保持するフィルタハウジング16を備える。対応する継手同士が一致しない場合に、バルブ10とハウジング16との間の接続は、直接的でも間接的でもよい。一例において、ハウジング16が2.5インチの衛生的な端部を含み、バルブ10が1/2の衛生的な端部を含む場合には、この2つの端部の連結に、2.5×1/2インチの衛生的アダプタ13が使用され得る。
【0012】
フィルタ収容区画4は、入口端部20および出口端部22を有するのが好ましい。入口端部20がバルブ10に直接取り付けられるのに対し、出口端部22は、例えばクランプによってダイヤフラムポンプ24に接続される。フィルタ収容区画のハウジングに適した材料としては、プラスチック、ステンレス鋼などの金属、およびガラスなどが非排他的に挙げられる。適切な取り外し可能フィルタ素子としては、中空繊維フィルタおよびスクリーンフィルタなどが非排他的に挙げられる。フィルタ素子は、任意選択で、濾過プロセスの前、間、または後に、流体濾過システムから取り外すことができる。適切な中空繊維濾過膜またはスクリーンフィルタは、様々なベンダーより広く出回っている。
【0013】
ダイヤフラムポンプ24は、容器2からフィルタ収容区画4内のフィルタ18を通じてポンプ24へと流体を移動させた後、ポンプ24からフィルタを通じて容器2に流体流を戻すのに使用される。このようにして、フィルタ18を通じて流体の交互接線流が生成される。フィルタ18が中空繊維カートリッジである場合には、18の両端部である入口端部20および出口端部22が、保持液と濾液の混合を防ぐためにハウジング壁に対して封止されている。
【0014】
ダイヤフラムポンプ24は、内部ダイヤフラム32によって第1および第2の内部チャンバ28および30に分離されたポンプハウジング26を備える。ダイヤフラムは可撓性であり、防漏型衛生継手を介してハウジング内に固定されているのが好ましい。ダイヤフラムの厚さは均一であっても、プロセスにおける必要性に応じて厚さまたは形状が多少異なってもよい。一例においては、厚い領域がダイヤフラムの中心に形成されている。厚い領域は、区画28の方を向き得る。排気サイクル中または滅菌中に、ダイヤフラムが排気/吸気ポートに押し込まれると、かかる厚い領域により、ダイヤフラムの構造的な支持が強まる。
【0015】
いくつかの事例において、図1Aに示すとおり、ダイヤフラムポンプは空圧的に起動され得る。ダイヤフラムポンプは、流体がフィルタ収容区画4の出口端部22からポンプ24の第2の内部チャンバ30へと流れる際に通過する入口端部を有する。ポンプチャンバ28は、隣接するチャンバ30内の流体内容物を汚染させることなく、ポンプ24内のダイヤフラムを駆動するための機構を隔離して収容する。ポンプは、空気などの気体を可逆的な吸排気ライン34を通じて交互に供給することにより、空圧作動する。吸排気ライン34は、気体がライン34を通過すると、ポンプの第1のチャンバ28に注入され、チャンバを膨張する気体で第1のチャンバ28を満たし、第2のチャンバ30内の任意の流体を、フィルタ18に向かう方向およびフィルタ18を通過する方向に流すように、コネクタを介してポンプ24に取り付けられている。チャンバ28を膨張し、逆に、隣接するポンプチャンバ30の容積を減らし、チャンバ30から容器2へと内容物を駆動する目的で、圧縮空気が34内へと制御追加され得るのが典型的だが、排他的ではない。非図示の真空源などにより、ライン34を通じて、示された排気方向に気体が引き戻されると、ダイヤフラム32は気体入口の方へと引き寄せられる。チャンバ28の容積が減少し、容器2からフィルタモジュール18を経て膨張チャンバ30へと流れることが可能となる。ライン34を通じた空気の双方向流れ制御は、非図示の適切な3方向または4方向のソレノイドバルブのマイクロプロセッサ制御によって調節され得る。この動作により、容器2からフィルタを経てチャンバ30へと流体が往復する動きが繰り返され、フィルタ18を通じた交互接線流が生じる。