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特許7184554人力駆動車用駆動装置およびその制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】人力駆動車用駆動装置およびその制御方法
(51)【国際特許分類】
   B62M 6/45 20100101AFI20221129BHJP
   B62J 3/10 20200101ALI20221129BHJP
   B62J 50/22 20200101ALI20221129BHJP
   B62M 6/90 20100101ALI20221129BHJP
   H02P 29/02 20160101ALI20221129BHJP
【FI】
B62M6/45
B62J3/10
B62J50/22
B62M6/90
H02P29/02
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2018134370
(22)【出願日】2018-07-17
(65)【公開番号】P2020011583
(43)【公開日】2020-01-23
【審査請求日】2021-06-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】沼田 史英
(72)【発明者】
【氏名】土澤 康弘
(72)【発明者】
【氏名】木谷 哲也
(72)【発明者】
【氏名】中村 一良
【審査官】中川 隆司
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-263189(JP,A)
【文献】特開2003-348885(JP,A)
【文献】特開2015-071404(JP,A)
【文献】特開2003-134613(JP,A)
【文献】特開平08-175464(JP,A)
【文献】特開平08-276888(JP,A)
【文献】特開2011-111015(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62M 6/45
B62J 3/10
B62J 50/22
B62M 6/90
H02P 29/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クランク軸が正回転する場合に、第1回転方向に回転して人力駆動車の推進をアシストし、かつ前記クランク軸が逆回転する場合に、前記クランク軸からの駆動力が伝達されて、前記第1回転方向とは反対の第2回転方向に回転するように構成される電気モータと、
前記クランク軸が逆回転している状態において、前記第1回転方向への回転トルクが発生するように前記電気モータを制御する制御装置と、を含む人力駆動車用駆動装置。
【請求項2】
前記制御装置は、前記クランク軸の逆回転の回転速度が、予め定める第1速度以下になるように、前記電気モータを制御する、請求項1に記載の人力駆動車用駆動装置。
【請求項3】
前記制御装置は、前記クランク軸の回転状態に応じて、前記電気モータによって前記人力駆動車の推進をアシストするアシストモードと、前記電気モータによって前記人力駆動車の推進をアシストさせない非アシストモードとのいずれか一方で動作し、前記アシストモードの状態において、前記クランク軸が逆回転している状態になると、前記電気モータに前記第1回転方向への回転トルクを発生させる、請求項1または2に記載の人力駆動車用駆動装置。
【請求項4】
前記制御装置は、前記クランク軸が逆回転している状態において、予め定める条件が満たされると、前記電気モータに前記第1回転方向への回転トルクを発生させる、請求項1~3のいずれか一項に記載の人力駆動車用駆動装置。
【請求項5】
クランク軸が正回転する場合に、第1回転方向に回転して人力駆動車の推進をアシストし、かつ前記クランク軸が逆回転する場合に、前記クランク軸からの駆動力が伝達されて、前記第1回転方向とは反対の第2回転方向に回転するように構成される電気モータと、
前記クランク軸が逆回転している状態において、前記第1回転方向への回転トルクが発生するように前記電気モータを制御し、予め定める警告情報を通知装置に出力させる制御装置と、を含む人力駆動車用駆動装置。
【請求項6】
前記制御装置は、前記クランク軸の回転状態に応じて、前記電気モータによって前記人力駆動車の推進をアシストするアシストモードと、前記電気モータによって前記人力駆動車の推進をアシストさせない非アシストモードとのいずれか一方で動作し、前記アシストモードの状態において、前記クランク軸が逆回転している状態になると、前記通知装置に予め定める警告情報を出力させる、請求項5に記載の人力駆動車用駆動装置。
【請求項7】
前記制御装置は、前記クランク軸が逆回転している状態において、予め定める条件が満たされると、前記通知装置に予め定める警告情報を出力させる、請求項5または6に記載の人力駆動車用駆動装置。
【請求項8】
クランク軸が正回転する場合に、第1回転方向に回転して人力駆動車の推進をアシストし、かつ前記クランク軸が逆回転する場合に、前記クランク軸からの駆動力が伝達されて、前記第1回転方向とは反対の第2回転方向に回転するように構成される電気モータと、
バッテリに電気的に接続されるバッテリ接続部と、
スイッチング素子を有し、前記電気モータおよび前記バッテリ接続部を、前記スイッチング素子を介して電気的に接続するように構成される電気回路と、
前記クランク軸が逆回転している状態において、前記第1回転方向への回転トルクが発生するように前記電気モータを制御し、前記電気モータから前記バッテリ接続部への電流を遮断するように前記スイッチング素子を制御する制御装置と、を含む、人力駆動車用駆動装置。
【請求項9】
前記スイッチング素子は、トランジスタおよびリレーの少なくとも一方を含む、請求項8に記載の人力駆動車用駆動装置。
【請求項10】
前記スイッチング素子は、前記電気モータから前記バッテリ接続部への電流を遮断した状態で、前記バッテリ接続部から前記電気モータへの電流は遮断しないように構成される、請求項8または9に記載の人力駆動車用駆動装置。
【請求項11】
前記電気モータと、前記バッテリ接続部と、前記電気回路とが設けられる第1ハウジングをさらに含む、請求項8~10のいずれか1項に記載の人力駆動車用駆動装置。
【請求項12】
前記バッテリが収容される第2ハウジングをさらに含み、
前記バッテリ接続部および前記電気回路は、前記第2ハウジングに設けられる、請求項8~10のいずれか1項に記載の人力駆動車用駆動装置。
【請求項13】
前記制御装置は、前記クランク軸の回転状態に応じて、前記電気モータによって前記人力駆動車の推進をアシストするアシストモードと、前記電気モータによって前記人力駆動車の推進をアシストさせない非アシストモードとのいずれか一方で動作し、前記アシストモードの状態において、前記クランク軸が逆回転している状態になると、前記電気モータから前記バッテリ接続部への電流を遮断するように前記スイッチング素子を制御する、請求項8~12のいずれか1項に記載の人力駆動車用駆動装置。
【請求項14】
前記制御装置は、前記クランク軸が逆回転している状態において、予め定める条件が満たされると、前記電気モータから前記バッテリ接続部への電流を遮断するように前記スイッチング素子を制御する、請求項8~13のいずれか1項に記載の人力駆動車用駆動装置。
【請求項15】
クランク軸が正回転する場合に、第1回転方向に回転して人力駆動車の推進をアシストし、かつ前記クランク軸が逆回転する場合に、前記クランク軸からの駆動力が伝達されて、前記第1回転方向とは反対の第2回転方向に回転するように構成される電気モータと、
前記電気モータに連結される第1接続部と、前記クランク軸に連結される第2接続部とを備え、前記第1接続部の回転速度に対する第2接続部の回転速度の比率を変更するように構成される変速機と、
前記クランク軸が逆回転している状態において、前記第1回転方向への回転トルクが発生するように前記電気モータを制御し、前記クランク軸が逆回転する場合における前記比率が、前記クランク軸が正回転する場合における前記比率よりも小さくなるように前記変速機を制御する制御装置と、を含む、人力駆動車用駆動装置。
【請求項16】
前記制御装置は、前記クランク軸が逆回転している状態において、予め定める条件が満たされると、前記クランク軸が逆回転する場合における前記比率が、前記クランク軸が正回転する場合における前記比率よりも小さくなるように前記変速機を動作させる、請求項15に記載の人力駆動車用駆動装置。
【請求項17】
前記クランク軸が逆回転している状態において、前記制御装置は、予め定める警告情報を通知装置に出力させる、請求項8~14のいずれか1項に記載の人力駆動車用駆動装置。
【請求項18】
前記予め定める条件は、前記電気モータの前記第2回転方向への回転速度が、予め定める第2速度以上になることを含む、請求項4,7,14,16のいずれか一項に記載の人力駆動車用駆動装置。
【請求項19】
前記電気モータに連結される第1接続部と、前記クランク軸に連結される第2接続部とを備え、前記第1接続部の回転速度に対する第2接続部の回転速度の比率を変更するように構成される変速機をさらに含み、
前記予め定める条件は、前記クランク軸が逆回転している状態における前記変速機の回転部分の回転速度が、予め定める第3速度以上になることを含む、請求項4,7,14のいずれか一項に記載の人力駆動車用駆動装置。
【請求項20】
前記予め定める条件は、前記クランク軸が逆回転している状態における前記変速機の回転部分の回転速度が、予め定める第3速度以上になることを含む、請求項16に記載の人力駆動車用駆動装置。
【請求項21】
前記予め定める条件は、前記電気モータが前記第2回転方向への回転することによって発生した回生電圧が、予め定める第1の値以上になることを含む、請求項4,7,14,16のいずれか一項に記載の人力駆動車用駆動装置。
【請求項22】
前記予め定める条件は、前記電気モータが前記第2回転方向への回転することによって発生した回生電流が、予め定める第2の値以上になることを含む、請求項4,7,14,16のいずれか一項に記載の人力駆動車用駆動装置。
【請求項23】
クランク軸が正回転する場合に、第1回転方向に回転して人力駆動車の推進をアシストし、かつ前記クランク軸が逆回転する場合に、前記クランク軸からの駆動力が伝達されて、前記第1回転方向とは反対の第2回転方向に回転するように構成される電気モータを有する人力駆動車用駆動装置の制御方法であって、
前記クランク軸が逆回転している状態において、予め定める第1条件が満たされると、通知装置によって予め定める警告情報を出力し、予め定める警告情報を出力した後、予め定める第2条件が満たされると、前記第1回転方向への回転トルクを発生させるように前記電気モータを制御する第1制御、および、前記電気モータから出力される電流を遮断する第2制御、の少なくとも一方を行う、人力駆動車用駆動装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、人力駆動車用駆動装置およびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、特許文献1には、電気モータとクランク軸との間にワンウェイクラッチを備え、クランク軸を逆回転する場合、クランク軸に加えられる人力駆動力が電気モータに伝達される人力駆動車が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第4906982号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載される人力駆動車では、クランク軸が逆回転した場合、人力駆動力によって電気モータに誘起電圧が発生することによって不具合が生じる可能性がある。
