(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】改善された除去速度及び平坦化のためのケミカルメカニカルポリッシングパッド
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20221129BHJP
C08G 18/38 20060101ALI20221129BHJP
C08G 18/76 20060101ALI20221129BHJP
C08G 18/75 20060101ALI20221129BHJP
C08G 18/48 20060101ALI20221129BHJP
C08G 18/10 20060101ALI20221129BHJP
B24B 37/24 20120101ALI20221129BHJP
B24B 53/017 20120101ALI20221129BHJP
B24B 37/005 20120101ALI20221129BHJP
C08G 101/00 20060101ALN20221129BHJP
【FI】
H01L21/304 622F
C08G18/38 014
C08G18/76
C08G18/75
C08G18/48 054
C08G18/48
C08G18/48 004
C08G18/10
C08G18/75 080
C08G18/76 007
H01L21/304 621D
B24B37/24 C
B24B37/24 A
B24B53/017 Z
B24B37/005 A
C08G101:00
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018106671
(22)【出願日】2018-06-04
【審査請求日】2021-05-21
(32)【優先日】2017-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504089426
【氏名又は名称】ローム アンド ハース エレクトロニック マテリアルズ シーエムピー ホウルディングス インコーポレイテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン・ジー・ヴァイス
(72)【発明者】
【氏名】ナン-ロン・チョウ
(72)【発明者】
【氏名】ジョージ・シー・ジェイコブ
(72)【発明者】
【氏名】バイニャン・チャン
【審査官】渡井 高広
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-208854(JP,A)
【文献】特開2016-129223(JP,A)
【文献】特開2011-040737(JP,A)
【文献】特開2015-051498(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
C08G 18/38
C08G 18/76
C08G 18/75
C08G 18/48
C08G 18/10
B24B 37/24
B24B 53/017
B24B 37/005
C08G 101/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリ及び半導体基板のうちの少なくとも1つより選ばれる基板を研磨するための低減衰成分を有するケミカルメカニカル(CMP)ポリッシングパッドであって、4,4’-メチレンビス(3-クロロ-2,6-ジエチルアニリン)(MCDEA)、又はMCDEA対4,4’-メチレン-ビス-o-(2-クロロアニリン)(MbOCA)の重量比3:7~1:0のMCDEA及びMbOCAの混合物の硬化剤と、8.6~11重量%の未反応のイソシアナート(NCO)濃度を有し、1つ若しくは2つの芳香族ジイソシアナート、又は芳香族ジイソシアナートと、前記芳香族ジイソシアナート及び脂環式ジイソシアナートの全重量に基づいて最大67重量%の脂環式ジイソシアナートとの混合物、並びに反応物としてのポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)のポリオール、又はPTMEG及びPPGのポリオールブレンドより生成されたポリイソシアナートプレポリマーとを含む熱硬化性反応混合物のポリウレタン反応生成物であり、前記基板を研磨するために適合された研磨層を含み、
前記研磨層は中空コアポリマー材料を含むマイクロエレメントを含み、前記研磨層内の前記ポリウレタン反応生成物が、ASTM D2240-15(2015)によるショアD硬さ50~90を有し、さらに前記研磨層内の前記ポリウレタン反応生成物が、65℃での剪断貯蔵弾性率(G’)70~500MPaを有し、さらに前記研磨層が、0.06~0.13の50℃での減衰成分(剪断動的機械分析(DMA)、ASTM D5279-08(2008)によって測定されるG’’/G’)を
有し、そして47%~53%の多孔度を有する、ケミカルメカニカル(CMP)ポリッシングパッド。
【請求項2】
前記硬化剤が、MCDEA対MbOCAの重量比4:6~1:0のMCDEA及び4,4’-メチレン-ビス-o-(2-クロロアニリン)(MbOCA)の混合物を含む、請求項1に記載のCMPポリッシングパッド。
【請求項3】
前記芳香族ジイソシアナート、又は脂環式ジイソシアナートとのその混合物が、トルエンジイソシアナート(TDI)、前記芳香族ジイソシアナートの全重量に基づいて最大20重量%のメチレンジフェニルジイソシアナート(MDI)と混合されたTDI、又はTDI並びに前記芳香族ジイソシアナート及び脂環式ジイソシアナートの全重量に基づいて最大67重量%のH
12MDIの混合物より選ばれる、請求項1に記載のCMPポリッシングパッド。
【請求項4】
前記ポリイソシアナートプレポリマーが、前記ポリイソシアナートプレポリマーの8.6~10.3重量%の未反応のイソシアナート(NCO)濃度を有し、前記ポリイソシアナートプレポリマーを生成するために使用される前記ポリオールが、(i)PTMEG、(ii)PPG又は(iii)1:0~1:4若しくは12:1~1:1のPTMEG対PPGの比のPTMEG及びPPGのポリオールブレンドより選ばれる、請求項1に記載のCMPポリッシングパッド。
【請求項5】
前記反応混合物中のアミン(NH
2)基の全モル数及びヒドロキシル(OH)基の全モル数の合計対前記反応混合物中の未反応のイソシアナート(NCO)基の全モル数の化学量論比が0.90:1~1.20:1の範囲である、請求項1に記載のCMPポリッシングパッド。
【請求項6】
前記CMPポリッシングパッドの前記研磨層が、閉じ込められた気泡
、液体充填中空コアポリマー材料、及びフィラーより選ばれるマイクロエレメントをさらに含む、請求項1に記載のCMPポリッシングパッド。
【請求項7】
前記研磨層内の前記ポリウレタン反応生成物が、ASTM D2240-15(2015)によるショアD硬さ60~90を有し、65℃での剪断貯蔵弾性率(G’)125~500MPaを有する、請求項1に記載のCMPポリッシングパッド。
【請求項8】
前記ポリッシングパッド又は研磨層が0.55~1.17g/cm
3の密度を有する、請求項1に記載のCMPポリッシングパッド。
【請求項9】
前記研磨層が、前記熱硬化性反応混合物の全重量に基づいて45~70%のハードセグメントを有するポリウレタン反応生成物を含む、請求項1に記載のCMPポリッシングパッド。
【請求項10】
三次元半導体又はメモリ基板のうちの少なくとも1つより選択される基板を提供すること;請求項1に記載のケミカルメカニカル(CMP)ポリッシングパッドを提供すること;砥粒研磨媒体を提供すること;並びに前記CMPポリッシングパッドの前記研磨層の研磨表面、前記砥粒研磨媒体及び前記基板の間の動的接触を起こし、ダウンフォース(DF)103~550hPa(1.5~8psi)で前記基板の表面を研磨すること;並びに、前記ポリッシングパッドの前記研磨表面を砥粒コンディショナーでコンディショニングすることを含む、基板をケミカルメカニカル(CMP)研磨する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年6月6日に出願されたapplication Ser.No.15/615,254の一部継続出願である。
【0002】
本発明は、ケミカルメカニカルポリッシングパッド及びその使用方法に関する。とりわけ、本発明は、4,4’-メチレンビス(3-クロロ-2,6-ジエチルアニリン)(MCDEA)、又はMCDEA及び4,4’-メチレン-ビス-o-(2-クロロアニリン)(MbOCA)の混合物の硬化剤と、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)のポリオール、又はPTMEG及びPPGのポリオールブレンド、並びに芳香族ジイソシアナート、又は芳香族ジイソシアナート及び脂環式ジイソシアナートの組み合わせより生成された、8.6~11重量%の未反応のイソシアナート(NCO)を含むポリイソシアナートプレポリマーとを含む熱硬化性反応混合物のポリウレタン反応生成物の研磨層又は上部研磨表面を含む低減衰成分を有するケミカルメカニカルポリッシングパッドと、不揮発性フラッシュメモリ(例えば、3D NAND)基板などの三次元半導体基板又はメモリ基板を研磨するためのパッドの使用方法とに関する。
