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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】毛髪用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/41 20060101AFI20221129BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20221129BHJP
   A61K 8/39 20060101ALI20221129BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20221129BHJP
   A61K 8/891 20060101ALI20221129BHJP
   A61Q 5/00 20060101ALI20221129BHJP
   A61Q 5/12 20060101ALI20221129BHJP
【FI】
A61K8/41
A61K8/34
A61K8/39
A61K8/86
A61K8/891
A61Q5/00
A61Q5/12
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018001429
(22)【出願日】2018-01-09
(65)【公開番号】P2019052128
(43)【公開日】2019-04-04
【審査請求日】2021-01-08
(31)【優先権主張番号】P 2017174508
(32)【優先日】2017-09-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】592255176
【氏名又は名称】株式会社ミルボン
(74)【代理人】
【識別番号】100111187
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 秀忠
(72)【発明者】
【氏名】森崎 愛美
(72)【発明者】
【氏名】前田 貴章
(72)【発明者】
【氏名】山中 良介
(72)【発明者】
【氏名】川越 紘
【審査官】池田 周士郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-173864(JP,A)
【文献】特開2012-167054(JP,A)
【文献】特開2001-233748(JP,A)
【文献】特開2009-013117(JP,A)
【文献】特開2010-254670(JP,A)
【文献】国際公開第2015/111551(WO,A1)
【文献】海藻スムース ヘアミルク, ヤマサキ,Cosmetic-Info.jp [online],2017年04月01日,[検索日 2021年10月6日], インターネット<URL:https://www.cosmetic-info.jp/prod/detail.php?id=51375>
【文献】Intensive Repair Treatment, Unilever Japan,Mintel GNPD [online],2013年09月,[検索日 2021年10月6日], ID#:2192565
【文献】Hair Treatment, Kracie Home Products,Mintel GNPD [online],2016年12月,[検索日 2021年10月6日], ID#:4466673
【文献】Oil Conditioner, Kumano Yushi, Mintel GNPD [online],2017年07月,[検索日 2021年10月6日], ID#:4948493
【文献】Daily Conditioner, AW Distributing,Mintel GNPD [online],2017年05月,[検索日 2021年10月6日], ID#:4790333
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ステアリルトリメチルアンモニウム塩、(B)ステアリルアルコール、(C)ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル及び/又はポリオキシエチレンアルキル(12~14)エーテル、並びに(D)水が配合され、
前記(A)ステアリルトリメチルアンモニウム塩の配合量が1.0質量%以上であり、
前記(C)ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル及び/又はポリオキシエチレンアルキル(12~14)エーテルの配合量に対する前記(A)ステアリルトリメチルアンモニウム塩と前記(B)ステアリルアルコールの配合量の合計の質量比[(A)+(B)/(C)]が15.58以上300以下である、
毛髪用組成物。
【請求項2】
(A)ステアリルトリメチルアンモニウム塩、(B)ステアリルアルコール、(C)ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル及び/又はポリオキシエチレンアルキル(12~14)エーテル、(D)水、並びに(E)液状油脂及び/又はシリコーンが配合され、
前記(A)ステアリルトリメチルアンモニウム塩の配合量が1.0質量%以上であり、
前記(C)ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル及び/又はポリオキシエチレンアルキル(12~14)エーテルとして、少なくとも、(C12-14)パレス-3が配合された、
