(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】電力網における動揺の検出および評価のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
H02J 3/24 20060101AFI20221129BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20221129BHJP
H02J 3/00 20060101ALI20221129BHJP
【FI】
H02J3/24
H02J13/00 301A
H02J3/00 170
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018155155
(22)【出願日】2018-08-22
【審査請求日】2021-08-16
(32)【優先日】2017-08-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515322297
【氏名又は名称】ゼネラル エレクトリック テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】General Electric Technology GmbH
【住所又は居所原語表記】Brown Boveri Strasse 7, CH-5400 Baden, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100113974
【氏名又は名称】田中 拓人
(72)【発明者】
【氏名】ジーイン・チャン
(72)【発明者】
【氏名】リア・ヴォロー
(72)【発明者】
【氏名】マーク・ジェラルド・アダミアク
【審査官】杉田 恵一
(56)【参考文献】
【文献】特開昭51-130848(JP,A)
【文献】特開昭60-148343(JP,A)
【文献】特開2001-352679(JP,A)
【文献】特開2009-44857(JP,A)
【文献】特開2012-114996(JP,A)
【文献】特開2014-236665(JP,A)
【文献】特開2015-80400(JP,A)
【文献】特表2001-503954(JP,A)
【文献】特表2015-513881(JP,A)
【文献】特表2019-505799(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0141682(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0222144(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0246914(US,A1)
【文献】国際公開第2016/158198(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/129492(WO,A1)
【文献】天野雅彦,瀬古口雅宏,禰里勝義,河田謙一,プローニー解析法による電力系統実測データの動揺モード検出,電気学会論文誌B,Vol.120, No.7,日本,電気学会,2000年02月,pages.141-147
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/00
H02J 3/24
H02J 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
動揺検出器を含むシステムであって、
前記動揺検出器は、
電力網(110)によって運ばれる電気の振幅変動を表すデジタルデータを受け取り、
前記デジタルデータを処理して、5つの所定の周波数帯域のうちの少なくとも1つにおける動揺状態を検出し、
前記動揺状態の検出時に、前記動揺状態に寄与する少なくとも1つの動揺周波数の規模特性、位相特性、または減衰特性のうちの少なくとも1つを決定
し、
前記少なくとも1つの動揺周波数の規模特性、位相特性、または減衰特性のうちの少なくとも1つが予め設定されたしきい値を超えるときに、前記少なくとも1つの動揺周波数の規模特性、位相特性、または減衰特性のうちの少なくとも1つに少なくとも部分的に基づいて、是正措置または、保護動作を生成する
ように構成され
、
前記5つの所定の周波数帯域のうちの第1の所定の周波数帯域における動揺は、ガバナまたは自動発電制御状態に由来し、
前記5つの所定の周波数帯域のうちの第2の所定の周波数帯域における動揺は、領域間動揺に由来し、
前記5つの所定の周波数帯域のうちの第3の所定の周波数帯域における動揺は、電力網に接続された2つ以上の構成要素の間の動作相互作用による強制された動揺に由来し、
前記5つの所定の周波数帯域のうちの第4の所定の周波数帯域における動揺は、電力網に接続された2つの構成要素の間のサブシンクロナス共振状態またはサブシンクロナスねじり相互作用に由来し、
前記5つの所定の周波数帯域のうちの第5の所定の周波数帯域における動揺は、電力網の一部である少なくとも1つの構成要素に存在する地磁気誘導電流に由来し、
前記5つの所定の周波数帯域は、
0.01Hzから
0.1Hzまでに及ぶ第1の周波数帯域と、
0.1Hzから
1.0Hzまでに及ぶ第2の周波数帯域と、
1.0Hzから
10.0Hzまでに及ぶ第3の周波数帯域と、
10Hzから
45Hzまたは55Hzまでに及ぶ第4の周波数帯域と、DC成分を含む第5の周波数帯域とを含む
、システム(150)。
【請求項2】
前記電力網(110)の一部である少なくとも1つの構成要素に組み合わせられた1つ以上のセンサ(125、130)と、
