IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日東電工株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-光学積層体および有機EL表示装置 図1
  • 特許-光学積層体および有機EL表示装置 図2
  • 特許-光学積層体および有機EL表示装置 図3
  • 特許-光学積層体および有機EL表示装置 図4
  • 特許-光学積層体および有機EL表示装置 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】光学積層体および有機EL表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/30 20060101AFI20221129BHJP
   C09J 7/22 20180101ALI20221129BHJP
   C09J 7/30 20180101ALI20221129BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20221129BHJP
   C09J 201/00 20060101ALI20221129BHJP
   G02B 5/22 20060101ALI20221129BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20221129BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20221129BHJP
   H01L 27/32 20060101ALI20221129BHJP
   H05B 33/02 20060101ALI20221129BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20221129BHJP
【FI】
G02B5/30
C09J7/22
C09J7/30
C09J11/06
C09J201/00
G02B5/22
G09F9/00 313
G09F9/30 365
H01L27/32
H05B33/02
H05B33/14 A
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2018123183
(22)【出願日】2018-06-28
(65)【公開番号】P2020003650
(43)【公開日】2020-01-09
【審査請求日】2021-02-24
【審判番号】
【審判請求日】2022-03-01
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122471
【弁理士】
【氏名又は名称】籾井 孝文
(72)【発明者】
【氏名】友久 寛
(72)【発明者】
【氏名】形見 普史
(72)【発明者】
【氏名】柳沼 寛教
【合議体】
【審判長】杉山 輝和
【審判官】井口 猶二
【審判官】里村 利光
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/185318(WO,A1)
【文献】特開2014-115524(JP,A)
【文献】特開2005-189645(JP,A)
【文献】特開2009-96973(JP,A)
【文献】特開2016-170380(JP,A)
【文献】特開2017-120431(JP,A)
【文献】国際公開第2017/010280(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/30
G02B 5/22
H05B 33/14
H05B 33/02
G09F 9/00
G09F 9/30
C09J 7/00
C09F 11/06
C09J201/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外線吸収接着層と、保護層と、偏光子と、位相差層とを有し、
前記位相差層が液晶化合物の配向固化層を含み、
前記紫外線吸収接着層および前記偏光子が、前記位相差層よりも視認側に配置され、
前記紫外線吸収接着層が、ベースポリマーと、紫外線吸収剤と、吸収スペクトルの最大吸収波長が380nm~430nmの波長領域に存在する色素化合物とを含み、
前記液晶化合物の配向固化層は、液晶モノマーが重合したポリマーを含み、前記液晶モノマーの配向状態が固定化されており、
前記紫外線吸収接着層、前記保護層、および前記偏光子が、この順に配置され、
前記偏光子の厚みが15μm以下である、光学積層体。
【請求項2】
前記ベースポリマーが(メタ)アクリル系ポリマーである、請求項1に記載の光学積層体。
【請求項3】
前記紫外線吸収剤の吸収スペクトルの最大吸収波長が300nm~400nmの波長領域に存在する、請求項1または2に記載の光学積層体。
【請求項4】
前記紫外線吸収接着層は、波長300nm~400nmの平均透過率が5%以下であり、波長400nm~430nmの平均透過率が30%以下であり、波長450nm~500nmの平均透過率が70%以上であり、波長500nm~780nmの平均透過率が80%以上である、請求項1から3のいずれかに記載の光学積層体。
【請求項5】
前記位相差層の面内位相差Re(550)が120nm~160nmである、請求項1から4のいずれかに記載の光学積層体:
ここで、Re(550)は、23℃における波長550nmの光で測定した面内位相差を表す。
【請求項6】
前記位相差層として第1の位相差層と第2の位相差層とを有し、
前記第1の位相差層および前記第2の位相差層のうち少なくとも一方が液晶化合物を含み、
前記紫外線吸収接着層が、前記第1の位相差層および前記第2の位相差層のうち液晶化合物を含む位相差層よりも視認側に配置されている、請求項1からのいずれかに記載の光学積層体。
【請求項7】
前記紫外線吸収接着層、前記保護層、前記偏光子、前記第1の位相差層、および前記第2の位相差層が、視認側からこの順に配置されている、請求項に記載の光学積層体。
【請求項8】
前記紫外線吸収接着層、第1の保護層、前記偏光子、第2の保護層、前記第1の位相差層、および前記第2の位相差層が、視認側からこの順に配置されている、請求項に記載の光学積層体。
【請求項9】
前記第1の位相差層の面内位相差Re(550)が240nm~320nmである、請求項からのいずれかに記載の光学積層体:
ここで、Re(550)は、23℃における波長550nmの光で測定した面内位相差を表す。
【請求項10】
前記第2の位相差層の面内位相差Re(550)が120nm~160nmである、請求項からのいずれかに記載の光学積層体:
ここで、Re(550)は、23℃における波長550nmの光で測定した面内位相差を表す。
【請求項11】
前記紫外線吸収剤は、トリアジン系紫外線吸収剤を含み、
前記色素化合物は、インドール系化合物を含む、請求項1から10のいずれかに記載の光学積層体。
【請求項12】
前記紫外線吸収剤は、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を含み、
前記色素化合物は、けい皮酸系化合物を含む、請求項1から10のいずれかに記載の光学積層体。
【請求項13】
前記紫外線吸収剤は、トリアジン系紫外線吸収剤を含み、
前記色素化合物は、ポルフィリン系化合物を含む、請求項1から10のいずれかに記載の光学積層体。
【請求項14】
請求項1から13のいずれかに記載の光学積層体を有する、有機EL表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学積層体および有機EL表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL表示装置等の画像表示装置において、偏光子と位相差層とを積層した円偏光板を用いることにより外光反射を抑制する技術が知られている。また、画像表示装置に入射する紫外線から偏光子や位相差層等の機能性層を保護する目的で、紫外線吸収剤を含有する粘着シートを用いることが提案されている。このような粘着シートとして、例えば、紫外線吸収層を有し、波長380nmの光線透過率が30%以下であり、かつ波長430nmよりも長波長側における可視光透過率が80%以上である粘着シートが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-211305号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような従来の粘着シートを用いた画像表示装置において、位相差層(特に、液晶化合物を含む位相差層)の光学特性が劣化し得るという問題がある。
【0005】
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その主たる目的は、位相差層の光学特性の劣化を抑制し得る光学積層体、およびそのような光学積層体を用いた有機EL表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の光学積層体は、紫外線吸収接着層と、保護層と、偏光子と、位相差層とを有し、上記位相差層が液晶化合物を含み、上記紫外線吸収接着層および上記偏光子が、上記位相差層よりも視認側に配置され、上記紫外線吸収接着層が、ベースポリマーと、紫外線吸収剤と、吸収スペクトルの最大吸収波長が380nm~430nmの波長領域に存在する色素化合物とを含む。
1つの実施形態においては、上記ベースポリマーが(メタ)アクリル系ポリマーである。
1つの実施形態においては、上記紫外線吸収剤の吸収スペクトルの最大吸収波長が300nm~400nmの波長領域に存在する。
1つの実施形態においては、上記紫外線吸収接着層は、波長300nm~400nmの平均透過率が5%以下であり、波長400nm~430nmの平均透過率が30%以下であり、波長450nm~500nmの平均透過率が70%以上であり、波長500nm~780nmの平均透過率が80%以上である。
1つの実施形態においては、上記紫外線吸収接着層、上記保護層、および上記偏光子が、この順に配置されている。
1つの実施形態においては、上記位相差層の面内位相差Re(550)が120nm~160nmである。
1つの実施形態においては、上記位相差層として第1の位相差層と第2の位相差層とを有し、上記第1の位相差層および上記第2の位相差層のうち少なくとも一方が液晶化合物を含み、上記紫外線吸収接着層が、上記第1の位相差層および上記第2の位相差層のうち液晶化合物を含む位相差層よりも視認側に配置されている。
1つの実施形態においては、上記紫外線吸収接着層、上記保護層、上記偏光子、上記第1の位相差層、および上記第2の位相差層が、視認側からこの順に配置されている。
1つの実施形態においては、上記紫外線吸収接着層、第1の保護層、上記偏光子、第2の保護層、上記第1の位相差層、および上記第2の位相差層が、視認側からこの順に配置されている。
1つの実施形態においては、上記保護層、上記偏光子、上記紫外線吸収接着層、上記第1の位相差層、および上記第2の位相差層が、視認側からこの順に配置されている。
1つの実施形態においては、第1の保護層、上記偏光子、第2の保護層、上記紫外線吸収接着層、上記第1の位相差層、および上記第2の位相差層が、視認側からこの順に配置されている。
1つの実施形態においては、上記第1の位相差層の面内位相差Re(550)が240nm~320nmである。
1つの実施形態においては、上記第2の位相差層の面内位相差Re(550)が120nm~160nmである。
