(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】反射材インサートを有するシンチレータ結晶アセンブリ
(51)【国際特許分類】
G21K 4/00 20060101AFI20221129BHJP
G01T 1/202 20060101ALI20221129BHJP
G01T 1/20 20060101ALI20221129BHJP
G01T 1/161 20060101ALI20221129BHJP
【FI】
G21K4/00 A
G01T1/202
G01T1/20 B
G01T1/161 C
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021070527
(22)【出願日】2021-04-19
【審査請求日】2021-06-22
(32)【優先日】2020-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】319011672
【氏名又は名称】ジーイー・プレシジョン・ヘルスケア・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100151286
【氏名又は名称】澤木 亮一
(72)【発明者】
【氏名】チャンリョン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ギャリー・マクブルーム
【審査官】藤本 加代子
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-090451(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0134334(US,A1)
【文献】特開2009-053104(JP,A)
【文献】特開平11-142523(JP,A)
【文献】特表2016-537640(JP,A)
【文献】国際公開第2016/072163(WO,A1)
【文献】特表2017-537310(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21K 4/00
G01T 1/00-7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像化対象物によって放出される光線を受光し、前記受光光線に応答して光エネルギーを放射するように構成されている結晶アレイ(160)であって、前記結晶アレイ(160)が、列状に配置されている複数の結晶(162)を含み、前記結晶(162)がそれぞれ、
前記画像化対象物から放出される前記光線を受光するように構成されている受光面(122)、
前記受光光線に応答して前記光エネルギーを放射するように構成されている発光面(124)、及び
前記発光面(124)から延在する複数の側面(170、172、174、176)であって、前記側面(170、172、174、176)が、前記結晶アレイ(160)内で隣り合う結晶(162)の側面(170、172、174、176)とアライメントしている、複数の側面(170、172、174、176)を含む、結晶アレイ(160)と、
前記結晶アレイ(160)内で隣り合う列間に配置されている開口反射材インサート(190)であって、前記開口反射材インサート(190)が、少なくとも1つの反射部(192)及び少なくとも1つの開口部(194)を含み、前記少なくとも1つの反射部(192)がある領域(196)を画定しており、また、前記少なくとも1つの開口部(194)が前記領域(196)内に配置されている、開口反射材インサート(190)と、を備える、
シンチレータ結晶のアセンブリ(185)。
【請求項2】
前記開口反射材インサート(190)が、前記結晶アレイ(160)の横方向寸法(312)に沿って延在する、間隔を置かれた支柱(310)であって、前記支柱(310)がそれぞれ、対応する結晶(162)の側面(170、172、174、176)とアライメントしており、なおかつ前記対応する結晶(162)と前記対応する結晶(162)に隣接する結晶(162)との間で分配される光を制御するように構成されている、間隔を置かれた支柱(310)を含み、前記開口反射材インサート(190)が、前記支柱(310)を接合し、かつ前記結晶アレイ(160)にわたって横方向に延在する少なくとも1本のクロスバー(320)を含む、請求項1に記載のシンチレータ結晶のアセンブリ(185)。
【請求項3】
前記開口反射材インサート(190)が、互いに間隔を置いて配置されている2本のクロスバー(320)を含む、請求項2に記載のシンチレータ結晶のアセンブリ(185)。
【請求項4】
前記結晶(162)の前記複数の側面(170、172、174、176)が粗面化側面(180)及び研磨側面(184、340)を有しており、前記インサート(190)の前記支柱(310)が前記研磨側面(184、340)間に配置されている、請求項2に記載のシンチレータ結晶のアセンブリ(185)。
【請求項5】
前記支柱(310)の少なくとも一部の支柱幅(314、316)は、前記結晶(162)の結晶幅(318)よりも狭くなっている、請求項2に記載のシンチレータ結晶のアセンブリ(185)。
【請求項6】
ゲート配置の前記反射材インサート(190)の前記支柱(310)が、第1の幅(314)を有する第1の群の支柱(310a)、及び前記第1の幅(314)とは異なる第2の幅(316)を有する第2の群の支柱(310b)を含む、請求項2に記載のシンチレータ結晶のアセンブリ(185)。
【請求項7】
前記クロスバー(320)が、前記クロスバー(320)のいずれかの側にエンドタブ(350)を含み、前記エンドタブ(350)が、前記結晶アレイ(160)の外縁(327)と協働して、前記開口反射材インサート(190)を前記結晶アレイ(160)とアライメントさせるように構成されている、請求項2に記載のシンチレータ結晶のアセンブリ(185)。
【請求項8】
前記支柱(310)の形状が長方形である、請求項2に記載のシンチレータ結晶のアセンブリ(185)。
【請求項9】
前記開口反射材インサート(190)が、強化鏡面反射(ESR)フィルムを含む、請求項1に記載のシンチレータ結晶のアセンブリ(185)。
【請求項10】
前記発光面(124)が前記受光面(122)の対向側に配置される、請求項1に記載のシンチレータ結晶のアセンブリ(185)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示している主題は、概してイメージングシステム及び技術、より詳細には、シンチレータで使用される結晶に関する。
【背景技術】
【0002】
陽電子放出断層撮影(positron emission tomography:PET)スキャナなどの特定のタイプのイメージング装置では、検出素子のアレイを使用して、患者から放出される放射線を検出する。例えば、PETスキャナでは、シンチレータ結晶のアレイを使用して、患者の体内で発生する消滅光子を検出することができる。これらの消滅光子は、患者に注入された放射性医薬品から放出される陽電子が電子と衝突して、対消滅イベントを引き起こすときに発生する。シンチレータ結晶はこれらの消滅光子を受光し、かつこれらの消滅光子に応答して光子を発生し、その際これらの光子は、光子からの光エネルギーを画像の再構成に使用される電気エネルギーへと変換するように構成されている、光センサに対して放射される。
【0003】
PET検出器の空間分解能は、結晶サイズに大きく影響される。一般に、ガンマ線の影響を受けたそれぞれの結晶を同定し、影響を受けた結晶を隣接する結晶から分離する限り、その結晶サイズが小さくなるほど、より良好な空間分解能を得ることができる。空間分解能が向上すれば、PETでより小さな病変を同定できるようになり、腫瘍の早期発見につながる可能性がある。ただし、影響を受けた結晶を同定する能力は、結晶サイズだけでなく、例えば結晶からの発光出力、結晶及び光センサ間の光分配方式、光センサのレイアウト、光センサのサイズ、光ガイドの設計(光ガイドを設けた場合)、電子読み出し方式、又は電子ノイズなど、他のいくつかの要因にも依存するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【0005】
様々な実施形態によれば、結晶アレイと、開口反射材インサートと、を備える、シンチレータ結晶のアセンブリが提供される。この結晶アレイは、画像化対象物によって放出される光線を受光し、この受光光線に応答して、光エネルギーを放射するように構成されている。この結晶アレイは、列状に配置されている複数の結晶を含む。結晶はそれぞれ、画像化対象物から放出される光線を受光するように構成されている受光面、この受光光線に応答して光エネルギーを放射するように構成されている発光面、及び結晶アレイ内で隣り合う結晶の側面とアライメントしている、発光面から延在する複数の側面を含む。本開口反射材インサートは結晶アレイ内で隣り合う列間に配置され、少なくとも1つの反射部及び少なくとも1つの開口部を含む。少なくとも1つの反射部はある領域を画定しており、また、少なくとも1つの開口部はその領域内に配置されている。
【0006】