【0003】
どのような半導体又はメモリデバイスの生産においても、いくつかのケミカルメカニカルポリッシング(CMP研磨)プロセスが必要とされ得る。各CMPプロセスでは、砥粒含有研磨スラリー又は砥粒不含反応性液体などの研磨溶液と組み合わせたポリッシングパッドが、平坦化したり、基板の平坦性を維持したりするように余分な材料を除去する。半導体中の多層の積層は、集積回路を形成するように組み合わさる。そのような半導体デバイスの製造は、より高い動作速度、より低い漏れ電流及び低い消費電力を有するデバイスの要件のため、さらに複雑化し続けている。
【0004】
三次元メモリアーキテクチャ(例えば、3D-NAND)及び三次元積層メモリセル又はアレイの出現によって、広い横寸法を有する基板のCMP研磨が必要になった。そのような基板は、平坦化される必要があるフィーチャ間の、例えば、1~50mmの横寸法のフィーチャ又はダイスケール平坦化を必要とする。特に、少なくとも1つの1~5mm幅の低領域を有する3D NANDメモリ基板は、CMP研磨にとって新たな幾何形状を生み出した。そのような幾何形状には、フィーチャスケール平坦化を必要とする大幅により厚い酸化膜(>1μm)及びより広い横方向のフィーチャ(1~10mm)が含まれる。厚い酸化膜は、並外れて高い除去速度要件を課し、大きいフィーチャは、以前のCMP基板よりも数桁長い横方向の長さを平坦化できる新しいクラスのCMPポリッシングパッド材料を必要とする。
【0005】
Yeh et al.によるU.S.Pat.Publication No.2015/0059254 A1には、ポリプロピレングリコール及びトルエンジイソシアナート並びに硬化剤としての4,4’-メチレンビス(3-クロロ-2,6-ジエチルアニリン)(MCDEA)由来のポリウレタンプレポリマーのポリウレタン反応生成物を含むポリウレタンポリッシングパッドが開示されている。得られるCMPポリッシングパッドは、金属含有基板の研磨の改善を可能にするが、少なくとも1μm厚の酸化膜及び1~5mm幅の少なくとも1つの低領域を有する三次元半導体基板又はメモリ基板を効果的に研磨するのに必要な除去速度を実現しない。
【0006】
本発明者らは、不揮発性フラッシュメモリ(3D NAND)基板などの三次元半導体基板又はメモリ基板を研磨するために必要な除去速度及びワイドスケール平坦化を実現する効果的なケミカルメカニカルポリッシング(CMP研磨)パッドを提供するという課題の解決を目指した。
【0007】
発明の記述
1.本発明において、三次元メモリ及び半導体基板のうちの少なくとも1つより選ばれる基板を研磨するための低減衰成分を有するケミカルメカニカル(CMP)ポリッシングパッドは、4,4’-メチレンビス(3-クロロ-2,6-ジエチルアニリン)(MCDEA)、又はMCDEA対4,4’-メチレン-ビス-o-(2-クロロアニリン)(MbOCA)の重量比3:7~1:0若しくは、好ましくは、4:6~1:0のMCDEA及びMbOCAの混合物の硬化剤と、ポリイソシアナートプレポリマーの8.6~11重量%、若しくは、好ましくは、8.6~10.3重量%の未反応のイソシアナート(NCO)濃度を有し、メチレンジフェニルジイソシアナート(MDI);トルエンジイソシアナート(TDI);ナフタレンジイソシアナート(NDI);パラフェニレンジイソシアナート(PPDI);あるいはo-トルイジンジイソシアナート(TODI);カルボジイミド修飾ジフェニルメタンジイソシアナート、アロファネート修飾ジフェニルメタンジイソシアナート、ビウレット修飾ジフェニルメタンジイソシアナートなどの修飾ジフェニルメタンジイソシアナート;あるいはMDI、好ましくは、トルエンジイソシアナート(TDI)若しくはTDI及び芳香族ジイソシアナートの全重量に基づいて最大20重量%のMDIの混合物のイソシアヌラートなどの、ジイソシアナート由来の芳香族イソシアヌラート;あるいは1つ若しくは2つの芳香族ジイソシアナート、好ましくは、TDI、又は芳香族ジイソシアナート及び任意の脂環式ジイソシアナートの全重量に基づいて最大67重量%、若しくは好ましくは、64.5重量%以下の4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアナート)(H12-MDI)などの脂環式ジイソシアナートと混合された、TDI及び芳香族ジイソシアナートの全重量に基づいて最大20重量%のMDIより選ばれるものなどの1つ又は2つの芳香族ジイソシアナート;並びに反応物としてのポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)のポリオール、又はPTMEG及びPPGのポリオールブレンドより生成されたポリイソシアナートプレポリマーとを含む熱硬化性反応混合物のポリウレタン反応生成物である基板を研磨するために適合された研磨層を含み、研磨層内のポリウレタン反応生成物は、ASTM D2240-15(2015)によるショアD硬さ(2秒)50~90、又は、好ましくは60~90又は70~80を有し、さらに研磨層内のポリウレタン反応生成物は、65℃での剪断貯蔵弾性率(G’)70~500MPa、又は、好ましくは125~500MPa、又は、好ましくは、最大260MPaを有する。
【0008】
2.上記項目1に記載の本発明のケミカルメカニカルポリッシングパッドにおいて、反応混合物中のアミン(NH2)基の全モル数及びヒドロキシル(OH)基の全モル数の合計対反応混合物中の未反応のイソシアナート(NCO)基の全モル数の化学量論比が、0.85:1~1.20:1、又は、好ましくは、1.00:1~1.10:1の範囲である。
【0009】
3.上記項目1又は2に記載の本発明のケミカルメカニカルポリッシングパッドにおいて、ポリイソシアナートプレポリマーを生成するために使用されるポリオールが、(i)PTMEG、(ii)PPG又は(iii)1:0~1:4、若しくは、例えば、12:1~1:1のPTMEG対PPGの比のPTMEG及びPPGのポリオールブレンドより選ばれる。
【0010】
4.上記項目1、2、又は3のいずれか一項記載の本発明のケミカルメカニカルポリッシングパッドにおいて、ポリオール又はポリオールブレンド中のPTMEGの重量平均分子量(GPC)が、800~1600、若しくは、好ましくは、1100~1500の範囲である。
【0011】
5.上記項目1、2、3又は4のいずれか一項記載の本発明のケミカルメカニカルポリッシングパッドにおいて、CMPポリッシングパッドの研磨層が、閉じ込められた気泡、ポリマーマイクロスフェアなどの中空コアポリマー材料、流体充填ポリマーマイクロスフェアなどの液体充填中空コアポリマー材料、及び窒化ホウ素などのフィラー、好ましくは、膨張した流体充填ポリマーマイクロスフェアより選ばれるマイクロエレメントをさらに含む。
【0012】
6.上記項目5に記載の本発明のケミカルメカニカルポリッシングパッドにおいて、マイクロエレメントの量が、反応混合物の全重量に基づいて0.4~2.5重量%又は、より好ましくは、0.75~2.0重量%の1つ以上のマイクロエレメントの範囲である。
【0013】
7.上記項目5又は6のいずれか一項記載の本発明のケミカルメカニカルポリッシングパッドにおいて、ポリッシングパッド又は研磨層が、0.55~1.17g/cm3又は、好ましくは、0.70~1.08g/cm3の密度を有する。
【0014】
8.上記項目5、6又は7のいずれか一項記載の本発明のケミカルメカニカルポリッシングパッドにおいて、ポリッシングパッド又は研磨層が、0.01~53%又は、好ましくは、8~40%の多孔度を有する。
【0015】
9.上記項目1、2、3、4、5、6、7又は8のいずれか一項記載の本発明のケミカルメカニカルポリッシングパッドにおいて、研磨層が、熱硬化性反応混合物の全重量に基づいて45~70%、又は好ましくは、50~70%のハードセグメントを有するポリウレタン反応生成物を含む。
【0016】
10.上記項目1、2、3、4、5、6、7、8又は9のいずれか一項記載の本発明のケミカルメカニカルポリッシングパッドにおいて、研磨層が、0.06~0.13又は、好ましくは、0.068~0.118の50℃での減衰成分(剪断動的機械分析(DMA)、ASTM D5279-08(2008)によって測定されるG’’/G’)を有する。