気体吸排気ライン34に接続されているチャンバ28は、液体がライン34を流れるのを防ぎながら、空気などの気体はそれを自由に流れるようにするための疎水性フィルタを収容し得る。流体濾過システムは、ポンプハウジング内のダイヤフラムの移動を制御するためのコントローラも備えるのが好ましい。図1Aおよび図1Bは、交互接線流コントローラを示している。コントローラは、処理容器2に対するチャンバ28および30内の圧力を監視および/または調節する働きをする圧力トランスデューサなどの圧力測定デバイスを備え得る。このデバイスは、ポンプハウジング内でのダイヤフラムの膨張および収縮の切り替えおよび制御を誘発することにより、ライン34を介してチャンバ28に出入りする気体流の逆転、したがってチャンバ30に出入りする流体流の逆転を誘発する目的で使用され得る。近接スイッチの使用など、ダイヤフラムの移動を切り替える他の手段も、本発明の意図の範囲内である。なお、ポンプチャンバ28および30が同じサイズである必要はなく、図示のように球形である必要もない。これらは、図示のように交互接線流(ATF)コントローラにより、プロセスの要件に合わせて調整され得る。その結果、フィルタを経て往復する流体流が制御される。例えば、動物細胞を扱う際に、チャンバ28が膨張して、ダイヤフラム32がチャンバ30の内側ポンプ壁に押し付けられる地点に達すると、細胞が損傷し得る。ポンプ壁とダイヤフラムとの間に細胞が入り込んでしまう事態を最小限に抑えたり防止したりするために、チャンバ30の壁は、チャンバ28の壁の半径よりもやや大きな半径を有し得る。ダイヤフラム32がチャンバ28と同じ半径を有することにより、チャンバ28の膨張によってダイヤフラムをチャンバ30の壁へと駆動する必要がなくなり、ダイヤフラムとポンプ壁との間に十分な空間が保たれる。チャンバ28の膨張を制御し、ダイヤフラムの材料を選択し、所望であればセンサを使用することにより、ポンプにおけるダイヤフラムの位置が正確に制御され得る。
【0016】
ダイヤフラムポンプは、空圧作動ではなく機械的に作動し得る。一例示的配置構成においては、プランジャ起動システムが、コントローラと、サーボモータ、カム、空圧式または電動式アクチュエータなどの2方向移動型デバイスと、を含むことができる。サーボモータ、カム、空圧式または電動式アクチュエータなどのプランジャ起動システムは、接続/分離カップリングを介してプランジャポンプに接続され、使用時に適用されるものと理解される。そのため、プランジャ起動システムは滅菌されない。
【0017】
プランジャポンプは、フィルタハウジング半球に封止されている液体側と、プランジャの中心に対称的に位置付けられた機械的接続カップリングを有する外側と、を有する。プランジャの材料は、医療等級のゴム状熱可塑性材料、シリコーン、または他の適切なエラストマー材料であり得る。「引き」サイクルにおけるプランジャの移動により、吸引(すなわち、ポンプの方への、またはポンプ内への液体の引き込み)が行われ、「押し」サイクルにおけるプランジャの移動により、液体の抽出または排出(ポンプからの、またはポンプの外への液体の押し出し)が行われる。引きモードおよび押しモードでのプランジャポンプのストローク距離は、フィルタアセンブリの特定サイズに対応するために、あらかじめ決めておくか、適宜調整することができる。いくつかの実施形態においては、ストローク距離を、リニアエンコーダなどのデバイスによって自動制御することができる。
【0018】
作動システムおよびプランジャは、利用可能な全サイズのフィルタアセンブリに対して普遍的であり得る。一実施形態においては、ポンプサイズを確認することにより、特定のフィルタアセンブリのサイズに適したストローク距離に自動的にリセットすることができる。ポンプサイズごとに行程距離が異なるため、作動行程は、最長ストロークを必要とする最大ポンプサイズに合わせて設定される。他のポンプサイズではいずれもストロークが短いことから、特定のポンプストロークの要件に基づいて行程が調整される。小型フィルタアセンブリのポンプストロークは、端部の「押し」位置から始まり、「引き」行程の距離は、特定のフィルタサイズで必要とされる適切な容積と対応する。
