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特許7184507自在棚板及び該自在棚板を用いた収納家具
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  • 特許-自在棚板及び該自在棚板を用いた収納家具 図1
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  • 特許-自在棚板及び該自在棚板を用いた収納家具 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】自在棚板及び該自在棚板を用いた収納家具
(51)【国際特許分類】
   A47B 96/02 20060101AFI20221129BHJP
   A47B 96/06 20060101ALI20221129BHJP
   A47B 57/06 20060101ALI20221129BHJP
【FI】
A47B96/02 C
A47B96/02 G
A47B96/06 B
A47B96/06 E
A47B57/06
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2017191996
(22)【出願日】2017-09-29
(65)【公開番号】P2019063263
(43)【公開日】2019-04-25
【審査請求日】2020-05-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000204985
【氏名又は名称】大建工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】操野 文孝
【審査官】油原 博
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/164753(WO,A1)
【文献】実開昭57-136244(JP,U)
【文献】実開昭49-045826(JP,U)
【文献】特開平11-168291(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 47/04、57/06、57/10、57/26
A47B 96/02、96/06、96/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する平面からなる壁面間において任意の高さに固定することができる平板状の自在棚板であって、
自在棚板の少なくとも一端側の側面には挿入部が形成され、
上記挿入部に、複数の圧接部を有する圧着部材が弾性力により該複数の圧接部を自在棚板の側面から突出させた状態で挿入されており、
上記圧接部は、圧着部材において壁面に対向する突出方向の先端部に設けられ、
自在棚板が壁面に固定されるときに、上記圧着部材の圧接部が上記弾性力により壁面に圧接状態で押し付けられて、該圧着部材により自在棚板が壁面に圧接部と壁面の平面との間の摩擦力により圧着固定されるように構成されていることを特徴とする自在棚板。
【請求項2】
対向する平面からなる壁面間において任意の高さに固定することができる平板状の自在棚板であって、
自在棚板の少なくとも一端側の側面には挿入部が形成され、
上記挿入部は、自在棚板側面に開口する凹溝であり、
上記挿入部に、複数の圧接部を有する圧着部材が弾性力により該複数の圧接部を自在棚板の側面から突出させた状態で挿入されており、
上記圧着部材は、板バネを中間部で折り返した1対の半部を有するU字状の板バネで、自在棚板の挿入部に、板バネの両端部が対向するように挿入されており、
上記板バネの壁面側半部外面に、自在棚板側面から突出して壁面に圧接する上記圧接部が設けられており、
自在棚板が壁面に固定されるときに、上記圧着部材の圧接部が上記弾性力により壁面に圧接状態で押し付けられて、該圧着部材により自在棚板が壁面に圧接部と壁面の平面との間の摩擦力により圧着固定されるように構成されていることを特徴とする自在棚板。
【請求項3】
対向する平面からなる壁面間において任意の高さに固定することができる平板状の自在棚板であって、
自在棚板の少なくとも一端側の側面には挿入部が形成され、
上記挿入部は、自在棚板側面に開口しかつ内部が自在棚板内の空間部に連通する複数の挿入孔を有し、
上記挿入部に、複数の圧接部を有する圧着部材が弾性力により該複数の圧接部を自在棚板の側面から突出させた状態で挿入されており、