本発明の別の局面によれば、有機EL表示装置が提供される。この有機EL表示装置は、上記光学積層体を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、紫外線吸収接着層が液晶化合物を含む位相差層よりも視認側に配置され、紫外線吸収接着層が上記色素化合物を含むことにより、位相差層の光学特性の劣化を抑制し得る光学積層体、および、そのような光学積層体を備える有機EL表示装置を提供し得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の1つの実施形態に係る光学積層体の概略断面図である。
図2】本発明の別の実施形態に係る光学積層体の概略断面図である。
図3】本発明のさらに別の実施形態に係る光学積層体の概略断面図である。
図4】本発明のさらに別の実施形態に係る光学積層体の概略断面図である。
図5】本発明のさらに別の実施形態に係る光学積層体の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
【0010】
(用語および記号の定義)
本明細書における用語および記号の定義は下記の通りである。
(1)屈折率(nx、ny、nz)
「nx」は面内の屈折率が最大になる方向(すなわち、遅相軸方向)の屈折率であり、「ny」は面内で遅相軸と直交する方向(すなわち、進相軸方向)の屈折率であり、「nz」は厚み方向の屈折率である。
(2)面内位相差(Re)
「Re(λ)」は、23℃における波長λnmの光で測定した面内位相差である。例えば、「Re(550)」は、23℃における波長550nmの光で測定した面内位相差である。Re(λ)は、層(フィルム)の厚みをd(nm)としたとき、式:Re(λ)=(nx-ny)×dによって求められる。
(3)厚み方向の位相差(Rth)
「Rth(λ)」は、23℃における波長λnmの光で測定した厚み方向の位相差である。例えば、「Rth(550)」は、23℃における波長550nmの光で測定した厚み方向の位相差である。Rth(λ)は、層(フィルム)の厚みをd(nm)としたとき、式:Rth(λ)=(nx-nz)×dによって求められる。
【0011】
A.光学積層体の全体構成
図1は、本発明の1つの実施形態による光学積層体の概略断面図である。光学積層体100は、紫外線吸収接着層10と保護層20と偏光子30と位相差層40とを有する。位相差層40は液晶化合物を含む。光学積層体100は、代表的には有機EL表示装置などの画像表示装置に用いられる。光学積層体100を画像表示装置に用いたときに、紫外線吸収接着層10および偏光子30は、液晶化合物を含む位相差層40よりも視認側に配置される。紫外線吸収接着層10は、ベースポリマーと、紫外線吸収剤と、吸収スペクトルの最大吸収波長が380nm~430nmの波長領域に存在する色素化合物とを含む。上記ベースポリマーは、代表的には(メタ)アクリル系ポリマーである。上記紫外線吸収剤の吸収スペクトルの最大吸収波長は、代表的には300nm~400nmの波長領域に存在する。紫外線吸収接着層10は、好ましくは、波長300nm~400nmの平均透過率が5%以下であり、波長400nm~430nmの平均透過率が30%以下であり、波長450nm~500nmの平均透過率が70%以上であり、波長500nm~780nmの平均透過率が80%以上である。1つの実施形態においては、紫外線吸収接着層10、保護層20、および偏光子30はこの順に配置されている。位相差層40の面内位相差Re(550)は、好ましくは120nm~160nmである。上記の構成によれば、光学積層体が画像表示装置に適用された場合に、液晶化合物を含む位相差層への外光(特に、紫外光および380nm~430nmの光)の入射を抑制し得る。その結果、上記位相差層の光学特性の劣化(例えば、面内位相差の変化)を抑制し得る。
【0012】
図2は、本発明の別の実施形態による光学積層体の概略断面図である。本実施形態の光学積層体101においては、紫外線吸収接着層10、保護層20、偏光子30、第1の位相差層41、および第2の位相差層42が、視認側からこの順に配置されている。図3は、本発明のさらに別の実施形態による光学積層体の概略断面図である。本実施形態の光学積層体102においては、紫外線吸収接着層10、第1の保護層21、偏光子30、第2の保護層22、第1の位相差層41、および第2の位相差層42が、視認側からこの順に配置されている。図4は、本発明のさらに別の実施形態による光学積層体の概略断面図である。本実施形態の光学積層体103においては、保護層20、偏光子30、紫外線吸収接着層10、第1の位相差層41、および第2の位相差層42が、視認側からこの順に配置されている。図5は、本発明のさらに別の実施形態による光学積層体の概略断面図である。本実施形態の光学積層体104においては、第1の保護層21、偏光子30、第2の保護層22、紫外線吸収接着層10、第1の位相差層41、および第2の位相差層42が、視認側からこの順に配置されている。図2図5に示すように、光学積層体は、位相差層として、第1の位相差層41と第2の位相差層42とを有し得る。この場合、第1の位相差層41および第2の位相差層42のうち少なくとも一方が液晶化合物を含む。紫外線吸収接着層10は、第1の位相差層41および第2の位相差層42のうち液晶化合物を含む位相差層よりも視認側に配置されていればよい。例えば、第2の位相差層42が液晶化合物を含む場合、紫外線吸収接着層10は、第1の位相差層41と第2の位相差層42との間に配置されてもよい。液晶化合物を含む第2の位相差層42の視認側に紫外線吸収接着層10が配置されていることにより、外光(特に、紫外光および380nm~430nmの光)の影響による第2の位相差層42の光学特性の劣化を抑制し得る。第1の位相差層41の面内位相差Re(550)は、好ましくは240nm~320nmである。第2の位相差層42の面内位相差Re(550)は、好ましくは120nm~160nmである。光学積層体に含まれる各層は、任意の適切な接着層(接着剤層または粘着剤層)を介して積層され得る。さらに、光学積層体の表面(最外面)には、粘着剤層(または粘着剤層付き離型フィルム)が形成され得る。
【0013】
B.紫外線吸収接着層
紫外線吸収接着層は、上記のとおり、ベースポリマーと、紫外線吸収剤と、吸収スペクトルの最大吸収波長が380nm~430nmの波長領域に存在する色素化合物とを含む。ここで、最大吸収波長とは、380nm~430nmの波長領域での分光吸収スペクトルにおいて、複数の吸収極大が存在する場合には、その中で最大の吸光度を示す吸収極大波長を意味するものとする。
【0014】
紫外線吸収接着層の接着力(剥離に必要な力)は、好ましくは8.0N/20mm~30N/20mmであり、より好ましくは10.0N/20mm~30N/20mmである。
【0015】
紫外線吸収接着層は、代表的には、紫外線吸収接着層の組成物を、光学積層体に含まれる他の層の上に塗布することにより形成され得る。上記組成物の塗布方法としては、任意の適切な方法を採用することができる。例えば、ロールコート法、スピンコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、ダイコート法、カーテンコート法、スプレーコート法、ナイフコート法(コンマコート法等)等が挙げられる。
【0016】
B-1.ベースポリマー
ベースポリマーとしては、必要とされる接着性および粘着性を発揮し得るかぎり、任意の適切なポリマーが採用され得る。ベースポリマーの具体例としては、(メタ)アクリル系ポリマー、ゴム系ポリマー等が挙げられる。好ましくは、ベースポリマーは(メタ)アクリル系ポリマーである。(メタ)アクリル系ポリマーは、アルキル(メタ)アクリレートを含有するモノマー成分の部分重合物及び/又は上記モノマー成分から得られ得る。
【0017】
アルキル(メタ)アクリレートとしては、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1~24のアルキル基をエステル末端に有するものが挙げられる。アルキル(メタ)アクリレートは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、「アルキル(メタ)アクリレート」は、アルキルアクリレート及び/又はアルキルメタクリレートをいい、本発明の(メタ)とは同様の意味である。
【0018】
アルキル(メタ)アクリレートとしては、前述の直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1~24のアルキル(メタ)アクリレートを挙げることができる。これらの中でも、炭素数1~9のアルキル(メタ)アクリレートが好ましく、炭素数4~9のアルキル(メタ)アクリレートがより好ましく、炭素数4~9の分岐を有するアルキル(メタ)アクリレートがさらに好ましい。当該アルキル(メタ)アクリレートは、粘着特性のバランスがとりやすい点で好ましい。
【0019】
炭素数1~24のアルキル基をエステル末端に有するアルキル(メタ)アクリレートは、(メタ)アクリル系ポリマーを形成する単官能性モノマー成分の全量に対して40重量%以上であることが好ましく、50重量%以上がより好ましく、60重量%以上がさらに好ましい。
【0020】
上記モノマー成分には、単官能性モノマー成分として、アルキル(メタ)アクリレート以外の共重合モノマーが含まれ得る。共重合モノマーは、モノマー成分におけるアルキル(メタ)アクリレートの残部として用いることができる。共重合モノマーとしては、例えば、環状窒素含有モノマーを含み得る。上記環状窒素含有モノマーとしては、(メタ)アクリロイル基又はビニル基等の不飽和二重結合を有する重合性の官能基を有し、かつ環状窒素構造を有するものを特に制限なく用いることができる。環状窒素構造は、環状構造内に窒素原子を有するものが好ましい。環状窒素含有モノマーの含有量は、(メタ)アクリル系ポリマーを形成する単官能性モノマー成分の全量に対して、好ましくは0.5~50重量%であり、より好ましくは0.5~40重量%であり、さらにより好ましくは0.5~30重量%である。
【0021】
上記モノマー成分には、単官能性モノマー成分として、ヒドロキシル基含有モノマーが含まれ得る。ヒドロキシル基含有モノマーとしては、(メタ)アクリロイル基又はビニル基等の不飽和二重結合を有する重合性の官能基を有し、かつヒドロキシル基を有するものを特に制限なく用いることができる。上記ヒドロキシル基含有モノマーの含有量は、接着力、凝集力を高める点から、(メタ)アクリル系ポリマーを形成する単官能性モノマー成分の全量に対して、好ましくは1重量%以上であり、より好ましくは2重量%以上であり、さらに好ましくは3重量%以上である。一方、ヒドロキシル基含有モノマーの含有量の上限は、(メタ)アクリル系ポリマーを形成する単官能性モノマー成分の全量に対して、好ましくは30重量%であり、より好ましくは27重量%であり、さらに好ましくは25重量%である。ヒドロキシル基含有モノマーが多くなりすぎると、粘着剤層が固くなり、接着力が低下する場合があり、また、粘着剤の粘度が高くなりすぎたり、ゲル化したりする場合がある。
【0022】
(メタ)アクリル系ポリマーを形成するモノマー成分には、単官能性モノマーとして、その他の官能基含有モノマーが含まれ得る。このようなモノマーとして、例えば、カルボキシル基含有モノマー、環状エーテル基を有するモノマーが挙げられる。カルボキシル基含有モノマー、環状エーテル基を有するモノマーの含有量は、(メタ)アクリル系ポリマーを形成する単官能性モノマー成分の全量に対して、好ましくは30重量%以下であり、より好ましくは27重量%以下であり、さらに好ましくは25重量%以下である。