【0005】
本開示の目的の1つは、クランク軸の逆回転に伴う電気モータの誘起電圧に起因する不具合を抑制するための人力駆動車用駆動装置およびその制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1側面に従う人力駆動車用駆動装置は、クランク軸が正回転する場合に、第1回転方向に回転して人力駆動車の推進をアシストし、かつ前記クランク軸が逆回転する場合に、前記クランク軸からの駆動力が伝達されて、前記第1回転方向とは反対の第2回転方向に回転するように構成される電気モータと、前記クランク軸が逆回転している状態、および、前記電気モータが前記第2回転方向に回転している状態の少なくとも一方において、前記第1回転方向への回転トルクが発生するように前記電気モータを制御する制御装置と、を含む。
【0007】
第1側面の人力駆動車用駆動装置によると、電気モータの第2回転方向への回転速度が減少するので、人力駆動力によって電気モータに発生する誘起電圧を抑制できる。これによって、クランク軸の逆回転に伴う電気モータの誘起電圧に起因する不具合を抑制できる。
【0008】
第1側面に従う第2側面の人力駆動車用駆動装置において、前記制御装置は、前記クランク軸の逆回転の回転速度が、予め定める第1速度以下になるように、前記電気モータを制御する。
【0009】
第2側面の人力駆動車用駆動装置によると、クランク軸の逆回転の回転速度を抑制して、電気モータの誘起電圧を不具合の生じにくい値以下に抑制できる。
【0010】
第1または第2側面に従う第3側面の人力駆動車用駆動装置において、前記制御装置は、前記クランク軸の回転状態に応じて、前記電気モータによって前記人力駆動車の推進をアシストするアシストモードと、前記電気モータによって前記人力駆動車の推進をアシストさせない非アシストモードとのいずれか一方で動作し、前記アシストモードの状態において、前記クランク軸が逆回転している状態、および、前記電気モータが前記第2回転方向に回転している状態の少なくとも一方になると、前記電気モータに前記第1回転方向への回転トルクを発生させる。
【0011】
第3側面の人力駆動車用駆動装置によると、制御装置がアシストモードで動作している場合に、クランク軸の逆回転に伴う電気モータの誘起電圧に起因する不具合を抑制できる。
【0012】
第1~第3側面のいずれか1つに従う第4側面の人力駆動車用駆動装置において、前記制御装置は、前記クランク軸が逆回転している状態、および、前記電気モータが前記第2回転方向に回転している状態の少なくとも一方において、予め定める条件が満たされると、前記電気モータに前記第1回転方向への回転トルクを発生させる。
【0013】
第4側面の人力駆動車用駆動装置によると、制御装置が電気モータに第1回転方向への回転トルクを発生させる制御を開始するタイミングを、予め定める条件によってコントロールできる。
【0014】
本開示の第5側面に従う人力駆動車用駆動装置は、クランク軸が正回転する場合に、第1回転方向に回転して人力駆動車の推進をアシストし、かつ前記クランク軸が逆回転する場合に、前記クランク軸からの駆動力が伝達されて、前記第1回転方向とは反対の第2回転方向に回転するように構成される電気モータと、前記クランク軸が逆回転している状態、および、前記電気モータが前記第2回転方向に回転している状態の少なくとも一方において、予め定める警告情報を通知装置に出力させる制御装置と、を含む。
【0015】
第5側面の人力駆動車用駆動装置によると、クランク軸の逆回転に伴うモータの誘起電圧に起因する不具合を抑制するために、予め定める警告情報によって、クランク軸の逆回転を停止させるように使用者に促したり、逆回転の回転速度を減少させるよう使用者に促したりできる。
【0016】
第5側面に従う第6側面の人力駆動車用駆動装置において、前記制御装置は、前記クランク軸の回転状態に応じて、前記電気モータによって前記人力駆動車の推進をアシストするアシストモードと、前記電気モータによって前記人力駆動車の推進をアシストさせない非アシストモードとのいずれか一方で動作し、前記アシストモードの状態において、前記クランク軸が逆回転している状態、および、前記電気モータが前記第2回転方向に回転している状態の少なくとも一方になると、前記通知装置に予め定める警告情報を出力させる。
【0017】
第6側面の人力駆動車用駆動装置によると、制御装置がアシストモードで動作している場合に、クランク軸の逆回転に伴うモータの誘起電圧に起因する不具合を抑制するために、予め定める警告情報によって、クランク軸の逆回転を停止させるように使用者に促したり、逆回転の回転速度を減少させるよう使用者に促したりできる。予め定める警告情報を出力させる。
【0018】
第5または第6側面に従うに従う第7側面の人力駆動車用駆動装置において、前記制御装置は、前記クランク軸が逆回転している状態、および、前記電気モータが前記第2回転方向に回転している状態の少なくとも一方において、予め定める条件が満たされると、前記通知装置に予め定める警告情報を出力させる。
【0019】
第7側面の人力駆動車用駆動装置によると、通知装置に予め定める警告情報の出力させるタイミングを予め定める条件によってコントロールできる。
【0020】
本開示の第8側面に従う人力駆動車用駆動装置は、クランク軸が正回転する場合に、第1回転方向に回転して人力駆動車の推進をアシストし、かつ前記クランク軸が逆回転する場合に、前記クランク軸からの駆動力が伝達されて、前記第1回転方向とは反対の第2回転方向に回転するように構成される電気モータと、バッテリに電気的に接続されるバッテリ接続部と、スイッチング素子を有し、前記電気モータおよび前記バッテリ接続部を、前記スイッチング素子を介して電気的に接続するように構成される電気回路と、前記クランク軸が逆回転している状態、および、前記電気モータが前記第2回転方向に回転している状態の少なくとも一方において、前記電気モータから前記バッテリ接続部への電流を遮断するように前記スイッチング素子を制御する制御装置と、を含む。
【0021】
第8側面の人力駆動車用駆動装置によると、電気モータからバッテリ接続部への電流を遮断するため、人力駆動力によって電気モータに発生する誘起電圧がバッテリ接続部に与えられることを抑制することができる。これによって、クランク軸の逆回転に伴う電気モータの誘起電圧に起因する不具合を抑制することができる。
【0022】
第8側面に従う第9側面の人力駆動車用駆動装置において、前記スイッチング素子は、トランジスタおよびリレーの少なくとも一方を含む。
【0023】
第9側面の人力駆動車用駆動装置によると、簡素な構成で電気モータとバッテリ接続部とを電気的に遮断できる。
【0024】
第8または第9側面に従う第10側面の人力駆動車用駆動装置において、前記スイッチング素子は、前記電気モータから前記バッテリ接続部への電流を遮断した状態で、前記バッテリ接続部から前記電気モータへの電流は遮断しないように構成される。
【0025】
第10側面の人力駆動車用駆動装置によると、バッテリ接続部から電気モータへの電流は遮断されないので、バッテリ接続部を介して電力が供給される電気回路を停止しなくてよい。
【0026】
第8~第10側面のいずれか1つに従う第11側面の人力駆動車用駆動装置において、前記電気モータと、前記バッテリ接続部と、前記電気回路とが設けられる第1ハウジングをさらに含む。
【0027】
第11側面の人力駆動車用駆動装置によると、バッテリをバッテリ接続部への電流を遮断しなくても、人力駆動力によって電気モータに発生する誘起電圧がバッテリに与えられることを抑制できる。
【0028】
第8~第11側面のいずれか1つに従う第12側面の人力駆動車用駆動装置において、前記バッテリが収容される第2ハウジングをさらに含み、前記バッテリ接続部および前記電気回路は、前記第2ハウジングに設けられる。
【0029】
第12側面の人力駆動車用駆動装置によると、バッテリの近くで、電気モータからバッテリ接続部への電流を遮断することができる。
【0030】
第8~第12側面のいずれか1つに従う第13側面の人力駆動車用駆動装置において、前記制御装置は、前記クランク軸の回転状態に応じて、前記電気モータによって前記人力駆動車の推進をアシストするアシストモードと、前記電気モータによって前記人力駆動車の推進をアシストさせない非アシストモードとのいずれか一方で動作し、前記アシストモードの状態において、前記クランク軸が逆回転している状態、および、前記電気モータが前記第2回転方向に回転している状態の少なくとも一方になると、前記電気モータから前記バッテリ接続部への電流を遮断するように前記スイッチング素子を制御する。
【0031】
第13側面の人力駆動車用駆動装置によると、制御装置がアシストモードで動作している場合に、電気モータからバッテリ接続部への電流を遮断することができる。
【0032】
第8~第13側面のいずれか1つに従う第14側面の人力駆動車用駆動装置において、前記制御装置は、前記クランク軸が逆回転している状態、および、前記電気モータが前記第2回転方向に回転している状態の少なくとも一方において、予め定める条件が満たされると、前記電気モータから前記バッテリ接続部への電流を遮断するように前記スイッチング素子を制御する。
【0033】
第14側面の人力駆動車用駆動装置によると、電気モータからバッテリ接続部への電流を遮断するタイミングを、予め定める条件によってコントロールできる。
【0034】
本開示の第15側面に従う人力駆動車用駆動装置は、クランク軸が正回転する場合に、第1回転方向に回転して人力駆動車の推進をアシストし、かつ前記クランク軸が逆回転する場合に、前記クランク軸からの駆動力が伝達されて、前記第1回転方向とは反対の第2回転方向に回転するように構成される電気モータと、前記電気モータに連結される第1接続部と、前記クランク軸に連結される第2接続部とを備え、前記第1接続部の回転速度に対する第2接続部の回転速度の比率を変更するように構成される変速機と、前記クランク軸が逆回転する場合における前記比率が、前記クランク軸が正回転する場合における前記比率よりも小さくなるように前記変速機を制御する制御装置と、を含む。
【0035】
第15側面の人力駆動車用駆動装置によると、第1接続部の回転速度に対する第2接続部の回転速度の比率を変更させることによって、人力駆動力によって電気モータが第2回転方向に回転する速度を減少させることができるため、人力駆動力によって電気モータに発生する誘起電圧を抑制できる。これによって、クランク軸の逆回転に伴う電気モータの誘起電圧に起因する不具合を抑制できる。
【0036】
