(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】点灯制御装置、車両用灯具、および点灯制御方法
(51)【国際特許分類】
B60Q 1/14 20060101AFI20221129BHJP
【FI】
B60Q1/14 A
(21)【出願番号】P 2018099805
(22)【出願日】2018-05-24
【審査請求日】2021-04-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【氏名又は名称】小林 淳一
(72)【発明者】
【氏名】細山 勇騎
【審査官】安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-040177(JP,A)
【文献】特開2013-184595(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用前照灯による配光状態を制御する点灯制御装置であって、
カメラにより撮影される自車両の前方の画像から、障害物を検出する障害物検出部と、
前記障害物検出部が前記障害物を検出した場合に、前記障害物の位置に応じて、自車両の前方左側に取り付けられた左側前照灯の第1遮光領域と、前記自車両の前方右側に取り付けられた右側前照灯の第2遮光領域とを導出する遮光範囲導出部と、
前記遮光範囲導出部が導出した前記第1遮光領域と前記第2遮光領域とにしたがって、前記右側前照灯と前記左側前照灯との配光状態を制御する配光制御部とを備え、
前記第1遮光領域と前記第2遮光領域とは異なり、
前記遮光範囲導出部は、前記自車両の進行方向を基準とし、反時計まわりを正の角度とした場合に、前記自車両の進行方向と、前記左側前照灯と先行車両の左側端部とを結んだ線とのなす左側前照灯部左側角度と、前記自車両の進行方向と、前記左側前照灯と先行車両の右側端部とを結んだ線とのなす左側前照灯部右側角度と、前記自車両の進行方向と、前記左側前照灯と前記障害物とを結んだ線とのなす左側前照灯部第1角度とを導出し、前記左側前照灯部左側角度と前記左側前照灯部右側角度と前記左側前照灯部第1角度とに基づいて、前記第1遮光領域を導出する、点灯制御装置。
【請求項2】
前記遮光範囲導出部は、前記左側前照灯部第1角度が負である場合に、前記左側前照灯部第1角度が前記左側前照灯部右側角度より大きく、且つ前記左側前照灯部左側角度未満である場合に、前記左側前照灯部第1角度と前記左側前照灯部左側角度との間の角度の範囲で得られる遮光領域を、前記第1遮光領域とし、
前記左側前照灯部第1角度が正である場合に、前記左側前照灯部第1角度が前記左側前照灯部右側角度よりも大きく、且つ前記左側前照灯部左側角度未満である場合に、前記左側前照灯部右側角度と前記左側前照灯部第1角度との間の角度の範囲で得られる遮光領域を、前記第1遮光領域とする、請求項1に記載の点灯制御装置。
【請求項3】
前記遮光範囲導出部は、前記左側前照灯部第1角度が負であり、且つ前記左側前照灯部第1角度が前記左側前照灯部右側角度よりも小さい場合に、前記左側前照灯部左側角度と前記左側前照灯部右側角度との間の角度の範囲で得られる遮光領域を、前記第1遮光領域とし、
前記左側前照灯部第1角度が正であり、且つ前記左側前照灯部第1角度が前記左側前照灯部左側角度よりも大きい場合に、前記左側前照灯部右側角度と前記左側前照灯部左側角度との間の角度の範囲で得られる遮光領域を、前記第1遮光領域とする、請求項1又は請求項2に記載の点灯制御装置。
【請求項4】
前記遮光範囲導出部は、前記自車両の進行方向を基準とし、反時計まわりを正の角度とした場合に、前記自車両の進行方向と、前記右側前照灯と先行車両の左側端部とを結んだ線とのなす右側前照灯部左側角度と、前記自車両の進行方向と、前記右側前照灯と先行車両の右側端部とを結んだ線とのなす右側前照灯部右側角度と、前記自車両の進行方向と、前記右側前照灯と前記障害物とを結んだ線とのなす右側前照灯部第1角度とを導出し、前記右側前照灯部左側角度と前記右側前照灯部右側角度と前記右側前照灯部第1角度とに基づいて、前記第2遮光領域を導出する、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の点灯制御装置。
【請求項5】
前記遮光範囲導出部は、前記右側前照灯部第1角度が負である場合に、前記右側前照灯部第1角度が前記右側前照灯部右側角度より大きく、且つ前記右側前照灯部左側角度未満である場合に、前記右側前照灯部第1角度と前記右側前照灯部左側角度との間の角度の範囲で得られる遮光領域を、前記第2遮光領域とし、
前記右側前照灯部第1角度が正である場合に、前記右側前照灯部第1角度が前記右側前照灯部右側角度よりも大きく、且つ前記右側前照灯部左側角度未満である場合に、前記右側前照灯部右側角度と前記右側前照灯部第1角度との間の角度の範囲で得られる遮光領域を、前記第2遮光領域とする、請求項4に記載の点灯制御装置。
【請求項6】
前記遮光範囲導出部は、前記右側前照灯部第1角度が負であり、且つ前記右側前照灯部第1角度が前記右側前照灯部右側角度よりも小さい場合に、前記右側前照灯部左側角度と前記右側前照灯部右側角度との間の角度の範囲で得られる遮光領域を、前記第2遮光領域とし、
前記右側前照灯部第1角度が正であり、且つ前記右側前照灯部第1角度が前記右側前照灯部左側角度よりも大きい場合に、前記右側前照灯部右側角度と前記右側前照灯部左側角度との間の角度の範囲で得られる遮光領域を、前記第2遮光領域とする、請求項4又は請求項5に記載の点灯制御装置。
【請求項7】
車両用前照灯と、前記車両用前照灯による配光状態を制御する点灯制御装置とを備える車両用灯具であって、
前記点灯制御装置は、
カメラにより撮影される自車両の前方の画像から、障害物を検出する障害物検出部と、
前記障害物検出部が前記障害物を検出した場合に、前記障害物の位置に応じて、自車両の前方左側に取り付けられた左側前照灯の第1遮光領域と、前記自車両の前方右側に取り付けられた右側前照灯の第2遮光領域とを導出する遮光範囲導出部と、
前記遮光範囲導出部が導出した前記第1遮光領域と前記第2遮光領域とにしたがって、前記右側前照灯と前記左側前照灯との配光状態を制御する配光制御部とを備え、
前記第1遮光領域と前記第2遮光領域とは異なり、
前記遮光範囲導出部は、前記自車両の進行方向を基準とし、反時計まわりを正の角度とした場合に、前記自車両の進行方向と、前記左側前照灯と先行車両の左側端部とを結んだ線とのなす左側前照灯部左側角度と、前記自車両の進行方向と、前記左側前照灯と先行車両の右側端部とを結んだ線とのなす左側前照灯部右側角度と、前記自車両の進行方向と、前記左側前照灯と前記障害物とを結んだ線とのなす左側前照灯部第1角度とを導出し、前記左側前照灯部左側角度と前記左側前照灯部右側角度と前記左側前照灯部第1角度とに基づいて、前記第1遮光領域を導出する、車両用灯具。
【請求項8】
車両用前照灯による配光状態を制御する点灯制御装置が実行する点灯制御方法であって、
カメラにより撮影される自車両の前方の画像から、先行車両を検出するステップと、
前記先行車両を検出するステップで、前記先行車両を検出した場合に、前方車両の位置関係に基づき、自車両の前方左側に取り付けられた左側前照灯の左側前照灯部遮光範囲と、前記自車両の前方右側に取り付けられた右側前照灯の右側前照灯部遮光範囲とを導出するステップと、
前記カメラにより撮影される自車両の前方の画像から、障害物を検出するステップと、
前記障害物を検出するステップで、前記障害物を検出した場合に、前記障害物の位置に応じて、前記左側前照灯部遮光範囲のうち前記障害物が存在する範囲を除いた第1遮光領域と、前記右側前照灯部遮光範囲のうち前記障害物が存在する範囲を除いた第2遮光領域とを導出するステップと、
前記導出するステップで導出した前記第1遮光領域と前記第2遮光領域とにしたがって、前記右側前照灯と前記左側前照灯との配光状態を制御するステップとを有し、
前記第1遮光領域と前記第2遮光領域とは異なる、点灯制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、点灯制御装置、車両用灯具、および点灯制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車用の前照灯は、例えば、走行ビーム(いわゆるハイビーム)とすれ違いビーム(いわゆるロービーム)の2つの機能を有する。
近年、ADB(Adaptive Driving Beam)が開発され、車両の前方に存在する先行車あるいは対向車の部分を遮光して、走行ビームの領域を保持する機能を有するランプが登場した。
ADBでは、車両の前方をカメラによって撮影し、遮光すべき対象物を検出した場合に、LCM(Light Control Module)へ信号を送り、当該対象物に光が到達しないように遮光させる。
【0003】
車両の前照灯に関して、曲路や屈曲路等の走行時において、限られた精度範囲内で、運転者にとって違和感のない前方照明を実現する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
この技術では、車両用照明装置は、車両現在位置データ及び道路地図データベースを用いて自車現在位置の前後に位置する複数のノードの位置データを読み取り、該複数のノードを補間処理で繋いで走路形状を推定する。そして、自車進行方向の走路上に曲路や屈曲路が存在する場合に、それらへの自車両の進入地点から脱出地点までの走路区間を複数の区間に分割し、各区間に応じた制御内容に従って車両用前照灯の照射制御を行う。