【0023】
(メタ)アクリル系ポリマーを形成するモノマー成分の共重合モノマーとしては、例えば、CH=C(R)COOR(Rは水素又はメチル基、Rは炭素数1~3の置換されたアルキル基、環状のシクロアルキル基を表す。)で表されるアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。Rとしての、炭素数1~3の置換されたアルキル基の置換基としては、炭素数3~8個のアリール基又は炭素数3~8個のアリールオキシ基であることが好ましい。アリール基としては、限定はされないが、フェニル基が好ましい。このようなCH=C(R)COORで表されるモノマーの例としては、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、3,3,5-トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは単独で又は組み合わせて使用できる。CH=C(R)COORで表される(メタ)アクリレートの含有量は、(メタ)アクリル系ポリマーを形成する単官能性モノマー成分の全量に対して、好ましくは50重量%以下であり、より好ましくは45重量%以下であり、さらに好ましくは40重量%以下であり、特に好ましくは35重量%以下である。
【0024】
(メタ)アクリル系ポリマーを形成するモノマー成分には、上述の単官能性モノマーの他に、粘着剤の凝集力を調整するために、必要に応じて、任意の適切な多官能性モノマーを含有することができる。
【0025】
(メタ)アクリル系ポリマーの製造方法として、溶液重合、紫外線(UV)重合等の放射線重合、塊状重合、乳化重合等の各種ラジカル重合等の任意の適切な方法を採用することができる。また、得られる(メタ)アクリル系ポリマーは、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体等のいずれでもよい。
【0026】
(メタ)アクリル系ポリマーをラジカル重合により製造する場合には、モノマー成分に、ラジカル重合に用いられる重合開始剤、連鎖移動剤、乳化剤等を適宜添加して、重合を行うことができる。ラジカル重合に用いられる重合開始剤、連鎖移動剤、乳化剤等は特に限定されず適宜選択して使用することができる。なお、(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量は、重合開始剤、連鎖移動剤の使用量、反応条件により制御可能であり、これらの種類に応じて適宜その使用量が調整される。
【0027】
(メタ)アクリル系ポリマーを放射線重合により製造する場合には、モノマー成分に、電子線、紫外線(UV)等の放射線を照射することにより重合して製造することができる。これらの中でも、紫外線重合が好ましい。紫外線重合を行う際には、重合時間を短くすることができる利点等から、モノマー成分に光重合開始剤を含有させることが好ましい。
【0028】
光重合開始剤としては、特に限定されないが、波長400nm以上に吸収帯を有する光重合開始剤(A)であることが好ましい。このような光重合開始剤(A)としては、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド(Irgacure819、BASF製)、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド(LUCIRIN TPO、BASF製)等を挙げることができる。
【0029】
光重合開始剤には、波長400nm未満に吸収帯を有する光重合開始剤(B)を含有することができる。光重合開始剤(B)としては、紫外線によりラジカルを発生し、光重合を開始するものであって、波長400nm未満に吸収帯を有するものであれば特に制限されず、通常用いられる光重合開始剤をいずれも好適に用いることができる。例えば、ベンゾインエーテル系光重合開始剤、アセトフェノン系光重合開始剤、α-ケトール系光重合開始剤、光活性オキシム系光重合開始剤、ベンゾイン系光重合開始剤、ベンジル系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤、ケタール系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤、アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤等を用いることができる。
【0030】
モノマー成分を紫外線重合する場合は、光重合開始剤(B)を先に添加して、紫外線を照射して一部重合したモノマー成分の部分重合物(プレポリマー組成物)に、光重合開始剤(A)、紫外線吸収剤及び色素化合物を添加して紫外線重合することが好ましい。紫外線照射をして一部重合したモノマー成分の部分重合物(プレポリマー組成物)に、光重合開始剤(A)を添加する際には、光重合開始剤をモノマーに溶解した後添加することが好ましい。
【0031】
B-2.紫外線吸収剤
紫外線吸収剤としては、任意の適切な紫外線吸収剤を用いることができる。具体的には、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、オキシベンゾフェノン系紫外線吸収剤、サリチル酸エステル系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤等を挙げることができ、これらを1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が好ましく、1分子中にヒドロキシル基を2個以下有するトリアジン系紫外線吸収剤、及び、1分子中にベンゾトリアゾール骨格を1個有するベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤からなる群から選択される少なくとも1種の紫外線吸収剤であることが、アクリル系粘着剤組成物の形成に用いられるモノマーへの溶解性が良好であり、かつ、波長380nm付近での紫外線吸収能力が高いため好ましい。紫外線吸収剤は、単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0032】
紫外線吸収剤の吸収スペクトルの最大吸収波長は、好ましくは300nm~400nmの波長領域に存在し、より好ましくは320nm~380nmの波長領域に存在する。最大吸収波長は、紫外可視分光光度計を用いて測定することができる。
【0033】
B-3.色素化合物
色素化合物は、上記のとおり、吸収スペクトルの最大吸収波長が380nm~430nmの波長領域に存在する。色素化合物の吸収スペクトルの最大吸収波長は、好ましくは380nm~420nmの波長領域に存在する。このような色素化合物と紫外線吸収剤とを組み合わせて用いることで、有機EL素子の発光に影響しない領域(波長380nm~430nm)の光を十分に吸収することができ、かつ、有機EL素子の発光領域(430nmよりも長波長側)は十分に透過することができるものであり、その結果、位相差層の光学特性の劣化を抑制し得る。
【0034】
色素化合物の半値幅は、好ましくは80nm以下であり、より好ましくは5nm~70nmであり、さらに好ましくは10nm~60nmである。これにより、有機EL素子の発光に影響しない領域の光を十分に吸収しつつ、430nmよりも長波長側の光は十分に透過させることができる。色素化合物の半値幅は、紫外可視分光光度計(U-4100、(株)日立ハイテクサイエンス製)を使用し、以下の条件で色素化合物の溶液の透過吸光スペクトルから測定することができる。代表的には、最大吸収波長の吸光度が1.0となるよう濃度を調整して測定した分光スペクトルから、ピーク値の50%になる2点間の波長の間隔(半値全幅)をその色素化合物の半値幅とする。
(測定条件)
溶媒:トルエン又はクロロホルム
セル:石英セル
光路長:10mm
【0035】
色素化合物としては、吸収スペクトルの最大吸収波長が上記波長領域に存在する化合物であればよく、その構造等は特に限定されるものではない。色素化合物としては、例えば、有機系色素化合物や無機系色素化合物を挙げることができるが、これらの中でも、ベースポリマー等の樹脂成分への分散性と透明性の維持の観点から、有機系色素化合物が好ましい。
【0036】
有機系色素化合物としては、アゾメチン系化合物、インドール系化合物、けい皮酸系化合物、ピリミジン系化合物、ポルフィリン系化合物等を挙げることができる。
【0037】
有機色素化合物としては、市販されているものを好適に用いることができ、具体的には、インドール系化合物としては、BONASORB UA3911(商品名、吸収スペクトルの最大吸収波長:398nm、半値幅:48nm、オリエント化学工業(株)製)、BONASORB UA3912(商品名、吸収スペクトルの最大吸収波長:386nm、半値幅:53nm、オリエント化学工業(株)製)を、けい皮酸系化合物としては、SOM-5-0106(商品名、吸収スペクトルの最大吸収波長:416nm、半値幅:50nm、オリエント化学工業(株)製)、ポルフィリン系化合物としては、FDB-001(商品名、吸収スペクトルの最大吸収波長:420nm、半値幅:14nm、山田化学工業(株)製)等を挙げることができる。
【0038】
色素化合物は、単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよいが、全体としての含有量は、(メタ)アクリル系ポリマーを形成する単官能性モノマー成分100重量部に対して、好ましくは0.01重量部~10重量部であり、より好ましくは0.02重量部~5重量部程度である。色素化合物の添加量を上記範囲内とすることで、有機EL素子の発光に影響しない領域の光を十分に吸収することができ、位相差層の光学特性の劣化を抑制し得る。
【0039】
B-4.その他の成分
紫外線吸収接着層および/または紫外線吸収接着層の組成物は、必要に応じて、シランカップリング剤、架橋剤などの他の成分を含み得る。
【0040】
シランカップリング剤としては、例えば、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2-(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ基含有シランカップリング剤、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチルブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基含有シランカップリング剤、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等の(メタ)アクリル基含有シランカップリング剤、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等のイソシアネート基含有シランカップリング剤等を用いることができる。シランカップリング剤の含有量は、(メタ)アクリル系ポリマーを形成する単官能性モノマー成分100重量部に対して、好ましくは1重量部以下であり、より好ましくは0.01重量部~1重量部であり、さらに好ましくは0.02重量部~0.6重量部である。
【0041】