様々な実施形態によれば、シンチレータブロックと、開口反射材インサートと、光センサと、を備える、対象物を画像化するための検出器システムが提供される。このシンチレータブロックは、画像化対象物からの光線を受光し、この受光光線に応答して光エネルギーを放射するように構成されている。シンチレータブロックは、対象物によって放出される光線を受光し、かつこの受光光線に応答して光エネルギーを放射するように構成されているシンチレータ結晶アレイを含む。このシンチレータ結晶アレイは複数の結晶を含み、これらの結晶はそれぞれ、画像化対象物によって放出される光線を受光するように構成されている受光面、この受光光線に応答して光エネルギーを放射するように構成されている発光面、及びこの発光面から延在する複数の側面を含み、ここで、これらの側面は、結晶アレイ内で隣り合う結晶の側面とアライメントしている。本開口反射材インサートは結晶アレイ内で隣り合う列間に配置され、少なくとも1つの反射部及び少なくとも1つの開口部を含む。少なくとも1つの反射部はある領域を画定しており、また、少なくとも1つの開口部はその領域内に配置されている。光センサは、シンチレータ結晶アレイから放射される光エネルギーを受け取るように構成されている。
【0007】
様々な実施形態によれば、対象物を画像化するためのシンチレータを設ける方法が提供される。本方法は、少なくとも1つの反射部及び少なくとも1つの開口部を含む、開口反射材インサートを設けるステップを含む。少なくとも1つの反射部はある領域を画定しており、少なくとも1つの開口部はその領域内に配置されている。本方法は、シンチレータ結晶のアセンブリを形成するように、複数の結晶を有する結晶アレイ内に本開口反射材インサートを組み立てるステップをさらに含む。本開口反射材インサートは、アレイ内で隣り合う結晶列間に配置されている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】様々な実施形態による、イメージングシステムの概略図である。
【
図2A】反射ストリップを使用した結晶ブロックの概略図を示す。
【
図2B】様々な実施形態による、例示的な開口反射材インサートの概略図を示す。
【
図3】様々な実施形態による、間隔を置かれた支柱を含む、例示的な開口反射材インサートの正面図を示す。
【
図4A】
図3の例示的な開口反射材インサートの上面図を示す。
【
図4B】
図3の例示的な開口反射材インサートの斜視図を示す。
【
図5】様々な実施形態による、構成の異なる開口反射材インサートを備える、例示的なシンチレータ結晶のアセンブリの斜視図を示す。
【
図6】様々な実施形態による、ある検出器を形成するための方法のフローチャートである。
【
図7】様々な実施形態による、あるイメージングシステムを示す。
【
図8】
図7のイメージングシステムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
特定の実施形態についての以下の詳細な説明は、添付の図面と共に読解されると、より良好に理解されるであろう。図が様々な実施形態の機能ブロックの図を示す限りにおいて、これらの機能ブロックは、必ずしもハードウェア回路間の分割を示すものではない。したがって、例えば、機能ブロック(例えば、プロセッサ又はメモリ)のうちの1つ又は複数が、単一部品のハードウェア(例えば、汎用信号プロセッサ又はランダム・アクセス・メモリ、若しくはハードディスクなど)、あるいは複数部品のハードウェアに実装されてもよい。同様に、プログラムはスタンドアロンのプログラムであってもよいし、オペレーティングシステムにサブルーチンとして組み込まれたものであってもよいし、インストールされたソフトウェアパッケージの機能であってもよいし、あるいはその他のものであってもよい。これらの様々な実施形態が、図面に示す構成及び手段に限定されないことが理解されるべきである。
【0010】
本明細書で使用する「システム」、「ユニット」、及び「モジュール」という用語は、1つ又は複数の機能を実行するように動作するハードウェア及び/又はソフトウェアシステムを含む。例えば、システム、ユニット、又はモジュールは、例えばコンピュータメモリなどの有形の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体に保存されている命令に基づいて、動作を実行する1つ又は複数のコンピュータプロセッサ、コントローラ、あるいは他のロジック系デバイスを含むか、かつ/又はそれらに結合される電子回路を含んでいてもよい。代替的に又は付加的に、システム、ユニット、又はモジュールは、そのデバイスの配線論理に基づいて動作を実行する配線デバイスを含んでいてもよい。添付の図面に示すシステム、ユニット、又はモジュールは、ソフトウェア命令又は配線命令に基づいて動作しているハードウェア、ハードウェアに当該動作を実行するように指示するソフトウェア、あるいはそれらの組み合わせを表していてもよい。「システム」、「ユニット」、又は「モジュール」は、本明細書に記載の1つ又は複数の動作を実行するハードウェア及び関連命令(例えば、コンピュータハードドライブ、ROM、又はRAMなどの有形の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体に保存されているソフトウェア)を含んでいてもよいし、又は表していてもよい。このハードウェアは、例えばマイクロプロセッサ、プロセッサ、又はコントローラなどの1つ又は複数のロジック系デバイスを含むか、かつ/又はそれらに接続されている、電子回路を含んでいてもよい。これらのデバイスは、上述した命令から本明細書に記載の動作を実行するように適切にプログラム又は指示されている、既製のデバイスであってもよい。代替的に又は付加的に、これらのデバイスのうちの1つ又は複数は、こうした動作を実行する論理回路で配線されてもよい。さらに、「システム」、「ユニット」、又は「モジュール」は、本明細書に記載の機能若しくは動作を実行する、1つ又は複数のアルゴリズムを実行するように構成されてもよい。これらの1つ又は複数のアルゴリズムは、フローチャート内で、又はある方法のステップとして明示的に確認できるかどうかにかかわらず、本明細書に開示している実施形態の態様を含んでいてもよい。
【0011】
本明細書で使用する場合、単数形で列挙され、「1つの(a)」若しくは「1つの(an)」という単語で始まる要素又はステップは、複数形を除外することが明示的に記載されない限り、前記要素又はステップが複数である可能性を除外しないものとして理解されるべきである。また、「一実施形態(one embodiment)」に言及するとき、列挙した特徴を同様に組み入れている別の実施形態の存在を除外するものと解釈されることは意図していない。さらに、明示的に述べられている場合を除き、特定の特性を有するある要素若しくは複数の要素を「含む(comprising)」又は「有する(having)」実施形態は、その特性を有しない別のそのような要素を含んでいてもよい。
【0012】
また、本明細書で使用する場合、「画像(image)」という語句又は同様の用語は、画像を表すデータが生成されるが、可視画像は生成されないというような実施形態を除外することを意図していない。したがって、本明細書で使用する場合、「画像(image)」という用語は、可視画像及び可視画像を表すデータの両方を広く指すものである。ただし、いくつかの実施形態は、少なくとも1つの可視画像を生成するか、又は生成するように構成されている。
【0013】
様々な実施形態は、開口反射材インサートを備える、イメージングシステム用のシンチレータの結晶アレイを提供する。例えば、いくつかの実施形態は、アレイ内の結晶とアライメントしている間隔を置かれた支柱を有する、ゲート配置又はフェンス配置の反射材インサートを提供する。様々な実施形態は、複合検出器内の部品の数を減少させ、組立てを簡略化して組立費を削減している。様々な実施形態では、可変の支柱幅を使用して、検出器のフラッドマップにおける分離度のピークを向上させるように、間隔を改良して設けている。様々な実施形態により、光の吸収量を低減しながら、最小限又は必要量の反射材料のみの使用が促進されている。
【0014】
なお、所与のシンチレータ、光センサのレイアウト、及び電子読み出し方式では、得られる結晶の最小サイズは、結晶の表面仕上げ、結晶間の光学接着剤、及び結晶間の光反射材インサートによって制御され得る結晶間の光分配によって制限されることになる。この結晶サイズが小さくなると、光分配方式がより複雑になる可能性がある。例えば、米国特許第9864073号明細書(Systems and Method for Controlling Optical Coupling Between Scintillator Crystals)では、結晶間の光分配を制御するために、様々な形状の光学接着フィルムを使用することについて述べられている。別の実施例として、米国特許第9279892号明細書の「Systems and Method for Scintillators Having Polished and Roughened Surfaces」では、粗面化表面を使用して、PET検出器のタイミング分解能を向上させることについて述べられている。光学接着フィルムの使用と表面粗面化との両方が光分配を増大させる一方で、研磨表面と反射フィルムとを使用して、光分配を減少させることができる。
【0015】