この車両用照明装置によれば、カーブ走行中に遮光対象がいれば先読みするなどして遮光制御を行ってグレアを与えないようにできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した技術では、車両の前方に、遮光すべき対象物と障害物とが存在する場合に、車両の右側前照灯と左側前照灯との遮光領域と、障害物と、遮光すべき対象物との位置関係によっては、遮光すべき対象物が遮光されることによって、障害物も遮光される場合がある。障害物が遮光されることによって、車両の運転者に、前方の視認性の低下と、違和感を与える。
【0006】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、車両の運転者に、前方の視認性の低下を与えにくくできる点灯制御装置、車両用灯具、および点灯制御方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様は、車両用前照灯による配光状態を制御する点灯制御装置であって、カメラにより撮影される自車両の前方の画像から、障害物を検出する障害物検出部と、前記障害物検出部が前記障害物を検出した場合に、前記障害物の位置に応じて、自車両の前方左側に取り付けられた左側前照灯の第1遮光領域と、前記自車両の前方右側に取り付けられた右側前照灯の第2遮光領域とを導出する遮光範囲導出部と、前記遮光範囲導出部が導出した前記第1遮光領域と前記第2遮光領域とにしたがって、前記右側前照灯と前記左側前照灯との配光状態を制御する配光制御部とを備え、前記第1遮光領域と前記第2遮光領域とは異なり、前記遮光範囲導出部は、前記自車両の進行方向を基準とし、反時計まわりを正の角度とした場合に、前記自車両の進行方向と、前記左側前照灯と先行車両の左側端部とを結んだ線とのなす左側前照灯部左側角度と、前記自車両の進行方向と、前記左側前照灯と先行車両の右側端部とを結んだ線とのなす左側前照灯部右側角度と、前記自車両の進行方向と、前記左側前照灯と前記障害物とを結んだ線とのなす左側前照灯部第1角度とを導出し、前記左側前照灯部左側角度と前記左側前照灯部右側角度と前記左側前照灯部第1角度とに基づいて、前記第1遮光領域を導出する、点灯制御装置である。
【0009】
本発明の一態様は、点灯制御装置において、前記遮光範囲導出部は、前記左側前照灯部第1角度が負である場合に、前記左側前照灯部第1角度が前記左側前照灯部右側角度より大きく、且つ前記左側前照灯部左側角度未満である場合に、前記左側前照灯部第1角度と前記左側前照灯部左側角度との間の角度の範囲で得られる遮光領域を、前記第1遮光領域とし、前記左側前照灯部第1角度が正である場合に、前記左側前照灯部第1角度が前記左側前照灯部右側角度よりも大きく、且つ前記左側前照灯部左側角度未満である場合に、前記左側前照灯部右側角度と前記左側前照灯部第1角度との間の角度の範囲で得られる遮光領域を、前記第1遮光領域とする、構成が用いられてもよい。
【0010】
本発明の一態様は、点灯制御装置において、前記遮光範囲導出部は、前記左側前照灯部第1角度が負であり、且つ前記左側前照灯部第1角度が前記左側前照灯部右側角度よりも小さい場合に、前記左側前照灯部左側角度と前記左側前照灯部右側角度との間の角度の範囲で得られる遮光領域を、前記第1遮光領域とし、前記左側前照灯部第1角度が正であり、且つ前記左側前照灯部第1角度が前記左側前照灯部左側角度よりも大きい場合に、前記左側前照灯部右側角度と前記左側前照灯部左側角度との間の角度の範囲で得られる遮光領域を、前記第1遮光領域とする、構成が用いられてもよい。
【0011】
本発明の一態様は、点灯制御装置において、前記遮光範囲導出部は、前記自車両の進行方向を基準とし、反時計まわりを正の角度とした場合に、前記自車両の進行方向と、前記右側前照灯と先行車両の左側端部とを結んだ線とのなす右側前照灯部左側角度と、前記自車両の進行方向と前記右側前照灯と先行車両の右側端部とを結んだ線とのなす右側前照灯部右側角度と、前記自車両の進行方向と、前記右側前照灯と前記障害物とを結んだ線とのなす右側前照灯部第1角度とを導出し、前記右側前照灯部左側角度と前記右側前照灯部右側角度と前記右側前照灯部第1角度とに基づいて、前記第2遮光領域を導出する、構成が用いられてもよい。
【0012】
本発明の一態様は、点灯制御装置において、前記遮光範囲導出部は、前記右側前照灯部第1角度が負である場合に、前記右側前照灯部第1角度が前記右側前照灯部右側角度より大きく、且つ前記右側前照灯部左側角度未満である場合に、前記右側前照灯部第1角度と前記右側前照灯部左側角度との間の角度の範囲で得られる遮光領域を、前記第2遮光領域とし、前記右側前照灯部第1角度が正である場合に、前記右側前照灯部第1角度が前記右側前照灯部右側角度よりも大きく、且つ前記右側前照灯部左側角度未満である場合に、前記右側前照灯部右側角度と前記右側前照灯部第1角度との間の角度の範囲で得られる遮光領域を、前記第2遮光領域とする、構成が用いられてもよい。
【0013】
本発明の一態様は、点灯制御装置において、前記遮光範囲導出部は、前記右側前照灯部第1角度が負であり、且つ前記右側前照灯部第1角度が前記右側前照灯部右側角度よりも小さい場合に、前記右側前照灯部左側角度と前記右側前照灯部右側角度との間の角度で得られる遮光領域を、前記第2遮光領域とし、前記右側前照灯部第1角度が正であり、且つ前記右側前照灯部第1角度が前記右側前照灯部左側角度よりも大きい場合に、前記右側前照灯部右側角度と前記右側前照灯部左側角度との間の角度で得られる遮光領域を、前記第2遮光領域とする、構成が用いられてもよい。
【0014】
本発明の一態様は、車両用前照灯と、前記車両用前照灯による配光状態を制御する点灯制御装置とを備える車両用灯具であって、前記点灯制御装置は、カメラにより撮影される自車両の前方の画像から、障害物を検出する障害物検出部と、前記障害物検出部が前記障害物を検出した場合に、前記障害物の位置に応じて、自車両の前方左側に取り付けられた左側前照灯の第1遮光領域と、前記自車両の前方右側に取り付けられた右側前照灯の第2遮光領域とを導出する遮光範囲導出部と、前記遮光範囲導出部が導出した前記第1遮光領
域と前記第2遮光領域とにしたがって、前記右側前照灯と前記左側前照灯との配光状態を制御する配光制御部とを備え、前記第1遮光領域と前記第2遮光領域とは異なり、前記遮光範囲導出部は、前記自車両の進行方向を基準とし、反時計まわりを正の角度とした場合に、前記自車両の進行方向と、前記左側前照灯と先行車両の左側端部とを結んだ線とのなす左側前照灯部左側角度と、前記自車両の進行方向と、前記左側前照灯と先行車両の右側端部とを結んだ線とのなす左側前照灯部右側角度と、前記自車両の進行方向と、前記左側前照灯と前記障害物とを結んだ線とのなす左側前照灯部第1角度とを導出し、前記左側前照灯部左側角度と前記左側前照灯部右側角度と前記左側前照灯部第1角度とに基づいて、前記第1遮光領域を導出する、車両用灯具である。
【0016】
本発明の一態様は、車両用前照灯による配光状態を制御する点灯制御装置が実行する点灯制御方法であって、カメラにより撮影される自車両の前方の画像から、先行車両を検出するステップと、前記先行車両を検出するステップで、前記先行車両を検出した場合に、前方車両の位置関係に基づき、自車両の前方左側に取り付けられた左側前照灯の左側前照灯部遮光範囲と、前記自車両の前方右側に取り付けられた右側前照灯の右側前照灯部遮光範囲とを導出するステップと、前記カメラにより撮影される自車両の前方の画像から、障害物を検出するステップと、前記障害物を検出するステップで、前記障害物を検出した場合に、前記障害物の位置に応じて、前記左側前照灯部遮光範囲のうち前記障害物が存在する範囲を除いた第1遮光領域と、前記右側前照灯部遮光範囲のうち前記障害物が存在する範囲を除いた第2遮光領域とを導出するステップと、前記導出するステップで導出した前記第1遮光領域と前記第2遮光領域とにしたがって、前記右側前照灯と前記左側前照灯との配光状態を制御するステップとを有し、前記第1遮光領域と前記第2遮光領域とは異なる、点灯制御方法である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、車両の運転者に、前方の視認性の低下を与えにくくできる点灯制御装置、車両用灯具、および点灯制御方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態に係る自動車の概略的な構成を示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る照明システムが適用された自動車の前側部分を示す図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る自動車に備えられた照明システムの概略的な機能構成を示す機能ブロック図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る自動車に備えられた車両用灯具照明システムの処理の一例(その1)を示す図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る自動車に備えられた照明システムの処理の一例(その2)を示す図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る自動車に備えられた照明システムの遮光範囲を制御する処理の一例を示すフローチャートである。
【
図8】本発明の一実施形態に係る自動車に備えられた照明システムの効果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本実施形態に係る点灯制御装置、車両用灯具、および点灯制御方法を、図面を参照しつつ説明する。以下で説明する実施形態は一例に過ぎず、本発明が適用される実施形態は、以下の実施形態に限られない。
なお、実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有するものは同一符号を用い、繰り返しの説明は省略する。
