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特許7184626ENTの骨距離が色符号化された顔のマップ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】ENTの骨距離が色符号化された顔のマップ
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/03 20060101AFI20221129BHJP
   A61B 34/20 20160101ALI20221129BHJP
【FI】
A61B6/03 377
A61B6/03 360G
A61B6/03 360N
A61B34/20
【請求項の数】 21
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018236163
(22)【出願日】2018-12-18
(65)【公開番号】P2019107451
(43)【公開日】2019-07-04
【審査請求日】2021-11-19
(31)【優先権主張番号】15/847,646
(32)【優先日】2017-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】アクラム・ゾアビ
(72)【発明者】
【氏名】ファディ・マサルウィ
(72)【発明者】
【氏名】リオール・ザール
【審査官】蔵田 真彦
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0155730(US,A1)
【文献】特開平03-232077(JP,A)
【文献】特開昭63-204480(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第1801213(CN,A)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0132525(KR,A)
【文献】森紀子他,三次元CT画像を用いた現代日本人成人男女の頭部生体計測と顔面標準三次元物理モデルの構築,Anthropological Science (Japanese Series),2003年,Vo. 111, No.1,p.35-49
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00-6/14
G06T 1/00-1/40、3/00-7/90
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイ装置と、
プロセッサであって、
被験者の身体の部分のボクセルを含んだコンピュータ断層撮影(CT)画像を受信し、
前記画像をセグメント化して前記画像内の皮膚の表面及び骨の表面を識別し、
前記皮膚の前記表面上の複数の点から前記骨までのそれぞれの最小距離を測定し、
前記ディスプレイ装置上の前記皮膚の前記表面の画像をレンダリングしながら前記レンダリング済み画像を視覚的に符号化することで前記それぞれの最小距離を示し、
前記画像を視覚的に符号化することは、前記最小距離が所定の閾値を上回らない前記皮膚の第1の領域に第1の画像特性を適用し、前記最小距離が所定の閾値を上回る前記皮膚の第2の領域に第2の画像特性を適用することを含み、
前記第1の領域に対応する前記被験者の前記身体の部分上の位置を示すデータを磁気的に追跡される位置合わせプローブから受信し、
受信した前記データに基づいて、前記位置合わせプローブの座標系と前記CT画像の座標系の間の位置合わせをする、
ように構成されている、プロセッサと、を備える、装置。
【請求項2】
前記第1及び第2の画像特性が、2つの区別可能な色である、請求項に記載の装置。
【請求項3】
前記第1及び第2の画像特性が、2つの区別可能なパターンである、請求項に記載の装置。
【請求項4】
前記第1及び第2の画像特性が、2つの区別可能なグレーレベルである、請求項に記載の装置。
【請求項5】
前記画像を視覚的に符号化することは、前記最小距離が所定の第1の閾値を上回らない前記皮膚の前記表面の前記画像の前記第1の領域に前記第1の画像特性を適用することと、前記最小距離が所定の第2の閾値を上回前記皮膚の前記表面の前記画像の前記第2の領域に前記第2の画像特性を適用することと、前記最小距離が前記第1の閾値を上回が前記第2の閾値を上回らない前記皮膚の前記表面の前記画像の第3の領域に第3の画像特性を適用することと、を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記第1、第2、及び第3の画像特性が、3つの区別可能な色である、請求項に記載の装置。
【請求項7】
前記第3の画像特性の前記色が、前記第1及び第2の画像特性の前記色の組み合わせであり、前記組み合わせ中の前記第1及び第2の色の相対的重みが、第2の差に対する第1の差の比から求められ、前記第1の差が前記第1の閾値と前記最小距離との差であり、前記第2の差が前記最小距離と前記第2の閾値との差である、請求項に記載の装置。
【請求項8】
前記第1及び第2の画像特性が2つの区別可能なグレーレベルであり、前記第3の画像特性が第3のグレーレベルであり、前記第3のグレーレベルが、前記第1及び第2の画像特性の前記グレーレベルの間の補間されたグレーレベルであり、前記補間されたグレーレベルが、それぞれ、前記最小距離と前記第1及び第2の閾値との差によって決定される、請求項に記載の装置。
【請求項9】
前記複数の点のそれぞれの前記最小距離が、前記複数の点のそれぞれにおける前記骨の前記表面に対する法線に沿って確立される、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記身体の部分が頭部を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
プログラム命令が格納された非一時的なコンピュータ可読媒体を含むコンピュータソフトウェア製品であって、前記命令が、