架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、シリコーン系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、シラン系架橋剤、アルキルエーテル化メラミン系架橋剤、金属キレート系架橋剤、過酸化物等を用いることができる。架橋剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせることができる。これらの中でも、イソシアネート系架橋剤が好ましく用いられる。架橋剤の含有量は、(メタ)アクリル系ポリマーを形成する単官能性モノマー成分100重量部に対し、好ましくは5重量部以下であり、より好ましくは0.01重量部~5重量部であり、さらに好ましくは0.01重量部~4重量部であり、特に好ましくは0.02重量部~3重量部である。
【0042】
イソシアネート系架橋剤は、イソシアネート基(イソシアネート基をブロック剤又は数量体化等により一時的に保護したイソシアネート再生型官能基を含む)を1分子中に2つ以上有する化合物をいう。イソシアネート系架橋剤としては、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂環族イソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族イソシアネート等が挙げられる。より具体的には、例えば、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の低級脂肪族ポリイソシアネート類、シクロペンチレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂環族イソシアネート類、2,4-トリレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート類、トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート3量体付加物(商品名:コロネートL、日本ポリウレタン工業(株)製)、トリメチロールプロパン/ヘキサメチレンジイソシアネート3量体付加物(商品名:コロネートHL、日本ポリウレタン工業(株)製)、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(商品名:コロネートHX、日本ポリウレタン工業(株)製)等のイソシアネート付加物、キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物(商品名:D110N、三井化学(株)製)、ヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物(商品名:D160N、三井化学(株)製);ポリエーテルポリイソシアネート、ポリエステルポリイソシアネート、ならびにこれらと各種のポリオールとの付加物、イソシアヌレート結合、ビューレット結合、アロファネート結合等で多官能化したポリイソシアネート等が挙げられる。
【0043】
C.偏光子
偏光子としては、任意の適切な偏光子が採用され得る。例えば、偏光子を形成する樹脂フィルムは、単層の樹脂フィルムであってもよく、二層以上の積層体であってもよい。
【0044】
単層の樹脂フィルムから構成される偏光子の具体例としては、ポリビニルアルコール(PVA)系フィルム、部分ホルマール化PVA系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質による染色処理および延伸処理が施されたもの、PVAの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等ポリエン系配向フィルム等が挙げられる。好ましくは、光学特性に優れることから、PVA系フィルムをヨウ素で染色し一軸延伸して得られた偏光子が用いられる。
【0045】
上記ヨウ素による染色は、例えば、PVA系フィルムをヨウ素水溶液に浸漬することにより行われる。上記一軸延伸の延伸倍率は、好ましくは3~7倍である。延伸は、染色処理後に行ってもよいし、染色しながら行ってもよい。また、延伸してから染色してもよい。必要に応じて、PVA系フィルムに、膨潤処理、架橋処理、洗浄処理、乾燥処理等が施される。例えば、染色の前にPVA系フィルムを水に浸漬して水洗することで、PVA系フィルム表面の汚れやブロッキング防止剤を洗浄することができるだけでなく、PVA系フィルムを膨潤させて染色ムラなどを防止することができる。
【0046】
積層体を用いて得られる偏光子の具体例としては、樹脂基材と当該樹脂基材に積層されたPVA系樹脂層(PVA系樹脂フィルム)との積層体、あるいは、樹脂基材と当該樹脂基材に塗布形成されたPVA系樹脂層との積層体を用いて得られる偏光子が挙げられる。樹脂基材と当該樹脂基材に塗布形成されたPVA系樹脂層との積層体を用いて得られる偏光子は、例えば、PVA系樹脂溶液を樹脂基材に塗布し、乾燥させて樹脂基材上にPVA系樹脂層を形成して、樹脂基材とPVA系樹脂層との積層体を得ること;当該積層体を延伸および染色してPVA系樹脂層を偏光子とすること;により作製され得る。本実施形態においては、延伸は、代表的には積層体をホウ酸水溶液中に浸漬させて延伸することを含む。さらに、延伸は、必要に応じて、ホウ酸水溶液中での延伸の前に積層体を高温(例えば、95℃以上)で空中延伸することをさらに含み得る。得られた樹脂基材/偏光子の積層体はそのまま用いてもよく(すなわち、樹脂基材を偏光子の保護層としてもよく)、樹脂基材/偏光子の積層体から樹脂基材を剥離し、当該剥離面に目的に応じた任意の適切な保護層を積層して用いてもよい。このような偏光子の製造方法の詳細は、例えば特開2012-73580号公報に記載されている。当該公報は、その全体の記載が本明細書に参考として援用される。
【0047】
偏光子の厚みは、例えば1μm~80μmである。1つの実施形態においては、偏光子の厚みは、好ましくは1μm~15μmであり、さらに好ましくは3μm~10μmであり、特に好ましくは3μm~8μmである。偏光子の厚みがこのような範囲であれば、加熱時のカールを良好に抑制することができ、および、良好な加熱時の外観耐久性が得られる。
【0048】
偏光子は、好ましくは、波長380nm~780nmのいずれかの波長で吸収二色性を示す。偏光子の単体透過率は、35.0%~46.0%であり、好ましくは37.0%~46.0%である。偏光子の偏光度は、好ましくは97.0%以上であり、より好ましくは99.0%以上であり、さらに好ましくは99.9%以上である。
【0049】
上記単体透過率及び偏光度は、分光光度計を用いて測定することができる。上記偏光度の具体的な測定方法としては、上記偏光子の平行透過率(H)及び直交透過率(H90)を測定し、式:偏光度(%)={(H-H90)/(H+H90)}1/2×100より求めることができる。上記平行透過率(H)は、同じ偏光子2枚を互いの吸収軸が平行となるように重ね合わせて作製した平行型積層偏光子の透過率の値である。また、上記直交透過率(H90)は、同じ偏光子2枚を互いの吸収軸が直交するように重ね合わせて作製した直交型積層偏光子の透過率の値である。なお、これらの透過率は、JlS Z 8701-1982の2度視野(C光源)により、視感度補正を行ったY値である。
【0050】
D.保護層
保護層、第1の保護層、および第2の保護層は、偏光子を保護するフィルムとして使用できる任意の適切な保護フィルムで形成される。当該保護フィルムの主成分となる材料の具体例としては、トリアセチルセルロース(TAC)等のセルロース系樹脂や、ポリエステル系、ポリビニルアルコール系、ポリカーボネート系、ポリアミド系、ポリイミド系、ポリエーテルスルホン系、ポリスルホン系、ポリスチレン系、ポリノルボルネン系、ポリオレフィン系、(メタ)アクリル系、アセテート系等の透明樹脂等が挙げられる。また、(メタ)アクリル系、ウレタン系、(メタ)アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の熱硬化型樹脂または紫外線硬化型樹脂等も挙げられる。この他にも、例えば、シロキサン系ポリマー等のガラス質系ポリマーも挙げられる。また、特開2001-343529号公報(WO01/37007)に記載のポリマーフィルムも使用できる。このフィルムの材料としては、例えば、側鎖に置換または非置換のイミド基を有する熱可塑性樹脂と、側鎖に置換または非置換のフェニル基ならびにニトリル基を有する熱可塑性樹脂を含有する樹脂組成物が使用でき、例えば、イソブテンとN-メチルマレイミドからなる交互共重合体と、アクリロニトリル・スチレン共重合体とを有する樹脂組成物が挙げられる。当該ポリマーフィルムは、例えば、上記樹脂組成物の押出成形物であり得る。
【0051】
保護フィルムの厚みは、好ましくは10μm~100μmである。保護フィルムは、接着層(具体的には、接着剤層、粘着剤層)を介して偏光子に積層されていてもよく、偏光子に密着(接着層を介さずに)積層されていてもよい。接着剤層は、任意の適切な接着剤で形成される。接着剤としては、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂を主成分とする水溶性接着剤が挙げられる。ポリビニルアルコール系樹脂を主成分とする水溶性接着剤は、好ましくは、金属化合物コロイドをさらに含有し得る。金属化合物コロイドは、金属化合物微粒子が分散媒中に分散しているものであり得、微粒子の同種電荷の相互反発に起因して静電的安定化し、永続的に安定性を有するものであり得る。金属化合物コロイドを形成する微粒子の平均粒子径は、偏光特性等の光学特性に悪影響を及ぼさない限り、任意の適切な値であり得る。好ましくは1nm~100nm、さらに好ましくは1nm~50nmである。微粒子を接着剤層中に均一に分散させ得、接着性を確保し、かつクニックを抑え得るからである。なお、「クニック」とは、偏光子と保護フィルムの界面で生じる局所的な凹凸欠陥のことをいう。粘着剤層は、任意の適切な粘着剤で構成される。
【0052】
E.位相差層
位相差層は、上記のとおり液晶化合物を含む。光学積層体が複数の位相差層を有する場合、少なくともいずれかの位相差層は液晶化合物を含む。
【0053】
第1の実施形態においては、光学積層体が1つの位相差層を有する。位相差層の面内位相差Re(550)は、好ましくは120nm~160nmであり、より好ましくは130nm~150nmである。したがって、本実施形態の位相差層はλ/4板として機能し得る。偏光子の吸収軸と位相差層の遅相軸とのなす角度は、好ましくは39°~51°であり、より好ましくは42°~48°であり、特に好ましくは約45°である。これにより、偏光子と位相差層とは円偏光板として機能し得る。
【0054】
第2の実施形態においては、光学積層体が第1の位相差層と第2の位相差層とを有する。第1の位相差層の面内位相差Re(550)は、好ましくは240nm~320nmであり、より好ましくは260nm~300nmである。第2の位相差層の面内位相差Re(550)は、好ましくは120nm~160nmであり、より好ましくは130nm~150nmである。したがって、本実施形態の第1の位相差層はλ/2板として機能し得、第2の位相差層はλ/4板として機能し得る。偏光子の吸収軸と第1の位相差層の遅相軸とのなす角度は、好ましくは5°~25°であり、より好ましくは10°~20°であり、特に好ましくは約15°である。偏光子の吸収軸と第2の位相差層の遅相軸とのなす角度は、好ましくは65°~85°であり、より好ましくは70°~80°であり、特に好ましくは約75°である。第1の位相差層および第2の位相差層の少なくともいずれかは液晶化合物を含む。第1の位相差層および第2の位相差層のいずれかは、液晶化合物を含まない高分子フィルムであってもよい。