【0017】
11.別の態様において、本発明は、磁性基板、光学基板及び半導体基板のうちの少なくとも1つより選択される基板を提供すること;上記項目1~10のいずれか一項記載のケミカルメカニカル(CMP)ポリッシングパッドを提供すること;砥粒研磨媒体を提供すること;CMPポリッシングパッドの研磨層の研磨表面、砥粒研磨媒体及び基板の間の動的接触を起こし、103~550hPa(1.5~8psi)のダウンフォースで基板の表面を研磨すること;並びに、ポリッシングパッドの研磨表面を砥粒コンディショナーでコンディショニングすることを含む、基板を研磨する方法を提供する。
【0018】
12.上記項目11に記載の本発明の方法において、基板が、例えば、3D NANDメモリなどの三次元半導体又はメモリ基板を含む。
【0019】
13.上記項目12に記載の本発明の方法において、三次元半導体又はメモリ基板が、少なくとも1μm厚又は、好ましくは、1~7μm厚又は、より好ましくは、1~4μm厚の酸化膜を含み、1~5mm幅の少なくとも1つの低領域を有する。
【0020】
14.上記項目12又は13のいずれか一項記載の本発明の方法において、動的接触を起こすことによって、除去速度が少なくとも8000Å/分又は、好ましくは、少なくとも10,000Å/分になる。
【0021】
15.上記項目12、13又は14のいずれか一項記載の本発明の方法において、動的接触を起こすことが、0.5~7重量%の全砥粒固形分を有するセリアなどの砥粒研磨媒体を提供すること、及び103~550hPa(1.5~8psi)、又は、好ましくは、206~483hPa(3~7psi)のダウンフォースで砥粒研磨媒体で研磨することを含む。
【0022】
16.上記項目15に記載の本発明の方法において、動的接触を起こすことが、0.5~1.999重量%又は、好ましくは、0.5~1.5重量%の砥粒含有量の砥粒研磨媒体を提供すること、及び206~550hPa(3~8psi)、又は、好ましくは、275~483hPa(4~7psi)のダウンフォースで研磨することを含む。
【0023】
17.上記項目15に記載の本発明の方法において、動的接触を起こすことが、2~6重量%又は、好ましくは、2.5~5.5重量%の砥粒含有量の砥粒研磨媒体を提供すること、及び103~344hPa(1.5~5psi)又は、好ましくは、137~344hPa(2~5psi)のダウンフォース(DF)で研磨することを含む。
【0024】
特に記載のない限り、温度及び圧力の条件は、周囲温度又は室温及び標準圧力である。記載されるすべての範囲が包括的かつ組み合わせ可能である。
【0025】
特に記載のない限り、括弧を含有するいずれの用語も、代替的に、括弧が存在しない場合と同様に用語全体及び括弧のない用語、並びに各選択肢の組み合わせを指す。したがって、用語「(ポリ)イソシアナート」は、イソシアナート、ポリイソシアナート、又はこれらの混合物を指す。
【0026】
すべての範囲が包括的かつ組み合わせ可能である。例えば、用語「50~3000cPs、又は100cPs以上の範囲」は、50~100cPs、50~3000cPs及び100~3000cPsのそれぞれを含むであろう。
【0027】
本明細書において用いられるとき、用語「ASTM」は、ASTM International(West Conshohocken, PA)の刊行物を指す。
【0028】
本明細書において用いられるとき、用語G’、G’’、及びG’’/G’(これはtanδに相当する。)は、それぞれ、剪断貯蔵弾性率、剪断損失弾性率、及び剪断貯蔵弾性率に対する剪断損失弾性率の比を指す。試験片は幅6.5mm及び長さ36mmで切断された。ARES(商標)G2ねじりレオメータ又はRheometric Scientific(商標)RDA3(いずれもTA Instruments(New Castle, DE)製)が、ASTM D5279-13(2013)、“Standard Test Method for Plastics:Dynamic Mechanical Properties:In Torsion”に従って使用された。ギャップ長は20mmであった。装置の分析パラメータは、予荷重100g、ひずみ0.2%、振動速度10rad/sec、及び温度勾配速度3℃/min(-100℃~150℃)に設定された。
【0029】
本明細書において用いられるとき、用語「分子量」又は「GPC」は、特に記載のない限り、ポリエーテルポリオール又はポリグリコール(例えば、PEG)標準に対する分析物ポリオール(GPC)のゲル浸透クロマトグラフィーによって測定される結果を意味する。
【0030】
本明細書において用いられるとき、熱硬化性反応混合物由来のポリウレタン反応生成物又は原料の「ハードセグメント」という用語は、任意のジオール、グリコール、ジグリコール、ジアミン、トリアミン又はポリアミン、ジイソシアナート、トリイソシアナート、あるいはこれらの反応生成物を含む示した反応混合物のその部分を指す。したがって、「ハードセグメント」は、ポリテトラメチレングリコール又はポリプロピレングリコールなど、3つ以上のエーテル基を有するポリエーテル又はポリグリコールを除く。
【0031】
本明細書において用いられるとき、用語「PPG」は、ポリ(プロピレングリコール)、エチレンオキシド(EO)開始PPG及び(ジ)エチレングリコール伸長PPGのいずれかを指す。
【0032】
本明細書において用いられるとき、用語「ポリイソシアナート」は、ブロック化イソシアナート基を含む3つ以上のイソシアナート基を有する任意のイソシアナート基含有分子を意味する。
【0033】
本明細書において用いられるとき、用語「ポリイソシアナートプレポリマー」は、ジアミン、ジオール、トリオール、及びポリオールなど、2つ以上の活性水素基を含有する活性水素含有化合物との過剰なジイソシアナート又はポリイソシアナートの反応生成物である任意のイソシアナート基含有分子を意味する。
【0034】
本明細書において用いられるとき、用語「ポリウレタン」は、二官能性又は多官能性イソシアナート由来の重合生成物、例えば、ポリエーテル尿素、ポリイソシアヌラート、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリウレタン尿素、これらのコポリマー及びこれらの混合物を指す。
【0035】
本明細書において用いられるとき、用語「反応混合物」は、マイクロエレメントなどの任意の非反応性の添加剤、又は窒化ホウ素などの弾性率若しくは曲げ剛性を向上させる添加剤、又はポリ(メタクリル酸)若しくはその塩などのポリマー性ポリ酸を含む。
【0036】
本明細書において用いられるとき、用語「SG」又は「比重」は、本発明によるポリッシングパッド又は層から切り出された長方形の重量/体積比を指す。
【0037】
本明細書において用いられるとき、用語「ショアD硬さ」は、ASTM D2240-15(2015)、“Standard Test Method for Rubber Property-Durometer Hardness”に従って測定される所与の材料の2秒硬さである。硬さは、Dプローブを備えたRex Hybrid硬さ試験機(Rex Gauge Company, Inc.(Buffalo Grove, IL))で測定された。6つのサンプルが積層され、硬さ測定毎にシャッフルされ、硬さ試験の再現性を改善するために、試験された各パッドは、ASTM D2240-15(2015)に概説された方法を試験及び使用する前に相対湿度50パーセント中に23℃で5日間置くことによってコンディショニングされた。本発明において、研磨層又はパッドのポリウレタン反応生成物のショアD硬さは、その反応生成物のショアD硬さを含む。
【0038】
本明細書において用いられるとき、用語「固体」は、本発明のポリウレタン反応生成物中に残る任意の材料を指す。したがって、固体は、硬化時に揮発しない反応性及び不揮発性の添加剤を含む。固体は、水、アンモニア及び揮発性溶媒を除く。
【0039】
本明細書において用いられるとき、用語「ステップ高さ」は、三次元半導体又はメモリ基板内で研磨されるフィーチャの高領域及び低領域の間の膜高さの最大差を指す。
【0040】
本明細書において用いられるとき、反応混合物の「化学量論」という用語は、反応混合物中の遊離NCO基に対する(遊離OH基+遊離NH2基)のモル当量比を指す。
【0041】
本明細書において用いられるとき、特に記載のない限り、「実質的に水を含まない」という用語は、所与の組成物に水が加えられていないこと、及び組成物に入る材料に水が加えられていないことを意味する。「実質的に水を含まない」反応混合物は、50~2000ppm又は、好ましくは、50~1000ppmの範囲内で原料中に存在する水を含み得、あるいは、縮合反応において生成される反応水、又は反応混合物が使用されている周囲の水分からの蒸気を含み得る。