上記圧着部材は、自在棚板の上記挿入孔に挿入された軸部と、自在棚板内の上記空間部に収容され、該軸部を先端が自在棚板側面から突出するように付勢するコイルバネと、軸部の先端に設けられ、上記コイルバネにより壁面側に付勢されて該壁面に圧接する圧接部とを有し、
自在棚板が壁面に固定されるときに、上記圧着部材の圧接部が上記弾性力により壁面に圧接状態で押し付けられて、該圧着部材により自在棚板が壁面に圧接部と壁面の平面との間の摩擦力により圧着固定されるように構成されていることを特徴とする自在棚板。
【請求項4】
収納家具の対向する側板間の高さ方向の任意の位置に請求項1乃至3のいずれか1つに記載の自在棚板を圧着固定することを特徴とする自在棚板を用いた収納家具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対向壁面間において任意の高さに固定することができる自在棚板及び該自在棚板を用いた収納家具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、収納家具の棚板は左右の側板に所定間隔で同じ高さになるようにダボ穴を設け、棚ダボと呼ばれる金属製のダボで棚板の底面四隅に設けた溝を受けて棚板を固定する方法が用いられており、これによって、ダボの取付位置を自由に選択できるので、棚板の高さを調整することができるが、ダボ穴を多数開けると側板の強度に影響し意匠性も悪くなる。さらに、いくら多数のダボ穴を設けてもmm単位で任意の高さに棚板を固定することはできず、収納物と上側の棚板との間に無駄な隙間が空き、効率的な収納ができなかった。
【0003】
この問題点を解決するために、特許文献1には、バネ圧縮により対向する所定壁間に突っ張り形式で取り付けられるものであり、相対向する枠板間に複数本の管(内管が摺動自在に外管に挿入され)が任意箇所で固定されるようになっており、片方の枠板にはネジを回転することでばねの圧縮力が調整でき、壁面に棚板を圧着固定できる圧着部材を設けた伸縮自在棚が開示されており、対向壁面間において任意の高さに固定することができる。
【0004】
しかし、この棚板はパイプ状のものであって、小さな収納物は隙間から落下し、一般的な収納家具の棚として外観上もそぐわない。これに対して、特許文献2には、棚板の一端側に棚板取付具を設けて対向壁面間に取り付ける棚板が開示されている。この棚板取付具は、通常の棚板にネジ止めすることができ、コイルスプリングで圧着面を壁面側に突っ張り固定する圧着部材を有し、壁面への圧着は調整ナットを回転させて行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実公平2-4604号公報
【文献】実公平3-36259号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、棚板の一端部下方側には小型とはいえ圧着部材が出っ張り、例えば書籍を並べる場合はせっかく書籍の高さに合わせて棚板を設置しても端部側は書籍を並べることができず隙間が開くことになり効率的な収納ができない。さらに、調整ナットは小型で棚板の下面部分に位置するため調整が面倒である。
【0007】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、対向壁面間において任意の高さに簡単に固定でき、見映えも良い自在棚板及び該自在棚板を用いた収納家具に関するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、対向する平面からなる壁面間において任意の高さに固定することができる平板状の自在棚板であって、自在棚板の少なくとも一端側の側面には挿入部が形成され、該挿入部に、複数の圧接部を有する圧着部材が弾性力により該複数の圧接部を自在棚板の側面から突出させた状態で挿入されており、上記圧接部は、圧着部材において壁面に対向する突出方向の先端部に設けられ、自在棚板が壁面に固定されるときに、上記圧着部材の圧接部が上記弾性力により壁面に圧接状態で押し付けられて、該圧着部材により自在棚板が壁面に圧接部と壁面の平面との間の摩擦力により圧着固定されるように構成されていることを特徴とする。
【0009】