【0019】
移動速度は、ユーザが制御モジュールに直接入力する別設定の一部とすることができ、選択可能なレシピによって決定することもできる。プランジャの1回の「押し」および「引き」の動きが、1つのポンプサイクルとなる。1分あたりのサイクル数は、プランジャポンプ流量を表し、1分あたりのリッター数で測定されるのが典型的である。1分あたりのサイクル数が多いほどポンプ流量が多く、該サイクル数が少ないほどポンプ流量が少ない。所望のポンプ流量は、手動で入力するか、プロセスレシピの一部とすることができる。
【0020】
ここで図1Bを参照すると、流体濾過システムは、流体コネクタを介してポンプ兼フィルタアセンブリ4に接続された処理容器2を含む。容器2は、濾過される流体を収容するのに適した任意のコンテナであり得、例えば、液体を収容できる槽、樽、タンク、瓶、フラスコ、コンテナなどを非排他的に含むバイオリアクタ、発酵槽、または他の任意の容器であり得る。処理容器2は、プラスチック、ステンレス鋼などの金属、またはガラスなど、任意の適切な材料で構成され得る。流体コネクタは、処理容器2をポンプ兼フィルタアセンブリ4に流体的に結合する働きをする。
【0021】
流体コネクタは、処理容器2に結合された容器ポート6と、ひいてはポンプ兼フィルタアセンブリ4の入口端部に接続された配管8の適切な部位と、を備え得る。容器ポート6は、圧縮、標準インゴールド、または衛生タイプの継手など、当技術分野において公知である、任意の適切な防漏型衛生継手であり得る。配管8は、代替として、チューブ、ホース、および中空ジョイントアセンブリなどを含むことができる。加えて、配管8は、容器2とポンプ兼フィルタアセンブリ4との間の流れを選択的に隔離、すなわち許可するための適切なバルブ10および12を含むことができる。
【0022】
図示された実施形態においては、処理容器2のヘッドプレート90を通じて容器ポート6が設けられている。浸漬チューブ91が、処理容器2内の液体を配管8に接続する目的で使用される。配管8は剛性である必要はなく、可撓性接続部95は、容器2とフィルタアセンブリ4との間の接続および接続解除を容易にし得るものと理解される。いくつかの実施形態においては、濾過によって採取された液体を、ライン50を通じてフィルタアセンブリ4から回収することができる。採取された液体は、ライン51を通じて容器内に液体を送り込むために付加ポンプ47を起動するレベル制御機構によって元に戻され得る。
【0023】
ポンプ兼フィルタアセンブリ4は、フィルタ素子カートリッジ18を保持するフィルタハウジング16を含む。ハウジング16は、濾過された流体をハウジングから除去するのに適した流体採取ポート44を含むことができる。採取ライン50は、流体採取ポート44に結合することができ、濾過された流体をシステムから除去するのを制御するために、バルブ62および濾液ポンプ46含むことができる。ハウジング16内の圧力は、ハウジングに結合された圧力バルブまたはトランスデューサ52により、監視ポート45を介して監視され得る。
【0024】
ポンプ兼フィルタアセンブリ4は、フィルタハウジング16と、それに結合されたプランジャポンプ24と、を含むことができる。フィルタハウジングは、入口端部20および出口端部22を有することができる。入口端部20は、例えば、バルブ10およびアダプタ13を介して配管8に取り付けることができる。出口端部22は、後で詳述するとおり、プランジャポンプ24に接続することができる。
【0025】