また、本願でいう「XXに基づく」とは、「少なくともXXに基づく」ことを意味し、XXに加えて別の要素に基づく場合も含む。また、「XXに基づく」とは、XXを直接に用いる場合に限定されず、XXに対して演算や加工が行われたものに基づく場合も含む。「XX」は、任意の要素(例えば、任意の情報)である。
【0020】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
[実施形態]
実施形態に係る点灯制御装置は、乗り物に搭載される。本実施形態では、乗り物の一例として自動車を示すが、乗り物としては、自動二輪車、自転車、超小型モビリティ、パーソナルモビリティーなどもある。
【0021】
[自動車の概略的な構成]
図1は、本発明の一実施形態に係る自動車の概略的な構成を示す図である。
自動車1は、左側の前照灯(本実施形態では、左側前照灯部10Lという。)と、右側の前照灯(本実施形態では、右側前照灯部10Rという。)と、左側の尾灯(本実施形態では、左側尾灯部11Lという。)と、右側の尾灯(本実施形態では、右側尾灯部11Rという。)と、左側のサイドミラー(本実施形態では、左側サイドミラー13Lという。)と、右側のサイドミラー(本実施形態では、右側サイドミラー13Rという。)と、フロントウィンドウ15と、リアウィンドウ16とを備える。
左側前照灯部10Lは自動車1の前方の左側に配置されており、右側前照灯部10Rは自動車1の前方の右側に配置されている。
左側尾灯部11Lは自動車1の後方の左側に配置されており、右側尾灯部11Rは自動車1の後方の右側に配置されている。
また、自動車1は、前方の車外検出部(本実施形態では、前方車外検出部21という。
)と、制御部31とを備える。
【0022】
ここで、本実施形態では、自動車1の構成部のうちの一部を示してあるが、例えば、それに加えて、一般の自動車が通常備える他の構成部など、任意の構成部を備えてもよい。
また、前方車外検出部21と、制御部31とのうちの一部または全部は、自動車1の外観では見えずに、自動車1の内部に備えられてもよい。
【0023】
図2は、本発明の一実施形態に係る照明システムが適用された自動車の前側部分を示す図である。
図2に示されるように、左側前照灯部10Lは、左側の前照灯ユニット12Lと左側路面描画部20Lとを備えている。左側の前照灯ユニット12Lは自動車1の前端部の左側端部に配置され、左側路面描画部20Lは左側の前照灯ユニット12Lの右側に配置される。
また、右側前照灯部10Rは、右側の前照灯ユニット12Rと右側路面描画部20Rとを備えている。右側の前照灯ユニット12Rは自動車1の前端部の右側端部に配置され、右側路面描画部20Rは右側の前照灯ユニット12Rの左側に配置される。
【0024】
また、左側の前照灯ユニット12Lと、右側の前照灯ユニット12Rとの上側には、自動車1のエンジンルームを開閉するフード50の前端部が配置されている。また、左側路面描画部20Lと、右側路面描画部20Rとの下側の部分は、自動車1の前端部を構成するバンパカバー52によって前側から覆われている。そして、前照灯ユニット12Rと、前照灯ユニット12Lとは、車幅方向において左右対称に構成されている。
【0025】
左側の前照灯ユニット12Lは、左側の前照灯ユニット12Lの車幅方向外側部分を構成する左側前照灯14Lと、左側の前照灯ユニット12Lの車幅方向内側部分を構成する左側路面描画部20Lとを含む。
右側の前照灯ユニット12Rは、右側の前照灯ユニット12Rの車幅方向外側部分を構成する右側前照灯14Rと、右側の前照灯ユニット12Rの車幅方向内側部分を構成する右側路面描画部20Rとを含む。
【0026】
左側前照灯14Lと、右側前照灯14Rとは、図示しない光源を有しており、光源によって、自動車1の前方を照射する。光源は、ロービーム用及びハイビーム用の光源として構成されている。つまり、左側前照灯14Lと、右側前照灯14Rとは、主として自動車1の前方の路面領域(ロービーム配光エリア)を照射するロービームと、ロービームによって照射される領域よりも上側の領域(ハイビーム配光エリア)を照射するハイビームとのいずれかに切替可能に構成されている。なお、左側前照灯14Lと、右側前照灯14Rとの光源として、LED(発光ダイオード)、ハロゲンランプ、ディスチャージランプ、レーザー等が用いられる。
【0027】
[自動車の制御システムの概略的な機能構成]
図3は、本発明の一実施形態に係る自動車に備えられた照明システムの概略的な機能構成を示す機能ブロック図である。
照明システム101は、前照灯部10と、制御部31と、前方車外検出部21とを備える。照明システム101に含まれる前照灯部10と、制御部31と、前方車外検出部21とのうち、前照灯部10と、制御部31とによって、車両用灯具が構成される。
ここで、本実施形態では、一般的な「前後」の概念と同様に、自動車1の運転者が通常時に向く方向であって自動車1が通常時に進行(走行)する方向を「前(前方)」とし、それとは逆の方向を「後ろ(後方)」とする。
【0028】
前照灯部10は、いわゆるヘッドランプであり、自動車1の前方に光を照射する。
左側路面描画部20Lは、主に自動車1の前方の左側に光を照射する。左側路面描画部20Lは、所定の配光パターンを照射する。
右側路面描画部20Rは、主に自動車1の前方の右側に光を照射する。右側路面描画部20Rは、所定の配光パターンを照射する。
【0029】
左側前照灯14Lは、主に自動車1の前方の左側に光を照射する。左側前照灯14Lは、走行ビーム(いわゆるハイビーム)の光を照射する機能と、すれ違いビーム(いわゆるロービーム)の光を照射する機能を有しており、これら2つの機能が切り替えられることが可能である。
右側前照灯14Rは、主に自動車1の前方の右側に光を照射する。右側前照灯14Rは、走行ビーム(いわゆるハイビーム)の光を照射する機能と、すれ違いビーム(いわゆるロービーム)の光を照射する機能を有しており、これら2つの機能が切り替えられることが可能である。
【0030】
なお、左側前照灯14L、右側前照灯14R、左側路面描画部20Lおよび右側路面描画部20Rとしては、それぞれ、任意の照灯が用いられてもよい。
具体例として、照灯としては、例えば、走行ビームのランプ、すれ違いビームのランプ、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)レーザースキャニングヘッドランプ、DMD(Digital Mirror Device)ヘッドランプ、列と行の制御が可能なマトリクスADBヘッドランプ、あるいは、列のみの制御が可能なADBヘッドランプなどのうちの1以上が用いられてもよい。
ここで、MEMSレーザースキャニングヘッドランプは、例えば、配光を可変に変化させることが可能な車両用のヘッドランプの一例であり、シームレスADBランプの一例である。
前方車外検出部21は、自動車1の前方の外側に関する情報を検出する。本実施形態では、自動車1は、前方車外検出部21を備えるが、他の構成例として、後方車外検出部が備えられてもよい。
また、他の構成例として、自動車1は、自動車1の側方の外側に関する情報を検出する車外検出部(本実施形態では、「側方車外検出部」ともいう。)を備えてもよい。側方車外検出部としては、例えば、自動車1の進行方向に対して右側の側方車外検出部と、自動車1の進行方向に対して左側の側方車外検出部が用いられてもよい。
【0031】
前方車外検出部21は、前方の車外に関する任意の情報を検出する検出部を備えてもよい。前方車外検出部21は、例えば、レーザーレーダー(LiDAR: Light Detection and Ranging)36、レーダー、ソナー、カメラ(撮像装置)40などのうちの1以上を備えてもよい。
カメラ40は、例えば、可視光を検出する機能を備えてもよく、あるいは、赤外光を検出する機能を備えてもよく、あるいは、これら両方を備えてもよい。本実施形態では、前方車外検出部21が、LiDAR36と、カメラ40とを備える場合について説明を続ける。カメラ40は、自動車1の所定位置(例えば室内ミラー付近)に設置されており、自動車1の前方の空間を撮影する。
LiDAR36は、自動車1の所定位置(例えば室内ミラー付近)に設置されており、赤外線のレーザー光をパルス状に照射し、物体に反射されて帰ってくるまでの時間から距離を計測するセンサである。
同様に、後方車外検出部が備えられる場合、後方の車外に関する任意の情報を検出する検出部を備えてもよい。
同様に、側方車外検出部が備えられる場合、側方車外検出部は、側方の車外に関する任意の情報を検出する検出部を備えてもよい。
【0032】
制御部31は、車両検出部32と、障害物検出部33と、遮光範囲導出部34と、配光制御部35と、記憶部37とを備える。
記憶部37は、情報を記憶する。ここで、記憶部37は、任意の情報を記憶してもよい。一例として、記憶部37は、制御部31により実行される制御プログラムあるいは制御パラメータなどの情報を記憶してもよい。この場合、制御部31は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサを備え、当該プロセッサが記憶部37に記憶された制御パラメータを使用して、記憶部37に記憶された制御プログラムを実行することにより、各種の処理を実行する。
なお、制御部31の全部または一部は、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、またはFPGA(Field-Programmable Gate Array)などのハードウェアにより実現されてもよく、ソフトウェア機能部とハードウェアとの組み合わせによって実現されてもよい。
【0033】
