(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】少なくとも1つの継電器を作動させるための回路構成
(51)【国際特許分類】
H01H 47/00 20060101AFI20221129BHJP
H01H 47/32 20060101ALI20221129BHJP
H01H 47/04 20060101ALI20221129BHJP
【FI】
H01H47/00 Z
H01H47/32 A
H01H47/04
(21)【出願番号】P 2018022551
(22)【出願日】2018-02-09
【審査請求日】2020-12-16
(31)【優先権主張番号】10 2017 102 637.1
(32)【優先日】2017-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】518050263
【氏名又は名称】ピルツ ゲーエムベーハー ウント コー.カーゲー
【氏名又は名称原語表記】Pilz GmbH & Co.KG
(74)【代理人】
【識別番号】100075557
【氏名又は名称】西教 圭一郎
(72)【発明者】
【氏名】プルマン,ユルゲン
(72)【発明者】
【氏名】ノイシュヴァンダー,ベルント
(72)【発明者】
【氏名】シャルプフ,フリーダー
【審査官】松永 謙一
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-056679(JP,A)
【文献】特開2009-289671(JP,A)
【文献】特開2016-167193(JP,A)
【文献】特開2005-337965(JP,A)
【文献】特開2003-066063(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 47/00-47/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの継電器(2)を作動させるための回路構成(1)であって、
少なくとも1つの継電器(2)に、作動電圧(3)を供給することが可能である電力供給装置であって、作動電圧(3)とグランド(GND)との間には、電気スイッチ(4)と、少なくとも1つの継電器の継電器コイル(20)と、シャント抵抗(5)とが、電気的に直列に接続される、電力供給装置と、
電気スイッチ(4)が、特に、パルス幅変調で制御することが可能であり、継電器コイル(20)を流れる制御電流を制御することが可能であるように構成されてなる電流制御装置(60)とを含み、
回路構成(1)は、少なくとも1つのセンサ手段であって、継電器(2)に作用する振動、衝撃、または振動を検出するように構成されてなるセンサ手段と、センサ手段(8)によって検出されたセンサデータの評価のための評価ユニット(62)とを含み、
センサ手段は、加速度センサ手段(8)として構成され、該加速度センサ手段(8)は、少なくとも1つの継電器(2)に作用する加速度を、少なくとも1つの空間方向において検出するように構成されてなり、
評価ユニット(62)は、測定された加速度値の時間微分によって、継電器(2)の領域内に広がるジャーク(j)を決定することが可能であるように構成されてなり、
電流制御装置(60)が、評価ユニット(62)によって決定されたジャーク(j)に基づいて制御電流を調整するように構成されてな
り、
電流制御装置(60)は、j≧j
krit
(j
krit
はジャークの臨界閾値)の場合、継電器コイル(20)を流れる制御電流は高くなるように構成されてなることを特徴とする回路構成(1)。
【請求項2】
加速度センサ手段(8)は、少なくとも1つの継電器(2)に作用する加速度を、少なくとも2つの空間方向において、好ましくは、3つの空間方向において検出するように構成されてなることを特徴とする、請求項1に記載の回路構成(1)。
【請求項3】
加速度センサ手段(8)は、9軸センサとして実施され、ジャイロスコープおよび磁力計を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の回路構成(1)。
【請求項4】
加速度センサ手段(8)は、少なくとも1kHz、好ましくは少なくとも3kHz、特に、少なくとも5kHzに達するサンプリングレートを有することを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の回路構成(1)。
【請求項5】
電子スイッチ(4)は、バイポーラトランジスタであることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の回路構成(1)。
