(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】ポリアルキレングリコール化合物
(51)【国際特許分類】
C08G 65/329 20060101AFI20221129BHJP
C08G 65/28 20060101ALI20221129BHJP
C11D 3/37 20060101ALI20221129BHJP
【FI】
C08G65/329
C08G65/28
C11D3/37
(21)【出願番号】P 2018144259
(22)【出願日】2018-07-31
【審査請求日】2021-04-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000004628
【氏名又は名称】株式会社日本触媒
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】道尭 大祐
(72)【発明者】
【氏名】西川 毅
【審査官】中川 裕文
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-241881(JP,A)
【文献】特開2004-002499(JP,A)
【文献】特開2009-052012(JP,A)
【文献】特開2002-194390(JP,A)
【文献】特開2006-008951(JP,A)
【文献】特開2009-040821(JP,A)
【文献】特開平06-254372(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 65/329
C08G 65/28
C11D 3/37
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2以上の末端に疎水基を有するポリアルキレングリコール化合物であって、
該ポリアルキレングリコール化合物は、下記式(1);
【化1】
(式中、R
1、R
2は、同一又は異なって、炭素数6~30の直鎖アルキル基、炭素数6~30の分岐アルキル基、炭素数4~30の直鎖アルケニル基、炭素数5~30の分岐アルケニル基又は炭素数6~30のアリール基のいずれかを表す。ただし、R
1、R
2の少なくとも一方は、第2級炭素原子、第3級炭素原子及び第4級炭素原子の少なくともいずれか1つを有する基であり、該第2級炭素原子は、炭素原子と結合するヘテロ原子に結合するものである。AOは、同一又は異なって、オキシアルキレン基を表す。nはオキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、3~100の数である。Y
1、Y
2は、同一又は異なって、直接結合又は2価の連結基を表す。)で表されることを特徴とするポリアルキレングリコール化合物(但し、ポリアルキレングリコール鎖の末端にスルホン酸基又はその塩を有する化合物、下記式(6)又は(7);
【化2】
(式中、A
1は炭素数2~4のアルキレン基であり、R
7は水素原子またはメチル基であり、R
8は炭素数8~24の炭化水素基またはアシル基であり、pは0~50の数であり、qは0~100の数であり、M
1及びM
2は水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムまたは有機アンモニウムであり、M
1及びM
2は同一でも異なっていてもよい。)で表される化合物を除く。)。
【請求項2】
少なくとも2以上の末端に疎水基を有するポリアルキレングリコール化合物であって、
該ポリアルキレングリコール化合物は、下記式(1);
【化3】
(式中、R
1、R
2は、同一又は異なって、炭素数1~30の直鎖アルキル基、炭素数3~30の分岐アルキル基、炭素数4~30の直鎖アルケニル基、炭素数5~30の分岐アルケニル基又は炭素数6~30のアリール基のいずれかを表す。ただし、R
1、R
2の少なくとも一方は、第2級炭素原子、第3級炭素原子及び第4級炭素原子の少なくともいずれか1つを有する基であり、該第2級炭素原子は、炭素原子と結合するヘテロ原子に結合するものである。AOは、同一又は異なって、オキシアルキレン基を表す。nはオキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、3~100の数である。Y
1、Y
2は、同一又は異なって、直接結合又は2価の連結基を表す。)で表されることを特徴とするポリアルキレングリコール化合物(但し、ポリアルキレングリコール鎖の末端にスルホン酸基又はその塩を有する化合物、下記式(6)又は(7);
【化4】
(式中、A
1は炭素数2~4のアルキレン基であり、R
7は水素原子またはメチル基であり、R
8は炭素数8~24の炭化水素基またはアシル基であり、pは0~50の数であり、qは0~100の数であり、M
1及びM
2は水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムまたは有機アンモニウムであり、M
1及びM
2は同一でも異なっていてもよい。)で表される化合物、下記式(8);
R
9-O-(EO)
m-CH
2-CHOH-CH
2-O-R
10 (8)
(式中、R
9は炭素数8~20のアルキル基又はアルケニル基、R
10は炭素数1~5のアルキル基、EOはオキシエチレン基、mはEOの平均付加モル数を示し、3~12の数である。)で表される化合物を除く)。
【請求項3】
少なくとも2以上の末端に疎水基を有するポリアルキレングリコール化合物であって、
該ポリアルキレングリコール化合物は、下記式(1);
【化5】
(式中、R
1、R
2は、同一又は異なって、炭素数1~30の直鎖アルキル基、炭素数3~30の分岐アルキル基、炭素数2~30の直鎖アルケニル基、炭素数3~30の分岐アルケニル基又は炭素数6~30のアリール基のいずれかを表す。ただし、R
1、R
2の少なくとも一方は、第2級炭素原子、第3級炭素原子及び第4級炭素原子の少なくともいずれか1つを有する基であり、該第2級炭素原子は、炭素原子と結合するヘテロ原子に結合するものである。AOは、同一又は異なって、オキシアルキレン基を表す。nはオキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、3~100の数である。Y
1、Y
2は、同一又は異なって、直接結合又は置換基を有していてもよい炭素数1~5の炭化水素基を表す。
但し、R
1
が第2級炭素原子を有する場合Y
1
は直接結合であり、R
2
が第2級炭素原子を有する場合Y
2
は直接結合である。Y
1、Y
2の炭化水素基が有していてもよい置換基は、水酸基、カルボキシル基、アミノ基からなる群より選択される少なくとも1つである。)で表されることを特徴とするポリアルキレングリコール化合物。
【請求項4】
前記式(1)において、R
1、R
2の少なくとも一方は、第2級炭素原子又は第3級炭素原子を介してポリアルキレングリコール鎖の酸素原子に結合していることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のポリアルキレングリコール化合物。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかに記載のポリアルキレングリコール化合物と該化合物以外の洗剤添加剤とを含むことを特徴とする洗剤組成物。
【請求項6】
少なくとも2以上の末端に疎水基を有するポリアルキレングリコール化合物を製造する方法であって、
該製造方法は、ポリアルキレングリコール鎖含有化合物及び/又はアルキレンオキシド、並びに、疎水基含有化合物を原料として用いて、ポリアルキレングリコール鎖末端に疎水基含有化合物由来の疎水基を導入する工程を含み、