第15側面に従う第16側面の人力駆動車用駆動装置において、前記制御装置は、前記クランク軸が逆回転している状態、および、前記電気モータが前記第2回転方向に回転している状態の少なくとも一方において、予め定める条件が満たされると、前記クランク軸が逆回転する場合における前記比率が、前記クランク軸が正回転する場合における前記比率よりも小さくなるように前記変速機を動作させる。
【0037】
第16側面の人力駆動車用駆動装置によると、クランク軸が逆回転する場合における第1接続部の回転速度に対する第2接続部の回転速度の比率が、クランク軸が正回転する場合における第1接続部の回転速度に対する第2接続部の回転速度の比率よりも小さくなるように変速機を動作させるタイミングを、予め定める条件によってコントロールできる。
【0038】
第5~第14側面のいずれか1つに従う第17側面の人力駆動車用駆動装置において、前記クランク軸が逆回転している状態、および、前記電気モータが前記第2回転方向に回転している状態の少なくとも一方において、前記制御装置は、前記第1回転方向への回転トルクが発生するように前記電気モータを制御する。
【0039】
第17側面の人力駆動車用駆動装置によると、電気モータの第2回転方向への回転速度が減少するので、人力駆動力によって電気モータに発生する誘起電圧を抑制できる。
【0040】
第8~14第側面のいずれか1つに従う第18側面の人力駆動車用駆動装置において、前記クランク軸が逆回転している状態、および、前記電気モータが前記第2回転方向に回転している状態の少なくとも一方において、前記制御装置は、予め定める警告情報を通知装置に出力させる。
【0041】
第18側面の人力駆動車用駆動装置によると、クランク軸の逆回転に伴うモータの誘起電圧に起因する不具合を抑制するために、予め定める警告情報によって、クランク軸114aの逆回転を停止させるように使用者に促したり、逆回転の回転速度を減少させるよう使用者に促したりできる。
【0042】
第8~第14側面のいずれか1つに従う第19側面の人力駆動車用駆動装置において、前記クランク軸が逆回転している状態、および、前記電気モータが前記第2回転方向に回転している状態の少なくとも一方において、前記制御装置は、前記第1回転方向への回転トルクが発生するように前記電気モータを制御し、予め定める警告情報を通知装置に出力させる。
【0043】
第19側面の人力駆動車用駆動装置によると、電気モータの第2回転方向への回転速度が減少するので、人力駆動力によって電気モータに発生する誘起電圧を抑制できる。またクランク軸の逆回転に伴うモータの誘起電圧に起因する不具合を抑制するために、予め定める警告情報によって、クランク軸の逆回転を停止させるように使用者に促したり、逆回転の回転速度を減少させるよう使用者に促したりできる。
【0044】
第4、第7、第14、第16側面のいずれか1つに従う第20側面の人力駆動車用駆動装置において、前記予め定める条件は、前記電気モータの前記第2回転方向への回転速度が、予め定める第2速度以上になることを含む。
【0045】
第20側面の人力駆動車用駆動装置によると、電気モータの誘起電圧は電気モータの回転速度に依存するので、電気モータの回転速度に閾値を設けて制御装置が制御を行うことによって、好適な制御を行うことができる。
【0046】
第4、第7、第14側面のいずれか1つに従う第21側面の人力駆動車用駆動装置において、前記電気モータに連結される第1接続部と、前記クランク軸に連結される第2接続部とを備え、前記第1接続部の回転速度に対する第2接続部の回転速度の比率を変更するように構成される変速機をさらに含み、前記予め定める条件は、前記クランク軸が逆回転している状態における前記変速機の回転部分の回転速度が、予め定める第3速度以上になることを含む。
【0047】
第21側面の人力駆動車用駆動装置によると、第1接続部の回転速度に対する第2接続部の回転速度の比率を変更させることによって、人力駆動力によって電気モータが第2回転方向に回転する速度を減少させることができるため、人力駆動力によって電気モータの誘起電圧を抑制できる。電気モータの誘起電圧は電気モータの回転速度に依存するので、変速機の回転部分の回転速度に閾値を設けて制御装置が制御を行うことによって、好適な制御を行うことができる。
【0048】
第16側面に従う第22側面の人力駆動車用駆動装置において、前記予め定める条件は、前記クランク軸が逆回転している状態における前記変速機の回転部分の回転速度が、予め定める第3速度以上になることを含む。
【0049】
第22側面の人力駆動車用駆動装置によると、電気モータの誘起電圧は電気モータの回転速度に依存するので、変速機の回転部分の回転速度に閾値を設けて制御装置が制御を行うことによって、好適な制御を行うことができる。
【0050】
第4、第7、第14、第16側面のいずれか1つに従う第23側面の人力駆動車用駆動装置において、前記予め定める条件は、前記電気モータが前記第2回転方向への回転することによって発生した回生電圧が、予め定める第1の値以上になることを含む。
【0051】
第23側面の人力駆動車用駆動装置によると、電気モータの回生電圧に閾値を設けて制御装置が制御を行うことによって、好適な制御を行うことができる。
【0052】
第4、第7、第14、第16側面のいずれか1つに従う第24側面の人力駆動車用駆動装置において、前記予め定める条件は、前記電気モータが前記第2回転方向への回転することによって発生した回生電流が、予め定める第2の値以上になることを含む。
【0053】
第24側面の人力駆動車用駆動装置によると、電気モータの回生電流に閾値を設けて制御装置が制御を行うことによって、好適な制御を行うことができる。
【0054】
第25側面に従う人力駆動車用駆動装置の制御方法は、クランク軸が正回転する場合に、第1回転方向に回転して人力駆動車の推進をアシストし、かつ前記クランク軸が逆回転する場合に、前記クランク軸からの駆動力が伝達されて、前記第1回転方向とは反対の第2回転方向に回転するように構成される電気モータを有する人力駆動車用駆動装置の制御方法であって、前記クランク軸が逆回転している状態、および、前記電気モータが前記第2回転方向に回転している状態の少なくとも一方において、予め定める第1条件が満たされると、通知装置によって予め定める警告情報を出力し、予め定める警告情報を出力した後、予め定める第2条件が満たされると、前記第1回転方向への回転トルクを発生させるように前記電気モータを制御する第1制御、および、前記電気モータから出力される電流を遮断する第2制御、の少なくとも一方を行う。
【0055】
第25側面の人力駆動車用駆動装置の制御方法によると、クランク軸の逆回転に伴うモータの誘起電圧に起因する不具合を抑制するために、予め定める警告情報によって、クランク軸の逆回転を停止させるように使用者に促したり、逆回転の回転速度を減少させるよう使用者に促したりできる。さらに、電気モータの第2回転方向への回転速度を減少させて、人力駆動力によって電気モータに発生する誘起電圧を抑制するか、または、電気モータから出力される電流を遮断することによって、クランク軸の逆回転に伴う電気モータの誘起電圧に起因する不具合を抑制できる。
【発明の効果】
【0056】
本開示の駆動装置によれば、クランク軸の逆回転に伴うモータの誘起電圧に起因する不具合を抑制するための人力駆動車用駆動装置およびその制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
図1】第1実施形態に係る駆動装置を含む人力駆動車の模式図である。
図2】第1実施形態に係る駆動装置の断面図である。
図3】第1実施形態に係る駆動装置のブロック図である。
図4】第1実施形態に係る駆動装置の制御フローを説明するフローチャートである。
図5】第2実施形態に係る駆動装置のブロック図である。
図6】第2実施形態に係る駆動装置の制御フローを説明するフローチャートである。
図7】第3実施形態に係る駆動装置のブロック図である。
図8】第3実施形態に係る駆動装置のブロック図である。
図9】第3実施形態に係る駆動装置の制御フローを説明するフローチャートである。
図10】第4実施形態に係る駆動装置のブロック図である。
図11】変速機を含む駆動装置の模式図である。
図12】第4実施形態に係る駆動装置の制御フローを説明するフローチャートである。
図13】第5実施形態に係る駆動装置のブロック図である。
図14】第5実施形態に係る駆動装置制御のフローを説明するフローチャートである。
図15】第6実施形態に係る駆動装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0058】
以下に添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。本発明は、実施形態によって限定されず、実施形態が複数ある場合には、各実施形態が組み合わされる構成を含む。たとえば、実施形態では、人力駆動車が自転車である場合について説明するが、人力駆動車は他の人力で駆動する車両であってもよい。第1実施形態に係る人力駆動車100は、少なくとも人力によって駆動することができる車両である。人力駆動車100は、車輪の数が限定されず、たとえば1輪車および3輪以上の車輪を有する車両も含む。人力駆動車100は、たとえばマウンテンバイク、ロードバイク、シティバイク、カーゴバイク、ハンドサイクル、および、リカンベントなど種々の種類の自転車、ならびに、電動自転車(E-bike)を含む。電動自転車は、電動モータによって車両の推進を補助する電動アシスト自転車を含む。人力以外の原動力のみを用いる車両は、人力駆動車100には含まれない。特に、内燃機関のみを原動力に用いる車両は、人力駆動車100には含まれない。通常、人力駆動車100には、小型軽車両が想定され、公道での運転に免許を要しない車両が想定される。
【0059】
図1に示すように、人力駆動車100は、自転車である。人力駆動車100は、フレーム102と、ハンドル104と、フロントフォーク106と、シートポスト108aと、サドル108と、前輪110と、後輪112と、を備える。人力駆動車100は、駆動部材として、ペダル114dと、クランク114と、第1回転体114C、第2回転体116と、連結部材118と、をさらに備える。人力駆動車100は、駆動補助部材として、バッテリユニット120と、駆動装置10と、をさらに備える。
【0060】
フレーム102は、たとえば、ヘッドチューブ102aと、トップチューブ102bと、ダウンチューブ102cと、シートチューブ102dと、シートステー102eと、チェーンステー120fと、を備える。ヘッドチューブ102aは、ハンドル104およびフロントフォーク106を支持する。トップチューブ102bは、一端がヘッドチューブ102aに接続され、他端がシートチューブ102dに接続される。ダウンチューブ102cは、一端がヘッドチューブ102aに接続され、他端がシートチューブ102dに接続される。シートステー102eは、一端がシートチューブ102dに接続され、他端がチェーンステー102fに接続される。チェーンステー102fは、一端がシートチューブ102dに接続され、他端がシートステー102eに接続される。ダウンチューブ102cの他端、シートチューブ102dおよびチェーンステー102fの一端は、たとえば、駆動装置10が取り付けられるブラケットを介して接続される。