フィルタハウジング16は、プラスチック、ステンレス鋼などの金属、およびガラスなどから作ることができる。適切な取り外し可能フィルタ素子カートリッジ18(再利用可能フィルタハウジング用)または完全な恒久ハウジング(単回使用システム用)は、中空繊維フィルタおよびスクリーンフィルタなどを含む。非限定的な一例示的実施形態において、フィルタ素子カートリッジ18は、中空繊維フィルタである。本開示によれば、ポンプ兼フィルタアセンブリ4は、フィルタハウジング16、フィルタカートリッジ18、およびプランジャポンプ24を一体的なアセンブリとして一緒に提供して、単回使用(すなわち、使い捨て)向けに構成することができる。
【0026】
ポンプ兼フィルタアセンブリ4を単回使用(使い捨て)アセンブリとして提供することには、様々な利点がある。例えば、アセンブリは、構成部品が滅菌状態で供給され、最小限の準備と組み立てで使用できる形になっているため、最小限の取り扱いでセットアップすることができ、ユーザによる洗浄や滅菌も必要としない。これにより、ユーザの手間および取り扱いが減ることから、長時間のオートクレーブサイクルがなくなるとともに、コスト削減にもなり得る。さらには、使用終了時に、アセンブリを洗浄せずに簡単に廃棄することができる。使い捨てアセンブリであれば、作業者による汚染および組み立てのリスクが軽減され、操作/滅菌のための長々とした検証手続きも必要ない。加えて、アセンブリの構成部品は、ステンレス鋼製やガラス製のユニットに比べて軽量で運搬しやすく、安価で収納スペースも少なくて済み得る。
【0027】
図2は、フィルタ(非図示)を囲むフィルタハウジング16とプランジャポンプ24とを含む例示的ポンプ兼フィルタアセンブリ4を表している。非限定的な一例示的実施形態において、ポンプ兼フィルタアセンブリ4は、処理容器に貯蔵された流体を濾過するための、単回使用型の一体的なアセンブリである。ポンプ兼フィルタアセンブリ4は、入口端部20と、出口端部22と、流体採取ポート44と、前述のように圧力バルブまたはトランスデューサを結合するための監視ポート45と、を含むことができる。サンプラバルブ(非図示)をフィルタハウジング16に結合するためのサンプルポートを設けてもよい。
【0028】
サンプラバルブは、プランジャポンプ24内の流体の品質をサンプリングすることと、液体または気体をポンプに注入またはポンプから排出することと、滅菌用蒸気をシステムに注入し、かつ/または結果として生じた蒸気凝縮物をシステムから除去することと、を含む様々な目的で使用され得る。例えば、サンプラバルブは、フィルタシステムを処理容器から取り外す前に、システムから処理容器へと液体を排出するためにシステムに空気を注入するのに適し得、逆に、交互接線流を開始する前にシステムから空気をパージする目的で使用され得る。
【0029】
プランジャポンプ24は、ハウジング部100およびアクチュエータ部102を含むことができる。図3および図4にさらに詳細に示すとおり、ハウジング部100は、一緒に結合された剛性部104および可撓性部106を含み得る。可撓性部106は、アクチュエータ部の起動に応答して、可撓性部106が剛性部104に対して移動可能となるように、アクチュエータ部102に結合されてもよい。アクチュエータ部102は、シリンダハウジング103と、シリンダハウジング内で選択的に移動可能な従動ロッド部138と、を含み得る。以下に詳述するとおり、サーボモータ、カム、空圧式または電動式アクチュエータは、プランジャポンプをして、フィルタハウジング16を通じて流体を所望の方法で移動させるために、ロッド部138を矢印「A」および「B」の方向に選択的に移動させる目的で使用することができる。
【0030】
図3および図4で確認できるとおり、ハウジング部100の剛性部104の上部端部108は、フィルタハウジング16の下部端部110に、その両端部間を流体が自由に流れるような形で結合されている。図示された実施形態において、剛性部の上部端部108は、フィルタハウジング16の下部端部110の雌ねじ山114と嵌合するようにサイズ設定および構成された雄ねじ山112を含む。剛性部104の上部端部面118とフィルタハウジング16の下部端部面120との間には、その両者間で液密係合するためのOリング116が配設されている。ねじ込み式の接続部が開示されているが、本開示の精神から逸脱しない限り、他の結合および封止配置構成が使用できるものと理解される。加えて、ハウジング部100の剛性部104は、フィルタハウジング16の一体的な部分として形成できることが企図されている。