毛髪用組成物。
【請求項3】
(A)ステアリルトリメチルアンモニウム塩、(B)ステアリルアルコール、(C)ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル及び/又はポリオキシエチレンアルキル(12~14)エーテル、並びに(D)水が配合され、
前記(C)ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル及び/又はポリオキシエチレンアルキル(12~14)エーテルとして、少なくとも、(C12-14)パレス-3、(C12-14)パレス-5、(C12-14)パレス-7、(C12-14)パレス-9、及び、(C12-14)パレス-11から選ばれる1種以上が配合されており、
洗い流さない使用方法のトリートメントに用いられるか、又は、スタイリング剤に用いられる、
毛髪用組成物。
【請求項4】
前記(A)ステアリルトリメチルアンモニウム塩に対する前記(B)ステアリルアルコールの質量比[(B)/(A)]が1.2以上であるか、又は、前記(A)ステアリルトリメチルアンモニウム塩と前記(B)ステアリルアルコールとのモル比(A):(B)が、1:1.9以上である、請求項1~3のいずれか1項に記載の毛髪用組成物。
【請求項5】
トリートメント又はスタイリング剤に用いられる請求項1、2、4のいずれか1項に記載の毛髪用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪用組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
各種の成分が配合された毛髪用組成物が毛髪の状態改善を目的として提供されている。上記の毛髪用組成物の一例として、特定の多糖誘導体、カチオン界面活性剤及び高級アルコールを含有する毛髪化粧料によってすすぎ時の感触が滑らかで、乾燥後の毛髪にまとまり性と滑り感を付与する技術が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-314303号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、毛髪用組成物は、保管時や流通時において様々な環境下に置かれることがあり、低温環境下に置かれた毛髪組成物は、その外観や物性等の性状が変化することがある。また、毛髪用組成物が凍結するような低温環境下では、当該組成物の凍結が起こることがあり、凍結した毛髪用組成物を解凍すると、凍結前の外観に比べて解凍後の外観が変化する場合があった。
そのような低温による毛髪用組成物の性状変化は、品質管理上好ましいものではない。さらに、毛髪用組成物の外観の変化が起こった場合、消費者に対して不安を抱かせることがある。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑み、低温による毛髪用組成物の性状変化を改善させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等が鋭意検討を行った結果、(A)ステアリルトリメチルアンモニウム塩、(B)ステアリルアルコール及び(D)水が配合された毛髪用組成物に、さらに(C)ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル及び/又はポリオキシエチレンアルキル(12~14)エーテルを配合すれば、低温による毛髪用組成物の性状変化を改善できるとの知見を得、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明の毛髪用組成物は、(A)ステアリルトリメチルアンモニウム塩、(B)ステアリルアルコール、(C)ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル及び/又はポリオキシエチレンアルキル(12~14)エーテル、並びに(D)水が配合されたものである。
【0008】
本発明に係る毛髪用組成物は、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステルとして、酸化エチレンの平均付加モル数が30以上のポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステルが配合されたものが、低温による毛髪用組成物の性状変化の改善に優れるため好ましい。
【0009】
本発明に係る毛髪用組成物は、例えば、(A)ステアリルトリメチルアンモニウム塩に対する(B)ステアリルアルコールの質量比[(B)/(A)]が1.2以上である。
【0010】
本発明に係る毛髪用組成物は、例えば、(A)ステアリルトリメチルアンモニウム塩と(B)ステアリルアルコールとのモル比(A):(B)が1:1.9以上である。
【0011】
本発明に係る毛髪用組成物は、例えば、トリートメントに用いられるものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、低温による毛髪用組成物の性状変化を改善させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】凍結前(凍結解凍0回目)、凍結解凍1回目、凍結解凍3回目の毛髪用組成物(実施例1~4)の外観写真。