コンピュータにより読み取られる際に前記コンピュータに、被験者の身体の部分のボクセルを含んだコンピュータ断層撮影(CT)画像を受信させ、
前記画像をセグメント化して前記画像内の皮膚の表面及び骨の表面を識別させ、
前記皮膚の前記表面上の複数の点から前記骨までのそれぞれの最小距離を測定させ、
前記皮膚の前記表面の画像をレンダリングしながら前記レンダリング済み画像を視覚的に符号化することで前記それぞれの最小距離を表示させ、
前記画像を視覚的に符号化することは、前記最小距離が所定の閾値を上回らない前記皮膚の第1の領域に第1の画像特性を適用し、前記最小距離が所定の閾値を上回る前記皮膚の第2の領域に第2の画像特性を適用することを含み、
前記第1の領域に含まれる前記被験者の前記身体の部分上の複数の位置を示すデータを磁気的に追跡される位置合わせプローブから受信させ、
受信した前記データに基づいて、前記位置合わせプローブの座標系と前記CT画像の座標系の間の位置合わせをさせる、
コンピュータソフトウェア製品。
【請求項12】
被験者の身体の部分のボクセルを含んだコンピュータ断層撮影(CT)画像を受信することと、
前記画像をセグメント化して前記画像内の皮膚の表面及び骨の表面を識別することと、
前記皮膚の前記表面上の複数の点から前記骨までのそれぞれの最小距離を測定することと、
前記皮膚の前記表面の画像をレンダリングしながら前記レンダリング済み画像を視覚的に符号化することで前記それぞれの最小距離を表示することと、
前記画像を視覚的に符号化することは、前記最小距離が所定の閾値を上回らない前記皮膚の第1の領域に第1の画像特性を適用し、前記最小距離が所定の閾値を上回る前記皮膚の第2の領域に第2の画像特性を適用することを含み、
前記第1の領域に含まれる前記被験者の前記身体の部分上の複数の位置を示すデータを磁気的に追跡される位置合わせプローブから受信することと、
受信した前記データに基づいて、前記位置合わせプローブの座標系と前記CT画像の座標系の間の位置合わせをすることと、
を含む、方法。
【請求項13】
前記第1及び第2の画像特性が、2つの区別可能な色である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第1及び第2の画像特性が、2つの区別可能なパターンである、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記第1及び第2の画像特性が、2つの区別可能なグレーレベルである、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記レンダリング済み画像を視覚的に符号化することは、前記最小距離が所定の第1の閾値を上回らない前記皮膚の前記表面の前記画像の前記第1の領域に前記第1の画像特性を適用することと、前記最小距離が所定の第2の閾値を上回前記皮膚の前記表面の前記画像の前記第2の領域に前記第2の画像特性を適用することと、前記最小距離が前記第1の閾値を上回が前記第2の閾値を上回らない前記皮膚の前記表面の前記画像の第3の領域に第3の画像特性を適用することと、を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記第1、第2、及び第3の画像特性が、3つの区別可能な色である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第3の画像特性の前記色が、前記第1及び第2の画像特性の前記色の組み合わせであり、前記組み合わせ中の前記第1及び第2の色の相対的重みが、第2の差に対する第1の差の比から求められ、前記第1の差が前記第1の閾値と前記最小距離との差であり、前記第2の差が前記最小距離と前記第2の閾値との差である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記第1及び第2の画像特性が2つの区別可能なグレーレベルであり、前記第3の画像特性が第3のグレーレベルであり、前記第3のグレーレベルが、前記第1及び第2の画像特性の前記グレーレベルの間の補間されたグレーレベルであり、前記補間されたグレーレベルが、それぞれ、前記最小距離と前記第1及び第2の閾値との差によって決定される、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記身体の部分が頭部を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項21】
前記複数の点のそれぞれの前記最小距離が、前記複数の点のそれぞれにおける前記骨の前記表面に対する法線に沿って確立される、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、画像誘導手術、特に磁気的に追跡された器具とコンピュータ断層撮影(CT)画像との位置合わせに関する。
【背景技術】
【0002】
画像誘導手術(IGS)では、医師は、リアルタイムで追跡される器具を使用することで外科手術中に器具の位置及び/又は向きを患者の解剖学的構造の画像上に示すことができる。場合によっては、患者の解剖学的構造の追跡とイメージングの両方を、透視診断法などの1つの様式で実行することができる。しかしながら、透視診断法は電離放射線を用いるものであるため、その利用は最小限に留められるべきである。その結果、多くのシナリオにおいて、患者の画像は、磁気共鳴イメージング法(MRI)又はコンピュータ断層撮影(CT)透視診断法などの1つの様式で準備され、器具追跡では電磁気追跡などの異なる様式が用いられている。
【0003】
米国特許第5,335,173号は、検査及び診断される被験者の頭蓋骨及び頭蓋骨の外側表面を覆う皮膚上のそれぞれの3次元画像情報を変換するステップを含む医療診断用画像表示方法について記載している。
【0004】
米国特許第6,081,739号は、音響又は光学3次元スキャニング検出器及びカラービデオ検出器を有し、パノラマX線データが得られる際に、被験者の皮膚の表面の3次元の輪郭及び被験者の皮膚の外側の視覚的外観も関連するデータ群として得られる、従来のデジタルパノラマX線撮影装置について記載している。