【請求項6】
電流制御装置(60)は、j<j
kritの場合、継電器コイルを流れる制御電流は減衰して低下するように構成されてなることを特徴とする、請求項
1~5のいずれか1項に記載の回路構成(1)。
【請求項7】
継電器コイル(20)は
、電力供給装置によって供給される作動電圧(3)の半分未満のコイル電圧であることを特徴とする、請求項1~
6のいずれか1項に記載の回路構成(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの継電器を作動させるための回路構成に関し、該回路構成は、前記少なくとも1つの継電器に、作動電圧を供給することが可能である電力供給装置を含み、この場合、作動電圧とグランドとの間には、電子スイッチと、少なくとも1つの継電器の継電器コイルと、シャント抵抗とが、電気的に直列に接続され、さらにまた、前記回路構成は、電子スイッチが、特に、パルス幅変調で制御することが可能であり、継電器コイルを流れる制御電流を制御することが可能であるように構成されてなる電流制御装置を含む。
【背景技術】
【0002】
継電器は電磁スイッチとして知られている。このような継電器は、種々の実施形態において従来技術から知られているが、様々な技術的用途に適しており、たとえば安全切換え装置での利用が可能である。継電器は、強磁性コアと継電器コイルとを含み、該継電器コアは、回路構成に接続され、そこから制御電流を供給することができる。さらにまた、継電器は、可動の強磁性のアンカと、アンカに結合された1つまたは複数の継電器接点とを含む。作動中、電流が継電器コイルを流れ、該電流の方は、強磁性コアを通過する磁束を発生させる。これによって、アンカは引き付けられ、そこに結合された継電器接点がオンスイッチとなる。アンカは、リターンスプリングと結合されており、該リターンスプリングは、継電器コイルに制御電流が流れなくなったとき、ばね力によってアンカを出口位置に移動させるように構成されている。実際の適用では、いわゆる閉回路継電器とシャント継電器とは区別される。閉回路継電器は、閉成状態で、継電器コイルを電流が流れ、アンカが引き付けられる。閉回路継電器によって、たとえば、停電または電線の破断を監視することが可能である。それに対して、シャント継電器は、閉成状態では、電流が流れない。
【0003】
安全切換え装置は、今日、IEC1131規格に従って、24V+10%(いわゆるサージ電圧)から24V-15%(いわゆる不足電圧)までの差動電圧に決められている。したがって、不足電圧の場合、作動電圧は、24V-15%=20.4Vとなる。安全切換え装置の電気的スイッチでは、通常の継電器が利用されており、18Vから20Vの継電器電圧で作動する通常の継電器が利用されている。
【0004】
継電器の基本的な欠点は、継電器が衝撃、振動および他の揺れに対して比較的敏感であることである。不足電圧の場合、少なくとも1つの中継安全継電器が設けられた安全切換え装置は、起こり得るすべての衝撃、揺れ、振動を考慮して、継電器接点が開くことができないように、スイッチング技術が装備されていることが必要である。この目的のためには、高い電気的保持力が必要であり、それによって、十分に大きな力を準備しておくことが可能となり、したがって、継電器接点のアンカは、揺れがあった場合にも、閉成位置にとどまることができる。
【0005】
24Vの典型的な作動電圧の場合、このより高い電圧によって、より多くの電流が継電器コイルを流れるので、電気的保持力が高くなる。24V+10%=26.4Vの過電圧の場合、継電器コイルを幾分より高い電流がまた流れ、したがって、電力損失が生じるので大きな熱が発生する。
【0006】
通常、長い給電線を備えた大規模な技術装置の場合、より高い電圧が設定され、それによって、その技術装置の最終末端でつなげられた電気使用者でも、不足電圧になることはない。このスイッチキャビネットでは、再調整されない限り、より高い電流によって引き起されるかなりの熱損失になる、軽い過剰電圧になっている。この目的のために、電流制御装置を有意に用いることが可能である。この場合、継電器の保持電流は、作動電圧には依存せず、必要な励磁電流に調整される。それによって、継電器の制御電力を適切に低下させることが可能である。
【0007】
特許文献1から、少なくとも継電器、センサおよび制御装置を有するインテリジェント継電器システムが知られている。この継電器システムでは、そのインテリジェントリレーシステムが対応して反応することがあり得る外部振動を検出することができるようにされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】米国特許出願公開第2006/0007627号明細書