該ポリアルキレングリコール鎖含有化合物は、下記式(2);
【化6】
(式中、R
1は、炭素数1~30の直鎖アルキル基、炭素数3~30の分岐アルキル基、炭素数2~30の直鎖アルケニル基、炭素数3~30の分岐アルケニル基又は炭素数6~30のアリール基のいずれかを表す。AOは、同一又は異なって、オキシアルキレン基を表す。nはオキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、3~100の数である。)で表される化合物であり、該疎水基含有化合物は、下記式(3);
【化7】
(式中、R
2は、炭素数1~30の直鎖アルキル基、炭素数3~30の分岐アルキル基又は炭素数6~30のアリール基のいずれかを表す。Xはハロゲン原子を表す。)で表される化合物、又は、下記式(4);
【化8】
(式中、R
2は、炭素数6~30の直鎖アルキル基、炭素数6~30の分岐アルキル基、炭素数4~30の直鎖アルケニル基、炭素数5~30の分岐アルケニル基又は炭素数6~30のアリール基のいずれかを表す。R
3は、炭素数1~5のアルキレン基を表す。)で表される化合物であり、R
1、R
2の少なくとも一方が、第2級炭素原子、第3級炭素原子及び第4級炭素原子の少なくともいずれか1つを有し、該第2級炭素原子は、炭素原子と結合するヘテロ原子に結合するものであることを特徴とするポリアルキレングリコール化合物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリアルキレングリコール化合物に関する。より詳しくは、洗剤等に有用なポリアルキレングリコール化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリアルキレングリコール鎖を有する化合物は、その鎖長や構成するアルキレンオキシドを適宜調整することによって親水性や疎水性、柔軟性や立体反発等の特性が付与され、洗剤用ビルダー、洗剤、水処理剤、スケール防止剤、分散剤等、種々の用途に用いられている。
これらの用途の中でも洗剤用途に用いられるものに関して、例えば特許文献1には、ポリオキシアルキレン系化合物であって、該ポリオキシアルキレン系化合物は、炭素数6以上のアリール基、炭素数1以上のアルキル基および炭素数2以上のアルケニル基から選ばれる疎水基を少なくとも2以上の末端に有し、該疎水基の内、少なくとも1の疎水基は、炭素数8以上のアリール基、炭素数8以上のアルキル基および炭素数8以上のアルケニル基から選ばれる疎水基であり、前記ポリオキシアルキレン系化合物は、更にオキシアルキレン基を有し、ポリオキシアルキレン系化合物1モルあたりのオキシアルキレン構造単位の含有量が10~100モルであり、上記疎水基は、エーテル結合および/または炭素炭素単結合によってポリオキシアルキレン基を含有する基と結合している、ポリオキシアルキレン系化合物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、共働きの世帯の増加等により、家事の効率化を重視する傾向があり、洗濯時間を短縮することも求められている。上記の通り、特許文献1には、洗剤組成物として用いられる特定の構造で表されるポリアルキレングリコール化合物が開示されているが、洗浄速度の観点から本発明者が洗濯水の衣料等への浸透速度に着目したところ、従来のポリアルキレングリコール化合物は、洗濯水の衣料等への浸透速度においては改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、従来のポリアルキレングリコール化合物よりも洗濯水の衣料等への浸透速度を向上させるポリアルキレングリコール化合物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、ポリアルキレングリコール化合物について種々検討したところ、少なくとも2以上の末端に疎水基を有するポリアルキレングリコール化合物における疎水基を、分岐鎖を有する特定の炭素原子を有するものとすることにより、従来のポリアルキレングリコール化合物よりも洗濯水の衣料等への浸透速度が向上することを見いだし、上記課題をみごとに解決することができることに想到し、本発明に到達したものである。
【0007】
すなわち本発明は、少なくとも2以上の末端に疎水基を有するポリアルキレングリコール化合物であって、上記ポリアルキレングリコール化合物は、下記式(1);
【0008】
【0009】
(式中、R1、R2は、同一又は異なって、疎水基を表す。ただし、R1、R2の少なくとも一方は、第2級炭素原子、第3級炭素原子及び第4級炭素原子の少なくともいずれか1つを有する基であり、該第2級炭素原子は、炭素原子と結合するヘテロ原子に結合するものである。AOは、同一又は異なって、オキシアルキレン基を表す。nはオキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、3~100の数である。Y1、Y2は、同一又は異なって、直接結合又は2価の連結基を表す。)で表されるポリアルキレングリコール化合物である。
【0010】
上記一般式(1)において、R1、R2の少なくとも一方は、第2級炭素原子又は第3級炭素原子を介してポリアルキレングリコール鎖の酸素原子に結合していることが好ましい。
【0011】
上記疎水基は、同一又は異なって、炭素数1~30の直鎖アルキル基、炭素数3~30の分岐アルキル基、炭素数2~30の直鎖アルケニル基、炭素数3~30の分岐アルケニル基又は炭素数6~30のアリール基のいずれかであることが好ましい。
【0012】
本発明はまた、上記ポリアルキレングリコール化合物と該化合物以外の洗剤添加剤とを含む洗剤組成物でもある。
【0013】
本発明は更に、少なくとも2以上の末端に疎水基を有するポリアルキレングリコール化合物を製造する方法であって、上記製造方法は、ポリアルキレングリコール鎖含有化合物及び/又はアルキレンオキシド、並びに、疎水基含有化合物を原料として用いて、ポリアルキレングリコール鎖末端に疎水基含有化合物由来の疎水基を導入する工程を含み、該ポリアルキレングリコール鎖含有化合物が有する疎水基、及び/又は、該疎水基を導入する工程においてポリアルキレングリコール鎖末端に導入された疎水基が、第2級炭素原子、第3級炭素原子及び第4級炭素原子の少なくともいずれか1つを有し、該第2級炭素原子は、炭素原子と結合するヘテロ原子に結合するものであるポリアルキレングリコール化合物の製造方法でもある。
【0014】
上記ポリアルキレングリコール鎖含有化合物は、下記式(2);
【0015】
【0016】
(式中、R1は、疎水基を表す。AOは、同一又は異なって、オキシアルキレン基を表す。nはオキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、3~100の数である。)で表される化合物であり、上記疎水基含有化合物は、下記式(3);
【0017】
【0018】
(式中、R2は、疎水基を表す。Xはハロゲン原子を表す。)で表される化合物、又は、下記式(4);
【0019】
【0020】
(式中、R2は、疎水基を表す。R3は、炭素数1~5のアルキレン基を表す。)で表される化合物であり、R2、R3の少なくとも一方は、第2級炭素原子、第3級炭素原子及び第4級炭素原子の少なくともいずれか1つを有し、該第2級炭素原子は、炭素原子と結合するヘテロ原子に結合するものであることが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明のポリアルキレングリコール化合物は、上述の構成よりなり、従来のポリアルキレングリコール化合物よりも洗濯水の浸透速度を向上させることができるため、洗剤等に好適に用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に本発明の好ましい形態について具体的に説明するが、本発明は以下の記載のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。なお、以下に記載される本発明の個々の好ましい形態を2又は3以上組み合わせた形態も、本発明の好ましい形態に該当する。
