(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】浴室床構造
(51)【国際特許分類】
E03C 1/20 20060101AFI20221129BHJP
E04H 1/12 20060101ALI20221129BHJP
【FI】
E03C1/20 E
E03C1/20 A
E04H1/12 301
E03C1/20 C
(21)【出願番号】P 2018190424
(22)【出願日】2018-10-05
【審査請求日】2021-07-19
(73)【特許権者】
【識別番号】501362906
【氏名又は名称】積水ホームテクノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085556
【氏名又は名称】渡辺 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100115211
【氏名又は名称】原田 三十義
(74)【代理人】
【識別番号】100153800
【氏名又は名称】青野 哲巳
(72)【発明者】
【氏名】飯野 武寛
【審査官】川村 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-313911(JP,A)
【文献】特開平11-029967(JP,A)
【文献】特開平11-061927(JP,A)
【文献】特開2012-172474(JP,A)
【文献】特開2012-202126(JP,A)
【文献】特開2001-003426(JP,A)
【文献】特開平11-071795(JP,A)
【文献】特開2001-254416(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/12-1/33
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴室床の底部に設置された架台と、
前記架台上に敷設された床敷設体と、
前記床敷設体の一側部に沿って前記浴室
床の一方向の一端部から他端部まで延びる排水ピットと、
を備え、前記排水ピット及び床敷設体が、互いに別体であり、かつ互いに独立して前記架台に支持されて
おり、
前記架台が、前記排水ピットの一対の長手側縁に沿って延びる一対の床梁材を含み、
前記排水ピットが前記一対の床梁材の間に懸架され、前記各長手側縁が対応する床梁材に支持されていることを特徴とする浴室床構造。
【請求項2】
前記排水ピットと前記床敷設体とが、互いに共通の前記床梁材における、互いに離れた箇所に支持又は連結されていることを特徴とする請求項
1に記載の浴室床構造。
【請求項3】
前記長手側縁には、前記床梁材の上面に沿って前記床敷設体へ向けて張り出す
連結座と逃げ凹部とが前記長手側縁の延び方向に
交互に設けられ、前記連結座がピット連結手段を介して前記床梁材と連結され、
前記逃げ凹部には前記床敷設体の連結凸片が配置され、該連結凸片が敷設体連結手段を介して前記床梁材と連結されていることを特徴とする請求項
1又は
2に記載の浴室床構造。
【請求項4】
前記排水ピットには前記長手側縁に沿って延びる凸条壁部が形成され、前記凸条壁部と前記床敷設体との間に凹溝が画成され、前記凹溝の底部に前記
連結座が配置されており、
前記凹溝内にはスペーサ部材が前記
連結座に被さるように収容され、
前記床敷設体の表層シートの端部が、前記スペーサ部材の上面を跨いで前記凸条壁部の上面に被さっていることを特徴とする請求項
3に記載の浴室床構造。
【請求項5】
前記床梁材が、上板及び一対の側板を有する逆さU字状の断面の上側梁部材と、下板及び一対の側板を有するU字状の断面の下側梁部材とを含み、これら上下の梁部材どうしが、互いの側板が重なるように嵌め合わされていることを特徴とする請求項
1~
4の何れか1項に記載の浴室床構造。
【請求項6】
浴室床の底部に設置された架台と、
前記架台上に敷設された床敷設体と、
前記床敷設体の一側部に沿って前記浴室床の一方向の一端部から他端部まで延びる排水ピットと、
を備え、前記排水ピット及び床敷設体が、互いに別体であり、かつ互いに独立して前記架台に支持されており、
前記排水ピットが、延び方向に沿って一直線に並べられた長尺の第1ピット及び短尺の第2ピットを含み、これら第1、第2ピットが、互いの間に水密材を挟んで突き当てられて連結されていることを特徴とする浴室床構造。
【請求項7】
浴室床の底部に設置された架台と、
前記架台上に敷設された床敷設体と、
前記床敷設体の一側部に沿って前記浴室床の一方向の一端部から他端部まで延びる排水ピットと、
を備え、前記排水ピット及び床敷設体が、互いに別体であり、かつ互いに独立して前記架台に支持されており、
前記床敷設体の外周部に沿って、浴室の壁パネル又は扉枠を受ける相対的に長い壁・扉受け枠部が設けられ、
前記排水ピットの短手端縁には、相対的に短い壁・扉受け枠部が設けられ、
前記長短の壁・扉受け枠部どうしが、接続装置を介して接続されていることを特徴とする浴室床構造。
【請求項8】
前記接続装置が、
係合部材及び操作部材を有して、前記長短の壁・扉受け枠部の一方に設けられた第1接続部品と、