【0005】
米国特許第5,813,984号は、先進的診断放射線学様式の利用により、被害者のオンライン顔再構成及び行方不明の子供の経年似顔レンダリングに使用される法医学頭蓋骨及び軟組織データベースを作成するための方法及び装置について記載している。
【0006】
欧州特許EP0581704B1号は、少なくとも2個の画像生成装置に対して被験者の臓器の位置を決定するための方法について記載している。
【0007】
米国特許第6,524,250号は、外科医が容易に使用して脂肪吸引処置の前、その間、又はその後の変化を測定及び監視し、対称的な身体の輪郭の生成を補助することができる装置について記載している。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下に述べられる本発明の実施形態は、磁気的に追跡される外科器具とCT画像との改良された位置合わせをするための方法を提供するものである。
【0009】
したがって、本発明の一実施形態によれば、被験者の身体の部分のボクセルを含んだコンピュータ断層撮影(CT)画像を受信することと、画像をセグメント化して画像内の皮膚の表面及び骨の表面を識別することと、皮膚の表面上の複数の点から骨までのそれぞれの最小距離を測定することと、皮膚の表面の画像をレンダリングしながらレンダリング済み画像を視覚的に符号化することでそれぞれの最小距離を表示することと、を含む、方法が提供される。
【0010】
一実施形態では、レンダリング済み画像を視覚的に符号化することは、最小距離が所定の閾値を上回らない皮膚の第1の領域に第1の画像特性を適用することと、最小距離が所定の閾値を上回る皮膚の第2の領域に第2の画像特性を適用することと、を含む。
【0011】
別の実施形態では、第1及び第2の画像特性は、2つの区別可能な色である。代替的には、第1及び第2の画像特性は、2つの区別可能なパターンである。更に代替的には、第1及び第2の画像特性は、2つの区別可能なグレーレベルである。
【0012】
更なる一実施形態では、レンダリング済み画像を視覚的に符号化することは、最小距離が所定の第1の閾値を上回る皮膚の表面の画像の第1の領域に第1の画像特性を適用することと、最小距離が所定の第2の閾値を上回らない皮膚の表面の画像の第2の領域に第2の画像特性を適用することと、最小距離が第1の閾値を上回らないが第2の閾値を上回る皮膚の表面の画像の第3の領域に第3の画像特性を適用することと、を含む。
【0013】
更に別の実施形態では、第1、第2、及び第3の画像特性は、3つの区別可能な色である。
【0014】
更なる別の実施形態では、第3の画像特性の色は、第1及び第2の画像特性の色の組み合わせである。組み合わせ中の第1及び第2の色の相対的重みは、第2の差に対する第1の差の比から求められ、第1の差は第1の閾値と最小距離との差であり、第2の差は最小距離と第2の閾値との差である。代替的に、第1及び第2の画像特性は2つの区別可能なグレーレベルであり、第3の画像特性は第3のグレーレベルである。第3のグレーレベルは、第1及び第2の画像特性のグレーレベルの間の補間されたグレーレベルであり、補間されたグレーレベルは、それぞれ、最小距離と第1及び第2の閾値との差によって決定される。
【0015】
別の実施形態では、身体の部分は頭部である。
【0016】
更なる一実施形態では、複数の点のそれぞれの最小距離は、複数の点のそれぞれにおける骨の表面に対する法線に沿って確立される。
【0017】
本発明の一実施形態によれば、ディスプレイ装置と、プロセッサと、を有する装置であって、プロセッサは、被験者の身体の部分のボクセルを含んだコンピュータ断層撮影(CT)画像を受信し、画像をセグメント化して画像内の皮膚の表面及び骨の表面を識別し、皮膚の表面上の複数の点から骨までのそれぞれの最小距離を測定し、ディスプレイ装置上の皮膚の表面の画像をレンダリングしながらレンダリング済み画像を視覚的に符号化することでそれぞれの最小距離を示すように構成されている、装置も提供される。
【0018】
一実施形態では、画像を視覚的に符号化することは、最小距離が所定の閾値を上回らない皮膚の第1の領域に第1の画像特性を適用することと、最小距離が所定の閾値を上回る皮膚の第2の領域に第2の画像特性を適用することと、を含む。
【0019】
更なる一実施形態では、第1及び第2の画像特性は、2つの区別可能な色である。代替的には、第1及び第2の画像特性は、2つの区別可能なパターンである。更に代替的には、第1及び第2の画像特性は、2つの区別可能なグレーレベルである。
【0020】
別の実施形態では、画像を視覚的に符号化することは、最小距離が所定の第1の閾値を上回る皮膚の表面の画像の第1の領域に第1の画像特性を適用することと、最小距離が所定の第2の閾値を上回らない皮膚の表面の画像の第2の領域に第2の画像特性を適用することと、最小距離が第1の閾値を上回らないが第2の閾値を上回る皮膚の表面の画像の第3の領域に第3の画像特性を適用することと、を含む。
【0021】
更に別の実施形態では、第1、第2、及び第3の画像特性は、3つの区別可能な色である。
【0022】
更なる別の実施形態では、第3の画像特性の色は、第1及び第2の画像特性の色の組み合わせである。組み合わせ中の第1及び第2の色の相対的重みは、第2の差に対する第1の差の比から求められ、第1の差は第1の閾値と最小距離との差であり、第2の差は最小距離と第2の閾値との差である。代替的に、第1及び第2の画像特性は2つの区別可能なグレーレベルであり、第3の画像特性は第3のグレーレベルである。第3のグレーレベルは、第1及び第2の画像特性のグレーレベルの間の補間されたグレーレベルであり、補間されたグレーレベルは、それぞれ、最小距離と第1及び第2の閾値との差によって決定される。
【0023】
別の実施形態では、複数の点のそれぞれの最小距離は、複数の点のそれぞれにおける骨の表面に対する法線に沿って確立される。
【0024】