【0023】
<ポリアルキレングリコール化合物>
本発明のポリアルキレングリコール化合物(以下、本発明のPAG化合物ともいう。)は、少なくとも2以上の末端に疎水基を有するポリアルキレングリコール化合物であって、下記式(1);
【0024】
【0025】
(式中、R1、R2は、同一又は異なって、疎水基を表す。ただし、R1、R2の少なくとも一方は、第2級炭素原子、第3級炭素原子及び第4級炭素原子の少なくともいずれか1つを有する基であり、該第2級炭素原子は、炭素原子と結合するヘテロ原子に結合するものである。AOは、同一又は異なって、オキシアルキレン基を表す。nはオキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、3~100の数である。Y1、Y2は、同一又は異なって、直接結合又は2価の連結基を表す。)で表される化合物である。
上記PAG化合物における疎水基の少なくとも1つは、第2級炭素原子、第3級炭素原子及び第4級炭素原子の少なくともいずれか1つを有し、第2級炭素原子は、炭素原子と結合するヘテロ原子に結合するものである。
上記疎水基が第2級炭素原子を有し、第2級炭素原子が、炭素原子と結合するヘテロ原子に結合している場合、疎水基は2本の分岐鎖を有することとなる。上記ヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。好ましくは酸素原子である。より好ましくは第2級炭素原子が酸素原子と結合してエーテル構造を形成している形態であり、更に好ましくは第2級炭素原子がポリアルキレングリコール鎖末端の酸素原子と結合している形態である。
以下、炭素原子と結合するヘテロ原子に結合する第2級炭素原子を第2級炭素原子(Cs)とも称する。
上記疎水基が第3級炭素原子を有する場合、疎水基は2又は3本の分岐鎖を有することとなる。
上記疎水基が第4級炭素原子を有する場合、疎水基は3本の分岐鎖を有することとなる。
本発明のPAG化合物がこのような特定の炭素原子を有する疎水基、すなわち、分岐鎖を有する疎水基をポリアルキレングリコール鎖末端に有することで、炭素数が同じである直鎖の疎水基を有する場合と比較してPAG化合物の流体力学半径がコンパクトになり、これによりPAG化合物の運動性が高まるため、衣料等への吸着速度が上がり、洗濯水の衣料等への浸透速度が上がると考えられる。また、本発明のPAG化合物は、上記構造を有することにより疎水性と親水性とのバランスに優れるため、親水性汚れと疎水性汚れが複合した複合汚れに対する洗浄力、再汚染防止能にも優れる。
【0026】
本発明のPAG化合物における疎水基の少なくとも1つは、第2級炭素原子、第3級炭素原子及び第4級炭素原子の少なくともいずれか1つを有する限り、特に制限されない。
上記PAG化合物は、第2級炭素原子(Cs)、第3級炭素原子及び第4級炭素原子の少なくともいずれか1つを有する疎水基を、ポリアルキレングリコール鎖の1の末端に1つ有していてもよく、2以上の末端にそれぞれ有していてもよい。
本発明のPAG化合物は、ポリアルキレングリコール鎖末端の疎水基の少なくとも1つが第2級炭素原子(Cs)、第3級炭素原子及び第4級炭素原子の少なくともいずれか1つを有するものである限り、すなわち、疎水基の少なくとも1つが分岐鎖を有するものである限り、他の疎水基は分岐構造を有しないものであってもよい。
本発明のPAG化合物は、ポリアルキレングリコール鎖末端の疎水基の少なくとも1つが、第2級炭素原子又は第3級炭素原子を介してポリアルキレングリコール鎖の酸素原子に結合していることが好ましい。
【0027】
上記式(1)のR1、R2における疎水基は、同一又は異なって、炭素数1~30の直鎖アルキル基、炭素数3~30の分岐アルキル基、炭素数2~30の直鎖アルケニル基、炭素数3~30の分岐アルケニル基又は炭素数6~30のアリール基のいずれかであることが好ましい。
上記アルキル基、アルケニル基の炭素数としては、好ましくは3~25であり、より好ましくは4~22であり、更に好ましくは6~20であり、一層好ましくは8~18、特に好ましくは10~16、最も好ましくは12~14である。
上記アリール基の炭素数としては、好ましくは6~25であり、より好ましくは8~22であり、更に好ましくは10~20である。
【0028】
炭素数1~30の直鎖アルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基(アミル基)、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基、n-ペンタデシル基、n-ヘキサデシル基、n-ヘプタデシル基、n-オクタデシル基、n-ノナデシル基、n-イコシル基、n-ヘンイコシル基、n-ドコシル基等が挙げられる。
【0029】
炭素数3~30の分岐アルキル基としては、イソプロピル基、sec-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、1-メチルブチル基、1-エチルプロピル基、2-メチルブチル基、イソアミル基、1,2-ジメチルプロピル基、1,1-ジメチルプロピル基、tert-アミル基、1,3-ジメチルブチル基、3,3-ジメチルブチル基、1-メチルペンチル基、1-メチルブチル基、1-エチルブチル基、2-エチルブチル基、2-エチル-2-メチルプロピル基、sec-ヘプチル基、tert-ヘプチル基、イソヘプチル基、sec-オクチル基、tert-オクチル基、イソオクチル基、1-エチルヘキシル基、1-プロピルペンチル基、2-エチルヘキシル基、2-プロピルペンチル基、sec-ノニル基、tert-ノニル基、ネオノニル基、1-エチルヘプチル基、1-プロピルヘキシル基、1-ブチルペンチル基、2-エチルヘプチル基、2-プロピルヘキシル基、2-ブチルペンチル基、イソデシル基、sec-デシル基、tert-デシル基、ネオデシル基、1-エチルオクチル基、1-プロピルヘプチル基、1-ブチルヘキシル基、2-エチルオクチル基、2-プロピルヘプチル基、2-ブチルヘキシル基、イソウンデシル基、sec-ウンデシル基、tert-ウンデシル基、ネオウンデシル基、1-エチルノニル基、1-プロピルオクチル基、1-ブチルヘプチル基、1-ペンチルヘキシル基、2-エチルノニル基、2-プロピルオクチル基、2-ブチルヘプチル基、2-ペンチルヘキシル基、イソドデシル基、sec-ドデシル基、tert-ドデシル基、ネオドデシル基、1-エチルデシル基、1-プロピルノニル基、1-ブチルオクチル基、1-ペンチルヘプチル基、2-エチルデシル基、2-プロピルノニル基、2-ブチルオクチル基、2-ペンチルヘプチル基、イソトリデシル基、sec-トリデシル基、tert-トリデシル基、ネオトリデシル基、1-エチルウンデシル基、1-プロピルデシル基、1-ブチルノニル基、1-ペンチルオクチル基、1-ヘキシルヘプチル基、2-エチルウンデシル基、2-プロピルデシル基、2-ブチルオクチル基、2-ペンチルオクチル基、2-ヘキシルヘプチル基、イソテトラデシル基、sec-テトラデシル基、tert-テトラデシル基、ネオテトラデシル基、1-エチルドデシル基、1-プロピルウンデシル基、1-ブチルデシル基、1-ペンチルノニル基、1-ヘキシルオクチル基、2-エチルドデシル基、2-プロピルウンデシル基、2-ブチルデシル基、2-ペンチルノニル基、2-ヘキシルオクチル基、イソペンタデシル基、sec-ペンタデシル基、tert-ペンタデシル基、ネオペンタデシル基、イソヘキサデシル基、sec-ヘキサデシル基、tert-ヘキサデシル基、ネオヘキサデシル基、イソヘプタデシル基、sec-ヘプタデシル基、tert-ヘプタデシル基、ネオヘプタデシル基、イソオクタデシル(イソステアリル)基、sec-オクタデシル基、tert-オクタデシル基、ネオオクタデシル基、イソノナデシル基、sec-ノナデシル基、tert-ノナデシル基、ネオノナデシル基、イソイコシル基、sec-イコシル基、tert-イコシル基、ネオイコシル基、イソヘンイコシル基、sec-ヘンイコシル基、tert-ヘンイコシル基、ネオヘンイコシル基、イソドコシル基、sec-ドコシル基、tert-ドコシル基、ネオドコシル基、イソトリコシル基、sec-トリコシル基、tert-トリコシル基、ネオトリコシル基、イソテトラコシル基、sec-テトラコシル基、tert-テトラコシル基、ネオテトラコシル基、イソペンタコシル基、sec-ペンタコシル基、tert-ペンタコシル基、ネオペンタコシル基、イソヘキサコシル基、sec-ヘキサコシル基、tert-ヘキサコシル基、ネオヘキサコシル基、イソヘプタコシル基、sec-ヘプタコシル基、tert-ヘプタコシル基、ネオヘプタコシル基、イソオクタコシル基、sec-オクタコシル基、tert-オクタコシル基、ネオオクタコシル基、イソノナコシル基、sec-ノナコシル基、tert-ノナコシル基、ネオノナコシル基、イソトリアコンチル基、sec-トリアコンチル基、tert-トリアコンチル基等が挙げられる。
【0030】
炭素数2~30の直鎖アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ドデセニル基、オクタデセニル基、イコセニル基等が挙げられる。
炭素数3~30の分岐アルケニル基としては、イソプロペニル基、イソブテニル基、イソペンテニル基、イソヘキセニル基、イソヘプテニル基、イソオクテニル基、イソノネニル基、イソデセニル基、イソドデセニル基、イソオクタデセニル基、イソイコセニル基等が挙げられる。
【0031】
炭素数6~30のアリール基としては、例えば、フェニル基;ナフチル基;ベンジル基、1-フェニルエチル基、2-フェニルエチル基、3-フェニルプロピル基、4-フェニルブチル基、スチリル基(Ph-CH=C-基)、シンナミル基(Ph-CH=CHCH2-基)、1-ベンゾシクロブテニル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフチル基等のアラルキル基等が挙げられる。
【0032】
上記第2級炭素原子(Cs)、第3級炭素原子及び第4級炭素原子の少なくともいずれか1つを有する疎水基としては分岐の炭化水素基であることが好ましい。分岐の炭化水素基の炭素数としては3~30であることが好ましい。より好ましくは3~25であり、更に好ましくは4~22であり、一層好ましくは6~20であり、更に一層好ましくは8~18、特に好ましくは10~16、最も好ましくは12~14である。
上記分岐の炭化水素基は、分岐のアルキル基であることが好ましい。分岐のアルキル基の具体例は上述のとおりである。
分岐のアルキル基として好ましくは、下記式(5);
【0033】
【0034】
(式中、R4、R5、R6は、水素原子、又は、炭素数1~20のアルキル基を表す。ただし、R4、R5、R6のうち少なくとも2つは炭素数1~20のアルキル基である。)で表される分岐構造を有するものである。疎水基がこのような分岐構造を有することにより、PAG化合物の流体力学半径がよりコンパクトになり、洗濯水の衣料等への浸透速度がより向上する。
本発明のPAG化合物は、疎水基の少なくとも1つが上記式(5)で表される基であることが好ましい。このような構造の疎水基を有することにより、PAG化合物の流体力学半径がよりコンパクトになり、洗濯水の衣料等への浸透速度がより向上する。
また、本発明のPAG化合物において、上記式(5)で表される分岐のアルキル基がポリアルキレングリコール鎖末端の酸素原子に結合していることが更に好ましい。
すなわち、本発明のPAG化合物が有する少なくとも1つの疎水基が、第2級炭素原子(Cs)を有するものである形態は、本発明の好ましい実施形態の1つである。
【0035】
上記式(5)のR4、R5、R6におけるアルキル基は、直鎖構造であっても分岐構造を有するものであってもよい。
直鎖及び分岐のアルキル基の具体例は上述のとおりである。
上記R4、R5、R6のうち少なくとも2つのアルキル基の炭素数としては2~18が好ましい。より好ましくは4~16であり、更に好ましくは5~14であり、特に好ましくは6~12である。
上記式(5)において、R4、R5、R6のうち2つが炭素数1~20のアルキル基であることが好ましい。
上記式(5)において、R4、R5のそれぞれが炭素数6~12のアルキル基であって、R6が水素原子である形態は本発明の好ましい実施形態の1つである。
【0036】
上記式(1)中、AOは、「同一又は異なって、」オキシアルキレン基を表すが、これは、ポリアルキレングリコール中にn個存在するAOのオキシアルキレン基が全て同一であってもよく、異なっていてもよいことを意味する。オキシアルキレン基の炭素数としては、2~18が好ましく、より好ましくは2~10であり、更に好ましくは2~8であり、特に好ましくは2~4である。
【0037】
上記式(1)中、AOで表されるオキシアルキレン基は、アルキレンオキシド付加物である。このようなアルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、イソブチレンオキシド、1-ブテンオキシド、2-ブテンオキシド、スチレンオキシド等の炭素数2~8のアルキレンオキシドが挙げられる。より好ましくは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等の炭素数2~4のアルキレンオキシドであり、更に好ましくは、エチレンオキシド、プロピレンオキシドである。
また、上記ポリアルキレングリコールが、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシド等の中から選ばれる任意の2種類以上のアルキレンオキシド付加物である場合、ランダム付加、ブロック付加、交互付加等のいずれの形態であってもよい。
オキシアルキレン基におけるアルキレン基として具体的には、エチレン(-CH2CH2-)、トリメチレン(-CH2CH2CH2-)、テトラメチレン(-CH2CH2CH2CH2-)等の、直鎖のアルキレン基;エチリデン[-CH(CH3)-]、プロピレン[-CH(CH3)CH2-]、プロピリデン[-CH(CH2CH3)-]、イソプロピリデン[-C(CH3)2-]、ブチレン[-CH(CH2CH3)CH2-]、イソブチレン[-C(CH3)2CH2-]、ブチリデン[-CH(CH2CH2CH3)-]、イソブチリデン[-CH(CH(CH3)2)-]等の分岐鎖のアルキレン基等が挙げられる。
なお、親水性と疎水性とのバランス確保のため、ポリアルキレングリコール中のオキシアルキレン基として、オキシエチレン基を必須成分として有することが好ましく、50モル%以上がオキシエチレン基であることがより好ましく、90モル%以上がオキシエチレン基であることが更に好ましい。
【0038】
上記式(1)中、nは、オキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、3~100である。好ましくは5~80であり、より好ましくは10~70であり、更に好ましくは20~60であり、特に好ましくは30~50である。