車両検出部32は、カメラ40が周期的に撮影した自動車1の前方の画像を取得し、取得した自動車1の前方の画像に基づいて、先行車両、対向車両などの前方車両を検出する。具体的には、車両検出部32は、当該画像に対して画像認識処理を行うことにより先行車両上の一対の点を認識することによって、先行車両を検出する。一対の点の一例は、先行車両の尾灯(左側尾灯部11L、右側尾灯部11R)である。また、車両検出部32は、当該画像に対して画像認識処理を行うことにより対向車両上の一対の点を認識することによって、対向車両を検出する。一対の点の一例は、対向車両のヘッドランプ(左側前照灯14L、右側前照灯14R)である。
車両検出部32は、先行車両を検出した場合、先行車両上の一対の認識結果を、遮光範囲導出部34へ出力する。ここで、先行車両上の一対の認識結果の一例は、先行車両上の一対の画像である。また、車両検出部32は、対向車両を検出した場合、対向車両上の一対の認識結果を、遮光範囲導出部34へ出力する。ここで、対向車両上の一対の認識結果の一例は、対向車両上の一対の画像である。
以下、車両検出部32が、一例として先行車両を検出した場合について説明を続ける。
【0034】
障害物検出部33は、カメラ40が周期的に撮像した自動車1の前方の画像を取得し、取得した自動車1の前方の画像に基づいて、障害物を検出する。障害物の一例は、ガードレール、壁(例えば崖や建造物などの)などである。具体的には、記憶部37には、障害物の特徴量が予め記憶されている。障害物検出部33は、自動車1の前方の画像に対して画像認識処理を行い、画像認識処理を行った結果に基づいて、記憶部37に記憶された障害物の特徴量が含まれるか否かを判定する。障害物検出部33は、自動車1の前方の画像に障害物が含まれると判定した場合、障害物上の一点の認識結果を、遮光範囲導出部34へ出力する。ここで、障害物上の一点の認識結果の一例は、障害物上のエッジ部分の一点の画像である。以下、障害物が壁WLである場合について説明を続ける。この場合、障害物検出部33は、壁WLと壁WL以外の部分との境界上の一点の認識結果を、遮光範囲導出部34へ出力する。
【0035】
遮光範囲導出部34は、車両検出部32が出力した先行車両上の一対の認識結果に基づいて、自動車1と先行車両との間の位置関係を求め、求めた位置関係に基づいて前照灯部10(左側前照灯14L、右側前照灯14R、左側路面描画部20L、右側路面描画部20R)の遮光領域を導出する。
また、遮光範囲導出部34は、先行車両上の一対の認識結果に基づいて導出した遮光領域のうち、遮光しない領域(以下「非遮光領域」という)を導出する。例えば、走行中にカーブに差し掛かった場合に、導出した遮光領域にしたがって先行車両を遮光したのでは、障害物も遮光してしまう場合がある。障害物を遮光してしまう結果、自動車1の運転者は、障害物を見ることができないため、前方の視認性が低下する。遮光範囲導出部34は、遮光領域のうち、障害物がある部分を非遮光領域とすることによって、自動車1の運転者が、障害物を見えるようにする。
非遮光領域は、右側前照灯部10Rと左側前照灯部10Lとで異なる。このため、以下、右側前照灯部10Rの非遮光領域を右側前照灯部非遮光領域RNSRといい、左側前照灯部10Lの非遮光領域を左側前照灯部非遮光領域LNSRという。
【0036】
遮光範囲導出部34が、非遮光領域を導出する処理について、右側前照灯部10Rと、左側前照灯部10Lとに分けて説明する。
(右側前照灯部10R)
図4は、本発明の一実施形態に係る自動車に備えられた照明システムの処理の一例(その1)を示す図である。
図4は、自動車1が先行車両2を検出し、検出した先行車両2上の一対の認識結果に基づいて、右側前照灯部10Rの遮光領域である右側前照灯部遮光領域RSRを導出し、導出した右側前照灯部遮光領域RSRで先行車両2を遮光している状態で、右カーブに差し掛かった場合を示す。
図4には、先行車両2上の一対の認識結果に基づいて導出された右側前照灯部遮光領域RSRと、右側前照灯部10Rが照射するビームBR(ロービーム又はハイビーム)とが示される。遮光範囲導出部34は、右側前照灯部遮光領域RSRのうち、壁WLに該当する領域を導出する。遮光範囲導出部34は、導出した壁WLに該当する領域を右側前照灯部非遮光領域RNSRとし、右側前照灯部遮光領域RSRから右側前照灯部非遮光領域RNSRを除外する。つまり、遮光範囲導出部34は、右側前照灯部遮光領域RSRから右側前照灯部非遮光領域RNSRを除外した領域を、実際に遮光する領域とする。以下、右側前照灯部遮光領域RSRから右側前照灯部非遮光領域RNRSRを除外した領域を、実右側前照灯部遮光領域JRSRという。
【0037】
図5は、自動車1の前方の画像の一例を示す図である。
図5に示される例は、自動車1が走行中に右カーブに差し掛かった場合に得られる画像の一例であり、先行車両2の一部分が壁WLで見えなくなっている。自動車1の前方車外検出部21からは、先行車両2の右側尾灯部11Rが壁WLに隠れて見えず、左側尾灯部11Lが見られる。この場合、遮光範囲導出部34は、障害物を、光を照射する領域とし、先行車両2の左側尾灯部11Lの部分を遮光する領域とする。
図4に戻り説明を続ける。
ここで、自動車1において、前方車外検出部21を取り付けた室内ミラーの位置を原点する。自動車1の前後方向をX軸とし、自動車1の進行方向をプラス方向とする。また、X軸に垂直で、且つ自動車1の左右方向をY軸とし、自動車1の右方向をプラス方向とする。また、自動車1の進行方向を基準とし、反時計まわりを正の角度とする。
【0038】
先行車両2において、左側端部の位置の座標を(XL,YL)とし、右側端部の位置の座標を(XR,YR)とする。ここで、左側端部の一例は左側尾灯部11Lであり、右側端部の一例は右側尾灯部11Rである。本実施形態では、左側端部が左側尾灯部11Lであり、右側端部が右側尾灯部11Rとして説明を続ける。また、障害物上の一点WPの位置の座標を(XWL,YWL)とする。また、自動車1において、左側前照灯部10Lと右側前照灯部10Rとの間の距離(Y軸方向の長さ)をDとし、前照灯部10と前方車外検出部21とのX軸方向の長さをSとする。
遮光範囲導出部34は、カメラ40が周期的に撮影した自動車1の前方の画像を取得し、取得した自動車1の前方の画像に基づいて、先行車両2と、壁WLとを検出する。遮光範囲導出部34は、LiDAR36に、LiDAR36と先行車両2の左側尾灯部11Lとの距離と、LiDAR36と先行車両2の右側尾灯部11Rとの距離と、LiDAR36と壁WL(壁WLと壁WL以外の部分との境界上の一点)との距離を導出させる。
遮光範囲導出部34は、LiDAR36が導出したLiDAR36と先行車両2の左側尾灯部11Lとの距離を取得し、取得したLiDAR36と先行車両2の左側尾灯部11Lとの距離に基づいて、左側端部(本実施形態では、左側尾灯部11L)の位置の座標(XL,YL)を導出する。
遮光範囲導出部34は、LiDAR36が導出したLiDAR36と先行車両2の右側尾灯部11Rとの距離を取得し、取得したLiDAR36と先行車両2の右側尾灯部11Rとの距離に基づいて、右側端部(本実施形態では、右側尾灯部11R)の位置の座標(XR,YR)を導出する。
遮光範囲導出部34は、LiDAR36が導出したLiDAR36と壁WL(壁WLと壁WL以外の部分との境界上の一点)との距離を取得し、取得したLiDAR36と壁WL(壁WLと壁WL以外の部分との境界上の一点)との距離に基づいて、壁WL上の一点の座標(XWL,YWL)を導出する。
【0039】
遮光範囲導出部34は、自動車1の進行方向と、自動車1の右側前照灯部10Rと先行車両2の左側端部とを結んだ線とのなす角度(以下「右側前照灯部左側角度θRL」という)を導出する。具体的には、遮光範囲導出部34は、式(1)によって、右側前照灯部左側角度θRLを導出する。
【0040】
θRL=atan[{YL-(D/2)}/{XL-S}]+θML1 (1)
【0041】
式(1)において、θML1は、右側前照灯部左側角度θRLのマージンである。θML1は、自動車1と先行車両2との間の距離で、その値が変わる。
また、遮光範囲導出部34は、自動車1の進行方向と、自動車1の右側前照灯部10Rと先行車両2の右側端部とを結んだ線とのなす角度(以下「右側前照灯部右側角度θRR」という)を導出する。具体的には、遮光範囲導出部34は、式(2)によって、右側前照灯部右側角度θRRを導出する。
【0042】
θRR=atan[{YR-(D/2)}/{XR-S}]+θML2 (2)
【0043】
式(2)において、θML2は、左側前照灯部右側角度θRRのマージンである。θML2は、自動車1と先行車両2との間の距離で、その値が変わる。θML1とθML2とは同じ値であってもよいし、異なる値であってもよい。
また、遮光範囲導出部34は、自動車1の進行方向と、自動車1の右側前照灯部10Rと壁WLとを結んだ線とのなす角度(以下「右側前照灯部第1角度θRW」という)を導出する。具体的には、遮光範囲導出部34は、式(3)によって、右側前照灯部第1角度θRWを導出する。
【0044】
θRW=atan[{YWL-(D/2)}/{XWL-S}] (3)
【0045】
遮光範囲導出部34は、導出した右側前照灯部左側角度θRLと、右側前照灯部右側角度θRRと、右側前照灯部第1角度θRWとに基づいて、右側前照灯部左側角度θRLと、右側前照灯部右側角度θRRと、右側前照灯部第1角度θRWとの大小関係を判定する。
遮光範囲導出部34は、右側前照灯部第1角度θRWが負である場合に、右側前照灯部第1角度θRWが右側前照灯部右側角度θRRより大きく、且つ右側前照灯部左側角度θRL未満である場合に、右側前照灯部第1角度θRWと右側前照灯部左側角度θRLとの間の角度の範囲で得らえる遮光領域を、実右側前照灯部遮光領域JRSRとする。