【0031】
図4で最も良好に確認できるとおり、ハウジング部100の剛性部104および可撓性部106はそれぞれ、剛性部および可撓性部のそれぞれの内面によって画定される内部容積132を有する球形状をハウジング部に提供するように一緒に結合できる釣鐘状の部材であり得る。剛性部104および可撓性部106は、それぞれの半径方向延在フランジ122、124を有する。フランジ122および124の組み合わせ、プランジャの可撓性部106の対応「O」リングのような特徴と、可撓性部のデュロメータにより、クランプ(「ナット」と称する)130によって固定された一体的な接続と、が保証される。いくつかの実施形態においては、剛性部104上にオーバーモールドされたエラストマーから可撓性部106を形成できるため、クランプ部が不要となる。
【0032】
可撓性部106は、釣鐘、アコーディオン、またはベローズ形状を有し得る。理解されるとおり、可撓性部106の膨張または収縮により、プランジャポンプ24と処理容器2との間で流体の移動を開始するのに必要な真空および圧力を生成することができる。プランジャの形状設計により、内部プランジャ面間の摩擦(液体接触領域)を緩和することができる。例えば、可撓性部106がストロークの各端部位置(すなわち、以下に説明する下端部位置「BEP」および上端部位置「TEP」)まで移動すると、プランジャの内部面が接触しない。
【0033】
可撓性部106は、その底面内または底面上に配設されたプランジャ係合部134を含み得る。プランジャ係合部134は、アクチュエータ部102のロッド部138を受容するための凹部136を含み得る。図示された実施形態においては、プランジャ係合部134が、フィルタハウジング16の中心に揃っている。このような配置構成のため、アクチュエータ部102が矢印「A」の方向に移動すると、可撓性部106が剛性部104に対して均等に変形する。
【0034】
アクチュエータ部102がロッド部138を矢印「A」の方向に(すなわち、剛性部104の方へと)駆動すると、可撓性部106が変形して剛性部の方へと移動する。一実施形態において、ロッド部138は、可撓性部106を下端部位置「BEP」から上端部位置「TEP」へと移動させるように駆動される。理解されるとおり、可撓性部106がBEPにあるとき、ハウジング部100の内部容積132は第1の値であり、可撓性部がTEPにあるとき、ハウジング部100の内部容積は、第1の値よりも小さい第2の値である。そのため、ロッド部138が可撓性部106をBEPからTEPへと(すなわち、矢印「A」の方向に)移動させると、可撓性部は、ハウジング部100に収容された液体をフィルタハウジング16内へと押し上げ、容器2内に戻す。逆に、ロッド部138が可撓性部106をTEPからBEPへと(すなわち、矢印「B」の方向に)移動させると、液体は、容器2から、フィルタハウジング16内のフィルタカートリッジ18を経て、ハウジング部100に引き込まれる。
【0035】
図4および図5で確認されるとおり、いくつかの実施形態においては、アクチュエータ部102、ひいてはプランジャポンプ24の操作を、コントローラ140を介して自動化することができる。コントローラは、適切なプロセッサと、関連付けられたメモリ(非図示)と、を含み得る。プロセッサは、所望の一組のサイクルパラメータ(例えば、ストローク距離、ストローク速度)に従ってプランジャポンプ24を作動させるための命令を実行し得る。アクチュエータ部102は、ロッド部138の位置を監視でき、かつ関連付けられた位置情報をコントローラ140のプロセッサおよび/または他の構成部品に提供できるリニアエンコーダ(非図示)を含むことができる。ロッド部138の箇所は、プランジャポンプ24の作動サイクル全体を通して監視することができる。そのため、コントローラ140は、可撓性部106の端部位置(BEPおよびTEP)を監視することができ、この情報を使用して、特定の期間にわたる流体容積変位を判断および/または制御することができる。ポンプ24のロッド部138と可撓性部106との間の機械的な係合により、作動プロセスのどの時点でも、ストローク距離を比較的高い信頼度で知ることができる。