図2】凍結前(凍結解凍0回目)、凍結解凍1回目、凍結解凍3回目の毛髪用組成物(比較例1~4)の外観写真。
図3】凍結前(凍結解凍0回目)、凍結解凍1回目、凍結解凍3回目の毛髪用組成物(比較例5、6)の外観写真。
図4】凍結前(凍結解凍0回目)、凍結解凍1回目、凍結解凍3回目の毛髪用組成物(実施例5~8)の外観写真。
図5】凍結前(凍結解凍0回目)、凍結解凍1回目、凍結解凍3回目の毛髪用組成物(比較例7~10)の外観写真。
図6】凍結前(凍結解凍0回目)、凍結解凍1回目、凍結解凍3回目の毛髪用組成物(実施例9~11、比較例11)の外観写真。
図7】凍結前(凍結解凍0回目)、凍結解凍1回目、凍結解凍3回目の毛髪用組成物(参考例1~4)の外観写真。
図8】凍結前(凍結解凍0回目)、凍結解凍1回目、凍結解凍3回目の毛髪用組成物(参考例5)の外観写真。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る実施形態の例を挙げつつ具体的に説明するが、これらの記載は本発明を限定するものではない。
【0015】
本実施形態に係る毛髪用組成物は、(A)ステアリルトリメチルアンモニウム塩、(B)ステアリルアルコール、(C)ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル及び/又はポリオキシエチレンアルキル(12~14)エーテル、並びに(D)水が配合されたものである。
【0016】
以下、上記(A)ステアリルトリメチルアンモニウム塩を「(A)成分」と、上記(B)ステアリルアルコールを「(B)成分」と、上記(C)ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル及び/又はポリオキシエチレンアルキル(12~14)エーテルを「(C)成分」と、上記(D)水を「(D)成分」と、それぞれ表記する場合がある。なお、「及び/又は」とは、両方或いはいずれか一方をいう。
【0017】
<(A)ステアリルトリメチルアンモニウム塩>
本実施形態の毛髪用組成物は、ステアリルトリメチルアンモニウム塩が1種又は2種以上配合されたものである。本実施形態の毛髪用組成物にステアリルトリメチルアンモニウム塩が配合されることで、毛髪に柔軟性を与える。
【0018】
前記ステアリルトリメチルアンモニウム塩は、下記一般式(1)で表されるものである。
【化1】

[一般式(1)における、Xはハロゲン原子(例えば、塩素、臭素、ヨウ素等)、硫酸エステル(例えば、メトサルフェート、エトサルフェート等)、サッカリン等の陰イオンを表す。]
【0019】
前記ステアリルトリメチルアンモニウム塩の具体例としては、例えば、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム(分子量:348.05)、臭化ステアリルトリメチルアンモニウムブロミド(分子量:392.50)、ステアリルトリメチルアンモニウムメトサルフェート(分子量:423.69)、ステアリルトリメチルアンモニウムサッカリン(分子量:494.77)等が挙げられる。
【0020】
前記ステアリルトリメチルアンモニウム塩の配合量の下限は、特に限定されないが、毛髪に優れた柔軟性を与える観点から、0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、1.5質量%以上がさらに好ましい。また、前記ステアリルトリメチルアンモニウム塩の配合量の上限は、特に限定されないが、皮膚刺激を低減する観点から、8質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、4質量%以下がさらに好ましい。
【0021】
<(B)ステアリルアルコール>
本実施形態に係る毛髪用組成物は、ステアリルアルコールが配合されたものである。
本実施形態の毛髪用組成物にステアリルアルコールが配合されることで、毛髪にしっとりとした感触を付与する。
【0022】
上記ステアリルアルコールは、炭素数が18の脂肪族アルコール(分子量:270.49)である。
【0023】
前記ステアリルアルコールの配合量の下限は、特に限定されないが、毛髪へのしっとりとした感触の付与が優れたものとなる観点から、1質量%以上が好ましく、2質量%以上がより好ましく、4質量%以上がさらに好ましい。また、前記ステアリルアルコールの配合量の上限は、特に限定されないが、毛髪の指通りが悪くなることを抑える観点から、15質量%以下が好ましく、12質量%以下がより好ましく、9質量%以下がさらに好ましい。
【0024】
本実施形態の毛髪用組成物に係る(A)成分の配合量に対する(B)成分の配合量の質量比[(B)/(A)]は、例えば、1.2~7.0である。
【0025】
本実施形態の毛髪用組成物に係る(A)成分のモル濃度と(B)成分のモル濃度とのモル比(A):(B)は、例えば、1:1.9~1:8.8である。
【0026】
<(C)ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル及び/又はポリオキシエチレンアルキル(12~14)エーテル>
本実施形態に係る毛髪用組成物は、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル及び/又はポリオキシエチレンアルキル(12~14)エーテルが配合されたものである。なお、「及び/又は」とは、両方或いはいずれか一方をいう。