ここで、遮光範囲導出部34は、右側前照灯部第1角度θRWと右側前照灯部左側角度θRLとの間の角度の範囲で得られる遮光領域を、実右側前照灯部遮光領域JRSRとする代わりに、右側前照灯部第1角度θRWに前方車外検出部21の取り付け角度誤差θsを加えた角度と右側前照灯部左側角度θRLとの間の角度の範囲で得られる遮光領域を、実右側前照灯部遮光領域JRSRとしてもよい。
ここで、前方車外検出部21の取り付け角度誤差θsは、正負どちらでもよく、実右側前照灯部遮光領域JRSRが広くなるように設定される。このように構成することによって、仮に、前方車外検出部21の取り付け位置がずれていた場合でも、実右側前照灯部遮光領域JRSRが広くなるように設定されているため、先行車両2にグレアを与えることを防止できる。
【0046】
また、遮光範囲導出部34は、右側前照部灯部第1角度θRWが正である場合に、右側前照灯部第1角度θRWが右側前照灯部右側角度θRRよりも大きく、且つ右側前照灯部左側角度θRL未満である場合に、右側前照灯部右側角度θRRと右側前照灯部第1角度θRWとの間の角度の範囲で得らえる遮光領域を、実右側前照灯部遮光領域JRSRとする。
ここで、遮光範囲導出部34は、右側前照灯部右側角度θRRと右側前照灯部第1角度θRWとの間の角度の範囲で得られる遮光領域を、実右側前照灯部遮光領域JRSRとする代わりに、右側前照灯部第1角度θRWに前方車外検出部21の取り付け誤差θsを加えた角度と右側前照灯部右側角度θRRとの間の角度の範囲で得られる遮光領域を、実右側前照灯部遮光領域JRSRとしてもよい。
ここで、前方車外検出部21の取り付け角度誤差θsは、正負どちらでもよく、実右側前照灯部遮光領域JRSRが広くなるように設定される。このように構成することによって、仮に、前方車外検出部21の取り付け位置がずれていた場合でも、実右側前照灯部遮光領域JRSRが広くなるように設定されているため、先行車両2にグレアを与えることを防止できる。
【0047】
また、遮光範囲導出部34は、右側前照灯部第1角度θRWが負であり、且つ右側前照灯部第1角度θRWが右側前照灯部右側角度θRRよりも小さい場合に、右側前照灯部左側角度θRLと右側前照灯部右側角度θRRとの間の角度の範囲で得られる遮光領域を、実右側前照灯部遮光領域JRSRとする。これは、自動車1と先行車両2との間の位置関係に基づいて導出した右側前照灯遮光領域RSRで、障害物が遮光されない場合である。
また、遮光範囲導出部34は、右側前照灯部第1角度θRWが正であり、且つ右側前照灯部第1角度θRWが右側前照灯部左側角度θRLよりも大きい場合に、右側前照灯部右側角度θRRと右側前照灯部左側角度θRLとの間の角度の範囲で得られる遮光領域を、実右側前照灯部遮光領域JRSRとする。これは、自動車1と先行車両2との間の位置関係に基づいて導出した右側前照灯遮光領域RSRで、障害物が遮光されない場合である。
遮光範囲導出部34は、実右側前照灯部遮光領域JRSRが得られる角度の範囲(以下「実右側前照灯部角度範囲」という)を示す情報を、配光制御部35へ出力する。
【0048】
(左側前照灯部10L)
図6は、本発明の一実施形態に係る自動車に備えられた照明システムの処理の一例(その2)を示す図である。
図6は、
図4において、自動車1が先行車両2を検出し、検出した先行車両2上の一対の認識結果に基づいて、左側前照灯部10Lの遮光領域である左側前照灯部遮光領域LSRを導出し、導出した左側前照灯部遮光領域LSRで先行車両2を遮光している状態で、右カーブに差し掛かった場合を示す。
図6には、先行車両2上の一対の認識結果に基づいて導出された左側前照灯部遮光領域LSRと、左側前照灯部10Lが照射するビームBL(ロービーム又はハイビーム)とが示される。遮光範囲導出部34は、左側前照灯部遮光領域LSRのうち、壁WLに該当する領域(壁WLを遮光してしまう領域)を導出する。遮光範囲導出部34は、導出した壁WLに該当する領域を左側前照灯部非遮光領域LNSRとし、左側前照灯部遮光領域LSRから左側前照灯部非遮光領域LNSRを除外する。以下、左側前照灯部遮光領域LSRから左側前照灯部非遮光領域LNRSRを除外した領域を、実左側前照灯部遮光領域JLSRという。
【0049】
遮光範囲導出部34は、自動車1の進行方向と、自動車1の左側前照灯部10Lと先行車両2の左側端部とを結んだ線とのなす角度(以下「左側前照灯部左側角度θLL」という)を導出する。具体的には、遮光範囲導出部34は、式(4)によって、左側前照灯部左側角度θLLを導出する。
【0050】
θLL=atan[{YL+(D/2)}/{XL-S}]+θML3 (4)
【0051】
式(4)において、θML3は、左側前照灯部左側角度θLLのマージンである。θML3は、自動車1と先行車両2との間の距離で、その値が変わる。θML3は、θML1とθML2とのいずれか一方又は両方と同じ値であってもよい。
また、遮光範囲導出部34は、自動車1の進行方向と、自動車1の左側前照灯部10Lと先行車両2の右側端部とを結んだ線とのなす角度(以下「左側前照灯部右側角度θLR」という)を導出する。具体的には、遮光範囲導出部34は、式(5)によって、左側前照灯部右側角度θLRを導出する。
【0052】
θLR=atan[{YR+(D/2)}/{XR-S}]+θML4 (5)
【0053】
式(5)において、θML4は、左側前照灯部右側角度θLRのマージンである。θML4は、自動車1と先行車両2との間の距離で、その値が変わる。θML4は、θML1とθML2とθML3との少なくとも一つと同じ値であってもよい。
また、遮光範囲導出部34は、自動車1の進行方向と、自動車1の左側前照灯部10Lと壁WLとを結んだ線とのなす角度(以下「左側前照灯部第1角度θLW」という)を導出する。具体的には、遮光範囲導出部34は、式(6)によって、左側前照灯部第1角度θLWを導出する。
【0054】
θLW=atan[{YWL+(D/2)}/{XWL-S}] (6)
【0055】
遮光範囲導出部34は、導出した左側前照灯部左側角度θLLと、左側前照灯部右側角度θLRと、左側前照灯部第1角度θLWとに基づいて、左側前照灯部左側角度θLLと、左側前照灯部右側角度θLRと、左側前照灯部第1角度θLWとの大小関係を判定する。
遮光範囲導出部34は、左側前照灯部第1角度θLWが負である場合に、左側前照灯部第1角度θLWが左側前照灯部右側角度θLRより大きく、且つ左側前照灯部右側角度θLL未満である場合に、左側前照灯部第1角度θLWと左側前照灯部左側角度θLLとの間の角度の範囲で得らえる遮光領域を、実左側前照灯部遮光領域JLSRとする。
ここで、遮光範囲導出部34は、左側前照灯部第1角度θLWと左側前照灯部左側角度θLLとの間の角度の範囲で得られる遮光領域を、実左側前照灯部遮光領域JLSRとする代わりに、左側前照灯部第1角度θLWに前方車外検出部21の取り付け角度誤差θsを加えた角度と左側前照灯部左側角度θLLとの間の角度の範囲で得られる遮光領域を、実左側前照灯部遮光領域JLSRとしてもよい。
ここで、前方車外検出部21の取り付け角度誤差θsは、正負どちらでもよく、実左側前照灯部遮光領域JLSRが広くなるように設定される。このように構成することによって、仮に、前方車外検出部21の取り付け位置がずれていた場合でも、実左側前照灯部遮光領域JLSRが広くなるように設定されているため、先行車両2にグレアを与えることを防止できる。
【0056】
また、遮光範囲導出部34は、左側前照部灯部第1角度θLWが正である場合に、左側前照灯部第1角度θLWが左側前照灯部右側角度θLRよりも大きく、且つ左側前照灯部左側角度θLL未満である場合に、左側前照灯部右側角度θLRと左側前照灯部第1角度θLWとの間の角度の範囲で得らえる遮光領域を、左側前照灯部遮光領域JLSRとする。
ここで、遮光範囲導出部34は、左側前照灯部右側角度θLRと左側前照灯部第1角度θLWとの間の角度の範囲で得られる遮光領域を、実左側前照灯部遮光領域JLSRとする代わりに、左側前照灯部第1角度θLWに前方車外検出部21の取り付け誤差θsを加えた角度と左側前照灯部右側角度θLRとの間の角度の範囲で得られる遮光領域を、実左側前照灯部遮光領域JLSRとしてもよい。
ここで、前方車外検出部21の取り付け角度誤差θsは、正負どちらでもよく、実左側前照灯部遮光領域JLSRが広くなるように設定される。このように構成することによって、仮に、前方車外検出部21の取り付け位置がずれていた場合でも、実左側前照灯部遮光領域JLSRが広くなるように設定されているため、先行車両2へグレアを与えることを防止できる。
【0057】
また、遮光範囲導出部34は、左側前照灯部第1角度θLWが負であり、且つ左側前照灯部第1角度θLWが左側前照灯部右側角度θLRよりも小さい場合に、左側前照灯部左側角度θLLと左側前照灯部右側角度θLRとの間の角度の範囲で得られる遮光領域を、実左側前照灯部遮光領域JLSRとする。これは、自動車1と先行車両2との間の位置関係に基づいて導出した左側前照灯遮光領域LSRで、障害物が遮光されない場合である。
また、遮光範囲導出部34は、左側前照灯部第1角度θLWが正であり、且つ左側前照灯部第1角度θLWが左側前照灯部左側角度θLLよりも大きい場合に、左側前照灯部右側角度θLRと左側前照灯部左側角度θLLとの間の角度の範囲で得られる遮光領域を、実左側前照灯部遮光領域JLSRとする。これは、自動車1と先行車両2との間の位置関係に基づいて導出した左側前照灯遮光領域LSRで、障害物が遮光されない場合である。
遮光範囲導出部34は、実左側前照灯部遮光領域JLSRが得られる角度の範囲(以下「実左側前照灯部角度範囲」という)を示す情報を、配光制御部35へ出力する。
【0058】