【0036】
いくつかの実施形態において、ストローク距離(すなわち、ロッド部138および可撓性部106が所定の方向へと移動する距離)は、コントローラによってあらかじめ設定しておくことができ、使用される特定のポンプ兼フィルタアセンブリ4のサイズに依存する。アクチュエータ部102のリニアエンコーダを用い、コントローラ140によってストローク距離を適切に制御し、所定の値に収めることができる。このようにして、コントローラ140およびアクチュエータ部102は、利用可能な全サイズのポンプ兼フィルタアセンブリに対して普遍的に使用することができる。フィルタごとにあらかじめ設定された自動ストローク距離を使用することは、プランジャの短いストロークまたは過度なストロークを防ぐ便利な方法である。
【0037】
特定のポンプ兼フィルタアセンブリのサイズをコントローラ140が確認すると、ストローク距離が自動的にリセットされ得る。ストローク速度は、コントローラ140に直接入力するか、他の方法で設定するか、レシピまたは適切なアルゴリズムによって決定することができる。
【0038】
アクチュエータ部102とコントローラ140との接続は有線であるものとして図示されているが、両者は無線でも接続され得るものと理解される。コントローラは、ユーザがストローク距離、ストローク移動プロファイル、プランジャポンプの流れ、およびフィルタアセンブリの機能に関連する任意の補助デバイスの制御を制御できるようにする対話型インターフェースを有することができる。
【0039】
使用時、プランジャポンプは、アクチュエータ部102を介して可撓性部106が駆動される場合、フィルタカートリッジを通る交互接線流を生成することができる。プランジャポンプは、処理容器とプランジャポンプとの間で往復する、液体(例えば、培養懸濁液)の可逆流を、生成することができる。例えば、ハウジング部100の内部容積132からフィルタカートリッジを経て処理容器に至る流れは、ポンプの可撓性部106を矢印「A」の方向に(すなわち、BEPからTEPへと)移動させることによって生成される。可撓性部106の移動により、ハウジング部100の内部容積132から液体が排出され、その液体が処理容器の方へと移動し、一方向の接線流が生成される。濾過された最終産物は、例えば蠕動ポンプによってポートから除去される。逆に、ポンプの可撓性部106が矢印「B」の方向に(すなわち、TEPからBEPへと)移動すると、ハウジング部100の内部容積132内の圧力は、容器内の圧力に対して低下する。そのため、流れ経路が逆転し、処理容器からハウジング部100の内部容積132に戻る液体の流れにより、逆方向の接線流が生成される。濾過された最終産物は、例えば蠕動ポンプによってポートから除去される。ポンプから処理容器への流れと、処理容器からポンプへの戻りで、1サイクルが完了する。
【0040】
プランジャポンプと処理容器との間のサイクル速度と流量は主に、ポンプの構成と、サイクルを調節するのに使用される制御機構と、に依存する。
【0041】
図5は、ポンプ24a、24b、フィルタハウジング、およびそれぞれのフィルタ18a、18bを含む一対のポンプ兼フィルタアセンブリ4a、4bを同時に作動させる目的で使用される単一のアクチュエータ部102を示している。図示された実施形態は、2つのポンプ兼フィルタアセンブリ4a、4bを作動させるための単一のアクチュエータ部102を示しているが、より多くの数のポンプ兼フィルタアセンブリが単一のアクチュエータ部102によって制御可能であり得、ひいては単一のコントローラによって制御可能であるものと理解されよう。この配置構成では、単一のアクチュエータ部102が、前述の方法で接続カップリングを介してポンプ24a、24bの可撓性部106a、106bに接続された剛性リンケージ103a、103bに接続されている。この配置構成の場合のポンプの作動は、図1Aから図4と関連付けて説明した作動と同じである。