前記1つ以上のセンサ(125、130)からセンサデータを受け取り、該センサデータを前記電力網(110)によって運ばれる電気の振幅変動を表す前記デジタルデータへと変換するアナログ-デジタル変換器(140)と
をさらに備え
前記少なくとも1つの動揺周波数は、前記第1の周波数帯域内にあり、前記電力網(110)の一部である第2の構成要素内のガバナまたは自動発電制御状態の少なくとも一方に由来する、請求項1に記載のシステム(150)。
【請求項3】
前記少なくとも1つの動揺周波数は、前記第2の周波数帯域内にあり、領域間動揺を表す、請求項
1に記載のシステム(150)。
【請求項4】
前記少なくとも1つの動揺周波数は、前記第3の周波数帯域内にあり、前記電力網(110)に接続された2つ以上の構成要素の間の動作相互作用に由来する強制された動揺を表
し、前記2つ以上の構成要素のうちの少なくとも1つは、動作のスイッチングモードを使用する装置であり、前記動揺検出器(145)は、前記強制された動揺の規模を基準しきい値と比較するようにさらに構成される、請求項
1に記載のシステム(150)。
【請求項5】
前記少なくとも1つの動揺周波数は、前記第4の周波数帯域内にあり、前記電力網(110)に接続された2つの構成要素の間のサブシンクロナス共振状態またはサブシンクロナスねじり相互作用の少なくとも一方を表す、請求項
1に記載のシステム(150)。
【請求項6】
前記少なくとも1つの動揺周波数は、前記第5の周波数帯域内にあり、前記電力網(110)の一部である少なくとも1つの構成要素に存在する地磁気誘導電流を表す、請求項
1に記載のシステム(150)。
【請求項7】
電力網(110)によって運ばれる電気の振幅変動を表すデジタルデータを受け取るステップと、
前記デジタルデータを処理して前記電力網(110)における
5つの所定の周波数帯域のうちの少なくとも1つにおける動揺状態を検出するステップと、
前記動揺状態の検出時に、前記動揺状態に寄与する少なくとも1つの動揺周波数の規模特性、位相特性、または減衰特性のうちの少なくとも1つを決定するステップと
、
前記少なくとも1つの動揺周波数の規模特性、位相特性、または減衰特性のうちの少なくとも1つが予め設定されたしきい値を超えるときに、前記少なくとも1つの動揺周波数の規模特性、位相特性、または減衰特性のうちの少なくとも1つに少なくとも部分的に基づいて、是正措置または、保護動作を生成するステップと、
を含
み、
前記5つの所定の周波数帯域のうちの第1の所定の周波数帯域における動揺は、ガバナまたは自動発電制御状態に由来し、
前記5つの所定の周波数帯域のうちの第2の所定の周波数帯域における動揺は、領域間動揺に由来し、
前記5つの所定の周波数帯域のうちの第3の所定の周波数帯域における動揺は、電力網に接続された2つ以上の構成要素の間の動作相互作用による強制された動揺に由来し、
前記5つの所定の周波数帯域のうちの第4の所定の周波数帯域における動揺は、電力網に接続された2つの構成要素の間のサブシンクロナス共振状態またはサブシンクロナスねじり相互作用に由来し、
前記5つの所定の周波数帯域のうちの第5の所定の周波数帯域における動揺は、電力網の一部である少なくとも1つの構成要素に存在する地磁気誘導電流に由来し、
前記5つの所定の周波数帯域は、0.01Hzから0.1Hzまでに及ぶ第1の周波数帯域と、0.1Hzから1.0Hzまでに及ぶ第2の周波数帯域と、1.0Hzから10.0Hzまでに及ぶ第3の周波数帯域と、10Hzから45Hzまたは55Hzまでに及ぶ第4の周波数帯域と、DC成分を含む第5の周波数帯域とを含む方法。
【請求項8】
電力網(110)によって運ばれる電気の振幅変動を表すセンサデータをリアルタイムで取得するステップと、
前記センサデータをデジタルデータサンプルへとリアルタイムで変換するステップと、
前記デジタルデータサンプルを処理して前記電力網(110)における5つの所定の周波数帯域のうちの少なくとも1つにおける動揺状態を検出するステップと、
前記動揺状態の検出時に、前記動揺状態に寄与する少なくとも1つの動揺周波数の規模特性、位相特性、または減衰特性のうちの少なくとも1つを決定するステップと、
前記少なくとも1つの動揺周波数の規模特性、位相特性、または減衰特性のうちの少なくとも1つが予め設定されたしきい値を超えるときに、前記少なくとも1つの動揺周波数の規模特性、位相特性、または減衰特性のうちの少なくとも1つに少なくとも部分的に基づいて、是正措置または、保護動作を生成するステップと、
を含み、
前記5つの所定の周波数帯域のうちの第1の所定の周波数帯域における動揺は、ガバナまたは自動発電制御状態に由来し、
前記5つの所定の周波数帯域のうちの第2の所定の周波数帯域における動揺は、領域間動揺に由来し、
前記5つの所定の周波数帯域のうちの第3の所定の周波数帯域における動揺は、電力網に接続された2つ以上の構成要素の間の動作相互作用による強制された動揺に由来し、
前記5つの所定の周波数帯域のうちの第4の所定の周波数帯域における動揺は、電力網に接続された2つの構成要素の間のサブシンクロナス共振状態またはサブシンクロナスねじり相互作用に由来し、
前記5つの所定の周波数帯域のうちの第5の所定の周波数帯域における動揺は、電力網の一部である少なくとも1つの構成要素に存在する地磁気誘導電流に由来し、
前記5つの所定の周波数帯域は、0.01Hzから0.1Hzまでに及ぶ第1の周波数帯域と、0.1Hzから1.0Hzまでに及ぶ第2の周波数帯域と、1.0Hzから10.0Hzまでに及ぶ第3の周波数帯域と、10Hzから45Hzまたは55Hzまでに及ぶ第4の周波数帯域と、DC成分を含む第5の周波数帯域とを含む方法。
【請求項9】
前記デジタルデータを処理して前記動揺状態を検出するステップは、
前記デジタルデータについて包絡線抽出手順を実行して前記5つの所定の周波数帯域のうちの前記第4の周波数帯域における前記動揺状態を検出するステップ