また、本発明のPAG化合物において、第2級炭素原子(Cs)、第3級炭素原子及び第4級炭素原子の少なくともいずれか1つを有する疎水基の炭素数が3~30であって、かつ、nが10~70であることが好ましい。これにより本発明のPAG化合物の親水性と疎水性のバランスがより好適な範囲となり、洗濯水の衣料等への浸透速度がより向上する。
より好ましくは上記疎水基の炭素数が12~14であって、nが30~50である。
【0039】
上記式(1)において、Y1、Y2は、同一又は異なって、直接結合又は2価の連結基を表す。2価の連結基としては、2価の有機基が挙げられる。好ましくは置換基を有していてもよい炭素数1~5の炭化水素基である。置換基としては、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、エーテル基、アミノ基、スルホン酸基、リン酸基等が挙げられ、好ましくは水酸基、エーテル基である。
2価の連結基として好ましくは-CH2CH(OH)CH2O-である。
R1、R2が、第2級炭素原子(Cs)、第3級炭素原子及び第4級炭素原子の少なくともいずれか1つを有する疎水基である場合、Y1、Y2として好ましくは、直接結合である。
なお本発明のPAG化合物の構造を同定する方法としては、当業者が適宜選択して行えばよく、例えば、1H-NMR、13C-NMR、DEPT135-NMR等の分析装置を用いて簡便に測定できる。
【0040】
<ポリアルキレングリコール化合物の製造方法>
本発明のPAG化合物の製造方法は、少なくとも2以上のポリアルキレングリコール鎖末端に疎水基を有するものであって、疎水基の少なくとも1つが、第2級炭素原子、第3級炭素原子及び第4級炭素原子の少なくともいずれか1つを有し、該第2級炭素原子が炭素原子と結合するヘテロ原子に結合するものであるポリアルキレングリコール化合物を製造する限り特に制限されないが、ポリアルキレングリコール鎖含有化合物及び/又はアルキレンオキシド、並びに、疎水基含有化合物を原料として用いて、ポリアルキレングリコール鎖末端に疎水基含有化合物由来の疎水基を導入する工程を含み、該ポリアルキレングリコール鎖含有化合物が有する疎水基、及び/又は、該疎水基を導入する工程においてポリアルキレングリコール鎖末端に導入された疎水基が、第2級炭素原子、第3級炭素原子及び第4級炭素原子の少なくともいずれか1つを有し、該第2級炭素原子は、炭素原子と結合するヘテロ原子に結合するものである製造方法が好ましい。
【0041】
上記疎水基導入工程における疎水基導入方法としては、例えば、(i)疎水基含有化合物とアルキレンオキシドとを反応させる第1工程と、得られた反応物に更に疎水基含有化合物を反応させる第2工程を行う方法、(ii)ポリアルキレングリコール鎖含有化合物と疎水基含有化合物とを反応させる方法等が挙げられる。好ましくは(ii)の方法である。
【0042】
<方法(i)>
上記方法(i)におけるアルキレンオキシドの具体例及び好ましい例は、上述のとおりである。
方法(i)の第1工程で用いる疎水基含有化合物は、疎水基と、アルキレンオキシドと反応性を有する官能基とを有する。
また、第2工程で用いる疎水基含有化合物は、疎水基と、第1工程で得られた反応物のポリアルキレングリコール鎖末端の水酸基と反応性を有する官能基とを有する。
方法(i)では、アルキレンオキシドに対して第2級炭素原子(Cs)、第3級炭素原子及び第4級炭素原子の少なくともいずれか1つを有する疎水基を少なくとも1つ導入するために、第1工程、第2工程の少なくとも一方で用いる疎水基含有化合物は、下記の特定の第2級炭素原子、第3級炭素原子及び第4級炭素原子の少なくともいずれか1つを有する疎水基を有していればよい。上記疎水基が第2級炭素原子を有するものである場合、第2級炭素原子は、炭素原子と結合するヘテロ原子に結合するもの、又は、アルキレンオキシド若しくは水酸基と反応性を有する官能基が有するヘテロ原子に結合するものである。
【0043】
上記アルキレンオキシドと反応性を有する官能基としては特に制限されないが、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、グリシジル基、アミノ基、スルホン酸基、リン酸基等が挙げられる。好ましくは水酸基である。
上記第1工程で得られた反応物のポリアルキレングリコール鎖末端の水酸基と反応性を有する官能基としては例えば、ハロゲン原子、エポキシ基、グリシジル基、水酸基、カルボキシル基、アミノ基等が挙げられ、好ましくはハロゲン原子、グリシジル基である。
第2工程で用いる疎水基含有化合物の好ましい形態は、後述する方法(ii)で用いる疎水基含有化合物と同様である。
【0044】
<方法(ii)>
上記方法(ii)におけるポリアルキレングリコール鎖含有化合物(以下、PAG鎖含有化合物ともいう。)は、ポリアルキレングリコール鎖を有するものであれば、ポリアルキレングリコール鎖末端に疎水基を有していても、有していなくてもよい。
PAG鎖含有化合物として好ましくは疎水基を1つ有するものであり、より好ましくは下記式(2);
【化7】
【0045】
(式中、R1は、疎水基を表す。AOは、同一又は異なって、オキシアルキレン基を表す。nはオキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、3~100の数である。)で表される化合物である。上記R1、AO、nは、上述のとおりである。
【0046】
上記PAG鎖含有化合物が、ポリアルキレングリコール鎖末端に疎水基を有している場合、疎水基は、第2級炭素原子(Cs)、第3級炭素原子及び第4級炭素原子の少なくともいずれか1つを有していても、有していなくてもよい。
ポリアルキレングリコール鎖含有化合物として好ましくは第2級炭素原子(Cs)、第3級炭素原子及び第4級炭素原子の少なくともいずれか1つを有する疎水基を有するものである。
【0047】
上記ポリアルキレングリコール鎖含有化合物が第2級炭素原子(Cs)、第3級炭素原子及び第4級炭素原子の少なくともいずれか1つを有する疎水基を有する場合、方法(ii)で用いる疎水基含有化合物は疎水基を有する限り特に制限されない。疎水基の具体例は及び好ましい例は、式(1)のR1、R2における疎水基と同様である。
方法(ii)で用いる疎水基含有化合物は、ポリアルキレングリコール鎖含有化合物のPAG鎖末端の水酸基等と反応性を有する官能基を有することが好ましい。また上記PAG鎖末端が置換基等で置換されている場合、疎水基含有化合物は該置換基と反応性を有する官能基を有することが好ましい。上記官能基としては例えば、ハロゲン原子、エポキシ基、グリシジル基、水酸基、カルボキシル基、アミノ基等が挙げられ、好ましくはハロゲン原子、グリシジル基である。
上記疎水基含有化合物としては、下記式(3);
【0048】
【0049】
(式中、R2は、疎水基を表す。Xはハロゲン原子を表す。)で表される化合物、又は、下記式(4);
【0050】
【0051】
(式中、R2は、疎水基を表す。R3は、炭素数1~5のアルキレン基を表す。)で表される化合物であることが好ましい。
【0052】
上記式(2)~(4)において、R1、R2の少なくとも一方が、第2級炭素原子(Cs)、第3級炭素原子及び第4級炭素原子の少なくともいずれか1つを有するものであればよい。R1、R2における疎水基としては、上述の炭素数1~30の直鎖アルキル基、炭素数3~30の分岐アルキル基、炭素数2~30の直鎖アルケニル基、炭素数3~30の分岐アルケニル基又は炭素数6~30のアリール基のいずれかであることが好ましい。
好ましくはR1が第2級炭素原子(Cs)、第3級炭素原子及び第4級炭素原子の少なくともいずれか1つを有するものである。R1、R2の両方が第2級炭素原子(Cs)、第3級炭素原子及び第4級炭素原子の少なくともいずれか1つを有するものであってもよい。