配光制御部35は、遮光範囲導出部34が出力した実右側前照灯部角度範囲を示す情報を取得し、取得した実右側前照灯部角度範囲を示す情報にしたがって、前照灯部10(左側前照灯14L、右側前照灯14R、左側路面描画部20L、右側路面描画部20R)の右側前照灯14Rの光照射状態を制御する。例えば、配光制御部35は、実右側前照灯部角度範囲に応じた配光パターンを設定し、設定した配光パターンに応じて光が照射されるように右側前照灯14Rへ制御信号を出力する。ここで、配光制御部35は、実右側前照灯部角度範囲に少しでも重なっているセグメントは消灯させる。
また、配光制御部35は、遮光範囲導出部34が出力した実左側前照灯部角度範囲を示す情報を取得し、取得した実左側前照灯部角度範囲を示す情報にしたがって、前照灯部10(左側前照灯14L、右側前照灯14R、左側路面描画部20L、右側路面描画部20R)の左側前照灯14Lの光照射状態を制御する。例えば、配光制御部35は、実左側前照灯部角度範囲に応じた配光パターンを設定し、設定した配光パターンに応じて光が照射されるように左側前照灯14Lへ制御信号を出力する。ここで、配光制御部35は、実左側前照灯部角度範囲に少しでも重なっているセグメントは消灯させる。
【0059】
具体的には、配光制御部35は、前照灯部10(左側前照灯14L、右側前照灯14R、左側路面描画部20L、右側路面描画部20R)による光の照射を制御(画像処理、LD制御演算、MEM制御演算など)することで、前照灯部10(左側前照灯14L、右側前照灯14R、左側路面描画部20L、右側路面描画部20R)の配光を制御する。
ここで、配光制御部35は、例えば、前照灯部10(左側前照灯14L、右側前照灯14R、左側路面描画部20L、右側路面描画部20R)が点灯しているときにおける配光、あるいは、前照灯部10(左側前照灯14L、右側前照灯14R、左側路面描画部20L、右側路面描画部20R)が点滅しているときにおける配光を制御する。
【0060】
[実右側前照灯部角度範囲と実左側前照灯部角度範囲とを導出する処理の手順の一例]
図7は、本発明の一実施形態に係る自動車に備えられた照明システムの遮光範囲を制御する処理の手順の一例を示すフローチャートである。
本例では、ある人が運転者として自動車1の運転席に搭乗したことを想定する。自動車1は、先行車両2を検出し、検出した先行車両2を遮光しながら走行し、カーブに差し掛かったことを想定する。
【0061】
(ステップS1)
車両検出部32は、カメラ40が周期的に撮像した自動車1の前方の画像を取得し、取得した自動車1の前方の画像に基づいて、先行車両2を検出する。車両検出部32は、先行車両2を検出した場合、先行車両2上の一対の認識結果を、遮光範囲導出部34へ出力する。
(ステップS2)
遮光範囲導出部34は、車両検出部32が出力した先行車両2上の一対の認識結果に基づいて、自動車1と先行車両2との間の位置関係を求め、求めた位置関係に基づいて、右側前照灯部10Rの右側前照灯部遮光範囲RSRと、左側前照灯部10Lの左側前照灯部遮光範囲LSRとを導出する。
(ステップS3)
障害物検出部33は、カメラ40が周期的に撮像した自動車1の前方の画像を取得し、取得した自動車1の前方の画像に基づいて、障害物を検出する。車両検出部32は、障害物を検出した場合、障害物上の一点(壁WLと壁WL以外の部分との境界上の一点)の認識結果を、遮光範囲導出部34へ出力する。
【0062】
(ステップS4)
障害物検出部33が障害物を検出した場合、遮光範囲導出部34は、LiDAR36に、LiDAR36と先行車両2の左側尾灯部11Lとの距離と、LiDAR36と先行車両2の右側尾灯部11Rとの距離と、LiDAR36と壁WL(壁WLと壁WL以外の部分との境界上の一点)との距離を導出させる。
遮光範囲導出部34は、LiDAR36が導出したLiDAR36と先行車両2の左側尾灯部11Lとの距離を取得し、取得したLiDAR36と先行車両2の左側尾灯部11Lとの距離に基づいて、左側端部(本実施形態では、左側尾灯部11L)の位置の座標(XL,YL)を導出する。
遮光範囲導出部34は、LiDAR36が導出したLiDAR36と先行車両2の右側尾灯部11Rとの距離を取得し、取得したLiDAR36と先行車両2の右側尾灯部11Rとの距離に基づいて、右側端部(本実施形態では、右側尾灯部11R)の位置の座標(XR,YR)を導出する。
遮光範囲導出部34は、障害物検出部33が出力した障害物上の一点(壁WLと壁WL以外の部分との境界上の一点)の認識結果に基づいて、LiDAR36に、LiDAR36と壁WLとの距離を導出させる。遮光範囲導出部34は、LiDAR36が導出したLiDAR36と壁WLとの距離を取得し、取得したLiDAR36と壁WLとの距離に基づいて、壁WL上の一点(XWL,YWL)を導出する。
遮光範囲導出部34は、前述した式(3)によって、右側前照灯部10Rからみた障害物の位置の角度(右側前照灯部第1角度θRW)を導出する。
遮光範囲導出部34は、前述した式(6)によって、左側前照灯部10Lからみた障害物の位置の角度(左側前照灯部第1角度θLW)を導出する。
【0063】
(ステップS5)
遮光範囲導出部34は、式(4)によって、左側前照灯部左側角度θLLを導出し、式(5)によって、左側前照灯部右側角度θLRを導出する。
遮光範囲導出部34は、導出した左側前照灯部第1角度θLWに基づいて、左側前照灯部第1角度θLWが負である場合に、左側前照灯部第1角度θLWが左側前照灯部右側角度θLRより大きく、且つ左側前照部灯部右側角度θLL未満であるか否かを判定することによって、左側前照灯部第1角度θLWが、左側前照灯部10Lの左側前照灯部遮光領域LSRが得られる角度の範囲と重なっているか否かを判定する。
遮光範囲導出部34は、左側前照灯部第1角度θLWが負である場合に、左側前照灯部第1角度θLWが、左側前照灯部右側角度θLRより大きく、且つ左側前照灯部右側角度θLL未満である場合には左側前照灯部第1角度θLWが、左側前照灯部10Lの左側前照灯部遮光領域LSRが得られる角度の範囲と重なっていると判定する。
遮光範囲導出部34は、左側前照灯部第1角度θLWが負である場合に、左側前照灯部第1角度θLWが、左側前照灯部右側角度θLR以下、又は左側前照灯部右側角度θLLより大きい場合には左側前照灯部第1角度θLWが、左側前照灯部10Lの左側前照灯部遮光領域LSRが得られる角度の範囲と重なっていないと判定する。
【0064】
また、遮光範囲導出部34は、導出した左側前照灯部第1角度θLWに基づいて、左側前照灯部第1角度θLWが正である場合に、左側前照灯部第1角度θLWが左側前照灯部右側角度θLRよりも大きく、且つ左側前照灯部左側角度θLL未満であるか否かを判定することによって、左側前照灯部第1角度θLWが、左側前照灯部10Lの左側前照灯部遮光領域LSRが得られる角度の範囲と重なっているか否かを判定する。
遮光範囲導出部34は、左側前照灯部第1角度θLWが正である場合に、左側前照灯部第1角度θLWが、左側前照灯部右側角度θLRよりも大きく、且つ左側前照灯部左側角度θLL未満である場合には左側前照灯部第1角度θLWが、左側前照灯部10Lの左側前照灯部遮光領域LSRが得られる角度の範囲と重なっていると判定する。
遮光範囲導出部34は、左側前照灯部第1角度θLWが正である場合に、左側前照灯部第1角度θLWが、左側前照灯部右側角度θLR以下、又は左側前照灯部左側角度θLLより大きい場合には左側前照灯部第1角度θLWが、左側前照灯部10Lの左側前照灯部遮光領域LSRが得られる角度の範囲と重なっていないと判定する。
【0065】
(ステップS6)
遮光範囲導出部34は、左側前照灯部第1角度θLWが、左側前照灯部10Lの左側前照灯部遮光領域LSRが得られる角度の範囲と重なっていると判定した場合には、左側前照灯部第1角度θLWが負である場合に、左側前照灯部第1角度θLWと左側前照灯部左側角度θLLとの間の角度の範囲で得られる遮光領域を、実左側前照灯部遮光領域JLSRとする。
遮光範囲導出部34は、左側前照灯部第1角度θLWが、左側前照灯部10Lの左側前照灯部遮光領域LSRが得られる角度の範囲と重なっていると判定した場合には、左側前照灯部第1角度θLWが正である場合に、左側前照灯部右側角度θLRと左側前照灯部第1角度θLWとの間の角度の範囲で得られる遮光領域を、実左側前照灯部遮光領域JLSRとする。
遮光範囲導出部34は、実左側前照灯部角度範囲を示す情報を、配光制御部35へ出力する。
配光制御部35は、遮光範囲導出部34が出力した実左側前照灯部角度範囲を示す情報を取得し、取得した実左側前照灯部角度範囲を示す情報にしたがって、前照灯部10(左側前照灯14L、右側前照灯14R、左側路面描画部20L、右側路面描画部20R)の左側前照灯14Lの光照射状態を制御する。例えば、配光制御部35は、実左側前照灯部角度範囲に応じた配光パターンを設定し、設定した配光パターンに応じて光が照射されるように左側前照灯14Lへ制御信号を出力する。
【0066】
(ステップS7)
遮光範囲導出部34は、左側前照灯部第1角度θLWが、左側前照灯部10Lの左側前照灯部遮光領域LSRが得られる角度の範囲と重なっていないと判定した場合には、左側前照灯部第1角度θLWが負であり、且つ左側前照灯部第1角度θLWが左側前照灯部右側角度θLRよりも小さい場合に、左側前照灯部左側角度θLLと左側前照灯部右側角度θLRとの間の角度の範囲で得られる遮光領域を、実左側前照灯部遮光領域JLSRとする。
遮光範囲導出部34は、左側前照灯部第1角度θLWが、左側前照灯部10Lの左側前照灯部遮光領域LSRが得られる角度の範囲と重なっていないと判定した場合には、左側前照灯部第1角度θLWが正であり、且つ左側前照灯部第1角度θLWが左側前照灯部左側角度θLLよりも大きい場合に、左側前照灯部右側角度θLRと左側前照灯部左側角度θLLとの間の角度の範囲で得られる遮光領域を、実左側前照灯部遮光領域JLSRとする。
遮光範囲導出部34は、実左側前照灯部角度範囲を示す情報を、配光制御部35へ出力する。