本発明の一実施形態によれば、プログラム命令が格納された非一時的なコンピュータ可読媒体を含むコンピュータソフトウェア製品も提供される。命令は、コンピュータにより読み取られる際にコンピュータに、被験者の身体の部分のボクセルを含んだコンピュータ断層撮影(CT)画像を受信させ、画像をセグメント化して画像内の皮膚の表面及び骨の表面を識別させ、皮膚の表面上の複数の点から骨までのそれぞれの最小距離を測定させ、皮膚の表面の画像をレンダリングしながらレンダリング済み画像を視覚的に符号化することでそれぞれの最小距離を表示させる。
【0025】
本発明は、以下の発明を実施するための形態を図面と併せて考慮すると、より完全に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の一実施形態に係る、表面整合システムの概略図である。
図2】本発明の一実施形態に係る、位置合わせプロセスのフローチャートである。
図3】本発明の一実施形態に係る、画像レンダリングステップにおいて画像をレンダリングするプロセスのフローチャートである。
図4】本発明の一実施形態に係る、被験者の顔の軟組織の厚さを示すマップを示す。
図5】本発明の一実施形態に係る、予備位置合わせの間のスクリーン上の画像を示す。
図6】本発明の一実施形態に係る、最終的な位置合わせの開始時のスクリーン上の画像を示す。
図7】本発明の一実施形態に係る、最終的な反復位置合わせの間のスクリーン上の画像を示す。
図8】本発明の代替的な一実施形態に係る、画像レンダリングステップにおいて画像をレンダリングするプロセスのフローチャートである。
図9】本発明の代替的な実施形態に係る、被験者の顔の軟組織の厚さを示す画像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
概説
被験者の体内の手術器具の位置及び向きの決定は、磁気追跡を利用して行うことができる。耳鼻咽喉(ENT)手術では、最初に、被験者の頭部に対して磁気追跡システムが位置合わせされる。この位置合わせ手順は、通常、被験者の頭部の予め記録されたCT画像を使用する。位置合わせ手順の予備段階では、外科医は、位置合わせプローブを有するワンド状のプローブを用いて被験者の顔の数カ所、通常は4つの点に触れる。位置合わせプローブの位置及び向きが、磁気追跡システムによって認識される。これら4つの点に基づき、プロセッサが、位置合わせアルゴリズムを用いて磁気追跡システム内の各点の位置をCT画像内のそれらの位置に当てはめることによって、初期位置合わせを行う。
【0028】
得られた位置合わせは、外科器具の位置及び向きの正確な決定を行うには通常はまだ充分ではない。位置合わせ手順の第2の段階では、外科医は被験者の顔の複数の点にワンドで触れる。このプロセスの間、プロセッサは、位置合わせアルゴリズムを用いて顔のこれらの追加の点に基づいて位置合わせを反復して、改善する。
【0029】
位置合わせアルゴリズムはCT画像の外側(皮膚)輪郭に追加の点を当てはめることに基づいているため、外科医がワンドを軟組織内に押し込むことによって生じるあらゆる誤差が位置合わせの誤差を生じる。位置合わせの誤差は、更に、外科医が被験者の鼻腔内にガイドワイヤを挿入し、位置合わせアルゴリズムによって与えられるガイドワイヤの位置と、例えば外科医のその位置の触れた感覚との間のずれをみつけた後にようやく外科医が検出することができる。
【0030】
この場合、外科医は通常、ガイドワイヤを引き抜き、位置合わせの第2の段階を再び行うため、手術に遅延を生じる。
【0031】
本明細書に述べられる本発明の実施形態は、被験者の顔の画像をレンダリングすることによりこの問題を解決するものであり、顔の骨を覆う軟組織の厚さが例えば異なる色のような視覚的な符号化により表される。
【0032】
本発明の実施形態では、プロセッサは、被験者の身体の部分のボクセルで構成されたコンピュータ断層撮影(CT)画像を受信する。プロセッサはこの画像をセグメント化して、画像内の皮膚の表面及び骨の表面を識別し、皮膚の表面上の複数の点から骨までのそれぞれの最小距離を測定する。この最小距離は、骨の表面に対する法線に沿った距離に相当する。次いで、プロセッサは、皮膚の表面の画像をレンダリングしながらこの画像を視覚的に符号化することでそれぞれの最小距離を表示する。この画像を、被験者に手術を行っている外科医に対してスクリーン上に提示することができる。
【0033】
画像の視覚的符号化は一般的に、最小距離が所定の閾値を上回らない皮膚の第1の領域に色又は陰影などの第1の画像特性を適用することと、最小距離が所定の閾値を上回る皮膚の第2の領域に別の色又は陰影などの第2の画像特性を適用することとを含む。
【0034】
あるいは、画像の視覚的符号化は、最小距離が所定の第1の閾値を上回る皮膚の第1の領域に第1の色又は陰影などの第1の画像特性を適用することと、最小距離が所定の第2の閾値を上回らない皮膚の第2の領域に第2の色又は陰影などの第2の画像特性を適用することと、皮膚の第3の領域に第3の画像特性を適用することとを含む。一実施形態では、第3の画像特性は、第1の画像特性と第2の画像特性との組み合わせを一般的に含み、第1の画像特性と第2の画像特性との相対重みは補間により決定される。
【0035】
上記の実施形態は、被験者の頭部に対するENT手術について述べたものであるが、他の実施形態は被験者の身体の他の部分に適用される医学的手技を含む。
【0036】
システムの説明
図1は、本発明の一実施形態に従った、表面整合システム10の概略図である。システム10は、本明細書において、例として、被験者14のコンピュータ断層撮影(CT)画像を備えると想定される、磁気追跡システム12を画像と位置合わせさせるために用いられる。追跡システム12は、被験者に実施される医学的手技の間に被験者14に挿入される、カテーテル又はガイドワイヤなどの1つ又は2つ以上の器具の位置及び配向を追跡するために用いられる。以下に記載されるように、追跡システム12は、被験者の外側にある位置合わせプローブ16の位置及び向きを追跡することもできる。プローブ16は、システム10の使用中に、専門家20(通常は外科医)が保持することができるハンドル18に固定的に接続されている。プローブ16とハンドル18との組み合わせは、専門家20による所望の位置へのプローブの配置を容易にする剛性プローブアセンブリ22を形成する。