を含
み、
前記包絡線抽出手順の実行は、前記第4の周波数帯域の外側の周波数成分を取り除くための1つ以上のフィルタ処理動作を含む、請求項
7または8に記載の方法。
【請求項10】
前記センサデータにタイムスタンプを適用するステップと、
前記タイムスタンプが適用されたセンサデータを使用して、前記少なくとも1つの動揺周波数の同期位相計測器情報を決定するステップと
をさらに含み、
前記同期位相計測器情報は、前記少なくとも1つの動揺周波数の同期位相計測器角度情報を含む、請求項7または8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、広くには、動揺の検出に関し、より詳細には、電力網における動揺を検出および評価するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電力網は、典型的には、広い地理的領域の各所に設置された送電線、鉄塔、発電機、変圧器、および回路遮断器などのさまざまな構成要素を含む。電力網の顧客側において、照明要素(例えば、電球および照明器具)、加熱/冷却要素(例えば、ヒータおよび空調装置)、および産業機器(例えば、電気モータおよび電気機械)などの多種多様な要素が、電力網を介して電力を引き出す多様な分散負荷として動作する。電力網を構成する種々の構成要素および電力網の負荷を構成する種々の構成要素は、望ましくない動揺状態につながりかねない種々の電気的、機械的、電気機械的、および環境的な影響力を被る。
【0003】
例えば、或る種の動揺が、発電機におけるロータの揺動に起因して、送電線に生じ得る。別の種類の動揺が、例えば動作のスイッチングモードを有するスイッチング電源が発生させるスイッチングの過渡電流または他の電気的異常に起因して、送電線に生じ得る。さらに別の種類の動揺が、例えば発電機への送電線によって与えられるインピーダンス(分布インダクタンスおよび分布キャパシタンス)の性質ゆえに、送電線に生じ得る。
【0004】
これらの望ましくない動揺のうちのいくつかは、自動的に減衰し、動作に重大な影響をもたらすことはない。しかしながら、きわめて長い送電線、パワーエレクトロニクスを含む装置、および互いに相互作用する同期発電機によって引き起こされる動揺など、いくつかの他の種類の動揺は、動作の不安定につながり、電力網の種々の構成要素を損傷させる可能性がある。このような望ましくない動揺は、電力網および電力網に接続された構成要素に、悪影響を及ぼす可能性がある。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1]米国特許出願公開第20050141682号明細書
【発明の概要】
【0005】
本開示の実施形態は、広くには、電力網における動揺を検出および評価するためのシステムおよび方法に関する。
【0006】
本開示の1つの典型的な実施形態によれば、システムは、動揺検出器を含むことができる。動揺検出器は、電力網によって運ばれる電気の振幅変動を表すデジタルデータを受け取り、デジタルデータを処理して5つの所定の周波数帯域のうちの少なくとも1つにおける動揺状態を検出し、動揺状態の検出時に、動揺状態に寄与する少なくとも1つの動揺周波数の規模特性、位相特性、または減衰特性のうちの少なくとも1つを決定するように構成される。
【0007】
本開示の別の典型的な実施形態によれば、方法が、電力網によって運ばれる電気の振幅変動を表すデジタルデータを受け取るステップと、デジタルデータを処理して電力網における動揺状態を検出するステップと、動揺状態の検出時に、動揺状態に寄与する少なくとも1つの動揺周波数の規模特性、位相特性、または減衰特性のうちの少なくとも1つを決定するステップとを含むことができる。
【0008】
本開示のさらに別の典型的な実施形態によれば、方法が、電力網によって運ばれる電気の振幅変動を表すセンサデータをリアルタイムで取得するステップと、センサデータをデジタルデータサンプルへとリアルタイムで変換するステップと、デジタルデータを処理して電力網における動揺状態を検出するステップと、動揺状態の検出時に、動揺状態に寄与する少なくとも1つの動揺周波数の規模特性、位相特性、または減衰特性のうちの少なくとも1つを決定するステップとを含むことができる。
【0009】
本開示の他の実施形態および態様は、添付図面と併せて理解される以下の説明から明らかになるであろう。
【0010】
以上、本開示を大まかに説明したので、次に、添付の図面を参照する。添付の図面は、必ずしも一定の縮尺で描かれていない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】電力網に接続された本開示の典型的な実施形態による動揺監視システムを示している。
【
図2】
図1に示した動揺監視システムに含まれ得るいくつかの典型的な要素を示している。
【
図3】
図1に示した動揺監視システムの信号検出器部分における包絡線抽出に利用することができるいくつかの典型的な要素を示している。
【0012】
以下で、本開示を、本開示の典型的な実施形態を示している図面を参照して、さらに充分に説明する。しかしながら、本開示は、多くの異なる形態にて具現化可能であり、本開示を、本明細書に記載される典型的な実施形態に限定されると解釈してはならず、むしろ、これらの実施形態は、適用され得る法的要件を本開示によって満たす目的で提示される。全体を通して、類似する符号は類似する要素を指す。本明細書では、便宜上のためだけで特定の単語および用語を用いており、そのような単語および用語を、当業者によって種々の形態および等価物で一般的に理解される種々の物体および行為を指すものとして解釈すべきであることを、理解されたい。さらに、本明細書において使用されるとき、「例」という単語は、本質的に非排他的および非限定的であることが意図されているより具体的には、本明細書において使用されるとき、「典型的」という単語は、いくつかの例のうちの1つを示し、記載される特定の例を過度に強調したり、優先的に扱ったりするものではないことを理解されたい。