PET検出器にとっては、フラッドマップ内で結晶位置が十分に分離していることが望ましい。結晶を十分に同定することができなければ、結晶サイズによって得られるはずの潜在的な空間分解能が実現できなくなる可能性がある。結晶ブロックの設計は結晶表面を様々な状態にすることから開始され、この作業は、必要となる表面仕上げの種類によって、比較的簡易になり得る。例えば、研磨表面は反射鏡のように機能し、また、粗面化表面は光を散乱させるように機能することができる。ただし、結晶サイズが小さくなると、結晶の様々な表面仕上げに加えて、光学接着フィルム及び/又は反射フィルムの使用が必要となる可能性があり、これにより柔軟性が低下し、かつ/又は組立ての難易度が増す影響を受ける恐れがある。様々な実施形態は、複数の小反射フィルムの取り扱いに関して、検出器の組立てを簡略化するための新規なシステム及び/又は方法を提供するものである。
【0016】
少なくともいくつかの実施形態の技術的効果により、検出器性能の向上がもたらされる。例えば、少なくともいくつかの実施形態の技術的効果には、結晶間で分配される光及び/又はシンチレータ結晶アレイにおける発光出力の制御が改良されることが含まれる。様々な実施形態において分配光の制御が改良されることにより、フラッドマップにおける結晶の分離が改善され、これによって同時計数線の品質が向上するため、結晶サイズによる空間分解能の取得許容範囲を改良することが可能になる。別の実施例として、少なくともいくつかの実施形態の技術的効果により、シンチレータ結晶アレイにおけるタイミング分解能の向上がもたらされる。
【0017】
図1は、様々な実施形態による、イメージングシステム100の概略図である。イメージングシステム100は検出器110と、処理ユニット150と、を備える。検出器110は、シンチレータブロック120及び光センサ130を含む。図示の実施形態では、シンチレータブロック120と光センサ130とは、陽電子放出断層撮影(PET)検出器を形成している。ただし、他の実施形態では、シンチレータブロック120と光センサ130とは、付加的に又は代替的に、例えばコンピュータ断層撮影(CT)など、1つ又は複数の画像診断法と共に使用されてもよい。なお、
図1における様々な構成要素若しくはユニットのうちの1つ又は複数を、物理的に別個のユニット又は構成要素として示しているが、様々な実施形態では、これら複数の構成要素又はユニットを、2つ以上の構成要素若しくはユニットとして構成していてもよく、かつ/又は別の構成要素若しくはユニットと組み合わせていてもよい。例えば、光センサ130と処理ユニット150の1つ又は複数の態様とは、単一のユニットとして構成されてもよい。
【0018】
図示の実施形態では通常、イメージングシステム100を使用して、対象物108の画像(例えば、PET画像)を供給することができる。対象物108は、例えば、ヒト患者又は動物患者の一部であってもよい。図示の実施形態では、対象物108は、放射性医薬品の注入により、消滅光子104を放出する。これらの消滅光子104は検出器110によって検知され、画像を再構成するために使用される。ここで放出される光線は、原子核の遷移によって発生するガンマ線であってもよい。
【0019】
図示しているシンチレータブロック120は、シンチレータに対して消滅光子104が衝突したことに応答して、光子106を発生する。シンチレータブロック120からの光子106は、光センサ130に衝突する。光センサ130は、シンチレータからの光子106が光センサ130の受光面134に衝突したことに応答して、電荷を生成するように構成されている。光を受光したことに応答して生成される電荷が測定され(例えば、処理ユニット150によって)てもよく、次いでこの電荷を使用して、1つ又は複数のピクセルなど、光センサ130の所与の部分に衝突した光の量が求められてもよい。光センサ130の様々な部分に衝突する光の量を使用して、消滅光子がシンチレータブロック120内で相互作用した位置を特定することができる。光センサ130に衝突する光の総量を使用して、消滅光子のエネルギーを求めることができる。
【0020】
シンチレータブロック120は、対象物108によって放出された消滅光子104を受光し、次いで消滅光子104を受光したことに応答して、光子106を放射するように構成されている。なお、シンチレータブロック120に衝突する消滅光子のそれぞれに対して、多数の光子が発生する可能性がある。なお、さらに
図1の概略図では、シンチレータブロック120を光センサ130から離隔した状態で示しているが、その一方で、様々な実施形態では、シンチレータブロック120と光センサ130とが結合されてもよい。また、いくつかの実施形態では、光ガイドが設けられていてもよい。この光ガイドは、例えばシンチレータブロック120と光センサ130との表面積が同じでない場合、シンチレータブロック120(例えば、シンチレータブロック120の結晶)と光センサ130との間の透過性の結合部として構成されてもよい。図示の実施形態では、シンチレータブロック120は、受光面122及び発光面124を含む。図示の実施例では、これらの受光面122と発光面124とが互いに対向して配置されるように、受光面122は対象物108の方向に向けられ、発光面124は光センサ130の方向に向けられている。他の実施形態では、これらの受光面122と発光面124とは、互いに対して異なる方向を向いていてもよい。様々な実施形態では通常、光線(例えば、消滅光子)は受光面122に衝突し、次いでシンチレータブロック120に入光する。シンチレータブロック120内である距離を移動した後、この消滅光子は、シンチレータ120と相互作用して、多数の光子を発生する。これらの光子106の一部は、発光面124の対応する部分から光センサ130へと放射される。なお、以下にさらに述べているように、様々な別の実施形態では、シンチレータブロック120の発光面と受光面とは様々な方向を向いていてもよい(例えば、いくつかの実施形態では、発光面及び受光面の両方が、画像化対象物の方向に上向きに向けられていてもよい)。
【0021】
光センサ130は、シンチレータブロック120から光子106を受光し、次いで受光した光子を電荷に変換するように構成されている。光エネルギーは、エネルギー(例えば、ピクセル)を受け取る光センサ130の特定の部分によって変換かつ収集されてもよく、またこれらの収集された電荷を使用して、ピクセル単位で検出器によって受光される光線の測定値が得られる。
【0022】
シンチレータブロック120の上面図は、
図1の上部中央に見られる。図示しているシンチレータは、個々の結晶162のアレイ160を含む。シンチレータブロック120は、反射部材169を含む。この反射部材169は、発光面124を除くアレイ160内の全ての面を覆っており、また、結晶162によって発生する光を、アレイ160の側面からアレイ160内に向かって回帰反射させるように構成されている。したがって、アレイ160から発生する光がアレイ160の側面から漏出するのを防止して、シンチレーションイベントによって生成され、発光面124から光センサ130に向かって放射される光の比率を増大させることができる。図示の実施形態では、説明を容易にするために、シンチレータブロック120が単一のアレイ160を有しているように示しているが、留意すべきは、複数のアレイ160を一体に組み立ててシンチレータブロック120を形成してもよく(アレイ160がそれぞれ、アレイ160の側面の周りに配置された、対応する反射部材169によって包囲されている状態で)、例えば、これによってシンチレータブロック120のパネルを形成してもよいということである。図示している結晶162のアレイ160は縦列166に(
図1から分かるように、垂直方向に配置される)、そして横列168(
図1から分かるように、水平方向に配置される)に配置されている。様々な実施形態では、使用する縦列及び/又は横列の数が異なっていてもよいし、又は使用する結晶の配置が異なっていてもよい。
【0023】
図1の右側にある個々の結晶162の斜視図から分かるように、図示している個々の結晶162は、上面163及び下面164を含む。上面163と下面164とは互いの対向側に配置され、複数の側面によって離隔されている。図示の実施形態では、上面163はシンチレータブロック120の受光面122の一部を形成するように構成され、また、下面164はシンチレータブロック120の発光面124の一部を形成するように構成されている。したがって、図示の実施形態では、上面163は受光面として構成され、下面164は発光面として構成されている。なお、別の実施形態では、他の構成が使用されてもよい。例えば、単一面(例えば、上面163)は、受光面としても、発光面としても、どちらに構成されてもよい。別の実施例として、上面と下面との間に延在する側面のうちの1つ又は複数が、受光面及び/又は発光面として構成されてもよい。なお、ここでも留意すべきは、本明細書における「上面」及び「下面」の使用が、複数の側面によって離隔された対向面の説明や図解を明確かつ容易にするために使用され、特定の配向要件を示唆することを意図するものではないということである。例えば、特定の結晶又はアレイは、「上面」が下向き若しくは横向きになるように回転又は配置されてもよい。
【0024】