【発明の概要】
【0009】
本発明の課題は、継電器の電力損失を一層低下させ、それによって損失熱を減少させることを可能にする、冒頭で述べたタイプの少なくとも1つの継電器を作動させるための回路構成を提供することである。
【0010】
この課題の解決策は、請求項1の特徴部の特徴を有する回路構成を提供する。従属請求項は、本発明の有利なさらなる形態に関する。
【0011】
発明に従った、回路構成は、少なくとも1つのセンサ手段であって、継電器に作用する振動、衝撃、または振動を検出するように構成されてなるセンサ手段と、センサ手段によって検出されたセンサデータの評価のための評価ユニットとを含み、かかる評価ユニットにおいて、電流制御装置が、評価ユニットによって評価されたセンサデータに基づいて、制御電流を調整するように構成されてなる。継電器は、好ましいことに、安全スイッチギア装置において利用することが可能であるように、安全接点を備えた安全リレーとすることが可能である。本発明は、適切なセンサ手段を利用することによって、起こり得る揺れ、衝撃、振動、または、継電器に外部から作用を及ぼすその他の撹乱に関する情報を得て、継電器コイルを流れる制御電流を必要に応じて調整するという思想から出発している。継電器が、揺れ、衝撃、振動、またはその他類似の外部撹乱の影響にさらされなければ、振動によって誘発されて継電器接点が損傷する危険性は比較的低く、したがって継電器を小さい制御電流で作動させることが可能であり、電力損失を減少させることが可能となる。継電器が、揺れ、衝撃、振動などにさらされると、継電器接点の振動に誘発された損傷の危険性が大きくなり、したがって、継電器コイルは、より高い制御電流で作動させるのが好ましいことになる。継電器コイルの制御電流の動的な、必要に応じた調整は、継電器の電力損失を低下させるために、かなりの利点をもたらす。継電器に影響を及ぼす、揺れ、振動、または類似の撹乱が、永続的に検出され、制御電流をそれに対応して事後調整する場合、製造者仕様の50%までの制御電流の低下が可能であることが、試験によって示された。電流制御装置は、制御偏差の合計が、制御偏差が最終的にはゼロになるように導かれる、P(比例)I(積分)制御装置を構成することが好ましい。それによって、PI制御装置には、好ましいことに、持続的に制御偏差がない。
【0012】
好ましくは、センサ手段と評価ユニットとは、継電器内に組込むことが可能である。その点に、特に構成上の利点がある。さらにまた、センサ手段と評価ユニットとを、外部に構築する必要がない。
【0013】
好ましい実施形態において、センサ手段は、加速度センサ手段として構成され、該センサ手段は、少なくとも1つの継電器に作用する加速度を、少なくとも1つの空間方向において検出するように構成されてなる。このような一軸の加速度センサ手段は、多くの場合、十分なものである。この(1つの)空間方向は、特に継電器アンカの軸と相互に関連付けることが可能である。この方向に作用する加速度は特に重要だからである。好ましくは、加速度センサ手段は、マイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)とすることがありえる。特定の用途のためには、たとえば、2つの継電器を互いに直角に配設せねばならない。このような事情を考慮して、特に好ましい実施形態においては、加速度センサ手段は、少なくとも1つの継電器に作用する加速度を、少なくとも2つの空間方向において、好ましくは、3つの空間方向において検出するように構成されてなることが可能である。加速度センサ手段は、特に、回路構成の導電プレート上(好ましくは、継電器に空間的に近接して)に配設することが可能である。
【0014】
さらなる実施形態では、たとえば、加速度センサ手段は、9軸センサとして実施され、ジャイロスコープおよび磁力計を含んでもよい。この実施形態によって、少なくとも1つの継電器に作用する加速度を特に正確に決定することが可能となる。
【0015】
特に好ましい実施形態では、加速度センサ手段は、少なくとも1kHz、好ましくは、少なくとも3kHz、特に、少なくとも5kHzに達するサンプリングレートを有する。高いサンプリングレートおよびデータ速度によって、可能性のある揺れ、衝撃、振動、またはその他の撹乱に関する、少なくとも1つの継電器の実際運転状態を速やかに評価することが可能になる。この意味において、加速度センサ手段のサンプリングレートが5kHzであることが特に好ましいことがわかる。電流制御装置に加えて、この回路構成おいては、継電器コイルを介して制御電流の変更が必要になる、制御介入が必要であろうがなかろうが、5kHzのサンプリングレートで、したがって200μsで評価を行うことが可能である、ハードウエアおよびソフトウエアが組み込まれる。