【0055】
第3の実施形態においては、第1の位相差層の面内位相差Re(550)は、好ましくは120nm~160nmであり、より好ましくは130nm~150nmである。第2の位相差層は、屈折率楕円体がnz>nx=nyの関係を満たす。したがって、本実施形態の第1の位相差層はλ/4板として機能し得、第2の位相差層はいわゆるポジティブCプレートとして機能し得る。偏光子の吸収軸と第1の位相差層の遅相軸とのなす角度は、好ましくは39°~51°であり、より好ましくは42°~48°であり、特に好ましくは約45°である。第1の位相差層および第2の位相差層の少なくともいずれかは液晶化合物を含む。第1の位相差層および第2の位相差層の一方は、液晶化合物を含まない高分子フィルムの延伸体であってもよい。
【0056】
以下、第1の実施形態~第3の実施形態の各実施形態について、各位相差層の詳細な構成を説明する。
【0057】
E-1.第1の実施形態の位相差層
位相差層は、液晶化合物の配向固化層により構成され得る。液晶化合物を用いることにより、得られる位相差層のnxとnyとの差を非液晶材料に比べて格段に大きくすることができるので、所望の面内位相差を得るための位相差層の厚みを格段に小さくすることができる。その結果、光学積層体(最終的には、画像表示装置)のさらなる薄型化を実現することができる。本明細書において「配向固化層」とは、液晶化合物が層内で所定の方向に配向し、その配向状態が固定されている層をいう。本実施形態においては、代表的には、棒状の液晶化合物が位相差層の遅相軸方向に並んだ状態で配向している(ホモジニアス配向)。液晶化合物としては、例えば、液晶相がネマチック相である液晶化合物(ネマチック液晶)が挙げられる。このような液晶化合物として、例えば、液晶ポリマーや液晶モノマーが使用可能である。液晶化合物の液晶性の発現機構は、リオトロピックでもサーモトロピックでもどちらでもよい。液晶ポリマーおよび液晶モノマーは、それぞれ単独で用いてもよく、組み合わせてもよい。
【0058】
液晶化合物が液晶モノマーである場合、当該液晶モノマーは、重合性モノマーおよび架橋性モノマーであることが好ましい。液晶モノマーを重合または架橋させることにより、液晶モノマーの配向状態を固定できるからである。液晶モノマーを配向させた後に、例えば、液晶モノマー同士を重合または架橋させれば、それによって上記配向状態を固定することができる。ここで、重合によりポリマーが形成され、架橋により3次元網目構造が形成されることとなるが、これらは非液晶性である。したがって、形成された位相差層は、例えば、液晶性化合物に特有の温度変化による液晶相、ガラス相、結晶相への転移が起きることはない。その結果、位相差層は、温度変化に影響されない、極めて安定性に優れた位相差層となる。
【0059】
液晶モノマーが液晶性を示す温度範囲は、その種類に応じて異なる。具体的には、当該温度範囲は、好ましくは40℃~120℃であり、さらに好ましくは50℃~100℃であり、最も好ましくは60℃~90℃である。
【0060】
上記液晶モノマーとしては、任意の適切な液晶モノマーが採用され得る。例えば、特表2002-533742(WO00/37585)、EP358208(US5211877)、EP66137(US4388453)、WO93/22397、EP0261712、DE19504224、DE4408171、およびGB2280445等に記載の重合性メソゲン化合物等が使用できる。このような重合性メソゲン化合物の具体例としては、例えば、BASF社の商品名LC242、Merck社の商品名E7、Wacker-Chem社の商品名LC-Sillicon-CC3767が挙げられる。液晶モノマーとしては、例えばネマチック性液晶モノマーが好ましい。
【0061】
液晶化合物の配向固化層は、所定の基材の表面に配向処理を施し、当該表面に液晶化合物を含む塗工液を塗工して当該液晶化合物を上記配向処理に対応する方向に配向させ、当該配向状態を固定することにより形成され得る。1つの実施形態においては、基材は任意の適切な樹脂フィルムであり、当該基材上に形成された配向固化層は、偏光子の表面に転写され得る。
【0062】
上記配向処理としては、任意の適切な配向処理が採用され得る。具体的には、機械的な配向処理、物理的な配向処理、化学的な配向処理が挙げられる。機械的な配向処理の具体例としては、ラビング処理、延伸処理が挙げられる。物理的な配向処理の具体例としては、磁場配向処理、電場配向処理が挙げられる。化学的な配向処理の具体例としては、斜方蒸着法、光配向処理が挙げられる。各種配向処理の処理条件は、目的に応じて任意の適切な条件が採用され得る。
【0063】
液晶化合物の配向は、液晶化合物の種類に応じて液晶相を示す温度で処理することにより行われる。このような温度処理を行うことにより、液晶化合物が液晶状態をとり、基材表面の配向処理方向に応じて当該液晶化合物が配向する。
【0064】
配向状態の固定は、1つの実施形態においては、上記のように配向した液晶化合物を冷却することにより行われる。液晶化合物が重合性モノマーまたは架橋性モノマーである場合には、配向状態の固定は、上記のように配向した液晶化合物に重合処理または架橋処理を施すことにより行われる。
【0065】
液晶化合物の具体例および配向固化層の形成方法の詳細は、特開2006-163343号公報に記載されている。当該公報の記載は本明細書に参考として援用される。
【0066】
位相差層の厚みは、所望の面内位相差が得られるように設定され得、好ましくは1μm~10μmであり、より好ましくは1μm~6μmである。
【0067】
E-2.第2の実施形態の位相差層
本実施形態においては、上記のとおり、第1の位相差層の面内位相差Re(550)は好ましくは240nm~320nmであり、第2の位相差層の面内位相差Re(550)は、好ましくは120nm~160nmである。
【0068】
E-2-1.第1の位相差層
第1の位相差層は、実質的に垂直に配向させたディスコティック液晶化合物を含有する液晶性組成物の配向固化層により構成され得る。本明細書において、「ディスコティック液晶化合物」とは、分子構造中に、円板状のメソゲン基を有し、該メソゲン基に2~8本の側差が、エーテル結合やエステル結合で放射状に結合しているものをいう。上記メソゲン基としては、例えば、液晶辞典(培風館出版)のP.22、図1に記載されている構造のものが挙げられる。具体的には、ベンゼン、トリフェニレン、トゥルキセン、ピラン、ルフィガロール、ポルフィリン、金属錯体等である。理想的には、実質的に垂直に配向させたディスコティック液晶化合物は、フィルム面内の一方向に光軸を有する。「実質的に垂直に配向させたディスコティック液晶化合物」とは、ディスコティック液晶化合物の円板面が、フィルム平面に対して垂直であり、光軸がフィルム平面に対して平行である状態のものをいう。
【0069】
上記のディスコティック液晶化合物を含有する液晶性組成物は、ディスコティック液晶化合物を含み、液晶性を示すものであれば特に制限はない。上記液晶性組成物中のディスコティック液晶化合物の含有量は、液晶性組成物の全固形分100重量部に対して、好ましくは40重量部以上100重量部未満であり、さらに好ましくは50重量部以上100重量部未満であり、最も好ましくは70重量部以上100重量部未満である。
【0070】
上記実質的に垂直に配向させたディスコティック液晶化合物を含有する液晶性組成物の配向固化層からなる位相差フィルムとしては、特開2001-56411号公報に記載の方法によって得ることができる。上記実質的に垂直に配向させたディスコティック液晶化合物を含有する液晶性組成物の配向固化層からなる位相差フィルムは、一方向に塗工することによって、塗工方向と実質的に直交する方向に、フィルム面内の屈折率が大きくなる方向(遅相軸方向)が発生するため、連続塗工によって、特にその後、延伸や収縮処理を行わずに、長手方向と直交する方向に遅相軸を有するロール状の位相差フィルムを作製することができる。この長手方向と直交する方向に遅相軸を有するロール状の位相差フィルムは、他の層との積層に際してロールトゥロールが可能となる。
【0071】
第1の位相差層の厚みは、所望の面内位相差が得られるように設定され得、好ましくは1μm~20μmであり、より好ましくは1μm~12μmである。
【0072】
E-2-2.第2の位相差層
本実施形態の第2の位相差層は、液晶化合物を含む場合、例えば、上記E-1項に記載の材料および方法により形成され得る。第2の位相差層が液晶化合物を含まない場合、後述のE-2-3項に記載の材料および方法により形成され得る。
【0073】
E-2-3.その他
本実施形態においては、第1の位相差層および第2の位相差層のいずれかは、液晶化合物を含まない高分子フィルムの延伸体であり得る。この場合、位相差層は、任意の適切な樹脂フィルムで構成され得る。そのような樹脂の代表例としては、ポリカーボネート系樹脂、環状オレフィン系樹脂、セルロース系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリル系樹脂が挙げられる。
【0074】
上記ポリカーボネート樹脂としては、本発明の効果が得られる限りにおいて、任意の適切なポリカーボネート樹脂を用いることができる。好ましくは、ポリカーボネート樹脂は、フルオレン系ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位と、イソソルビド系ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位と、脂環式ジオール、脂環式ジメタノール、ジ、トリまたはポリエチレングリコール、ならびに、アルキレングリコールまたはスピログリコールからなる群から選択される少なくとも1つのジヒドロキシ化合物に由来する構造単位と、を含む。好ましくは、ポリカーボネート樹脂は、フルオレン系ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位と、イソソルビド系ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位と、脂環式ジメタノールに由来する構造単位ならびに/あるいはジ、トリまたはポリエチレングリコールに由来する構造単位と、を含み;さらに好ましくは、フルオレン系ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位と、イソソルビド系ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位と、ジ、トリまたはポリエチレングリコールに由来する構造単位と、を含む。ポリカーボネート樹脂は、必要に応じてその他のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含んでいてもよい。なお、本発明に好適に用いられ得るポリカーボネート樹脂の詳細は、例えば、特開2014-10291号公報、特開2014-26266号公報に記載されており、当該記載は本明細書に参考として援用される。
【0075】
