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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】建物の空調システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 3/00 20060101AFI20221129BHJP
   F24F 13/02 20060101ALI20221129BHJP
   F24F 11/41 20180101ALI20221129BHJP
【FI】
F24F3/00 A
F24F13/02 G
F24F11/41 100
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018219768
(22)【出願日】2018-11-22
(65)【公開番号】P2020085328
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-11-04
(73)【特許権者】
【識別番号】504093467
【氏名又は名称】トヨタホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100161230
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 雅博
(72)【発明者】
【氏名】江津 勇佑
【審査官】奈須 リサ
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-212588(JP,A)
【文献】特開2002-372282(JP,A)
【文献】特開2012-088009(JP,A)
【文献】特開2014-139497(JP,A)
【文献】特開2013-133945(JP,A)
【文献】特開2010-121798(JP,A)
【文献】特開2018-087669(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 3/00-3/167
F24F 11/00-11/89、13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内機と室外機とを有するとともに、少なくとも暖房運転が可能とされた複数の空調装置を備え、
前記各空調装置は、建物内にて互いに重複しないよう設定された各々の空調エリアを空調対象として空調を行う建物の空調システムであって、
前記各空調装置ごとに設けられ、前記空調装置の暖房運転により生成される暖気を当該空調装置の前記空調エリアへ供給するための第1空調ダクトと、
前記各空調装置のうち所定の空調装置に対して設けられ、当該所定の空調装置により生成される暖気を当該所定の空調装置とは異なる他の前記空調装置の前記空調エリアへ供給するための第2空調ダクトと、
前記所定の空調装置により生成される暖気を前記第2空調ダクトを通じて前記他の空調装置の前記空調エリアに供給するか否かを切り替える切替手段と、
前記他の空調装置の運転状態に応じて、前記切替手段を制御する制御手段と、
を備え
前記他の空調装置及び前記所定の空調装置は、暖房運転中に所定の除霜開始条件が成立すると除霜運転を開始するようになっており、
前記制御手段は、前記他の空調装置の除霜運転中において、前記所定の空調装置により生成される暖気を前記他の空調装置の前記空調エリアに供給する他エリア給気処理を行うよう前記切替手段を制御し、
前記他の空調装置について前記除霜開始条件の成立が近づいたことを判定する判定手段と、
前記他の空調装置について前記除霜開始条件の成立が近づいたと判定された場合に、当該除霜開始条件の成立に伴い開始される当該他の空調装置の除霜運転中に前記所定の空調装置の除霜運転が開始される可能性があるか否かを予測する予測手段とを備え、
前記制御手段は、前記予測手段により当該他の空調装置の除霜運転中に前記所定の空調装置の除霜運転が開始される可能性があると予測された場合には、当該他の空調装置の除霜運転を直ちに開始させることを特徴とする建物の空調システム。
【請求項2】
室内機と室外機とを有するとともに、少なくとも暖房運転が可能とされた複数の空調装置を備え、
前記各空調装置は、建物内にて互いに重複しないよう設定された各々の空調エリアを空調対象として空調を行う建物の空調システムであって、
前記各空調装置ごとに設けられ、前記空調装置の暖房運転により生成される暖気を当該空調装置の前記空調エリアへ供給するための第1空調ダクトと、
前記各空調装置のうち所定の空調装置に対して設けられ、当該所定の空調装置により生成される暖気を当該所定の空調装置とは異なる他の前記空調装置の前記空調エリアへ供給するための第2空調ダクトと、
前記所定の空調装置により生成される暖気を前記第2空調ダクトを通じて前記他の空調装置の前記空調エリアに供給するか否かを切り替える切替手段と、
前記他の空調装置の運転状態に応じて、前記切替手段を制御する制御手段と、
を備え
前記他の空調装置は、その暖房運転中に所定の除霜開始条件が成立すると除霜運転を開始するようになっており、
前記制御手段は、前記他の空調装置の除霜運転中において、前記所定の空調装置により生成される暖気を前記他の空調装置の前記空調エリアに供給する他エリア給気処理を行うよう前記切替手段を制御し、
さらに、前記制御手段は、前記他エリア給気処理を行う前に前記所定の空調装置が暖房運転とは異なる非暖房運転状態にある場合には、当該所定の空調装置の暖房運転を実行させ、当該他エリア給気処理の終了後は、当該所定の空調装置を前記非暖房運転状態に復帰させることを特徴とする建物の空調システム。
【請求項3】
室内機と室外機とを有するとともに、少なくとも暖房運転が可能とされた複数の空調装置を備え、
前記各空調装置は、建物内にて互いに重複しないよう設定された各々の空調エリアを空調対象として空調を行う建物の空調システムであって、
前記各空調装置ごとに設けられ、前記空調装置の暖房運転により生成される暖気を当該空調装置の前記空調エリアへ供給するための第1空調ダクトと、
前記各空調装置のうち所定の空調装置に対して設けられ、当該所定の空調装置により生成される暖気を当該所定の空調装置とは異なる他の前記空調装置の前記空調エリアへ供給するための第2空調ダクトと、
前記所定の空調装置により生成される暖気を前記第2空調ダクトを通じて前記他の空調装置の前記空調エリアに供給するか否かを切り替える切替手段と、
前記他の空調装置の運転状態に応じて、前記切替手段を制御する制御手段と、
を備え
前記他の空調装置は、その暖房運転中に所定の除霜開始条件が成立すると除霜運転を開始するようになっており、
前記制御手段は、前記他の空調装置の除霜運転中において、前記所定の空調装置により生成される暖気を前記他の空調装置の前記空調エリアに供給する他エリア給気処理を行うよう前記切替手段を制御し、
前記切替手段としての第1切替手段に加え、前記所定の空調装置により生成される暖気を前記第1空調ダクトを通じて当該所定の空調装置の前記空調エリアに供給するか否かを切り替える第2切替手段を備え、
前記制御手段は、前記他エリア給気処理を行う前に当該所定の空調装置が暖房運転とは異なる運転状態にある場合には、当該所定の空調装置の暖房運転を実行させるとともに、その暖房運転により生成される暖気が当該所定の空調装置の前記空調エリアへ供給されないよう前記第2切替手段を制御することを特徴とする建物の空調システム。
【請求項4】
前記制御手段は、前記他エリア給気処理を行う前に前記所定の空調装置が暖房運転とは異なる非暖房運転状態にある場合には、当該所定の空調装置の暖房運転を実行させ、
当該他エリア給気処理の終了後は、当該所定の空調装置を前記非暖房運転状態に復帰させることを特徴とする請求項に記載の建物の空調システム。
【請求項5】
前記切替手段としての第1切替手段に加え、前記所定の空調装置により生成される暖気を前記第1空調ダクトを通じて当該所定の空調装置の前記空調エリアに供給するか否かを切り替える第2切替手段を備え、
