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  • 特許-マイク・スピーカ一体装置及び車両 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】マイク・スピーカ一体装置及び車両
(51)【国際特許分類】
   H04R 5/027 20060101AFI20221129BHJP
   G10L 15/28 20130101ALI20221129BHJP
   B60R 11/02 20060101ALI20221129BHJP
【FI】
H04R5/027 Z
G10L15/28 400
B60R11/02 M
B60R11/02 S
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018053499
(22)【出願日】2018-03-20
(65)【公開番号】P2019165417
(43)【公開日】2019-09-26
【審査請求日】2020-11-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(73)【特許権者】
【識別番号】000004075
【氏名又は名称】ヤマハ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(72)【発明者】
【氏名】川口 敬三
(72)【発明者】
【氏名】重富 一郎
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 国人
【審査官】冨澤 直樹
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2017-0082171(KR,A)
【文献】特開平03-117148(JP,A)
【文献】特開2005-247181(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0129839(US,A1)
【文献】特開2005-164988(JP,A)
【文献】特開2006-238148(JP,A)
【文献】特開2007-282166(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 5/027
G10L 15/00-17/26
H04R 3/00-3/04
B60R 11/02
H04M 1/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二つのマイクと、
二つのマイクの間に挟まれて配置されるスピーカと、
二つのマイクからそれぞれ集められた音を合成する合成部と、を備え、
二つのマイクは、前記合成部により合成された音に基づいて音声認識する際に、音声を認識するために必要となる周波数を集音可能な範囲であって、前記スピーカの振動によるノイズ量が許容可能な範囲に納まるように、マイク間の距離が設定され、
車両に装備されるオーバヘッドコンソールの所定位置に取り付けて使用されるマイク・スピーカ一体装置。
【請求項2】
二つのマイクは、マイク間の距離が長くなるに従って、認識可能な品質で集音できる最大周波数が低下し、かつ、スピーカの振動によるノイズ量が減る関係を有する、
請求項1記載のマイク・スピーカ一体装置。
【請求項3】
マイク間の距離を調節するための調節部を、さらに備える、
請求項1又は2記載のマイク・スピーカ一体装置。
【請求項4】
請求項1からのいずれか一項に記載のマイク・スピーカ一体装置を備える車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイク・スピーカ一体装置及び車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両が衝突したとき等の緊急時に緊急通報センターに緊急通報を行う緊急通報システムを搭載した車両がある。下記特許文献1には、緊急通報時に、通話の妨げになる音声出力を確実に消音すると共に、手動緊急通報時には緊急通報終了後に車載スピーカの音声出力を再開させることを可能とする緊急通報システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-174120号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の緊急通報システムでは、マイクとスピーカの位置が固定されている。しかしながら、マイクにより集音される音の品質を車両ごとに確保しようとすると、車両の種類やオーディオのグレードごとにチューニングが必要となり、評価工数や品番点数等が増加してしまい、車両のコストが嵩む要因となる。
【0005】
そこで、本発明は、マイクで集音される音の品質を簡易な構成で確保することができるマイク・スピーカ一体装置及び車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るマイク・スピーカ一体装置は、複数のマイクと、複数のマイクの間に配置されるスピーカと、複数のマイクからそれぞれ集められた音を合成する合成部と、を備え、複数のマイクは、前記合成部により合成された音に基づいて音声認識する際に、音声を認識するために必要となる周波数を集音可能な範囲であって、前記スピーカの振動によるノイズ量が許容可能な範囲に納まるように、マイク間の距離が設定される。
【0007】
上記態様において、複数のマイクは、マイク間の距離が長くなるに従って、認識可能な品質で集音できる最大周波数が低下し、かつ、スピーカの振動によるノイズ量が減る関係を有することとしてもよい。
【0008】
上記態様において、マイク間の距離を調節するための調節部を、さらに備えることとしてもよい。
【0009】
上記態様において、複数のマイクは、二つのマイクであることとしてもよい。
【0010】
本発明の他の態様に係る車両は、上記マイク・スピーカ一体装置を、オーバヘッドコンソールの所定位置に取り付ける。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、マイクで集音される音の品質を簡易な構成で確保することができるマイク・スピーカ一体装置及び車両を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態におけるマイク・スピーカ一体装置の構成を例示する図である。
図2】マイク間の距離と集音可能な最大周波数又はスピーカの振動によるノイズ量との関係を表すグラフである。
図3】変形例におけるマイク・スピーカ一体装置の構成を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
添付図面を参照し、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは同一又は同様の構成を有する。
【0014】