前記長短の壁・扉受け枠部の他方に設けられた第2接続部品と、を含み、
前記操作部材の操作によって、前記係合部材が着脱位置と拘束位置との間で昇降可能で
あり、
前記第2接続部品が、前記着脱位置における前記係合部材と着脱可能かつ前記拘束位置における前記係合部材によって離間不能に拘束されることを特徴とする請求項
7に記載の浴室床構造。
【請求項9】
浴室床の底部に設置された架台と、
前記架台上に敷設された床敷設体と、
前記床敷設体の一側部に沿って前記浴室床の一方向の一端部から他端部まで延びる排水ピットと、
を備え、前記排水ピット及び床敷設体が、互いに別体であり、かつ互いに独立して前記架台に支持されており、
前記床敷設体が、前記排水ピットの延び方向に並べられた複数の床パネルと、前記複数の床パネルの上面に跨って敷設された表層シートとを含むことを特徴とする浴室床構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室の床構造に関し、特に大容量の排水ピットを含む大型の浴室に適した浴室床構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な戸建て住宅における浴室の場合、浴槽容量は250L程度、1日の入浴回数は居住人数に応じて1~数回程度、浴槽排水時間は6分程度、排水流量は毎分40L程度である。
これに対して、介護施設など向けの大型浴室においては、例えば浴槽容量600L程度、1日の入浴回数10回程度、浴槽排水時間2分程度、排水流量毎分300L程度のスペックが要求される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-218799号公報
【文献】特開2000-230261号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
大型浴室においては、大容量の浴槽に対応して、大容量の排水構造が要求される。一方、通常、排水ピットは浴室床パネルに一体に形成されている。かかる排水ピット一体型の浴室床パネルを大型化した場合には、設置作業が容易でなく、排水ピットへの排水トラップや排水管の接続作業及び配管作業も容易でない。
本発明は、かかる事情に鑑み、浴室の排水ピットを設置作業性などに制約されることなく大容量化できる浴室床構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するため、本発明に係る浴室床構造は、
浴室床の底部に設置された架台と、
前記架台上に敷設された床敷設体と、
前記床敷設体の一側部に沿って前記浴室の一方向の一端部から他端部まで延びる排水ピットと、
を備え、前記排水ピット及び床敷設体が、互いに別体であり、かつ互いに独立して前記架台に支持されていることを特徴とする。
【0006】
当該浴室床構造によれば、排水ピットを床敷設体とは別途に架台上に設置することができる。したがって、排水ピットが大容量であっても設置作業を容易に行なうことができる。逆に言うと、設置作業性に制約されることなく排水ピットを大容量化できる。また、床敷設体を排水ピットとは別途に設置できるから、例えば床敷設体の設置前に排水管及び排水トラップを床下に配管して排水ピットに接続することによって、配管及び接続作業を容易化できる。その後、床敷設体を架台上に設置する。
【0007】
前記架台が、前記排水ピットの一対の長手側縁に沿って延びる一対の床梁材を含み、
前記排水ピットが前記一対の床梁材の間に懸架され、前記各長手側縁が対応する床梁材に支持されていることが好ましい。
排水ピットを一対の床梁材どうしの間に挿し入れて、排水ピットの一対の長手側縁を床梁材に載せれば、排水ピットを架台に接合して固定する前であっても、排水ピットを架台に安定的に懸架できる。これによって、排水ピットの設置作業を一層容易化できる。排水ピットをかかる懸架構造とすることによって、排水ピットの深さ、幅、長さを十分に大きくでき、大容量を確保できる。
【0008】
前記排水ピットと前記床敷設体とが、互いに共通の前記床梁材における、互いに離れた箇所に支持又は連結されていることが好ましい。
これによって、排水ピットの設置作業と床敷設体の設置作業を別々に行うことができる。1つの床梁材に排水ピットと床敷設体を互いに干渉しないようにして支持させたり連結させたりできる。
排水ピットにおける、荷重を床梁材にかける部分と、床梁材と連結固定される部分とが互いに離れて別々に設けられていてもよい。
床敷設体における、荷重を床梁材にかける部分と、床梁材と連結固定される部分とが互いに離れて別々に設けられていてもよい。
【0009】
前記長手側縁には、前記床梁材の上面に沿って前記床敷設体へ向けて張り出す張り出し縁部が形成され、前記張り出し縁部には、前記長手側縁の延び方向に離れて連結座と逃げ凹部とが設けられ、前記連結座がピット連結手段を介して前記床梁材と連結され、
前記逃げ凹部には前記床敷設体の連結凸片が配置され、該連結凸片が敷設体連結手段を介して前記床梁材と連結されていることが好ましい。