配光制御部35は、遮光範囲導出部34が出力した実左側前照灯部角度範囲を示す情報を取得し、取得した実左側前照灯部角度範囲を示す情報にしたがって、前照灯部10(左側前照灯14L、右側前照灯14R、左側路面描画部20L、右側路面描画部20R)の左側前照灯14Lの光照射状態を制御する。例えば、配光制御部35は、実左側前照灯部角度範囲に応じた配光パターンを設定し、設定した配光パターンに応じて光が照射されるように左側前照灯14Lへ制御信号を出力する。
【0067】
(ステップS8)
遮光範囲導出部34は、式(1)によって、右側前照灯部左側角度θRLを導出し、式(2)によって、右側前照灯部右側角度θRRを導出する。
遮光範囲導出部34は、導出した右側前照灯部第1角度θRWに基づいて、右側前照灯部第1角度θRWが負である場合に、右側前照灯部第1角度θRWが右側前照灯部右側角度θRRより大きく、且つ右側前照灯部左側角度θRL未満であるか否かを判定することによって、右側前照灯部第1角度θRWが、右側前照灯部10Rの右側前照灯部遮光領域RSRが得られる角度の範囲と重なっているか否かを判定する。
遮光範囲導出部34は、右側前照灯部第1角度θRWが負である場合に、右側前照灯部第1角度θRWが、右側前照灯部右側角度θRRより大きく、且つ右側前照灯部左側角度θRL未満である場合には右側前照灯部第1角度θRWが、右側前照灯部10Rの右側前照灯部遮光領域RSRが得られる角度の範囲と重なっていると判定する。
遮光範囲導出部34は、右側前照灯部第1角度θRWが負である場合に、右側前照灯部第1角度θRWが、右側前照灯部右側角度θRR以下、又は右側前照灯部左側角度θRLより大きい場合には右側前照灯部第1角度θRWが、右側前照灯部10Rの右側前照灯部遮光領域RSRが得られる角度の範囲と重なっていないと判定する。
また、遮光範囲導出部34は、導出した右側前照灯部第1角度θRWに基づいて、右側前照灯部第1角度θRWが正である場合に、右側前照灯部第1角度θRWが右側前照灯部右側角度θRRよりも大きく、且つ右側前照灯部左側角度θRL未満であるか否かを判定することによって、右側前照灯部第1角度θRWが、右側前照灯部10Rの右側前照灯部遮光領域RSRが得られる角度の範囲と重なっているか否かを判定する。
遮光範囲導出部34は、右側前照灯部第1角度θRWが正である場合に、右側前照灯部第1角度θRWが、右側前照灯部右側角度θRRよりも大きく、且つ右側前照灯部左側角度θRL未満である場合には右側前照灯部第1角度θRWが、右側前照灯部10Rの右側前照灯部遮光領域RSRが得られる角度の範囲と重なっていると判定する。
遮光範囲導出部34は、右側前照灯部第1角度θRWが正である場合に、右側前照灯部第1角度θRWが、右側前照灯部右側角度θRR以下、又は右側前照灯部左側角度θRLより大きい場合には右側前照灯部第1角度θRWが、左側前照灯部10Lの右側前照灯部遮光領域RSRが得られる角度の範囲と重なっていないと判定する。
【0068】
(ステップS9)
遮光範囲導出部34は、右側前照灯部第1角度θRWが、右側前照灯部10Rの右側前照灯部遮光領域RSRが得られる角度の範囲と重なっていると判定した場合には、右側前照灯部第1角度θRWが負である場合に、右側前照灯部第1角度θRWと右側前照灯部左側角度θRLとの間の角度の範囲で得られる遮光領域を、実右側前照灯部遮光領域JRSRとする。
遮光範囲導出部34は、右側前照灯部第1角度θRWが、右側前照灯部10Rの右側前照灯部遮光領域RSRが得られる角度の範囲と重なっていると判定した場合には、右側前照灯部第1角度θRWが正である場合に、右側前照灯部右側角度θRRと右側前照灯部第1角度θRWとの間の角度の範囲で得られる遮光領域を、実右側前照灯部遮光領域JRSRとする。
遮光範囲導出部34は、実右側前照灯部角度範囲を示す情報を、配光制御部35へ出力する。
配光制御部35は、遮光範囲導出部34が出力した実右側前照灯部角度範囲を示す情報を取得し、取得した実右側前照灯部角度範囲を示す情報にしたがって、前照灯部10(左側前照灯14L、右側前照灯14R、左側路面描画部20L、右側路面描画部20R)の左側前照灯14Lの光照射状態を制御する。例えば、配光制御部35は、実右側前照灯部角度範囲に応じた配光パターンを設定し、設定した配光パターンに応じて光が照射されるように左側前照灯14Lへ制御信号を出力する。
【0069】
(ステップS10)
遮光範囲導出部34は、右側前照灯部第1角度θRWが、右側前照灯部10Rの右側前照灯部遮光領域RSRが得られる角度の範囲と重なっていないと判定した場合には、右側前照灯部第1角度θRWが負であり、且つ右側前照灯部第1角度θRWが右側前照灯部右側角度θRRよりも小さい場合に、右側前照灯部左側角度θRLと右側前照灯部右側角度θRRとの間の角度の範囲で得られる遮光領域を、実左側前照灯部遮光領域JLSRとする。
遮光範囲導出部34は、右側前照灯部第1角度θRWが、右側前照灯部10Rの右側前照灯部遮光領域RSRが得られる角度の範囲と重なっていないと判定した場合には、右側前照灯部第1角度θRWが正であり、且つ右側前照灯部第1角度θRWが右側前照灯部左側角度θRLよりも大きい場合に、右側前照灯部右側角度θRRと右側前照灯部左側角度θRLとの間の角度の範囲で得られる遮光領域を、実右側前照灯部遮光領域JRSRとする。
遮光範囲導出部34は、実右側前照灯部角度範囲を示す情報を、配光制御部35へ出力する。
配光制御部35は、遮光範囲導出部34が出力した実右側前照灯部角度範囲を示す情報を取得し、取得した実右側前照灯部角度範囲を示す情報にしたがって、前照灯部10(左側前照灯14L、右側前照灯14R、左側路面描画部20L、右側路面描画部20R)の右側前照灯14Rの光照射状態を制御する。例えば、配光制御部35は、実右側前照灯部角度範囲に応じた配光パターンを設定し、設定した配光パターンに応じて光が照射されるように右側前照灯14Rへ制御信号を出力する。
【0070】
(ステップS11)
障害物検出部33が障害物を検出していない場合、遮光範囲導出部34は、右側前照灯部10Rの右側前照灯部遮光領域RSRが得られる角度の範囲を示す情報と、左側前照灯部10Lの左側前照灯部遮光領域LSRが得られる角度の範囲を示す情報とを、配光制御部35へ出力する。
配光制御部35は、遮光範囲導出部34が出力した右側前照灯部遮光領域RSRが得られる角度の範囲を示す情報を取得し、取得した右側前照灯部遮光範囲RSRが得られる角度の範囲を示す情報にしたがって、前照灯部10(左側前照灯14L、右側前照灯14R、左側路面描画部20L、右側路面描画部20R)の右側前照灯14Rの光照射状態を制御する。例えば、配光制御部35は、右側前照灯部遮光範囲RSRが得られる角度の範囲に応じた配光パターンを設定し、設定した配光パターンに応じて光が照射されるように右側前照灯14Rへ制御信号を出力する。
配光制御部35は、遮光範囲導出部34が出力した左側前照灯部遮光領域LSRが得られる角度の範囲を示す情報を取得し、取得した左側前照灯部遮光領域LSRが得られる角度の範囲を示す情報にしたがって、前照灯部10(左側前照灯14L、右側前照灯14R、左側路面描画部20L、右側路面描画部20R)の左側前照灯14Lの光照射状態を制御する。例えば、配光制御部35は、左側前照灯部遮光領域LSRが得られる角度の範囲に応じた配光パターンを設定し、設定した配光パターンに応じて光が照射されるように左側前照灯14Lへ制御信号を出力する。
(ステップS12)
左側前照灯14Lと、右側前照灯14Rとのいずれか一方又は両方は、配光制御部35が出力した制御信号にしたがって、光を照射する。
図7に示されるフローチャートにおいて、ステップS5-S7と、ステップS8-S10との順序を入れ替えてもよい。
【0071】
前述した実施形態では、自動車1が、距離を計測するセンサの一例としてLiDAR36を備える場合について説明したが、この例に限られない。例えば、カメラ40が撮影することによって得られた前方の空間の画像を画像処理することによって、物体との間の距離を計測するようにしてもよい。
前述した実施形態では、自動車1の室内ミラーに前方車外検出部21が取り付けられる場合について説明したがこの例に限られない。例えば、前方車外検出部21が機能する範囲で、自動車1の任意の位置に取り付けることが可能である。
前述した実施形態では、車両検出部32が、先行車両を検出した場合について説明したが、この限りでない。例えば、車両検出部32が、対向車両を検出した場合、後方車両を検出した場合についても適用できる。
前述した実施形態では、障害物検出部33が、障害物上のエッジ部分の一点の画像を、障害物上の一点の認識結果として、遮光範囲導出部34へ出力する場合について説明したが、この限りでない。例えば、障害物検出部33が、障害物上のエッジ部分の複数点の画像を、障害物上の認識結果として、遮光範囲導出部34へ出力してもよい。この場合、遮光範囲導出部34は、LiDAR36に、LiDAR36と壁WL(壁WLと壁WL以外の部分との境界上の複数点)との距離を導出させる。遮光範囲導出部34は、LiDAR36と壁WLの複数点との間の距離の各々を平均化などの統計処理した結果を使用してもよい。
前述した実施形態では、一例として、先行車両2を検出した自動車1が右カーブに差し掛かった場合について説明したが、この例に限られない。例えば、先行車両2を検出した自動車1が左カーブに差し掛かった場合、直進している場合にも適用できる。
【0072】