前記制御手段は、前記他エリア給気処理を行う前に当該所定の空調装置が暖房運転とは異なる運転状態にある場合には、当該所定の空調装置の暖房運転を実行させるともに、その暖房運転により生成される暖気が当該所定の空調装置の前記空調エリアへ供給されないよう前記第2切替手段を制御することを特徴とする請求項1,2又は4に記載の建物の空調システム。
【請求項6】
前記他の空調装置について前記除霜開始条件の成立が近づいたことを判定する判定手段を備え、
前記制御手段は、前記他の空調装置について前記除霜開始条件の成立が近づいたと判定された場合に、前記切替手段を制御して前記他エリア給気処理を開始することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の建物の空調システム。
【請求項7】
前記各空調装置がそれぞれ前記第2空調ダクトが設けられた前記所定の空調装置となっており、
前記各第2空調ダクトに対してそれぞれ前記切替手段が設けられていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の建物の空調システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の空調システムに関する。
【背景技術】
【0002】
住宅等の建物において、共通の空調装置を用いて全館空調を行う全館空調システムが知られている。例えば、特許文献1には、かかる空調システムとして、複数の空調装置により建物内の空調(冷暖房)を行うシステムが開示されている。この特許文献1の空調システムでは、空調装置として、建物の一階部分の空調を行う第1空調装置と、二階部分の空調を行う第2空調装置とが設けられている。この場合、第1空調装置は空調空気(冷気又は暖気)を生成し、その空調空気をダクトを通じて一階部分の各部屋へ供給する。これにより、一階部分の各部屋の冷暖房が行われる。また、第2空調装置は空調空気(冷気又は暖気)を生成し、その空調空気をダクトを通じて二階部分の各部屋へ供給する。これにより、二階部分の各部屋の冷暖房が行われる。
【0003】
空調装置は、室内機と室外機とを有し、それら室内機及び室外機が冷媒管を介して互いに接続されることにより構成されている。ここで、空調装置は、暖房運転時においては、室外機に内蔵された熱交換器が低温となり霜が付着することがある。熱交換器に霜が付着すると、暖房効率の低下を招くことになるため、空調装置では、霜の付着を防止するため定期的に除霜運転が行われるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-88009号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献1の空調システムにおいて、第1空調装置及び第2空調装置のいずれかで除霜運転が開始されると、その空調装置では暖房運転が停止されることになる。このため、その空調装置の空調対象とされている部屋では室温が低下するおそれがある。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、空調装置の暖房運転が除霜運転開始等に伴い停止される場合に室温が低下するのを抑制することができる建物の空調システムを提供することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決すべく、第1の発明の建物の空調システムは、室内機と室外機とを有するとともに、少なくとも暖房運転が可能とされた複数の空調装置を備え、前記各空調装置は、建物内にて互いに重複しないよう設定された各々の空調エリアを空調対象として空調を行う建物の空調システムであって、前記各空調装置ごとに設けられ、前記空調装置の暖房運転により生成される暖気を当該空調装置の前記空調エリアへ供給するための第1空調ダクトと、前記各空調装置のうち所定の空調装置に対して設けられ、当該所定の空調装置により生成される暖気を当該所定の空調装置とは異なる他の前記空調装置の前記空調エリアへ供給するための第2空調ダクトと、前記所定の空調装置により生成される暖気を前記第2空調ダクトを通じて前記他の空調装置の前記空調エリアに供給するか否かを切り替える切替手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明の空調システムでは、暖房運転と除霜運転とが可能な複数の空調装置が設けられ、それら各空調装置が各々の空調エリアを空調対象として空調を行うものとなっている。各空調装置に対してはそれぞれ第1空調ダクトが設けられており、空調装置の暖房運転時においては、その暖房運転により生成される暖気が第1空調ダクトを通じて当該空調装置の空調エリアに供給されるようになっている。これにより、各空調装置により各々の空調エリアの暖房が行われるようになっている。
【0009】
かかる空調システムにあって、本発明では、各空調装置のうち所定の空調装置に対しては、第1空調ダクトに加え、さらに第2空調ダクトが設けられている。この場合、所定の空調装置により生成される暖気をその第2空調ダクトを通じて他の空調装置の空調エリアへ供給することが可能となっている。また、他の空調装置の空調エリアへ暖気を供給するか否かは切替手段により切り替えが可能となっており、その切り替えが他の空調装置の運転状態に応じて行われるようになっている。この場合、他の空調装置で除霜運転が開始される等して暖房運転が停止される場合に、当該他の空調装置の空調エリアへ所定の空調装置から暖気を供給するよう切り替えることが可能となり、それにより、当該空調エリアの室温が低下するのを抑制することができる。これにより、空調装置の暖房運転が除霜運転等に伴い一時的に停止される場合に室温が低下するのを抑制することができる。
【0010】
第2の発明の建物の空調システムは、第1の発明において、前記他の空調装置は、その暖房運転中に所定の除霜開始条件が成立すると除霜運転を開始するようになっており、前記制御手段は、前記他の空調装置の除霜運転中において、前記所定の空調装置により生成される暖気を前記他の空調装置の前記空調エリアに供給する他エリア給気処理を行うよう前記切替手段を制御することを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、他の空調装置の除霜運転中においては、切替手段の制御により、所定の空調装置により生成される暖気が他の空調装置の空調エリアに供給される。これにより、空調装置の除霜運転に伴い空調エリアの室温が低下するのを抑制することが可能となる。
【0012】
第3の発明の建物の空調システムは、第2の発明において、前記他の空調装置について前記除霜開始条件の成立が近づいたことを判定する判定手段を備え、前記制御手段は、前記他の空調装置について前記除霜開始条件の成立が近づいたと判定された場合に、前記切替手段を制御して前記他エリア給気処理を開始することを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、他の空調装置について除霜開始条件の成立が近づいた場合に、所定の空調装置から他の空調装置の空調エリアへ暖気の供給(他エリア給気処理)が開始される。この場合、他の空調装置の除霜運転が開始する前から当該他の空調装置の空調エリアへ暖気が供給されるため、除霜運転に伴う室温の低下をより一層抑制することができる。
【0014】
第4の発明の建物の空調システムは、第2又は第3の発明において、前記他の空調装置に加え、前記所定の空調装置も、その暖房運転中に所定の除霜開始条件が成立すると除霜運転を開始するようになっており、前記他の空調装置について前記除霜開始条件の成立が近づいたことを判定する判定手段と、前記他の空調装置について前記除霜開始条件の成立が近づいたと判定された場合に、当該除霜開始条件の成立に伴い開始される当該他の空調装置の除霜運転中に前記所定の空調装置の除霜運転が開始される可能性があるか否かを予測する予測手段とを備え、前記制御手段は、前記予測手段により当該他の空調装置の除霜運転中に前記所定の空調装置の除霜運転が開始される可能性があると予測された場合には、当該他の空調装置の除霜運転を直ちに開始させることを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、他の空調装置について除霜開始条件の成立が近づいた場合に、その条件成立に伴い開始される当該他の空調装置の除霜運転中に所定の空調装置の除霜運転が開始される可能性があるか否かが予測される。そして、その予測の結果、開始される可能性がある場合には、当該他の空調装置の除霜運転が直ちに開始される。つまり、この場合、当該他の空調装置の除霜開始条件が成立するのを待つことなく、当該空調装置の除霜運転が開始される。これにより、他の空調装置の除霜運転が行われている間に所定の空調装置の除霜運転が始まって当該所定の空調装置から他の空調装置の空調エリアへ暖気を供給できなくなる事態が生じるのを回避することが可能となる。このため、他の空調装置の除霜運転に伴い室温が低下するのを確実に抑制することが可能となる。