本実施形態の毛髪用組成物にポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル及び/又はポリオキシエチレンアルキル(12~14)エーテルが配合されたものとすることで、低温による毛髪用組成物の性状変化を改善できる。
【0027】
本実施形態の毛髪用組成物の(C)成分の配合量の上限は、特に限定されないが、毛髪にしっとりとした感触を付与する観点から、0.01質量%以上が好ましく、0.03質量%以上がより好ましく、0.1質量%以上がさらに好ましい。また、本実施形態の毛髪用組成物の(C)成分の配合量の下限は、特に限定されないが、毛髪の指通りが悪くなることを抑える観点から、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、3質量%以下がさらに好ましい。
ここで、上記(C)成分の配合量は、本実施形態の毛髪用組成物に、(C)成分として、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル及びポリオキシエチレンアルキル(12~14)エーテルの両方が配合された場合は両方の配合量の合計を意味し、本実施形態の毛髪用組成物に、(C)成分として、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル又はポリオキシエチレンアルキル(12~14)エーテルのいずれかが配合された場合はそのいずれかの配合量を意味する。
【0028】
<ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル>
本実施形態に係るポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステルは、脂肪酸とソルビトールのポリエチレングリコールエーテル(酸化エチレンを付加重合したソルビトール)とのエステルであり、下記一般式(2)で表される。
【化2】

[一般式(2)における、R、R、R、R、R、Rは、H又はCOR´であり、R´は炭素数12以上24以下の直鎖又は分岐鎖を有する飽和又は不飽和の炭化水素基である。なお、R、R、R、R、R、Rの2つ以上がCOR´である場合には、R´はそれぞれ同一又は異なっていても良い。a、b、c、d、e、fは0~100の整数であり、a+b+c+d+e+f=1~100を表す。]
【0029】
前記ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステルとしては、例えば、ポリオキシエチレンソルビットモノ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビットテトラ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビットヘキサ脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0030】
前記ポリオキシエチレンソルビットモノ脂肪酸エステルとしては、例えば、ポリオキシエチレンモノラウリン酸ソルビット(6E.O.)等が挙げられる。なお、上記6E.O.とは酸化エチレンの平均付加モル数が6であることを示す。以下の記載において、E.O.(酸化エチレン)の前の数値は酸化エチレンの平均付加モル数を示す。
【0031】
前記ポリオキシエチレンソルビットテトラ脂肪酸エステルとしては、例えば、ポリオキシエチレンテトラオレイン酸ソルビット(6E.O.)、ポリオキシエチレンテトラオレイン酸ソルビット(30E.O.)、ポリオキシエチレンテトラオレイン酸ソルビット(40E.O.)、ポリオキシエチレンテトラオレイン酸ソルビット(60E.O.)、ポリオキシエチレンテトラステアリン酸ソルビット(60E.O.)、ポリオキシエチレンテトライソステアリン酸ソルビット(30E.O.)等が挙げられる。
【0032】
前記ポリオキシエチレンソルビットヘキサ脂肪酸エステルとしては、例えば、ポリオキシエチレンヘキサステアリン酸ソルビット(6E.O.)等が挙げられる。
【0033】
本実施形態に係るポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステルとしては、毛髪に滑らかな感触を付与する点から、ポリオキシエチレンソルビットテトラオレイン酸エステルが選ばれると良い。
【0034】
本実施形態に係るポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステルのうち、低温による毛髪用組成物の性状変化の改善をより優れたものとする点から、酸化エチレンの平均付加モル数が30以上のポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステルが好ましい。
【0035】
なお、本実施形態の毛髪用組成物に(C)成分としてポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステルが配合されたものである場合、当該ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステルの配合量の下限は、特に限定されないが、低温による毛髪用組成物の性状変化の改善がより優れたものとなる観点から、0.01質量%以上が好ましく、0.05質量%以上がより好ましく、0.1質量%以上がさらに好ましい。また、本実施形態の毛髪用組成物に(C)成分としてポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステルが配合されたものである場合、当該ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステルの配合量の上限は、特に限定されないが、毛髪への滑らかさの付与がより優れたものとする点から、5質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましく、0.5質量%以下がさらに好ましい。