【0042】
本明細書において用いられるとき、用語「使用条件」は、人が基板のCMP研磨を実施する、又は研磨が起こる温度及び圧力を意味する。
【0043】
本明細書において用いられるとき、特に記載のない限り、用語「粘度」は、ギャップ100μmの50mmパラレルプレートジオメトリーで振動剪断速度掃引0.1~100rad/secに設定されたレオメータを使用して測定される所与の温度でのニートの形態(100%)の所与の材料の粘度を指す。
【0044】
本明細書において用いられるとき、特に記載のない限り、用語「数平均分子量」又は「Mn」及び「重量平均分子量」又は「Mw」は、アイソクラティックポンプ、オートサンプラー(注入量(50μl)、及び孔径50、100、500、次いで1000Åの順でポリスチレンジビニルベンゼン(PS/DVB)ゲルでそれぞれ充填された4本の一連のPL-Gel(商標)(7mm×30cm×5μm)カラムを備えたAgilent 1100 High Pressure Liquid Chromatogram(HPLC)(Agilent(Santa Clara, CA))を使用して、標準としてのポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールのポリオール混合物(THF中1.5重量%)から校正された標準に対して室温でゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定される値を意味する。ポリイソシアナートプレポリマーについては、イソシアナートサンプルのイソシアナート官能(N=C=O)基が、乾燥メタノール/THF溶液由来のメタノールを用いて非反応性のメチルカルバマートに変換された。
【0045】
本明細書において用いられるとき、特に記載のない限り、用語「重量%NCO」は、所与のポリイソシアナートプレポリマー組成物中の未反応のイソシアナート基又は遊離イソシアナート基の量を指す。
【0046】
本明細書において用いられるとき、用語「重量%」は重量パーセントを表す。
【0047】
本発明によれば、ケミカルメカニカル(CMP)ポリッシングパッドは、4,4’-メチレンビス(3-クロロ-2,6-ジエチルアニリン)(MCDEA)、又は4,4’-メチレン-ビス-o-(2-クロロアニリン)(MbOCA)と混合されたMCDEAの硬化剤と、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG)ポリオール、ポリプロピレングリコール(PPG)、又はPTMEG及びPPGのポリオールブレンドより生成されたポリイソシアナートプレポリマーとの反応混合物の反応生成物を含む上部研磨表面を有する。本発明による研磨層は、G’として測定される有利な剪断貯蔵弾性率、及び関連する研磨温度状況における低減衰成分(すなわち、剪断動的機械分析(DMA)、ASTM D5279-08(2008)によって測定されるG’’/G’)(0.06~0.13)を保持する。本発明の未充填の研磨層材料もまた、高い(>400MPa)引張弾性率を有する。高い剪断貯蔵弾性率及び低い減衰係数は、不揮発性フラッシュメモリ(3D NAND)基板などの三次元半導体基板又はメモリ基板に必要な高い除去速度及び優れた長い長さスケール平坦化を実現するCMP研磨層を可能にする。長い長さスケール平坦化において、本発明のCMP研磨層は、幅が1~5mmなど1mm以上の少なくとも1つの低領域を有する三次元半導体基板又はメモリ基板を研磨する。
【0048】
本発明のCMPポリッシングパッドのCMP研磨層は、関連する温度での大幅に高い弾性率、及び高い曲げ剛性を有する多孔性パッド材料である。これらの特性は、硬化剤として、あるいは本発明の熱硬化性反応混合物において使用される少なくとも30重量%、又は、好ましくは、少なくとも40重量%のジアミン硬化剤混合物として4,4’-メチレン-ビス(3-クロロ-2,6-ジエチルアニリン)(MCDEA)を使用することによって実現される。硬化剤混合物へのMCDEAの添加は、弾性率(剪断貯蔵弾性率)を向上させ、かつ使用条件において十分なtanδ(減衰成分)を保持することによって長い長さ平坦化を改善する。所与の多孔度については、CMP研磨層は、弾性率の向上に伴って改善された曲げ剛性を示し、これは、より長い長さスケール(>3mm)での改善された平坦化能力に寄与する。さらに、関連する基板表面研磨温度でのより高い弾性率は、典型的には、より高い除去速度(RR)に対応する。曲げ剛性と比べたとき、より高いtanδ又は減衰成分もまた平坦化を改善し得るが、より短い長さスケール(<1mm)において程度がより大きい。中間の状況(1~5mm)では、両方のパラメータが平坦化能力に寄与し、かつ、より短い長さスケールの状況でtanδがより小さくなり得る可能性がある。CMP研磨温度又は状況が所与の材料特性の測定の温度と重ならない可能性があるが、その理由は、測定されるプラテン温度が、研磨層内で上下する温度を正確に反映しない可能性があり、さらに、研磨層材料は、研磨操作中、可変のひずみ速度にさらされるためである。
【0049】
本発明のケミカルメカニカルポリッシングパッドは、多孔性ポリウレタン又は均質なポリウレタン中のマイクロエレメントの均質な分散物である研磨層を含む。均質性は、特に単一の鋳込みを使用して複数のポリッシングパッドを製造する場合に、一貫したポリッシングパッド性能の実現に重要である。したがって、本発明の反応混合物は、得られるパッドの形態が安定しており、容易に再現可能なように選ばれる。例えば、多くの場合、一貫した製造のために、酸化防止剤などの添加剤、及び水などの不純物を制御することが重要である。水はイソシアナートと反応して、気体の二酸化炭素と、一般的にウレタンに比べて弱い反応生成物とを生成するため、水の濃度は、ポリマーマトリックス内に細孔を形成する二酸化炭素の気泡の濃度並びにポリウレタン反応生成物の全体の一貫性に影響し得る。外来の水とのイソシアナートの反応はまた、鎖延長剤との反応に利用できるイソシアナートを減少させ、したがって、架橋レベル(過剰なイソシアナート基が存在する場合。)と共に化学量論を変化させ、得られるポリマー分子量を低下させる傾向がある。
【0050】
本発明のCMP研磨層の多孔度は、0~53%又は、好ましくは、8~40%、例えば、12~25%の範囲であり得る。研磨層は、より高い多孔度では、さらに容易にコンディショニングされるが、より低い多孔度では、より良い剛性及び長い長さスケール平坦化を与える。
【0051】
均質性及び良好な型成形結果を保証し、鋳型に完全に充填するために、本発明の反応混合物は十分に分散されるべきである。
【0052】
本発明によれば、反応混合物は、一方で、芳香族ジイソシアナート、例えば、トルエンジイソシアナート、及びポリオール成分から調製されるポリイソシアナートプレポリマーを少なくとも含み、他方で、4,4’-メチレンビス(3-クロロ-2,6-ジエチルアニリン)(MCDEA)、又はMCDEA及び4,4’-メチレン-ビス-o-(2-クロロアニリン)(MbOCA)を含む。
【0053】
ポリウレタンポリマー材料又は反応生成物は、好ましくは、一方で、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、又はPPGとブレンドされたPTMEGのポリオール及び硬化剤との、トルエンジイソシアナート(TDI)などの芳香族ジイソシアナートのポリイソシアナートプレポリマー反応生成物より生成される。
【0054】
芳香族ジイソシアナート又は芳香族及び脂環式ジイソシアナートは、最終ポリマーマトリックスを生成する前に、ポリオールブレンドと部分的に反応してポリイソシアナートプレポリマーを生成する。
【0055】
ポリイソシアナートプレポリマーはさらに、メチレンジフェニルジイソシアナート(MDI)、又はジオール若しくはポリエーテル伸長MDIと組み合わせられ得、あるいはさらに、芳香族ジイソシアナート、ポリオール及びMDI又は伸長MDIの反応生成物であり得、MDIは、ポリイソシアナートプレポリマーの調製に使用される芳香族ジイソシアナートの全重量に基づいて0.05~20重量%、又は、例えば、最大15重量%又は、例えば、0.1~12重量%の量で存在する。
【0056】
ポリイソシアナートプレポリマーはさらに、メチレンビス-シクロヘキシルジイソシアナート(H12MDI)、又はジオール若しくはポリエーテル伸長H12-MDIと組み合わせられ得、あるいはさらに、芳香族ジイソシアナート、ポリオール及びH12-MDI又は伸長H12-MDIの生成物であり得、H12-MDIは、ポリイソシアナートプレポリマーの調製に使用される芳香族及び脂環式ジイソシアナートの全重量に基づいて0.05~60重量%、又は、例えば、最大53重量%又は、例えば、0.1~53重量%の量で存在する。この組み合わせはまた、ポリイソシアナートプレポリマーの調製に使用される芳香族ジイソシアナートの全重量に基づいて0.05~20重量%、又は、例えば、最大15重量%又は、例えば、0.1~12重量%のMDIと組み合わせられ得、あるいは反応し得る。