これによって、排水ピットと床梁材との連結部と、床敷設体と床梁材との連結部を互いに離して干渉しないようにできる。
【0010】
前記排水ピットには前記長手側縁に沿って延びる凸条壁部が形成され、前記凸条壁部と前記床敷設体との間に凹溝が画成され、前記凹溝の底部に前記張り出し縁部が配置されており、
前記凹溝内にはスペーサ部材が前記張り出し縁部に被さるように収容され、
前記床敷設体の表層シートの端部が、前記スペーサ部材の上面を跨いで前記凸条壁部の上面に被さっていることが好ましい。
排水ピット及び床敷設体のうち一方を架台上に設置して床梁材と連結した後、他方を架台上に設置すると、排水ピットの凸条壁部と床敷設体との間に凹溝が形成され、その底部に張り出し縁部の連結座と逃げ凹部が現れる。これによって、前記凹溝を通して、排水ピット及び床敷設体の他方と床梁材との連結作業を行うことができる。その後、スペーサ部材で凹溝を塞ぎ、表層シートで覆う。
【0011】
前記床梁材が、上板及び一対の側板を有する逆さU字状の断面の上側梁部材と、下板及び一対の側板を有するU字状の断面の下側梁部材とを含み、これら上下の梁部材どうしが、互いの側板が重なるように嵌め合わされていることが好ましい。
これによって、床梁材の撓み強度を向上でき、大容量の排水ピット及び床敷設体を確実に支持できる。
【0012】
前記排水ピットが、延び方向に沿って一直線に並べられた長尺の第1ピット及び短尺の第2ピットを含み、これら第1、第2ピットが、互いの間に水密材を挟んで突き当てられて連結されていることが好ましい。
長さの異なるピットを組み合わせることによって、浴室の様々なサイズに対応して排水ピットの全長を調整できる。
【0013】
前記床敷設体の外周部に沿って、浴室の壁パネル又は扉枠を受ける相対的に長い壁・扉受け枠部が設けられ、
前記排水ピットの短手端縁には、相対的に短い壁・扉受け枠部が設けられ、
前記長短の壁・扉受け枠部どうしが、接続装置を介して接続されていることが好ましい。
これによって、浴室壁パネル又は扉枠を、床敷設体の外周部に沿って設置するだけでなく排水ピットの短手端縁に沿っても設置できる。壁・扉受け枠部を介して、排水ピットと床敷設体を接続できる。
【0014】
前記接続装置が、
係合部材及び操作部材を有して、前記長短の壁・扉受け枠部の一方に設けられた第1接続部品と、
前記長短の壁・扉受け枠部の他方に設けられた第2接続部品と、を含み、
前記操作部材の操作によって、前記係合部材が着脱位置と拘束位置との間で昇降可能であり、
前記第2接続部品が、前記着脱位置における前記係合部材と着脱可能かつ前記拘束位置における前記係合部材によって離間不能に拘束されることが好ましい。
係合部材を着脱位置にして第2接続部品と係合させ、続いて、操作部材を操作することによって係合部材を拘束位置へ移動させる。これによって、係合部材と第2接続部品とが離間不能に拘束される。この結果、床敷設体と排水ピットの壁・扉受け枠部どうしを容易にかつしっかりと接続できる。操作部材が、第1接続部品の上面に現れていることが好ましい。これによって、操作部材を上方から操作することができる。例えば浴室の平面視外側に躯体壁が近接して配置されていても、操作部材を支障無く操作できる。
【0015】
前記床敷設体が、前記排水ピットの延び方向に並べられた複数の床パネルと、前記複数の床パネルの上面に跨って敷設された表層シートとを含むことが好ましい。
これによって、浴室の様々なサイズに対応して床敷設体の大きさを調整できる。表層シートによって床パネルどうしの継ぎ目を覆うことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、排水ピットを設置作業性などに制約されることなく大容量化できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る浴室床を部分的に破断して示す平面図である。
【
図6】
図6は、
図1のVI-VI線に沿う、前記浴室床の排水ピットの第1ピットの端面図である。
【
図7】
図7は、
図6のVII-VII線に沿う、前記排水ピットの断面図である。
【
図8】
図8は、
図1の円部VIIIを拡大して示す平面図である。
【
図9】
図9は、前記円部VIIIの周辺部の分解斜視図である。
【
図13】
図13は、前記浴室床の設置工程を示す断面図である。
【
図14】
図14は、前記接続装置によって床敷設体の壁・扉受け枠部と排水ピットの壁・扉受け枠部とを接続しようとする様子を示す正面断面図である。
【
図15】
図15は、前記壁・扉受け枠部どうしを突き当てた段階を示す正面断面図である。
【
図16】
図16は、
図15のXVI-XVI線に沿う、前記浴室床パネル接続装置の側面断面図である。
【
図17】
図17(a)は、
図16のXVII-XVII線に沿う拡大断面図である。
図17(b)は、前記接続装置の係合部材を同図(a)の状態から少し上昇操作した段階の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態を図面にしたがって説明する。
本実施形態における浴室1は、例えば介護施設などにおいて用いられる比較的大型の浴室である。