【0037】
以下の説明では、明確さ及び簡潔さのために、上記に言及された医学的手技は、表面整合システム10及び磁気追跡システム12が、鼻洞の領域内及びその周囲で動作するように構成されていると想定されるように、被験者14の鼻洞への侵襲的手技を含むものと想定される。しかしながら、システム10及び12は、腎臓又は腹部などの被験者の他の領域内及び周囲で動作するように構成されてもよいことが理解され、当業者であれば、本明細書における記載をかかる他の領域に適応させることができるであろう。
【0038】
追跡システム12は、プローブ追跡モジュール28と通信する処理ユニット26を備えるシステムプロセッサ24によって操作される。モジュール28の機能を以下に記載する。プロセッサ24は、マウス又はトラックボールなどのポインティングデバイスを典型的に含む動作制御部32を備えるコンソール30内に実装され得る。専門家20は動作制御部を用いてプロセッサ24と対話し、このプロセッサは、以下に記載されるように、システム10及び12によって生成される結果を、本明細書ではスクリーン34とも呼ばれるディスプレイ装置34上で専門家に対して提示するために用いられ得る。
【0039】
プロセッサ24は、プロセッサのメモリに格納されたソフトウェアを用いてシステム10を操作する。ソフトウェアは、例えば、ネットワークを介して、電子的形態でプロセッサ24にダウンロードされてもよく、又はこれに代えて又はこれに加えて、磁気メモリ、光メモリ、若しくは電子メモリなどの、非一時的な有形媒体上に提供され、及び/又は記憶されてもよい。
【0040】
上記に言及された被験者14内の器具を追跡するため、またプローブ16を追跡するために、処理ユニット26は、プローブ追跡モジュール28を用い、ケーブル35を介して複数の磁界発生器36(通常はコイル)を操作する。被験者14が麻酔され、ベッド40上で臥位に固定された頭部38を有する場合に一般的に適用可能な一実施形態では、図1に示されるような発生器36が、ベッド上で被験者の頭部の脇に通常配置されるフレーム42に固定される。被験者14が麻酔されない場合に適用可能な代替的な一実施形態(図示せず)では、発生器36は互いに対して、また、頭部38に取り付けられたフレームに対して固定される。3軸基準コイル41が頭部38に固定され、ケーブル43により処理ユニット26に接続されている。
【0041】
発生器36は、被験者14の頭部38の内側及び外側に交番磁界を放射し、これらの磁界が、器具内及びプローブ16内の磁気検出器内で信号を発生させる。信号は、典型的にプローブ16の場合では、プローブをコンソール30に接続するケーブル44を介して処理ユニット26及びプローブ追跡モジュール28に戻され、プロセッサとモジュールとは共に信号を分析して、発生器36に対する器具及びプローブ16の位置及び向きを提供する。磁界発生器36が磁気追跡システム12の基準座標フレーム46を定義することは理解されるであろう。
【0042】
カリフォルニア州アーバイン所在のBiosense Webster社により製造されるCarto(登録商標)システムは、本明細書に記載されるものと同様の追跡システムを用いて、被験者内に挿入されたプローブの遠位先端部の位置及び向きを追跡する。
【0043】
システムプロセッサ24は、被験者14の頭部38のデジタル化CT画像48を格納する。デジタル化CT画像48は、システム10の位置合わせに使用するため、また、特に被験者の頭部38の画像50をスクリーン34上に生成するために、処理ユニット26によってアクセスされ得る。位置合わせのプロセスの間、プローブ16は、被験者14の表面52と(すなわち被験者の皮膚と)接触させられるため、表面52は本明細書では皮膚52とも呼ばれる。
【0044】
図2は、本発明の一実施形態に係る位置合わせプロセスのフローチャートである。データ取得ステップ60及び画像レンダリングステップ62において、画像94(図4に示される)が準備される。データ取得ステップ60において、CT画像48がシステムプロセッサ24によって読み取られる。画像レンダリングステップ62については、図3のフローチャート及び図4の説明で更に詳しく説明する。予備位置合わせステップ64において、CT画像48と追跡システム12とが、図5を参照して説明するように、専門家20によって本明細書でワンド22とも呼ばれる剛性プローブアセンブリ22を使用して取得された少数、通常は4個の点に基づいて、互いに対して位置合わせされる。最終位置合わせは、高密度サンプリングステップ66、更新ステップ68、及び決定ステップ70において多数の点を取得することを含む。ステップ66、68、及び70については、図6~7を参照して説明する。
【0045】
図3は、本発明の一実施形態に係る、図2の画像レンダリングステップ62において画像94を生成するためのプロセスのフローチャートである。画像94は、本明細書ではレンダリング済み画像94とも呼ばれる。システムプロセッサ24は、割当ステップ76において、デジタル化CT画像48と同じ寸法を有する3Dデータアレイ77を割当て、移行ステップ78においてこのCT画像をデータアレイ内に移行する。データアレイ77の各点はボクセル79と呼ばれる。識別ステップ80において、システムプロセッサ24は、データアレイ77内で各ボクセル及びその周囲のボクセルに関連付けられた放射線密度に基づいて、皮膚52に関連付けられたボクセル79を識別し、これらのボクセルは「皮膚ボクセル」81と呼ばれる。
【0046】