結晶162は、自身が光線(例えば、消滅光子)を受光したことに応答して、シンチレーション、すなわち光エネルギーを発生するように構成されている。図示の実施形態では、結晶162は、上面163と下面164との間に延在する4つの側面を有し、これらは略長方形状の断面を画定している。結晶162は、第1の側面170、第2の側面172、第3の側面174(第3の側面174は、第1の側面170の対向側に配置される)、及び第4の側面176(第4の側面176は、第2の側面172の対向側に配置される)を含む。一実施例として、結晶162はケイ酸ルテチウムイットリウム(Lutetium Yttrium Silicate:LYSO)から作成されてもよく、又は別の実施例として、ゲルマニウム酸ビスマス(Bismuth Germanate:BGO;Bi4Ge3O12)から作成されてもよい。
【0025】
様々な実施形態では、これらの側面170、172、174、176のうちの少なくとも1つは粗面化された側面を含み、また、少なくとも1つの他の側面は平滑化又は研磨された側面を含む。したがって、様々な実施形態では、シンチレータ結晶アレイにおける結晶の一側面は、当該結晶の別の側面とは異なる表面仕上げを有し、ここでは、一方の表面仕上げは比較的粗く、他方の表面仕上げは比較的平滑である。研磨表面と粗面化表面とを使用することに関する別の考察及び詳細については、2016年3月8日に発行された米国特許第9279892号明細書の「Systems and Method for Scintillators Having Polished and Roughened Surfaces」に見出すことができ、その全内容は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0026】
図示の実施形態では、第1の側面170は粗面化側面180を含み、第2の側面172は研磨側面184を含む。
図1では、第1の側面170の一部のみを粗面化側面180が覆っているように図示している。例えば、この粗面化側面180は、第1の側面170のおよそ2分の1を覆っていてもよい。他の実施形態では、第1の側面170において粗面化側面180が覆う割合を増大してもよいし、又は減少させてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、粗面化側面180は第1の側面170の実質的に全体を覆っていてもよい。本明細書で使用する場合、いくつかの実施形態では、表面仕上げが当該側面の95%以上を覆う場合、その表面仕上げは実質的に当該側面全体を覆うものと理解されてもよい。図示の実施形態では、第2の側面172の実質的に表面全体が研磨され、かつ研磨側面184によって覆われている。付加的に又は代替的に、第3の側面174と第4の側面176とが研磨されてもよい(
図1には図示せず)。なお、他の実施形態では、長方形又は三角形以外の多角形などの他の断面が使用されてもよい。
【0027】
米国特許第9279892号明細書で述べられているように、粗面化表面を使用して、ランバート反射によって捕捉されるシンチレーション光を減少させ、したがってこれにより、光センサでの集光を強化することができる。集光の増加により、エネルギー分解能及びタイミング分解能の両方が向上することになる。研磨表面及び粗面化表面を使用して、結晶間の良好な分離を示すフラッドマップを実現することもできる。粗面化表面によって隣接結晶に拡散する光量は比較的多く、研磨表面によって拡散する光量は比較的少ない。粗面化表面180の量は、適切な光分配が得られるように調整されてもよい。なお、いくつかの適用例では、研磨表面又は粗面化表面だけでは、光分配において望ましい量の制御の実現が証明されていない場合がある。別の実施例として、米国特許第9864073号明細書では、光学接着剤を使用して、粗面化表面によって実現が可能となる限界を超えて光分配を増強することについて述べられている。さらに留意すべきは、研磨表面によって実現できる限界よりも少なくなるように光分配を減少させるために、光学反射フィルムが使用できるということである。
【0028】
結晶間の反射フィルムのサイズに応じて、光分配の量を制御することができる。
図2Aは、結晶表面に配置された幅の異なる3つのESR反射フィルムストリップ(幅広のストリップ201、中間幅のストリップ202、及び幅狭のストリップ203)を示している。ガンマ線の衝突位置に依存しない均一な光分配をもたらすように、図示しているESRストリップの幅が結晶の上部から下部まで同じであるように示している。通常、ESRストリップの幅が広いほど、隣接結晶との光分配が少なくなる。ESRストリップの幅が結晶の幅と同じである場合、光分配は行われない。ESRフィルムの幅が狭過ぎると、当該フィルムを正確に位置決めしたり、配置したりするのが困難になる可能性がある。本開口反射材インサート(例えば、本明細書で述べている開口反射材インサート190)を使用して固着性を高め、これによって組立中の結晶の積み重ね及びストリップの処理の両方を改善することができる。
【0029】
このようなストリップは光分配の制御をもたらすことができるが、ただし、これらの反射フィルムストリップの多くがブロックアセンブリに必要となる場合、十分なアライメントを維持しようとする一方で、部材がそれぞれ各結晶に個別に取り付けられるため、組立てが複雑になり、かつコストがかかるようになる可能性がある。様々な実施形態では、ESR部は1本又は複数のクロスバーで取り付けられ(例えば、
図3と
図4Aと
図4Bとを参照のこと)、これによって部材数が減少し、当該反射部が結晶の横列と縦列との間に挿入されて、組立ての簡略化が可能となる。ここでのクロスバーの本数は、必要となる固着性に応じて、1本、又は2本、若しくはそれ以上となってもよい。なお、このようなクロスバーの幅を十分に狭くしてしまうと、光分配の量に顕著な効果が認められなくなる可能性がある。様々な実施形態におけるこれらのクロスバーの位置は、結晶ブロックの上部及び/又は下部であってもよいし、あるいは別の実施例として中央であってもよい。様々な実施形態では、これらのクロスバーの位置は、様々な反射部が互いに干渉し合った結果、結晶用の矩形格子が緩むことのないように選択される。
【0030】
さらに、図示の実施形態では、イメージングシステム100(例えば、検出器110)は開口反射材インサート190を備える。この開口反射材インサート190は、結晶アレイ160及び/又はシンチレータブロック120と共に、シンチレータ結晶のアセンブリ185を形成又は画定しているものとして理解されてもよい。通常、この開口反射材インサート190は、結晶アレイ160の隣接結晶162間で伝達される光の量を制御するために使用されている。
【0031】
通常、開口反射材インサート190は、結晶アレイ160内で隣り合う列間に配置される。例えば、
図1に示す実施例では、開口反射材インサート190は、隣り合う縦列166のペア間に配置されている。別の実施例として、開口反射材インサート190は、隣り合う横列168のペア間に配置されてもよい。また、様々な実施形態では、2つ以上の開口反射材インサート190が使用されてもよい(例えば、隣り合う縦列166の対応するペア間に2つ以上の開口反射材インサート190が配置されるか、かつ/又は隣り合う横列168の対応するペア間に2つ以上の開口反射材インサート190が配置される)。なお、様々な実施形態ではさらに、いくつかの同一の開口反射材インサート190が使用されてもよく、かつ/又はいくつかの構成の異なる開口反射材インサート190が使用されてもよい。
【0032】
図2は、例示的な開口反射材インサート190の概略図を示す。通常、イメージングシステム100と共に使用され得る開口反射材インサート190は、少なくとも1つの反射部及び少なくとも1つの開口部を含む。本明細書で使用している反射部は、隣接結晶間で少なくとも一部の光を反射する(例えば、通常であれば隣接結晶に透過し得る光を、光源結晶に向かって再配向するために)開口反射材インサート190の一部であり、また、本明細書で使用している開口部は、隣接結晶間の光の通過を阻害しないものである。なお、様々な実施形態における開口反射材インサート190は、モノリシックである。例えば、様々な実施形態では、反射部は強化鏡面反射(enhanced specular reflector:ESR)フィルムで作製されてもよく、その際開口部は、材料が除去された(例えば、ダイカットプロセスによって)後のフィルム内の開放空間によって画定される。
【0033】
図2の例示的な開口反射材インサート190は、反射部192及び少なくとも1つの開口部194を含む。反射部192は領域196を画定しており、その領域内に少なくとも1つの開口部194が配置されている。例えば、例示的な開口反射材インサート190は、開口部194を形成するように領域196内で反射材料の一部を除去して、長方形の領域196を画定する。
図2に示す開口反射材インサート190の高さ198は、個々の結晶162の高さを超えるものであり、また長さ199は、個々の結晶の長さを超えるものである。したがって、開口反射材インサート190の反射部192は、2つ以上の結晶162の一部を覆っている。このような開口反射材インサートを使用することにより、結晶アレイに対する反射部及び開口部のアライメントが改善され、組立時の整合性がもたらされ、なおかつ完全に中実の個々の反射材料ストリップ又は反射材料部材を使用する場合と比較して、組立てがより簡略化されることになる。様々な実施形態では、開口反射材インサートの第1の側面191及び第2の側面193は、両方とも反射部を有する。(
図1を参照のこと。)
【0034】
様々な実施形態では、開口反射材インサート190は、ゲート配置又はフェンス配置などの形態の、複数の開口部を有していてもよい。