【0057】
明確にするために、ジオール若しくはポリエーテル伸長MDI又はH12-MDIの場合、MDI又はH12-MDIの重量は、伸長MDI又はH12-MDI中のMDI又はH12-MDI自体の重量分と見なされる。
【0058】
本明細書では、特に具体的に記載のない限り、配合物は重量%で表される。
【0059】
本発明のポリイソシアナートプレポリマーは、芳香族ジイソシアナートと、プレポリマーの調製に使用される反応物の全重量に基づいて合計で30~66重量%又は、好ましくは、45~62重量%未満など、43~62重量%のポリオールブレンド(PPG及びPTMEG)とを含有する混合物の反応生成物である。反応混合物の残りの部分は硬化剤を含む。
【0060】
本発明の研磨層は、ポリイソシアナートプレポリマー及び硬化剤の反応混合物より形成され、硬化剤の量は、反応混合物の全重量に基づいて23~33重量%、又は、好ましくは、24~30重量%の範囲である。
【0061】
適したポリイソシアナートプレポリマーは、好ましくは、16~46重量%、又は、好ましくは、20超~45重量%の量の、すなわち、部分的に反応したモノマーとしてのトルエンジイソシアナート(TDI)の混合物より生成される。本明細書では、TDIモノマー又は部分的に反応したモノマーは、ポリウレタンを硬化する前の重量%TDIモノマー又はプレポリマー内へと反応したTDIモノマーを表し、部分的に反応したモノマーを生成する他の反応物を含まない。場合により、混合物のTDI部分はまた、脂肪族イソシアナートを幾分含有し得る。好ましくは、ジイソシアナート成分は、15重量%未満の脂肪族イソシアナート、より好ましくは、12重量%未満の脂肪族イソシアナートを含有する。好ましくは、混合物は、不純物レベルの脂肪族イソシアナートのみを含有する。明確にするために、脂環式ジイソシアナートは脂肪族イソシアナートと見なされない。
【0062】
入手できるポリオールを含有するPTMEGの例は以下の通りである:Terathane(商標)2900、2000、1800、1400、1000、650及び250(Invista(Wichita, KS)製);Polymeg(商標)2900、2000、1000、650(Lyondell Chemicals(Limerick, PA)製);PolyTHF(商標)650、1000、2000(BASF Corporation(Florham Park, NJ)製)。入手できるポリオールを含有するPPGの例は以下の通りである:Arcol(商標)PPG-425、725、1000、1025、2000、2025、3025及び4000(Covestro(Pittsburgh, PA)製);Voranol(商標)1010L、2000L、及びP400(Dow(Midland, MI)製);Desmophen(商標)1110BD又はAcclaim(商標)Polyol 12200、8200、6300、4200、2200(それぞれCovestro製)。
【0063】
市販のPPG含有イソシアナート末端ウレタンプレポリマーの例には、Adiprene(商標)プレポリマー(Chemtura)(LFG 963A、LFG 964A、LFG 740Dなど);Andur(商標)プレポリマー(Anderson Development Company(Adrian, MI))(7000 AP、8000 AP、6500 DP、9500 APLF、7501、又はDPLFなど)が含まれる。適したPPGベースのプレポリマーの例には、Adiprene(商標)プレポリマーLFG740D及びLFG963Aが含まれる。
【0064】
ジイソシアナート又はポリイソシアナートとのポリオールの反応性を高めてポリイソシアナートプレポリマーを調製するために触媒が使用され得る。適した触媒には、例えば、オレイン酸、アゼライン酸、ジブチルスズジラウラート、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)、Dabco TMRなどの三級アミン触媒、及び上の混合物が含まれる。
【0065】
本発明の適したポリイソシアナートプレポリマーは、ニートの形態で110℃で10,000mPa.s以下又は、好ましくは、20~5,000mPa.sの粘度を有する。
【0066】
適した市販のPTMEG含有イソシアナート末端ウレタンプレポリマーの例には、Imuthane(商標)プレポリマー(COIM USA, Inc.(West Deptford, NJ)から入手できる。)(PET-80A、PET-85A、PET-90A、PET-93A、PET-95A、PET-60D、PET-70D、又はPET-75Dなど);Adiprene(商標)プレポリマー(Chemtura(Philadelphia, PA))(例えば、LF 800A、LF 900A、LF 910A、LF 930A、LF 931A、LF 939A、LF 950A、LF 952A、LF 600D、LF 601D、LF 650D、LF 667、LF 700D、LF750D、LF751D、LF752D、LF753D又はL325など);Andur(商標)プレポリマー(Anderson Development Company(Adrian, MI))(70APLF、80APLF、85APLF、90APLF、95APLF、60DPLF、70APLF、又は75APLFなど)が含まれる。
【0067】
加えて、本発明のポリイソシアナートプレポリマーは、遊離2,4及び2,6TDIモノマーのそれぞれを0.1重量%未満有する低遊離芳香族イソシアナートプレポリマーであり得、従来のプレポリマーよりも一貫したプレポリマー分子量分布を有する。改善されたプレポリマー分子量の一貫性及び低遊離イソシアナートモノマー含有量を有する「低遊離芳香族イソシアナート」プレポリマーは、より規則的なポリマー構造を容易にし、改善されたポリッシングパッドの一貫性に寄与する。
【0068】
好ましくは、本発明のケミカルメカニカルポリッシングパッドの研磨層の形成において使用されるポリウレタンは、0.1重量%未満の遊離トルエンジイソシアナート(TDI)モノマー含有量を有する低遊離イソシアナート末端ウレタンである。
【0069】
得られるパッドの形態が安定しており、容易に再現可能であることを保証するために、例えば、多くの場合、一貫した製造のために、酸化防止剤などの添加剤、及び水などの不純物を制御することが重要である。例えば、水はイソシアナートと反応して気体の二酸化炭素を生成するため、水の濃度は、ポリマーマトリックス内に細孔を形成する二酸化炭素の気泡の濃度に影響し得る。外来の水とのイソシアナートの反応はまた、ポリアミンとの反応に利用できるイソシアナートを減少させ、したがって、架橋レベル(過剰なイソシアナート基が存在する場合。)と共にNCO基に対するOH基又はNH2基のモル比及び得られるポリマーの分子量を変化させる。
【0070】
本発明の反応混合物中、反応混合物中の未反応のイソシアナート(NCO)基の合計に対する反応混合物中の全アミン(NH2)基及び全ヒドロキシル(OH)基の合計の化学量論比は、0.85:1~1.2:1、又は、好ましくは、1.0:1~1.1:1の範囲である。
【0071】
本発明の反応混合物は有機溶媒が加えられていない。
【0072】
好ましくは、本発明の反応混合物は、反応混合物の全重量に基づいて「実質的に水を含まない」(2,000ppm未満)。
【0073】
本発明の研磨層を製造する方法において、該方法は、45~65℃の温度で本発明のポリイソシアナートプレポリマーを提供すること、プレポリマーを20~40℃、又は好ましくは、20~30℃まで冷却すること;硬化剤を提供して、ポリイソシアナートプレポリマー並びに、望ましいならば、1つの成分としてのマイクロエレメント材料及び別の成分としての硬化剤の熱硬化性反応混合物を生成すること、鋳型を60~100℃、又は、好ましくは、65~95℃まで予熱すること、鋳型に反応混合物を充填し、反応混合物を80~120℃の温度で4~24時間、又は、好ましくは、6~16時間熱硬化させて、型成形されたポリウレタン反応生成物を形成することを含む。
【0074】
本発明の研磨層を形成する方法は、型成形されたポリウレタン反応生成物をスカイビング又はスライシングして、0.5~10mm、又は、好ましくは、1~3mmの厚さを有する層を形成することをさらに含む。
【0075】