第2級炭素原子(Cs)、第3級炭素原子及び第4級炭素原子の少なくともいずれか1つを有する疎水基の好ましい形態は上述のとおりである。
【0053】
上記式(3)のXにおけるハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられ、好ましくは塩素である。
上記式(3)で表される化合物として好ましくは、炭素数1~30のハロゲン化アルキルであり、具体的にはメチルクロライド、エチルクロライド、プロピルクロライド、ブチルクロライド、ペンチルクロライド、ヘキシルクロライド、ヘプチルクロライド、オクチルクロライド、ノニルクロライド、デシルクロライド、ウンデシルクロライド、ドデシルクロライド(ラウリルクロライド)、トリデシルクロライド、テトラデシルクロライド、ペンタデシルクロライド、ヘキサデシルクロライド、ヘプタデシルクロライド、オクタデシルクロライド、ノナデシルクロライド、エイコサニルクロライド等が挙げられる。
これらの中でも好ましくは炭素数4~20のハロゲン化アルキルであり、ハロゲン化アルキルの炭素数としてより好ましくは6~18であり、更に好ましくは8~16である。
【0054】
上記式(4)のR3は、炭素数1~5のアルキレン基であり、アルキレン基の炭素数として好ましくは1~4であり、より好ましくは1~3であり、特に好ましくは1~2であり、最も好ましくは1である。
上記式(4)で表される化合物として好ましくは、炭素数4~30のアルキルグリシジルエーテルであり、具体的にはメチルグリシジルエーテル、エチルグリシジルエーテル、プロピルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、ペンチルグリシジルエーテル、ヘキシルグリシジルエーテル、ヘプチルグリシジルエーテル、オクチルグリシジルエーテル、ノニルグリシジルエーテル、デシルグリシジルエーテル、ウンデシルグリシジルエーテル、ドデシルグリシジルエーテル、トリデシルグリシジルエーテル、テトラデシルグリシジルエーテル、ペンタデシルグリシジルエーテル、ヘキサデシルグリシジルエーテル、ヘプタデシルグリシジルエーテル等が挙げられる。
これらの中でも好ましくは炭素数7~20のアルキルグリシジルエーテルであり、アルキルグリシジルエーテルの炭素数としてより好ましくは11~18であり、更に好ましくは15~17である。
【0055】
上記方法(ii)で用いるポリアルキレングリコール鎖含有化合物が、第2級炭素原子(Cs)、第3級炭素原子及び第4級炭素原子の少なくともいずれか1つを有する疎水基を有しないものである場合、方法(ii)における疎水基導入工程では、疎水基含有化合物として、下記特定の第2級炭素原子、第3級炭素原子及び第4級炭素原子の少なくともいずれか1つを有する疎水基を有する化合物を用いる。上記疎水基が、第2級炭素原子を有するものである場合、第2級炭素原子は、炭素原子と結合するヘテロ原子に結合するもの、又は、PAG鎖末端の水酸基と反応性を有する官能基が有するヘテロ原子に結合するものである。上記PAG鎖末端の水酸基と反応性を有する官能基としては、ハロゲン原子、水酸基、アミノ基が挙げられる。
【0056】
本発明のPAG化合物の製造方法(i)の第1工程において、アルキレンオキシドの使用量は、疎水基含有化合物100モル%に対して300~10000モル%であることが好ましい。より好ましくは3000~5000モル%である。
第2工程における疎水基含有化合物の使用量は特に制限されないが、第1工程で得られた反応物100モル%に対して、90~500モル%であることが好ましい。より好ましくは100~300モル%である。
【0057】
上記(ii)の方法において、ポリアルキレングリコール鎖含有化合物が疎水基を有しない場合、疎水基含有化合物の使用量は、ポリアルキレングリコール鎖含有化合物100モル%に対して180~1000モル%であることが好ましい。より好ましくは200~600モル%である。
またポリアルキレングリコール鎖含有化合物が疎水基を有する場合、疎水基含有化合物の使用量は、ポリアルキレングリコール鎖含有化合物100モル%に対して90~500モル%であることが好ましい。より好ましくは100~300モル%である。
【0058】
上記本発明のPAG化合物の製造方法における、(i)の方法の第1工程、第2工程、及び、上記(ii)の方法の反応工程では、反応速度の観点から反応触媒を用いることが好ましい。反応触媒としては、硫酸、リン酸などの鉱酸、四塩化スズ、三フッ化ホウ素等のルイス酸等の酸触媒;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物等の塩基性触媒が挙げられる。好ましくは塩基性触媒であり、より好ましくは水酸化ナトリウムである。
【0059】
上記(i)の方法の第1工程、第2工程、及び、上記(ii)の方法の反応工程における反応温度としては特に制限されないが、20~180℃が好ましく、より好ましくは30~160℃である。また、反応圧力としては、常圧から20Kg/cm2G以下が好ましく、より好ましくは1~10Kg/cm2Gである。
【0060】
上記(i)の方法の第1工程、第2工程、及び、上記(ii)の方法の反応工程では、窒素ガスなどの不活性ガスの雰囲気下で行なうことが好ましい。また、反応後に窒素ガスなどの不活性ガスの雰囲気下で保存してもよい。
また、上記工程において、溶媒を用いてもよいが、無溶媒で反応を行うことが好ましい。
【0061】
本発明のPAG化合物の製造方法では、必要に応じて、上記(i)の方法の第1工程、第2工程、及び、上記(ii)の方法の反応工程の後または途中に、精製工程を設けてもよい。
精製工程としては、残存原料、副生成物、水分、触媒の残渣等を除去する工程や、触媒を中和する工程等が挙げられる。
触媒を中和する工程としては、例えば、水酸化ナトリウムおよび/または水酸化カリウム存在下で反応した場合、その際の中和剤としては硫酸、酢酸、あるいは活性白土等の固体酸を使用することができる。
【0062】
<本発明のPAG化合物を含む組成物>
本発明のPAG化合物を含む組成物は、本発明のPAG化合物を必須として含むものである。上記組成物は、本発明のPAG化合物以外に、未反応の原料、副生成物、触媒の残渣、溶媒等のその他の成分を含みうる。
【0063】
上記組成物における本発明のPAG化合物の含有量は、組成物100質量%に対して、1~99.9質量%であることが好ましい。より好ましくは1~99質量%である。
すなわち、本発明のポリアルキレングリコール化合物を含む組成物は、ポリアルキレングリコール化合物と該化合物以外のその他の成分とを含み、ポリアルキレングリコール化合物の含有量が、組成物100質量%に対して、1~99.9質量%である。ポリアルキレングリコール化合物の含有量として好ましくは30~99.9質量%であり、更に好ましくは50~99.9質量%である。
【0064】
<本発明のポリアルキレングリコール化合物の用途>
本発明のポリアルキレングリコール化合物は、洗剤用ビルダー、洗剤、水処理剤、スケール防止剤、分散剤等、種々の用途に用いられるが、好ましくは洗剤用ビルダー、洗剤等に用いられることが好ましい。
【0065】
本発明はまた、本発明のポリアルキレングリコール化合物と該化合物以外の洗剤添加剤とを含む洗剤組成物でもある。
本発明のポリアルキレングリコール化合物以外の洗剤添加剤としては、界面活性剤や通常洗剤に用いられる添加剤であれば特に制限されず、洗剤分野において従来公知の知見が適宜参照されうる。
また、上記洗剤組成物は、粉末洗剤組成物であってもよいし、液体洗剤組成物であってもよい。
【0066】