ステップ82~92において、システムプロセッサ24は、すべての皮膚ボクセル81についてループし、距離ステップ86において、皮膚ボクセルから下層の骨の最も近い点までの距離を決定する。比較ステップ88において、システムプロセッサ24は、皮膚ボクセル81から骨までの決定された距離を、専門家20により0.5~3mmの範囲内で選択される所定の閾値と比較する。この閾値は、最小許容可能皮膚-骨距離と仮定される。距離がこの閾値以下である場合、すなわち、最小皮膚-骨距離以下である場合、緑関連付けステップ90において、皮膚ボクセル81に緑色が関連付けられる。距離が閾値よりも大きい場合、赤色関連付けステップ92において、皮膚ボクセル81に赤色が関連付けられる。システムプロセッサ24がすべての皮膚ボクセル81を通じてループした後、プロセスは、画像生成ステップ93においてシステムプロセッサが皮膚ボクセル81の画像をそれらに関連付けられた色とともに生成することで終了する。
【0047】
図4は、本発明の一実施形態に係る、被験者14の顔の軟組織の厚さを示す画像94を示している。磁気追跡システム12とデジタル化CT画像48との位置合わせに備え、システムプロセッサ24は、以下に述べるように、軟組織の厚さを表示する画像94をレンダリングする。以下に述べる実施形態では、視覚符号化は、異なる色に基づく。
【0048】
図3のフローチャートについて上記に述べたように、システムプロセッサ24は、デジタル化CT画像48内で皮膚ボクセル81を識別する。各皮膚ボクセル81について、システムプロセッサ24は、CT画像48をセグメント化して被験者の骨物資を識別し、皮膚52から下層の骨までの距離を測定する。この距離が所定の閾値を上回らない場合、画像94上の皮膚ボクセル81の画像は緑に色付けされる。しかしながら、この距離が所定の閾値を上回った場合、皮膚ボクセル81の画像は赤く色付けされる。(「緑」及び「赤」色は、図4において、また、これに続く図において、2つの異なる陰影により、それぞれ領域96及び領域98として示されている。)得られた画像94において、領域96は軟組織の厚さが所定の閾値を上回らない骨質領域であり、領域98は軟組織の厚さが閾値を上回る肉質領域である。
【0049】
図4に示される実施形態では、領域94を符号化するために緑と赤を用いているが、他の色を用いることもできる。他の実施形態では、複数の所定の閾値を用いてもよく、2つの連続した閾値の間のそれぞれの厚さの間隔に異なる色が指定される。更なる他の実施形態では、グレーレベルを用いて厚さを表示することができる。更に他の実施形態では、パターン、又はパターンの組み合わせ、色、及びグレーレベルを用いて厚さを表示することができる。
【0050】
図5~7は、本発明の一実施形態に係る、図2のフローチャートによって説明される位置合わせプロセスの間のスクリーン34上の画像を示す。
【0051】
図5は、本発明の一実施形態に係る、予備位置合わせステップ64(図2)の間のスクリーン34上の画像100を示す。予備位置合わせの目的では、システムプロセッサ24は、スクリーン34上に、皮膚ボクセル81を識別することによりデジタル化CT画像48から抽出された被験者の皮膚52に対応する被験者14の顔画像102を表示する。更に、システムプロセッサ24は、4個の点106a~dを表示する概略的な顔の描図104を提示する。点106a~dは、顔面上でそれらの明確な位置のために、また、これらの位置に一般にみられる骨質領域のために選択された、予備位置合わせを行ううえで推奨される位置である。
【0052】
専門家20は、プローブアセンブリ22を使用して、専門家の判断によって推奨点106a~dに最も近く一致する被験者14の顔の皮膚52の4個の点に位置合わせプローブ16で触れる。4個の点のそれぞれに触れた時点で、専門家20は、プローブアセンブリ22の制御部(制御部は示されていない)又は操作制御部32を使用してシステムプロセッサ24に信号を送ることでプローブ16の位置及び向きを記録する。
【0053】
4個の点におけるプローブ16の位置及び向きを記録した後、システムプロセッサ24は、磁気追跡システム12の基準座標フレーム46内の4個の点と、デジタル化CT画像48との間の座標変換を計算して4個の点と皮膚ボクセル81との間の最良の空間的フィットを得る。この座標変換によって、磁気追跡システム12とデジタル化CT画像48との間の予備位置合わせが与えられる。
【0054】
図6は、本発明の一実施形態に係る、最終位置合わせ(図2のフローチャートに関して上記に述べたもの)の開始時のスクリーン34上の画像110を示す。最終位置合わせの目的では、システムプロセッサ24はスクリーン34上にレンダリング済み画像94及び顔画像102の2つの画像を表示する。3軸基準コイル41の位置を表すアイコン103が、磁気追跡システム12とデジタル化CT画像48との間の予備位置合わせに基づいて顔画像102上に示されている。
【0055】
最終位置合わせを行うには、専門家20は被験者14の顔上の複数の点に位置合わせプローブ16で触れ、これらの点をその後に続く位置合わせ計算のために受け容れるようにシステムプロセッサ24に信号を送る。更に、これらの座標が、皮膚52の歪みが最小となる表面を表すように、一実施形態において、専門家20は画像94の案内にしたがって骨質領域96における皮膚に位置合わせプローブ16で触れる。
【0056】
図7は、本発明の一実施形態に係る、最終的な反復位置合わせの間のスクリーン34上の画像120を示す。この最終的な反復位置合わせは、図2のフローチャートのステップ66、68、及び70に相当する。
【0057】
被験者14の顔の皮膚52上の点122は、専門家20が、通常は領域96(緑に色付けされた部分)内において、位置合わせプローブ16で顔に触れた点を表示している。点122の座標を表す信号がシステムプロセッサ24に送られる。説明を分かりやすくするため、図7には、少ない数の点122のみが示されている。システムプロセッサ24は、数多くの点、通常は20個についての信号を受信した後、デジタル化CT画像48と、磁気追跡システム12によって収集された点との間の座標変換を再計算する。更なる20個の点の後、システムプロセッサ24は座標変換を再び再計算する。画像94の案内にしたがって更なる点122をサンプリングすることにより、また、骨質領域96内の点を収集することにより、専門家20は磁気追跡システム12の基準座標フレーム46とデジタル化CT画像48との間の位置合わせの精度を制御する。
【0058】