【0016】
第5の発明の建物の空調システムは、第2乃至第4のいずれかの発明において、前記制御手段は、前記他エリア給気処理を行う前に前記所定の空調装置が暖房運転とは異なる非暖房運転状態にある場合には、当該所定の空調装置の暖房運転を実行させ、当該他エリア給気処理の終了後は、当該所定の空調装置を前記非暖房運転状態に復帰させることを特徴とする。
【0017】
本発明によれば、他エリア給気処理を行う前に所定の空調装置が暖房運転とは異なる運転状態(非暖房運転状態)にある場合には当該所定の空調装置の暖房運転が実行され、その後、他エリア給気処理(つまり、上記暖房運転により生成される暖気を他の空調装置の空調エリアへ供給する処理)が行われることになる。そして、他エリア給気処理の終了後は、所定の空調装置が他エリア給気処理の実施前の状態である非暖房運転状態に戻される。これにより、他エリア給気処理の前に所定の空調装置が非暖房運転状態にある場合には、他エリア給気処理の際に一時的に暖房運転に移行されるだけで、所定の空調装置の空調エリアに大きな影響を与えることを回避することができる。なお、非暖房運転状態としては、送風運転の状態、除湿運転の状態、運転停止の状態等が挙げられる。
【0018】
第6の発明の建物の空調システムは、第2乃至第5のいずれかの発明において、前記切替手段としての第1切替手段に加え、前記所定の空調装置により生成される暖気を前記第1空調ダクトを通じて当該所定の空調装置の前記空調エリアに供給するか否かを切り替える第2切替手段を備え、前記制御手段は、前記他エリア給気処理を行う前に当該所定の空調装置が暖房運転とは異なる運転状態にある場合には、当該所定の空調装置の暖房運転を実行させるともに、その暖房運転により生成される暖気が当該所定の空調装置の前記空調エリアへ供給されないよう前記第2切替手段を制御することを特徴とする。
【0019】
本発明によれば、他エリア給気処理を行う前に所定の空調装置が暖房運転とは異なる運転状態(非暖房運転状態)にある場合には、当該所定の空調装置の暖房運転が実行されるとともに、その暖房運転により生成される暖気が当該所定の空調装置の空調エリアへ供給されないようにされる。この場合、他エリア給気処理の際、所定の空調装置により生成される暖気が他の空調エリアにのみ供給されるため、当該空調エリアの室温低下をより一層抑制することができる。
【0020】
第7の発明の建物の空調システムは、第1乃至第6のいずれかの発明において、前記各空調装置がそれぞれ前記第2空調ダクトが設けられた前記所定の空調装置となっており、前記各第2空調ダクトに対してそれぞれ前記切替手段が設けられていることを特徴とする。
【0021】
本発明によれば、各空調装置(所定の空調装置)それぞれに第2空調ダクトが設けられているため、各空調装置それぞれにおいて、空調装置により生成される暖気を他の空調装置の空調エリアに供給することが可能となる。これにより、空調装置の除霜運転時にその空調エリアの室温が低下するのを抑制する効果を、各空調装置の空調エリアそれぞれで得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】空調システムが設けられた建物を示す図。
図2】空調チャンバの内部構成を示す断面図。
図3】空調システムの電気的構成を示す図。
図4】暖房制御処理を示すフローチャート。
図5】第2除霜運転時処理を示すフローチャート。
図6】他の実施形態における空調システムが設けられた建物を示す図。
図7】他の実施形態における空調システムが設けられた建物を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本発明を具体化した一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、図1は空調システムが設けられた建物を示す図である。
【0024】
図1に示すように、住宅等の建物10は、二階建ての建物とされている。建物10は、基礎11上に設けられた下階部としての一階部分12と、その一階部分12の上に設けられた上階部としての二階部分13と、その二階部分13の上に設けられた屋根部14とを備える。屋根部14は、例えば切り妻式の屋根により構成されている。
【0025】
建物10の一階部分12には、複数の部屋16~19が設けられている。これらの部屋16~19のうち、部屋16~18は、例えばリビングやダイニング、和室、寝室等からなる。また、部屋19は、空調装置51の室内機51aが設置される機械室19となっている。機械室19は、その天井が下がり天井により形成されている。これらの部屋16~19は間仕切壁21により互いに仕切られている。間仕切壁21は、対向する一対の壁面材22を有して構成され、これら各壁面材22の間には壁内空間23が形成されている。図1では便宜上、各部屋17,18の間の間仕切壁21についてのみ、各壁面材22及び壁内空間23を示している。
【0026】
建物10の二階部分13にも、一階部分12と同様、複数の部屋26,27が設けられている。これらの部屋26,27は間仕切壁31により仕切られている。間仕切壁31は、対向する一対の壁面材32を有して構成され、これら壁面材32の間には壁内空間33が形成されている。
【0027】
一階部分12には、一階床部35と一階天井部36とが設けられている。一階床部35は、床面材を有して構成され、その下方には床下空間38が形成されている。床下空間38は、その周囲が基礎11(外周基礎)によって囲まれている。また、一階天井部36は、天井面材を有して構成されている。
【0028】
二階部分13には、二階床部41と二階天井部42とが設けられている。二階床部41は床面材を有して構成され、その下方の一階天井部36との間には階間空間43が形成されている。二階天井部42は、天井面材を有して構成され、その上方には屋根部14の屋根裏空間45が形成されている。
【0029】
建物10には、全館式の空調システムが設けられている。以下においては、その空調システムの構成について説明する。
【0030】
空調システムは、2つの空調装置51,52を備えている。各空調装置51,52は、いずれもヒートポンプ式の装置となっており、冷房運転及び暖房運転を行うことが可能となっている。また、各空調装置51,52は、冷暖房運転の他に、送風運転や除湿運転を行うことが可能となっている。
【0031】
各空調装置51,52のうち、第1空調装置51は、一階部分12の部屋16~18を空調対象として空調(冷暖房)を行うものである。また、第2空調装置52は、二階部分13の部屋26,27を空調対象として空調(冷暖房)を行うものである。この場合、一階部分12の部屋16~18が第1空調装置51の空調エリアとなっており、二階部分13の部屋26,27が第2空調装置52の空調エリアとなっている。なお、以下では、第1空調装置51の空調エリアとなっている各部屋16~18を一階部屋16~18ともいい、第2空調装置52の空調エリアとなっている各部屋26,27を二階部屋26,27ともいう。また、この場合、第1空調装置51にとっては、二階部屋26,27が「他の空調装置の空調エリア」に相当し、第2空調装置52にとっては、一階部屋16~18が「他の空調装置の空調エリア」に相当する。
【0032】
第1空調装置51は、室内機51aと室外機51bとを有しており、これら室内機51aと室外機51bとが冷媒管51cを介して互いに接続されることにより構成されている。室内機51aは、一階部分12の機械室19に設置され、室外機51bは、屋外に設置されている。また、冷媒管51cは床下空間38を通じて配設され、図1では便宜上点線で示している。