【0061】
ハンドル104は、ヘッドチューブ102aに対して回転可能であり、フロントフォーク106に固定される。シートポスト108aは、シートチューブ102dに取り付けられる。サドル108は、シートポスト108aに固定される。
【0062】
前輪110は、フロントフォーク106に取り付けられる。前輪110は、フレーム102に対して回転可能である。後輪112は、シートステー102eとチェーンステー102fとの接続箇所として定義されるリアエンドに取り付けられる。後輪112は、フレーム102に対して回転可能である。
【0063】
クランク114は、クランク軸114aと、複数のクランクアーム114bと、を備える。クランク軸114aは、駆動装置10の第1ハウジング12に回転可能に支持されている。複数のクランクアーム114bは、クランク軸114aの軸方向の両端部にそれぞれ固定される。第1回転体114Cは、1つまたは歯数の異なる複数のフロントスプロケットを含む。第1回転体114Cが、複数のスプロケットを含む場合、複数のフロントスプロケットは、互いに接続されている。第1回転体114Cは、駆動装置10の合力部14に接続される。クランクアーム114bに取り付けられるペダル114dに使用者の力が加わると、クランク軸114a、および第1回転体114Cが回転する。
【0064】
第2回転体116は、リアスプロケットアセンブリを含む。第2回転体116は、後輪112に支持される。リアスプロケットアセンブリは、歯数の異なる複数のリアスプロケットを備える。第2回転体116は、後輪112と相対回転可能である。第2回転体116は、ワンウェイクラッチを介して後輪112に連結される。
【0065】
連結部材118は、チェーンを含む。連結部材118は、クランク114に入力された力を、第1回転体114Cから第2回転体116に伝達する。連結部材118は、第1回転体114Cおよび第2回転体116に巻きかけられている。
【0066】
人力駆動車100は、変速機121を含んでいてもよい。変速機121は、第1回転体114Cの回転速度に対する後輪112の回転速度の比率を変更するように構成される。変速機121は、操作装置を操作することによって、ワイヤを介して動作するように構成されてもよく、電動アクチュエータによって動作するように構成されてもよい。本実施形態では、変速機121は、ディレイラを含む。ディレイラは、フロントディレイラおよびリアディレイラの少なくとも一方を含む。変速機121は、ディレイラに代えて、または、加えて、内装変速機を含んでいてもよい。内装変速機は、たとえば後輪112のハブに設けられる。変速機121として、ディレイラに代えて、内装変速機を設ける場合は、フロントスプロケットおよびリアスプロケットはそれぞれ1枚のスプロケットを含んで構成される。
【0067】
第1回転体114Cおよび第2回転体116をプーリによって構成し、伝達体をベルトによって構成してもよい。第1回転体114Cおよび第2回転体116をベベルギアによって構成し、伝達体をシャフトによって構成してもよい。第1回転体114Cおよび第2回転体116をプーリまたはベベルギアによって構成し、変速機を設ける場合は、変速機はディレイラではなく、内装変速機を含んで構成される。
【0068】
バッテリユニット120は、バッテリ120aと、バッテリ120aが収容される第2ハウジング120bと、を備える。バッテリ120aは、充電可能な電池(充電池)であり、充電により、電力を蓄えることができる。バッテリ120aは、フレーム102の外部に取り付けられてもよく、少なくとも一部がフレーム102の内部に収容されてもよい。本実施形態では、バッテリユニット120は、ダウンチューブ102cに取り付けられる。バッテリ120aは、電気的に駆動装置10に接続されており、駆動装置10に電力を供給する。
【0069】
駆動装置10は、クランク114の周辺に配置される。駆動装置10は、フレーム102に取り付けられる。駆動装置10は、人力駆動車100の推進をアシストするように構成される。駆動装置10は、後述の電気モータ24を含み、人力駆動車100の推進をアシストする。電気モータ24の回転トルクは、合力部14および第1回転体114Cに伝達される。
【0070】
図2に示すように、駆動装置10は、クランク軸114aと、第1ハウジング12と、合力部14と、減速機構15と、ワンウェイクラッチ22と、電気モータ24と、を備える。
【0071】
第1ハウジング12は、クランク軸114aの少なくとも一部と、合力部14の少なくとも一部と、減速機構15と、ワンウェイクラッチ22と、電気モータ24の少なくとも一部と、を収容する。第1ハウジング12は、クランク軸114aの軸方向において一方の側壁にクランク軸114aおよび合力部14が貫通する孔12aを有する。第1ハウジング12は、クランク軸114aの軸方向において他方の側壁にクランク軸114aが貫通する孔12bを有する。第1ハウジング12は、合力部14とクランク軸114aとをクランク軸114aの回転軸心まわりに回転可能に支持する。
【0072】
合力部14は、クランク軸114aの外周部においてクランク軸114aと同軸に配置される。合力部14は、中空軸を含む。合力部14は、クランク軸114aの軸方向における一端14aが第1回転体114cに接続される。合力部14は、クランク軸114aの軸方向における他端14bがクランク軸114aに固定される。
【0073】
減速機構15は、第1歯車16、第2歯車18および第3歯車20を含む。第1歯車16は、クランク軸114aおよび合力部14と同軸に配置される。第1歯車16は、合力部14の外周部に固定され、合力部14と一体に回転する。本実施形態では、第1歯車16は、合力部14と別体で形成され合力部14に回転不能に固定されるが、合力部14と一体的に形成されてもよい。第1歯車16の外径は、合力部14の外径よりも大きい。第1歯車16は、外周部に第1歯部16aを有する。
【0074】
第2歯車18は、第1歯車16の径方向に隣接して配置される。第2歯車18の回転軸心は、クランク軸114a、合力部14および第1歯車16の回転軸心と平行である。第2歯車18は、第1ハウジング12に対して回転可能に第1ハウジング12に支持される。第2歯車18の外径は、第1歯車16の外径よりも小さい。第2歯車18は、外周の一部に第2歯部18aを有する。第2歯部18aは、第1歯部16aと噛み合う。第2歯部18aの歯数は、第1歯部16aの歯数よりも少ない。
【0075】
第3歯車20は、第2歯車18と同軸に配置される。第3歯車20は、ワンウェイクラッチ22を介して第2歯車18に接続される。第3歯車20の外径は、第2歯車18の外径よりも大きい。第3歯車20は、外周部に第3歯部20aを有する。第3歯車20は、第1ハウジング12に対して回転可能に第1ハウジング12に支持される。
【0076】
ワンウェイクラッチ22は、電気モータ24が第1回転方向RAに回転した場合、電気モータ24の出力軸24cの回転トルクを合力部14に伝達し、クランク軸114aが正回転した場合、合力部14の回転トルクを電気モータ24の出力軸24cに伝達しないように構成される。ワンウェイクラッチ22は、電気モータ24が第2回転方向RBに回転した場合、電気モータ24の出力軸24cの回転トルクを合力部14に伝達せず、クランク軸114aが逆回転した場合、合力部14の回転トルクを電気モータ24の出力軸24cに伝達するように構成される。ワンウェイクラッチ22は、本実施形態において、第3歯車20と第2歯車18との間に設けられる。第1回転方向RAは、クランク軸114aを正回転させる方向に対応する。本実施形態において、第1回転方向RAは、クランク軸114aの正回転と同じ方向である。第2回転方向RBは、第1回転方向RAと反対の方向である。本実施形態において、第2回転方向RBは、クランク軸114aの逆回転と同じ方向である。
【0077】
電気モータ24は、クランク軸114aの径方向にクランク軸114aから離れて配置される。本実施形態において、電気モータ24は、インナーロータ式のモータである。電気モータ24は、ブラシレスモータを含む。電気モータ24は、ロータ24aと、ステータ24bと、ロータ24aとともに回転する出力軸24cとを含む。出力軸24cの回転軸心は、クランク軸114aの回転軸心と平行である。出力軸24cの外径は、第3歯車20の外径よりも小さい。出力軸24cは、第3歯部20aと噛み合う出力歯部24dを有する。出力歯部24dは、出力軸24cと一体に形成されてもよく、出力軸24cとは別体で形成されて出力軸24cに固定されてもよい。出力歯部24dの歯数は、第3歯部20aの歯数よりも少ない。
【0078】
本実施形態では、ワンウェイクラッチ22は、第2歯車18と第3歯車20との間に設けられているが、ワンウェイクラッチ22は、合力部14と第1歯車16との間、または、出力歯部24dと出力軸24cとの間に設けられてもよい。ワンウェイクラッチ22は、ラチェット式クラッチ、ローラクラッチ、または、スプラグクラッチを含む。
【0079】
電気モータ24は、図1に示すバッテリ120aと電気的に接続しており、バッテリ120aの電力によって駆動される。電気モータ24は、クランク軸114aが正回転する場合に、第1回転方向RAに回転するように構成される。電気モータ24は、第1回転方向RAに回転した場合に、人力駆動車100の推進をアシストするように構成される。電気モータ24が第1回転方向RAに回転した場合に、電気モータ24の駆動力は、出力軸24cと第3歯車20と第2歯車18と第1歯車16とを介して合力部14およびクランク軸114aに伝達されて、図1に示す第1回転体114cを正回転させる。ワンウェイクラッチ22は、クランク114に加えられた使用者の正回転方向の人力駆動力が電気モータ24に伝達されることを回避する。電気モータ24は、クランク軸114aが逆回転する場合に、クランク軸114aからの駆動力が伝達されて、第1回転方向RAとは反対の第2回転方向RBに回転するように構成される。クランク軸114aが逆回転する場合に、人力駆動力は、クランク軸114a、合力部14、第3歯車20、ワンウェイクラッチ22、第2歯車18、第1歯車16を介して、出力軸24Cに伝達されて、図1に示す電気モータ24のロータ24aを第2回転方向RBに回転させる。
【0080】
電気モータ24の回転トルクは、出力軸24cおよび第3歯車20と、第2歯車18および第1歯車16とによって、2段階で減速される。減速機構15としての構成は、本実施形態に限らない。たとえば、減速機構15は、歯車を2つ用いて1段階で減速したり、歯車を6つ以上用いて3段階以上にわたって減速したりする構成としてもよい。減速機構15は、遊星歯車機構、ベルトおよびチェーンのいずれか1つを含んでいてもよい。
【0081】
図3に示すように、駆動装置10は、バッテリ接続部26と、電気回路28と、をさらに含む。バッテリ接続部26は、バッテリ120aに電気的に接続される。電気回路28は、通常動作時において、バッテリ接続部26から電気モータ24への電流が流れる正側電流径路28aと、電気モータ24からバッテリ接続部26への電流が流れる負側電流径路28bと、を含む。電気回路28は、電気モータ24およびバッテリ接続部26を、電気的に接続するように構成される。