図2のフローチャートの説明を再び参照し、決定ステップ70において、専門家20は位置合わせが充分に正確であるか否かを決定する。この目的では、専門家20は、被験者の鼻の先端のような被験者14の明確に規定された位置にプローブ16で触れる。被験者14の画像上のプローブの位置の表示の視覚的観察に基づき、専門家20は、得られた位置合わせの精度について主観的な決定を行う。
【0059】
図8は、図2の画像レンダリングステップ62において画像150を生成するためのプロセスのフローチャートであり、図9は、本発明の代替的な一実施形態に係る、本明細書ではレンダリング済み画像150とも呼ばれるこの画像を概略的に示す。フローチャートの最初の3つのステップは図3に示されるものとほぼ同じである。すなわち、システムプロセッサ24が、割当ステップ76において、デジタル化CT画像48と同じ寸法を有する3Dデータアレイ77を割当て、移行ステップ78においてこのCT画像をデータアレイ内に移行する。図3と同様、データアレイ77の各点はボクセル79と呼ばれる。識別ステップ80において、システムプロセッサ24は、データアレイ77内で各ボクセル及びその周囲のボクセルに関連付けられた放射線密度に基づいて、皮膚52に関連付けられたこれらのボクセル79を識別し、これらのボクセルは図3と同様、「皮膚ボクセル」81と呼ばれる。
【0060】
ステップ130~142において、システムプロセッサ24は、すべての皮膚ボクセル81についてループし、距離ステップ132において、皮膚ボクセルから下層の骨の最も近い点までの距離を決定する。第1の比較ステップ134において、システムプロセッサ24は、皮膚ボクセル81から骨までの決定された距離を、専門家20により通常、10mmとして選択される所定の第1の閾値と比較する。距離が閾値よりも大きい場合、赤色関連付けステップ136において、皮膚ボクセル81に赤色が関連付けられる。第2の比較ステップ138において、この距離は、専門家20により通常、0~0.5mmとして選択される所定の第2の閾値と比較される。距離が第2の閾値を上回った場合(しかし、第1の比較ステップ134に基づき、第1の閾値を上回らない場合)、システムプロセッサ24は、補間ステップ140において、それぞれ、第1及び第2の閾値からの皮膚ボクセル81の距離の比に基づいて補間された赤と緑との混合を基に色を決定する。更に、補間ステップ140において、得られた混合色は皮膚ボクセル81と関連付けられる。第2の比較ステップ138においてシステムプロセッサ24は、距離が第2の閾値以下であると判定した場合、システムプロセッサにより、緑色関連付けステップ142において皮膚ボクセル81に対して緑色が関連付けられる。システムプロセッサ24がすべての皮膚ボクセル81を通じてループした後、プロセスは、画像生成ステップ144においてシステムプロセッサが皮膚ボクセル81の画像をそれらに関連付けられた色とともに生成することで終了する。
【0061】
図9は、本発明の代替的な実施形態に係る、被験者14の顔の軟組織の厚さを表示する画像150を示している。
【0062】
図4と同様、磁気追跡システム12とデジタル化CT画像48との位置合わせに備え、システムプロセッサ24は、以下に述べるように、軟組織の厚さを表示する画像150をレンダリングする。以下に述べる実施形態では、視覚符号化は、異なる色に基づく。
【0063】
図8のフローチャートについて上記に述べたように、システムプロセッサ24は、デジタル化CT画像48内で皮膚ボクセル81を識別する。各皮膚ボクセル81について、システムプロセッサ24は、CT画像48をセグメント化して被験者の骨物資を識別し、皮膚52から下層の骨までの距離を測定する。システムプロセッサ24は、各皮膚ボクセル81の色を以下のように決定する。すなわち、距離が所定の第1の閾値(通常は10mm)を上回る場合、皮膚ボクセルは赤く色付けされる。距離が所定の第2の閾値(通常は0~0.5mm)を上回らない場合、皮膚ボクセル81は緑に色付けされる。距離が第2の閾値を上回るが、第1の閾値を上回らない場合、皮膚ボクセル81は緑と赤の混合で色付けされ、緑と赤の相対量はそれぞれ第1及び第2の閾値からの皮膚ボクセルの相対距離に基づいている。緑、赤、及び混合色は、図9に、それぞれ領域154、152、及び156におけるような異なる陰影によって表されている。したがって、画像150において、領域154は軟組織の厚さが第2の閾値以下である骨質領域であり、領域152は軟組織の厚さが第1の閾値を上回る肉質領域であり、領域156は軟組織の厚さが2つの閾値の間である領域である。領域156において、相対的な「緑っぽさ」及び「赤っぽさ」は、各ボクセルの2つの閾値までの相対的「距離」を表示する。
【0064】
図8~9に述べられる代替的な実施形態では、画像150を用いて図6~7の画像94を置き換える。この場合、専門家20は、画像150の案内によって皮膚の骨質領域154に、及び場合により、軟組織が薄いことが色によって示される領域156のそれらの部分の中に位置合わせプローブ16で触れる。
【0065】
上に述べた実施形態は例として挙げたものであり、本発明は上記に具体的に示し、説明したものに限定されない点は理解されよう。むしろ、本発明の範囲は、本明細書の上文に記載された様々な特徴の組み合わせ及び部分組み合わせの両方、並びに前述の説明を一読すると当業者が想起すると思われる、先行技術に開示されていないそれらの変形及び改変を含む。
【0066】
〔実施の態様〕
(1) 被験者の身体の部分のボクセルを含んだコンピュータ断層撮影(CT)画像を受信することと、
前記画像をセグメント化して前記画像内の皮膚の表面及び骨の表面を識別することと、
前記皮膚の前記表面上の複数の点から前記骨までのそれぞれの最小距離を測定することと、
前記皮膚の前記表面の画像をレンダリングしながら前記レンダリング済み画像を視覚的に符号化することで前記それぞれの最小距離を表示することと、を含む、方法。