【0036】
<ポリオキシエチレンアルキル(12~14)エーテル>
本実施形態の毛髪用組成物に配合されるポリオキシエチレンアルキル(12~14)エーテルは、炭素数12~14のアルキル基を有するアルコールに酸化エチレンが付加重合されたものである。
【0037】
前記ポリオキシエチレンアルキル(12~14)エーテルは、酸化エチレンの平均付加モル数が1~30のものを用いることができる。
そのようなポリオキシエチレンアルキル(12~14)エーテルとしては、例えば、ポリオキシエチレンアルキル(12~14)エーテル(3E.O.)[化粧品表示名称:(C12-14)パレス-3]、ポリオキシエチレンアルキル(12~14)エーテル(5E.O.)[化粧品表示名称:(C12-14)パレス-5]、ポリオキシエチレンアルキル(12~14)エーテル(7E.O.)[化粧品表示名称:(C12-14)パレス-7]、ポリオキシエチレンアルキル(12~14)エーテル(9E.O.)[化粧品表示名称:(C12-14)パレス-9]、ポリオキシエチレンアルキル(12~14)エーテル(11E.O.)[化粧品表示名称:(C12-14)パレス-11]、ポリオキシエチレンアルキル(12~14)エーテル(12E.O.)[化粧品表示名称:(C12-14)パレス-12]等が挙げられる。
【0038】
なお、本実施形態の毛髪用組成物に(C)成分としてポリオキシエチレンアルキル(12~14)エーテルが配合されたものである場合、当該ポリオキシエチレンアルキル(12~14)エーテルの配合量の下限は、特に限定されないが、低温による毛髪用組成物の性状変化の改善がより優れたものとなる観点から、0.01質量%以上が好ましく、0.05質量%以上がより好ましく、0.1質量%以上がさらに好ましい。また、本実施形態の毛髪用組成物に(C)成分としてポリオキシエチレンアルキル(12~14)エーテルが配合されたものである場合、当該ポリオキシエチレンアルキル(12~14)エーテルの配合量の上限は、特に限定されないが、毛髪が重い感触(重量感のある手触り)となることを低減する観点から、5質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましく、0.5質量%以下がさらに好ましい。
【0039】
本実施形態の毛髪用組成物に係る(C)成分の配合量に対する(A)成分と(B)成分の配合量の合計の質量比[(A)+(B)/(C)]の下限値は、特に限定されないが、毛髪へのしっとりとした感触の付与が優れたものとなる観点から1以上とすると良い。また、前記質量比[(A)+(B)/(C)]の上限値は、特に限定されないが、毛髪の指通りが悪くなることを抑える観点から300以下が良い。
【0040】
<(D)水>
本実施形態に係る毛髪用組成物は、水が配合されたものである。本実施形態において、水は、(A)成分、(B)成分、(C)成分を分散させる媒体である。
【0041】
水の配合量は、本実施形態の毛髪用組成物が毛髪に塗布し易い粘度とする観点から、60~98質量%が好ましく、65質量%~97質量%がより好ましく、70質量%~95質量%がさらに好ましい。
【0042】
(任意成分)
本実施形態の毛髪用組成物は、上記の(A)成分~(D)成分以外の任意成分が配合されたものとしても良い。任意成分は、公知の毛髪用組成物に配合される成分から、毛髪用組成物の用途、目的に応じて適宜に選定される。
毛髪用組成物に配合される任意成分としては、アニオン界面活性剤、上記(A)成分以外のカチオン界面活性剤、両性界面活性剤、上記(C)成分以外のノニオン界面活性剤、上記(B)成分以外の高級アルコール、アルコール、多価アルコール、糖類、エステル油、油脂、脂肪酸、炭化水素、ロウ、シリコーン、高分子化合物、アミノ酸、動植物抽出物、微生物由来物、無機化合物、香料、防腐剤、金属イオン封鎖剤、紫外線吸収剤などである。
【0043】
本実施形態の毛髪用組成物には、任意成分として、1種又は2種以上の液状油脂を配合しても良い。なお前記液状油脂とは、脂肪酸とグリセリンとのトリエステルを主成分とする25℃で液状のものをいう。
前記液状油脂としては、例えば、アボガド油、アーモンド油、オリーブ油、ククイナッツ油、コメヌカ油、コーン油、サフラワー油、パーシック油、パーム核油、ヒマワリ油、ハイブリッドヒマワリ油、ブドウ種子油、ヘーゼルナッツ油、マカデミアナッツ油、メドウフォーム油、ローズヒップ油等が挙げられる。前記液状油脂の配合量は、例えば、0.1質量%以上10質量%以下である。
【0044】