【0033】
室内機51aは、機械室19内の空気を取り込みその空気を温度調整することで空調空気(冷気又は暖気)を生成する。具体的には、室内機51aには熱交換器(図示略)が内蔵され、その熱交換器が冷媒管51cと接続されている。室内機51aでは、その熱交換器において、内部を流れる冷媒と機械室19から取り込んだ空気との間で熱交換が行われ、その熱交換により上記取り込んだ空気が温度調整され空調空気(冷気又は暖気)が生成される。
【0034】
なお、室外機51bにも、室内機51aと同様、熱交換器(図示略)が内蔵され、その熱交換器が冷媒管51cと接続されている。この場合、その熱交換器において、内部を流れる冷媒と屋外空気との間で熱交換が行われる。例えば、第1空調装置51の暖房運転時には、熱交換器において冷媒が屋外空気から熱を吸収する。つまり、この場合、熱交換器が蒸発器として用いられる。
【0035】
室内機51aは、床下空間38に設置された空調チャンバ54と接続されている。空調チャンバ54には、複数の空調ダクト55が接続されている。これら各空調ダクト55はいずれも床下空間38に配設され、一階床部35に設けられた吹出口56に接続されている。これら各吹出口56は、一階部分12の各部屋16~18に設けられている。なお、空調ダクト55が第1空調ダクトに相当する。
【0036】
第1空調装置51の室内機51aにより生成される空調空気(冷気又は暖気)は空調チャンバ54及び各空調ダクト55を通じて各吹出口56に供給され、それら吹出口56より各一階部屋16~18に吹き出される。これにより、それら吹き出された空調空気により、各一階部屋16~18の冷暖又は暖房が行われる。
【0037】
第2空調装置52は、第1空調装置51と同様、室内機52aと室外機52bとを有しており、これら室内機52aと室外機52bとが冷媒管52cを介して互いに接続されることにより構成されている。室内機52aは、屋根部14の屋根裏空間45に設置され、室外機52bは、屋外において第1空調装置51の室外機51bと並んで設置されている。また、冷媒管52cは、間仕切壁21,31の壁内空間23,33、階間空間53及び床下空間38を通じて配設され、図1では便宜上点線にて示している。
【0038】
室内機52aは、屋根裏空間45の空気を取り込みその空気を温度調整することで空調空気(冷気又は暖気)を生成する。具体的には、室内機52aには熱交換器(図示略)が内蔵され、その熱交換器が冷媒管52cと接続されている。室内機52aでは、その熱交換器において、内部を流れる冷媒と屋根裏空間45から取り込んだ空気との間で熱交換が行われ、その熱交換により上記取り込んだ空気が温度調整され空調空気(冷気又は暖気)が生成される。
【0039】
なお、室外機52bにも、室内機52aと同様、熱交換器(図示略)が内蔵され、その熱交換器が冷媒管52cと接続されている。この場合、その熱交換器において、内部を流れる冷媒と屋外空気との間で熱交換が行われる。例えば、第2空調装置52の暖房運転時には、熱交換器において冷媒が屋外空気から熱を吸収する。つまり、この場合、熱交換器が蒸発器として用いられる。
【0040】
室外機52bは、屋根裏空間45に設置された空調チャンバ57と接続されている。空調チャンバ57には、複数の空調ダクト58が接続されている。これら各空調ダクト58はいずれも屋根裏空間45に配設され、二階天井部42に設けられた吹出口59に接続されている。これら各吹出口59は、二階部分13の各部屋26,27に設けられている。なお、空調ダクト58が第1空調ダクトに相当する。
【0041】
第2空調装置52の室内機52aにより生成される空調空気(冷気又は暖気)は空調チャンバ57及び各空調ダクト58を通じて各吹出口59に供給され、それら吹出口59より各二階部屋26,27に吹き出される。これにより、それら吹き出された空調空気により、各二階部屋26,27の冷房又は暖房が行われる。
【0042】
ここで、第1空調装置51及び第2空調装置52では、その暖房運転時において室外機51b,52bの熱交換器に霜が付着するのを防止すべく、定期的に除霜運転が行われるようになっている。これら各空調装置51,52では、除霜運転が開始される除霜開始条件が予め定められており、その除霜開始条件になると暖房運転から除霜運転に運転状態が切り替えられるようになっている。
【0043】
空調装置51,52の除霜運転時には、冷媒管51c,52c(詳しくは冷媒管51c,52cと室内機51a,52a及び室外機51b,52bの各熱交換器とを含む冷媒回路)を流れる冷媒の流れ向きが暖房運転時とは逆向きとされる。このため、空調装置51,52の暖房運転時には室外機51b,52bの熱交換器が蒸発器として用いられるのに対し、除霜運転時には凝縮器として用いられる。これにより、除霜運転時には、室外機51b,52bの熱交換器の表面温度が高くなり、それにより当該熱交換器に付着する霜が溶かされるようになっている。
【0044】
各空調装置51,52の除霜開始条件は、室外機51b,52bの熱交換器を流れる冷媒の温度によって規定されている。すなわち、室外機51b,52bの熱交換器を流れる冷媒の温度が予め定められた除霜開始温度以下になると、空調装置51,52において除霜運転が開始されるようになっている。具体的には、第1空調装置51の室外機51bには、その熱交換器における冷媒の温度を検知する温度センサ71が設けられ、第2空調装置52の室外機52bには、その熱交換器における冷媒の温度を検知する温度センサ72が設けられている。そして、温度センサ71により検知された冷媒温度が除霜開始温度以下となると、第1空調装置51において除霜運転が開始され、温度センサ72により検知された冷媒温度が除霜開始温度以下となると、第2空調装置52において除霜運転が開始されるようになっている。なお、本実施形態では、各空調装置51,52の除霜開始温度がいずれも同じ温度となっており、以下では除霜開始温度Taという。また、各空調装置51,52の除霜開始温度を異なる温度としてもよい。
【0045】
ところで、上記の空調システム50では、各空調装置51,52のうちいずれかで除霜運転が開始されると、その空調装置51,52においては暖房運転が停止されることになる。このため、その空調装置51,52の空調エリアでは、室温が低下することが想定される。そこで、本空調システム50では、このような点に鑑み、第1空調装置51により生成される暖気を第2空調装置52の空調エリアである二階部屋27へと供給するための構成と、第2空調装置52により生成される暖気を第1空調装置51の空調エリアである一階部屋16,18へと供給するための構成とを設けている。以下においては、これらの構成について詳しく説明する。
【0046】
まず、第1空調装置51により生成された暖気を二階部屋27へ供給するための構成について説明する。
【0047】
空調チャンバ54には、空調ダクト55に加え、複数の空調ダクト61が接続されている。これら各空調ダクト61は、床下空間38から間仕切壁21の壁内空間23を通じて階間空間43へと延びている。各空調ダクト61は、二階床部41に設けられた吹出口62に接続されている。これら各吹出口62はいずれも、二階部屋27に設けられている。
【0048】
かかる構成によれば、第1空調装置51の暖房運転時において、同装置51(詳しくは室内機51a)により生成される暖気を空調チャンバ54及び空調ダクト61を通じて吹出口62に供給し、その吹出口62より二階部屋27に吹き出すことが可能となる。このため、第1空調装置51により、第2空調装置52の空調エリアである二階部屋27の暖房を行うことが可能となる。なお、この場合、空調ダクト61が第2空調ダクトに相当し、その空調ダクト61が設けられた第1空調装置51が「所定の空調装置」に相当する。
【0049】
続いて、空調チャンバ54の内部構成について図2に基づいて説明する。図2は、空調チャンバ54の内部構成を示す断面図である。
【0050】
図2に示すように、空調チャンバ54には、各空調ダクト55,61が接続されるダクト接続口54aが設けられている。これら各ダクト接続口54aには空調ダクト55,61がそれぞれ接続されている。また、空調チャンバ54には、第1空調装置51の室内機51aに接続される室内機接続口54bも設けられている。