【0016】
好ましくは、電子スイッチはバイポーラトランジスタであってもよい。この実施形態は、特に、電子スイッチの堅固な設計を可能にする。
【0017】
好ましい実施形態においては、評価ユニットは、測定された加速度値の時間微分によって、継電器の領域内に広がるジャークを決定することが可能であるように構成されてなる。このジャークは、少なくとも1つの継電器への、衝撃、揺れ、振動の影響を検出するのに適した動力学値であることが分かった。
【0018】
好ましいことに、電流制御装置は、j≧jkrit(jkritはジャークの臨界閾値)の場合、継電器コイルを流れる制御電流は高くなるように構成されてなる。好ましいことに、種々の継電器タイプによって異なり得るジャークの臨界閾値は、読み取り専用メモリに検索可能に格納可能である。
【0019】
好ましい実施形態では、電流制御装置は、j<jkritの場合、継電器コイルを流れる制御電流は減衰して低下するように構成されてなる。このような減衰低下は、継電器のタイプに依存する最小制御電流IMinに到達するまで行われる。この最小制御電流IMinは、継電器製作者によって指定された保持電流の約50%の範囲にあるものとすることが可能である。
【0020】
特に好ましい実施形態において、継電器コイルは、電力供給装置によって供給される作動電圧の半分未満のコイル電圧であるように構成可能である。たとえば、9Vの中継電圧を有する継電器を使用することが可能である。24Vの作動電圧の場合、パルス幅変調のデューティ比(いわゆる「デューティサイクル」)は、約30%である。9Vから24Vの大きな電位差によって、制御偏差が高いコイル電流をもたらし、したがって、制御電流の新たな設定値にすばやく到達することが可能である。よって、継電器の保持力を有利な方法でさらに低下させることが可能である。9Vの中継電圧を有する継電器は、それ以上のさらに有意な利点を有している:停電または16V以下の作動電圧の低下は、これまでは、継電器が備えられた安全スイッチング装置に損傷をもたらしていた。しかしながら、この安全スイッチング装置を、10.5Vまで適切に作動させることが可能になった。9Vのコイル電圧を有する継電器コイルは、そのワイヤの厚さはより大きく、巻き線行程において、破断することは非常にまれであり、したがって製造する場合の利点となる。また巻き取り時間は明らかに短くなり、したがって、継電器の製造コストは低下する。コイルワイヤの厚さがより大きいものは、非常に細く作られたコイルワイヤよりも明らかに安価である。
【0021】
さらに詳しくは、本発明は、少なくとも1つの継電器(2)を作動させるための回路構成(1)であって、
少なくとも1つの継電器(2)に、作動電圧(3)を供給することが可能である電力供給装置であって、作動電圧(3)とグランド(GND)との間には、電気スイッチ(4)と、少なくとも1つの継電器の継電器コイル(20)と、シャント抵抗(5)とが、電気的に直列に接続される、電力供給装置と、
電気スイッチ(4)が、特に、パルス幅変調で制御することが可能であり、継電器コイル(20)を流れる制御電流を制御することが可能であるように構成されてなる電流制御装置(60)とを含み、
回路構成(1)は、少なくとも1つのセンサ手段であって、継電器(2)に作用する振動、衝撃、または振動を検出するように構成されてなるセンサ手段と、センサ手段(8)によって検出されたセンサデータの評価のための評価ユニット(62)とを含み、かかる評価ユニットにおいて、電流制御装置(60)が、評価ユニット(62)によって評価されたセンサデータに基づいて制御電流を調整するように構成されてなることを特徴とする回路構成(1)である。
【0022】
本発明において、センサ手段は、加速度センサ手段(8)として構成され、該センサ手段は、少なくとも1つの継電器(2)に作用する加速度を、少なくとも1つの空間方向において検出するように構成されてなることを特徴とする。
【0023】
本発明において、加速度センサ手段(8)は、少なくとも1つの継電器(2)に作用する加速度を、少なくとも2つの空間方向において、好ましくは、3つの空間方向において検出するように構成されてなることを特徴とする。
【0024】
本発明において、加速度センサ手段(8)は、9軸センサとして実施され、ジャイロスコープおよび磁力計を含むことを特徴とする。
【0025】
本発明において、加速度センサ手段(8)は、少なくとも1kHz、好ましくは少なくとも3kHz、特に、少なくとも5kHzに達するサンプリングレートを有することを特徴とする。