上記界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤及び両性界面活性剤からなる群から選択される1種又は2種以上であることが好ましい。
【0067】
アニオン性界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルケニルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩、アルケニル硫酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、α-スルホ脂肪酸又はエステル塩、アルカンスルホン酸塩、飽和脂肪酸塩、不飽和脂肪酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アルケニルエーテルカルボン酸塩、アミノ酸型界面活性剤、N-アシルアミノ酸型界面活性剤、アルキルリン酸エステル又はその塩、アルケニルリン酸エステル又はその塩等が好適である。これらのアニオン性界面活性剤におけるアルキル基、アルケニル基には、メチル基等のアルキル基が分岐していてもよい。
【0068】
ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、高級脂肪酸アルカノールアミド又はそのアルキレンオキサイド付加物、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグリコキシド、脂肪酸グリセリンモノエステル、アルキルアミンオキサイド等が好適である。これらのノニオン性界面活性剤におけるアルキル基、アルケニル基には、メチル基等のアルキル基が分岐していてもよい。
【0069】
カチオン性界面活性剤としては、第4級アンモニウム塩等が好適である。また、両性界面活性剤としては、カルボキシル型両性界面活性剤、スルホベタイン型両性界面活性剤等が好適である。これらのカチオン性界面活性剤、両性界面活性剤におけるアルキル基、アルケニル基は、メチル基等のアルキル基が分岐していてもよい。
【0070】
上記界面活性剤の配合割合は、通常、洗剤組成物の全量に対して10~60質量%であり、好ましくは15~50質量%であり、更に好ましくは20~45質量%であり、特に好ましくは25~40質量%である。界面活性剤の配合割合が少なすぎると、十分な洗浄力を発揮できなくなる虞があり、界面活性剤の配合割合が多すぎると、経済性が低下する虞がある。
【0071】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
【0072】
<実施例1>
温度計、還流管及び窒素導入管を備えた容量100mLのガラス製四つ口ナスフラスコ反応容器に、株式会社日本触媒製ソフタノール500(炭素数12~14の第2級アルコールに酸化エチレンを平均50モル付加した化合物であり、以下、SFT500とも称する。)30.0g(12.5mmоl)、反応触媒として水酸化ナトリウム0.75g(18mmоl)、撹拌子を仕込み、マグネティックスターラーで撹拌下、反応容器内を窒素置換した後、80℃で1時間加熱した。その後、1-クロロドデカン3.3g(16.3mmоl)を一括で加え、窒素雰囲気下で80℃を維持したまま、12時間撹拌した。その後、反応溶液を室温になるまで放冷し、イオン交換水を加えてよく撹拌した。この分散溶液を、分液漏斗に移した後、n-ヘキサンで洗浄し、下相を抜き取ることで水相を回収した。この洗浄操作を3回繰り返した。回収した水相の溶媒をエバポレーションによって留去した。残存物にアセトニトリルを加え、不溶物を遠心分離によって分離した。遠心分離後の上澄み液を回収し、エバポレーションによってアセトニトリルを留去した。このようにして、両末端に疎水基を有するポリアルキレングリコール化合物(1)を得た。
【0073】
<実施例2>
温度計、還流管及び窒素導入管を備えた容量100mLのガラス製四つ口ナスフラスコ反応容器に、株式会社日本触媒製ソフタノール300(炭素数12~14の第2級アルコールに酸化エチレンを平均30モル付加した化合物であり、以下、SFT300とも称する。)13.0g(8.6mmоl)、反応触媒として水酸化ナトリウム0.51g(12.8mmоl)、撹拌子を仕込み、マグネティックスターラーで撹拌下、反応容器内を窒素置換した後、80℃で1時間加熱した。その後、1-クロロドデカン3.3g(16.3mmоl)を一括で加え、窒素雰囲気下で80℃を維持したまま、12時間撹拌した。その後、反応溶液を室温になるまで放冷し、イオン交換水を加えてよく撹拌した。この分散溶液を、分液漏斗に移した後、n-ヘキサンで洗浄し、下相を抜き取ることで水相を回収した。この洗浄操作を3回繰り返した。回収した水相の溶媒をエバポレーションによって留去した。残存物にアセトニトリルを加え、不溶物を遠心分離によって分離した。遠心分離後の上澄み液を回収し、エバポレーションによってアセトニトリルを留去した。このようにして、両末端に疎水基を有するポリアルキレングリコール化合物(2)を得た。
【0074】
<比較例1>
温度計、還流管及び窒素導入管を備えたガラス製四つ口ナスフラスコ反応容器に、日本乳化剤株式会社製ニューコール2360(炭素数12~13の第1級アルコールに酸化エチレンを平均60モル付加した化合物であり、以下、NC2360とも称する)15.0g(5.3mmоl)、反応触媒として水酸化ナトリウム0.32g(8.0mmоl)、撹拌子を仕込み、マグネティックスターラーで撹拌下、反応容器内を窒素置換した後、80℃で1時間加熱した。その後、1-クロロドデカン3.3g(16.3mmоl)を一括で加え、窒素雰囲気下で80℃を維持したまま、12時間撹拌した。その後、反応溶液を室温になるまで放冷し、イオン交換水を加えてよく撹拌した。この分散溶液を、分液漏斗に移した後、n-ヘキサンで洗浄し、下相を抜き取ることで水相を回収した。この洗浄操作を3回繰り返した。回収した水相の溶媒をエバポレーションによって留去した。残存物にアセトニトリルを加え、不溶物を遠心分離によって分離した。遠心分離後の上澄み液を回収し、エバポレーションによってアセトニトリルを留去した。このようにして、両末端に疎水基を有するポリアルキレングリコール化合物(3)を得た。
【0075】
<比較例2>
株式会社日本触媒製SFT500をポリアルキレングリコール化合物(4)とした。
【0076】
<末端疎水基に含まれる分岐炭素原子(酸素原子に直接結合したもの)の同定>
下記条件の下で測定する13C-NMR、及び、DEPT135-NMRにおいて、77~82ppmにピークが検出される場合は、末端の疎水基に、酸素原子に直接結合したメチン炭素原子を有するポリアルキレングリコール化合物であることを示す。また、同条件において、13C-NMRでピークが検出されるが、及び、DEPT135-NMRでピークが検出されない場合は、末端の疎水基に、酸素原子に直接結合し、かつ、水素原子と結合しない炭素原子を有するポリアルキレングリコール化合物であることを示す。
<13C-NMRの測定条件>
装置:Agilent社VNMR600、溶媒:重クロロホルム、サンプル濃度10重量%、繰り返し待ち時間3秒、積算回数:512回
<DEPT135-NMRの測定条件>
装置:Agilent社VNMR600、溶媒:重クロロホルム、サンプル濃度10重量%、繰り返し待ち時間1秒、積算回数:512回
【0077】
<綿布への洗濯水の浸透速度の評価>
規定の条件の試験溶液に試験布を浸した瞬間から、試験布が沈降するまでの時間を、下記手順により測定した。
(1)試験布(木綿 6号帆布、直径20mmのディスク)を100℃の乾燥器中にて1時間乾燥後、デシケーター内にて一昼夜放置して吸湿度を安定させた。