図1に示すように、浴室1の全体が洗い場になっている。浴室1の供用時には、別途、移動式の浴槽(図示せず)を搬入可能である。
当該浴室1のスペックは、一般的な戸建て住宅における浴室よりも大きく、例えば浴槽容量600L程度、1日の入浴回数10回程度、浴槽排水時間2分程度、排水流量毎分300L程度である。なお、本発明が前記数値範囲に限定されるものではない。
【0019】
図1及び
図2に示すように、浴室床1a(浴室床構造)は、2つの床敷設体2と、排水ピット4と、架台3を備えている。浴室床1aの底部に架台3が設置されている。床敷設体2と排水ピット4が架台3に支持されている。床敷設体2及び排水ピット4は、互いに別体であり、かつ互いに独立して架台3に支持されている。
排水ピット4は、浴室1の奥行方向D(
図1において左右方向)の中央部(所定箇所)に配置され、かつ浴室1の幅方向W(一方向、
図1において上下)の一端部から他端部まで延びている。
【0020】
浴室床1aが、排水ピット4を挟んで2つの床敷設体2に分かれている。各床敷設体2は、複数(
図1では例えば4つ)の床パネル5と、表層シート6を含む。各床パネル5は、発泡樹脂製のパネル本体5aを鋼板製の上側補強板5b及び下側補強板5cによって挟んだサンドイッチ構造になっている。これによって、床パネル5の製造コストを安価にでき、かつ所要の強度を確保できる。
【0021】
複数の浴室床パネル5が、排水ピット4の延び方向Wに並べられて、架台3上に敷設されている。表層シート6が、これら複数の床パネル5の上面に跨って敷設されている。
浴室床1aの上面(床面)には、浴室奥行方向Dの両側部(
図1において左右両端)から排水ピット4へ向かって下へ傾く水流勾配が形成されている。
なお、浴室床1aの1のコーナーには、建物躯体の柱を避ける柱欠き1cが形成されている。柱欠き1cの有無や位置は、浴室1を設置する建物躯体に応じて適宜変更できる。
【0022】
更に詳述する。
図1~
図3に示すように、架台3は、直交する方向W,Dの何れかへ水平に延びる床梁材31,32,33などを含む。浴室床1aの奥行方向Dの中央部には、2本の中央床梁材33(床梁材)が互いに間隔を置いて平行に配置されている。各中央床梁材33は、浴室床1aの幅方向Wの一端部から他端部まで水平に延びている。中央床梁材33の両端部が、浴室床1aの外周の奥行方向Dへ延びる床梁材32と接合されている。
【0023】
図4に示すように、床梁材33は、上側梁部材34と、下側梁部材35を含む。上側梁部材34は、上板34a及び一対の側板34bを有し、断面が逆さU字状に形成されている。水平な上板34aの両端部から側板34bが垂下されている。下側梁部材35は、下板25a及び一対の側板35bを有し、断面がU字状に形成されている。水平な下板25aの両端部から側板35bが上方へ突出されている。これら梁部材34,35どうしが上下に嵌め合わされ、互いの側板34b,35bが厚み方向に重ね合わされている。上側梁部材34の内側に下側梁部材35が嵌められ、上側梁部材34の側板34bが下側梁部材35の側板35bの外面に宛がわれている。側板34b,35bどうしは、溶接、ネジ止めなどの接合手段によって接合されていてもよい。
なお、下側梁部材35の内側に上側梁部材34が嵌められ、下側梁部材35の側板35bが上側梁部材34の側板34bの外面に宛がわれていてもよい。
【0024】
図1に示すように、一対の床梁材33に排水ピット4が支持及び連結されている。床梁材33よりも浴室奥行方向Dの両外側の架台3に、床敷設体2が敷設されている。床敷設体2における排水ピット4側の端部は、床梁材33に支持及び連結されている。要するに排水ピット4と床敷設体5とが、互いに共通の床梁材33に支持及び連結されている。
【0025】
図1に示すように、排水ピット4は、第1ピット4aと、第2ピット4bを含む。第1ピット4aは、相対的に長尺である。第2ピット4bは、第1ピット4aより短尺である。第1ピット4a及び第2ピット4bが、浴室幅方向W(排水ピット4の延び方向)に沿って一直線に並べられている。
図6に示すように、各ピット4a,4bの対向端面には鍔部4hが設けられている。
図7に示すように、両ピットの鍔部4hがEPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)等からなる水密材4sを挟んで突き当てられ、ボルト締めによって連結されている。
【0026】
図3に示すように、第1、第2の各ピット4a,4bひいては排水ピット4は、ピット本体40と、一対の長手枠部41(長手側縁)を一体に有している。ピット本体40は、上面が開口された凹溝状に形成されている。
図1に示すように、第1ピット4aのピット本体40の底面の一箇所に排水口4cが設けられている。詳細な図示は省略するが、ピット本体40の底面には、排水口4cへ向かって下へ傾く排水勾配が形成されている。なお、排水口4cが、第2ピット4bに設けられていてもよい。
【0027】