本実施形態の毛髪用組成物には、任意成分として、1種又は2種以上のシリコーンを配合しても良い。前記シリコーンとしては、例えば、ジメチルシリコーン(メチルポリシロキサン、高重合メチルポリシロキサン等)、メチルフェニルシリコーン、環状ジメチルシリコーン(オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等)、アミノ変性シリコーン(アミノエチルアミノプロピルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、アミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体等)、ポリエーテル変性シリコーン、長鎖アルキル変性シリコーン、シラノール変性シリコーン等が挙げられる。前記シリコーンの配合量は、例えば、0.1質量%以上20質量%以下である。
【0045】
(剤型)
本実施形態の毛髪用組成物の剤型は、特に限定されず、例えば、乳液状、クリーム状、ワックス状、ゲル状が挙げられる。剤型は、毛髪の塗布を容易にする観点から、クリーム状とすることが好ましい。
【0046】
上記剤型の形態は、特に限定されないが、例えばO/W型エマルジョン、W/O/W型エマルジョン、W/O型エマルジョンの形態とすることができる。
【0047】
(粘度)
本実施形態の毛髪用組成物の粘度は、特に限定されないが、例えば、1000mPa・s以上60000mPa・s以下である。なお、毛髪用組成物の剤型をクリーム状に調整する場合、B型粘度計で適宜なローターを用いて25℃で計測した60秒後の粘度が、例えば5000mPa・s以上50000mPa・s以下である。
【0048】
(pH)
本実施形態の毛髪用組成物のpHは、特に限定されないが、毛髪の柔軟性や毛髪へのしっとりとした感触の付与に優れる観点から、2.5以上7以下が良い。なお、pHの値は25℃における測定値が採用される。
【0049】
(製造方法)
使用時の剤型に応じた公知の毛髪用組成物の製法を採用すれば、本発明の毛髪用組成物を製造できる。例えば、クリーム状の毛髪用組成物を製造する場合の一例としては、(A)成分、(B)成分及び(C)成分を配合した油相を、当該油相の融点以上に加熱し、(D)成分を配合した水相と混合する方法がある。
【0050】
(用途)
本実施形態に係る毛髪用組成物の用途は、トリートメント(例えば、リンス、コンディショナー、洗い流すトリートメント、洗い流さないトリートメント、多剤式トリートメントの一構成剤、パーマの前処理のためのトリートメント、パーマの後処理のためのトリートメント、カラーリングの前処理のためのトリートメント、カラーリングの後処理のためのトリートメント、ブリーチの前処理のためのトリートメント、ブリーチの後処理のためのトリートメント等)、スタイリング剤(例えば、ヘアクリーム、ヘアワックス、ヘアジェル、ヘアミスト等)が挙げられる。
【0051】
(使用方法)
本実施形態の毛髪用組成物の使用方法は、その用途に応じた公知の毛髪用組成物の使用方法を採用すればよい。そのため、毛髪用組成物を塗布した後に、洗い流す又は洗い流さない使用方法として良い。
上記洗い流す使用方法の一例として、濡れた毛髪(例えばシャンプー後)に本実施形態の毛髪用組成物を塗布し、塗布した直後又は塗布し一定時間放置した後に洗い流して、毛髪を乾燥させる使用方法が挙げられる。
上記洗い流さない使用方法の一例として、水で濡れた毛髪に本実施形態の毛髪用組成物を塗布し、洗い流さずに毛髪を乾燥させる使用方法が挙げられる。
【実施例
【0052】
以下、実施例に基づき本発明を詳述するが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるものではない。
【0053】
後記表1~5に示す組成の実施例1~11、比較例1~11、参考例1~5の毛髪用組成物を製造し、これらの各毛髪用組成物について、低温による毛髪用組成物の性状変化の評価を行った。また、一部の毛髪用組成物について、体積平均粒子径の測定を行った。詳細は、次の通りである。
【0054】
(毛髪用組成物の製造)
毛髪用組成物の公知の製造方法により、後記表1~5に示す組成となるように各種配合成分を混合して、実施例1~11、比較例1~11、参考例1~5の毛髪用組成物を製造した。なお、表1~5における各配合成分の数値は質量%を表し(「-」の表記は未配合を示す)、適量とした2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンは0.000333質量%の配合量である。また、表1~5に示す組成中のイソプロパノールは、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム又は臭化ステアリルトリメチルアンモニウムを含有する原料中に含まれるイソプロパノールに由来するものである。
得られた実施例1~11、比較例1~11、参考例1~5の毛髪用組成物はいずれもクリーム状のO/W型エマルジョン形態であった。
【0055】
(低温による毛髪用組成物の性状変化の評価)
本実施例においては低温による毛髪用組成物の性状変化の評価として、凍結解凍による外観変化を評価した。この凍結解凍による外観変化の評価は下記に示す評価方法及び評価基準に従って行った。
なお、凍結解凍による外観変化の評価は、毛髪用組成物の組成に応じて毛髪用組成物が凍結するような温度に適宜設定すればよく(例えば、-5℃~-30℃の設定等)、本実施例の評価においては、毛髪用組成物を凍結させる低温条件を-10℃又は-20℃の設定とした。
【0056】
(評価方法)
下記(1)~(4)の手順により、実施例1~11、比較例1~11、参考例1~5の各毛髪用組成物について、凍結解凍による外観変化を評価した。
(1)凍結前(凍結解凍0回目)の各毛髪用組成物を、それぞれ密閉容器に充填した。