図3は、間隔を置かれた支柱を含む、例示的な開口反射材インサート190の正面図を示し、
図4は、
図3の例示的な開口反射材インサート190の上面図を示す。
図3に示す開口反射材インサート190は通常、横方向寸法312(例えば、長さ又は幅)に沿って延在する、間隔を置かれた支柱310を含む。支柱310はそれぞれ、対応する結晶162の側面とアライメントするように構成され(例えば、
図4を参照のこと)、なおかつ対応する結晶と対応する結晶に隣接する結晶との間で分配される光を制御するように構成されている。(説明を明確かつ容易にするために、
図4の開口反射材インサート190の片側にのみ、結晶を示している)。
図3の例示的な開口反射材インサート190は、互いに間隔を置いて配置され、これらの支柱を接合し、かつ結晶アレイ160にわたって横方向に延在する2本のクロスバー320を含む。別の実施形態では、他の本数のクロスバーを使用してもよい。クロスバーの本数、サイズ、及び位置は、例えば組立てを容易にするように選択されてもよい。なお、比較的小型であるか、又は幅狭であるクロスバーは、光分配の量に顕著な効果が認められなくなる可能性がある。様々な実施形態で、
図3の例示的な開口反射材インサートのようなゲート配置又はフェンス配置の形態を使用することにより、結晶に対してインサートを個別に配置する場合と比較して組立て及びアライメントが改善され、容易に行えるようになる。このような配置にすることで、部品数の低減と、組立プロセスの簡略化とが促進される。
【0035】
図3の例示的な開口反射材インサート190の場合、支柱310とクロスバー320とが反射部を画定しており、また、支柱310とクロスバー320との間の開口部330が開口部を画定している。
図3から分かるように、支柱310及びクロスバー320の形状は両方とも長方形である。他の実施形態では、他の形状を使用してもよい。
図3の開口反射材インサート190は、例えば、ESRフィルムなどの反射フィルムをダイカットすることによって形成されてもよい。いくつかの実施形態では、支柱310及びクロスバー320の幅又は他の寸法は、所望の量の反射率をもたらすように選択されてもよい。他の実施形態では、支柱310の幅又は他の寸法は、所望の量の反射率をもたらすように選択されてもよく、また、クロスバー320の幅又は他の寸法は、光透過又は光反射への影響を最小限に抑える一方で、開口反射材インサート190を含む、結晶アセンブリの組立てを容易にするのに十分な固着性をもたらすように選択されてもよい。
【0036】
上述したように、結晶162は粗面化側面及び研磨側面を有していてもよい。様々な実施例では、支柱310(及び/又はクロスバー320、並びに/又は他の反射部)は、結晶162の研磨側面340間に配置されている。(
図1及び
図4を参照のこと。)様々な実施形態で研磨側面と共に反射面を使用することにより、結晶に向かって回帰反射される光の量、及び隣接結晶に透過する光の量の制御が改良されることになる。
【0037】
図3の例示的な開口反射材インサート190は、幅の異なる支柱を含む。
図3から分かるように、例示的な開口反射材インサート190は、第1の幅314を有する第1の群の支柱310a、及び第1の幅314とは異なる第2の幅316を有する第2の群の支柱310bを含む。図示の実施例では、第2の幅316は第1の幅314よりも狭い。なお、第2の支柱310bは、そのような第2の支柱310bの群の一部であってもよい。(例えば、
図5を参照のこと。)また、様々な実施形態では、支柱310の少なくとも一部の支柱幅314、316は、結晶162の結晶幅318(
図4を参照のこと)よりも狭くなっている。いくつかの実施形態では、第1の幅314及び第2の幅316は、両方とも結晶幅318よりも狭い。さらに、クロスバー320のクロスバー幅322は、結晶幅318よりも狭くなっていてもよい。結晶幅よりも狭い反射部幅を使用することにより、組立てが改善されて容易になり、かつ/又は様々な実施形態において結晶間の光透過を増大させることができる。これらの支柱及び/又はクロスバーの幅に変化を持たせることにより、結晶アレイの個々の部分に対して反射される光の量と、透過する光の量とを制御するにあたり、さらなる柔軟性がもたらされる。
【0038】
図3及び
図4から分かるように、クロスバー320は、クロスバー320のいずれかの側に配置された(例えば、クロスバー320の側縁324、326に配置された)エンドタブ350を含む。エンドタブ350は、結晶アレイ160の外縁327と協働して、開口反射材インサート190を結晶アレイ160とアライメントさせるように構成されている。さらに、様々な実施形態でエンドタブ350を使用することにより、反射材インサートを所定の位置に固定するために接着剤を使用する必要性が低減又は解消される。様々な実施形態では、エンドタブ350は、結晶と反射部との間の自己アライメントをもたらし、反射部がそれぞれ各結晶の中央近傍に配置されるようにしている。
【0039】
構成の異なる開口反射材インサート190は、様々な実施形態において組み合わせて使用されてもよい。例えば、シンチレータブロックの個々の部分においては、光透過量又は光反射量が異なっていることが望ましい場合がある。
図5は、構成の異なる開口反射材インサート190を備える、例示的なシンチレータ結晶のアセンブリ185の斜視図を示す。
【0040】
図5の例示的なシンチレータ結晶のアセンブリ185は、開口反射材インサート190a、開口反射材インサート190b、及び開口反射材インサート190cを備える。様々な実施形態では、開口反射材インサート190a、190b、190cは概ね類似していてもよく、かつ/又は
図3及び
図4に関連して述べた開口反射材インサート190の態様を包含していてもよい。
図5の図示の実施例では、反射材インサート190a、190b、190cのそれぞれの高さは、結晶アレイ160の高さに対応している(図示の実施例では29ミリメートル)。反射材インサート190aは、結晶アレイ160内で対応する、隣り合う横列168間に配置されるように構成され、また反射材インサート190b、190cは、結晶アレイ160内でそれぞれの対応する、隣り合う縦列166間に配置されるように構成されている。反射材インサート190aの単一のクロスバーを、反射材インサート190b、190cの最下クロスバーよりも低くしており、その結果、まず反射材インサート190aをシンチレータ結晶のアセンブリ185の最上部から所定の位置に配置し、次いで反射材インサート190b、190cをシンチレータ結晶のアセンブリ185の最上部から所定の位置に配置することにより、シンチレータ結晶のアセンブリ185を組み立てることができるようにしている。
【0041】
図示している開口反射材インサート190aが有する支柱の幅は均等であり(図示の実施例では1.5ミリメートル)、これらは単一のクロスバーによって等間隔に接合されている。図示している開口反射材インサート190bが有する別の支柱の幅は異なっており(図示の実施例では2.5ミリメートルと1ミリメートル)、これらは2本のクロスバーによって等間隔に接合されている。図示している開口反射材インサート190cが有する支柱の幅は均等であり(図示の実施例では2ミリメートル)、これらは2本のクロスバーによって等間隔に接合されている。特定の配置構成を例示として示している。なお、別の実施形態では、他の配置及び/又はサイズを使用することができる。個々の開口反射材インサート及び開口反射材インサートの組み合わせの特定の配置構成は、特定の用途の特定の要件又は目標に基づいて選択されてもよく、例えば、特定の用途として、フラッドマップのピークの分離度を改良して、その性能を向上させるようにしてもよい。
【0042】
図1に戻って参照すると、図示の処理ユニット150は複数の検出器110から情報(例えば、信号)を受信し、その情報を使用して、画像を再構成するように構成されている。例えば、処理ユニット150は、光センサ130の各ピクセルについて記録された信号を使用して、画像を再構成するように構成されてもよい。
【0043】
通常、様々な実施形態では、処理ユニット150(及び/又は処理ユニット150の任意のサブユニット若しくはモジュール)は、処理回路ユニットとして理解されてもよく、また、1つ又は複数のフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、集積回路(IC)、若しくはマイクロプロセッサなどのメモリ及び処理回路を含んでいてもよい。
【0044】
図示の実施形態では、処理モジュール150は、シンチレータブロック120によって供給される光に露光された後、光センサ130においてそれぞれのピクセルで測定される信号を読み取って記録するように構成されている。例えば、これらのピクセルはそれぞれ、その特定のピクセルに影響を与えるエネルギーの量を表す出力電圧を示すように構成されてもよい。各ピクセルについて記録されたこれらの信号は、画像を再構成するために使用されてもよい。
【0045】
図6は、様々な実施形態による、ある検出器を形成するための方法600のフローチャートを示す。本検出器は、例えばPETイメージングシステムで使用できるように構成されてもよい。他の実施形態では、本検出器は、付加的に又は代替的に、1つ又は複数の他の画像診断法に合わせて構成されてもよい。方法600は、例えば、本明細書で述べている様々な実施形態の構造又は態様を使用し、含み、又は関連していてもよい。様々な実施形態では、ある特定のステップが省略又は追加されてもよく、ある特定のステップが組み合わされてもよく、ある特定のステップが同時に実行されてもよく、ある特定のステップが並行して実行されてもよく、ある特定のステップが複数のステップに分割されてもよく、ある特定のステップが異なる順序で実行されてもよく、あるいはある特定のステップ又は一連のステップが繰り返し再実行されてもよい。