本発明の研磨層を製造する方法は、大きな発熱を与え、異常に速く硬化し、硬い型成形されたポリウレタン反応生成物を形成する反応混合物からの低多孔度パッドの製造を可能にする。ポリイソシアナートプレポリマー成分の冷却及び鋳型の予熱は、鋳型又はケーキのポッピング(この場合、硬化した材料又は鋳込材料がベースから離型し、研磨層を形成するためにスカイビング又はスライシングできない。)を防ぐ。加えて、本発明のCMPポリッシングパッドを製造する方法は、マイクロエレメントの不均質な二次膨張を回避し、得られる鋳型又はケーキ内のSGのばらつきを制限し、それによって、スカイビング又はスライシング後の鋳型又はケーキからの研磨層の収率を向上させる。
【0076】
本発明のケミカルメカニカルポリッシングパッドは、ポリウレタン反応生成物の研磨層のみ、あるいはサブパッド又は下層の上に積層された研磨層を含み得る。本発明のポリッシングパッド又は、積層パッドの場合、ポリッシングパッドの研磨層は、多孔性及び非多孔性の両方又は未充填の構成において有用である。多孔性であるか非多孔性であるかに関わらず、完成したポリッシングパッド又は研磨層(積層パッド内)は、好ましくは0.7~1.20g/cm3又は、より好ましくは、0.9~1.08g/cm3の密度を有する。ガス溶解、発泡剤、機械的発泡及び中空マイクロスフェアの導入によって多孔度を増加させることが可能である。ポリッシングパッド密度はASTM D1622-08(2008)に従って測定される。密度は、比重の1~2%以内で密接に相関する。
【0077】
本発明の研磨層内の多孔度は、典型的には、2~50μmの平均径を有する。最も好ましくは、多孔性は、球形を有する中空ポリマー粒子から生じる。好ましくは、中空ポリマー粒子は、2~40μmの重量平均径を有する。本明細書では、重量平均径は、鋳込み前の中空ポリマー粒子の直径を表し、粒子は、球形又は非球形を有し得る。最も好ましくは、中空ポリマー粒子は、10~30μmの重量平均径を有する。
【0078】
本発明のケミカルメカニカルポリッシングパッドの研磨層は、場合により、好ましくは、研磨層全体にわたって均一に分散したマイクロエレメントをさらに含む。そのようなマイクロエレメント、特に中空球は、鋳込み中に膨張し得る。マイクロエレメントは、閉じ込められた気泡、ポリマーマイクロスフェアなどの中空コアポリマー材料、流体充填ポリマーマイクロスフェアなどの液体充填中空コアポリマー材料、水溶性材料、不溶相材料(例えば、鉱油)、及び砥粒フィラー、窒化ホウ素などより選択され得る。好ましくは、マイクロエレメントは、研磨層全体にわたって均一に分布した閉じ込められた気泡及び中空コアポリマー材料より選択される。マイクロエレメントは、100μm未満(好ましくは、5~50μm)の重量平均径を有する。より好ましくは、複数のマイクロエレメントは、ポリアクリロニトリル又はポリアクリロニトリルコポリマーのいずれかのシェル壁を有するポリマーマイクロスフェア(例えば、Expancel(商標)ビーズ(Akzo Nobel(Amsterdam, Netherlands)製))を含む。
【0079】
本発明によれば、マイクロエレメントは、0.4~5.5重量%のポロジェン、又は、好ましくは、0.75~5.0重量%で研磨層に取り込まれる。
【0080】
本発明のケミカルメカニカルポリッシングパッドの研磨層のポリウレタン反応生成物は、ASTM D2240-15(2015)に従って測定されるショアD硬さ50~90を示す。
【0081】
好ましくは、本発明のケミカルメカニカルポリッシングパッドにおいて使用される研磨層は、500~3750ミクロン(20~150mil)、又は、より好ましくは、750~3150ミクロン(30~125mil)、又は、さらにより好ましくは、1000~3000ミクロン(40~120mil)、又は、最も好ましくは、1250~2500ミクロン(50~100mil)の平均厚さを有する。
【0082】
本発明のケミカルメカニカルポリッシングパッドは、場合により、研磨層と適合する少なくとも1つの別の層をさらに含む。好ましくは、ケミカルメカニカルポリッシングパッドは、場合により、研磨層に接着した圧縮性のサブパッド又はベース層をさらに含む。圧縮性のベース層は、好ましくは、研磨される基板の表面に対する研磨層の適合性を改善する。
【0083】
本発明のケミカルメカニカルポリッシングパッドの研磨層は、基板を研磨するために適合された研磨表面を有する。好ましくは、研磨表面は、穿孔及び溝のうちの少なくとも1つより選択されるマクロテクスチャを有する。穿孔は、研磨表面から研磨層の厚さの一部又は全体を通じて延び得る。
【0084】
好ましくは、研磨中、ケミカルメカニカルポリッシングパッドの回転時、少なくとも1つの溝が研磨される基板の表面を通るように溝が研磨表面に配列される。
【0085】
好ましくは、研磨表面は、曲線状の溝、直線状の溝、穿孔及びこれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1つの溝を含むマクロテクスチャを有する。
【0086】
好ましくは、本発明のケミカルメカニカルポリッシングパッドの研磨層は、基板を研磨するために適合された研磨表面を有し、研磨表面は、そこに形成された溝パターンを含むマクロテクスチャを有する。好ましくは、溝パターンは、複数の溝を含む。より好ましくは、溝パターンは、同心溝(円状又は渦巻き状であり得る。)、曲線状の溝、クロスハッチ溝(例えば、パッド表面全体にX-Y格子として配列)、他の規則的な設計(例えば、六角形、三角形)、タイヤトレッド型パターン、不規則な設計(例えば、フラクタルパターン)、及びこれらの組み合わせからなる群より選択されるものなどの溝設計より選択される。より好ましくは、溝設計は、ランダムな溝、同心溝、渦巻き状の溝、クロスハッチ溝、X-Y格子溝、六角形の溝、三角形の溝、フラクタル溝及びこれらの組み合わせからなる群より選択される。最も好ましくは、研磨表面は、そこに形成された渦巻き状の溝パターンを有する。溝断面は、好ましくは、真っすぐな側壁を有する長方形より選択され、又は溝断面は、「V」字形、「U」字形、鋸歯状、及びこれらの組み合わせであり得る。
【0087】
本発明のケミカルメカニカルポリッシングパッドを製造する方法は、鋳型を提供すること;本発明の反応混合物を鋳型に鋳込むこと;及び、組み合わせを鋳型内で反応させて、硬化したケーキを形成することを含み得、研磨層は、硬化したケーキに由来する。好ましくは、硬化したケーキは、スカイビングされて、単一の硬化したケーキから複数の研磨層を得る。場合により、該方法は、硬化したケーキを加熱して、スカイビング操作を容易にすることをさらに含む。好ましくは、硬化したケーキは、スカイビング操作中に赤外線加熱ランプを使用して加熱され、硬化したケーキは複数の研磨層にスカイビングされる。
【0088】
本発明のケミカルメカニカルポリッシングパッドを製造する別の方法は、流体形態の、好ましくは、溶融物としての硬化剤と、任意のマイクロエレメントを含むポリイソシアナートプレポリマーとをボルテックスミキサー内で混合して熱硬化性反応混合物を生成し、続いて、混合物を、ドローダウンバー又はドクターブレードを使用して、例えば、2mm(80mil)の所与の厚さを有する、例えば、60×60cm(24×24インチ)のシートに鋳込み、硬化するドローダウン技術を含み得る。マイクロエレメントは、硬化剤を熱硬化性反応混合物に添加する前にポリイソシアナートプレポリマー中に混合される。硬化は、周囲温度から80~120℃の設定点温度、例えば、104℃までオーブンを加熱し、設定点温度で、例えば、4~24時間保持し、次いで、オーブン設定点温度を室温(21℃)まで時間をかけて、例えば、2時間の勾配で下げることを含み得る。硬化したシートは、旋盤を用いるような表面仕上が行われ得る。
【0089】
本発明によるポリッシングパッドを製造する方法において、スラリー流を促進し、パッド-ウェーハ界面から研磨くずを除去するためのそれらの研磨表面に切られた溝パターンを有するケミカルメカニカルポリッシングパッドが提供され得る。そのような溝は、旋盤を使用して、又はCNCフライス盤によってポリッシングパッドの研磨表面に切られ得る。
【0090】
本発明のポリッシングパッドの使用方法において、CMPポリッシングパッドの研磨表面はコンディショニングされ得る。パッド表面「コンディショニング」又は「ドレッシング」は、安定した研磨性能のために一貫した研磨表面を維持するのに極めて重要である。経時的にポリッシングパッドの研磨表面は摩損し、研磨表面のミクロテクスチャを滑らかにする(「グレージング」と呼ばれる現象)。ポリッシングパッドコンディショニングは、典型的には、コンディショニングディスクで研磨表面を機械的に摩耗させることによって実現される。コンディショニングディスクは、典型的には埋め込まれたダイヤモンドポイントからなる粗いコンディショニング表面を有する。コンディショニングプロセスは、パッド材料を摩耗させて掘り起こし、研磨テクスチャを再生しながらパッド表面に微細な溝を切る。