【発明を実施するための形態】
【0013】
全体的な概要に関して、本開示に記載される特定の実施形態は、電力網における動揺を検出および評価するために使用することができる典型的なシステムおよび方法に関する。このようなシステムおよび方法を、例えば、動揺検出器を備える動揺監視システムによって実現することができる。動揺は、例えば、5つの所定の周波数帯域のうちの1つ以上において発生し得る動揺状態を含むことができる。5つの所定の周波数帯域の各々は、少なくとも部分的に、独自に異なる発生源に由来する動揺によって分類される。例えば、第1の所定の周波数帯域における動揺は、電力網の一部である構成要素内のガバナまたは自動発電制御状態に由来することができ、第2の所定の周波数帯域における動揺は、領域間動揺に由来することができ、第3の所定の周波数帯域における動揺は、電力網に接続された2つ以上の構成要素の間の動作相互作用に由来する強制された動揺であってよく、第4の所定の周波数帯域における動揺は、電力網に接続された2つの構成要素の間のサブシンクロナス共振状態またはサブシンクロナスねじり相互作用に由来することができ、第5の所定の周波数帯域における動揺は、電力網の一部である少なくとも1つの構成要素に存在する地磁気誘導電流に由来することができる。動揺状態が検出されると、動揺検出器は、動揺状態に寄与する少なくとも1つの動揺周波数の規模特性、位相特性、および/または減衰特性を決定することができる。
【0014】
一般に、本開示の種々の実施形態によれば、第1の所定の周波数帯域が、約0.01Hzから約0.1Hzまで広がることができ、第2の所定の周波数帯域が、約0.1Hzから約1.0Hzまで広がることができ、第3の所定の周波数帯域が、約1.0Hzから約10Hzまで広がることができ、第4の所定の周波数帯域が、約10Hzから約45Hz(または、動作の公称の系統周波数に応じて、約55Hz)まで広がることができ、第5の所定の周波数帯域が、直流(DC)成分を含むことができる。第5の所定の周波数帯域は、太陽などの発生源に由来する電磁誘導電流をさらに含むことができる。
【0015】
図1は、電力網110に接続された本開示の典型的な実施形態による動揺監視システム150を示している。電力網110は、場合によっては、地理的に分散して位置する発電所が発生させる電力を、産業関連の消費者、住居関連の消費者、および/または事業関連の消費者などの地理的に分散して位置するエンドユーザへと運ぶことができるように、互いに接続された比較的多数の構成要素およびシステムを含むことができる。電力網110の一部となり得る構成要素およびシステムのいくつかの例として、発電機111、電力変圧器112、保護機器113(リレー、回路遮断器、ヒューズ、など)、および電力線114が挙げられる。電力網110に接続され得る構成要素およびシステムのいくつかの例として、事業関連の消費者によって使用されるビジネス機器105(オフィス機器106、温度調節器107、コンピュータシステム108、など)、産業関連の消費者によって使用される産業機器115(ACモータ116、スイッチングシステム117、AC/DCコンバータ118、など)、および住居関連の消費者によって使用される住宅設備120(照明121、暖房122、冷房123、など)が挙げられる。
【0016】
電力網110の一部であり、さらには/あるいは電力網110に接続された種々の構成要素は、個別に、または互いに協働して、検出および対処がなされないままだと損傷を引き起こしかねない望ましくない動揺を生じる可能性がある。望ましくない動揺のさらなる原因は、太陽によって放射される電磁エネルギ104に起因する可能性がある。電磁エネルギ104は、電力網110において電磁誘導電流を促す可能性がある。
【0017】
これらの望ましくない動揺の検出および対処を、電力網110に組み合わせられてセンサデータを動揺監視システム150へともたらす種々のセンサを使用することによって実行することができる。例えば、センサ130を、1つ以上の電力線114に組み合わせ、電力線周波数データ(電力線周波数および電力線114に存在し得る動揺周波数)を得ることができる。センサ125を、例えば、発電機111および/または変圧器112に存在し得る動揺集波数に関する周波数データを得るために、発電機111のうちの1つおよび/または変圧器112のうちの1つに組み合わせることができる。センサ125およびセンサ130などのセンサによって収集された周波数データは、動揺監視システム150のシステムインターフェース135に結合させられる。
【0018】
1つの典型的な実施例において、システムインターフェース135は、例えば、それぞれが最初の4つの所定の周波数帯域のうちの該当の1つの周波数帯域のエイリアシングを防止する帯域通過特性を有している1つ以上の帯域通過フィルタなど、1つ以上の周波数フィルタを含むことができる。第5の所定の周波数帯域は、DC成分を含むことができるため、第5の所定の周波数帯域については、帯域通過フィルタの代わりに低域通過フィルタを使用することができる。
【0019】