環状オレフィン系樹脂は、環状オレフィンを重合単位として重合される樹脂の総称であり、例えば、特開平1-240517号公報、特開平3-14882号公報、特開平3-122137号公報等に記載されている樹脂が挙げられる。具体例としては、環状オレフィンの開環(共)重合体、環状オレフィンの付加重合体、環状オレフィンとエチレン、プロピレン等のα-オレフィンとの共重合体(代表的には、ランダム共重合体)、および、これらを不飽和カルボン酸やその誘導体で変性したグラフト変性体、ならびに、それらの水素化物が挙げられる。環状オレフィンの具体例としては、ノルボルネン系モノマーが挙げられる。ノルボルネン系モノマーとしては、特開2015-210459号公報等に記載されているモノマーが挙げられる。上記環状オレフィン系樹脂は、種々の製品が市販されている。具体例としては、日本ゼオン社製の商品名「ゼオネックス」、「ゼオノア」、JSR社製の商品名「アートン(Arton)」、TICONA社製の商品名「トーパス」、三井化学社製の商品名「APEL」が挙げられる。
【0076】
位相差層を構成するフィルムは、枚葉状であってもよく、長尺状であってもよい。1つの実施形態においては、位相差層は、長尺方向に延伸された上記樹脂フィルムを、長尺方向に対して所定の角度の方向に切り出すことにより作製される。別の実施形態においては、位相差層は、長尺状の上記樹脂フィルムを長尺方向に対して所定の角度の方向に連続的に斜め延伸することにより作製される。さらに別の実施形態においては、位相差層は、支持基材と当該支持基材に積層された樹脂層との積層体を斜め延伸し、斜め延伸された樹脂層(樹脂フィルム)を他の層に転写することにより作製される。斜め延伸を採用することにより、フィルムの長尺方向に対して所定の角度の配向角(当該角度の方向に遅相軸)を有する長尺状の延伸フィルムが得られ、例えば、他の層との積層に際してロールトゥロールが可能となり、製造工程を簡略化することができる。なお、当該所定の角度は、偏光子の吸収軸(長尺方向)と位相差層の遅相軸とがなす角度であり得る。
【0077】
E-3.第3の実施形態の位相差層
本実施形態においては、上記のとおり、第1の位相差層の面内位相差Re(550)は好ましくは120nm~160nmであり、第2の位相差層は屈折率楕円体がnz>nx=nyの関係を満たす。
【0078】
E-3-1.第1の位相差層
本実施形態の第1の位相差層は、液晶化合物を含む場合、例えば、上記E-1項に記載の材料および方法により形成され得る。第1の位相差層が液晶化合物を含まない場合、上記E-2-3項に記載の材料および方法により形成され得る。
【0079】
E-3-2.第2の位相差層
本実施形態の第2の位相差層は、上記のとおり、屈折率楕円体がnz>nx=nyの関係を満たす。第2の位相差層は、代表的には、測定光の波長が大きいほど面内位相差値が大きい逆波長分散特性を示す。この場合、第2の位相差層のRe(450)/Re(550)は、好ましくは0.8以上1未満であり、より好ましくは0.8以上0.95以下である。
【0080】
第2の位相差層は、上記の光学特性を満足し得る限り、任意の適切な液晶化合物で構成され得る。このような液晶化合物の詳細は、特許第4186980号公報および特許第6055569号公報に記載されている。当該公報の記載は本明細書に参考として援用される。1つの実施形態においては、第2の位相差層は、下記化学式(I)(式中の数字65および35はモノマーユニットのモル%を示し、便宜的にブロックポリマー体で表している:重量平均分子量5000)で示される側鎖型液晶ポリマーと、ネマチック液晶相を示す重合性液晶とにより構成され得る。
【0081】
【化1】
【0082】
F.有機EL表示装置
上記AからE項に記載の光学積層体は、画像表示装置に用いられ得る。したがって、本発明は、そのような光学積層体を用いた画像表示装置も包含する。画像表示装置の代表例としては、液晶表示装置、有機エレクトロルミネセンス(EL)表示装置が挙げられる。本発明の実施形態による画像表示装置(有機EL表示装置)は、上記A項からE項に記載の光学積層体を備える。
【実施例
【0083】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。なお、各特性の測定方法は以下の通りである。
【0084】
(1)厚み
ダイヤルゲージ(PEACOCK社製、製品名「DG-205」、ダイヤルゲージスタンド(製品名「pds-2」))を用いて測定した。
(2)位相差
Axoscan(Axometrics社製)を用いて測定した。測定温度は23℃、測定波長は550nmとした。
(3)粘着剤層の透過率の測定
実施例及び比較例で得られた各粘着剤層の離型フィルムを剥離して、粘着剤層を測定用治具に取り付け、分光光度計(製品名:U4100、(株)日立ハイテクノロジーズ製)で測定した。透過率は、波長300nm~780nmの範囲における透過率を測定した。
(4)粘着剤層付きフィルムの透過率の測定
実施例及び比較例で得られた各粘着剤層付きフィルムの離型フィルムを剥離して、分光光度計(製品名:U4100、(株)日立ハイテクノロジーズ製)で測定した。透過率は、波長350nm~780nmの範囲における透過率を測定した。
(5)接着性
実施例及び比較例で得られた粘着剤層から、長さ100mm、幅20mmのシート片を切り出した。次いで、粘着剤層の一方の離型フィルムを剥離して、PETフィルム(商品名:ルミラー S-10、厚さ:25μm、東レ(株)製)を貼付(裏打ち)した。次に、他方の離型フィルムを剥離して、試験板としてガラス板(商品名:ソーダライムガラス ♯0050、松浪硝子工業(株)製)に、2kgローラー、1往復の圧着条件で圧着し、試験板/粘着剤層(A)/PETフィルムから構成されるサンプルを作製した。得られたサンプルについて、オートクレーブ処理(50℃、0.5MPa、15分)し、その後、23℃、50%R.H.の雰囲気下で30分間放冷した。放冷後、引張試験機(装置名:オートグラフ AG-IS、(株)島津製作所製)を用い、JIS Z0237に準拠して、23℃、50%R.H.の雰囲気下、引張速度300mm/分、剥離角度180°の条件で、試験板から粘着シート(粘着剤層/PETフィルム)を引きはがし、180°引き剥がし接着力(N/20mm)を測定した。
(6)全光線透過率、ヘイズ
実施例及び比較例で得られた粘着剤層から、一方の離型フィルムを剥離して、スライドガラス(商品名:白研磨 No.1、厚さ:0.8~1.0mm、全光線透過率:92%、ヘイズ:0.2%、松浪硝子工業(株)製)に貼り合わせた。さらに他方の離型フィルムを剥離して、粘着剤層(A)/スライドガラスの層構成を有する試験片を作製した。上記試験片の可視光領域における全光線透過率、ヘイズ値を、ヘイズメーター(装置名:HM-150、(株)村上色彩研究所製)を用いて測定した。
(7)耐光性試験
キセノン耐候性試験機(装置名:アトラスCi4000、(株)DJK製)に実施例及び比較例で得られた光学積層体の視認側を光源側として、波長420nmにおける出力を0.8Wに設定した条件において300時間投入し、試験前後の位相差層の位相差値変化率を測定した。
【0085】
<製造例1>
(偏光子の作製)
樹脂基材として、非晶質ポリエチレンテレフタレート(A-PET)フィルム(三菱樹脂社製、商品名「ノバクリア」、厚み:100μm)を用いた。樹脂基材の片面に、ポリビニルアルコール(PVA)樹脂(日本合成化学工業社製、商品名「ゴーセノール(登録商標)NH-26」)の水溶液を60℃で塗布および乾燥して、厚み7μmのPVA系樹脂層を形成した。このようにして得られた積層体を、液温30℃の不溶化浴(水100重量部に対して、ホウ酸を4重量部配合して得られたホウ酸水溶液)に30秒間浸漬させた(不溶化工程)。次いで、液温30℃の染色浴(水100重量部に対して、ヨウ素を0.2重量部配合し、ヨウ化カリウムを2重量部配合して得られたヨウ素水溶液)に60秒間浸漬させた(染色工程)。次いで、液温30℃の架橋浴(水100重量部に対して、ヨウ化カリウムを3重量部配合し、ホウ酸を3重量部配合して得られたホウ酸水溶液)に30秒間浸漬させた(架橋工程)。その後、積層体を、液温60℃のホウ酸水溶液(水100重量部に対して、ホウ酸を4重量部配合し、ヨウ化カリウムを5重量部配合して得られた水溶液)に浸漬させながら、周速の異なるロール間で縦方向(長手方向)に一軸延伸を行った(工程B)。ホウ酸水溶液への浸漬時間は120秒であり、積層体が破断する直前まで延伸した。その後、積層体を洗浄浴(水100重量に対して、ヨウ化カリウムを3重量部配合して得られた水溶液)に浸漬させた後、60℃の温風で乾燥させた(洗浄・乾燥工程)。このようにして、樹脂基材上に厚み5μmの偏光子が形成された積層体を得た。次いで、偏光子から樹脂基材を剥離し、偏光子の一方の面に、保護フィルムとして特開2012-3269号公報に記載のアクリル系透明保護フィルムを貼り合せることにより、保護フィルム付き偏光子を得た。上記保護フィルム付偏光子にコロナ処理を施して用いた。
【0086】
<製造例2>
(接着剤層を構成する接着剤Aの作製)
プラクセルFA1DDM(ダイセル社製)50部、アクリロイルモルホリン(ACMO:登録商標)(興人社製)40部、ARFON UP-1190(東亞合成社製)10部、光重合開始剤(製品名「KAYACURE DETX-S」、日本化薬社製)3部、およびIRGACURE907(BASFジャパン社製)3部を混合し接着剤Aを調整した。
【0087】
<製造例3>
(粘着剤層Bの作製)
温度計、攪拌機、還流冷却管及び窒素ガス導入管を備えたセパラブルフラスコに、ブチルアクリレート95重量部、アクリル酸5重量部、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.2重量部、及び酢酸エチル233重量部を投入した後、窒素ガスを流し、攪拌しながら約1時間窒素置換を行った。その後、60℃にフラスコを加熱し、7時間反応させて、重量平均分子量(Mw)110万のアクリル系ポリマーを得た。
上記アクリル系ポリマー溶液(固形分を100重量部とする)に、イソシアネート系架橋剤として、トリメチロールプロパントリレンジイソシアネート(商品名:コロネートL、日本ポリウレタン工業(株)製)0.8重量部、シランカップリング剤(商品名:KBM-403、信越化学工業(株)製)0.1重量部を加えて粘着剤組成物(b)(溶液)を調製した。
厚さ38μmのセパレータ(表面が剥離処理されたポリエチレンテレフタレート系フィルム)上に、得られた粘着剤組成物(b)溶液を、乾燥後の厚さが23μmとなるように塗布し、100℃で3分間乾燥層させて溶媒を除去し、粘着剤層を得た。その後、50℃で48時間加熱して架橋処理を行った。以下、この粘着剤層を「粘着剤層(B)」とする。
【0088】
<製造例4>
(位相差層を構成する位相差フィルムAの作製)
セルロースアシレートからなる透明樹脂基材をアルカリ鹸化処理し、次いで、アルカリ鹸化処理したセルロースアシレートの表面に配向膜塗布液を塗布し乾燥することにより、λ/2配向処理した。次いで、透明支持体の配向処理面に、ディスコティック液晶性化合物を含む塗布液を塗布し、加熱およびUV照射をして液晶化合物の配向を固定化することにより、透明樹脂基材上に厚み2μmの位相差フィルムAを作製した。位相差フィルムAの面内位相差Re(550)は246nmであった。得られた位相差フィルムAにコロナ処理を施して用いた。
【0089】
<製造例5>
(位相差層を構成する位相差フィルムBの作製)
配向膜をラビング処理したλ/4配向用透明樹脂基材に、棒状で重合性のネマチック性液晶モノマーを含む塗布液を塗布し、屈折率異方性を保持した状態で固化することにより、透明樹脂基材上に厚み1μmの位相差フィルムBを作製した。位相差フィルムBの面内位相差Re(550)は120nmであった。得られた位相差フィルムBにコロナ処理を施して用いた。
【0090】
<製造例6>
(位相差層を構成する位相差フィルムCの作製)