【0091】
ポリッシングパッドのコンディショニングは、研磨を休止しているときにCMPプロセスを断続的に中断する間(「エクスサイツ」)、又はCMPプロセスが進行している間(「インサイツ」)のいずれかにコンディショニングディスクを研磨表面と接触させることを含む。典型的には、コンディショニングディスクは、ポリッシングパッドの回転軸に対して固定された位置で回転し、ポリッシングパッドが回転するとき、環状のコンディショニング領域を通る。
【0092】
本発明のケミカルメカニカルポリッシングパッドは、メモリ基板及び半導体基板のうちの少なくとも1つより選択される基板を研磨するために使用され得る。
【0093】
三次元半導体基板又はメモリ基板は、平坦化される必要があるフィーチャ間のフィーチャスケール又はダイスケールが、1~50mm、好ましくは1~20mmであり得る。
【0094】
好ましくは、本発明の基板を研磨する方法は、不揮発性フラッシュメモリ(3D NAND)基板などの三次元半導体基板又はメモリ基板のうちの少なくとも1つより選択される基板を提供すること;本発明によるケミカルメカニカルポリッシングパッドを提供すること;研磨層の研磨表面及び基板の間の動的接触を起こし、基板の表面を研磨すること;並びに、研磨表面を砥粒コンディショナーでコンディショニングすることを含む。本発明の方法において、動的接触を起こすことは、103~550hPa(1.5~8psi)、又は、好ましくは、206~483hPa(3~7psi)のダウンフォース(DF)で研磨することを含む。DFは、0.5~2重量%の砥粒(例えば、シリカ)固形分の範囲内のより低い砥粒含有量を有するスラリーとの使用については、200hPa超~550hPa、好ましくは275hPa~475HPaになり得る。また、DFは、2~6重量%又は、好ましくは、2.5~5.5重量%のより高い砥粒含有量を有するスラリーとの使用については、103~344hPa(1.5~5psi)又は、好ましくは、137~344hPa(2~5psi)など、より低くなり得る。
【0095】
実施例:ここで本発明を以下の非限定的な例において詳細に説明する。
【0096】
特に記載のない限り、すべての温度は室温(21~23℃)であり、すべての圧力は大気圧(約760mm Hg又は101kPa)である。
以下で開示する他の原料に関わらず、以下の原料を実施例において使用した:
MONDUR(商標)Grade II TDI:トルエンジイソシアナート(Covestro(Pittsburgh, PA));
TERATHANE(商標)1000:1000Mwのポリテトラメチレンエーテルグリコール(Invista(Wichita, KS));
Adiprene(商標)LF 750D:PTMEG由来の低遊離TDI(<最大0.5%)プレポリマー(8.75~9.05重量%NCO、Mn=760Da;Mw=870Da(Chemtura(Philadelphia, PA));
Adiprene(商標)L 325:PTMEG由来のTDI末端液体ウレタンプレポリマー(8.95~9.25重量%NCO、Mn=990Da;Mw=1250Da、Chemtura);
プレポリマーA:PTMEG並びに芳香族ジイソシアナート及び任意の脂環式ジイソシアナートの全重量に基づいて約64重量%のH12MDIを有するTDI(約10.5% 重量%NCO)由来のH12MDI末端液体ウレタン準プレポリマー;Mn 約760Da;Mw 約870Da;
Adiprene(商標)LFG 740D:低遊離TDI(<最大0.5%)、PPGを含むポリオール由来のTDI末端液体ウレタンプレポリマー;(8.65~9.05重量%NCO、Chemtura);
MDIプレポリマー:メチレンジフェニルジイソシアナート(MDI)並びに小分子ジプロピレングリコール(DPG)及びトリプロピレングリコール(TPG)由来の約23重量%NCO含有量及び当量182の直鎖状イソシアナート末端ウレタンプレポリマー。100重量%のこのMDIプレポリマーがハードセグメントとして処理される;
Lonzacure(商標)MCDEA:4,4’-メチレン-ビス(3-クロロ-2,6-ジエチルアニリン)、(Lonza Ltd.(Switzerland));
Expancel(商標)551 DE 40 d42ビーズ:公称直径40μm及び真密度42g/lを有する流体充填ポリマーマイクロスフェア(Akzo Nobel(Arnhem, NL));
Expancel(商標)461 DE 20 d70ビーズ:公称直径20μm及び真密度70g/lを有する流体充填ポリマーマイクロスフェア(Akzo Nobel);及び
Expancel(商標)031 DU 40ビーズ:公称直径13μm及び真密度約1000g/lを有する乾燥した膨張していないポリマーマイクロスフェア(Akzo Nobel)。
以下の他の略記が以下の実施例で用いられる:
TDI:トルエンジイソシアナート(2,4異性体約80%、2,6異性体約20%);MbOCA:4,4’-メチレンビス(2-クロロアニリン)。
【0097】
実施例1:CMP研磨層及びパッドの合成:ポリッシングパッド又は研磨層の製造に使用するための成形品を製造するための平底を有する直径86.36cm(34’’)のポリテトラフルオロエチレン(PTFE被覆)円形鋳型内に配合物を鋳込むことによって、以下の表1に記載の反応混合物配合物の反応生成物を含む研磨層を形成した。配合物を生成するために、十分な流れを確保するために示したポリイソシアナートプレポリマーを52℃まで加熱し、(1つ又は複数の)示したExpancel(商標)マイクロエレメントと組み合わせて予備混合した成分を生成し、次いで、これを、高剪断混合ヘッドを使用して別の成分としての硬化剤と混合した。混合ヘッドを出た後、配合物を鋳型に2~5分かけて分注し、全鋳込み厚さ4~10cmを得、鋳型を硬化オーブンに入れる前に15分間ゲル化させた。次いで、以下のサイクルを使用して鋳型を硬化オーブン内で硬化させた:周囲温度から104℃の設定点までの30分の勾配、次いで、104℃で15.5時間保持、次いで、104℃から21℃までの2時間の勾配。
【0098】
反応混合物配合物をケーキとして鋳込むために、プレポリマー鋳込み温度を示した温度52℃~27℃(80°F)まで下げるプレポリマーライン熱交換器を使用してパッドを鋳込み、鋳型を93℃まで予熱した。これにより、高い発熱を制御して鋳型内のばらつきを低減することが可能となる。
【0099】
多孔度はマイクロスフェア添加量に比例し、SGに反比例する。
【表1】
【0100】
次いで、硬化したポリウレタンケーキを鋳型から取り出し、70~90℃の温度で約30枚の別々の2.0mm(80mil)厚シートにスカイビング(固定ブレードを使用して切断)した。各ケーキの上部からスカイビングを開始した。不完全なシートはすべて廃棄した。
【0101】
各実施例による溝のない研磨層材料を分析して、それらの物理特性を測定した。報告されたパッド密度データはASTM D1622-08(2008)に従って測定され、報告されたショアD硬さデータはASTM D2240-15(2015)に従って測定され、報告された弾性率及び破断伸びデータはASTM D412-6a(2006)に従って測定されたことに留意されたい。試験結果を以下の表2、3、4、5及び6に示す。
【0102】
試験方法:上に示した特性試験を含め、以下の方法を使用してポリッシングパッドを試験した:
研磨:研磨層を使用してケミカルメカニカルポリッシングパッドを構築した。次いで、これらの研磨層を機械で溝切りし、以下の寸法を有する穿孔又は複数の同心円状の溝を含む研磨表面の溝パターンを得た:実施例2及び3では、Suba(商標)400ウレタンサイズのポリエステルマットサブパッド(Nitta Haas, JP)を有する穿孔したパッドを使用した;実施例4では、深さ0.76mm(30mil)、幅0.51mm(20mil)及びピッチ3.05mm(120mil)の1010本の溝。
【0103】
次いで、研磨層をフォームサブパッド層(Rohm and Haas Electronic Materials CMP Inc.から入手できるSUBA IV)にラミネートした。両面感圧接着フィルムを使用して、示した研磨装置の研磨プラテンに得られたパッドを取り付けた。
【0104】