システムインターフェース135によって出力されるアナログ信号は、アナログ信号をデジタルデータサンプルへと変換するアナログ-デジタル変換器(ADC)140へと結合させられる。電力網110を通って運ばれる電気の振幅変動を表すデジタルデータサンプルは、電力網110に存在し得る1つ以上の動揺状態を検出および評価するために、所望のサンプルレート(毎秒3840サンプルなど)で動揺検出器145へともたらされる。1つの典型的な実施例においては、デジタルデータサンプルをデータプロセッサ155によって処理し、例えば、電圧測定値、電流測定値、および/または電力測定値を表す処理済みデジタルデータを得ることができる。処理済みデジタルデータは、電力網110に存在し得る1つ以上の動揺状態を検出および評価するために動揺検出器145へともたらされる。
【0020】
別の典型的な実施例においては、データプロセッサ155を、プログラマブル周波数フィルタとして動作するように構成することができる。プログラマブル周波数フィルタは、例えば、(関心の動揺周波数に基づいて)4つの所定の周波数帯域のうちの1つに一致する帯域通過特性または第5の所定の周波数帯域に一致する低域通過特性のうちの一方を提供する有限インパルスフィルタ(FIR)であってよい。したがって、動揺監視システム150が、第1の時点において、第4の所定の周波数帯域内の動揺周波数を検出および評価するように構成されるとき、FIRは、第1の時点において、第4の所定の周波数帯域内に存在する周波数を伝播させるように設定され、後の時点において、動揺監視システム150によって第3の所定の周波数帯域内の動揺周波数を検出および評価できるように、第3の所定の周波数帯域内に存在する周波数を伝搬させるように再設定される。
【0021】
図2が、動揺検出器145に含まれ得るいくつかの典型的な要素を示している。動揺検出器145の典型的な要素が、機能ブロックとして示されている。これらの機能ブロックを、ハードウェア、ソフトウェア、またはハードウェアとソフトウェアとの組み合わせにて実現することができる。例えば、典型的な信号検出器210の一部である動揺検出211を、論理デバイスを使用して実現することができ、やはり信号検出器210に含まれるデシメーション212、基本規模抽出213、および包絡線抽出214の各々を、デジタル信号プロセッサ(DSP)および/またはコンピュータ実行可能可読命令を実行するプロセッサを使用して実現することができる。
【0022】
典型的な信号検出器210は、リンク141を介してADC140によってもたらされるデジタルデータサンプルを受信し、動揺検出211、デシメーション212、基本規模抽出213、および包絡線抽出214を含む典型的なブロックの1つ以上を実行する。動揺検出211は、電力網110における望ましくない動揺状態に寄与する動揺周波数を検出するための1つ以上のフィルタを含むことができる。デシメーション212を、デジタルデータサンプルのサンプルレートを、例えば毎秒3840サンプルから毎秒480サンプルなど、異なるサンプルレートに変換するために使用することができる。基本規模抽出213は、1つ以上の動揺周波数の規模特性を決定する。1つの典型的な実施例において、規模特性は、フーリエ技術を使用して計算される単位ベースで定められる。
【0023】
包絡線抽出214を、とりわけ第4の周波数帯域内の周波数成分を有するデジタルデータサンプルについて動作するときに使用することができる。包絡線抽出214に関するさらなる詳細は、
図3を用いて以下で説明される。
【0024】
信号検出器210の出力は、フィルタ処理され、上述のやり方などの種々のやり方で操作されたデジタルデータサンプルを構成する。5つの所定の周波数帯域のいずれか1つに属することができるデジタルデータサンプルは、デジタルデータサンプルが5つの所定の周波数帯域のうちの特定の周波数帯域に属することを確認するために、検証215によって検証される。1つの典型的な実施例においては、検証215を、時間領域検証チェックによって実行することができる。さらに、検証215は、連続する正のACサンプルが上側不感帯しきい値を超えているか否か、および/または連続する負のACサンプルが下側不感帯しきい値を超えているか否かを判定するための不感帯チェックなど、他の動作を含むことができる。不感帯しきい値は、デジタルデータサンプルの定常状態条件を受け入れ、低規模ノイズが存在するときのデジタルデータサンプルのさらなる処理を防止するための許容レベルを含むことができる。
【0025】
動揺周波数推定220を、とくには領域間低周波数動揺を検出するために、検証215の直後に実行することができる。時間領域周波数推定手順を使用して、動揺周波数の生の周波数を推定し、その後に動揺の規模および位相の推定225を行うことができる。動揺の規模および位相の推定225を、適応ウインドウ長フルサイクルフーリエ変換を使用することによって実行することができる。フーリエ変換におけるウインドウ長(例えば、操作対象のデータ量)を、推定された動揺周波数に基づいて調節することができる。
【0026】
次いで、動揺減衰比推定230を、デジタルデータサンプルを処理することによって実行することができる。処理は、減衰係数を決定するためのアルゴリズムの使用を含むことができるが、減衰特性の性質(規模が時間と共に増加しているか、あるいは減少しているか)の指標をもたらす。
【0027】
信号検出器210によってもたらされるデジタルデータサンプルが、DC成分または所定の第5の周波数帯域内のきわめて低い周波数の成分に対応する場合、動揺周波数の推定220、動揺の規模および位相の推定225、ならびに/あるいは動揺減衰比の推定230のうちの1つ以上を省略でき、あるいは適切に変更できることを、指摘しておくことが適切であろう。
【0028】