【0046】
602で、開口反射材インサート(例えば、開口反射材インサート190)が設けられる。本明細書で述べているように、開口反射材インサートは、少なくとも1つの反射部及び少なくとも1つの開口部を含む。この反射部はある領域を画定しており、少なくとも1つの開口部はその領域内に配置されている。図示の実施例では、604で、反射フィルムから本開口反射材インサートがダイカットされる。なお、様々な実施形態では、複数の開口反射材インサートが設けられてもよい。
【0047】
606で、シンチレータ結晶のアセンブリを形成するように(例えば、シンチレータ結晶のアセンブリ185を形成し、次いでこれを使用して、イメージングシステム100を組み立ててもよい)、複数の結晶(例えば、結晶162)からなる結晶アレイ内で本開口反射材インサートが組み立てられる。本開口反射材インサートは、アレイ内で隣り合う結晶列間に配置される。いくつかの実施形態では、本開口反射材インサートは隣接結晶の研磨側面間に配置される。なお、ここでも、様々な実施形態で2つ以上の反射材インサートが使用されてもよい。(例えば、
図5及び関連説明を参照のこと。)
【0048】
いくつかの実施形態では、本開口反射材インサートは、本明細書で述べているように、間隔を置かれた支柱及び少なくとも1本のクロスバーを含む。(例えば、
図3及び
図4並びに関連説明を参照のこと。)図示の実施例では、608で、対応する結晶と対応する結晶に隣接する結晶との間で分配される光を制御するように、本開口反射材インサートの支柱がそれぞれ、対応する結晶の側面とアライメントされる。図示の実施形態の610で、本開口反射材インサートの支柱が結晶の研磨側面間に(すなわち、研磨側面にすぐ隣接して)配置される。
【0049】
本明細書でも述べているように、様々な実施形態では、開口反射材インサートの1本又は複数のクロスバーは、これらのクロスバーのいずれかの側にエンドタブを含む。図示の実施例では、612で、結晶アレイの外縁と協働させて、本開口反射材インサートを結晶アレイとアライメントさせ、なおかつ本開口反射材インサートを所望の位置及び/又は向きに固定するのを補助させるように、これらのエンドタブが配置される。
【0050】
図7及び
図8は、本明細書に記載の様々な実施形態と共に使用することができる、PETイメージングシステムを示す。他の実施形態では、本明細書で述べている結晶アレイは、他のイメージングシステム(例えば、1つ又は複数の付加的な又は代替的な方法に合わせて構成されたイメージングシステム)で使用されてもよい。
図7は、中央開口部又はボア12の周囲で検出器リングアセンブリ11を支持するガントリー10を備える、PETスキャンシステム1を示す。図示の実施形態における検出器リングアセンブリ11は略円形であり、中心軸2に沿って間隔を置いて配置された検出器110の複数のリングから構成されて、円筒形の検出器リングアセンブリを形成している。様々な実施形態では、検出器リングアセンブリ11は、中心軸2に沿って間隔を置いて配置された5つの検出器のリングを含んでいてもよい。検査寝台13がガントリー10の前に配置され、検出器リングアセンブリ11の中心軸2とアライメントされている。通信リンク16を介してオペレータワークステーション15からコマンドを受信したことに応答して、検査寝台コントローラ(図示せず)が、台座14をボア12内に移動させる。ガントリーコントローラ17がガントリー10内に搭載され、第2の通信リンク18を介してオペレータワークステーション15から受信するコマンドに応答して、ガントリーを操作する。
【0051】
図8に示すように、オペレータワークステーション15は、中央処理装置(CPU)50、ディスプレイ51、及びキーボード52を含む。オペレータはキーボードを使用して、PETスキャナの較正、PETスキャナの配置構成、及びスキャン用の検査寝台の位置決めを制御することができる。また、オペレータは、ワークステーションCPU50によって実行されるプログラムを使用して、結果として得られる画像のディスプレイ51への表示を制御し、かつ/又は画像強調機能を実行することができる。
【0052】
図8に示すように、一組の取得回路25がガントリー10内に搭載され、検出器ブロック20から4つの信号を受信している。これらの取得回路25は、相対的な信号強度を使用して、検出器結晶のアレイ内のイベント座標を特定する。ここで得られた結果はデジタル化され、ケーブル26を介して、別個のキャビネット28内に収容されたイベントロケータ回路27に送信される。また、取得回路25はそれぞれ、シンチレーションイベントが発生した正確な時点を示すイベント検出パルスを生成する。
【0053】
イベントロケータ回路27は、取得回路25によって生成される信号を定期的にサンプリングする、データ取得プロセッサ30の一部を形成している。このデータ取得プロセッサ30は、ローカル・エリア・ネットワーク18及びバス31上の通信を制御する取得CPU29を有する。イベントロケータ回路27は、有効なイベントそれぞれに関する情報を収集して、当該イベントがいつ発生したかを示すデジタル数値のセットと、当該イベントを検出した検出器結晶21の識別情報とを生成している。イベントロケータ回路27は、例えば検出器位置マップを使用して、イベントを検出した検出器21に対して座標のペアをマッピングすることができる。
【0054】
イベントデータパケットは、データ取得プロセッサ30の一部でもある同時計数検出器32に送信される。同時計数検出器32はイベントロケータ回路27からのイベントデータパケットを受信し、それらのうちのいずれか2つが同時に計数されているかどうかを判定する。ここでの同時計数は、いくつかの要因によって判定される。例えば、各イベントデータパケット内のタイムマーカーは、例えば6ナノ秒など、互いに指定された期間内でなければならない場合がある。別の実施例として、2つのイベントデータパケットによって示される位置は、スキャナボア12内の視野(field of view:FOV)を通過する直線上に存在しなければならない場合がある。ペアリングできないイベントは破棄されるが、ここで同時に計数されるイベントペアが特定されて、同時計数データパケットとして記録され、この同時計数データパケットは、シリアルリンク33を介してソーター34に送信される。この同時計数データパケットのフォーマットは、例えば、当該イベントを検出した2つの検出器結晶21の位置を正確に識別するデジタル数値のペアをとりわけ含む、32ビットのデータストリームであってもよい。
【0055】
ソーター34はCPUを含んでいてもよく、また画像再構成プロセッサ40の一部を形成しており、同時計数検出器32からの同時計数データパケットを受信している。ソーター34の役割は、同時計数データパケットを受信して、この同時計数データを保存するためにサイノグラムメモリを割り当てることである。同じ方向(θ)を指向し、スキャナの視野を通過する全ての投影光線のセットは、完全な投影、すなわち「ビュー」であり、サイノグラムのセットを形成している。特定の投影光線と視野の中心との間の距離(R)は、その投影光線をビュー内に位置付けるものである。
図8に示すように、例えばイベント50’は、投影角がθとなり、距離がRとなるビューに位置する投影光線51’に沿って発生する。ソーター34は、スキャン中にこの投影光線(R、θ)で発生する全てのイベントを、当該投影光線上にある検出器結晶21でイベントが発生していることを示す同時計数データパケットを分類することにより、カウントしている。放射スキャン中、これらの同時計数カウントは、例えば二次元アレイのセット、すなわち各軸方向画像に1つずつあり、それぞれがその次元の一方として投影角θと、他方の次元として距離Rとを有する二次元アレイのセットとしてメモリ43内に編成される。この測定されたイベントのθバイRマップ(θ by R map)を、サイノグラムアレイ48と呼ぶことができる。ソーター34は、これらの同時計数イベントを他のデータフォーマットにさらに編成することができる。ある投影面のフォーマットでは、例えば、他の変数を使用して、隣り合っていない検出器リングにおける検出器結晶21のペアによって検出される同時計数イベントを定義することができる。
【0056】
同時計数イベントは偶発的に発生し、ソーター34は、各同時計数データパケット内の2つの結晶アドレスからθ値及びR値を求め、対応するサイノグラムアレイ要素のカウントを増分する。放射スキャンの完了時に、サイノグラムアレイ48は、各光線に沿って発生した対消滅イベントの総数を保存する。アレイプロセッサ45は、サイノグラムアレイ48内のデータから画像を再構成する。ただし、患者による消滅光子の減弱、検出器利得の不均等、偶発同時計数、及び積分器のデッドタイムなどの測定誤差を補正するために、取得データにまずいくつかの補正が行われてもよい。次いで、補正されたサイノグラムアレイの各列は、アレイプロセッサ45によってフーリエ変換された後、一次元フィルタのアレイによって乗算される。次いで、被フィルタリングデータは逆フーリエ変換され、またアレイ要素はそれぞれ、画像アレイ46を形成するように逆投影される。画像CPU42は、画像アレイデータを保存してもよいし、又はデータをオペレータワークステーション15に対して出力してもよい。