図3に示すように、排水口4cに排水トラップ4d及び排水管4eが連なっている。前述したように、ピット本体40は、大容量(例えば600L程度)の浴槽からの排水を一時的に保水可能な容量を有している。かつ、排水口4c、排水トラップ4d及び排水管4eは、前記ピット本体40に一旦溜まった排水を例えば2分程度で高速排水可能な大きさになっている。
【0028】
図3に示すように、ピット本体40における一対の長辺側縁部に沿って長手枠部41が設けられている。一対の長手枠部41は、浴室幅方向Wへ互いに平行に延び、ひいては中央床梁材33と平行に延びている。各長手枠部41が、対応する中央床梁材33上に載せられて支持されている。ピット本体40が、2本の中央床梁材33の間に差し入れられて、中央床梁材33より下方へ吊り下げられている。これによって、排水ピット4が一対の中央床梁材33,33の間に懸架されている。
【0029】
図4に示すように、排水ピット4の長手枠部41は、凸条壁部43と、張り出し縁部44とを有し、断面が概略凸字状に形成されている。凸条壁部43におけるピット本体40を向く側部に、段差43dが形成されている。段差43dには、
図3において二点鎖線にて示すグレーチング46の縁が載せられる。
凸条壁部43の上面と段差43dとの角部には、凸縁部43bが上方へ突出するように形成されている。
【0030】
図4に示すように、凸条壁部43は、排水ピット4の長手方向(
図4の紙面直交方向)へ延び、かつ内部には逆さ溝部43aが形成されて中空になっている。逆さ溝部43aは下方へ開放されている。逆さ溝部43aにサポート部材45が嵌め込まれている。サポート部材45は、例えば上下に縦長の四角筒形状のアルミ押出型材によって構成され、排水ピット4の長手方向(浴室幅方向W)へ真っ直ぐ延びている。サポート部材45の材質は、アルミなどの金属に限らず樹脂でもよい。サポート部材45には、レベル調節ボルトからなるピット枠脚部42が設けられている。ピット枠脚部42が、中央床梁材33の上面に載せられている。排水ピット4の荷重が、ピット枠脚部42から中央梁部材33にかかっている。
【0031】
ピット枠脚部42は、床梁材33に単に載っているだけであり、床梁材33と固定されてはいない。排水ピット4には、床梁材33との連結部44aが、ピット枠脚部42とは別途に設けられている。つまり、排水ピット4における、荷重を床梁材33にかける部分42と、床梁材33と連結固定される部分44aとが互いに離れて別々に設けられている。
【0032】
図4及び
図5に示すように、排水ピット4の凸条壁部43におけるピット本体40とは反対側を向く外側部には張り出し縁部44が形成されている。張り出し縁部44は、凸条壁部43の底部から床敷設体2へ向けて張り出すとともに、床梁材33の上面に沿って該梁材33及び排水ピット4の長手方向へ延びている。張り出し縁部44には、連結座44aと、逃げ凹部44cとが、それぞれ長手方向(浴室幅方向W)に間隔を置いて複数形成されている。ピット固定ネジ47(ピット連結手段)が、連結座44aを通して中央床梁材33にねじ込まれている。これによって、排水ピット4が架台3に連結固定されている。
【0033】
逃げ凹部44cは、連結座44aから排水ピット4の長手方向に離れて配置され、凸条壁部43へ向けて凹む切り欠き状に形成されている。逃げ凹部44cの内側には、床敷設体2の各床パネル5から突出された連結凸片5gが配置されている。言い換えると、排水ピット4が、逃げ凹部44cによって連結凸片5gを逃げている。連結凸片5gは、床梁材33の上方に離れて床梁材33と対峙している。パネル固定ネジ5h(敷設体連結手段)が、連結凸片5gを通して床梁材33にねじ込まれることで、床敷設体2が架台3に連結固定されている。
なお、床敷設体2の各床パネル5には、レベル調整ボルトからなる脚部5dが設けられ、該脚部5dが床梁材33に載せられることで、床敷設体2の荷重が脚部5dから床梁材33にかかっている。つまり、床敷設体2においても、荷重を床梁材33にかける部分5dと、床梁材33と連結固定される部分5gとが互いに離れて別々に設けられている。
【0034】
排水ピット4の凸条壁部43と床敷設体2との間には、凹溝48が形成されている。凹溝48の底部に張り出し縁部44が配置されている。パネル固定ネジ5h及びピット固定ネジ47の頭部が、凹溝48内に臨んでいる。
図4に示すように、凹溝48にスペーサ部材49が収容されている。該スペーサ部材49が、張り出し縁部44及びネジ5h,47上に被さっている。
スペーサ部材49は、例えば上下に縦長の四角筒形状のアルミ押出型材によって構成され、排水ピット4の長手方向(浴室幅方向W)へ真っ直ぐ延びている。スペーサ部材49は、角柱形状でもよい。スペーサ部材49の材質は、アルミなどの金属に限らず樹脂でもよい。
【0035】
図4に示すように、表層シート6における排水ピット4側の端部6bは、床敷設体2の上面から延び出て、スペーサ部材49の上面を跨ぎ、凸条壁部43の上面に被さっている。凸条壁部43の上面にはアクリルフォーム等からなる防水粘着テープ6g(水密材)が設けられており、該防水粘着テープ6gが表層シート端部6bの下面と接合されている。
【0036】