アラームおよびトリップロジック235が、規模、位相、および/または減衰係数が予め設定されたしきい値を超えるときに、是正措置、保護動作、および/または警告を迅速に生成することができる。例えば、是正措置を、動揺周波数の推定220ならびに動揺の規模および位相の推定225が、動揺周波数の開始時に約1.25~約1.75動揺サイクルの範囲内の結果または約1.25~約1.75動揺サイクルにわたる結果をもたらすとすぐに開始させることができ、さらには/あるいは動揺減衰比の推定230が、動揺周波数の開始時に約2.5~約3.5動揺サイクルの範囲内の結果または約2.5~約3.5動揺サイクルにわたる結果をもたらすときに開始させることができる。予め設定されるしきい値は、現場のオペレータ、技術者、設計者、または動揺監視システム150の製造者などの種々のエンティティによって決定されてよい。予め設定されるしきい値の一例は、種々のエンティティのうちの1つによって設定される減衰比である。
【0029】
是正装置は、動揺状態の一因である1つ以上の要素の動作を変更し、さらには/あるいは停止させることによって、動揺状態に対抗することを含むことができる。例えば、アラームおよびトリップロジック235は、例えばスイッチングシステム117が電力網110の動揺状態の一因となる信号を電力網110へと注入することを防止するために、回線146を介して保護機器113へと制御信号を送信することができる。制御信号を、例えば、回路遮断器、ヒューズ、および/またはスイッチを動作させて、スイッチングシステム117を電力網110から絶縁するために使用することができる。別の例では、アラームおよびトリップロジック235は、是正措置をとるように回線146を介して制御施設または技術者へとアラーム信号を送信することができる。
【0030】
図3は、
図2に示した信号検出器210の包絡線抽出214に利用することができるいくつかの典型的な要素を示している。包絡線抽出214は、とりわけ第4の所定の周波数帯域(約10Hz~約45/55Hz)に関連する。45Hzの周波数は、電力網110によって運ばれる電力の公称の系統周波数が約50Hzである場合に適用可能であり、55Hzは、電力網110によって運ばれる電力の公称の系統周波数が約60Hzである場合に適用可能である。この典型的な実施形態において、デジタルデータサンプルは、1サイクルあたり64サンプルのレートでリンク141を介してADC140(
図1に示されている)によってもたらされる。他の実施形態においては、他のサンプルレートを使用することができる。
【0031】
高域通過無限インパルス応答(IIR)フィルタ305が、デジタルデータサンプル(1サイクルあたり64サンプル)について動作して、第1のフィルタ処理デジタルデータストリーム「yH」を出力し、次いで低域通過有限インパルス応答(FIR)フィルタ310が、第1のフィルタ処理デジタルデータストリーム「yH」について動作する。低域通過FIRフィルタ310の出力は、直交フィルタ対(FIRフィルタ315およびFIRフィルタ325)に結合させられる第2のフィルタ処理デジタルデータストリーム「yL」である。FIRフィルタ315は、第2のフィルタ処理デジタルデータストリーム「yL」の直交成分「hs」について動作し、フィルタ処理されたデジタルデータストリーム「ys」を出力する。FIRフィルタ325は、第2のフィルタ処理デジタルデータストリーム「yL」の実成分「hc」について動作し、フィルタ処理されたデジタルデータストリーム「yc」を出力する。デジタルデータストリーム「ys」およびデジタルデータストリーム「yc」の各々は、サイクル当たり64サンプルの典型的なデータレートである。
【0032】
デシメーション320は、1サイクルあたり64サンプルの典型的なデータレートを、1サイクルあたり8サンプルなどのより低いデータレートへと減らすことによって、デジタルデータストリーム「ys」をデジタルデータストリーム「xs」に変更する。同様に、デシメーション330は、1サイクルあたり64サンプルの典型的なデータレートを、1サイクルあたり8サンプルなどのより低いデータレートへと減らすことによって、デジタルデータストリーム「yc」をデジタルデータストリーム「xc」に変更する。次いで、包絡線抽出335が、デジタルデータストリーム「xs」およびデジタルデータストリーム「xc」のそれぞれに対して実行される。
【0033】
包絡線抽出335は、デジタルデータストリーム「xs」およびデジタルデータストリーム「xc」の各々における各々のデジタルサンプルに式1(以下に示す)を適用して、出力信号「x(n)」を得ることを含む。
【0034】
【数1】
包絡線抽出335の出力は、高域通過IIRフィルタ340および低域通過FIRフィルタ345によってフィルタ処理される。高域通過IIRフィルタ340は、式2(以下に示す)を取り入れ、低域通過FIRフィルタ345は、式3(以下に示す)を取り入れており、ここで、「a」および「b」はフィルタ係数アレイであり、「LB」および「LA」はアレイのフィルタ長であり、「x」は入力信号(すなわち、
図3の「x(n)」)であり、「y」は出力信号(すなわち、
図3の「y(n)」)である。
【0035】
【0036】
【数3】
出力信号「y(n)」は、リンク216(
図2に示されている)を介して検証215のために伝えられる。上述したように、包絡線抽出214は、とりわけ第4の所定の周波数帯域に関連する。さらに、動揺の規模および位相の推定225(
図2に示されている)において実行される特定の動作も、とりわけ第4の所定の周波数帯域に関連する。式4~式7(下記に示す)を、動揺の規模および位相の推定225の実行に使用することができ、ここで、「N」は、サイクル中のデジタルデータサンプルの数であり、「FS」は、サンプルレートであり、「freq」は、計算による周波数の現在値(単位は、Hz)であり、「OFFSET」は、デジタルデータサンプルの数にてオフセットを計算するための割合に基づき、「fraction」は、全サイクルの割合でのオフセットであり、u(n)は、動揺信号であり、t(n)は、動揺信号に対応するタイムスタンプであり、「n」は、現在のサンプル指数である。