【0042】
センサ、センサアセンブリ、および継手
多くの細胞培養プロセスにおいて、温度、pH、光学密度もしくは濁度、および/または生存細胞密度など、特定のプロセス変数を監視することが望ましい。本開示の各種実施形態は、上記のような連続接線流濾過システムおよび方法に対するこの必要性を満たすものである。場合によっては、フィルタおよび/またはポンプの継手にある既存の接続ポートが、アクティブな濾過の実行中にセンサ受容体として使用される。アダプタがは、ポートをセンサで使用できるように適合させる目的で使用され得る。例えば、以下に詳述するとおり、トリクローバコネクタ用の一例示的アダプタは、クランプ用のトリクローバフランジと、センサを固定し、これを任意選択で継手内の流体経路内または流体経路に隣接して配置する内側部と、を含む「プラグ」構造体を備える。
【0043】
本開示のシステムおよび方法は、数多くの技術的課題を克服する。まず、これらは、ATF継手上の既存ポートを、ポートの完全性を損なうことなく、別の用途で使用することができる。ATF実行中は、継手が相当の圧力に耐える必要があったり、汚染および/または構造上の故障のリスクに晒されたりする。そのため、本明細書に開示されたアダプタは、当該技術分野で現在使用されているトリクローバポートガスケットと同様のサイズ、形状、機械的性質を持つフランジを利用し得る。2つ目として、これらは、流体流にデッドスペースを生まない。この状況は、場合によっては、アダプタのサイズおよび形状を調整して、アダプタが配備される継手の内部表面と面一にすることによって達成される。
【0044】
図6および図7に目を向けると、交互ダイヤフラムポンプおよび接線流濾過ハウジング600は、トリクローバポートなどのポート610を含む。ポートは、センサ615およびアダプタ620を含み、この両方について、以下に詳述されている。
【0045】
図8および図9は、センサ715およびアダプタ720を含む線形継手700を表している。これらは、アダプタ720と固定具700の壁内の開口またはソケットとの間の平坦界面725を使用するという点が上記のアダプタ620とは異なる。平坦界面725は、感圧接着剤、エポキシもしくは他の反応性ポリマー材料、または雄ネジおよび雌ネジなどの嵌合構造体を非限定的に含む任意の適切な接合材料を備え得る。また、平坦界面725は、任意の適切な形状(例えば、環状または円盤状)であり得、センサ715を継手などにおいて流体と流体接触させて配置するように、中実であったり、穴または溝によって穿孔されていたりし得る。また、継手700は、例えばトリクローバクランプによって別の固定具と嵌合できる1つ以上のフランジ付き端部710を任意選択的に含む。
【0046】
次に、図10および図11は、トリクローバポート820用のアダプタまたはプラグ825を使用する際の上記の継手とは異なる線形継手800を描いている。アダプタまたはプラグ825は、任意選択的なガスケット816と嵌合するフランジ826を備える。継手は、上記のとおり、1つ以上のフランジ付き端部810も任意選択的に含む。
【0047】