表層シート端部6bの端面は、凸縁部43dに近接又は当接されている。凸状部43dによって、表層シート端部6bの位置決めをすることができる。表層シート端部6bの端面と凸縁部43dとの間には、シリコーン等のシーリング材6sが塗布されている。
表層シート端部6bの下面の防水粘着テープ6gと端面のシーリング材6sとによって、表層シート端部6bと排水ピット4との間が二重に防水処理されている。
表層シート6とスペーサ部材49とは、非接合状態となっているが接着剤などで接合されていてもよい。
【0037】
図1及び
図9に示すように、各床パネル5ひいては床敷設体2の外周部に沿って、長い壁・扉受け枠部2fが設けられている。排水ピット4の短手端縁には、短い壁・扉受け枠部4fが設けられている。浴室1の奥行方向側縁部の中央部において、壁・扉受け枠部2f,4fどうしが、接続装置9を介して一直線に連なっている。これら長短の壁・扉受け枠部2f,4fは、互いに同一断面のアルミ押出型材からなり、
図10の二点鎖線にて示す浴室1の壁パネル7(又は扉枠)の底部を受ける。
なお、各壁・扉受け枠部2f,4fにおける浴室内側を向く側部には、表層シート6の端部を受けるシート端受け枠部2k,4kが設けられている。床敷設体2の奥行方向Dに延びるシート端受け枠部2kは、水流れ勾配に合わせて傾斜されている。
【0038】
図10に示すように、接続装置9は、第1接続部品10と、第2接続部品20を備えている。第1接続部品10は、排水ピット4の壁・扉受け枠部4fの端部に設けられている。第2接続部品20は、床敷設体2の壁・扉受け枠部2fにおける枠部4fとの対向端部に設けられている。
【0039】
図11及び
図12に示すように、第1接続部品10は、ホルダ部材11と、係合部材12と、操作部材13を有している。
ホルダ部材11は、硬質樹脂によって構成され、上下に長いケース状になっている。ホルダ部材11の両側板11a,11bの形状は、壁・扉受け枠部2f,4fの断面形状とほぼ同一に形成されている。側板11a,11bの外側面には例えばEPDMの発泡体からなる水密材51,52が設けられている。
ホルダ部材11の上面部には、浴室壁パネル7(又は浴室扉枠)の底部を受ける壁・扉受け凹部11gが形成されている。
図8に示すように、隣接する枠部2f,4fの壁・扉受け凹部2g,4gどうしが、ホルダ部材11の壁・扉受け凹部11gを介して一直線に連なっている。
【0040】
図10に示すように、ホルダ部材11は、補強金具14を介して、固定ねじ17によって壁・扉受け枠部4fの端面に固定されている。側板11aと壁・扉受け枠部4fとの間の水密材51が圧縮されて、防水処理されている。
【0041】
図10及び
図11に示すように、ホルダ部材11の内部には、係合部材12が収容されている。係合部材12は、上下に長いコ字状の金具からなり、第2側板11bの内側面に添うように配置されている。係合部材12の縦板部12aには、上下一対の係合受け部15が形成されている。なお、係合部材12における係合受け部15の数は、1つだけでもよく、3つ以上でもよい。
【0042】
図12に示すように、各係合受け部15は、受け入れ穴15aと、拘束溝15bと、拘束隆起部16を含む。円形の受け入れ穴15aから下方へ拘束溝15bが延びている。拘束溝15bの幅は、受け入れ穴15aの直径より小さい。
【0043】
縦板部12aにおける拘束溝15bの両側の側縁部には、それぞれ切り起こしによって拘束隆起部16が第1側板11a側へ隆起するように形成されている。拘束隆起部16における第1側板11aを向く表側面は、平坦頂面16aと、傾斜案内面16bとを含む。傾斜案内面16bは、受け入れ穴15aの下側の縁に連なるとともに、そこから下方へ向かって第1側板11a側へ傾けられている。傾斜案内面16bの下端部に平坦頂面16aが連なっている。平坦頂面16aは、縦板部12aにおける第1側板11aを向く表側面よりも第1側板11a側へ突出され、かつ枠部2f,4fどうしの対向方向Dに対して直交している。
【0044】
図10及び
図14に示すように、係合部材12は、ホルダ部材11内において昇降可能である。ホルダ部材11には、前記昇降用の操作部材13が設けられている。操作部材13は、ネジによって構成されている。該操作部材13が、ホルダ部材11の上板部11c(上面部)を貫通して、ホルダ部材11の内部空間に垂下され、係合部材12の上板部12bにねじ込まれている。操作部材13を構成するネジの頭部13a(操作部)は、上板部11cに回転可能に係止されている。頭部13aは、ホルダ部材11の壁・扉受け凹部11gの底部に現れている。
【0045】
操作部材13のネジ回し操作によって、係合部材12が、上側の拘束位置(
図10)と下側の着脱位置(
図14)との間で昇降される。このとき、係合部材12が操作部材13からのトルクで回転しないようにホルダ部材11によって保持される。
【0046】
図10及び