前述した実施形態に係る照明システム101によれば、点灯制御装置は、車両用前照灯による配光状態を制御する。点灯制御装置は、カメラ40により撮影される自車両の前方の画像から、障害物を検出する障害物検出部と、障害物検出部が障害物を検出した場合に、障害物の位置に応じて、自車両の前方左側に取り付けられた左側前照灯の実左側前照灯部遮光領域JLSRと、自車両の前方右側に取り付けられた右側前照灯の実右側前照灯部遮光領域JRSRとを導出する遮光範囲導出部と、遮光範囲導出部が導出した実左側前照灯部遮光領域JLSRと実右側前照灯部遮光領域JRSRとにしたがって、右側前照灯14Rと左側前照灯14Lとの配光状態を制御する配光制御部とを備える。実左側前照灯部遮光領域JLSRと、実左側前照灯部遮光領域JLSRとは異なる。
このように構成することによって、点灯制御装置は、ADBなどによって配光状態を制御することによって、前方車両を遮光している場合に、障害物を検出していない場合には、その遮光を継続することができる。点灯制御装置は、障害物を検知した場合には、障害物の位置に応じて、障害物の位置が遮光している領域と重なる場合には、その重なる領域を点灯し、重ならない領域を遮光できる。遮光する必要がない領域を点灯させることで、運転者に視認性を確保させることができる。また、仮に、障害物が遮光される場合に、運転者へ与える違和感を軽減できる。
図8は、本発明の一実施形態に係る自動車に備えられた照明システムの効果を示す図である。
図8に示される例では、自動車1は、先行車両2を検出し、先行車両2を遮光しながら走行している途中で、カーブに差し掛かった状態を示す。カーブの内側には、ガードレールなどの障害物(図示なし)が設置されている。
図8の(1)は従来の遮光領域を示す。この場合、自動車1は、遮光対象である先行車両2を検出できていない状態で遮光する場合がある。先行車両2を検出できていない状態で遮光する場合、自動車1は、障害物を遮光してしまうことがある。この場合、自動車1の運転者には、遮光領域が複数あるように見えたり、先行車両2を誤って認識させたりすることで、違和感を与えてしまう。
図8の(2)は本実施形態の遮光領域を示す。本実施形態に係る照明システム101は、障害物を遮光してしまうと判断した場合は、障害物があると想定される領域を点灯させることで不必要な遮光を抑制する。換言すれば、左右各々の車両用前照灯の配光範囲内の遮光対象に向かう角度範囲内において、車両用前照灯と遮光対象(先行車、対向車、など)の間に障害物(ガードレール、崖や建造物の壁など)が存在する角度範囲は照射を行い、車両用前照灯と遮光対象の間に障害物が存在しない角度範囲は遮光を行う。このように構成することによって、自動車1の運転者に対して、視認性の確保と、運転者への違和感を軽減できる。
【0073】
<構成例>
一構成例として、車両用前照灯による配光状態を制御する点灯制御装置であって、カメラにより撮影される自車両の前方の画像から、障害物を検出する障害物検出部と、障害物検出部が障害物を検出した場合に、障害物の位置に応じて、自車両の前方左側に取り付けられた左側前照灯の第1遮光領域(実左側前照灯部遮光領域JLSR)と、自車両の前方右側に取り付けられた右側前照灯の第2遮光領域(実右側前照灯部遮光領域JRSR)とを導出する遮光範囲導出部と、遮光範囲導出部が導出した第1遮光領域と第2遮光領域とにしたがって、右側前照灯と左側前照灯との配光状態を制御する配光制御部とを備え、第1遮光領域と第2遮光領域とは異なる、点灯制御装置である。
一構成例として、遮光範囲導出部は、自車両の進行方向を基準とし、反時計まわりを正の角度とした場合に、自車両の進行方向と、左側前照灯と先行車両の左側端部とを結んだ線とのなす左側前照灯部左側角度(実施形態では、左側前照灯部左側角度θLL)と、自車両の進行方向と、左側前照灯と先行車両の右側端部とを結んだ線とのなす左側前照灯部右側角度(実施形態では、左側前照灯部右側角度θLR)と、自車両の進行方向と、左側前照灯と障害物とを結んだ線とのなす左側前照灯部第1角度(実施形態では、左側前照灯部第1角度θLW)とを導出し、左側前照灯部左側角度と左側前照灯部右側角度と左側前照灯部第1角度とに基づいて、第1遮光領域を導出する。
一構成例として、遮光範囲導出部は、左側前照灯部第1角度が負である場合に、左側前照灯部第1角度が左側前照灯部右側角度より大きく、且つ左側前照灯部左側角度未満である場合に、左側前照灯部第1角度と左側前照灯部左側角度との間の角度の範囲で得られる遮光領域を、第1遮光領域とし、左側前照灯部第1角度が正である場合に、左側前照灯部第1角度が左側前照灯部右側角度よりも大きく、且つ左側前照灯部左側角度未満である場合に、左側前照灯部右側角度と左側前照灯部第1角度との間の角度の範囲で得られる遮光領域を、第1遮光領域とする。
一構成例として、遮光範囲導出部は、左側前照灯部第1角度が負であり、且つ左側前照灯部第1角度が左側前照灯部右側角度よりも小さい場合に、左側前照灯部左側角度と左側前照灯部右側角度との間の角度の範囲で得られる遮光領域を、第1遮光領域とし、左側前照灯部第1角度が正であり、且つ左側前照灯部第1角度が左側前照灯部左側角度よりも大きい場合に、左側前照灯部右側角度と左側前照灯部左側角度との間の角度の範囲で得られる遮光領域を、第1遮光領域とする。
【0074】
一構成例として、遮光範囲導出部は、自車両の進行方向を基準とし、反時計まわりを正の角度とした場合に、自車両の進行方向と、右側前照灯と先行車両の左側端部とを結んだ線とのなす右側前照灯部左側角度と、自車両の進行方向と、右側前照灯と先行車両の右側端部とを結んだ線とのなす右側前照灯部右側角度と、自車両の進行方向と、右側前照灯と障害物とを結んだ線とのなす右側前照灯部第1角度とを導出し、右側前照灯部左側角度と右側前照灯部右側角度と右側前照灯部第1角度とに基づいて、第2遮光領域を導出する。
一構成例として、遮光範囲導出部は、右側前照灯部第1角度が負である場合に、右側前照灯部第1角度が右側前照灯部右側角度より大きく、且つ右側前照灯部左側角度未満である場合に、右側前照灯部第1角度と右側前照灯部左側角度との間の角度の範囲で得られる遮光領域を、第1遮光領域とし、右側前照灯部第1角度が正である場合に、右側前照灯部第1角度が右側前照灯部右側角度よりも大きく、且つ右側前照灯部左側角度未満である場合に、右側前照灯部右側角度と右側前照灯部第1角度との間の角度の範囲で得られる遮光領域を、第2遮光領域とする。
一構成例として、遮光範囲導出部は、右側前照灯部第1角度が負であり、且つ右側前照灯部第1角度が右側前照灯部右側角度よりも小さい場合に、右側前照灯部左側角度と右側前照灯部右側角度との間の角度の範囲で得られる遮光領域を、第2遮光領域とし、右側前照灯部第1角度が正であり、且つ右側前照灯部第1角度が右側前照灯部左側角度よりも大きい場合に、右側前照灯部右側角度と右側前照灯部左側角度との間の角度の範囲で得られる遮光領域を、第2遮光領域とする。
一構成例として、車両用前照灯と、車両用前照灯による配光状態を制御する点灯制御装置とを備える車両用灯具であって、点灯制御装置は、カメラにより撮影される自車両の前方の画像から、障害物を検出する障害物検出部と、障害物検出部が障害物を検出した場合に、障害物の位置に応じて、自車両の前方左側に取り付けられた左側前照灯の第1遮光領域と、自車両の前方右側に取り付けられた右側前照灯の第2遮光領域とを導出する遮光範囲導出部と、遮光範囲導出部が導出した第1遮光領域と第2遮光領域とにしたがって、右側前照灯と左側前照灯との配光状態を制御する配光制御部とを備え、第1遮光領域と第2遮光領域とは異なる。
一構成例として、車両用前照灯と、車両用前照灯による配光状態を制御する点灯制御装置とを備える車両用灯具であって、車両用前照灯の配光範囲内の遮光対象に向かう角度範囲のうち、車両用前照灯と遮光対象との間に障害物が存在する角度範囲は照射を行い、車両用前照灯と遮光対象の間に障害物が存在しない角度範囲は遮光を行う、車両用灯具である。
【0075】
以上に示した実施形態に係る装置(例えば、制御部31など)の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、処理を行ってもよい。
なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、オペレーティング・システム(OS:Operating System)あるいは周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、DVD(Digital Versatile Disc)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0076】
さらに、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークあるいは電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記のプログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)あるいは電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記のプログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上記のプログラムは、前述した機能をコンピュータシステムに既に記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【符号の説明】
【0077】
1…自動車、2…先行車両、10…前照灯部、10L…左側前照灯部、10R…右側前照灯部、11L…左側尾灯部、11R…右側尾灯部、13L…左側サイドミラー、13R…右側サイドミラー、14L…左側前照灯、14R…右側前照灯、15…フロントウィンドウ、16…リアウィンドウ、20L…左側路面描画部、20R…右側路面描画部、21…前方車外検出部、31…制御部、32…車両検出部、33…障害物検出部、34…遮光範囲導出部、35…配光制御部、36…LiDAR、37…記憶部、40…カメラ、101…照明システム