【0026】
本発明において、電子スイッチ(4)は、バイポーラトランジスタであることを特徴とする。
【0027】
本発明において、評価ユニット(62)は、測定された加速度値の時間微分によって、継電器(2)の領域内に広がるジャーク(j)を決定することが可能であるように構成されてなることを特徴とする。
【0028】
本発明において、電流制御装置(60)は、j≧jkrit(jkritはジャークの臨界閾値)の場合、継電器コイル(20)を流れる制御電流は高くなるように構成されてなることを特徴とする。
【0029】
本発明において、電流制御装置(60)は、j<jkritの場合、継電器コイルを流れる制御電流は減衰して低下するように構成されてなることを特徴とする。
【0030】
本発明において、継電器コイル(20)は、で電力供給装置によって供給される作動電圧(3)の半分未満のコイル電圧であることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明の好ましい実施形態に従って構成されてなる、継電器2の制御のための回路構成1の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明のさらなる特徴および利点は、添付の
図1を参照して、以下の好適な実施形態の説明から明らかになるであろう。添付の
図1は、本発明の好ましい実施形態に従って構成されてなる、継電器2の制御のための回路構成1の概略図を示している。
【0033】
継電器2は、特に、安全スイッチング装置の安全継電器であってもよく、知られた方法で、強磁性コアを有する継電器コイル20と、移動可能な強磁性アンカと、アンカと結合される1または複数の継電器接点とを含む。回路構成1は、作動電圧3を提供することが可能である電圧供給装置(図示せず)を備える。この実施例では、電圧供給装置は、24V(DC)の作動電圧3を供給する。作動電圧3と接地GNDとの間は、電子スイッチ4と、継電器2の継電器コイル20と、シャント抵抗5とが、電気的に直列に接続されている。この場合継電器コイル20は、電子スイッチ4とシャント抵抗5との間に配設されている。
【0034】
電子スイッチ4は、好ましくは半導体技術で実施される。この場合、電子スイッチ4はバイポーラpnpトランジスタが利用される。電子スイッチ4は、別の実施形態においては、たとえば電界効果トランジスタ(FET)として実施可能である。回路構成1は、さらに、制御および評価装置6を有し、該制御および評価装置は、電子スイッチ4に接続されている。制御および評価装置6は、マイクロコントローラとして実施される。あるいは、制御および評価装置6は、たとえば、周辺装置と共にマイクロプロセッサによって構成されてもよい。
【0035】
制御および評価装置6には、電流制御装置60が組み込まれている。この電流制御装置60は、電子スイッチ4をパルス幅変調(PWM)で制御できるように構成されてなり、したがって、継電器コイル20を流れる制御電流は、所定の電流値に調整することが可能である。継電器コイル20とシャント抵抗5との間には、制御および評価装置6のA/D変換器61に接続されたタップ7が設けられている。制御および評価装置6、特にそこに組み込まれた電流制御装置60は、タップ7を介してシャント抵抗器5の両端の電圧を測定することができるように、そして継電器コイル20を流れる制御電流を決定できるように構成されてなる。
【0036】
上述した電流制御装置60によって、原理的には、たとえば、継電器コイル20を通る制御電流を、作動電圧3から継電器2の継電器接点のための保持電流の公称値まで独立して制御することが可能である。したがって、継電器2の電気的保持力は、有利な方法であらかじめ低下させることが可能である。しかしながら、このような関係においては、継電器2の電気的保持力をもっと低下可能であることが望ましい。いずれにせよ、制御電流と、そしてそれと共に電気的保持力とが、非常にわずかな値に調整される場合、継電器2の継電器接点が、振動、衝撃、揺れ、またはその他の外部撹乱の影響によって、消耗し得るということが問題である。この問題を解決するために、ここに記載された回路構成1は、さらにまた、制御および評価装置6に接続されている、少なくとも1つの加速度センサ手段8を有している。制御および評価装置6には、加速度センサ手段8によって提供される加速度情報を評価するための評価ユニット62が組み込まれている。目標は、継電器接点の消耗につながり得る、継電器2に瞬間的に作用する揺れを、すばやく、精密に検出することである。好ましくは、加速度センサ手段8は、回路構成1に作用する、そしてそれによって継電器2にも作用する加速度を、5kHzのサンプリングレートで測定可能であるように構成される。評価ユニット62は、各200μsの時間間隔で、加速度センサ手段8から加速度測定値を得る。