この第1の発明では、対向する平面からなる壁面間において任意の高さに固定するために、自在棚板の少なくとも一端側の側面には挿入部が形成され、その挿入部に、圧着部材が弾性力により複数の圧接部を自在棚板の側面から突出させた状態で挿入され、圧接部は、圧着部材において壁面に対向する突出方向の先端部に設けられている。そして、この圧着部材の圧接部が弾性力により壁面に圧接状態で押し付けられ、圧接部と壁面の平面との間の摩擦力により自在棚板が壁面に圧着固定されているので、自在棚板はダボや金具を使わなくても圧着部材の圧着力による壁面との摩擦力によって壁面に対して突っ張り状態で固定される。したがって、自在棚板の取り付け取り外しを簡単におこなうことができ、取り外した後に見えるようなダボや金具がないので、美麗な外観が得られる。
【0010】
第2の発明は、請求項1に記載の自在棚板の発明と同様に対向する平面からなる壁面間において任意の高さに固定することができる平板状の自在棚板であって、その自在棚板の少なくとも一端側の側面には挿入部が形成され、その挿入部は、自在棚板側面に開口する凹溝であり、挿入部に、複数の圧接部を有する圧着部材が弾性力により該複数の圧接部を自在棚板の側面から突出させた状態で挿入されている。そして、圧着部材は、板バネを中間部で折り返した1対の半部を有するU字状の板バネで、自在棚板の挿入部に、板バネの両端部が対向するように挿入されており、上記板バネの壁面側半部外面に、自在棚板側面から突出して壁面に圧接する上記圧接部が設けられており、自在棚板が壁面に固定されるときに、上記圧着部材の圧接部が上記弾性力により壁面に圧接状態で押し付けられて、該圧着部材により自在棚板が壁面に圧接部と壁面の平面との間の摩擦力により圧着固定されるように構成されていることを特徴とする。
【0011】
この第2の発明では、請求項1に記載の自在棚板の発明と同様の作用効果が得られる。また、圧着部材はU字状の板バネであり、単純な板バネの反発力が自在棚板と壁面との間に作用して、双方向への付勢力を利用して圧接力で固定される。さらに板バネの壁面側半部外面に設けられた突状の圧接部によって単位面積当たりの圧接力が大きくなり強固に固定できる。
【0012】
第3の発明は、請求項1に記載の自在棚板の発明と同様に対向する平面からなる壁面間において任意の高さに固定することができる平板状の自在棚板であって、その自在棚板の少なくとも一端側の側面には挿入部が形成され、その自在棚板の挿入部は、自在棚板側面に開口しかつ内部が自在棚板内の空間部に連通する複数の貫通孔を有し、上記挿入部に、複数の圧接部を有する圧着部材が弾性力により該複数の圧接部を自在棚板の側面から突出させた状態で挿入されている。そして、上記圧着部材は、自在棚板の上記挿入孔に挿入された軸部と、自在棚板内の上記空間部に収容され、該軸部を先端が自在棚板側面から突出するように付勢するコイルバネと、軸部の先端に設けられ、コイルバネにより壁面側に付勢されて該壁面に圧接する圧接部とを有し、自在棚板が壁面に固定されるときに、上記圧着部材の圧接部が上記弾性力により壁面に圧接状態で押し付けられて、該圧着部材により自在棚板が壁面に圧接部と壁面の平面との間の摩擦力により圧着固定されるように構成されていることを特徴とする。
【0013】
この第3の発明では、請求項1に記載の自在棚板の発明と同様の作用効果が得られる。また、自在棚板の空間部内にあるコイルバネにより圧着部材の軸部が壁面側に付勢されて先端が自在棚板側面から突出し、この軸部先端の圧接部の圧接力で自在棚板が壁面に固定される。これによると棚板の正面側からはバネ部分は見えないので、より見映えの良い自在棚板が得られる。
【0014】
第4の発明は、請求項1乃至3のいずれか1つに記載の自在棚板を用いた収納家具に関するもので、収納家具の対向する側板間の高さ方向の任意の位置に自在棚板を圧着固定することを特徴とする。
【0015】
第4の発明では、前記の自在棚板を用いた収納家具で、任意の高さに自在棚板を固定することができるので、収納家具の無駄な隙間を無くすことができ効率の良い収納ができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、簡単な構造で壁面の任意の高さに固定でき、自由に固定位置を変える自在棚板が得られる。また、この自在棚板を収納家具に用いれば、収納家具の側板のどの位置でも任意の高さに、固定することができるので、無駄な隙間を無くすことができ効率の良い収納ができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の自在棚板を示し、圧着部材を除いた斜視図である。