【0082】
駆動装置10は、さらに、制御装置30を含む。制御装置30は、コンピュータを含み、予め定められる制御プログラムを実行する演算処理装置を含む。演算処理装置は、たとえばCPU(Central Processing Unit)、または、MCU(Micro Controller Unit)を含む。制御装置30は、1つまたは複数のマイクロコンピュータを含んでいてもよい。制御装置30は、複数の場所に離れて配置される複数の演算処理装置を含んでいてもよい。制御装置30は、記憶部をさらに含む。記憶部には、各種の制御プログラムおよび各種の制御処理に用いられる情報が記憶される。記憶部は、たとえば不揮発性メモリおよび揮発性メモリを含む。記憶部は、たとえばROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)、などを含む。制御装置30の各機能は、演算処理装置が予め定められる制御プログラムを実行することで実現される。制御装置30は、電気モータ24と電気的に接続し、電気モータ24を制御する。本実施形態において、制御装置30は、電気回路28の一部に含まれる。制御装置30は、バッテリ120aから電力供給を受けて動作するが、バッテリ120aとは異なるバッテリから電力供給を受けてもよい。バッテリ120aとは異なるバッテリは、たとえば、人力駆動車100または駆動装置10に設けられる。制御装置30は、たとえば第1ハウジング12に設けられる。制御装置30は、モータ駆動回路30cをさらに含む。モータ駆動回路30cは、インバータ回路を含む。モータ駆動回路30cは、制御装置30とは別に設けられてもよい。モータ駆動回路30cは、バッテリ接続部26と、電気モータ24とに接続される。モータ駆動回路30cは、制御装置30に含まれるコンピュータによって制御される。
【0083】
制御装置30は、検出部30aを含む。検出部30aは、クランク軸114aの回転方向および回転速度と、電気モータ24の回転方向および回転速度と、電気回路28の電圧および電流と、を検知するように構成される。検出部30aは、クランク軸114aの回転方向および回転速度を検出するための第1検出部と、電気モータ24の回転方向および回転速度とを検出するための第2検出部と、電気回路28の電圧を検出するための第3検出部と、電気回路28の電流を検出するための第4検出部と、を含む。第1検出部および第2検出部は、たとえば、磁気センサおよびロータリエンコーダなどを含む。第2検出部は、たとえば、電気モータ24に流れる電流の変化から、電気モータ24の回転方向および回転速度を検出してもよい。第3検出部は、電圧センサを含む。第4検出部は、電流センサを含む。第1検出部、第2検出部、第3検出部および第4検出部のいずれか1つ、2つ、または、3つは、制御装置30が実行する処理において不要であれば、省略してもよい。
【0084】
制御装置30は、クランク軸114aの回転状態に応じて、電気モータ24によって人力駆動車100の推進をアシストするアシストモードと、電気モータ24によって人力駆動車100の推進をアシストさせない非アシストモードとのいずれか一方で動作する。アシストモードおよび非アシストモードは、たとえば操作部によって選択することができる。操作部は、たとえばハンドル104に設けられる。操作部は、モード選択スイッチを含む。制御装置30は、操作部の操作に応じて、アシストモードおよび非アシストモードを設定する。制御装置30使用者が図1に示すペダル114dに人力駆動力を加えてクランク114を第1クランク回転方向F1に回転させると、第1回転体114c、連結部材118および第2回転体116を介して後輪112が回転して、人力駆動車100は走行する。本実施形態において、第1クランク回転方向F1は、正回転方向である。使用者が図1に示すペダル114dに人力駆動力を加えてクランク114を第1クランク回転方向F1とは反対の第2クランク回転方向F2に回転させると、第1回転体114c、連結部材118および第2回転体116は回転するが、後輪112が回転せず、人力駆動車100は走行しない。本実施形態において、第2クランク回転方向F2は、逆回転方向である。第1アシストモードにおいて、制御装置30は、たとえばクランク軸114aが正回転し、かつ、人力駆動力が予め定める値以上になると、電気モータ24を駆動して、アシスト力を発生させ、人力駆動力に対する電気モータ24によるアシスト力の比率が、予め定める値になるように電気モータ24を制御する。アシストモードは、人力駆動力に対する電気モータ24によるアシスト力の比率が異なる複数のアシストモードを含んでいてもよい。制御装置30は、人力駆動力に加えて、車速およびクランク軸114aの回転速度の少なくとも1つに応じて電気モータ24を制御してもよい。
【0085】
駆動装置10は、人力駆動力を検出するためのセンサ40をさらに含む。センサ40は、制御装置30に有線または無線によって接続される。センサ40は、たとえば人力駆動力のトルクを検出するために用いられる。センサ40は、たとえば、第1ハウジング12に設けられる。センサ40は、クランク114に入力される人力駆動力に応じた信号を出力する。センサ40は、歪センサまたは磁歪センサなどを含む。歪センサは、歪ゲージを含む。センサ40が歪センサを含む場合、歪センサは、好ましくは、合力部14の外周部に設けられる。センサ40が磁歪センサを含む場合、磁歪センサは、好ましくは、合力部14の外周部に形成される磁歪素子の状態を検出するように、合力部14の外周部に設けられる。駆動装置10は、クランク軸114aが逆回転したり、人力駆動力が予め定める値未満になったりすると、電気モータ24の第1回転方向RAへの駆動を停止する。
【0086】
図1に示すクランク114が逆回転している状態において、クランク軸114aは逆回転する。クランク軸114aが逆回転している状態において、クランク軸114aの回転力は、図2に示す合力部14、第1歯車16、第2歯車18、ワンウェイクラッチ22および第3歯車20を介して、電気モータ24に伝達され、電気モータ24を第2回転方向RBに回転させる。この場合、電気モータ24に誘起電圧が発生し、電気回路28には、回生電流RCが流れる場合がある。
【0087】
駆動装置10は、クランク軸114aが逆回転している状態、および、電気モータ24が第2回転方向RBに回転している状態の少なくとも一方において、第1回転方向RAへの回転トルクが発生するように電気モータ24を制御する。検出部30aの検出結果が、クランク軸114aが逆回転している状態、および、電気モータ24が第2回転方向RBに回転している状態の少なくとも一方に対応する場合、制御装置30は、第1回転方向RAへの回転トルクが発生するように電気モータ24を制御する。クランク軸114aが逆回転している状態、および、電気モータ24が第2回転方向RBに回転している状態では、制御装置30は、第2回転方向RBへの回転トルクを減少させるように電気モータ24を制御する。電気モータ24の第2回転方向RBへの回転トルクが減少することによって、人力駆動力によって発生する電気モータ24の誘起電圧および電気回路28に流れる回生電流は減少する。制御装置30は、クランク軸114aの逆回転の回転速度が、予め定める第1速度以下になるように、電気モータ24を制御してもよい。予め定める第1速度は、予め定める第1速度で第2回転方向RBに電気モータ24が回転している場合に、誘起電圧および回生電流が、電気回路28およびバッテリ120aの耐電圧および耐電流を超えないように設定される。電気モータ24の誘起電圧は、電気モータ24の回転数に比例するので、電気モータ24の回転数を制御することによって、電気モータ24の誘起電圧を制御できる。
【0088】
制御装置30は、好ましくは、アシストモードの状態において、クランク軸114aが逆回転している状態、および、電気モータ24が第2回転方向RBに回転している状態の少なくとも一方になると、電気モータ24に第1回転方向RAへの回転トルクを発生させるように電気モータ24を制御する。本実施形態では、制御装置30は、非アシストモードの状態において、クランク軸114aが逆回転している状態、および、電気モータ24が第2回転方向RBに回転している状態の少なくとも一方において、電気モータ24が第1回転方向RAへの回転トルクを発生させるように電気モータ24を制御しない。
【0089】
制御装置30は、クランク軸114aが逆回転している状態、および、電気モータ24が第2回転方向RBに回転している状態の少なくとも一方において、予め定める条件が満たされると、電気モータ24に第2回転方向RBへの回転トルクを発生させるようにしてもよい。予め定める条件は、たとえば、以下の(1)~(3)の条件の少なくともいずれか1つを含む。
(1)電気モータ24の第2回転方向RBへの回転速度が、予め定める第2速度以上になる。
(2)電気モータ24が第2回転方向RBへの回転することによって発生した回生電圧が、予め定める第1の値以上になる。
(3)電気モータ24が第2回転方向RBへの回転することによって発生した回生電流が、予め定める第2の値以上になる。
【0090】
予め定める条件は、(1)~(3)の条件のいずれか1つのみを含んでいてもよく、(1)~(3)の条件のいずれか2つのみを含んでいてもよく、(1)~(3)の条件の全てを含んでいてもよい。
【0091】
第1実施形態の駆動装置10における制御装置30による制御フローの例を、図4に示すフローチャートによって説明する。制御装置30は、電力が供給されるとステップS1に移行して、処理を開始する。制御装置30は、フローチャートの処理を終了すると、電力の供給が停止されるまでは所定周期毎にステップS1から処理を開始する。ステップS1において、制御装置30は、アシストモードが設定されていると判定する場合、ステップS2に移行し、アシストモードが設定されていないと判定する場合、処理を終了する。
【0092】
ステップS2において、制御装置30は、検出部30aによってクランク軸114aの回転状況を取得し、クランク軸114aが逆回転しているか否かを判定する。ステップS2において、制御装置30が、クランク軸114aは逆回転していないと判定した場合、ステップS3に移行し、クランク軸114aは逆回転していると判定した場合、ステップS4に移行する。
【0093】
ステップS3において、制御装置30は、検出部30aによって電気モータ24の回転状況を取得し、電気モータ24が第2回転方向RBに回転しているか判定する。ステップS3において、制御装置30が、電気モータ24が第2回転方向RBに回転していると判定した場合、ステップS4に移行し、電気モータ24が第2回転方向RBに回転していないと判定した場合、処理を終了する。
【0094】
ステップS4において、制御装置30は、検出部30aによって電気モータ24の第2回転方向RBへの回転速度を取得し、電気モータ24の第2回転方向RBへの回転速度が、予め定める第2速度以上か否かを判定する。ステップS4において、制御装置30が、電気モータ24の第2回転方向RBへの回転速度が、予め定める第2速度以上であると判定した場合、ステップS5に移行し、電気モータ24の第2回転方向RBへの回転速度が、予め定める第2速度以上ではないと判定した場合、ステップS6に移行する。