【0051】
空調チャンバ54には、各ダクト接続口54aごとに、ダクト接続口54aを開閉する開閉装置63が設けられている。開閉装置63は、例えばダンパ装置として構成されている。開閉装置63は、空調チャンバ54に回転可能に軸支された開閉板63aと、その開閉板63aを回転駆動する駆動部63b(図3参照)とを有している。開閉装置63では、駆動部63bにより開閉板63aが回転駆動されることで、その開閉板63aによりダクト接続口54aが開閉されるようになっている。
【0052】
ここで、各ダクト接続口54aには、空調ダクト55が接続されているダクト接続口54aと、空調ダクト61が接続されているダクト接続口54aとが含まれている。以下の説明では、前者のダクト接続口54aに対して設けられた開閉装置63の符号にAを付し、後者のダクト接続口54aに対して設けられた開閉装置63の符号にBを付す。また、図2では、これら各開閉装置63A,63Bの区別をし易くするため、開閉装置63Bの開閉板63aにドットハッチを付して示している。
【0053】
上記の構成によれば、第1空調装置51の暖房運転時において、各開閉装置63A(開閉板63a)によりダクト接続口54aが開放されると、第1空調装置51の室内機51aにより生成された暖気が室内機51aから空調チャンバ54を介して各空調ダクト55に流れ込む(図2の矢印参照)。そして、それら流れ込んだ暖気が各空調ダクト55を通じて各一階部屋16~18に供給される。したがって、この場合、その暖気により各一階部屋16~18の暖房が行われる。
【0054】
それに対し、各開閉装置63Aによりダクト接続口54aが閉鎖されると、暖気が空調チャンバ54から各空調ダクト55に流れることが禁止され、ひいては各空調ダクト55を通じて各一階部屋16~18へ供給されることが禁止される。したがって、この場合、各一階部屋16~18の暖房が行われないことになる。このように、各開閉装置63Aの開閉により、各一階部屋16~18へ暖気を供給するか否か、つまりは各一階部屋16~18の暖房を行うか否かを切り替えることが可能となっている。なお、この場合、各開閉装置63Aが第2切替手段に相当する。
【0055】
また、第1空調装置51の暖房運転時において、各開閉装置63B(開閉板63a)によりダクト接続口54aが開放されると、第1空調装置51の室内機51aにより生成された暖気が室内機51aから空調チャンバ54を介して各空調ダクト61に流れ込む。そして、それら流れ込んだ暖気が各空調ダクト61を通じて二階部屋27へと供給される。したがって、この場合、その暖気により二階部屋27の暖房が行われる。
【0056】
それに対し、各開閉装置63Bによりダクト接続口54aが閉鎖されると、暖気が空調チャンバ54から各空調ダクト61に流れることが禁止され、ひいては各空調ダクト61を通じて二階部屋27へ供給されることが禁止される。したがって、この場合、二階部屋27の暖房が行われないことになる。このように、各開閉装置63Bの開閉により、暖気を二階部屋27へ供給するか否か、つまりは二階部屋27の暖房を行うか否かを切り替えることが可能となっている。なお、この場合、各開閉装置63Bが切替手段及び第1切替手段に相当する。
【0057】
続いて、第2空調装置52により生成された暖気を一階部屋16,18へ供給するための構成について説明する。
【0058】
図1に示すように、空調チャンバ57には、空調ダクト58に加え、複数の空調ダクト66が接続されている。これら各空調ダクト66は、屋根裏空間45から間仕切壁31の壁内空間33を通じて階間空間43へ延びている。各空調ダクト66は、一階天井部36に設けられた吹出口67に接続されている。これら各吹出口67は、一階部屋16,18に設けられている。
【0059】
かかる構成によれば、第2空調装置52の暖房運転時において、同装置52(詳しくは室内機52a)により生成される暖気を空調チャンバ57及び空調ダクト66を通じて吹出口67に供給し、その吹出口67より各一階部屋16,18に吹き出すことが可能となる。このため、その暖気により各一階部屋16,18の暖房を行うことが可能となる。なお、この場合、空調ダクト66が第2空調ダクトに相当し、その空調ダクト66が設けられた第2空調装置52が「所定の空調装置」に相当する。
【0060】
また、図示は省略するが、空調チャンバ57の内部には、上述した空調チャンバ54(図2参照)と同様の構成が設けられている。すなわち、空調チャンバ57の内部にも、各空調ダクト58,66にそれぞれ対応させて複数の開閉装置68(図3参照)が設けられている。各開閉装置68のうち、開閉装置68Aは空調ダクト58に対応させて設けられ、開閉装置68Bは空調ダクト66に対応させて設けられている。
【0061】
この場合、第2空調装置52の暖房運転時において、各開閉装置68Aの開閉により、同装置52の室内機52aにより生成される暖気を空調ダクト58を通じて各二階部屋26,27に供給するか否かを切り替えることが可能となっている。つまり、各二階部屋26,27の暖房を行うか否かを切り替えることが可能となっている。なお、この場合、各開閉装置68Aが第2切替手段に相当する。
【0062】
また、第2空調装置52の暖房運転時において、各開閉装置68Bの開閉により、同装置52の室内機52aにより生成される暖気を空調ダクト66を通じて各一階部屋16,18に供給するか否かを切り替えることが可能となっている。つまり、各一階部屋16,18の暖房を行うか否かを切り替えることが可能となっている。なお、この場合、各開閉装置68Bが切替手段及び第1切替手段に相当する。
【0063】
続いて、空調システム50の電気的構成について図3に基づいて説明する。図3は、空調システム50の電気的構成を示す図である。
【0064】
図3に示すように、空調システム50は、制御手段としてのコントローラ70を備える。コントローラ70は、CPU等を有する周知のマイクロコンピュータを主体に構成され、例えば機械室19の壁面に設けられている。また、コントローラ70は、記憶部70aを有している。記憶部70aには、各空調装置51,52の運転状態等が記憶されるようになっている。
【0065】
コントローラ70には、各温度センサ71,72が接続されている。コントローラ70には、これら各温度センサ71,72から逐次検知結果が入力される。
【0066】
また、コントローラ70には、各空調装置51,52が接続されているとともに、各開閉装置63,68が接続されている。コントローラ70は、各温度センサ71,72からの検知結果に基づき、各空調装置51,52の運転制御を行うとともに、各開閉装置63,68の開閉制御を行う。
【0067】
次に、コントローラ70により実行される暖房制御処理について図4に基づき説明する。図4は、暖房制御処理を示すフローチャートである。なお、本処理は、所定の周期で繰り返し実行される。
【0068】
図4に示すように、まずステップS11では、第1空調装置51が暖房運転中であるか否かを判定する。第1空調装置51が暖房運転中でない場合、例えば第1空調装置51が運転停止中であったり、送風運転や除湿運転等、暖房運転以外の運転を実施していたりする場合にはステップS13に進む。一方、第1空調装置51が暖房運転中である場合には、ステップS12に進む。
【0069】
ステップS12では、温度センサ71からの検知結果に基づいて、第1空調装置51について除霜開始条件の成立が近づいたか否かを判定する(判定手段に相当)。この判定は、例えば温度センサ71により検知された室外機51b(熱交換器)の冷媒温度が除霜開始温度Taよりも所定温度だけ高い除霜開始前温度まで下がったか否かに基づき行う。室外機51bの冷媒温度が除霜開始前温度まで下がった場合には、第1空調装置51について除霜開始条件の成立が近づいたと判定してステップS16に進む。
【0070】
ステップS16では、第1除霜運転時処理を行う。この処理は、除霜開始条件の成立が近づいた第1空調装置51の空調エリアである一階部屋16,18に、第2空調装置52により生成される暖気を空調ダクト66を通じて供給するための処理である。この第1除霜運転時処理を行った後、本処理を終了する。