(2)-10℃に設定した恒温機に、各毛髪用組成物が充填された密閉容器を、2~7日間保存し凍結させた。なお、-10℃で凍結しなかった毛髪用組成物は、-20℃で1~2日間保存し凍結させた。
(3)凍結した各毛髪用組成物を、常温で放置して解凍させた(凍結解凍1回目)。
(4)解凍後の各毛髪用組成物を密閉容器から取り出し、次に示す「凍結解凍1回目の外観変化の評価基準」に従って評価した。
(5)上記(2)、(3)の操作を2回繰り返した後、凍結解凍3回目の各毛髪用組成物を密閉容器から取り出し、次に示す「凍結解凍3回目の外観変化の評価基準」に従って評価した。
なお、評価に用いた各毛髪用組成物の外観について、凍結前(凍結解凍0回目)、凍結解凍1回目、凍結解凍3回目の写真をそれぞれ撮影した。
【0057】
(凍結解凍1回目の外観変化の評価基準)
◎ :凍結前(凍結解凍0回目)と凍結解凍1回目との外観の変化が、基準における凍結前(凍結解凍0回目)と凍結解凍1回目との外観の変化と比較してかなり小さい。
○ :凍結前(凍結解凍0回目)と凍結解凍1回目との外観の変化が、基準における凍結前(凍結解凍0回目)と凍結解凍1回目との外観の変化と比較してやや小さい。
同等 :凍結前(凍結解凍0回目)と凍結解凍1回目との外観の変化が、基準における凍結前(凍結解凍0回目)と凍結解凍1回目との外観の変化と比較してほぼ同等。
× :凍結前(凍結解凍0回目)と凍結解凍1回目との外観の変化が、基準における凍結前(凍結解凍0回目)と凍結解凍1回目との外観の変化と比較して大きい。
【0058】
(凍結解凍3回目の外観変化の評価基準)
◎ :凍結前(凍結解凍0回目)と凍結解凍3回目との外観の変化が、基準における凍結前(凍結解凍0回目)と凍結解凍3回目との外観の変化と比較してかなり小さい。
○ :凍結前(凍結解凍0回目)と凍結解凍3回目との外観の変化が、基準における凍結前(凍結解凍0回目)と凍結解凍3回目との外観の変化と比較してやや小さい。
同等 :凍結前(凍結解凍0回目)と凍結解凍3回目との外観の変化が、基準における凍結前(凍結解凍0回目)と凍結解凍3回目との外観の変化と比較してほぼ同等。
× :凍結前(凍結解凍0回目)と凍結解凍3回目との外観の変化が、基準における凍結前(凍結解凍0回目)と凍結解凍3回目との外観の変化と比較して大きい。
【0059】
(体積平均粒子径の測定)
実施例1~8、比較例1~10の毛髪用組成物における凍結前(凍結解凍0回目)と凍結解凍3回目の体積平均粒子径を、日機装社製の測定装置「Microtrac MT3000」を用いて、レーザー回折・散乱法により測定した。
【0060】
得られた測定値から、下記数式を用いて凍結解凍による体積平均粒子径の変化値を算出した。
「体積平均粒子径の変化値」 = (凍結解凍3回目の体積平均粒子径)/(凍結前(凍結解凍0回目)の体積平均粒子径)
この数式により算出された「体積平均粒子径の変化値」の数値が大きいほど、凍結解凍による体積平均粒子径の変化が大きいことを示す。
【0061】
(実施例1~4、比較例1~6)
実施例1~4、比較例1~6の毛髪用組成物の凍結解凍による外観変化の評価の結果と体積平均粒子径の測定の結果を下記表1、2に示す。なお、この凍結解凍による外観変化の評価は、比較例1を基準とした。
また、実施例1~4、比較例1~6の毛髪用組成物の凍結前(凍結解凍0回目)、凍結解凍1回目、凍結解凍3回目の外観写真を図1~3に示す。
【0062】
【表1】
【0063】
【表2】
【0064】
上記表1、2において、実施例1~4、比較例2~6に配合された(C)、(C比較)に示す各成分の配合量は、各成分のモル濃度が5.3×10-7Mとなるようにしている。なお、表1における「ハイブリッドヒマワリ油」は化粧品表示名称の「ハイブリッドヒマワリ油」の定義(ヒマワリ Helianthus Annuusの交雑種の種子から得られる脂肪油)に該当するものを用いた(後記表3~5におけるハイブリッドヒマワリ油も同様)。
【0065】
表1、2及び図1~3に示す結果から、(C)成分であるポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル又はポリオキシエチレンアルキル(12~14)エーテルが配合された実施例1~4の毛髪用組成物は、基準とした比較例1の毛髪用組成物((C)成分が未配合)に比べて、凍結解凍による外観の変化が、凍結解凍1回目と凍結解凍3回目の両方とも小さかった。また、(C)成分の代わりに(C比較)成分が配合された比較例2~6の毛髪用組成物は、基準とした比較例1の毛髪用組成物に比べて、凍結解凍による外観の変化が同等であった。
これらの結果から、(A)成分、(B)成分及び(D)成分が配合された毛髪用組成物に、さらに(C)成分であるポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル又はポリオキシエチレンアルキル(12~14)エーテルを配合させることにより、低温による毛髪用組成物の性状変化(凍結解凍による外観の変化)を改善できることが分かる。
【0066】
表1、2に示す体積平均粒子径の結果から、凍結解凍による外観変化の基準とした比較例1の毛髪用組成物に比べて、実施例1~4の毛髪用組成物は、体積平均粒子径の変化値が小さいものや同程度のものがあった。また、比較例2~6の毛髪用組成物の体積平均粒子径の変化値は、比較例1の毛髪用組成物の当該変化値に比べて、小さいものや大きいものがあった。