【0095】
ステップS6において、制御装置30は、検出部30aによって電気モータ24の誘起電圧が、予め定める第1の値以上か否かを判定する。ステップS6において、制御装置30が、電気モータ24の誘起電圧が、予め定める第1の値以上であると判定すると、ステップS5に移行し、電気モータ24の誘起電圧が、予め定める第1の値以上ではないと判定すると、ステップS7に移行する。
【0096】
ステップS7において、制御装置30は、検出部30aによって電気回路28の回生電流RCが、予め定める第2の値以上か否かを判定する。ステップS7において、制御装置30は、電気回路28の回生電流RCが、予め定める第2の値以上であると判定すると、ステップS5に移行し、電気回路28の回生電流RCが、予め定める第2の値以上ではないと判定すると、処理を終了する。
【0097】
ステップS5において、制御装置30は、検出部30aによってクランク軸114aの逆回転の回転速度を取得し、クランク軸114aの逆回転の回転速度が、予め定める第1速度以下になるように、電気モータ24に第1回転方向RAの回転トルクを発生させ、処理を終了する。ステップS5の処理によって、電気モータ24の第2回転方向RBの回転トルクが減少する。
【0098】
図4のフローチャートにおいて、ステップS1を省略してもよい。この場合、アシストモードが設定されていない場合においても、アシストモードが設定されている場合と同様に、制御装置30が電気モータ24を制御できる。
【0099】
図4のフローチャートにおいて、ステップS2およびステップS3のいずれか1つを省略してもよい。ステップS3を省略する場合、ステップS2において制御装置30の判定がNOの場合、処理を終了する。ステップS2を省略する場合、ステップS1において、制御装置30の判定がNOの場合、ステップS3に移行する。図4のフローチャートにおいて、ステップS2およびステップS3の順序は入れ代えてもよい。ステップS2およびステップS3の順序を入れ代える場合、ステップS1が終了すると、ステップS3に移行し、ステップS3において制御装置30の判定がNOの場合、ステップS2に移行し、ステップS2において制御装置30の判定がNOの場合、処理を終了する。
【0100】
図4のフローチャートにおいて、ステップS4、ステップS6およびステップS7のうちの1つ、または、2つを省略してもよい。ステップS4、ステップS6およびステップS7のうちの2つを省略する場合、ステップS2またはステップS3において、制御装置30の判定がYESの場合、ステップS4、ステップS6およびステップS7のうちのいずれか1つに移行し、制御装置30の判定がNOの場合、処理を終了する。ステップS4、ステップS6およびステップS7のうちの1つを省略する場合、ステップS2またはステップS3において、制御装置30の判定がYESの場合、ステップS4、ステップS6およびステップS7のうちのいずれか2つのうちの一方に移行し、制御装置30の判定がNOの場合、ステップS4、ステップS6およびステップS7のうちのいずれか2つのうちの他方に移行し、ステップS4、ステップS6およびステップS7のうちのいずれか2つのうちの他方において、制御装置30の判定がNOの場合、処理を終了する。
【0101】
図4のフローチャートにおいて、ステップS4、ステップS6およびステップS7の順序は入れ代えてもよい。ステップS4、ステップS6およびステップS7の順序は入れ代える場合、ステップS2またはステップS3において制御装置30の判定がYESの場合、ステップS4、ステップS6およびステップS7のうちのいずれか一方に移行し、各ステップにおいて、制御装置30の判定がNOの場合、次のステップがある場合には次のステップに移行し、次のステップがない場合には、処理を終了する。
【0102】
予め定める条件は、(1)~(3)の条件に代えて、以下の(4)~(7)の条件のいずれか1つを含んでいてもよい。
(4)クランク軸114aが予め定める回数以上、逆回転する。
(5)クランク軸114aの逆回転が予め定める時間継続する。
(6)電気モータ24が予め定める回数以上、第2回転方向RBに回転する。
(7)電気モータ24の第2回転方向RBへの回転が予め定める時間継続する。
【0103】
たとえば、図4のフローチャートにおいて、ステップS4、ステップS6およびステップS7に代えて、クランク軸114aの逆回転を検出してから、クランク軸114aが予め定める回数以上逆回転した否かを判定するか、予め定める経過時間をクランク軸114aの逆回転が継続したか否かを判定するか、電気モータ24の第2回転方向RBへの回転を検出してから、電気モータ24が予め定める回数以上、第2回転方向RBに回転した否かを判定するか、または、電気モータ24の第2回転方向RBへの回転が予め定める時間継続したか否かを判定し、制御装置30の判定がYESの場合、ステップS5に移行し、制御装置30の判定がNOの場合、処理を終了するようにしてもよい。
【0104】
第1実施形態に係る駆動装置10は、クランク軸114aが逆回転している状態、および、電気モータ24が第2回転方向RBに回転している状態の少なくとも一方において、電気モータ24の第2回転方向RBへの回転速度を減少させて、電気モータ24の誘起電圧および電気回路28の回生電流を減少させることができる。駆動装置10は、電気モータ24が第2回転方向RBに回転することによって発生する誘起電圧および回生電流が、電気モータ24、バッテリ120aおよび電気回路28などの電気部品の耐電圧および耐電流を超えないように制御して、誘起電圧に起因する故障を抑制できる。
【0105】
次に、図5を用いて、第2実施形態の駆動装置10を説明する。第2実施形態の駆動装置10は、第1実施形態の駆動装置10と比較して、制御装置30の構成が異なり、その他の構成は第1実施形態の駆動装置10と同様である。第2実施形態の駆動装置10において、第1実施形態の駆動装置10と同一の構成については同一の参照符号を付して説明を省略し、異なる構成について説明する。第2実施形態の駆動装置10において、制御装置30は、第1実施形態の制御装置30の構成に加えて、さらに、通知部30bを含む。通知部30bは、警告情報を通知装置122に出力させる。通知部30bは、通知装置122と有線または無線によって接続される。通知装置122は、本実施形態において、第1ハウジング12の外部に設けられるが、第1ハウジング12の内部に設けられてもよく、使用者が保持していてもよい。通知装置122は、たとえば、図1に示すハンドル104に、取り付けられてもよい。通知装置122は、視覚的に予め定める警報情報を通知する表示装置、音によって予め定める警報情報を通知するスピーカ、光によって予め定める警報情報を通知する発光装置の少なくともいずれか1つを含む。表示装置は、たとえば、液晶表示装置、有機EL(Electro Luminescence)表示装置、および、LED(Light Emitting Diode)などを含む。発光装置は、たとえば、LEDを含む。通知装置122は、無線通信可能な携帯型電子装置を含んでいてもよい。携帯型電子装置は、たとえばサイクルコンピュータ、および、スマートフォンなどを含む。予め定める警告情報は、好ましくは、たとえば、クランク軸114aの逆回転の停止を促す内容、および、クランク軸114aの逆回転の回転速度の減少を促す内容の少なくとも一方を含む。通知装置122が、スピーカを含む場合には、予め定める警告情報は、予め定める音および予め定める音声の少なくとも一方を含む。通知装置122が、発光装置を含む場合には、予め定める警告情報は、予め定める色および予め定める発光パターンの少なくとも一方を含む。
【0106】
駆動装置10は、クランク軸114aが逆回転している状態、および、電気モータ24が第2回転方向RBに回転している状態の少なくとも一方において、通知装置122に予め定める警告情報を出力させる。検出部30aの検出結果が、クランク軸114aが逆回転している状態、および、電気モータ24が第2回転方向RBに回転している状態の少なくとも一方に対応する場合、制御装置30の通知部30bは、予め定める警告情報を通知装置122に出力させる。予め定める警告情報に使用者が気づいて、クランク軸114aの逆回転を停止させる、または、逆回転の回転速度を減少させることによって、電気モータ24の第2回転方向RBへの回転速度が減少する。電気モータ24の第2回転方向RBへの回転速度が減少することによって、電気モータ24の誘起電圧および電気回路28の回生電流は減少する。
【0107】
制御装置30は、好ましくは、アシストモードの状態において、クランク軸114aが逆回転している状態、および、電気モータ24が第2回転方向RBに回転している状態の少なくとも一方になると、通知装置122に予め定める警告情報を出力させる。クランク軸114aが逆回転された場合、制御装置30は、通知装置122に予め定める警告情報を出力させる。
【0108】
制御装置30は、クランク軸114aが逆回転している状態、および、電気モータ24が第2回転方向RBに回転している状態の少なくとも一方において、予め定める条件が満たされると、通知装置122に予め定める警告情報を出力させるようにしてもよい。予め定める条件は、第1実施形態と同様である。
【0109】
第2実施形態の駆動装置10における制御装置30による制御フローの例を、図6に示すフローチャートによって説明する。図6のフローチャートは、図4に示すフローチャートにおいてステップS5をステップS15に置き換え、図6のフローチャートにおいて、ステップS15以外の各ステップは図4に示すフローチャートの各ステップと同様であるので、同様のステップには同様のステップ番号を付して、説明を省略する。
【0110】
ステップS4、ステップS6およびステップS7の少なくとも1つにおいて、制御装置30の判定がYESである場合、ステップS15に移行する。ステップS15において、制御装置30は、通知装置122に予め定める警告情報を通知させて、処理を終了する。
【0111】
第2実施形態に係る駆動装置10は、電気モータ24が第2回転方向RBに回転することによって発生する誘起電圧および回生電流が、電気モータ24、バッテリ120aおよび電気回路28などの電気部品の耐電圧および耐電流を超えないように警告して、誘起電圧の抑制を使用者に促すことができる。
【0112】