上記E-3-2項に記載の上記化学式(I)で示される側鎖型液晶ポリマー20重量部、ネマチック液晶相を示す重合性液晶(BASF社製:商品名PaliocolorLC242)80重量部および光重合開始剤(チバスペシャリティーケミカルズ社製:商品名イルガキュア907)5重量部をシクロペンタノン200重量部に溶解して液晶塗工液を調製した。そして、基材フィルム(ノルボルネン系樹脂フィルム:日本ゼオン(株)製、商品名「ゼオネックス」)に当該塗工液をバーコーターにより塗工した後、80℃で4分間加熱乾燥することによって液晶を配向させた。この液晶層に紫外線を照射し、液晶層を硬化させることにより、基材上に位相差フィルムCとなる液晶固化層(厚み:0.58μm)を形成した。この層のRe(550)は0nm、Rth(550)は-71nmであり(nx:1.5326、ny:1.5326、nz:1.6550)、nz>nx=nyの屈折率特性を示した。
【0091】
<実施例1>
1.紫外線吸収接着層の作製
1-1.ベースポリマーの作製
アクリル酸2-エチルヘキシル(2EHA)78重量部、N-ビニル-2-ピロリドン(NVP)18重量部、及びアクリル酸2-ヒドロキシエチル(HEA)15重量部から構成されるモノマー混合物に、光重合開始剤として、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(商品名:イルガキュア184、波長200~370nmに吸収帯を有する、BASF社製)0.035重量部、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン(商品名:イルガキュア651、波長200~380nmに吸収帯を有する、BASF社製)0.035重量部を配合した後、粘度(計測条件:BH粘度計No.5ローター、10rpm、測定温度30℃)が約20Pa・sになるまで紫外線を照射して、上記モノマー成分の一部が重合したプレポリマー組成物(重合率:8%)を得た。次に、該プレポリマー組成物に、ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)0.15重量部、シランカップリング剤(商品名:KBM-403、信越化学工業(株)製)0.3重量部を添加して混合し、アクリル系粘着剤組成物(a)を得た。
1-2.紫外線吸収接着層組成物(A)の作製
得られたアクリル系粘着剤組成物(a)に、ブチルアクリレートに固形分15%となるように溶解させた2,4-ビス-[{4-(4-エチルヘキシルオキシ)-4-ヒドロキシ}-フェニル]-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン(商品名:Tinosorb S、表1中の「紫外線吸収剤(b1)」、吸収スペクトルの最大吸収波長:346nm、BASFジャパン社製)0.7重量部(固形分重量)と、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド(商品名:イルガキュア819、波長200~450nmに吸収帯域を有する、BASFジャパン社製)0.3重量部と、N-ビニル-2-ピロリドン(NVP)に固形分5%となるように溶解させたBONASORB UA3911(商品名、インドール系化合物、表1中の「色素化合物(c1)」、吸収スペクトルの最大吸収波長:398nm、半値幅:48nm、オリエント化学工業(株)製)0.5重量部(固形分重量)とを添加し撹拌することにより紫外線吸収接着層組成物(A)を得た。
1-3.粘着剤層(A-1)の作製
上記紫外線吸収接着層組成物(A)を、離型フィルムの剥離処理されたフィルム上に、粘着剤層形成後の厚さが150μmとなるように塗布し、次いで、該紫外線吸収接着層組成物の表面に、離型フィルムを貼り合わせた。その後、照度:6.5mW/cm、光量:1500mJ/cm、ピーク波長:350nmの条件で紫外線照射を行い、紫外線吸収接着層組成物を光硬化させて、粘着剤層(A-1)を形成した。
2.光学積層体の作製
上記保護フィルム付偏光子の偏光子側に接着剤Aを塗工し、接着剤A塗工面に第1の位相差層を構成する位相差フィルムAを、偏光子の吸収軸と位相差フィルムAの遅相軸とがなす角度が15°となるように透明樹脂基材から転写し、UV照射(300mJ/cm)して接着剤Aを硬化した。
次いで、位相差フィルムAの偏光子と反対側の面に接着剤Aを塗工し、接着剤A塗工面に第2の位相差層を構成する位相差フィルムBを、偏光子の吸収軸と位相差フィルムBの遅相軸とがなす角度が75°であり、かつ位相差フィルムAの遅相軸と位相差フィルムBの遅相軸とがなす角度が60°となるように透明樹脂基材から転写し、UV照射(300mJ/cm)して接着剤Aを硬化することにより、位相差層付偏光板を得た。硬化した接着剤A(第1接着剤層、および第2接着剤層)の厚みは1μmであった。
上記位相差層付偏光板の透明保護フィルム側に、上記粘着剤層(A-1)を積層した。上記位相差層付偏光板の位相差フィルムB側に、粘着剤層(B)を積層し、光学積層体を形成した。得られた光学積層体は、粘着剤層(A-1)/保護フィルム付き偏光子/接着剤A/位相差フィルムA/接着剤A/位相差フィルムB/粘着剤層(B)の構成を有する。得られた光学積層体に関して、粘着剤層(A-1)側を光源側とし、耐光性試験を行った。耐光性試験の結果、および、位相差フィルムより視認側に位置する接着層のうち紫外線吸収能が最大の接着層の特性を表1に示す。
【0092】
<実施例2>
偏光子と位相差フィルムAとの貼り合わせに粘着剤層(B)を用いたこと、および、位相差フィルムAと位相差フィルムBとの貼り合わせに粘着剤層(B)を用いたこと以外は実施例1と同様にして光学積層体を作製した。
得られた光学積層体は、粘着剤層(A-1)/保護フィルム付き偏光子/粘着剤層(B)/位相差フィルムA/粘着剤層(B)/位相差フィルムB/粘着剤層(B)の構成を有する。得られた光学積層体に関して、粘着剤層(A-1)側を光源側とし、耐光性試験を行った。耐光性試験の結果、および、位相差フィルムより視認側に位置する接着層のうち紫外線吸収能が最大の接着層の特性を表1に示す。
【0093】
<実施例3>
1.紫外線吸収接着層の作製
色素化合物の種類を、N-ビニル-2-ピロリドン(NVP)に固形分10%となるように溶解させたBONASORB UA3912(商品名、インドール系化合物、表12中の「色素化合物(c2)」、吸収スペクトルの最大吸収波長:386nm、半値幅:53nm、オリエント化学工業(株)製)2.5重量部(固形分重量)に変更し、粘着剤層形成後の厚さが100μmとなるよう塗布したこと以外は、実施例1と同様にして粘着剤層(A-2)を形成した。
2.光学積層体の作製
上記位相差層付偏光板の透明保護フィルム側に積層する紫外線吸収接着層を、粘着剤層(A-2)に変更したこと以外は実施例1と同様に光学積層体を形成した。
得られた光学積層体は、粘着剤層(A-2)/保護フィルム付き偏光子/接着剤A/位相差フィルムA/接着剤A/位相差フィルムB/粘着剤層(B)の構成を有する。得られた光学積層体に関して、粘着剤層(A-2)側を光源側とし、耐光性試験を行った。耐光性試験の結果、および、位相差フィルムより視認側に位置する接着層のうち紫外線吸収能が最大の接着層の特性を表1に示す。
【0094】
<実施例4>
1.紫外線吸収接着層の作製
実施例1の紫外線吸収剤の種類を、ブチルアクリレートに固形分15%となるように溶解させた2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-(1-メチル-1-フェニルエチル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール(商品名:Tinuvin 928、表1中の「紫外線吸収剤(b2)」、吸収スペクトルの最大吸収波長:349nm、BASFジャパン社製)に変更し、添加量を1.5重量部(固形分重量)とした。さらに、色素化合物の種類を、けい皮酸系化合物(サンプル名:SOM-5-0103、表1中の「色素化合物(c3)」、吸収スペクトルの最大吸収波長:416nm、半値幅:50nm、オリエント化学工業(株)製)に変更して、0.2重量部(固形分重量)を直接添加し、粘着剤層形成後の厚さが100μmとなるよう塗布したこと以外は、実施例1と同様にして粘着剤層(A-3)を形成した。
2.光学積層体の作製
上記位相差層付偏光板の透明保護フィルム側に積層する粘着剤層を、粘着剤層(A-3)に変更したこと以外は実施例1と同様に光学積層体を形成した。
得られた光学積層体は、粘着剤層(A-3)/保護フィルム付き偏光子/接着剤A/位相差フィルムA/接着剤A/位相差フィルムA/粘着剤層(B)の構成を有する。得られた光学積層体に関して、粘着剤層(A-3)側を光源側とし、耐光性試験を行った。耐光性試験の結果、および、位相差フィルムより視認側に位置する接着層のうち紫外線吸収能が最大の接着層の特性を表1に示す。
【0095】
<実施例5>
1.紫外線吸収接着層の作製
実施例1の紫外線吸収剤(b1)の添加量を3.0重量部(固形分重量)に変更し、色素化合物の種類を、N-ビニル-2-ピロリドン(NVP)に固形分1%となるように溶解させたポルフィリン系化合物(サンプル名:FDB-001、表1中の「色素化合物(c4)」、吸収スペクトルの最大吸収波長:420nm、半値幅:14nm、山田化学工業(株)製)0.1重量部(固形分重量)として、粘着剤層形成後の厚さが100μmとなるよう塗布したこと以外は、実施例1と同様にして粘着剤層(A-4)を形成した。
2.光学積層体の作製
上記位相差層付偏光板の透明保護フィルム側に積層する粘着剤層を、粘着剤層(A-4)に変更したこと以外は実施例1と同様に光学積層体を形成した。
得られた光学積層体は、粘着剤層(A-4)/保護フィルム付き偏光子/接着剤A/位相差フィルムA/接着剤A/位相差フィルムB/粘着剤層(B)の構成を有する。得られた光学積層体に関して、粘着剤層(A-4)側を光源側とし、耐光性試験を行った。耐光性試験の結果、および、位相差フィルムより視認側に位置する接着層のうち紫外線吸収能が最大の接着層の特性を表1に示す。
【0096】
<実施例6>
上記保護フィルム付偏光子の偏光子側に接着剤Aを塗工し、接着剤A塗工面に位相差層を構成する位相差フィルムBを、偏光子の吸収軸と位相差フィルムBの遅相軸とがなす角度が45°となるように透明樹脂基材から転写し、UV照射(300mJ/cm)して接着剤Aを硬化することにより、位相差層付偏光板を得た。硬化した接着剤A(第1接着剤層)の厚みは1μmであった。
上記位相差層付偏光板の透明保護フィルム側に、実施例1と同様の粘着剤層(A-1)を積層した。上記位相差層付偏光板の位相差フィルムB側に、粘着剤層(B)を積層し、光学積層体を形成した。
得られた光学積層体は、粘着剤層(A-1)/保護フィルム付き偏光子/接着剤A/位相差フィルムB/粘着剤層(B)の構成を有する。得られた光学積層体に関して、粘着剤層(A-1)側を光源側とし、耐光性試験を行った。耐光性試験の結果、および、位相差フィルムより視認側に位置する接着層のうち紫外線吸収能が最大の接着層の特性を表1に示す。
【0097】
<実施例7>
上記保護フィルム付偏光子の偏光子側に接着剤Aを塗工し、接着剤A塗工面に第1の位相差層を構成する位相差フィルムBを、偏光子の吸収軸と位相差フィルムBの遅相軸とがなす角度が45°となるように透明樹脂基材から転写し、UV照射(300mJ/cm)して接着剤Aを硬化した。次いで、位相差フィルムBの偏光子と反対側の面に接着剤Aを塗工し、接着剤A塗工面に第2の位相差層を構成する位相差フィルムCを透明樹脂基材から転写し、UV照射(300mJ/cm)して接着剤Aを硬化することにより、位相差層付偏光板を得た。硬化した接着剤A(第1接着剤層、および第2接着剤層)の厚みは1μmであった。