これらの結果から、(A)~(D)成分が配合された実施例1~3の毛髪用組成物は、比較例1の毛髪用組成物((C)成分が未配合)よりも、凍結解凍による体積平均粒子径の変化が小さく、低温による毛髪用組成物の性状変化を改善できることが分かる。
【0067】
(実施例5~8、比較例7~10)
実施例5~8、比較例7~10の毛髪用組成物の凍結解凍による外観変化の評価の結果と体積平均粒子径の測定の結果を下記表3に示す。なお、この凍結解凍による外観変化の評価は、比較例7を基準とした。
また、実施例5~8、比較例7~10の毛髪用組成物の凍結前(凍結解凍0回目)、凍結解凍1回目、凍結解凍3回目の外観写真を図4図5に示す。
【0068】
【表3】
【0069】
上記表3において、実施例5~8、比較例8~10に配合された(C)、(C比較)に示す各成分の配合量は、各成分のモル濃度が5.3×10-7Mとなるようにしている。
【0070】
表3、図4図5に示す結果から、(C)成分であるポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル又はポリオキシエチレンアルキル(12~14)エーテルが配合された実施例5~8の毛髪用組成物は、基準とした比較例7の毛髪用組成物((C)成分が未配合)に比べて、凍結解凍による外観の変化が、凍結解凍1回目でいずれも小さかった。また、凍結解凍3回目において、実施例6~8の毛髪用組成物は、基準とした比較例7の毛髪用組成物に比べて凍結解凍による外観の変化が小さかった。そして、(C)成分の代わりに(C比較)成分が配合された比較例8~10の毛髪用組成物は、基準とした比較例7の毛髪用組成物に比べて、凍結解凍による外観の変化が凍結解凍1回目、凍結解凍3回目ともに同等であった。
これらの結果から、(A)成分、(B)成分及び(D)成分が配合された毛髪用組成物に、さらに(C)成分であるポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル又はポリオキシエチレンアルキル(12~14)エーテルを配合させることにより、低温による毛髪用組成物の性状変化(凍結解凍による外観の変化)を改善できることが分かる。
【0071】
表3に示す体積平均粒子径の結果から、凍結解凍による外観変化の基準とした比較例7の毛髪用組成物に比べて実施例5~8の毛髪用組成物は、体積平均粒子径の変化値が小さかった。また、比較例7の毛髪用組成物の体積平均粒子径の変化値に比べて、比較例8~10の毛髪用組成物の当該変化値は小さかった。
これらの結果から、(A)~(D)成分が配合された実施例5~8の毛髪用組成物は、比較例7((C)成分が未配合)の毛髪用組成物よりも、凍結解凍による体積平均粒子径の変化が小さく、低温による毛髪用組成物の性状変化を改善できることが分かる。
【0072】
(実施例9~11、比較例11)
下記表4に、実施例9~11、比較例11の毛髪用組成物の凍結解凍による外観変化の評価の結果を示す。なお、この凍結解凍による外観変化の評価は、比較例11を基準とした。ここで、表4に示す実施例10、比較例11は、表3における実施例7、比較例7とそれぞれ同じものである。
また、図6に実施例9~11、比較例11の毛髪用組成物の凍結前(凍結解凍0回目)、凍結解凍1回目、凍結解凍3回目の外観写真を示す。
【0073】
【表4】
【0074】
表4、図6に示す結果から、(C)成分であるテトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット(60E.O.)が配合された実施例9~11の毛髪用組成物は、基準とした比較例11((C)成分が未配合)の毛髪用組成物に比べて、凍結解凍による外観の変化が、凍結解凍1回目及び凍結解凍3回目でいずれも小さかった。また、(C)成分であるテトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット(60E.O.)を0.2質量%配合の実施例10の毛髪用組成物と0.5質量%配合の実施例11の毛髪用組成物は、0.1質量%配合の実施例9の毛髪用組成物よりも、凍結解凍3回目における外観変化に優れたものであった。
【0075】
(参考例1~5)
下記表5に、参考例1~5の毛髪用組成物の凍結解凍による外観変化の評価を示す。なお、この凍結解凍による外観変化の評価は、参考例3を基準とした。ここで、表5に示す参考例3は、表1における比較例1と同じものである。
また、図7図8に参考例1~5の毛髪用組成物の凍結前(凍結解凍0回目)、凍結解凍1回目、凍結解凍3回目の外観写真を示す。
【0076】
【表5】
【0077】
表5、図7図8に示す結果から、凍結解凍1回目において、参考例1、2、4の毛髪用組成物は基準とした参考例3の毛髪用組成物と比べて凍結解凍による外観の変化が同等であったが、参考例5の毛髪用組成物は、基準とした参考例3の毛髪用組成物と比べて凍結解凍による外観の変化が大きかった。また、凍結解凍3回目においては、参考例1、2、4、5の毛髪用組成物は基準とした参考例3の毛髪用組成物と比べて凍結解凍による外観の変化が同等であった。
なお、図7に示す外観写真から、参考例3(比較例1)の毛髪用組成物は、凍結前(凍結解凍0回目)の外観に比べて凍結解凍1回目の外観と凍結解凍3回目の外観にそれぞれ変化が見られ、低温による毛髪用組成物の性状変化が認められる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8