【0057】
なお、様々な実施形態はハードウェア、ソフトウェア、又はそれらの組み合わせに実装されてもよい。様々な実施形態及び/又は構成要素、例えばモジュール、若しくはその内部の構成要素及びコントローラもまた、1つ又は複数のコンピュータ若しくはプロセッサの一部として実装されてもよい。コンピュータ又はプロセッサは、例えばインターネットにアクセスするためのコンピューティングデバイス、入力デバイス、表示ユニット及びインターフェースを含んでいてもよい。コンピュータ又はプロセッサは、マイクロプロセッサを含んでいてもよい。このマイクロプロセッサは、通信バスに接続されてもよい。コンピュータ又はプロセッサは、さらにメモリを含んでいてもよい。このメモリは、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)及び読み出し専用メモリ(ROM)を含んでいてもよい。コンピュータ又はプロセッサはさらに記憶デバイスを含んでいてもよく、当該デバイスはハードディスクドライブ、あるいはソリッド・ステート・ドライブ、及び光学ドライブなどの取り外し可能な記憶ドライブであってもよい。この記憶デバイスはまた、コンピュータプログラム若しくは他の命令をコンピュータ又はプロセッサにロードするための他の類似の手段であってもよい。
【0058】
本明細書で使用する場合、「コンピュータ」、「コントローラ」、及び「モジュール」という用語にはそれぞれ、マイクロコントローラ、縮小命令セットコンピュータ(RISC)、特定用途集積回路(ASIC)、論理回路、GPU、FPGA、又は本明細書に記載の機能を実行できる他のあらゆる回路を含む、あらゆるプロセッサベース又はマイクロプロセッサベースのシステムが含まれていてもよい。上記の例は例示に過ぎないため、「モジュール」又は「コンピュータ」という用語の定義及び/又は意味を何ら限定することを意図していない。
【0059】
コンピュータ、モジュール、又はプロセッサは、入力データを処理するために1つ又は複数の記憶素子に保存される一連の命令を実行している。これらの記憶素子はさらに、要望又は必要に応じてデータ若しくは他の情報を保存することができる。記憶素子は、処理装置内の情報源又は物理メモリ素子の形態であってもよい。
【0060】
これらの一連の命令には、コンピュータ、モジュール、又はプロセッサに対して、本明細書に記載している、かつ/又は例示している様々な実施形態の方法及びプロセスなどの特定の動作を処理装置として行うように命令する、様々なコマンドが含まれていてもよい。これらの一連の命令はソフトウェアプログラムの形態であってもよい。このソフトウェアは、システムソフトウェア又はアプリケーションソフトウェアといった様々な形態であってもよく、また、有形の非一時的なコンピュータ可読媒体として具体化されてもよい。さらに、このソフトウェアは、個々のプログラム若しくはモジュールの集合体、より大きなプログラム内のプログラムモジュール、又はあるプログラムモジュールの一部の形態であってもよい。ソフトウェアはまた、オブジェクト指向プログラミングの形態のモジュラプログラミングを含んでいてもよい。処理装置による入力データの処理は、オペレータコマンドに応答して、又は前の処理の結果に応じて、あるいは別の処理装置によってなされる要求に応答して行われてもよい。
【0061】
本明細書で使用する場合、「ソフトウェア」という用語と「ファームウェア」という用語とは交換可能であり、またこれらの用語は、RAMメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、又は不揮発性RAM(NVRAM)メモリを含む、コンピュータによって実行される、メモリ内に保存されたあらゆるコンピュータプログラムを含む。上記のメモリのタイプは単なる例示に過ぎないため、コンピュータプログラムの保存に使用可能なメモリのタイプを限定するものではない。様々な実施形態の個々の構成要素は、例えばユーザがコンピュータシステムの場所、構成、及び/又は特定のハードウェアを気にかける必要なしに、計算能力の動的割り当てが可能となるように、クラウド型の計算環境によって仮想化され、かつホストされてもよい。
【0062】
上記の説明は例示を意図するものであって、限定を意図したものではないことを理解すべきである。例えば、上記の実施形態(及び/又はその態様)は、互いに組み合わせて使用されてもよい。さらに、特定の状況又は材料を様々な実施形態の開示内容に適合させるために、様々な実施形態の範囲から逸脱することなく多くの修正が行われてもよい。本明細書に記載している材料の寸法及びタイプにより、本発明の様々な実施形態のパラメータを定義することを意図しているが、これらの実施形態は決して限定的なものではなく、例示的な実施形態である。上記の説明を再度参照すれば、他の多くの実施形態が当業者には明らかになるであろう。したがって、本発明の様々な実施形態の範囲は、添付の特許請求の範囲を参照して、そのような特許請求の範囲が権利を与えられる等価物の全範囲と共に決定されるべきである。添付の特許請求の範囲において、「含む(including)」及び「そこで(in which)」という用語は、それぞれ「備える(comprising)」及び「そこにおいて(wherein)」という用語の平易な英語に相当するものとして使用される。さらに、以下の特許請求の範囲において、「第1の」、「第2の」、及び「第3の」などの用語は単にラベルとして用いられており、それらの対象物に数的な要件を課すことを意図するものではない。また、以下の特許請求の範囲の限定事項は、ミーンズプラスファンクション形式では書かれておらず、このような特許請求の範囲の限定事項が、さらなる構造を欠いた機能の文言が続く、「するための手段(means for)」というフレーズを明示的に使用しない限り、かつ使用するまでは、米国特許法112条(f)項に基づいて解釈されることを意図していない。
【0063】
本明細書は、いくつかの実施例を用いて本発明の様々な実施形態を開示し、なおかつ、あらゆるデバイス又はシステムを製造し、使用し、かつ組み込まれたあらゆる方法を実行することを含めて、いかなる当業者も本発明の様々な実施形態を実践することができるようにもしている。本発明の様々な実施形態の特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者が想到する他の実施例を含むことができる。このような他の実施例は、特許請求の範囲の文言との差がない構造要素を有する場合、又は特許請求の範囲の文言との実質的な差がない等価の構造要素を含む場合には、特許請求の範囲内にあると意図するものである。
【0064】
[実施態様1]
画像化対象物によって放出される光線を受光し、前記受光光線に応答して光エネルギーを放射するように構成されている結晶アレイ(160)であって、前記結晶アレイ(160)が、列状に配置されている複数の結晶(162)を含み、前記結晶(162)がそれぞれ、
前記画像化対象物から放出される前記光線を受光するように構成されている受光面(122)、
前記受光光線に応答して前記光エネルギーを放射するように構成されている発光面(124)、及び
前記発光面(124)から延在する複数の側面(170、172、174、176)であって、前記側面(170、172、174、176)が、前記結晶アレイ(160)内で隣り合う結晶(162)の側面(170、172、174、176)とアライメントしている、複数の側面(170、172、174、176)を含む、結晶アレイ(160)と、
前記結晶アレイ(160)内で隣り合う列間に配置されている開口反射材インサート(190)であって、前記開口反射材インサート(190)が、少なくとも1つの反射部(192)及び少なくとも1つの開口部(194)を含み、前記少なくとも1つの反射部(192)がある領域(196)を画定しており、また、前記少なくとも1つの開口部(194)が前記領域(196)内に配置されている、開口反射材インサート(190)と、を備える、
シンチレータ結晶のアセンブリ(185)。
[実施態様2]
前記開口反射材インサート(190)が、前記結晶アレイ(160)の横方向寸法(312)に沿って延在する、間隔を置かれた支柱(310)であって、前記支柱(310)がそれぞれ、対応する結晶(162)の側面(170、172、174、176)とアライメントしており、なおかつ前記対応する結晶(162)と前記対応する結晶(162)に隣接する結晶(162)との間で分配される光を制御するように構成されている、間隔を置かれた支柱(310)を含み、前記開口反射材インサート(190)が、前記支柱(310)を接合し、かつ前記結晶アレイ(160)にわたって横方向に延在する少なくとも1本のクロスバー(320)を含む、実施態様1に記載のシンチレータ結晶のアセンブリ(185)。
[実施態様3]
前記開口反射材インサート(190)が、互いに間隔を置いて配置されている2本のクロスバー(320)を含む、実施態様2に記載のシンチレータ結晶のアセンブリ(185)。
[実施態様4]
前記結晶(162)の前記複数の側面(170、172、174、176)が粗面化側面(180)及び研磨側面(184、340)を有しており、前記インサート(190)の前記支柱(310)が前記研磨側面(184、340)間に配置されている、実施態様2に記載のシンチレータ結晶のアセンブリ(185)。