【0037】
【0038】
【0039】
【0040】
【数7】
動揺減衰比の推定230(
図2に示されている)を、第1の所定の周波数帯域、第2の所定の周波数帯域、第3の所定の周波数帯域、または第4の所定の周波数帯域のいずれか1つについて実行することができる。式(8)(以下に示す)を、規模の変調を有する正弦関数動揺信号を定めるために使用することができ、ここで、「A」は、正弦波信号の規模であり、「f1」は、系統周波数であり、「ω
m」は、変調信号の角周波数(これは、動揺周波数の推定220において推定された動揺周波数である)であり、「m」は、変調信号の規模(規模Aの割合であり、動揺の規模および位相の推定225において得られた動揺の規模であることに注意)であり、σは、変調信号の指数関数的な増加(または、減衰)速度であり、u(t)は、ステップ関数であり、すなわちt>t
0のときに動揺が始まる。
【0041】
【数8】
動揺信号の減衰比を、以下に示される式9によって定めることができ、ここで、σが負の数であるとき、減衰比は正であり、すなわち動揺は減衰し、したがって動揺の規模は時間と共にますます小さくなり、σが正の数であるとき、減衰比は負であり、すなわち動揺は減衰せず、したがって動揺の規模は時間につれてますます大きくなる。
【0042】
【数9】
減衰比を、以下に示される式10および式11を使用して推定することができ、ここで、(t
1,y
1)および(t
2,y
2)は、指数関数的な増加曲線(または、指数関数的な遅延曲線)上の2点の座標であり、zは、中間変数であり、ξは、計算された減衰比である。式11を、必要に応じて、百分率として表すことができる。
【0043】
【0044】
【数11】
種々の図に関して上述した種々の動作は、データの収集(充分な量のデータが集まるまで待つ)およびデータの輸送(例えば、さまざまな種類の記憶媒体を使用する)などの活動に関係する遅延を被った後にデータ処理が実行される伝統的な技術的解決策とは対照的に、リアルタイムまたはほぼリアルタイムでの実行が可能である。
【0045】
さらに、いくつかの典型的な実施例においては、動揺監視システム150によって扱われるデジタルデータサンプルが、(例えば、絶対時間基準による)タイムスタンプを有することができる。タイムスタンプを有する場合、動揺の規模および位相の推定225ならびに動揺の減衰比の推定230は、第4の所定の周波数帯域または第5の所定の周波数帯域などの所定の周波数帯域における1つ以上の動揺周波数の同期位相計測器情報を提供する。この同期位相計測器情報を、同じ動揺周波数を有する2つの地理的に離れた場所の間の比較の目的に使用することができる。したがって、第1の場所で得られた同期位相計測器位相角情報を、第2の場所で得られた同期位相計測器位相角情報と比較することができる。本開示のいくつかの実施形態に従って得られる同期位相計測器情報は、種々のフィルタによって引き起こされる位相シフトおよび遅延に対して補償が行われない場合に生じる得る特定の許容誤差を有し得る。そのような場合、同期位相計測器情報は、疑似の同期位相計測器情報として解釈されてよく、本開示に従ってSynchroOscPhasorと呼ばれ得る。
【0046】
これらの説明に係る本明細書において述べた典型的な説明について、以上の説明および関連の図面に提示した教示に鑑みて、多数の変更および他の実施形態が考えられるであろう。このように、本開示が多数の形態にて具現化可能であり、上述した典型的な実施形態に限られないことを、理解できるであろう。したがって、本開示は、開示された特定の実施形態に限定されるものではなく、変更および他の実施形態も、添付の特許請求の範囲の技術的範囲に含まれるように意図されていることを、理解すべきである。本明細書において特定の用語が用いられているが、それらは包括および説明を意図して用いられているにすぎず、限定の目的で用いられているのではない。
[実施態様1]
電力網(110)によって運ばれる電気の振幅変動を表すデジタルデータを受け取り、
前記デジタルデータを処理して、5つの所定の周波数帯域のうちの少なくとも1つにおける動揺状態を検出し、
前記動揺状態の検出時に、前記動揺状態に寄与する少なくとも1つの動揺周波数の規模特性、位相特性、または減衰特性のうちの少なくとも1つを決定する
ように構成された動揺検出器(145)
を備えるシステム(150)。
[実施態様2]
前記5つの所定の周波数帯域は、約0.01Hzから約0.1Hzまでに及ぶ第1の周波数帯域と、約0.1Hzから約1Hzまでに及ぶ第2の周波数帯域と、約1.0Hzから約10.0Hzまでに及ぶ第3の周波数帯域と、約10Hzから約55Hzまでに及ぶ第4の周波数帯域と、DC成分を含む第5の周波数帯域とを含む、実施態様1に記載のシステム(150)。
[実施態様3]
前記少なくとも1つの動揺周波数は、前記第1の周波数帯域内にあり、前記電力網(110)の一部である少なくとも1つの構成要素内のガバナまたは自動発電制御状態の少なくとも一方に由来する、実施態様2に記載のシステム(150)。
[実施態様4]
前記少なくとも1つの動揺周波数は、前記第2の周波数帯域内にあり、領域間動揺を表す、実施態様2に記載のシステム(150)。
[実施態様5]
前記少なくとも1つの動揺周波数は、前記第3の周波数帯域内にあり、前記電力網(110)に接続された2つ以上の構成要素の間の動作相互作用に由来する強制された動揺を表す、実施態様2に記載のシステム(150)。
[実施態様6]