(2) 前記レンダリング済み画像を視覚的に符号化することは、前記最小距離が所定の閾値を上回らない前記皮膚の第1の領域に第1の画像特性を適用することと、前記最小距離が前記所定の閾値を上回る前記皮膚の第2の領域に第2の画像特性を適用することと、を含む、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記第1及び第2の画像特性が、2つの区別可能な色である、実施態様2に記載の方法。
(4) 前記第1及び第2の画像特性が、2つの区別可能なパターンである、実施態様2に記載の方法。
(5) 前記第1及び第2の画像特性が、2つの区別可能なグレーレベルである、実施態様2に記載の方法。
【0067】
(6) 前記レンダリング済み画像を視覚的に符号化することは、前記最小距離が所定の第1の閾値を上回る前記皮膚の前記表面の前記画像の第1の領域に第1の画像特性を適用することと、前記最小距離が所定の第2の閾値を上回らない前記皮膚の前記表面の前記画像の第2の領域に第2の画像特性を適用することと、前記最小距離が前記第1の閾値を上回らないが前記第2の閾値を上回る前記皮膚の前記表面の前記画像の第3の領域に第3の画像特性を適用することと、を含む、実施態様1に記載の方法。
(7) 前記第1、第2、及び第3の画像特性が、3つの区別可能な色である、実施態様6に記載の方法。
(8) 前記第3の画像特性の前記色が、前記第1及び第2の画像特性の前記色の組み合わせであり、前記組み合わせ中の前記第1及び第2の色の相対的重みが、第2の差に対する第1の差の比から求められ、前記第1の差が前記第1の閾値と前記最小距離との差であり、前記第2の差が前記最小距離と前記第2の閾値との差である、実施態様7に記載の方法。
(9) 前記第1及び第2の画像特性が2つの区別可能なグレーレベルであり、前記第3の画像特性が第3のグレーレベルであり、前記第3のグレーレベルが、前記第1及び第2の画像特性の前記グレーレベルの間の補間されたグレーレベルであり、前記補間されたグレーレベルが、それぞれ、前記最小距離と前記第1及び第2の閾値との差によって決定される、実施態様6に記載の方法。
(10) 前記身体の部分が頭部を含む、実施態様1に記載の方法。
【0068】
(11) 前記複数の点のそれぞれの前記最小距離が、前記複数の点のそれぞれにおける前記骨の前記表面に対する法線に沿って確立される、実施態様1に記載の方法。
(12) ディスプレイ装置と、
プロセッサであって、被験者の身体の部分のボクセルを含んだコンピュータ断層撮影(CT)画像を受信し、前記画像をセグメント化して前記画像内の皮膚の表面及び骨の表面を識別し、前記皮膚の前記表面上の複数の点から前記骨までのそれぞれの最小距離を測定し、前記ディスプレイ装置上の前記皮膚の前記表面の画像をレンダリングしながら前記レンダリング済み画像を視覚的に符号化することで前記それぞれの最小距離を示すように構成されている、プロセッサと、を備える、装置。
(13) 前記画像を視覚的に符号化することは、前記最小距離が所定の閾値を上回らない前記皮膚の第1の領域に第1の画像特性を適用することと、前記最小距離が前記所定の閾値を上回る前記皮膚の第2の領域に第2の画像特性を適用することと、を含む、実施態様12に記載の装置。
(14) 前記第1及び第2の画像特性が、2つの区別可能な色である、実施態様13に記載の装置。
(15) 前記第1及び第2の画像特性が、2つの区別可能なパターンである、実施態様13に記載の装置。
【0069】
(16) 前記第1及び第2の画像特性が、2つの区別可能なグレーレベルである、実施態様13に記載の装置。
(17) 前記画像を視覚的に符号化することは、前記最小距離が所定の第1の閾値を上回る前記皮膚の前記表面の前記画像の第1の領域に第1の画像特性を適用することと、前記最小距離が所定の第2の閾値を上回らない前記皮膚の前記表面の前記画像の第2の領域に第2の画像特性を適用することと、前記最小距離が前記第1の閾値を上回らないが前記第2の閾値を上回る前記皮膚の前記表面の前記画像の第3の領域に第3の画像特性を適用することと、を含む、実施態様12に記載の装置。
(18) 前記第1、第2、及び第3の画像特性が、3つの区別可能な色である、実施態様17に記載の装置。
(19) 前記第3の画像特性の前記色が、前記第1及び第2の画像特性の前記色の組み合わせであり、前記組み合わせ中の前記第1及び第2の色の相対的重みが、第2の差に対する第1の差の比から求められ、前記第1の差が前記第1の閾値と前記最小距離との差であり、前記第2の差が前記最小距離と前記第2の閾値との差である、実施態様18に記載の装置。
(20) 前記第1及び第2の画像特性が2つの区別可能なグレーレベルであり、前記第3の画像特性が第3のグレーレベルであり、前記第3のグレーレベルが、前記第1及び第2の画像特性の前記グレーレベルの間の補間されたグレーレベルであり、前記補間されたグレーレベルが、それぞれ、前記最小距離と前記第1及び第2の閾値との差によって決定される、実施態様17に記載の装置。
【0070】
(21) 前記複数の点のそれぞれの前記最小距離が、前記複数の点のそれぞれにおける前記骨の前記表面に対する法線に沿って確立される、実施態様12に記載の装置。
(22) 前記身体の部分が頭部を含む、実施態様12に記載の装置。
(23) プログラム命令が格納された非一時的なコンピュータ可読媒体を含むコンピュータソフトウェア製品であって、前記命令が、コンピュータにより読み取られる際に前記コンピュータに、被験者の身体の部分のボクセルを含んだコンピュータ断層撮影(CT)画像を受信させ、前記画像をセグメント化して前記画像内の皮膚の表面及び骨の表面を識別させ、前記皮膚の前記表面上の複数の点から前記骨までのそれぞれの最小距離を測定させ、前記皮膚の前記表面の画像をレンダリングしながら前記レンダリング済み画像を視覚的に符号化することで前記それぞれの最小距離を表示させる、コンピュータソフトウェア製品。
図1
図2
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図4
図5
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図7
図8
図9