次に、図7および図8を用いて、第3実施形態の駆動装置10を説明する。第3実施形態の駆動装置10は、第1実施形態の駆動装置10と比較して、電気回路28の構成が異なり、その他の構成は第1実施形態の駆動装置10と同様である。第3実施形態の駆動装置10において、第1実施形態の駆動装置10と同一の構成について同一の参照符号を付して説明を省略し、異なる構成について説明する。第3実施形態の駆動装置10において、電気回路28は、第1実施形態の電気回路28の構成に加えて、さらに、スイッチング素子SWを有する。スイッチング素子SWは、トランジスタおよびリレーの少なくとも一方を含む。本実施形態において、スイッチング素子SWは、正側電流径路28aに設けられるが、負側電流径路28bに設けられてもよい。電気回路28は、電気モータ24およびバッテリ接続部26を、スイッチング素子SWを介して電気的に接続するように構成される。制御装置30は、スイッチング素子SWと電気的に接続され、スイッチング素子SWを制御する。スイッチング素子SWは、電気モータ24からバッテリ接続部26への電流を遮断した状態で、バッテリ接続部26から電気モータ24への電流は遮断しないように構成されてもよい。本実施形態において、スイッチング素子SWは、PNPトランジスタを含む。制御装置30がスイッチング素子SWをONに制御する場合、スイッチング素子SWは、電気モータ24からバッテリ接続部26への電流を遮断しないので、図7に矢印A1、A2で示すように、バッテリ接続部26とモータ駆動回路30cとの間で電流は双方向に流れる。制御装置30がスイッチング素子SWをOFFに制御する場合、スイッチング素子SWは、アノードがバッテリ接続部26に接続され、カソードがモータ駆動回路30cに接続されるダイオードとして機能するので、図8に矢印A1で示すように、バッテリ接続部26からモータ駆動回路30cへの電流は流れるが、電気モータ24からバッテリ接続部26への電流を遮断し、電気回路28の回生電流はゼロになる。
【0113】
制御装置30は、クランク軸114aが逆回転している状態、および、電気モータ24が第2回転方向RBに回転している状態の少なくとも一方において、予め定める条件が満たされると、電気モータ24からバッテリ接続部26への電流を遮断するようにスイッチング素子SWを制御する。検出部30aの検出結果が、クランク軸114aが逆回転している状態、および、電気モータ24が第2回転方向RBに回転している状態の少なくとも一方に対応する場合、制御装置30は、電気モータ24からバッテリ接続部26への電流を遮断するようにスイッチング素子SWを制御する。電気回路28の回生電流は、電気モータ24からバッテリ接続部26への電流を遮断することによってゼロになる。
【0114】
制御装置30は、好ましくは、アシストモードの状態において、クランク軸114aが逆回転している状態、および、電気モータ24が第2回転方向RBに回転している状態の少なくとも一方になると、電気モータ24からバッテリ接続部26への電流を遮断するようにスイッチング素子SWを制御する。
【0115】
制御装置30は、クランク軸114aが逆回転している状態、および、電気モータ24が第2回転方向RBに回転している状態の少なくとも一方において、予め定める条件が満たされると、電気モータ24からバッテリ接続部26への電流を遮断するようにスイッチング素子SWを制御するようにしてもよい。予め定める条件は、第1実施形態と同様である。
【0116】
第3実施形態の駆動装置10における制御装置30による制御フローの例を、図9に示すフローチャートによって説明する。図9のフローチャートは、図4に示すフローチャートにおいてステップS5をステップS25に置き換え、図9のフローチャートにおいて、ステップS25以外の各ステップは図4に示すフローチャートの各ステップと同様であるので、同様のステップには同様のステップ番号を付して、説明を省略する。
【0117】
ステップS4、ステップS6およびステップS7の少なくとも1つにおいて、制御装置30の判定がYESである場合、ステップS25に移行する。ステップS25において、制御装置30は、電気モータ24からバッテリ接続部26への電流を遮断するようにスイッチング素子SWを制御して、処理を終了する。
【0118】
第3実施形態に係る駆動装置10は、電気モータ24の誘起電圧および電気モータ24からの回生電流RCがスイッチング素子SWによって遮断されるので、バッテリ120aおよび電気回路28などに、電気部品の耐電圧以上の電圧および耐電流以上の電流が与えられることを制御できる。
【0119】
次に、図10を用いて、第4実施形態の駆動装置10を説明する。第4実施形態の駆動装置10は、第1実施形態の駆動装置10における減速機構15に代えて、変速機32を含み、その他の構成は第1実施形態の駆動装置10と同様である。第4実施形態の駆動装置10において、第1実施形態の駆動装置10と同一の構成については同一の参照符号を付して説明を省略し、異なる構成について説明する。第4実施形態の駆動装置10は、電気モータ24とクランク軸114aとの間に変速機32を含む。変速機32は、電気モータ24に連結される第1接続部32aと、クランク軸114aに連結される第2接続部32bとを備える。変速機32は、第1接続部32aと第2接続部32bとの間に、ワンウェイクラッチ22を含む歯車機構を有する。変速機32の歯車機構は、減速機構15と同様に、第1接続部32aの回転速度に対して、第2接続部32bの回転速度を減少させるように構成され、減速機として機能する。変速機32のワンウェイクラッチ22は、電気モータ24が第1回転方向RAに回転した場合、電気モータ24の出力軸24cの回転トルクを合力部14に伝達し、クランク軸114aが正回転した場合、クランク軸114aの回転トルクを電気モータ24の出力軸24cに伝達しないように構成される。ワンウェイクラッチ22は、電気モータ24が第2回転方向RBに回転した場合、電気モータ24の出力軸24cの回転トルクを合力部14に伝達せず、クランク軸114aが逆回転した場合、クランク軸114aの回転トルクを電気モータ24の出力軸24cに伝達するように構成される。変速機32は、第1接続部32aの回転速度に対する第2接続部32bの回転速度の比率を変更するように構成される。変速機32は、減速比を変更するように構成される。変速機32は、第1接続部32aの回転速度に対する第2接続部32bの回転速度の比率を切り替えるように構成される切替装置32cを含む。制御装置30は、切替装置32cと電気的に接続され、切替装置32cを制御する。
【0120】
図11は、変速機32の一例を示す。変速機32は、図2に示す減速機構15の構成に加えて、第4歯車34と第5歯車36とをさらに含む。第4歯車34は、第2歯車18と同軸に配置され、第2歯車18と一体に回転する。第4歯車34の外径は、第2歯車18の外径よりも大きい。第4歯車34は、外周部に第4歯部34aを有する。第5歯車36は、第1歯車16と同軸に配置される。第1歯車16と第5歯車36とは、合力部14に設けられ、切替装置32cによって選択的に合力部14に連結される。切替装置32cの構成は、たとえば特開平11-240481号などに開示されている構成を用いることができるので、詳細な説明を省略する。第5歯車36の外径は、第1歯車16の外径よりも小さい。第5歯車36は、外周部に第5歯部36aを有する。第4歯車34の第4歯部34aと第5歯車36の第5歯部36aは相互に噛み合う。第5歯部36aの歯数は、第4歯部34aの歯数よりも少ない。切替装置32cは、第1歯車16と合力部14とが一体に回転し、第5歯車36と合力部14とが相対回転する第1状態と、第1歯車16と合力部14とが相対回転し、第5歯車36と合力部14とが一体に回転する第2状態とを切り替える。第2状態では、第1状態の場合と比較して、クランク軸114aから電気モータ24の出力軸24cに回転力が伝達する場合における減速比が大きくなる。制御装置30は、第1接続部32aの回転速度V1に対する第2接続部32bの回転速度V2の比率(V1/V2)を、クランク軸114aが逆回転する場合における比率が、クランク軸114aが正回転する場合における比率よりも小さくなるように変速機32を制御する。たとえば制御装置30は、クランク軸114aが正回転する場合、変速機32を第1状態とし、クランク軸114aが逆回転する場合、変速機32を第2状態とする。クランク軸114aが逆回転する場合、制御装置30は、変速機32の切替装置32cを制御して、クランク軸114aの回転速度に対する電気モータ24の回転速度を減少させる。電気モータ24の第2回転方向RBへの回転速度が減少することによって、電気モータ24の誘起電圧および電気回路28の回生電流は減少する。
【0121】
制御装置30は、クランク軸114aが逆回転している状態、および、電気モータ24が第2回転方向RBに回転している状態の少なくとも一方において、予め定める条件が満たされると、変速機32の切替装置32cを動作させるようにしてもよい。予め定める条件は、予め定める条件は、(1)~(3)の条件および以下の(8)の条件の少なくともいずれか1つを含む。
(8)変速機32の回転部分の回転速度が、予め定める第3速度以上になる。
【0122】
予め定める条件は、(1)~(3)および(8)の条件のいずれか1つのみを含んでいてもよく、(1)~(3)および(8)の条件のいずれか2つのみを含んでいてもよく、(1)~(3)および(8)の条件のいずれか3つのみを含んでいてもよく、(1)~(3)および(8)の条件の全てを含んでいてもよい。予め定める条件は、(1)~(3)および(8)の条件に代えて、(4)~(7)の条件のいずれか1つを含んでいてもよい。
【0123】
本実施形態において、検出部30aは、変速機32の回転部分の回転速度を検出するように構成される。検出部30aは、変速機32の回転部分の回転速度を検出するための第5検出部を含む。第5検出部は、たとえば、磁気センサおよびロータリエンコーダなどを含む。変速機32の回転部分は、変速機32の第1歯車16、第2歯車18、第3歯車20、第4歯車34および第5歯車36のいずれを含んでいてもよい。
【0124】
第4実施形態の駆動装置10において、制御装置30による制御フローの例を、図12に示すフローチャートによって説明する。図12のフローチャートは、図4に示すフローチャートにおいてステップS5をステップ35に置き換え、ステップS38を追加している。図12のフローチャートにおいて、ステップS35およびステップS38以外の各ステップは図4に示すフローチャートの各ステップと同様であるので、同様のステップには同様のステップ番号を付して説明を省略し、異なるステップについて説明する。
【0125】
ステップS7において、制御装置30の判定がNOである場合、ステップS38に移行する。制御装置30は、ステップS38において検出部30aによって、変速機32の回転部分の回転速度が、予め定める第3速度以上か否かを判定する。ステップS38において、制御装置30が、変速機32の回転部分の回転速度が、予め定める第3速度以上であると判定した場合、ステップS35に移行し、予め定める第3速度以上ではないと判定した場合、処理を終了する。
【0126】
図12のフローチャートにおいて、ステップS4、ステップS6、ステップS7およびステップS38のうちの1つ、2つ、または3つを省略してもよい。ステップS4、ステップS6、ステップS7およびステップS38のうちの3つを省略する場合、ステップS2またはステップS3において、制御装置30の判定がYESの場合、ステップS4、ステップS6、ステップS7およびステップS38のうちのいずれか1つに移行し、制御装置30の判定がNOの場合、処理を終了する。ステップS4、ステップS6、ステップS7およびステップS38のうちの1つを省略する場合、ステップS2またはステップS3において、制御装置30の判定がYESの場合、ステップS4、ステップS6、ステップS7およびステップS38のうちのいずれか3つのうちの1つに移行する。ステップS4、ステップS6、ステップS7およびステップS38のうちのいずれか3つのうちの1つにおいて、制御装置30の判定がNOの場合、ステップS4、ステップS6、ステップS7およびステップS38のうちのいずれか3つのうちの他の1つに移行する。ステップS4、ステップS6、ステップS7およびステップS38のうちのいずれか3つのうちの他の1つにおいて、制御装置30の判定がNOの場合、ステップS4、ステップS6、ステップS7およびステップS38のうちのいずれか3つのうちのさらに他の1つに移行する。ステップS4、ステップS6、ステップS7およびステップS38のうちのいずれか3つのうちのさらに他の1つにおいて、制御装置30の判定がNOの場合、処理を終了する。