【0071】
先のステップS12において、第1空調装置51について除霜開始条件の成立が近づいていない場合には、ステップS13に進む。ステップS13では、第2空調装置52が暖房運転中であるか否かを判定する。第2空調装置52が暖房運転中でない場合には本処理を終了し、暖房運転中である場合にはステップS14に進む。
【0072】
ステップS14では、温度センサ72からの検知結果に基づいて、第2空調装置52について除霜開始条件の成立が近づいたか否かを判定する(判定手段に相当)。この判定は、例えば温度センサ72により検知された室外機52b(熱交換器)の冷媒温度が除霜開始温度Taよりも所定温度だけ高い除霜開始前温度まで下がったか否かに基づき行う。室外機52bの冷媒温度が除霜開始前温度まで下がった場合には第2空調装置52について除霜開始条件の成立が近づいたと判定してステップS15に進む。一方、室外機52bの冷媒温度が除霜開始前温度まで下がっていない場合には第2空調装置52について除霜開始条件の成立が近づいていないと判定して本処理を終了する。
【0073】
ステップS15では、第2除霜運転時処理を行う。この処理は、除霜開始条件の成立が近づいた第2空調装置52の空調エリアである二階部屋27に、第1空調装置51により生成される暖気を空調ダクト61を通じて供給するための処理である。この第2除霜運転時処理を行った後、本処理を終了する。
【0074】
続いて、ステップS15,S16の各除霜運転時処理のうち、ステップS15の第2除霜運転時処理について説明する。図5は、第2除霜運転時処理を示すフローチャートである。以下においては、この図5に基づいて本処理の説明を行う。なお、ステップS16の第1除霜運転時処理は、基本的に、第2除霜運転時処理と処理の内容が同じとなっているため、その説明を割愛することとする。
【0075】
図5に示すように、まずステップS21では、第1空調装置51が暖房運転中であるか否かを判定する。第1空調装置51が暖房運転中である場合にはステップS25に進み、第1空調装置51が暖房運転中でない場合、つまり暖房運転とは異なる運転状態(非暖房運転状態)にある場合にはステップS22に進む。
【0076】
ステップS22では、第1空調装置51の運転状態を記憶部70aに記憶する。第1空調装置51が暖房運転中でない場合、第1空調装置51は、送風運転の状態、除湿運転の状態、又は運転停止の状態にあると考えられる。したがって、本ステップでは、第1空調装置51がこれら各運転状態(非暖房運転状態)のうちいずれの状態にあるかを記憶部70aに記憶する。
【0077】
ステップS23では、第1空調装置51の暖房運転を実行させる。これにより、第1空調装置51の室内機51aにより暖気が生成される。
【0078】
続くステップS24では、各開閉装置63Aについて駆動部63bを駆動させることで開閉板63aを閉状態とする。これにより、第1空調装置51の室内機51aにより生成される暖気が空調ダクト55を通じて一階部屋16~18へ供給されることが禁止される。つまり、この場合、第1空調装置51により生成される暖気が同装置51の空調エリアである一階部屋16~18へ供給されることが禁止される。
【0079】
ステップS25では、各開閉装置63Bについて駆動部63bを駆動させることで開閉板63aを開状態とする。これにより、第1空調装置51の室内機51aにより生成される暖気が空調ダクト61を通じて二階部屋27へ供給される二階部屋給気処理(他エリア給気処理に相当)が行われる(開始される)。この場合、第1空調装置51により生成される暖気が第2空調装置52の空調エリアである二階部屋27へと供給される。
【0080】
ステップS26では、第2空調装置52の除霜運転が行われる除霜運転期間を予測する。具体的には、第2空調装置52が除霜開始条件の成立に伴い除霜運転を開始する運転開始時から、その除霜運転が終了する運転終了時までの間の期間(除霜運転期間)を予測する。この予測は、例えば温度センサ72により検知された室外機52bの冷媒温度に基づき行う。
【0081】
ステップS27では、第1空調装置51の除霜運転が開始される除霜運転開始時期を予測する。この予測は、例えば温度センサ71により検知された室外機51bの冷媒温度に基づき行う。
【0082】
ステップS28では、ステップS26及びステップS27の予測結果に基づいて、除霜開始条件の成立に伴い開始される第2空調装置52の除霜運転中に第1空調装置51の除霜運転が開始される可能性があるか否かを判定(予測)する(予測手段に相当)。第2空調装置52の除霜運転中に第1空調装置51の除霜運転が開始される可能性がない場合にはステップS29に進む。
【0083】
ステップS29では、温度センサ72により検知された室外機52bの冷媒温度に基づき、第2空調装置52の除霜開始条件が成立したか否かを判定する。つまり、この場合、温度センサ72により検知された冷媒温度が除霜開始温度Taまで下がったか否かを判定する。第2空調装置52の除霜開始条件が成立した場合にはステップS30に進み、第2空調装置52の除霜運転を実行させる。これにより、第2空調装置52は、暖房運転状態から除霜運転状態に切り替わる。一方、第2空調装置52の除霜開始条件が成立していない場合には除霜開始条件が成立するまでステップS29の処理を繰り返し行う。
【0084】
先のステップS28において、第2空調装置52の除霜運転中に第1空調装置51の除霜運転が開始される可能性がある場合には、ステップS30に進み、第2空調装置52の除霜運転を直ちに実行させる。この場合、第2空調装置52の除霜開始条件が成立するのを待つことなく、第2空調装置52の除霜運転が開始される。
【0085】
ステップS31では、温度センサ72により検知された室外機52bの冷媒温度に基づき、第2空調装置52の除霜終了条件が成立したか否かを判定する。例えば、室外機52bの冷媒温度が予め定められた除霜終了温度以上になると、除霜終了条件が成立したと判定する。本ステップでは、除霜終了条件が成立したか否かの判定を、除霜終了条件が成立するまで繰り返し行う。そして、除霜終了条件が成立するとステップS32に進む。
【0086】
ステップS32では、第2空調装置52の暖房運転を実行させる。これにより、第2空調装置52は、除霜運転状態から暖房運転状態に切り替わる。
【0087】
ステップS33では、各開閉装置63Bについて駆動部63bを駆動させることで開閉板63aを閉状態とする。これにより、第1空調装置51(室内機51a)により生成される暖気が空調ダクト61を通じて二階部屋27へ供給されることが禁止される。つまり、これにより、ステップS25において開始された二階部屋給気処理が終了される。
【0088】
ステップS34では、二階部屋給気処理が開始される前(ステップS25よりも前)に、第1空調装置51が暖房運転中であったか否かを判定する。この判定は、ステップS21の判定結果に基づいて行う。第1空調装置51が暖房運転中であった場合には本処理を終了する。第1空調装置51が暖房運転中でなかった場合、つまり第1空調装置51が暖房運転とは異なる非暖房運転状態にあった場合にはステップS35に進む。
【0089】
ステップS35では、第1空調装置51を二階部屋給気処理が開始される前の運転状態(非暖房運転状態)に戻す処理を行う。この処理では、第1空調装置51の運転状態を記憶部40aに記憶されている運転状態(非暖房運転状態)に戻す。これにより、第1空調装置51が、暖房運転状態から非暖房運転状態に切り替わる。なお、第1空調装置51の運転状態を除湿運転状態又は送風運転状態に戻す場合には、各開閉装置63Aの開閉板63aを開状態として、同装置51(室内機51a)により生成される空調空気(除湿空気又は送風空気)が空調ダクト55を通じて一階部屋16~18へ供給されるようにする。その後、本処理を終了する。
【0090】
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0091】