前記2つ以上の構成要素のうちの少なくとも1つは、動作のスイッチングモードを使用する装置であり、前記動揺検出器(145)は、前記強制された動揺の規模を基準しきい値と比較するようにさらに構成される、実施態様5に記載のシステム(150)。
[実施態様7]
前記少なくとも1つの動揺周波数は、前記第4の周波数帯域内にあり、前記電力網(110)に接続された2つの構成要素の間のサブシンクロナス共振状態またはサブシンクロナスねじり相互作用の少なくとも一方を表す、実施態様2に記載のシステム(150)。
[実施態様8]
前記少なくとも1つの動揺周波数は、前記第5の周波数帯域内にあり、前記電力網(110)の一部である少なくとも1つの構成要素に存在する地磁気誘導電流を表す、実施態様2に記載のシステム(150)。
[実施態様9]
前記電力網(110)の一部である少なくとも1つの構成要素に組み合わせられた1つ以上のセンサ(125、130)と、
前記1つ以上のセンサ(125、130)からセンサデータを受け取り、該センサデータを前記電力網(110)によって運ばれる電気の振幅変動を表す前記デジタルデータへと変換するアナログ-デジタル変換器(140)と
をさらに備える、実施態様1に記載のシステム(150)。
[実施態様10]
電力網(110)によって運ばれる電気の振幅変動を表すデジタルデータを受け取るステップと、
前記デジタルデータを処理して前記電力網(110)における動揺状態を検出するステップと、
前記動揺状態の検出時に、前記動揺状態に寄与する少なくとも1つの動揺周波数の規模特性、位相特性、または減衰特性のうちの少なくとも1つを決定するステップと
を含む方法。
[実施態様11]
前記デジタルデータを処理して前記動揺状態を検出するステップは、前記デジタルデータを処理して5つの所定の周波数帯域のうちの少なくとも1つにおける前記動揺状態を検出するステップを含む、実施態様10に記載の方法。
[実施態様12]
前記5つの所定の周波数帯域は、約0.01Hzから約0.1Hzまでに及ぶ第1の周波数帯域と、約0.1Hzから約1Hzまでに及ぶ第2の周波数帯域と、約1.0Hzから約10.0Hzまでに及ぶ第3の周波数帯域と、約10Hzから約55Hzまでに及ぶ第4の周波数帯域と、DC成分を含む第5の周波数帯域とを含む、実施態様11に記載の方法。
[実施態様13]
前記デジタルデータを処理して前記動揺状態を検出するステップは、
前記デジタルデータについて包絡線抽出手順を実行して前記5つの所定の周波数帯域のうちの前記第4の周波数帯域における前記動揺状態を検出するステップ
を含む、実施態様12に記載の方法。
[実施態様14]
前記包絡線抽出手順の実行は、前記第4の周波数帯域の外側の周波数成分を取り除くための1つ以上のフィルタ処理動作を含む、実施態様13に記載の方法。
[実施態様15]
電力網(110)によって運ばれる電気の振幅変動を表すセンサデータをリアルタイムで取得するステップと、
前記センサデータをデジタルデータサンプルへとリアルタイムで変換するステップと、
前記デジタルデータを処理して前記電力網(110)における動揺状態を検出するステップと、
前記動揺状態の検出時に、前記動揺状態に寄与する少なくとも1つの動揺周波数の規模特性、位相特性、または減衰特性のうちの少なくとも1つを決定するステップと
を含む方法。
[実施態様16]
前記デジタルデータを処理して前記動揺状態を検出するステップは、前記デジタルデータを処理して5つの所定の周波数帯域のうちの少なくとも1つにおける前記動揺状態を検出するステップを含む、実施態様15に記載の方法。
[実施態様17]
前記5つの所定の周波数帯域は、約0.01Hzから約0.1Hzまでに及ぶ第1の周波数帯域と、約0.1Hzから約1Hzまでに及ぶ第2の周波数帯域と、約1.0Hzから約10.0Hzまでに及ぶ第3の周波数帯域と、約10Hzから約55Hzまでに及ぶ第4の周波数帯域と、DC成分を含む第5の周波数帯域とを含む、実施態様16に記載の方法。
[実施態様18]
前記デジタルデータを処理して前記動揺状態を検出するステップは、
前記デジタルデータについて包絡線抽出手順を実行して前記5つの所定の周波数帯域のうちの前記第4の周波数帯域における前記動揺状態を検出するステップ
を含む、実施態様17に記載の方法。
[実施態様19]
前記センサデータにタイムスタンプを適用するステップと、
前記タイムスタンプが適用されたセンサデータを使用して、前記少なくとも1つの動揺周波数の同期位相計測器情報を決定するステップと
をさらに含む、実施態様17に記載の方法。
[実施態様20]
前記同期位相計測器情報は、前記少なくとも1つの動揺周波数の同期位相計測器角度情報を含む、実施態様19に記載の方法。
【符号の説明】
【0047】
104 電磁エネルギ
105 ビジネス機器
106 オフィス機器
107 温度調節器
108 コンピュータシステム
110 電力網
111 発電機
112 電力変圧器
113 保護機器
114 電力線
115 産業機器
116 ACモータ
117 スイッチングシステム
118 AC-DCコンバータ
120 住宅設備
121 照明
122 暖房
123 冷房
125 センサ
130 センサ
135 システムインターフェース
140 アナログ-デジタル変換器
141 リンク
145 動揺検出器
146 回線
150 動揺監視システム
155 データプロセッサ
210 信号検出器
211 動揺検出
212 デシメーション
213 基本規模抽出
214 包絡線抽出
215 検証
216 リンク
220 動揺周波数推定
225 動揺の規模および位相の推定
230 動揺減衰比推定
235 トリップロジック
305 フィルタ
310 低域通過FIRフィルタ
320 デシメーション
325 FIRフィルタ
330 デシメーション
335 包絡線抽出
340 高域通過IIRフィルタ
345 低域通過FIRフィルタ