[実施態様5]
前記支柱(310)の少なくとも一部の支柱幅(314、316)は、前記結晶(162)の結晶幅(318)よりも狭くなっている、実施態様2に記載のシンチレータ結晶のアセンブリ(185)。
[実施態様6]
ゲート配置の前記反射材インサート(190)の前記支柱(310)が、第1の幅(314)を有する第1の群の支柱(310a)、及び前記第1の幅(314)とは異なる第2の幅(316)を有する第2の群の支柱(310b)を含む、実施態様2に記載のシンチレータ結晶のアセンブリ(185)。
[実施態様7]
前記クロスバー(320)が、前記クロスバー(320)のいずれかの側にエンドタブ(350)を含み、前記エンドタブ(350)が、前記結晶アレイ(160)の外縁(327)と協働して、前記開口反射材インサート(190)を前記結晶アレイ(160)とアライメントさせるように構成されている、実施態様2に記載のシンチレータ結晶のアセンブリ(185)。
[実施態様8]
前記支柱(310)の形状が長方形である、実施態様2に記載のシンチレータ結晶のアセンブリ(185)。
[実施態様9]
前記開口反射材インサート(190)が、強化鏡面反射(ESR)フィルムを含む、実施態様1に記載のシンチレータ結晶のアセンブリ(185)。
[実施態様10]
前記発光面(124)が前記受光面(122)の対向側に配置される、実施態様1に記載のシンチレータ結晶のアセンブリ(185)。
[実施態様11]
画像化対象物からの光線を受光し、前記受光光線に応答して光エネルギーを放射するように構成されているシンチレータブロック(120)であって、前記シンチレータブロック(120)が、前記対象物によって放出される光線を受光し、かつ前記受光光線に応答して光エネルギーを放射するように構成されているシンチレータ結晶アレイ(160)を含み、前記シンチレータ結晶アレイ(160)が複数の結晶(162)を含み、前記結晶(162)がそれぞれ、
前記画像化対象物によって放出される前記光線を受光するように構成されている受光面(122)、
前記受光光線に応答して光エネルギーを放射するように構成されている発光面(124)、及び
前記発光面(124)から延在する複数の側面(170、172、174、176)であって、前記側面(170、172、174、176)が、前記結晶アレイ(160)内で隣り合う結晶(162)の側面(170、172、174、176)とアライメントしている、シンチレータブロック(120)と、
前記結晶アレイ(160)内で隣り合う列間に配置されている開口反射材インサート(190)であって、前記開口反射材インサート(190)が、少なくとも1つの反射部(192)及び少なくとも1つの開口部(194)を含み、前記少なくとも1つの反射部(192)がある領域(196)を画定しており、また、前記少なくとも1つの開口部(194)が前記領域(196)内に配置されている、開口反射材インサート(190)と、
前記シンチレータ結晶アレイ(160)から放射される前記光エネルギーを受け取るように構成されている光センサ(130)と、を備える、
対象物を画像化するための検出器システム。
[実施態様12]
前記開口反射材インサート(190)が、前記結晶アレイ(160)の横方向寸法(312)に沿って延在する、間隔を置かれた支柱(310)であって、前記支柱(310)がそれぞれ、対応する結晶(162)の側面とアライメントしており、なおかつ前記対応する結晶(162)と前記対応する結晶(162)に隣接する結晶(162)との間で分配される光を制御するように構成されている、間隔を置かれた支柱(310)を含み、前記開口反射材インサート(190)が、前記支柱(310)を接合し、かつ前記結晶アレイ(160)にわたって横方向に延在する少なくとも1本のクロスバー(320)を含む、実施態様11に記載の検出器システム。
[実施態様13]
前記結晶(162)の前記複数の側面(170、172、174、176)が粗面化側面(180)及び研磨側面(184、340)を有しており、前記インサートの前記支柱(310)が前記研磨側面(184、340)間に配置されている、実施態様12に記載の検出器システム。
[実施態様14]
前記支柱(310)の少なくとも一部の支柱幅(314、316)が、前記結晶(162)の結晶幅(318)よりも狭くなっている、実施態様12に記載の検出器システム。
[実施態様15]
前記クロスバー(320)が、前記クロスバー(320)のいずれかの側にエンドタブ(350)を含み、前記エンドタブ(350)が、前記結晶アレイ(160)の外縁(327)と協働して、前記開口反射材インサート(190)を前記結晶アレイ(160)とアライメントさせるように構成されている、実施態様12に記載の検出器システム。
[実施態様16]
少なくとも1つの反射部(192)及び少なくとも1つの開口部(194)を含む、開口反射材インサート(190)を設けるステップであって、前記少なくとも1つの反射部(192)がある領域(196)を画定しており、前記少なくとも1つの開口部(194)が前記領域(196)内に配置されている、ステップと、
シンチレータ結晶のアセンブリ(185)を形成するように、複数の結晶(162)を有する結晶アレイ(160)内に前記開口反射材インサート(190)を組み立てるステップであって、前記開口反射材インサート(190)が、前記アレイ(160)内で隣り合う結晶(162)列間に配置されている、ステップと、を含む、
対象物を画像化するためのシンチレータ(120)を設ける方法。
[実施態様17]
前記開口反射材インサート(190)を設けるステップが、反射フィルムから前記開口反射材インサート(190)をダイカットするステップを含む、実施態様16に記載の方法。
[実施態様18]
前記開口反射材インサート(190)が、前記結晶アレイ(160)の横方向寸法(312)に沿って延在する間隔を置かれた支柱(310)、及び前記支柱(310)を接合している少なくとも1本のクロスバー(320)を含み、前記結晶アレイ(160)を組み立てるステップが、対応する結晶(162)と前記対応する結晶(162)に隣接する結晶(162)との間で分配される光を制御するように、前記開口反射材インサート(190)の支柱(310)をそれぞれ、前記対応する結晶(162)の側面(170、172、174、176)とアライメントするステップを含む、実施態様16に記載の方法。
[実施態様19]
前記クロスバー(320)が前記クロスバー(320)のいずれかの側にエンドタブ(350)を含み、前記結晶アレイ(160)を組み立てるステップが、前記結晶アレイ(160)の外縁(327)と協働させて、前記開口反射材インサート(190)を前記結晶アレイ(160)とアライメントさせるように、前記エンドタブ(350)を配置するステップを含む、実施態様18に記載の方法。
[実施態様20]
前記結晶(162)の複数の側面(170、172、174、176)が粗面化側面(180)及び研磨側面(184、340)を有しており、前記結晶アレイ(160)を組み立てるステップが、前記開口反射材インサート(190)の前記支柱(310)を前記結晶(162)の前記研磨側面(184、340)間に配置するステップを含む、実施態様16に記載の方法。
【符号の説明】
【0065】
1 PETスキャンシステム
2 中心軸
10 ガントリー
11 検出器リングアセンブリ
12 スキャナボア
13 検査寝台
14 台座
15 オペレータワークステーション
16 通信リンク
17 ガントリーコントローラ
18 第2の通信リンク/ネットワーク
20 検出器ブロック
21 検出器/検出器結晶
25 取得回路
26 ケーブル
27 イベントロケータ回路
28 キャビネット
29 取得CPU
30 データ取得プロセッサ
31 バス
32 同時計数検出器
33 シリアルリンク
34 ソーター
40 画像再構成プロセッサ
42 画像CPU
43 メモリ
45 アレイプロセッサ
46 画像アレイ
48 サイノグラムアレイ
50 ワークステーションCPU
50’ イベント
51 ディスプレイ
51’ 投影光線
52 キーボード
100 イメージングシステム
104 消滅光子
106 光子
108 対象物
110 検出器
120 シンチレータブロック/シンチレータ
122 受光面
124 発光面
130 光センサ
134 光センサの受光面
150 処理ユニット/処理モジュール
160 結晶アレイ
162 隣接結晶
163 上面
164 下面
166 縦列
168 横列
169 反射部材
170 第1の側面
172 第2の側面
174 第3の側面
176 第4の側面
180 粗面化表面/粗面化側面
184 研磨側面
185 アセンブリ
190 開口反射材インサート
190a 開口反射材インサート
190b 開口反射材インサート
190c 開口反射材インサート
191 第1の側面
192 反射部
193 第2の側面
194 開口部
196 領域
198 高さ
199 長さ
201 ストリップ
202 ストリップ
203 ストリップ
310 支柱
310a 第1の群の支柱
310b 第2の群の支柱
312 横方向寸法
314 支柱幅/第1の幅
316 支柱幅/第2の幅
318 結晶幅
320 クロスバー
322 クロスバー幅
324 側縁
326 側縁
327 外縁
330 開口部
340 研磨側面
350 エンドタブ
R 距離
θ 投影角