以下に示すCMP研磨プラットホームを使用して、示した基板を示したパッドで研磨した。研磨実験において使用される示した研磨媒体(例えば、CES333Fセリアスラリー、Asahi Glass Company, JP)。(プラテンrpm(PS)/キャリアrpm(CS)として)特に記載のない限り、すべての研磨実験において使用した研磨条件は、プラテン速度93rpm;キャリア速度87rpm;並びに研磨媒体流量200mL/min及び示したダウンフォース(DF)を含んでいた。AM02BSL8031C1-PM(AK45)ダイヤモンドコンディショニングディスク(Saesol Diamond Ind.Co., Ltd.)を使用してケミカルメカニカルポリッシングパッドをコンディショニングした。ケミカルメカニカルポリッシングパッドそれぞれを3.2kg(7lbs)のダウンフォースを使用してコンディショナーで40分間ならした。ポリッシングパッドを、3.2kg(7lbs)のダウンフォースを使用してインサイツでさらにコンディショニングした。FX200計測ツール(KLA-Tencor(Milpitas, CA))を使用し、縁部3mmを除く49点スパイラルスキャンを使用して研磨前後に膜厚を測定することによって除去速度(RR)を決定した。
【0105】
ステップ高さ:RE-3200 Ellipsometric Film Thickness Measurement System(Screen Holdings Co.Ltd., JP)を使用して光学干渉によって測定される低領域及びフィーチャレベルの測定差。望ましくは、残留するステップ高さは可能な限り低い。
【0106】
実施例2:ウェーハ基板上のセリアスラリー研磨:以下の表2において、FREX(商標)300研磨プラットホーム(Ebara(Tokyo, JP))をダウンフォース410hPa(6psi)で使用し、Hitachi HS8005セリアスラリー(Hitachi, Corp., JP)を最終固形分0.5重量%(1:9希釈)、240nm(d50)及びpH約8.4で使用して、示したCMPポリッシングパッドを上で定義した研磨において試験した。基板は、パターン付きポリシリコンウェーハ上のテトラエトキシオルトシリカート(TEOS)酸化膜であった。研磨前に、Kinik EP1AG-150730-NC(商標)コンディショニングディスク(Kinik(Taipei, TW))を使用して100NのDFで示したCMPポリッシングパッドに30秒のエクスサイツコンディショニングを行った。
【表2】
【0107】
上の表2に示す通り、本発明のCMPポリッシングパッドH及びIは、CMPポリッシングパッドA及びBにおける最も近い技術のものよりも劇的に高い除去速度を与えた。
【0108】
実施例3:フィーチャ基板上のセリアスラリー研磨:以下の表3において、Hitachi HS8005(商標)セリアスラリーを最終固形分0.5重量%(1:9希釈)、240nm(d50)及びpH約8.4で使用して、示したCMPポリッシングパッドを上述の実施例2で定義した研磨において500hPa(7.25psi)のDFで試験した(プラテン/キャリア速度(100/107rpm)を除く)。基板は、パターン付きポリシリコンウェーハ上のテトラエトキシオルトシリカート(TEOS)酸化膜であった。
【表3】
【0109】
上の表3に示す通り、本発明の好ましいCMPポリッシングパッドDは、CMPポリッシングパッドE(同じ化学量論の同じポリイソシアナートプレポリマーから製造されるが、本発明の硬化剤を含まない。)における最も近い技術のものよりも劇的に高い除去速度を有する。
【0110】
実施例4:様々な除去速度での研磨:以下の表4において、Ebara Reflexion研磨装置(300mm、Ebara)を使用し、セリアスラリー(pH3.5及び平均粒径150nm)を固形分6重量%で使用して、示したキャリア/プラテン速度及び示したダウンフォース(DF)で示したCMPポリッシングパッドを上で定義した研磨において試験した。基板は、パターン付きポリシリコンウェーハ上のテトラエトキシオルトシリカート(TEOS)酸化膜であった。
【表4】
【0111】
上の表4に示す通り、本発明のCMPポリッシングパッドD及びGは、CMPポリッシングパッドA(本発明の硬化剤を使用していないか、又は本発明の化学量論で製造されていない。)における技術のものよりも高い除去速度を与えた。MCDEA、MbOCA硬化剤ブレンドから製造されたパッドGが最良の結果を与えた。172hPa(2.5psiのDF)で採取したステップ高さデータは、本発明のパッドが、長い長さスケール平坦性を改善することを示す。RRデータは、DFの増加時及びプラテン/キャリア速度の増加時、比較例のポリッシングパッドと比べたときの本発明のパッドの改善度が増すことを示す。
【0112】
実施例5:銅及びタングステンの金属研磨:2.91重量%のExpancel(商標)461 DE 20 d70及び1.7重量%のExpancel(商標)031 DU 40の組み合わせを使用して、研磨層Jについて表1に記載の反応混合物配合物に従って研磨層J1~J3を構築した。それらの特性を以下の表5に示す。Expancel(商標)031 DU 40を含有すると、パッドの多孔度がさらに増加し、パッドのSGが約0.63まで低下する。同様に、研磨層Aを比較のために表1に従って調製した。ただし、2.91重量%のExpancel(商標)461 DE 20 d70及び1.7重量%のExpancel(商標)031 DU 40の組み合わせを含むように変更した。
【表5】
【0113】
上述の対応する研磨層を使用してケミカルメカニカルポリッシングパッド、パッドJ及び比較例のパッドAを構築し、ウェーハ基板上の銅又はタングステン膜の研磨について試験した。
【0114】
研磨層を機械で溝切りし、以下の寸法を有する複数の同心円状の溝を含む研磨表面の溝パターンを得た:深さ0.76mm(30mil)、幅0.51mm(20mil)及びピッチ1.78mm(70mil)のK7溝、並びに深さ0.76mm(30mil)及び幅0.76mm(30mil)の別の32本の放射状の溝。
【0115】
次いで、研磨層をフォームサブパッド層(Rohm and Haas Electronic Materials CMP Inc.から入手できるSUBA IV)にラミネートした。両面感圧接着フィルムを使用して、研磨プラテンに得られたパッドを取り付けた。最終的なパッドは、直径775mm(30.5’’)を有する。
【0116】
CMP研磨プラットホーム、Reflexion(登録商標)LK(Applied Materials(Santa Clara, CA)製)を使用して300mmウェーハを研磨した。研磨条件は、プラテン速度93rpm;キャリア速度87rpm;及び研磨媒体流量300mL/minを含んでいた。
【0117】
使用中、pH約7で1.5重量%のコロイダルシリカ砥粒及び1重量%のH2O2を含むCSL9044バルク銅スラリー(Fujifilm Planar Solutions(Japan))、並びに、使用中、pH2~2.5で2重量%のフュームドシリカ砥粒及び2重量%のH2O2を含むW2000(商標)バルクタングステンスラリー(Cabot Microelectronics(Aurora, IL))を含む複数のCMP研磨スラリーを評価した。各スラリーを使用して以下の基板を研磨した:
・CSL9044C(銅研磨):Cuウェーハ(3psi(20.7kPa));
・W2000(タングステン研磨):W、TEOS、及びSiNシートウェーハ(2psi(13.8kPa)及び4psi(27.6kPa))。
【0118】
研磨前に、コンディショニングディスクAM02BSL8031C1-PM(AK-45(商標)ディスク、Saesol Diamond Ind.Co., Ltd(Gyeonggi-do(Korea)))をCMPポリッシングパッドのならし及びコンディショニングのために使用した。それぞれの新しいパッドを7lbf(31N)のダウンフォースで30分間ならし、スラリー交換前にさらに5分ならした。研磨中、100%インサイツコンディショニングを5lbf(22N)で銅研磨のために使用し、30秒のエクスサイツコンディショニングを7lbf(31N)でタングステン研磨のために使用した。10枚のダミーウェーハを研磨し、続いて研磨除去速度及び他の研磨特性を決定するために3枚のウェーハを研磨した。
【0119】
FX200計測ツール(KLA-Tencor(Milpitas, CA))を使用し、縁部3mmを除く49点スパイラルスキャンを使用して研磨前後に膜厚を測定することによって除去速度を決定した。
【0120】
除去速度(RR)の研磨結果を以下の表6及び7に示す。規格化した結果は、比較例の結果を100%又は1の適用できるいずれかに設定する。
【0121】
%不均一性(%NU):研磨後の最終膜厚の範囲を計算することによって%NUを決定した。%NUの研磨結果を以下の表6及び7に示す。
【表6】
【0122】
【0123】
上の表6及び7に示す通り、パッドJは、比較例のパッドAと比べて、特に高い研磨温度で著しい改善を示した。