図1を参照し、実施形態に係るマイク・スピーカ一体装置の構成について説明する。マイク・スピーカ一体装置1は、例えば、音声認識によるサービスを提供する際のユーザインターフェースや、緊急通報システムのユーザインターフェースとして利用することができる。ここで、音声認識には、機械による音声認識に加え、人(例えば、緊急通報センタのオペレータ)による音声認識も含まれる。
【0015】
マイク・スピーカ一体装置1は、例えば、車両(自動車)に装備されるオーバヘッドコンソールの所定位置に取り付けて使用する。オーバヘッドコンソールは、車両の天井中央部に配置される前席用のコンソールであり、例えば、マップランプ、時計、小物入れ等が設けられる。マイク・スピーカ一体装置1をオーバヘッドコンソールに取り付けることで、エコーパスを固定化することができ、音質パラメータを共通化することが可能となる。
【0016】
図1に示すように、マイク・スピーカ一体装置1は、例えば、二つのマイク11、13と、その二つのマイク間に配置されるスピーカ12と、CPU等の演算装置である制御部14と、メモリ等の記憶装置である記憶部15と、他の装置等との通信を制御する通信インターフェースである通信部16とを備える。制御部14は、例えば、二つのマイク11、13からそれぞれ集められた音を合成(加減算)する合成部としての機能や、合成された音(信号)に基づいて音声認識する音声認識部としての機能を有する。
【0017】
マイク・スピーカ一体装置1は、例えば、以下の特性を有する。マイク11とマイク13との間の距離が長くなると、マイク11、13で集音する最大周波数が低下する。集音する最大周波数が低下すると、音声認識の性能が低下する要因となる。一方、マイク11とマイク13との間の距離が短くなると、マイク間に存在するスピーカ12の振動によるノイズ(振動音)がマイク11及びマイク13に集音され、ノイズ量が増大する。ノイズ量が増大すると、エコーが発生する要因となる。
【0018】
図2を参照し、マイク間の距離と、マイクで集音する最大周波数又はスピーカの振動によるノイズ量との関係について説明する。
【0019】
図2の横軸はマイク11とマイク13との間の距離[mm]を示し、左側の縦軸は二つのマイク11、13で集音する最大周波数[Hz]を示し、右側の縦軸は二つのマイク11、13で集音するスピーカ12の振動によるノイズ量を示す。距離Dsは、二つのマイク11、13間に配置されるスピーカ12の直径を例示したものであり、距離Dtは、二つのマイク11、13間の距離を例示したものである。
【0020】
グラフFは、二つのマイク11、13間の距離と二つのマイク11、13で集音する最大周波数との関係の理想値を表す。グラフFに示すように、マイク11及びマイク13は、二つのマイク11、13間の距離が長くなるに従って、集音する最大周波数が低下する関係を有する。
【0021】
グラフNは、二つのマイク11、13間の距離と二つのマイク11、13で集音するスピーカ12の振動によるノイズ量との関係の理想値を表す。グラフNLは、物理特性を加味した場合における二つのマイク11、13間の距離と二つのマイク11、13で集音するスピーカ12の振動によるノイズ量との関係の下限限界値を表す。
【0022】
グラフN、NLに示すように、マイク11及びマイク13は、二つのマイク11、13間の距離が長くなるに従って、スピーカ12の振動によるノイズ量が減る関係を有する。
【0023】
ここで、音声認識の性能を高めるためには、マイクで集音する最大周波数として4,000[Hz]以上を確保することが好ましい。したがって、図2では、グラフFのうち、周波数が4,000[Hz]以上となり、かつ、グラフNとグラフNLとの間に挟まれる範囲を、二つのマイク11、13間の距離を設定する際の目標範囲Tとする。
【0024】
二つのマイク11、13間の距離を目標範囲Tに納まるように設定することで、二つのマイク11、13で集められた音に基づいて音声認識する際に、音声を認識するために必要となる周波数を集音可能な範囲であり、かつスピーカの振動によるノイズ量が許容可能な範囲に納まるように、マイク間の距離を設定することが可能となる。
【0025】
図2に示すグラフは、目標範囲TにあるグラフFのうち、点Ftに対応する距離Dtが、二つのマイク11、13間の距離として選定されていることを例示する。
【0026】
マイク・スピーカ一体装置1に含まれる二つのマイク11、13は、マイク11、13間の距離が距離Dtとなるように配置される。
【0027】
前述したように、実施形態におけるマイク・スピーカ一体装置1によれば、二つのマイク11、13は、二つのマイク11、13によりそれぞれ集められた音を合成した音に基づいて音声認識する際に、音声を認識するために必要となる周波数を集音可能な範囲であって、二つのマイク11、13間に配置されるスピーカ12の振動によるノイズ量が許容可能な範囲に納まるように、マイク間の距離が設定される。
【0028】
これにより、スピーカ12を挟んで配置される二つのマイク11、13間の距離を設定することで、音声を認識するために必要となる周波数を含む音であり、かつノイズが少ない音を集音することができるため、マイクで集音される音の品質を、簡易な構成で確保することができ、音声認識の精度を向上させることもできる。
【0029】
[変形例]
なお、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、他の様々な形で実施することができる。したがって、上記実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈されるものではない。
【0030】
例えば、前述した実施形態におけるマイク・スピーカ一体装置1の構成は、図1に示す構成には限定されない。例えば、図3に示すように、マイク・スピーカ一体装置1が調節部17をさらに備えることとしてもよい。調節部17は、マイク11とマイク13との間の距離を調節するための調節機構である。例えば、マイク11、13を、調節部17に沿って図中の矢印方向に移動させることで、マイク11とマイク13との間の距離を調節することができる。これにより、マイク11とマイク13との間の距離を、調節機構を利用して機械的に調節することが可能となる。
【0031】
また、前述した実施形態において、マイク・スピーカ一体装置1は、二つのマイク11、13を備えているが、三つ以上のマイクを備えることとしてもよい。三つ以上のマイクを備える場合、スピーカ12は、各マイクの間に位置するように配置する。また、各マイク間の距離は、各マイクにより集められた音に基づいて音声認識する際に、音声を認識するために必要となる周波数を集音可能な範囲であって、スピーカ12の振動によるノイズ量が許容可能な範囲に納まるように設定する。
【符号の説明】
【0032】
1…マイク・スピーカ一体装置、11…マイク、12…スピーカ、13…マイク、14…制御部、15…記憶部、16…通信部、17…調節部
図1
図2
図3