空調システム50を、一階部屋16~18(空調エリアに相当)の空調を行う第1空調装置51と、二階部屋26,27(空調エリアに相当)の空調を行う第2空調装置52とを備える構成とし、第1空調装置51により生成される暖気については空調ダクト55を通じて一階部屋16~18に供給するようにし、第2空調装置52により生成される暖気については空調ダクト58を通じて二階部屋26,27に供給するようにした。これにより、各空調装置51,52により各々の空調エリア(具体的には、一階部屋16~18,二階部屋26,27)の暖房が行われる。
【0092】
そして、かかる空調システム50にあって、第1空調装置51に対して、空調ダクト55に加えて、空調ダクト61を設け、第1空調装置51により生成される暖気をその空調ダクト61を通じて第2空調装置52の空調エリアである二階部屋27に供給可能とした。また、開閉装置63Bの開閉により、第1空調装置51により生成される暖気を二階部屋27に供給するか否かを切替可能とした。この場合、第2空調装置52の除霜運転時においては、第1空調装置51から暖気を二階部屋27に供給するよう切り替えることで、二階部屋27の室温が低下するのを抑制することができる。
【0093】
これと同様に、第2空調装置52に対しては、空調ダクト58に加えて、空調ダクト66を設け、第2空調装置52により生成される暖気をその空調ダクト66を通じて第1空調装置51の空調エリアである一階部屋16,18に供給可能とした。また、開閉装置68Bの開閉により、第2空調装置52により生成される暖気を一階部屋16,18に供給するか否かを切替可能とした。この場合、第1空調装置51の除霜運転時においては、第2空調装置52から暖気を一階部屋16,18に供給するよう切り替えることで、一階部屋16,18の室温が低下するのを抑制することができる。
【0094】
以上より、本空調システム50によれば、各空調装置51,52のうちいずれの空調装置がその暖房運転中に除霜運転を開始した場合にも(つまりは除霜運転開始に伴い暖房運転が一時的に停止された場合にも)、室温が低下するのを抑制することができる。
【0095】
また、本空調システム50では、第1空調装置51の除霜運転に際し行われる第1除霜運転時処理(ステップS16)と、第2空調装置52の除霜運転に際し行われる第2除霜運転時処理(ステップS15)とによって、優れた作用効果を奏するものとなっている。上述したように、これら各除霜運転時処理は、基本的に同様の処理となっており、そのため、これら各除霜運転時処理により奏する作用効果も基本的に同じものとなっている。したがって、以下においては、各除霜運転時処理のうち、第2除霜運転時処理により奏する作用効果について説明を行い、第1除霜運転時処理により奏する作用効果については説明を割愛することとする。
【0096】
第2空調装置52(他の空調装置に相当)の除霜運転中においては、開閉装置63Bを開閉制御することで、第1空調装置51(所定の空調装置に相当)により生成される暖気を第2空調装置52の空調エリアである二階部屋27に供給する二階部屋給気処理(他エリア給気処理に相当)を行うようにした。これにより、第2空調装置52の除霜運転に伴い二階部屋27の室温が低下するのを好適に抑制することができる。
【0097】
第2空調装置52について除霜開始条件の成立が近づいた場合に、二階部屋給気処理を開始するようにした。この場合、第2空調装置52の除霜運転が開始する前から、第1空調装置51より二階部屋27へ暖気が供給されるため、第2空調装置52の除霜運転に伴い二階部屋27の室温が低下するのをより一層抑制することができる。
【0098】
第2空調装置52について除霜開始条件の成立が近づいた場合に、その条件成立に伴い開始される第2空調装置52の除霜運転中に第1空調装置51の除霜運転が開始される可能性があるか否かを予測するようにした。そして、その予測の結果、開始される可能性がある場合には、第2空調装置52の除霜運転を直ちに開始するようにした。つまり、第2空調装置52の除霜開始条件が成立するのを待つことなく、第2空調装置52の除霜運転を直ちに開始するようにした。これにより、第2空調装置52の除霜運転が行われている間に第1空調装置51の除霜運転が始まって第1空調装置51から二階部屋27へ暖気を供給できなくなる事態が生じるのを回避することが可能となる。このため、第2空調装置52の除霜運転に伴い室温が低下するのを確実に抑制することが可能となる。
【0099】
二階部屋給気処理を行う前に第1空調装置51が暖房運転とは異なる運転状態(非暖房運転状態)にある場合には第1空調装置51の暖房運転を実行し、その後、二階部屋給気処理を行うようにした。そして、二階部屋給気処理を終了した後は、第1空調装置51を二階部屋給気処理の実施前の運転状態(非暖房運転状態)に戻すようにした。これにより、二階部屋給気処理の前に第1空調装置51が非暖房運転状態にある場合には、二階部屋給気処理を行う際に一時的に第1空調装置51が暖房運転に移行されるだけで、同装置51の空調エリアである一階部屋16~18に大きな影響を与えることを回避できる。
【0100】
二階部屋給気処理を行う前に第1空調装置51が暖房運転とは異なる運転状態(非暖房運転状態)にある場合には第1空調装置51の暖房運転を実行するとともに、その暖房運転により生成される暖気が第1空調装置51の空調エリアである一階部屋16~18へ供給されないよう開閉装置63Aを開閉制御するようにした。この場合、二階部屋給気処理の際、第1空調装置51により生成される暖気が二階部屋27にのみ供給されるため、二階部屋27の室温低下をより一層抑制することができる。
【0101】
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
【0102】
(1)上記実施形態では、第1空調装置51により生成される暖気を第2空調装置52の空調エリアである二階部屋27に供給するための空調ダクト61(第2空調ダクトに相当)と、第2空調装置52により生成される暖気を第1空調装置51の空調エリアである一階部屋16,18に供給するための空調ダクト66(第2空調ダクトに相当)とをそれぞれ設けたが、これら各空調ダクト61,66のうちいずれか一方だけ設けるようにしてもよい。
【0103】
(2)上記実施形態では、第1空調装置51により生成される暖気を第2空調装置52の空調エリア(二階部屋27)に供給する空調ダクト61を複数設けたが、かかる空調ダクト61を1つだけ設けるようにしてもよい。これと同様に、上記実施形態では、第2空調装置52により生成される暖気を第1空調装置51の空調エリア(一階部屋16,18)に供給する空調ダクト66を複数設けたが、かかる空調ダクト66を1つだけ設けるようにしてもよい。
【0104】
(3)上記実施形態では、コントローラ70により、第2空調装置52の除霜運転中において、二階部屋給気処理が自動で行われるようにしたが、ユーザによる操作部(リモコン等)の操作に基づいて二階部屋給気処理が行われるようにしてもよい。
【0105】
(4)ところで、第2空調装置52の暖房運転が一時的に停止されるのは必ずしも除霜運転開始に伴う場合に限られない。例えば、第2空調装置52の暖房運転中に、フィルタ等の汚れがたまって掃除モードが自動開始されることにより、暖房運転が停止される場合も考えられる。そこで、第2空調装置52がかかるモードで運転を開始した場合に、第1空調装置51により生成される暖気を第2空調装置52の空調エリアである二階部屋27に供給する処理(二階部屋給気処理)を行うようにしてもよい。その場合にも、空調装置の暖房運転が一時的に停止されることにより室温が低下するのを抑制することができる。
【0106】
(5)上記実施形態では、2つの空調装置51,52を備える空調システム50に本発明を適用した場合について説明したが、3つ以上の空調装置を備える空調システムに本発明を適用してもよい。例えば、3つの空調装置を備える空調システムに本発明を適用する場合について説明すると、かかる空調システムでは、3つの空調装置が、互いに重複しないよう設定された各々の空調エリアを空調対象として空調を行うものとなっている。そして、このような構成にあって、3つの空調装置のうち少なくともいずれかの空調装置(以下、所定の空調装置という)に対して、当該空調装置により生成される暖気を当該空調装置とは異なる他の空調装置の空調エリアへ供給するための空調ダクト(第2空調ダクトに相当)を設けるようにする。この場合においても、他の空調装置の除霜運転時においては、上記所定の空調装置により生成される暖気を上記空調ダクトを通じて他の空調装置の空調エリアへ供給することができる。そのため、除霜運転に伴う室温の低下を抑制することができる。