(2)直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(LAS)1000ppm、ポリマー100ppmを含む水溶液を調整し洗濯水とした。
(3)(2)の洗濯水350gを300mLビーカーに量り取り、恒温層内で25℃に調整した。
(4)頂部の内径41mm、高さ80mm、脚の内径6mm、長さ50mmのグーチロートに、直径1mmのステンレスワイヤの両端を曲げ、それに内径それぞれ10mm、および15mmの大小2個のステンレスワイヤリングを同心垂直線上85mmの間隔に平行に連結したディスク架台を準備した。
(5)(1)の試験布を(4)ディスク架台にセットし、(3)のビーカー内へ静かに速やかに浸し、同時にストップウォッチをスタートした。
(6)ロート上部に浮いた試験布に次第に溶液が浸透し、最終的に試験布がビーカー底部に到達すると同時にストップウォッチをストップし、経過時間を読み取った。
(7)試験布を取り替え、3回測定を繰り返し平均値を求めた。この平均値が短いほど、浸透速度が速いことを意味する。
【0078】
<複合汚れ(油/タンパク質/泥/カーボンブラック)の洗浄力評価(通常条件)>
(1)5cm×5cmの湿式人工汚染布(財団法人洗濯科学協会頒布)の白色度を予め日本電飾工業社製の測色色差計SE6000型を用いて、反射率にて測定した。
(2)塩化カルシウム二水和物7.34gに純水を加えて20kgとし、硬水を調製した。
(3)20mLのスクリュー管に、各評価サンプルの固形分2%水溶液を10g調製した。
(4)洗剤成分として、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(LAS)0.5g、硫酸ナトリウム純水2g、炭酸ナトリウム0.5gをビーカーに量り取った。
(5)(4)のビーカーに(2)の硬水を加えて2kgに調整し、洗浄液とした。
(6)ターゴットメーターを25℃に設定し、各ポットに(5)の洗浄液500mL、(3)のサンプル水溶液1.0gを投入し、100rpmで2分間撹拌した。その後、汚染布5枚と浴比調整のための綿布(Test fabrics社製5cm×5cmのCW98)14.6gを入れ、100rpmで10分間撹拌した。(リファレンスとして、(3)のサンプル水溶液の代わりに純水を添加したものを併せて評価した。)
(7)各ポットから汚染布を取り出し、手で水を切り、(2)の硬水500mLをポットに入れ25℃に調温し、100rpmで4分間撹拌した。
(8)各ポットから汚染布を取り出し、手で水を切り、室温で一晩乾燥させた後、上記測色色差計にて再度、汚染布の白色度を反射率にて測定した。
(9)(8)と同様に、汚染されていない布(以下、白布とも称する)として、CW98の白色度を反射率にて測定した。
(10)以上の測定結果から下式により洗浄率(洗浄力)を求めた。
洗浄率(%)=((洗浄前の汚染布の白色度)-(洗浄後の汚染布の白色度))/((洗浄前の汚染布の白色度)-(白布の白色度))×100
洗浄率の値が大きいほど、洗浄力が良好であることを意味する。
【0079】
<複合汚れ(油/タンパク質/泥/カーボンブラック)の洗浄力評価(時短条件)>
(1)5cm×5cmの湿式人工汚染布(財団法人洗濯科学協会頒布)の白色度を予め日本電飾工業社製の測色色差計SE6000型を用いて、反射率にて測定した。
(2)塩化カルシウム二水和物7.34gに純水を加えて20kgとし、硬水を調製した。
(3)20mLのスクリュー管に、各評価サンプルの固形分2%水溶液を10g調製した。
(4)洗剤成分として、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(LAS)0.5g、硫酸ナトリウム純水2g、炭酸ナトリウム0.5gをビーカーに量り取った。
(5)(4)のビーカーに(2)の硬水を加えて2kgに調整し、洗浄液とした。
(6)ターゴットメーターを25℃に設定し、各ポットに(5)の洗浄液500mL、(3)のサンプル水溶液1.0gを投入し、100rpmで2分間撹拌した。その後、汚染布5枚と浴比調整のための綿布(Test fabrics社製5cm×5cmのCW98)14.6gを入れ、100rpmで3分間撹拌した。(リファレンスとして、(3)のサンプル水溶液の代わりに純水を添加したものを併せて評価した。)
(7)各ポットから汚染布を取り出し、手で水を切り、(2)の硬水500mLをポットに入れ25℃に調温し、100rpmで2分間撹拌した。
(8)各ポットから汚染布を取り出し、手で水を切り、室温で一晩乾燥させた後、上記測色色差計にて再度、汚染布の白色度を反射率にて測定した。
(9)(8)と同様に、汚染されていない布(以下、白布とも称する)として、CW98の白色度を反射率にて測定した。
(10)以上の測定結果から下式により時短条件における洗浄率(洗浄力)を求めた。
時短条件における洗浄率(%)=((洗浄前の汚染布の白色度)-(洗浄後の汚染布の白色度))/((洗浄前の汚染布の白色度)-(白布の白色度))×100
この洗浄率の値が大きいほど、時短条件における洗浄力が良好であり、洗浄速度が高いことを意味する。
【0080】
<複合汚れ(クレー-カーボンブラック)再汚染防止能評価>
(1)綿布(Test fabrics社製CW98)を5cm×5cmに裁断し、白布を作成した。この白布を予め日本電飾工業社製の測色色差計SE6000型を用いて、白色度を反射率にて測定した。
(2)塩化カルシウム二水和物1.47gに純水を加えて20kgとし、硬水を調製した。
(3)20mLのスクリュー管に、各評価サンプルの固形分1%水溶液を10g調製した。
(4)4%ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウムを100g調製し、界面活性剤水溶液とした。
(5)ターゴットメーターを25℃に設定し、各ポットに(2)の硬水1L、(3)のサンプル水溶液5.0g、(4)の界面活性剤水溶液5.0g、カーボンブラック(財団法人洗濯科学協会製)0.25g、およびクレー(JIS試験用粉体1-11種(関東ローム焼成品))0.50gをポットに入れ、100rpmで1分間撹拌した。その後、綿布5枚を入れ、100rpmで10分間撹拌した。(リファレンスとして、(3)のサンプル水溶液の代わりに純水を添加したものを併せて評価した。)
(6)手で白布の水を切り、(2)の硬水1Lをポットに入れ25℃に調温し、100rpmで2分間撹拌した。
(7)白布に当て布をして、アイロンでしわを伸ばしながら乾燥させた後、上記測色色差計にて再度綿布の白色度を反射率にて測定した。
(8)以上の測定結果から下式により再汚染防止率(再汚染防止能)を求めた。
再汚染防止率(%)=(洗浄後の白色度)/(洗浄前の白色度)×100
再汚染防止率の値が大きいほど、再汚染防止能が良好であることを意味する。
【0081】
実施例1~2及び比較例1~2で得られたポリアルキレングリコール化合物について、上記式(1)におけるR1及びR2の構造及びオキシアルキレン基の平均付加モル数nを表1に示した。更にこれらの化合物について複合汚れの洗浄力、及び、綿布への洗浄液(洗濯水)の浸透速度を評価し、結果を表2に示した。
【0082】
【0083】
実施例1~2と比較例1は末端アルキル基に分岐構造を有するか否かの点で主に相違する。一方、実施例1と比較例1はポリアルキレングリコールの両末端に疎水基を有するか否かの点で、主に相違する。
【0084】
【0085】
実施例1~2と比較例1は、比較例2と比較して、複合汚れの洗浄力に優れる。
一方、実施例1~2と比較例2は、比較例1と比較して、洗濯水の浸透力に優れる。
以上より、実施例1~2は、複合汚れの高い洗浄力を保ちながら、洗濯水の浸透力に優れるポリアルキレングリコール化合物であることが分かった。