【0127】
図4のフローチャートにおいて、ステップS4、ステップS6、ステップS7およびステップS38の順序は入れ代えてもよい。ステップS4、ステップS6、ステップS7およびステップS38の順序を入れ代える場合、ステップS2またはステップS3において制御装置30の判定がYESの場合、ステップS4、ステップS6、ステップS7およびステップS38のうちのいずれか一つに移行し、各ステップにおいて、制御装置30の判定がNOの場合、次のステップがある場合には次のステップに移行し、次のステップがない場合には、処理を終了する。
【0128】
各ステップにおいて、制御装置30の判定がYESの場合、ステップS35に移行する。ステップS35において、制御装置30は、変速機32の変速比を切り替えて、処理を終了する。ステップS35において、制御装置30は、第1接続部32aの回転速度に対する第2接続部32bの回転速度の比率が小さくなるように切替装置32cを制御する。これによって、クランク軸114aの回転速度に対する電気モータ24の回転速度が減少する。制御装置30は、クランク軸114aが正回転している状態では、変速機32が第1状態を維持するように切替装置32cを制御するように構成される。
【0129】
第4実施形態に係る駆動装置10は、クランク軸114aが逆回転している状態、および、電気モータ24が第2回転方向RBに回転している状態の少なくとも一方において、クランク軸114aの回転速度に対する電気モータ24の回転速度を減少させる。駆動装置10は、電気モータ24が第2回転方向RBに回転することによって発生する誘起電圧および回生電流が、電気モータ24、バッテリ120aおよび電気回路28などの電気部品の耐電圧および耐電流を超えないように制御して、誘起電圧に起因する故障を抑制できる。
【0130】
第1~第4実施形態は、適宜組み合わせることができる。たとえば、図13に示す第5実施形態の駆動装置10は、第1実施形態、第2実施形態および第3実施形態の駆動装置10を組み合わせて構成される。第5実施形態の駆動装置10は、第1実施形態の駆動装置10の制御装置30を、第2実施形態の駆動装置10の制御装置30に置き換え、第1実施形態の駆動装置10の電気回路28を、第3実施形態の駆動装置10の電気回路28に置き換えた構成と同様であり、その他の構成は第1実施形態の駆動装置10と同様である。第5実施形態の駆動装置10において、第1~3実施形態の駆動装置10と同一の構成については同一の参照符号を付して説明を省略し、異なる構成について説明する。
【0131】
制御装置30は、クランク軸114aが逆回転している状態、および、電気モータ24が第2回転方向RBに回転している状態の少なくとも一方において、予め定める第1条件が満たされると、通知装置122によって予め定める警告情報を出力する。使用者への警告は、制御装置30の通知部30bが、警告情報を通知装置122に出力させることによって行う。通知装置122によって予め定める警告情報を出力した後、予め定める第2条件が満たされると、制御装置30は、第1回転方向RAへの回転トルクを発生させるように電気モータ24を制御する第1制御を行う。第1制御を行った後、予め定める第3条件が満たされると、制御装置30は、電気モータ24から出力される電流を遮断する第2制御を行う。本実施形態において、制御装置30は、第1制御を行った後、予め定める第3条件が満たされると、第2制御を行うが、予め定める第2条件が満たされると、第2制御を行うようにしてもよい。制御装置30は、予め定める第2条件が満たされると、第1制御および第2制御の少なくとも一方を行うようにしてもよい。予め定める第1条件、第2条件および第3条件は、たとえば、電気モータ24の第2回転方向RBへの回転速度、電気モータ24の誘起電圧、電気回路28の回生電流RC、クランク軸114aが回転する数、クランク軸114aが回転する時間などから定める。予め定める第2条件が満たされる場合と比較して、予め定める第3条件が満たされる場合では、クランク軸114aの逆回転によって発生する電気モータ24の誘起電圧が大きい状態、および、電気モータ24に誘起電圧が発生している時間が長い状態、の少なくとも一方になっている。予め定める第1条件が満たされる場合と比較して、予め定める第2条件が満たされる場合では、クランク軸114aの逆回転によって発生する電気モータ24の誘起電圧が大きい状態、および、電気モータ24に誘起電圧が発生している時間が長い状態、の少なくとも一方になっている。
【0132】
第5実施形態の駆動装置10における制御装置30による制御フローの例を、図14に示すフローチャートによって説明する。制御装置30は、電力が供給されるとステップS1に移行して、処理を開始する。制御装置30は、フローチャートの処理を終了すると、電力の供給が停止されるまでは所定周期毎にステップS1から処理を開始する。図14に示すフローチャートにおいて、ステップS1~ステップS3は、図4に示すフローチャートの各ステップと同様であるので、同様のステップには同様のステップ番号を付して、説明を省略する。ステップS2またはステップS3において、制御装置30の判定がYESの場合、ステップS41に移行する。ステップS41において、制御装置30は、第1条件が満たされるか否かを判定する。ステップS41において、制御装置30は、第1条件が満たされると判定した場合、ステップS42に移行し、第1条件が満たされないと判定した場合、ステップS2に移行する。ステップS42において、制御装置30は、通知装置122に予め定める警告情報を通知させて、ステップS43に移行する。予め定める警告情報に使用者が気づいて、クランク軸114aの逆回転を停止させた場合、または、逆回転の回転速度を減少させた場合、電気モータ24の第2回転方向RBへの回転速度は減少する。通知装置122によって予め定める警告情報を出力した後、ステップS43において、制御装置30は、第2条件が満たされるか否かを判定する。ステップS43において、制御装置30が、第2条件が満たされると判定した場合、ステップS44に移行し、第2条件が満たされないと判定した場合、ステップS2に移行する。ステップS44において、制御装置30は、第1回転方向RAへの回転トルクを発生させるように電気モータ24を制御する第1制御を行い、ステップS45に移行する。ステップS44の処理によって、電気モータ24の第2回転方向RBの回転速度が減少する。第1制御を行った後、ステップS45において、制御装置30は、第3条件が満たされるか否かを判定する。ステップS45において、制御装置30が、第3条件が満たされると判定した場合、ステップS46に移行し、第3条件が満たされないと判定した場合、ステップS2に移行する。ステップS46において、制御装置30は、電気モータ24から出力される電流を遮断する第2制御を行って、処理を終了する。ステップS46の処理によって、電気回路28の回生電流はゼロになる。
【0133】
第5実施形態に係る駆動装置10は、電気モータ24が第2回転方向RBに回転することによって発生する誘起電圧に起因する不具合を抑制するために、警告および電気モータ23の制御、電気回路28の制御を段階的に実行するので、誘起電圧に起因する故障を抑制できる。
【0134】
第5実施形態において、ステップS43を省略してもよく、この場合、ステップS42の処理を終了すると、ステップS44に移行する。第5実施形態において、ステップS41およびステップS42を省略してもよく、ステップS42およびステップS43を省略してもよく、ステップS43およびステップS44を省略してもよく、ステップS44およびステップS45を省略してもよく、ステップS45およびステップS46を省略してもよい。第5実施形態において、ステップS42、ステップS44およびステップS46の処理を入れ替えてもよい。
【0135】
各実施形態おいて、電気モータ24と、バッテリ接続部26と、電気回路28とは、第1ハウジング12に設けられるが、図15に示す第6実施形態のように、バッテリ接続部26および電気回路28は、第2ハウジング120bに設けられてもよい。
【0136】
各実施形態において、制御装置30は、アシストモードのみで動作するように構成されていてもよい。この場合、各フローチャートにおいて、ステップS1を省略することができる。
【0137】
各実施形態において、制御装置30は、アシストモードおよび非アシストモードを区別しないで、処理を行ってもよい。この場合、各フローチャートにおいて、ステップS1を省略することができる。たとえば、第1実施形態の制御装置30は、非アシストモードの状態において、クランク軸114aが逆回転している状態、および、電気モータ24が第2回転方向RBに回転している状態の少なくとも一方において、電気モータ24が第1回転方向RAへの回転トルクを発生させるように電気モータ24を制御してもよい。この場合、各フローチャートにおいて、制御装置30に電力が供給されると、ステップS2に移行する。
【0138】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態の内容によって実施形態が限定されるものではない。前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。前述した構成要素は、適宜組み合わせることが可能である。前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換または変更を行うことができる。
【0139】
たとえば、各実施形態において、電気回路28に、クランク軸114aまたは電気モータ24の回転状態に応じて制御しなくても、通常動作状態において、電気モータ24からバッテリ接続部26への電流を遮断し、バッテリ接続部26から電気モータ24への電流は遮断しないような電流遮断回路を設けてもよい。このような電流遮断回路は、たとえば複数のトランジスタを組み合わせることによって構成することができ、または、たとえばスイッチング素子SWをアノードがバッテリ接続部26に接続され、カソードがモータ駆動回路30cに接続されるダイオードに置き換えることによって構成することができる。
【符号の説明】
【0140】
10:駆動装置、12:第1ハウジング、24:電気モータ、26:バッテリ接続部、28:電気回路、30:制御装置、32:変速機、32a:第1接続部、32b:第2接続部、100:人力駆動車、114a:クランク軸、120a:バッテリ、120b:第2ハウジング、122:通知装置、RA:第1回転方向、RB:第2回転方向、SW:スイッチング素子
図1
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