【0107】
(6)第1空調装置51により生成される暖気を二階部屋へと供給する空調ダクト61と、第2空調装置52により生成される暖気を一階部屋へと供給する空調ダクト66とについて、その建物10内における取り回しを上記実施形態と異ならせてもよい。その場合の例を図6に基づいて説明する。
【0108】
まず、第1空調装置51より二階部屋へ暖気を供給する空調ダクトについて説明する。図6の例では、第1空調装置51側の空調チャンバ54に空調ダクト61に代えて、空調ダクト81が接続されている。この空調ダクト81は、床下空間38から一階部分12の壁内空間23を通じて階間空間43へ延びており、その階間空間43から二階部分13の壁内空間33を通じて屋根裏空間45へ延びている。空調ダクト81は、二階部屋26の天井部に設けられた吹出口82に接続されている。この場合、第2空調装置52の除霜運転時に、第1空調装置51(詳しくは室内機51a)により生成された暖気を空調ダクト81及び吹出口82を介して二階部屋26へと供給することが可能となる。そのため、第2空調装置52の除霜運転時に、二階部屋26の室温が低下するのを抑制することが可能となる。
【0109】
また、図6の例では、吹出口82に、上記空調ダクト81に加え、第2空調装置52側の空調チャンバ57に接続された空調ダクト83が接続されている。この場合、第2空調装置52(室内機52a)により生成された暖気を空調ダクト83及び吹出口82を介して二階部屋26に供給することが可能となる。かかる構成では、吹出口82が第1空調装置51により生成された暖気の吹出口としてだけでなく、第2空調装置52により生成された暖気の吹出口としても用いられる。そのため、第1空調装置51側の吹出口と第2空調装置52側の吹出口とを個別に設ける場合と比べ、吹出口の個数削減を図ることができ、コスト低減等の効果を得ることができる。
【0110】
続いて、第2空調装置52より一階部屋へ暖気を供給する空調ダクトについて説明する。図6の例では、第2空調装置52側の空調チャンバ57に空調ダクト66に代えて、空調ダクト85が接続されている。空調ダクト85は、屋根裏空間45から二階部分13の壁内空間33を通じて階間空間43へ延びており、その階間空間43から一階部分12の壁内空間23を通じて床下空間38へ延びている。空調ダクト85は、一階部屋18の床部に設けられた吹出口56に接続されている。この場合、第1空調装置51の除霜運転時に、第2空調装置52(詳しくは室内機52a)により生成された暖気を空調ダクト85及び吹出口56を介して一階部屋18へと供給することが可能となる。そのため、第1空調装置51の除霜運転時に、一階部屋18の室温が低下するのを抑制することが可能となる。
【0111】
また、吹出口56には、上記空調ダクト85に加え、第1空調装置51側の空調ダクト55が接続されている。そのため、吹出口56は各空調装置51,52により生成される暖気の吹出口としてそれぞれ用いられるようになっている。これにより、上述した吹出口82の場合と同様、吹出口の個数削減を図ることができ、コスト低減等の効果を得ることができる。
【0112】
(7)上記実施形態では、二階建ての建物10に本発明の空調システム50を適用した場合について説明したが、例えば本発明の空調システムを平屋建ての建物に適用してもよい。その場合の例を図7に基づき説明する。図7に示すように、建物90は、平屋建てとされ、その屋内空間が仕切壁91により全体として2つに仕切られている。仕切壁91により仕切られた2つの空間は第1空間部93及び第2空間部94となっている。本建物90は、例えば二世帯住宅とされ、第1空間部93が子世帯(第1世帯)の居住空間、第2空間部94が親世帯(第2世帯)の居住空間とされている。
【0113】
第1空間部93は、複数の部屋93a~93cを有しており、これら各部屋93a~93cのうち部屋93cが機械室93cとなっている。これと同様、第2空間部94は、複数の部屋94a~94cを有しており、これら各部屋94a~94cのうち部屋94cが機械室94cとなっている。また、第1空間部93及び第2空間部94の床下には床下空間96が設けられている。
【0114】
空調システム100は、第1空間部93(詳しくは各部屋93a,93b)を空調対象とする第1空調装置101と、第2空間部94(詳しくは各部屋94a,94b)を空調対象とする第2空調装置102とを備える。これら各空調装置101,102はいずれも、室内機101a,102aと室外機101b,102bとを有し、それら室内機101a,102a及び室外機101b,102bが冷媒管101c,102cを介して互いに接続されることにより構成されている。
【0115】
第1空調装置101は、その室内機101aが機械室93cに設置され、その室内機101aには空調チャンバ104を介して複数の空調ダクト105が接続されている。これら空調チャンバ104及び空調ダクト105は床下空間96に設置されている。各空調ダクト105は各部屋93a,93bの床部に設けられた吹出口107に接続されている。これにより、第1空調装置101の暖房運転時には、その室内機101aにより生成された暖気が各空調ダクト105及び各吹出口107を介して各部屋93a,93bに供給され、それら各部屋93a,93bの暖房が行われるようになっている。
【0116】
第2空調装置102は、その室内機102aが機械室94cに設置され、その室内機102aには空調チャンバ114を介して複数の空調ダクト115が接続されている。これら空調チャンバ114及び空調ダクト115は床下空間96に設置されている。各空調ダクト115は各部屋94a,94bの床部に設けられた吹出口117に接続されている。これにより、第2空調装置102の暖房運転時には、その室内機102aにより生成された暖気が各空調ダクト115及び各吹出口117を介して各部屋94a,94bに供給され、それら各部屋94a,94bの暖房が行われるようになっている。
【0117】
また、空調システム100では、第1空調装置101側の空調チャンバ104に、空調ダクト105に加え空調ダクト106が接続されている。この空調ダクト106は第2空間部94の部屋94aの床部に設けられた吹出口108に接続されている。これにより、第2空調装置102の除霜運転時には、第1空調装置101により生成された暖気を空調ダクト106及び吹出口108を介して第2空間部94の部屋94aに供給することが可能となっている。そのため、第2空調装置102の除霜運転時に、部屋94aの室温が低下するのを抑制することができる。
【0118】
これと同様に、第2空調装置102側の空調チャンバ114には、空調ダクト115に加え空調ダクト116が接続されている。この空調ダクト116は第1空間部93の部屋93bの床部に設けられた吹出口118に接続されている。これにより、第1空調装置101の除霜運転時には、第2空調装置102により生成された暖気を空調ダクト116及び吹出口108を介して第1空間部93の部屋93bに供給することが可能となっている。そのため、第1空調装置101の除霜運転時に、部屋93bの室温が低下するのを抑制することができる。
【符号の説明】
【0119】
10…建物、16~18…空調エリアとしての一階部屋、26,27…空調エリアとしての二階部屋、50…空調システム、51…空調装置としての第1空調装置、51a…室内機、51b…室外機、52…空調装置としての第2空調装置、52a…室内機、52b…室外機、55…第1空調ダクトとしての空調ダクト、58…第1空調ダクトとしての空調ダクト、61…第2空調ダクトとしての空調ダクト、63A…第2切替手段としての開閉装置、63B…切替手段及び第1切替手段としての開閉装置、66…第2空調ダクトとしての空調ダクト、70…制御手段としてのコントローラ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7