図11に示すように、壁・扉受け枠部2fに設けられた第2接続部品20は、上下一対の接続ネジ部材21を含む。接続ネジ部材21は、段付きネジによって構成されている。各接続ネジ部材21が、壁・扉受け枠部2fの長手方向に向けられて、ネジ部22が壁・扉受け枠部2fにおける枠部4fとの対向端部にねじ込まれている。接続ネジ部材21のネジ部22より頭部側の部分は、壁・扉受け枠部2fから突出され、係合突起23を構成している。係合突起23は、突出軸部24と、軸頭部25を含む。突出軸部24の直径は、拘束溝15bの幅より小さい。突出軸部24の先端には、それより大径の軸頭部25が形成されている。軸頭部25の直径は、係合部材12の受け入れ穴15aの直径より小さく、拘束溝15bの幅より大きい。
【0047】
図14及び
図15に示すように、係合部材12が着脱位置のとき、係合突起23が受け入れ穴15aに挿抜可能であり、係合突起23と係合部材12とが着脱可能である。
図10及び
図11に示すように、係合部材12が拘束位置のとき、係合突起23の突出軸部24が拘束溝15bに通され、かつ軸頭部25が拘束隆起部16の平坦頂面16aに押し当てられて拘束されている。これによって、第1、第2接続部品10,20どうしが離間不能に係合され、ひいては壁・扉受け枠部2f,4fどうしが離間不能に接続されている。さらに、側板11bと壁・扉受け枠部2fとの間の水密材52が圧縮されて、防水処理されている。組み立て済みの浴室床1aにおいては、係合部材12は拘束位置に配置されている。
なお、
図1に示すように、浴室幅方向に隣接する床パネル5の壁・扉受け枠部2fどうしは、前記接続装置9と同様の接続装置9Bを介して接続されている。
【0048】
図13に示すように、建築躯体の施工現場において浴室床1aを構築する際は、まず架台3を設置する。
次に、排水ピット4を設置する。2つ(複数)のピット4a,4bは、工場などであらかじめ接続しておいてもよく、施工現場で接続してもよい。長さの異なるピット4a,4bを組み合わせることによって、浴室1の様々なサイズに応じて排水ピット4の全長を調整できる。
該排水ピット4のピット本体40を2本の中央床梁材33間に挿し入れ、一対の長手枠部41をそれぞれ対応する中央床梁材33の上に載せる。これによって、排水ピット4が2本の中央床梁材33間に懸架される。長手枠部41を床梁材33に載せれば、排水ピット4を架台3に接合して固定する前であっても、排水ピット4を架台3によって安定的に支持できる。
続いて、ピット固定ネジ47を、連結座44aに通して中央床梁材33にねじ込み、排水ピット4を架台3に固定する。排水ピット4は中央床梁材33間に安定的に懸架・支持されているから、ピット固定ネジ47による固定作業を容易に行うことができる。
しかも、この段階では、床パネル5が未だ設置されていないから、排水ピット4の設置作業を確実に容易化できる。排水ピット4が大容量の大型ピットであっても設置作業性を損なうことがない。
逆に言うと、設置作業性に制約されることなく排水ピット4を大容量化できる。
【0049】
次に、排水トラップ4dを排水ピット4の下側に配置して、排水口4cと接続する。更に、排水トラップ4dに続く排水管4eを架台3の水平な床梁材の下方の浴室床下空間1bに配管する。
この段階では、床パネル5が未だ設置されておらず、浴室床下空間1bが開放されているから、排水トラップ4dの接続作業及び排水管4eの配管作業を容易に行うことができる。排水トラップ4dが大型で排水管4eが大径であっても、接続・配管作業に支障を来すことがない。
【0050】
次に、排水ピット4を挟んで両側の架台3上に複数の床パネル5を設置する。各床パネル5の脚部5dを中央床梁材33上に載せる。さらにパネル固定ネジ5hによって連結凸片5gと中央床梁材33とを連結する。これによって、浴室床パネル5が架台3に固定される。
図5に示すように、この段階では、連結凸片5gが凹溝48の底部に現れているから、パネル固定ネジ5hのねじ込み操作を容易に行うことができる。ひいては浴室床パネル5と架台3の連結作業を容易に行うことができる。
複数の浴室床パネル5を同様の手順で架台3上に並べて設置し、隣接する床パネル5の壁・扉受け枠部2fどうしを接続部材9Bを介して接続する。
【0051】
また、床敷設体2の壁・扉受け枠部2fと排水ピット4の壁・扉受け枠部4fとを、次のようにして接続する。
図14に示すように、接続装置9の係合部材12は着脱位置に配置しておく。そして、
図14~
図15に示すように、枠部2f,4fどうしを水平に対峙させるとともに互いに接近させて、突き当てる。これに伴って、係合突起23が、受け入れ穴15aに受け入れられる。
続いて、操作部材13を操作することによって、
図10及び
図11に示すように、係合部材12を拘束位置まで上昇させる。操作部材13の頭部13aをホルダ部材11の上板部11cに配置することによって、操作部材13を上方から容易にネジ回し操作できる。したがって、浴室床1aの平面視外側に躯体壁8などが近接して配置されていても、操作部材13の操作に支障を来すことがない。
係合部材12が拘束位置へ向かって上昇されるのに伴って、係合突起23の突出軸部24が、受け入れ穴15aから拘束溝15bへ移行される。さらに
図17(a)~同図(b)に拡大して示すように、軸頭部25が、拘束隆起部16の傾斜案内面16bに沿って壁・扉受け枠部4f側(
図17において左側)へ押されながら平坦頂面16a側へ移行される。これに伴って、係合突起23ひいては壁・扉受け枠部2fが壁・扉受け枠部4f側へ引き寄せられる。