【0037】
加速度センサ手段8は、少なくとも1つの空間方向における加速度を測定できるように構成されている。この空間方向は、特に、継電器アンカの軸と相関させることが可能である。なぜなら、この方向に作用する加速度は、特に重要であるからである。3つの互いに直交する空間方向において加速度を測定可能な3軸加速度センサ手段8が特に有利であることが明らかにされている。好ましいことに、加速度センサ手段8は、微小電気機械システム(MEMS)であってもよい。さらに有利な発展形態に従えば、加速度センサ手段8は、9軸で実施してもよく、ジャイロスコープおよび磁力計を備えてもよい。それによって、特に正確な加速度測定値が得られる。
【0038】
評価ユニット62は、測定された加速度値の時間微分によって、継電器2の範囲内に瞬間的に支配しているジャークjを決定することが可能であるように構成されてなる。評価ユニット62に、この目的のために、適切な評価アルゴリズムが組み込まれ、この評価アルゴリズムが、加速度の第1の時間導関数を形成することによって、ジャークjを決定することができる。制御および評価装置6は、読み取り可能な読み取り専用メモリ63を含み、この読み取り専用メモリに、重要な、継電器特有のジャーク閾値jkritが、検索可能に格納される。
【0039】
j≧jkritの場合、継電器コイル20に流れる制御電流を、電流制御装置60によって増加させるので、電気的保持力は大きくなる。これによって、衝撃、揺れ、または振動の作用による継電器接点の消耗を効果的に防止することが可能である。それに対して、j<jkritの場合は、継電器コイル20に流れる制御電流を、電流制御装置60によって減少させるので、保持力が低下する。制御電流の減少は、最大で、継電器固有の最小許容保持電流IMinに達するまで、起こる。該最小許容保持電流を下回ることは許容されない。ジャークjが、臨界ジャーク閾値jkritに達した場合、またはそれを超えた場合、継電器コイル20を流れる電流は、再び上昇する。このような関係においては、継電器コイル20は、自己誘導効果による電流変化に抵抗していることに留意すべきである。継電器コイル20の時定数τ=R/L(Rは電気抵抗、Lはインダクタンス)は線形ではなく、継電器コイル20を流れる電流の大きさにも依存する。この場合、電流制御装置60はPI制御装置を構成しており、このPI制御装置の場合、制御偏差を加算すると、制御偏差が最終的にゼロになるという結果になる。したがって、有利なことに、PI制御装置は、持続的に制御偏差を有さない。
【0040】
作動電圧3(この場合24V)の半分よりも明らかに小さい継電器電圧で作動される、継電器コイル20を有する継電器2を用いることは有利であることが明らかとなった。たとえば、継電器2は、9Vの継電器電圧で用いることが可能である。作動電圧が24Vの場合、パルス幅変調のデューティ比(いわゆる「デューティサイクル」)は、約30%である。j≧jkritのジャークjを検出する場合、パルス幅変調は100%に設定されているので、24Vの電気的作動電圧および9Vの継電器電圧で大きな電流変化を引き起こすことが可能である。ジャークjがj≧jkritの場合には、パルス幅変調を100%に設定するか、完全にオンにすることによって、継電器コイル20を流れる電流を適時に増加させる。したがって、このようなジャークは、制御偏差につながり、電流制御装置60は直ちにこれを補正する。衝撃、揺れ、または振動の場合に、継電器2の継電器接点の消耗を引き起こさない電流設定値に達すると、電流が再調整され、パルス幅変調がより小さい値になる。
【0041】
このような回路構成1によって、継電器コイル20を流れる制御電流を、動作安定性を損なうことなく、製造者の仕様よりも大幅に低下させることが可能となる。その結果、電力損失、ひいてはそれと関連した継電器2の廃熱も、揺れ、衝撃または振動に関係した損傷に関連することなく、大幅に低減することができる。研究の結果、制御電流を、製造者によって定められた保持電流値の約50%である値に低下させることが可能となり、したがって、継電器2の自己発熱をかなり低下させることが可能となる。
【符号の説明】
【0042】
1 回路構成
2 継電器
3 作動電圧
4 電子スイッチ
5 シャント抵抗
6 制御および評価装置
7 タップ
8 加速度センサ手段
20 継電器コイル
60 電流制御装置
61 A/D変換器
62 評価ユニット
63 読み取り専用メモリ