図12Aおよび図12Bは、センサ910およびアダプタ920が配備されたトリクローバポート900の組立図および分解断面図を示している。トリクローバポート900は、クランプ930と、ポート900が封止されたときにクランプ930内に嵌まるサイズおよび形状のフランジを備える封止キャップ940と、を含む。封止キャップ940は、センサ910を嵌めるように、かつ任意選択で、例えば締り嵌めによってセンサ910を固定するようにサイズ設定された開口も含む。センサ910の固定を達成するために、封止キャップ940は、センサ910の対応部分と嵌合するように構成された面取り部またはフランジを含み得る。アダプタ920は、クランプ930を用いて封止されると、封止キャップ940のフランジ部と嵌合するフランジ921と、取り付けフランジ950と、を含むプラグ構造体である。アダプタ920は、ポート900を備える固定具の内部表面960と面一である、面一の面922も含む。面一の面922は、センサが固定具内の流体に接触できるように、開口、穿孔、溝などを任意選択的に含み、アダプタ920は、センサ910が固定具内に過度に深く挿入されるのを防ぐために、フランジ、面取り部、または他の構造体を任意選択的に含む。
【0048】
結論
本開示では、少数の例示的実施形態に焦点を当ててきたが、添付の特許請求の範囲に定義されているように、開示された配置構成の精神および範囲を逸脱しない限り、記載された実施形態に対する多数の修正、改変、および変更が可能である。したがって、本配置構成は、記載された実施形態に限定されるものではなく、以下の特許請求の範囲の文言によって定義される全範囲、およびその均等物を有することが意図されている。
[項目1]
流体濾過アセンブリであって、
流体貯蔵容器と流体接続するための第1の端部を有するフィルタハウジングと、
前記フィルタハウジング内に配設可能なフィルタカートリッジと、
前記フィルタハウジングの第2の端部に結合されたポンプアセンブリであって、前記ポンプアセンブリが、
第1の半球および第2の半球を画定するポンプハウジングであって、前記第1の半球が、前記フィルタハウジングに流体的に接続され、ポートを備える、ポンプハウジングと、
前記ポンプハウジング内で前記第1の半球と前記第2の半球との間に固定されたダイヤフラムと、
を備えるポンプアセンブリと、
前記ポートを介して前記ポンプハウジングの第1の半球に挿入されたセンサと、
を備える流体濾過アセンブリ。
[項目2]
前記ポートが、トリクローバ(tri-clover)コネクタを備える、項目1に記載の流体濾過アセンブリ。
[項目3]
前記センサが、前記ポートを略閉塞するように、かつ前記センサを前記ポンプハウジング内で流体と接触させて配置するようにサイズ設定されたプラグを通じて前記ポートに挿入される、項目2に記載の流体濾過アセンブリ。
[項目4]
前記センサが、前記ポートに挿入され、前記ポンプハウジングの第1の半球に接合されている、項目1に記載の流体濾過アセンブリ。
[項目5]
前記ダイヤフラムが、第1の位置と第2の位置との間で移動可能である、項目1に記載の流体濾過アセンブリ。
[項目6]
前記ダイヤフラムが、前記第2の半球の圧力の変化により、前記第1の位置と前記第2の位置との間で移動する、項目5に記載の流体濾過アセンブリ。
[項目7]
前記ダイヤフラムが、機械的アクチュエータによって前記第1の位置と前記第2の位置との間で移動する、項目5に記載の流体濾過アセンブリ。
[項目8]
前記ポンプハウジングの第1の半球および第2の半球が、それぞれ半径方向延在フランジを備え、その結果、前記半径方向延在フランジの対向面表面が、締め合わされたときに互いに接触する、項目1に記載の流体濾過アセンブリ。
[項目9]
バイオプロセス流体取り扱いアセンブリであって、
開口を備える円筒状固定具と、
前記開口内に配設され、前記円筒状固定具に固定されたセンサと、
を備える、バイオプロセス流体取り扱いアセンブリ。
[項目10]
前記センサが、接合によって前記円筒状固定具に固定されている、項目9に記載のバイオプロセス流体取り扱いアセンブリ。
[項目11]
前記開口が、トリクローバポートを備え、前記センサが、前記開口内に挿入されたプラグによって前記円筒状固定具に固定される、項目9に記載のバイオプロセス流体取り扱いアセンブリ。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B