【0052】
係合部材12が拘束位置に到達すると、軸頭部25が、拘束隆起部16の平坦頂面16aに乗り上げ、壁・扉受け枠部4f側へ強く押圧される。このため、係合突起23ひいては壁・扉受け枠部2fには、枠部4f側へ向かって強い押圧力ないしは引き寄せ力が作用する。これによって、接続装置9を介して、壁・扉受け枠部2f,4fどうしを強固に接合できる。更に、水密材52が強く圧縮される。これによって、水密材52の防水能力を確実に発現させることができ、第1接続部品10と壁・扉受け枠部2fとの間を確実にシールできる。
【0053】
その後、
図13に示すように、凹溝48にスペーサ部材49を収容する。
更に、表層シート6の敷設、壁パネル7及び図示しない扉枠の設置等を行う。
図10の二点鎖線にて示すように、浴室壁パネル7(又は扉枠)の底部は、床敷設体2の枠部2fの壁・扉受け凹部2gに嵌め入れられるだけでなく、排水ピット4の枠部4fの壁・扉受け凹部4gにも嵌め入れられ、さらには接続装置9の壁・扉受け凹部11gにも嵌め入れられる(
図11参照)。したがって、操作部材13を浴室壁パネル7(又は扉枠)によって隠すことができる。
【0054】
当該浴室床構造によれば、前述したように、床敷設体2と排水ピット4とを別体にして、互いに独立して架台3に支持させることで、排水ピット4の設置作業と床敷設体2の設置作業を別々に行うことができる。したがって、排水ピット4が大容量であっても設置作業を容易に行うことができる。逆に言うと、設置作業性に制約されることなく排水ピット4を大容量化できる。同様に、排水トラップ4d及び排水管4eについても、接続作業性や配管作業性に制約されることなく大型化できる。
排水ピット4を一対の床梁材33,33の間に懸架された懸架構造とし、かつ浴室幅方向Wの一端部から他端部まで横切らせることによって、排水ピット4の深さ、幅、長さを十分に大きくでき、大容量を確保できる。
さらに浴室床構造によれば、共通の床梁材33に排水ピット4と床敷設体2を支持、連結させることができる。しかも、排水ピット4と床パネル5を直接には接続せず、互いに干渉しないようにして床梁材33を介して接続できる。
床梁材33は、U字状断面の上下の梁部材34,35を嵌め合わせた構造とすることによって、撓み強度を向上でき、大容量の排水ピット4及び大面積の床敷設体2を確実に支持できる。
複数の床パネル5を並べることによって、浴室の様々なサイズに対応して床敷設体2の大きさを調整できる。
表層シート6を複数の床パネル5の上面に跨らせることによって、床パネル5どうしの継ぎ目を表層シート6によって覆うことができる。
【0055】
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の改変をなすことができる。
例えば、排水ピット4の片側だけに床敷設体2が設けられていてもよい。
接続装置9の第1接続部品10が、床敷設体2の壁・扉受け枠部2fに設けられ、第2接続部品20が、排水ピット4の壁・扉受け枠部4fに設けられていてもよい。
第1接続部品10の係合部材が係合突起を有し、該係合突起が操作部材13によって着脱位置と拘束位置との間で移動可能であってもよい。かつ第2接続部品20が、前記第1接続部品10の係合突起に対する受け入れ穴15a及び拘束溝15bを有し、更には拘束隆起部16を有していてもよい。
拘束位置が着脱位置に対して下方に位置されていてもよい。係合部材を下降させることによって拘束位置になるようにしてもよい。
本発明の浴室床構造は、介護施設などの大型浴室に限らず、戸建て住宅や集合住宅その他の浴室にも適用できる。
床パネルはFRP製であってもよい。
浴室が、浴槽及び浴槽受けパンを有していてもよい。本発明の床パネルが、前記浴槽受けパンを含んでいてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、例えば介護施設などの大型の浴室に適用できる。
【符号の説明】
【0057】
W 浴室幅方向(一方向)
1 浴室
1a 浴室床
2 床敷設体
2f 長い壁・扉受け枠部
3 架台
4 排水ピット
4a 第1ピット
4b 第2ピット
4c 排水口
4d 排水トラップ
4e 排水管
4f 短い壁・扉受け枠部
4g 壁・扉受け凹部
5 床パネル
5g 連結凸片
5h パネル固定ネジ(敷設体連結手段)
6 表層シート
7 浴室壁パネル
8 躯体壁
9 接続装置
10 第1接続部品
11 ホルダ部材
11g 壁・扉受け凹部
12 係合部材
13 操作部材
13a 操作部
15 係合受け部
15a 受け入れ穴
15b 拘束溝
16 拘束隆起部
16a 平坦頂面
16b 傾斜案内面
20 第2接続部品
23 係合突起
24 突出軸部
25 軸頭部
33 中央床梁材(床梁材)
34 上側梁部材
34a 上板
34b 側板
35 下側梁部材
35a 上板
35b 側板
40 ピット本体
41 長手枠部(長手側縁)
42 ピット枠脚部
43 凸条壁部
44 張り出し縁部
44a 連結座
44c 逃げ凹部
47 ピット固定ネジ(ピット連結手段)
48 凹溝
49 スペーサ部材