図2】本発明の圧着部材(板バネ)の斜視図である。
図3】本発明の自在棚板と圧着部材(板バネ)の関係を示す斜視図である。
図4】本発明の収納家具の正面図である。
図5図4の一部分(棚板)を示す正面図である。
図6】本発明の別の圧着部材(コイルバネ)を設ける自在棚板の一部を示す斜視図である。
図7】本発明の別の圧着部材(コイルバネ)を装着した自在棚板と壁面の底面図である。
図8】本発明の別の圧着部材(コイルバネ)を装着した自在棚板と壁面の側面から見た断面の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0019】
図1は、本発明の自在棚板1の斜視図である。正面部1aに対して左右の側面部1bに溝を設けて、以下で説明する圧着部材(板バネ)2を挿入する挿入部1cを設けている。なお、図3に示している自在棚板1は溝が背面まで連続せず、背面側には側面から見るとコ字状に壁ができている。この部分は突き付け部1dで、圧着部材2が背面側に落下しないように設けても良い。
【0020】
圧着部材2は、金属又は樹脂からなる板バネを略中央での折り返し部2bで折り返し、弾性力を有する圧着部材2を形成している。折り返した板バネの壁面側に2箇所の角柱状の突接する圧接部2cを設けており、板バネの反発力が小さな面積の圧接部にかかるので単位面積当たりの圧接力が大きくなり強固に固定できる。なお、圧接部2cは図3に示すように壁への当接面の摩擦力を大きくするために、凹凸面にしたり摩擦力の大きなシートを貼る等した圧接部2c′としても良い。
【0021】
自在棚板1は、対向壁面間において任意の高さに固定することができるものであり、室内の壁面間に設けることもできるが、図4に示すような収納家具4に複数枚の自在棚板1を設置すれば、従来の収納家具のように、ダボ穴の位置に限定されず任意の高さに固定することができる。図5図4に示す収納家具4の一部分の棚板を現したものである。自在棚板1はその挿入部1cに挿入された圧着部材2により、その任意の高さに圧着固定されている。なお、対向壁面は収納家具の側板4aだけでなく室内の壁面3でも良い。
【0022】
自在棚板1の収納家具4への取付方法は、圧着部材2を自在棚板1の挿入部1cに挿入した後、両端部2aを指で摘んで板バネ2を凹ませて側板4aの所望の位置に合わせて、指を離して板バネ2を膨らませて圧着固定する。なお、圧着部材(板バネ)2は自在棚板1の両端に用いる方が平均的に力がかかるので好ましいが、一方の端部に用いても良い。これによれば、自在棚板1の正面側から圧着部材2を操作して、取り付け取り外しの操作ができるので、棚板の移動が容易に行える。
【0023】
図6には、別の圧着部材(コイルバネ)5を用いる場合の自在棚板1の一部が示されている。この図は説明がし易いように底面(下面)を上にしている。側面部1bから彫られた挿入部1c(2つの円)は、底面側に彫られた空間(2つの四角形)に内部で連通している。
【0024】
挿入部1cに圧着部材(コイルバネ)5を装着した自在棚板と壁面の底面図と側面から見た断面の概略図を図7図8に示す。圧着部材5は、コイルバネ5a、調整片5b、軸部5c、圧接部5dからなる。
【0025】
コイルバネ5aで調整片5bが外側に押され調整片5bから外部に突接する軸部5cの先端に設けられた圧接部5dが壁面3(収納家具の場合は4a)に圧着固定される。
【0026】
図8に記載されているように調整片5bの先端部(使用上は棚板の底面側になる)を指で操作することで自在棚板1の取り付け取り外しが行える。調整片5bは自在棚板1の下面側にあるので、収納物を置く際に邪魔にならない。
【0027】
コイルバネ仕様によれば、機構が複雑になるが正面に圧着部材の操作部分が見えないのでより見映えがよくなる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
以上説明したように、本発明は、対向壁面間において任意の高さに固定することができる自在棚板であり、これは収納家具の棚板として有用である。
【符号の説明】
【0029】
1 自在棚板
1b 側面部
1c 挿入部
2 圧着部材(板バネ)
2c 圧接部
3 壁面
4 収納家具
4a 側板
5 圧着部材
5a コイルバネ
5c 軸部
5d 圧接部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8