上記位相差層付偏光板の透明保護フィルム側に、実施例1と同様の粘着剤層(A-1)を積層した。上記相差層付偏光板の位相差フィルムC側に、粘着剤層(B)を積層し、光学積層体を形成した。得られた光学積層体は、粘着剤層(A-1)/保護フィルム付き偏光子/接着剤A/位相差フィルムB/接着剤A/位相差フィルムC/粘着剤層(B)の構成を有する。得られた光学積層体に関して、粘着剤層(A-1)側を光源側とし、耐光性試験を行った。耐光性試験の結果、および、位相差フィルムより視認側に位置する接着層のうち紫外線吸収能が最大の接着層の特性を表1に示す。
【0098】
<実施例8>
上記保護フィルム付偏光子の偏光子側に実施例1と同様の粘着剤層(A-1)を貼り合せ、第1の位相差層を構成する位相差フィルムAを、偏光子の吸収軸と位相差フィルムAの遅相軸とがなす角度が15°となるように透明樹脂基材から転写した。次いで、位相差フィルムAの偏光子と反対側の面に粘着剤層(B)を貼り合せ、第2の位相差層を構成する位相差フィルムBを、偏光子の吸収軸と位相差フィルムBの遅相軸とがなす角度が75°であり、かつ位相差フィルムAの遅相軸と位相差フィルムBの遅相軸とがなす角度が60°となるように透明樹脂基材から転写し、位相差層付偏光板を得た。
上記位相差層付偏光板の透明保護フィルム側に、粘着剤層(B)を積層した。上記位相差層付偏光板の位相差フィルムB側に、粘着剤層(B)を積層し、光学積層体を形成した。得られた光学積層体は、粘着剤層(B)/保護フィルム付き偏光子/粘着剤層(A-1)/位相差フィルムA/粘着剤層(B)/位相差フィルムB/粘着剤層(B)の構成を有する。得られた光学積層体に関して、保護フィルム付き偏光子と接する粘着剤層(B)側を光源側とし、耐光性試験を行った。耐光性試験の結果、および、位相差フィルムより視認側に位置する接着層のうち紫外線吸収能が最大の接着層の特性を表1に示す。
【0099】
<比較例1>
実施例1の粘着剤層(A-1)において、紫外線吸収剤(b1)、色素化合物(c1)を共に含まない、アクリル系粘着剤組成物(a)のみとしたこと以外は、実施例1と同様にして粘着剤層(A1-1)を形成した。
実施例1の位相差層付偏光板の透明保護フィルム側に積層する粘着剤層を、粘着剤層(A1-1)に変更したこと以外は実施例1と同様に光学積層体を形成した。得られた光学積層体は、粘着剤層(A1-1)/保護フィルム付き偏光子/接着剤A/位相差フィルムA/接着剤A/位相差フィルムB/粘着剤層(B)の構成を有する。得られた光学積層体に関して、粘着剤層(A1-1)側を光源側とし、耐光性試験を行った。耐光性試験の結果、および、位相差フィルムより視認側に位置する接着層のうち紫外線吸収能が最大の接着層の特性を表1に示す。
【0100】
<比較例2>
実施例2の位相差層付偏光板の透明保護フィルム側に積層する粘着剤層を、粘着剤層(A1-1)に変更したこと以外は実施例2と同様に光学積層体を形成した。得られた光学積層体は、粘着剤層(A1-1)/保護フィルム付き偏光子/粘着剤層(B)/位相差フィルムA/粘着剤層(B)/位相差フィルムB/粘着剤層(B)の構成を有する。得られた光学積層体に関して、粘着剤層(A1-1)側を光源側とし、耐光性試験を行った。耐光性試験の結果、および、位相差フィルムより視認側に位置する接着層のうち紫外線吸収能が最大の接着層の特性を表1に示す。
【0101】
<比較例3>
実施例1の位相差層付偏光板の透明保護フィルム側に積層する粘着剤層を、粘着剤層(B)に変更したこと以外は実施例1と同様に光学積層体を形成した。得られた光学積層体は、粘着剤層(B)/保護フィルム付き偏光子/接着剤A/位相差フィルムA/接着剤A/位相差フィルムB/粘着剤層(B)の構成を有する。得られた光学積層体に関して、保護フィルム付き偏光子と接する粘着剤層(B)側を光源側とし、耐光性試験を行った。耐光性試験の結果、および、位相差フィルムより視認側に位置する接着層のうち紫外線吸収能が最大の接着層の特性を表1に示す。
【0102】
<比較例4>
実施例1の粘着剤層(A-1)において、色素化合物(c1)を含まず、粘着剤層形成後の厚さが100μmとなるよう塗布したこと以外は、実施例1と同様にして粘着剤層(A1-2)を形成した。
実施例1の位相差層付偏光板の透明保護フィルム側に積層する粘着剤層を、粘着剤層(A1-2)に変更したこと以外は実施例1と同様に光学積層体を形成した。得られた光学積層体は、粘着剤層(A1-2)/保護フィルム付き偏光子/接着剤A/位相差フィルムA/接着剤A/位相差フィルムB/粘着剤層(B)の構成を有する。得られた光学積層体に関して、粘着剤層(A1-2)側を光源側とし、耐光性試験を行った。耐光性試験の結果、および、位相差フィルムより視認側に位置する接着層のうち紫外線吸収能が最大の接着層の特性を表1に示す。
【0103】
<比較例5>
実施例4の粘着剤層(A-3)において、色素化合物(c3)を含まず、粘着剤層形成後の厚さが150μmとなるよう塗布したこと以外は、実施例4と同様にして粘着剤層(A1-3)を形成した。
実施例1の位相差層付偏光板の透明保護フィルム側に積層する粘着剤層を、粘着剤層(A1-3)に変更したこと以外は実施例1と同様に光学積層体を形成した。得られた光学積層体は、粘着剤層(A1-3)/保護フィルム付き偏光子/接着剤A/位相差フィルムA/接着剤A/位相差フィルムB/粘着剤層(B)の構成を有する。得られた光学積層体に関して、粘着剤層(A1-3)側を光源側とし、耐光性試験を行った。耐光性試験の結果、および、位相差フィルムより視認側に位置する接着層のうち紫外線吸収能が最大の接着層の特性を表1に示す。
【0104】
<比較例6>
実施例1の粘着剤層(A-1)において、紫外線吸収剤(b1)を含まず、色素化合物(c1)の添加量を0.3重量部(固形分重量)し、粘着剤層形成後の厚さが100μmとなるよう塗布したこと以外は、実施例1と同様にして粘着剤層(A1-4)を形成した。
実施例1の位相差層付偏光板の透明保護フィルム側に積層する粘着剤層を、粘着剤層(A1-4)に変更したこと以外は実施例1と同様に光学積層体を形成した。得られた光学積層体は、粘着剤層(A1-4)/保護フィルム付き偏光子/接着剤A/位相差フィルムA/接着剤A/位相差フィルムB/粘着剤層(B)の構成を有する。得られた光学積層体に関して、粘着剤層(A1-4)側を光源側とし、耐光性試験を行った。耐光性試験の結果、および、位相差フィルムより視認側に位置する接着層のうち紫外線吸収能が最大の接着層の特性を表1に示す。
【0105】
<比較例7>
実施例3の粘着剤層(A-2)において、紫外線吸収剤(b1)を含まず、色素化合物(c2)の添加量を0.5重量部(固形分重量)としたこと以外は、実施例3と同様にして粘着剤層(A1-5)を形成した。
実施例1の位相差層付偏光板の透明保護フィルム側に積層する粘着剤層を、粘着剤層(A1-5)に変更したこと以外は実施例1と同様に光学積層体を形成した。得られた光学積層体は、粘着剤層(A1-5)/保護フィルム付き偏光子/接着剤A/位相差フィルムA/接着剤A/位相差フィルムB/粘着剤層(B)の構成を有する。得られた光学積層体に関して、粘着剤層(A1-5)側を光源側とし、耐光性試験を行った。耐光性試験の結果、および、位相差フィルムより視認側に位置する接着層のうち紫外線吸収能が最大の接着層の特性を表1に示す。
【0106】
<比較例8>
実施例4の粘着剤層(A-3)において、紫外線吸収剤(b2)を含まないこと以外は、実施例4と同様にして粘着剤層(A1-6)を形成した。
実施例1の位相差層付偏光板の透明保護フィルム側に積層する粘着剤層を、粘着剤層(A1-6)に変更したこと以外は実施例1と同様に光学積層体を形成した。得られた光学積層体は、粘着剤層(A1-6)/保護フィルム付き偏光子/接着剤A/位相差フィルムA/接着剤A/位相差フィルムB/粘着剤層(B)の構成を有する。得られた光学積層体に関して、粘着剤層(A1-6)側を光源側とし、耐光性試験を行った。耐光性試験の結果、および、位相差フィルムより視認側に位置する接着層のうち紫外線吸収能が最大の接着層の特性を表1に示す。
【0107】
<比較例9>
実施例5の粘着剤層(A-4)において、紫外線吸収剤(b1)を含まないこと以外は、実施例5と同様にして粘着剤層(A1-7)を形成した。
実施例1の位相差層付偏光板の透明保護フィルム側に積層する粘着剤層を、粘着剤層(A1-7)に変更したこと以外は実施例1と同様に光学積層体を形成した。得られた光学積層体は、粘着剤層(A1-7)/保護フィルム付き偏光子/接着剤A/位相差フィルムA/接着剤A/位相差フィルムB/粘着剤層(B)の構成を有する。得られた光学積層体に関して、粘着剤層(A1-7)側を光源側とし、耐光性試験を行った。耐光性試験の結果、および、位相差フィルムより視認側に位置する接着層のうち紫外線吸収能が最大の接着層の特性を表1に示す。
【0108】
<比較例10>
実施例6の光学積層体において、位相差層付偏光板の透明保護フィルム側に積層する粘着剤層を、粘着剤層(A1-1)に変更したこと以外は実施例6と同様に光学積層体を形成した。得られた光学積層体は、粘着剤層(A1-1)/保護フィルム付き偏光子/接着剤A/位相差フィルムB/粘着剤層(B)の構成を有する。得られた光学積層体に関して、粘着剤層(A1-1)側を光源側とし、耐光性試験を行った。耐光性試験の結果、および、位相差フィルムより視認側に位置する接着層のうち紫外線吸収能が最大の接着層の特性を表1に示す。
【0109】
<比較例11>
実施例7の光学積層体において、位相差層付偏光板の透明保護フィルム側に積層する粘着剤層を、粘着剤層(A1-1)に変更したこと以外は実施例7と同様に光学積層体を形成した。得られた光学積層体は、粘着剤層(A1-1)/保護フィルム付き偏光子/接着剤A/位相差フィルムB/接着剤A/位相差フィルムC/粘着剤層(B)の構成を有する。得られた光学積層体に関して、粘着剤層A1-1側を光源側とし、耐光性試験を行った。耐光性試験の結果、および、位相差フィルムより視認側に位置する接着層のうち紫外線吸収能が最大の接着層の特性を表1に示す。
【0110】
<比較例12>
実施例1の光学積層体において、位相差層付偏光板の透明保護フィルム側に積層する粘着剤層を、粘着剤層(B)に変更し、位相差フィルムB側に積層する粘着剤層を、粘着剤層(A-1)に変更したこと以外は実施例1と同様に光学積層体を形成した。得られた光学積層体は、粘着剤層(B)/保護フィルム付き偏光子/接着剤A/位相差フィルムA/接着剤A/位相差フィルムB/粘着剤層(A-1)の構成を有する。得られた光学積層体に関して、保護フィルム付き偏光子と接する粘着剤層(B)側を光源側とし、耐光性試験を行った。耐光性試験の結果、および、位相差フィルムより視認側に位置する接着層のうち紫外線吸収能が最大の接着層の特性を表1に示す。
【0111】
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0112】
本発明の光学積層体は、有機EL表示装置などの画像表示装置に好適に用いられる。
【符号の説明】
【0113】
10 紫外線吸収接着層
20 保護層
21 第1の保護層
22 第2の保護層
30 偏光子
40 位相差層
41 第1の位相差層
42 第2の位相差層
100 光学積層体
101 光学積層体
102 光学積層体
103 光学積層体
104 光学積層体
図1
図2
図3
図4
図5